説明

表示処理装置、表示システム、表示方法およびプログラム。

【課題】表示領域の狭い表示装置に対して階層構造を持つ文字情報を適切に表示する表示
システムを提供する。
【解決手段】階層構造の情報を管理するデータ管理部3と、データ管理部3から階層構造
の情報を読み出し、階層を示す名称を階層構造の順に表示部11へ表示させる表示処理部
4とを備え、表示処理部4は、階層構造に含まれる、全ての各階層を示す名称が少なくと
も一部表示されるように、階層を示す名称の一部を省略して表示部11に表示するように
構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばウェアラブルコンピュータのヘッドマウントディスプレイのように表
示領域が狭い表示装置に階層化された情報を表示する表示処理装置、表示システム、表示
方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェアラブルコンピュータのヘッドマウントディスプレイは、利用者の頭部に装着され
て用いられ、眼前に位置する表示部に情報を表示するように構成されている(例えば、特
許文献1参照)。そのため、表示領域が狭く、この表示部に表示できる情報量(例えば文
字数)は、制限されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−98518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような表示装置にディレクトリ名等の階層構造を持つ文字情報を表示する場合、情
報の階層が深いと、表示する文字列が長くなり表示領域に入り切らなくなることがある。
このような場合、一般に画面に入りきらない部分を「…」等で省略することが多いが、そ
うすると深い階層情報が全く判らなくなってしまうという課題がある。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、表示領域の狭い表示装置に対し
て階層構造を持つ文字情報を適切に表示する表示装置、表示システム、表示方法およびプ
ログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る表示処理装置は、階層構造の情報を管理する
データ管理部と、前記データ管理部から前記階層構造の情報を読み出し、階層を示す名称
を前記階層構造の順に表示部へ表示させる表示処理部とを備え、前記表示処理部は、前記
階層構造に含まれる、全ての各階層を示す名称が少なくとも一部表示されるように、階層
を示す名称の一部を省略して前記表示部に表示するように構成される。
【0007】
このとき、前記表示処理部は、最も浅い階層と最も深い階層以外の階層を示す名称の一
部を省略して前記表示部に表示することが好ましい。また、前記表示処理部は、前記階層
構造の順に表示する階層を示す名称が前記表示部の表示領域内に収まらない場合に、階層
を示す名称の一部を省略して前記表示部に表示するように構成されることが好ましい。
【0008】
また、前記表示処理部は、前記階層構造の順に表示する階層を示す名称が前記表示部の
表示領域内に収まらない場合、前記表示部に表示可能な領域と前記階層構造の階層数とに
基づいて階層を省略する文字数を決定するように構成されることが好ましい。また、前記
表示処理部は、前記階層構造に含まれる、最も浅い階層と最も深い階層とを示す名称は省
略しないことが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る表示システムは、表示装置と、階層構造の情報を管理するデータ管
理部と、前記データ管理部から前記階層構造の情報を読み出し、階層を示す名称を前記階
層構造の順に前記表示装置へ表示させる表示処理部とを備え、前記表示処理部は、前記階
層構造に含まれる、全ての各階層を示す名称が少なくとも一部表示されるように、階層を
示す名称の一部を省略して前記表示装置に表示させるように構成される。
【0010】
また、本発明に係る表示方法は、階層構造の情報を管理するデータ管理部から前記階層
構造の情報を読み出すステップと、前記階層構造に含まれる、全ての各階層を示す名称が
少なくとも一部表示されるように、階層を示す名称の一部を省略するステップと、階層を
示す名称を前記階層構造の順に表示させるステップとを行うように構成される。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、階層構造の情報を管理するデータ管理部から前記階
層構造の情報を読み出すステップと、前記階層構造に含まれる、全ての各階層を示す名称
が少なくとも一部表示されるように、階層を示す名称の一部を省略するステップと、階層
を示す名称を前記階層構造の順に表示させるステップとをコンピュータに実行させるよう
に構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る表示処理装置、表示システム、表示方法およびプログラムを、以上のよう
