説明

表示体、粘着ラベル、転写箔及びラベル付き物品

【課題】より高い偽造防止効果を達成すると共に、偽造防止技術を施した表示体を使用する際のデザイン上の制約を低減させる。
【解決手段】本発明の表示体の表示部は、異なる格子間隔、格子方向の回折格子構造を各々が含み且つ隙間を形成している第1乃至第n要素領域と、隙間の少なくとも一部を埋めている第(n+1)要素領域とを含んだ界面部を備え、第1乃至第n要素領域は特定パターンを形成するように配置される。表示部に特定方向から白色光で照明した場合に、第1乃至第n要素領域においては、各々特定方向に各々の波長の回折光を射出し、第(n+1)要素領域においては、散乱光を射出する。このため、特定方向から観察したときはパターン画像が見え、正面から観察したときは普通の紙などのように白く見える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード、有価証券などに添付して用いられる偽造防止用の表示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カード、有価証券、ブランドプロテクトなどにおいて、ホログラムなどのように目視で判別する偽造防止用の光学部材が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
ホログラムなどの光学部材では、普通の印刷物に比べて構造が複雑で、複製を行うときに大規模な複製装置を必要とするため、偽造を行い難いという特徴があり、また、照明光を当てた時に、明るく鮮やかな色で光るなど、独特な見え方をするため、目視での判別が行い易いという特徴があるので、目視による、セキュリティ部材として非常に優れている。
【0003】
しかし、画像が明るく鮮やかに光るという特徴は、派手できつい印象を与えるため、印刷物などの他の画像媒体と組み合わせて用いる場合にバランスをとるのが難しいという問題点がある。
【0004】
また、画像が見える範囲が狭く、画像が見えない位置からは、アルミ箔を貼ったような非常に安っぽい画像として見えてしまという問題点がある。
このため、特に高級感が要求されるようなものには使い難いという問題点がある。
【特許文献1】特開2004−230571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、ホログラムなどの従来の偽造防止用光学部材は、観察される画像が明るく鮮やかすぎる点と、画像の見えない場合が多く、さらに見えないところで非常に安っぽくなるため、デザインが難しいという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、正面近くから見たときには、紙に近い白色として観察でき、横方向から見たときには、ホログラムのように特定の画像パターンが光って見えるようにすることで、普通に正面から見たときの、画像デザインを行い易くすると共に、横から見たときに視認性の高い画像パターンが観察できることで目視による偽造防止効果をもたせている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような問題点を解決するために、本発明の表示体は、その表示部に、互いに隙間を空けて配置された第1乃至第n要素領域(nは2以上の整数)と、前記隙間の少なくとも一部を埋めている1つ又は複数の第(n+1)要素領域とを各々が含んだ1つ又は複数の界面部を備え、前記第1乃至第n要素領域は、複数の凹部又は凸部からなる第1乃至第n回折構造を含んだ1つ又は複数の領域であり、前記第1乃至第n回折構造は、互いに格子間隔又は格子の配列方向が異なっており、前記1つ又は複数の第1要素領域に位置する箇所に、第1方向から白色光で照明した場合に、第1回折光を第1’方向に射出する第1要素表示部が構成され、前記1つ又は複数の第2要素領域に位置する箇所に、第2方向から白色光で照明した場合に、第2回折光を第2’方向に射出する第2要素表示部が構成され、・・・、前記1つ又は複数の第n要素領域に位置する箇所に、第n方向から白色光で照明した場合に、第n回折光を第n’方向に射出する第n要素表示部が構成され、前記1つ又は複数の第(n+1)要素領域に位置する箇所に、前記第1乃至第n方向から白色光で照明した場合に、散乱光を射出する第(n+1)要素表示部が構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の表示体は、前記第1方向から前記白色光で照明して、前記表示部を、前記第1’方向から肉眼で観察した場合には、前記