説明

表示媒体用マスクシートおよびこれを備えた表示装置、表示媒体用マスクシートの製造方法

【課題】隠蔽層が二層からなる場合も、各層の光透過領域間の位置ずれがない表示媒体用マスクシートおよびこれを備えた表示装置、並びに、表示媒体用マスクシートの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の表示媒体用マスクシート16は、電子ペーパー14の表示面を覆うために用いられ、光透過性基材17と、光透過性基材17の一方の面17aに積層された黒色系印刷層19および白色印刷層18からなる隠蔽層15と、を備え、隠蔽層15は、電子ペーパー14による表示パターンをなす光透過領域15aを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーなどの反射型表示媒体の表示面を覆うために用いられる表示媒体用マスクシートおよびこれを備えた表示装置、並びに、表示媒体用マスクシートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者等は、電子ペーパーなどの反射型表示媒体の表示面において、電極が形成されていない部分を覆い隠して、この反射型表示媒体による表示パターンの視認性を高めるための隠蔽層を設けていた。
本発明者等は、その隠蔽層を設けるために、反射型表示媒体の表示面を、光透過性の基材、および、基材の一方の面に設けられた隠蔽層から構成される表示媒体用マスクシートで覆っていた。
その隠蔽層は、スクリーン印刷法により、基材の一方の面に形成された印刷層からなり、隠蔽層には、反射型表示媒体による表示パターンをなす光透過領域、すなわち、開口部が設けられる。
【0003】
また、隠蔽層による隠蔽効果を高めるとともに、反射型表示媒体による表示をより鮮明にするために、隠蔽層の色合いを、反射型表示媒体の背景色の色合いに合わせる必要がある。
そのため、反射型表示媒体の背景色が黒色の場合、表示媒体用マスクシートとしては、隠蔽層が一層の黒色の印刷層のみからなるものが挙げられる。これは、黒色の印刷層が、所定の濃度以上の黒色顔料を含む場合、隠蔽効果を奏するからである。
また、反射型表示媒体の背景色が白色の場合、表示媒体用マスクシートとしては、隠蔽層がアルミニウム粒子を含む隠蔽インキからなる印刷層(以下、「隠蔽インキ印刷層」と言う。)と、その上に積層された白色インキからなる印刷層(以下、「白色印刷層」と言う。)との二層からなるものが挙げられる。
【0004】
しかしながら、本発明者等は、以下のような問題を抱えていた。
上記の二層からなる隠蔽層をスクリーン印刷法によって形成する場合、それぞれの層は別々に形成されるために位置合わせが難しく、隠蔽インキ印刷層の開口部と白色印刷層の開口部との間で僅かに位置ずれが生じる。このような位置ずれは、反射型表示媒体による表示パターンを認識し難くするばかりでなく、反射型表示媒体の外観を損ねるため好ましくない。
また、スクリーン印刷法は、印刷版が高価であるため、ロット数の少ない印刷には不適であるばかりでなく、個別の印刷には対応するには、全ての印刷に応じた印刷版が必要となるので、反射型表示媒体による表示パターンに個別に対応して隠蔽層を形成することが困難である。
【0005】
また、二層からなる隠蔽層において生じる、各層の開口部間の位置ずれを解消するために、アルミニウム粒子を含む隠蔽インキと白色インキからなる混合インキを用いて、スクリーン印刷法により、基材の一方の面に隠蔽層を形成する方法が用いられる。
【0006】
しかしながら、この混合インキを用いて形成された隠蔽層は、隠蔽インキに含まれていたアルミニウム粒子に起因する光沢を有するため、反射型表示媒体の背景色の色合いに合わせることが難しい。
また、混合インキからなる隠蔽層を形成する場合も、隠蔽層が二層からなる場合と同様に、スクリーン印刷法を用いるため、ロット数の少ない印刷には不適であるばかりでなく、反射型表示媒体による表示パターンに個別に対応して隠蔽層を形成することが困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、隠蔽層が二層からなる場合も、各層の光透過領域間の位置ずれがない表示媒体用マスクシートおよびこれを備えた表示装置、並びに、表示媒体用マスクシートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示媒体用マスクシートは、反射型表示媒体の表示面を覆うために用いられる表示媒体用マスクシートであって、光透過性の基材と、該光透過性の基材の一方の面に積層された黒色系印刷層および白色印刷層からなる隠蔽層と、を備え、前記隠蔽層は、前記反射型表示媒体による表示パターンをなす光透過領域を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の表示装置は、本発明の表示媒体用マスクシートと、該表示媒体用マスクシートによって表示面が覆われた反射型表示媒体と、該反射