表示機能付き非接触式データキャリア
【課題】ディスプレイ部の画像書き換えを安定的に行うことが可能な表示機能付き非接触式データキャリアを提供する。
【解決手段】第1の主面111と、前記第1の主面111と表裏の関係にある第2の主面112とを有するカード状基材110と、前記第2の主面112に配されるアンテナコイル120と、前記第1の主面111に配されると共に、前記アンテナコイル120の両端部とスルーホールを介して導通するジャンパー導体130と、基材部151と表示画素構成部155とからなり、前記第1の主面111又は前記第2の主面112のいずれかに配されるディスプレイ部150と、前記第1の主面111又は前記第2の主面112のいずれかに配される導電性シールド部140と、を有し、前記第1の主面111から前記第2の主面112に向けて投影を行ったとき、前記ディスプレイ部150が形成する投影は、前記導電性シールド部140が形成する投影に含まれる。
【解決手段】第1の主面111と、前記第1の主面111と表裏の関係にある第2の主面112とを有するカード状基材110と、前記第2の主面112に配されるアンテナコイル120と、前記第1の主面111に配されると共に、前記アンテナコイル120の両端部とスルーホールを介して導通するジャンパー導体130と、基材部151と表示画素構成部155とからなり、前記第1の主面111又は前記第2の主面112のいずれかに配されるディスプレイ部150と、前記第1の主面111又は前記第2の主面112のいずれかに配される導電性シールド部140と、を有し、前記第1の主面111から前記第2の主面112に向けて投影を行ったとき、前記ディスプレイ部150が形成する投影は、前記導電性シールド部140が形成する投影に含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で表示変更を行うことが可能なディスプレイ部が設けられた表示機能付き非接触式データキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Suica(登録商標)などのカード内のデータの読み書きをRF−ID技術により非接触式で行う非接触式データキャリアが広く普及している。現在、このような非接触式データキャリアにおける表示部には、熱を利用した書き込み方式が採用されているが、このような方式では、非接触で表示を変更することが不可能である、という問題があった。そこで、非接触式データキャリアの表示部に、非接触で表示変更可能なディスプレイ部を設ける技術が提案されている。
【0003】
このようなものの一つとして、例えば、特許文献1(特開2005−165814号公報)には、無線でデータの送信および/または受信を行うよう構成された、非接触でデータのやりとりを行うことができるRF−ID機器において、データに関する情報を表示するための、表示メモリー性を有するディスプレイを表示部として備えることを特徴とするRF−ID機器が開示されている。
【特許文献1】特開2005−165814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような、電子ペーパー等のディスプレイ部を搭載した非接触式データキャリアにおいては、上記データキャリアをリーダーライタにかざすと、リーダーライタに利用される電波がノイズとして働き、ディスプレイ上の画像書き換え時に悪影響を与える、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以上のような課題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、請求項1に係る発明は、第1の主面と、前記第1の主面と表裏の関係にある第2の主面とを有するカード状基材と、前記第2の主面に配されるアンテナコイルと、前記第1の主面に配されると共に、前記アンテナコイルの両端部とスルーホールを介して導通するジャンパー導体と、基材部と表示画素構成部とからなり、前記第1の主面又は前記第2の主面のいずれかに配されるディスプレイ部と、前記第1の主面又は前記第2の主面のいずれかに配される導電性シールド部と、を有し、前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記ディスプレイ部が形成する投影は、前記導電性シールド部が形成する投影に含まれることを特徴とする表示機能付き非接触式データキャリアである。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記導電性シールド部が前記前記第2の主面に設けられると共に、前記アンテナコイルと同じ材料で構成されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記ディスプレイ部は前記第1の主面に配され、前記基材部が前記導電性シールド部を兼ねることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記ディスプレイ部は前記第2の主面に配され、前記基材部が前記導電性シー
ルド部を兼ねることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記ジャンパー導体から延在するように設けられた第1対向電極と、前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極と、を有し、前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記第1対向電極が形成する投影と、前記第2対向電極が形成する投影の一部が重畳し、前記第1対向電極と前記第2対向電極によって調整用コンデンサを構成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに。
【0010】
また、請求項6に係る発明は、請求項3に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極、を有し、前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記ディスプレイ部の前記基材部が形成する投影と、前記第2対向電極が形成する投影の一部が重畳し、前記基材部と前記第2対向電極によって調整用コンデンサを構成することを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る発明は、請求項3に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記ジャンパー導体から延在するように設けられた第1対向電極と、前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極と、前記第1対向電極上に配される粘着性誘電層と、を有し、前記ディスプレイ部の前記基材部が前記粘着性誘電層上に設けられると共に、前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記基材部が形成する投影、前記第1対向電極が形成する投影、前記第2対向電極が形成する投影のいずれか2つの投影の一部が重畳し、前記基材部と前記第1対向電極と前記第2対向電極のいずれかによって調整用コンデンサを構成することを特徴とすることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項4に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、前記アンテナコイルのインダクタンスを1.58μH以上8.86μH以下に設定したことを特徴とする。
【0013】
また、請求項9に係る発明は、請求項5乃至請求項7に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、前記調整用コンデンサの容量を0.38pF以上39.83pF以下に設定したことを特徴とする。
【0014】
また、請求項10に係る発明は、請求項1乃至請求項4に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、前記アンテナコイルのインダクタンスを2.33μH以上13.36μH以下に設定したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項11に係る発明は、請求項5乃至請求項7に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、前記調整用コンデンサの容量を1.32pF以上55.46pF以下に設定したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項12に係る発明は、請求項1乃至請求項11に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記第2の主面にディスプレイ部取付基準線を設け、前記ディスプレイ部取付基準線を前記アンテナコイルと同じ材料で構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表示機能付き非接触式データキャリアによれば、投影を行ったとき、ディスプレイ部が形成する投影は、導電性シールド部が形成する投影に含まれるように構成されているので、リーダーライタの電波がディスプレイ部に与える影響を、導電性シールドによって遮断することが可能となり、ディスプレイ部の画像書き換えを安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアに形成される調整用コンデンサ部を斜視的に示す図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図8】導電性シールド部が設けられていない表示機能付き非接触式データキャリアの共振周波数測定結果を示す図である。
【図9】導電性シールド部が設けられている本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアの共振周波数測定結果を示す図である。
【図10】導電性シールド部が設けられている本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアの共振周波数測定結果を示す図である。
【図11】本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアのアンテナコイルとして好適なインダクタンス値の算出結果を示す図である。
【図12】本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアの調整用コンデンサ部として好適な容量値の算出結果を示す図である。
【図13】本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアのアンテナコイルとして好適なインダクタンス値の算出結果を示す図である。
