説明

表示制御装置および画像合成方法

【課題】 複数のビデオメモリを用いることなく、任意の形状の画像を、容易に合成する。
【解決手段】 本発明の表示制御装置は、所定の画像を表す所定の階調データを記憶する記憶部と、複数の階調データを所定の階調データと比較し、複数の階調データ内に所定の階調データと同じ階調データがある場合、複数の階調データ内の所定の階調データと同じ階調データを、所定の階調データとは異なるように修正する、修正部と、記憶部から読み出した階調データが所定の階調データと同じである場合、記憶部はすでに記憶している階調データを保持し、記憶部から読み出した階調データが所定の階調データと同じでない場合、記憶部は修正部から出力された階調データを記憶するように記憶部を制御する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置および画像合成方法に関し、より詳細には、画像を合成する表示制御装置および画像合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話は、一般的に、表示装置を含んでおり、その表示装置として、液晶表示装置が使用されている。
【0003】
また、多くの携帯電話は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)センサを含み、CCDセンサは、近年、静止画画像だけでなく、動画画像も撮像可能になっている。
【0004】
図6は、従来の携帯電話200を示す模式的なブロック図である。
【0005】
携帯電話200は、ビデオメモリ213を含む液晶コントローラ210と、メインプロセッサ221と、メインメモリ222と、画像を撮像するCCDセンサ230と、液晶表示装置240と、他の通信機器と通信する通信装置250と、ユーザの指示を入力するための入力装置260とを備える。液晶コントローラ210は、液晶表示装置240を制御する。
【0006】
メインプロセッサ221は、画像を表す階調データをメインメモリ222において合成し、合成した階調データを、液晶コントローラ210に転送する。携帯電話200では、液晶表示装置240が低解像である場合、一度の転送で1フレームの階調データを転送する。
【0007】
液晶コントローラ210は、メインプロセッサ221から転送された階調データを、ビデオメモリ213に記憶する。ビデオメモリ213に記憶された階調データは、一定の周期で読み出され、階調データは液晶表示装置240に転送される。液晶表示装置240は、階調データに基づいて画像を表示する。
【0008】
CCDセンサ230は、画像として、静止画画像および/または動画画像を撮像することによって、その画像を表す階調データを生成する。CCDセンサ230において生成された階調データは、一旦メインプロセッサ221に入力され、メインプロセッサ221は、メインメモリ222において階調データを合成し、同様に、合成した階調データを液晶コントローラ210に転送する。
【0009】
携帯電話200では、メインメモリ222において、画像の重ね合わせ処理が行われる。この画像の重ね合わせ処理により、CCDセンサ230によって撮像した画像に、アンテナを示す画像、電池を示す画像、時計を示す画像などのユーザインターフェイスのための所定の画像を合成することができる。
【0010】
近年、携帯電話200において、液晶表示装置240の解像度はますます高くなっており、液晶コントローラ210の消費電力は、液晶表示装置240の解像度とともに増加する傾向にある。このような液晶表示装置240の高解像度化に伴い、携帯電話200のより複雑な機能を低消費電力で実現することが要望されている。
【0011】
また、近年、CCDセンサ230の高画素化がすすみ、また、動画画像を撮像することが可能になったことに伴い、15フレーム/秒以上の動画を表示するための機能などが追加され、メインプロセッサ221によるメインメモリ222での画像合成、一括転送による1フレーム表示などのアーキテクチャに対し、消費電力、EMI(electromagnetic Interference)ノイズ、およびメインプロセッサ221のパフォーマンスなどの観点から、多くの問題が発生している。
【0012】
したがって、これまでメインプロセッサ221によってメインメモリ222において行われていた画像の重ね合わせ処理を液晶コントローラ210において行うことが望まれている。
【0013】
ビデオメモリ213において画像の重ね合わせ処理を行う手法としては、以下の二つの手法が知られている。
【0014】
一つ目の手法は、液晶コントローラに内蔵されたビデオメモリの領域を分割し、分割領域の重なり状態をマイクロプロセッサから設定することで画像を重ね合わせる手法である。この手法は、特許文献1に記載されている。
【0015】