第1回折光に対応した色を表示し、且つ前記第1要素表示部は前記表示部のうち前記第1要素表示部以外の部分から識別することが可能であり、前記第2方向から前記白色光で照明して、前記表示部を、前記第2’方向から肉眼で観察した場合には、前記第2回折光に対応した色を表示し、且つ前記第2要素表示部は前記表示部のうち前記第2要素表示部以外の部分から識別することが可能であり、・・・、前記第n方向から前記白色光で照明して、前記表示部を、前記第n’方向から肉眼で観察した場合には、前記第n回折光に対応した色を表示し、且つ前記第n要素表示部は前記表示部のうち前記第n要素表示部以外の部分から識別することが可能であり、前記第1乃至第n方向から前記白色光で照明して、前記表示部を、前記1’乃至第n’方向とは異なる第(n+1)’方向から肉眼で観察した場合には、前記散乱光に対応した色を表示し、且つ前記第(n+1)要素表示部は前記表示部のうち前記第(n+1)要素表示部以外の部分から識別することが不可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表示体を、普通に照明をあてて正面近くから観察する場合には、全面が紙のように白色で観察されて、普通のホログラムなどのように、鮮やかな色できらりと光ることはない。
【0010】
このため、他の画像表示媒体と組み合わせて用い易い。例えば、この上から印刷などで画像を描いたりすると、普通に印刷した物と類似した画像を作成することができるので、普通の印刷物と違和感なく組み合わせて使うことができる。
【0011】
また、散乱体が白く見える範囲は、普通のホログラムと比べるとかなり広いので、全く光らないで安っぽいアルミ箔のように見える場合はずっと少なくなる。
さらに、本発明の表示体を、横方向から観察すると、ホログラムのように、特定な画像パターンが、鮮やかな色で光る。このため、従来のホログラムなどと同じように、目視によって容易に判別することができるため、視認性の高いセキュリティ媒体としての効果も得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る第1の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態は、請求項1及び2におけるnが2の場合の構成である。
【0013】
図1は、本発明に係る第1の実施形態の表示体を示す概要図である。この図で、この表示体は、250〜400nm程度の周期的なパターンが記録された領域1、領域2と、それ以外の領域全体に一様に広がった、反射光の半値角が20°〜60°で散乱されるような散乱体の領域3によって構成されている。ここで、領域1、2、3は図2に示すようにレリーフ構造となっており、表面に金属蒸着などで反射層4が形成されている。
【0014】
また、領域1、2による周期パターンの回折格子領域は規則的に配置された網点状の配置構成となっており、領域間のピッチが200μm以下に設定されている。そして、領域1と領域2は、方向の異なる(この図では90°違った)格子状になっており、特定のパターン(この図ではTという文字)を示すように配置されている。
【0015】
このような、表示体5を観察者が普通に観察する場合は、例えば図3のように、照明光が斜め上20〜45°くらいの角度から入射して、観察者6が正面に近い位置から観察することになる。
【0016】
回折格子からの1次回折光は、回折格子のピッチをd、入射光の角度θ1、射出光の角度θ2、波長λのときに、d=λ/(sinθ1+sinθ2) (式1)の関係が成り立つ。
ピッチ250〜400nmの回折格子領域1に、20〜45°の角度で光が入射し、可視光波長380〜780nmの場合に、射出される回折光が最も小さい角度になるのは、ピッチ400nm、入射光45°、波長380nmのときで、この場合の回折光の射出角度は約14°となり、その他の条件の場合には、より大きな角度で射出されることになる。
【0017】
このため、20〜45°くらいの角度からの入射光に対して、ピッチ250〜400nmの回折格子領域1からの回折光は、例えば図4に示すように観察者に対して上方向に大きな角度で射出されるか、角度が大きくなりすぎて射出されないことになり、回折光は観察者にとどかない。
【0018】
回折格子領域2については、横方向に大きな角度に射出されることになる。このため、この光も観察者には届かない。
【0019】
