表示制御装置、表示システム、画像データ出力方法、プログラム、及び記録媒体
【課題】容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる表示制御装置を提供する。
【解決手段】表示制御装置150は、入力画像データをマルチディスプレイ装置100の表示部のエリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出部161と、算出されたエリアのバックライトの光量を、当該エリアの隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正部162と、複数のエリアのバックライトの光量が、それぞれ、光量補正部162にて補正された光量となるよう、入力画像データを出力画像データに補正する画像補正部160と、出力画像データをマルチディスプレイ装置100に出力する出力部163と、を備えている。
【解決手段】表示制御装置150は、入力画像データをマルチディスプレイ装置100の表示部のエリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出部161と、算出されたエリアのバックライトの光量を、当該エリアの隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正部162と、複数のエリアのバックライトの光量が、それぞれ、光量補正部162にて補正された光量となるよう、入力画像データを出力画像データに補正する画像補正部160と、出力画像データをマルチディスプレイ装置100に出力する出力部163と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な液晶表示装置、複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な表示部を複数有するマルチディスプレイ装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像表示手段として透過型の液晶表示装置が知られている。液晶表示装置に取り付けられている液晶パネルは自発光デバイスではないため、液晶表示装置にはバックライト装置が必要になる。
【0003】
また、近年では、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)を光源としたバックライト装置が使用されてきたが、最近では、冷陰極蛍光ランプが有する問題点(水銀による環境汚染、遅い応答速度)の無い、LEDを光源としたバックライト装置が多用されている。LEDを光源としたバックライト装置によれば、冷陰極蛍光ランプが有する問題点を解決できるだけではなく、ローカルディミング(エリア制御)などの部分駆動を実現でき、画像のコントラスト比を高めることができる。以下、ローカルディミングについて説明する。
【0004】
ローカルディミングとは、液晶パネルを複数のエリア(調光エリア)に分割して、分割された各エリア別に、画像データの輝度成分に基づいて、バックライトの光量を調整する処理を意味する。すなわち、ローカルディミングを行う液晶表示装置では、明るい画像を表示させるエリアに対応するバックライトの光量を多く、暗い画像を表示させるエリアのバックライトの光量を少なくできる。これにより、明るい画像領域をより明るく、暗い画像領域をより暗くできるため、コントラスト比の高い画像を表示できる。
【0005】
しかし、ローカルディミングを行う液晶表示装置では、例えば、互いに隣り合うエリアのうち、一方のエリアで白色画像と黒色画像とを表示し、他方のエリアで黒色画像のみを表示するような場合、下記の不都合が生じる。すなわち、白色画像と黒色画像とを表示するエリアでは、バックライトの光量は白色画像(高輝度成分の画像)に応じた値に調整される一方、黒色画像のみを表示するエリアでは、バックライトの光量は黒色画像(低輝度成分の画像)に応じた値に調整される。それゆえ、一方のエリアで表示される黒色の明るさと他方のエリアで表示される黒色の明るさとが異なってしまい、その結果エリア間の境界が顕著になり、違和感のある画像を表示してしまうという不都合が生じる。そこで、このような不都合を抑制するために、ローカルディミングの手法に基づいて各エリアの光量を算出した後、隣接するエリアとの間で光量の差が大き過ぎるエリアが生じないように、各エリアのバックライトの光量を補正する処理(以下「光量補正」と称す)を行う液晶表示装置が提案されている。このような光量補正の一例として、特許文献1には隣接するエリア毎に段階的に輝度を変化させる技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、視聴環境の明るさに応じて動的に発光輝度の下限、上限値を設定する技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、液晶表示装置の輝度特性、色特性及び階調特性の計測結果を元にバックライトの明るさを調整し、かつ、上記計測結果を元に表示データを補正し液晶表示装置に出力する技術が開示されている。
【0008】
また、最近では、複数の液晶パネルを配列したマルチディスプレイ装置が多用されている。このようなマルチディスプレイ装置において、バックライトユニットが有する複数の光源の明るさを個別に制御する技術が、特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−020961号公報
【特許文献2】特開2010−066715号公報
【特許文献3】特開2001−147667号公報
【特許文献4】特開2009−169196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の技術では、バックライトの光量補正をするには、液晶表示装置にて画像データからバックライトの光量を算出して補正する必要があり、液晶表示装置での処理の負担が大きい。あるいは、別の従来の技術では、液晶表示装置に対して、画像データとは別に補正したバックライトの光量データを送信するため、光量データを送信するための通信網が必要となり、データ通信網の設置が煩雑となる。
【0011】
そこで、本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる表示制御装置、表示システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な液晶表示装置に、画像データを出力する表示制御装置であって、入力画像データを前記調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、前記調光エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出部と、前記算出された調光エリアのバックライトの光量を、当該調光エリアに隣接する調光エリアである隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正部と、前記複数の調光エリアのバックライトの光量が、それぞれ、前記光量補正部にて補正された光量となるよう、前記入力画像データを出力画像データに補正する画像補正部と、前記出力画像データを前記液晶表示装置に出力する出力部と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
上記構成によると、各調光エリアのバックライトの光量が、入力画像データを調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき補正したバックライトの光量となるよう、入力画像データを出力画像データに補正してから、液晶表示装置に出力する。このように入力画像データが補正画像データに補正されているので、液晶表示装置では、この補正画像データに基づき、調光エリア毎にバックライトの光量調整を行えばよい。つまり、液晶表示装置側では、バックライトの光量を補正する必要はない。また、画像データとは別に補正したバックライトの光量データを受信する必要もない。
【0014】
また、調光エリアのバックライトの光量をこの調光エリアに隣接する調光エリアのバックライトの光量に応じて補正する。そのため、液晶表示装置内の隣接し合う調光エリア同士において、輝度成分の平均値等が同一または近似する画像部分を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で明るさが大幅に異なることを抑制できる。このように抑制できる補正後の光量にて入力画像データを補正画像データに補正しているため、この補正画像データを基に、液晶表示装置は、バックライトの光量調整を行うことができる。よって、違和感のある画像が液晶表示装置に表示されることを抑制できる。
【0015】
このように、上記構成によると、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【0016】
また、本発明の表示制御装置では、前記液晶表示装置は、前記調光エリアを複数有する表示部を複数備えたマルチディスプレイ装置であり、前記光量補正部は、第1表示部の第1調光エリアに隣接して、第2表示部の第2調光エリアが存在する場合、前記第1調光エリアのバックライトの光量を、前記第2調光エリアのバックライトの光量に応じて補正してもよい。
【0017】
ここで、従来のマルチディスプレイ装置では光量補正を適切に行えない。これについて以下に説明する。従来のマルチディスプレイ装置では、バックライトの光量を演算する制御回路(ICチップ)は表示部毎に取り付けられている。したがって、マルチディスプレイ装置では、ローカルディミングに基づくバックライトの光量の演算、および、前記の光量補正は、表示部毎に行われる。
【0018】
つまり、各表示部の各制御回路は、自身の表示部にて表示される画像の画像データを参照してこの表示部の各エリアについての光量を算出し、その後、隣接するエリアとの間で光量の差が大き過ぎるエリアが生じないようにこの表示部内の各エリアの光量を補正している。すなわち、各表示部の各制御部は、自身の表示部の各エリアの光量と隣の表示部の各エリアの光量との差や比を考慮することなく、自身の表示部の各エリアの光量を補正している。それゆえ、例えば、第1表示部の第1エリアと第2表示部の第2エリアとが両表示部の境界を挟んで互いに隣接しているマルチディスプレイ装置において、前記の光量補正が行われた結果、第1エリアにおいて100%の光量にて黒色を表示すると共に第2エリアにおいて0%の光量にて黒色を表示する事態が生じる可能性がある。このようなことが生じると、第1表示部と第2表示部との境界を挟んで隣接し合う前記第1エリアと前記第2エリアとで同じ色(黒色)を表示しているにもかかわらず、前記第1エリアの黒色の明るさ(輝度)と第2エリアの黒色の明るさとが大幅に異なってしまい、その結果、マルチディスプレイ装置全体として違和感のある画像を表示してしまうという問題が生じる。
【0019】
しかし、本発明の上記構成によれば、ある表示部とこれと隣接する表示部との境界を挟んで互いに隣接し合う調光エリア同士においても、一方の調光エリアのバックライトの光量を、他方の調光エリアのバックライトの光量に応じて補正できる。
【0020】
それゆえ、ある表示部とこれに隣接する表示部との境界を挟んで互いに隣接し合う調光エリア同士において、輝度成分の平均値等が同一または近似する画像部分を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で明るさが大幅に異なることを抑制できる。よって、複数の液晶表示装置を配列したマルチディスプレイ装置において違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【0021】
また、本発明の表示制御装置では、前記光量補正部は、互いに隣り合う調光エリア同士のバックライトの光量差の最高値が抑制されるように、前記補正を行うようになっていてもよい。
【0022】
上記構成によると、互いに隣り合うエリア同士のバックライトの光量差の最高値(絶対値)が補正前よりも補正後の方が小さくなるように補正されるため、調光エリア同士のバックライトの光量差が極端にならず、違和感のない表示を実現することができる。
【0023】
さらに、本発明の表示制御装置では、前記光量補正部は、互いに隣り合う2つの調光エリアにおける各光量のうちの小さい方の光量が大きい方の光量の1/n倍未満(n>1)にならないように、前記補正を行うようになっていてもよい。
【0024】
上記構成によると、適切に違和感のない視認性のよい表示を実現することができる。
【0025】
また、本発明の表示制御装置では、前記光量補正部は、前記複数の調光エリアの全てを順に注目エリアとして扱い、前記注目エリアの隣に位置する各隣接エリアのバックライトの光量のなかで最も大きな光量を隣接光量とし、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さいか否かを判定し、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さくない場合、前記注目エリアのバックライトの光量を補正せず、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さい場合、前記注目エリアのバックライト光量を前記隣接光量の1/n倍の値に補正するようになっていてもよい。
【0026】
上記構成によると、調光エリア全体に渡って違和感のない視認性のよい表示を実現することができる。よって、高品質の画像を表示することができる。
【0027】
また、上記の課題を解決するために、本発明の表示システムは、上記いずれかの本発明の表示制御装置と、画像を表示する複数の調光エリアを有しており、前記表示制御装置から入力された前記出力画像データを基に、調光エリア毎にバックライトの光量調整を行う光量調整部を備えた液晶表示装置と、を備えたことを特徴としている。
【0028】
上記システムによると、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【0029】
また、上記の課題を解決するために、本発明は、画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な液晶表示装置に、画像データを出力するデータ出力方法であって、入力画像データを前記調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、前記調光エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出工程と、前記算出された調光エリアのバックライトの光量を、当該調光エリアに隣接する調光エリアである隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正工程と、前記複数の調光エリアのバックライトの光量が、それぞれ、前記光量補正肯定にて補正された光量となるよう、前記入力画像データを出力画像データに補正する画像補正工程と、前記出力画像データを前記液晶表示装置に出力する出力工程と、を含むことを特徴としている。
【0030】
上記方法によると、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【0031】
また、本発明の表示制御装置はコンピュータによって実現されてもよく、この場合、コンピュータを前記表示制御装置の各部として機能させるプログラム、および、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、以上のように、入力画像データを前記調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、前記調光エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出部と、前記算出された調光エリアのバックライトの光量を、当該調光エリアに隣接する調光エリアである隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正部と、前記複数の調光エリアのバックライトの光量が、それぞれ、前記光量補正部にて補正された光量となるよう、前記入力画像データを出力画像データに補正する画像補正部と、前記出力画像データを前記液晶表示装置に出力する出力部と、を備えている。
【0033】
上記構成によると、各調光エリアのバックライトの光量が、入力画像データを調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき補正したバックライトの光量となるよう、入力画像データを出力画像データに補正してから、液晶表示装置に出力する。このように入力画像データが補正画像データに補正されているので、液晶表示装置では、この補正画像データに基づき、調光エリア毎にバックライトの光量調整を行えばよい。つまり、液晶表示装置側では、バックライトの光量を補正する必要はない。また、画像データとは別に補正したバックライトの光量データを受信する必要もない。
【0034】
また、調光エリアのバックライトの光量をこの調光エリアに隣接する調光エリアのバックライトの光量に応じて補正する。そのため、液晶表示装置内の隣接し合う調光エリア同士において、輝度成分の平均値等が同一または近似する画像部分を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で明るさが大幅に異なることを抑制できる。このように抑制できる補正後の光量にて入力画像データを補正画像データに補正しているため、この補正画像データを基に、液晶表示装置は、バックライトの光量調整を行うことができる。よって、違和感のある画像が液晶表示装置に表示されることを抑制できる。
【0035】
このように、上記構成によると、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】バックライトの光量調整を行わないタイプの液晶表示装置と、バックライトの光量調整が可能なタイプの液晶表示装置とを説明するための図である。
【図2】ローカルディミングを実行しないタイプの液晶表示装置と、ローカルディミングを実行可能なタイプの液晶表示装置とを説明するための図である。
【図3】ローカルディミングを実行可能なタイプの液晶表示装置における問題点を説明するための図である。
【図4】ローカルディミングの手法に基づいて光量を算出した後、各エリアの光量を補正するタイプの液晶表示装置を説明するための図である。
【図5】マルチディスプレイ装置におけるローカルディミングを説明するための図である。
【図6】マルチディスプレイ装置において、ローカルディミングを行い、且つ光量補正を行う場合の問題点を説明するための図である。
