説明

表示素子

【課題】明るい白表示、高い書換速度、かつ高いメモリー性を有するフルカラー表示を簡便な部材構成で実現することができる新規な電気化学的な表示素子を提供する。
【解決手段】対向電極の少なくとも一方が、層状ルテニウム酸化合物を含有した層を有し、該対向電極間に金属塩化合物を含有する電解質が保持されていることを特徴とする表示素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な電気化学的な表示素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化等に伴い、従来、紙等の印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
【0003】
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT(ブラウン管)、また近年では、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は必ずしも人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等の課題が知られている。
【0004】
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない(メモリー性)反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
【0005】
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低く白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は電圧高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要である等の課題を抱えている。また、電気泳動法による表示素子は、10V以上の高い電圧が必要となり、電気泳動性粒子凝集による耐久性に懸念がある。これらの方法で、カラー表示を行う方法として、カラーフィルターを用いる方法が知られている。原理的に、前者は、カラーフィルターの着色のため明るい白表示が得られない課題を有していた。
【0006】
これら上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、エレクトロクロミック表示素子(以下、EC方式と略す)や金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション方式(以下、ED方式と略す)が知られている。EC方式は、3V以下の低電圧でフルカラー表示が可能で、簡易なセル構成、白品質で優れる等の利点があり、ED方式もまた、3V以下の低電圧で駆動が可能で、簡便なセル構成、黒と白のコントラストや黒品質に優れる等の利点があり、様々な方法が開示されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
【0007】
本発明者は、上記各特許文献に開示されている技術を詳細に検討した結果、従来技術では、繰返し駆動させたときの反射率の安定性に課題があることが判明し、これを解決する手段としては、特許文献6に記載されているようなITO膜上にフッ素ドープ酸化スズ膜を形成する技術が検討されているが、該技術は繰返し駆動での反射率の安定性は向上するものの、白表示の反射率と書換速度の低下が起こる問題があることがわかった。また、特許文献7では、粒子状酸化ルテニウムを電極として使用する検討がなされているが、この場合、酸化ルテニウム自身が着色していることから、電極としては透明性がなく、かつ酸化ルテニウム粒子間の抵抗が高いために表示素子に適用した場合、書換速度が低下する欠点を有していた。
【特許文献1】WO2004/068231号明細書
【特許文献2】WO2004/067673号明細書
【特許文献3】米国特許第4,240,716号明細書
【特許文献4】特許第3428603号公報
【特許文献5】特開2003−241227号公報
【特許文献6】特開2003−323818号公報
【特許文献7】特開2006−185805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、明るい白表示、高い書換速度、かつ高いメモリー性を有するフルカラー表示を簡便な部材構成で実現することができる新規な電気化学的な表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0010】
1.対向電極の少なくとも一方が、層状ルテニウム酸化合物を含有した層を有し、該対向電極間に金属塩化合物を含有する電解質が保持されていることを特徴とする表示素子。
【0011】
2.前記金属塩化合物が、銀塩化合物であることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
【0012】
3.前記対向電極間に、下記一般式(A)で表される化合物が保持されていることを特徴とする前記1または2に記載の表示素子。
【0013】
【化1】

【0014】
〔式中、R1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2、R3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−R4、酸素原子または硫黄原子を表し、R4は水素原子、または置換基を表す。〕
4.前記層状ルテニウム酸化合物を含有した層と基板との間に、透明導電性層を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
【0015】
5.前記透明導電性層が、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛及び酸化チタンから選ばれる少なくとも1種を含有していることを特徴とする前記4に記載の表示素子。
【0016】
6.前記透明導電性層が、導電性高分子を含有していることを特徴とする前記4または5に記載の表示素子。
【0017】
7.前記層状ルテニウム酸化合物が、ルテニウム酸化合物ナノシートの連続した積層体により構成されていることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の表示素子。
【0018】
8.前記層状ルテニウム酸化合物を含有した層を有する電極が、グリッド状の金属配線を有していることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の表示素子。
【0019】
9.前記金属配線が、金、銀、銅及び白金から選ばれる少なくとも1種から構成されていることを特徴とする前記8に記載の表示素子。
【0020】
10.前記金属配線が、電解めっきもしくは無電解めっきにより形成されていることを特徴とする前記8または9に記載の表示素子。
【0021】
11.前記層状ルテニウム酸化合物を含有した層を有する電極の基板が、フィルム基板であることを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載の表示素子。
【0022】
12.前記層状ルテニウム酸化合物を含有した層が、電気泳動法により形成されていることを特徴とする前記1〜11のいずれか1項に記載の表示素子。
【0023】
13.層状ルテニウム酸化合物を含有した層上に、金属酸化物ナノ多孔質層を有していることを特徴とする前記1〜12のいずれか1項に記載の表示素子。
【0024】
14.前記金属酸化物ナノ多孔質層が、酸化チタン、酸化スズ及び酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種から構成されていることを特徴とする前記13に記載の表示素子。
【0025】
15.前記一般式(A)で表される化合物が、対向電極の少なくとも一方に固定化されていることを特徴とする前記1〜14のいずれか1項に記載の表示素子。
【0026】
16.前記一般式(A)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する吸着性基を有していることを特徴とする前記1〜15のいずれか1項に記載の表示素子。
【0027】
17.前記吸着性基が、−COOH、−P=O(OH)2、−OP=O(OH)2または−Si(OR)3(Rは、アルキル基を表す。)であることを特徴とする前記16に記載の表示素子。
【0028】
18.前記対向電極間に、N−オキシル誘導体を有していることを特徴とする前記1〜17のいずれか1項に記載の表示素子。
【0029】
19.前記電解質が、下記一般式(I)及び(II)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする前記1〜18のいずれか1項に記載に表示素子。
【0030】
一般式(I)
11−S−R12
〔式中、R11、R12は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。ただし、S原子を含む環を形成する場合には、芳香族基をとることはない。〕
【0031】
【化2】

【0032】
〔式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR9は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。〕
20.前記電解質が、下記一般式(III)及び(IV)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする前記1〜19のいずれか1項に記載に表示素子。
【0033】
【化3】

【0034】
〔式中、Lは酸素原子またはCH2を表し、R1〜R4は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕
【0035】
【化4】

