説明

表示端末

【課題】低スペックなハードウェア構成であっても、各番組のコンテンツ表示のための描画準備期間を確保することができる表示端末を得る。
【解決手段】複数のコンテンツをそれぞれ所定時間ずつ順次表示する表示端末は、準備期間算出部11により、コンテンツの構成に応じて、コンテンツを表示するための描画準備期間を算出し、この算出された描画準備期間が、それぞれ所定時間以下になるように、スケジュール管理部12により他の描画準備期間に割り振り、もって描画準備処理のスケジュールを生成し、この生成されたスケジュールにしたがい、スケジュール実行部13が描画準備処理を実行して、表示処理部14により、スケジュール実行部13が描画準備処理したコンテンツを所定時間、表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各番組のコンテンツ表示を、意図したスケジュールで運用する表示端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スケジュール運用する表示端末において、従来の描画処理手法としては、各番組のコンテンツ表示において、次に表示すべきコンテンツの準備処理(動画デコード処理、静止画デコード処理、レイアウト準備など)を、表示させるタイミングの一定時間前に実施している。(特許文献1参照)
この準備期間は、表示端末のCPU性能、メモリ容量にも依存しており、高性能なCPU、大容量メモリの場合には通常、表示タイミングの2〜3秒前に準備すれば各コンテンツのスケジュール運用に対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4245632号公報(第3〜4頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコンテンツ準備手法では、表示端末のCPU性能、メモリ容量が十分な場合には、問題なくスケジュール運用が可能であるが、低スペックなハードウェア(CPU性能:低、メモリ容量:小)においては、一定時間前に準備を実施しようとすると、表示させるコンテンツの素材ボリュームが大きい場合(動画+複数の静止画+表示エリア大のテロップなど)、準備期間内にコンテンツの準備処理が完了しないケースが存在し、その結果、コンテンツの表示が、意図したスケジュールで運用されない状況があるという問題がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、低スペックなハードウェア構成であっても、各番組のコンテンツ表示のための描画準備期間を確保することができる表示端末を得ることを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる表示端末においては、複数のコンテンツをそれぞれ所定時間ずつ順次表示する表示端末であって、コンテンツの構成に応じて、コンテンツを表示するための描画準備期間を算出する準備期間算出部、この準備期間算出部によって算出された描画準備期間を、それぞれ所定時間以下になるように割り振り、描画準備処理のスケジュールを生成するスケジュール管理部、このスケジュール管理部により生成されたスケジュールにしたがって描画準備処理を実行するスケジュール実行部、及びこのスケジュール実行部により描画準備処理されたコンテンツを所定時間、表示する表示処理部を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、複数のコンテンツをそれぞれ所定時間ずつ順次表示する表示端末であって、コンテンツの構成に応じて、コンテンツを表示するための描画準備期間を算出する準備期間算出部、この準備期間算出部によって算出された描画準備期間を、それぞれ所定時間以下になるように割り振り、描画準備処理のスケジュールを生成するスケジュール管理部、このスケジュール管理部により生成されたスケジュールにしたがって描画準備処理を実行するスケジュール実行部、及びこのスケジュール実行部により描画準備処理され
たコンテンツを所定時間、表示する表示処理部を備えたので、低スペックなハードウェア構成であっても、各コンテンツを所定時間表示するための描画準備期間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による表示端末を含む表示システムを示す全体図である。
【図2】この発明の実施の形態1による表示端末のソフトウェア構成を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1による表示端末の準備期間算出方法を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1による表示端末の処理運用スケジュール方法を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1による表示端末のコンテンツ表示状態を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態2による表示端末の準備期間算出方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による表示端末を含む表示システムを示す全体図である。
図1において、低性能PCである表示端末1は、センター側のサーバー2から、コンテンツ及び番組のスケジュールリストを受け取り、スケジュールにしたがって、描画準備をした上で、順次コンテンツを表示する。
【0010】
図2は、この発明の実施の形態1による表示端末のソフトウェア構成を示す構成図である。
図2において、表示端末のソフトウェア構成は、次のようになっている。
準備期間算出部11は、各コンテンツ20について、動画デコード処理、静止画デコード処理やレイアウト準備などにかかる描画準備期間を算出する。スケジュール管理部12は、準備期間算出部11によって算出された描画準備期間に基づいて、コンテンツ準備処理方法を選定する。スケジュール実行部13は、スケジュール管理部12によって選定されたコンテンツ準備処理方法のスケジュールに基づき、描画準備処理を実行する。表示処理部14は、実際のコンテンツの表示処理を行う。
【0011】
図3は、この発明の実施の形態1による表示端末の準備期間算出方法を示す図である。