【図14】本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアの調整用コンデンサ部として好適な容量値の算出結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。図1(A)は表示機能付き非接触式データキャリアを構成するカード状基材の第1の主面側から内部構造を見た図であり、図1(B)は図1(A)におけるX−X’断面を模式的に示す図である。
【0020】
図1において、100は表示機能付き非接触式データキャリア、110はカード状基材、111は第1の主面、112は第2の主面、120はアンテナコイル、121はアンテナコイル第1端部、122はアンテナコイル第2端部、130はジャンパー導体、131はジャンパー導体第1端部、132はジャンパー導体第2端部、133は第1端部スルーホール、134は第2端部スルーホール、135はICチップ、140は導電性シールド部、150はディスプレイ部、151は基材部、155は表示画素構成部をそれぞれ示している。
【0021】
本実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100は、非接触型のICカード等と称される近距離無線通信機能を備えたRFID(Radio Frequency
Identificati on)を内蔵した電子機器であり、表示機能付き非接触式データキャリア100の内部には、PETなどの材料で構成されるカード状基材110を基礎として、種々の構成が組み込まれている。このカード状基材110は、それぞれ表裏の関係にある2つの主面を有しており、そのうちの一つを第1の主面111、これと異なる主面を第2の主面112と称することする。
【0022】
本実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100が備える基本的なRFID機能について説明すると、リーダーライタと近距離無線通信を行うためのアンテナコイル120を備えている。このアンテナコイル120は、カード状基材110の第2の主面112において、アルミニウム薄膜層や銅薄膜層などによって構成される。
【0023】
第2の主面112におけるアンテナコイル120のそれぞれの端部には、アンテナコイル第1端部121及びアンテナコイル第2端部122が設けられている。一方、カード状基材110の第1の主面111には、アルミニウム薄膜層や銅薄膜層などによってジャンパー導体130が設けられており、このジャンパー導体130の両端部であるジャンパー導体第1端部131及びジャンパー導体第2端部132には、カード状基材110を貫通すると共に、第1の主面111側と第2の主面112を導通する第1端部スルーホール133及び第2端部スルーホール134がそれぞれ設けられる。
【0024】
これら第1端部スルーホール133及び第2端部スルーホール134によって、アンテナコイル第1端部121とジャンパー導体第1端部131が導通し、アンテナコイル第2端部122はとジャンパー導体第2端部132が導通することで、アンテナコイル120がコイル状のループアンテナとして機能するようになっている。
【0025】
以上のように構成されるアンテナコイル120のループ中には、ICチップ135が設けられている。このICチップ135は、リーダーライタ(不図示)からの搬送波を受信して蓄積して電源を得る電源レギュレータ回路や、リーダーライタと送受信を行う送受信回路、受信したデータや送信するデータの処理を行うデータ処理回路、送受信するデータの暗号化及び復号化を処理する暗号・解読回路、RFIDが保持するデータを格納するメモリー、及びディスプレイ部150における表示を制御する表示制御回路などを内蔵してなるものである。
【0026】
ディスプレイ部150は、ICチップ135と図示しない配線で信号の授受を行うことができ、ICチップ135からの制御信号により駆動され、第1の主面111側から視認可能な表示を再現することができる表示部である。このようなディスプレイ部150は、PETやPENなどの基材部151と、この基材部151上に作り上げられた表示画素構成部155とから構成されている。なお、表示画素構成部155における表示原理として採用し得るものは種々あるが、例えば電子ペーパーと同様のものを採用することで、メモリー性を有する表示を行うことができる。
【0027】
第1の主面111側に設けられたディスプレイ部150に対応するようにして、第2の主面112には、導電性シールド部140が設けられている。より詳細に説明すると、第1の主面111から第2の主面112に向けて投影を行ったとき、ディスプレイ部150が形成する投影は、導電性シールド部140が形成する投影に含まれるような配置関係となっている。このような導電性シールド部140が、ディスプレイ部150に対応するようにして設けられているので、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部140によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部15
0の画像書き換えを安定的に行うことができる。
【0028】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、上記のような「投影」という概念を用いて、ディスプレイ部150や導電性シールド部140などの平面構成部同士の関連性について記述を行うものとする。より詳しくは、本明細書及び特許請求の範囲においては、第1の主面111から第2の主面112に向けて投影を行ったとき(すなわち、鉛直方向に投影を行ったとき)に仮想的な水平面上に形成される、ディスプレイ部150や導電性シールド部140などの平面構成部の投影同士を比較することによって、それぞれの平面構成部の大小関係や、鉛直方向から透過的にみたときにおけるそれぞれの平面構成部の包含関係を表現する。
【0029】
また、導電性シールド部140が、アンテナコイル120と同じ材料で構成されることが好ましい。カード状基材110の第2の主面112に設けられたアンテナコイル120は、例えば、アルミニウム薄膜層や銅薄膜層などによって構成されるが、アンテナコイル120と同様のアルミニウム薄膜層や銅薄膜層などによって導電性シールド部140を構成すると、アンテナコイル120と導電性シールド部140とを同時に製造することが可能となり、製造工程を簡素化することができる。
【0030】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図2は本発明の第2実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の内部構造の概略を模式的に示す図である。第2実施形態が第1実施形態と相違する点は、ディスプレイ部150の構成と、導電性シールド部140の構成であり、その他の点については同様であるので、その他の点については説明を省略する。なお、図2において、図1と同様の参照番号が付された構成は、同様のものを示している。
【0031】
第1実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100のディスプレイ部150としては、PETやPENなどの絶縁性の合成樹脂が用いられていた。これに対して、第2実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100におけるディスプレイ部150の基材部としては、導電性の金属が用いられる。より詳しくは、ディスプレイ部150の表示画素構成部155が設けられる基材としてはステンレス製基材部152が用いられる。これに伴い、第1実施形態で、第2の主面112側に設けていたシールド部は廃し、本実施形態では、ディスプレイ部150のステンレス製基材部152が導電性シールド部を兼ねるようにしている。
【0032】
このような導電性シールド部を兼ねたステンレス製基材部152を設けた第2実施形態によれば、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部を兼ねるステンレス製基材部152によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部150の画像書き換えを安定的に行うことができる。また、第1実施形態のように、第2の主面112側にシールド部を設ける必要がなくなるので、第2実施形態によれば、製造工程が簡素化するというメリットを享受することができる。
【0033】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図3は本発明の第3実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の内部構造の概略を模式的に示す図である。第3実施形態が第2実施形態と相違する点は、ディスプレイ部150を設ける主面が異なっている点である。より詳しくは、ディスプレイ部150は第2の主面112に配され、ステンレス製基材部152が導電性シールド部を兼ねるようにしている。なお、図3において、図2と同様の参照番号が付された構成は、同様の構成を示している。
【0034】
図3に示す第3実施形態は、ディスプレイ部150の表示面のトップは、カード状基材110によってカバーされる構成となっている。すなわち、ディスプレイ部150は、透
明なカード状基材110を介して参照することとなる。一般的にディスプレイ部150の表示画素構成部155のトップの層には、表示画素等を保護するための保護層を設ける必要があるが、第3実施形態のような構成によれば、このような保護層を設ける必要がなく、構成を簡略化することができる。また、第3実施形態によれば、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部を兼ねるステンレス製基材部152によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部150の画像書き換えを安定的に行うことができる。また、第1実施形態のように、第2の主面112側にシールド部を設ける必要がなくなるので、第3実施形態によれば、製造工程が簡素化するというメリットを享受することができる。
【0035】
また、第3の実施形態においては、第2の主面112側に、アンテナコイル120と同様のアルミニウム薄膜層や銅薄膜層などによって、ディスプレイ部取付基準線125を設けるようにしている。このようにディスプレイ部取付基準線125を、アンテナコイル120と同じ材料で構成することにより、ディスプレイ部取付基準線125を設ける工程を簡略化すると同時に、ディスプレイ部取付基準線125によってディスプレイ部150の取付性を向上するものであり、このような、ディスプレイ部取付基準線125を設けることによれば、製造効率を向上させることができる。なお、このようなディスプレイ部取付基準線125を設けることは、他の実施形態にも応用することができる。