【0036】
〔式中、R5、R6は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕
【発明の効果】
【0037】
本発明により、明るい白表示、高い書換速度、かつ高いメモリー性を有するフルカラー表示を簡便な部材構成で実現することができる新規な電気化学的な表示素子を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0039】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、対向電極の少なくとも一方が、層状ルテニウム酸化合物を含有した層を有し、該対向電極間に金属塩化合物を含有する電解質が保持されていることを特徴とする表示素子により、明るい白表示、高い書換速度、かつ高いメモリー性を有するフルカラー表示を簡便な部材構成で実現することができる新規な電気化学的な表示素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0040】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0041】
〔表示素子の基本構成〕
本発明の表示素子においては、表示部には、対応する1つの対向電極が設けられている。表示部に近い対向電極の1つである電極1にはITO電極等の透明電極、他方の電極2には導電性電極が設けられている。対向電極の少なくとも一方に本発明の層状ルテニウム酸化物を含有した導電性層を有しており、対向電極間には金属塩を含有した電解質が保持されている。本発明の表示素子の対向電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、表示素子の着色状態を可逆的に切り替えることができる。
【0042】
〔層状ルテニウム酸化物を含有した層及びルテニウム酸化合物ナノシートの積層体〕
本発明に係る層状ルテニウム酸化物を含有した層及びルテニウム酸化合物ナノシートの積層体を形成する方法としては、特に制限はないが、以下に示す電気泳動法を用いて形成することが好ましい。
【0043】
具体的な層状ルテニウム酸化物を含有した層及びルテニウム酸化合物ナノシート形成方法としては、
1)酸化ルテニウムとアルカリ金属化合物とを焼成または溶融する工程、
2)それを酸、アルキルアミン、テトラアルキルアミンの各溶液中で順次撹拌して、ルテニウム酸化合物の層状微粒子を形成する工程、
3)該微粒子を溶媒に分散し、層剥離させたコロイド状ルテニウム酸化合物を形成する工程、
4)該コロイド状ルテニウム酸化合物を電気泳動により、対向電極のいずれか一方の電極面上に層状に堆積させて、層状ルテニウム酸化合物を形成させる工程
が挙げられる。
【0044】
ナノオーダーの厚さの極微小な層剥離片いわゆるナノシートを形成している荷電性のこのコロイド状ルテニウム酸化合物に、対向電極のいずれか一方の電極をアノードとし、他方の対向電極をカソードとし、その間に電圧を印加して電気泳動を施すと、コロイド状ルテニウム酸化合物がアノード表面に向かって移動し、再度層状に堆積する。その際、コロイド安定化剤として機能していたテトラアルキルアンモニウムイオンはカソードに移動する。このようにしてルテニウム酸化合物がアノードで、固定化され、薄い透明膜を形成する。この製造方法は、電気泳動の際にバインダーを用いる必要がなく簡便であるうえ、短時間で行なうことができ、生産効率が良い。さらに、電極面と層状ルテニウム酸化合物との密着性が優れている。また電気泳動時間、電極間距離や電圧を調節することにより、層状ルテニウム酸化物の厚さを自在に制御して、電荷蓄積能と透明度とを調整することができる。
【0045】
上記形成方法においては、層状ルテニウム酸化合物の層間イオンの脱インターカレートと別なイオンのインターカレートとを行なってイオン交換させ、層剥離させてから電気泳動を行なうというソフトな化学的手法で簡便に効率よく、高品質の透明薄膜電極を得ることができる。
【0046】
本発明に係る層状ルテニウム酸化物を含有した層及びルテニウム酸化合物ナノシートの積層体を形成する方法としては、上記説明した電気泳動法の他に、例えば、インクジェット記録方式、スピンコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
【0047】
〔金属塩化合物〕
本発明に係る金属塩化合物とは、対向電極上の少なくとも1方の電極上で、該対向電極の駆動操作で、溶解・析出を行うことができる金属種を含む塩であれば、如何なる化合物であってもよい。好ましい金属種は、銀、ビスマス、銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛等であり、特に好ましいのは銀、ビスマスである。
【0048】
〔銀塩化合物〕
本発明に係る銀塩化合物とは、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
【0049】
本発明に係る電解質に含まれる金属イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Metal]≦2.0モル/kgが好ましい。金属イオン濃度が0.2モル/kg以上であれば、十分な濃度の銀溶液となり所望の駆動速度を得ることができ、2モル/kg以下であれば析出を防止し、低温保存時での電解質液の安定性が向上する。
【0050】
〔ハロゲンイオン、金属イオン濃度比〕
本発明の表示素子においては、電解質に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Metal](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
【0051】
式(1)
0≦[X]/[Metal]≦0.1
本発明でいうハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことをいう。[X]/[Metal]が0.1よりも大きい場合は、金属の酸化還元反応時に、X-→X2が生じ、X2は析出した金属と容易にクロス酸化して析出した金属を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるので、ハロゲン原子のモル濃度は金属銀のモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。本発明においては、0≦[X]/[Metal]≦0.001がより好ましい。ハロゲンイオンを添加する場合、ハロゲン種については、メモリー性向上の観点から、各ハロゲン種モル濃度総和が[I]<[Br]<[Cl]<[F]であることが好ましい。
【0052】
〔電解質〕
本発明でいう「電解質」とは、一般に、水などの溶媒に溶けて溶液がイオン伝導性を示す物質(以下、「狭義の電解質」という。)をいうが、本発明の説明においては、狭義の電解質に電解質、非電解質を問わず他の金属、化合物等を含有させた混合物を電解質(「広義の電解質」)という。
【0053】
〔一般式(A)で表される化合物〕
本発明に係る前記一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物について説明する。
【0054】
前記一般式(A)において、R1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2、R3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−R4、酸素原子または硫黄原子を表し、R4は水素原子、または置換基を表す。
【0055】
一般式(A)において、R1、R2、R3で表される置換基の具体例としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、アミド基(例えば、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブタンアミド基、ヘキサンアミド基、ベンズアミド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メチルスルホンアミド基、オクチルスルホンアミド基、フェニルスルホンアミド基、ナフチルスルホンアミド基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)、オキザモイル基等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
【0056】
1は、置換もしくは無置換のアリール基であり、好ましくは置換もしくは無置換のフェニル基、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
【0057】
2及びR3として好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基であり、より好ましくは、R2及びR3のいずれか一方がフェニル基、他方がアルキル基、更に好ましくはR2及びR3の両方がフェニル基である。
【0058】
Xとして好ましくは>N−R4である。R4として好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
【0059】
以下に、一般式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物の具体的化合物例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0060】
【化5】