に構成すると、表示領域の狭い表示装置に対しても、階層構造を持つ文字情報を適切に表
示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る表示システムが適用される表示装置(ヘッドマウントディスプレイ)を示す斜視図である。
【図3】上記ヘッドマウントディスプレイの表示部の構成を示す断面図である。
【図4】第1実施例に係る表示内容を示す説明図であり、(a)は表示されるファイルの階層構造を示す図であり、(b)は、このファイルの絶対パス名を示す図であり、(c)は省略表示した場合を示す図である。
【図5】第1実施例に係る表示処理部の処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施例に係る表示内容を示す説明図であり、(a)は、従来のツリー表示を示す図であり、(b)は、省略表示した場合を示す図であり、(c)は、省略された階層を示す数字を表示した場合を示す図である。
【図7】第2実施例に係る表示処理部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明に係
る表示システムが適用される表示装置として図2に示すヘッドマウントディスプレイ10
について説明する。このヘッドマウントディスプレイ10は、頭部に装着して用いるもの
であり、情報を表示する表示部11、この表示部11を装着者の眼前に支持する支持部1
2、および、装着者が装着するための装着手段13から構成されている。装着手段13は
、装着状態を保持する左右の保持部14,15と、これらの保持部14,15を繋ぐ連結
部16から構成されている。
【0015】
左右の保持部14,15にはそれぞれ左右のスピーカー17,18が内蔵されており、
この保持部14,15により装着者の耳を挟みつけると共に連結部16が装着者の後頭部
に当接してこのヘッドマウントディスプレイ10は装着者の頭部に固定保持される。なお
、支持部12は、連結部16の一端側(図2の場合は左端側)から前方に延びるように設
けられており、そのため、表示部11は装着者の左目前方に位置することになる。
【0016】
表示部11は、図3に示すように、本体部20内に、画像を表示する液晶パネル21、
液晶パネル21の画像を拡大して装着者の目(左目)に表示するためのレンズ22,23
が内蔵されて構成されている。
【0017】
また、本実施例に係る表示システム1は、図1に示すように、ウェアラブルコンピュー
タ等の処理装置2と、上述のヘッドマントディスプレイ10とから構成される。処理装置
2には、階層構造を持つ情報を管理するデータ管理部3と、このデータ管理部3から読み
出された情報をヘッドマウントディスプレイ10の表示部11に出力する表示処理部4と
から構成される。なお、ここでは、音声に関する処理については省略する。
【0018】
それでは、データ管理部3が階層構造を持つファイルを管理している場合に、表示処理
部4がこのファイルのディレクトリ構造を表示する場合の処理について以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
まず、第1実施例として、所望のファイルを絶対パスで表示する際に、このパス名が表
示部11の1行の文字数を超えているときの表示処理部4の処理について説明する。具体
的には、絶対パスのうち、ドライブ名と目的とするファイル名は全て表示し、これらの間
に位置するフォルダ名は表示できる長さに応じて均等に省略するように構成された場合に
ついて説明する。なお、この説明においては、図4(a)に示すように、ハードディスク
(「Cドライブ」とする)にAフォルダが作られ、その中にBフォルダが作られており、
このBフォルダ内に格納されたB1ファイルの絶対パスを表示する処理について図5を用
いて説明する。ここで、絶対パスとは、図4(b)に示すように、ドライブ名とフォルダ
名が階層の深さの順に並べられ、最後に目的のファイル名が並べられて構成されたもので
あり、ドライブ名とフォルダ名の区切り、フォルダ名とフォルダ名の区切り、および、フ
ォルダ名とファイル名の区切りはいずれも「¥」を表示するものとして説明する。
【0020】
表示処理部4はデータ管理部3から図4(b)に示す絶対パスを取得し(ステップS1
00)、その絶対パスからこの絶対パスの長さL0(単位は例えばバイト)を算出する(
ステップS101)。そして、算出された絶対パスの長さL0が表示部11に表示できる
長さLより大きいか否かを判断し(ステップS102)、絶対パスの長さL0が表示でき
る長さL以下のときはそのまま表示する(ステップS107)。絶対パスの長さL0が表
示できる長さLより大きいときは、次に、この絶対パスから所望のファイル(この例の場
合は「B1ファイル」)の格納位置までのフォルダ数(階層数)を算出する(ステップS
103)。この例の場合は、AフォルダとBフォルダから構成されるため階層数は「2」