【0036】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図4は本発明の第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の内部構造の概略を模式的に示す図である。また、図5は本発明の第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100に形成される調整用コンデンサ部170を斜視的に示す図である。第4実施形態が第1実施形態と相違する点は、共振周波数を調整するための調整用コンデンサ部170が形成されている点である。すなわち、第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100は、ジャンパー導体130から延在するように設けられた第1対向電極と、アンテナコイル120から延在するように設けられた第2対向電極と、を有しており、第1の主面111から第1の主面112に向けて投影を行ったとき、第1対向電極が形成する投影と、第2対向電極が形成する投影の一部が重畳し、第1対向電極と第2対向電極によって調整用コンデンサ部170を構成するものとなっている。
【0037】
第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の調整用コンデンサ部170について図5を参照してより詳細に説明する。
【0038】
調整用コンデンサ部170は、ジャンパー導体130から延在するように設けられた第1電極171と、アンテナコイル120から延在するように設けられた第2電極175とを有している。第1電極171及び第2電極175はいずれも、ジャンパー導体130、アンテナコイル120と同じ材料によって構成されることが好ましい。第1電極171及び第2電極175を、ジャンパー導体130、アンテナコイル120と同じ材料によって製造することによって、製造上の工程を簡略化することができるからである。
【0039】
第1電極171は、コンデンサの対向電極として機能する第1対向電極部172と、対向電極部の間やジャンパー導との間を連結する連結電極部173を有している。同様に、第2電極175は、コンデンサの対向電極として機能する第2対向電極176と、対向電極部の間やアンテナコイルとの間を連結する連結電極部177を有している。これにより、第1対向電極部172と第2対向電極176との間のカード状基材110が誘電体として機能することにより調整用コンデンサ部170が構成される。なお、連結電極部173または連結電極部177を取り除くことによって、調整用コンデンサ部170における容量を適宜調整することができるようになっている。
【0040】
以上のような第4実施形態によれば、導電性シールド部140が、ディスプレイ部150に対応するようにして設けられているので、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部140によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部150の画像書き換えを安定的に行うことができると共に、導電性シールド部140が設けられることによって変動する共振周波数を、調整用コンデンサ部170により調整することが可能となる。
【0041】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図6は本発明の第5実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の内部構造の概略を模式的に示す図である。第5実施形態が第1実施形態と相違する点は、ディスプレイ部150の構成と、導電性シールド部140の構成であり、その他の点については同様であるので、その他の点については説明を省略する。なお、図6において、図1と同様の参照番号が付された構成は、同様のものを示している。
【0042】
第1実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100のディスプレイ部150としては、PETやPENなどの絶縁性の合成樹脂が用いられていた。これに対して、第5実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100におけるディスプレイ部150の基材部としては、導電性の金属が用いられる。より詳しくは、ディスプレイ部150の表示画素構成部155が設けられる基材としてはステンレス製基材部152が用いられる。これに伴い、第1実施形態で、第5の主面112側に設けていたシールド部は廃し、本実施形態では、ディスプレイ部150のステンレス製基材部152が導電性シールド部を兼ねるようにしている。
【0043】
また、第5実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100においては、ステンレス製基材部152は、第1の主面111におけるジャンパー導体130から延在する連結電極部173と導通するようになっている。また、これと対向するようにして、アンテナコイル120から延在する連結電極部177と導通する第2対向電極176が設けられている。そして、第1の主面111から第2の主面112に向けて投影を行ったとき、ディスプレイ部150のステンレス製基材部152が形成する投影と、第2対向電極176が形成する投影の一部が重畳し、ステンレス製基材部152と第2対向電極176によって調整用コンデンサ170が構成されるようになっている。すなわち、本実施形態においては、ステンレス製基材部152と第2対向電極176との間のカード状基材110が誘電体として機能することにより調整用コンデンサ部170が構成される。
【0044】
以上のような実施形態によれば、導電性シールド部を兼ねたステンレス製基材部152を設けた第5実施形態によれば、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部を兼ねるステンレス製基材部152によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部150の画像書き換えを安定的に行うことができる。また、第4実施形態のように、第2の主面112側にシールド部を設ける必要がなくなるので、第5実施形態によれば、製造工程が簡素化するというメリットを享受することができる。また、第5実施形態によれば、導電性シールド部が設けられることによって変動する共振周波数を、調整用コンデンサ部170により調整することが可能となる。また、この調整用コンデンサ部170は、シールド部と構成を共用するものであり、製造を簡素化することが可能となると共に、カード状基材110上のスペースを効率的に利用することができる。
【0045】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図7は本発明の第6実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の内部構造の概略を模式的に示す図である。第6実施形態が第5実施形態と相違する点は、ディスプレイ部150が配される位置には、ジャンパー導体130から延在する連結電極部173と導通する第1対向電極部172が
設けられ、さらにこの第1対向電極部172上には粘着性誘電層179が設けられるようになっている。ステンレス製基材部152上に製造されたディスプレイ部150は、この粘着性誘電層179に取り付けられるようになっている。
【0046】
また、第6実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100においては、ステンレス製基材部152は、第1の主面111におけるジャンパー導体130から延在する連結電極部173と導通するようになっている。また、これと対向するようにして、アンテナコイル120から延在する連結電極部177と導通する第2対向電極176が設けられている。そして、第1の主面111から第2の主面112に向けて投影を行ったとき、ステンレス製基材部152が形成する投影、第1対向電極部172が形成する投影、第2対向電極176が形成する投影のいずれか2つの投影の一部が重畳し、ステンレス製基材部152と第1対向電極部172と第2対向電極176のいずれかによって調整用コンデンサ170を構成することを特徴とするようになっている。すなわち、本実施形態においては、ステンレス製基材部152と第1対向電極部172との間の粘着性誘電層179、及び、ステンレス製基材部152と第2対向電極176との間のカード状基材110が誘電体として機能することにより調整用コンデンサ部170が構成される。
【0047】
以上のような実施形態によれば、導電性シールド部を兼ねたステンレス製基材部152を設けた第6実施形態によれば、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部を兼ねるステンレス製基材部152によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部150の画像書き換えを安定的に行うことができる。また、第6実施形態によれば、導電性シールド部が設けられることによって変動する共振周波数を、調整用コンデンサ部170により調整することが可能となる。また、この調整用コンデンサ部170は、シールド部と構成を共用するものであり、製造を簡素化することが可能となると共に、カード状基材110上のスペースを効率的に利用することができる。また、調整用コンデンサ部170は、粘着性誘電層179、カード状基材110を誘電体として利用するものであり、容量の設定により多くの自由度が生まれる。
【0048】
次に、アンテナコイル120のインダクタンス値として好ましい値、及び調整用コンデンサ部170の容量値として好ましい値について検討する。図8は導電性シールド部が設けられていない表示機能付き非接触式データキャリアの共振周波数測定結果を示す図である。図8(A)は共振周波数測定条件を示す図であり、図8(B)は測定結果を示すグラフである。
【0049】
図8(A)に示す共振周波数の測定においては、リーダーライタで16.84MHzが利用される場合において、ディスプレイ部150の位置に応じて、共振周波数がどのように変化するかを測定したものである。図中(1)、(2)、(3)のポイントにディスプレイ部150の左隅を位置させて、共振周波数を測定したところ、図8(B)に示すように、共振周波数は16.84MHzから大きく外れることはなかった。
【0050】
一方、図9は導電性シールド部が設けられている本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の共振周波数測定結果を示す図である。図9(A)は共振周波数測定条件を示す図であり、図9(B)、(C)は測定結果を示すグラフである。
【0051】
