説明

表示制御装置、情報処理装置及び表示制御方法

【課題】要保護情報を含んだ可視情報を表示装置に表示するとき、要保護情報が不用意に表示されることを防止する。
【解決手段】表示制御装置1は、表示装置に表示させる情報の表示範囲をスクロールさせるスクロール指示を受け付けるスクロール指示受付部2と、スクロール指示を実行することによって表示装置に表示される情報が、所定条件を満足するか否かを判定する判定部3と、所定条件を満足する場合に表示範囲のスクロールを抑止する抑止部4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で論じられる実施態様は、可視情報を表示装置へ表示する表示処理に関する。
【背景技術】
【0002】
テキスト、画像又は動画のような可視情報を表示装置へ表示する際に、保護されるべき情報を第三者から閲覧しにくくする技術が提案されている。このような技術として、例えば携帯電話のプライバシー保護機能が提案されている。このプライバシー保護機能は、特定のメールアドレスから受信したメール内容を全て表示しないことによりユーザのプライバシーを保護する。また、表示画面の斜め方向からはテキストが見えなくなる覗き見防止技術も提案されている。
【0003】
以下の説明において、保護されるべき情報を「要保護情報」と表記することがある。また、保護が不要な情報を「非保護情報」と表記することがある。
【0004】
なお、携帯電話端末の外部から携帯電話端末の周囲環境データを受信する手段と、周囲環境データより携帯電話機の周囲の環境状況を推定する手段と、周囲環境状況が不特定多数の人間がいる場所か否かを判断する手段と、この判断するステップにて、携帯電話端末の周囲環境が不特定多数の人間が存在する環境にあると判断した時に、携帯電話端末の表示部に表示される情報のうち個人情報に相当する情報を抽出する手段と、個人情報を非表示状態に制御する手段と、を備える携帯電話端末が提案されている。
【0005】
また、送信されてきたデータに基づいてデータ情報を生成し、このデータ情報の表示を行う情報表示装置であって、このデータ情報が非表示を指定する情報を有している場合には、このデータ情報の表示を行わない情報表示装置が提案されている。
【0006】
また、入力されたキーワードに基づいてファイルを検索する検索手段と、検索手段によって検索されたファイルのうち予め設定されたファイルが存在するか否かを判断する判断手段と、入力されたキーワードに従って検索手段による検索結果として判断手段によって予め設定されたファイルであると判断されたファイルの表示を制限する検索制限手段とを有するファイル検索装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−267504号公報
【特許文献2】特開平8−237710号公報
【特許文献3】特開2007−79625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
要保護情報を閲覧しにくくすることは、秘密漏洩防止やプライバシー保護などの観点から重要である。実施態様に係る装置及び方法は、要保護情報を含んだ可視情報を表示装置に表示するとき、要保護情報が不用意に表示されることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施例の一態様によれば、表示装置に表示させる情報の表示範囲をスクロールさせるスクロール指示を受け付けるスクロール指示受付部と、スクロール指示を実行することによって表示装置に表示される情報が、所定条件を満足するか否かを判定する判定部と、所定条件を満足する場合に表示範囲のスクロールを抑止する抑止部と、を備える表示制御装置が与えられる。
【0010】
実施例の他の態様によれば、表示装置に表示させる情報の表示範囲をスクロールさせるスクロール指示を受け付け、スクロール指示を実行することによって表示装置に表示されることになる情報が所定条件を満足するか否かを判定し、所定の条件を満足する場合に表示範囲のスクロールを抑止する表示制御方法が与えられる。
【発明の効果】
【0011】
本件開示の装置又は方法によれば、要保護情報を含んだ可視情報を表示装置に表示するとき、要保護情報が不用意に表示されることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】表示制御装置の第1構成例を示す図である。
【図2】表示制御装置の第2構成例を示す図である。
【図3】表示制御装置の第3構成例を示す図である。
【図4】表示制御装置の第4構成例を示す図である。
【図5】情報処理装置のハードウエア構成例を示す図である。
【図6】情報処理装置の構成例を示す図である。
【図7】図6に示す表示制御部の構成例を示す図である。
【図8】キーワードテーブルの例を示す図である。
【図9】表示対象情報の第1例を示す図である。
