説明

表示装置、デジタルフォトフレーム及び表示システム

【課題】 複数台並べて配置される表示装置の中の特定の表示装置のみに遠隔操作を実行させることができる表示装置を提供する。
【解決手段】 遠隔操作信号を受信する受信部10aと、他の表示装置と通信する通信部20と、前記他の表示装置との通信により、前記受信部10aと前記他の表示装置の受信部とが同一の前記遠隔操作信号を受信したことを認識したとき、前記遠隔操作信号に基づく操作を実行するか、禁止するかを設定する制御部30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、デジタルフォトフレーム及び表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
観賞用画像を電気的に表示するデジタルフォトフレーム等の表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−203846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、デジタルフォトフレーム等の表示装置を複数台並べて配置した場合において、リモコン等により遠隔操作信号を特定の表示装置に対して送信したとき、特定の表示装置に隣接して配置されている表示装置等もその遠隔操作信号を受信する場合があり、特定の表示装置に対してのみ遠隔操作を実行するのが困難な場合があった。
【0005】
本発明の目的は、複数台並べて配置される表示装置の中の特定の表示装置のみに遠隔操作を実行させることができる表示装置、デジタルフォトフレーム及び表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、遠隔操作信号を受信する受信部と、他の表示装置と通信する通信部と、前記他の表示装置との通信により、前記受信部と前記他の表示装置の受信部とが同一の前記遠隔操作信号を受信したことを認識したとき、前記遠隔操作信号に基づく操作を実行するか、禁止するかを設定する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のデジタルフォトフレームは、本発明の表示装置を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の表示システムは、第1表示装置と、少なくとも1台の他の表示装置と、前記第1表示装置に対する遠隔操作信号を受信する第1受信部と、前記他の表示装置に対する遠隔操作信号を受信する第2受信部と、前記第1表示装置と前記他の表示装置との間で通信する通信部と、前記通信部における通信により、前記第1受信部と前記第2受信部とが同一の前記遠隔操作信号を受信したことを認識したとき、前記第1表示装置または前記他の表示装置において前記遠隔操作信号に基づく操作を実行させるよう制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表示装置、デジタルフォトフレーム及び表示システムによれば、複数台並べて配置される表示装置の中の特定の表示装置のみに遠隔操作を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る表示システムを構成するデジタルフォトフレームの構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る表示システムを構成するデジタルフォトフレームのシステム構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係る表示システムにおいて操作用リモコンからの遠隔操作信号に基づく操作を行う際の処理について説明するためのフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係る表示システムに対して操作用リモコンを用いて遠隔操作を行う際の状況を示す図である。
【図6】各DPFのLDCパネルに表示される画像を示す図である。
【図7】一連の操作が終了した後に各DPFのLCDパネルに表示される画像を示す図である。
【図8】切換操作が行われた後に各DPFのLCDパネルに表示される画像を示す図である。
【図9】第2の実施の形態に係る表示システムにおいて操作用リモコンからの遠隔操作信号を受信した際の処理について説明するためのフローチャートである。
【図10】各DPFの信号受信部の受光感度を示す図である。
【図11】受光感度の調整が行われた後の各DPFの信号受信部の受光感度を示す図である。
