説明

表示パネルの製造方法

【課題】高精度のアライメントが得られる位置合わせマークを形成可能なPDPの製造方法を提供すること。
【解決手段】PDPの背面基板103に隔壁110を形成する隔壁形成工程として、隔壁形成材料層120を形成する第1工程と、隔壁形成材料層120をパターニングする第2工程と、パターニングされた隔壁形成材料層120を焼成して隔壁110を形成する第3工程と、を実施する。そして、第2工程において、隔壁形成材料層120のパターニングと同時に、背面基板103の表面を加工して位置合わせマーク113を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばプラズマディスプレイパネルの製造において、基板に隔壁を形成するのと同時に位置合わせマークを形成する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、リブ材ダイコート、フォトレジスト印刷、露光、現像、サンドブラスト、剥離、焼成の工程を経て、隔壁および位置合わせマークを同時に形成する構成が採られている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−367523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような構成では、位置合わせマークを隔壁と同じ材料により形成しているため、隔壁形成時に材料層を焼成、乾燥することにより、位置合わせマークの形状が変化して、高精度のアライメントを得られないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みて、高精度のアライメントが得られる位置合わせマークを形成可能な表示パネルの製造方法を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、基板上に表示セルを区画する隔壁を形成する隔壁形成工程を含む表示パネルの製造方法であって、前記隔壁形成工程は、前記基板上に隔壁形成材料層を形成する第1工程と、前記隔壁形成材料層をパターニングする第2工程と、前記パターニングされた隔壁形成材料層を焼成して前記隔壁を形成する第3工程と、を含み、前記第2工程において、前記隔壁形成材料層のパターニングと同時に、前記基板の表面を加工して位置合わせマークを形成することを特徴とする表示パネルの製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
〔PDPの構成〕
まず、本発明の一実施形態の製造方法により製造されるPDP(プラズマディスプレイパネル)の構成について説明する。
図1は、PDPを示した分解斜視図である。
図1において、100は表示パネルとしてのPDPであり、このPDP100は、放電空間101を介して互いに対向配置された前面基板102と背面基板103とを備えている。
【0010】
前面基板102の内面側には、互いに平行に配設された複数の透明電極104と、この透明電極104に沿って設けられた図示しないバス電極と、吸光性材料からなる複数のブラックストライプ105と、誘電体層106と、保護層107と、などがそれぞれ設けられている。
背面基板103の内面側には、互いに平行に配設された複数のアドレス電極108と、アドレス電極保護層109と、井桁形状の隔壁110と、などがそれぞれ設けられている。
そして、隔壁110により形成された複数の表示セルとしての放電セル111の内部には、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体層(112R、112G、112B)が順に形成されている。放電空間101の内部、すなわちそれぞれの放電セル111の内部は、ネオンガスなどの放電ガスが充填され、外気との間で密閉されている。
さらに、背面基板103の角隅部には、位置合わせマーク113が設けられている。この位置合わせマーク113は、後述するサンドブラスト装置によりリング状に粗面化された粗面部114で囲まれる円形の鏡面部、すなわち粗面化されていない背面基板103の表面部により構成されている。この位置合わせマーク113は、例えば蛍光体層(112R、112G、112Bを形成するために、ノズルを用いて蛍光体ペーストを放電セル111内に塗布するときにおいて、放電セル111に対するノズルの塗布位置のアライメントを実施する際に利用される。
なお、この位置合わせマーク113は、背面基板103に複数設けられていてもよいし、角隅部以外の部分に設けられていてもよい。
【0011】
〔PDPの製造方法〕
次に、本発明の一実施形態に係るPDPの製造方法として、背面基板の製造方法について説明する。
図2(A)〜(B)、図3(C)〜(E)は、背面基板の製造手順を示す概略構成図である。
【0012】
(アドレス電極およびアドレス電極保護層の形成工程)
まず、平面矩形状に形成された背面基板103の表面を、予め超音波洗浄処理や中性洗剤を用いた水洗処理などにより十分に洗浄しておく。
