表示素子、及びこれを用いた電気機器
【課題】マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる表示素子、及びこれを用いた電気機器を提供する。
【解決手段】導電性液体13を有効表示領域側または非有効表示領域側に移動させることにより、表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子において、複数の信号電極(信号ライン)6と、複数の信号電極6に対して交差するように設けられた複数の走査電極(走査ライン)5と、信号電極6と走査電極5との交差部の近傍で、有効表示領域側に設けられた複数の保持電極(保持ライン)7を備え、保持ドライバ(保持電圧印加部)は、保持電極7と、非有効表示領域側に設けられた走査電極5との間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、有効表示領域側に移動させた導電性液体14を保持させる。
【解決手段】導電性液体13を有効表示領域側または非有効表示領域側に移動させることにより、表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子において、複数の信号電極(信号ライン)6と、複数の信号電極6に対して交差するように設けられた複数の走査電極(走査ライン)5と、信号電極6と走査電極5との交差部の近傍で、有効表示領域側に設けられた複数の保持電極(保持ライン)7を備え、保持ドライバ(保持電圧印加部)は、保持電極7と、非有効表示領域側に設けられた走査電極5との間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、有効表示領域側に移動させた導電性液体14を保持させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性液体を移動させることにより、画像や文字などの情報を表示する表示素子、及びこれを用いた電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子では、エレクトロウェッティング方式の表示素子に代表されるように、外部電界による導電性液体の移動現象を利用して、情報の表示を行うものが開発され、実用化されている。
【0003】
具体的にいえば、上記のような従来の表示素子では、例えば下記特許文献1に記載されているように、第1及び第2の基板と、これらの基板間に形成された表示用空間の内部に封入された導電性液体としての透明な水及び所定の色に着色されたオイルとが設けられている。また、この従来の表示素子は、第1の基板側に設けられたカウンタ電極と、第2の基板側に設けられたアドレス電極及び保持電極とを備えている。これらの電極のうち、カウンタ電極及び保持電極はマトリクス状の行方向に設けられた行電極を構成し、アドレス電極はマトリクス状の列方向に設けられた列電極を構成しており、従来の表示素子では、マトリクス駆動が行えるようになっている。
【0004】
すなわち、上記従来の表示素子では、アドレス電極に対して、0Vよりも大きい+電位の電圧またはこの+電位の電圧よりも大きい++電位の電圧を印加することにより、1つの行に対する列(アドレス電極)に、オンまたはオフ情報を与える。その後、従来の表示素子では、行電極、つまりカウンタ電極及び保持電極の行電位を+電位とすることによって行を選択する。これにより、従来の表示素子では、選択された行と交差するアドレス電極に++電位が印加された画素ではオンが維持されて、当該アドレス電極側(非有効表示領域側)に集められていたオイルが保持電極側(有効表示領域側)に広がらずに、当該画素の表示色が変更されない。
【0005】
一方、従来の表示素子では、選択された行と交差するアドレス電極に+電位が印加された画素ではオンからオフに変化して、当該アドレス電極側に集められていたオイルが保持電極側に広がり、当該画素の表示色が変更される。このように、従来の表示素子では、マトリクス駆動が行われて、表示面側の表示色が画素単位に変更されるように構成されている。
【特許文献1】特表2006−519412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の表示素子では、マトリクス駆動を行わせる場合に、印加する駆動電圧が複雑であり、その駆動制御を容易に行えなかった。
【0007】
具体的にいえば、従来の表示素子では、+電位の電圧または++電位の電圧をアドレス電極に印加した後、カウンタ電極及び保持電極に対して、+電位の電圧を同時に印加する必要があった。つまり、この従来の表示素子では、カウンタ電極への+電位の電圧印加のタイミングと保持電極への+電位の電圧印加のタイミングがずれると、画素の表示色の状態がリセットされるおそれがあり、+電位の電圧をカウンタ電極及び保持電極に同時に印加する必要があった。このため、従来の表示素子では、その駆動制御の簡単化を図ることが困難であった。
【0008】
上記の課題を鑑み、本発明は、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる表示素子、及びこれを用いた電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる表示素子は、表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部に移動可能に封入された導電性液体とを具備し、前記導電性液体を前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の一方側に設けられ、所定の電圧範囲内の信号電圧が印加可能に構成された複数の信号ラインと、
前記複数の信号ラインに対して交差するように、前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設けられ、所定の電圧範囲内の走査電圧が印加可能に構成された複数の走査ラインと、
前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部の近傍で、前記有効表示領域側に設けられ、所定の電圧範囲内の保持電圧が印加可能に構成された複数の保持ラインと、
前記複数の各信号ラインに対して、前記信号電圧を印加する信号電圧印加部と、
前記複数の各走査ラインに対して、前記走査電圧を印加する走査電圧印加部と、
前記複数の各保持ラインに対して、前記保持電圧を印加する保持電圧印加部とを備え、
前記信号電圧印加部及び前記走査電圧印加部が、前記信号ライン及び前記走査ラインに対してそれぞれ信号電圧及び走査電圧を印加することにより、前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部単位に前記導電性液体を前記有効表示領域側に移動させ、かつ、
前記保持電圧印加部は、前記保持ラインに対して保持電圧を印加して、前記保持ラインと、前記信号ライン及び前記走査ラインのうち前記非有効表示領域側に設けられた前記信号ラインまたは前記走査ラインとの間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、前記有効表示領域側に移動させた前記導電性液体を保持させることを特徴とするものである。
【0010】
上記のように構成された表示素子では、有効表示領域側及び非有効表示領域側の一方側に設けられ、所定の電圧範囲内の信号電圧が印加可能に構成された複数の信号ラインが設けられている。また、表示素子では、複数の信号ラインに対して交差するように、有効表示領域側及び非有効表示領域側の他方側に設けられ、所定の電圧範囲内の走査電圧が印加可能に構成された複数の走査ラインが設けられている。また、表示素子では、信号ラインと走査ラインとの交差部の近傍で、有効表示領域側に設けられ、所定の電圧範囲内の保持電圧が印加可能に構成された複数の保持ラインが設けられている。また、表示素子では、上記信号電圧印加部及び上記走査電圧印加部が、信号ライン及び走査ラインに対してそれぞれ信号電圧及び走査電圧を印加して、信号ラインと走査ラインとの交差部単位に導電性液体を有効表示領域側に移動させる。さらに、表示素子では、保持電圧印加部は、保持ラインに対して保持電圧を印加して、保持ラインと、信号ライン及び走査ラインのうち非有効表示領域側に設けられた信号ラインまたは走査ラインとの間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、有効表示領域側に移動させた導電性液体を保持させる。これにより、上記従来例と異なり、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる表示素子を構成することができる。
【0011】
また、上記表示素子において、前記第1及び第2の基板の少なくとも一方の基板に前記表示用空間に導通するように、前記非有効表示領域側に設けられるとともに、前記導電性液体を溜める液溜部を備え、
前記信号ライン及び前記走査ラインの一方には、前記液溜部内の前記導電性液体に接触するように設けられた第1の電極部材が用いられ、
前記信号ライン及び前記走査ラインの他方には、前記導電性液体及び前記第1の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、前記有効表示領域側に設けられた第2の電極部材が用いられ、
前記保持ラインには、前記導電性液体、前記第1の電極部材、及び前記第2の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、前記有効表示領域側に設けられた第3の電極部材が用いられていることが好ましい。
【0012】
この場合、信号ラインと走査ラインとに電圧印加が行われたときに、導電性液体が液溜部から有効表示領域側に移動されて、表示面側の表示色を変更されるとともに、保持ラインと、非有効表示領域側に設けられた信号ラインまたは走査ラインとの間の電圧差が所定の電圧差以上とされたときに、導電性液体は有効表示領域側で保持される。
【0013】
また、上記表示素子において、前記信号電圧印加部は、前記複数の各信号ラインに対して、前記表示面側に表示される情報に応じて、前記信号電圧を印加するように構成され、
前記保持ラインには、前記信号ライン及び前記走査ラインのうち前記非有効表示領域側に設けられた前記信号ラインまたは前記走査ラインと平行に設けられた複数の保持電極部分が設けられていることが好ましい。
【0014】
この場合、保持電極部分が印加された信号電圧に応じて、有効表示領域側に移動した導電性液体を保持することとなり、表示面側に表示される情報に対応した中間調の表示色を容易に表示することができる。
【0015】
また、上記表示素子において、前記複数の各保持電極部分では、その一端部側が前記有効表示領域の外側に引き出されるとともに、前記複数の保持電極部分は、前記有効表示領域の外側で互いに電気的に接続されてもよい。
【0016】
この場合、複数の保持電極部分は有効表示領域の外側で互いに電気的に接続されているので、上記保持電圧が印加されたときに有効表示領域の内部で導電性液体が不必要に保持されるのを防ぐことができる。この結果、中間調の表示色の表示精度を向上させることができる。
【0017】
また、上記表示素子において、複数の画素領域が、前記表示面側に設けられるとともに、
前記複数の各画素領域は、前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部単位に設けられ、かつ、前記各画素領域では、前記表示用空間が仕切壁にて区切られてもよい。
【0018】
この場合、表示面側の複数の各画素において導電性液体を移動させることにより、表示面側での表示色を画素単位に変更することができる。
【0019】
また、上記表示素子において、前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられてもよい。
【0020】
この場合、複数の各画素において対応する導電性液体が適切に移動されることにより、カラー画像表示を行うことができる。
【0021】
また、上記表示素子において、前記表示用空間の内部には、前記導電性液体と混じり合わない絶縁性流体が当該表示用空間の内部を移動可能に封入されていることが好ましい。
【0022】
この場合、導電性液体の移動速度の高速化を容易に図ることができる。
【0023】
また、上記表示素子において、前記信号ライン及び前記走査ラインのうち、前記有効表示領域側に設けられた一方側と、前記保持ラインには、誘電体層が設けられていることが好ましい。
【0024】
この場合、誘電体層が導電性液体に印加する電界を確実に大きくして、当該導電性流体の移動速度をより容易に向上することができるとともに、保持ラインによって導電性液体をより確実に導電性液体を保持することができる。
【0025】
また、上記表示素子において、前記非有効表示領域は、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた遮光膜によって設定され、
前記有効表示領域は、前記遮光膜に形成された開口部によって設定されてもよい。
【0026】
この場合、表示用空間に対し、有効表示領域及び非有効表示領域を適切に、かつ、確実に設定することができる。
【0027】
また、上記表示素子において、前記保持電圧印加部は、前記複数の保持電極に対して、前記保持電圧を一括して印加することが好ましい。
【0028】
この場合、保持電圧印加部は保持電圧の電圧印加を容易に行うことができ、当該保持電圧印加部の負担を容易に軽減することができる。
【0029】
また、本発明の電気機器は、文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電気機器であって、
前記表示部に、上記いずれかの表示素子を用いたことを特徴とするものである。
【0030】
上記のように構成された電気機器では、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる表示素子が表示部に用いられているので、優れた表示品位を有する表示部を備えた高性能な電気機器を容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる表示素子、及びこれを用いた電気機器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の表示素子及び電気機器の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、カラー画像表示を表示可能な表示部を備えた画像表示装置に本発明を適用した場合を例示して説明する。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0033】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図1において、本実施形態の画像表示装置1では、本発明の表示素子2を用いた表示部が設けられており、この表示部には矩形状の表示面が構成されている。すなわち、表示素子2は、図1の紙面に垂直な方向で互いに重ね合うように配置された上部基板3及び下部基板4を備えており、これらの上部基板3と下部基板4との重なり部分によって上記表示面の有効表示領域が形成されている(詳細は後述。)。
【0034】
また、表示素子2では、複数の走査電極5及び複数の保持電極7が、互いに交互に、かつ、Y方向に沿ってストライプ状に設けられている。また、これら複数の各走査電極5は、下部基板4に設けられた後述の溝(液溜部)の内部に設置されている。また、表示素子2では、複数の信号電極6が互いに所定の間隔をおいて、かつ、X方向に沿ってストライプ状に設けられている。これらの複数の走査電極5及び複数の保持電極7と、複数の信号電極6とは、互いに交差するように設けられており、表示素子2では、走査電極5と信号電極6との交差部単位に、複数の各画素領域が設定されている。
【0035】
また、これら複数の走査電極5、複数の信号電極6、及び複数の保持電極7は、所定の電圧範囲内の走査電圧、所定の電圧範囲内の信号電圧、及び所定の電圧範囲内の保持電圧がそれぞれ印加可能に構成されている(詳細は後述。)。
【0036】
さらに、表示素子2では、後に詳述するように、上記複数の各画素領域が仕切壁にて区切られるとともに、複数の画素領域が、上記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられている。そして、表示素子2では、マトリクス状に設けられた複数の画素(表示セル)毎に、エレクトロウェッティング現象にて後述の導電性液体を移動させ、表示面側での表示色を変更するようになっている。
【0037】
また、複数の走査電極5、複数の信号電極6、複数の保持電極7では、各々一端部側が表示面の有効表示領域の外側に引き出されて、端子部5a、6a、及び7aが形成されている。
【0038】
複数の信号電極6の各端子部6aには、配線9aを介して信号ドライバ9が接続されている。信号ドライバ9は、信号電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各信号電極6に対して、情報に応じて信号電圧を印加するように構成されている。
【0039】
また、複数の走査電極5の各端子部5aには、配線8aを介して走査ドライバ8が接続されている。走査ドライバ8は、走査電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各走査電極5に対して、走査電圧を印加するように構成されている。
【0040】
また、走査ドライバ8では、複数の各走査電極5に対して、上記導電性液体が移動するのを阻止する非選択電圧と、導電性液体が信号電圧に応じて移動するのを許容する選択電圧との一方の電圧を走査電圧として印加するようになっている。
【0041】
また、複数の保持電極7の各端子部7aには、配線10aを介して保持ドライバ10が接続されている。保持ドライバ10は、保持電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各保持電極10に対して、所定の保持電圧を印加するように構成されている。
【0042】
そして、画像表示装置1では、走査ドライバ8が例えば図1の左側から右側の各走査電極5に対し、選択電圧を順次印加することにより、ライン毎の走査動作が行われるように構成されている。また、画像表示装置1では、走査ドライバ8による走査動作が行われたときに、信号ドライバ9が情報に応じて信号電圧を印加して、互いに交差する走査電極5と信号電極6との間の電圧差を所定の電圧差以上することにより、対応する画素において、導電性液体が動作して表示面側の表示色が変更されるようになっている。さらに、画像表示装置1では、保持ドライバ10が保持電圧を印加して、保持電極7と走査電極5との間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、導電性液体を動作位置で保持させて、表示色を維持するように構成されている(詳細は後述。)。
【0043】
また、走査ドライバ8、信号ドライバ9、及び保持ドライバ10には、例えば直流電源が含まれており、所定の電圧範囲内の走査電圧、所定の電圧範囲内の信号電圧、及び所定の電圧範囲内の保持電圧を供給するようになっている。
【0044】
また、信号電極6及び配線9aが画素領域での後述の有効表示領域側及び非有効表示領域側の一方側に設けられた信号ラインを構成し、走査電極5及び配線8aが画素領域での上記有効表示領域側及び非有効表示領域側の他方側に設けられた走査ラインを構成している。さらには、保持電極7及び配線10aが、信号ラインと走査ラインとの交差部の近傍で、有効表示領域側に設けられた保持ラインを構成している。
【0045】
ここで、図2〜図5も参照して、表示素子2の画素構造について具体的に説明する。
【0046】
図2は表示面側から見た場合での図1に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図であり、図3は表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図4は上記表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図5は図4のA−A線断面図である。なお、図2〜図4では、図面の簡略化のために、上記表示面に設けられた複数の画素のうち、図1の左上端部に配設された9個の画素を図示している(後掲の対応する図面においても、同様。)。
【0047】
図2〜図5において、表示素子2は、表示面側に設けられた第1の基板としての上記上部基板3と、上部基板3の背面側(非表示面側)に設けられた第2の基板としての上記下部基板4とを備えている。また、表示素子2では、上部基板3と下部基板4が互いに所定の間隔をおいて配置されることにより、これら上部基板3及び下部基板4の間に所定の表示用空間Sが形成されている。さらに、表示素子2では、表示用空間Sに導通するように、後述の非有効表示領域P2側で下部基板4に設けられるとともに、上記導電性液体14を溜める液溜部としての上記溝12が複数形成されている。すなわち、図3に例示するように、複数の溝12が、互いに所定の間隔をおいて、かつ、Y方向に沿ってストライプ状に下部基板4に設けられており、各溝12の内部には、上述したように、走査電極5が設置されている。
【0048】
また、表示用空間Sの内部には、導電性液体14に加えて、この導電性液体14と混じり合わない絶縁性のオイル15が当該表示用空間Sの内部で上記X方向(図4の左右方向)に移動可能に封入されており、導電性液体14は後述の有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に移動できるようになっている。
【0049】
導電性液体14には、例えば溶媒としての水と、溶質としての所定の電解質を含んだ水溶液が用いられている。具体的には、例えば1mmol/Lの塩化カリウム(KCl)の水溶液が導電性液体14に用いられている。また、導電性液体14には、顔料や染料などによって黒色に着色されたものが使用されている。
【0050】
また、導電性液体14は黒色に着色されているので、当該導電性液体14は、各画素において、光の透過を許容または阻止するシャッターとして機能するようになっている。つまり、表示素子2の各画素では、後に詳述するように、導電性液体14が表示用空間Sの内部を有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側(溝12側)に移動することによって表示色が黒色またはRGBのいずれかの色に変更されるよう構成されている。
【0051】
また、オイル15には、例えば側鎖高級アルコール、側鎖高級脂肪酸、アルカン炭化水素、シリコーンオイル、マッチングオイルから選択された1種または複数種からなる無極性で、かつ、無色透明なオイルが用いられている。また、このオイル15は、導電性液体14の移動に伴って、表示用空間Sの内部を移動するようになっている。
【0052】
上部基板3には、無アルカリガラス基板などの透明なガラス材またはアクリル系樹脂などの透明な合成樹脂等の透明な透明シート材が用いられている。また、上部基板3の非表示面側の表面には、カラーフィルタ層11が形成されている。さらに、上部基板3では、カラーフィルタ層11の非表示面側の表面に、上記信号電極6及び親水層16が形成されている。
【0053】
信号電極6は、図2に"H1"及び"H2"にて例示するように、Y方向での寸法が異なる略帯状に構成されている。言い換えれば、信号電極6では、走査電極5と対向される部分が、少なくとも有効表示領域P1に対向される部分に比べて、大幅に小さくされた櫛歯状に構成されている。また、信号電極6において、上記寸法H1及びH2は、好ましくはH2/H1=1/10、より好ましくはH2/H1=1/20に設定されている。
【0054】
また、この信号電極6の表面上には、誘電体層17、リブ13a、13b、及び撥水層18が順次形成されている。また、親水層16は、信号電極6が形成されていないカラーフィルタ層11上で、溝12と対向するように、当該カラーフィルタ層11の非表示面側の表面に設けられている。また、リブ13a及び13bは、図2に例示するように、誘電体層17の表面上で、例えばY方向及びX方向にそれぞれ平行となるように設けられており、これらリブ13a及び13bは、画素単位に形成されている。
【0055】
また、下部基板4には、上部基板3と同様に、無アルカリガラス基板などの透明なガラス材またはアクリル系樹脂などの透明な合成樹脂等の透明な透明シート材が用いられている。また、下部基板4では、上記溝10を除く、表示面側の表面上に、撥水層22が形成されている。
【0056】
さらに、下部基板4では、溝10の内部に設置された走査電極5に加えて、線状の上記保持電極7が撥水層22の表面上に設けられている。この保持電極7は、有効表示領域P1の右端部側(つまり、有効表示領域P1の非有効表示領域P2とは反対の端部側)に対向するように、撥水層22上に形成されている。また、保持電極7の表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。
【0057】
さらに、下部基板4の背面側(非表示面側)には、例えば白色の照明光を発光するバックライト21が一体的に組み付けられており、透過型の表示素子2が構成されている。すなわち、本実施形態の表示素子2では、バックライト21からの照明光を使用して表示動作が行われるので、外光が不十分な場合や夜間などでも、適切な表示動作を行えるようになっている。
【0058】
カラーフィルタ(Color Filter)層11には、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーフィルタ部11r、11g、及び11bと、遮光膜としてのブラックマトリクス部11sとが設けられており、RGBの各色の画素を構成するようになっている。つまり、カラーフィルタ層11では、図2に例示するように、RGBのカラーフィルタ部11r、11g、11bがX方向に沿って順次設けられるとともに、各々3つのカラーフィルタ部11r、11g、11bがY方向に沿って設けられており、X方向及びY方向にそれぞれ3個及び3個、合計9個の画素が配設されている。
【0059】
また、表示素子2では、図2に例示するように、各画素領域Pにおいて、画素の有効表示領域P1に対応する箇所にRGBのいずれかのカラーフィルタ部11r、11g、及び11bが設けられ、非有効表示領域P2に対応する箇所にブラックマトリクス部11sが設けられている。つまり、表示素子2では、上記表示用空間Sに対し、ブラックマトリクス部(遮光膜)11sによって非有効表示領域P2(非開口部)が設定され、そのブラックマトリクス部11sに形成された開口部(つまり、いずれかのカラーフィルタ部11r、11g、及び11g)によって有効表示領域P1が設定されている。
【0060】
また、表示素子2では、カラーフィルタ部11r、11g、11bの各面積は、有効表示領域P1の面積に対し、同一または若干大きい値が選択されている。一方、ブラックマトリクス部11sの面積は、非有効表示領域P2の面積に対し、同一または若干小さい値が選択されている。言い換えれば、表示素子2では、カラーフィルタ部11r、11g、11bの各面積よりも、導電性液体14が有効表示領域P1側に引き出される面積(つまり、有効表示領域P1側に設けられて、エレクトロウェッティング現象によって導電性液体14を引き出すための電極面積(信号電極面積))の方が若干大きく設定されている。尚、図2では、隣接する画素の境界部を明確にするために、隣接する画素に応じた2つのブラックマトリクス部11s間の境界線を点線にて示しているが、実際のカラーフィルタ層11では、ブラックマトリクス部11s間の境界線は存在しない。
【0061】
また、表示素子2では、上記仕切壁としてのリブ13a、13bにより表示用空間Sが画素領域P単位に区切られている。すなわち、表示素子2では、各画素の表示用空間Sは、図2に例示するように、同図2のX方向では、隣接する2つの画素のリブ13aによって区画されている。また、図2のY方向では、表示用空間Sは、互いに対向する2つのリブ13bによって区画されている。さらに、表示素子2では、リブ13a、13bによって導電性液体14が隣接する画素領域Pの表示用空間Sの内部に流入するのが防がれている。すなわち、リブ13a、13bには、例えば光硬化性樹脂が用いられており、リブ13a、13bでは、隣接する画素間で導電性液体14の流入出が防止されるように、上部基板3からの突出高さが決定されている。
【0062】
誘電体層17、19は、例えばパリレンや窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、あるいは酸化アルミニウムを含有した透明な誘電体膜によって構成されている。また、撥水層18、20、22には、透明な合成樹脂、好ましくは電圧印加時に導電性液体14に対し親水層となる、例えばフッ素系樹脂が使用されている。これにより、表示素子2では、上部基板3及び下部基板4の表示用空間S側の表面側での導電性液体14との間の濡れ性(接触角)を大きく変化させることができ、導電性液体14の移動速度の高速化を図ることができる。
【0063】
親水層16には、例えばヒドロキシ基、アミド基、あるいはカルボキシル基等の親水基を有する有機系材料が用いられている。そして、親水層16は、導電性液体14の溝12側(非有効表示領域P2側)から有効表示領域P1側への移動を円滑行わせるようになっている。
【0064】
尚、この説明以外に、例えば二酸化ケイ素などの無機系材料、金、アルミニウム、銅などの金属材料、またはPVA(ポリビニルアルコール)、尿素樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂を親水層に使用することもできる。また、上部基板3が親水性を有する材料を使用して構成されている場合では、親水層16の設置を省略することもできる。
【0065】
走査電極5は、溝(液溜部)12内の導電性液体14に接触するように設けられた第1の電極部材を構成しており、走査電極5には、非有効表示領域P2側でY方向に平行となるように配置された線状配線が用いられている。
【0066】
また、この走査電極5には、導電性液体14に対して電気化学的に不活性な材料が使用されており、当該走査電極5に上記走査電圧(例えば、−4V)が印加されたときでも、導電性液体14と電気化学反応を極力生じないように構成されている。これにより、走査電極5の電気分解の発生を防いで、表示素子2の信頼性及び寿命を向上させることができる。
【0067】
具体的にいえば、走査電極5には、金、銀、銅、白金、及びパラジウムの少なくとも一つを含んだ電極材料が用いられている。また、走査電極5は、上記金属材料からなる細線を溝12の内部に固定したり、スクリーン印刷法などを用いて、溝12の底面上に金属材料を含んだ導電性ペースト材などのインク材を載置したりすることで形成されている。
【0068】
信号電極6は、導電性液体14及び走査電極(第1の電極部材)5に対して電気的に絶縁された状態で、有効表示領域P1側に設けられた第2の電極部材を構成しており、信号電極6には、X方向に平行となるように配置された透明な線状配線が用いられている。具体的にいえば、信号電極6には、酸化インジウム系(ITO)、酸化スズ系(SnO2)、または酸化亜鉛系(AZO、GZO、あるいはIZO)などの透明な電極材料が用いられている。また、信号電極6は、スパッタ法等の公知の成膜方法により、カラーフィルタ層11に略帯状に形成されている。
【0069】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図5の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図5の右端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと走査電極5との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0070】
上記のように構成された本実施形態の表示素子2の表示動作について、図6も参照して具体的に説明する。
【0071】