【図12】第3の実施の形態に係る表示システムにおいて信号受信部の受光感度を調整する際の第1DPFの制御部が行う処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る表示システムについて説明する。この実施の形態に係る表示システムは、図1に示すように、表示装置としての第1デジタルフォトフレーム(以下、第1DPFという。)2a,第2デジタルフォトフレーム(以下、第2DPFという。)2b,第3デジタルフォトフレーム(以下、第3DPFという。)2cを備えている。なお、この実施の形態では、3台のデジタルフォトフレーム(以下、DPFという。)を備えているが、2台または4台以上のDPFを備えてもよい。また、一般に、DPFとしては机等の上に立て掛けて設置するものや、壁に掛けて設置するもの等が存在するが、本発明の実施の形態としては、机等に立て掛けて設置するもの(電子写真立て)を例に挙げて説明する。
【0012】
次に、第1DPF2aの構成について説明する。なお、第2DPF2b及び第3DPF2cの構成は、第1DPF2aの構成と同一である。図2は、第1DPF2aの外観を示す斜視図である。図2に示すように、第1DPF2aの前面には、観賞用画像や時刻等の情報を電気的に表示する表示部としてのLCDパネル6a、音楽や音声が出力されるスピーカ8a、及び操作用リモコン40(図5参照)から出力される赤外線等の遠隔操作信号を受信する信号受信部10aが設けられている。また、第1DPF2aの上面には、第1DPF2aの電源のオン/オフを行う電源スイッチ12及び第1DPF2aの機能設定やLCDパネル6aの表示設定の際に使用する操作キー14が設けられている。また、第1DPF2aの一方の側面には、画像や音楽等のデータが記憶されたメモリカードが挿入されるメモリカードスロット16、USB機器が接続されるUSBポート18、第2DPF2b及び第3DPF2cとネットワーク接続するために用いられるネットワーク端子20が設けられている。
【0013】
図3は、第1DPF2aのシステム構成を示すブロック図である。第1DPF2aの各部を統括的に制御するCPU(制御部)30には、上述の信号受信部10a、電源スイッチ12、操作キー14、メモリカードスロット16、USBポート18及びネットワーク端子20が接続されている。また、CPU30には、第1DPF2aの機能の設定、画像や音楽等のデータが記憶される内部メモリ32が接続されている。また、CPU30には、LCDパネル6aに表示される画像や設定画面等の表示制御を行う表示制御部34、スピーカ8aから出力される音楽や音声の再生制御を行う再生制御部36が接続されている。
【0014】
次に、図4のフローチャートを参照して、第1の実施の形態に係る表示システムにおいて操作用リモコン40(図5参照)からの遠隔操作信号に基づく操作を行う際の処理について説明する。なお、この実施の形態では、第1DPF2aは親機として、第2DPF2b、第3DPF2cは子機として機能し、第1DPF2a、第2DPF2b及び第3DPF2cは、例えばネットワーク端子等を介してネットワーク接続されており、互いに通信可能に設定されている。
【0015】
まず、図5に示すように、ユーザーにより操作用リモコン40に設けられているMENUボタン(図示せず)が押下されると、第1DPF2aの信号受信部10aは、操作用リモコン40から出力された遠隔操作信号を受信し、第1DPF2aの制御部30は、信号受信部10aから遠隔操作信号を取得する(ステップS10)。同様に、第2DPF2bの信号受信部10bは、操作用リモコン40から出力された遠隔操作信号を受信し、第2DPF2bの制御部は、信号受信部10bから遠隔操作信号を取得する(ステップS24)。なお、この実施の形態では、操作用リモコン40から出力された遠隔操作信号は、第3DPF2cの信号受信部10cの受信可能な範囲外から出力されているため、信号受信部10cは、操作用リモコン40から出力された遠隔操作信号を受信しないものとする。
【0016】
次に、第2DPF2bの制御部は、ネットワークを介して、ステップS24において信号受信部10bが操作用リモコン40から出力された遠隔操作信号を受信したことを、第1DPF2aに対して通知し(ステップS25)、第1DPF2aの制御部30は、第2DPF2bからの通知を取得する(ステップS11)。
【0017】
次に、第1DPF2aの制御部30は、MENUボタンを押下することにより操作用リモコン40から出力される遠隔操作信号を、信号受信部10a及び信号受信部10bが一定時間以内に受信しているか否かを判別する(ステップS12)。即ち、第1DPF2aの信号受信部10aが受信した遠隔操作信号と、第2DPF2bの信号受信部10bが受信した遠隔操作信号とが、1回のリモコン40の操作によるものであるか否か(ユーザーがMENUボタンを2回以上押下していないか否か)を判別する。よって、一定時間として、ユーザーがMENUボタン等を2回押下するのに要する時間より短い時間(例えば500msec)を設定する。
【0018】