図9(A)に示す共振周波数の測定においては、リーダーライタで16.84MHzが利用される場合において、導電性シールド部を兼ねるステンレス製基材部152が設けられたディスプレイ部150の位置に応じて、共振周波数がどのように変化するかを測定したものである。表示機能付き非接触式データキャリア100の左隅からの距離を変化させてディスプレイ部150を設置し取得した測定結果が図9(B)であり、同じく右隅からの距離を変化させてディスプレイ部150を設置し取得した測定結果が図9(C)である
。図9(B)、(c)に示すように、共振周波数は16.84MHzから外れ、17.7MHz〜19.5MHzの範囲の値をとることがわかった。
【0052】
図10は、図9における測定と同様の測定を35mm×25mmのサイズの、ステンレス製基材部152上に設けられたディスプレイ部150により行ったものである。10(B)、(c)に示すように、共振周波数は16.84MHzから外れ、17.1MHz〜18.0MHzの範囲の値をとることがわかった。
【0053】
以上の結果を踏まえて、アンテナコイル120のインダクタンス値、調整用コンデンサ部170の容量値として、好ましい値を算出した。図11は本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリア100のアンテナコイル120として好適なインダクタンス値の算出結果を示す図である。図11(A)は共振周波数20MHz(先の測定結果に裕度分を足した値)に対応するために必要なアンテナコイル120のインダクタンス値であり、図11(B)は共振周波数17MHz(先の測定結果から裕度分を引いた値)に対応するために必要なアンテナコイル120のインダクタンス値である。なお、ICチップ135の内部容量は、20pF、30pF、97pFのいずれかを仮定した。
【0054】
図11の結果を総合すると、表示機能付き非接触式データキャリア100に対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、アンテナコイル120のインダクタンスを1.58μH以上8.86μH以下に設定することが好ましいことがわかる。
【0055】
また、図12は本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の調整用コンデンサ部170として好適な容量値の算出結果を示す図である。図12(A)は共振周波数20MHz(先の測定結果に裕度分を足した値)に対応するために必要な調整用コンデンサ部170の容量値であり、図12(B)は共振周波数17MHz(先の測定結果から裕度分を引いた値)に対応するために必要な調整用コンデンサ部170の容量値である。
【0056】
図12の結果を総合すると、表示機能付き非接触式データキャリア100に対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、調整用コンデンサ170の容量を0.38pF以上39.83pF以下に設定することが好ましいことがわかる。
【0057】
図8乃至図10に係る測定と同様の測定を13.56MHzのリーダーライタについても実施し、アンテナコイル120のインダクタンス値、調整用コンデンサ部170の容量値として、好ましい値を算出した。以下、結果を示す。
【0058】
図13は本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリア100のアンテナコイル120として好適なインダクタンス値の算出結果を示す図である。図13(A)は共振周波数17MHz(測定結果に裕度分を足した値)に対応するために必要なアンテナコイル120のインダクタンス値であり、図13(B)は共振周波数14MHz(測定結果から裕度分を引いた値)に対応するために必要なアンテナコイル120のインダクタンス値である。なお、ICチップ135の内部容量は、20pF、30pF、97pFのいずれかを仮定した。
【0059】
図13の結果を総合すると、表示機能付き非接触式データキャリア100に対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、アンテナコイル120のインダクタンスを2.33μH以上13.36μH以下に設定することが好ましいことがわかる。
【0060】
また、リーダーライタで13.56MHzが利用される場合における図14は本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の調整用コンデンサ部170として好適な容量値の算出結果を示す図である。図14(A)は共振周波数17MHz(測定結果に
裕度分を足した値)に対応するために必要な調整用コンデンサ部170の容量値であり、図14(B)は共振周波数14MHz(測定結果から裕度分を引いた値)に対応するために必要な調整用コンデンサ部170の容量値である。
【0061】
図14の結果を総合すると、表示機能付き非接触式データキャリア100に対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、調整用コンデンサ170の容量を1.32pF以上55.46pF以下に設定することが好ましいことがわかる。
【0062】
以上、本発明の表示機能付き非接触式データキャリアによれば、投影を行ったとき、ディスプレイ部が形成する投影は、導電性シールド部が形成する投影に含まれるように構成されているので、リーダーライタの電波がディスプレイ部に与える影響を、導電性シールドによって遮断することが可能となり、ディスプレイ部の画像書き換えを安定的に行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
100・・・表示機能付き非接触式データキャリア、110・・・カード状基材、111・・・第1の主面、112・・・第2の主面、120・・・アンテナコイル、121・・・アンテナコイル第1端部、122・・・アンテナコイル第2端部、125・・・ディスプレイ部取付基準線、130・・・ジャンパー導体、131・・・ジャンパー導体第1端部、132・・・ジャンパー導体第2端部、133・・・第1端部スルーホール、134・・・第2端部スルーホール、135・・・ICチップ、140・・・導電性シールド部、150・・・ディスプレイ部、151・・・基材部、152・・・ステンレス製基材部、155・・・表示画素構成部、170・・・調整用コンデンサ部、171・・・第1電極、172・・・第1対向電極部、173・・・連結電極部、175・・・第2電極、176・・・第2対向電極、177・・・連結電極部、179・・・粘着性誘電層
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で表示変更を行うことが可能なディスプレイ部が設けられた表示機能付き非接触式データキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Suica(登録商標)などのカード内のデータの読み書きをRF−ID技術により非接触式で行う非接触式データキャリアが広く普及している。現在、このような非接触式データキャリアにおける表示部には、熱を利用した書き込み方式が採用されているが、このような方式では、非接触で表示を変更することが不可能である、という問題があった。そこで、非接触式データキャリアの表示部に、非接触で表示変更可能なディスプレイ部を設ける技術が提案されている。
【0003】
このようなものの一つとして、例えば、特許文献1(特開2005−165814号公報)には、無線でデータの送信および/または受信を行うよう構成された、非接触でデータのやりとりを行うことができるRF−ID機器において、データに関する情報を表示するための、表示メモリー性を有するディスプレイを表示部として備えることを特徴とするRF−ID機器が開示されている。
【特許文献1】特開2005−165814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような、電子ペーパー等のディスプレイ部を搭載した非接触式データキャリアにおいては、上記データキャリアをリーダーライタにかざすと、リーダーライタに利用される電波がノイズとして働き、ディスプレイ上の画像書き換え時に悪影響を与える、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以上のような課題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、請求項1に係る発明は、第1の主面と、前記第1の主面と表裏の関係にある第2の主面とを有するカード状基材と、前記第2の主面に配されるアンテナコイルと、前記第1の主面に配されると共に、前記アンテナコイルの両端部とスルーホールを介して導通するジャンパー導体と、基材部と表示画素構成部とからなり、前記第1の主面又は前記第2の主面のいずれかに配されるディスプレイ部と、前記第1の主面又は前記第2の主面のいずれかに配される導電性シールド部と、を有し、前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記ディスプレイ部が形成する投影は、前記導電性シールド部が形成する投影に含まれることを特徴とする表示機能付き非接触式データキャリアである。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記導電性シールド部が前記前記第2の主面に設けられると共に、前記アンテナコイルと同じ材料で構成されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記ディスプレイ部は前記第1の主面に配され、前記基材部が前記導電性シールド部を兼ねることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記ディスプレイ部は前記第2の主面に配され、前記基材部が前記導電性シー
ルド部を兼ねることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記ジャンパー導体から延在するように設けられた第1対向電極と、前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極と、を有し、前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記第1対向電極が形成する投影と、前記第2対向電極が形成する投影の一部が重畳し、前記第1対向電極と前記第2対向電極によって調整用コンデンサを構成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに。
【0010】
