説明

表示パネルのブラックマスク形成方法、およびブラックマスク構造

【課題】ブラックマスクの厚みより発生する液晶表示パネルの表面のガラスと保護板との間の段差を無くすことによって、液晶表示パネルの商品としての価値を高めること。
【解決手段】本発明は、背面から光を照射する構成の表示パネルの表面に透明な保護板を積層してなる表示装置において、前記表示パネルの表示領域の周縁に遮光性のブラックマスクを形成する方法において、前記表示パネルもしくは保護板の少なくとも何れか一方に所定幅の凹部を形成し、前記凹部に遮光部材を配設して形成することを特徴としている。前記遮光部材は、遮光性のシート材を貼付することによって形成しても、遮光性の塗料を塗布することによって形成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネル等の表示パネルにおいて、表示領域の周縁を覆うために形成されているブラックマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル100の一般的な構造は、図5に示したように、主要な構成としては、バックライトとしての光を供給するバックライト部101と、電極に挟まれて実際の表示を行う液晶部102と、前記液晶部102の表面に配設された透明なガラス103と、前記ガラス103の周縁に形成されている遮光性のブラックマスク104と、前記ガラス103と前記ブラックマスク104を覆って配設されている透明な保護板105とが積層された構造となっている。
前記ブラックマスク104は、液晶表示パネル100の表面の前記ガラス103の周縁部分を被覆する程度の大きさに形成されている。また、前記ブラックマスク104の背面には例えば接着剤が塗布されており、前記ガラス103の表面に固着させることによって、前記液晶表示パネル100のガラス103に固着されるようになっている。
前記ブラックマスク104と前記ガラス103の表面には、さらに前記保護板105が接着剤等で固着されている。
【0003】
前記液晶表示パネル100の側面断面図を図6に示した。
図6に示したように、
前記ブラックマスク104は前記ガラス103の表面の周縁に固着されており、前記ブラックマスク104と前記ガラス103の表面には、さらに前記保護板105が積層して固着されて、表面パネル110が形成されている。
このような構造の表面パネル110が液晶部102に積層されている。
【0004】
ここで、前記ブラックマスク104は若干の厚みをもっているため、前記ブラックマスク104の表面と、前記ガラス103の表面との間には若干の段差Sが生じている。この段差Sによって前記ガラス103と前記保護板105との間には隙間が形成されている。
前記ガラス103と前記保護板105とが何れも十分な厚みがある場合には、前記隙間は存続するが、例えば前記保護板105が薄いと撓みが発生して歪むことになり、表側から見たときに視覚的な歪みが生じるという問題がある。
また、前記ガラス103が薄い場合には、ガラス103が変形してしまい、表側から見たときに視覚的な歪みが生じるという問題がある。
なお、ブラックマスクが開示されている一般的な参考文献として特許文献1を挙げた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−315793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来は、ガラス103も保護板105も十分な厚みを持たせて変形しないようにしていたが、近年の薄型への要求に応じて、ガラス103もしくは保護板105を薄くすると、強度が低下して変形しやすくなるという問題が避けられなくなっていた。
前記ブラックマスクの厚さを極力薄くすると、ガラス103もしくは保護板105を薄くしてもその変形による視覚的な問題が少なくなるが、今度は、薄いブラックマスクでは遮光性が不十分になるという別の問題が生じる。例えば、シルク印刷では厚くなりすぎるので、オフセット印刷によって薄くすると、遮光性が不十分で光が漏れる問題や、ピンホール等の発生等の問題が発生する。
また、表面の透明な保護板105に代えて可撓性のある薄い透明な保護シートを積層する場合には、保護シートが前記段差に沿って変形してガラス103の表面に密着することになり、この場合も、保護シートが段差に沿って変形することによって、視覚的な歪みが生じるという問題が発生する。
このような視覚的な歪みがあると前記液晶表示パネル100の商品としての価値を損なうことになる。
前記ブラックマスク104を、遮光性のシート材を配設して形成しても、遮光性の塗膜で形成しても、厚みの違いによって歪みの多少はあるが、前記段差Sを消すことはできなかった。
【0007】
図5に示したような、前記液晶表示パネル100の商品としての価値を損なっている前記段差Sを無くすことによって、液晶表示パネルの商品としての価値を高めることを目的として、本発明はなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示パネルのブラックマスク形成方法は、
背面から光を照射する構成の表示パネルの表面に透明な保護板を積層してなる表示装置において、前記表示パネルの表示領域の周縁に遮光性のブラックマスクを形成する方法において、
前記表示パネルもしくは保護板の少なくとも何れか一方の周縁に所定幅の凹部を形成し、
