説明

表示端末

【課題】ユーザが表示位置を明示的に指示することも、特別なセンサを設けることもせずに、ユーザの持ち方に応じた画像を表示させることを可能にする。
【解決手段】表示端末10は、タッチスクリーンが重ねて設けられた表示領域10Aを有する。ユーザは、表示領域10Aに対してドラッグ操作やフリック操作を行う。これらの操作は、表示領域10Aを直線状に擦る操作であるが、右手で行った場合と左手で行った場合とで軌跡に相違が生じる。なぜならば、これらの操作の軌跡は、関節(図においては、親指の第二関節)を回転中心とした回転運動に近似したものになるためである。したがって、これらの操作の軌跡は、ユーザ自身が直線状に操作しているつもりであっても、実際には円弧状になる。表示端末10は、このような円弧状の軌跡から平均曲率半径とその曲率中心座標とを算出することにより、持ち手が右手と左手のいずれであるかを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチスクリーンを有する表示端末の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーン(タッチパネルともいう。)を有し、ユーザが片手で操作できるような表示端末に関して、その操作を容易にするための種々の技術がある。例えば、特許文献1には、所定の距離以上のドラッグによって、操作画面をユーザの指に手繰り寄せられるように表示することが記載されている。また、特許文献2には、ユーザに丸等の線図をタッチパネル上に描かせ、この線図の内部に操作キー群が表示されるようにすることが記載されている。また、このような表示制御とは別に、特許文献3には、タッチパネルに加え、手指の把持位置を検出するためのセンサを備える携帯端末について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−3307号公報
【特許文献2】特開2008−113148号公報
【特許文献3】特開2010−154090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載された技術は、何をどこに表示させたいのかをユーザが明示的に指示するものであるといえる。また、特許文献3は、ユーザの把持位置を検出するために特別なセンサを設けなければならないものである。
一方、本発明は、ユーザが表示位置を明示的に指示することも、特別なセンサを設けることもせずに、ユーザの持ち方に応じた画像を表示させることを可能にすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る表示端末は、タッチスクリーンが表示領域に重ねて設けられた表示部と、前記タッチスクリーンに対するユーザの操作に応じて処理を実行する操作処理部と、前記ユーザによる当該表示端末の把持態様を表す把持情報の記録を管理する情報管理部と、前記操作処理部により実行された処理に従い、前記タッチスクリーンによる操作を受け付けるための操作画像を含む画面の前記表示領域への描画を制御する描画制御部とを備え、前記操作処理部は、前記操作の種別を判定する判定部と、前記判定部により判定された操作の種別が特定の種別である場合に、当該操作の軌跡に基づいてユーザの持ち手とその把持位置とを表す前記把持情報を算出する計算部とを有し、前記描画制御部は、前記計算部により算出され、又は前記情報管理部により記録された把持情報に従い、前記操作画像の配置を決定する構成を有する。
【0006】
好ましい態様において、前記判定部は、ドラッグ操作又はフリック操作を前記特定の種別として判定し、前記計算部は、前記軌跡の平均曲率半径とその曲率中心座標とを用いて前記把持情報を算出する。
別の好ましい態様において、前記計算部は、前記平均曲率半径が閾値以下である場合に、その前記操作を当該端末の持ち手による操作であると判断し、前記平均曲率半径が前記閾値より大きい場合に、その前記操作を当該端末の持ち手と反対の手による操作であると判断する。
さらに別の好ましい態様において、前記計算部は、前記平均曲率半径が前記閾値以下である場合において、前記曲率中心座標が前記表示領域に対して右寄りであるときには、当該端末の持ち手が右手であると判断し、前記曲率中心座標が前記表示領域に対して左寄りであるときには、当該端末の持ち手が左手であると判断する。あるいは、前記計算部は、前記平均曲率半径が前記閾値より大きい場合において、前記曲率中心座標が前記表示領域に対して右寄りであるときには、当該端末の持ち手が左手であると判断し、前記曲率中心座標が前記表示領域に対して左寄りであるときには、当該端末の持ち手が右手であると判断してもよい。
さらに別の好ましい態様において、前記操作処理部は、前記特定の種別の操作が行われた場合に、当該操作に割り当てられ、前記計算部による前記把持情報の算出と独立した処理を実行するとともに、前記計算部により前記把持情報を算出する。
さらに別の好ましい態様において、前記タッチスクリーンは、前記ユーザの指が接触せずに近接する近接状態を検出し、前記判定部は、前記近接状態を前記特定の種別の操作であると判定し、前記計算部は、前記把持情報が記録されている場合において、前記判定部により前記近接状態の操作が判定されたとき、当該近接状態における前記指の位置の座標に基づいて当該把持情報を再算出し、前記情報管理部は、前記計算部により再算出された把持情報によって記録を更新する。
さらに別の好ましい態様において、前記曲率中心座標は、前記ユーザが当該表示端末を把持したときの上下方向を第1軸、左右方向を第2軸とする直交座標系で記述される座標であり、前記計算部は、前記曲率中心座標の前記第2軸の座標及び前記平均曲率半径が再算出前と等しく、かつ、前記指の位置の座標が前記平均曲率半径の円弧に含まれるように前記第1軸の座標を変更することによって前記曲率中心座標を再算出する。