型表示媒体の表示面とは反対側の面に配置された表示電極および配線電極と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の表示媒体用マスクシートの製造方法は、反射型表示媒体の表示面を覆うために用いられ、光透過性の基材と、該光透過性の基材の一方の面に積層された黒色系印刷層および白色印刷層からなる隠蔽層と、を備えた表示媒体用マスクシートの製造方法であって、インクジェット印刷法により、前記光透過性の基材の一方の面に前記黒色系印刷層および前記白色印刷層を形成する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の表示媒体用マスクシートによれば、反射型表示媒体の表示面を覆うために用いられる表示媒体用マスクシートであって、光透過性の基材と、該光透過性の基材の一方の面に積層された黒色系印刷層および白色印刷層からなる隠蔽層と、を備え、前記隠蔽層は、前記反射型表示媒体による表示パターンをなす光透過領域を有するので、この表示媒体用マスクシートにより、反射型表示媒体の表示面を覆った場合、反射型表示媒体の表示に係わらない部分の隠蔽性に優れるとともに、表示媒体用マスクシートの白色印刷層の色合いと、反射型表示媒体の背景色の色合いを合わせることができる。ゆえに、白色印刷層上に、任意の印刷を行うことができる。
【0012】
本発明の表示媒体用マスクシートの製造方法によれば、反射型表示媒体の表示面を覆うために用いられ、光透過性の基材と、該光透過性の基材の一方の面に積層された黒色系印刷層および白色印刷層からなる隠蔽層と、を備えた表示媒体用マスクシートの製造方法であって、インクジェット印刷法により、前記光透過性の基材の一方の面に前記黒色系印刷層および前記白色印刷層を形成する工程を有するので、表示媒体用マスクシートの隠蔽層の光透過領域において、白色印刷層と黒色系印刷層の間で位置ずれが生じることがない。また、インクジェット印刷法を用いるので、ロット数の少ない隠蔽層の形成にも対応することができるとともに、個別の隠蔽層の形成にも対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の表示媒体用マスクシートおよびこれを備えた表示装置、並びに、表示媒体用マスクシートの製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0014】
(1)第一の実施形態
図1は、本発明の表示媒体用マスクシートを備えた表示装置の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
なお、この実施形態では、反射型表示媒体として、電気泳動型の電子ペーパーを例示する。
【0015】
この実施形態の表示装置10は、基材11と、その一方の面11aに設けられ、この一方の面11aにおいて互いに電気的に接続された表示電極12および配線電極13と、これら2つの電極を覆うように配置された電気泳動型の電子ペーパー14と、電子ペーパー14の前記2つの電極と接している面(以下、「一方の面」と言う。)14aとは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)14bを覆うとともに、電子ペーパー14の一部を隠蔽する隠蔽層15を有する表示媒体用マスクシート16とから概略構成されている。
なお、電子ペーパー14の他方の面14bは、表示面をなしている。
【0016】
表示媒体用マスクシート16は、光透過性の基材(以下、「光透過性基材」と言う。)17と、光透過性基材17の一方の面17aに順に積層された白色印刷層18および黒色系印刷層19からなる隠蔽層15とから構成されている。
この隠蔽層15には、電子ペーパー14の表示電極12と重なる領域を露出するとともに、電子ペーパー14の表示面(他方の面14b)による表示パターンをなす光透過領域15aが設けられている。この光透過領域15aは、言い換えれば、光透過性基材17の一方の面17aにおいて、白色印刷層18および黒色系印刷層19が設けられていない領域(非印刷領域)であり、また、隠蔽層15の開口部である。
【0017】
また、表示媒体用マスクシート16は、接着層20を介し、隠蔽層15を内側にして、電子ペーパー14の他方の面14b(表示面)を覆うように設けられている。すなわち、表示媒体用マスクシート16は、接着層20を介して、隠蔽層15が電子ペーパー14の他方の面14bと対向するように、電子ペーパー14の他方の面14bを覆うように設けられている。
【0018】
