説明

表示灯

【課題】簡易な構造かつ低コストでランプユニットの熱を放熱し、光源の輝度の低下を抑制した密閉構造の表示灯を提供する。
【解決手段】光源を有したランプユニット3と、光源からの光が照射される表示パネル2と、ランプユニット3と表示パネル2とを保持する器具本体1と、天井8に固定され、下面に器具本体1を保持する器具施工用部材4と、透光性の材質で上面が開口した矩形箱状に形成され、開口周縁が器具施工用部材4に設けられた密閉用パッキン6に当接するように器具本体1を覆って密閉するケース5とを備え、密閉用パッキン6に設けられた放熱片6bがランプユニット3の上面と器具施工用部材4の上面と当接し、放熱片6bがランプユニット3が発生する熱を器具施工用部材4に放熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の図形や記号などが記載された表示パネルと、表示パネルを背後から照らす光源を有したランプユニットと、表示パネルおよびランプユニットを保持する器具本体を備え、誘導灯などに用いられる表示灯が提供されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図3に従来の表示灯の外観斜視図を示す。従来の表示灯は、矩形箱状に形成された器具本体1の前面に表示パネル2が配置されている。表示パネル2は、光を透過するアクリル等で板状に形成されており、所定の図形や記号が記載されている。また、表示パネル2の上端に沿って、直方体に形成されたランプユニット3が配置されている。ランプユニット3は、内部にLEDや蛍光管などの光源を備えている。そして、器具本体1の内部において、表示パネル2の後部に導光板(図示なし)が配置されている。導光板は、ランプユニット3に設けられた光源からの光を反射して、表示パネル2に光を後面から照射する。そして、表示パネル2とランプユニット3とを前面に保持した器具本体1は、ステンレス等で板状に形成された器具施工用部材4に、ネジ41で取り付けられる。
【0004】
また、図4に示すように、器具本体1をケース5で覆って密閉した密閉構造の表示灯も提供されている。ケース5は、アクリル等の透光性を有する材質で、上面が開口した矩形箱状に形成されている。また、器具施工用部材4の下面には、矩形枠状に形成された密閉用パッキン60が設けられている。そして、ケース5で器具本体1を下方からを覆い、ケース5の上端周縁が密閉用パッキン60と当接する。また、ケース5の側面上部には、金具(図示なし)が複数設けられており、金具を施工用部材4にネジ等で固定することによって、施工用部材4にケース5が保持されると共に、ケース5の上端周縁と密閉用パッキン60とが密着する。それによって、器具本体1が密閉されることで防水できるので、表示灯を屋外で使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−3339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図4に示した密閉構造の表示灯は、表示パネル2とランプユニット3とを保持した器具本体1をケース5で覆って密閉しているため、ケース5内の温度が上昇しやすかった。例えば、ランプユニット3に備えられた光源が熱を発生し、発生した熱がケース5内部に蓄積されるため、ケース5内が高温になるおそれがあった。そして、ケース5内が高温になることによって、光源の輝度が低下する問題が生じていた。そのため、ケース5を備えていない非密閉構造の表示灯に比べて、密閉構造の表示灯の輝度は低下するおそれがあり、非密閉構造の表示灯と同等の輝度を実現するのは困難であった。
【0007】
また、図示しない放熱手段を備えたランプユニット3を用いることで、上記問題を解決することができるが、放熱手段を備えたランプユニット3は構造が複雑となりコストが高くなる問題があった。さらに、密閉構造の表示灯と非密閉構造の表示灯とで、ランプユニット3を共通化することができず、コストが高くなる問題があった。
【0008】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造かつ低コストでランプユニットの熱を放熱し、光源の輝度の低下を抑制した密閉構造の表示灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、光源を有したランプユニットと、光源からの光が照射される表示パネルと、ランプユニットと表示パネルとを保持する器具本体と、施工面に固定され、一面に器具本体を保持する器具施工用部材と、透光性の材質で一面が開口した矩形箱状に形成され、当該開口と施工面とが対向するように器具本体を覆うケースとを備え、前記ランプユニットと前記器具施工用部材との両方に当接する放熱部材を設け、当該放熱部材はランプユニットが発生する熱を、器具施工用部材に放熱することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ランプユニットと器具施工用部材との両方にに当接する放熱部材が、ランプユニットから発生する熱を器具施工用部材に放熱するので、ケース内の温度の上昇を抑制することができる。それによって、簡易な構造かつ低コストで高温による光源の輝度の低下を抑制することができる。
