説明

表示素子保持装置

【課題】電子機器に搭載する表示素子をプリント配線基板へ保持、固定するのみの構造では、静電気から保護する構造を別に設ける必要があり、取付け作業時間と金型費用および部品コストが増加するという課題がある。
【解決手段】リード端子9aをプリント配線基板に挿入した状態で表示素子9をプリント配線基板上に保持する表示素子保持装置5であって、リード端子9aを案内する案内部6aを備える第1枠体部6と、それ以外の第2枠体部7と、弾性を有し、第1枠体部6と第2枠体部7とを相対的に移動可能に結合するヒンジ部8と、を備える表示素子保持装置5。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に搭載する表示素子の保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器においては通電使用状態の表示に表示素子を用いる機器が多くなっている。その中で、表示素子は多様な表示を行う目的として、信号伝達用のリード端子が多く、プリント配線基板へ挿入し半田付けによる固定までに仮固定する構造が要求される。
【0003】
また、表示素子は静電気により破壊されやすい部品のため、静電気から保護する構造も要求される。
【0004】
図7、図8、図9及び図10に従来の表示素子の保持装置の一例を示す。
【0005】
図7は、従来の表示素子保持装置の斜視図、図8及び図9は、表示素子を従来の表示素子保持装置に挿入操作する際の説明図、図10は、従来の表示装置保持装置への表示素子の取り付け状態の一部を示す斜視図である。
【0006】
従来の表示素子保持装置1は、表示素子載せ台1bの左右上部に係止爪1aを設け、表示素子載せ台1bの同一平面をなす一部に上下方向に弾性変形する弾性片1eを設け、その先端部に上方へ立ち上がる係止爪1gを備えた構成となっている。
【0007】
また、従来の表示素子保持装置1は、表示素子載せ台1bの左右下部に弾性を有し、プリント配線基板(図示せず)との係止突起が、その先端に一体的に配置された係合爪1cを備えた構成となっている。
【0008】
本構成により、従来の表示素子保持装置1は、表示素子載せ台1b上に表示素子保持装置1のガイド部1d側から表示素子2を表示素子保持装置1にスライド挿入することで、表示素子2の左右上面が係止爪1aに係合されつつ、表示素子下面で弾性片1eを下方へ弾性変形させ、表示素子2が表示素子載せ台1b上に収納されると弾性片1eが復元しその端部の係止爪1gで表示素子2を掛け留めすることができるので、表示素子2のリード端子2aが折れ曲がったりすることなく表示素子保持装置1のガイド部1dに正確に係入させることができ、しかも表示素子保持装置1への取り付け作業性よく容易に行うことができる。
【0009】
また、表示素子保持装置1に表示素子2を取り付けた後、係合爪1cを弾性変形させることで係止突起をプリント配線基板(図示せず)に係止させ、表示素子保持装置1の取付け作業が終了する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平4−75376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の表示素子保持装置では、表示素子を表示素子保持装置に挿入し、プリント配線基板に半田付けで固定するまで仮固定する機能しか有していないため、表示素子を静電気から保護する構造を別に設けなければならず、部品点数増加により部品コストが増加するとともに取り付け作業効率が悪いという問題点を有していた。
【0012】
また、表示素子保持装置をプリント配線基板に取付ける際、係合爪を弾性変形させて係止突起をプリント配線基板に係止させる構造上、係合爪の支持部に一定の長さが必要となり、部品コストが増加するという問題点も有していた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題を解決するために、本発明の表示素子保持装置は、リード端子をプリント配線基板に挿入した状態で表示素子を前記プリント配線基板上に保持する表示素子保持装置であって、前記リード端子を案内する案内部を備える第1枠体部と、それ以外の第2枠体部と、弾性を有し、前記第1枠体部と前記第2枠体部とを相対的に移動可能に結合するヒンジ部と、を備える。
【0014】
また、本発明の表示素子保持装置の前記ヒンジ部は、前記第1枠体部と前記第2枠体部が相対的に平行移動可能に構成された第1ヒンジ部と、前記第1枠体部と前記第2枠体部が相対的に回動可能に構成された第2ヒンジ部と、を備える。
【0015】