この表示装置10では、図1(a)に示すように、表示電極12が7つのセグメント12A、12B、・・・、12Gから構成され、全体として数字の「8」の形状をなしており、この表示電極12の形状に応じて、表示媒体用マスクシート16の隠蔽層15には光透過領域15aが設けられている。すなわち、隠蔽層15の光透過領域15aは、表示電極12の形状とほぼ同じ形状をなしているが、表示装置10を平面視した場合、隠蔽層15の光透過領域15aと、表示電極12のセグメント12A、12B、・・・、12Gとの間で位置ずれが生じるのを防止するためには、光透過領域15aの形状がセグメント12A、12B、・・・、12Gの形状と相似であり、かつ、光透過領域15aの大きさ(面積)がセグメント12A、12B、・・・、12Gの大きさ(面積)よりも僅かに小さいことが好ましい。このようにすれば、光透過領域15aと、セグメント12A、12B、・・・、12Gとの間で、多少の位置ずれが生じても、その位置ずれを相殺し、表示装置10を平面視した場合、その位置ずれにより生じる電極以外の部分が視認されるのを防ぐことができる。
【0019】
また、基材11の他方の面11bには、電子ペーパー14の静電気防止や防湿のために、金属層21が設けられている。
さらに、配線電極13の一部(接続部)にコネクタ部22が設けられている。このコネクタ部22を介して、表示電極10は、その表示を制御する表示制御装置や電圧制御装置などの制御装置などと接続される。
【0020】
図2は、本発明の表示装置を構成する電気泳動型の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。
この例の電子ペーパー14は、複数のセル31(31A、31B、31C、・・・)をなす凹部32(32A、32B、32C、・・・)が所定の間隔をおいて平面的に設けられた基材33と、基材33における複数のセル31がなす平面に垂直方向の一方の面33aに接し、凹部32を全て覆うように設けられた密封層34と、基材33の他方の面33bに設けられた透明電極付き透明基材35と、セル31内に充填された、帯電性粒子40を分散した誘電性溶媒41とから概略構成されている。
なお、この電子ペーパー14は、背景色が白色(厳密には薄い灰色)のものである。
【0021】
複数のセル31(31A、31B、31C、・・・)は、基材33の面33aに、適切に規定された形状、寸法およびアスペクト比をなすように形成された凹部32(32A、32B、32C、・・・)が、密封層34によって封止された中空構造をなしている。
セル31は、エンボス加工や画像露光による製造方法が適宜選択され、適切に規定された形状、寸法およびアスペクト比をなすように形成されている。
また、密封層34は凹部32の開口部を全て覆うように配置されている。
【0022】
なお、本明細書において、「適切に規定された」とは、凹部32またはセル31について記載する場合凹部32またはセル31が、製造プロセスの特定のパラメータに基づいて予め決められる明確な形状、寸法およびアスペクト比をなすことを意味する。
また、「アスペクト比」とは、凹部32の長さまたは幅に対する深さの比のことである。
【0023】
密封層34は、直接、あるいは、接着剤または接着部材を介して、基材33に接合され、基材33と密封層34とが一体化されている。ここで用いられる接着剤または接着部材は、セル31に要求されるシール性などに応じて、適宜選択される。
【0024】
基材11としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PE)などの樹脂からなるシート状またはフィルム状のものが用いられる。
また、基材11としては、これらの樹脂からなるシート状またはフィルム状のものであり、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法などにより、その他方の面11bに、上記の金属層21を構成するアルミニウム薄膜やステンレス薄膜が設けられたものを用いることもできる。このような基材としては、金属層付きPETフィルムなどが挙げられる。
【0025】
表示電極12および配線電極13は、インクジェット法、スクリーン印刷法などの印刷法や、エッチング法などにより、基材11の一方の面11aにけられた層からなり、この層を形成する材料としては、例えば、各種金属や、金属ペーストインキ、ポリマー型導電インクが用いられる。
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が、樹脂組成物に配合されてなる、熱硬化型、光硬化型、浸透乾燥型または溶剤揮発型ものが用いられる。
【0026】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度で導電部をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型かあるいは架橋/熱可塑併用型(ただし熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型かあるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0027】