【0061】
【化6】

【0062】
【化7】

【0063】
【化8】

【0064】
【化9】

【0065】
【化10】

【0066】
【化11】

【0067】
【化12】

【0068】
【化13】

【0069】
【化14】

【0070】
【化15】

【0071】
【化16】

【0072】
【化17】

【0073】
【化18】

【0074】
〈吸着性基〉
本発明の表示素子においては、本発明に係る一般式(A)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する基を有していることが好ましい。
【0075】
本発明に係る化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明に係る物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。
【0076】
本発明に係る吸着性基は、化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOH、−P−O(OH)2、−OP=O(OH)2及び−Si(OR)3(Rは、アルキル基を表す)が好ましい。
【0077】
〔基板〕
本発明で用いることのできる基板としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
【0078】
〔透明導電性層〕
本発明の表示素子においては、本発明に係る層状ルテニウム酸化合物を含有した層と基板との間に、透明導電性層を有することが好ましい。
【0079】
透明導電性層としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。また別の例として、導電性高分子を用いる方法が挙げられる。
【0080】
〔導電性高分子〕
本発明の表示素子においては、透明導電性層が、導電性高分子を含有していることが好ましい。
【0081】
本発明において用いられる導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子が好ましく、例えばポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)から選ばれる重合体、又は共重合体が好適に用いられる。特にポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が好ましい。
【0082】
さらに本発明に係る導電性高分子には、ポリアニオンやそれ以外のドーパントを含むことができる。ポリアニオンとしては、高分子状カルボン酸塩、高分子状スルホン酸が挙げられる。高分子状カルボン酸としては、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などがあげられる。高分子状スルホン酸としては、リスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などがあげられる。これらの高分子状カルボン酸およびスルホン酸類は、ビニルカルボン酸およびビニルスルホン酸類と他の重合可能な低分子化合物、例えばアクリレート類およびスチレンなどとの共重合体であってもよい。具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。これらポリアニオンの中でもポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、及びその全てもしくは一部が金属塩であるものが好ましく用いられる。特にポリスチレンスルホン酸が最も好ましい。かかるポリアニオンの数平均分子量は、1,000〜2,000,000の範囲が適当であり、2,000〜500,000の範囲が好ましい。
【0083】
本発明において、ポリアニオンと導電性高分子の比率は、塗膜強度、導電性等の観点から、導電性高分子1gに対してポリアニオンが0.5〜10gの範囲であることが好ましく、1〜5gの範囲であることがより好ましい。
【0084】
他ドーパントとしては、導電性高分子を酸化還元できればドナー性のものでも、アクセプタ性のものでも良い。ドナー性ドーパントとしては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等の4級アミン化合物等が挙げられ、アクセプタ性ドーパントとしては、例えば、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、有機シアノ化合物、有機金属化合物、フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレン等を使用できる。
【0085】
さらに導電性高分子溶液には、透明導電層の耐久性に悪影響をおこさない範囲で、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド等の極性有機溶媒を少量添加しておくことがより好ましい。極性有機溶媒の添加量としては、膜の耐久性、透明性等の観点から、π共役高分子1%水溶液に対して0.5%から50%、好ましくは1%から10%がよい。
【0086】
〔グリッド状の金属配線〕
本発明に係る層状ルテニウム酸化合物を含有した層を有する電極はグリッド状の金属配線を有しても良く、グリッド状の金属配線を有することによって、層状ルテニウム酸化合物を有する電極の抵抗値を下げることができる。本発明のグリッド状の金属配線は、導電性パターンを形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィ法でパターニングしたり、印刷法やインクジェット法、電解メッキや無電解メッキ、銀塩感光材料を用いて露光、現像処理してパターン形成する方法でも良い。本発明のグリッド状の金属配線は、基板上と透明導電性層の間に配置したり、透明導電性層と層状ルテニウム酸化合物を含有した層との間に配置したりすることができる。必要に応じて、グリッド状の金属配線を覆うように絶縁膜を形成してもよい。本発明のグリッド状の金属配線は、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の金属材料を、メッシュ状、櫛形等に配置したものである。パターン形状としては特に制限はないが、例えば、三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形、(正)六角形、(正)八角形等を組み合わせた幾何学図形を挙げることができる。さらに金属材料としては銀が好ましい。本発明のグリッド状の金属配線パターンのライン幅やライン間隔は、任意の値で構わないが、導電性を高くするためにはライン幅を太くする必要がある。一方、透過率の関係からは開口率(パターンをなす細線のない部分が全体に占める割)を広くすること、つまりライン幅は細くライン間隔は広くすることが好ましい。開口率は80%以上が好ましく、90%以上が最も好ましい。このように透過率と導電性の点から、ライン幅は1μm以上、100μm以下が好ましく、ライン間隔は50μmから1000μmが好ましい。
【0087】
〔金属酸化物ナノ多孔質電極〕
本発明の表示素子においては、金属酸化物を含むナノ多孔質電極を用いることを特徴とする。
【0088】
本発明に係る多孔質電極を構成する金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化スズ、Snドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛等、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
多孔質電極は、上記金属酸化物の複数個の微粒子を結着または接触させることにより形成される。金属酸化物微粒子の平均粒子径は5nm〜10μmが好ましく、より好ましくは20nm〜1μmである。また、金属酸化物微粒子の比表面積は、簡易BET法で1×10-3〜1×1022/gであることが好ましく、より好ましくは1×10-2〜10m2/gである。また、金属酸化物微粒子の形状は、不定形、針状、球形など任意の形状のものが用いられる。
【0090】
金属酸化物微粒子の形成または結着法としては、公知のゾルゲル法や焼結法を採用することができ、例えば、1)Journal of the Ceramic Society of Japan,102,2,p200(1994)、2)窯業協会誌90,4,p157、3)J.of Non−Cryst.Solids,82,400(1986)等に記載の方法が挙げられる。また、気相法により作製した酸化チタンデンドリマー粒子を溶液上に分散して基体上に塗布し、120〜150℃程度の温度範囲で乾燥して溶媒を除去して多孔質電極を得る方法を用いることもできる。金属酸化物微粒子は結着させた状態が好ましく、連続加重式表面性測定機(例えば、スクラッチ試験器)で0.1g以上、好ましくは1g以上の耐性を有する状態が好ましい。
【0091】
本発明でいう多孔質とは、多孔質電極を配置し、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が多孔質電極内を移動可能な貫通状態を言う。
【0092】
〔N−オキシル誘導体〕
本発明の表示素子においては、対向電極間に、N−オキシル誘導体を有していることが好ましい。
【0093】
本発明に係るN−オキシル誘導体は、エレクトロデポジション反応やエレクトロクロミック反応のメディエータとして機能する場合や対極の反応物として機能する場合があり、メディエータとして機能する場合はエレクトロデポジション反応やエレクトロクロミック反応と同極の活性を有していることが望ましく、対極の反応物として機能する場合にはエレクトロデポジション反応やエレクトロクロミック反応と異極の活性を有していることが望ましい。
【0094】
本発明に係るN−オキシル誘導体は、電解質中に含有されていても、電極表面上に固定化されていてもよい。電極表面上に固定化する方法は、N−オキシル誘導体に電極表面と化学吸着または物理吸着する基を導入する方法やN−オキシル誘導体をポリマー化して電極表面上に薄膜を形成する方法などが挙げられる。尚、N−オキシル誘導体はN−オキシルラジカルの状態で添加しても良く、またN−ヒドロキシ化合物の状態で添加しても良い。
【0095】
以下、本発明に係るN−オキシル誘導体の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0096】
【化19】