【図10】(A)〜(D)は、図9に示す情報の表示状態の説明図である。
【図11】図6に示す情報処理装置の処理の第1例の説明図である。
【図12】図11に示す表示制御処理の説明図である。
【図13】(A)は表示対象情報の第2例を示す図であり、(B)は(A)の情報の表示イメージの説明図である。
【図14】(A)〜(D)は、図13の(A)に示す情報の表示状態の説明図である。
【図15】図6に示す情報処理装置の処理の第2例の説明図である。
【図16】図15に示す表示制御処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付される図面を参照して、好ましい実施例について説明する。図1は、表示制御装置の第1構成例を示す図である。表示制御装置1は、スクロール指示受付部2と、判定部3と、抑止部4を備える。
【0014】
スクロール指示受付部2は、表示装置に表示させる情報の表示範囲をスクロールさせるスクロール指示を受け付ける。判定部3は、スクロール指示を実行することによって表示装置に表示される情報が、所定条件を満足するか否かを判定する。抑止部4は、所定条件が満たされると判定部3が判定する場合に表示範囲のスクロールを抑止する。
【0015】
スクロール指示を実行することによって表示装置に表示される情報が要保護情報を含んでいることを所定条件として使用してよい。本実施例によれば、表示装置に表示させる可視情報が要保護情報を含んでいたとき、要保護情報の表示を抑止することができる。また本実施例によれば、その要保護情報がどのような事柄に関連しているかを、ユーザが安全に確認することができるようになる。
【0016】
すなわち、ユーザは、表示範囲が要保護情報へ至るまでは可視情報の表示範囲をスクロールして自由に非保護情報を閲覧できるため、その後に続く要保護情報がどのような事柄に関連するかを判断することができる。一方で、要保護情報を表示するスクロールが抑止されるので不用意な要保護情報の表示が防止される。このため、ユーザは安心して可視情報の表示範囲をスクロールすることができる。したがって、ユーザが可視情報を閲覧する際の利便性が向上する。
【0017】
また、このように要保護情報を含む可視情報の一部の閲覧を可能にすることは、その場で要保護情報を閲覧して良いか否かをユーザが判断することを可能にするため、可視情報を閲覧する際の利便性が向上する。
【0018】
なお、上述の携帯電話のプライバシー保護機能の場合、予期しないメールアドレスから要保護情報を含んだメールを受信した場合に、このメールの内容が不用意に表示されてしまうという問題があった。本実施例によれば、スクロール操作によって要保護情報が表示されそうになったときにスクロール操作が抑止されるため、不用意に要保護情報が表示されることを防止できる。
【0019】
また、上述の覗き見防止技術の場合、視点の位置によって覗き見防止効果が異なるので、ユーザは、表示画面の文字が周囲の人間から本当に見えないかどうか不安を感じるという問題があった。本実施例によれば、要保護情報が不用意に表示されること自体が防止されるので、ユーザがこのような不安を感じずに済む。
【0020】
さらに、本実施例によれば、要保護情報を閲覧しにくくすることに伴う、ユーザ本人に対する利便性の低下を低減することができる。すなわち、要保護情報を閲覧しにくくする保護機能は、ユーザ本人に対する利便性の低下を招くことがある。なぜなら、要保護情報を含む可視情報を閲覧するときに、要保護情報を含まない可視情報を閲覧する場合とは異なる操作が行うことが要求されるからである。
【0021】
本実施例によれば、ユーザは、表示範囲が要保護情報へ至るまでは可視情報の表示範囲をスクロールして自由に可視情報を閲覧できる。このため、単に保護不要な部分を閲覧するだけで用が足りるのであれば、従来の操作と同様にして閲覧することができるのでユーザの利便性は損なわれない。
【0022】
なお、要保護情報は画像情報としてよい。すなわち、スクロール指示を実行することによって表示装置に表示される情報が画像を含んでいることを所定条件として使用してよい。
【0023】
また、予め所定の記憶装置に所定情報を記憶させ、記憶装置に記憶された情報が、スクロール指示を実行することによって表示装置に表示される情報に含まれていることを、所定条件として使用してよい。このような実施例を図2に示す。図2は、表示制御装置の第2構成例を示す図である。
【0024】
表示制御装置1は、スクロール指示受付部2と、判定部3と、抑止部4を備える。スクロール指示受付部2及び抑止部4の処理は、図1を参照して説明したそれぞれの処理と同様であってよい。判定部3は、上述の所定条件として、スクロール指示を実行することによって表示装置に表示される情報が、所定の記憶部に記憶された所定情報を含むか否かを判定する。なお、所定の記憶部に記憶される所定情報は、キーワードなどの文字情報、画像情報など、表示装置に表示可能な可視情報であれば何でもよい。