【図7】本実施形態の表示システムのコンセプトを説明するための図である。
【図8】本実施形態の表示システムの構成を示す模式図である。
【図9】本実施形態の表示制御装置において、マルチディスプレイ装置全体で表示させる画像の画像データに基づいて各エリアの光量を算出する事を示す図である。
【図10】本実施形態の表示制御装置において、各エリアの光量を、隣接エリアの光量に応じて補正する光量補正を行っていることを示す図である。
【図11】本実施形態の表示制御装置において、光量補正した後の光量を示す光量データを元に画像データを補正することを示す図である。
【図12】本実施形態の表示システムにおいて、各表示部が表示制御装置から受信した補正画像データに応じて、バックライトを駆動し、かつ補正画像データを表示することを示す図である。
【図13】ローカルディミングに基づいて各エリアの光量を算出した後に行われる光量補正処理の流れを示したフローチャートである。
【図14】バックライト全点灯(BL=100)、バックライト50%点灯(BL=50)、バックライト消灯(BL=0)のときの入力画像の輝度値と出力画像の輝度値との関係を、示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本実施形態では、画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライト(バックライト装置)の光量調整が可能な(ローカルディミング可能な)表示部を、複数備えたマルチディスプレイ装置に、画像データを出力する表示制御装置及び表示システムについて説明する。しかし、本発明の表示装置及び表示システムは、画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な単体の液晶表示装置、言い換えれば、ローカルディミング可能な表示部を1つ備えた液晶表示装置、に画像データを出力する表示制御装置及び表示システムについても適用可能である。
【0038】
[本実施形態のコンセプト]
まず、本願の発明者が本実施形態の表示制御装置及び表示システムを構築するに至った経緯、および、本実施形態の表示制御装置及び表示システムのコンセプトを図1〜図7,図13を用いて以下説明する。
【0039】
図1に示す第1タイプの液晶表示装置のように、バックライトの光量調整ができない場合、黒色画像(黒のベタ画像)を表示するときであっても100%の光量でバックライトを点灯し続けなければならない。このため、黒色画像を表示している場合であっても、液晶パネルの各画素からバックライトの光が僅かに漏れ、この光の漏れが原因で黒色画像の輝度がゼロにならず、いわゆる黒浮きが発生することになる。これに対し、バックライトの光量調整を行える第2タイプの液晶表示装置によれば、図1に示すように、黒色のベタ画像を表示するときにはバックライトの光量を0%に調整できる(つまりバックライトを点灯しない)。これにより、いわゆる黒浮きのない、引き締まった黒色画像(輝度がゼロ)を表示できるようになる。それゆえ、バックライトの光量調整ができない第1タイプの液晶表示装置よりも、バックライトの光量調整が可能な第2タイプの液晶表示装置の方が好ましい。なお、本実施形態において、バックライトの光量は、出力光量の最高値を100とした場合の百分率で示され、その単位は%で表される。
【0040】
また、近年では、液晶パネルを複数のエリア(調光エリア)に分割すると共に、分割された各エリアの画像データに基づいて各エリア別にバックライトの光量を調整するローカルディミングを行うことの可能な液晶表示装置が多用されることになった。具体的には、各エリア毎に、表示される画像の画像データの輝度成分の統計値(平均値、中央値等)を算出し、この統計値に応じてバックライトの光量を算出するようになっている。なお、輝度成分(Y)とは、画像データに示される画像の明るさを示す値であって、画像データにおけるR値、B値、G値から算出される値である。
【0041】
なお、本明細書において、単に輝度と称す場合、実際に表示されている画像の明るさを示す尺度を意味する(例えば測光値)。これに対し、輝度成分と称す場合、画像データから算出される、画像の明るさを示す値を意味する。
【0042】
つぎに、前記のローカルディミングのメリットを、図2を参照して以下説明する。図2に示す第3タイプの液晶表示装置のようにローカルディミングを行わない場合、黒色画像と白色画像(白色のベタ画像)とが混在する画像を表示するとき、白色画像に対して照射される光量と同一光量で黒色画像に対してもバックライトの光を照射することになるため、黒色画像にて黒浮きが生じてしまう。それゆえ、ローカルディミングを行わない第3タイプの液晶表示装置にて表示される画像はコントラスト感が不足気味になる。これに対し、図2に示す第4タイプの液晶表示装置のようにローカルディミングを行う場合、黒色画像と白色画像とが混在する画像を表示するとき、白色画像に対しては100%の光量でバックライトの光を照射する一方で黒色画像に対してはバックライトの光を照射しないという制御が可能になる。それゆえ、図2に示すように、ローカルディミングを実行可能な第4タイプの液晶表示装置は、前述の第3タイプの液晶表示装置よりも、コントラスト比の高い画像を表示できる。また、ローカルディミングを実行可能な第4タイプの液晶表示装置は、前述の第3タイプの液晶表示装置よりも、バックライトの発光量を減少させることができ、消費電力を減らすことが可能である。
【0043】
ところが、ローカルディミングは、コントラスト比の高い画像を表示できるというメリットを有する一方で、デメリットも有している。以下ではこのデメリットを図3に基づいて説明する。
【0044】
図3に示すように、第4タイプの液晶表示装置における各エリアのうち、中央のエリアにて白色画像と黒色画像とが混在している画像を表示し、他のエリアにて黒色画像のみを表示する場合を想定する。この場合、図3に示すように、第4タイプの液晶表示装置では、ローカルディミングによって、中央のエリアの光量が100%に決定され、他エリアの光量が0%に決定される。それゆえ、第4タイプの液晶表示装置では、図3の符号10に示すように、中央エリアの黒色の輝度と他エリアの黒色の輝度とが大きく異なり、エリア間の境界が顕在化した違和感のある画像が表示されてしまうというデメリットが生じることになる。なお、ローカルディミングを行わない第3タイプの液晶表示装置では、エリア別に光量調整を行わないため、図3の符号20に示すように、エリア間の境界が顕在化した違和感のある画像を表示するというデメリットは生じないが、前述のとおりコントラスト感が不足気味というデメリットを有する。
【0045】
これに対し、コントラスト比の高い画像を表示しつつ、ローカルディミングのデメリットを抑制するためには、ローカルディミングの手法に基づいて各エリアの光量を算出した後、隣接するエリアとの間で光量の差が大きすぎるエリアが生じないように、各エリアの光量(バックライトの光量)を補正する処理を行えばよい。以下ではこの補正について詳細に説明する。
【0046】
図3および図4に示す第4タイプの液晶表示装置のローカルディミングのように、互いに隣り合う2つのエリアのうち、一方のエリアの光量を最高値(100%)に決定する一方で、他方のエリアの光量を最低値(0%)に決定してしまうと、エリア間の境界が顕在化してしまう。特に、図3および図4に示すように、第4タイプの液晶表示装置では、中央エリアおよびその隣のエリアで黒色画像を表示しているにもかかわらず、中央エリアの光量を最高値(100%)に決定する一方でその隣のエリアの光量を最低値(0%)に決定しているため、中央エリアの黒色の輝度とその隣のエリアの黒色の輝度とが大きく異なってしまい、違和感の有る画像が表示されることになる。
【0047】
そこで、図4に示す第5タイプの液晶表示装置のように、ローカルディミングの手法に基づいて各エリアの光量を算出した後、隣接するエリアとの間で光量の差が大きすぎるようなエリアが生じないように、各エリアの光量を補正すれば、ローカルディミングのデメリットを克服できる。以下では、この補正を光量補正と称し、光量補正の処理の流れを図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0048】
前記の第5タイプの液晶表示装置の制御部(ICチップ)は、図13に示される処理の実行前に、まず、ローカルディミングによって、各エリアの画像データの輝度成分の統計値(平均値等)に基づいて、各エリアの光量を算出する。ここで、算出された各エリアの光量を図4の符号30に示す。各エリアの光量の算出後、前記制御部は、図13に示すように、全てのエリアのうちのいずれか1つのエリアを注目エリアとして決定する(S1)。
【0049】
次に、前記制御部は、注目エリアに隣接する各隣接エリアの各光量のうち、最も大きな光量の1/2の値(最も大きな光量値の半分の値)を算出する(S2)。但し、算出値に小数点未満の値が含まれる場合、小数点以下の値は切り上げられる。
【0050】
なお、隣接エリアとは、注目エリアの右隣に存在する右エリア、注目エリアの左隣に存在する左エリア、注目エリアの上隣に存在する上エリア、注目エリアの下隣に存在する下エリアの4つのエリアを意味する。但し、表示パネルの端部に位置するエリアが注目エリアの場合、左エリア、右エリア、上エリア、下エリアのうち、1つまたは2つが存在しないため、隣接エリアは2つまたは3つになる。例えば、図4の符号aのエリアが注目エリアの場合、符号bのエリア、符号cのエリア、符号dのエリア、符号eのエリアが隣接エリアとなる。また、図4の符号cのエリアが注目エリアの場合、符号aのエリア、符号fのエリア、符号gのエリアが隣接エリアになる。
【0051】
したがって、例えば、符号aのエリアが注目エリアの場合、4つの隣接エリアのいずれも光量が0であるため、S2の算出値は0になる。また、例えば、符号cのエリアが注目エリアの場合、3つの隣接エリアの各々の光量値うち、最も大きな光量は100であるため、S2の算出値は50になる。
【0052】
S2の後、前記制御部は、注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さいか否かを判定する(S3)。
【0053】
注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さくないと判定された場合、つまり注目エリアの光量がS2にて算出された値と等しいまたはS2にて算出された値より大きいと判定された場合、前記制御部は、注目エリアに対して「補正無」を示すラベルを対応付けて(S4)、処理をS7に移行する。
【0054】
これに対し、注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さいと判定された場合、前記制御部は、注目エリアの光量を補正する(S5)。具体的に、前記制御部は、S5において、注目エリアの光量を、S2にて算出された値に補正する。したがって、図4に示す符号cのエリアが注目エリアの場合、注目エリアの光量は0から50に補正されることになる。S5の後、前記制御部は、注目エリアに対して「補正済」を示すラベルを対応付けて(S6)、処理をS7に移行する。
【0055】
S7において、前記制御部は、液晶表示装置の全てのエリアに対して、「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられているか否かを判定する。そして、前記制御部は、全てのエリアに対して「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられていないと判定した場合(S7にてNO)、注目エリアを、「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのいずれも対応付けられていないエリアに変更し(S8)、S2以降の処理を再度繰り返す。これにより、全てのエリアが注目エリアにされた履歴を有するようになるまでS2〜S7の処理が繰り返されることになる。また、前記制御部は、液晶表示装置の全てのエリアに対して「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられていると判定した場合(S7にてYES)、処理をS9に移行する。
【0056】
S9において、前記制御部は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在するか否かを判定する。そして、前記制御部は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在すると判定した場合(S9にてYES)、全てのエリアに対応付けられている全てのラベルを消去し(S10)、S1以降の処理を再度繰り返す。これに対し、前記制御部は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在しないと判定した場合、図13のフローチャートに示される処理を終了する。これにより、第5タイプの液晶表示装置に含まれる全てのエリアの各々を1回づつ注目エリアとして扱い、全てのエリアの各々に対してS2〜S7を順次施す工程を1工程とする場合、1工程の間に少なくとも1つの注目エリアにて光量の補正が行われた場合は前記の1工程を再度繰り返し、1工程の間に1度も光量の補正が行われなかった場合は処理を終了することになる。これにより、1工程の間に少なくとも1つのエリアにおいて光量の補正が行われている間は図13の処理が継続され、1工程の間に光量値の補正が行われたエリアがなかった場合に図13の処理が終了するようになっている。
【0057】
図13に示される処理が行われる結果、第5タイプの液晶表示装置のバックライトの光量は、図4の符号30に示される値から符号40に示される値に補正されることになる。つまり、中央エリアと隣接エリアとの光量差が100から50に抑制され、また、中央エリアと隣接エリア以外のエリアとの光量差も100から75に抑制されている。それゆえ、中央エリアと中央エリア以外のエリアとの間で黒色の輝度の差が抑制された画像を表示できることになり、ローカルディミングのデメリットを克服できる。さらに、コントラスト感の不足も抑制される。
【0058】
言い換えると、以上の光量補正が行われる結果、互いに隣り合うエリア同士のバックライトの光量差の最高値(絶対値)が補正前よりも補正後の方が小さくなるように補正されることになる。さらに、互いに隣り合うエリア同士の各光量において小さい方の光量が大きい方の光量の半分未満にならないように、第5タイプの液晶表示装置に含まれる各エリアの光量が補正されることになる。その結果、各エリアの位置を横軸にして各エリアの光量を縦軸にしたヒストグラムを想定した場合、前記光量補正前は前記ヒストグラムにおける光量変化が急峻であるが(符号30)、前記光量補正後は前記ヒストグラムにおける光量変化が滑らかになる(符号40)。これにより、互いに隣り合うエリア間での大きな輝度差が抑制された画像を表示できることになり、ローカルディミングのデメリットを克服できる。
【0059】
つぎに、複数の表示部(液晶表示装置)を配列したマルチディスプレイ装置におけるローカルディミングについて説明する。
【0060】
図5に示すように、バックライトの光量調整が可能であるもののローカルディミングを行わない表示部を複数配列した第1タイプのマルチディスプレイ装置と、ローカルディミングを行える表示部を複数配列した第2タイプのマルチディスプレイ装置とがあるものとする(なお、両装置とも、マトリクス状に9個の表示部を配列してなるものである)。
【0061】
そして、両方のマルチディスプレイ装置において、中央に位置する表示部における中央エリアのみ白色画像が表示され、中央に位置する表示部の他のエリアおよび他の表示部には黒色画像が表示されている場合を想定する。
【0062】
この場合、図5に示すように、第1タイプのマルチディスプレイ装置では、中央の表示部の光量は、黒色画像を表示するエリアがあるにもかかわらず全エリアにおいて100%に決定され、黒色画像を表示する他の表示部の光量値は0%に決定される。それゆえ、第1タイプのマルチディスプレイ装置では、図5の符号61に示すように、中央の液晶表示装置の黒色の輝度と他の表示部の黒色の輝度とが異なり、装置全体で違和感のある画像が表示されてしまうというデメリットが生じることになる。
【0063】
これに対し、ローカルディミングを行える第2タイプのマルチディスプレイ装置では、中央の表示部において、白色画像を表示するエリアに対するバックライトの光量を100%にする一方、黒色画像を表示するエリアに対してはバックライトを照射せず(光量が0%)、黒色画像のみを表示する他の表示部でもバックライトを照射しないといった制御が可能になる。それゆえ、図5の符号70に示すように、第2タイプのマルチディスプレイ装置では、中央の表示部の黒色の輝度と別の表示部の黒色の輝度とが同じになり、図5の符号61に示す画像のような違和感が生じない。それゆえ、マルチディスプレイ装置においても、単体の液晶表示装置と同様、ローカルディミングを導入する方が好ましい。
【0064】
但し、マルチディスプレイ装置において単にローカルディミングを導入しただけでは、図4の第4タイプの液晶表示装置にて生じている問題点と同じ問題点が生じることになる。つまり、マルチディスプレイ装置に含まれる1つの表示部に属する複数エリアのうち、1つのエリアにおいて白色と黒色とが混在する画像を表示し、他のエリアにおいては黒色画像のみを表示するような場合、図4の符号60に示されるような違和感のある画像を表示してしまうという問題が生じる。そこで、このような問題を生じさせないために、マルチディスプレイ装置においても、図4に示す第5タイプの液晶表示装置と同様に、前記の光量補正を行うべきものと考えられる。
【0065】
ところが、マルチディスプレイ装置において、単純に前記の光量補正を行うだけでは別の問題が生じることになる。以下では当該問題を説明する。通常のマルチディスプレイ装置では、バックライトの光量を演算する制御部(ICチップ)は表示部毎に取り付けられている。したがって、通常のマルチディスプレイ装置において、ローカルディミングにおける光量の演算、および、前記の光量補正は、表示部毎に行われる。つまり、各表示部の各制御部は、自身の表示部にて表示される画像の画像データを参照してこの表示部内の各エリアの光量を算出し、その後、自身の表示部の各エリアの光量を参照してこの表示部の各エリアの光量を補正している。
【0066】
言い換えると、各表示部は、自身の表示部以外の表示部の画像データや光量値を入力しないため、各表示部の各制御部は、自身の表示部以外の表示部の各エリアの光量値を参照できない。それゆえ、各表示部の各制御部は、自身の表示部の各エリアの光量値と隣の表示部の各エリアの光量値との差や比を考慮することなく、自身の表示部の各エリアの光量値を補正していることになる。