ステップS12において、信号受信部10a及び信号受信部10bが遠隔操作信号を一定時間以内に受信していないと判別された場合には(ステップS12、No)、第1DPF2aの制御部30及び第2DPF2bの制御部は、それぞれ受信した遠隔操作信号に基づく操作を実行する。一方、ステップS12において、信号受信部10a及び信号受信部10bが遠隔操作信号を一定時間以内に受信したと判別された場合には(ステップS12、Yes)、第1DPF2aの制御部30は、信号受信部10aにより受信した遠隔操作信号の光量と、信号受信部10bにより受信した遠隔操作信号の光量とを比較する(ステップS13)。信号受信部10bにより受信した遠隔操作信号の光量は、ステップS25における通知の際に第2DPF2bの制御部が付加情報として第1DPF2aに対して送信してもよく、比較する際に第1DPF2bの制御部30が第2DPF2bから取得してもよい。
【0019】
信号受信部10a及び10bが受信する遠隔操作信号の光量は、遠隔操作信号が送信される場所や発信される方向等により異なる。例えば、信号受信部10aより信号受信部10bに近い位置から、または信号受信部10aより信号受信部10bに遠隔操作信号が向かう方向から、ユーザーがMENUボタンを押下した場合には、信号受信部10bにより受信した遠隔操作信号の光量は、信号受信部10aにより受信した遠隔操作信号の光量より大きくなる。なお、この実施の形態では、信号受信部10bにより受信した遠隔操作信号の光量は、信号受信部10aにより受信した遠隔操作信号の光量より大きいものとする。
【0020】
次に、第1DPF2aの制御部30は、ステップS13において信号受信部10aにより受信した遠隔操作信号の光量が信号受信部10bにより受信した遠隔操作信号の光量より小さいと判別し、第2DPF2bに対して、LCDパネル6bへのMENU画面の表示を通知する(ステップS14)。そして、図6に示すように、LCDパネル6aにグレー画像を表示させる(ステップS15)。
【0021】
第2DPF2bの制御部は、ステップS14における第1DPF2aからの通知に基づいて、図6に示すように、LCDパネル6bにMENU画面を表示させる(ステップS26)。
【0022】
一方、第1DPF2aの制御部30は、第3DPF2cに対して、LCDパネル6cへのグレー画像の表示を通知し(ステップS16)、第3DPF2cの制御部は、ステップS16における第1DPF2aからの通知に基づいて、図6に示すように、LCDパネル6bにグレー画像を表示させる(ステップS31)。なお、LCDパネル6a,6cにグレー画像以外の黒画像等を表示させてもよい。
【0023】
次に、第1DPF2aの制御部30は、操作用リモコン40から出力され、信号受信部10aにより受信した遠隔操作信号を取得し(ステップS17)、同様に、第2DPF2bの制御部は、操作用リモコン40から出力され、信号受信部10bにより受信した遠隔操作信号を取得する(ステップS27)。そして、ステップS25の処理と同様に、第2DPF2bの制御部は、第1DPF2aに対して、ステップS27において取得した遠隔操作信号を通知し(ステップS28)、第1DPF2aの制御部30は、第2DPF2bからの通知を受信する(ステップS18)。
【0024】
次に、第1DPF2aの制御部30は、ステップS12の処理と同様の処理を行うことにより、信号受信部10aと10bとが受信した遠隔操作信号が、1回のリモコン40の操作によるものであるか否かを判別する。そして、信号受信部10aと10bとが遠隔操作信号を一定時間以内に受信していると判別された場合には、第1DPF2aの制御部30は、受信した遠隔操作信号に基づく操作を実行し(ステップS19)、第2DPF2b及び第3DPF2cに対して、受信した遠隔操作信号に基づく操作内容を通知する(ステップS20)。
【0025】
第2DPF2b及び第3DPF2cは、ステップS20における第1DPF2aから通知された操作内容に従った操作を実行する(ステップS29,S32)。
【0026】
次に、第1DPF2aの制御部30は、全部の操作、即ちユーザーによる操作用リモコン40からの遠隔操作に関連する一連の操作(各種設定(この実施の形態では輝度設定)等を行うための一連の操作)が終了したか否かの判別を行う(ステップS21)。全部の操作が終了していないと判別された場合には(ステップS21、No)、第1DPF2aの制御部30は、ステップS17〜S21の処理を、第2DPF2bの制御部は、ステップS27〜S29の処理を、第3DPF2cの制御部は、ステップS32の処理を繰り返す。
【0027】
一方、全部の操作が終了したと判別された場合、例えば、図7に示すように、LCDパネル6bに輝度設定の終了を示す画面が表示され、ユーザーにより操作用リモコン40を介して輝度設定の終了を示すボタンが押下された場合には(ステップS21、Yes)第1DPF2aの制御部30は、LCDパネル6aに、通常の画面(例えば、ステップS10において遠隔操作信号を受信する前に表示されていた画面)を表示させる(ステップS22)。
【0028】
次に、第1DPF2aの制御部30は、第2DPF2b及び第3DPF2cに対して、LCDパネル6b及び6cへの通常の画面の表示を通知し(ステップS23)、第2DPF2b及び第3DPF2cの制御部は、ステップS23における第1DPF2aからの通知に基づいて、LCDパネル6b及び6cに通常の画面を表示させる(ステップS30、S33)。