図6は、上記表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【0072】
本実施形態の表示素子2では、図6(a)に示すように、走査ドライバ8が、例えば図4の左側の走査電極5に対して供給する走査電圧を、時点T2で非選択電圧V1(例えば、0V)から選択電圧V2(例えば、−4V)とする。これにより、表示素子2では、図4の左側の画素列に対する走査動作が開始される。そして、走査ドライバ8が、時点T3で走査電圧を非選択電圧V1とするまで、図4の左側の画素列に対する走査動作が維持される。
【0073】
また、信号ドライバ9は、時点T2で上記走査動作が開始されると、図6(b)〜(d)にそれぞれ例示するように、図4の上から一番目、二番目、及び三番目の信号電極6に対し、表示すべき情報に応じて、信号電圧を電圧V3(例えば、+4V)または電圧V4(例えば、0V)とする。これにより、図4の左側の画素列において、上から一番目及び三番目の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差が所定の電圧差(第1の電圧差、例えば、4.5V)以上とされ、同図4に示すように、導電性液体14が非有効表示領域P2側(溝12側)から有効表示領域P1側に移動する。この結果、これらの画素では、時点T2から時点T3までの走査動作の間、上記非CF着色表示が行われて、黒色表示が行われる。
【0074】
一方、図4の上から二番目の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差は上記第1の電圧差以上とされない。この結果、導電性液体14は非有効表示領域P2側から移動せずに維持され、この画素では、時点T2から時点T3までの走査動作の間、上記CF着色表示が行われて、赤色表示が行われる。
【0075】
また、本実施形態の表示素子2では、図6(e)に示すように、走査ドライバ8による上記走査動作の前に、保持ドライバ10が、導電性液体14を有効表示領域P1側から解放する解放動作を行うようになっている。つまり、保持ドライバ10は、図4の左側の走査電極5に対する走査動作が行われる前に、同図4の左側の保持電極7に対して供給する保持電圧を、時点T1で電圧V5(例えば、+8V)から電圧V6(例えば、0V)とする。これにより、図4の左側の画素列では、保持電極7と走査電極5との電圧差が所定の電圧差(第2の電圧差、例えば、8V)未満である、0Vとされ、導電性液体14は有効表示領域P1側で保持されずに、非有効表示領域P2側への移動が許容される。尚、解放動作の期間(T1〜T2)と走査動作の期間(T2〜T3)との好ましい時間比率は、例えば(T1〜T2)/(T2〜T3)≦1/10である。
【0076】
そして、上記のように、時点T2で走査動作が開始されると、保持ドライバ10は、図4の左側の保持電極7に対して供給する保持電圧を、電圧V6から電圧V5に変更する。これにより、図4の左側の画素列では、保持電極7と走査電極5との電圧差が上記第2の電圧差以上である、12Vとされる。この結果、本実施形態の表示素子2では、時点T2から時点T3までの走査動作の期間中に、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14が、当該有効表示領域P1側で保持される。すなわち、図4の左側の画素列において、上から一番目及び三番目の画素では、導電性液体14が有効表示領域P1側で保持される。一方、上から二番目の画素では、導電性液体14は非有効表示領域P2側から有効表示領域P1側に移動されていないので、保持電圧としての電圧V5の電圧印加だけでは、有効表示領域P1側に移動されずに、非有効表示領域P2側で維持される。
【0077】
また、このように保持電極7の電圧V5の電圧印加だけでは、導電性液体14が有効表示領域P1側に移動されないのは、保持電極7において、その有効表示領域P1に対向する部分の面積が小さく構成されているからである。すなわち、非有効表示領域P2側の走査電極5にローレベルの選択電圧V2が印加されているときに、保持電極7に対してハイレベルの電圧V5が印加されたときでも、導電性液体14が非有効表示領域P2側から有効表示領域P1側に移動されないように、保持電極7では、その有効表示領域P1に対向する部分の面積が定められている。これに対して、信号電極6では、図2に示したように、有効表示領域P1全体を覆うように構成されているので、信号電極6は走査電極5との電圧差が上記第1の電圧差以上とされたときに、導電性液体14を有効表示領域P1側に移動可能に構成されている(後掲の第2〜第6の実施形態においても、同様。)。
【0078】
また、この左側の保持電極7に対する保持電圧の電圧印加は、全ての走査電極5に対する走査動作が完了するまで、つまり表示面側に次のフレームの情報が表示されるまで継続される。これにより、図4の左側の画素列において、上から一番目及び三番目の画素では、黒色表示が継続され、上から二番目の画素では、赤色表示が継続される。
【0079】
続いて、本実施形態の表示素子2では、図6(f)及び図6(g)に示すように、図4の中央の画素列に対する走査動作及び解放動作が行われる。すなわち、図6(g)に示すように、保持ドライバ10が、時点T4から時点T5の間で、図4の中央の保持電極7に対して供給する保持電圧を電圧V6として、解放動作を行わせる。また、図6(f)に示すように、走査ドライバ8が、時点T5から時点T6の間で、図4の中央の走査電極5に対して供給する走査電圧を選択電圧V2として、図4の中央の画素列に対する走査動作が行われる。さらに、保持ドライバ10が、時点T5で図4の中央の保持電極7に対して供給する保持電圧を電圧V5に変更するので、時点T5から時点T6の間の走査動作の期間中に、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14が、当該有効表示領域P1側で保持される。
【0080】
以降、本実施形態の表示素子2では、解放動作及び走査動作が、順次実施される。
【0081】
以上のように構成された本実施形態の表示素子2では、有効表示領域P1側に設けられ、所定の電圧範囲内の信号電圧が印加可能に構成された複数の信号電極(信号ライン)6が設けられている。また、本実施形態の表示素子2では、複数の信号電極6に対して交差するように、非有効表示領域P2側に設けられ、所定の電圧範囲内の走査電圧が印加可能に構成された複数の走査電極(走査ライン)5が設けられている。また、本実施形態の表示素子2では、信号電極6と走査電極5との交差部の近傍で、有効表示領域P1側に設けられ、所定の電圧範囲内の保持電圧が印加可能に構成された複数の保持電極(保持ライン)7が設けられている。また、本実施形態の表示素子2では、信号ドライバ(信号電圧印加部)9及び走査ドライバ(走査電圧印加部)8が、信号電極6及び走査電極5に対してそれぞれ信号電圧及び走査電圧を印加して、信号電極6と走査電極5との交差部単位に導電性液体14を有効表示領域P1側に移動させる。さらに、本実施形態の表示素子2では、保持ドライバ(保持電圧印加部)10は、保持電極7に対して保持電圧を印加して、保持電極7と走査電極5との間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、有効表示領域P1側に移動させた導電性液体を保持させる。これにより、本実施形態の表示素子2では、上記従来例と異なり、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる。
【0082】
また、本実施形態の表示素子2では、図6に例示したように、走査ドライバ(走査電圧印加部)8が非選択電圧V1または選択電圧V2の電圧印加を行い、信号ドライバ(信号電圧印加部)9が電圧V3または電圧V4の電圧印加を行うことにより、導電性液体14の移動または維持させている。さらに、保持ドライバ(保持電圧印加部)10が電圧V5または電圧V6の電圧印加を行うことにより、導電性液体14の保持または解放させている。このように、本実施形態の表示素子2では、走査ドライバ8、信号ドライバ9、及び保持ドライバ10の各々は、ハイレベル及びローレベルのいずれかの電圧を印加するだけにより、導電性液体14を動作または停止させて、表示色の変更を行えるので、上記従来例に比べて、電圧印加部(ドライバ)の負担を容易に低減することができる。
【0083】
また、本実施形態の画像表示装置(電気機器)1では、表示素子2が表示部に用いられているので、優れた表示品位を有する表示部を備えた高性能な画像表示装置1を容易に構成することができる。
【0084】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、保持電圧印加部が複数の保持電極に対して保持電圧を一括して印加するように構成した点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0085】
つまり、図7に示すように、本実施形態の表示素子2では、保持ドライバ10は共通の配線10c及び共通の端子台10bを介在させて、複数の保持電極7の端子部7aにそれぞれ接続された複数の配線10aに接続されている。そして、保持ドライバ10は、全ての保持電極7に対して、保持電圧としての上記電圧V5または電圧V6を一括して印加するように構成されており、1フレームの情報表示を行う前に全ての保持電極7に対し上記解放動作を同時に行うようになっている。また、これらの配線10c及び端子台10bは、上記保持ラインに含まれている。
【0086】
上記のように構成された本実施形態の表示素子2の表示動作について、図8も参照して具体的に説明する。
【0087】
図8は、図7に示した表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【0088】
本実施形態の表示素子2では、1フレームの情報表示を表示面側で行う前に、全ての画素において、導電性液体14を有効表示領域P1側から解放する解放動作が行われる。つまり、図8(e)に示すように、保持ドライバ10は、図4の左側の走査電極5に対する走査動作が行われる前に、全ての保持電極7に対して供給する保持電圧を、時点T7で電圧V5(例えば、+8V)から電圧V6(例えば、0V)とする。これにより、表示素子2の全ての画素では、保持電極7と走査電極5との電圧差が上記第2の電圧差未満である、0Vとされ、導電性液体14は有効表示領域P1側で保持されずに、非有効表示領域P2側への移動が許容される。
【0089】
その後、本実施形態の表示素子2では、図8(a)に示すように、走査ドライバ8が、例えば図4の左側の走査電極5に対して供給する走査電圧を、時点T8で非選択電圧V1(例えば、0V)から選択電圧V2(例えば、−4V)とする。これにより、表示素子2では、図4の左側の画素列に対する走査動作が開始される。そして、走査ドライバ8が、時点T9で走査電圧を非選択電圧V1とするまで、図4の左側の画素列に対する走査動作が維持される。
【0090】
また、保持ドライバ10は、時点T8での走査動作の開始と同時に、全ての保持電極7に対して供給する保持電圧を、電圧V6から電圧V5に変更する。これにより、全ての画素において、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14を当該有効表示領域P1側で保持可能となる。
【0091】
また、信号ドライバ9は、時点T8で上記走査動作が開始されると、図8(b)〜(d)にそれぞれ例示するように、図4の上から一番目、二番目、及び三番目の信号電極6に対し、表示すべき情報に応じて、信号電圧を電圧V3(例えば、+4V)または電圧V4(例えば、0V)とする。これにより、図4の左側の画素列において、上から一番目及び三番目の画素では、第1の実施形態と同様に、走査電極5と信号電極6との電圧差が上記第1の電圧差以上とされ、同図4に示すように、導電性液体14が非有効表示領域P2側(溝12側)から有効表示領域P1側に移動する。また、保持電圧が時点T8で導電性液体14を有効表示領域P1側で保持可能な電圧V5に変更されているので、これらの画素では、時点T8以降、次のフレームの情報表示が行われるまで、上記非CF着色表示が行われて、黒色表示が行われる。
【0092】
一方、図4の上から二番目の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差は上記第1の電圧差以上とされない。この結果、導電性液体14は非有効表示領域P2側から移動せずに維持され、この画素では、時点T8以降、次のフレームの情報表示が行われるまで、上記CF着色表示が行われて、赤色表示が行われる。
【0093】
続いて、本実施形態の表示素子2では、図8(f)に示すように、図4の中央の画素列に対する走査動作が行われる。すなわち、図8(f)に示すように、走査ドライバ8が、時点T10から時点T11の間で、図4の中央の走査電極5に対して供給する走査電圧を選択電圧V2として、図4の中央の画素列に対する走査動作が行われる。
【0094】
以降、本実施形態の表示素子2では、走査動作が順次実施される。
【0095】
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、保持ドライバ10が全ての保持電極7に対して、保持電圧を一括して印加するので、保持ドライバ10は保持電圧の電圧印加を容易に行うことができ、当該保持ドライバ10の負担を容易に軽減することができる。
【0096】
[第3の実施形態]
図9は、表示面側から見た場合での本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図10は本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図11は図10のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第2の実施形態との主な相違点は、保持電極において、有効表示領域側に延設された延設部分を設けた点である。なお、上記第2の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0097】
つまり、図9〜図11に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bから有効表示領域P1側に延設された延設部分7cを備えている。すなわち、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、有効表示領域P1と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。
【0098】
また、延設部分7cは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での中央部に対向するように設けられている。また、この延設部分7cでは、そのX方向での端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7cが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0099】
また、保持電極7では、電極本体7b及び延設部分7c上に誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。さらに、保持電極7では、延設部分7cのY方向での寸法を変更することにより、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、延設部分7cの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0100】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図11の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図11の右端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと走査電極5との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0101】
また、本実施形態の表示素子2では、延設部分7cが保持電極7に設けられているので、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7cにより、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0102】
以上の構成により、本実施形態では、上記第2の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、延設部分7cにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0103】
[第4の実施形態]
図12は、表示面側から見た場合での本発明の第4の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図13は本発明の第4の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図14は図13のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第3の実施形態との主な相違点は、2つの延設部分を保持電極に設けた点である。なお、上記第3の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0104】
すなわち、図12〜図14に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bから有効表示領域P1側に延設された延設部分7c、7dを備えている。つまり、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、有効表示領域P1と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。
【0105】
また、延設部分7c、7dは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での一端部側及び他端部側にそれぞれ対向するように設けられている。また、これらの延設部分7c、7dでは、そのX方向での各端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該各端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7c、7dが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0106】
また、保持電極7では、電極本体7b及び延設部分7c、7d上に誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。さらに、保持電極7では、延設部分7c、7dのY方向での各寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、延設部分7c、7dの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0107】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図14の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図14の右端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと走査電極5との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0108】
また、本実施形態の表示素子2では、延設部分7c、7dが保持電極7に設けられているので、各画素では、第3の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7c、7dにより、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0109】
以上の構成により、本実施形態では、上記第3の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、延設部分7c、7dにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0110】
[第5の実施形態]
図15は、表示面側から見た場合での本発明の第5の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図16は本発明の第5の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図17は図16のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第3の実施形態との主な相違点は、保持電極において、走査電極と平行に設けられた複数の保持電極部分を設けた点である。なお、上記第3の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0111】
すなわち、図15〜図17に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bから有効表示領域P1側に延設された延設部分7cと、この延設部分7cからY方向に延ばされた複数、例えば7本の保持電極部分7eを備えている。つまり、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、有効表示領域P1と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。
【0112】
また、延設部分7cは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での中央部に対向するように設けられている。また、この延設部分7cでは、そのX方向での端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7cが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0113】
また、7本の保持電極部分7eは、互いに、かつ、非有効表示領域P2側に設けられた走査電極5と平行に設けられており、延設部分7cの端部から図の右側に向かって等間隔で順次設けられている。また、各保持電極部分7eでは、Y方向の一端部及び他端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、保持電極部分7eが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0114】
また、保持電極7では、電極本体7b、延設部分7c、及び保持電極部分7e上に誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。さらに、保持電極7では、延設部分7cのY方向での寸法や各保持電極部分7eのX方向での寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、延設部分7cや各保持電極部分7eの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0115】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図16の左側上端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図16の右側上端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと走査電極5との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0116】
また、本実施形態の表示素子2では、延設部分7c及び保持電極部分7eが保持電極7に設けられているので、各画素では、第3の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7c及び保持電極部分7eにより、図16の左側下端部の画素に例示するように、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0117】
以上の構成により、本実施形態では、上記第3の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、保持電極部分7eが印加された信号電圧に応じて、有効表示領域P1側に移動した導電性液体14を保持することができる。これにより、本実施形態では、第3の実施形態と異なり、保持電極7は導電性液体14の有効表示領域P1側の端部を走査電極5と平行な状態で容易に保持することができる。この結果、本実施形態では、第3の実施形態と異なり、表示面側に表示される情報に対応した中間調の表示色を容易に表示することができる。
【0118】
[第6の実施形態]
図18は、表示面側から見た場合での本発明の第6の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図19は本発明の第6の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図20は図19のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第5の実施形態との主な相違点は、複数の各保持電極部分において、その一端部側が有効表示領域の外側に引き出されるとともに、有効表示領域の外側で複数の保持電極部分を互いに電気的に接続した点である。なお、上記第5の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0119】
すなわち、図18〜図20に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bから有効表示領域P1側に延設された延設部分7cと、この延設部分7cからY方向に延ばされた複数、例えば7本の保持電極部分7fを備えている。つまり、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、有効表示領域P1と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。
【0120】
また、延設部分7cは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1の外側、つまり非有効表示領域P2と対向した状態で、X方向に平行となるように設けられている。また、この延設部分7cでは、そのX方向での端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されている。
【0121】
また、7本の保持電極部分7fは、互いに、かつ、非有効表示領域P2側に設けられた走査電極5と平行に設けられており、延設部分7cの端部から図の右側に向かって等間隔で順次設けられている。また、各保持電極部分7fでは、Y方向の一端部側が有効表示領域P1の外側に引き出されており、非有効表示領域P2と対向するように設けられた延設部分7cによって互いに電気的に接続されている。
【0122】
また、保持電極7では、電極本体7b、延設部分7c、及び保持電極部分7f上に誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。さらに、保持電極7では、各保持電極部分7fのX方向での寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、各保持電極部分7fの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0123】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図19の左側上端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図19の右側上端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと走査電極5との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0124】
また、本実施形態の表示素子2では、保持電極部分7fが保持電極7に設けられているので、各画素では、第5の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、保持電極部分7fにより、図19の左側下端部の画素に例示するように、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0125】
以上の構成により、本実施形態では、上記第5の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、複数の保持電極部分7fは有効表示領域P1の外側で互いに電気的に接続されているので、第5の実施形態と異なり、保持電圧が印加されたときに有効表示領域P1の内部で導電性液体14が不必要に保持されるのを防ぐことができる。この結果、本実施形態では、中間調の表示色の表示精度を向上させることができる。
【0126】
[第7の実施形態]
図21は、本発明の第7の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、走査電極を有効表示領域側に設けるとともに、信号電極を非有効表示領域(溝)側に設けた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0127】
つまり、図21に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の走査電極5及び複数の保持電極7が、互いに交互に、かつ、X方向に沿ってストライプ状に設けられている。また、表示素子2では、複数の信号電極6が互いに所定の間隔をおいて、かつ、Y方向に沿ってストライプ状に設けられている。また、これら複数の走査電極5及び複数の保持電極7と、複数の信号電極6とは、互いに交差するように設けられており、表示素子2では、走査電極5と信号電極6との交差部単位に、複数の各画素領域が設定されている。
【0128】
ここで、図22〜図25も参照して、本実施形態の表示素子2の画素構造について具体的に説明する。
【0129】
図22は表示面側から見た場合での図21に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図であり、図23は表示面側から見た場合での図21に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図24は図21に示した表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図25は図24のA−A線断面図である。
【0130】
図22に例示するように、本実施形態の表示素子2では、走査電極5及び保持電極7が上側基板3側に設けられている。また、図23に例示するように、下側基板4側には、複数の溝12が、互いに所定の間隔をおいて、かつ、Y方向に沿ってストライプ状で非有効表示領域P2側に設けられており、各溝12の内部には、信号電極6が設置されている。この信号電極6は、上記第1の電極部材を構成しており、第1の実施形態の走査電極5と同様に、金、銀、銅、白金、及びパラジウムの少なくとも一つを含んだ電極材料が用いられている。
【0131】
具体的にいえば、図24及び図25も参照して、上部基板3の非表示面側の表面には、カラーフィルタ層11が形成されており、さらに、このカラーフィルタ層11の非表示面側の表面には、走査電極5、保持電極7、及び親水層16が形成されている。これら走査電極5及び保持電極7は、それぞれ上記第2及び第3の電極部材を構成しており、走査電極5及び保持電極7には、第1の実施形態の信号電極6と同様に、酸化インジウム系(ITO)、酸化スズ系(SnO2)、または酸化亜鉛系(AZO、GZO、あるいはIZO)などの透明な電極材料が用いられている。