また、二つ目の手法は、OSD(オンスクリーンディスプレイ)処理による手法である。この手法では、コントローラは、用途に応じて用いられる複数のビデオメモリを含み、あるビデオメモリは、CCDセンサによって撮像した画像を記憶するために使用され、別のビデオメモリは、文字など所定の画像を記憶するために使用される。
【特許文献1】特開平4−97288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、特許文献1に記載された手法は、特定の矩形領域の画像を合成する場合には有効であるが、任意の形状の画像同士を合成することが容易ではない。
【0017】
また、OSD処理による手法では、複数のビデオメモリが必要である。その結果、コントローラの消費電力が上昇するとともに、コストが増加することになる。また、小型化が要求される携帯電話において、さらなるビデオメモリを追加することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の表示制御装置は、1フレームの階調データを記憶可能な記憶部であって、前記1フレーム内の所定の画像を表す所定の階調データを記憶する記憶部と、画像を表す複数の階調データを受け取り、前記複数の階調データの少なくとも一つを修正し、前記修正した階調データを含む複数の階調データを出力する修正部であって、前記複数の階調データを前記所定の階調データと比較し、前記複数の階調データ内に前記所定の階調データと同じ階調データがある場合、前記複数の階調データ内の前記所定の階調データと同じ階調データを、前記所定の階調データとは異なるように修正する、修正部と、前記記憶部に記憶された階調データを読み出し、前記記憶部に記憶された階調データを前記所定の階調データと比較し、前記記憶部から読み出した階調データが前記所定の階調データと同じである場合、前記記憶部はすでに記憶している階調データを保持し、前記記憶部から読み出した階調データが前記所定の階調データと同じでない場合、前記記憶部は前記修正部から出力された階調データを記憶するように前記記憶部を制御する制御部とを備える。
【0019】
前記修正部は、前記所定の階調データを格納したテーブルを有するテーブル部と、前記複数の階調データを前記所定の階調データと比較する比較部と、前記比較部の比較結果に基づいて、前記複数の階調データ内の前記所定の階調データと同じ階調データを別の階調データに置換する置換部とを含んでもよい。
【0020】
前記記憶部は、ビデオメモリを含んでもよい。
【0021】
前記制御部は、メモリコントローラを含んでもよい。
【0022】
前記記憶部は、前記1フレーム内の前記所定の画像を表す複数の所定の階調データを記憶し、前記テーブル部は、前記複数の階調データを格納した複数のテーブルを有してもよい。
【0023】
前記記憶部に記憶された階調データを変換する変換部をさらに備えてもよい。
【0024】
前記変換部は、前記記憶部に記憶された階調データを変換するためのパレットテーブルを有するパレットテーブル部を含んでもよい。
【0025】
前記修正部は、前記所定の階調データによって示される階調に最も近い階調を示す階調データに修正してもよい。
【0026】
本発明の画像合成方法は、1フレームの階調データを記憶可能な記憶部が、前記1フレーム内の所定の画像を表す所定の階調データを記憶する工程と、修正部が、画像を表す複数の階調データを受け取り、前記複数の階調データの少なくとも一つを修正し、前記修正した階調データを含む複数の階調データを出力する工程であって、前記修正部が、前記複数の階調データを前記所定の階調データと比較し、前記複数の階調データ内に前記所定の階調データと同じ階調データがある場合、前記複数の階調データ内の前記所定の階調データと同じ階調データを、前記所定の階調データとは異なるように修正する、工程と、前記記憶部に記憶された階調データを読み出し、前記読み出した階調データを前記所定の階調データと比較し、前記記憶部から読み出した階調データが前記所定の階調データと同じである場合、前記記憶部はすでに記憶している階調データを保持し、前記記憶部から読み出した階調データが前記所定の階調データと同じでない場合、前記記憶部は、前記修正部から出力された階調データを記憶する工程とを包含する。
【0027】
本発明によれば、修正部が、画像を表す複数の階調データ内の所定の階調データを別の階調データに修正し、修正した階調データを含む複数の階調データを出力するとともに、ビデオメモリは、すでに記憶している階調データのうちの所定の画像を表す所定の階調データをそのまま保持し、ビデオメモリに記憶された階調データのうちの所定の階調データ以外の階調データを、修正部から出力された階調データに更新する。その結果、予めビデオメモリに記憶された所定の画像を別の画像と合成することができる。
【0028】
