説明

衣類

【課題】部分的な発汗作用および保湿作用を発揮するボトムなどの衣類を提供する。
【解決手段】身体に密着する伸縮性を備えたパンツなどのボトム生地2,3の裏側に、生地の伸縮に追随可能な伸縮性を備えた通気遮断層6,7を部分的に形成し、この通気遮断層6,7を身体に密着可能な熱可塑性エラストマーから構成し、部分的あるいは局部的に発汗作用および保湿作用を発揮させ、新陳代謝を促す。さらに、熱可塑性エラストマーにコラーゲン等の食物繊維、イソフラボン等のホルモン、あるいはスクワランである油性保湿成分などを充填材として混入し、これらの成分の効能も併せて持たせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的に発汗作用および保湿作用を発揮する衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バストの下部、ウエスト、腹部などに密着させて着用し、着用位置の体温を上昇させ、体脂肪の燃焼を促すと共に発汗を促すウエストスーツが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、素肌の腕に着用する腕用ゴム、腹に着用する腹用ゴム、、足に着用する足用ゴムを夫々設けて、保温効果、皮膚乾燥防止、発汗効果を促す着用ゴムが開示されている。
【特許文献1】登録実用新案第3043896号公報
【特許文献2】特開2002−155408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のウエストスーツは、スーツ全体を身体に密着させる手法であり、また、特許文献2では、各パーツ全体で身体に密着させる手法を採用している。このような手法では、全体的にむれ感があり、身体を部分的に、あるいは局部的に発汗させる衣類としては適さない。
【0005】
本発明は、部分的に発汗作用や保湿作用を発揮することができる衣類の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、生地の裏側に通気遮断層が部分的に形成することで、部分的あるいは局部的に発汗作用や保湿作用を発揮する。
【0007】
この場合の生地は、非伸縮性・伸縮性の有無を問わないが、伸縮性生地を使用するときには、通気遮断層を生地の伸縮に追随する弾性を備え、通気遮断層の剥離を防止して、耐久性を向上させる。伸縮性の生地は身体に密着することが好ましい。これにより、通気遮断層による保温性が一層促進され、発汗作用や保湿作用を発揮することができる。
【0008】
通気遮断層の形成手法としては、シート状の通気遮断層を生地に接合する態様が例示できる。また、この通気遮断層としては、ゴム状弾性体、例えば、熱可塑性エラストマーから構成することができる。
【0009】
また、衣類は、シャツ、ボトム、サポータなどのインナーのみならず、アウターをも含む。特に、スパッツなどの伸縮性のボトムに本発明を適用するのが好適である。さらに、上記通気遮断層は、衣類と類似するフェイスマスクや包帯類の生地の裏側に全面あるいは部分的に形成することもできる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によると、衣類でありがなら、生地の裏側に通気遮断層が部分的に形成しているので、部分的あるいは局部的に発汗作用や保湿作用を発揮し、新陳代謝を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態である衣類としてのボトムスパッツを図1〜図3に基づいて説明する。図1本発明の一実施形態であるボトムスパッツを裏返した状態を示す正面斜視図、図2は図1の裏面側を示す背面図、図3はボトムスパッツの断面図である。
【0012】
図に示すように、ボトムスパッツ1は、前身頃2および後身頃3から構成され、前身頃の腹部4を構成する生地の裏面、後身頃3の脚部5を構成する生地の裏面に、それぞれ通気遮断層6、7が部分的に形成されている。
【0013】
身頃2,3は、スパッツを構成するため、伸縮性生地を使用されている。通気遮断層6,7は、伸縮性生地の伸縮の追随できる弾性を備えるために、シート状のゴム状弾性体、例えば、熱可塑性エラストマー(例えば、イノアックコーポレーション社製のスチレン系ゲル NAGFLEX)から構成することができる。
【0014】
熱可塑性エラストマーの物性としては、アスカー硬度F76、引張強度2.4MPa、伸び>1600%、圧縮永久歪15%(湿度25%、70℃、22h)、ブリード量1.6%(100g/cm、24h)を例示することができる。
【0015】
この熱可塑性エラストマーには、コラーゲン等の食物繊維、イソフラボン等のホルモン、あるいはスクワランである油性保湿成分等を充填材として混入し、これらの成分による効能を付加するようにしてもよい。