また、本発明の表示素子保持装置の前記第1ヒンジ部は、先端に傾斜部を有し前記プリント配線基板に装着された状態に表示素子保持装置を係止せしめる係止爪を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の表示素子保持装置は、表示素子のリード端子を案内する案内部を備えた第1枠体部と、表示素子の保持及び静電気からの保護を兼ねた第2枠体部とがヒンジ部により相対的に移動可能に結合された構造を備えることにより、表示素子を静電気から保護する構造を別に設ける必要がなく、部品点数削減によるコスト削減を図れるとともに、表示素子の表示素子保持装置への取付け作業効率を向上させることが出来る。
【0017】
また、本発明の表示素子保持装置は、弾性を有するヒンジ部が、第1枠体部と第2枠体部とを相対的に平行移動可能に結合する第1ヒンジ部と、第1枠体部と第2枠体部を相対的に回動可能に結合する第2ヒンジ部とからなる構造を備えることにより、第1枠体部と第2枠体部の離間量を大きく取れるので、表示素子の表示素子保持装置への取付け作業効率を向上させることが出来る。
【0018】
また、本発明の表示素子保持装置は、第1枠体部と第2枠体部とが相対的に平行移動可能に構成された第1ヒンジ部に、先端に係止爪を有しプリント配線基板に装着された状態に表示素子保持装置を係止せしめるフックを備える構造により、フックの支持部を短くすることによるコスト削減を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施例における表示素子保護装置の正面図
【図2】本発明の第1実施例における表示素子保護装置の前面から見た斜視図
【図3】本発明の第1実施例における表示素子保護装置の背面から見た斜視図
【図4】本発明の第1実施例における表示素子の斜視図
【図5】本発明の第1実施例における表示素子保護装置のヒンジ部が弾性変形した状態を示す図
【図6】本発明の第1実施例における表示素子保護装置に表示素子が嵌め込まれた状態を示す図
【図7】従来の表示素子保持装置の斜視図
【図8】従来の表示素子保持装置の挿入操作の説明図
【図9】従来の表示素子保持装置の挿入操作の説明図
【図10】従来の表示素子保持装置への表示素子の取り付け状態の一部を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
表示素子の取付け作業時間の短縮と樹脂用金型の費用削減を目的とし、表示素子の固定と静電気からの保護を兼ねた枠体部を一体形状とすることで、部品点数及びコストを増加させずに実現する。
【0021】
以下、発明を実施するための一実施の形態における表示素子保持装置について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の一実施例を示す表示素子保持装置5の正面図である。
【0023】
図2は表示素子装置5を前面側から見た斜視図、図3は表示素子保持装置5を背面側から見た斜視図である。
【0024】
図4は、表示素子9の斜視図である。
【0025】
表示素子保持装置5は、表示素子9の上面及び側面を覆う第1枠体部6と、表示素子9の下面側面及び前面下方部を覆う第2枠体部7と、第1枠体部6と第2枠体部7とを結合するヒンジ部8とを備えている。
【0026】
第1枠体部6は、表示素子9のリード端子9aを挿入契合する案内部6aと、プリント配線基板への取付け位置規制用のピン28aとを備えている。
【0027】
第2枠体部7は、表示素子9の保持及び静電気からの保護を兼ねた部位7aと、部位7aの上方に一体形成された傾斜部7bとを備えている。
【0028】
ヒンジ部8は、上下方向の弾性を目的とし第1枠体部6と第2枠体部7とを相対的に平行移動可能とする第1ヒンジ部8aと、前後方向の弾性を目的とし第1枠体部6と第2枠体部7とを相対的に回動可能とする第2ヒンジ部8bとを備えている。
【0029】
第1ヒンジ部8aは、プリント配線基板(図示せず)への取付け仮固定用のフック18aを備え、フック18aはその断面が略L字形で、その先端に凸形状の係止爪18bが備えられており表示素子保護装置5をプリント配線基板に係止可能としている。
【0030】
次に表示素子9を表示素子保護装置5に取付ける方法について説明する。
【0031】
まず、表示素子9のリード端子9aを表示素子保護装置5の前面側から案内部6aに挿入し、続けて表示素子9の本体部を表示素子保護装置5に嵌め込んでいく。
【0032】
表示素子9は、表示素子保護装置5の第2枠体部7に設けた部位7aの傾斜部7bに当接し、傾斜部7bに当接した状態から表示素子9の嵌め込みを一層進めると、表示素子保護装置5は、第1ヒンジ部8aの弾性により第2枠体部7を第1枠体部6に対し平行移動させるとともに(図5)、第2ヒンジ部8bの弾性により第2枠体部7を第1枠体部6に対し回動させることにより、表示素子9の表示素子保護装置5への嵌め込みが完了する。