また、本発明によれば、複数の階調データによって表される所定の画像を別の画像と合成することができる。
【0029】
また、本発明によれば、特定の階調データを別の階調データに変換することにより、合成する画像を任意の階調にすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、修正部が、複数の階調データを所定の階調データと比較し、複数の階調データ内に所定の階調データと同じ階調データがある場合、複数の階調データ内の所定の階調データと同じ階調データを、所定の階調データとは異なるように修正し、修正した階調データを含む複数の階調データを出力する。また、本発明によれば、記憶部から読み出した階調データが所定の階調データと同じである場合、記憶部はすでに記憶している階調データを保持し、記憶部から読み出した階調データが所定の階調データと同じでない場合、記憶部は修正部から出力された階調データを記憶する。
【0031】
したがって、所定の階調データによって表される所定の画像を別の画像と重ね合わせることができる。また、複数のビデオメモリを用いることなく、任意の形状の画像同士を、容易に合成することができる。
【0032】
また、本発明によれば、画像を表す複数の階調データを所定の階調データと比較する比較部と、比較部において比較した結果に応じて、複数の階調データのうちの所定の階調データと同じ階調データを別の階調データに置換する置換部と、階調データを記憶するビデオメモリと、ビデオメモリから階調データを読み出し、読み出した階調データを所定の階調データと比較し、比較した結果に基づいて置換部から出力された階調データをビデオメモリに記憶するようにビデオメモリを制御するメモリコントローラとを備える。
【0033】
これにより、置換部は、画像を表す複数の階調データ内の所定の階調データを別の階調データに置換し、ビデオメモリは、所定の階調データがすでに記憶されている場合にはその階調データを保持し、それ以外の場合には置換部から出力された階調データを書き込むことができ、その結果、ビデオメモリは、すでに記憶している所定の画像を表す階調データを保持するとともに、別の画像を表す別の階調データを記憶することができる。
【0034】
また、本発明によれば、画像を表す複数の階調データを、テーブル部の複数の所定の階調データと比較することで、複数の階調データによって表される所定の画像を別の画像と合成することができる。
【0035】
また、本発明によれば、ビデオメモリに記憶された階調データを変換するパレットテーブルを有することにより、特定の階調データを別の階調データに変換することが可能となり、合成する画像を任意の階調にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下の説明では、本発明の表示制御装置の一つの実施形態として、携帯電話に用いられる表示制御装置について説明する。
【0037】
図1は、本発明のある実施形態による表示制御装置10を用いた携帯電話100を示す模式的なブロック図である。
【0038】
携帯電話100は、記憶部13を含む表示制御装置10と、処理装置20と、画像を撮像する撮像装置30と、画像を表示する表示装置40と、他の通信機器と通信する通信装置50と、ユーザの指示を入力するための入力装置60とを備える。
【0039】
表示制御装置10は、表示装置40を制御する。
【0040】
処理装置20は、携帯電話100のシステムコントローラとして機能し、表示制御装置10、通信装置50および入力装置60からの命令および指示を処理し、表示制御装置10、通信装置50および入力装置60に、命令および指示を与える。
【0041】
記憶部13は、1フレームの階調データを記憶する。ここで、1フレームの階調データは、1フレームの複数のアドレスのそれぞれにR(赤)、G(緑)、B(青)の階調データを含み、一つの階調データは、Rの値、Gの値、Bの値をそれぞれ有する。
【0042】
処理装置20は、画像を表す階調データを、表示制御装置10に転送する。
【0043】
撮像装置30は、画像として、静止画画像および/または動画画像を撮像することによって、その画像を表す階調データを生成する。次いで、撮像装置30は、生成した複数の階調データを、表示制御装置10に転送する。
【0044】
表示制御装置10は、処理装置20および/または撮像装置30から転送された階調データを、記憶部13に記憶する。記憶部13に記憶された階調データは、一定の周期で読み出されて、表示装置40に転送される。
【0045】
表示装置40は、表示制御装置10から出力された階調データに基づいて画像を表示する。
【0046】
図2は、図1に示した表示制御装置10の構成を示す模式的なブロック図である。図2では、表示制御装置10に関連する装置も示している。
【0047】
表示制御装置10は、階調データを修正する修正部11と、制御部12と、図1にも示した記憶部13とを備える。