さらに別の好ましい態様において、前記ユーザが当該表示端末を把持したときの上下方向を第1軸、左右方向を第2軸とする直交座標系の座標で前記操作画像が定義される場合において、前記描画制御部は、前記画面に含まれる前記操作画像の全部又は一部が、再算出された前記曲率中心座標を中心とし、前記平均曲率半径を半径とする円の内側に表示されるように、前記操作画像の前記第1軸方向の描画位置を決定する。
さらに別の好ましい態様において、前記曲率中心座標は、前記ユーザが当該表示端末を把持したときの上下方向を第1軸、左右方向を第2軸とする直交座標系で記述される座標であり、前記情報管理部は、所定時間の経過後に、前記第2軸の座標を記録から消去せずに前記第1軸の座標を記録から消去する。
さらに別の好ましい態様において、前記ユーザが当該表示端末を把持したときの上下方向を第1軸、左右方向を第2軸とする直交座標系で前記操作画像の座標が定義される場合において、前記描画制御部は、前記ユーザの持ち手に応じて前記操作画像の前記第2軸方向の描画位置を異ならせ、前記画面に含まれる前記操作画像の全部又は一部が、前記曲率中心座標を中心とし、前記平均曲率半径を半径とする円の内側に表示されるように、前記操作画像の前記第1軸方向の描画位置を決定する。
【0007】
なお、本発明は、他の態様でも実現可能である。例えば、本発明は、タッチスクリーンが表示領域に重ねて設けられた表示端末の制御装置であって、前記タッチスクリーンに対するユーザの操作に応じて処理を実行する操作処理部と、前記ユーザによる当該表示端末の把持態様を表す把持情報の記録を管理する情報管理部と、前記操作処理部により実行された処理に従い、前記タッチスクリーンによる操作を受け付けるための操作画像を含む画面の前記表示領域への描画を制御する描画制御部とを備え、前記操作処理部は、前記操作の種別を判定する判定部と、前記判定部により判定された操作の種別が特定の種別である場合に、当該操作の軌跡に基づいてユーザの持ち手とその把持位置とを表す前記把持情報を算出する計算部とを有し、前記描画制御部は、前記計算部により算出され、又は前記情報管理部により記録された把持情報に従い、前記操作画像の配置を決定する構成を有するものであってもよいし、かかる制御装置に対応するプログラムや表示端末制御方法の発明としても把握され得るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが表示位置を明示的に指示することも、特別なセンサを設けることもせずに、ユーザの持ち方に応じた画像を表示することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】携帯端末の主要なハードウェア構成を示すブロック図
【図2】制御部の機能的構成を示す機能ブロック図
【図3】携帯端末の把持態様を例示する図
【図4】ユーザによる携帯端末の操作を例示する図
【図5】持ち手の判断の際に実行する処理を示すフローチャート
【図6】座標や数値を説明するための図
【図7】把持情報を例示する図
【図8】把持情報の内容を図解して示す図
【図9】操作画像の表示例を示す模式図
【図10】描画制御処理を示すフローチャート
【図11】描画制御処理の結果として表示される操作画像を例示する図
【図12】描画制御処理を示すフローチャート
【図13】更新前後の把持位置座標を図解して示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
[発明の概要]
本発明は、タッチスクリーンを有する表示端末において、ユーザが表示端末を左右のいずれの手で把持しているかを判断し、端末を把持している手(以下「持ち手」という。)に応じた画面表示を実現するものである。具体的には、本発明は、ユーザの持ち手を判断し、操作によく用いられる描画オブジェクトをその持ち手で操作しやすい位置に表示したり、あるいは、いわゆる「閉じるボタン(アイコン)」のような、ユーザが頻繁に操作せず、うっかり操作してしまうことを避けるべき描画オブジェクトを持ち手の指が触れにくい位置に表示したりすることを可能にするものである。なお、本発明において、ユーザの持ち手による操作は、親指(母指、第一指)で行われることが主に想定されている。
【0011】
また、本発明において、持ち手の判断は、ユーザによって普通に行われる複数種別の操作のうちの特定の種別の操作に基づいて行われる。例えば、持ち手の判断に用いられる操作は、ドラッグ操作やフリック操作のような、タッチスクリーンを直線状に擦る操作である。このような操作は、特に、持ち手の指で行われると、ユーザ自身はタッチスクリーン上を直線的に擦っているつもりであっても、実際には円弧状になり、右手であれば左側、左手であれば右側にそれぞれ膨らむようになる。なぜならば、指の運動は、指のある関節を回転中心とした回転運動になるからである。
【0012】
本発明においては、このような直線的な(つもりの)操作を左右の手で行った場合の相違に着目し、持ち手の判断が行われる。そのため、本発明は、ユーザの何気ない操作からでも持ち手の判断を行うことが可能である。したがって、ユーザは、明示的に、殊更に自分の持ち手や操作可能な範囲を教示する操作を行わなくても、自身の持ち手に応じた画面を利用することが可能である。
【0013】