【0067】
よって、例えば、図6に示す第3タイプのマルチディスプレイ装置のように、ローカルディミングおよび前記光量補正が行われたにもかかわらず、中央の表示部95のエリアAにて50%の光量値にて黒色を表示すると共に、隣の表示部90に属しており前記エリアAの隣に位置するエリアBにて0%の光量値にて黒色を表示するというようなことが起こる。これは、エリアBを有する表示部90の制御部は、エリアBに隣り合う各エリアの各光量のうち、自身の表示部(表示部90)に属する各エリアの光量(0%)を参照できるものの、自身の表示部(表示部90)の隣に位置する表示部95に属するエリアAの光量(50%)を参照できず、ひいてはエリアAの光量に基づいてエリアBの光量を補正できないからである。
【0068】
そして、このようなことが生じると、図6または図7の符号80にて示すように、ある表示部で表示される黒色の輝度と別の表示部にて表示される黒色の輝度とが大幅に異なってしまい、その結果、マルチディスプレイ装置全体で違和感のある画像を表示してしまうという問題が生じることになる。
【0069】
そこで、本実施形態の表示システムでは、表示部毎に独立して前記光量補正を行うのではなく、各表示部の各エリアの光量補正を行う際に、互いに異なる表示部に属し且つこれら表示部の間の境界を跨いで隣り合っているエリア同士については、互いの光量を参照して互いの光量を補正できるようにする。つまり、注目エリアに隣接する各隣接エリアに、注目エリアの属する表示部と同じ表示部に属する隣接エリアと、注目エリアの属する表示部の隣りの表示部に属する隣接エリアとが含まれている場合、注目エリアの属する表示部と同じ表示部に属する隣接エリアの光量のみならず、注目エリアの属する表示部の隣りの表示部に属する隣接エリアの光量をも参照して、注目エリアの光量を補正できるようにする。
【0070】
具体的には、注目エリアに隣接する各隣接エリアのうちの1つまたは2つが注目エリアの属する表示部の隣の表示部に属しているような場合、注目エリアと同じ表示部に属する隣接エリアの光量のみならず、注目エリアの属する表示部の隣の表示部に属している隣接エリアの光量をも参照して、注目エリアの光量の補正の要否を判定する。そして、必要に応じて、注目エリアの属する表示部の隣の表示部に属している隣接エリアの光量に基づいて、注目エリアの光量を補正する処理を行う。
【0071】
これにより、図7の符号35に示すように、本実施形態では、隣接し合う表示部間の光量差が緩和されるように光量補正されるため、隣接し合う表示部間での黒色の輝度の相違を緩和でき、マルチディスプレイ装置全体で表示される画像の違和感を抑制できる。
【0072】
さらに本実施形態の表示システムでは、補正した光量を用いて画像データを補正して、この補正した画像データを各表示部に出力する。そのため、容易な構成で、各表示部の負荷を抑制して、バックライトの光量補正を適切に行うことができる。
【0073】
[本実施形態の表示システムの構成]
つぎに、本実施形態の表示システムの構成および処理内容を、図8〜図13に基づいて以下説明する。
【0074】
図8に示すように、本実施形態の表示システム101は、マトリクス状に配列された表示部110、120、130、140を有するマルチディスプレイ装置(液晶表示装置)100、これら表示部110、120、130、140に通信可能に接続されている表示制御装置150とを備えている。なお、表示制御装置150と、表示部110、120、130、140とは、HDMI(High Definition Multimedia Interface)またはDVI(Digital Visual Interface)等の周知の通信手段によって通信可能に接続されている。本実施形態では表示部は4つであるが、4に限定されず、2以上であればマルチディスプレイ装置とすることができる。
【0075】
表示部110、120、130、140は、各々、透過型の液晶表示装置であり、本実施形態では、画像を表示する、マトリクス状に配列された9つのエリア(調光エリア)に分割されている。そして、エリア毎にバックライトの光量調整が可能になっている(各表示部は光量調整部を有している)。そして、表示部110は表示部120、130と隣り合い、表示部120は表示部110、140と隣り合い、表示部130は表示部110、140と隣り合い、表示部140は表示部120、130と隣り合っている。
【0076】
なお、本実施形態では、図8に示すように、表示部110は、エリア(1-1)〜(1-9)の9つのエリアを有し、表示部120は、エリア(2-1)〜(2-9)の9つのエリアを有し、表示部130は、エリア(3-1)〜(3-9)の9つのエリアを有し、表示部140は、エリア(4-1)〜(4-9)の9つのエリアを有している。エリアの数はこれらに限定されない。
【0077】
表示制御装置150は、表示部110、120、130、140の各々に画像を送信する装置である。表示制御装置150は、図8に示すように、光量算出部161と、光量補正部162と、画像補正部160と、出力部163とを備えている。そして、表示制御装置150は、外部のPC等から入力(送信)されたマルチディスプレイ装置100全体に対応する画像(元画像)の画像データ(映像信号)を受信する。なお、外部からの元画像の画像データが入力されるのではなく、表示制御装置150にて元画像の画像データを作成するようになっていてもよい。
【0078】
光量算出部161は、元画像の画像データ(入力画像データ)を各表示部110、120、130、140に属する各エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、各表示部110、120、130、140に属する各エリアのバックライトの光量を算出する処理(光量算出工程)を行う(ローカルディミングの手法に基づく光量算出を行う)。
【0079】
すなわち、光量算出部161は、図8に示すエリア(1-1)〜(1-9)、エリア(2-1)〜(2-9)、エリア(3-1)〜(3-9)、エリア(4-1)〜(4-9)毎に、次の処理を行う。エリア(i-j)について、元画像の画像データをエリア(i-j)に割り当てた部分画像データの輝度成分の統計値(平均値、中央値等)を算出し、当該輝度成分の統計値に応じてエリア(i-j)のバックライトの光量を算出する。なお、iは1から4のいずれか、jは1から9のいずれかの整数である。
【0080】
ここで部分画像データとは、マルチディスプレイ装置100全体に元画像の画像データがそのまま表示される場合の、あるエリア(i-j)に表示される画像データ、つまり、元画像の画像データのうちエリア(i-j)に割り当てられる画像データ、である。よって、全エリアに割り当てた部分画像データを集めると、元画像の画像データとなる。
【0081】
エリア(i-j)に割り当てられた部分画像データの輝度成分(エリア(i-j)の輝度成分)の統計値として、例えば、輝度成分の平均値Xijを算出する場合、以下の式(1)を用いることができる。ここで、エリア(i-j)にN個×M個の画素があるものとする。
【0082】
【数1】
【0083】
なお、輝度成分の統計値の算出は上記に限られない。また、輝度成分の統計値ではなく、彩度成分の統計値を用いてもよい。
【0084】
そして、エリア(i-j)の輝度成分の平均値Xijから、このエリア(i-j)のバックライトの光量BLijを算出するには、以下の式(2)を用いる。ここで、バックライトは、光量が0%で点灯せず、100%で全点灯するものとする。
【0085】
【数2】
【0086】
輝度成分の平均値Xijは0から255の値を取るために、255で正規化している。また、本実施形態では光量を百分率(%)で示すため、100で正規化している。
【0087】
このようにバックライトの光量を、エリア(1-1)〜(1-9)、エリア(2-1)〜(2-9)、エリア(3-1)〜(3-9)、エリア(4-1)〜(4-9)毎に求める。
【0088】
具体的には、輝度成分が小さいほど暗く、輝度成分が大きいほど明るいため、輝度成分の平均値が大きいエリア(明るいエリア)ほど高値の光量が算出され、輝度成分の平均値が小さいエリア(暗いエリア)ほど低値の光量が算出される。
【0089】
例えば、表示制御装置150に、エリア(4-5)が白色になり、エリア(4-5)以外の全エリアが黒色になるような元画像の画像データが入力されるものとする。この場合、光量算出部161は、図9に示すように、エリア(4-5)の光量の値として100%を算出し、エリア(4-5)以外の各々のエリアの光量の値として0%を算出する。このように光量算出部161にて算出された光量の値を、光量の初期値と呼ぶ。本実施形態では、光量の値は百分率(%)で示す。なお、以下では%を省略する。
【0090】
ここで、図9において、表示制御装置150内の光量算出部161、光量補正部162、画像補正部160、出力部163は、省略されている。また、後述する図10〜図12においても、図9と同様、表示制御装置150内の光量算出部161、光量補正部162、画像補正部160、出力部163は、省略されている。
【0091】
光量補正部162は、図9に示されるように各エリアの光量が光量算出部161によって算出された後、図13に示される光量補正を行う(光量補正工程)。但し、本実施形態では、図4の第5タイプの液晶表示装置や図6に示される第3タイプのマルチディスプレイ装置とは異なり、図13のS2において、注目エリアの属する表示部だけではなく、注目エリアの属する表示部の隣の表示部にも、注目エリアに隣接する隣接エリアが存在する場合、注目エリアの属する表示部に含まれる前記隣接エリアの光量値と、注目エリアの属する表示部の隣の表示部に含まれる前記隣接エリアの光量値とを参照するようになっている。また、本実施形態における光量補正では、図4の第5タイプの液晶表示装置の光量補正と比べて、僅かに異なる点がある。そこで、以下では、図13を用いて本実施形態の表示システム101の表示制御装置150における光量補正の手順を説明する。
【0092】
まず、光量補正部162は、マルチディスプレイ装置100の全てのエリア(1-1)〜(1-9)、(2-1)〜(2-9)、(3-1)〜(3-9)、(4-1)〜(4-9)のうち、いずれか1つのエリアを注目エリアとして決定する(S1)。
【0093】
つぎに、光量補正部162は、注目エリアに隣接する各隣接エリアの各光量のうち、最も大きな光量の1/2の値(最も大きな光量値の半分の値)を算出する(S2)。但し、算出値に小数点未満の値が含まれる場合、小数点以下の値は切り上げられる。例えば、各隣接エリアの各光量のうち、最も大きな光量が「25」の場合、「12.5」の値が算出されるが、「12.5」は「13」に切り上げられる。
【0094】
なお、隣接エリアとは、注目エリアの右隣に存在する右エリア、注目エリアの左隣に存在する左エリア、注目エリアの上隣に存在する上エリア、注目エリアの下隣に存在する下エリアの4つのエリアを意味する。
【0095】
また、注目エリアの属する表示部の隣の表示部にも注目エリアに隣接するエリアがある場合、当該エリアも隣接エリアとして扱われる。例えば、図8に示すエリア(1-8)が注目エリアである場合、エリア(1-5)(1-7)(1-9)の他、エリア(3-2)も隣接エリアになる。また、エリア(1-9)が注目エリアである場合、エリア(1-6)(1-8)の他、エリア(2-7)(3-3)も隣接エリアになる。また、例えば、エリア(2-7)が注目エリアの場合、エリア(2-4)(2-8)の他、エリア(1-9)(4-1)も隣接エリアになり、エリア(4-2)が注目エリアの場合、エリア(4-1)(4-3)(4-5)の他、エリア(2-8)も隣接エリアになる。
【0096】
なお、マルチディスプレイ装置100の端部に位置するエリアが注目エリアの場合、左エリア、右エリア、上エリア、下エリアのうち、1つまたは2つが存在しないため、隣接エリアは2つまたは3つになる。例えば、図8のエリア(1-1)が注目エリアの場合、エリア(1-2)(1-4)のみが隣接エリアであり、図8のエリア(1-4)が注目エリアの場合、エリア(1-1)(1-5)(1-7)のみが隣接エリアである。
【0097】
S2の後、光量補正部162は、注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さいか否かを判定する(S3)。注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さくないと判定された場合、つまり注目エリアの光量がS2にて算出された値と等しいまたはS2にて算出された値より大きいと判定された場合、光量補正部162は、注目エリアに対して「補正無」を示すラベルを対応付けて(S4)、処理をS7に移行する。
【0098】
これに対し、注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さいと判定された場合、光量補正部162は、注目エリアの光量を補正する(S5)。具体的に、光量補正部162は、S5において、注目エリアの光量を、S2にて算出された値に補正する。S5の後、光量補正部162は、注目エリアに対して「補正済」を示すラベルを対応付けて(S6)、処理をS7に移行する。
【0099】
S7において、光量補正部162は、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリア(1-1)〜(1-9)、(2-1)〜(2-9)、(3-1)〜(3-9)、(4-1)〜(4-9)に、「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられているか否かを判定する。そして、光量補正部162は、全てのエリアに対して「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられていないと判定した場合(S7にてNO)、注目エリアを、「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのいずれも対応付けられていないエリアに変更し(S8)、S2以降の処理を再度繰り返す。これにより、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリアが注目エリアにされた履歴を有するようになるまでS2〜S7の処理が繰り返されることになる。
【0100】
また、光量補正部162は、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリアに対して「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられていると判定した場合(S7にてYES)、処理をS9に移行する。
【0101】
S9において、光量補正部162は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在するか否かを判定する。そして、光量補正部162は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在すると判定した場合(S9にてYES)、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリアに対応付けられている全てのラベルを消去し(S10)、S1以降の処理を再度繰り返す。これに対し、光量補正部162は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在しないと判定した場合、図13のフローチャートに示される処理を終了する。これにより、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリアの各々を1回づつ注目エリアとして扱い、全てのエリアの各々に対してS2〜S7を順次施す工程を1工程とする場合、1工程の間に少なくとも1つの注目エリアにて光量の補正が行われた場合は前記の1工程を再度繰り返し、1工程の間に1度も光量の補正が行われなかった場合は処理を終了することになる。よって、1工程の間に少なくとも1つのエリアにおいて光量の補正が行われている間は図13の処理が継続され、1工程の間に光量値の補正が行われたエリアがなかった場合に図13の処理が終了するようになっている。
【0102】
光量補正部162が、図13に示される処理を行った結果、図10に示すように、各エリアの光量は符号191に示される初期値から符号192に示される値に補正されることになる。つまり、図8、図9、図10に示すように、エリア(4-5)の光量の初期値が100であるので、エリア(4-5)に隣接するエリア(4-4)の光量値は0から50に補正されることになる。さらに、本実施形態では、注目エリアの隣接エリアが注目エリアの属する表示部の隣の表示部にある場合であっても、S2において、その隣接エリアの光量も参照するようになっている。それゆえ、表示部130のエリア(3-6)の光量は、隣の表示部140のエリア(4-4)の光量の1/2の値である25に補正されていることになる。
【0103】
つまり、本実施形態の表示システム101では、互いに隣り合うエリア同士の各光量において小さい方の光量が大きい方の光量の半分未満にならないように、各エリアの光量が補正される。これにより、互いに隣接し合うエリア間の黒色の輝度の大きな相違を緩和できる。特に、本実施形態の表示システム101によれば、ある表示部とその隣の表示部との境界を挟んで互いに隣接し合うエリア同士においても、小さい方の光量が大きい方の光量の半分未満にならないように、各エリアの光量が補正されている。それゆえ、ある表示部とその隣の表示部との境界を挟んで互いに隣接し合うエリア同士の黒色の輝度の相違をも緩和できる。
【0104】
画像補正部160は、図13に示される処理の後、つまり光量算出部161および光量補正部162による処理の後、補正された光量に基づき、元画像の画像データを補正する(画像補正工程)。この画像データの補正について説明する。
【0105】
画像補正部160は、図11に示すように、光量補正部162にて補正した光量のデータ(補正光量データ)を用いて、各エリア(1-1)〜(1-9)、(2-1)〜(2-9)、(3-1)〜(3-9)、(4-1)〜(4-9)のバックライトの光量が、それぞれ、光量補正部162にて補正された光量となるよう、元画像の画像データを補正する。以下では、この補正後の画像データを補正画像データ、この補正画像データが示す画像を補正画像と称する。
【0106】