【0048】
制御部12は、記憶部13に階調データを記憶し、かつ、記憶部13から階調データを読み出すように、記憶部13を制御する。
【0049】
表示制御装置10は、また、制御部12によって記憶部13から読み出された階調データを変換する変換部14をさらに備えてもよい。
【0050】
1フレーム内の所定の画像を表す所定の階調データが処理装置20に予め記憶されている場合、処理装置20は、制御部12に所定の階調データを転送し、制御部12は、記憶部13が、所定の階調データを記憶するように、記憶部13を制御する。
【0051】
あるいは、所定の階調データは、撮像装置30によって撮像された後に、処理装置20に入力され、入力装置60(図1参照)からの入力に応じて処理装置20によって設定されてもよい。
【0052】
処理装置20は、所定の階調データを修正部11に転送する。
【0053】
修正部11は、撮像装置30によって生成された複数の階調データを受け取り、その少なくとも一つを修正し、修正した階調データを含む複数の階調データを制御部12に出力する。
【0054】
詳細には、まず、修正部11は、撮像装置30によって生成された複数の階調データを受け取る。
【0055】
次いで、修正部11は、撮像装置30によって生成された階調データと所定の階調データとに基づいて、撮像装置30によって生成された階調データを修正する。より詳細には、修正部11は、撮像装置30によって生成された複数の階調データを所定の階調データと比較し、比較の結果、複数の階調データ内に所定の階調データと同じ階調データがある場合、複数の階調データ内の所定の階調データと同じ階調データを、所定の階調データとは異なるように修正する。なお、修正部11は、修正後の階調データによって示される階調が、修正前の階調データによって示される階調とできるだけ近いように修正することが好ましい。
【0056】
次いで、修正部11は、修正した階調データを含む複数の階調データを制御部12に出力する。
【0057】
処理装置20は、また、所定の階調データを制御部12に転送する。
【0058】
制御部12は、記憶部13に記憶されている階調データと、所定の階調データと、修正部11から出力された階調データとに基づいて、記憶部13に記憶される階調データを更新するように記憶部13を制御する。
【0059】
詳細には、まず、制御部12は、記憶部13に記憶された階調データをアドレス毎に読み出す。
【0060】
次いで、制御部12は、記憶部13から読み出した階調データを所定の階調データと比較する。記憶部13から読み出した階調データが所定の階調データと同じである場合、記憶部13はすでに記憶している階調データを保持する。また、記憶部13から読み出した階調データが所定の階調データと同じでない場合、記憶部13は修正部11から出力された階調データをそのアドレスに記憶する。
【0061】
このようにして、記憶部13において、所定の階調データによって表される所定の画像を別の階調データによって表される別の画像と重ね合わせることができる。
【0062】
制御部12は、必要に応じて、必要に応じて、記憶部13から階調データを読み出し、読み出した階調データを変換部14に出力する。
【0063】
変換部14は、制御部12から出力された階調データのうちの予め設定された階調データを変換する。
【0064】
処理装置20は、必要に応じて、変換部14の変換を変更する。
【0065】
変換部14は、変換した階調データを表示装置40に出力する。
【0066】
表示装置40は、変換部14から出力された階調データに基づいて画像を表示する。
【0067】
図3は、図2に示した表示制御装置10および表示制御装置10に関連する部分の詳細を構成を示す模式的なブロック図である。
【0068】
処理装置20は、マイクロプロセッサ21と、メインメモリ22とを含む。
【0069】
撮像装置30は、CCDセンサ31を含む。
【0070】
表示装置40は、液晶表示装置41を含む。液晶表示装置41は、液晶駆動回路と液晶パネルとを含むが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0071】
ここで、表示制御装置10は、表示装置40を制御するものであり、ここで、表示制御装置10は、液晶コントローラとして機能する。
【0072】
修正部11は、比較部11aと、比較部11aの比較の結果に基づいて、CCDセンサ31によって生成された階調データを置換する置換部11bと、少なくとも一つのテーブルを有するテーブル部11cとを含む。
【0073】
制御部12は、メモリコントローラ12aを含む。
【0074】
記憶部13は、ビデオメモリ13aを含む。
【0075】
変換部14は、パレットテーブルを有するパレットテーブル部14aを含む。
【0076】