前記凹部に遮光部材を配設して、前記表示パネルの表面とほぼ面一のブラックマスクを形成することを特徴としている。
請求項2では、
前記遮光部材は、遮光性のシート材を貼付することによって形成した。
請求項3では、
前記遮光部材は、遮光性の塗料を塗布することによって形成した。
【0009】
請求項4に係る本発明の表示パネルのブラックマスク構造は、
背面から光を照射する構成の表示パネルの表面に透明な保護板が積層され、前記表示パネルの表示領域の周縁に遮光性のブラックマスクが配設されたブラックマスク構造において、
前記表示パネルもしくは保護板の少なくとも何れか一方の周縁に所定幅の凹部が形成され、前記凹部に遮光部材が配設されて、前記遮光部材の表面は前記表示パネルの表面とほぼ面一に形成されていることを特徴としている。
請求項5では、
前記遮光部材は、遮光性のシート材が貼付されて形成されている。
請求項6では、
前記遮光部材は、遮光性の塗料が塗布されて形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の表示パネルのブラックマスク形成方法は、
背面から光を照射する構成の表示パネルの表面に透明な保護板を積層してなる表示装置において、前記表示パネルの表示領域の周縁に遮光性のブラックマスクを形成する方法において、
前記表示パネルもしくは保護板の少なくとも何れか一方に所定幅の凹部を形成し、
前記凹部に遮光部材を配設して、ほぼ面一に形成するので、遮光部材が突出しない。したがって、保護板との間に隙間が形成されないので、視覚的な歪みの発生を防ぎ商品価値の高い表示パネルを提供することができる。
【0011】
本発明の表示パネルのブラックマスク構造は、
背面から光を照射する構成の表示パネルの表面に透明な保護板を積層し、
前記表示パネルの表示領域の周縁に遮光性のブラックマスクが形成されてなる表示装置において、
前記表示パネルもしくは保護板の少なくとも何れか一方に形成された所定幅の凹部に、
遮光部材を配設して、ほぼ面一に形成したので、
上記効果の得られるブラックマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1はブラックマスクを形成するために形成された凹部を説明する一部拡大断面図である。
【図2】図2は前記凹部に形成されたブラックマスクを説明する一部拡大断面図である。
【図3】図3は前記凹部の別実施例を説明する一部拡大断面図である。
【図4】図4は他の実施例の一部拡大断面図である。
【図5】図5は従来例のブラックマスクを説明する斜視図である。
【図6】図6は従来例のブラックマスクの要部を説明する一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下においては、本発明に係るブラックマスクを図面を参照して、その概要を説明する。
図1は、前記ブラックマスクに用いる透明パネルの要部の断面図を示したものであり、透明パネル1の表面側の周縁に、凹部2が形成されている。
前記透明パネル1は、液晶表示パネルの表面に配設された液晶保護用のガラスであり、その表面にはさらに透明な保護シート、もしくはガラス、もしくはアクリル等の透明樹脂製の板が積層されるようになっている。
前記透明パネル1の周縁に形成された凹部2は、前記液晶表示パネルの表示領域の周囲に形成されており、前記凹部2の幅は前記液晶表示パネルの周縁の不要領域をカバーする広さに設定されている。前記凹部2の深さはバックライトの光を遮光するに十分な遮光材の厚さに設定されている。
【0014】
図2の(A)に示したように、前記凹部2には、バックライトの光を遮光するための遮光材3が配設されており、前記遮光材3の厚さは、前記凹部2の深さと同じに設定されているので、前記透明パネル1の表面と、前記遮光材3の表面とは、段差の無い連続したほぼ面一の同一平面状になっている。
【0015】
図2の(B)に示したように、以上のように構成した透明パネル1と遮光材3に保護シート4を積層して、表面パネル5は構成されている。
【実施例1】
【0016】
以下においては、本発明の実施例1にかかる表示パネルのブラックマスク形成方法とその構造を形成する手順について図1、2を参照して説明する。
先ず、図1に示したように、ガラス等の透明パネル1の表面側の周縁に、凹部2を形成する。前記凹部2の形成方法としては種々の方法が可能であるが、例えば、加工用の刃などを用いて、板状の透明パネル素材の表面側の周縁を浅く帯状に物理的に切削して前記凹部2を形成してもよく、または、化学薬品を用いて板状の透明パネル素材の表面側の周縁を浅く帯状に化学的に溶解等させることによって前記凹部2を形成してもよく、前記透明パネル1を板状に成型する際に、前記凹部2を一体成型してもよい。または、以上に述べた物理的加工方法、化学的加工方法、または、一体成型方法を組み合わせて凹部2を形成してもよい。
【0017】
つぎに、図2の(A)に示したように、前記凹部2に遮光材3を配設する。
前記凹部2に遮光材3を配設する方法としては、種々の方法が可能であるが、例えば、遮光性塗料を前記凹部2に塗布してもよく、または、遮光性シートを接着剤等を用いて前記凹部2に貼付してもよい。
遮光性塗料を前記凹部2に塗布する場合には、一旦塗布した後に、塗膜の表面と透明パネルの表面との段差が内容に表面を均す必要がある。また、前記凹部2以外の表面にも塗料が付着する場合があるので、余分な塗料は除去する必要がある。