画像データの補正は、画素単位で行われる。それを具体的に説明する。まず、光量算出部161がエリア(i-j)について算出した光量をBLijとし、このBLijを光量補正部162にて補正した光量をBLij’とする。例えば、表示制御装置150に、エリア(4-5)が白色になり、エリア(4-5)以外の全エリアが黒色になるような元画像の画像データが入力された場合、図10に示すように、エリア(4-5)については、BL45=100、BL45’ =100であり、エリア(4-4)については、BL44=0、BL44’ =50、エリア(3-6)については、BL44=0、BL44’ =25である。
【0107】
画像補正部160は、このBLij’を用いて、エリア(i-j)の各画素について、各画素に割り当てられる元画像の輝度値である入力輝度値を出力輝度値に変換する。詳しく説明すると次のようになる。ある画素のR(赤)の入力輝度値(入力階調値)をRin、G(緑)の入力輝度値をGin、B(青)の入力輝度値をBin、とする。画像補正部160は、例えば、以下で示す式にて、これら入力輝度値(Rin、Gin、Bin)を、出力輝度値(Rout、Gout、Bout)に変換する。この出力輝度値(Rout、Gout、Bout)が、エリア(i-j)のある画素に割り当てられる補正画像の輝度値である。
【0108】
【数3】
【0109】
上記式中、光量BLij’を100で叙しているのは、本実施形態では光量が百分率で表されるものであるからである。ここで、上記式中のYについて説明する。
【0110】
エリア(i-j)にて、バックライトが全点灯している状態、つまりローカルディミングを行わない状態で、エリア(i-j)の全ての画素が、黒すなわち(R,G,B)=(0,0,0)を表示すると、黒浮きにより、ユーザにはエリア(i-j)に灰色が表示されているように見える。
【0111】
それに対し、ローカルディミングを行い、エリア(i-j)における全ての画素が、黒すなわち(R,G,B)=(0,0,0)を表示する際、バックライトを全消灯すると、ユーザには、エリア(i-j)は真っ黒(光が照射されていない黒)に見える。このローカルディミングを行った状態で、上記のローカルディミングをしていない状態での黒(灰色に見える黒)を再現させる(同程度の輝度を持たせる)ためには、各画素では、(R,G,B)=(Y,Y,Y)となる0より大きな値であるYを表示させる必要がある。このYは、例えば、輝度計などを用いて測定しながら任意に設定できる。これのYが上記式中のYである。これにより、バックライトが全点灯している状態(ローカルディミングを行わない状態)で、入力画像の輝度値が0の画素は、出力輝度値がYとなり、ローカルディミングを行った状態でもユーザには灰色に見える。図14は、入力画像の輝度値から出力素値の値を求めるための図であり、バックライト全点灯(BL=100)、バックライト50%点灯(BL=50)、バックライト消灯(BL=0)のときの入力画像の輝度値と出力画像の輝度値との関係を、示す図である。なお、図14において、切片がYである比例式が、上記〔数3〕の変換式を表している。
【0112】
ここで、入力輝度値(Rin、Gin、Bin)を、出力輝度値(Rout、Gout、Bout)に変換する算出式は、上記に限定されることはない。また、ルックアップテーブル(LUT)を用いて変換してもよい。
【0113】
そして、各表示部110,120,130,140に含まれる全ての画素について、入力輝度値と光量補正部162にて補正した光量とから、出力輝度値を求める。このように求めた全ての画素の出力輝度値のデータが、補正画像データである。
【0114】
出力部163は、画像補正部160にて補正された補正画像データを、各表示部110,120,130,140に出力(送信)する(出力工程)。ここで、各表示部110,120,130,140が、マルチディスプレイ装置100全体に表示される画像データから自身で表示する画像データを取り出せる機能あれば、補正画像データをそのまま、各表示部110,120,130,140に出力する。各表示部110,120,130,140が、自身で表示する画像の画像データを取り出せる機能がなければ、表示制御装置150にて、補正画像データを4分割し、分割した各画像データを各表示部110、120、130、140に送信する。すなわち、画像の中心を通り画像の横方向に平行な境界線と、画像の中心を通り画像の縦方向に平行な境界線とによって、1つの補正画像を4つに分割する。そして、出力部163は、分割された各画像のうち、左上の画像の画像データを表示部110に出力し、左下の画像の画像データを表示部130に出力し、右上の画像の画像データを表示部120に送信し、右下の画像の画像データを表示部140に出力する。
【0115】
その後、図12に示すように、各表示部110、120、130、140は、表示制御装置150から受信した補正画像データから光量を求め、この求めた光量となるよう各エリアのバックライトを調整(光量調整)して、各バックライトを駆動する。ここで、補正画像データからの光量の求め方は、上記した光量算出部161での画像データからの光量の求め方と同様にすればよい。
【0116】
つまり、各表示部110、120、130、140は、光量算出部161によって算出される。かつ、光量補正部162によって補正された光量に基づき、画像補正部160にて補正された補正画像データに応じて、エリア毎のバックライトの光量を調整し、当該補正画像データに応じた画像を表示する。よって、ローカルディミングされた違和感のない補正画像が表示される。
【0117】
以上のように、本実施形態の表示制御装置150は、画像を表示する複数のエリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な表示部を、複数備えたマルチディスプレイ装置100に、画像データを出力する。そして、表示制御装置150は、光量算出部161と光量補正部162と画像補正部160と出力部163とを有している。
【0118】
光量算出部161は、元画像の画像データ(入力画像データ)をエリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、エリア毎にバックライトの光量を算出する。光量補正部162は、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリアを順に注目エリアとして扱っていき、注目エリアのバックライトの光量を、注目エリアの隣に位置する隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する。画像補正部160は、各エリアのバックライトの光量が、それぞれ、光量補正部162にて補正された光量となるよう、元画像の画像データ(入力画像データ)を補正画像の画像データ(出力画像データ)に補正する。出力部163は、この補正画像の画像データをマルチディスプレイ装置100の各表示部に出力する。
【0119】
このように、各エリアのバックライトの光量が、元画像の画像データを調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき補正したバックライトの光量となるよう、元画像の画像データを補正してから、マルチディスプレイ装置100の各表示部に出力する。よって、マルチディスプレイ装置100の各表示部では、この補正画像の画像データに基づき、エリア毎にバックライトの光量調整を行えばよい。つまり、マルチディスプレイ装置100側では、バックライトの光量を補正する必要はない。また、画像データとは別に補正したバックライトの光量データを受信する必要もない。
【0120】
また、調光エリアのバックライトの光量をこの調光エリアに隣接する調光エリアのバックライトの光量に応じて補正する。そのため、表示部内の隣接し合う調光エリア同士にて同一または近似する輝度成分の画像データの画像を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で明るさが大幅に異なることを抑制できる。このように抑制できる補正後の光量にて画像データを補正しており、この補正された画像データを基に、各表示部は、バックライトの光量調整を行える。よって、違和感のある画像が各表示部に表示されることを抑制できる。
【0121】
このように、本実施形態の表示制御装置150によると、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【0122】
また、光量補正部162は、例えば、第1エリアが注目エリアになっており、第1エリアの隣に、第2表示部の第2エリアが存在するような場合、注目エリアのバックライトの光量を、前記第2エリアのバックライトの光量に応じて補正する。これを、ある表示部内の隣接し合うエリア同士にても、ある液晶表示装置とその隣の液晶表示装置との境界を挟んで互いに隣接し合うエリア同士においても実施する。
【0123】
それゆえ、ある表示部内の隣接し合うエリア同士にて同一または近似する輝度成分の画像データの画像を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で輝度が大幅に異なることを抑制できる。さらに、ある液晶表示装置とその隣の液晶表示装置との境界を挟んで互いに隣接し合うエリア同士において、輝度成分の平均値等が同一または近似する画像部分を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で輝度が大幅に異なることを抑制できる。よって、図7の符号35に示すように、同一の液晶表示装置内の隣接するエリア間での黒色の輝度の相違を緩和できる。且つ、隣接し合う液晶表示装置間での黒色の輝度の相違を緩和できるため、マルチディスプレイ装置100全体で表示される画像の違和感を抑制できる。
【0124】
より具体的に説明すると、本実施形態の表示制御装置150において、図13に示される処理が行われる結果、互いに隣り合うエリア同士のバックライトの光量差の最高値(絶対値)が補正前よりも補正後の方が小さくなるように補正されることになる(図10に示すように、前記光量補正前は前記最高値が100であるが、前記光量補正後は前記最高値が50になっている)。また、互いに隣り合うエリア同士の各光量において小さい方の光量が大きい方の光量の半分未満にならないように、各エリアの光量が補正されることになる。その結果、各エリアの位置を横軸にして各エリアの光量を縦軸にしたヒストグラムを想定した場合、前記光量補正前は前記ヒストグラムにおける光量変化が急峻であるが(図10の初期値を参照)、前記光量補正後は前記ヒストグラムにおける光量変化が滑らかになる(図10の補正後の光量データを参照)。これにより、互いに隣り合うエリア間での大きな輝度差が抑制された画像を表示できることになり、ローカルディミングのデメリットを克服できる。
【0125】
また、本実施形態の光量補正部162は、前記注目エリアの隣に位置する各隣接エリアのバックライトの光量のなかで最も大きな光量を隣接光量とし、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍(n=2)よりも小さいか否かを判定している(S3)。そして、光量補正部162は、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さくない場合、注目エリアのバックライトの光量を補正せず(S4)、注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さい場合、注目エリアのバックライト光量を前記隣接光量の1/n倍の値に補正している(S7)。これにより、互いに隣り合う2つのエリアにおける各光量のうちの小さい方の光量が大きい方の光量の1/n倍未満にならないように、各エリアの光量補正を行うことができる。但し、前記のnの値は2に限られるものではなく、1より大きな値であればよい。
【0126】
なお、本実施形態では、バックライトの出力光量の最高値(全点灯)を100とした場合の百分率(%)で表した。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、出力光量の最高値を1として、1以下の小数(小数点第N位までの値)で示してもよい。但し、この場合、図13のS2において、算出値における小数点以下が切り上げられるのではなく、算出値の小数点第N+1位以下の値が切り上げられることになる。例えば、バックライトの光量を小数点第2位までの値(0.00)で表す場合、図13のS2において、「0.225」が算出されると、「0.225」は「0.23」に切り上げられる。
【0127】
また、本実施形態では、注目エリアの光量を、隣接光量(注目エリアに隣接する各隣接エリアの各光量のなかで最も大きな光量)の1/n倍になるように補正しているが、このような補正に限定されるものではない。要は、隣接エリアの光量に応じて注目エリアの光量を補正するようになっていればよく、注目エリアの光量を前記隣接光量の1/n倍になるように補正するという形態に限られるものではない。例えば、前記隣接光量の値に応じた閾値を設定し、注目エリアの光量と前記隣接光量との差分が当該閾値を超えていると判定した場合、前記差分が閾値と同値になるように注目エリアの光量を加算するようになっていてもよい。また、注目エリアの光量と前記隣接光量との差分が閾値を超えていると判定した場合、注目エリアの光量と前記隣接光量との平均値を、注目エリアの補正後光量にするというようになっていてもよい。
【0128】
また、光量補正の内容(形態)が演算式を用いるのが好ましい場合、演算式を用いて補正値を出力するように設定され、補正用テーブルを用いるのが好ましい場合、補正用テーブルを用いて補正値を出力するように設定される。
【0129】
以上に示した表示制御装置150は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0130】
すなわち、表示制御装置150は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである表示制御装置150の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、表示制御装置150に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0131】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0132】
また、表示制御装置150を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0133】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段や、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、ローカルディミング可能な液晶表示装置や、ローカルディミング可能な表示部を複数備えたマルチディスプレイ装置に利用できる。
【符号の説明】
【0135】
100 マルチディスプレイ装置(液晶表示装置)
101 表示システム
110 表示部
120 表示部
130 表示部
140 表示部
150 表示制御装置
160 画像補正部
161 光量算出部
162 光量補正部
163 出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な液晶表示装置、複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な表示部を複数有するマルチディスプレイ装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像表示手段として透過型の液晶表示装置が知られている。液晶表示装置に取り付けられている液晶パネルは自発光デバイスではないため、液晶表示装置にはバックライト装置が必要になる。
【0003】
また、近年では、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)を光源としたバックライト装置が使用されてきたが、最近では、冷陰極蛍光ランプが有する問題点(水銀による環境汚染、遅い応答速度)の無い、LEDを光源としたバックライト装置が多用されている。LEDを光源としたバックライト装置によれば、冷陰極蛍光ランプが有する問題点を解決できるだけではなく、ローカルディミング(エリア制御)などの部分駆動を実現でき、画像のコントラスト比を高めることができる。以下、ローカルディミングについて説明する。
【0004】
ローカルディミングとは、液晶パネルを複数のエリア(調光エリア)に分割して、分割された各エリア別に、画像データの輝度成分に基づいて、バックライトの光量を調整する処理を意味する。すなわち、ローカルディミングを行う液晶表示装置では、明るい画像を表示させるエリアに対応するバックライトの光量を多く、暗い画像を表示させるエリアのバックライトの光量を少なくできる。これにより、明るい画像領域をより明るく、暗い画像領域をより暗くできるため、コントラスト比の高い画像を表示できる。
【0005】
しかし、ローカルディミングを行う液晶表示装置では、例えば、互いに隣り合うエリアのうち、一方のエリアで白色画像と黒色画像とを表示し、他方のエリアで黒色画像のみを表示するような場合、下記の不都合が生じる。すなわち、白色画像と黒色画像とを表示するエリアでは、バックライトの光量は白色画像(高輝度成分の画像)に応じた値に調整される一方、黒色画像のみを表示するエリアでは、バックライトの光量は黒色画像(低輝度成分の画像)に応じた値に調整される。それゆえ、一方のエリアで表示される黒色の明るさと他方のエリアで表示される黒色の明るさとが異なってしまい、その結果エリア間の境界が顕著になり、違和感のある画像を表示してしまうという不都合が生じる。そこで、このような不都合を抑制するために、ローカルディミングの手法に基づいて各エリアの光量を算出した後、隣接するエリアとの間で光量の差が大き過ぎるエリアが生じないように、各エリアのバックライトの光量を補正する処理(以下「光量補正」と称す)を行う液晶表示装置が提案されている。このような光量補正の一例として、特許文献1には隣接するエリア毎に段階的に輝度を変化させる技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、視聴環境の明るさに応じて動的に発光輝度の下限、上限値を設定する技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、液晶表示装置の輝度特性、色特性及び階調特性の計測結果を元にバックライトの明るさを調整し、かつ、上記計測結果を元に表示データを補正し液晶表示装置に出力する技術が開示されている。
【0008】
また、最近では、複数の液晶パネルを配列したマルチディスプレイ装置が多用されている。このようなマルチディスプレイ装置において、バックライトユニットが有する複数の光源の明るさを個別に制御する技術が、特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−020961号公報