【0016】
この熱可塑性エラストマーをシート状に成形して、身頃生地に部分的に熱融着し、通気遮断層6,7を形成する。通気遮断層6,7を形成する部位は、部分的・局部的に発汗作用・保湿作用を促したい部位とする。例示のように、腹部4や脚部5が好適である。
【0017】
上記構成においては、ボトム生地の裏側に通気遮断層6,7が部分的に形成されているので、通気遮断層6,7が身体に密着し、保温効果を高めることができる。そのため、運動した場合などに、通気遮断層6,7のある部位で発汗作用および保湿作用を部分的あるいは局部的に促すことができ、新陳代謝を図ることができる。
【0018】
このとき、通気遮断層6,7の形成部位以外はボトム生地がそのまま身体に密着するため、ボトム生地として通気性素材を使用した場合には、むれ感を防止することができ、快適な着用感をそのまま維持することができる。
【0019】
このように、ボトムなどの衣類でありがなら、生地の裏側に通気遮断層6,7を部分的に形成しているので、部分的あるいは局部的に発汗作用や保湿作用を発揮し、新陳代謝を促すことができる。
【0020】
図4〜図7は他の実施形態を示すものである。図4(a)はインナーシャツ10を裏返した状態で示す正面図、(b)は同じくその背面図である。この例では、インナーシャツ10の裏側の脇腹部分に通気遮断層6を形成している。
【0021】
図5(a)はウエストサポータ11を裏返した状態を示す正面図、(b)は同じくその背面図である。この例では、サポータの裏側の脇腹部分に通気遮断層6を形成している。
【0022】
図6は上腕やふくらはぎに装着するサポータ13を裏返した状態で示す裏面図である。この例では、サポータ13の裏側の背面側に通気遮断層6を部分的に形成し、ふくらはぎや上腕の裏側に当てるようにし、これらの部分に発汗作用と保湿作用を促すことができるようになっている。
【0023】
図7はフェイスマスク15の裏面図である。フェイスマスク15の生地の裏側に熱可塑性エラストマーから構成された通気遮断層8が形成されている。
【0024】
これら図4〜図7のいずれの例でも、通気遮断層6,8の構成は図1〜図3に示す例と同様に構成されており、この通気遮断層6,8により、部分的あるいは局部的に発汗作用および保湿作用を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態であるボトムスパッツを裏返した状態を示す正面斜視図
【図2】図1の裏面側を示す背面図
【図3】ボトムスパッツの断面図
【図4】(a)はインナーシャツを裏返した状態を示す正面図、(b)は同じくその背面図
【図5】(a)はウエストサポータを裏返した状態を示す正面図、(b)は同じくその背面図
【図6】上腕およびふくらはぎのサポータを裏返した状態を示す背面図
【図7】フェイスマスクの裏面を示す裏面図
【符号の説明】
【0026】
1 ボトムスパッツ
2 前身頃
3 後身頃
4 腹部
5 脚部
6,7,8 通気遮断層
10 インナーシャツ
11 ウエストサポータ
13 上腕あるいはふくらはぎのサポータ
15 フェイスマスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地の裏側に通気遮断層が部分的に形成されたことを特徴とする衣類。
【請求項2】
前記生地が伸縮性を有し、前記通気遮断層が前記生地の伸縮に追随する弾性を備えたことを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記生地が身体に密着する伸縮性を備えたことを特徴とする請求項2に記載の衣類。
【請求項4】
前記通気遮断層がシート状に形成され、前記生地に接合されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の衣類。
【請求項5】
前記通気遮断層がゴム状弾性体から構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の衣類。
【請求項6】
前記通気遮断層が熱可塑性エラストマーから構成されたことを特徴とする請求項5に記載の衣類。
【請求項7】
前記衣類がシャツ、ボトム、サポータなどのインナーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の衣類。
【請求項8】
生地の裏側に熱可塑性エラストマーから構成された通気遮断層が形成されたことを特徴とするフェイスマスク。
【請求項9】
生地の裏側に熱可塑性エラストマーから構成された通気遮断層が全面あるいは部分的に形成されたことを特徴とする包帯類。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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