【0029】
第1の実施の形態に係る表示システムによれば、複数台並べてDPFが配置され、同一の遠隔操作信号を受信するDPF及び受信しないDPFが生じた場合においても、親機として機能するDPFが子機として機能する他のDPFの操作内容や表示内容を制御することができるため、操作用リモコンによる遠隔操作に基づく操作を全部のDPFに実行させることができる。
【0030】
なお、第1の実施の形態においては、操作用リモコンによる遠隔操作に基づく操作を全部のDPFに実行させているが、選択されたDPF(この実施の形態では第2DPF2b)のみに操作を実行させることもできる。この場合には、親機として機能する第1DPF2aは、選択されていないDPF(この実施の形態では第1DPF2a及び第3DPF2c)に操作を禁止させる設定を行う。例えば、選択されていないDPFの信号受信部が遠隔操作信号を受信できないように一時的に設定してもよく、または信号受信部が受信した遠隔操作信号を無視するように一時的に設定してもよい。この場合には、特定のDPF(選択されたDPF)のみに操作用リモコンによる遠隔操作を実行させることができる。
【0031】
また、第1の実施の形態においては、遠隔操作信号の光量の大きさを比較することにより第2DPF2bを選択しているが、遠隔操作信号を受信した時間を比較することにより何れかのDPFを選択することもできる。具体的には、遠隔操作信号を受信した時間がもっとも早いDPFを選択する。また、遠隔操作信号の光量の大きさ及び遠隔操作信号を受信した時間の早さを比較することにより何れかのDPFを選択することもできる。即ち、まず遠隔操作信号の光量の大きさを比較し、光量が同じだったとき、遠隔操作信号を受信した時間の早さを比較し、受信した時間が早いDPFを選択する。または、まず遠隔操作信号を受信した時間の早さを比較し、同一の時間に受信しているとき、遠隔操作信号の光量の大きさを比較し、受信した光量の大きいDPFを選択する。
【0032】
また、第1の実施の形態においては、遠隔操作信号の光量の大きさを比較することにより第2DPF2bを選択しているが、操作用リモコン40に切換ボタンを設け、ユーザーが切換ボタンを押下することにより、選択されるDPFを切り換えることができる。例えば、第1DPF2a及び第2DPF2bが遠隔操作信号を受信し、図6に示すように、第2DPF2bが選択された場合には、ユーザーが切換ボタンを押下することにより、図8に示すように、第1DPF2aが選択される。切換ボタンを押下する毎に選択されるDPFの切換えが行われ、切換り方としては、遠隔操作信号を受信したDPF間(第1DPF2aと第2DPF2bとの間)、または全部のDPF間(第1DPF2a,第2DPF2b及び第3DPF2c間)で切換えが行われる。また、全部のDPF間で切換えが行われるが、遠隔操作信号を受信したDPFから切換えが行われるように設定してもよい。
【0033】
また、個々のDPFに対応する切換ボタン(第1の実施の形態では各DPF2a〜2cに対応する3個の切換ボタン)を設け、対応する切換ボタンが押下されたDPFが選択されるようにしてもよい。
【0034】
また、CPU30が、表示制御部34と再生制御部36の機能を行ってもよい。
【0035】
次に、図面を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る表示システムについて説明する。なお、第2の実施の形態に係る表示システムにおいては、第1の実施の形態に係る表示システムの構成と同一の構成を有しているため、その説明を省略し、同一の構成には同一の符号を用いて説明を行う。
【0036】
図9は、第2の実施の形態に係る表示システムにおいて操作用リモコン40からの遠隔操作信号を受信した際の処理について説明するためのフローチャートである。なお、この実施の形態では、第1DPF2a、第2DPF2b及び第3DPF2cは、例えばネットワーク端子等を介してネットワーク接続されており、互いに通信可能に設定されている。また、操作用リモコン40のユーザーは、第2DPF2bに対して操作用リモコン40を用いて遠隔操作を行うことを所望しているものとして説明を行う。
【0037】
まず、図10に示すように、第1DPF2a、第2DPF2b及び第3DPF2cの信号受信部10a〜10cの受光感度s1,s2,s3が設定されている場合において(s1,s2,s3の面積が受光感度の強さを表し、図10ではs1,s2,s3の受光感度の強さは同一になっている)、ユーザーにより操作用リモコン40に設けられているMENUボタンが押下されたものとする。なお、第1DPF2aの制御部30によるステップS40〜S42の処理は、図4のフローチャートに示すステップS10〜S12の処理と同一のため、説明を省略する。また、第2DPF2bの制御部によるステップS50及びS51の処理は、図4のフローチャートに示すステップS24及びS25の処理と同一のため、説明を省略する。