【特許文献2】特開2010−066715号公報
【特許文献3】特開2001−147667号公報
【特許文献4】特開2009−169196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の技術では、バックライトの光量補正をするには、液晶表示装置にて画像データからバックライトの光量を算出して補正する必要があり、液晶表示装置での処理の負担が大きい。あるいは、別の従来の技術では、液晶表示装置に対して、画像データとは別に補正したバックライトの光量データを送信するため、光量データを送信するための通信網が必要となり、データ通信網の設置が煩雑となる。
【0011】
そこで、本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる表示制御装置、表示システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な液晶表示装置に、画像データを出力する表示制御装置であって、入力画像データを前記調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、前記調光エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出部と、前記算出された調光エリアのバックライトの光量を、当該調光エリアに隣接する調光エリアである隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正部と、前記複数の調光エリアのバックライトの光量が、それぞれ、前記光量補正部にて補正された光量となるよう、前記入力画像データを出力画像データに補正する画像補正部と、前記出力画像データを前記液晶表示装置に出力する出力部と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
上記構成によると、各調光エリアのバックライトの光量が、入力画像データを調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき補正したバックライトの光量となるよう、入力画像データを出力画像データに補正してから、液晶表示装置に出力する。このように入力画像データが補正画像データに補正されているので、液晶表示装置では、この補正画像データに基づき、調光エリア毎にバックライトの光量調整を行えばよい。つまり、液晶表示装置側では、バックライトの光量を補正する必要はない。また、画像データとは別に補正したバックライトの光量データを受信する必要もない。
【0014】
また、調光エリアのバックライトの光量をこの調光エリアに隣接する調光エリアのバックライトの光量に応じて補正する。そのため、液晶表示装置内の隣接し合う調光エリア同士において、輝度成分の平均値等が同一または近似する画像部分を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で明るさが大幅に異なることを抑制できる。このように抑制できる補正後の光量にて入力画像データを補正画像データに補正しているため、この補正画像データを基に、液晶表示装置は、バックライトの光量調整を行うことができる。よって、違和感のある画像が液晶表示装置に表示されることを抑制できる。
【0015】
このように、上記構成によると、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【0016】
また、本発明の表示制御装置では、前記液晶表示装置は、前記調光エリアを複数有する表示部を複数備えたマルチディスプレイ装置であり、前記光量補正部は、第1表示部の第1調光エリアに隣接して、第2表示部の第2調光エリアが存在する場合、前記第1調光エリアのバックライトの光量を、前記第2調光エリアのバックライトの光量に応じて補正してもよい。
【0017】
ここで、従来のマルチディスプレイ装置では光量補正を適切に行えない。これについて以下に説明する。従来のマルチディスプレイ装置では、バックライトの光量を演算する制御回路(ICチップ)は表示部毎に取り付けられている。したがって、マルチディスプレイ装置では、ローカルディミングに基づくバックライトの光量の演算、および、前記の光量補正は、表示部毎に行われる。
【0018】
つまり、各表示部の各制御回路は、自身の表示部にて表示される画像の画像データを参照してこの表示部の各エリアについての光量を算出し、その後、隣接するエリアとの間で光量の差が大き過ぎるエリアが生じないようにこの表示部内の各エリアの光量を補正している。すなわち、各表示部の各制御部は、自身の表示部の各エリアの光量と隣の表示部の各エリアの光量との差や比を考慮することなく、自身の表示部の各エリアの光量を補正している。それゆえ、例えば、第1表示部の第1エリアと第2表示部の第2エリアとが両表示部の境界を挟んで互いに隣接しているマルチディスプレイ装置において、前記の光量補正が行われた結果、第1エリアにおいて100%の光量にて黒色を表示すると共に第2エリアにおいて0%の光量にて黒色を表示する事態が生じる可能性がある。このようなことが生じると、第1表示部と第2表示部との境界を挟んで隣接し合う前記第1エリアと前記第2エリアとで同じ色(黒色)を表示しているにもかかわらず、前記第1エリアの黒色の明るさ(輝度)と第2エリアの黒色の明るさとが大幅に異なってしまい、その結果、マルチディスプレイ装置全体として違和感のある画像を表示してしまうという問題が生じる。
【0019】
しかし、本発明の上記構成によれば、ある表示部とこれと隣接する表示部との境界を挟んで互いに隣接し合う調光エリア同士においても、一方の調光エリアのバックライトの光量を、他方の調光エリアのバックライトの光量に応じて補正できる。
【0020】
それゆえ、ある表示部とこれに隣接する表示部との境界を挟んで互いに隣接し合う調光エリア同士において、輝度成分の平均値等が同一または近似する画像部分を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で明るさが大幅に異なることを抑制できる。よって、複数の液晶表示装置を配列したマルチディスプレイ装置において違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【0021】
また、本発明の表示制御装置では、前記光量補正部は、互いに隣り合う調光エリア同士のバックライトの光量差の最高値が抑制されるように、前記補正を行うようになっていてもよい。
【0022】
上記構成によると、互いに隣り合うエリア同士のバックライトの光量差の最高値(絶対値)が補正前よりも補正後の方が小さくなるように補正されるため、調光エリア同士のバックライトの光量差が極端にならず、違和感のない表示を実現することができる。
【0023】
さらに、本発明の表示制御装置では、前記光量補正部は、互いに隣り合う2つの調光エリアにおける各光量のうちの小さい方の光量が大きい方の光量の1/n倍未満(n>1)にならないように、前記補正を行うようになっていてもよい。
【0024】
上記構成によると、適切に違和感のない視認性のよい表示を実現することができる。
【0025】
また、本発明の表示制御装置では、前記光量補正部は、前記複数の調光エリアの全てを順に注目エリアとして扱い、前記注目エリアの隣に位置する各隣接エリアのバックライトの光量のなかで最も大きな光量を隣接光量とし、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さいか否かを判定し、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さくない場合、前記注目エリアのバックライトの光量を補正せず、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さい場合、前記注目エリアのバックライト光量を前記隣接光量の1/n倍の値に補正するようになっていてもよい。
【0026】
上記構成によると、調光エリア全体に渡って違和感のない視認性のよい表示を実現することができる。よって、高品質の画像を表示することができる。
【0027】
また、上記の課題を解決するために、本発明の表示システムは、上記いずれかの本発明の表示制御装置と、画像を表示する複数の調光エリアを有しており、前記表示制御装置から入力された前記出力画像データを基に、調光エリア毎にバックライトの光量調整を行う光量調整部を備えた液晶表示装置と、を備えたことを特徴としている。
【0028】
上記システムによると、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【0029】
また、上記の課題を解決するために、本発明は、画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な液晶表示装置に、画像データを出力するデータ出力方法であって、入力画像データを前記調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、前記調光エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出工程と、前記算出された調光エリアのバックライトの光量を、当該調光エリアに隣接する調光エリアである隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正工程と、前記複数の調光エリアのバックライトの光量が、それぞれ、前記光量補正肯定にて補正された光量となるよう、前記入力画像データを出力画像データに補正する画像補正工程と、前記出力画像データを前記液晶表示装置に出力する出力工程と、を含むことを特徴としている。
【0030】
上記方法によると、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【0031】
また、本発明の表示制御装置はコンピュータによって実現されてもよく、この場合、コンピュータを前記表示制御装置の各部として機能させるプログラム、および、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、以上のように、入力画像データを前記調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、前記調光エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出部と、前記算出された調光エリアのバックライトの光量を、当該調光エリアに隣接する調光エリアである隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正部と、前記複数の調光エリアのバックライトの光量が、それぞれ、前記光量補正部にて補正された光量となるよう、前記入力画像データを出力画像データに補正する画像補正部と、前記出力画像データを前記液晶表示装置に出力する出力部と、を備えている。
【0033】
上記構成によると、各調光エリアのバックライトの光量が、入力画像データを調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき補正したバックライトの光量となるよう、入力画像データを出力画像データに補正してから、液晶表示装置に出力する。このように入力画像データが補正画像データに補正されているので、液晶表示装置では、この補正画像データに基づき、調光エリア毎にバックライトの光量調整を行えばよい。つまり、液晶表示装置側では、バックライトの光量を補正する必要はない。また、画像データとは別に補正したバックライトの光量データを受信する必要もない。
【0034】
また、調光エリアのバックライトの光量をこの調光エリアに隣接する調光エリアのバックライトの光量に応じて補正する。そのため、液晶表示装置内の隣接し合う調光エリア同士において、輝度成分の平均値等が同一または近似する画像部分を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で明るさが大幅に異なることを抑制できる。このように抑制できる補正後の光量にて入力画像データを補正画像データに補正しているため、この補正画像データを基に、液晶表示装置は、バックライトの光量調整を行うことができる。よって、違和感のある画像が液晶表示装置に表示されることを抑制できる。
【0035】
このように、上記構成によると、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】バックライトの光量調整を行わないタイプの液晶表示装置と、バックライトの光量調整が可能なタイプの液晶表示装置とを説明するための図である。
【図2】ローカルディミングを実行しないタイプの液晶表示装置と、ローカルディミングを実行可能なタイプの液晶表示装置とを説明するための図である。
【図3】ローカルディミングを実行可能なタイプの液晶表示装置における問題点を説明するための図である。
【図4】ローカルディミングの手法に基づいて光量を算出した後、各エリアの光量を補正するタイプの液晶表示装置を説明するための図である。
【図5】マルチディスプレイ装置におけるローカルディミングを説明するための図である。
【図6】マルチディスプレイ装置において、ローカルディミングを行い、且つ光量補正を行う場合の問題点を説明するための図である。
【図7】本実施形態の表示システムのコンセプトを説明するための図である。
【図8】本実施形態の表示システムの構成を示す模式図である。
【図9】本実施形態の表示制御装置において、マルチディスプレイ装置全体で表示させる画像の画像データに基づいて各エリアの光量を算出する事を示す図である。
【図10】本実施形態の表示制御装置において、各エリアの光量を、隣接エリアの光量に応じて補正する光量補正を行っていることを示す図である。
【図11】本実施形態の表示制御装置において、光量補正した後の光量を示す光量データを元に画像データを補正することを示す図である。
【図12】本実施形態の表示システムにおいて、各表示部が表示制御装置から受信した補正画像データに応じて、バックライトを駆動し、かつ補正画像データを表示することを示す図である。
【図13】ローカルディミングに基づいて各エリアの光量を算出した後に行われる光量補正処理の流れを示したフローチャートである。
【図14】バックライト全点灯(BL=100)、バックライト50%点灯(BL=50)、バックライト消灯(BL=0)のときの入力画像の輝度値と出力画像の輝度値との関係を、示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本実施形態では、画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライト(バックライト装置)の光量調整が可能な(ローカルディミング可能な)表示部を、複数備えたマルチディスプレイ装置に、画像データを出力する表示制御装置及び表示システムについて説明する。しかし、本発明の表示装置及び表示システムは、画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な単体の液晶表示装置、言い換えれば、ローカルディミング可能な表示部を1つ備えた液晶表示装置、に画像データを出力する表示制御装置及び表示システムについても適用可能である。
【0038】
[本実施形態のコンセプト]
まず、本願の発明者が本実施形態の表示制御装置及び表示システムを構築するに至った経緯、および、本実施形態の表示制御装置及び表示システムのコンセプトを図1〜図7,図13を用いて以下説明する。
【0039】
図1に示す第1タイプの液晶表示装置のように、バックライトの光量調整ができない場合、黒色画像(黒のベタ画像)を表示するときであっても100%の光量でバックライトを点灯し続けなければならない。このため、黒色画像を表示している場合であっても、液晶パネルの各画素からバックライトの光が僅かに漏れ、この光の漏れが原因で黒色画像の輝度がゼロにならず、いわゆる黒浮きが発生することになる。これに対し、バックライトの光量調整を行える第2タイプの液晶表示装置によれば、図1に示すように、黒色のベタ画像を表示するときにはバックライトの光量を0%に調整できる(つまりバックライトを点灯しない)。これにより、いわゆる黒浮きのない、引き締まった黒色画像(輝度がゼロ)を表示できるようになる。それゆえ、バックライトの光量調整ができない第1タイプの液晶表示装置よりも、バックライトの光量調整が可能な第2タイプの液晶表示装置の方が好ましい。なお、本実施形態において、バックライトの光量は、出力光量の最高値を100とした場合の百分率で示され、その単位は%で表される。
【0040】
また、近年では、液晶パネルを複数のエリア(調光エリア)に分割すると共に、分割された各エリアの画像データに基づいて各エリア別にバックライトの光量を調整するローカルディミングを行うことの可能な液晶表示装置が多用されることになった。具体的には、各エリア毎に、表示される画像の画像データの輝度成分の統計値(平均値、中央値等)を算出し、この統計値に応じてバックライトの光量を算出するようになっている。なお、輝度成分(Y)とは、画像データに示される画像の明るさを示す値であって、画像データにおけるR値、B値、G値から算出される値である。
【0041】
なお、本明細書において、単に輝度と称す場合、実際に表示されている画像の明るさを示す尺度を意味する(例えば測光値)。これに対し、輝度成分と称す場合、画像データから算出される、画像の明るさを示す値を意味する。
【0042】
つぎに、前記のローカルディミングのメリットを、図2を参照して以下説明する。図2に示す第3タイプの液晶表示装置のようにローカルディミングを行わない場合、黒色画像と白色画像(白色のベタ画像)とが混在する画像を表示するとき、白色画像に対して照射される光量と同一光量で黒色画像に対してもバックライトの光を照射することになるため、黒色画像にて黒浮きが生じてしまう。それゆえ、ローカルディミングを行わない第3タイプの液晶表示装置にて表示される画像はコントラスト感が不足気味になる。これに対し、図2に示す第4タイプの液晶表示装置のようにローカルディミングを行う場合、黒色画像と白色画像とが混在する画像を表示するとき、白色画像に対しては100%の光量でバックライトの光を照射する一方で黒色画像に対してはバックライトの光を照射しないという制御が可能になる。それゆえ、図2に示すように、ローカルディミングを実行可能な第4タイプの液晶表示装置は、前述の第3タイプの液晶表示装置よりも、コントラスト比の高い画像を表示できる。また、ローカルディミングを実行可能な第4タイプの液晶表示装置は、前述の第3タイプの液晶表示装置よりも、バックライトの発光量を減少させることができ、消費電力を減らすことが可能である。