【0097】
【化20】

【0098】
【化21】

【0099】
【化22】

【0100】
【化23】

【0101】
【化24】

【0102】
【化25】

【0103】
【化26】

【0104】
【化27】

【0105】
【化28】

【0106】
〔一般式(I)または一般式(II)で表される化合物〕
本発明の表示素子においては、電解質が、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0107】
前記一般式(I)において、R11、R12は各々置換または無置換の炭化水素基を表し、これらには芳香族の直鎖基または分岐基が含まれる。また、これらの炭化水素基では、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含んでも良い。ただし、S原子を含む環を形成する場合には、芳香族基をとることはない。
【0108】
炭化水素基に置換可能な基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、4級アンモニウム基、ヒドロキシル基、ハロゲン化合物、カルボン酸基、カルボキシレート基、アミド基、スルフィン酸基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスホン酸基、ホスフェート基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができる。
【0109】
一般に、銀の溶解析出を生じさせるためには、電解質中で銀を可溶化することが必要である。例えば、銀と配位結合を生じさせたり、銀と弱い共有結合を生じさせるような、銀と相互作用を示す化学構造種を含む化合物等と共存させて、銀または銀を含む化合物を可溶化物に変換する手段を用いるのが一般的である。前記化学構造種として、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が知られているが、本発明においては、チオエーテル基も銀溶剤として、有用に作用し、共存化合物への影響が少なく、溶媒への溶解度が高い特徴がある。
【0110】
以下、本発明に係る一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0111】
I−1:CH3SCH2CH2OH
I−2:HOCH2CH2SCH2CH2OH
I−3:HOCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OH
I−4:HOCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OH
I−5:HOCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2OH
I−6:HOCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OH
I−7:H3CSCH2CH2COOH
I−8:HOOCCH2SCH2COOH
I−9:HOOCCH2CH2SCH2CH2COOH
I−10:HOOCCH2SCH2CH2SCH2COOH
I−11:HOOCCH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2COOH
I−12:HOOCCH2CH2SCH2CH2SCH2CH(OH)CH2SCH2CH2SCH2CH2COOH
I−13:HOOCCH2CH2SCH2CH2SCH2CH(OH)CH(OH)CH2SCH2CH2SCH2CH2COOH
I−14:H3CSCH2CH2CH2NH2
I−15:H2NCH2CH2SCH2CH2NH2
I−16:H2NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NH2
I−17:H3CSCH2CH2CH(NH2)COOH
I−18:H2NCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2NH2
I−19:H2NCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2NH2
I−20:H2NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NH2
I−21:HOOC(NH2)CHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2CH(NH2)COOH
I−22:HOOC(NH2)CHCH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH(NH2)COOH
I−23:HOOC(NH2)CHCH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH(NH2)COOH
I−24:H2N(O=)CCH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2C(=O)NH2
I−25:H2N(O=)CCH2SCH2CH2SCH2C(=O)NH2
I−26:H2NHN(O=)CCH2SCH2CH2SCH2C(=O)NHNH2
I−27:H3C(O=)NHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHC(=O)CH3
I−28:H2NO2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SO2NH2
I−29:NaO3SCH2CH2CH2SCH2CH2SCH2CH2CH2SO3Na
I−30:H3CSO2NHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHO2SCH3
I−31:H2N(NH)CSCH2CH2SC(NH)NH2・2HBr
I−32:H2(NH)CSCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SC(NH)NH2・2HCl
I−33:H2N(NH)CNHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHC(NH)NH2・2HBr
I−34:〔(CH33NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2N(CH332+・2Cl-
【0112】
【化29】

【0113】
【化30】

【0114】
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に、例示化合物I−2が好ましい。
【0115】
次いで、本発明に係る一般式(II)で表される化合物について説明する。
【0116】
前記一般式(II)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zはイミダゾール環類を除く含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR9は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
【0117】
一般式(II)のMで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH4、N(CH34、N(C494、N(CH331225、N(CH331633、N(CH33CH265等が挙げられる。
【0118】
一般式(II)のZで表される含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられる。
【0119】
一般式(II)のR9で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等の各基が挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル等の各基が挙げられ、アルキルカルボンアミド基としては、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等の各基が挙げられ、アリールカルボンアミド基としては、例えば、ベンゾイルアミノ等が挙げられ、アルキルスルホンアミド基としては、例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールスルホンアミド基としては、例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ等が挙げられ、アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等の各基が挙げられ、アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等が挙げられ、アルキルカルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等の各基が挙げられ、アリールカルバモイル基としては、例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルファモイル基としては、例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等の各基が挙げられ、アリールスルファモイル基としては、例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等の各基が挙げられ、アルキルスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等が挙げられ、アリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等の各基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等の各基が挙げられ、アリールオキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル等が挙げられ、アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等の各基が挙げられ、アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等が挙げられ、アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等の各基が挙げられ、複素環基としては、例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
【0120】
次に、一般式(II)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0121】
【化31】