遮光性シートを貼付する場合には、前記凹部2の幅に一致したシートを貼付する作業が必要となる。
【0018】
つぎに、図2の(B)に示したように、前記透明パネル1の表面と、前記凹部2に配設された前記遮光材3の表面とを、透明な保護シート4で覆う。前記保護シート4は、透明性の高い接着剤等を用いて前記透明パネル1の表面と前記遮光材3の表面に貼付するとよい。
このようにして、前記遮光材3によってブラックマスクが形成された表面パネル5が得られるのである。
この表面パネル5を、図3に示したように、バックライトとしての光を供給するバックライト部11と、電極に挟まれて実際の表示を行う液晶部12とに積層して固着することによって、液晶表示パネル10を形成するのである。
前記遮光材3の表面と前記透明パネル1の表面とがほぼ面一になって、同一平面状になっているので、このように形成した液晶表示パネル10には従来例のような段差Sもしくは隙間が存在せず、保護シート4や透明パネル1が変形して歪むことを防止でき、視覚的な問題を改善できる。
なお、前記バックライト部11の光源からの光を均一に拡散するための拡散手段、偏光手段、およびフィルタ等などはその説明を省略した。また、前記遮光材3の厚さは必要に応じて適宜設定することができる。
【実施例2】
【0019】
実施例1では、透明パネル1の縁に凹部3を形成したが、図4の(A)に示した実施例2のように、透明パネル1Aの縁から僅かに離した内側に凹部を形成して遮光材3Aによるブラックマスクを形成して、保護シート4Aを積層してもよい。この場合には、透明パネルの縁は別途設けるケースカバー等で覆うとよい。
【実施例3】
【0020】
図4の(B)に示した実施例3のように、遮光材3B凹部の縁は垂直ではなく傾斜させてもよい。この場合には遮光材3Bと透明パネル1Bの凹部との馴染みがよい。
【実施例4】
【0021】
図4の(C)に示した実施例4のように、透明パネル1Cではなく、保護シート4C側に凹部を形成して遮光材3Cによるブラックマスクを形成してもよい。この場合には保護シートの厚みを厚めにするとよい。
【実施例5】
【0022】
図4の(D)に示した実施例5のように、透明パネル1Dと保護シート4Dの両方に凹部を形成して、両方の凹部に遮光材3Dを配置してブラックマスクを形成してもよい。この場合には、遮光材の厚さを十分な厚さにして十分な遮光性を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によるブラックマスクは、パソコンのディスプレイ装置、テレビ、または携帯電話機等の液晶表示パネルに限らず、種々の液晶表示パネルに採用することができる。
さらには、液晶表示パネルに限らず、背面に光源を備えた種々の表示装置において、その縁の不要部分を隠すためのブラックマスクに広く採用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 透明パネル
2 凹部
3 遮光材
4 保護シート
5 表面パネル
10 表示パネル
11 バックライト部
12 液晶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面から光を照射する構成の表示パネルの表面に透明な保護板を積層してなる表示装置における前記表示パネルの表示領域の周縁に遮光性のブラックマスクを形成する方法において、
前記表示パネルもしくは保護板の少なくとも何れか一方の周縁に所定幅の凹部を形成し、
前記凹部に遮光部材を配設して、前記表示パネルの表面とほぼ面一のブラックマスクを形成することを特徴とする表示パネルのブラックマスク形成方法。
【請求項2】
前記遮光部材は、遮光性のシート材を貼付することによって形成したことを特徴とする請求項1に記載の表示パネルのブラックマスク形成方法。
【請求項3】
前記遮光部材は、遮光性の塗料を塗布することによって形成したことを特徴とする請求項1に記載の表示パネルのブラックマスク形成方法。
【請求項4】
背面から光を照射する構成の表示パネルの表面に透明な保護板が積層され、前記表示パネルの表示領域の周縁に遮光性のブラックマスクが配設されたブラックマスク構造において、
前記表示パネルもしくは保護板の少なくとも何れか一方の周縁に所定幅の凹部が形成され、前記凹部に遮光部材が配設されて、前記遮光部材の表面は前記表示パネルの表面とほぼ面一に形成されていることを特徴とする表示パネルのブラックマスク構造。
【請求項5】
前記遮光部材は、遮光性のシート材が貼付されて形成されていることを特徴とする請求項4に記載の表示パネルのブラックマスク構造。
【請求項6】
前記遮光部材は、遮光性の塗料が塗布されて形成されていることを特徴とする請求項4に記載の表示パネルのブラックマスク構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−145750(P2012−145750A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3854(P2011−3854)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(592217037)
【出願人】(510121798)
【Fターム(参考)】