【0025】
表示対象の情報の作成者と閲覧者が異なる場合、作成者がどのような要保護情報を表示対象の情報に含めるのかを閲覧者が予想することは難しいことがある。
【0026】
本実施例によれば、記憶部に登録された所定情報自体だけでなく、この所定情報に続く情報を表示しようとするスクロール動作も抑止される。したがって、保護すべき情報自体が登録されていなくても、この情報に関連する情報を記憶部に登録することによって、保護すべき情報自体の表示を抑止することが期待できる。
【0027】
例えば、特定の振り込み口座番号が要保護情報である場合を想定する。振り込み口座番号を示す可視情報には、振り込み口座番号に先行して「振り込み先」などのキーワードが使用される蓋然性が高い。したがって、上記所定情報として予めキーワード「振り込み先」を記憶部に登録しておけば、振り込み口座番号自体の表示が抑止されることが期待される。
【0028】
続いて、他の表示制御装置1の他の実施例について説明する。図3は、表示制御装置の第3構成例を示す図である。表示制御装置1は、スクロール指示受付部2と、判定部3と、抑止部4と、メッセージ出力部5を備える。スクロール指示受付部2、判定部3及び抑止部4の処理は、図1又は図2を参照して説明した実施例におけるそれぞれの処理と同様であってよい。
【0029】
メッセージ出力部5は、所定条件を満足する場合に表示装置に所定メッセージを出力する。本実施例によれば、ユーザは、要保護情報の存在によってスクロールが抑止されていることを知ることができる。このため本実施例は、要保護情報を閲覧するための準備をユーザに促すことができ、要保護情報を閲覧する際の安全性を向上する。
【0030】
続いて、他の表示制御装置1の他の実施例について説明する。図4は、表示制御装置の第4構成例を示す図である。表示制御装置1は、スクロール指示受付部2と、判定部3と、抑止部4と、メッセージ出力部5と、応答受付部6を備える。スクロール指示受付部2、判定部3、抑止部4及びメッセージ出力部5の処理は、図3を参照して説明した実施例におけるそれぞれの処理と同様であってよい。
【0031】
応答受付部6は、メッセージ出力部5が出力した所定メッセージに対する、ユーザからの応答入力を受け付ける。抑止部4は、この応答入力が受け付けられたときスクロールの抑止を解除する。本実施例によれば、ユーザは、要保護情報を閲覧するための準備が整ったことを表示制御装置1に指示することができる。このため、ユーザは安全な状態で要保護情報を閲覧することができ、閲覧の安全性を向上する。
【0032】
続いて、可視情報の表示を行う情報処理装置の実施例について説明する。図5は、情報処理装置のハードウエア構成例を示す図である。情報処理装置10は、プロセッサ11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、通信部15を備える。情報処理装置10は、例えば携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、腕時計、ゲーム装置、オーディオ再生装置、映像再生装置といった移動携帯端末や、ノートパソコンなどのモバイル機器であってよい。情報処理装置10は、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の装置であってもよい。
【0033】
記憶部12は、情報処理装置10の動作を制御するための各種コンピュータプログラム及びデータが記憶される。記憶部12は、メモリ等の記憶装置や、ハードディスク等の補助記憶装置を含んでいてよい。プロセッサ11は、公知のデータ処理装置であり、記憶部12に記憶されるプログラムを実行し、情報処理装置10の動作を制御するための各処理を実行する。
【0034】
入力部13は、ユーザからの操作入力を受け付ける。例えば、入力部13はキーボード、テンキー、マウス、タッチパッドであってよい。表示部14は、可視情報を表示する。表示部14は、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであってよい。また、情報処理装置10は、表示部14と入力部13を組み合わせであるタッチディスプレイを備えていてよい。通信部15は、有線回線または無線回線による各種の機器との通信に使用されるインタフェースや通信デバイスである。
【0035】
図5に示すハードウエア構成は、あくまで情報処理装置10のハードウエア構成の一例である。以下に説明する処理を実行するものであれば、様々な種類のハードウエア構成が情報処理装置10のために採用できる。
【0036】
図6は、情報処理装置の構成例を示す図である。図6に示す各構成要素の機能は、記憶部12に記憶されるプログラムをプロセッサ11が実行することにより実現されるものである。なお同図では、この実施例に関係する機能を中心として示している。
【0037】