電子ペーパー14を構成する基材33としては、特に限定されないが、エンボス加工や画像露光による製造方法により、適切に規定された形状、寸法およびアスペクト比をなす凹部32を形成することが可能な材質からなるものが用いられる。これらの中でも、透明な材質からなるものが好ましい。電子ペーパー14は、単体でディスプレイ(表示装置)として使用されるため、基材33は透明な材質からなるものであることが好ましい。このようにすれば、密封層34が設けられている面とは反対側の面から、電子ペーパー14により表示される文字や模様などを視認することができる。
【0028】
密封層34をなす部材としては、特に限定されないが、基材33との密着性に優れた材質からなるものが用いられる。
透明電極付き透明基材35としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PE)などの樹脂からなるシート状またはフィルム状の光透過性の基材の一方の面に、スズドープ酸化インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO:Fluoride−doped TinOxide)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO:Antimony−doped Tin Oxide)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO:Aluminum−doped Zinc Oxide)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO:Gallium−doped Zinc Oxide)などの導電性金属酸化物の薄膜からなる透明電極が設けられたものが用いられる。
【0029】
帯電性粒子40としては、特に限定されないが、表示電極12に印加した電圧により、表示電極12側に引き寄せられる程度の電荷を帯びた帯電色素粒子、屈折率の高い無機微粒子などが用いられる。帯電色素粒子は、有機色素であっても、無機色素であってもよく、例えば、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グレーなどが挙げられる。屈折率の高い無機微粒子としては、酸化チタン(TiO)などが用いられる。酸化チタンが用いられる場合、光の散乱を用いた白色表示が可能である。
また、帯電粒子40としては、粒子の比重を調整するために、上記の無機微粒子を樹脂や有機高分子などの有機物で被覆した複合微粒子を用いてもよい。
【0030】
誘電性溶媒41としては、特に限定されないが、例えば、炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化溶媒、パーフルオロ溶媒、低分子量のハロゲン含有ポリマー、パーフルオロポリアルキルエーテルなどが挙げられる。
また、本発明では、誘電性溶媒41の代わりに、溶媒混合物を用いてもよい。この溶媒混合物としては、二種以上の誘電性溶媒を混合したものや、誘電性溶媒に染料または色素(顔料)を混合したものなどが挙げられる。
【0031】
表示媒体用マスクシート16を構成する光透過性基材17としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PE)などの樹脂からなるシート状またはフィルム状のものが用いられる。
【0032】
表示媒体用マスクシート16を構成する隠蔽層15は、インクジェット印刷法により、光透過性基材17の一方の面17aに順に設けられた白色印刷層18および黒色系印刷層19からなる。
白色印刷層18を形成するインクは、インクジェット印刷用の白色インキからなり、白色インキの吐出濃度を70%としてインクジェット印刷法により印刷されたものである。
黒色系印刷層19を形成するインキは、インクジェット印刷用の黒色インキと黄色インキの混合インキからなり、黒色インキの吐出濃度を50〜70%、黄色インキの吐出濃度を100%としてインクジェット印刷法により印刷されたものである。すなわち、本発明の表示媒体用マスクシートでは、黒色インキの吐出濃度が50%以上のものを黒色系印刷層と定義する。
【0033】
接着層20を構成する接着剤としては、電子ペーパー14による表示の色合いを損なわないようにするために、光透過性のものであれば特に限定されないが、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤などが用いられる。
熱硬化型接着剤としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂などが挙げられる。
紫外線硬化型接着剤としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化型接着剤としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
【0034】