【0011】
また、放熱手段を具備していないランプユニットを用いることができるので、密閉構造の表示灯と非密閉構造の表示灯とで、ランプユニットを共通化することができ、コストを低減させることができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記器具施工用部材の一面と前記ケースの開口周縁との間に密閉用パッキンが設けられ、前記放熱部材は、当該密閉用パッキンであることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、密閉用パッキンは柔軟性が高く、ランプユニットおよび器具施工用部材と密着させることができるので、より放熱性を向上させることができる。また、別部材として放熱部材を設ける必要がないので、コストを低減させることができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記放熱部材は、前記施工用部材の一面側に設けられたバネ部であり、当該バネ部は、前記ランプユニットに弾性付勢することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、器具施工用部材に設けられたバネ部がランプユニットに弾性付勢することによって、放熱面積が増加し、より確実に放熱することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明では、簡易な構造でランプユニットの熱を放熱し、密閉構造であっても光源の輝度の低下を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1の表示灯の側方断面図である。
【図2】同上の実施形態2の表示灯の前方断面図である。
【図3】従来の非密閉構造の表示灯の外観斜視図である。
【図4】従来の密閉構造の表示灯の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(実施形態1)
本発明の実施形態1の表示灯は、表示パネル2とランプユニット3とを保持する器具本体1と、天井8に固定され、器具本体1を保持する器具施工用部材4と、器具本体1を覆うケース5とからなる密閉構造の表示灯である。図4に示した従来の密閉構造の表示灯と同一構造には、同一符号を付して説明は省略する。
【0020】
図1に防水パッキン7を介して天井8に取り付けられた、本実施形態の表示灯の側方からの一部断面図を示す。
【0021】
本実施形態の密閉用パッキン6は、従来の密閉用パッキン60と形状が異なる。本実施形態の密閉用パッキン6は、密閉片6aと放熱片6bとで構成されている。密閉片6aは、矩形枠状に形成され、ケース5の開口周縁と器具施工用部材4の下面と当接することでケース5内を密閉する。放熱片6bは、密閉片6aの一方の長辺が、内側に延設して形成されており、密閉片6aに比べて肉厚に形成されている。そして、図1に示すように、器具施工用部材4に器具本体1とケース5を取り付けた状態において、放熱片6bは器具施工用部材4とランプユニット3との隙間を埋めるように配置される。そして、放熱片6bは、器具施工用部材4の下面とランプユニット3の上面との両方に当接している。
【0022】
密閉用パッキン6はシリコンゴムやEPTゴムなどで形成されており、熱伝導率は0.15〜0.2(W/m・K)程度となる。また、従来の表示灯では、器具施工用部材4とランプユニット3との間には隙間が形成されており、空気の熱伝導率(乾燥状態で気温0℃)は0.0241(W/m・K)となる。したがって、密閉用パッキン6は、空気に対して6倍以上の熱伝導率を有していることとなる。
【0023】
上記の構成で、ランプユニット3に備えられた光源から発生する熱を、密閉用パッキン6の放熱片6b(放熱部材)が、ステンレス等で形成された器具施工用部材4に放熱する。それによって、ケース5によって密閉され、ケース5内の温度が上昇しやすい環境でも、光源から発生する熱を器具施工用部材4に放熱することで、光源の温度上昇が抑制される。それによって、高温による光源の輝度の低下を抑制することができる。したがって、ケース5を備えていない非密閉構造の表示灯と同等の輝度を実現することができる。
【0024】
また、密閉用パッキン6に放熱片6aを設けるのみで、別部材として放熱部材を設ける必要がないので、構造を簡易化することができ、コストを低減させることができる。
【0025】
また、密閉用パッキン6は、ゴムで形成されているため柔軟性が高く、器具施工用部材4とランプユニット3とに密着させることができ、より放熱性を高めることができる。
【0026】
また、本実施形態の密閉用パッキン6を用いることによって、放熱手段を具備していないランプユニット3でも、密閉構造の表示灯に用いることができるので、さらなる構造の簡易化およびコストの低減をはかることができる。