情報処理装置10は、入力処理部20と、表示処理部21と、データ受信部22と、表示制御部23と、キーワードテーブル24とを備える。入力処理部20は、入力部13を介したユーザからの操作入力の受付処理を実行する。入力処理部20は、ユーザによる入力部13の操作内容を表示制御部23へ通知する。
【0038】
表示処理部21は、表示部14における可視情報の表示処理を行う。表示部14に表示される可視情報には、例えばデータ受信部22により他の機器から受信されたデータや記憶部12に記憶されたデータを含む。データ受信部22は、通信部15を介して他の機器からデータを受信する。
【0039】
表示制御装置23は、表示処理部21による可視情報の表示処理を制御する。図7は、図6に示す表示制御部23の構成例を示す図である。表示制御部23は、スクロール指示受付部25と、判定部26と、スクロール制御部27と、メッセージ出力部28と、応答受付部29を備える。
【0040】
スクロール指示受付部25は、ユーザが入力部13を介して入力した、表示部14に表示させる情報の表示範囲をスクロールさせるスクロール指示を、入力処理部20から受け付ける。判定部26は、入力されたスクロール指示を実行することによって表示装置14に表示される情報が、所定条件を満足するか否かを判定する。
【0041】
所定条件は、例えば、入力されたスクロール指示を実行することによって表示装置14に表示される情報が、キーワードテーブル24に記憶されたキーワードを含むとき満足する条件であってよい。図8は、キーワードテーブル24の例を示す図である。
【0042】
キーワードテーブル24に格納されるキーワードは、例えば、それぞれ参照符号30A〜30Cに示される氏名(「山田 花子」)や、住所(「○○県××市□□町△△△」)、電話番号(「XXX-YYYY-ZZZZ」)であってよい。またキーワードは、例えば、参照符号30D及び30Eに示される感情用語(「好き」、「嫌い」)であってよい。キーワードは、例えば、参照符号30Fに示される秘密を意味する言葉(「秘」)や、参照符号30Gに示される秘密に意味する言葉に関連して使用される言葉(「社」)であってよい。キーワードは、例えば、参照符号30H及び30Iに示される振り込みに関係する言葉(「振り込み」、「金額」)であってよい。
【0043】
キーワードテーブル24は、記憶部12に記憶される。キーワードテーブル24は、氏名、住所及び電話番号に関するキーワード30A〜30Cをキーワードテーブル24内に格納する代わりに、記憶部12に別途記憶されたアドレス帳データベース31を参照するためのリンクやクエリを備えていてもよい。ユーザは、キーワード30C〜30Iをキーワードテーブル24に個別に入力してよい。個別に入力されるキーワード30C〜30Iも、キーワードテーブル24と別個に記憶部12に格納されるキーワードデータベース32に記憶されてよい。キーワードテーブル24は、キーワードデータベース32を参照するためのリンクやクエリを備えていてもよい。
【0044】
図7を参照する。スクロール制御部27は、入力されたスクロール指示に従って表示部14に表示させる情報の表示範囲をスクロールする。所定条件が満たされると判定部26が判定すると、スクロール制御部27は表示範囲のスクロールを抑止する。スクロール制御部27は、特許請求の範囲に記載された抑止部の一例として挙げられる。
【0045】
所定条件が満たされると判定部26が判定すると、メッセージ出力部28は、表示処理部21に警告メッセージを出力させる。警告メッセージは表示装置14に表示される。ユーザが入力部13を介して入力した警報メッセージに対する応答入力を入力すると、応答受付部29は入力処理部20から応答入力を受け付ける。応答入力が受け付けられたとき、スクロール制御部27はスクロールの抑止を解除する。
【0046】
以下、表示制御装置23によるスクロール制御処理を説明する。以下の説明では、表示装置14に表示させる表示対象情報として、図6に示すデータ受信部22によって受信された電子メールを例示する。しかし、以下の説明は、表示制御装置23によるスクロール制御処理の対象をデータ受信部22によって受信された電子メールに限定することを意図するものではない。
【0047】
図9は、表示装置14に表示させる表示対象情報の第1例を示す図である。また、図8の参照符号30Hに示すようにキーワードテーブル24には、キーワード「振り込み」が記憶されている場合を想定する。
【0048】
図10の(A)〜図10の(D)は、図9に示す情報の表示状態の説明図である。図10の(A)は、表示部14の表示画面50への電子メール40の表示を開始した直後の初期状態を示す。電子メール40の内容を表示画面50の上方へスクロールすることにより、すなわち、表示画面50へ表示させる表示範囲を電子メール40の文末方向へスクロールすることにより、表示画面50の表示状態は図10の(B)に示す状態に至る。
【0049】