【0038】
次に、ステップS42において、信号受信部10a及び信号受信部10bが遠隔操作信号を一定時間以内に受信したと判別された場合には(ステップS42、Yes)、第1DPF2aの制御部30は、信号受信部10aの受光感度の調整を行う(ステップS43)。具体的には、信号受信部10a及び10bが同一の遠隔操作信号を受信するのを防止するために、図11に示すように、信号受信部10aの受光感度s1を受光感度s1´に、受光感度を低くする調整を行う。
【0039】
次に、第1DPF2aの制御部30は、第2DPF2bに対して、信号受信部10bの受光感度の調整を指示する通知を送信する(ステップS44)。第2DPF2bの制御部は、ステップS44における第1DPF2aからの通知に基づいて、信号受信部10bの受光感度の調整を行う(ステップS52)。具体的には、図11に示すように、信号受信部10bの受光感度s2を受光感度s2´に、受光感度を低くする調整を行う。
【0040】
信号受信部10a及び10bの受光感度を低くすることにより、次にユーザーが操作用リモコン40に設けられているMENUボタンを押下したとき、信号受信部10a及び10bの何れか一方が遠隔操作信号を受信する確率が高くなる。また、信号受信部10a及び10bの両方が遠隔操作信号に受信しない場合には、ユーザーに対し、より信号受信部10bに近い位置から遠隔操作する必要性があることを知らせることができる。
【0041】
また、各DPF2a〜2cが載置されている位置を特定できない場合等、受光感度を段階的に低くするよう設定することもできる。例えば、信号受信部10a及び10bが同一の遠隔操作信号を受信したとき、信号受信部10a及び10bの受光感度を少し低くする。次にユーザーがMENUボタンを押下し、また信号受信部10a及び10bが同一の遠隔操作信号を受信したとき、信号受信部10a及び10bの受光感度を更に低くする。一方、次にユーザーがMENUボタンを押下し、信号受信部10a及び10bの何れか一方が遠隔操作信号を受信したとき、信号受信部10a及び10bの受光感度は適切に調整されたものと判断する。受光感度を段階的に調整することにより、複数のDPFが同一の遠隔操作信号を受信することを防止することができ、かつ高い受光感度を維持することができる。
【0042】
ステップS43及びS52において調整された受光感度s1´及びs2´を、一定期間後(例えば1日経過後)、受光感度s1及びs2に戻すよう設定することもできる。また、各DPF2a〜2cに加速度センサ、または机等に載置されているときには押下され埋没し、机等から持ち上げられたときには突出するピンスイッチ等の移動検出装置を設け、移動検出装置により第1DPF2a及び第2DPF2bの少なくとも1つが移動させられたことを検出したとき、受光感度s1及びs2に戻すよう設定することもできる。また、ユーザー操作により受光感度s1及びs2に戻すよう設定することもできる。
【0043】
第2の実施の形態に係る表示システムによれば、複数のDPFの信号受信部が同一の遠隔操作信号を受信したとき、信号受信部の受光感度を調整することができる。したがって、次に遠隔操作がなされたとき、ユーザーが遠隔操作を所望するDPF以外のDPFが同一の遠隔操作信号を受信することを抑制することができ、所望のDPFのみに操作用リモコンによる遠隔操作を実行させることができる。
【0044】
次に、図面を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る表示システムについて説明する。なお、第3の実施の形態に係る表示システムにおいては、第1の実施の形態に係る表示システムの構成と同一の構成を有しているため、その説明を省略し、同一の構成には同一の符号を用いて説明を行う。
【0045】
図12は、第3の実施の形態に係る表示システムにおいて信号受信部10aの受光感度を調整する際の第1DPF2aの制御部30が行う処理について説明するためのフローチャートである。なお、信号受信部10aの受光感度の調整は、ユーザーによる調整指示に従い行うようにしてもよく、定期的(週一回や月一回等)に自動的に行うようにしてもよい。また、第2DPF2b及び第3DPF2cの制御部も、第1DPF2aの制御部30と同様の処理を行う。
【0046】
まず、図12に示すように、第1DPF2aの制御部30は、ネットワークを介して照会信号を送信する(ステップS60)。照会信号は、例えばネットワーク端子20等を介して第1DPF2aに他のDPFがネットワーク接続されているか否かを確認するために発信される信号である。例えば、第1DPF2a、第2DPF2b及び第3DPF2cがネットワーク接続されている場合には、第2DPF2b及び第3DPF2cは、第1DPF2aに対して応答信号を送信する。
【0047】