【0043】
ところが、ローカルディミングは、コントラスト比の高い画像を表示できるというメリットを有する一方で、デメリットも有している。以下ではこのデメリットを図3に基づいて説明する。
【0044】
図3に示すように、第4タイプの液晶表示装置における各エリアのうち、中央のエリアにて白色画像と黒色画像とが混在している画像を表示し、他のエリアにて黒色画像のみを表示する場合を想定する。この場合、図3に示すように、第4タイプの液晶表示装置では、ローカルディミングによって、中央のエリアの光量が100%に決定され、他エリアの光量が0%に決定される。それゆえ、第4タイプの液晶表示装置では、図3の符号10に示すように、中央エリアの黒色の輝度と他エリアの黒色の輝度とが大きく異なり、エリア間の境界が顕在化した違和感のある画像が表示されてしまうというデメリットが生じることになる。なお、ローカルディミングを行わない第3タイプの液晶表示装置では、エリア別に光量調整を行わないため、図3の符号20に示すように、エリア間の境界が顕在化した違和感のある画像を表示するというデメリットは生じないが、前述のとおりコントラスト感が不足気味というデメリットを有する。
【0045】
これに対し、コントラスト比の高い画像を表示しつつ、ローカルディミングのデメリットを抑制するためには、ローカルディミングの手法に基づいて各エリアの光量を算出した後、隣接するエリアとの間で光量の差が大きすぎるエリアが生じないように、各エリアの光量(バックライトの光量)を補正する処理を行えばよい。以下ではこの補正について詳細に説明する。
【0046】
図3および図4に示す第4タイプの液晶表示装置のローカルディミングのように、互いに隣り合う2つのエリアのうち、一方のエリアの光量を最高値(100%)に決定する一方で、他方のエリアの光量を最低値(0%)に決定してしまうと、エリア間の境界が顕在化してしまう。特に、図3および図4に示すように、第4タイプの液晶表示装置では、中央エリアおよびその隣のエリアで黒色画像を表示しているにもかかわらず、中央エリアの光量を最高値(100%)に決定する一方でその隣のエリアの光量を最低値(0%)に決定しているため、中央エリアの黒色の輝度とその隣のエリアの黒色の輝度とが大きく異なってしまい、違和感の有る画像が表示されることになる。
【0047】
そこで、図4に示す第5タイプの液晶表示装置のように、ローカルディミングの手法に基づいて各エリアの光量を算出した後、隣接するエリアとの間で光量の差が大きすぎるようなエリアが生じないように、各エリアの光量を補正すれば、ローカルディミングのデメリットを克服できる。以下では、この補正を光量補正と称し、光量補正の処理の流れを図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0048】
前記の第5タイプの液晶表示装置の制御部(ICチップ)は、図13に示される処理の実行前に、まず、ローカルディミングによって、各エリアの画像データの輝度成分の統計値(平均値等)に基づいて、各エリアの光量を算出する。ここで、算出された各エリアの光量を図4の符号30に示す。各エリアの光量の算出後、前記制御部は、図13に示すように、全てのエリアのうちのいずれか1つのエリアを注目エリアとして決定する(S1)。
【0049】
次に、前記制御部は、注目エリアに隣接する各隣接エリアの各光量のうち、最も大きな光量の1/2の値(最も大きな光量値の半分の値)を算出する(S2)。但し、算出値に小数点未満の値が含まれる場合、小数点以下の値は切り上げられる。
【0050】
なお、隣接エリアとは、注目エリアの右隣に存在する右エリア、注目エリアの左隣に存在する左エリア、注目エリアの上隣に存在する上エリア、注目エリアの下隣に存在する下エリアの4つのエリアを意味する。但し、表示パネルの端部に位置するエリアが注目エリアの場合、左エリア、右エリア、上エリア、下エリアのうち、1つまたは2つが存在しないため、隣接エリアは2つまたは3つになる。例えば、図4の符号aのエリアが注目エリアの場合、符号bのエリア、符号cのエリア、符号dのエリア、符号eのエリアが隣接エリアとなる。また、図4の符号cのエリアが注目エリアの場合、符号aのエリア、符号fのエリア、符号gのエリアが隣接エリアになる。
【0051】
したがって、例えば、符号aのエリアが注目エリアの場合、4つの隣接エリアのいずれも光量が0であるため、S2の算出値は0になる。また、例えば、符号cのエリアが注目エリアの場合、3つの隣接エリアの各々の光量値うち、最も大きな光量は100であるため、S2の算出値は50になる。
【0052】
S2の後、前記制御部は、注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さいか否かを判定する(S3)。
【0053】
注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さくないと判定された場合、つまり注目エリアの光量がS2にて算出された値と等しいまたはS2にて算出された値より大きいと判定された場合、前記制御部は、注目エリアに対して「補正無」を示すラベルを対応付けて(S4)、処理をS7に移行する。
【0054】
これに対し、注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さいと判定された場合、前記制御部は、注目エリアの光量を補正する(S5)。具体的に、前記制御部は、S5において、注目エリアの光量を、S2にて算出された値に補正する。したがって、図4に示す符号cのエリアが注目エリアの場合、注目エリアの光量は0から50に補正されることになる。S5の後、前記制御部は、注目エリアに対して「補正済」を示すラベルを対応付けて(S6)、処理をS7に移行する。
【0055】
S7において、前記制御部は、液晶表示装置の全てのエリアに対して、「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられているか否かを判定する。そして、前記制御部は、全てのエリアに対して「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられていないと判定した場合(S7にてNO)、注目エリアを、「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのいずれも対応付けられていないエリアに変更し(S8)、S2以降の処理を再度繰り返す。これにより、全てのエリアが注目エリアにされた履歴を有するようになるまでS2〜S7の処理が繰り返されることになる。また、前記制御部は、液晶表示装置の全てのエリアに対して「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられていると判定した場合(S7にてYES)、処理をS9に移行する。
【0056】
S9において、前記制御部は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在するか否かを判定する。そして、前記制御部は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在すると判定した場合(S9にてYES)、全てのエリアに対応付けられている全てのラベルを消去し(S10)、S1以降の処理を再度繰り返す。これに対し、前記制御部は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在しないと判定した場合、図13のフローチャートに示される処理を終了する。これにより、第5タイプの液晶表示装置に含まれる全てのエリアの各々を1回づつ注目エリアとして扱い、全てのエリアの各々に対してS2〜S7を順次施す工程を1工程とする場合、1工程の間に少なくとも1つの注目エリアにて光量の補正が行われた場合は前記の1工程を再度繰り返し、1工程の間に1度も光量の補正が行われなかった場合は処理を終了することになる。これにより、1工程の間に少なくとも1つのエリアにおいて光量の補正が行われている間は図13の処理が継続され、1工程の間に光量値の補正が行われたエリアがなかった場合に図13の処理が終了するようになっている。
【0057】
図13に示される処理が行われる結果、第5タイプの液晶表示装置のバックライトの光量は、図4の符号30に示される値から符号40に示される値に補正されることになる。つまり、中央エリアと隣接エリアとの光量差が100から50に抑制され、また、中央エリアと隣接エリア以外のエリアとの光量差も100から75に抑制されている。それゆえ、中央エリアと中央エリア以外のエリアとの間で黒色の輝度の差が抑制された画像を表示できることになり、ローカルディミングのデメリットを克服できる。さらに、コントラスト感の不足も抑制される。
【0058】
言い換えると、以上の光量補正が行われる結果、互いに隣り合うエリア同士のバックライトの光量差の最高値(絶対値)が補正前よりも補正後の方が小さくなるように補正されることになる。さらに、互いに隣り合うエリア同士の各光量において小さい方の光量が大きい方の光量の半分未満にならないように、第5タイプの液晶表示装置に含まれる各エリアの光量が補正されることになる。その結果、各エリアの位置を横軸にして各エリアの光量を縦軸にしたヒストグラムを想定した場合、前記光量補正前は前記ヒストグラムにおける光量変化が急峻であるが(符号30)、前記光量補正後は前記ヒストグラムにおける光量変化が滑らかになる(符号40)。これにより、互いに隣り合うエリア間での大きな輝度差が抑制された画像を表示できることになり、ローカルディミングのデメリットを克服できる。
【0059】
つぎに、複数の表示部(液晶表示装置)を配列したマルチディスプレイ装置におけるローカルディミングについて説明する。
【0060】
図5に示すように、バックライトの光量調整が可能であるもののローカルディミングを行わない表示部を複数配列した第1タイプのマルチディスプレイ装置と、ローカルディミングを行える表示部を複数配列した第2タイプのマルチディスプレイ装置とがあるものとする(なお、両装置とも、マトリクス状に9個の表示部を配列してなるものである)。
【0061】
そして、両方のマルチディスプレイ装置において、中央に位置する表示部における中央エリアのみ白色画像が表示され、中央に位置する表示部の他のエリアおよび他の表示部には黒色画像が表示されている場合を想定する。
【0062】
この場合、図5に示すように、第1タイプのマルチディスプレイ装置では、中央の表示部の光量は、黒色画像を表示するエリアがあるにもかかわらず全エリアにおいて100%に決定され、黒色画像を表示する他の表示部の光量値は0%に決定される。それゆえ、第1タイプのマルチディスプレイ装置では、図5の符号61に示すように、中央の液晶表示装置の黒色の輝度と他の表示部の黒色の輝度とが異なり、装置全体で違和感のある画像が表示されてしまうというデメリットが生じることになる。
【0063】
これに対し、ローカルディミングを行える第2タイプのマルチディスプレイ装置では、中央の表示部において、白色画像を表示するエリアに対するバックライトの光量を100%にする一方、黒色画像を表示するエリアに対してはバックライトを照射せず(光量が0%)、黒色画像のみを表示する他の表示部でもバックライトを照射しないといった制御が可能になる。それゆえ、図5の符号70に示すように、第2タイプのマルチディスプレイ装置では、中央の表示部の黒色の輝度と別の表示部の黒色の輝度とが同じになり、図5の符号61に示す画像のような違和感が生じない。それゆえ、マルチディスプレイ装置においても、単体の液晶表示装置と同様、ローカルディミングを導入する方が好ましい。
【0064】
但し、マルチディスプレイ装置において単にローカルディミングを導入しただけでは、図4の第4タイプの液晶表示装置にて生じている問題点と同じ問題点が生じることになる。つまり、マルチディスプレイ装置に含まれる1つの表示部に属する複数エリアのうち、1つのエリアにおいて白色と黒色とが混在する画像を表示し、他のエリアにおいては黒色画像のみを表示するような場合、図4の符号60に示されるような違和感のある画像を表示してしまうという問題が生じる。そこで、このような問題を生じさせないために、マルチディスプレイ装置においても、図4に示す第5タイプの液晶表示装置と同様に、前記の光量補正を行うべきものと考えられる。
【0065】
ところが、マルチディスプレイ装置において、単純に前記の光量補正を行うだけでは別の問題が生じることになる。以下では当該問題を説明する。通常のマルチディスプレイ装置では、バックライトの光量を演算する制御部(ICチップ)は表示部毎に取り付けられている。したがって、通常のマルチディスプレイ装置において、ローカルディミングにおける光量の演算、および、前記の光量補正は、表示部毎に行われる。つまり、各表示部の各制御部は、自身の表示部にて表示される画像の画像データを参照してこの表示部内の各エリアの光量を算出し、その後、自身の表示部の各エリアの光量を参照してこの表示部の各エリアの光量を補正している。
【0066】
言い換えると、各表示部は、自身の表示部以外の表示部の画像データや光量値を入力しないため、各表示部の各制御部は、自身の表示部以外の表示部の各エリアの光量値を参照できない。それゆえ、各表示部の各制御部は、自身の表示部の各エリアの光量値と隣の表示部の各エリアの光量値との差や比を考慮することなく、自身の表示部の各エリアの光量値を補正していることになる。
【0067】
よって、例えば、図6に示す第3タイプのマルチディスプレイ装置のように、ローカルディミングおよび前記光量補正が行われたにもかかわらず、中央の表示部95のエリアAにて50%の光量値にて黒色を表示すると共に、隣の表示部90に属しており前記エリアAの隣に位置するエリアBにて0%の光量値にて黒色を表示するというようなことが起こる。これは、エリアBを有する表示部90の制御部は、エリアBに隣り合う各エリアの各光量のうち、自身の表示部(表示部90)に属する各エリアの光量(0%)を参照できるものの、自身の表示部(表示部90)の隣に位置する表示部95に属するエリアAの光量(50%)を参照できず、ひいてはエリアAの光量に基づいてエリアBの光量を補正できないからである。
【0068】
そして、このようなことが生じると、図6または図7の符号80にて示すように、ある表示部で表示される黒色の輝度と別の表示部にて表示される黒色の輝度とが大幅に異なってしまい、その結果、マルチディスプレイ装置全体で違和感のある画像を表示してしまうという問題が生じることになる。
【0069】
そこで、本実施形態の表示システムでは、表示部毎に独立して前記光量補正を行うのではなく、各表示部の各エリアの光量補正を行う際に、互いに異なる表示部に属し且つこれら表示部の間の境界を跨いで隣り合っているエリア同士については、互いの光量を参照して互いの光量を補正できるようにする。つまり、注目エリアに隣接する各隣接エリアに、注目エリアの属する表示部と同じ表示部に属する隣接エリアと、注目エリアの属する表示部の隣りの表示部に属する隣接エリアとが含まれている場合、注目エリアの属する表示部と同じ表示部に属する隣接エリアの光量のみならず、注目エリアの属する表示部の隣りの表示部に属する隣接エリアの光量をも参照して、注目エリアの光量を補正できるようにする。
【0070】
具体的には、注目エリアに隣接する各隣接エリアのうちの1つまたは2つが注目エリアの属する表示部の隣の表示部に属しているような場合、注目エリアと同じ表示部に属する隣接エリアの光量のみならず、注目エリアの属する表示部の隣の表示部に属している隣接エリアの光量をも参照して、注目エリアの光量の補正の要否を判定する。そして、必要に応じて、注目エリアの属する表示部の隣の表示部に属している隣接エリアの光量に基づいて、注目エリアの光量を補正する処理を行う。
【0071】
これにより、図7の符号35に示すように、本実施形態では、隣接し合う表示部間の光量差が緩和されるように光量補正されるため、隣接し合う表示部間での黒色の輝度の相違を緩和でき、マルチディスプレイ装置全体で表示される画像の違和感を抑制できる。
【0072】
さらに本実施形態の表示システムでは、補正した光量を用いて画像データを補正して、この補正した画像データを各表示部に出力する。そのため、容易な構成で、各表示部の負荷を抑制して、バックライトの光量補正を適切に行うことができる。
【0073】
[本実施形態の表示システムの構成]
つぎに、本実施形態の表示システムの構成および処理内容を、図8〜図13に基づいて以下説明する。
【0074】
図8に示すように、本実施形態の表示システム101は、マトリクス状に配列された表示部110、120、130、140を有するマルチディスプレイ装置(液晶表示装置)100、これら表示部110、120、130、140に通信可能に接続されている表示制御装置150とを備えている。なお、表示制御装置150と、表示部110、120、130、140とは、HDMI(High Definition Multimedia Interface)またはDVI(Digital Visual Interface)等の周知の通信手段によって通信可能に接続されている。本実施形態では表示部は4つであるが、4に限定されず、2以上であればマルチディスプレイ装置とすることができる。
【0075】
表示部110、120、130、140は、各々、透過型の液晶表示装置であり、本実施形態では、画像を表示する、マトリクス状に配列された9つのエリア(調光エリア)に分割されている。そして、エリア毎にバックライトの光量調整が可能になっている(各表示部は光量調整部を有している)。そして、表示部110は表示部120、130と隣り合い、表示部120は表示部110、140と隣り合い、表示部130は表示部110、140と隣り合い、表示部140は表示部120、130と隣り合っている。
【0076】
なお、本実施形態では、図8に示すように、表示部110は、エリア(1-1)〜(1-9)の9つのエリアを有し、表示部120は、エリア(2-1)〜(2-9)の9つのエリアを有し、表示部130は、エリア(3-1)〜(3-9)の9つのエリアを有し、表示部140は、エリア(4-1)〜(4-9)の9つのエリアを有している。エリアの数はこれらに限定されない。
【0077】
表示制御装置150は、表示部110、120、130、140の各々に画像を送信する装置である。表示制御装置150は、図8に示すように、光量算出部161と、光量補正部162と、画像補正部160と、出力部163とを備えている。そして、表示制御装置150は、外部のPC等から入力(送信)されたマルチディスプレイ装置100全体に対応する画像(元画像)の画像データ(映像信号)を受信する。なお、外部からの元画像の画像データが入力されるのではなく、表示制御装置150にて元画像の画像データを作成するようになっていてもよい。