【0132】
走査電極5は、図22に“H3”及び“H4”にて例示するように、Y方向での寸法が異なる略帯状に構成されている。言い換えれば、走査電極5では、信号電極6と対向される部分が、少なくとも有効表示領域P1に対向される部分に比べて、大幅に小さくされた櫛歯状に構成されている。また、走査電極5では、図22に例示するように、有効表示領域P1に対向する部分において、矩形状の切欠部が設けられており、この切欠部の内部に配置されるように、保持電極7の延設部分7cが電気的に絶縁された状態で、設けられている。また、走査電極5において、上記寸法H3及びH4は、好ましくはH4/H3=1/10、より好ましくはH4/H3=1/20に設定されている。
【0133】
保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、上記切欠部内に配置されるように、有効表示領域P1側に延設された延設部分7cと、電極本体7bと延設部分7cとを接続する接続部分7gを備えている。すなわち、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、非有効表示領域P2と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。また、接続部分7gは、有効表示領域P1の外側でY方向に平行となるように設けられており、一端部及び他端部が電極本体7b及び延設部分7cの右端部に接続されている。
【0134】
また、延設部分7cは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での中央部に対向するように設けられている。また、この延設部分7cでは、そのX方向での左端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該左端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7cの左端部が非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0135】
また、走査電極5及び保持電極7の非表示面側の各表面上には、誘電体層17、リブ13a、13b、及び撥水層18が順次形成されている。また、親水層16は、走査電極5及び保持電極7が形成されていないカラーフィルタ層11上で、溝12と対向するように、当該カラーフィルタ層11の非表示面側の表面に設けられている。
【0136】
また、本実施形態の表示素子2では、第3の実施形態と同様に、延設部分7cのY方向での寸法を変更することにより、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、本実施形態の表示素子2では、延設部分7cの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0137】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図25の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図25の中央部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0138】
また、本実施形態の表示素子2では、延設部分7cが保持電極7に設けられているので、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7cにより、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0139】
上記のように構成された本実施形態の表示素子2の表示動作について、図26も参照して具体的に説明する。
【0140】
図26は、上記表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【0141】
本実施形態の表示素子2では、図26(a)に示すように、走査ドライバ8が、例えば図24の上から一番目の走査電極5に対して供給する走査電圧を、時点T13で非選択電圧V1(例えば、0V)から選択電圧V2(例えば、+4V)とする。これにより、表示素子2では、図24の上から一番目の画素列に対する走査動作が開始される。そして、走査ドライバ8が、時点T14で走査電圧を非選択電圧V1とするまで、図24の上から一番目の画素列に対する走査動作が維持される。
【0142】
また、信号ドライバ9は、時点T13で上記走査動作が開始されると、図26(b)〜(d)にそれぞれ例示するように、図24の左側、中央部、及び右側の信号電極6に対し、表示すべき情報に応じて、信号電圧を電圧V3(例えば、0V)または電圧V4(例えば、−4V)とする。これにより、図24の上から一番目の画素列において、右側及び左側の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差が所定の電圧差(第1の電圧差)以上とされ、同図24に示すように、導電性液体14が非有効表示領域P2側(溝12側)から有効表示領域P1側に移動する。この結果、これらの画素では、時点T13から時点T14までの走査動作の間、上記非CF着色表示が行われて、黒色表示が行われる。
【0143】
一方、図24の中央部の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差は上記第1の電圧差以上とされない。この結果、導電性液体14は非有効表示領域P2側から移動せずに維持され、この画素では、時点T13から時点T14までの走査動作の間、上記CF着色表示が行われて、赤色表示が行われる。
【0144】
また、本実施形態の表示素子2では、図26(e)に示すように、走査ドライバ8による上記走査動作の前に、保持ドライバ10が、導電性液体14を有効表示領域P1側から解放する解放動作を行うようになっている。つまり、保持ドライバ10は、図24の上から一番目の走査電極5に対する走査動作が行われる前に、同図24の上から一番目の保持電極7に対して供給する保持電圧を、時点T12で電圧V5(例えば、+8V)から電圧V6(例えば、0V)とする。これにより、図24の上から一番目の画素列では、保持電極7と走査電極5との電圧差が所定の電圧差(第2の電圧差)未満である、0Vとされ、導電性液体14は有効表示領域P1側で保持されずに、非有効表示領域P2側への移動が許容される。
【0145】
そして、上記のように、時点T12で走査動作が開始されると、保持ドライバ10は、図24の上から一番目の保持電極7に対して供給する保持電圧を、電圧V6から電圧V5に変更する。これにより、図24の上から一番目の画素列では、保持電極7と走査電極5との電圧差が上記第2の電圧差以上である、12Vとされる。この結果、本実施形態の表示素子2では、時点T13から時点T14までの走査動作の期間中に、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14が、当該有効表示領域P1側で保持される。すなわち、図24の上から一番目の画素列において、左側及び右側の画素では、導電性液体14が有効表示領域P1側で保持される。一方、中央部の画素では、導電性液体14は非有効表示領域P2側から有効表示領域P1側に移動されていないので、保持電圧としての電圧V5の電圧印加だけでは、有効表示領域P1側に移動されずに、非有効表示領域P2側で維持される。
【0146】
また、このように保持電極7の電圧V5の電圧印加だけでは、導電性液体14が有効表示領域P1側に移動されないのは、保持電極7において、その有効表示領域P1に対向する部分の面積が小さく構成されているからである。すなわち、非有効表示領域P2側の信号電極6にローレベルの電圧V4が印加されているときに、保持電極7に対してハイレベルの電圧V5が印加されたときでも、導電性液体14が非有効表示領域P2側から有効表示領域P1側に移動されないように、保持電極7では、その有効表示領域P1に対向する部分の面積が定められている。これに対して、走査電極5では、図22に示したように、有効表示領域P1全体をほぼ覆うように構成されているので、走査電極5は信号電極6との電圧差が上記第1の電圧差以上とされたときに、導電性液体14を有効表示領域P1側に移動可能に構成されている(後掲の第8〜第13の実施形態においても、同様。)。
【0147】
また、この上から一番目の保持電極7に対する保持電圧の電圧印加は、全ての走査電極5に対する走査動作が完了するまで、つまり表示面側に次のフレームの情報が表示されるまで継続される。これにより、図24の上から一番目の画素列において、左側及び右側の画素では、黒色表示が継続され、中央部の画素では、赤色表示が継続される。
【0148】
続いて、本実施形態の表示素子2では、図26(f)及び図26(g)に示すように、図24の上から二番目の画素列に対する走査動作及び解放動作が行われる。すなわち、図26(g)に示すように、保持ドライバ10が、時点T15から時点T16の間で、図24の上から二番目の保持電極7に対して供給する保持電圧を電圧V6として、解放動作を行わせる。また、図26(f)に示すように、走査ドライバ8が、時点T16から時点T17の間で、図24の上から二番目の走査電極5に対して供給する走査電圧を選択電圧V2として、図24の上から二番目の画素列に対する走査動作が行われる。さらに、保持ドライバ10が、時点T16で図24の上から二番目の保持電極7に対して供給する保持電圧を電圧V5に変更するので、時点T16から時点T17の間の走査動作の期間中に、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14が、当該有効表示領域P1側で保持される。
【0149】
以降、本実施形態の表示素子2では、解放動作及び走査動作が、順次実施される。
【0150】
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、延設部分7cにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0151】
[第8の実施形態]
図27は、本発明の第8の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図において、本実施形態と上記第7の実施形態との主な相違点は、保持電圧印加部が複数の保持電極に対して保持電圧を一括して印加するように構成した点である。なお、上記第7の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0152】
つまり、図27に示すように、本実施形態の表示素子2では、保持ドライバ10は共通の配線10c及び共通の端子台10bを介在させて、複数の保持電極7の端子部7aにそれぞれ接続された複数の配線10aに接続されている。そして、保持ドライバ10は、全ての保持電極7に対して、保持電圧としての上記電圧V5または電圧V6を一括して印加するように構成されており、1フレームの情報表示を行う前に全ての保持電極7に対し上記解放動作を同時に行うようになっている。また、これらの配線10c及び端子台10bは、上記保持ラインに含まれている。
【0153】
上記のように構成された本実施形態の表示素子2の表示動作について、図28も参照して具体的に説明する。
【0154】
図28は、図27に示した表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【0155】
本実施形態の表示素子2では、1フレームの情報表示を表示面側で行う前に、全ての画素において、導電性液体14を有効表示領域P1側から解放する解放動作が行われる。つまり、図28(e)に示すように、保持ドライバ10は、図24の上から一番目の走査電極5に対する走査動作が行われる前に、全ての保持電極7に対して供給する保持電圧を、時点T18で電圧V5(例えば、+8V)から電圧V6(例えば、0V)とする。これにより、表示素子2の全ての画素では、保持電極7と走査電極5との電圧差が上記第2の電圧差未満である、0Vとされ、導電性液体14は有効表示領域P1側で保持されずに、非有効表示領域P2側への移動が許容される。
【0156】
その後、本実施形態の表示素子2では、図28(a)に示すように、走査ドライバ8が、例えば図24の上から一番目の走査電極5に対して供給する走査電圧を、時点T19で非選択電圧V1(例えば、0V)から選択電圧V2(例えば、+4V)とする。これにより、表示素子2では、図24の上から一番目の画素列に対する走査動作が開始される。そして、走査ドライバ8が、時点T20で走査電圧を非選択電圧V1とするまで、図24の上から一番目の画素列に対する走査動作が維持される。
【0157】
また、保持ドライバ10は、時点T19での走査動作の開始と同時に、全ての保持電極7に対して供給する保持電圧を、電圧V6から電圧V5に変更する。これにより、全ての画素において、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14を当該有効表示領域P1側で保持可能となる。
【0158】
また、信号ドライバ9は、時点T19で上記走査動作が開始されると、図28(b)〜(d)にそれぞれ例示するように、図4の左側、中央部、及び右側の信号電極6に対し、表示すべき情報に応じて、信号電圧を電圧V3(例えば、0V)または電圧V4(例えば、−4V)とする。これにより、図24の上から一番目の画素列において、左側及び右側の画素では、第7の実施形態と同様に、走査電極5と信号電極6との電圧差が上記第1の電圧差以上とされ、同図24に示すように、導電性液体14が非有効表示領域P2側(溝12側)から有効表示領域P1側に移動する。また、保持電圧が時点T19で導電性液体14を有効表示領域P1側で保持可能な電圧V5に変更されているので、これらの画素では、時点T19以降、次のフレームの情報表示が行われるまで、上記非CF着色表示が行われて、黒色表示が行われる。
【0159】
一方、図24の中央部の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差は上記第1の電圧差以上とされない。この結果、導電性液体14は非有効表示領域P2側から移動せずに維持され、この画素では、時点T19以降、次のフレームの情報表示が行われるまで、上記CF着色表示が行われて、赤色表示が行われる。
【0160】
続いて、本実施形態の表示素子2では、図28(f)に示すように、図24の上から二番目の画素列に対する走査動作が行われる。すなわち、図28(f)に示すように、走査ドライバ8が、時点T21から時点T22の間で、図24の上から二番目の走査電極5に対して供給する走査電圧を選択電圧V2として、図24の上から二番目の画素列に対する走査動作が行われる。
【0161】
以降、本実施形態の表示素子2では、走査動作が順次実施される。
【0162】
以上の構成により、本実施形態では、上記第7の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、第7の実施形態と異なり、保持ドライバ10が全ての保持電極7に対して、保持電圧を一括して印加するので、保持ドライバ10は保持電圧の電圧印加を容易に行うことができ、当該保持ドライバ10の負担を容易に軽減することができる。
【0163】
[第9の実施形態]
図29は、表示面側から見た場合での本発明の第9の実施形態にかかる表示素子の上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図30は本発明の第9の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図31は図30のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第8の実施形態との主な相違点は、2つの延設部分を保持電極に設けた点である。なお、上記第8の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0164】
すなわち、図29〜図31に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、有効表示領域P1側に延設された延設部分7c、7dと、電極本体7bと延設部分7c、7dとを接続する接続部分7gを備えている。すなわち、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、非有効表示領域P2と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。また、接続部分7gは、有効表示領域P1の外側でY方向に平行となるように設けられており、一端部及び他端部が電極本体7b及び延設部分7c、7dの右端部に接続されている。
【0165】
また、延設部分7c、7dは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での一端部側及び他端部側にそれぞれ対向するように設けられている。また、これらの各延設部分7c、7dは、走査電極5に設けられた矩形状の切欠部内に配置されるように設けられている。すなわち、走査電極5には、図29に例示するように、有効表示領域P1に対向する部分において、2つの矩形状の切欠部が設けられており、これらの切欠部の内部に配置されるように、保持電極7の延設部分7c、7dが電気的に絶縁された状態で、設けられている。さらに、延設部分7c、7dでは、そのX方向での各端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該各端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7c、7dが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0166】
さらに、保持電極7では、延設部分7c、7dのY方向での各寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、延設部分7c、7dの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0167】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図31の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図31の中央部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0168】
また、本実施形態の表示素子2では、延設部分7c、7dが保持電極7に設けられているので、各画素では、第8の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7c、7dにより、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0169】
以上の構成により、本実施形態では、上記第8の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、延設部分7c、7dにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0170】
[第10の実施形態]
図32は表示面側から見た場合での本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の上部基板側の要部構成を示す拡大平面図であり、図33は表示面側から見た場合での本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図34は本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図35は図34のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第9の実施形態との主な相違点は、保持電極を下部基板側に設けた点である。なお、上記第9の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0171】
すなわち、図32〜図35に示すように、本実施形態の表示素子2では、櫛歯状の走査電極5が上部基板3側に設けられ、信号電極6及び保持電極7が下部基板4側に設けられている。また、このように保持電極7が下部基板4側に設けられているので、走査電極5には、第9の実施形態のものと異なり、矩形状の切欠部が形成されていない。
【0172】
また、保持電極7には、Y方向の中央部に配置されるとともに、X方向と平行に設けられた線状電極が用いられている。また、この保持電極7は、少なくとも有効表示領域P1側では、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、この下部基板4上に形成された保持電極7の部分の表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、保持電極7は、非有効表示領域P2側では、信号電極6と電気的に絶縁された状態となるように、溝12の下方に設けられている。具体的にいえば、図35に示すように、保持電極7は、溝12を囲むように、下部基板4に形成されており、溝12との間に設けられた絶縁層23により、信号電極6及び導電性液体14と電気的に絶縁されている。
【0173】
具体的には、この信号電極6は、スパッタ法等の公知の成膜方法により、下部基板4上に帯状に形成されている。すなわち、下部基板4では、まず溝12の設置箇所に当該溝12よりも大きい切欠部が形成された後、X方向に沿って帯状の保持電極7が下部基板4の表面上に形成される。その後、非有効表示領域P2側において、溝12が形成されるように、例えばフェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル、エポキシ、あるいはシリコンなどの電気絶縁性を有する合成樹脂を用いた絶縁層23が保持電極7を覆うように設けられる。そして、この絶縁層23により、保持電極7は、溝12の内部に設置される信号電極6と当該溝12に充填される導電性液体14とに対して、電気的に絶縁される。尚、上記の説明以外に、アルミナ、酸化チタンなどの無機系材料を絶縁層23に用いることもできる。
【0174】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図35の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図35の中央部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0175】
また、本実施形態の表示素子2では、保持電極7がY方向の中央部で有効表示領域P1と対向するように、X方向と平行に設けられているので、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、保持電極7の有効表示領域P1と対向する部分により、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0176】
以上の構成により、本実施形態では、上記第9の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、保持電極7の有効表示領域P1と対向する部分により、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0177】
[第11の実施形態]
図36は、表示面側から見た場合での本発明の第11の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図37は本発明の第11の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図38は図37のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第10の実施形態との主な相違点は、保持電極において、有効表示領域側に延設された延設部分を設けた点である。なお、上記第10の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0178】
つまり、図36〜図38に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は下部基板4側でX方向に平行に設けられた電極本体7bと、有効表示領域P1側に延設された延設部分7cと、電極本体7bと延設部分7cとを接続する接続部分7gを備えている。この電極本体7bは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での一端部側に対向するように設けられており、保持ドライバ10に接続されている。
【0179】
また、電極本体7bは、第10の実施形態の保持電極7と同様に、少なくとも有効表示領域P1側では、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、この下部基板4上に形成された電極本体7bの部分の表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、電極本体7bは、非有効表示領域P2側では、信号電極6と電気的に絶縁された状態となるように、溝12の下方に設けられている。具体的にいえば、図38に示すように、電極本体7bは、溝12を囲むように、下部基板4に形成されており、溝12との間に設けられた絶縁層23により、信号電極6及び導電性液体14と電気的に絶縁されている。また、この絶縁層23の内部には、接続部分7gが設置されている。この接続部分7gは、有効表示領域P1の外側でY方向に平行となるように設けられており、一端部及び他端部が電極本体7b及び延設部分7cの右端部に接続されている。
【0180】
また、延設部分7cは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での他端部側に対向するように、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、この下部基板4上に形成された延設部分7cの表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、この延設部分7cでは、そのX方向での端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7cが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0181】
さらに、保持電極7では、電極本体7bの有効表示領域P1に対向する部分や延設部分7cのY方向での寸法を変更することにより、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、電極本体7bの有効表示領域P1に対向する部分や延設部分7cの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0182】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図38の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図38の中央部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0183】
また、本実施形態の表示素子2では、電極本体7bがY方向の一端部側で有効表示領域P1と対向するように、X方向と平行に設けられるとともに、延設部分7cが保持電極7に設けられている。これにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、電極本体7bの有効表示領域P1と対向する部分及び延設部分7cにより、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0184】
以上の構成により、本実施形態では、上記第10の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、電極本体7bの有効表示領域P1と対向する部分及び延設部分7cにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0185】
[第12の実施形態]
図39は、表示面側から見た場合での本発明の第12の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図40は本発明の第12の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図41は図40のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第10の実施形態との主な相違点は、保持電極において、信号電極と平行に設けられた複数の保持電極部分を設けた点である。なお、上記第10の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0186】
つまり、図39〜図41に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は下部基板4側でX方向に平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bからY方向に延ばされた複数、例えば7本の保持電極部分7eを備えている。この電極本体7bは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での中央部に対向するように設けられており、保持ドライバ10に接続されている。
【0187】
また、電極本体7bは、第10の実施形態の保持電極7と同様に、少なくとも有効表示領域P1側では、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、この下部基板4上に形成された電極本体7bの部分の表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、電極本体7bは、非有効表示領域P2側では、信号電極6と電気的に絶縁された状態となるように、溝12の下方に設けられている。具体的にいえば、図38に示すように、電極本体7bは、溝12を囲むように、下部基板4に形成されており、溝12との間に設けられた絶縁層23により、信号電極6及び導電性液体14と電気的に絶縁されている。
【0188】
また、7本の保持電極部分7eは、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、各保持電極部分7eの表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、これらの保持電極部分7eは、互いに、かつ、非有効表示領域P2側に設けられた信号電極6と平行に設けられており、有効表示領域P1の左端部側から図の右側に向かって等間隔で順次設けられている。また、各保持電極部分7eでは、Y方向の一端部及び他端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、保持電極部分7eが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0189】
また、保持電極7では、電極本体7bの有効表示領域P1に対向する部分のY方向での寸法や各保持電極部分7eのX方向での寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、電極本体7bの有効表示領域P1に対向する部分や各保持電極部分7eの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0190】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図41の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図41の中央部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0191】