となる。さらに、絶対パスからB1ファイルのファイル名の長さL1を算出し(ステップ
S104)、表示部11に表示できる1行の長さLと、ドライブ名の長さL2(この場合
は、「C:」であることから「2バイト」)から、省略される階層の長さL3を算出する
(ステップS105)。具体的には、L3=L−L1−L2で求められる。
【0021】
そして、省略される階層の長さL3と階層数から一つのフォルダ名に割り当てられる文
字数(L3/階層数)を求めて、図4(c)に示すようにフォルダ名を省略した表示用パ
スを生成し(ステップS106)、表示部11に出力する(ステップS107)。この例
の場合は、1つのフォルダに割り当てられる文字数から、「¥Aフォルダ」は「¥Aフ…
」と省略し、「¥Bフォルダ」は「¥Bフ…」と省略して表示した場合を示している。
【0022】
表示処理部4において、目的のファイルの絶対パスを以上のように表示すると、目的の
ファイルを識別するために必要な情報である、そのファイルが格納されているドライブ名
とそのファイルのファイル名を正確に識別することができるとともに、途中のフォルダ名
も一部が表示されているため、ファイルの格納構造を理解することができ、表示できる文
字数に制限を有していたとしても、必要な情報を取得することができる。
【0023】
なお、以上の説明においては、省略されるフォルダ名に割り当てられる文字数は、表示
部11に表示できる1行の長さLから階層数を用いて自動的に算出するように構成した場
合について説明したが、処理装置2に設定処理部5を設け、装着者の設定によりフォルダ
名に割り当てられる文字数を設定するように構成することもできる。また、以上の実施例
においては、表示しようとする情報(例えば、絶対パス)が表示部11の1行に収まらな
い場合の処理について説明したが、表示部11の表示領域内に収まらない場合に、この表
示領域内に収まるように処理するように構成することも可能である。
【実施例2】
【0024】
第1実施例においては、階層情報としてファイルの絶対パスを表示する場合について説
明したが、この第2実施例では階層構造を持つ情報全体をツリー状に表示する場合につい
て、第1実施例と同様にファイルの構造を用いて説明する。図6(a)は従来の表示方法
により表示したファイル構造のツリー表示の例である。このように、従来の方法では、階
層が深くなるほど右側にずれて表示されるため、全体として左右方向(1行)の文字数が
多くなる。
【0025】
そこで、この第2実施例において、表示処理部4は、予め設定された階層より深い階層
のフォルダ名は表示を制限し、その中のファイル名(すなわち、最も深い階層の情報)だ
けを表示するように構成されている(図6(b),(c))。なお、制限する階層数は、
装着者が予め設定処理部5により表示処理部4に設定する。
【0026】
それでは、表示処理部4の処理について図7を用いて説明する。表示処理部4は、デー
タ管理部3からディレクトリ構造を取得し(ステップS200)、この表示処理部4に設
定された制限される階層数(本実施例の場合は「2」とする)を読み出す(ステップS2
01)。そして、読み出されたディレクトリ構造をサーチし、それ以降のディレクトリは
表示されないフォルダ名(この場合、2階層目にある「Bフォルダ」)を記憶する(ステ
ップS202)。また、同時に、ディレクトリ構造をサーチしてフォルダ名が表示されな
いフォルダ(Bフォルダより下層にあるCおよびDフォルダ)にあるファイル名を記憶す
る(ステップS203)。そして、図6(c)に示すように、以降のディレクトリ名の表
示が制限されるフォルダ名(Bフォルダ)の下に、このフォルダに格納されているファイ
ル名(B1ファイルおよびB2ファイル)と、それより下の階層のフォルダ(Cフォルダ
およびDフォルダ)に格納されているファイル名(C1ファイル、C2ファイル、および
、D1ファイル)とを下方に向かって並べてツリー表示する(ステップS204)。
【0027】
このとき、図6(b)に示すように、以降のフォルダ名が省略されるフォルダ(Bフォ
ルダ)のフォルダ名とともに表示されるアイコン210と、フォルダ名が省略されている
フォルダに格納されているファイル(C1ファイル、C2ファイル、および、D1ファイ
ル)のファイル名とともに表示されるアイコン220に、省略されていることが判るマー
ク(図6(b)の場合は「レ点」)を表示することにより、装着者は省略されている範囲
をツリー表示上で認識することができる。あるいは、図6(c)に示すように、フォルダ
名が省略されているフォルダに格納されているファイル(C1ファイル、C2ファイル、
および、D1ファイル)のファイル名とともに表示されるアイコン220′に、省略され
ている階層の深さ(C1およびC2ファイルは「1」階層であり、D1ファイルは「2」
階層である)を表示することにより、装着者がディレクトリの構造を正確に理解すること
ができる。
【0028】
なお、以上の実施例においては、ディレクトリ名等の階層構造を持つファイル構造を表