散乱体の領域3は、平行光を入射したときに反射光が半値幅で20°〜60°で散乱される散乱体領域である。典型的には、無秩序に配置された複数の凹部又は凸部からなる。これら複数の凹部又は凸部は、例えば、ランダムな中心間距離で配置されている。また、これら複数の凹部又は凸部の深さ又は高さは、典型的には、不均一である。
【0020】
散乱体領域での反射光の半値角が20°以上あるため、例えば、20°から入射した光は、正面方向に、正反射方向の半分以上の強さの光が返ることになる。このため、図5に示すように正面に近い方向にもかなりの光が散乱され、観察者6はこの散乱光を観察することになる。
【0021】
このとき、領域1、領域2は200μm以下ピッチの十分に細かい網点状に配置されているため、観察者は領域1,2と領域3とを区別せず、一様であるとみなす。このため、観察者には表示体5が全面一様に散乱光を発しているように見え、全体が白色として認識されることになる。
【0022】
また、この際に白色で見える範囲は、散乱体の半値角が20°以上あるため、±20°以上の角度範囲となる。普通のレインボウホログラムの再生像は、平行光で再生した場合に正面方向を中心に縦10°(±5°)、横15°(±7.5°)程度の範囲からしか観察できない。このため、従来のホログラムに比べて広い範囲から観察でき、安っぽいアルミ箔のように見える場合が少ない。
【0023】
一方、観察者5がこの表示体5の角度を変えて、例えば斜め下方向から観察する場合には、図6に示すような形で観察することになり、表示体5には照明光が30〜60°くらいの角度で入射することになる。
【0024】
このときの領域1からの回折光は、射出角度が小さいほうについては、ピッチ400nmの場合に、例えば35°入射、550nmの光が入射光より大きな40°の角度で射出されることになるので、図7に示すような形で回折光が観察者6の目に入る。
【0025】
射出角度が大きいほうに関しては、250nmピッチの場合にも、例えば60°入射、400nmの光が70°の角度で射出されることになるので、やはり図8に示すような形で回折光を観察することができる。可視光域ぎりぎりまで考えれば、さらに小さいピッチも可能であるが、ある程度の明るさで回折光が観察できることを考えると、これ以上のピッチ間隔にしておくほうが良い。
【0026】
領域2からの回折光は、横方向の大きな角度に射出されることになる。このため、正面から見た場合同様に観察者6の目には入らない。
【0027】
領域3からの散乱光は、図8に示すように正反射方向を中心に拡がる。観察者の目に届く角度は大きな角度であり散乱光として射出する光はかなり弱くなる。このときに、散乱光が十分に弱くなるためには、入射光と観察方向との角度が半値角の倍以上になるようにしたほうが良いので、散乱体の半値角は60°以下になっているほうが良い。
【0028】
この場合、観察者の目には、ほぼ領域1からの回折光のみが届くことになり、図9に示すように、領域1部分のみが光りその他の部分は暗く見える。このため、この図の場合、観察者にはTというパターンで光っているように見える。
【0029】
このとき、観察者にTというパターンがはっきり認識できた方が、高い偽造防止効果が期待できるため、例えば、回折光が射出される方向においては、回折光の強度が上記方向における散乱光の強度の2倍以上となるようにする。
【0030】
また、観察者6がこの表示体5の角度を変えて、例えば斜め横方向から観察する場合には、同様な理由によって、図10のように領域2の部分のみが光り、その他の部分は暗く見える。このため、この場合には、Tという字の周りの部分が光って見えるようなパターンになる。
【0031】
次に、本発明に係る第2の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態もまた、請求項1及び2におけるnが2の場合の構成である。
【0032】
図11は、本発明に係る第2の実施形態の表示体を示す概要図である。この図で、この表示体は、250〜400nm程度の周期的なパターンが記録された領域7、領域8と、反射光の半値角が20°〜60°で散乱されるような散乱体の領域3によって構成されている。
【0033】
ここで、領域7、8による周期パターンの回折格子領域は、規則的に配置された網点状の配置構成となっており、領域間のピッチが200μm以下に設定されている。そして、領域7と領域8は、異なるピッチ間隔の周期で構成された格子(例えば、領域7は340nm、領域8は400nm間隔ピッチの格子など)になっており、特定のパターン(この図ではTという文字)を示すように配置されている。
【0034】
このような、表示体を観察者が普通に観察する場合は、第1の実施形態の表示体を観察する場合と同様な理由で全面が白色で観察されることになる。