なお、指先の軌跡は、複数の関節(第一関節と第二関節)を同時に動かしながら行われたりすることで、実際には必ずしも(厳密な意味での)円弧にはならない場合もある。しかし、以下に説明する実施形態においては、指先の軌跡を、円弧であるか、あるいは円弧とみなせる程度に近似しているものとして取り扱う。したがって、ここでいう「円弧状」の曲線とは、円弧ないしそれに近似する曲線のことをいう。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である携帯端末の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示す携帯端末10は、タッチスクリーンを有する携帯可能な表示端末であり、例えば、携帯電話機や、携帯型の音楽プレーヤやゲーム機などである。携帯端末10は、図1に示すように、制御部100と、記憶部200と、表示部300と、タッチスクリーン部400とを少なくとも備える。また、携帯端末10は、図1に示す構成のほかに、他の携帯電話機と通信するための手段や、音声を再生する手段などを含み得る。
【0015】
制御部100は、携帯端末10の各部の動作を制御する手段である。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置やメモリ(主記憶装置)を備え、プログラムを実行することによって表示部300の画面表示などを制御する。また、制御部100は、リアルタイムクロックを有し、日時(日付及び時刻)を特定可能である。記憶部200は、補助記憶装置に相当する記憶手段であり、制御部100が画像を表示するために用いるデータ等を記憶する。
【0016】
表示部300は、画像を表示する手段である。表示部300は、液晶表示素子や有機EL(Electroluminescence)表示素子を用いた表示パネルとその駆動手段を備え、制御部100から供給される画面データに応じた画面を表示領域に表示する。タッチスクリーン部400は、表示部300の表示パネルに重ねて設けられたタッチスクリーンを備え、ユーザの接触位置を示す座標信号を制御部100に供給する。
【0017】
本実施形態において、表示部300は、長方形の縦長の表示領域を有するものとする。以下においては、この長方形の表示領域の左右方向(短辺方向)をx軸方向、上下方向(長辺方向)をy軸方向とした2次元直交座標系を接触位置等の座標の説明に用いる。また、説明の便宜上、この座標系は、表示領域の左下の頂点を原点とし、右方向及び上方向を正方向とする。ただし、表示領域の形状は、縦長の長方形に限定されるわけではない。
【0018】
図2は、制御部100の機能的構成を示す機能ブロック図である。制御部100は、プログラムを実行することによって、図2に示す操作処理部110、情報管理部120、描画制御部130及び描画部140に相当する機能を実現する。また、操作処理部110は、より詳細には、判定部111及び計算部112を含む。なお、これらの各部の機能は、複数のプログラムの協働によって実現されてもよい。
【0019】
操作処理部110は、タッチスクリーンに対するユーザの操作に応じて処理を実行する手段である。操作処理部110は、タッチスクリーン部400から供給される座標信号を取得することによってユーザの操作を認識し、それぞれの操作に対応する処理を実行する。操作処理部110が実行する処理には、判定部111及び計算部112による処理のほか、計算部112による処理とは無関係の(すなわち当該処理と独立した)処理が含まれる。かかる処理は、例えば、あるアイコンがドラッグされた場合にそのアイコンの表示位置を移動させる処理や、あるアイコンがダブルタップされた場合にそのアイコンに対応するアプリケーションを実行する処理である。
【0020】
判定部111は、ユーザの操作の種別を判定する手段である。判定部111は、本実施形態においては、「タップ(操作)」、「ダブルタップ(操作)」、「ドラッグ(操作)」及び「フリック(操作)」の4種類の操作を判別するものとする。ただし、判定部111が実際に判定可能な操作の種別は、これより多くても少なくてもよい。
【0021】
ここにおいて、タップ操作とは、タッチスクリーンを軽く叩くような操作をいい、具体的には、ユーザの指が接触してから離れるまでの時間が所定の時間(T1)以内の操作である。また、ダブルタップ操作とは、タップ操作を同じ位置で素早く2回続ける操作をいい、具体的には、1回目のタップ操作が終了してから所定の時間(T2)以内に2回目のタップ操作が行われるものである。ただし、判定部111は、2回のタップ操作の接触位置が同一視できない程度に異なる場合には、当該操作をダブルタップ操作とは判定しない。
【0022】
また、ドラッグ操作及びフリック操作とは、いずれも、ユーザがタッチスクリーンを擦るような操作をいう。ドラッグ操作とフリック操作の相違は、ユーザの指(すなわち接触位置)の移動速度にあり、フリック操作の方が早く、ドラッグ操作の方が遅い。判定部111は、接触位置の座標が連続的に変化する操作を認識した場合において、その移動量(ユーザの指が接触してから離れるまでの移動量。すなわち軌跡の長さ)に対する所要時間の比(すなわち速度)が所定の閾値(V1)以下であればドラッグ操作であり、そうでなければフリック操作であると判定する。また、判定部111は、接触位置の軌跡が所定の長さに満たない場合には、ドラッグ操作及びフリック操作のいずれでもない(あるいはタップ操作である)と判定してもよい。
【0023】
なお、時間T1及びT2並びに閾値V1は、あらかじめ決められた適当な値であるが、ユーザが設定可能であってもよい。また、判定部111が判定可能な種別は、上述した4種類のほかにあってもよい。例えば、携帯端末10がいわゆるマルチタッチ機能(タッチスクリーン上の複数の位置が同時に接触されたこと検出する機能)に対応している場合であれば、2本の指を近づけたり離したりする「ピンチ(操作)」などが判定可能な種別に含まれてもよい。
【0024】