図3において、準備期間算出部11は、描画準備期間を、動画表示面積と、静止画表示面積と、テロップ表示面積とにそれぞれ重み付け値を乗じて算出する。図3では、コンテンツAとコンテンツBを例にして算出している。
【0012】
図4は、この発明の実施の形態1による表示端末の処理運用スケジュール方法を示す図である。
図4(a)は描画準備期間の算出結果を示す図、図4(b)は図4(a)に基づくスケジュール管理部12による準備期間設定結果を示す図である。図4(a)のコンテンツD準備間18秒を、図4(b)では、他のコンテンツ準備期間に割り振っている。
【0013】
図5は、この発明の実施の形態1による表示端末のコンテンツ表示状態を示す図である。
図5において、低性能PC1により、15秒(所定時間)間隔での運用(15秒のコン
テンツの表示)を考慮した場合のものである。
図5(a)は、従来の処理方法による、低性能のパソコンを用いた15秒間隔での運用を考慮した場合のコンテンツ表示状態を示す図で、コンテンツ表示期間が20秒、10秒、30秒と乱れている。図5(b)は、本発明の実施の形態1によるコンテンツ表示状態を示す図であり、コンテンツ表示期間は、いずれも15秒になっている。図5(b)では、図4(b)の描画準備期間により描画準備処理を行う。
【0014】
次に、このように構成された表示端末のソフトウェアアルゴリズムについて説明する。
まず、表示端末1は、センター側のサーバー2よりコンテンツ20ならびに番組のスケジュールリストを受け取り、準備期間算出部11において、受け取った際にコンテンツ20を構成する素材から描画準備期間を算出する。
図3に示すように、この時の算出方法の一例としては、素材として利用されている動画、静止画、テロップなどについてそれぞれの表示面積に応じてα、β、γ等の重み付けをした値を乗じて、それらを足し合わせた値(動画表示面積×α+静止画表示面積×β+テロップ表示面積×γ)を描画準備期間として設定するものとする。
【0015】
次に、図4に示すように、準備期間算出部11により設定された描画準備期間に基づいて、スケジュール管理部12が、各コンテンツ20が予め決められた間隔で表示されるタイミングの何秒前から準備を開始するかの設定を実施する。
この場合、描画準備期間が不足しているコンテンツ(図4のコンテンツD)に対しては、他の描画準備期間に余裕のあるコンテンツの描画準備期間に分割して処理を実施するように設定し、図4(b)のような、全コンテンツの描画準備の処理運用スケジュール表を作成する。
【0016】
それにより各コンテンツについて、図4(b)の処理運用スケジュール表に基づき、スケジュール実行部13が、指定された時間に描画準備処理を実行し、コンテンツ表示の指定時間になると、表示処理部14に対してコンテンツ表示処理実行の命令を行うようになっている。
【0017】
実施の形態1によれば、低スペックなハードウェア構成であっても、各コンテンツを所定時間表示するための描画準備期間を確保することができる。
この場合、描画準備処理に時間の要するコンテンツについては、図5(b)に示すように、前のコンテンツ用の描画準備時間を使って、描画準備時間を確保することができることから、表示スケジュールどおりの確実な運営が可能となる。
また、描画準備期間を短くして、スケジュール運行を実施することで、コンテンツ切り替えの早い(コンテンツ表示期間の短い)番組スケジュール作成も可能となる。
【0018】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2による表示端末の準備期間算出方法を示す図である。
図6において、準備期間算出部11は、コンテンツ準備期間の算出に当たって、動画表示面積、静止画表示面積、テロップ表示面積に、ファイル形式に応じた重み付けを実施する。コンテンツA、コンテンツBを例にして算出した例を示している。
【0019】
実施の形態1においては、描画準備期間として動画表示面積×α+静止画表示面積×β+テロップ表示面積×γといった描画準備期間の算出方法を示したが、実施の形態2は、図6に示すように、動画、静止画、テロップのファイル形式を各素材のヘッダ情報より読み取り、ファイル形式に応じて、より詳細な重み付けを実施するものとする。
【0020】
実施の形態2によれば、より詳細な重み付けによる、より正確な描画準備期間の算出が可能になる。
【0021】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 表示端末
2 サーバー
11 準備期間算出部
12 スケジュール管理部
13 スケジュール実行部
14 表示処理部
20 コンテンツ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツをそれぞれ所定時間ずつ順次表示する表示端末であって、
上記コンテンツの構成に応じて、コンテンツを表示するための描画準備期間を算出する準備期間算出部、
この準備期間算出部によって算出された上記描画準備期間を、それぞれ上記所定時間以下になるように割り振り、描画準備処理のスケジュールを生成するスケジュール管理部、
このスケジュール管理部により生成された上記スケジュールにしたがって上記描画準備処理を実行するスケジュール実行部、
及びこのスケジュール実行部により描画準備処理された上記コンテンツを上記所定時間、表示する表示処理部を備えたことを特徴とする表示端末。
【請求項2】
上記準備期間算出部は、上記コンテンツの構成部分ごとの表示面積と、上記構成部分に応じた重み付けとを用いて、上記描画準備期間を算出することを特徴とする請求項1記載の表示端末。
【請求項3】
上記準備期間算出部は、上記コンテンツの構成部分ごとの表示面積と、上記構成部分のファイル形式に応じた重み付けとを用いて、上記描画準備期間を算出することを特徴とする請求項1記載の表示端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−89105(P2013−89105A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230422(P2011−230422)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】