説明

表示体管理システム

【課題】 センサとICタグを連携した装置をさらに有効活用することが可能な表示体管理システムを提供する。
【解決手段】 温度センサ13は定期的に温度を測定し、測定値をICタグ12に記録する。ICタグ12は、記録された測定値を表示部11に表示させる。また、ICタグ12は、並行して、記録した測定値と自身のタグIDを近距離通信部14に渡す。近距離通信部14は受け取った測定値とタグIDをアクセスポイント20に送信する。アクセスポイント20は、受信した測定値とタグIDを管理装置30に送信する。管理装置30では、受信した測定値とタグIDを対応付けて記憶装置に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサで測定した情報をリアルタイムで収集するとともに、測定した情報を表示することが可能な表示体管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物流や流通分野などで食品や製品の品質管理を行うために、温度、湿度、照度、圧力、衝撃力などを測定することができる各種のセンサ装置が使用されている。また、近年使用されているICタグ等のデータキャリアにセンサ装置を具備させることで、個々の物品の流通履歴情報と共に、センサ装置による測定で取得した測定値情報をリアルタイムで収集することもできるようになってきている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特願2006−153048号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記センサ装置では、センサにより取得した情報を送信するのみであり、センサとICタグを連携した装置の活用が十分なものとは言えなかった。
【0004】
そこで、本発明は、センサとICタグを連携した装置をさらに有効活用することが可能な表示体管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明では、センサにより測定した情報を表示する表示体と、当該表示体と通信を行うアクセスポイントと、各表示体が測定した情報を管理する管理装置を有する表示体管理システムであって、前記表示体は、対象物の測定を行うセンサと、当該センサにより測定された測定値を表示する表示部と、前記センサにより測定された測定値を、自身を特定するIDとともに前記アクセスポイントに送信する近距離通信部と、を備え、前記アクセスポイントは、前記表示体から測定値とIDを受信する近距離通信部と、前記受信した測定値とIDを前記管理装置に送信するデータ送信部を備えており、前記管理装置は、前記アクセスポイントから受信した測定値をタグIDと対応付けて記憶する記憶装置を備えた表示体管理システムを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表示体が、表示部および近距離通信部を備え、表示部が測定値を表示するとともに、近距離通信部がアクセスポイントを介して管理装置に測定値を送信し、測定値を管理するようにしたので、各表示体は、測定値を、その場の者に伝えることができるとともに、店舗等の狭い範囲における測定値を管理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について、好適な実施形態を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る表示体管理システムの一実施形態を示す機能ブロック図である。図1において、10は表示体、20はアクセスポイント、30は管理装置である。表示体10は、通信機能、表示機能、情報記録機能を備えている。アクセスポイント20は、管理装置30に管理されているとともに、表示体10とデータ通信が可能な処理装置である。管理装置30は、各表示体10、各アクセスポイント20を管理する装置であり、コンピュータに専用のプログラムを実行させることにより実現される。
【0008】
図2は、表示体10の詳細を示す機能ブロック図である。図2において、11は表示部、12はICタグ、13は温度センサ、14は近距離通信部、15は携帯電話モジュールである。表示部11は、ICタグに記録された情報を表示する機能を有しており、公知の表示デバイスで実現される。本実施形態では、公知の電子ペーパーを採用している。なお、図2においては、省略しているが、表示体10はバッテリを有しており、このバッテリから、表示部11、ICタグ12、温度センサ13、近距離通信部14、携帯電話モジュール15への電源供給が行われる。
【0009】
ICタグ12は、アンテナ、変調部、メモリ、CPU、外部入出力部を備え、外部に備えられたバッテリによって駆動される公知のアクティブタグである。このICタグ12は、メモリに情報を記録可能であるとともに、アンテナ、変調部、外部入出力部により外部との無線通信を行う機能を有している。ICタグ12による無線通信の通信周波数帯は、13.56MHzであり、通信可能距離は10m程度となっている。
【0010】
ICタグ12において、変調部は、CPUから出力された信号をRW装置との通信周波数帯の信号に変調する部分であり、アンテナは、この変調部において変調された信号をRW装置に対して発信するようになっている。メモリは、ICタグ12の個体の識別を可能にする各個体にユニークなタグIDが記録され、その書き換えが制限された固定データ領域と、データの追記および書き換えが可能な書き換え可能データ領域とを備えており、この書き換え可能データ領域に温度センサ13が測定した測定値が記録されるようになっている。CPUは、ICタグ12を構成するその他の要素を統括的に制御する情報処理部であり、温度センサ13の出力を、10分ごとにメモリに書き込むとともに、書き込んだ測定値を、近距離通信部14に送信するようになっている。外部入出力部は、ICタグ12の外部に設けられた機器に対してデータの出力を行う出力部、および、これらの外部機器からのデータの入力を受け付ける入力部を備えている。
【0011】
温度センサ13は、表示体10の周囲の気温を定期的に測定する機能を有している。この温度センサ13は、サーミスタを備えた公知の温度センサであり、本実施形態では、測定可能な温度範囲が−40℃から80℃、測定分解能が0.1℃のものを採用している。近距離通信部14は、アクセスポイント20との無線通信を行う機能を有している。本実施形態では、近距離通信の方式として、bluetoothを用いている。
【0012】