1フレーム内の所定の画像を表す所定の階調データがメインメモリ22に予め記憶されている場合、メインプロセッサ21は、メインメモリ22から所定の階調データを読み出し、読み出した所定の階調データをメモリコントローラ12aに転送する。メモリコントローラ12aは、ビデオメモリ13aが、所定の階調データを記憶するように、ビデオメモリ13aを制御する。
【0077】
あるいは、所定の階調データは、CCDセンサ31によって撮像された後に、メインメモリ22に入力され、入力装置60(図1参照)からの入力に応じてメインプロセッサ21によって設定されてもよい。
【0078】
このようにして、メインメモリ22には、1フレーム内の所定の画像を表す所定の階調データが記憶される。
【0079】
階調データは、R(赤)、G(緑)、B(青)のデータを含む。ここでは、階調データは、R、G、Bのそれぞれ、6ビット、すなわち、64階調で表される。
【0080】
マイクロプロセッサ21は、テーブル部11cのテーブルが所定の階調データを格納するように、テーブル部11cを制御する。
【0081】
また、マイクロプロセッサ21は、メモリコントローラ12aが、ビデオメモリ13aに階調データを記憶し、ビデオメモリ13aから階調データを読み出すように、メモリコントローラ12aを制御する。また、マイクロプロセッサ21は、メモリコントローラ12aが、ビデオメモリ13aから階調データを読み出した階調データをパレットテーブル部14aに出力するように、メモリコントローラ12aを制御する。
【0082】
パレットテーブル部14aは、パレットテーブルを用いて、階調データを予め設定された階調データに変換し、変換した階調データを液晶表示装置41に出力する。
【0083】
液晶表示装置41は、その階調データに基づいて画像を表示する。
【0084】
以下に、CCDセンサ31によって撮像された画像を表す階調データが入力され、ビデオメモリ13aにおいてCCDセンサ31によって撮像された画像を、所定の画像と合成し、液晶表示装置41が合成された画像を表示する態様について説明する。
【0085】
まず、CCDセンサ31は、動画画像または静止画画像を撮像することによって、動画画像または静止画画像を表す複数の階調データを生成する。
【0086】
CCDセンサ31によって生成された階調データは、比較部11aおよび置換部11bに入力される。
【0087】
比較部11aは、階調データを、テーブル部11cに予め格納された所定の階調データと比較する。比較部11aは、比較した結果に基づいて、一致/不一致を示す信号を置換部11bに出力する。
【0088】
詳細には、比較部11aは、CCDセンサ31によって生成された階調データ内にテーブル部11cに格納された所定の階調データと同じ階調データがある場合、一致を示す信号を置換部11bに出力する。また、比較部11aは、CCDセンサ31によって生成された階調データ内にテーブル部11cに格納された所定の階調データと同じ階調データがない場合、不一致を示す信号を置換部11bに出力する。
【0089】
比較部11aから一致を示す信号が置換部11bに入力されると、例えば、一致を示す信号がハイレベルになると、置換部11bは、その階調データを置換する。ここでは、置換部11bは、その階調データの最下位ビットを反転する。これは、最下位ビットを反転しても、階調データによって示される階調の変化が小さいからである。
【0090】
このように、置換部11bが置換することによって、置換部11bから出力される階調データは、テーブル部11cに格納された所定の階調データを全く含まないデータとなる。
【0091】
テーブル部11cのテーブルは、1つに限らず、複数のテーブルを有し、複数のテーブルのそれぞれが、異なる所定の階調データを格納していてもよい。
【0092】
テーブル部11cが複数のテーブルを有する場合、比較部11aは、階調データを、テーブル部11cに予め格納された所定の階調データと比較する。
【0093】
この場合も、置換部11bは、比較部11aから一致を示す信号が入力されると、階調データの最下位ビットを反転する。次いで、置換部11bは、最下位ビットを反転された階調データを比較部11aに伝達する。
【0094】
比較部11aは、最下位ビットを反転された階調データを、テーブル部11cの別のテーブルに格納された階調データと比較する。比較の結果、最下位ビットを反転された階調データが、テーブル部11cの別のテーブルに格納された階調データと同じである場合、比較部11aは、一致を示す信号を置換部11bに再び出力する。
【0095】
二回目の一致を示す信号が置換部11bに入力されると、置換部11bは、さらに別の階調データに置換する。ここでは、置換部11bは、その階調データの最下位ビットの上位にある第二ビットを反転する。
【0096】