また、操作処理部110は、接触位置の座標を操作の履歴として一時的に記憶する機能を有する。操作処理部110により記憶される座標のデータのことを、以下においては「操作データ」という。操作データは、例えば配列を用いて記憶されるが、他のデータ構造を用いることも可能である。なお、操作データは、計算部112が必要とする操作についてのみ記憶されれば十分であるが、他の操作についてもあわせて記憶されてもよい。
【0025】
計算部112は、持ち手が判断可能な操作が行われた場合に、当該操作の軌跡に基づいて、ユーザの持ち手に関する情報である把持情報を算出する手段である。ここにおいて、持ち手が判断可能な操作とは、軌跡が円弧状となる操作であり、ドラッグ操作やフリック操作がこれに該当し得る。計算部112は、判定部111がこれらの操作を判定した場合、すなわち特定の種別の操作を判定した場合に、当該操作の操作データに基づいて把持情報を算出する。
【0026】
なお、ドラッグ操作は、いわゆるドラッグ・アンド・ドロップを行う場合のように、特定の位置から特定の位置へと指を移動させる場合にも行われることがあり、このような場合の操作は持ち手の判断に適さないこともある。そのため、ここでいう「特定の種別の操作」、すなわち判定部111が持ち手の判断を行う操作は、ドラッグ操作及びフリック操作の2種類ではなく、フリック操作のみであってもよい。
【0027】
情報管理部120は、操作処理部110(より詳細には計算部112)により算出された把持情報の記録を管理する手段である。情報管理部120は、算出された把持情報に時刻情報(例えば、持ち手を判断した時刻や、当該判断に用いた操作を検出した時刻)を付加してこれを記録するとともに、必要に応じて消去する。情報管理部120は、把持情報を制御部100のメモリに記憶してもよいし、記憶部200に記憶してもよい。なお、以下において、「把持情報」という名称は、把持情報とこれに付加された時刻情報の総称としても用いられる。
【0028】
描画制御部130は、操作処理部110により実行された処理に従い、表示部300に表示する画面の描画を制御する手段である。表示部300に表示される画面には、操作画像が含まれる。ここにおいて、操作画像とは、ユーザのタッチスクリーンによる操作を受け付けるための描画オブジェクトをいい、アイコンや閉じるボタンがこれに該当する。また、ウィンドウも操作画像の一例に相当し、ウィンドウの内部にあるボタンやスクロールバーなども操作画像の一例に相当する。描画制御部130は、計算部112により算出され、又は情報管理部120により記録された把持情報に従い、操作画像の配置を決定する。描画制御部130は、ユーザの持ち手に応じた配置になるように操作画像の位置を決定するとともに、操作画像の位置に応じて、操作画像以外の他の画像の位置を調整する。
描画部140は、描画制御部130により決定された配置に従い、表示部300に実際に画面を表示させる手段である。
【0029】
携帯端末10の構成は、以上のとおりである。この構成のもと、携帯端末10は、データ通信や音楽の再生などといった処理を実行するとともに、ユーザの持ち手を判断し、その持ち手に応じた画面を表示する。携帯端末10は、上述したように、特定の種別の操作が行われたことを契機として持ち手の判断を行う。したがって、携帯端末10は、特定の種別の操作が行われるまでは、あらかじめ決められた表示態様(例えば、持ち手の左右に依存しない表示態様)で操作画像等を表示する。なお、携帯端末10は、ユーザの過去の持ち手を記憶しておき、直前に持ち手の判断を行ったときの判断結果に応じた表示態様で操作画像等を表示してもよい。
【0030】
図3は、携帯端末10の把持態様を例示する図である。図3(a)は、携帯端末10を左手で把持する態様を示す一方、図3(b)は、携帯端末10を右手で把持する態様を示す。なお、同図において、符号10Aは、タッチスクリーンが重ねられている表示領域である。このような把持態様において、ユーザが親指の付け根(第二関節)を回転中心として親指を動かすと、ドラッグ操作又はフリック操作が実現される。ここにおいて、回転中心は、それぞれP1、P2である。このとき、親指の先の接触位置の軌跡は、それぞれL1、L2のような曲線になる。L1は、P1を中心とした円の弧に近似可能であり、L2は、P2を中心とした円の弧に近似可能である。
【0031】
以上より、L1、L2の平均曲率を算出することができれば、その平均曲率半径も特定可能であり、その曲率中心座標に相当するP1、P2も特定可能であるといえる。そうすると、P1、P2が表示領域10Aに対して右寄りにあるか左寄りにあるかで、ユーザが把持しながら操作している側の手、すなわち持ち手を判断することが可能になる。そこで、携帯端末10は、ドラッグ操作又はフリック操作の軌跡から平均曲率半径を算出することで、持ち手の判断を行う。
【0032】
ここで、図4は、ユーザが持ち手と反対の手(同図では左手)で携帯端末10を操作する場合を例示する図である。図4に示すように、ユーザが持ち手と反対の手でドラッグ操作又はフリック操作を行う場合であっても、その軌跡(L0)が円弧状になることがある。このような操作を持ち手による操作であるとみなして持ち手を判断すると、誤りが生じてしまい、ユーザの実際の使用に反した操作画像が表示されるおそれがある。
【0033】
ただし、持ち手による操作と持ち手の反対の手による操作とでは、回転移動の態様に相違がある。持ち手による操作は、持ち手には「端末を把持する」という制約があるため、必然的に親指の運動のみで行われる。一方、持ち手の反対の手による操作は、このような制約がないため、手首の関節(橈骨手根関節)を回転中心(P0)とした運動によっても行われるし、肘等の関節も複合的に用いられる可能性がある。それゆえ、持ち手による操作と持ち手の反対の手による操作とには、回転中心に相当する関節の位置と、回転運動の半径とに相違が生じるといえる。本実施形態においては、この相違点を利用し、平均曲率半径が比較的小さい操作を持ち手の操作であるとみなす一方、平均曲率半径が比較的大きい操作については、持ち手の反対の手による操作であるとみなし、持ち手が誤って判断されないようにしている。