示する場合について説明したが、本発明がこの実施例に限定されることはなく、ジャンル
やアーティスト、若しくは、アルバム名等で階層化されて格納された音楽ファイル等の表
示にも適用することができる。
【0029】
以上説明した本発明の実施形態において達成される主要な効果を整理すれば、次のよう
になる。第1実施例に示したように、階層化された情報の絶対パスを表示する際に、その
格納場所(例えば、ドライブ名)と情報(絶対パス内の最も深い階層にある情報であって
、例えば、ファイル名)を全て表示し、その情報が格納されている階層(例えば、ディレ
クトリ名)は、省略して表示するように構成することにより、表示領域が小さな表示装置
(例えば、ヘッドマウントディスプレイ10)を用いても、所望の情報の正確な格納位置
を装着者に提示することできる。
【0030】
また、第2実施例に示したように、階層構造をツリー表示する際も、制限された階層よ
り下の階層に格納された情報は、階層の表示を省略すると共に、省略されたことを示すア
イコン、若しくは、省略されている階層の数を表示することにより、装着者はその階層構
造を正確に認識することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 表示システム
3 データ管理部
4 表示処理部
5 設定処理部
10 ヘッドマウントディスプレイ(表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層構造の情報を管理するデータ管理部と、
前記データ管理部から前記階層構造の情報を読み出し、階層を示す名称を前記階層構造
の順に表示部へ表示させる表示処理部とを備え、
前記表示処理部は、前記階層構造に含まれる、全ての各階層を示す名称が少なくとも一
部表示されるように、階層を示す名称の一部を省略して前記表示部に表示する
ことを特徴とする表示処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示処理装置において、
前記表示処理部は、最も浅い階層と最も深い階層以外の階層を示す名称の一部を省略し
て前記表示部に表示する
ことを特徴とする表示処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示処理装置において、
前記表示処理部は、前記階層構造の順に表示する階層を示す名称が前記表示部の表示領
域内に収まらない場合に、階層を示す名称の一部を省略して前記表示部に表示する
ことを特徴とする表示処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示処理装置において、
前記表示処理部は、前記階層構造の順に表示する階層を示す名称が前記表示部の表示領
域内に収まらない場合、前記表示部に表示可能な領域と前記階層構造の階層数とに基づい
て階層を省略する文字数を決定する
ことを特徴とする表示処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示処理装置において、
前記表示処理部は、前記階層構造に含まれる、最も浅い階層と最も深い階層とを示す名
称は省略しない
ことを特徴とする表示処理装置。
【請求項6】
表示装置と、
階層構造の情報を管理するデータ管理部と、
前記データ管理部から前記階層構造の情報を読み出し、階層を示す名称を前記階層構造
の順に前記表示装置へ表示させる表示処理部とを備え、
前記表示処理部は、前記階層構造に含まれる、全ての各階層を示す名称が少なくとも一
部表示されるように、階層を示す名称の一部を省略して前記表示装置に表示させる
ことを特徴とする表示システム。
【請求項7】
階層構造の情報を管理するデータ管理部から前記階層構造の情報を読み出すステップと

前記階層構造に含まれる、全ての各階層を示す名称が少なくとも一部表示されるように
、階層を示す名称の一部を省略するステップと、
階層を示す名称を前記階層構造の順に表示させるステップとを行う
ことを特徴とする表示方法。
【請求項8】
階層構造の情報を管理するデータ管理部から前記階層構造の情報を読み出すステップと

前記階層構造に含まれる、全ての各階層を示す名称が少なくとも一部表示されるように
、階層を示す名称の一部を省略するステップと、
階層を示す名称を前記階層構造の順に表示させるステップとをコンピュータに実行させ

ことを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−54364(P2013−54364A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−227773(P2012−227773)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2006−52913(P2006−52913)の分割
【原出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】