【0122】
【化32】

【0123】
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に例示化合物II−12、II−18が好ましい。
【0124】
〔一般式(III)または一般式(IV)で表される化合物〕
本発明の表示素子においては、電解質が、前記一般式(III)または(IV)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0125】
はじめに、一般式(III)で表される化合物の詳細について説明する。
【0126】
前記一般式(III)において、Lは酸素原子またはCH2を表し、R1〜R4は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
【0127】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
【0128】
以下、一般式(III)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0129】
【化33】

【0130】
次いで、一般式(IV)で表される化合物の詳細について説明する。
【0131】
前記一般式(IV)において、R5、R6は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
【0132】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
【0133】
以下、一般式(IV)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0134】
【化34】

【0135】
上記例示した一般式(III)及び一般式(IV)で表される化合物の中でも、特に、例示化合物(III−1)、(IV−2)、(IV−3)が好ましい。
【0136】
本発明に係る一般式(III)、(IV)で表される化合物は電解質溶媒の1種であるが、本発明の表示素子においては、本発明の目的効果を損なわない範囲でさらに別の溶媒を併せて用いることができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
【0137】
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
【0138】
本発明において、電解質溶媒は単一種であっても、溶媒の混合物であってもよいが、エチレンカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネートの添加量は、全電解質溶媒質量の10質量%以上、90質量%以下が好ましい。特に好ましい電解質溶媒は、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの質量比が7/3〜3/7の混合溶媒である。プロピレンカーボネート比が7/3より大きいとイオン伝導性が劣り応答速度が低下し、3/7より小さいと低温時に電解質が析出しやすくなる。
【0139】
〔白色散乱物〕
本発明においては、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から、白色散乱物を含有することが好ましく、多孔質白色散乱層を形成させて存在させてもよい。
【0140】
本発明に適用可能な多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
【0141】
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
【0142】
本発明では、上記白色粒子の中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく用いられる。また、無機酸化物(Al23、AlO(OH)、SiO2等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えて、トリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンを用いることができる。
【0143】
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
【0144】
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
【0145】
水溶性化合物としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えば、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0146】
本発明においては、ゼラチン及びゼラチン誘導体、または、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体を好ましく用いることができる。
【0147】
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0148】
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
【0149】
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系化合物/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
【0150】
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、対向電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
【0151】
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができ、例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
【0152】
媒体上に付与した水系化合物と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
【0153】
本発明でいう多孔質とは、前記水系化合物と白色顔料との水混和物を電極上に塗布乾燥して多孔質の白色散乱物を形成した後、該散乱物上に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質液を与えた後に対向電極で挟み込み、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が電極間で移動可能な貫通状態のことを言う。
【0154】
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬化剤により水系化合物の硬化反応を行うことが望ましい。
【0155】
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水系化合物としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
【0156】
これらの硬膜剤は、水系化合物1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
【0157】
〔電子絶縁層〕
本発明の表示素子においては、電気絶縁層を設けることができる。
【0158】
本発明に適用可能な電子絶縁層は、イオン電導性、電子絶縁性を合わせて有する層であればよく、例えば、極性基を有する高分子や塩をフィルム状にした固体電解質膜、電子絶縁性の高い多孔質膜とその空隙に電解質を担持する擬固体電解質膜、空隙を有する高分子多孔質膜、含ケイ素化合物の様な比誘電率が低い無機材料の多孔質体、等が挙げられる。
【0159】
多孔質膜の形成方法としては、燒結法(融着法)(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等に添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気するなどして発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。具体的には、特開平10−30181号、特開2003−107626号、特公平7−95403号、特許第2635715号、同第2849523号、同第2987474号、同第3066426号、同第3464513号、同第3483644号、同第3535942号、同第3062203号等に記載の電子絶縁層を挙げることができる。
【0160】
〔電解質添加の増粘剤〕
本発明の表示素子においては、電解質に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
【0161】
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
【0162】
〔その他の添加剤〕
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
【0163】
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
【0164】
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載した。
【0165】
添加剤 RD17643 RD18716 RD308119
頁 分類 頁 分類 頁 分類
化学増感剤 23 III 648右上 96 III
増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV
減感色素 23 IV 998 IV
染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII
現像促進剤 29 XXI 648右上
カブリ抑制剤・安定剤
24 IV 649右上 1006〜7 VI
増白剤 24 V 998 V
硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X
界面活性剤 26〜7 XI 650右 1005〜6 XI
帯電防止剤 27 XII 650右 1006〜7 XIII
可塑剤 27 XII 650右 1006 XII
スベリ剤 27 XII
マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI
バインダー 26 XXII 1003〜4 IX
支持体 28 XVII 1009 XVII
〔電極〕
本発明の表示素子においては、対向電極の少なくとも1種が金属電極であることが好ましい。金属電極としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。金属電極は、電解質中の銀の酸化還元電位に近い仕事関数を有する金属が好ましく、中でも銀または銀含有率80%以上の銀電極が、銀の還元状態維持の為に有利であり、また電極汚れ防止にも優れる。電極の作製方法は、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法等の既存の方法を用いることができる。
【0166】
また、本発明の表示素子は、対向電極の少なくとも1種が透明電極であることが好ましい。透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
【0167】
〔表示素子のその他の構成要素〕
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
【0168】
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
【0169】
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
【0170】
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