比較部11aおよび置換部11bは、階調データがテーブル部11cに格納された複数の階調データのすべてと異なるまで、比較と反転とを繰り返す。したがって、置換部11bから出力される階調データは、テーブル部11cに格納された複数の所定の階調データのすべてと異なる。
【0097】
このように、テーブル部11cが複数のテーブルを有する場合も、置換部11bから出力される階調データは、テーブル部11cに格納された所定の階調データを全く含まないデータとなる。
【0098】
メモリコントローラ12aは、ビデオメモリ13aに既に記憶されている階調データをアドレス毎に読み出し、読み出した階調データを、所定の階調データと、アドレス毎に比較する。
【0099】
ビデオメモリ13aから読み出した階調データが、所定の階調データと同じ場合、メモリコントローラ12aは、ビデオメモリ13aが、既に記憶されている階調データを保持するように、ビデオメモリ13aを制御する。
【0100】
また、ビデオメモリ13aから読み出した階調データが、所定の階調データと同じでない場合、メモリコントローラ12aは、ビデオメモリ13aが、置換部11bから出力された階調データをそのアドレスに記憶するように、ビデオメモリ13aを制御する。
【0101】
また、複数の所定の階調データが存在する場合も、メモリコントローラ12aは、ビデオメモリ13aから読み出した階調データを、すべての所定の階調データと比較する。
【0102】
読み出した階調データが複数の所定の階調データのうちのいずれかと同じであれば、そのアドレスには書き込みを行わず、ビデオメモリ13aは、すでに記憶している階調データを保持する。
【0103】
反対に、ビデオメモリ13aから読み出した階調データが、すべての所定の階調データと異なる場合、すなわち、読み出した階調データが複数の所定の階調データのうちいずれとも同じでない場合、メモリコントローラ12aは、ビデオメモリ13aが置換部11bから出力された階調データをそのアドレスに記憶するように、ビデオメモリ13aを制御する。
【0104】
メモリコントローラ12aは、必要に応じて、ビデオメモリ13aに記憶された階調データを読み出し、読み出した階調データをパレットテーブル部14aに出力する。
【0105】
パレットテーブル部14aは、パレットテーブルを用いて、メモリコントローラ12aから出力された階調データのうちの予め設定された階調データを変換する。パレットテーブル部14aは、パレットテーブルを用いた階調変換方法として、メモリテーブル変換方式などの公知の方法を用いるが、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0106】
メインプロセッサ21は、必要に応じて、パレットテーブル部14aのテーブルを変更する。これにより、画像の階調を変更することができる。
【0107】
パレットテーブル部14aは、変換した階調データを液晶表示装置41に出力する。
【0108】
液晶表示装置41は、パレットテーブル部14aから出力された階調データに基づいて画像を表示する。
【0109】
以下に、画像合成について説明する。
【0110】
図4は、本発明のある実施形態における所定の画像を含む1フレームの画像70を示す模式図である。
【0111】
画像70において、所定の画像は、外枠71と、第1の曲線部72と、第2の曲線部73と、第3の曲線部74であり、第1の曲線部72と、第2の曲線部73と、第3の曲線部74とによって虹が形成されている。
【0112】
なお、ここでは、説明を過度に複雑にすることを防ぐ目的で、階調データのR,G,Bをそれぞれ、2ビット、すなわち、4階調で示す。
【0113】
ここで、再び、図3を参照する。
【0114】
マイクロプロセッサ21は、モリコントローラ12aを介して、外枠71をビデオメモリ13aに書き込む。ここで、外枠71の階調データは、(R,G,B)=(10,10,10)である。
【0115】
次いで、マイクロプロセッサ21は、モリコントローラ12aを介して、フレームの中央付近に虹を形成するために、第1の曲線部72と、第2の曲線部73と、第3の曲線部74とをビデオメモリ13aに書き込む。ここで、第1の曲線部72の階調データは、(R,G,B)=(01,00,00)であり、第2の曲線部73の階調データは、(R,G,B)=(00,01,00)であり、第3の曲線部74の階調データは、(R,G,B)=(00,00,01)である。
【0116】
また、マイクロプロセッサ21は、CCDセンサ31によって撮像した画像を表示するための領域の階調データが(R,G,B)=(00,00,00)になるように予め設定している。
【0117】
ついで、マイクロプロセッサ21は、テーブル部11cに、4つの階調データ、すなわち、外枠71の階調データ(R,G,B)=(10,10,10)、第1の曲線部72の階調データ(R,G,B)=(01,00,00)、第2の曲線部73の階調データ(R,G,B)=(00,01,00)、第3の曲線部74の階調データ(R,G,B)=(00,00,01)を格納する。