【0034】
図5は、制御部100が持ち手の判断の際に実行する処理を示すフローチャートである。また、図6は、以下の説明において用いる座標や数値を説明するための図である。図6において、Wは、表示領域10Aの幅(x軸方向の長さ)であるとする。また、rは、平均曲率半径であり、Cは、その曲率中心座標である。座標Cは、cxがx座標であり、cyがy座標である。
【0035】
図5に示す処理において、制御部100は、まず、特定の種別の操作が行われたか否かを判別する(ステップSa1)。制御部100は、特定の種別の操作以外の操作が行われた場合には、持ち手の判断を行わない。すなわち、制御部100は、把持情報の算出や記録を行わない。一方、制御部100は、特定の種別の操作が行われた場合には、操作データを取得し(ステップSa2)、この操作データにより表される軌跡が円弧に近似可能であるか否かを判断する(ステップSa3)。
【0036】
ステップSa3の判断は、例えば、1回の操作について接触位置が3点以上あったか否かを判断するものである。なぜならば、接触位置が2点以下では、曲線を求めることができないからである。また、制御部100は、接触位置が3点以上あっても、その軌跡がほぼ直線であったり、あるいは蛇行したりしている場合においても、円弧に近似できないと判断することができる。制御部100は、ユーザの操作の軌跡が円弧に近似できないと判断した場合には、持ち手の判断を行わない。
【0037】
ユーザの操作の軌跡が円弧に近似可能である場合、制御部100は、平均曲率半径rと曲率中心座標Cとをそれぞれ算出する(ステップSa4)。続いて、制御部100は、平均曲率半径rと所定の閾値Rtとを比較し、その大小を判断する(ステップSa5)。ここにおいて、閾値Rtは、ユーザの操作が持ち手による操作か否かを判断するための閾値であり、あらかじめ統計的に求められているものである。閾値Rtは、一般的なユーザの親指の先から付け根(第二関節)までの長さより大きく、かつ、人差し指(示指、第二指)の先から手首の関節までの長さより小さくなるよう、適当な値が設定されている。
【0038】
制御部100は、平均曲率半径rの判断に次いで、曲率中心座標Cのx座標cxがw/2より小さいか否かを判断することにより、曲率中心座標Cが表示領域10Aに対して右寄りか左寄りかを判断する(ステップSa6、Sa7)。制御部100は、平均曲率半径rが閾値Rt以下である場合において、x座標cxがw/2より小さい(すなわち左寄りである)ときには、持ち手が左手であると判定し(ステップSa8)、x座標cxがw/2以上である(すなわち右寄りである)ときには、持ち手が右手であると判定する(ステップSa9)。一方、制御部100は、平均曲率半径rが閾値Rtより大きい場合において、x座標cxがw/2より小さい(すなわち左寄りである)ときには、持ち手が右手であると判定し(ステップSa10)、x座標cxがw/2以上である(すなわち右寄りである)ときには、持ち手が左手であると判定する(ステップSa11)。すなわち、制御部100は、平均曲率半径rが閾値Rt以下であるか否かによって、持ち手の判定結果を逆転させている。
【0039】
制御部100は、持ち手の操作によって持ち手を判定した場合、すなわちステップSa8又はSa9において判定を行った場合には、曲率中心座標Cを把持位置座標とし、平均曲率半径rを操作半径として把持情報を記録する(ステップSa12)。ステップSa12の処理は、把持情報が既に記録されている状態で行われる場合には、把持情報の更新に相当する。また、ステップSa12において、制御部100は、あわせて時刻情報を記録する。
【0040】
なお、制御部100は、持ち手と反対の手の操作によって持ち手を(いわば消去法的に)判定した場合、すなわちステップSa10又はSa11において判定を行った場合には、把持位置座標、操作半径及び時刻情報の記録を行わない。なぜならば、これらのステップによって持ち手を判定した場合には、実際の持ち手がどのような位置にあるかまでは明らかだとはいえないからである。
【0041】
その後、制御部100は、持ち手を識別するための識別情報を記録する(ステップSa13)。ステップSa13の処理も、識別情報が既に記録されている状態で行われる場合には、識別情報の更新に相当する。なお、識別情報は、ここでは説明の便宜上「Left(左)」又は「Right(右)」という文字列で表現されるが、実際には「1」又は「0」のようなフラグデータであってもよい。また、識別情報は、これらの2種類のデータに加え、持ち手が左右のいずれであるか不明な場合を含んだ3種類のデータとすることも可能である。
【0042】
図7は、把持情報を例示する図である。制御部100は、図5に示した処理を実行することにより、「識別情報」、「把持位置座標」、「操作半径」及び「時刻情報」からなる把持情報を記録することが可能である。なお、識別情報及び時刻情報は、把持情報に必須の情報ではない。例えば、識別情報は、把持位置座標から計算により求めることが可能であるため、あえて記録しておかなくてもよい。しかし、識別情報を記録しておけば、把持位置座標から計算によって持ち手をその都度求める必要がなくなる。
【0043】
なお、把持情報のうち、特に把持位置座標のx座標(cx)については、持ち手が変わらない限りは、ほとんど変わらない数値であるといえる(携帯端末10を左右で支える場合)。そこで、制御部100は、持ち手のそれぞれについてx座標をいったん記録したら、以降は同じ数値を持ち手に応じて用いるようにし、再度の記録(すなわち更新)を省略してもよい。
【0044】
