説明

衣類宅配用包装形態

【課題】衣類を宅配する際に、コストを低く抑えることができると共に、宅配する衣類を宅配業者などに知られるおそれのない。
【解決手段】衣類を宅配するための包装形態であって、衣類を載せる段ボール製の板紙2と、衣類及び板紙2を包装するフィルム製の包装袋15とからなり、包装袋15は、衣類が外側から見えないように衣類側が不透明である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類を宅配するための包装形態に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、食料品などを宅配するための包装形態は、全体が透明のプラスチック袋に食料品などを収容して宅配している(例えば特許文献1)。また、衣類などを宅配するための包装形態は、紙袋や段ボール封筒に衣類などを収容して宅配している。
【0003】
衣類を宅配する際に、紙袋や段ボール封筒などを使用する理由は、宅配業者や近所の人に宅配される衣類を見られないようにするためである。しかし、紙袋や段ボール封筒を用いると、原材料費が高く包装に手間がかかるので、コストが高くなる問題がある。また、従来からの上記した透明のプラスチック袋を使うと、透明なので宅配する衣類を宅配業者などに知られるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−241818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記した問題点に鑑みて、衣類を宅配する際に、コストを低く抑えることができると共に、宅配する衣類を宅配業者などに知られるおそれのない包装形態を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明は、衣類を宅配するための包装形態であって、衣類を載せる段ボール製の板紙と、衣類及び板紙を包装するフィルム製の包装袋とからなり、包装袋は、衣類が外側から見えないように衣類側が不透明である。
【0007】
好ましくは、包装袋は、フィルムの開口部を1〜4方シール方式にてシールして包装されており、衣類側のフィルムが不透明で、板紙側のフィルムが透明である。
【発明の効果】
【0008】
上記した通り、本発明に係る包装形態は、フィルム製の包装袋を使用するので原料費が安く、さらに、包装装置で自動的に袋詰めできるので、コストを低く抑えることができる。更に、衣類を段ボール製の板紙の上に載せているので、搬送する際に、包装袋の中で衣類が回転するなど大きく移動することがなく安定性に優れ、また、宅配する際にも、持ち運びやすくなっている。そのため、衣類に皺や折れなどが生じないようになっている。そして、包装袋は、衣類側が不透明になっているので、宅配業者などは衣類を見ることができないようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】包装する前の衣類及び板紙を示す斜視図。
【図2】四方シール方式の包装装置を示す斜視図。
【図3】衣類及び板紙を包装した包装形態を示す斜視図。
【図4】三方シール方式の包装装置を示し、(a)は概略斜視図、(b)は側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る包装形態について説明する。
【0011】
図1の通り、宅配対象となる衣類1は、ズボン、シャツ、下着などの種類に応じて、搬送性や収納性などを考慮して所定の大きさに折り畳まれる。折り畳まれた衣類1は、これよりも大きい段ボール製の板紙2の上に載置される。さらに、衣類1と板紙2との間に、注文衣類の種類や宅配先情報等が記載された納品書や請求書等の用紙類3が挟まれる。そして、板紙2は、衣類1が置かれる面2aとは反対側の面2bに、載置された衣類1に応じた宅配先住所などの宅配情報データを登録した識別表示(バーコードなど)4が粘着テープなどで付される。
【0012】
図2の通り、四方シール方式の包装装置は、搬送方向に沿ってベルトコンベア等からなる複数の搬送装置20,20’,20’’,20’’’を備える。第1の搬送装置20に、板紙2に載せられた衣類1が所定間隔ごとに置かれて搬送方向に搬送される。包装装置は、上側に上側原反ロール21、下側に下側原反ロール22を備える。上側原反ロール21は、例えば黒色などで着色された不透明のフィルムシート5を巻いて構成されている。それに対し、下側原反ロール22は、透明のフィルムシート6を巻いて構成されている。
【0013】
上側原反ロール21から不透明フィルムシート5が引き出され、ガイドローラー23で方向を変えて下方へ供給される。また、下側原反ロール22から透明フィルムシート6が引き出され、ガイドローラー24で方向を変えて上方へ供給される。各フィルムシート5,6は、第1搬送装置20と第2搬送装置20’との間の溶断位置で溶着される。即ち、その位置において、包装装置は、上側に設けられたヒートシールバー26と、下側に設けられた受け台27とを備える。
【0014】
そして、第1搬送装置20で搬送された衣類1は、各フィルムシート5,6が溶着された状態で溶断位置へ送られ、上側を不透明フィルムシート5で、下側を透明フィルムシート6で覆われる。その後、ヒートシールバー26が下降して、受け台25と共に各フィルムシート5,6を挟んで溶断する。そして、後方の開口部をシールした各フィルムシート5,6で包装した衣類1を第2搬送装置20’で搬送する。なおこのとき、各フィルムシート5,6の両サイドの開口部はまだシールされていない。
【0015】
次に、第2搬送装置20’で送られた衣類1は、第3搬送装置20’’で搬送される。第3搬送装置20’’の両サイドには、上側に一対のヒートシールバー28,28’が、下側に受け台27,27’が設けられている。そして、ヒートシールバー28,28’が下降して、受け台27,27’に挟まれることで各フィルムシート5,6の両サイドの開口部がシールされる。その際、図示しないスポンジなどの弾性部材で上側から軽く押えて、内部の空気を放出した状態でシールするようになっている。これにより、衣類1を包装するための各フィルムシート5,6からなる包装袋15が形成される。