【0171】
〔表示素子駆動方法〕
本発明の表示素子の透明状態及び着色状態の制御方法は、一般式(A)で表される化合物の酸化還元電位や金属化合物の析出過電圧を基に決められることが好ましい。
【0172】
例えば、一般式(A)で表される化合物と金属化合物を対向電極間に有する表示素子の場合、酸化側で黒以外の着色状態を示し、還元側で黒色状態を示す。この場合の制御方法の一例としては、一般式(A)で表される化合物の酸化還元電位より貴な電圧を印加することで一般式(A)で表される化合物を酸化し黒以外の着色状態を示し、一般式(A)で表される化合物の酸化還元電位と金属化合物の析出過電圧の間の電圧を印加することで一般式(A)で表される化合物を還元し白色状態に戻し、金属化合物の析出過電圧より卑な電圧を印加することで金属を電極上に析出させ黒色状態を示し、析出した金属の酸化電位と一般式(A)で表される化合物の酸化還元電位の間の電圧を印加することで析出した金属を溶解して消色する方法が挙げられる。
【0173】
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
【0174】
〔商品適用〕
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
【実施例】
【0175】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0176】
実施例1
《表示素子の作製》
〔表示素子1−1の作製〕
(電極1の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、ITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)膜を公知の方法に従って形成し、電極1を得た。
【0177】
(電解液1の調製)
例示化合物(III−4)の2.5g中に、p−トルエンスルフォン酸銀0.1gと例示化合物(II−12)を0.2gとテトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gを溶解させて、電解液1を得た。
【0178】
(電極22の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、公知の方法を用いて、電極厚み0.1μmのニッケル電極を形成し、得られた電極をさらに置換金メッキ浴に浸漬し、電極表面から深さ0.05μmが金で置換された金−ニッケル電極(電極22)を得た。
【0179】
(表示素子の作製)
周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした電極22の上に、ポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)2質量%を含むイソプロパノール溶液中に、石原産業社製二酸化チタンCR−90を20質量%添加し、超音波分散機で分散させた混和液を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、その後15℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、45℃の雰囲気中で1時間乾燥させた。得られた二酸化チタン層上に平均粒径が20μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを散布した後に、電極22と電極1を貼り合わせ、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子1を作製した。
【0180】
〔表示素子1−2の作製〕
(電極2の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、ポリチオフェン溶液を用いてスピンコート法で成膜し、電極2を得た。
【0181】
(表示素子の作製)
電極1を電極2に変更した以外は表示素子1−1と同様にして、表示素子1−2を作製した。
【0182】
〔表示素子1−3の作製〕
(電極3の作製)
特開2003−323818号公報に記載された方法で、厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、FTO膜を形成し、電極3を得た。
【0183】
(表示素子の作製)
電極1を電極3に変更した以外は表示素子1−1と同様にして、表示素子1−3を作製した。
【0184】
〔表示素子1−4の作製〕
(電極4の作製)
一次粒径50nmの酸化ルテニウム粒子をポリフッ化ビニリデンを溶解させたジメチルスルフォキシド溶液に分散させて、酸化ルテニウム溶液を得た。得られた酸化ルテニウム溶液をブレード法で乾燥後の膜厚が1μmになるように電極1上に塗布して、酸化ルテニウム粒子から成る膜を形成し、電極4を得た。
【0185】
(表示素子の作製)
電極1を電極4に変更した以外は表示素子1−1と同様にして、表示素子1−4を作製した。
【0186】
〔表示素子1−5の作製〕
(電極5の作製)
酸化ルテニウム(和光純薬工業(株)社製)と炭酸カリウムとを混合し、圧搾してペレット化した。それをArガス気流下、850℃で12時間加熱し焼成した。得られた焼成物を粉砕した後、水で洗浄し、15000r.p.m.で15分間遠心分離した。得られた沈殿物を120℃で12時間乾燥すると、層間カリウムイオン介在層状ルテニウム酸化合物を得た。
【0187】
次いで、これを0.25モル/LのH2SO4水溶液に加え、60℃で撹拌し、介在するイオンを交換させた。それを水で洗浄し、15000r.p.m.で15分間遠心分離した後を、120℃で12時間乾燥することにより、層間プロトン介在層状ルテニウム酸微粒子を得た。
【0188】
次いで、この層状ルテニウム酸微粒子の100質量部を、70%エチルアミン水溶液50質量部に加え、25℃で24時間撹拌し、介在するイオンを交換させた。析出物をアセトンで洗浄し、15000r.p.m.で15分間遠心分離した後、真空乾燥することにより、層間エチルアンモニウムイオン介在層状ルテニウム酸化合物中間体を得た。
【0189】
この中間体を10%のテトラn−ブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に加え、25℃で50時間撹拌し、介在するイオンを交換させた。それを15000r.p.m.で30分間遠心分離して上澄み液から分離し、層間テトラn−ブチルアンモニウムイオン介在層状ルテニウム酸化合物微粒子を得た。
【0190】
この微粒子を、N,N−ジメチルホルムアミドに分散させて、ルテニウム酸化合物を層剥離させた。その液を、2000r.p.m.で30分間遠心分離させた。その上澄みを分取すると、コロイド状ルテニウム酸化合物が得られた。
【0191】
前記電極1上にコロイド状ルテニウム酸化合物を付し、北斗電工社製の商品名HZ−3000を用いてそれに電気泳動を施して、電極5を作製した。電気泳動条件は、泳動電界が5V/cm、電極間距離1cmで30秒間行った。
【0192】
(表示素子の作製)
電極1を電極5に変更した以外は表示素子1−1と同様にして、表示素子1−5を作製した。
【0193】
〔表示素子1−6の作製〕
(電極6の作製)
上記電極5の作製において、層状ルテニウム酸化合物を含有した層を形成する電極1を前記電極2に変更した以外は同様にして、電極6を作製した。
【0194】
(表示素子の作製)
電極1を電極6に変更した以外は表示素子1−1と同様にして、表示素子1−6を作製した。
【0195】
〔表示素子1−7の作製〕
(電極7の作製)
電極1上に、線幅5μm、厚さ2μm、ピッチ145μmのグリッド状の銀配線をリフトオフスパッタ法で形成した。得られた銀配線付き電極上に、電極5に記載の方法と同様にして層状ルテニウム酸化合物を含有した層を形成して、電極7を作製した。
【0196】
(表示素子の作製)
電極1を電極7に変更した以外は表示素子1−1と同様にして、表示素子1−7を作製した。
【0197】
〔表示素子1−8の作製〕
(電極8の作製)
ガラス基板をポリエチレンテレフタレート樹脂基板に変更した以外は電極5と同様にして、電極8を得た。
【0198】
(表示素子の作製)
電極1を電極8に変更した以外は表示素子1−1と同様にして、表示素子1−8を作製した。
【0199】
〔表示素子1−9の作製〕
(電極9の作製)
ガラス基板をポリエチレンテレフタレート樹脂基板に変更した以外は電極7と同様にして、電極9を得た。
【0200】
(表示素子の作製)
電極1を電極9に変更した以外は表示素子1−1と同様にして、表示素子1−9を作製した。
【0201】
〔表示素子1−10の作製〕
(電極10の作製)
酸化ルテニウム(和光純薬工業(株)社製)と炭酸カリウムとを混合し、圧搾してペレット化した。それをArガス気流下、850℃で12時間加熱し焼成した。得られた焼成物を粉砕した後、水で洗浄し、15000r.p.m.で15分間遠心分離した。得られた沈殿物を120℃で12時間乾燥すると、層間カリウムイオン介在層状ルテニウム酸化合物を得た。
【0202】
次いで、これを0.25モル/LのH2SO4水溶液に加え、60℃で撹拌し、介在するイオンを交換させた。それを水で洗浄し、15000r.p.m.で15分間遠心分離した後を、120℃で12時間乾燥することにより、層間プロトン介在層状ルテニウム酸微粒子を得た。
【0203】
次いで、この層状ルテニウム酸微粒子の100質量部を、70%エチルアミン水溶液50質量部に加え、25℃で24時間撹拌し、介在するイオンを交換させた。析出物をアセトンで洗浄し、15000r.p.m.で15分間遠心分離した後、真空乾燥することにより、層間エチルアンモニウムイオン介在層状ルテニウム酸化合物中間体を得た。
【0204】
この中間体を10%のテトラn−ブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に加え、25℃で50時間撹拌し、介在するイオンを交換させた。それを15000r.p.m.で30分間遠心分離して上澄み液から分離し、層間テトラn−ブチルアンモニウムイオン介在層状ルテニウム酸化合物微粒子を得た。
【0205】
この微粒子を、N,N−ジメチルホルムアミドに分散させて、ルテニウム酸化合物を層剥離させた。その液を、2000r.p.m.で30分間遠心分離させた。その上澄みを分取すると、コロイド状ルテニウム酸化合物が得られた。
【0206】
前記電極1上にコロイド状ルテニウム酸化合物をスピンコート法により付与、乾燥して
電極10を作製した。
【0207】
(表示素子の作製)
電極1を電極10に変更した以外は表示素子1−1と同様にして、表示素子1−10を作製した。
【0208】
〔表示素子1−11の作製〕
(電解液2の調製)
ジメチルスルホキシド2.5g中に、塩化ビスマス0.1gと臭化リチウム0.1gとテトラブチルアンモニウムパークロレート0.025gとを溶解させて、電解液2を得た。
【0209】
(表示素子の作製)
電解液1を電解液2に変更した以外は表示素子1−5と同様にして、表示素子1−11を作製した。
【0210】
〔表示素子1−12の作製〕
(電解液3の調製)
例示化合物(III−4)の2.5g中に、p−トルエンスルフォン酸銀0.1gと例示化合物(I−3)を0.2gとテトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gを溶解させて、電解液3を得た。
【0211】
(表示素子の作製)
電解液1を電解液3に変更した以外は表示素子1−5と同様にして、表示素子1−12を作製した。
【0212】
〔表示素子1−13の作製〕
(電解液4の調製)
ジメチルスルホキシド2.5g中に、p−トルエンスルフォン酸銀0.1gとテトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gを溶解させて、電解液4を得た。
【0213】
(表示素子の作製)
電解液1を電解液4に変更した以外は表示素子1−5と同様にして、表示素子1−13を作製した。
【0214】
上記作製した各表示素子の構成を、表1に示す。
【0215】
【表1】