ところで、ユーザは、携帯端末10をいつまでも同じ態様で把持し続けるとは限らない。それゆえ、把持情報は、時間とともに信頼性が失われていく情報であるといえる。そこで、制御部100は、記録済みの把持情報を所定時間の経過後に消去するようにしてもよい。ただし、この場合においても、把持位置座標のx座標については、制御部100が消去しないようにしてもよい。
【0045】
図8は、把持情報の内容を図解して示す図である。図8は、持ち手が左手であった場合の例である。把持位置座標Cと操作半径rにより、表示領域10Aのうちユーザにとって操作がしやすい領域を特定することが可能である。図8において、表示領域10Aのうち、把持位置座標Cを中心とし、中心角が90°の扇形と重なる領域A1は、領域A2、A3に比べ、ユーザが操作しやすい領域である。ユーザは、把持位置座標Cから操作半径r以下の範囲の領域(すなわち領域A1)であれば、指を必要以上に伸ばしたり、携帯端末10の持ち方を変えたりしなくても、当該領域に触れることが容易である。そこで、携帯端末10は、操作画像(特に、ユーザがよく操作に用いるもの)が領域A1に描画されるように画面表示を制御する。以下においては、図8にハッチングで示す領域A1のことを「特定領域」という。なお、特定領域は、図8に示す扇形に代えて把持位置座標Cを中心とする操作半径rの円を用い、表示領域10Aのうちのこの円と重なる領域であってもよい。
【0046】
図9は、図8に示した把持情報が用いられる場合における操作画像の表示例を示す模式図である。ここにおいて、操作画像W1、W2、W3は、それぞれウィンドウを表している。なお、ウィンドウ内には、ボタン等の他の操作画像がさらにあってもよい。例えば、携帯端末10は、図9(a)に示すように、操作画像W1の全体が特定領域内に表示されるように、操作画像W1の配置やサイズを調整することができる。また、携帯端末10は、図9(b)に示すように、操作画像W2の一部が特定領域内に表示されるようにしてもよい。つまり、携帯端末10は、操作画像の全部又は一部が特定領域内に表示されるようにすればよい。
【0047】
また、携帯端末10は、操作画像の一部を特定領域外に表示する場合においては、図9(c)に示すように、閉じるボタンB1を特定領域外に表示することも可能である。このようにすれば、ユーザが意図せずに閉じるボタンB1を操作してしまう可能性を低減させることが可能である。このような描画制御を行う場合、携帯端末10は、持ち手が右手である場合と左手である場合とで閉じるボタンB1の表示位置を異ならせてもよい。
【0048】
図10は、把持情報に応じた描画制御処理を示すフローチャートである。ここでは、ウィンドウを操作画像の一例として用いている。携帯端末10の制御部100は、図10に示すように、ユーザの持ち手に応じてウィンドウのx軸方向の描画位置を調整するとともに、特定領域の位置、すなわち把持位置座標(曲率中心座標)及び操作半径(平均曲率半径)に応じてウィンドウのy軸方向の描画位置を調整する。具体的には、制御部100は、まず、識別情報を参照することで持ち手を判断し(ステップSb1)、持ち手が左手であれば、表示領域の左側(すなわち中央よりも左寄り)にウィンドウを配置するとともに、閉じるボタンをウィンドウの右上部分に配置する(ステップSb2、Sb3)。一方、制御部100は、持ち手が右手であれば、表示領域の右側(すなわち中央よりも右寄り)にウィンドウを配置するとともに、閉じるボタンをウィンドウの左上部分に配置する(ステップSb4、Sb5)。
【0049】
次に、制御部100は、ウィンドウのy軸方向の描画位置を決定する(ステップSb6)。このとき、制御部100は、閉じるボタンを特定領域外に配置することが可能であれば、閉じるボタンが特定領域外に配置されるようにウィンドウ全体の描画位置を調整する。そして、制御部100は、このようにして調整された描画位置にウィンドウが描画されるよう、表示部300に画面を描画させる(ステップSb7)。
【0050】
図11は、このような描画制御処理の結果として表示される操作画像を例示する図である。図11(a)は、ユーザが左手で携帯端末10の下部を把持している場合の例であり、図11(b)は、ユーザが右手で携帯端末10の中央部を把持している場合の例である。なお、これらの図において、ウィンドウWと閉じるボタンBは、その表示位置が異なるだけであり、画像としては同一のものである。
【0051】
なお、閉じるボタンは、一般的にはウィンドウの上部に表示されるが、本発明においては、ユーザが意図せず操作してしまわないようにするために、ウィンドウの下部に表示されてもよい。ただし、この場合には、ウィンドウの下部が特定領域外にあることが望ましい。
【0052】
[第2実施形態]
本実施形態は、タッチスクリーンが、ユーザの指が接触せずに近接している状態(以下「近接状態」という。)を検知可能な場合の実施の形態である。かかるタッチスクリーンとしては、いわゆる静電容量方式のタッチスクリーンなどがある。なお、ここでいう「近接」は、タッチスクリーン自体の性能などにもよるが、一般的には、数mm〜1cm程度である。
【0053】
本実施形態は、タッチスクリーンが近接状態の指を検知可能であり、携帯端末10がこれを特定の種別の操作の一種として判定してその判定結果に応じた処理を実行する点が上述した第1実施形態との主たる相違点である。また、本実施形態は、主要なハードウェア構成や動作については、第1実施形態と同様の部分を多く含んでいる。そこで、以下においては、第1実施形態と同様の名称及び符号を用いて、本実施形態に特有の処理が重点的に説明される。本実施形態において、第1実施形態と同一の名称又は符号が用いられるものは、第1実施形態において説明したものと同様のものであることを意味する。
【0054】