そして、図2(A)に示すように、背面基板103の内面に、アドレス電極108を形成する。例えば、背面基板103の内面に、スパッタリング法などにより、アドレス電極108の材料となるAl電極材料層を形成する。この後、アドレス電極108の電極パターンをフォトリソグラフィ法により形成する。
次に、アドレス電極108の上に、ガラスペースト等の誘電材料ペーストをスクリーン印刷法、フォトリソグラフィ法、その他の手段によって塗布し、乾燥させる。これによってアドレス電極保護層109が形成され、アドレス電極108が被覆される。このアドレス電極保護層109は、背面基板103の全面ではなく、周縁部を除いた部分に形成される。
【0013】
(隔壁形成工程)
この後、隔壁110を形成する隔壁形成工程を実施する。この隔壁形成工程は、以下のような第1工程、第2工程、第3工程を含んでいる。
【0014】
〈第1工程〉
第1工程では、背面基板103上に隔壁形成材料層120を形成する。
具体的には、図2(B)に示すように、アドレス電極保護層109上に、ガラスペースト等の隔壁形成材料ペーストを塗布して乾燥させ、平面矩形状の隔壁形成材料層120を形成する。
【0015】
〈第2工程〉
第2工程では、隔壁形成材料層120をパターニングするとともに、背面基板103上に位置合わせマーク113を形成する。
具体的には、図3(C)に示すように、この隔壁形成材料層120上に、隔壁110の形状に対応したパターンを有する第1レジストマスク10を貼り付ける。さらに、背面基板103上における周縁部、すなわち隔壁形成材料層120が形成されていない部分に、位置合わせマーク113に対応した形状を有する第2レジストマスク11を貼り付ける。
そして、図3(D)に示すように、第1,第2レジストマスク10,11を介してサンドブラスト工程を実施する。このサンドブラスト工程は、サンドブラスト装置を用いて実施される。このサンドブラスト装置は、加工室の内部に配置され背面基板103を搬送する搬送ローラと、背面基板103の第1,第2レジストマスク10,11側に切削材13を噴射するブラストガン12とを備えた構成である。ブラストガン12は、切削材13をドライエアと共に背面基板103に対して噴射するもので、背面基板103の移動方向に対して略直交する方向(図3(D)の左右方向)に往復移動する。
このサンドブラスト工程により、第1,第2レジストマスク10,11で覆われていない部分が切削される。そして、第1レジストマスク10を剥離することにより、図3(E)に示すように、パターニングされた隔壁形成材料層120が形成される。さらに、第2レジストマスク11を剥離することにより、図3(E)および図1に示すように、切削材13で粗面化された粗面部114で囲まれる位置合わせマーク113が形成される。
【0016】
〈第3工程〉
第3工程では、パターニングされた隔壁形成材料層120を焼成して、隔壁110を形成する。
具体的には、背面基板103を図示しない熱処理装置内に搬入し、隔壁形成材料層120を焼成することにより、図3(E)に示すように、隔壁110を形成する。
【0017】
(蛍光体層形成工程)
次に、隔壁110により形成された放電セル111のそれぞれの内部に、スクリーン印刷などにより赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体ペーストを塗布し、これら蛍光体ペーストを焼成することにより蛍光体層(112R、112G、112B)が形成される。
この蛍光体ペーストの塗布時において、放電セル111に対するノズルの塗布位置のアライメントは、位置合わせマーク113を利用して実施される。ここで、位置合わせマーク113は、粗面化されていない鏡面部で構成されている。このため、例えば位置合わせマーク113における鏡面反射状態に基づいて、ノズルの塗布位置のアライメントを実施できる。
そして、放電空間101の外周端部にガラスペーストからなる図示しない封着部を形成し、これにより背面基板103が完成する。
【0018】
〔PDPの製造方法の作用効果〕
以上のPDPの製造方法によれば、以下の作用効果が期待できる。
【0019】
(1)PDP100の背面基板103に隔壁110を形成する隔壁形成工程として、隔壁形成材料層120を形成する第1工程と、隔壁形成材料層120をパターニングする第2工程と、パターニングされた隔壁形成材料層120を焼成して隔壁110を形成する第3工程と、を実施する。そして、第2工程において、隔壁形成材料層120のパターニングと同時に、背面基板103の表面を加工して位置合わせマーク113を形成する。
このため、位置合わせマーク113は、背面基板103を加工することにより形成されているので、例えば第3工程で背面基板103が焼成されたとしても形状が変化することがない。さらに、隔壁形成材料層120のパターニングと同時に位置合わせマーク113を形成しているので、隔壁110と、位置合わせマーク113との位置ずれもなくすことができる。したがって、高精度のアライメントが得られる位置合わせマーク113を形成できる。