【0016】
上記により、包装袋15で衣類1及び板紙2を包装した包装物10が形成される。包装袋15とその内部にある板紙2とは、ほぼ同じ大きさなので、板紙2に載った衣類1は、包装袋15の中で回転したり大きく移動することがなく、皺や折れなどが生じないようになっている。また、包装物10は、内部の空気を放出しているので体積が小さく、多くの包装物10を宅配トラックに積み込むことができる。また、各フィルムシート5,6は、ポリエステル樹脂などのガスバリア性に優れたシート部材で構成されており、外部からの空気が内部に侵入して衣類1に臭いが付かないようになっている。
【0017】
上記で説明した通り、板紙2の下面2bには識別表示4が付されている。また、包装袋15の下側は、透明フィルムシート6で構成されているので、外側から識別表示4を認識できる。包装物10は、第3搬送装置20’’から第4搬送装置20’’’へ送られる。第4搬送装置20’’’の下側には、識別表示4を読み取るためのバーコードリーダーなどの読取装置30が設けられている。そして、読取装置30は、送られてきた包装物10に付された識別表示4を読み取るようになっている。
【0018】
読取装置30が読み取った識別データは、印刷装置31へ送られる。印刷装置31は、送られた識別データに基づいて、住所ラベル7に宅配先住所を印刷するようになっている。そして、その住所ラベル7を手作業又は装置で包装物10の上側に貼り付ける。これにより、不透明フィルムシート5によって包装物10の中が見えず、衣類1を確認できなくても、作業者は間違うことなく住所ラベル7を貼り付けることができる。
【0019】
図3(a)の通り、包装袋15は、上側が不透明フィルムシート5なので、宅配業者などが内部の衣類1を見ることができないようになっている。また、図3(b)の通り、包装袋15は、下側が透明フィルムシート6なので、段ボールなどの板紙2を見ることができるが、内部の衣類1を見ることができない。また、板紙2を見ることができるので、板紙2の下面2bに宣伝のための広告などを付すこともできる。
【0020】
次に、図4に基づいて、三方シール方式の包装装置を用いた実施形態について説明する。図4(a)の通り、三方シール方式の包装装置は、原反ロール40を備える。原反ロール40は、半折フィルムを巻いて構成されている。半折フィルムは、長尺方向の折り目40aに沿って半分に折られたものであって、折り目40aを介して、上側が不透明フィルムシート5になるよう着色されており、下側が透明フィルムシート6からなる。また、包装装置は、上側に設けられたL型ヒートシールバー41と、下側に設けられたL型の受け台42とを備える。板紙2に載せた衣類1は、不透明フィルムシート5と透明フィルムシート6との間に配置される。なお、衣類1は、不透明フィルムシート5側になる。その状態で衣類1及び板紙2を搬送して、L型シールバー41が下降して、受け台42で挟まれることで、フィルムシート5,6における三方の開口部がシールされる。これにより、衣類1を包装するためのフィルムシート5,6からなる包装袋15が形成され、包装袋15で衣類1及び板紙2を包装した包装物10が形成される。
【0021】
図4(b)の通り、包装装置は、L型シールバー41を支持するサポート部材43を備える。サポート部材43は、上下方向に立設された複数本のレール44に沿って昇降するようになっている。包装装置は、住所ラベル7を印刷して貼り付けるためのラベラー32を備える。ラベラー32は、サポート部材33で支持されている。サポート部材33は、上下方向に立設されたレール34に沿って昇降するようになっている。ラベラー32は、識別表示4を読み取るための読取装置30から送られる信号によって、住所ラベル7を印刷するようになっている。
【0022】
先ず、作業者が、図示しない作業台で、板紙2の下面2bに付された識別表示4を読取装置30で読み取って、識別データをラベラー32に送る。そして、板紙2に載せられた衣類1を各フィルムシート5,6の間に配置し、その状態でL型シールバー41の下方に持っていく。その後、包装装置を起動して、サポート部材43と共にL型シールバー41がレール44に沿って下降して、フィルムシート5,6をシールして包装袋15を形成する。続いて、サポート部33と共にラベラー32がレール34に沿って下降して、印刷した住所ラベル7を包装袋15に貼り付け、包装物10が形成される。このように、L型シールバー41及びラベラー32がレール44,34に沿って上方から下降する方式にすることで、衣類1が分厚くなっても、シールバー41等が邪魔になることがなく、スムーズにシールできる。
【0023】
なお、上記した実施形態の他に、一方及び二方シール方式の包装装置であってもよい。その場合、予め所定箇所が着色された筒状のフィルムシートを用いて、その開口部をシールすることで包装袋15を形成する。
【符号の説明】
【0024】
1 衣類
2 板紙
4 識別表示
5 不透明フィルムシート
6 透明フィルムシート
7 住所ラベル
10 包装物
15 包装袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を宅配するための包装形態であって、前記衣類を載せる段ボール製の板紙と、前記衣類及び前記板紙を包装するフィルム製の包装袋とからなり、前記包装袋は、前記衣類が外側から見えないように前記衣類側が不透明であることを特徴とする包装形態。
【請求項2】
前記包装袋は、フィルムの開口部を1〜4方シール方式にてシールして包装されており、前記衣類側の前記フィルムが不透明で、前記板紙側の前記フィルムが透明であることを特徴とする請求項1に記載の包装形態。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−235910(P2011−235910A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106833(P2010−106833)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000135025)株式会社ニッサンキコー (8)
【Fターム(参考)】