また、本実施形態の表示素子2では、電極本体7bがY方向の中央部で有効表示領域P1と対向するように、X方向と平行に設けられるとともに、保持電極部分7eが保持電極7に設けられている。これにより、各画素では、第10の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7c及び保持電極部分7eにより、図40の右側上端部の画素に例示するように、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0192】
以上の構成により、本実施形態では、上記第10の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、保持電極部分7eが印加された信号電圧に応じて、有効表示領域P1側に移動した導電性液体14を保持することができる。これにより、本実施形態では、第10の実施形態と異なり、保持電極7は導電性液体14の有効表示領域P1側の端部を信号電極6と平行な状態で容易に保持することができる。この結果、本実施形態では、第10の実施形態と異なり、表示面側に表示される情報に対応した中間調の表示色を容易に表示することができる。
【0193】
[第13の実施形態]
図42は、表示面側から見た場合での本発明の第13の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図43は本発明の第13の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図44は図43のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第12の実施形態との主な相違点は、複数の各保持電極部分において、その一端部側が有効表示領域の外側に引き出されるとともに、有効表示領域の外側で複数の保持電極部分を互いに電気的に接続した点である。なお、上記第12の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0194】
すなわち、図42〜図44に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は下部基板4側でX方向に平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bからY方向に延ばされた複数、例えば7本の保持電極部分7fを備えている。この電極本体7bは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1の外側で、非有効表示領域P2に対向するように設けられており、保持ドライバ10に接続されている。
【0195】
また、電極本体7bは、第10の実施形態の保持電極7と同様に、少なくとも有効表示領域P1側では、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、この下部基板4上に形成された電極本体7bの部分の表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、電極本体7bは、非有効表示領域P2側では、信号電極6と電気的に絶縁された状態となるように、溝12の下方に設けられている。具体的にいえば、図44に示すように、電極本体7bは、溝12を囲むように、下部基板4に形成されており、溝12との間に設けられた絶縁層23により、信号電極6及び導電性液体14と電気的に絶縁されている。
【0196】
また、7本の保持電極部分7fは、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、各保持電極部分7eの表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、これらの保持電極部分7fは、互いに、かつ、非有効表示領域P2側に設けられた信号電極6と平行に設けられており、有効表示領域P1の左端部側から図の右側に向かって等間隔で順次設けられている。また、各保持電極部分7fでは、Y方向の一端部側が有効表示領域P1の外側に引き出されており、非有効表示領域P2と対向するように設けられた電極本体7bによって互いに電気的に接続されている。
【0197】
また、保持電極7では、各保持電極部分7fのX方向での寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、各保持電極部分7fの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0198】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図19の左側上端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図19の右側上端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0199】
また、本実施形態の表示素子2では、保持電極部分7fが保持電極7に設けられているので、各画素では、第12の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、保持電極部分7fにより、図43の右側上端部の画素に例示するように、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0200】
以上の構成により、本実施形態では、上記第12の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、複数の保持電極部分7fは有効表示領域P1の外側で互いに電気的に接続されているので、第12の実施形態と異なり、保持電圧が印加されたときに有効表示領域P1の内部で導電性液体14が不必要に保持されるのを防ぐことができる。この結果、本実施形態では、中間調の表示色の表示精度を向上させることができる。
【0201】
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0202】
例えば、上記の説明では、カラー画像表示を表示可能な表示部を備えた画像表示装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部が設けられた電気機器であれば何等限定されるものではなく、例えば電子手帳等のPDAなどの携帯情報端末、パソコンやテレビなどに付随する表示装置、あるいは電子ペーパーその他、各種表示部を備えた電気機器に好適に用いることができる。
【0203】
また、上記の説明では、導電性液体への電界印加に応じて、当該導電性液体を移動させるエレクトロウェッティング方式の表示素子を構成した場合について説明したが、本発明の表示素子は、これに限定されるものではなく、外部電界を利用して、表示用空間の内部で導電性液体を動作させることにより、表示面側の表示色を変更可能な電界誘導型の表示素子であれば何等限定されるものではなく、電気浸透方式、電気泳動方式、誘電泳動方式などの他の方式の電界誘導型表示素子に適用することができる。
【0204】
但し、上記各実施形態のように、エレクトロウェッティング方式の表示素子を構成する場合の方が、導電性液体を低い駆動電圧で高速に移動させることが可能となる。それ故、動画表示を容易に行うことが可能で、表示性能に優れた表示素子を容易に構成することができる点で好ましい。また、エレクトロウェッティング方式の表示素子では、導電性液体の移動に応じて表示色が変更されるので、液晶表示装置等と異なり、視野角依存性がない点でも好ましい。さらには、画素毎にスイッチング素子を設ける必要がないので、構造簡単で高性能なマトリクス駆動方式の表示素子を低コストで構成できる点でも好ましい。しかも、液晶層などの複屈折材料を用いていないので、情報表示に使用される、バックライトからの光や外光の光利用効率に優れた高輝度な表示素子を容易に構成できる点でも好ましい。
【0205】
また、上記の説明では、下部基板(第2の基板)側にY方向に平行な溝(液溜部)を設けた構成について説明したが、本発明の液溜部は、第1及び第2の基板の少なくとも一方の基板に表示用空間に導通するように、非有効表示領域側に設けられるとともに、導電性液体を溜めるように構成されたものであれば何等限定されない。
【0206】
また、上記の説明では、画素領域の左端部側に設けた溝(液溜部)の内部に走査電極(第1の電極部材)を設置して、当該左端部側に非有効表示領域側を設定した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、信号ライン及び走査ラインの一方には、液溜部内の導電性液体に接触するように設けられた第1の電極部材が用いられ、信号ライン及び走査ラインの他方には、導電性液体及び第1の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、有効表示領域側に設けられた第2の電極部材が用いられ、保持ラインには、導電性液体、第1の電極部材、及び第2の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、有効表示領域側に設けられた第3の電極部材が用いられていればよい。
【0207】
具体的にいえば、例えば画素領域の中央部に溝(液溜部)を形成し、当該中央部に非有効表示領域を設定し、左端部及び右端部に有効表示領域を設定する構成でもよい。尚、左端部及び右端部の各有効表示領域P1に対して、上記実施形態のものと同様に、開口部を形成して、RGBいずれかのカラーフィルタ部を形成することでカラー画像表示を実施可能な表示素子を構成することができる。
【0208】
また、例えば走査電極を溝と互いに平行に設けるとともに、当該走査電極は溝の内部の導電性液体と画素単位に接触するように構成してもよい。つまり、この走査電極には、下部基板の表面上で溝と平行に設けられる電極本体部と、この電極本体部から溝の内部側に突出するように画素単位に形成された突出部とを設けて、走査電極が突出部を介して溝内部の導電性液体と画素単位に電気的に接触させてもよい。尚、このように構成した場合には、溝の内部を画素単位に区切って、導電性液体を溜める液溜部を画素単位に構成することもできる。
【0209】
また、図45に例示するように、溝(液溜部)10内に溜められた導電性液体を走査ラインとして用いることもできる。すなわち、同図45に示すように、溝12の内部には、走査電極5の端部だけが導入されて、当該溝12内部の導電性液体と電気的に接触するように構成されている。そして、走査ドライバ(走査電圧印加部)が走査電圧を印加したときに、溝12の内部に設けた走査電極5に代えて、導電性液体自体を走査ラインに用いて、印加された走査電圧を各画素領域に対して供給可能に構成されている。このように導電性液体自体を用いる場合には、走査ラインまたは信号ラインに使用する第1の電極部材を大幅に小さくすることができ、製造簡単な表示素子をより容易に構成することができる。
【0210】
また、上記第1〜第6の実施形態の説明では、略帯状(櫛歯状)の信号電極(第2の電極部材)6を用いて、図5などに例示したように、ブラックマトリクス部11s(非有効表示領域P2)に対向する部分にも当該信号電極6を設置し、さらに誘電体層17及び撥水層18を順次積層した場合について説明した。また、上記第7〜第13の実施形態の説明では、略帯状(櫛歯状)の走査電極(第2の電極部材)5を用いて、図25などに例示したように、ブラックマトリクス部11s(非有効表示領域P2)に対向する部分にも当該走査電極5を設置し、さらに誘電体層17及び撥水層18を順次積層した場合について説明した。
【0211】
しかしながら、本実施形態の第2の電極部材は、これに限定されるものではなく、少なくとも有効表示領域P1(つまり、いずれかのカラーフィルタ部11r、11g、11b)に対向するように当該有効表示領域P1側に設けられて、電圧が印加されたときにエレクトロウェッティング現象を発生させて導電性液体14を有効表示領域P1側に移動可能に構成されたものであれば何等限定されない。
【0212】
また、上記の説明では、複数の走査電極または複数の信号電極と互いに交互に、かつ、マトリクス状の列方向(Y方向)または行方向(X方向)にストライプ状に設けられた複数の線状の保持電極(保持ライン)を用いた場合について説明した。しかしながら、本発明の保持ラインは、信号ラインと走査ラインとの交差部の近傍で、有効表示領域側に設けられるとともに、保持電圧印加部から保持電圧が印加されて、非有効表示領域側に設けられた信号ラインまたは走査ラインとの間の電圧差が所定の電圧差以上とされたときに、エレクトロウェッティング現象を発生させて導電性液体14を有効表示領域P1側で保持できるものであれば何等限定されない。
【0213】
また、上記の説明では、塩化カリウムの水溶液を導電性液体に用いるとともに、金、銀、銅、白金、及びパラジウムの少なくとも一つを用いて、走査電極または信号電極(第1の電極部材)を構成した場合について説明したが、本発明は導電性液体と接触する第1の電極部材に、当該導電性液体に対して電気化学的に不活性な材料を用いたものであれば何等限定されない。具体的にいえば、導電性液体には、塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アルカリ金属水酸化物、酸化亜鉛、塩化ナトリウム、リチウム塩、リン酸、アルカリ金属炭酸塩、酸素イオン伝導性を有するセラミックスなどの電解質を含んだものを使用することができる。また、溶媒には、水以外に、アルコール、アセトン、ホルムアミド、エチレングリコールなどの有機溶媒を使用することもできる。さらに、本発明の導電性液体には、ピリジン系、脂環族アミン系、または脂肪族アミン系などの陽イオンと、フッ化物イオンやトリフラート等のフッ素系などの陰イオンとを含んだイオン液体(常温溶融塩)を使用することもできる。
【0214】
但し、上記の各実施形態のように、所定の電解質を溶かした水溶液を導電性液体に使用する場合の方が、取扱性に優れるとともに、製造が簡単な表示素子を容易に構成することができる点で好ましい。
【0215】
また、本発明の第1の電極部材には、例えばアルミニウム、ニッケル、鉄、コバルト、クロム、チタン、タンタル、ニオブあるいはそれらの合金などの導電性を有する金属を用いた電極本体と、この電極本体の表面を覆うように設けられた酸化被膜とを備えた不動態を使用することができる。
【0216】
但し、上記の各実施形態のように、金、銀、銅、白金、及びパラジウムの少なくとも一つを第1の電極部材に用いる場合の方が、イオン化傾向の小さい金属を使用することとなり、当該電極の簡略化を図りつつ、導電性液体との間での電気化学反応を確実に防ぐことが可能となって信頼性の低下が防がれた長寿命な表示素子を容易に構成することができる点で好ましい。また、イオン化傾向の小さい金属は導電性液体との間の界面に生じる界面張力を比較的小さくすることができることから、導電性液体を移動させないときでは、その固定位置で当該導電性液体を安定した状態で容易に保持できる点でも好ましい。
【0217】
また、上記の説明では、信号電極または走査電極(第2の電極部材)及び保持電極(第3の電極部材)を下部基板(第2の基板)の表面または上部基板(第1の基板)の表面に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、絶縁材料からなる第1または第2の基板の内部に埋設した第2及び第3の電極部材を用いることもできる。このように構成した場合には、第1または第2の基板を誘電体層として兼用させることができ、当該誘電体層の設置を省略することができる。
【0218】
但し、上記実施形態のように、信号ライン及び走査ラインのうち、有効表示領域側に設けられた一方側に、誘電体層を設ける場合の方が、誘電体層が導電性液体に印加する電界を確実に大きくして、当該導電性流体の移動速度をより容易に向上することができる点で好ましい。また、保持ラインに誘電体層を設ける場合の方が、当該保持ラインによって導電性液体をより確実に導電性液体を保持することができる点でも好ましい。
【0219】
また、上記の説明では、透過型の表示素子を構成した場合について説明したが、本発明の表示素子はこれに限定されるものではなく、例えば図46及び図47にそれぞれ例示するように、反射型の表示素子及び半透過型の表示素子にも適用することができる。
【0220】
つまり、図46に例示するように、下部基板4の背面側には、拡散反射板24が設けられている。この拡散反射板24には、ブラックマトリクス部11sに対向するように設けられた透明部24aと、カラーフィルタ部11r、11g、11bの各々に対向するように設けられるとともに、上部基板2側(表示面側)から入射された外光を表示面側に反射する光反射部24bとが設けられている。そして、この表示素子では、光反射部24bが外部から入射された外光を反射することにより表示動作を行うようになっており、反射型の表示素子が構成されている。
【0221】
また、図47に例示するように、下部基板4の背面側には、拡散反射板24とバックライト21とがこの順番で設けられている。この拡散反射板24では、光反射部24bの大きさが図46に示した光反射部24bの1/2の大きさとされている。つまり、この表示素子では、カラーフィルタ部11r、11g、11bの各々に対して、透明部24aと光反射部24bとが対向するようになっている。そして、この表示素子では、光反射部24bにて反射された外光及びバックライト21からの照明光により表示動作が行われるようになっており、半透過型の表示素子が構成されている。
【0222】
また、上記の説明では、無極性のオイルを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、導電性液体と混じり合わない絶縁性流体であればよく、例えばオイルに代えて、空気を使用してもよい。また、オイルとして、シリコーンオイル、脂肪系炭化水素などを使用することができる。
【0223】
但し、上記の各実施形態のように、導電性液体と相溶性がない無極性のオイルを用いた場合の方が、空気と導電性液体とを用いる場合よりは、無極性のオイル中で導電性液体の液滴がより移動し易くなって、当該導電性液体を高速移動させることが可能となり、表示色を高速に切り換えられる点で好ましい。
【0224】
また、上記の説明では、黒色に着色された導電性液体及びカラーフィルタ層を用いて、RGBの各色の画素を表示面側に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の画素領域が、表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられているものであればよい。具体的には、RGB、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のCMY、またはRGBYCなどに着色された複数色の導電性液体を用いることもできる。
【0225】
また、上記の説明では、カラーフィルタ層を上部基板(第1の基板)の非表示面側の表面に形成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の基板の表示面側の表面や下部基板(第2の基板)側にカラーフィルタ層を設置することもできる。このように、カラーフィルタ層を用いる場合の方が、複数色の導電性液体を用意する場合に比べて、製造簡単な表示素子を容易に構成できる点で好ましい。また、このカラーフィルタ層に含まれたカラーフィルタ部(開口部)及びブラックマトリクス部(遮光膜)により、表示用空間に対し、有効表示領域及び非有効表示領域をそれぞれ適切に、かつ、確実に設定することができる点でも好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0226】
本発明は、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる表示素子、及びこれを用いた電気機器に対して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0227】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。
【図2】表示面側から見た場合での図1に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図3】表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図4】上記表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】上記表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。
【図8】図7に示した表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【図9】表示面側から見た場合での本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図11】図10のA−A線断面図である。
【図12】表示面側から見た場合での本発明の第4の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図13】本発明の第4の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図14】図13のA−A線断面図である。
【図15】表示面側から見た場合での本発明の第5の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図16】本発明の第5の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図17】図16のA−A線断面図である。
【図18】表示面側から見た場合での本発明の第6の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図19】本発明の第6の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図20】図19のA−A線断面図である。
【図21】本発明の第7の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。
【図22】表示面側から見た場合での図21に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図23】表示面側から見た場合での図21に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図24】図21に示した表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図25】図24のA−A線断面図である。
【図26】図21に示した表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【図27】本発明の第8の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。
【図28】図27に示した表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【図29】表示面側から見た場合での本発明の第9の実施形態にかかる表示素子の上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図30】本発明の第9の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図31】図30のA−A線断面図である。
【図32】表示面側から見た場合での本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図33】表示面側から見た場合での本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図34】本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図35】図34のA−A線断面図である。
【図36】表示面側から見た場合での本発明の第11の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図37】本発明の第11の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図38】図37のA−A線断面図である。
【図39】表示面側から見た場合での本発明の第12の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図40】本発明の第12の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図41】図40のA−A線断面図である。
【図42】表示面側から見た場合での本発明の第13の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図43】本発明の第13の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図44】図43のA−A線断面図である。
【図45】表示面側から見た場合での図5に示した表示素子の別の変形例の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図46】図5に示した表示素子の別の変形例の要部構成を示す断面図である。
【図47】図5に示した表示素子の別の変形例の要部構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0228】
1 画像表示装置(電気機器)
2 表示素子(表示部)
3 上部基板(第1の基板)
4 下部基板(第2の基板)
5 走査電極(走査ライン、第1及び第2の電極部材)
5a 端子部(走査ライン)
6 信号電極(信号ライン、第1及び第2の電極部材)
6a 端子部(信号ライン)
7 保持電極(保持ライン、第3の電極部材)
7a 端子部(保持ライン)
7e、7f 保持電極部分
8 走査ドライバ(走査電圧印加部)
8a 配線(走査ライン)
9 信号ドライバ(信号電圧印加部)
9a 配線(信号ライン)
10 保持ドライバ(保持電圧印加部)
10a、10c 配線(保持ライン)
10b 端子台(保持ライン)
11 カラーフィルタ層
11r、11g、11b カラーフィルタ部(開口部)
11s ブラックマトリクス部(遮光膜)
12 溝(液溜部)
13a、13b リブ(仕切壁)
14 導電性液体
15 オイル(絶縁性流体)
17、19 誘電体層
S 表示用空間
P 画素領域
P1 有効表示領域
P2 非有効表示領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性液体を移動させることにより、画像や文字などの情報を表示する表示素子、及びこれを用いた電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子では、エレクトロウェッティング方式の表示素子に代表されるように、外部電界による導電性液体の移動現象を利用して、情報の表示を行うものが開発され、実用化されている。
【0003】
具体的にいえば、上記のような従来の表示素子では、例えば下記特許文献1に記載されているように、第1及び第2の基板と、これらの基板間に形成された表示用空間の内部に封入された導電性液体としての透明な水及び所定の色に着色されたオイルとが設けられている。また、この従来の表示素子は、第1の基板側に設けられたカウンタ電極と、第2の基板側に設けられたアドレス電極及び保持電極とを備えている。これらの電極のうち、カウンタ電極及び保持電極はマトリクス状の行方向に設けられた行電極を構成し、アドレス電極はマトリクス状の列方向に設けられた列電極を構成しており、従来の表示素子では、マトリクス駆動が行えるようになっている。
【0004】
すなわち、上記従来の表示素子では、アドレス電極に対して、0Vよりも大きい+電位の電圧またはこの+電位の電圧よりも大きい++電位の電圧を印加することにより、1つの行に対する列(アドレス電極)に、オンまたはオフ情報を与える。その後、従来の表示素子では、行電極、つまりカウンタ電極及び保持電極の行電位を+電位とすることによって行を選択する。これにより、従来の表示素子では、選択された行と交差するアドレス電極に++電位が印加された画素ではオンが維持されて、当該アドレス電極側(非有効表示領域側)に集められていたオイルが保持電極側(有効表示領域側)に広がらずに、当該画素の表示色が変更されない。
【0005】
一方、従来の表示素子では、選択された行と交差するアドレス電極に+電位が印加された画素ではオンからオフに変化して、当該アドレス電極側に集められていたオイルが保持電極側に広がり、当該画素の表示色が変更される。このように、従来の表示素子では、マトリクス駆動が行われて、表示面側の表示色が画素単位に変更されるように構成されている。
【特許文献1】特表2006−519412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の表示素子では、マトリクス駆動を行わせる場合に、印加する駆動電圧が複雑であり、その駆動制御を容易に行えなかった。
【0007】
具体的にいえば、従来の表示素子では、+電位の電圧または++電位の電圧をアドレス電極に印加した後、カウンタ電極及び保持電極に対して、+電位の電圧を同時に印加する必要があった。つまり、この従来の表示素子では、カウンタ電極への+電位の電圧印加のタイミングと保持電極への+電位の電圧印加のタイミングがずれると、画素の表示色の状態がリセットされるおそれがあり、+電位の電圧をカウンタ電極及び保持電極に同時に印加する必要があった。このため、従来の表示素子では、その駆動制御の簡単化を図ることが困難であった。
【0008】
上記の課題を鑑み、本発明は、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる表示素子、及びこれを用いた電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる表示素子は、表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部に移動可能に封入された導電性液体とを具備し、前記導電性液体を前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の一方側に設けられ、所定の電圧範囲内の信号電圧が印加可能に構成された複数の信号ラインと、
前記複数の信号ラインに対して交差するように、前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設けられ、所定の電圧範囲内の走査電圧が印加可能に構成された複数の走査ラインと、
前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部の近傍で、前記有効表示領域側に設けられ、所定の電圧範囲内の保持電圧が印加可能に構成された複数の保持ラインと、
前記複数の各信号ラインに対して、前記信号電圧を印加する信号電圧印加部と、
前記複数の各走査ラインに対して、前記走査電圧を印加する走査電圧印加部と、
前記複数の各保持ラインに対して、前記保持電圧を印加する保持電圧印加部とを備え、
前記信号電圧印加部及び前記走査電圧印加部が、前記信号ライン及び前記走査ラインに対してそれぞれ信号電圧及び走査電圧を印加することにより、前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部単位に前記導電性液体を前記有効表示領域側に移動させ、かつ、