【0020】
(2)第1レジストマスク10を介して切削材13により隔壁形成材料層120をパターニングするとともに、第2レジストマスク11を介して切削材により背面基板103を粗面化することで位置合わせマーク113を形成する。
このため、ブラストガン12を、第2レジストマスク11の上方から第1レジストマスク10の上方にかけて移動させるだけの簡単な制御で、隔壁形成材料層120の形成と同時に位置合わせマーク113を形成できる。
【0021】
(3)粗面部114で囲まれた鏡面部を位置合わせマーク113としている。
このため、光の散乱状態の検出と比べて簡単な鏡面反射状態を検出するだけで、高精度なアライメントを実施できる。
【0022】
〔他の実施形態〕
なお、本発明は前述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0023】
すなわち、背面基板103に井桁状の隔壁110を形成する場合について説明したが、これに限らず、本発明はストライプ状の隔壁を形成する場合にも用いることができる。
そして、サンドブラスト法により位置合わせマーク113を形成したが、例えばグラインダーを利用して粗面化したり、鋭利な刃物などで背面基板103を傷つけるなどして形成してもよい。
また、粗面化された部分を位置合わせマーク113としてもよい。そして、位置合わせマーク113としては、円形に限らず、四角形、三角形、ストライブ状、格子状、斑点状などに形成してもよい。
【0024】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0025】
〔実施形態の作用効果〕
上記したように、背面基板103に隔壁110を形成する隔壁形成工程として、隔壁形成材料層120をパターニングする第2工程を実施する。そして、第2工程において、隔壁形成材料層120のパターニングと同時に、背面基板103の表面を加工して位置合わせマーク113を形成する。
このため、位置合わせマーク113は、背面基板103を加工することにより形成されているので、例えば第3工程で背面基板103が焼成されたとしても形状が変化することがない。さらに、隔壁形成材料層120のパターニングと同時に位置合わせマーク113を形成しているので、隔壁110と、位置合わせマーク113との位置ずれもなくすことができる。したがって、高精度のアライメントが得られる位置合わせマーク113を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る製造方法で製造されるPDPを示した分解斜視図である。
【図2】前記一実施形態における背面基板の製造手順を示す概略構成図である。
【図3】前記一実施形態における背面基板の製造手順を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0027】
10,11…第1,第2レジストマスク
13…切削材
100…表示パネルとしてのPDP
103…背面基板
110…隔壁
111…表示セルとしての放電セル
113…位置合わせマーク
120…隔壁形成材料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に表示セルを区画する隔壁を形成する隔壁形成工程を含む表示パネルの製造方法であって、
前記隔壁形成工程は、
前記基板上に隔壁形成材料層を形成する第1工程と、
前記隔壁形成材料層をパターニングする第2工程と、
前記パターニングされた隔壁形成材料層を焼成して前記隔壁を形成する第3工程と、を含み、
前記第2工程において、前記隔壁形成材料層のパターニングと同時に、前記基板の表面を加工して位置合わせマークを形成する
ことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルの製造方法において、
前記第2工程において、第1マスクを介して切削材により前記隔壁形成材料層を切削加工することで前記パターニングされた隔壁形成材料層を形成するとともに、第2マスクを介して切削材により前記基板の表面を所定のパターンに粗面化することで前記位置合わせマークを形成する
ことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の表示パネルの製造方法において、
前記所定のパターンに粗面化された領域で囲まれた前記基板の表面の鏡面部を前記位置合わせマークとする
ことを特徴とする表示パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−87845(P2009−87845A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258514(P2007−258514)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】