携帯電話モジュール15は、アンテナ、変調部、メモリ、CPU、外部入出力部を備えた送受信部である。この携帯電話モジュール15は、公知の携帯電話用の通信モジュールであって、アンテナから携帯電話用の基地局に無線電波を発信することによって電話回線網に接続することができるようになっている。変調部は、CPUから出力された信号(具体的には、ICタグ12から出力された測定値を含む信号)を携帯電話の周波数帯(例えば、800MHz帯、1.5GHz帯等)の信号に変調する部分であり、アンテナはこの変調部において変調された信号を携帯電話用の基地局に対して発信するようになっている。なお、本明細書において、「携帯電話」とは、あらかじめ設けられた基地局と無線通信を行うことによって電話器を含む他の通信機器と通信を行うことができ、かつ、持ち運び可能な電話を意味するものであり、その通信方式は特に限定されず、例えば、PDC方式、PHS方式等のものを含むものとする。
【0013】
表示体10の外観斜視図を図3に示す。図3に示すように、表示体10は、基板16の上に、バッテリ17、ICタグ12、温度センサ13、携帯電話モジュール15を搭載し、さらにその上部に表示部11を重ねた構成となっている。また、近距離通信部14は、さらにその上に搭載されている。
【0014】
次に、本発明に係る表示体管理システムの処理動作について説明する。表示体10は、外観上、表示ラベル状の形態となっており、商品の陳列棚に設置可能となっている。この表示体10を陳列棚に設置すると、内蔵した温度センサが温度の測定を行い、取得した測定値をICタグ12に渡す。ICタグ12は、温度センサから取得した測定値を内蔵のメモリに記録する。さらに、ICタグ12は、記録した測定値を表示部11に渡す。表示部11では、受け取った測定値を表示する。
【0015】
また、ICタグ12は、温度センサから取得して内蔵のメモリに記録した測定値を、内蔵のメモリに記録されているタグIDとともに近距離通信部14を介してアクセスポイント20に送信する。アクセスポイント20では、近距離通信部14から受信したタグIDと測定値を対応付けて、管理装置30に送信する。管理装置30では、アクセスポイント20から受信したタグIDと測定値を対応付けて記憶装置に記憶する。
【0016】
表示体10においては、あらかじめ設定された時間間隔で温度センサ13が定期的に温度を測定し、ICタグ12、近距離通信部14を介して、アクセスポイント20に測定値が送信される。したがって、管理装置30にも定期的に、タグIDと対応付けられた測定値が送信されることになる。これにより、管理装置30では、タグIDごとに、時系列の測定値が得られることになり、各表示体別の測定値を管理することが可能となる。
【0017】
上記のように、表示体10においては、あらかじめ設定された時間間隔で温度センサ13が定期的に温度を測定するので、測定値は、ICタグ12を介して表示部11に表示されることになる。したがって、表示部11に表示される測定値は、定期的に変化していくことになる。
【0018】
上記のように、表示体10は、近距離通信部14を利用してアクセスポイント20と通信を行い、定期的に測定値を送信することにより、品質管理を行うとともに、表示部11により測定値の表示を行う。このように、近距離通信を行うことにより、店舗内における位置を管理装置30で把握することができ、また、表示を行うことにより、その場で測定値を知ることも可能となる。
【0019】
さらに、表示体10は、携帯電話モジュール15を有しているため、測定対象物に設置されて移動する場合、対象物が置かれている環境の温度状態を測定することが可能となる。この場合、管理装置30には、基地局が多数接続され、携帯電話モジュール15から基地局を介して、管理装置30に測定値が蓄積されていくことになる。近距離通信部14と携帯電話モジュール15の双方を有することにより、トラックによる遠距離間の移動中は、携帯電話モジュール15を利用して通信し、建物内の移動中は、近距離通信部14を利用した通信を行うことができる。すなわち、対象物の配送中だけでなく、配送前および配送後においても状況の把握が可能となる。
【0020】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、センサとして温度センサを用いたが、温度センサに代えて、湿度センサ、加速度センサ、圧力センサを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る表示体管理システムの一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】表示体10の詳細を示す機能ブロック図である。
【図3】表示体10の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
10 表示体
11 表示部
12 ICタグ
13 温度センサ
14 近距離通信部
15 携帯電話モジュール
20 アクセスポイント
30 管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサにより測定した情報を表示する表示体と、当該表示体と通信を行うアクセスポイントと、各表示体が測定した情報を管理する管理装置を有する表示体管理システムであって、
前記表示体は、対象物の測定を行うセンサと、当該センサにより測定された測定値を表示する表示部と、前記センサにより測定された測定値を、自身を特定するIDとともに前記アクセスポイントに送信する近距離通信部と、を備え、
前記アクセスポイントは、前記表示体から測定値とIDを受信する近距離通信部と、前記受信した測定値とIDを前記管理装置に送信するデータ送信部を備えており、
前記管理装置は、前記アクセスポイントから受信した測定値をタグIDと対応付けて記憶する記憶装置を備えていることを特徴とする表示体管理システム。
【請求項2】
さらに、前記表示体から測定値とIDを受信し、前記受信した測定値とIDを前記管理装置に送信する基地局を有し、
前記表示体が、前記センサにより測定された測定値を、自身を特定するIDとともに前記基地局に送信する携帯電話モジュールをさらに備えており、
前記管理装置は、前記基地局から受信した測定値をタグIDと対応付けて前記記憶装置に記憶するものであることを特徴とする請求項1に記載の表示体管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−299564(P2008−299564A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144557(P2007−144557)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】