また、請求項6に係る発明は、請求項3に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極、を有し、前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記ディスプレイ部の前記基材部が形成する投影と、前記第2対向電極が形成する投影の一部が重畳し、前記基材部と前記第2対向電極によって調整用コンデンサを構成することを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る発明は、請求項3に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記ジャンパー導体から延在するように設けられた第1対向電極と、前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極と、前記第1対向電極上に配される粘着性誘電層と、を有し、前記ディスプレイ部の前記基材部が前記粘着性誘電層上に設けられると共に、前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記基材部が形成する投影、前記第1対向電極が形成する投影、前記第2対向電極が形成する投影のいずれか2つの投影の一部が重畳し、前記基材部と前記第1対向電極と前記第2対向電極のいずれかによって調整用コンデンサを構成することを特徴とすることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項4に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、前記アンテナコイルのインダクタンスを1.58μH以上8.86μH以下に設定したことを特徴とする。
【0013】
また、請求項9に係る発明は、請求項5乃至請求項7に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、前記調整用コンデンサの容量を0.38pF以上39.83pF以下に設定したことを特徴とする。
【0014】
また、請求項10に係る発明は、請求項1乃至請求項4に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、前記アンテナコイルのインダクタンスを2.33μH以上13.36μH以下に設定したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項11に係る発明は、請求項5乃至請求項7に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、前記調整用コンデンサの容量を1.32pF以上55.46pF以下に設定したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項12に係る発明は、請求項1乃至請求項11に記載の表示機能付き非接触式データキャリアにおいて、前記第2の主面にディスプレイ部取付基準線を設け、前記ディスプレイ部取付基準線を前記アンテナコイルと同じ材料で構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表示機能付き非接触式データキャリアによれば、投影を行ったとき、ディスプレイ部が形成する投影は、導電性シールド部が形成する投影に含まれるように構成されているので、リーダーライタの電波がディスプレイ部に与える影響を、導電性シールドによって遮断することが可能となり、ディスプレイ部の画像書き換えを安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアに形成される調整用コンデンサ部を斜視的に示す図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。
【図8】導電性シールド部が設けられていない表示機能付き非接触式データキャリアの共振周波数測定結果を示す図である。
【図9】導電性シールド部が設けられている本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアの共振周波数測定結果を示す図である。
【図10】導電性シールド部が設けられている本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアの共振周波数測定結果を示す図である。
【図11】本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアのアンテナコイルとして好適なインダクタンス値の算出結果を示す図である。
【図12】本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアの調整用コンデンサ部として好適な容量値の算出結果を示す図である。
【図13】本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアのアンテナコイルとして好適なインダクタンス値の算出結果を示す図である。
【図14】本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリアの調整用コンデンサ部として好適な容量値の算出結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリアの内部構造の概略を模式的に示す図である。図1(A)は表示機能付き非接触式データキャリアを構成するカード状基材の第1の主面側から内部構造を見た図であり、図1(B)は図1(A)におけるX−X’断面を模式的に示す図である。
【0020】
図1において、100は表示機能付き非接触式データキャリア、110はカード状基材、111は第1の主面、112は第2の主面、120はアンテナコイル、121はアンテナコイル第1端部、122はアンテナコイル第2端部、130はジャンパー導体、131はジャンパー導体第1端部、132はジャンパー導体第2端部、133は第1端部スルーホール、134は第2端部スルーホール、135はICチップ、140は導電性シールド部、150はディスプレイ部、151は基材部、155は表示画素構成部をそれぞれ示している。
【0021】
本実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100は、非接触型のICカード等と称される近距離無線通信機能を備えたRFID(Radio Frequency
Identificati on)を内蔵した電子機器であり、表示機能付き非接触式データキャリア100の内部には、PETなどの材料で構成されるカード状基材110を基礎として、種々の構成が組み込まれている。このカード状基材110は、それぞれ表裏の関係にある2つの主面を有しており、そのうちの一つを第1の主面111、これと異なる主面を第2の主面112と称することする。
【0022】
本実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100が備える基本的なRFID機能について説明すると、リーダーライタと近距離無線通信を行うためのアンテナコイル120を備えている。このアンテナコイル120は、カード状基材110の第2の主面112において、アルミニウム薄膜層や銅薄膜層などによって構成される。
【0023】
第2の主面112におけるアンテナコイル120のそれぞれの端部には、アンテナコイル第1端部121及びアンテナコイル第2端部122が設けられている。一方、カード状基材110の第1の主面111には、アルミニウム薄膜層や銅薄膜層などによってジャンパー導体130が設けられており、このジャンパー導体130の両端部であるジャンパー導体第1端部131及びジャンパー導体第2端部132には、カード状基材110を貫通すると共に、第1の主面111側と第2の主面112を導通する第1端部スルーホール133及び第2端部スルーホール134がそれぞれ設けられる。
【0024】
これら第1端部スルーホール133及び第2端部スルーホール134によって、アンテナコイル第1端部121とジャンパー導体第1端部131が導通し、アンテナコイル第2端部122はとジャンパー導体第2端部132が導通することで、アンテナコイル120がコイル状のループアンテナとして機能するようになっている。
【0025】
以上のように構成されるアンテナコイル120のループ中には、ICチップ135が設けられている。このICチップ135は、リーダーライタ(不図示)からの搬送波を受信して蓄積して電源を得る電源レギュレータ回路や、リーダーライタと送受信を行う送受信回路、受信したデータや送信するデータの処理を行うデータ処理回路、送受信するデータの暗号化及び復号化を処理する暗号・解読回路、RFIDが保持するデータを格納するメモリー、及びディスプレイ部150における表示を制御する表示制御回路などを内蔵してなるものである。
【0026】
ディスプレイ部150は、ICチップ135と図示しない配線で信号の授受を行うことができ、ICチップ135からの制御信号により駆動され、第1の主面111側から視認可能な表示を再現することができる表示部である。このようなディスプレイ部150は、PETやPENなどの基材部151と、この基材部151上に作り上げられた表示画素構成部155とから構成されている。なお、表示画素構成部155における表示原理として採用し得るものは種々あるが、例えば電子ペーパーと同様のものを採用することで、メモリー性を有する表示を行うことができる。
【0027】
第1の主面111側に設けられたディスプレイ部150に対応するようにして、第2の主面112には、導電性シールド部140が設けられている。より詳細に説明すると、第1の主面111から第2の主面112に向けて投影を行ったとき、ディスプレイ部150が形成する投影は、導電性シールド部140が形成する投影に含まれるような配置関係となっている。このような導電性シールド部140が、ディスプレイ部150に対応するようにして設けられているので、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部140によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部15
0の画像書き換えを安定的に行うことができる。
【0028】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、上記のような「投影」という概念を用いて、ディスプレイ部150や導電性シールド部140などの平面構成部同士の関連性について記述を行うものとする。より詳しくは、本明細書及び特許請求の範囲においては、第1の主面111から第2の主面112に向けて投影を行ったとき(すなわち、鉛直方向に投影を行ったとき)に仮想的な水平面上に形成される、ディスプレイ部150や導電性シールド部140などの平面構成部の投影同士を比較することによって、それぞれの平面構成部の大小関係や、鉛直方向から透過的にみたときにおけるそれぞれの平面構成部の包含関係を表現する。
【0029】
また、導電性シールド部140が、アンテナコイル120と同じ材料で構成されることが好ましい。カード状基材110の第2の主面112に設けられたアンテナコイル120は、例えば、アルミニウム薄膜層や銅薄膜層などによって構成されるが、アンテナコイル120と同様のアルミニウム薄膜層や銅薄膜層などによって導電性シールド部140を構成すると、アンテナコイル120と導電性シールド部140とを同時に製造することが可能となり、製造工程を簡素化することができる。