【0035】
一方、このような表示体を斜め下方向などから観察する場合には、第1の実施形態と同様な理由で回折光が観察者の目に届くことになる。しかし、この場合には領域7と領域8でピックが異なるため、(式1)の関係から目に届く波長が違ってくる。
【0036】
このため、これら2つの領域が異なった色で観察でき、例えば、図12に示すように領域7に対応するTの字の部分が緑色で、領域8に相当するその周りの部分が赤色で再生されるということになる。それで、全体としては、赤と緑でTという文字パターンが浮かぶように光って見えることになる。
【0037】
図13は、本発明に係る第3の実施形態の表示体を示す概要図である。ここでは、例えば、図1で示したものと同様な構成で表示体全体が絵柄を示すような形になっている。このようにすることで、正面から見たときに絵柄状に白く見え、横から見たときには絵柄状に光って見えるようなものができる。
【0038】
図14は、本発明に係る第4の実施形態の表示体を示す概要図である。ここでは、例えば、図1で示したものと同様な構成の表示体の上に透明な着色インキ層により絵柄が描かれている。このようにすると、正面からは普通の絵柄のように見え、斜めから見たときには、光って見えるようなものができる。
【0039】
本発明のような表示体は、例えば次のようにして作成することができる。
【0040】
まず、EBのようにフォトレジストが、ガラス板上に塗布してあるようなレジスト乾板を用意する。そして、その上にEB描画装置を用いてパターンを描画する。
【0041】
描画するパターンは、例えば、次のようなものである。まず、図15で、100μmの四角形の領域に、例えば300nmの間隔でEB描画を行い、このような領域が、例えばTという字を示すように配置する。次に100μmの四角形の領域にこれと垂直な方向に同じく300nmの間隔でEB描画を行い、これらは、Tという字の周りに並ぶように配置する。そして、これら2つの領域が200μm間隔で縦横に規則的に並んでいるように描画を行う。次に、これらの領域の間の部分に、例えば、1μm〜5μmの間隔のランダムな線の描画を行う。
【0042】
このようにして、描画したレジスト乾板を、現像することによって、表面レリーフパターンを作成する。この際に、300nm間隔の格子部分は、例えば、100nm程度の深さに、そのまわりの1μm〜5μm程度のランダムなレリーフ部分は、例えば300nm程度の深さになるようにする。
【0043】
このようにして作成した、レジスト乾板上の表面レリーフパターンを、金属メッキなどの手法により、金属金型上に写し取る。
【0044】
この金属金型を用いて、例えば、塩化ビニールフィルムなどの樹脂フィルム上にエンボス成型することにより、樹脂上に表面レリーフパターンが成型されたものを作成する。
【0045】
このような樹脂フィルムに、例えば、アルミなどの金属を蒸着して反射層を形成することによって、本発明に係る実施形態に示すような、回折格子と散乱層とが網点状に配置されたようなものを作成することができる。
【0046】
このようにして作成したフィルムを、斜め上から照明して正面から見たところ、全体が白く光るものとなり、また、フィルムを傾けて斜め下方向から観察すると、Tという字がホログラムのように青く光って見えるようなものになっている。また、斜め横方向から観察すると、Tという字が黒く抜けて、その周りが青く光って見えるようなものになっている。
【0047】
以上、説明した本発明に係る表示体は、粘着ラベル及び転写箔等の一部として使用してもよい。
【0048】
粘着ラベルは、表示体上に粘着層を設けることにより作成できる。粘着層を設けると、レリーフパターンの表面が露出しないようにできるため、先の界面の凹部又は凸部の複製をより困難とすることができる。この粘着ラベルは、例えば、真正さが確認されるべき物品に貼り付けるか、或いは、そのような物品に取り付けられるべきタグの基材などの他の物品に貼り付ける。これにより、当該物品に偽造防止効果を付与することができる。
【0049】
一方、転写箔は、表示体を剥離可能に支持した支持体層を設けることにより作成できる。一例としては、表示体表面と支持体層との間に剥離保護層を設け、且つ表示体の背面に接着層を設ける。剥離保護層は、転写箔を被転写体に転写する際の支持体層の剥離を容易にする役割を担っている。
【0050】
また、本発明に係る表示体は、ラベル付き物品に組み込むことも可能である。一例として、表示体をIC(integrated circuit)カードの基材に、粘着層を介して固定することができる。このICカードは、表示体に加えて、ICチップ及び印刷層を更に含んでいるため、それらを利用した偽造防止対策を採用することができる。