図12は、本実施形態の描画制御処理を示すフローチャートである。図12に示す描画制御処理は、第1実施形態において説明した要領で把持情報が記録され、当該把持情報に基づいて操作画像が既に表示されている場合において、ユーザの指が近接状態にあることが検知されたときに実行されるものである。ここにおいて、既に記録されている把持情報の把持位置座標を「Cold」とし、その操作半径を「r」とする。
【0055】
本実施形態の描画制御処理において、はじめに携帯端末10の制御部100は、指を近接状態にした操作を特定の種別の操作であると判定し、その指の位置の座標を取得する(ステップSc1)。以下においては、このとき取得される座標を「D」とする。続いて、制御部100は、更新前の把持情報を読み出し、把持位置座標Coldのx座標と操作半径rとを取得する(ステップSc2)。次に、制御部100は、座標Dからの距離がrであり、かつ、そのx座標が把持位置座標Coldのx座標と等しい点の座標を算出する(ステップSc3)。なお、制御部100は、かかる点が複数ある場合には、そのうちの把持位置座標Coldにより近い点を新たな座標として選択する。
【0056】
制御部100は、このようにして再算出された座標を新たな把持位置座標として記録し、把持情報を更新する(ステップSc4)。このとき、制御部100は、時刻情報を合わせて更新する。なお、制御部100は、把持位置座標のx座標と操作半径rについては、更新前の値をそのまま用いる。把持位置座標のx座標と操作半径rは、把持情報の再算出前と等しい値のままである。ゆえに、更新後の把持位置座標(以下これを「Cnew」とする。)は、更新前の把持位置座標Coldをy軸方向に移動させた座標となり、x軸方向には変化しない。
【0057】
図13は、更新前後の把持位置座標を図解して示す図である。制御部100は、このようにして更新された把持情報に基づき、その後に表示される操作画像の描画位置を決定する。制御部100は、既に表示されている操作画像の描画位置を新たな把持情報に基づいて移動させてもよいし、既に表示されている操作画像の描画位置を変えることなく、その後に新たに表示される別の操作画像の描画位置を制御してもよい。なお、制御部100は、この場合においても、第1実施形態と同様に、操作画像の全部又は一部が特定領域内に表示されるように、y軸方向の描画位置を調整する。
【0058】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限らず、さまざまな形態での実施が可能である。本発明は、例えば、以下に示す変形例に従った実施も可能である。なお、これらの変形例は、必要に応じて、適宜組み合わせて実施されてもよいものである。
【0059】
(変形例1)
本発明において、特定の種別の操作は、把持情報の算出のためだけに用いられるものであってもよいが、把持情報の算出とは独立した他の処理に割り当てられており、当該操作があった場合に、当該他の処理と把持情報の算出処理とがともに実行されるようになっていることが望ましい。例えば、本発明は、フリック操作がもともと画面のスクロール処理に割り当てられている場合において、スクロール処理がフリック操作で行われることを利用し、いわばスクロール処理のついでに、そのフリック操作に基づいてユーザの持ち手を判断し、把持情報を算出するものであるとよい。このようにすれば、ユーザ自身はスクロール処理を行っているだけのつもりであっても、実際には持ち手の判断までをも行うことが可能になる。
【0060】
あるいは、本発明は、例えば、タッチスクリーンが所定の時間以上操作を検知しないとロック状態(操作を受け付けない状態)になる場合において、このロック状態を解除するための操作に特定の種別の操作を用いるようにしてもよい。このようにすれば、ユーザが特定の種別の操作を行った場合に、ロック状態を解除する処理と、把持情報の算出等の持ち手を判断するための処理とをあわせて実行することが可能になる。なお、かかる場合においては、タッチスクリーンがロック状態になるのに合わせて記録済みの把持情報が消去されてもよい。
【0061】
(変形例2)
本発明において、タッチスクリーンの操作に用いられるのは、必ずしも指である必要はない。例えば、本発明は、指先に専用の器具を取り付けたりする場合においても、上述した実施形態と同様の要領で適用可能である。つまり、本発明における「指」とは、「指ないしこれに準ずるもの」と置き換えてもよいものである。
【0062】
(変形例3)
本発明は、タッチスクリーンを有し、片手で把持できる程度のサイズのあらゆる表示端末に適用可能である。また、本発明は、表示端末による描画を制御するための制御装置やその制御方法のほか、かかる制御装置又は制御方法を実現するためのプログラムとしても提供され得るものである。かかるプログラムは、光ディスク等の記録媒体に記録した形態で提供されたり、インターネット等のネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されたりすることも可能である。
【0063】
また、本発明に係るプログラムは、特定のアプリケーションの一部として実装されるものであってもよいが、種々のアプリケーションが利用可能なライブラリ形式で提供され、実行されるアプリケーションによらずに持ち手の判断が行えるようになっていると好ましい。
【符号の説明】
【0064】
10…携帯端末、10A…表示領域、100…制御部、110…操作処理部、111…判定部、112…計算部、120…情報管理部、130…描画制御部、140…描画部、200…記憶部、300…表示部、400…タッチスクリーン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチスクリーンが表示領域に重ねて設けられた表示部と、