図10の(B)に示す状態において、表示範囲の最下行の次の行にはキーワード「振り込み」が含まれている。したがって、現在の表示範囲の続きを閲覧するスクロール指示が入力されても、スクロール制御部27はスクロールを抑止する。
【0050】
また図10の(C)に示すように、メッセージ出力部28によって、警報メッセージ51が表示画面50に表示される。警報メッセージ50に対する応答入力をユーザが入力すると、応答受付部29が応答入力を受け付けることによって、スクロールの抑止が解除される。この結果、図10の(D)に示すように、図10の(B)の続きの情報が表示される。
【0051】
図11は、図6に示す情報処理装置の処理の第1例の説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションAA〜ACの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションAAにおいてデータ受信部22は、電子メールを受信する。オペレーションABにおいて表示制御部23は、電子メールを表示する指示をユーザから入力処理部20が受け付けたか否かを判定する。電子メールを表示する指示を受け付けていないとき(オペレーションAB:N)、オペレーションABが繰り返される。電子メールを表示する指示が受け付けられたとき(オペレーションAB:Y)、処理はオペレーションACへ進む。
【0052】
オペレーションACにおいて、表示制御部23は、図12に示す表示制御処理を実行する。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションBA〜BGの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションBAにおいて判定部26は、表示部14の表示画面に表示させる表示範囲の先頭から順に1行分のメール本文を選択する。選択された行を第n行目とする。判定部26は、第n行目のメール本文とキーワードテーブル24に記憶されたキーワードとを比較する。
【0053】
第n行目のメール本文にキーワードが含まれるとき(オペレーションBB:Y)、処理はオペレーションBCへ進む。第n行目のメール本文にキーワードが含まれないとき(オペレーションBB:N)、処理はオペレーションBEへ進む。オペレーションBCにおいてメッセージ出力部28は、表示処理部21に警告メッセージを出力させる。オペレーションBDにおいて応答受付部29は、ユーザからの応答入力を受け付けを試みる。応答入力が受け付けられないとき(オペレーションBD:N)、応答受付部29はオペレーションBDを繰り返す。応答入力が受け付けられたとき(オペレーションBD:Y)、処理はオペレーションBEへ進む。
【0054】
オペレーションBEにおいてスクロール制御部27は、第n行目のメール本文を表示処理部21に表示させる。オペレーションBFにおいてスクロール制御部27は、表示部14の1画面分の表示が終了したか否かを判定する。
【0055】
1画面分の表示が終了したとき(オペレーションBF:Y)、処理はオペレーションBGへ進む。1画面分の表示がまだ終了していないとき(オペレーションBF:N)、処理はオペレーションBAへ戻る。この後に続くオペレーションBA〜BEでは、第n+1行目のメール本文について同様の処理が実行される。
【0056】
オペレーションBGにおいてスクロール制御部27は、スクロール指示受付部25がスクロール指示を受け付けたか否かを判定する。スクロール指示が受け付けられていないとき(オペレーションBG:N)、スクロール制御部27はオペレーションBGを繰り返す。スクロール指示が受け付けられたとき(オペレーションBG:Y)、処理はオペレーションBAに戻る。
【0057】
本実施例によれば、可視情報の表示を行う情報処理装置において、可視情報に要保護情報が含まれていたときに、要保護情報を不用意に表示してしまうことを防止することができる。
【0058】
次に、表示対象情報が画像を含んでいる場合における、表示制御装置23によるスクロール制御処理を説明する。図13の(A)は表示対象情報の第2例を示す図である。以下の説明では、表示対象情報として、本文テキストデータ42と添付画像データ43を含む電子メール41を例示する。しかし、以下の説明は、表示制御装置23によるスクロール制御処理の対象を電子メールに限定することを意図するものではない。
【0059】
図13の(B)は図13の(A)の情報の表示イメージの説明図である。表示イメージ44は、本文テキストデータ42を記憶部12上に展開して生成されたテキスト部分45及び46と、添付画像データ43を展開して生成された画像部分47を含む。参照符号48は、表示イメージ中における画像部分47の表示開始位置を示す。
【0060】
図14の(A)〜図14の(D)は、図13の(A)に示す情報の表示状態の説明図である。図14の(A)は、表示部14の表示画面50への電子メール41の表示を開始した直後の初期状態を示す。電子メール41の内容を表示画面50の上方へスクロールすることにより、表示画面50の表示状態は図14の(B)に示す状態に至る。