この表示装置10は、光透過性基材17と、光透過性基材17の一方の面17aに順に積層された白色印刷層18および黒色系印刷層19からなる隠蔽層15とから構成された表示媒体用マスクシート16によって、隠蔽層15を内側にして、電子ペーパー14の他方の面14b(表示面)が覆われているので、表示媒体用マスクシート16による電子ペーパー14の隠蔽性(電子ペーパー14の表示に係わらない部分を隠蔽する性質)に優れるとともに、表示媒体用マスクシート16の白色印刷層18の色合いと、電子ペーパー14の背景色の色合いを合わせることができる。ゆえに、白色印刷層18上に、任意の印刷を行うことができる。
【0035】
また、この表示装置10は、最表面層が表示媒体用マスクシート16の光透過性基材17からなるので、印刷層の剥がれや、汚れなどが生じ難い。さらに、この表示装置10は、最表面層が光透過性基材17からなるので、表面が平坦であり、かつ、表面性が均一であるから、その表面に印刷を施した場合、ざらつき感などがなく、その印刷による均一な表示をすることができる。
また、白色印刷層18および黒色系印刷層19は、インクジェット印刷法により形成されているので、隠蔽層15の光透過領域15aにおいて、白色印刷層18と黒色系印刷層19の間で位置ずれが生じない。したがって、電子ペーパー14の表示パターンが認識し難くなることがなく、電子ペーパー14の外観を損ねることもない。
【0036】
なお、この実施形態では、光透過性基材17の一方の面17aに白色印刷層18が設けられた表示媒体用マスクシート16を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、光透過性基材と白色印刷層の間に文字、記号、模様などをなす印刷層を設けてもよい。
また、この実施形態では、隠蔽層15の光透過領域15aが、表示電極12の形状とほぼ同じ形状をなしている表示装置10を例示したが、本発明の表示装置はこれに限定されない。本発明の表示装置にあっては、隠蔽層の光透過領域が、電子ペーパーの表示電極と重なる領域の少なくとも一部を露出する形状をなし、その形状が電子ペーパーによる表示パターンをなしていればよい。すなわち、隠蔽層の光透過領域の形状によって、電子ペーパーによる表示パターンを決定することがきるので、その表示パターンにより明朝体などの細かい文字を表示することができる。
【0037】
次に、この表示装置10の製造方法を説明する。
まず、その他方の面11bに金属層21が設けられた基材11を用意する。
次いで、インクジェット法、スクリーン印刷法などの印刷法により、基材11の一方の面11aに、所定の表示パターンの表示電極12と、所定の配線パターンの配線電極13とを形成する。この工程において、表示電極12と配線電極13を同時に形成しても、これらの電極のいずれか一方を形成した後、他方を形成してもよい。
次いで、表示電極12および配線電極13の基材11と接する面とは反対側の面を、コネクタ部分を除いて覆うように電子ペーパー14を配置し、接着剤を介して、表示電極12および配線電極13に電子ペーパー14を接着、固定する。
【0038】
上記の工程とは別に、表示媒体用マスクシート16を製造する。
表示媒体用マスクシート16を製造するには、インクジェット印刷法により、光透過性基材17の一方の面17aに、白色印刷層18を形成し、次いで、インクジェット印刷法により、この白色印刷層18の上に、黒色系印刷層19を形成し、白色印刷層18および黒色系印刷層19からなる隠蔽層15を形成する。
この表示媒体用マスクシート16の製造にあっては、白色印刷層18を形成するインクとしては、インクジェット印刷用の白色インキを用い、白色インキの吐出濃度を70%とする。また、黒色系印刷層19を形成するインキとしては、インクジェット印刷用の黒色インキと黄色インキの混合インキを用い、黒色インキの吐出濃度を50〜70%、黄色インキの吐出濃度を100%とする。
【0039】
次いで、接着層20を介し、隠蔽層15を内側にして、電子ペーパー14の他方の面14b(表示面)に、表示媒体用マスクシート16を貼着する。
この工程において、電子ペーパー14における表示領域(表示電極12と重なる領域)に、隠蔽層15の光透過領域15aが重なるように表示媒体用マスクシート16を貼着する。
次いで、配線電極13の一部(接続部)にコネクタ部22を設け、表示装置10を得る。
【0040】
この実施形態の表示装置の製造方法によれば、表示媒体用マスクシートの製造工程において、インクジェット印刷法により、光透過性基材17の一方の面17aに、白色印刷層18および黒色系印刷層19を順に形成するので、隠蔽層15の光透過領域15aにて、白色印刷層18と黒色系印刷層19の間で位置ずれが生じることがない。また、インクジェット印刷法を用いるので、ロット数の少ない隠蔽層の形成にも対応することができるとともに、個別の隠蔽層の形成にも対応できる。
【0041】
(2)第二の実施形態
図3は、本発明の表示媒体用マスクシートを備えた表示装置の第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