【0216】
《表示素子の評価》
(白反射率)
未駆動の状態での反射率を表示電極側からコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定し、得られた波長550nmでの反射率を白反射率の指標とした。ここでは、反射率が高いほど白反射率に優れていることになる。
【0217】
(書換速度)
透明電極側に+1.5Vの電圧を1.5秒間印加した後に、−1.5Vの電圧を0.5秒間印加した時の可視光領域の極大吸収波長での反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定し、得られた波長550nmでの反射率と白反射率との差を書換速度の指標とした。ここでは、白反射率との差が大きいほど表示速度が速いことになる。
【0218】
(繰返し駆動させたときの反射率の安定性の評価)
定電圧電源の両端子に作製した表示素子の両電極を接続し、+1.5Vの電圧を1.5秒間印加した後に−1.5Vの電圧を1秒間印加してグレーを表示させたときの波長550nmでの反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定した。同様な駆動条件で合計10回駆動させ、得られた反射率の平均値をRave1とした。さらに1万回繰返し駆動させた後に同様な方法でRave2を求めた。RBK1=|Rave1−Rave2|とし、RBK1を繰返し駆動させたときの反射率の安定性の指標とした。ここでは、RBK1の値が小さいほど、繰返し駆動させたときの反射率の安定性に優れることになる。
【0219】
以上により得られた各表示素子の評価結果を、表2に示す。
【0220】
【表2】