次に、制御部30は、他のDPFからの応答信号を受信したか否かを判別する(ステップS61)。第1DPF2a、第2DPF2b及び第3DPF2cがネットワーク接続されている場合には、制御部30は、第2DPF2b及び第3DPF2cからの応答信号を受信する。ステップS61において他のDPFからの応答信号を受信した場合には(ステップS61、Yes)、制御部30は、受信した応答信号数を算出する(ステップS62)。第2DPF2b及び第3DPF2cからの応答信号を受信した場合には、受信した応答信号数は2と算出される。
【0048】
次に、制御部30は、ステップS62において算出した応答信号数に基づいて、信号受信部10aの受光感度を調整する(ステップS63)。信号受信部10aの受光感度は、最も受光感度が高い「高」、最も受光感度が低い「低」、「高」より低く「低」より高い「中」に設定可能に構成されている。したがって、応答信号数が多い場合には、多数のDPFとネットワーク接続されており、多数のDPFが限られたスペース内に隙間なく並べて配置されていると予想されることから、複数のDPFが同一の遠隔操作信号を受信するのを防止するために、制御部30は信号受信部10aの受光感度を「低」に設定する調整を行う。一方、応答信号数が少ない場合には、少数のDPFとネットワーク接続されており、少数のDPFが限られたスペース内に間隔を取って並べて配置されていると予想されることから、複数のDPFが同一の遠隔操作信号を受信するのを防止し、かつ高い受光感度を維持するために、制御部30は信号受信部10aの受光感度を「中」に設定する調整を行う。
【0049】
一方、ステップS61において他のDPFからの応答信号を受信しなかった場合には(ステップS61、No)、制御部30は、第1DPF2aに他のDPFがネットワーク接続されていないと判断し、他のDPFが同一の遠隔操作信号を受信することがないため、信号受信部10aの受光感度を「高」に設定する調整を行う(ステップS63)。
【0050】
制御部30は、信号受信部10aの受光感度の調整後、第2DPF2b及び第3DPF2cに対して、信号受信部10b及び10cの受光感度の調整を指示する通知を送信し、第2DPF2b及び第3DPF2cの制御部は、制御部30から送信された通知に基づいて、信号受信部10b及び10cの受光感度の調整を行う。
【0051】
ステップS63において調整された受光感度は、第2の実施の形態と同様に、一定期間経過後、移動検出装置によりDPFの移動が検出されたとき、またはユーザー操作により、調整前の値に戻すことができる。
【0052】
第3の実施の形態に係る表示システムによれば、ネットワーク接続されている他のDPFの数を定期的に算出し、算出結果に基づいて信号受信部の受光感度を調整することができる。したがって、ユーザーが遠隔操作を所望するDPF以外のDPFが同一の遠隔操作信号を受信することを抑制することができ、所望のDPFのみに操作用リモコンによる遠隔操作を実行させることができる。
【0053】
なお、上述の各実施の形態に係る表示システムにおいては、親機として機能する第1DPF2aの制御部30が遠隔操作信号の光量の比較、全部のDPFの操作及び表示の制御、受光感度の調整等を行っているが、第1DPF2a、第2DPF2b及び第3DPF2cに接続されるサーバを設け、サーバが遠隔操作信号の光量の比較、第1DPF2a、第2DPF2b及び第3DPF2cの操作及び表示の制御を行うようにしてもよい。この場合には、第1DPF2a、第2DPF2b及び第3DPF2cは、サーバに対して、受信した遠隔操作信号を通知する。サーバは、各DPFから取得した遠隔操作信号の光量を比較し、比較結果に基づいて各DPFの操作の実行を指示する制御信号、及び各信号受信部の受光感度の調整を指示する信号を、各DPFに対して出力する。第1DPF2a、第2DPF2b及び第3DPF2cは、サーバからの制御信号に従った処理を行う。さらに、サーバが、信号受信部10a〜10cの受光感度の調整等を行うようにしてもよい。
【0054】
なお、上述した各実施の形態では、1台のDPFだけを選択して操作用リモコンで操作しているが、同時に2台もしくはそれ以上のDPFを操作するようにしてもよい。
【0055】
また、上述の各実施の形態においては、複数のDPFを並べて配置した表示システムを例に挙げて説明したが、DPF以外の表示装置を並べて配置した表示システムについても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
並べて配置された複数の表示装置を備えた表示システムとして産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
2a〜2c…デジタルフォトフレーム(DPF)、6a〜6c…LCDパネル、8a〜8c…スピーカ、10a〜10c…信号受信部、12…電源スイッチ、14…操作キー、16…メモリカードスロット、18…USBポート、20…ネットワーク端子、30…制御部、32…内部メモリ、34…表示制御部、36…再生制御部、40…操作用リモコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作信号を受信する受信部と、