前記保持電圧印加部は、前記保持ラインに対して保持電圧を印加して、前記保持ラインと、前記信号ライン及び前記走査ラインのうち前記非有効表示領域側に設けられた前記信号ラインまたは前記走査ラインとの間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、前記有効表示領域側に移動させた前記導電性液体を保持させることを特徴とするものである。
【0010】
上記のように構成された表示素子では、有効表示領域側及び非有効表示領域側の一方側に設けられ、所定の電圧範囲内の信号電圧が印加可能に構成された複数の信号ラインが設けられている。また、表示素子では、複数の信号ラインに対して交差するように、有効表示領域側及び非有効表示領域側の他方側に設けられ、所定の電圧範囲内の走査電圧が印加可能に構成された複数の走査ラインが設けられている。また、表示素子では、信号ラインと走査ラインとの交差部の近傍で、有効表示領域側に設けられ、所定の電圧範囲内の保持電圧が印加可能に構成された複数の保持ラインが設けられている。また、表示素子では、上記信号電圧印加部及び上記走査電圧印加部が、信号ライン及び走査ラインに対してそれぞれ信号電圧及び走査電圧を印加して、信号ラインと走査ラインとの交差部単位に導電性液体を有効表示領域側に移動させる。さらに、表示素子では、保持電圧印加部は、保持ラインに対して保持電圧を印加して、保持ラインと、信号ライン及び走査ラインのうち非有効表示領域側に設けられた信号ラインまたは走査ラインとの間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、有効表示領域側に移動させた導電性液体を保持させる。これにより、上記従来例と異なり、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる表示素子を構成することができる。
【0011】
また、上記表示素子において、前記第1及び第2の基板の少なくとも一方の基板に前記表示用空間に導通するように、前記非有効表示領域側に設けられるとともに、前記導電性液体を溜める液溜部を備え、
前記信号ライン及び前記走査ラインの一方には、前記液溜部内の前記導電性液体に接触するように設けられた第1の電極部材が用いられ、
前記信号ライン及び前記走査ラインの他方には、前記導電性液体及び前記第1の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、前記有効表示領域側に設けられた第2の電極部材が用いられ、
前記保持ラインには、前記導電性液体、前記第1の電極部材、及び前記第2の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、前記有効表示領域側に設けられた第3の電極部材が用いられていることが好ましい。
【0012】
この場合、信号ラインと走査ラインとに電圧印加が行われたときに、導電性液体が液溜部から有効表示領域側に移動されて、表示面側の表示色を変更されるとともに、保持ラインと、非有効表示領域側に設けられた信号ラインまたは走査ラインとの間の電圧差が所定の電圧差以上とされたときに、導電性液体は有効表示領域側で保持される。
【0013】
また、上記表示素子において、前記信号電圧印加部は、前記複数の各信号ラインに対して、前記表示面側に表示される情報に応じて、前記信号電圧を印加するように構成され、
前記保持ラインには、前記信号ライン及び前記走査ラインのうち前記非有効表示領域側に設けられた前記信号ラインまたは前記走査ラインと平行に設けられた複数の保持電極部分が設けられていることが好ましい。
【0014】
この場合、保持電極部分が印加された信号電圧に応じて、有効表示領域側に移動した導電性液体を保持することとなり、表示面側に表示される情報に対応した中間調の表示色を容易に表示することができる。
【0015】
また、上記表示素子において、前記複数の各保持電極部分では、その一端部側が前記有効表示領域の外側に引き出されるとともに、前記複数の保持電極部分は、前記有効表示領域の外側で互いに電気的に接続されてもよい。
【0016】
この場合、複数の保持電極部分は有効表示領域の外側で互いに電気的に接続されているので、上記保持電圧が印加されたときに有効表示領域の内部で導電性液体が不必要に保持されるのを防ぐことができる。この結果、中間調の表示色の表示精度を向上させることができる。
【0017】
また、上記表示素子において、複数の画素領域が、前記表示面側に設けられるとともに、
前記複数の各画素領域は、前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部単位に設けられ、かつ、前記各画素領域では、前記表示用空間が仕切壁にて区切られてもよい。
【0018】
この場合、表示面側の複数の各画素において導電性液体を移動させることにより、表示面側での表示色を画素単位に変更することができる。
【0019】
また、上記表示素子において、前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられてもよい。
【0020】
この場合、複数の各画素において対応する導電性液体が適切に移動されることにより、カラー画像表示を行うことができる。
【0021】
また、上記表示素子において、前記表示用空間の内部には、前記導電性液体と混じり合わない絶縁性流体が当該表示用空間の内部を移動可能に封入されていることが好ましい。
【0022】
この場合、導電性液体の移動速度の高速化を容易に図ることができる。
【0023】
また、上記表示素子において、前記信号ライン及び前記走査ラインのうち、前記有効表示領域側に設けられた一方側と、前記保持ラインには、誘電体層が設けられていることが好ましい。
【0024】
この場合、誘電体層が導電性液体に印加する電界を確実に大きくして、当該導電性流体の移動速度をより容易に向上することができるとともに、保持ラインによって導電性液体をより確実に導電性液体を保持することができる。
【0025】
また、上記表示素子において、前記非有効表示領域は、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた遮光膜によって設定され、
前記有効表示領域は、前記遮光膜に形成された開口部によって設定されてもよい。
【0026】
この場合、表示用空間に対し、有効表示領域及び非有効表示領域を適切に、かつ、確実に設定することができる。
【0027】
また、上記表示素子において、前記保持電圧印加部は、前記複数の保持電極に対して、前記保持電圧を一括して印加することが好ましい。
【0028】
この場合、保持電圧印加部は保持電圧の電圧印加を容易に行うことができ、当該保持電圧印加部の負担を容易に軽減することができる。
【0029】
また、本発明の電気機器は、文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電気機器であって、
前記表示部に、上記いずれかの表示素子を用いたことを特徴とするものである。
【0030】
上記のように構成された電気機器では、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる表示素子が表示部に用いられているので、優れた表示品位を有する表示部を備えた高性能な電気機器を容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる表示素子、及びこれを用いた電気機器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の表示素子及び電気機器の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、カラー画像表示を表示可能な表示部を備えた画像表示装置に本発明を適用した場合を例示して説明する。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0033】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図1において、本実施形態の画像表示装置1では、本発明の表示素子2を用いた表示部が設けられており、この表示部には矩形状の表示面が構成されている。すなわち、表示素子2は、図1の紙面に垂直な方向で互いに重ね合うように配置された上部基板3及び下部基板4を備えており、これらの上部基板3と下部基板4との重なり部分によって上記表示面の有効表示領域が形成されている(詳細は後述。)。
【0034】
また、表示素子2では、複数の走査電極5及び複数の保持電極7が、互いに交互に、かつ、Y方向に沿ってストライプ状に設けられている。また、これら複数の各走査電極5は、下部基板4に設けられた後述の溝(液溜部)の内部に設置されている。また、表示素子2では、複数の信号電極6が互いに所定の間隔をおいて、かつ、X方向に沿ってストライプ状に設けられている。これらの複数の走査電極5及び複数の保持電極7と、複数の信号電極6とは、互いに交差するように設けられており、表示素子2では、走査電極5と信号電極6との交差部単位に、複数の各画素領域が設定されている。
【0035】
また、これら複数の走査電極5、複数の信号電極6、及び複数の保持電極7は、所定の電圧範囲内の走査電圧、所定の電圧範囲内の信号電圧、及び所定の電圧範囲内の保持電圧がそれぞれ印加可能に構成されている(詳細は後述。)。
【0036】
さらに、表示素子2では、後に詳述するように、上記複数の各画素領域が仕切壁にて区切られるとともに、複数の画素領域が、上記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられている。そして、表示素子2では、マトリクス状に設けられた複数の画素(表示セル)毎に、エレクトロウェッティング現象にて後述の導電性液体を移動させ、表示面側での表示色を変更するようになっている。
【0037】
また、複数の走査電極5、複数の信号電極6、複数の保持電極7では、各々一端部側が表示面の有効表示領域の外側に引き出されて、端子部5a、6a、及び7aが形成されている。
【0038】
複数の信号電極6の各端子部6aには、配線9aを介して信号ドライバ9が接続されている。信号ドライバ9は、信号電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各信号電極6に対して、情報に応じて信号電圧を印加するように構成されている。
【0039】
また、複数の走査電極5の各端子部5aには、配線8aを介して走査ドライバ8が接続されている。走査ドライバ8は、走査電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各走査電極5に対して、走査電圧を印加するように構成されている。
【0040】
また、走査ドライバ8では、複数の各走査電極5に対して、上記導電性液体が移動するのを阻止する非選択電圧と、導電性液体が信号電圧に応じて移動するのを許容する選択電圧との一方の電圧を走査電圧として印加するようになっている。
【0041】
また、複数の保持電極7の各端子部7aには、配線10aを介して保持ドライバ10が接続されている。保持ドライバ10は、保持電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各保持電極10に対して、所定の保持電圧を印加するように構成されている。
【0042】
そして、画像表示装置1では、走査ドライバ8が例えば図1の左側から右側の各走査電極5に対し、選択電圧を順次印加することにより、ライン毎の走査動作が行われるように構成されている。また、画像表示装置1では、走査ドライバ8による走査動作が行われたときに、信号ドライバ9が情報に応じて信号電圧を印加して、互いに交差する走査電極5と信号電極6との間の電圧差を所定の電圧差以上することにより、対応する画素において、導電性液体が動作して表示面側の表示色が変更されるようになっている。さらに、画像表示装置1では、保持ドライバ10が保持電圧を印加して、保持電極7と走査電極5との間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、導電性液体を動作位置で保持させて、表示色を維持するように構成されている(詳細は後述。)。
【0043】
また、走査ドライバ8、信号ドライバ9、及び保持ドライバ10には、例えば直流電源が含まれており、所定の電圧範囲内の走査電圧、所定の電圧範囲内の信号電圧、及び所定の電圧範囲内の保持電圧を供給するようになっている。
【0044】
また、信号電極6及び配線9aが画素領域での後述の有効表示領域側及び非有効表示領域側の一方側に設けられた信号ラインを構成し、走査電極5及び配線8aが画素領域での上記有効表示領域側及び非有効表示領域側の他方側に設けられた走査ラインを構成している。さらには、保持電極7及び配線10aが、信号ラインと走査ラインとの交差部の近傍で、有効表示領域側に設けられた保持ラインを構成している。
【0045】
ここで、図2〜図5も参照して、表示素子2の画素構造について具体的に説明する。
【0046】
図2は表示面側から見た場合での図1に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図であり、図3は表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図4は上記表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図5は図4のA−A線断面図である。なお、図2〜図4では、図面の簡略化のために、上記表示面に設けられた複数の画素のうち、図1の左上端部に配設された9個の画素を図示している(後掲の対応する図面においても、同様。)。
【0047】
図2〜図5において、表示素子2は、表示面側に設けられた第1の基板としての上記上部基板3と、上部基板3の背面側(非表示面側)に設けられた第2の基板としての上記下部基板4とを備えている。また、表示素子2では、上部基板3と下部基板4が互いに所定の間隔をおいて配置されることにより、これら上部基板3及び下部基板4の間に所定の表示用空間Sが形成されている。さらに、表示素子2では、表示用空間Sに導通するように、後述の非有効表示領域P2側で下部基板4に設けられるとともに、上記導電性液体14を溜める液溜部としての上記溝12が複数形成されている。すなわち、図3に例示するように、複数の溝12が、互いに所定の間隔をおいて、かつ、Y方向に沿ってストライプ状に下部基板4に設けられており、各溝12の内部には、上述したように、走査電極5が設置されている。
【0048】
また、表示用空間Sの内部には、導電性液体14に加えて、この導電性液体14と混じり合わない絶縁性のオイル15が当該表示用空間Sの内部で上記X方向(図4の左右方向)に移動可能に封入されており、導電性液体14は後述の有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に移動できるようになっている。
【0049】
導電性液体14には、例えば溶媒としての水と、溶質としての所定の電解質を含んだ水溶液が用いられている。具体的には、例えば1mmol/Lの塩化カリウム(KCl)の水溶液が導電性液体14に用いられている。また、導電性液体14には、顔料や染料などによって黒色に着色されたものが使用されている。
【0050】
また、導電性液体14は黒色に着色されているので、当該導電性液体14は、各画素において、光の透過を許容または阻止するシャッターとして機能するようになっている。つまり、表示素子2の各画素では、後に詳述するように、導電性液体14が表示用空間Sの内部を有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側(溝12側)に移動することによって表示色が黒色またはRGBのいずれかの色に変更されるよう構成されている。
【0051】
また、オイル15には、例えば側鎖高級アルコール、側鎖高級脂肪酸、アルカン炭化水素、シリコーンオイル、マッチングオイルから選択された1種または複数種からなる無極性で、かつ、無色透明なオイルが用いられている。また、このオイル15は、導電性液体14の移動に伴って、表示用空間Sの内部を移動するようになっている。
【0052】
上部基板3には、無アルカリガラス基板などの透明なガラス材またはアクリル系樹脂などの透明な合成樹脂等の透明な透明シート材が用いられている。また、上部基板3の非表示面側の表面には、カラーフィルタ層11が形成されている。さらに、上部基板3では、カラーフィルタ層11の非表示面側の表面に、上記信号電極6及び親水層16が形成されている。
【0053】
信号電極6は、図2に"H1"及び"H2"にて例示するように、Y方向での寸法が異なる略帯状に構成されている。言い換えれば、信号電極6では、走査電極5と対向される部分が、少なくとも有効表示領域P1に対向される部分に比べて、大幅に小さくされた櫛歯状に構成されている。また、信号電極6において、上記寸法H1及びH2は、好ましくはH2/H1=1/10、より好ましくはH2/H1=1/20に設定されている。
【0054】
また、この信号電極6の表面上には、誘電体層17、リブ13a、13b、及び撥水層18が順次形成されている。また、親水層16は、信号電極6が形成されていないカラーフィルタ層11上で、溝12と対向するように、当該カラーフィルタ層11の非表示面側の表面に設けられている。また、リブ13a及び13bは、図2に例示するように、誘電体層17の表面上で、例えばY方向及びX方向にそれぞれ平行となるように設けられており、これらリブ13a及び13bは、画素単位に形成されている。
【0055】
また、下部基板4には、上部基板3と同様に、無アルカリガラス基板などの透明なガラス材またはアクリル系樹脂などの透明な合成樹脂等の透明な透明シート材が用いられている。また、下部基板4では、上記溝10を除く、表示面側の表面上に、撥水層22が形成されている。
【0056】
さらに、下部基板4では、溝10の内部に設置された走査電極5に加えて、線状の上記保持電極7が撥水層22の表面上に設けられている。この保持電極7は、有効表示領域P1の右端部側(つまり、有効表示領域P1の非有効表示領域P2とは反対の端部側)に対向するように、撥水層22上に形成されている。また、保持電極7の表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。
【0057】
さらに、下部基板4の背面側(非表示面側)には、例えば白色の照明光を発光するバックライト21が一体的に組み付けられており、透過型の表示素子2が構成されている。すなわち、本実施形態の表示素子2では、バックライト21からの照明光を使用して表示動作が行われるので、外光が不十分な場合や夜間などでも、適切な表示動作を行えるようになっている。
【0058】
カラーフィルタ(Color Filter)層11には、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーフィルタ部11r、11g、及び11bと、遮光膜としてのブラックマトリクス部11sとが設けられており、RGBの各色の画素を構成するようになっている。つまり、カラーフィルタ層11では、図2に例示するように、RGBのカラーフィルタ部11r、11g、11bがX方向に沿って順次設けられるとともに、各々3つのカラーフィルタ部11r、11g、11bがY方向に沿って設けられており、X方向及びY方向にそれぞれ3個及び3個、合計9個の画素が配設されている。
【0059】
また、表示素子2では、図2に例示するように、各画素領域Pにおいて、画素の有効表示領域P1に対応する箇所にRGBのいずれかのカラーフィルタ部11r、11g、及び11bが設けられ、非有効表示領域P2に対応する箇所にブラックマトリクス部11sが設けられている。つまり、表示素子2では、上記表示用空間Sに対し、ブラックマトリクス部(遮光膜)11sによって非有効表示領域P2(非開口部)が設定され、そのブラックマトリクス部11sに形成された開口部(つまり、いずれかのカラーフィルタ部11r、11g、及び11g)によって有効表示領域P1が設定されている。
【0060】
また、表示素子2では、カラーフィルタ部11r、11g、11bの各面積は、有効表示領域P1の面積に対し、同一または若干大きい値が選択されている。一方、ブラックマトリクス部11sの面積は、非有効表示領域P2の面積に対し、同一または若干小さい値が選択されている。言い換えれば、表示素子2では、カラーフィルタ部11r、11g、11bの各面積よりも、導電性液体14が有効表示領域P1側に引き出される面積(つまり、有効表示領域P1側に設けられて、エレクトロウェッティング現象によって導電性液体14を引き出すための電極面積(信号電極面積))の方が若干大きく設定されている。尚、図2では、隣接する画素の境界部を明確にするために、隣接する画素に応じた2つのブラックマトリクス部11s間の境界線を点線にて示しているが、実際のカラーフィルタ層11では、ブラックマトリクス部11s間の境界線は存在しない。
【0061】
また、表示素子2では、上記仕切壁としてのリブ13a、13bにより表示用空間Sが画素領域P単位に区切られている。すなわち、表示素子2では、各画素の表示用空間Sは、図2に例示するように、同図2のX方向では、隣接する2つの画素のリブ13aによって区画されている。また、図2のY方向では、表示用空間Sは、互いに対向する2つのリブ13bによって区画されている。さらに、表示素子2では、リブ13a、13bによって導電性液体14が隣接する画素領域Pの表示用空間Sの内部に流入するのが防がれている。すなわち、リブ13a、13bには、例えば光硬化性樹脂が用いられており、リブ13a、13bでは、隣接する画素間で導電性液体14の流入出が防止されるように、上部基板3からの突出高さが決定されている。
【0062】
誘電体層17、19は、例えばパリレンや窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、あるいは酸化アルミニウムを含有した透明な誘電体膜によって構成されている。また、撥水層18、20、22には、透明な合成樹脂、好ましくは電圧印加時に導電性液体14に対し親水層となる、例えばフッ素系樹脂が使用されている。これにより、表示素子2では、上部基板3及び下部基板4の表示用空間S側の表面側での導電性液体14との間の濡れ性(接触角)を大きく変化させることができ、導電性液体14の移動速度の高速化を図ることができる。
【0063】
親水層16には、例えばヒドロキシ基、アミド基、あるいはカルボキシル基等の親水基を有する有機系材料が用いられている。そして、親水層16は、導電性液体14の溝12側(非有効表示領域P2側)から有効表示領域P1側への移動を円滑行わせるようになっている。
【0064】
尚、この説明以外に、例えば二酸化ケイ素などの無機系材料、金、アルミニウム、銅などの金属材料、またはPVA(ポリビニルアルコール)、尿素樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂を親水層に使用することもできる。また、上部基板3が親水性を有する材料を使用して構成されている場合では、親水層16の設置を省略することもできる。
【0065】
走査電極5は、溝(液溜部)12内の導電性液体14に接触するように設けられた第1の電極部材を構成しており、走査電極5には、非有効表示領域P2側でY方向に平行となるように配置された線状配線が用いられている。
【0066】
また、この走査電極5には、導電性液体14に対して電気化学的に不活性な材料が使用されており、当該走査電極5に上記走査電圧(例えば、−4V)が印加されたときでも、導電性液体14と電気化学反応を極力生じないように構成されている。これにより、走査電極5の電気分解の発生を防いで、表示素子2の信頼性及び寿命を向上させることができる。
【0067】
具体的にいえば、走査電極5には、金、銀、銅、白金、及びパラジウムの少なくとも一つを含んだ電極材料が用いられている。また、走査電極5は、上記金属材料からなる細線を溝12の内部に固定したり、スクリーン印刷法などを用いて、溝12の底面上に金属材料を含んだ導電性ペースト材などのインク材を載置したりすることで形成されている。
【0068】
信号電極6は、導電性液体14及び走査電極(第1の電極部材)5に対して電気的に絶縁された状態で、有効表示領域P1側に設けられた第2の電極部材を構成しており、信号電極6には、X方向に平行となるように配置された透明な線状配線が用いられている。具体的にいえば、信号電極6には、酸化インジウム系(ITO)、酸化スズ系(SnO2)、または酸化亜鉛系(AZO、GZO、あるいはIZO)などの透明な電極材料が用いられている。また、信号電極6は、スパッタ法等の公知の成膜方法により、カラーフィルタ層11に略帯状に形成されている。
【0069】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図5の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図5の右端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと走査電極5との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0070】
上記のように構成された本実施形態の表示素子2の表示動作について、図6も参照して具体的に説明する。
【0071】
図6は、上記表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【0072】
本実施形態の表示素子2では、図6(a)に示すように、走査ドライバ8が、例えば図4の左側の走査電極5に対して供給する走査電圧を、時点T2で非選択電圧V1(例えば、0V)から選択電圧V2(例えば、−4V)とする。これにより、表示素子2では、図4の左側の画素列に対する走査動作が開始される。そして、走査ドライバ8が、時点T3で走査電圧を非選択電圧V1とするまで、図4の左側の画素列に対する走査動作が維持される。
【0073】
また、信号ドライバ9は、時点T2で上記走査動作が開始されると、図6(b)〜(d)にそれぞれ例示するように、図4の上から一番目、二番目、及び三番目の信号電極6に対し、表示すべき情報に応じて、信号電圧を電圧V3(例えば、+4V)または電圧V4(例えば、0V)とする。これにより、図4の左側の画素列において、上から一番目及び三番目の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差が所定の電圧差(第1の電圧差、例えば、4.5V)以上とされ、同図4に示すように、導電性液体14が非有効表示領域P2側(溝12側)から有効表示領域P1側に移動する。この結果、これらの画素では、時点T2から時点T3までの走査動作の間、上記非CF着色表示が行われて、黒色表示が行われる。
【0074】
一方、図4の上から二番目の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差は上記第1の電圧差以上とされない。この結果、導電性液体14は非有効表示領域P2側から移動せずに維持され、この画素では、時点T2から時点T3までの走査動作の間、上記CF着色表示が行われて、赤色表示が行われる。
【0075】
また、本実施形態の表示素子2では、図6(e)に示すように、走査ドライバ8による上記走査動作の前に、保持ドライバ10が、導電性液体14を有効表示領域P1側から解放する解放動作を行うようになっている。つまり、保持ドライバ10は、図4の左側の走査電極5に対する走査動作が行われる前に、同図4の左側の保持電極7に対して供給する保持電圧を、時点T1で電圧V5(例えば、+8V)から電圧V6(例えば、0V)とする。これにより、図4の左側の画素列では、保持電極7と走査電極5との電圧差が所定の電圧差(第2の電圧差、例えば、8V)未満である、0Vとされ、導電性液体14は有効表示領域P1側で保持されずに、非有効表示領域P2側への移動が許容される。尚、解放動作の期間(T1〜T2)と走査動作の期間(T2〜T3)との好ましい時間比率は、例えば(T1〜T2)/(T2〜T3)≦1/10である。
【0076】
そして、上記のように、時点T2で走査動作が開始されると、保持ドライバ10は、図4の左側の保持電極7に対して供給する保持電圧を、電圧V6から電圧V5に変更する。これにより、図4の左側の画素列では、保持電極7と走査電極5との電圧差が上記第2の電圧差以上である、12Vとされる。この結果、本実施形態の表示素子2では、時点T2から時点T3までの走査動作の期間中に、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14が、当該有効表示領域P1側で保持される。すなわち、図4の左側の画素列において、上から一番目及び三番目の画素では、導電性液体14が有効表示領域P1側で保持される。一方、上から二番目の画素では、導電性液体14は非有効表示領域P2側から有効表示領域P1側に移動されていないので、保持電圧としての電圧V5の電圧印加だけでは、有効表示領域P1側に移動されずに、非有効表示領域P2側で維持される。
【0077】
また、このように保持電極7の電圧V5の電圧印加だけでは、導電性液体14が有効表示領域P1側に移動されないのは、保持電極7において、その有効表示領域P1に対向する部分の面積が小さく構成されているからである。すなわち、非有効表示領域P2側の走査電極5にローレベルの選択電圧V2が印加されているときに、保持電極7に対してハイレベルの電圧V5が印加されたときでも、導電性液体14が非有効表示領域P2側から有効表示領域P1側に移動されないように、保持電極7では、その有効表示領域P1に対向する部分の面積が定められている。これに対して、信号電極6では、図2に示したように、有効表示領域P1全体を覆うように構成されているので、信号電極6は走査電極5との電圧差が上記第1の電圧差以上とされたときに、導電性液体14を有効表示領域P1側に移動可能に構成されている(後掲の第2〜第6の実施形態においても、同様。)。
【0078】
また、この左側の保持電極7に対する保持電圧の電圧印加は、全ての走査電極5に対する走査動作が完了するまで、つまり表示面側に次のフレームの情報が表示されるまで継続される。これにより、図4の左側の画素列において、上から一番目及び三番目の画素では、黒色表示が継続され、上から二番目の画素では、赤色表示が継続される。
【0079】
続いて、本実施形態の表示素子2では、図6(f)及び図6(g)に示すように、図4の中央の画素列に対する走査動作及び解放動作が行われる。すなわち、図6(g)に示すように、保持ドライバ10が、時点T4から時点T5の間で、図4の中央の保持電極7に対して供給する保持電圧を電圧V6として、解放動作を行わせる。また、図6(f)に示すように、走査ドライバ8が、時点T5から時点T6の間で、図4の中央の走査電極5に対して供給する走査電圧を選択電圧V2として、図4の中央の画素列に対する走査動作が行われる。さらに、保持ドライバ10が、時点T5で図4の中央の保持電極7に対して供給する保持電圧を電圧V5に変更するので、時点T5から時点T6の間の走査動作の期間中に、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14が、当該有効表示領域P1側で保持される。
【0080】
以降、本実施形態の表示素子2では、解放動作及び走査動作が、順次実施される。
【0081】
以上のように構成された本実施形態の表示素子2では、有効表示領域P1側に設けられ、所定の電圧範囲内の信号電圧が印加可能に構成された複数の信号電極(信号ライン)6が設けられている。また、本実施形態の表示素子2では、複数の信号電極6に対して交差するように、非有効表示領域P2側に設けられ、所定の電圧範囲内の走査電圧が印加可能に構成された複数の走査電極(走査ライン)5が設けられている。また、本実施形態の表示素子2では、信号電極6と走査電極5との交差部の近傍で、有効表示領域P1側に設けられ、所定の電圧範囲内の保持電圧が印加可能に構成された複数の保持電極(保持ライン)7が設けられている。また、本実施形態の表示素子2では、信号ドライバ(信号電圧印加部)9及び走査ドライバ(走査電圧印加部)8が、信号電極6及び走査電極5に対してそれぞれ信号電圧及び走査電圧を印加して、信号電極6と走査電極5との交差部単位に導電性液体14を有効表示領域P1側に移動させる。さらに、本実施形態の表示素子2では、保持ドライバ(保持電圧印加部)10は、保持電極7に対して保持電圧を印加して、保持電極7と走査電極5との間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、有効表示領域P1側に移動させた導電性液体を保持させる。これにより、本実施形態の表示素子2では、上記従来例と異なり、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる。