【0061】
図14の(B)に示す状態において、表示範囲の下端の位置は、画像部分47の表示開始位置48の直前である。したがって、現在の表示範囲の続きを閲覧するスクロール指示が入力されると、判定部26は、表示画面50の表示範囲の位置と表示開始位置48とを比較することにより、このスクロール指示により表示範囲内に画像部分47が含まれると判定する。この結果、スクロール制御部27はスクロールを抑止する。
【0062】
また図14の(C)に示すように、メッセージ出力部28によって、警報メッセージ51が表示画面50に表示される。警報メッセージ50に対する応答入力をユーザが入力すると、応答受付部29が応答入力を受け付けることによって、スクロールの抑止が解除される。この結果、図14の(D)に示すように、図14の(B)の続きの情報が表示される。
【0063】
図15は、表示対象情報が画像を含んでいる場合における、図6に示す情報処理装置の処理の説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションCA〜CDの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションCAにおいてデータ受信部22は、電子メールを受信する。オペレーションCBにおいて表示制御部23は、電子メールを表示する指示をユーザから入力処理部20が受け付けたか否かを判定する。電子メールを表示する指示を受け付けていないとき(オペレーションCB:N)、オペレーションCBが繰り返される。電子メールを表示する指示が受け付けられたとき(オペレーションCB:Y)、処理はオペレーションCCへ進む。
【0064】
オペレーションCCにおいて、表示制御部23は、電子メールに画像が添付されているか否かを判定する。画像が添付されているとき(オペレーションCC:Y)、処理はオペレーションCDへ進む。画像が添付されていないとき(オペレーションCC:N)、表示制御部23は、通常の電子メールと同様に電子メールの表示処理を行う。または画像が添付されていないとき(オペレーションCC:N)、表示制御部23は、図12を参照して説明した処理を行ってもよい。
【0065】
オペレーションCDにおいて、表示制御部23は、図16に示す表示制御処理を実行する。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションDA〜DHの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションDAにおいて表示制御部23は、電子メールの表示イメージを記憶部12に展開する。
【0066】
オペレーションDBにおいて判定部26は、表示部14の表示画面の表示範囲の位置と、表示イメージにおける画像の表示開始位置とを比較して、表示範囲内に画像が含まれるか否かを判定する。表示範囲内に画像が含まれるとき(オペレーションDB:Y)、処理はオペレーションDCへ進む。表示範囲内に画像が含まれないとき(オペレーションDB:N)、処理はオペレーションDFへ進む。
【0067】
オペレーションDCにおいてスクロール制御部27は、画像の表示開始位置の前までのメールの内容を表示処理部21に表示させる。オペレーションDDにおいてメッセージ出力部28は、表示処理部21に警告メッセージを出力させる。オペレーションDEにおいて応答受付部29は、ユーザからの応答入力を受け付けを試みる。応答入力が受け付けられないとき(オペレーションDE:N)、応答受付部29はオペレーションDEを繰り返す。応答入力が受け付けられたとき(オペレーションDE:Y)、処理はオペレーションDFへ進む。
【0068】
オペレーションDFにおいてスクロール制御部27は、表示部14の表示画面の表示範囲に表示させる内容を全て表示する。オペレーションDGにおいてスクロール制御部27は、展開された表示イメージを全て表示したか否かを判定する。表示イメージが全て表示されたとき(オペレーションDG:Y)、処理は終了する。表示イメージが全て表示されていないとき(オペレーションDG:N)、処理はオペレーションDHへ進む。
【0069】
オペレーションDHにおいてスクロール制御部27は、スクロール指示受付部25がスクロール指示を受け付けたか否かを判定する。スクロール指示が受け付けられていないとき(オペレーションDH:N)、スクロール制御部27はオペレーションDHを繰り返す。スクロール指示が受け付けられたとき(オペレーションDH:Y)、処理はオペレーションDBに戻る。
【0070】
本実施例によれば、可視情報の表示を行う情報処理装置において、可視情報に画像情報が含まれていたときに画像情報を不用意に表示してしまうことを防止できる。
(付記1)