【0033】
この時、表示素子保護装置5は、表示素子9の保持及び静電気からの保護を兼ねた部位7aが表示素子9の当たりから開放され、ヒンジ部8の弾性により表示素子9を嵌め込む前の位置に復元することで表示素子9の表示素子保護装置5への仮固定が完了し、表示素子9に対し必然的に静電気から保護する構造を形成する(図6)。
【0034】
本発明の表示素子保持装置5によれば、表示素子9のリード端子9aを案内する案内部6aを備えた第1枠体部6と、表示素子9の保持及び静電気からの保護を兼ねた第2枠体部7とが弾性を有するヒンジ部8により相対的に移動可能に結合された構造を備えることにより、表示素子9を静電気から保護する構造を別に設ける必要がなく、部品点数削減によるコスト削減を図れるとともに、表示素子9の表示素子保持装置5への取付け作業効率を向上させることが出来る。
【0035】
また、本発明の表示素子保持装置5によれば、弾性を有するヒンジ部8が、第1枠体部6と第2枠体部7とを相対的に平行移動可能に結合する第1ヒンジ部8aと、第1枠体部6と第2枠体部7とを相対的に回動可能に結合する第2ヒンジ部8bとからなる構造により、第1枠体部と第2枠体部の離間量を大きく取れるので、表示素子9の表示素子保持装置5への取付け作業効率を向上させることが出来る。
【0036】
更に表示素子9を仮固定した表示素子保護装置5をプリント配線基板へ取付ける時、表示素子保護装置5に構成された位置規制用のピン6bを予めプリント配線基板と契合する位置に設けておき、この位置規制ピン6bを挿入することで表示素子9のリード線9aが必然的にプリント配線基板へ挿入できる関係とするため、挿入作業の容易化を図ると共に、表示素子保護装置5のプリント配線基板への取付け仮固定用のフック18aもプリント配線基板へと挿入される。
【0037】
取付け仮固定用のフック18aがプリント配線基板に挿入される際、表示素子保護装置5は、ヒンジ部8の弾性により取付け仮固定用のフック18aの先端に設けられた凸形状の係止爪18bの凸量分が変形して挿入され、挿入完了時にはヒンジ部8の弾性により表示素子9を仮固定した表示素子保護装置5をプリント配線基板に挿入する前の位置に復元され抜け防止となることで、表示素子保護装置5のプリント配線基板への固定が完了する。
【0038】
本発明の表示素子保持装置5によれば、第1枠体部6と第2枠体部7とが相対的に平行移動可能に構成された第1ヒンジ部8aに、先端に係止爪18bを有しプリント配線基板に装着された状態に表示素子保持装置5を係止せしめるフック18aを備える構造により、フック18aの支持部を短くすることによるコスト削減を図ることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、表示素子の保持及び静電気からの保護が必要な表示素子保護装置に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
5 表示素子保持装置
6 第1枠体部
6a 案内部
6b ピン
7 第2枠体部
7a 部位
7b 傾斜部
8 ヒンジ部
8a 第1ヒンジ部
8b 第2ヒンジ部
9 表示素子
9a リード線
18a フック
18b 係止爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード端子をプリント配線基板に挿入した状態で表示素子を前記プリント配線基板上に保持する表示素子保持装置であって、
前記リード端子を案内する案内部を備える第1枠体部と、
それ以外の第2枠体部と、
弾性を有し、前記第1枠体部と前記第2枠体部とを相対的に移動可能に結合するヒンジ部と、
を備える表示素子保持装置。
【請求項2】
前記ヒンジ部は、
前記第1枠体部と前記第2枠体部が相対的に平行移動可能に構成された第1ヒンジ部と、
前記第1枠体部と前記第2枠体部が相対的に回動可能に構成された第2ヒンジ部と、
を備える請求項1記載の表示素子保持装置。
【請求項3】
前記第1ヒンジ部は、先端に傾斜部を有し前記プリント配線基板に装着された状態に表示素子保持装置を係止せしめる係止爪
を備える請求項2記載の表示装置保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−82292(P2011−82292A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232347(P2009−232347)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】