【0118】
CCDセンサ31によって生成された階調データは、修正部11によって、上記の4つの所定の階調データを含まない階調データに修正される。
【0119】
ここで、CCDセンサ31から複数のフレームの画像を表す階調データが連続的に入力される場合、CCDセンサ31からは次のフレームの階調データが入力されるが、ビデオメモリ13aには既に階調データが記憶されている。この階調データにおいては、所定の階調データによって表される所定の画像以外の領域には上述した4つの所定の階調データが記憶されていない。
【0120】
したがって、ビデオメモリ13において、所定の画像と、CCDセンサ31によって撮像した画像とが合成されることになる。
【0121】
なお、メモリコントローラ12aから出力される階調データはパレットテーブル部14aにおいてパレットテーブルを用いて変換される。
【0122】
ここでは、外枠71の階調データ(R,G,B)=(10,10,10)は、青色の階調データ(R,G,B)=(00,00,63)に変換され、第1の曲線部72の階調データ(R,G,B)=(01,00,00)は、赤色の階調データ(R,G,B)=(63,00,00)に変換され、第2の曲線部73の階調データ(R,G,B)=(00,01,00)は、緑色の階調データ(R,G,B)=(00,63,00)に変換され、第3の曲線部74の階調データ(R,G,B)=(00,00,01)は、黄色の階調データ(R,G,B)=(63,00,63)に変換される。結果として、ビデオメモリ13aに記憶される階調データに対応する画像を所望の階調にすることができる。
【0123】
次いで、パレットテーブル部14aは、変換した階調データを液晶表示装置41に出力し、液晶表示装置41は、階調データに基づいて画像を表示する。
【0124】
図5は、図4に示された所定の画像に別の画像を合成した1つのフレームの画像70を示す模式図である。
【0125】
図5に示すように、1フレームの画像70のうちの外枠71、第1の曲線部72、第2の曲線部73および第3の曲線部74以外の領域に、画像75が合成される。
【0126】
このように、本実施形態によれば、マイクロプロセッサ21から予め書き込まれた外枠および虹といった所定の画像を保持しながら、CCDセンサ31によって撮像した画像をリアルタイムに合成し、かつ、表示することができる。
【0127】
なお、本明細書において、所定の画像は、模様に限定されるものではなく、文字であってもよい。この場合、文字を所定の画像として、映像に所定の文字を合成することもできる。
【0128】
なお、上記説明では、本発明の表示制御装置を携帯電話に用いる形態について説明したが、本発明はこれに限定さない。本発明は、携帯電話だけでなく、携帯情報端末といった携帯装置にも適用可能である。
【0129】
また、本発明の表示制御装置は、携帯することを目的とした携帯装置だけでなく、一般的な表示装置、例えば、据え置き型のテレビジョン装置にも適用可能である。
【0130】
また、上記説明では、表示装置の一つの形態として液晶表示装置について説明したが本発明の表示制御装置に適用可能な表示装置は、液晶表示装置に限定されない。本発明の表示制御装置は、任意の表示装置に適用可能である。
【0131】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明によれば、記憶部から読み出した階調データが所定の階調データと同じである場合、記憶部はすでに記憶している階調データを保持し、記憶部から読み出した階調データが所定の階調データと同じでない場合、記憶部は修正部から出力された階調データを記憶し、これにより、所定の階調データによって表される所定の画像を別の画像と重ね合わせることができる。したがって、複数のビデオメモリを用いることなく、任意の形状の画像を、容易に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1は、本発明のある実施形態による表示制御装置を用いた携帯電話を示す模式的なブロック図である。
【図2】図2は、図1に示した表示制御装置の構成を示す模式的なブロック図である。
【図3】図3は、図2に示した表示制御装置および表示制御装置に関連する部分の詳細を構成を示す模式的なブロック図である
【図4】図4は、本発明のある実施形態による所定の画像を含む1フレームの画像を示す模式図である。
【図5】図5は、図4に示された所定の画像に別の画像を合成した1つのフレームを示す模式図である。
【図6】図6は、従来の携帯電話を示す模式的なブロック図である。
【符号の説明】
【0134】
10 表示制御装置
11 修正部
11a 比較部
11b 置換部
11c テーブル部