【0082】
また、本実施形態の表示素子2では、図6に例示したように、走査ドライバ(走査電圧印加部)8が非選択電圧V1または選択電圧V2の電圧印加を行い、信号ドライバ(信号電圧印加部)9が電圧V3または電圧V4の電圧印加を行うことにより、導電性液体14の移動または維持させている。さらに、保持ドライバ(保持電圧印加部)10が電圧V5または電圧V6の電圧印加を行うことにより、導電性液体14の保持または解放させている。このように、本実施形態の表示素子2では、走査ドライバ8、信号ドライバ9、及び保持ドライバ10の各々は、ハイレベル及びローレベルのいずれかの電圧を印加するだけにより、導電性液体14を動作または停止させて、表示色の変更を行えるので、上記従来例に比べて、電圧印加部(ドライバ)の負担を容易に低減することができる。
【0083】
また、本実施形態の画像表示装置(電気機器)1では、表示素子2が表示部に用いられているので、優れた表示品位を有する表示部を備えた高性能な画像表示装置1を容易に構成することができる。
【0084】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、保持電圧印加部が複数の保持電極に対して保持電圧を一括して印加するように構成した点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0085】
つまり、図7に示すように、本実施形態の表示素子2では、保持ドライバ10は共通の配線10c及び共通の端子台10bを介在させて、複数の保持電極7の端子部7aにそれぞれ接続された複数の配線10aに接続されている。そして、保持ドライバ10は、全ての保持電極7に対して、保持電圧としての上記電圧V5または電圧V6を一括して印加するように構成されており、1フレームの情報表示を行う前に全ての保持電極7に対し上記解放動作を同時に行うようになっている。また、これらの配線10c及び端子台10bは、上記保持ラインに含まれている。
【0086】
上記のように構成された本実施形態の表示素子2の表示動作について、図8も参照して具体的に説明する。
【0087】
図8は、図7に示した表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【0088】
本実施形態の表示素子2では、1フレームの情報表示を表示面側で行う前に、全ての画素において、導電性液体14を有効表示領域P1側から解放する解放動作が行われる。つまり、図8(e)に示すように、保持ドライバ10は、図4の左側の走査電極5に対する走査動作が行われる前に、全ての保持電極7に対して供給する保持電圧を、時点T7で電圧V5(例えば、+8V)から電圧V6(例えば、0V)とする。これにより、表示素子2の全ての画素では、保持電極7と走査電極5との電圧差が上記第2の電圧差未満である、0Vとされ、導電性液体14は有効表示領域P1側で保持されずに、非有効表示領域P2側への移動が許容される。
【0089】
その後、本実施形態の表示素子2では、図8(a)に示すように、走査ドライバ8が、例えば図4の左側の走査電極5に対して供給する走査電圧を、時点T8で非選択電圧V1(例えば、0V)から選択電圧V2(例えば、−4V)とする。これにより、表示素子2では、図4の左側の画素列に対する走査動作が開始される。そして、走査ドライバ8が、時点T9で走査電圧を非選択電圧V1とするまで、図4の左側の画素列に対する走査動作が維持される。
【0090】
また、保持ドライバ10は、時点T8での走査動作の開始と同時に、全ての保持電極7に対して供給する保持電圧を、電圧V6から電圧V5に変更する。これにより、全ての画素において、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14を当該有効表示領域P1側で保持可能となる。
【0091】
また、信号ドライバ9は、時点T8で上記走査動作が開始されると、図8(b)〜(d)にそれぞれ例示するように、図4の上から一番目、二番目、及び三番目の信号電極6に対し、表示すべき情報に応じて、信号電圧を電圧V3(例えば、+4V)または電圧V4(例えば、0V)とする。これにより、図4の左側の画素列において、上から一番目及び三番目の画素では、第1の実施形態と同様に、走査電極5と信号電極6との電圧差が上記第1の電圧差以上とされ、同図4に示すように、導電性液体14が非有効表示領域P2側(溝12側)から有効表示領域P1側に移動する。また、保持電圧が時点T8で導電性液体14を有効表示領域P1側で保持可能な電圧V5に変更されているので、これらの画素では、時点T8以降、次のフレームの情報表示が行われるまで、上記非CF着色表示が行われて、黒色表示が行われる。
【0092】
一方、図4の上から二番目の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差は上記第1の電圧差以上とされない。この結果、導電性液体14は非有効表示領域P2側から移動せずに維持され、この画素では、時点T8以降、次のフレームの情報表示が行われるまで、上記CF着色表示が行われて、赤色表示が行われる。
【0093】
続いて、本実施形態の表示素子2では、図8(f)に示すように、図4の中央の画素列に対する走査動作が行われる。すなわち、図8(f)に示すように、走査ドライバ8が、時点T10から時点T11の間で、図4の中央の走査電極5に対して供給する走査電圧を選択電圧V2として、図4の中央の画素列に対する走査動作が行われる。
【0094】
以降、本実施形態の表示素子2では、走査動作が順次実施される。
【0095】
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、保持ドライバ10が全ての保持電極7に対して、保持電圧を一括して印加するので、保持ドライバ10は保持電圧の電圧印加を容易に行うことができ、当該保持ドライバ10の負担を容易に軽減することができる。
【0096】
[第3の実施形態]
図9は、表示面側から見た場合での本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図10は本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図11は図10のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第2の実施形態との主な相違点は、保持電極において、有効表示領域側に延設された延設部分を設けた点である。なお、上記第2の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0097】
つまり、図9〜図11に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bから有効表示領域P1側に延設された延設部分7cを備えている。すなわち、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、有効表示領域P1と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。
【0098】
また、延設部分7cは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での中央部に対向するように設けられている。また、この延設部分7cでは、そのX方向での端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7cが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0099】
また、保持電極7では、電極本体7b及び延設部分7c上に誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。さらに、保持電極7では、延設部分7cのY方向での寸法を変更することにより、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、延設部分7cの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0100】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図11の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図11の右端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと走査電極5との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0101】
また、本実施形態の表示素子2では、延設部分7cが保持電極7に設けられているので、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7cにより、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0102】
以上の構成により、本実施形態では、上記第2の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、延設部分7cにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0103】
[第4の実施形態]
図12は、表示面側から見た場合での本発明の第4の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図13は本発明の第4の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図14は図13のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第3の実施形態との主な相違点は、2つの延設部分を保持電極に設けた点である。なお、上記第3の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0104】
すなわち、図12〜図14に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bから有効表示領域P1側に延設された延設部分7c、7dを備えている。つまり、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、有効表示領域P1と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。
【0105】
また、延設部分7c、7dは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での一端部側及び他端部側にそれぞれ対向するように設けられている。また、これらの延設部分7c、7dでは、そのX方向での各端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該各端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7c、7dが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0106】
また、保持電極7では、電極本体7b及び延設部分7c、7d上に誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。さらに、保持電極7では、延設部分7c、7dのY方向での各寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、延設部分7c、7dの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0107】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図14の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図14の右端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと走査電極5との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0108】
また、本実施形態の表示素子2では、延設部分7c、7dが保持電極7に設けられているので、各画素では、第3の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7c、7dにより、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0109】
以上の構成により、本実施形態では、上記第3の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、延設部分7c、7dにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0110】
[第5の実施形態]
図15は、表示面側から見た場合での本発明の第5の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図16は本発明の第5の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図17は図16のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第3の実施形態との主な相違点は、保持電極において、走査電極と平行に設けられた複数の保持電極部分を設けた点である。なお、上記第3の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0111】
すなわち、図15〜図17に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bから有効表示領域P1側に延設された延設部分7cと、この延設部分7cからY方向に延ばされた複数、例えば7本の保持電極部分7eを備えている。つまり、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、有効表示領域P1と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。
【0112】
また、延設部分7cは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での中央部に対向するように設けられている。また、この延設部分7cでは、そのX方向での端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7cが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0113】
また、7本の保持電極部分7eは、互いに、かつ、非有効表示領域P2側に設けられた走査電極5と平行に設けられており、延設部分7cの端部から図の右側に向かって等間隔で順次設けられている。また、各保持電極部分7eでは、Y方向の一端部及び他端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、保持電極部分7eが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0114】
また、保持電極7では、電極本体7b、延設部分7c、及び保持電極部分7e上に誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。さらに、保持電極7では、延設部分7cのY方向での寸法や各保持電極部分7eのX方向での寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、延設部分7cや各保持電極部分7eの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0115】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図16の左側上端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図16の右側上端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと走査電極5との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0116】
また、本実施形態の表示素子2では、延設部分7c及び保持電極部分7eが保持電極7に設けられているので、各画素では、第3の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7c及び保持電極部分7eにより、図16の左側下端部の画素に例示するように、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0117】
以上の構成により、本実施形態では、上記第3の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、保持電極部分7eが印加された信号電圧に応じて、有効表示領域P1側に移動した導電性液体14を保持することができる。これにより、本実施形態では、第3の実施形態と異なり、保持電極7は導電性液体14の有効表示領域P1側の端部を走査電極5と平行な状態で容易に保持することができる。この結果、本実施形態では、第3の実施形態と異なり、表示面側に表示される情報に対応した中間調の表示色を容易に表示することができる。
【0118】
[第6の実施形態]
図18は、表示面側から見た場合での本発明の第6の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図19は本発明の第6の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図20は図19のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第5の実施形態との主な相違点は、複数の各保持電極部分において、その一端部側が有効表示領域の外側に引き出されるとともに、有効表示領域の外側で複数の保持電極部分を互いに電気的に接続した点である。なお、上記第5の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0119】
すなわち、図18〜図20に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bから有効表示領域P1側に延設された延設部分7cと、この延設部分7cからY方向に延ばされた複数、例えば7本の保持電極部分7fを備えている。つまり、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、有効表示領域P1と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。
【0120】
また、延設部分7cは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1の外側、つまり非有効表示領域P2と対向した状態で、X方向に平行となるように設けられている。また、この延設部分7cでは、そのX方向での端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されている。
【0121】
また、7本の保持電極部分7fは、互いに、かつ、非有効表示領域P2側に設けられた走査電極5と平行に設けられており、延設部分7cの端部から図の右側に向かって等間隔で順次設けられている。また、各保持電極部分7fでは、Y方向の一端部側が有効表示領域P1の外側に引き出されており、非有効表示領域P2と対向するように設けられた延設部分7cによって互いに電気的に接続されている。
【0122】
また、保持電極7では、電極本体7b、延設部分7c、及び保持電極部分7f上に誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。さらに、保持電極7では、各保持電極部分7fのX方向での寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、各保持電極部分7fの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0123】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図19の左側上端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図19の右側上端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと走査電極5との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0124】
また、本実施形態の表示素子2では、保持電極部分7fが保持電極7に設けられているので、各画素では、第5の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、保持電極部分7fにより、図19の左側下端部の画素に例示するように、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0125】
以上の構成により、本実施形態では、上記第5の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、複数の保持電極部分7fは有効表示領域P1の外側で互いに電気的に接続されているので、第5の実施形態と異なり、保持電圧が印加されたときに有効表示領域P1の内部で導電性液体14が不必要に保持されるのを防ぐことができる。この結果、本実施形態では、中間調の表示色の表示精度を向上させることができる。
【0126】
[第7の実施形態]
図21は、本発明の第7の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、走査電極を有効表示領域側に設けるとともに、信号電極を非有効表示領域(溝)側に設けた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0127】
つまり、図21に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の走査電極5及び複数の保持電極7が、互いに交互に、かつ、X方向に沿ってストライプ状に設けられている。また、表示素子2では、複数の信号電極6が互いに所定の間隔をおいて、かつ、Y方向に沿ってストライプ状に設けられている。また、これら複数の走査電極5及び複数の保持電極7と、複数の信号電極6とは、互いに交差するように設けられており、表示素子2では、走査電極5と信号電極6との交差部単位に、複数の各画素領域が設定されている。
【0128】
ここで、図22〜図25も参照して、本実施形態の表示素子2の画素構造について具体的に説明する。
【0129】
図22は表示面側から見た場合での図21に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図であり、図23は表示面側から見た場合での図21に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図24は図21に示した表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図25は図24のA−A線断面図である。
【0130】
図22に例示するように、本実施形態の表示素子2では、走査電極5及び保持電極7が上側基板3側に設けられている。また、図23に例示するように、下側基板4側には、複数の溝12が、互いに所定の間隔をおいて、かつ、Y方向に沿ってストライプ状で非有効表示領域P2側に設けられており、各溝12の内部には、信号電極6が設置されている。この信号電極6は、上記第1の電極部材を構成しており、第1の実施形態の走査電極5と同様に、金、銀、銅、白金、及びパラジウムの少なくとも一つを含んだ電極材料が用いられている。
【0131】
具体的にいえば、図24及び図25も参照して、上部基板3の非表示面側の表面には、カラーフィルタ層11が形成されており、さらに、このカラーフィルタ層11の非表示面側の表面には、走査電極5、保持電極7、及び親水層16が形成されている。これら走査電極5及び保持電極7は、それぞれ上記第2及び第3の電極部材を構成しており、走査電極5及び保持電極7には、第1の実施形態の信号電極6と同様に、酸化インジウム系(ITO)、酸化スズ系(SnO2)、または酸化亜鉛系(AZO、GZO、あるいはIZO)などの透明な電極材料が用いられている。
【0132】
走査電極5は、図22に“H3”及び“H4”にて例示するように、Y方向での寸法が異なる略帯状に構成されている。言い換えれば、走査電極5では、信号電極6と対向される部分が、少なくとも有効表示領域P1に対向される部分に比べて、大幅に小さくされた櫛歯状に構成されている。また、走査電極5では、図22に例示するように、有効表示領域P1に対向する部分において、矩形状の切欠部が設けられており、この切欠部の内部に配置されるように、保持電極7の延設部分7cが電気的に絶縁された状態で、設けられている。また、走査電極5において、上記寸法H3及びH4は、好ましくはH4/H3=1/10、より好ましくはH4/H3=1/20に設定されている。
【0133】
保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、上記切欠部内に配置されるように、有効表示領域P1側に延設された延設部分7cと、電極本体7bと延設部分7cとを接続する接続部分7gを備えている。すなわち、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、非有効表示領域P2と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。また、接続部分7gは、有効表示領域P1の外側でY方向に平行となるように設けられており、一端部及び他端部が電極本体7b及び延設部分7cの右端部に接続されている。
【0134】
また、延設部分7cは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での中央部に対向するように設けられている。また、この延設部分7cでは、そのX方向での左端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該左端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7cの左端部が非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0135】
また、走査電極5及び保持電極7の非表示面側の各表面上には、誘電体層17、リブ13a、13b、及び撥水層18が順次形成されている。また、親水層16は、走査電極5及び保持電極7が形成されていないカラーフィルタ層11上で、溝12と対向するように、当該カラーフィルタ層11の非表示面側の表面に設けられている。
【0136】
また、本実施形態の表示素子2では、第3の実施形態と同様に、延設部分7cのY方向での寸法を変更することにより、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、本実施形態の表示素子2では、延設部分7cの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0137】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図25の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図25の中央部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0138】
また、本実施形態の表示素子2では、延設部分7cが保持電極7に設けられているので、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7cにより、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0139】
上記のように構成された本実施形態の表示素子2の表示動作について、図26も参照して具体的に説明する。
【0140】
図26は、上記表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【0141】
本実施形態の表示素子2では、図26(a)に示すように、走査ドライバ8が、例えば図24の上から一番目の走査電極5に対して供給する走査電圧を、時点T13で非選択電圧V1(例えば、0V)から選択電圧V2(例えば、+4V)とする。これにより、表示素子2では、図24の上から一番目の画素列に対する走査動作が開始される。そして、走査ドライバ8が、時点T14で走査電圧を非選択電圧V1とするまで、図24の上から一番目の画素列に対する走査動作が維持される。
【0142】
また、信号ドライバ9は、時点T13で上記走査動作が開始されると、図26(b)〜(d)にそれぞれ例示するように、図24の左側、中央部、及び右側の信号電極6に対し、表示すべき情報に応じて、信号電圧を電圧V3(例えば、0V)または電圧V4(例えば、−4V)とする。これにより、図24の上から一番目の画素列において、右側及び左側の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差が所定の電圧差(第1の電圧差)以上とされ、同図24に示すように、導電性液体14が非有効表示領域P2側(溝12側)から有効表示領域P1側に移動する。この結果、これらの画素では、時点T13から時点T14までの走査動作の間、上記非CF着色表示が行われて、黒色表示が行われる。
【0143】
一方、図24の中央部の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差は上記第1の電圧差以上とされない。この結果、導電性液体14は非有効表示領域P2側から移動せずに維持され、この画素では、時点T13から時点T14までの走査動作の間、上記CF着色表示が行われて、赤色表示が行われる。
【0144】
また、本実施形態の表示素子2では、図26(e)に示すように、走査ドライバ8による上記走査動作の前に、保持ドライバ10が、導電性液体14を有効表示領域P1側から解放する解放動作を行うようになっている。つまり、保持ドライバ10は、図24の上から一番目の走査電極5に対する走査動作が行われる前に、同図24の上から一番目の保持電極7に対して供給する保持電圧を、時点T12で電圧V5(例えば、+8V)から電圧V6(例えば、0V)とする。これにより、図24の上から一番目の画素列では、保持電極7と走査電極5との電圧差が所定の電圧差(第2の電圧差)未満である、0Vとされ、導電性液体14は有効表示領域P1側で保持されずに、非有効表示領域P2側への移動が許容される。
【0145】