【0078】
光量算出部161は、元画像の画像データ(入力画像データ)を各表示部110、120、130、140に属する各エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、各表示部110、120、130、140に属する各エリアのバックライトの光量を算出する処理(光量算出工程)を行う(ローカルディミングの手法に基づく光量算出を行う)。
【0079】
すなわち、光量算出部161は、図8に示すエリア(1-1)〜(1-9)、エリア(2-1)〜(2-9)、エリア(3-1)〜(3-9)、エリア(4-1)〜(4-9)毎に、次の処理を行う。エリア(i-j)について、元画像の画像データをエリア(i-j)に割り当てた部分画像データの輝度成分の統計値(平均値、中央値等)を算出し、当該輝度成分の統計値に応じてエリア(i-j)のバックライトの光量を算出する。なお、iは1から4のいずれか、jは1から9のいずれかの整数である。
【0080】
ここで部分画像データとは、マルチディスプレイ装置100全体に元画像の画像データがそのまま表示される場合の、あるエリア(i-j)に表示される画像データ、つまり、元画像の画像データのうちエリア(i-j)に割り当てられる画像データ、である。よって、全エリアに割り当てた部分画像データを集めると、元画像の画像データとなる。
【0081】
エリア(i-j)に割り当てられた部分画像データの輝度成分(エリア(i-j)の輝度成分)の統計値として、例えば、輝度成分の平均値Xijを算出する場合、以下の式(1)を用いることができる。ここで、エリア(i-j)にN個×M個の画素があるものとする。
【0082】
【数1】
【0083】
なお、輝度成分の統計値の算出は上記に限られない。また、輝度成分の統計値ではなく、彩度成分の統計値を用いてもよい。
【0084】
そして、エリア(i-j)の輝度成分の平均値Xijから、このエリア(i-j)のバックライトの光量BLijを算出するには、以下の式(2)を用いる。ここで、バックライトは、光量が0%で点灯せず、100%で全点灯するものとする。
【0085】
【数2】
【0086】
輝度成分の平均値Xijは0から255の値を取るために、255で正規化している。また、本実施形態では光量を百分率(%)で示すため、100で正規化している。
【0087】
このようにバックライトの光量を、エリア(1-1)〜(1-9)、エリア(2-1)〜(2-9)、エリア(3-1)〜(3-9)、エリア(4-1)〜(4-9)毎に求める。
【0088】
具体的には、輝度成分が小さいほど暗く、輝度成分が大きいほど明るいため、輝度成分の平均値が大きいエリア(明るいエリア)ほど高値の光量が算出され、輝度成分の平均値が小さいエリア(暗いエリア)ほど低値の光量が算出される。
【0089】
例えば、表示制御装置150に、エリア(4-5)が白色になり、エリア(4-5)以外の全エリアが黒色になるような元画像の画像データが入力されるものとする。この場合、光量算出部161は、図9に示すように、エリア(4-5)の光量の値として100%を算出し、エリア(4-5)以外の各々のエリアの光量の値として0%を算出する。このように光量算出部161にて算出された光量の値を、光量の初期値と呼ぶ。本実施形態では、光量の値は百分率(%)で示す。なお、以下では%を省略する。
【0090】
ここで、図9において、表示制御装置150内の光量算出部161、光量補正部162、画像補正部160、出力部163は、省略されている。また、後述する図10〜図12においても、図9と同様、表示制御装置150内の光量算出部161、光量補正部162、画像補正部160、出力部163は、省略されている。
【0091】
光量補正部162は、図9に示されるように各エリアの光量が光量算出部161によって算出された後、図13に示される光量補正を行う(光量補正工程)。但し、本実施形態では、図4の第5タイプの液晶表示装置や図6に示される第3タイプのマルチディスプレイ装置とは異なり、図13のS2において、注目エリアの属する表示部だけではなく、注目エリアの属する表示部の隣の表示部にも、注目エリアに隣接する隣接エリアが存在する場合、注目エリアの属する表示部に含まれる前記隣接エリアの光量値と、注目エリアの属する表示部の隣の表示部に含まれる前記隣接エリアの光量値とを参照するようになっている。また、本実施形態における光量補正では、図4の第5タイプの液晶表示装置の光量補正と比べて、僅かに異なる点がある。そこで、以下では、図13を用いて本実施形態の表示システム101の表示制御装置150における光量補正の手順を説明する。
【0092】
まず、光量補正部162は、マルチディスプレイ装置100の全てのエリア(1-1)〜(1-9)、(2-1)〜(2-9)、(3-1)〜(3-9)、(4-1)〜(4-9)のうち、いずれか1つのエリアを注目エリアとして決定する(S1)。
【0093】
つぎに、光量補正部162は、注目エリアに隣接する各隣接エリアの各光量のうち、最も大きな光量の1/2の値(最も大きな光量値の半分の値)を算出する(S2)。但し、算出値に小数点未満の値が含まれる場合、小数点以下の値は切り上げられる。例えば、各隣接エリアの各光量のうち、最も大きな光量が「25」の場合、「12.5」の値が算出されるが、「12.5」は「13」に切り上げられる。
【0094】
なお、隣接エリアとは、注目エリアの右隣に存在する右エリア、注目エリアの左隣に存在する左エリア、注目エリアの上隣に存在する上エリア、注目エリアの下隣に存在する下エリアの4つのエリアを意味する。
【0095】
また、注目エリアの属する表示部の隣の表示部にも注目エリアに隣接するエリアがある場合、当該エリアも隣接エリアとして扱われる。例えば、図8に示すエリア(1-8)が注目エリアである場合、エリア(1-5)(1-7)(1-9)の他、エリア(3-2)も隣接エリアになる。また、エリア(1-9)が注目エリアである場合、エリア(1-6)(1-8)の他、エリア(2-7)(3-3)も隣接エリアになる。また、例えば、エリア(2-7)が注目エリアの場合、エリア(2-4)(2-8)の他、エリア(1-9)(4-1)も隣接エリアになり、エリア(4-2)が注目エリアの場合、エリア(4-1)(4-3)(4-5)の他、エリア(2-8)も隣接エリアになる。
【0096】
なお、マルチディスプレイ装置100の端部に位置するエリアが注目エリアの場合、左エリア、右エリア、上エリア、下エリアのうち、1つまたは2つが存在しないため、隣接エリアは2つまたは3つになる。例えば、図8のエリア(1-1)が注目エリアの場合、エリア(1-2)(1-4)のみが隣接エリアであり、図8のエリア(1-4)が注目エリアの場合、エリア(1-1)(1-5)(1-7)のみが隣接エリアである。
【0097】
S2の後、光量補正部162は、注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さいか否かを判定する(S3)。注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さくないと判定された場合、つまり注目エリアの光量がS2にて算出された値と等しいまたはS2にて算出された値より大きいと判定された場合、光量補正部162は、注目エリアに対して「補正無」を示すラベルを対応付けて(S4)、処理をS7に移行する。
【0098】
これに対し、注目エリアの光量がS2にて算出された値より小さいと判定された場合、光量補正部162は、注目エリアの光量を補正する(S5)。具体的に、光量補正部162は、S5において、注目エリアの光量を、S2にて算出された値に補正する。S5の後、光量補正部162は、注目エリアに対して「補正済」を示すラベルを対応付けて(S6)、処理をS7に移行する。
【0099】
S7において、光量補正部162は、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリア(1-1)〜(1-9)、(2-1)〜(2-9)、(3-1)〜(3-9)、(4-1)〜(4-9)に、「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられているか否かを判定する。そして、光量補正部162は、全てのエリアに対して「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられていないと判定した場合(S7にてNO)、注目エリアを、「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのいずれも対応付けられていないエリアに変更し(S8)、S2以降の処理を再度繰り返す。これにより、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリアが注目エリアにされた履歴を有するようになるまでS2〜S7の処理が繰り返されることになる。
【0100】
また、光量補正部162は、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリアに対して「補正無」のラベルおよび「補正済」のラベルのうちのいずれかが対応付けられていると判定した場合(S7にてYES)、処理をS9に移行する。
【0101】
S9において、光量補正部162は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在するか否かを判定する。そして、光量補正部162は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在すると判定した場合(S9にてYES)、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリアに対応付けられている全てのラベルを消去し(S10)、S1以降の処理を再度繰り返す。これに対し、光量補正部162は、「補正済」のラベルが対応付けられたエリアが存在しないと判定した場合、図13のフローチャートに示される処理を終了する。これにより、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリアの各々を1回づつ注目エリアとして扱い、全てのエリアの各々に対してS2〜S7を順次施す工程を1工程とする場合、1工程の間に少なくとも1つの注目エリアにて光量の補正が行われた場合は前記の1工程を再度繰り返し、1工程の間に1度も光量の補正が行われなかった場合は処理を終了することになる。よって、1工程の間に少なくとも1つのエリアにおいて光量の補正が行われている間は図13の処理が継続され、1工程の間に光量値の補正が行われたエリアがなかった場合に図13の処理が終了するようになっている。
【0102】
光量補正部162が、図13に示される処理を行った結果、図10に示すように、各エリアの光量は符号191に示される初期値から符号192に示される値に補正されることになる。つまり、図8、図9、図10に示すように、エリア(4-5)の光量の初期値が100であるので、エリア(4-5)に隣接するエリア(4-4)の光量値は0から50に補正されることになる。さらに、本実施形態では、注目エリアの隣接エリアが注目エリアの属する表示部の隣の表示部にある場合であっても、S2において、その隣接エリアの光量も参照するようになっている。それゆえ、表示部130のエリア(3-6)の光量は、隣の表示部140のエリア(4-4)の光量の1/2の値である25に補正されていることになる。
【0103】
つまり、本実施形態の表示システム101では、互いに隣り合うエリア同士の各光量において小さい方の光量が大きい方の光量の半分未満にならないように、各エリアの光量が補正される。これにより、互いに隣接し合うエリア間の黒色の輝度の大きな相違を緩和できる。特に、本実施形態の表示システム101によれば、ある表示部とその隣の表示部との境界を挟んで互いに隣接し合うエリア同士においても、小さい方の光量が大きい方の光量の半分未満にならないように、各エリアの光量が補正されている。それゆえ、ある表示部とその隣の表示部との境界を挟んで互いに隣接し合うエリア同士の黒色の輝度の相違をも緩和できる。
【0104】
画像補正部160は、図13に示される処理の後、つまり光量算出部161および光量補正部162による処理の後、補正された光量に基づき、元画像の画像データを補正する(画像補正工程)。この画像データの補正について説明する。
【0105】
画像補正部160は、図11に示すように、光量補正部162にて補正した光量のデータ(補正光量データ)を用いて、各エリア(1-1)〜(1-9)、(2-1)〜(2-9)、(3-1)〜(3-9)、(4-1)〜(4-9)のバックライトの光量が、それぞれ、光量補正部162にて補正された光量となるよう、元画像の画像データを補正する。以下では、この補正後の画像データを補正画像データ、この補正画像データが示す画像を補正画像と称する。
【0106】
画像データの補正は、画素単位で行われる。それを具体的に説明する。まず、光量算出部161がエリア(i-j)について算出した光量をBLijとし、このBLijを光量補正部162にて補正した光量をBLij’とする。例えば、表示制御装置150に、エリア(4-5)が白色になり、エリア(4-5)以外の全エリアが黒色になるような元画像の画像データが入力された場合、図10に示すように、エリア(4-5)については、BL45=100、BL45’ =100であり、エリア(4-4)については、BL44=0、BL44’ =50、エリア(3-6)については、BL44=0、BL44’ =25である。
【0107】
画像補正部160は、このBLij’を用いて、エリア(i-j)の各画素について、各画素に割り当てられる元画像の輝度値である入力輝度値を出力輝度値に変換する。詳しく説明すると次のようになる。ある画素のR(赤)の入力輝度値(入力階調値)をRin、G(緑)の入力輝度値をGin、B(青)の入力輝度値をBin、とする。画像補正部160は、例えば、以下で示す式にて、これら入力輝度値(Rin、Gin、Bin)を、出力輝度値(Rout、Gout、Bout)に変換する。この出力輝度値(Rout、Gout、Bout)が、エリア(i-j)のある画素に割り当てられる補正画像の輝度値である。
【0108】
【数3】
【0109】
上記式中、光量BLij’を100で叙しているのは、本実施形態では光量が百分率で表されるものであるからである。ここで、上記式中のYについて説明する。
【0110】
エリア(i-j)にて、バックライトが全点灯している状態、つまりローカルディミングを行わない状態で、エリア(i-j)の全ての画素が、黒すなわち(R,G,B)=(0,0,0)を表示すると、黒浮きにより、ユーザにはエリア(i-j)に灰色が表示されているように見える。
【0111】
それに対し、ローカルディミングを行い、エリア(i-j)における全ての画素が、黒すなわち(R,G,B)=(0,0,0)を表示する際、バックライトを全消灯すると、ユーザには、エリア(i-j)は真っ黒(光が照射されていない黒)に見える。このローカルディミングを行った状態で、上記のローカルディミングをしていない状態での黒(灰色に見える黒)を再現させる(同程度の輝度を持たせる)ためには、各画素では、(R,G,B)=(Y,Y,Y)となる0より大きな値であるYを表示させる必要がある。このYは、例えば、輝度計などを用いて測定しながら任意に設定できる。これのYが上記式中のYである。これにより、バックライトが全点灯している状態(ローカルディミングを行わない状態)で、入力画像の輝度値が0の画素は、出力輝度値がYとなり、ローカルディミングを行った状態でもユーザには灰色に見える。図14は、入力画像の輝度値から出力素値の値を求めるための図であり、バックライト全点灯(BL=100)、バックライト50%点灯(BL=50)、バックライト消灯(BL=0)のときの入力画像の輝度値と出力画像の輝度値との関係を、示す図である。なお、図14において、切片がYである比例式が、上記〔数3〕の変換式を表している。
【0112】
ここで、入力輝度値(Rin、Gin、Bin)を、出力輝度値(Rout、Gout、Bout)に変換する算出式は、上記に限定されることはない。また、ルックアップテーブル(LUT)を用いて変換してもよい。
【0113】
そして、各表示部110,120,130,140に含まれる全ての画素について、入力輝度値と光量補正部162にて補正した光量とから、出力輝度値を求める。このように求めた全ての画素の出力輝度値のデータが、補正画像データである。
【0114】
出力部163は、画像補正部160にて補正された補正画像データを、各表示部110,120,130,140に出力(送信)する(出力工程)。ここで、各表示部110,120,130,140が、マルチディスプレイ装置100全体に表示される画像データから自身で表示する画像データを取り出せる機能あれば、補正画像データをそのまま、各表示部110,120,130,140に出力する。各表示部110,120,130,140が、自身で表示する画像の画像データを取り出せる機能がなければ、表示制御装置150にて、補正画像データを4分割し、分割した各画像データを各表示部110、120、130、140に送信する。すなわち、画像の中心を通り画像の横方向に平行な境界線と、画像の中心を通り画像の縦方向に平行な境界線とによって、1つの補正画像を4つに分割する。そして、出力部163は、分割された各画像のうち、左上の画像の画像データを表示部110に出力し、左下の画像の画像データを表示部130に出力し、右上の画像の画像データを表示部120に送信し、右下の画像の画像データを表示部140に出力する。
【0115】
その後、図12に示すように、各表示部110、120、130、140は、表示制御装置150から受信した補正画像データから光量を求め、この求めた光量となるよう各エリアのバックライトを調整(光量調整)して、各バックライトを駆動する。ここで、補正画像データからの光量の求め方は、上記した光量算出部161での画像データからの光量の求め方と同様にすればよい。
【0116】
つまり、各表示部110、120、130、140は、光量算出部161によって算出される。かつ、光量補正部162によって補正された光量に基づき、画像補正部160にて補正された補正画像データに応じて、エリア毎のバックライトの光量を調整し、当該補正画像データに応じた画像を表示する。よって、ローカルディミングされた違和感のない補正画像が表示される。
【0117】
以上のように、本実施形態の表示制御装置150は、画像を表示する複数のエリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な表示部を、複数備えたマルチディスプレイ装置100に、画像データを出力する。そして、表示制御装置150は、光量算出部161と光量補正部162と画像補正部160と出力部163とを有している。