図3において、図1に示した第一の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の表示装置50が、上述の第一の実施形態の表示装置10と異なる点は、光透過性基材17と、光透過性基材17の一方の面17aに順に積層された黒色系印刷層19および白色印刷層18からなる隠蔽層15とから構成された表示媒体用マスクシート51によって、隠蔽層15を外側にして、電子ペーパー14の他方の面14b(表示面)が覆われている点である。なわち、この表示装置50では、表示媒体用マスクシート51の白色印刷層18が最表面をなしている。
【0042】
この表示装置50によれば、表示媒体用マスクシート51による電子ペーパー14の隠蔽性に優れるとともに、表示媒体用マスクシート51の白色印刷層18の色合いと、電子ペーパー14の背景色の色合いを合わせることができる。ゆえに、白色印刷層18上に、任意の印刷を行うことができる。
【0043】
また、この表示装置50にあっても、最表面をなす白色印刷層18の表面に、文字、記号、模様などをなす印刷層を設けてもよい。
【0044】
また、この実施形態において、表示媒体用マスクシート51を製造するには、インクジェット印刷法により、光透過性基材17の一方の面17aに、黒色系印刷層19を形成し、次いで、インクジェット印刷法により、この黒色系印刷層19の上に、白色印刷層18を形成し、黒色系印刷層19および白色印刷層18からなる隠蔽層15を形成する。
この表示媒体用マスクシート51の製造にあっては、白色印刷層18を形成するインクとしては、インクジェット印刷用の白色インキを用い、白色インキの吐出濃度を70%とする。また、黒色系印刷層19を形成するインキとしては、インクジェット印刷用の黒色インキと黄色インキの混合インキを用い、黒色インキの吐出濃度を50〜70%、黄色インキの吐出濃度を100%とする。
【0045】
なお、上記の第一の実施形態では、電気泳動型の電子ペーパー14を備えた表示装置10を例示し、第二の実施形態では、電気泳動型の電子ペーパー14を備えた表示装置50を例示したが、本発明の表示装置はこれに限定されない。本発明の表示装置にあっては、反射型表示媒体は、電気泳動型の電子ペーパー以外のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の表示媒体用マスクシートを備えた表示装置の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明の表示装置を構成する電気泳動型の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の表示媒体用マスクシートを備えた表示装置の第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10,50・・・表示装置、11・・・基材、12・・・表示電極、13・・・配線電極、14・・・電子ペーパー、15・・・隠蔽層、16,51・・・表示媒体用マスクシート、17・・・光透過性基材、18・・・白色印刷層、19・・・黒色系印刷層、20・・・接着層、21・・・金属層、22・・・コネクタ部、31・・・セル、32・・・凹部、33・・・基材、34・・・密封層、35・・・透明電極付き透明基材、40・・・帯電性粒子、41・・・誘電性溶媒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型表示媒体の表示面を覆うために用いられる表示媒体用マスクシートであって、
光透過性の基材と、該光透過性の基材の一方の面に積層された黒色系印刷層および白色印刷層からなる隠蔽層と、を備え、
前記隠蔽層は、前記反射型表示媒体による表示パターンをなす光透過領域を有することを特徴とする表示媒体用マスクシート。
【請求項2】
請求項1に記載の表示媒体用マスクシートと、該表示媒体用マスクシートによって表示面が覆われた反射型表示媒体と、該反射型表示媒体の表示面とは反対側の面に配置された表示電極および配線電極と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
反射型表示媒体の表示面を覆うために用いられ、光透過性の基材と、該光透過性の基材の一方の面に積層された黒色系印刷層および白色印刷層からなる隠蔽層と、を備えた表示媒体用マスクシートの製造方法であって、
インクジェット印刷法により、前記光透過性の基材の一方の面に前記黒色系印刷層および前記白色印刷層を形成する工程を有することを特徴とする表示媒体用マスクシートの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−145724(P2010−145724A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322623(P2008−322623)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】