そして、上記のように、時点T12で走査動作が開始されると、保持ドライバ10は、図24の上から一番目の保持電極7に対して供給する保持電圧を、電圧V6から電圧V5に変更する。これにより、図24の上から一番目の画素列では、保持電極7と走査電極5との電圧差が上記第2の電圧差以上である、12Vとされる。この結果、本実施形態の表示素子2では、時点T13から時点T14までの走査動作の期間中に、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14が、当該有効表示領域P1側で保持される。すなわち、図24の上から一番目の画素列において、左側及び右側の画素では、導電性液体14が有効表示領域P1側で保持される。一方、中央部の画素では、導電性液体14は非有効表示領域P2側から有効表示領域P1側に移動されていないので、保持電圧としての電圧V5の電圧印加だけでは、有効表示領域P1側に移動されずに、非有効表示領域P2側で維持される。
【0146】
また、このように保持電極7の電圧V5の電圧印加だけでは、導電性液体14が有効表示領域P1側に移動されないのは、保持電極7において、その有効表示領域P1に対向する部分の面積が小さく構成されているからである。すなわち、非有効表示領域P2側の信号電極6にローレベルの電圧V4が印加されているときに、保持電極7に対してハイレベルの電圧V5が印加されたときでも、導電性液体14が非有効表示領域P2側から有効表示領域P1側に移動されないように、保持電極7では、その有効表示領域P1に対向する部分の面積が定められている。これに対して、走査電極5では、図22に示したように、有効表示領域P1全体をほぼ覆うように構成されているので、走査電極5は信号電極6との電圧差が上記第1の電圧差以上とされたときに、導電性液体14を有効表示領域P1側に移動可能に構成されている(後掲の第8〜第13の実施形態においても、同様。)。
【0147】
また、この上から一番目の保持電極7に対する保持電圧の電圧印加は、全ての走査電極5に対する走査動作が完了するまで、つまり表示面側に次のフレームの情報が表示されるまで継続される。これにより、図24の上から一番目の画素列において、左側及び右側の画素では、黒色表示が継続され、中央部の画素では、赤色表示が継続される。
【0148】
続いて、本実施形態の表示素子2では、図26(f)及び図26(g)に示すように、図24の上から二番目の画素列に対する走査動作及び解放動作が行われる。すなわち、図26(g)に示すように、保持ドライバ10が、時点T15から時点T16の間で、図24の上から二番目の保持電極7に対して供給する保持電圧を電圧V6として、解放動作を行わせる。また、図26(f)に示すように、走査ドライバ8が、時点T16から時点T17の間で、図24の上から二番目の走査電極5に対して供給する走査電圧を選択電圧V2として、図24の上から二番目の画素列に対する走査動作が行われる。さらに、保持ドライバ10が、時点T16で図24の上から二番目の保持電極7に対して供給する保持電圧を電圧V5に変更するので、時点T16から時点T17の間の走査動作の期間中に、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14が、当該有効表示領域P1側で保持される。
【0149】
以降、本実施形態の表示素子2では、解放動作及び走査動作が、順次実施される。
【0150】
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、延設部分7cにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0151】
[第8の実施形態]
図27は、本発明の第8の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図において、本実施形態と上記第7の実施形態との主な相違点は、保持電圧印加部が複数の保持電極に対して保持電圧を一括して印加するように構成した点である。なお、上記第7の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0152】
つまり、図27に示すように、本実施形態の表示素子2では、保持ドライバ10は共通の配線10c及び共通の端子台10bを介在させて、複数の保持電極7の端子部7aにそれぞれ接続された複数の配線10aに接続されている。そして、保持ドライバ10は、全ての保持電極7に対して、保持電圧としての上記電圧V5または電圧V6を一括して印加するように構成されており、1フレームの情報表示を行う前に全ての保持電極7に対し上記解放動作を同時に行うようになっている。また、これらの配線10c及び端子台10bは、上記保持ラインに含まれている。
【0153】
上記のように構成された本実施形態の表示素子2の表示動作について、図28も参照して具体的に説明する。
【0154】
図28は、図27に示した表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【0155】
本実施形態の表示素子2では、1フレームの情報表示を表示面側で行う前に、全ての画素において、導電性液体14を有効表示領域P1側から解放する解放動作が行われる。つまり、図28(e)に示すように、保持ドライバ10は、図24の上から一番目の走査電極5に対する走査動作が行われる前に、全ての保持電極7に対して供給する保持電圧を、時点T18で電圧V5(例えば、+8V)から電圧V6(例えば、0V)とする。これにより、表示素子2の全ての画素では、保持電極7と走査電極5との電圧差が上記第2の電圧差未満である、0Vとされ、導電性液体14は有効表示領域P1側で保持されずに、非有効表示領域P2側への移動が許容される。
【0156】
その後、本実施形態の表示素子2では、図28(a)に示すように、走査ドライバ8が、例えば図24の上から一番目の走査電極5に対して供給する走査電圧を、時点T19で非選択電圧V1(例えば、0V)から選択電圧V2(例えば、+4V)とする。これにより、表示素子2では、図24の上から一番目の画素列に対する走査動作が開始される。そして、走査ドライバ8が、時点T20で走査電圧を非選択電圧V1とするまで、図24の上から一番目の画素列に対する走査動作が維持される。
【0157】
また、保持ドライバ10は、時点T19での走査動作の開始と同時に、全ての保持電極7に対して供給する保持電圧を、電圧V6から電圧V5に変更する。これにより、全ての画素において、有効表示領域P1側に移動された導電性液体14を当該有効表示領域P1側で保持可能となる。
【0158】
また、信号ドライバ9は、時点T19で上記走査動作が開始されると、図28(b)〜(d)にそれぞれ例示するように、図4の左側、中央部、及び右側の信号電極6に対し、表示すべき情報に応じて、信号電圧を電圧V3(例えば、0V)または電圧V4(例えば、−4V)とする。これにより、図24の上から一番目の画素列において、左側及び右側の画素では、第7の実施形態と同様に、走査電極5と信号電極6との電圧差が上記第1の電圧差以上とされ、同図24に示すように、導電性液体14が非有効表示領域P2側(溝12側)から有効表示領域P1側に移動する。また、保持電圧が時点T19で導電性液体14を有効表示領域P1側で保持可能な電圧V5に変更されているので、これらの画素では、時点T19以降、次のフレームの情報表示が行われるまで、上記非CF着色表示が行われて、黒色表示が行われる。
【0159】
一方、図24の中央部の画素では、走査電極5と信号電極6との電圧差は上記第1の電圧差以上とされない。この結果、導電性液体14は非有効表示領域P2側から移動せずに維持され、この画素では、時点T19以降、次のフレームの情報表示が行われるまで、上記CF着色表示が行われて、赤色表示が行われる。
【0160】
続いて、本実施形態の表示素子2では、図28(f)に示すように、図24の上から二番目の画素列に対する走査動作が行われる。すなわち、図28(f)に示すように、走査ドライバ8が、時点T21から時点T22の間で、図24の上から二番目の走査電極5に対して供給する走査電圧を選択電圧V2として、図24の上から二番目の画素列に対する走査動作が行われる。
【0161】
以降、本実施形態の表示素子2では、走査動作が順次実施される。
【0162】
以上の構成により、本実施形態では、上記第7の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、第7の実施形態と異なり、保持ドライバ10が全ての保持電極7に対して、保持電圧を一括して印加するので、保持ドライバ10は保持電圧の電圧印加を容易に行うことができ、当該保持ドライバ10の負担を容易に軽減することができる。
【0163】
[第9の実施形態]
図29は、表示面側から見た場合での本発明の第9の実施形態にかかる表示素子の上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図30は本発明の第9の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図31は図30のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第8の実施形態との主な相違点は、2つの延設部分を保持電極に設けた点である。なお、上記第8の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0164】
すなわち、図29〜図31に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は走査電極5と平行に設けられた電極本体7bと、有効表示領域P1側に延設された延設部分7c、7dと、電極本体7bと延設部分7c、7dとを接続する接続部分7gを備えている。すなわち、本実施形態の表示素子2では、複数の電極本体7bが下部基板4側で複数の走査電極5と交互に、かつ、非有効表示領域P2と対向するように設けられており、各電極本体7bは保持ドライバ10に接続されている。また、接続部分7gは、有効表示領域P1の外側でY方向に平行となるように設けられており、一端部及び他端部が電極本体7b及び延設部分7c、7dの右端部に接続されている。
【0165】
また、延設部分7c、7dは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での一端部側及び他端部側にそれぞれ対向するように設けられている。また、これらの各延設部分7c、7dは、走査電極5に設けられた矩形状の切欠部内に配置されるように設けられている。すなわち、走査電極5には、図29に例示するように、有効表示領域P1に対向する部分において、2つの矩形状の切欠部が設けられており、これらの切欠部の内部に配置されるように、保持電極7の延設部分7c、7dが電気的に絶縁された状態で、設けられている。さらに、延設部分7c、7dでは、そのX方向での各端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該各端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7c、7dが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0166】
さらに、保持電極7では、延設部分7c、7dのY方向での各寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、延設部分7c、7dの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0167】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図31の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図31の中央部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0168】
また、本実施形態の表示素子2では、延設部分7c、7dが保持電極7に設けられているので、各画素では、第8の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7c、7dにより、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0169】
以上の構成により、本実施形態では、上記第8の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、延設部分7c、7dにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0170】
[第10の実施形態]
図32は表示面側から見た場合での本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の上部基板側の要部構成を示す拡大平面図であり、図33は表示面側から見た場合での本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図34は本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図35は図34のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第9の実施形態との主な相違点は、保持電極を下部基板側に設けた点である。なお、上記第9の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0171】
すなわち、図32〜図35に示すように、本実施形態の表示素子2では、櫛歯状の走査電極5が上部基板3側に設けられ、信号電極6及び保持電極7が下部基板4側に設けられている。また、このように保持電極7が下部基板4側に設けられているので、走査電極5には、第9の実施形態のものと異なり、矩形状の切欠部が形成されていない。
【0172】
また、保持電極7には、Y方向の中央部に配置されるとともに、X方向と平行に設けられた線状電極が用いられている。また、この保持電極7は、少なくとも有効表示領域P1側では、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、この下部基板4上に形成された保持電極7の部分の表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、保持電極7は、非有効表示領域P2側では、信号電極6と電気的に絶縁された状態となるように、溝12の下方に設けられている。具体的にいえば、図35に示すように、保持電極7は、溝12を囲むように、下部基板4に形成されており、溝12との間に設けられた絶縁層23により、信号電極6及び導電性液体14と電気的に絶縁されている。
【0173】
具体的には、この信号電極6は、スパッタ法等の公知の成膜方法により、下部基板4上に帯状に形成されている。すなわち、下部基板4では、まず溝12の設置箇所に当該溝12よりも大きい切欠部が形成された後、X方向に沿って帯状の保持電極7が下部基板4の表面上に形成される。その後、非有効表示領域P2側において、溝12が形成されるように、例えばフェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル、エポキシ、あるいはシリコンなどの電気絶縁性を有する合成樹脂を用いた絶縁層23が保持電極7を覆うように設けられる。そして、この絶縁層23により、保持電極7は、溝12の内部に設置される信号電極6と当該溝12に充填される導電性液体14とに対して、電気的に絶縁される。尚、上記の説明以外に、アルミナ、酸化チタンなどの無機系材料を絶縁層23に用いることもできる。
【0174】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図35の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図35の中央部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0175】
また、本実施形態の表示素子2では、保持電極7がY方向の中央部で有効表示領域P1と対向するように、X方向と平行に設けられているので、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、保持電極7の有効表示領域P1と対向する部分により、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0176】
以上の構成により、本実施形態では、上記第9の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、保持電極7の有効表示領域P1と対向する部分により、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0177】
[第11の実施形態]
図36は、表示面側から見た場合での本発明の第11の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図37は本発明の第11の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図38は図37のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第10の実施形態との主な相違点は、保持電極において、有効表示領域側に延設された延設部分を設けた点である。なお、上記第10の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0178】
つまり、図36〜図38に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は下部基板4側でX方向に平行に設けられた電極本体7bと、有効表示領域P1側に延設された延設部分7cと、電極本体7bと延設部分7cとを接続する接続部分7gを備えている。この電極本体7bは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での一端部側に対向するように設けられており、保持ドライバ10に接続されている。
【0179】
また、電極本体7bは、第10の実施形態の保持電極7と同様に、少なくとも有効表示領域P1側では、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、この下部基板4上に形成された電極本体7bの部分の表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、電極本体7bは、非有効表示領域P2側では、信号電極6と電気的に絶縁された状態となるように、溝12の下方に設けられている。具体的にいえば、図38に示すように、電極本体7bは、溝12を囲むように、下部基板4に形成されており、溝12との間に設けられた絶縁層23により、信号電極6及び導電性液体14と電気的に絶縁されている。また、この絶縁層23の内部には、接続部分7gが設置されている。この接続部分7gは、有効表示領域P1の外側でY方向に平行となるように設けられており、一端部及び他端部が電極本体7b及び延設部分7cの右端部に接続されている。
【0180】
また、延設部分7cは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での他端部側に対向するように、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、この下部基板4上に形成された延設部分7cの表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、この延設部分7cでは、そのX方向での端部が有効表示領域P1のX方向での左端部とほぼ一致するように構成されており、当該端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、延設部分7cが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0181】
さらに、保持電極7では、電極本体7bの有効表示領域P1に対向する部分や延設部分7cのY方向での寸法を変更することにより、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、電極本体7bの有効表示領域P1に対向する部分や延設部分7cの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0182】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図38の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図38の中央部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0183】
また、本実施形態の表示素子2では、電極本体7bがY方向の一端部側で有効表示領域P1と対向するように、X方向と平行に設けられるとともに、延設部分7cが保持電極7に設けられている。これにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、電極本体7bの有効表示領域P1と対向する部分及び延設部分7cにより、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0184】
以上の構成により、本実施形態では、上記第10の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、電極本体7bの有効表示領域P1と対向する部分及び延設部分7cにより、各画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0185】
[第12の実施形態]
図39は、表示面側から見た場合での本発明の第12の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図40は本発明の第12の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図41は図40のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第10の実施形態との主な相違点は、保持電極において、信号電極と平行に設けられた複数の保持電極部分を設けた点である。なお、上記第10の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0186】
つまり、図39〜図41に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は下部基板4側でX方向に平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bからY方向に延ばされた複数、例えば7本の保持電極部分7eを備えている。この電極本体7bは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1のY方向での中央部に対向するように設けられており、保持ドライバ10に接続されている。
【0187】
また、電極本体7bは、第10の実施形態の保持電極7と同様に、少なくとも有効表示領域P1側では、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、この下部基板4上に形成された電極本体7bの部分の表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、電極本体7bは、非有効表示領域P2側では、信号電極6と電気的に絶縁された状態となるように、溝12の下方に設けられている。具体的にいえば、図38に示すように、電極本体7bは、溝12を囲むように、下部基板4に形成されており、溝12との間に設けられた絶縁層23により、信号電極6及び導電性液体14と電気的に絶縁されている。
【0188】
また、7本の保持電極部分7eは、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、各保持電極部分7eの表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、これらの保持電極部分7eは、互いに、かつ、非有効表示領域P2側に設けられた信号電極6と平行に設けられており、有効表示領域P1の左端部側から図の右側に向かって等間隔で順次設けられている。また、各保持電極部分7eでは、Y方向の一端部及び他端部が有効表示領域P1の外側に突出されずに、保持電極部分7eが非有効表示領域P2と対向しないようになっている。
【0189】
また、保持電極7では、電極本体7bの有効表示領域P1に対向する部分のY方向での寸法や各保持電極部分7eのX方向での寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、電極本体7bの有効表示領域P1に対向する部分や各保持電極部分7eの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0190】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図41の左端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図41の中央部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0191】
また、本実施形態の表示素子2では、電極本体7bがY方向の中央部で有効表示領域P1と対向するように、X方向と平行に設けられるとともに、保持電極部分7eが保持電極7に設けられている。これにより、各画素では、第10の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、延設部分7c及び保持電極部分7eにより、図40の右側上端部の画素に例示するように、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0192】
以上の構成により、本実施形態では、上記第10の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、保持電極部分7eが印加された信号電圧に応じて、有効表示領域P1側に移動した導電性液体14を保持することができる。これにより、本実施形態では、第10の実施形態と異なり、保持電極7は導電性液体14の有効表示領域P1側の端部を信号電極6と平行な状態で容易に保持することができる。この結果、本実施形態では、第10の実施形態と異なり、表示面側に表示される情報に対応した中間調の表示色を容易に表示することができる。
【0193】
[第13の実施形態]
図42は、表示面側から見た場合での本発明の第13の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図43は本発明の第13の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図であり、図44は図43のA−A線断面図である。図において、本実施形態と上記第12の実施形態との主な相違点は、複数の各保持電極部分において、その一端部側が有効表示領域の外側に引き出されるとともに、有効表示領域の外側で複数の保持電極部分を互いに電気的に接続した点である。なお、上記第12の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明は省略する。
【0194】
すなわち、図42〜図44に示すように、本実施形態の表示素子2では、複数の各保持電極7は下部基板4側でX方向に平行に設けられた電極本体7bと、この電極本体7bからY方向に延ばされた複数、例えば7本の保持電極部分7fを備えている。この電極本体7bは、各画素領域Pにおいて、有効表示領域P1の外側で、非有効表示領域P2に対向するように設けられており、保持ドライバ10に接続されている。
【0195】
また、電極本体7bは、第10の実施形態の保持電極7と同様に、少なくとも有効表示領域P1側では、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、この下部基板4上に形成された電極本体7bの部分の表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、電極本体7bは、非有効表示領域P2側では、信号電極6と電気的に絶縁された状態となるように、溝12の下方に設けられている。具体的にいえば、図44に示すように、電極本体7bは、溝12を囲むように、下部基板4に形成されており、溝12との間に設けられた絶縁層23により、信号電極6及び導電性液体14と電気的に絶縁されている。
【0196】
また、7本の保持電極部分7fは、下部基板4の表示面側の表面上に形成されており、各保持電極部分7eの表面上には、誘電体層19及び撥水層20が順次形成されている。また、これらの保持電極部分7fは、互いに、かつ、非有効表示領域P2側に設けられた信号電極6と平行に設けられており、有効表示領域P1の左端部側から図の右側に向かって等間隔で順次設けられている。また、各保持電極部分7fでは、Y方向の一端部側が有効表示領域P1の外側に引き出されており、非有効表示領域P2と対向するように設けられた電極本体7bによって互いに電気的に接続されている。
【0197】
また、保持電極7では、各保持電極部分7fのX方向での寸法を変更することによって、導電性液体14の保持効果を容易に調整可能になっている。すなわち、保持電極7では、各保持電極部分7fの上記寸法を増減することにより、導電性液体14を有効表示領域P1側で保持する上記電圧V5を容易に増減できるようになっている。
【0198】
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図19の左側上端部の画素に例示するように、導電性液体14がカラーフィルタ部11r(有効表示領域P1)側に移動されて、当該カラーフィルタ部11rの下方に保持されると、バックライト21からの光が導電性液体14により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図19の右側上端部の画素に例示するように、導電性液体14が溝12で維持されてブラックマトリクス部11sと信号電極6との間で保持されると、バックライト21からの光は導電性液体14に遮光されることなく、カラーフィルタ部11bを通過することにより、青色表示(CF着色表示)が行われる。
【0199】
また、本実施形態の表示素子2では、保持電極部分7fが保持電極7に設けられているので、各画素では、第12の実施形態と同様に、中間調の表示色で情報を表示することができる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、各画素において、保持電極部分7fにより、図43の右側上端部の画素に例示するように、例えば有効表示領域P1のX方向での中央部の位置まで移動された導電性液体14を保持することができる。具体的にいえば、信号ドライバ9が中間調の情報に応じて、信号電圧を印加したときに、導電性液体14は、その信号電圧と走査電極5に印加された選択電圧との電圧差に応じて、非有効表示領域P2(溝12)側から移動する。このとき、上記のように、導電性液体14が例えば上記中央部の位置まで移動されたとき、保持ドライバ10が上記電圧V5を保持電極7に保持電圧として印加すると、導電性液体14は当該中央部の位置で保持される。これにより、画素では、中間調の表示色で情報を表示することができる。
【0200】
以上の構成により、本実施形態では、上記第12の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、複数の保持電極部分7fは有効表示領域P1の外側で互いに電気的に接続されているので、第12の実施形態と異なり、保持電圧が印加されたときに有効表示領域P1の内部で導電性液体14が不必要に保持されるのを防ぐことができる。この結果、本実施形態では、中間調の表示色の表示精度を向上させることができる。
【0201】