【0030】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図2は本発明の第2実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の内部構造の概略を模式的に示す図である。第2実施形態が第1実施形態と相違する点は、ディスプレイ部150の構成と、導電性シールド部140の構成であり、その他の点については同様であるので、その他の点については説明を省略する。なお、図2において、図1と同様の参照番号が付された構成は、同様のものを示している。
【0031】
第1実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100のディスプレイ部150としては、PETやPENなどの絶縁性の合成樹脂が用いられていた。これに対して、第2実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100におけるディスプレイ部150の基材部としては、導電性の金属が用いられる。より詳しくは、ディスプレイ部150の表示画素構成部155が設けられる基材としてはステンレス製基材部152が用いられる。これに伴い、第1実施形態で、第2の主面112側に設けていたシールド部は廃し、本実施形態では、ディスプレイ部150のステンレス製基材部152が導電性シールド部を兼ねるようにしている。
【0032】
このような導電性シールド部を兼ねたステンレス製基材部152を設けた第2実施形態によれば、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部を兼ねるステンレス製基材部152によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部150の画像書き換えを安定的に行うことができる。また、第1実施形態のように、第2の主面112側にシールド部を設ける必要がなくなるので、第2実施形態によれば、製造工程が簡素化するというメリットを享受することができる。
【0033】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図3は本発明の第3実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の内部構造の概略を模式的に示す図である。第3実施形態が第2実施形態と相違する点は、ディスプレイ部150を設ける主面が異なっている点である。より詳しくは、ディスプレイ部150は第2の主面112に配され、ステンレス製基材部152が導電性シールド部を兼ねるようにしている。なお、図3において、図2と同様の参照番号が付された構成は、同様の構成を示している。
【0034】
図3に示す第3実施形態は、ディスプレイ部150の表示面のトップは、カード状基材110によってカバーされる構成となっている。すなわち、ディスプレイ部150は、透
明なカード状基材110を介して参照することとなる。一般的にディスプレイ部150の表示画素構成部155のトップの層には、表示画素等を保護するための保護層を設ける必要があるが、第3実施形態のような構成によれば、このような保護層を設ける必要がなく、構成を簡略化することができる。また、第3実施形態によれば、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部を兼ねるステンレス製基材部152によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部150の画像書き換えを安定的に行うことができる。また、第1実施形態のように、第2の主面112側にシールド部を設ける必要がなくなるので、第3実施形態によれば、製造工程が簡素化するというメリットを享受することができる。
【0035】
また、第3の実施形態においては、第2の主面112側に、アンテナコイル120と同様のアルミニウム薄膜層や銅薄膜層などによって、ディスプレイ部取付基準線125を設けるようにしている。このようにディスプレイ部取付基準線125を、アンテナコイル120と同じ材料で構成することにより、ディスプレイ部取付基準線125を設ける工程を簡略化すると同時に、ディスプレイ部取付基準線125によってディスプレイ部150の取付性を向上するものであり、このような、ディスプレイ部取付基準線125を設けることによれば、製造効率を向上させることができる。なお、このようなディスプレイ部取付基準線125を設けることは、他の実施形態にも応用することができる。
【0036】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図4は本発明の第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の内部構造の概略を模式的に示す図である。また、図5は本発明の第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100に形成される調整用コンデンサ部170を斜視的に示す図である。第4実施形態が第1実施形態と相違する点は、共振周波数を調整するための調整用コンデンサ部170が形成されている点である。すなわち、第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100は、ジャンパー導体130から延在するように設けられた第1対向電極と、アンテナコイル120から延在するように設けられた第2対向電極と、を有しており、第1の主面111から第1の主面112に向けて投影を行ったとき、第1対向電極が形成する投影と、第2対向電極が形成する投影の一部が重畳し、第1対向電極と第2対向電極によって調整用コンデンサ部170を構成するものとなっている。
【0037】
第4実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の調整用コンデンサ部170について図5を参照してより詳細に説明する。
【0038】
調整用コンデンサ部170は、ジャンパー導体130から延在するように設けられた第1電極171と、アンテナコイル120から延在するように設けられた第2電極175とを有している。第1電極171及び第2電極175はいずれも、ジャンパー導体130、アンテナコイル120と同じ材料によって構成されることが好ましい。第1電極171及び第2電極175を、ジャンパー導体130、アンテナコイル120と同じ材料によって製造することによって、製造上の工程を簡略化することができるからである。
【0039】
第1電極171は、コンデンサの対向電極として機能する第1対向電極部172と、対向電極部の間やジャンパー導との間を連結する連結電極部173を有している。同様に、第2電極175は、コンデンサの対向電極として機能する第2対向電極176と、対向電極部の間やアンテナコイルとの間を連結する連結電極部177を有している。これにより、第1対向電極部172と第2対向電極176との間のカード状基材110が誘電体として機能することにより調整用コンデンサ部170が構成される。なお、連結電極部173または連結電極部177を取り除くことによって、調整用コンデンサ部170における容量を適宜調整することができるようになっている。
【0040】
以上のような第4実施形態によれば、導電性シールド部140が、ディスプレイ部150に対応するようにして設けられているので、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部140によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部150の画像書き換えを安定的に行うことができると共に、導電性シールド部140が設けられることによって変動する共振周波数を、調整用コンデンサ部170により調整することが可能となる。
【0041】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図6は本発明の第5実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の内部構造の概略を模式的に示す図である。第5実施形態が第1実施形態と相違する点は、ディスプレイ部150の構成と、導電性シールド部140の構成であり、その他の点については同様であるので、その他の点については説明を省略する。なお、図6において、図1と同様の参照番号が付された構成は、同様のものを示している。
【0042】
第1実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100のディスプレイ部150としては、PETやPENなどの絶縁性の合成樹脂が用いられていた。これに対して、第5実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100におけるディスプレイ部150の基材部としては、導電性の金属が用いられる。より詳しくは、ディスプレイ部150の表示画素構成部155が設けられる基材としてはステンレス製基材部152が用いられる。これに伴い、第1実施形態で、第5の主面112側に設けていたシールド部は廃し、本実施形態では、ディスプレイ部150のステンレス製基材部152が導電性シールド部を兼ねるようにしている。
【0043】
また、第5実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100においては、ステンレス製基材部152は、第1の主面111におけるジャンパー導体130から延在する連結電極部173と導通するようになっている。また、これと対向するようにして、アンテナコイル120から延在する連結電極部177と導通する第2対向電極176が設けられている。そして、第1の主面111から第2の主面112に向けて投影を行ったとき、ディスプレイ部150のステンレス製基材部152が形成する投影と、第2対向電極176が形成する投影の一部が重畳し、ステンレス製基材部152と第2対向電極176によって調整用コンデンサ170が構成されるようになっている。すなわち、本実施形態においては、ステンレス製基材部152と第2対向電極176との間のカード状基材110が誘電体として機能することにより調整用コンデンサ部170が構成される。
【0044】
以上のような実施形態によれば、導電性シールド部を兼ねたステンレス製基材部152を設けた第5実施形態によれば、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部を兼ねるステンレス製基材部152によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部150の画像書き換えを安定的に行うことができる。また、第4実施形態のように、第2の主面112側にシールド部を設ける必要がなくなるので、第5実施形態によれば、製造工程が簡素化するというメリットを享受することができる。また、第5実施形態によれば、導電性シールド部が設けられることによって変動する共振周波数を、調整用コンデンサ部170により調整することが可能となる。また、この調整用コンデンサ部170は、シールド部と構成を共用するものであり、製造を簡素化することが可能となると共に、カード状基材110上のスペースを効率的に利用することができる。
