説明

表示装置、表示制御方法及びプログラム

【課題】表示を観賞する表示装置の利用者が、視覚器官の負荷が大きい表示(3D表示)によって過度に疲労するなどの不具合を防止する。
【解決手段】表示部4による表示を観賞する利用者の目の状態(規定期間Nにおける瞬き回数A)を検出するインカメラ7や瞬き検出部14等を設け、この検出結果(瞬き回数Aが規定回数Mを超えたか否か)に基づいて3D表示の制御を実行する。すなわち、利用者の視覚における疲労度等を、瞬きの頻度に基づいて判定し、それが所定の度合いを超えた場合、中央制御部10によって、例えば3D表示を停止して比較的負荷の小さな表示(2D表示)に切り替えるなどの処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示を観賞する表示装置の利用者の疲労等を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の疲労等の防止に関する技術としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。これは、シャッター方式メガネ部と映像表示部との距離を計測し、この距離が視聴制限距離より短い場合には、3D映像(三次元表示の映像)が立体視できないようにシャッターの開閉動作を制御する表示装置である。
【0003】
また、表示を制御するものではないが、特許文献2には、次のような技術が開示されている。すなわち、携帯電話利用者の単位時間あたりの瞬き(まばたき)回数、呼吸数などを携帯電話において測定し、測定値が基準データから所定割合外れた場合、携帯電話から例えば家庭内サーバに指示を発信する。そして、家庭内サーバは、この指示を受けると、オーディオ機器から楽音を発生、または芳香発生器から香りを発生させるというものである。
【0004】
また、特許文献3には、次のような技術が開示されている。すなわち、2D表示(二次元表示)と3D表示(三次元表示)とを表示可能な表示装置において、2D用の表示をさせる場合には、2D映像信号は2Dのまま表示し3D映像信号は2Dに変換して表示し、3D用の表示をさせる場合には、3D映像信号は3Dのまま表示し2D映像信号は3Dに変換して表示し、さらに、同じ次元同士の変換(2重の変換)をしないよう次元の変換動作を制御する。また、受信した映像信号に関して、2D、3Dを自動選択し正しく表示すること、2Dから3Dに変換して表示することおよび3Dから2Dに変換して表示することが可能な装置である。一方、手動切り替えも可能であり、この際、2Dを2D変換、3Dを3D変換した(同じ次元間での変換を行った)不具合な画像を表示しない工夫が取り入れたれた装置である。また、電源立ち上げ時は、2D表示をすることで、ユーザ(利用者)が3D表示をさせたいと意識しない場合には、より目にやさしい2D表示を行うようにデフォルトで設定しておくという技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−003992号公報
【特許文献2】特開2006−340175号公報
【特許文献3】特開2006−121553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、利用者の状態ではなく、利用者と表示部との距離によって三次元表示の観賞を制限するものであるため、三次元表示のように視覚器官に負荷の大きい表示の観賞による利用者の過度な疲労等の不具合を必ずしも防止することができない。三次元表示による動画等の観賞は、視覚器官に対する負荷が大きく、一般的な二次元表示に比べると、表示部との距離が離れていても、長時間観賞を続ければ、利用者の過度な疲労や映像酔い等の不具合が発生する可能性が低くないからである。
【0007】
一方、特許文献2の技術は、楽音や香りを発生させて利用者をリラックスさせるもので、三次元表示を制御するものではない。また、特許文献3の技術も、2D−3Dの切り替えの技術であり、利用者が手動で2Dに切り替えることができるものの、制御手段が利用者の疲労等を防止すべく三次元表示を自動制御するものではない。このため、視覚器官に負荷の大きい表示の観賞による利用者の疲労等の不具合を、やはり必ずしも防止できないという問題がある。
そこで本発明は、表示を観賞する表示装置の利用者が、視覚器官の負荷が大きい表示によって過度に疲労するなどの不具合を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、視覚器官の負荷が大きい特定表示が可能な表示手段と、この表示手段による表示を観賞する利用者の目の状態を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に基づいて前記特定表示の制御を実行する表示制御手段と、を含むことを特徴とする表示装置である。
【0009】
本発明の表示制御方法は、視覚器官の負荷が大きい特定表示が可能な表示手段による表示を観賞する利用者の目の状態を検出し、この検出結果に基づいて前記特定表示の制御を実行することを特徴とする表示制御方法である。
【0010】
本発明のプログラムは、視覚器官の負荷が大きい特定表示が可能な表示手段と、この表示手段による表示を観賞する利用者の目を含む画像を撮像可能な撮像手段と、を有する表示装置のコンピュータに、
前記撮像手段が撮像した画像に基づいて前記目の状態を判定する機能と、この判定結果に基づいて前記特定表示の制御を実行する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、視覚器官の負荷が大きい特定表示による利用者の過度な疲労等の不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態である携帯電話機の外観斜視図である。