【0051】
以上、説明したように、本発明の表示体は、正面近辺から見たときに白色に見え、斜め方向から見たときにホログラムのように光って見える。
このため、カード類や有価証券類などに添付して、普通に見た場合には、落ち着いた感じの画像を表現でき、斜めから見たときに視認性の高い偽造防止用の部材としての効果を発することができる。
このため、セキュリティ用途の部材として、利用されていく可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】は、本発明に係る第1の実施形態の表示体を示す概要図である。
【図2】は、本発明に係る第1の実施形態の表示体の領域を横から見たときの一構成例を示す概要図である。
【図3】は、本発明に係る第1の実施形態の表示体を正面から観察するときの、観察レイアウトの一実施例を示す概要図である。
【図4】は、本発明に係る第1の実施形態の表示体に、照明光が当たったときの、回折格子領域からの回折光の射出方向の一例を示す概要図である。
【図5】は、本発明に係る第1の実施形態の表示体に、照明光が当たったときの、散乱体領域からの散乱光の射出方向の一例を示す概要図である。
【図6】は、本発明に係る第1の実施形態の表示体を斜め下方向から観察するときの、観察レイアウトの一実施例を示す概要図である。
【図7】は、本発明に係る第1の実施形態の表示体に、照明光が当たったときの、回折格子領域からの回折光の射出方向の一例を示す概要図である。
【図8】は、本発明に係る第1の実施形態の表示体に、照明光が当たったときの、散乱体領域からの散乱光の射出方向の一例を示す概要図である。
【図9】は、本発明に係る第1の実施形態の表示体を斜め下方向から観察するときに見える画像の一実施例を示す概要図である。
【図10】は、本発明に係る第1の実施形態の表示体を斜め横方向から観察するときに見える画像の一実施例を示す概要図である。
【図11】は、本発明に係る第2の実施形態の表示体の一構成例を示す概要図である。
【図12】は、本発明に係る第2の実施形態の表示体を斜め下方向から観察するときに見える画像の一実施例を示す概要図である。
【図13】は、本発明に係る第3の実施形態の表示体の一構成例を示す概要図である。
【図14】は、本発明に係る第4の実施形態の表示体の一構成例を示す概要図である。
【図15】は、本発明に係る第1の実施形態の表示体の一実施例の構成例を示す概要図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示体の表示部に、互いに隙間を空けて配置された第1乃至第n要素領域(nは2以上の整数)と、前記隙間の少なくとも一部を埋めている1つ又は複数の第(n+1)要素領域とを各々が含んだ1つ又は複数の界面部を備え、
前記第1乃至第n要素領域は、複数の凹部又は凸部からなる第1乃至第n回折構造を含んだ1つ又は複数の領域であり、
前記第1乃至第n回折構造は、互いに格子間隔又は格子の配列方向が異なっており、
前記1つ又は複数の第1要素領域に位置する箇所に、第1方向から白色光で照明した場合に、第1回折光を第1’方向に射出する第1要素表示部が構成され、
前記1つ又は複数の第2要素領域に位置する箇所に、第2方向から白色光で照明した場合に、第2回折光を第2’方向に射出する第2要素表示部が構成され、
前記1つ又は複数の第n要素領域に位置する箇所に、第n方向から白色光で照明した場合に、第n回折光を第n’方向に射出する第n要素表示部が構成され、
前記1つ又は複数の第(n+1)要素領域に位置する箇所に、前記第1乃至第n方向から白色光で照明した場合に、散乱光を射出する第(n+1)要素表示部が構成されている、
ことを特徴とする表示体。
【請求項2】
前記第1方向から前記白色光で照明して、前記表示部を、前記第1’方向から肉眼で観察した場合には、前記第1回折光に対応した色を表示し、且つ前記第1要素表示部は前記表示部のうち前記第1要素表示部以外の部分から識別することが可能であり、
前記第2方向から前記白色光で照明して、前記表示部を、前記第2’方向から肉眼で観察した場合には、前記第2回折光に対応した色を表示し、且つ前記第2要素表示部は前記表示部のうち前記第2要素表示部以外の部分から識別することが可能であり、
前記第n方向から前記白色光で照明して、前記表示部を、前記第n’方向から肉眼で観察した場合には、前記第n回折光に対応した色を表示し、且つ前記第n要素表示部は前記表示部のうち前記第n要素表示部以外の部分から識別することが可能であり、