【0221】
表2に記載の結果より明らかな様に、本発明の構成を満たす表示素子は、比較例に対し、白反射率、書換速度、繰返し駆動させたときの反射率の安定性が改善されているのが分かる。
【0222】
実施例2
《表示素子の作製》
〔表示素子2−1の作製〕
(電極11の作製)
実施例1に記載の電極1上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、下記インク液1を、ピエゾ方式の記録ヘッドを有するインクジェット記録装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極11を作製した。
【0223】
〈インク液1の調製〉
化合物A−42を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液1を調製した。
【0224】
(電解液5の調製)
例示化合物(III−4)の2.5g中に、p−トルエンスルフォン酸銀0.1gと例示化合物(II−12)を0.2gとニトロキシ化合物(2−14)を0.1gとテトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gとを溶解させて、電解液5を得た。
【0225】
(表示素子の作製)
電極1を電極11に、電解液1を電解液5に変更した以外は、実施例1に記載の表示素子1−1と同様にして、表示素子2−1を作製した。
【0226】
〔表示素子2−2の作製〕
(電極12の作製)
電極2上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、上記インク1を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極12を作製した。
【0227】
(表示素子の作製)
電極11を電極12に変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−2を作製した。
【0228】
〔表示素子2−3の作製〕
(電極13の作製)
電極3上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、上記インク液1を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極13を作製した。
【0229】
(表示素子の作製)
電極11を電極13に変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−3を作製した。
【0230】
〔表示素子2−4の作製〕
(電極14の作製)
電極4上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、上記インク液1を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極14を作製した。
【0231】
(表示素子の作製)
電極11を電極14に変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−4を作製した。
【0232】
〔表示素子2−5の作製〕
(電極15の作製)
電極5上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、上記インク液1を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極15を作製した。
【0233】
(表示素子の作製)
電極11を電極15に変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−5を作製した。
【0234】
〔表示素子2−6の作製〕
(電極16の作製)
電極6上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、上記インク液1を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極16を作製した。
【0235】
(表示素子の作製)
電極11を電極16に変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−6を作製した。
【0236】
〔表示素子2−7の作製〕
(電極17の作製)
電極7上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、上記インク液1を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極17を作製した。
【0237】
(表示素子の作製)
電極11を電極17に変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−7を作製した。
【0238】
〔表示素子2−8の作製〕
(電極18の作製)
電極8上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、上記インク液1を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極18を作製した。
【0239】
(表示素子の作製)
電極11を電極18に変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−8を作製した。
【0240】
〔表示素子2−9の作製〕
(電極19の作製)
電極9上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、上記インク液1を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極19を作製した。
【0241】
(表示素子の作製)
電極11を電極19に変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−9を作製した。
【0242】
〔表示素子2−10の作製〕
(電極20の作製)
電極10上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、上記インク液1を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極20を作製した。
【0243】
(表示素子の作製)
電極11を電極20に変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−10を作製した。
【0244】
〔表示素子2−11の作製〕
(電解液6の調製)
例示化合物(III−4)の2.5g中に、p−トルエンスルフォン酸銀0.1gと例示化合物(II−12)0.2gと、ニトロキシ化合物(2−14)0.1gと、例示化合物A−105の0.1gとテトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gとを溶解させて、電解液6を得た。
【0245】
(表示素子の作製)
電極11を電極5に、電解液5を電解液6変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−11を作製した。
【0246】
〔表示素子2−12の作製〕
(電極21の作製)
電極1上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、下記インク液2を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極21を作製した。
【0247】
〈インク液2の調製〉
例示化合物A−113を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液2を調製した。
【0248】
(表示素子の作製)
電極11を電極21に変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−12を作製した。
【0249】
〔表示素子2−13の作製〕
(電極22の作製)
電極1上に、平均粒径10nmの二酸化チタンを含有したペースト液を、スクリーン印刷法で塗工した後に、150℃で30分間加熱しペースト液の溶媒を除去し、厚さ1μmの二酸化チタンのナノ多孔質膜を形成した。次に、下記インク液3を、ピエゾ方式のヘッドを有するインクジェット装置にて、ナノ多孔質膜全体に付与し、電極22を作製した。
【0250】
〈インク液3の調製〉
例示化合物A−115を3mmol/Lとなるようにアセトニトリル/エタノールに溶解させて、インク液3を調製した。
【0251】
(表示素子の作製)
電極11を電極22に変更した以外は表示素子2−1と同様にして、表示素子2−13を作製した。
【0252】
上記作製した各表示素子の構成を、表3に示す。
【0253】
【表3】

【0254】
《表示素子の評価》
実施例1と同様にして、白反射率と書換速度と繰返し駆動させたときの反射率の安定性を評価した。
【0255】
以上により得られた各表示素子の評価結果を、表4に示す。
【0256】
【表4】

【0257】
表4に記載の結果より明らかな様に、本発明の構成を満たす表示素子は、比較例に対し、白反射率、書換速度、繰返し駆動させたときの反射率の安定性が改善されているのが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向電極の少なくとも一方が、層状ルテニウム酸化合物を含有した層を有し、該対向電極間に金属塩化合物を含有する電解質が保持されていることを特徴とする表示素子。
【請求項2】
前記金属塩化合物が、銀塩化合物であることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
【請求項3】
前記対向電極間に、下記一般式(A)で表される化合物が保持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
【化1】

〔式中、R1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2、R3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−R4、酸素原子または硫黄原子を表し、R4は水素原子、または置換基を表す。〕
【請求項4】
前記層状ルテニウム酸化合物を含有した層と基板との間に、透明導電性層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項5】
前記透明導電性層が、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛及び酸化チタンから選ばれる少なくとも1種を含有していることを特徴とする請求項4に記載の表示素子。
【請求項6】
前記透明導電性層が、導電性高分子を含有していることを特徴とする請求項4または5に記載の表示素子。
【請求項7】
前記層状ルテニウム酸化合物が、ルテニウム酸化合物ナノシートの連続した積層体により構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項8】
前記層状ルテニウム酸化合物を含有した層を有する電極が、グリッド状の金属配線を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項9】
前記金属配線が、金、銀、銅及び白金から選ばれる少なくとも1種から構成されていることを特徴とする請求項8に記載の表示素子。
【請求項10】
前記金属配線が、電解めっきもしくは無電解めっきにより形成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の表示素子。
【請求項11】
前記層状ルテニウム酸化合物を含有した層を有する電極の基板が、フィルム基板であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項12】
前記層状ルテニウム酸化合物を含有した層が、電気泳動法により形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項13】
層状ルテニウム酸化合物を含有した層上に、金属酸化物ナノ多孔質層を有していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項14】
前記金属酸化物ナノ多孔質層が、酸化チタン、酸化スズ及び酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種から構成されていることを特徴とする請求項13に記載の表示素子。
【請求項15】
前記一般式(A)で表される化合物が、対向電極の少なくとも一方に固定化されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項16】
前記一般式(A)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する吸着性基を有していることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項17】
前記吸着性基が、−COOH、−P=O(OH)2、−OP=O(OH)2または−Si(OR)3(Rは、アルキル基を表す。)であることを特徴とする請求項16に記載の表示素子。
【請求項18】
前記対向電極間に、N−オキシル誘導体を有していることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項19】
前記電解質が、下記一般式(I)及び(II)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載に表示素子。
一般式(I)
11−S−R12
〔式中、R11、R12は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。ただし、S原子を含む環を形成する場合には、芳香族基をとることはない。〕
【化2】

〔式中、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を表す。nは0〜5の整数を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ヒドロキシ基または複素環基を表し、nが2以上の場合、それぞれのR9は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。〕
【請求項20】
前記電解質が、下記一般式(III)及び(IV)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載に表示素子。
【化3】

〔式中、Lは酸素原子またはCH2を表し、R1〜R4は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕
【化4】

〔式中、R5、R6は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。〕

【公開番号】特開2009−103964(P2009−103964A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276265(P2007−276265)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】