【0045】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図7は本発明の第6実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の内部構造の概略を模式的に示す図である。第6実施形態が第5実施形態と相違する点は、ディスプレイ部150が配される位置には、ジャンパー導体130から延在する連結電極部173と導通する第1対向電極部172が
設けられ、さらにこの第1対向電極部172上には粘着性誘電層179が設けられるようになっている。ステンレス製基材部152上に製造されたディスプレイ部150は、この粘着性誘電層179に取り付けられるようになっている。
【0046】
また、第6実施形態に係る表示機能付き非接触式データキャリア100においては、ステンレス製基材部152は、第1の主面111におけるジャンパー導体130から延在する連結電極部173と導通するようになっている。また、これと対向するようにして、アンテナコイル120から延在する連結電極部177と導通する第2対向電極176が設けられている。そして、第1の主面111から第2の主面112に向けて投影を行ったとき、ステンレス製基材部152が形成する投影、第1対向電極部172が形成する投影、第2対向電極176が形成する投影のいずれか2つの投影の一部が重畳し、ステンレス製基材部152と第1対向電極部172と第2対向電極176のいずれかによって調整用コンデンサ170を構成することを特徴とするようになっている。すなわち、本実施形態においては、ステンレス製基材部152と第1対向電極部172との間の粘着性誘電層179、及び、ステンレス製基材部152と第2対向電極176との間のカード状基材110が誘電体として機能することにより調整用コンデンサ部170が構成される。
【0047】
以上のような実施形態によれば、導電性シールド部を兼ねたステンレス製基材部152を設けた第6実施形態によれば、リーダーライタの電波がディスプレイ部150に与える影響を、導電性シールド部を兼ねるステンレス製基材部152によって遮断することが可能となり、ディスプレイ部150の画像書き換えを安定的に行うことができる。また、第6実施形態によれば、導電性シールド部が設けられることによって変動する共振周波数を、調整用コンデンサ部170により調整することが可能となる。また、この調整用コンデンサ部170は、シールド部と構成を共用するものであり、製造を簡素化することが可能となると共に、カード状基材110上のスペースを効率的に利用することができる。また、調整用コンデンサ部170は、粘着性誘電層179、カード状基材110を誘電体として利用するものであり、容量の設定により多くの自由度が生まれる。
【0048】
次に、アンテナコイル120のインダクタンス値として好ましい値、及び調整用コンデンサ部170の容量値として好ましい値について検討する。図8は導電性シールド部が設けられていない表示機能付き非接触式データキャリアの共振周波数測定結果を示す図である。図8(A)は共振周波数測定条件を示す図であり、図8(B)は測定結果を示すグラフである。
【0049】
図8(A)に示す共振周波数の測定においては、リーダーライタで16.84MHzが利用される場合において、ディスプレイ部150の位置に応じて、共振周波数がどのように変化するかを測定したものである。図中(1)、(2)、(3)のポイントにディスプレイ部150の左隅を位置させて、共振周波数を測定したところ、図8(B)に示すように、共振周波数は16.84MHzから大きく外れることはなかった。
【0050】
一方、図9は導電性シールド部が設けられている本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の共振周波数測定結果を示す図である。図9(A)は共振周波数測定条件を示す図であり、図9(B)、(C)は測定結果を示すグラフである。
【0051】
図9(A)に示す共振周波数の測定においては、リーダーライタで16.84MHzが利用される場合において、導電性シールド部を兼ねるステンレス製基材部152が設けられたディスプレイ部150の位置に応じて、共振周波数がどのように変化するかを測定したものである。表示機能付き非接触式データキャリア100の左隅からの距離を変化させてディスプレイ部150を設置し取得した測定結果が図9(B)であり、同じく右隅からの距離を変化させてディスプレイ部150を設置し取得した測定結果が図9(C)である
。図9(B)、(c)に示すように、共振周波数は16.84MHzから外れ、17.7MHz〜19.5MHzの範囲の値をとることがわかった。
【0052】
図10は、図9における測定と同様の測定を35mm×25mmのサイズの、ステンレス製基材部152上に設けられたディスプレイ部150により行ったものである。10(B)、(c)に示すように、共振周波数は16.84MHzから外れ、17.1MHz〜18.0MHzの範囲の値をとることがわかった。
【0053】
以上の結果を踏まえて、アンテナコイル120のインダクタンス値、調整用コンデンサ部170の容量値として、好ましい値を算出した。図11は本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリア100のアンテナコイル120として好適なインダクタンス値の算出結果を示す図である。図11(A)は共振周波数20MHz(先の測定結果に裕度分を足した値)に対応するために必要なアンテナコイル120のインダクタンス値であり、図11(B)は共振周波数17MHz(先の測定結果から裕度分を引いた値)に対応するために必要なアンテナコイル120のインダクタンス値である。なお、ICチップ135の内部容量は、20pF、30pF、97pFのいずれかを仮定した。
【0054】
図11の結果を総合すると、表示機能付き非接触式データキャリア100に対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、アンテナコイル120のインダクタンスを1.58μH以上8.86μH以下に設定することが好ましいことがわかる。
【0055】
また、図12は本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の調整用コンデンサ部170として好適な容量値の算出結果を示す図である。図12(A)は共振周波数20MHz(先の測定結果に裕度分を足した値)に対応するために必要な調整用コンデンサ部170の容量値であり、図12(B)は共振周波数17MHz(先の測定結果から裕度分を引いた値)に対応するために必要な調整用コンデンサ部170の容量値である。
【0056】
図12の結果を総合すると、表示機能付き非接触式データキャリア100に対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、調整用コンデンサ170の容量を0.38pF以上39.83pF以下に設定することが好ましいことがわかる。
【0057】
図8乃至図10に係る測定と同様の測定を13.56MHzのリーダーライタについても実施し、アンテナコイル120のインダクタンス値、調整用コンデンサ部170の容量値として、好ましい値を算出した。以下、結果を示す。
【0058】
図13は本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリア100のアンテナコイル120として好適なインダクタンス値の算出結果を示す図である。図13(A)は共振周波数17MHz(測定結果に裕度分を足した値)に対応するために必要なアンテナコイル120のインダクタンス値であり、図13(B)は共振周波数14MHz(測定結果から裕度分を引いた値)に対応するために必要なアンテナコイル120のインダクタンス値である。なお、ICチップ135の内部容量は、20pF、30pF、97pFのいずれかを仮定した。
【0059】
図13の結果を総合すると、表示機能付き非接触式データキャリア100に対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、アンテナコイル120のインダクタンスを2.33μH以上13.36μH以下に設定することが好ましいことがわかる。
【0060】
また、リーダーライタで13.56MHzが利用される場合における図14は本発明に係る表示機能付き非接触式データキャリア100の調整用コンデンサ部170として好適な容量値の算出結果を示す図である。図14(A)は共振周波数17MHz(測定結果に
裕度分を足した値)に対応するために必要な調整用コンデンサ部170の容量値であり、図14(B)は共振周波数14MHz(測定結果から裕度分を引いた値)に対応するために必要な調整用コンデンサ部170の容量値である。
【0061】
図14の結果を総合すると、表示機能付き非接触式データキャリア100に対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、調整用コンデンサ170の容量を1.32pF以上55.46pF以下に設定することが好ましいことがわかる。
【0062】
以上、本発明の表示機能付き非接触式データキャリアによれば、投影を行ったとき、ディスプレイ部が形成する投影は、導電性シールド部が形成する投影に含まれるように構成されているので、リーダーライタの電波がディスプレイ部に与える影響を、導電性シールドによって遮断することが可能となり、ディスプレイ部の画像書き換えを安定的に行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
100・・・表示機能付き非接触式データキャリア、110・・・カード状基材、111・・・第1の主面、112・・・第2の主面、120・・・アンテナコイル、121・・・アンテナコイル第1端部、122・・・アンテナコイル第2端部、125・・・ディスプレイ部取付基準線、130・・・ジャンパー導体、131・・・ジャンパー導体第1端部、132・・・ジャンパー導体第2端部、133・・・第1端部スルーホール、134・・・第2端部スルーホール、135・・・ICチップ、140・・・導電性シールド部、150・・・ディスプレイ部、151・・・基材部、152・・・ステンレス製基材部、155・・・表示画素構成部、170・・・調整用コンデンサ部、171・・・第1電極、172・・・第1対向電極部、173・・・連結電極部、175・・・第2電極、176・・・第2対向電極、177・・・連結電極部、179・・・粘着性誘電層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面と、前記第1の主面と表裏の関係にある第2の主面とを有するカード状基材と、