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0202】
例えば、上記の説明では、カラー画像表示を表示可能な表示部を備えた画像表示装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部が設けられた電気機器であれば何等限定されるものではなく、例えば電子手帳等のPDAなどの携帯情報端末、パソコンやテレビなどに付随する表示装置、あるいは電子ペーパーその他、各種表示部を備えた電気機器に好適に用いることができる。
【0203】
また、上記の説明では、導電性液体への電界印加に応じて、当該導電性液体を移動させるエレクトロウェッティング方式の表示素子を構成した場合について説明したが、本発明の表示素子は、これに限定されるものではなく、外部電界を利用して、表示用空間の内部で導電性液体を動作させることにより、表示面側の表示色を変更可能な電界誘導型の表示素子であれば何等限定されるものではなく、電気浸透方式、電気泳動方式、誘電泳動方式などの他の方式の電界誘導型表示素子に適用することができる。
【0204】
但し、上記各実施形態のように、エレクトロウェッティング方式の表示素子を構成する場合の方が、導電性液体を低い駆動電圧で高速に移動させることが可能となる。それ故、動画表示を容易に行うことが可能で、表示性能に優れた表示素子を容易に構成することができる点で好ましい。また、エレクトロウェッティング方式の表示素子では、導電性液体の移動に応じて表示色が変更されるので、液晶表示装置等と異なり、視野角依存性がない点でも好ましい。さらには、画素毎にスイッチング素子を設ける必要がないので、構造簡単で高性能なマトリクス駆動方式の表示素子を低コストで構成できる点でも好ましい。しかも、液晶層などの複屈折材料を用いていないので、情報表示に使用される、バックライトからの光や外光の光利用効率に優れた高輝度な表示素子を容易に構成できる点でも好ましい。
【0205】
また、上記の説明では、下部基板(第2の基板)側にY方向に平行な溝(液溜部)を設けた構成について説明したが、本発明の液溜部は、第1及び第2の基板の少なくとも一方の基板に表示用空間に導通するように、非有効表示領域側に設けられるとともに、導電性液体を溜めるように構成されたものであれば何等限定されない。
【0206】
また、上記の説明では、画素領域の左端部側に設けた溝(液溜部)の内部に走査電極(第1の電極部材)を設置して、当該左端部側に非有効表示領域側を設定した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、信号ライン及び走査ラインの一方には、液溜部内の導電性液体に接触するように設けられた第1の電極部材が用いられ、信号ライン及び走査ラインの他方には、導電性液体及び第1の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、有効表示領域側に設けられた第2の電極部材が用いられ、保持ラインには、導電性液体、第1の電極部材、及び第2の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、有効表示領域側に設けられた第3の電極部材が用いられていればよい。
【0207】
具体的にいえば、例えば画素領域の中央部に溝(液溜部)を形成し、当該中央部に非有効表示領域を設定し、左端部及び右端部に有効表示領域を設定する構成でもよい。尚、左端部及び右端部の各有効表示領域P1に対して、上記実施形態のものと同様に、開口部を形成して、RGBいずれかのカラーフィルタ部を形成することでカラー画像表示を実施可能な表示素子を構成することができる。
【0208】
また、例えば走査電極を溝と互いに平行に設けるとともに、当該走査電極は溝の内部の導電性液体と画素単位に接触するように構成してもよい。つまり、この走査電極には、下部基板の表面上で溝と平行に設けられる電極本体部と、この電極本体部から溝の内部側に突出するように画素単位に形成された突出部とを設けて、走査電極が突出部を介して溝内部の導電性液体と画素単位に電気的に接触させてもよい。尚、このように構成した場合には、溝の内部を画素単位に区切って、導電性液体を溜める液溜部を画素単位に構成することもできる。
【0209】
また、図45に例示するように、溝(液溜部)10内に溜められた導電性液体を走査ラインとして用いることもできる。すなわち、同図45に示すように、溝12の内部には、走査電極5の端部だけが導入されて、当該溝12内部の導電性液体と電気的に接触するように構成されている。そして、走査ドライバ(走査電圧印加部)が走査電圧を印加したときに、溝12の内部に設けた走査電極5に代えて、導電性液体自体を走査ラインに用いて、印加された走査電圧を各画素領域に対して供給可能に構成されている。このように導電性液体自体を用いる場合には、走査ラインまたは信号ラインに使用する第1の電極部材を大幅に小さくすることができ、製造簡単な表示素子をより容易に構成することができる。
【0210】
また、上記第1〜第6の実施形態の説明では、略帯状(櫛歯状)の信号電極(第2の電極部材)6を用いて、図5などに例示したように、ブラックマトリクス部11s(非有効表示領域P2)に対向する部分にも当該信号電極6を設置し、さらに誘電体層17及び撥水層18を順次積層した場合について説明した。また、上記第7〜第13の実施形態の説明では、略帯状(櫛歯状)の走査電極(第2の電極部材)5を用いて、図25などに例示したように、ブラックマトリクス部11s(非有効表示領域P2)に対向する部分にも当該走査電極5を設置し、さらに誘電体層17及び撥水層18を順次積層した場合について説明した。
【0211】
しかしながら、本実施形態の第2の電極部材は、これに限定されるものではなく、少なくとも有効表示領域P1(つまり、いずれかのカラーフィルタ部11r、11g、11b)に対向するように当該有効表示領域P1側に設けられて、電圧が印加されたときにエレクトロウェッティング現象を発生させて導電性液体14を有効表示領域P1側に移動可能に構成されたものであれば何等限定されない。
【0212】
また、上記の説明では、複数の走査電極または複数の信号電極と互いに交互に、かつ、マトリクス状の列方向(Y方向)または行方向(X方向)にストライプ状に設けられた複数の線状の保持電極(保持ライン)を用いた場合について説明した。しかしながら、本発明の保持ラインは、信号ラインと走査ラインとの交差部の近傍で、有効表示領域側に設けられるとともに、保持電圧印加部から保持電圧が印加されて、非有効表示領域側に設けられた信号ラインまたは走査ラインとの間の電圧差が所定の電圧差以上とされたときに、エレクトロウェッティング現象を発生させて導電性液体14を有効表示領域P1側で保持できるものであれば何等限定されない。
【0213】
また、上記の説明では、塩化カリウムの水溶液を導電性液体に用いるとともに、金、銀、銅、白金、及びパラジウムの少なくとも一つを用いて、走査電極または信号電極(第1の電極部材)を構成した場合について説明したが、本発明は導電性液体と接触する第1の電極部材に、当該導電性液体に対して電気化学的に不活性な材料を用いたものであれば何等限定されない。具体的にいえば、導電性液体には、塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アルカリ金属水酸化物、酸化亜鉛、塩化ナトリウム、リチウム塩、リン酸、アルカリ金属炭酸塩、酸素イオン伝導性を有するセラミックスなどの電解質を含んだものを使用することができる。また、溶媒には、水以外に、アルコール、アセトン、ホルムアミド、エチレングリコールなどの有機溶媒を使用することもできる。さらに、本発明の導電性液体には、ピリジン系、脂環族アミン系、または脂肪族アミン系などの陽イオンと、フッ化物イオンやトリフラート等のフッ素系などの陰イオンとを含んだイオン液体(常温溶融塩)を使用することもできる。
【0214】
但し、上記の各実施形態のように、所定の電解質を溶かした水溶液を導電性液体に使用する場合の方が、取扱性に優れるとともに、製造が簡単な表示素子を容易に構成することができる点で好ましい。
【0215】
また、本発明の第1の電極部材には、例えばアルミニウム、ニッケル、鉄、コバルト、クロム、チタン、タンタル、ニオブあるいはそれらの合金などの導電性を有する金属を用いた電極本体と、この電極本体の表面を覆うように設けられた酸化被膜とを備えた不動態を使用することができる。
【0216】
但し、上記の各実施形態のように、金、銀、銅、白金、及びパラジウムの少なくとも一つを第1の電極部材に用いる場合の方が、イオン化傾向の小さい金属を使用することとなり、当該電極の簡略化を図りつつ、導電性液体との間での電気化学反応を確実に防ぐことが可能となって信頼性の低下が防がれた長寿命な表示素子を容易に構成することができる点で好ましい。また、イオン化傾向の小さい金属は導電性液体との間の界面に生じる界面張力を比較的小さくすることができることから、導電性液体を移動させないときでは、その固定位置で当該導電性液体を安定した状態で容易に保持できる点でも好ましい。
【0217】
また、上記の説明では、信号電極または走査電極(第2の電極部材)及び保持電極(第3の電極部材)を下部基板(第2の基板)の表面または上部基板(第1の基板)の表面に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、絶縁材料からなる第1または第2の基板の内部に埋設した第2及び第3の電極部材を用いることもできる。このように構成した場合には、第1または第2の基板を誘電体層として兼用させることができ、当該誘電体層の設置を省略することができる。
【0218】
但し、上記実施形態のように、信号ライン及び走査ラインのうち、有効表示領域側に設けられた一方側に、誘電体層を設ける場合の方が、誘電体層が導電性液体に印加する電界を確実に大きくして、当該導電性流体の移動速度をより容易に向上することができる点で好ましい。また、保持ラインに誘電体層を設ける場合の方が、当該保持ラインによって導電性液体をより確実に導電性液体を保持することができる点でも好ましい。
【0219】
また、上記の説明では、透過型の表示素子を構成した場合について説明したが、本発明の表示素子はこれに限定されるものではなく、例えば図46及び図47にそれぞれ例示するように、反射型の表示素子及び半透過型の表示素子にも適用することができる。
【0220】
つまり、図46に例示するように、下部基板4の背面側には、拡散反射板24が設けられている。この拡散反射板24には、ブラックマトリクス部11sに対向するように設けられた透明部24aと、カラーフィルタ部11r、11g、11bの各々に対向するように設けられるとともに、上部基板2側(表示面側)から入射された外光を表示面側に反射する光反射部24bとが設けられている。そして、この表示素子では、光反射部24bが外部から入射された外光を反射することにより表示動作を行うようになっており、反射型の表示素子が構成されている。
【0221】
また、図47に例示するように、下部基板4の背面側には、拡散反射板24とバックライト21とがこの順番で設けられている。この拡散反射板24では、光反射部24bの大きさが図46に示した光反射部24bの1/2の大きさとされている。つまり、この表示素子では、カラーフィルタ部11r、11g、11bの各々に対して、透明部24aと光反射部24bとが対向するようになっている。そして、この表示素子では、光反射部24bにて反射された外光及びバックライト21からの照明光により表示動作が行われるようになっており、半透過型の表示素子が構成されている。
【0222】
また、上記の説明では、無極性のオイルを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、導電性液体と混じり合わない絶縁性流体であればよく、例えばオイルに代えて、空気を使用してもよい。また、オイルとして、シリコーンオイル、脂肪系炭化水素などを使用することができる。
【0223】
但し、上記の各実施形態のように、導電性液体と相溶性がない無極性のオイルを用いた場合の方が、空気と導電性液体とを用いる場合よりは、無極性のオイル中で導電性液体の液滴がより移動し易くなって、当該導電性液体を高速移動させることが可能となり、表示色を高速に切り換えられる点で好ましい。
【0224】
また、上記の説明では、黒色に着色された導電性液体及びカラーフィルタ層を用いて、RGBの各色の画素を表示面側に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の画素領域が、表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられているものであればよい。具体的には、RGB、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のCMY、またはRGBYCなどに着色された複数色の導電性液体を用いることもできる。
【0225】
また、上記の説明では、カラーフィルタ層を上部基板(第1の基板)の非表示面側の表面に形成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の基板の表示面側の表面や下部基板(第2の基板)側にカラーフィルタ層を設置することもできる。このように、カラーフィルタ層を用いる場合の方が、複数色の導電性液体を用意する場合に比べて、製造簡単な表示素子を容易に構成できる点で好ましい。また、このカラーフィルタ層に含まれたカラーフィルタ部(開口部)及びブラックマトリクス部(遮光膜)により、表示用空間に対し、有効表示領域及び非有効表示領域をそれぞれ適切に、かつ、確実に設定することができる点でも好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0226】
本発明は、マトリクス駆動を行わせる場合でも、その駆動制御を容易に行うことができる表示素子、及びこれを用いた電気機器に対して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0227】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。
【図2】表示面側から見た場合での図1に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図3】表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図4】上記表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】上記表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。
【図8】図7に示した表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【図9】表示面側から見た場合での本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図11】図10のA−A線断面図である。
【図12】表示面側から見た場合での本発明の第4の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図13】本発明の第4の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図14】図13のA−A線断面図である。
【図15】表示面側から見た場合での本発明の第5の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図16】本発明の第5の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図17】図16のA−A線断面図である。
【図18】表示面側から見た場合での本発明の第6の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図19】本発明の第6の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図20】図19のA−A線断面図である。
【図21】本発明の第7の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。
【図22】表示面側から見た場合での図21に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図23】表示面側から見た場合での図21に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図24】図21に示した表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図25】図24のA−A線断面図である。
【図26】図21に示した表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【図27】本発明の第8の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。
【図28】図27に示した表示素子の各部での具体的な印加電圧の波形図である。
【図29】表示面側から見た場合での本発明の第9の実施形態にかかる表示素子の上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図30】本発明の第9の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図31】図30のA−A線断面図である。
【図32】表示面側から見た場合での本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図33】表示面側から見た場合での本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図34】本発明の第10の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図35】図34のA−A線断面図である。
【図36】表示面側から見た場合での本発明の第11の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図37】本発明の第11の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図38】図37のA−A線断面図である。
【図39】表示面側から見た場合での本発明の第12の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図40】本発明の第12の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図41】図40のA−A線断面図である。
【図42】表示面側から見た場合での本発明の第13の実施形態にかかる表示素子の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図43】本発明の第13の実施形態にかかる表示素子の具体的な構成を示す平面図である。
【図44】図43のA−A線断面図である。
【図45】表示面側から見た場合での図5に示した表示素子の別の変形例の下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。
【図46】図5に示した表示素子の別の変形例の要部構成を示す断面図である。
【図47】図5に示した表示素子の別の変形例の要部構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0228】
1 画像表示装置(電気機器)
2 表示素子(表示部)
3 上部基板(第1の基板)
4 下部基板(第2の基板)
5 走査電極(走査ライン、第1及び第2の電極部材)
5a 端子部(走査ライン)
6 信号電極(信号ライン、第1及び第2の電極部材)
6a 端子部(信号ライン)
7 保持電極(保持ライン、第3の電極部材)
7a 端子部(保持ライン)
7e、7f 保持電極部分
8 走査ドライバ(走査電圧印加部)
8a 配線(走査ライン)
9 信号ドライバ(信号電圧印加部)
9a 配線(信号ライン)
10 保持ドライバ(保持電圧印加部)
10a、10c 配線(保持ライン)
10b 端子台(保持ライン)
11 カラーフィルタ層
11r、11g、11b カラーフィルタ部(開口部)
11s ブラックマトリクス部(遮光膜)
12 溝(液溜部)
13a、13b リブ(仕切壁)
14 導電性液体
15 オイル(絶縁性流体)
17、19 誘電体層
S 表示用空間
P 画素領域
P1 有効表示領域
P2 非有効表示領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部に移動可能に封入された導電性液体とを具備し、前記導電性液体を前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の一方側に設けられ、所定の電圧範囲内の信号電圧が印加可能に構成された複数の信号ラインと、
前記複数の信号ラインに対して交差するように、前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設けられ、所定の電圧範囲内の走査電圧が印加可能に構成された複数の走査ラインと、
前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部の近傍で、前記有効表示領域側に設けられ、所定の電圧範囲内の保持電圧が印加可能に構成された複数の保持ラインと、
前記複数の各信号ラインに対して、前記信号電圧を印加する信号電圧印加部と、
前記複数の各走査ラインに対して、前記走査電圧を印加する走査電圧印加部と、
前記複数の各保持ラインに対して、前記保持電圧を印加する保持電圧印加部とを備え、
前記信号電圧印加部及び前記走査電圧印加部が、前記信号ライン及び前記走査ラインに対してそれぞれ信号電圧及び走査電圧を印加することにより、前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部単位に前記導電性液体を前記有効表示領域側に移動させ、かつ、
前記保持電圧印加部は、前記保持ラインに対して保持電圧を印加して、前記保持ラインと、前記信号ライン及び前記走査ラインのうち前記非有効表示領域側に設けられた前記信号ラインまたは前記走査ラインとの間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、前記有効表示領域側に移動させた前記導電性液体を保持させる、
ことを特徴とする表示素子。
【請求項2】
前記第1及び第2の基板の少なくとも一方の基板に前記表示用空間に導通するように、前記非有効表示領域側に設けられるとともに、前記導電性液体を溜める液溜部を備え、
前記信号ライン及び前記走査ラインの一方には、前記液溜部内の前記導電性液体に接触するように設けられた第1の電極部材が用いられ、
前記信号ライン及び前記走査ラインの他方には、前記導電性液体及び前記第1の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、前記有効表示領域側に設けられた第2の電極部材が用いられ、
前記保持ラインには、前記導電性液体、前記第1の電極部材、及び前記第2の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、前記有効表示領域側に設けられた第3の電極部材が用いられている請求項1に記載の表示素子。
【請求項3】
前記信号電圧印加部は、前記複数の各信号ラインに対して、前記表示面側に表示される情報に応じて、前記信号電圧を印加するように構成され、
前記保持ラインには、前記信号ライン及び前記走査ラインのうち前記非有効表示領域側に設けられた前記信号ラインまたは前記走査ラインと平行に設けられた複数の保持電極部分が設けられている請求項1または2に記載の表示素子。
【請求項4】
前記複数の各保持電極部分では、その一端部側が前記有効表示領域の外側に引き出されるとともに、前記複数の保持電極部分は、前記有効表示領域の外側で互いに電気的に接続されている請求項3に記載の表示素子。
【請求項5】
複数の画素領域が、前記表示面側に設けられるとともに、
前記複数の各画素領域は、前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部単位に設けられ、かつ、前記各画素領域では、前記表示用空間が仕切壁にて区切られている請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項6】
前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられている請求項5に記載の表示素子。
【請求項7】
前記表示用空間の内部には、前記導電性液体と混じり合わない絶縁性流体が当該表示用空間の内部を移動可能に封入されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項8】
前記信号ライン及び前記走査ラインのうち、前記有効表示領域側に設けられた一方側と、前記保持ラインには、誘電体層が設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項9】
前記非有効表示領域は、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた遮光膜によって設定され、
前記有効表示領域は、前記遮光膜に形成された開口部によって設定されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項10】
前記保持電圧印加部は、前記複数の保持電極に対して、前記保持電圧を一括して印加する請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項11】
文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電気機器であって、
前記表示部に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の表示素子を用いたことを特徴とする電気機器。
【請求項1】
表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部に移動可能に封入された導電性液体とを具備し、前記導電性液体を前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の一方側に設けられ、所定の電圧範囲内の信号電圧が印加可能に構成された複数の信号ラインと、
前記複数の信号ラインに対して交差するように、前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設けられ、所定の電圧範囲内の走査電圧が印加可能に構成された複数の走査ラインと、
前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部の近傍で、前記有効表示領域側に設けられ、所定の電圧範囲内の保持電圧が印加可能に構成された複数の保持ラインと、
前記複数の各信号ラインに対して、前記信号電圧を印加する信号電圧印加部と、
前記複数の各走査ラインに対して、前記走査電圧を印加する走査電圧印加部と、
前記複数の各保持ラインに対して、前記保持電圧を印加する保持電圧印加部とを備え、
前記信号電圧印加部及び前記走査電圧印加部が、前記信号ライン及び前記走査ラインに対してそれぞれ信号電圧及び走査電圧を印加することにより、前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部単位に前記導電性液体を前記有効表示領域側に移動させ、かつ、
前記保持電圧印加部は、前記保持ラインに対して保持電圧を印加して、前記保持ラインと、前記信号ライン及び前記走査ラインのうち前記非有効表示領域側に設けられた前記信号ラインまたは前記走査ラインとの間の電圧差を所定の電圧差以上とすることにより、前記有効表示領域側に移動させた前記導電性液体を保持させる、
ことを特徴とする表示素子。
【請求項2】
前記第1及び第2の基板の少なくとも一方の基板に前記表示用空間に導通するように、前記非有効表示領域側に設けられるとともに、前記導電性液体を溜める液溜部を備え、
前記信号ライン及び前記走査ラインの一方には、前記液溜部内の前記導電性液体に接触するように設けられた第1の電極部材が用いられ、
前記信号ライン及び前記走査ラインの他方には、前記導電性液体及び前記第1の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、前記有効表示領域側に設けられた第2の電極部材が用いられ、
前記保持ラインには、前記導電性液体、前記第1の電極部材、及び前記第2の電極部材に対して電気的に絶縁された状態で、前記有効表示領域側に設けられた第3の電極部材が用いられている請求項1に記載の表示素子。
【請求項3】
前記信号電圧印加部は、前記複数の各信号ラインに対して、前記表示面側に表示される情報に応じて、前記信号電圧を印加するように構成され、
前記保持ラインには、前記信号ライン及び前記走査ラインのうち前記非有効表示領域側に設けられた前記信号ラインまたは前記走査ラインと平行に設けられた複数の保持電極部分が設けられている請求項1または2に記載の表示素子。
【請求項4】
前記複数の各保持電極部分では、その一端部側が前記有効表示領域の外側に引き出されるとともに、前記複数の保持電極部分は、前記有効表示領域の外側で互いに電気的に接続されている請求項3に記載の表示素子。
【請求項5】
複数の画素領域が、前記表示面側に設けられるとともに、
前記複数の各画素領域は、前記信号ラインと前記走査ラインとの交差部単位に設けられ、かつ、前記各画素領域では、前記表示用空間が仕切壁にて区切られている請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項6】
前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられている請求項5に記載の表示素子。
【請求項7】
前記表示用空間の内部には、前記導電性液体と混じり合わない絶縁性流体が当該表示用空間の内部を移動可能に封入されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項8】
前記信号ライン及び前記走査ラインのうち、前記有効表示領域側に設けられた一方側と、前記保持ラインには、誘電体層が設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項9】
前記非有効表示領域は、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた遮光膜によって設定され、
前記有効表示領域は、前記遮光膜に形成された開口部によって設定されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項10】
前記保持電圧印加部は、前記複数の保持電極に対して、前記保持電圧を一括して印加する請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項11】
文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電気機器であって、
前記表示部に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の表示素子を用いたことを特徴とする電気機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【公開番号】特開2009−258567(P2009−258567A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110456(P2008−110456)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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