【0027】
(実施形態2)
本発明の実施形態2の表示灯は、表示パネル2とランプユニット3とを保持する器具本体1と、器具本体1が取り付けられる器具施工用部材40と、器具本体1を覆うケース5とからなる密閉構造の表示灯である。図4に示した従来の密閉構造の表示灯と同一構造には、同一符号を付して説明は省略する。
【0028】
図2に防水パッキン7を介して天井8に取り付けられた、本実施形態の表示灯の前方からの一部断面図を示す。
【0029】
本実施形態の器具施工用部材40は、従来の器具施工用部材4と形状が異なる。本実施形態の器具施工用部材40は、ランプユニット3の上方において、切り起こしでバネ部9が形成されている。バネ部9は、器具施工用部材40と略平行に形成された第1の片9aと、第1の片9aと器具施工用部材4とを連続させる第2の片9bとで略L字状に形成されている。そして、バネ部9は弾性を有しており、第2の片9bが上下方向に撓むことによって、第1の片9aがランプユニット3に弾性付勢され、第1の片9aの下面とランプユニット3の上面とが接触する放熱面積が増加する。
【0030】
また、器具施工用部材40およびバネ部9はステンレスで形成されており、熱伝導率は16.7〜26.0(W/m・K)程度となる。また、図4に示した従来の表示灯では、器具施工用部材4とランプユニット3との間には隙間が形成されており、空気の熱伝導率(乾燥状態で気温0℃)は0.0241(W/m・K)となる。したがって、バネ部9は、空気に対して600倍以上の熱伝導率を有していることとなる。
【0031】
上記の構成で、ランプユニット3に備えられた光源から発生する熱は、バネ部9(放熱部材)を介して器具施工用部材40に放熱される。それによって、ケース5によって密閉され、ケース5内の温度が上昇しやすい環境でも、光源から発生する熱を器具施工用部材4に放熱することで、光源の温度上昇が抑制される。それによって、高温による光源の輝度の低下を抑制することができる。したがって、ケース5を備えていない非密閉構造の表示灯と同等の輝度を実現することができる。
【0032】
また、器具施工用部材40に切り起こしでバネ部9を形成しているため、放熱部材として別部材を設ける必要がないので、構造を簡易化することができ、コストを低減させることができる。
【0033】
また、バネ部9はランプユニット3に弾性付勢するので、放熱面積が増加し、より放熱性を高めることができる。
【0034】
また、本実施形態のバネ部9が形成された器具施工用部材40を用いることによって、放熱手段を具備していないランプユニット3でも、密閉構造の表示灯に用いることができるので、さらなる構造の簡易化およびコストの低減をはかることができる。
【0035】
また、上記で説明したバネ部9を複数形成してもよい。それによって、放熱面積が増加し、より放熱性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、器具施工用部材40に切り起こしでバネ部9を形成しているが、器具施工用部材40の下面または、ランプユニット3の上面に、アルミ等のバネを設けてもよい。
【0037】
また、器具施工用部材40の材質は、ステンレスに限定されることなく、他の材質であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 器具本体
2 表示パネル
3 ランプユニット
4 施工用部材
5 ケース
6 密閉用パッキン
6a 密閉片
6b 放熱片
7 防水パッキン
8 天井

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を有したランプユニットと、光源からの光が照射される表示パネルと、ランプユニットと表示パネルとを保持する器具本体と、施工面に固定され、一面に器具本体を保持する器具施工用部材と、透光性の材質で一面が開口した矩形箱状に形成され、当該開口と施工面とが対向するように器具本体を覆うケースとを備え、
前記ランプユニットと前記器具施工用部材との両方に当接する放熱部材を設け、当該放熱部材はランプユニットが発生する熱を、器具施工用部材に放熱することを特徴とする表示灯。
【請求項2】
前記器具施工用部材の一面と前記ケースの開口周縁との間に密閉用パッキンが設けられ、前記放熱部材は、当該密閉用パッキンであることを特徴とする請求項1記載の表示灯。
【請求項3】
前記放熱部材は、前記施工用部材の一面側に設けられたバネ部であり、当該バネ部は、前記ランプユニットに弾性付勢することを特徴とする請求項1記載の表示灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−133573(P2011−133573A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291311(P2009−291311)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】