前記第1乃至第n方向から前記白色光で照明して、前記表示部を、前記1’乃至第n’方向とは異なる第(n+1)’方向から肉眼で観察した場合には、前記散乱光に対応した色を表示し、且つ前記第(n+1)要素表示部は前記表示部のうち前記第(n+1)要素表示部以外の部分から識別することが不可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記1つ又は複数の界面部の少なくとも1つにおいて、前記1つ又は複数の第(n+1)要素領域は、この第1界面部の全体に亘って一様に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示体。
【請求項4】
前記1つ又は複数の界面部の少なくとも1つにおいて、前記1つ又は複数の第1乃至第n要素領域のいずれかのうち少なくとも1つは、この界面部に絵柄もしくは文字もしくは記号からなるパターン状に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示体。
【請求項5】
前記1つ又は複数の界面部の少なくとも1つは、複数の前記第1乃至第(n+1)要素領域のいずれかのうち少なくとも1つを備え、前記第1乃至第(n+1)要素領域のいずれかのうち少なくとも1つは、前記界面部において網点を形成していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示体。
【請求項6】
前記1つ又は複数の界面部の少なくとも1つは、複数の前記第1乃至第(n+1)要素領域のいずれかのうち少なくとも1つを備え、前記第1乃至第(n+1)要素領域のいずれかのうち少なくとも1つは、前記界面部において万線を形成していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示体。
【請求項7】
前記互いに隣り合う複数の凹部又は凸部は、250nm以上且つ400nm以下の中心間距離で配列していることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示体。
【請求項8】
前記1つ又は複数の第(n+1)要素領域の少なくとも1つは、無秩序に配置された複数の凹部又は凸部からなり、前記表示体の表示面に垂直方向から入射したときに、半値角20乃至60度で反射光が射出されること特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の表示体。
【請求項9】
前記第1’乃至n’回折光の少なくとも1つの強度は、前記第(n+1)方向に射出される前記散乱光の強度の2倍以上であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の表示体。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の表示体の全体の形状が、特定の意味を持つ形になっていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の表示体。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の表示体の上に、インキ層が設けられており、インキ層によって文字や画像が表現されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の表示体。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体上に設けられた粘着層とを具備したことを特徴とする粘着ラベル。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体を剥離可能に支持した支持体層とを具備したことを特徴とする転写箔。
【請求項14】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示体とこれを支持した物品とを具備したことを特徴とするラベル付き物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−115782(P2010−115782A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288343(P2008−288343)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】