表示装置に表示させる情報の表示範囲をスクロールさせるスクロール指示を受け付けるスクロール指示受付部と、
前記スクロール指示を実行することによって前記表示装置に表示される情報が、所定条件を満足するか否かを判定する判定部と、
前記所定条件を満足する場合に前記表示範囲のスクロールを抑止する抑止部と、を備える表示制御装置。
(付記2)
前記スクロール指示を実行することによって前記表示装置に表示される情報が、所定の記憶部に記憶された所定情報を含む場合に、前記所定条件を満足する付記1に記載の表示制御装置。
(付記3)
前記所定情報は、キーワードであることを特徴とする付記2に記載の表示制御装置。
(付記4)
前記スクロール指示を実行することによって前記表示装置に表示される情報が画像を含む場合に、前記所定条件を満足する付記1に記載の表示制御装置。
(付記5)
前記所定条件を満足する場合に前記表示装置に所定メッセージを出力するメッセージ出力部を備える付記1〜4のいずれか一項に記載の表示制御装置。
(付記6)
付記1〜5のいずれか一項に記載の表示制御装置と、
前記表示装置と、
ユーザによる前記スクロール指示の操作入力を受け付ける入力部と、を備える情報処理装置。
(付記7)
情報処理装置によって実行される表示制御方法であって、
表示装置に表示させる情報の表示範囲をスクロールさせるスクロール指示を受け付け、
前記スクロール指示を実行することによって前記表示装置に表示されることになる情報が所定条件を満足するか否かを判定し、
前記所定の条件を満足する場合に前記表示範囲のスクロールを抑止する表示制御方法。
(付記8)
コンピュータを、
表示装置に表示させる情報の表示範囲をスクロールさせるスクロール指示を受け付けるスクロール指示受付部、
前記スクロール指示を実行することによって前記表示装置に表示される情報が、所定条件を満足するか否かを判定する判定部、および
前記所定条件を満足する場合に前記表示範囲のスクロールを抑止する抑止部、として機能させるコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0071】
1 表示制御装置
2 スクロール指示受付部
3 判定部
4 抑止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に表示させる情報の表示範囲をスクロールさせるスクロール指示を受け付けるスクロール指示受付部と、
前記スクロール指示を実行することによって前記表示装置に表示される情報が、所定条件を満足するか否かを判定する判定部と、
前記所定条件を満足する場合に前記表示範囲のスクロールを抑止する抑止部と、を備える表示制御装置。
【請求項2】
前記スクロール指示を実行することによって前記表示装置に表示される情報が、記憶部に記憶された所定情報を含む場合に、前記所定条件を満足する請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記スクロール指示を実行することによって前記表示装置に表示される情報が画像を含む場合に、前記所定条件を満足する請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記所定条件を満足する場合に前記表示装置に所定メッセージを出力するメッセージ出力部を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示制御装置と、
前記表示装置と、
ユーザによる前記スクロール指示の操作入力を受け付ける入力部と、を備える情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置によって実行される表示制御方法であって、
表示装置に表示させる情報の表示範囲をスクロールさせるスクロール指示を受け付け、
前記スクロール指示を実行することによって前記表示装置に表示されることになる情報が所定条件を満足するか否かを判定し、
前記所定の条件を満足する場合に前記表示範囲のスクロールを抑止する表示制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、
表示装置に表示させる情報の表示範囲をスクロールさせるスクロール指示を受け付けるスクロール指示受付部、
前記スクロール指示を実行することによって前記表示装置に表示される情報が、所定条件を満足するか否かを判定する判定部、および
前記所定条件を満足する場合に前記表示範囲のスクロールを抑止する抑止部、として機能させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−197867(P2011−197867A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62199(P2010−62199)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】