他の表示装置と通信する通信部と、
前記他の表示装置との通信により、前記受信部と前記他の表示装置の受信部とが同一の前記遠隔操作信号を受信したことを認識したとき、前記遠隔操作信号に基づく操作を実行するか、禁止するかを設定する制御部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記設定に基づいて表示部に表示する画像を制御する表示制御部を備えることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記他の表示装置からの命令により前記設定を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記通信部によりサーバと通信し、前記制御部は、前記サーバからの命令により前記設定を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記受信部による受信結果に基づいて前記遠隔操作信号に基づく操作を実行するか、禁止するかの判別を行うことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記受信結果は、前記遠隔操作信号の光量及び受信時間の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記操作に関連する一連の操作を実行している間、前記他の表示装置に対する前記操作を禁止することを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記操作を実行するか、禁止するかを切り換える切換部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記操作が禁止されたとき、前記表示部への画像の非表示、または所定画像の表示を行うことを特徴とする請求項2〜請求項8の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記通信部による通信結果に基づいて前記受信部の感度を調整することを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記通信結果は、前記他の表示装置の受信部が所定時間内に前記受信部と同一の前記遠隔操作信号を受信した情報、または前記他の表示装置の数に関する情報を含むことを特徴とする請求項10記載の表示装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の何れか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とするデジタルフォトフレーム。
【請求項13】
第1表示装置と、
少なくとも1台の他の表示装置と、
前記第1表示装置に対する遠隔操作信号を受信する第1受信部と、
前記他の表示装置に対する遠隔操作信号を受信する第2受信部と、
前記第1表示装置と前記他の表示装置との間で通信する通信部と、
前記通信部における通信により、前記第1受信部と前記第2受信部とが同一の前記遠隔操作信号を受信したことを認識したとき、前記第1表示装置または前記他の表示装置において前記遠隔操作信号に基づく操作を実行させるよう制御する制御部と、
を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記第1表示装置に設けられ、前記第1表示装置において前記操作を実行または禁止するよう制御する第1制御部と、
前記他の表示装置に設けられ、前記他の表示装置において前記操作を実行または禁止するよう制御する第2制御部と、
を備えることを特徴とする請求項13記載の表示システム。
【請求項15】
前記制御部は、前記第1表示装置に設けられ、前記第1表示装置において前記操作を実行または禁止するよう制御し、前記他の表示装置において前記操作を実行または禁止する命令を前記他の表示装置に対して前記通信部を介して送信することを特徴とする請求項13記載の表示システム。
【請求項16】
第1表示装置及び他の表示装置は、サーバと通信し、
前記制御部は、前記サーバに設けられ、前記第1表示装置及び前記他の表示装置に対して前記操作を実行または禁止する命令を前記通信部を介して送信することを特徴とする請求項13記載の表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−217223(P2010−217223A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60534(P2009−60534)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】