前記タッチスクリーンに対するユーザの操作に応じて処理を実行する操作処理部と、
前記ユーザによる当該表示端末の把持態様を表す把持情報の記録を管理する情報管理部と、
前記操作処理部により実行された処理に従い、前記タッチスクリーンによる操作を受け付けるための操作画像を含む画面の前記表示領域への描画を制御する描画制御部とを備え、
前記操作処理部は、
前記操作の種別を判定する判定部と、
前記判定部により判定された操作の種別が特定の種別である場合に、当該操作の軌跡に基づいてユーザの持ち手とその把持位置とを表す前記把持情報を算出する計算部とを有し、
前記描画制御部は、
前記計算部により算出され、又は前記情報管理部により記録された把持情報に従い、前記操作画像の配置を決定する
ことを特徴とする表示端末。
【請求項2】
前記判定部は、
ドラッグ操作又はフリック操作を前記特定の種別として判定し、
前記計算部は、
前記軌跡の平均曲率半径とその曲率中心座標とを用いて前記把持情報を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示端末。
【請求項3】
前記計算部は、
前記平均曲率半径が閾値以下である場合に、その前記操作を当該端末の持ち手による操作であると判断し、前記平均曲率半径が前記閾値より大きい場合に、その前記操作を当該端末の持ち手と反対の手による操作であると判断する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示端末。
【請求項4】
前記計算部は、
前記平均曲率半径が前記閾値以下である場合において、前記曲率中心座標が前記表示領域に対して右寄りであるときには、当該端末の持ち手が右手であると判断し、前記曲率中心座標が前記表示領域に対して左寄りであるときには、当該端末の持ち手が左手であると判断する
ことを特徴とする請求項3に記載の表示端末。
【請求項5】
前記計算部は、
前記平均曲率半径が前記閾値より大きい場合において、前記曲率中心座標が前記表示領域に対して右寄りであるときには、当該端末の持ち手が左手であると判断し、前記曲率中心座標が前記表示領域に対して左寄りであるときには、当該端末の持ち手が右手であると判断する
ことを特徴とする請求項3に記載の表示端末。
【請求項6】
前記操作処理部は、
前記特定の種別の操作が行われた場合に、当該操作に割り当てられ、前記計算部による前記把持情報の算出と独立した処理を実行するとともに、前記計算部により前記把持情報を算出する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の表示端末。
【請求項7】
前記タッチスクリーンは、前記ユーザの指が接触せずに近接する近接状態を検出し、
前記判定部は、
前記近接状態を前記特定の種別の操作であると判定し、
前記計算部は、
前記把持情報が記録されている場合において、前記判定部により前記近接状態の操作が判定されたとき、当該近接状態における前記指の位置の座標に基づいて当該把持情報を再算出し、
前記情報管理部は、
前記計算部により再算出された把持情報によって記録を更新する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の表示端末。
【請求項8】
前記曲率中心座標は、前記ユーザが当該表示端末を把持したときの上下方向を第1軸、左右方向を第2軸とする直交座標系で記述される座標であり、
前記計算部は、
前記曲率中心座標の前記第2軸の座標及び前記平均曲率半径が再算出前と等しく、かつ、前記指の位置の座標が前記平均曲率半径の円弧に含まれるように前記第1軸の座標を変更することによって前記曲率中心座標を再算出する
ことを特徴とする請求項7に記載の表示端末。
【請求項9】
前記ユーザが当該表示端末を把持したときの上下方向を第1軸、左右方向を第2軸とする直交座標系の座標で前記操作画像が定義される場合において、
前記描画制御部は、
前記画面に含まれる前記操作画像の全部又は一部が、再算出された前記曲率中心座標を中心とし、前記平均曲率半径を半径とする円の内側に表示されるように、前記操作画像の前記第1軸方向の描画位置を決定する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の表示端末。
【請求項10】
前記曲率中心座標は、前記ユーザが当該表示端末を把持したときの上下方向を第1軸、左右方向を第2軸とする直交座標系で記述される座標であり、
前記情報管理部は、
所定時間の経過後に、前記第2軸の座標を記録から消去せずに前記第1軸の座標を記録から消去する
ことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の表示端末。
【請求項11】
前記ユーザが当該表示端末を把持したときの上下方向を第1軸、左右方向を第2軸とする直交座標系で前記操作画像の座標が定義される場合において、
前記描画制御部は、
前記ユーザの持ち手に応じて前記操作画像の前記第2軸方向の描画位置を異ならせ、
前記画面に含まれる前記操作画像の全部又は一部が、前記曲率中心座標を中心とし、前記平均曲率半径を半径とする円の内側に表示されるように、前記操作画像の前記第1軸方向の描画位置を決定する
ことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の表示端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−108674(P2012−108674A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256280(P2010−256280)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】