12 制御部
12a メモリコントローラ
13 記憶部
13a ビデオメモリ
14 変換部
14a パレットテーブル部
20 処理装置
21 マイクロプロセッサ
22 メインメモリ
30 撮像装置
31 CCDセンサ
40 表示装置
41 液晶表示装置
50 通信装置
60 入力装置
100 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1フレームの階調データを記憶可能な記憶部であって、前記1フレーム内の所定の画像を表す所定の階調データを記憶する記憶部と、
画像を表す複数の階調データを受け取り、前記複数の階調データの少なくとも一つを修正し、前記修正した階調データを含む複数の階調データを出力する修正部であって、前記複数の階調データを前記所定の階調データと比較し、前記複数の階調データ内に前記所定の階調データと同じ階調データがある場合、前記複数の階調データ内の前記所定の階調データと同じ階調データを、前記所定の階調データとは異なるように修正する、修正部と、
前記記憶部に記憶された階調データを読み出し、前記記憶部に記憶された階調データを前記所定の階調データと比較し、前記記憶部から読み出した階調データが前記所定の階調データと同じである場合、前記記憶部はすでに記憶している階調データを保持し、前記記憶部から読み出した階調データが前記所定の階調データと同じでない場合、前記記憶部は前記修正部から出力された階調データを記憶するように前記記憶部を制御する制御部と
を備える、表示制御装置。
【請求項2】
前記修正部は、
前記所定の階調データを格納したテーブルを有するテーブル部と、
前記複数の階調データを前記所定の階調データと比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に基づいて、前記複数の階調データ内の前記所定の階調データと同じ階調データを別の階調データに置換する置換部と
を含む、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記記憶部は、ビデオメモリを含む、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、メモリコントローラを含む、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記1フレーム内の前記所定の画像を表す複数の所定の階調データを記憶し、
前記テーブル部は、前記複数の階調データを格納した複数のテーブルを有する、請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記記憶部に記憶された階調データを変換する変換部をさらに備える、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記変換部は、前記記憶部に記憶された階調データを変換するためのパレットテーブルを有するパレットテーブル部を含む、請求項6に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記修正部は、前記所定の階調データによって示される階調に最も近い階調を示す階調データに修正する、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項9】
1フレームの階調データを記憶可能な記憶部が、前記1フレーム内の所定の画像を表す所定の階調データを記憶する工程と、
修正部が、画像を表す複数の階調データを受け取り、前記複数の階調データの少なくとも一つを修正し、前記修正した階調データを含む複数の階調データを出力する工程であって、前記修正部が、前記複数の階調データを前記所定の階調データと比較し、前記複数の階調データ内に前記所定の階調データと同じ階調データがある場合、前記複数の階調データ内の前記所定の階調データと同じ階調データを、前記所定の階調データとは異なるように修正する、工程と、
前記記憶部に記憶された階調データを読み出し、前記読み出した階調データを前記所定の階調データと比較し、前記記憶部から読み出した階調データが前記所定の階調データと同じである場合、前記記憶部はすでに記憶している階調データを保持し、前記記憶部から読み出した階調データが前記所定の階調データと同じでない場合、前記記憶部は、前記修正部から出力された階調データを記憶する工程と
を包含する、画像合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−3474(P2006−3474A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177657(P2004−177657)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】