前記第2の主面に配されるアンテナコイルと、
前記第1の主面に配されると共に、前記アンテナコイルの両端部とスルーホールを介して導通するジャンパー導体と、
基材部と表示画素構成部とからなり、前記第1の主面又は前記第2の主面のいずれかに配されるディスプレイ部と、
前記第1の主面又は前記第2の主面のいずれかに配される導電性シールド部と、を有し、前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記ディスプレイ部が形成する投影は、前記導電性シールド部が形成する投影に含まれることを特徴とする表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項2】
前記導電性シールド部が前記前記第2の主面に設けられると共に、前記アンテナコイルと同じ材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項3】
前記ディスプレイ部は前記第1の主面に配され、
前記基材部が前記導電性シールド部を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項4】
前記ディスプレイ部は前記第2の主面に配され、
前記基材部が前記導電性シールド部を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項5】
前記ジャンパー導体から延在するように設けられた第1対向電極と、
前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極と、を有し、
前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記第1対向電極が形成する投影と、前記第2対向電極が形成する投影の一部が重畳し、
前記第1対向電極と前記第2対向電極によって調整用コンデンサを構成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項6】
前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極、を有し、
前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記ディスプレイ部の前記基材部が形成する投影と、前記第2対向電極が形成する投影の一部が重畳し、
前記基材部と前記第2対向電極によって調整用コンデンサを構成することを特徴とする請求項3に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項7】
前記ジャンパー導体から延在するように設けられた第1対向電極と、
前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極と、
前記第1対向電極上に配される粘着性誘電層と、を有し、
前記ディスプレイ部の前記基材部が前記粘着性誘電層上に設けられると共に、
前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記基材部が形成する投影、前記第1対向電極が形成する投影、前記第2対向電極が形成する投影のいずれか2つの投影の一部が重畳し、
前記基材部と前記第1対向電極と前記第2対向電極のいずれかによって調整用コンデンサを構成することを特徴とすることを特徴とする請求項3に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項8】
前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、前記アンテナコイルのインダクタンスを1.58μH以上8.86μH以下に設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項9】
前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、前記調整用コンデンサの容量を0.38pF以上39.83pF以下に設定したことを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項10】
前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、前記アンテナコイルのインダクタンスを2.33μH以上13.36μH以下に設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項11】
前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、前記調整用コンデンサの容量を1.32pF以上55.46pF以下に設定したことを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項12】
前記第2の主面にディスプレイ部取付基準線を設け、前記ディスプレイ部取付基準線を前記アンテナコイルと同じ材料で構成することを特徴とする請求項1乃至請求項11に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項1】
第1の主面と、前記第1の主面と表裏の関係にある第2の主面とを有するカード状基材と、
前記第2の主面に配されるアンテナコイルと、
前記第1の主面に配されると共に、前記アンテナコイルの両端部とスルーホールを介して導通するジャンパー導体と、
基材部と表示画素構成部とからなり、前記第1の主面又は前記第2の主面のいずれかに配されるディスプレイ部と、
前記第1の主面又は前記第2の主面のいずれかに配される導電性シールド部と、を有し、前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記ディスプレイ部が形成する投影は、前記導電性シールド部が形成する投影に含まれることを特徴とする表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項2】
前記導電性シールド部が前記前記第2の主面に設けられると共に、前記アンテナコイルと同じ材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項3】
前記ディスプレイ部は前記第1の主面に配され、
前記基材部が前記導電性シールド部を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項4】
前記ディスプレイ部は前記第2の主面に配され、
前記基材部が前記導電性シールド部を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項5】
前記ジャンパー導体から延在するように設けられた第1対向電極と、
前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極と、を有し、
前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記第1対向電極が形成する投影と、前記第2対向電極が形成する投影の一部が重畳し、
前記第1対向電極と前記第2対向電極によって調整用コンデンサを構成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項6】
前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極、を有し、
前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記ディスプレイ部の前記基材部が形成する投影と、前記第2対向電極が形成する投影の一部が重畳し、
前記基材部と前記第2対向電極によって調整用コンデンサを構成することを特徴とする請求項3に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項7】
前記ジャンパー導体から延在するように設けられた第1対向電極と、
前記アンテナコイルから延在するように設けられた第2対向電極と、
前記第1対向電極上に配される粘着性誘電層と、を有し、
前記ディスプレイ部の前記基材部が前記粘着性誘電層上に設けられると共に、
前記第1の主面から前記第2の主面に向けて投影を行ったとき、前記基材部が形成する投影、前記第1対向電極が形成する投影、前記第2対向電極が形成する投影のいずれか2つの投影の一部が重畳し、
前記基材部と前記第1対向電極と前記第2対向電極のいずれかによって調整用コンデンサを構成することを特徴とすることを特徴とする請求項3に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項8】
前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、前記アンテナコイルのインダクタンスを1.58μH以上8.86μH以下に設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項9】
前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで16.84MHzが利用される場合、前記調整用コンデンサの容量を0.38pF以上39.83pF以下に設定したことを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項10】
前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、前記アンテナコイルのインダクタンスを2.33μH以上13.36μH以下に設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項11】
前記表示機能付き非接触式データキャリアに対応するリーダーライタで13.56MHzが利用される場合、前記調整用コンデンサの容量を1.32pF以上55.46pF以下に設定したことを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【請求項12】
前記第2の主面にディスプレイ部取付基準線を設け、前記ディスプレイ部取付基準線を前記アンテナコイルと同じ材料で構成することを特徴とする請求項1乃至請求項11に記載の表示機能付き非接触式データキャリア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−203929(P2011−203929A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69667(P2010−69667)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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