【0118】
光量算出部161は、元画像の画像データ(入力画像データ)をエリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、エリア毎にバックライトの光量を算出する。光量補正部162は、マルチディスプレイ装置100に含まれる全てのエリアを順に注目エリアとして扱っていき、注目エリアのバックライトの光量を、注目エリアの隣に位置する隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する。画像補正部160は、各エリアのバックライトの光量が、それぞれ、光量補正部162にて補正された光量となるよう、元画像の画像データ(入力画像データ)を補正画像の画像データ(出力画像データ)に補正する。出力部163は、この補正画像の画像データをマルチディスプレイ装置100の各表示部に出力する。
【0119】
このように、各エリアのバックライトの光量が、元画像の画像データを調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき補正したバックライトの光量となるよう、元画像の画像データを補正してから、マルチディスプレイ装置100の各表示部に出力する。よって、マルチディスプレイ装置100の各表示部では、この補正画像の画像データに基づき、エリア毎にバックライトの光量調整を行えばよい。つまり、マルチディスプレイ装置100側では、バックライトの光量を補正する必要はない。また、画像データとは別に補正したバックライトの光量データを受信する必要もない。
【0120】
また、調光エリアのバックライトの光量をこの調光エリアに隣接する調光エリアのバックライトの光量に応じて補正する。そのため、表示部内の隣接し合う調光エリア同士にて同一または近似する輝度成分の画像データの画像を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で明るさが大幅に異なることを抑制できる。このように抑制できる補正後の光量にて画像データを補正しており、この補正された画像データを基に、各表示部は、バックライトの光量調整を行える。よって、違和感のある画像が各表示部に表示されることを抑制できる。
【0121】
このように、本実施形態の表示制御装置150によると、容易な構成で、液晶表示装置の負荷を抑制して、違和感のある画像が表示されることを抑制できる。
【0122】
また、光量補正部162は、例えば、第1エリアが注目エリアになっており、第1エリアの隣に、第2表示部の第2エリアが存在するような場合、注目エリアのバックライトの光量を、前記第2エリアのバックライトの光量に応じて補正する。これを、ある表示部内の隣接し合うエリア同士にても、ある液晶表示装置とその隣の液晶表示装置との境界を挟んで互いに隣接し合うエリア同士においても実施する。
【0123】
それゆえ、ある表示部内の隣接し合うエリア同士にて同一または近似する輝度成分の画像データの画像を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で輝度が大幅に異なることを抑制できる。さらに、ある液晶表示装置とその隣の液晶表示装置との境界を挟んで互いに隣接し合うエリア同士において、輝度成分の平均値等が同一または近似する画像部分を表示する際に、この隣接し合うエリア同士で輝度が大幅に異なることを抑制できる。よって、図7の符号35に示すように、同一の液晶表示装置内の隣接するエリア間での黒色の輝度の相違を緩和できる。且つ、隣接し合う液晶表示装置間での黒色の輝度の相違を緩和できるため、マルチディスプレイ装置100全体で表示される画像の違和感を抑制できる。
【0124】
より具体的に説明すると、本実施形態の表示制御装置150において、図13に示される処理が行われる結果、互いに隣り合うエリア同士のバックライトの光量差の最高値(絶対値)が補正前よりも補正後の方が小さくなるように補正されることになる(図10に示すように、前記光量補正前は前記最高値が100であるが、前記光量補正後は前記最高値が50になっている)。また、互いに隣り合うエリア同士の各光量において小さい方の光量が大きい方の光量の半分未満にならないように、各エリアの光量が補正されることになる。その結果、各エリアの位置を横軸にして各エリアの光量を縦軸にしたヒストグラムを想定した場合、前記光量補正前は前記ヒストグラムにおける光量変化が急峻であるが(図10の初期値を参照)、前記光量補正後は前記ヒストグラムにおける光量変化が滑らかになる(図10の補正後の光量データを参照)。これにより、互いに隣り合うエリア間での大きな輝度差が抑制された画像を表示できることになり、ローカルディミングのデメリットを克服できる。
【0125】
また、本実施形態の光量補正部162は、前記注目エリアの隣に位置する各隣接エリアのバックライトの光量のなかで最も大きな光量を隣接光量とし、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍(n=2)よりも小さいか否かを判定している(S3)。そして、光量補正部162は、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さくない場合、注目エリアのバックライトの光量を補正せず(S4)、注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さい場合、注目エリアのバックライト光量を前記隣接光量の1/n倍の値に補正している(S7)。これにより、互いに隣り合う2つのエリアにおける各光量のうちの小さい方の光量が大きい方の光量の1/n倍未満にならないように、各エリアの光量補正を行うことができる。但し、前記のnの値は2に限られるものではなく、1より大きな値であればよい。
【0126】
なお、本実施形態では、バックライトの出力光量の最高値(全点灯)を100とした場合の百分率(%)で表した。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、出力光量の最高値を1として、1以下の小数(小数点第N位までの値)で示してもよい。但し、この場合、図13のS2において、算出値における小数点以下が切り上げられるのではなく、算出値の小数点第N+1位以下の値が切り上げられることになる。例えば、バックライトの光量を小数点第2位までの値(0.00)で表す場合、図13のS2において、「0.225」が算出されると、「0.225」は「0.23」に切り上げられる。
【0127】
また、本実施形態では、注目エリアの光量を、隣接光量(注目エリアに隣接する各隣接エリアの各光量のなかで最も大きな光量)の1/n倍になるように補正しているが、このような補正に限定されるものではない。要は、隣接エリアの光量に応じて注目エリアの光量を補正するようになっていればよく、注目エリアの光量を前記隣接光量の1/n倍になるように補正するという形態に限られるものではない。例えば、前記隣接光量の値に応じた閾値を設定し、注目エリアの光量と前記隣接光量との差分が当該閾値を超えていると判定した場合、前記差分が閾値と同値になるように注目エリアの光量を加算するようになっていてもよい。また、注目エリアの光量と前記隣接光量との差分が閾値を超えていると判定した場合、注目エリアの光量と前記隣接光量との平均値を、注目エリアの補正後光量にするというようになっていてもよい。
【0128】
また、光量補正の内容(形態)が演算式を用いるのが好ましい場合、演算式を用いて補正値を出力するように設定され、補正用テーブルを用いるのが好ましい場合、補正用テーブルを用いて補正値を出力するように設定される。
【0129】
以上に示した表示制御装置150は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0130】
すなわち、表示制御装置150は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである表示制御装置150の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、表示制御装置150に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0131】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0132】
また、表示制御装置150を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0133】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段や、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、ローカルディミング可能な液晶表示装置や、ローカルディミング可能な表示部を複数備えたマルチディスプレイ装置に利用できる。
【符号の説明】
【0135】
100 マルチディスプレイ装置(液晶表示装置)
101 表示システム
110 表示部
120 表示部
130 表示部
140 表示部
150 表示制御装置
160 画像補正部
161 光量算出部
162 光量補正部
163 出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な液晶表示装置に、画像データを出力する表示制御装置であって、
入力画像データを前記調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、前記調光エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出部と、
前記算出された調光エリアのバックライトの光量を、当該調光エリアに隣接する調光エリアである隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正部と、
前記複数の調光エリアのバックライトの光量が、それぞれ、前記光量補正部にて補正された光量となるよう、前記入力画像データを出力画像データに補正する画像補正部と、
前記出力画像データを前記液晶表示装置に出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記液晶表示装置は、前記調光エリアを複数有する表示部を複数備えたマルチディスプレイ装置であり、
前記光量補正部は、第1表示部の第1調光エリアに隣接して、第2表示部の第2調光エリアが存在する場合、前記第1調光エリアのバックライトの光量を、前記第2調光エリアのバックライトの光量に応じて補正する、ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記光量補正部は、互いに隣り合う調光エリア同士のバックライトの光量差の最高値が抑制されるように、前記補正を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記光量補正部は、互いに隣り合う2つの調光エリアにおける各光量のうちの小さい方の光量が大きい方の光量の1/n倍未満(n>1)にならないように、前記補正を行うことを特徴とする請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記光量補正部は、
前記複数の調光エリアの全てを順に注目エリアとして扱い、
前記注目エリアの隣に位置する各隣接エリアのバックライトの光量のなかで最も大きな光量を隣接光量とし、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さいか否かを判定し、
前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さくない場合、前記注目エリアのバックライトの光量を補正せず、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さい場合、前記注目エリアのバックライト光量を前記隣接光量の1/n倍の値に補正することを特徴とする請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の表示制御装置と、
画像を表示する複数の調光エリアを有しており、前記表示制御装置から入力された前記出力画像データを基に、調光エリア毎にバックライトの光量調整を行う光量調整部を備えた液晶表示装置と、
を備えたことを特徴とする表示システム。
【請求項7】
画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な液晶表示装置に、画像データを出力する画像データ出力方法であって、
入力画像データを前記調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、前記調光エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出工程と、
前記算出された調光エリアのバックライトの光量を、当該調光エリアに隣接する調光エリアである隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正工程と、
前記複数の調光エリアのバックライトの光量が、それぞれ、前記光量補正工程にて補正された光量となるよう、前記入力画像データを出力画像データに補正する画像補正工程と、
前記出力画像データを前記液晶表示装置に出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする画像データ出力方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から5のいずれか1項に記載の表示制御装置の各部として機能させるプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な液晶表示装置に、画像データを出力する表示制御装置であって、
入力画像データを前記調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、前記調光エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出部と、
前記算出された調光エリアのバックライトの光量を、当該調光エリアに隣接する調光エリアである隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正部と、
前記複数の調光エリアのバックライトの光量が、それぞれ、前記光量補正部にて補正された光量となるよう、前記入力画像データを出力画像データに補正する画像補正部と、
前記出力画像データを前記液晶表示装置に出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記液晶表示装置は、前記調光エリアを複数有する表示部を複数備えたマルチディスプレイ装置であり、
前記光量補正部は、第1表示部の第1調光エリアに隣接して、第2表示部の第2調光エリアが存在する場合、前記第1調光エリアのバックライトの光量を、前記第2調光エリアのバックライトの光量に応じて補正する、ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記光量補正部は、互いに隣り合う調光エリア同士のバックライトの光量差の最高値が抑制されるように、前記補正を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記光量補正部は、互いに隣り合う2つの調光エリアにおける各光量のうちの小さい方の光量が大きい方の光量の1/n倍未満(n>1)にならないように、前記補正を行うことを特徴とする請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記光量補正部は、
前記複数の調光エリアの全てを順に注目エリアとして扱い、
前記注目エリアの隣に位置する各隣接エリアのバックライトの光量のなかで最も大きな光量を隣接光量とし、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さいか否かを判定し、
前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さくない場合、前記注目エリアのバックライトの光量を補正せず、前記注目エリアのバックライトの光量が前記隣接光量の1/n倍よりも小さい場合、前記注目エリアのバックライト光量を前記隣接光量の1/n倍の値に補正することを特徴とする請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の表示制御装置と、
画像を表示する複数の調光エリアを有しており、前記表示制御装置から入力された前記出力画像データを基に、調光エリア毎にバックライトの光量調整を行う光量調整部を備えた液晶表示装置と、
を備えたことを特徴とする表示システム。
【請求項7】
画像を表示する複数の調光エリアを有しており調光エリア毎にバックライトの光量調整が可能な液晶表示装置に、画像データを出力する画像データ出力方法であって、
入力画像データを前記調光エリア毎に割り当てた部分画像データに基づき、前記調光エリア毎にバックライトの光量を算出する光量算出工程と、
前記算出された調光エリアのバックライトの光量を、当該調光エリアに隣接する調光エリアである隣接エリアのバックライトの光量に応じて補正する光量補正工程と、
前記複数の調光エリアのバックライトの光量が、それぞれ、前記光量補正工程にて補正された光量となるよう、前記入力画像データを出力画像データに補正する画像補正工程と、
前記出力画像データを前記液晶表示装置に出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする画像データ出力方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から5のいずれか1項に記載の表示制御装置の各部として機能させるプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図8】
【図13】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−226178(P2012−226178A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94534(P2011−94534)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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