【図2】前記携帯電話機の概念的な内部ブロック図である。
【図3】利用者の目の状態に基づく3D表示の制御プログラムのフローチャートを示す図である。
【図4】付記1の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態(本発明を携帯電話機に適用した例)を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る携帯電話機1(3D表示機能付き携帯電話機)の外観図である。この図において、携帯電話機1は、筐体2の主面(表面であって主たる操作対象となる面のこと)にタッチパネル3を設けるとともに、そのタッチパネル3の背面に液晶ディスプレイやELパネルなどの表示デバイスからなる表示部4を設けている。この表示部4は、二次元表示に加えて三次元表示が可能である。三次元表示は、裸眼によって観賞可能なものでもよいし、専用のメガネをかけて観賞するタイプでもよい。また、そのタッチパネル3の上辺近くに受話器としてのスピーカ5やインカメラ7を設け、さらに、そのタッチパネル3の下辺近くにキー12a,12b,12cを設けている。
【0014】
ここで、「近く」とは、少なくとも筐体2の主面の端からタッチパネル3の端までの間のいわゆる額縁内の任意の位置のことをいう。筐体2は、回路基板等の内蔵部品を収納して携帯電話機1の表面を構成するフレームであり、手持ちに適した形状、この場合、薄い直方体状の箱形となっている。キー12a,12b,12cは、利用者が押下する操作ボタンであり、それぞれ、例えばメニューを表示させるためのメニューキー、デスクトップ(初期画面)を表示させるホームキー、一つ前の画面に戻すための戻るキーである。また、図1における符号6は、筐体2の下端面に設けられた送話器としてのマイクを示す。
【0015】
なお、筐体2の任意部分に、電源ボタンやバッテリ充電用端子などが設けられているが、図では省略している。また図示省略しているが、筐体2の任意部分に、着脱可能なカード型メモリを装着する装着部(スロット)が設けられていてもよい。また図示省略しているが、筐体2の例えば裏面(主面と反対側の面)などに、着信音やアラーム或いは楽音などを出力するためのスピーカが設けられていてもよい。
【0016】
図2は、携帯電話機1の概念的な内部ブロック図である。この図において、携帯電話機1は、タッチパネル3、表示部4、インカメラ7、無線通信部8、音声入出力部9、中央制御部10、電源部11、操作部12、アウトカメラ13、瞬き検出部14、タイマー部15を備える。なお、携帯電話機1を構成する実際の回路や機器は、通常、主にベースバンドブロックと無線ブロックとに分けられる。このようにブロック分けされた場合、図2における無線通信部8が無線ブロックに属し、タッチパネル3、表示部4、インカメラ7、中央制御部10、操作部12、及びアウトカメラ13等がベースバンドブロックに属する。
【0017】
無線通信部8は、アンテナ8aを介して最寄りの基地局(図示略)等との間で無線によるデジタルデータの送受信を行う。デジタルデータには、電話の着呼や発呼の情報および音声通話の情報が含まれる。この無線通信部8は、中央制御部10からの制御に従って、上記のデジタルデータの送信や受信を行う。例えば、衆網基地局や家庭用親機からの無線信号は、無線通信部8によって復調され出力される。この無線通信部8からの出力信号は、音声信号又は制御信号としてベースバンドブロックの中央制御部10に入力される。このうち、音声信号は、音声処理されてスピーカ5等から音声として出力される。制御信号は、ベースバンドブロック内の処理に用いられる。なお、アンテナ8aは、公知のダイバーシティ(Diversity)やMIMO(Multiple input output)などのマルチアンテナ技術に対応する場合には、複数設けられる。
【0018】
音声入出力部9は、中央制御部10からの制御により、マイク6で拾った音声信号をデジタルデータに変換して中央制御部10に出力したり、中央制御部10から出力されたデジタルの音声信号をアナログ信号に変換してスピーカ5から拡声したりする。マイク6やスピーカ5は電話の送受話用であるが、スピーカ5は、さらに電話の着信音等(或いは3D表示等に伴う音声)の出力に用いられてもよい。なお、前述したように受話用のスピーカ5とは別に、筐体2の裏面等にスピーカを設け、音声入出力部9を介してこのスピーカから着信音等の出力を行ってもよい。
【0019】
表示部4は、先にも説明したとおり、その前面に、人体の一部(例えば、手の指)の接触又は接近を検知できるタッチパネル3を併設している。タッチパネル3は、例えば、圧電方式のものであってもよいし、静電容量方式のものであってもよい。電源部11は、一次電池又は充電可能な二次電池からなるバッテリを含み、このバッテリの電力から携帯電話機1の動作に必要な各種電源電圧を発生して各部に供給する。操作部12は、前述した電源ボタンやキー12a,12b,12cなどの操作の入力処理を行う。なお、タッチパネル3は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力するもので、中央制御部10は、操作部12とこのタッチパネル3からの入力操作信号に応じた処理を実行する。また、表示部4は、視覚器官の負荷が大きい特定表示(この場合、三次元表示)が可能な表示手段である。
【0020】
中央制御部10は、マイクロコンピュータ(以下、CPUと表記する。)10a、読み出し専用半導体メモリ(以下、ROMと表記する。)10b、高速半導体メモリ(以下、RAMと表記する。)10c、書き換え可能な不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリやEEPROMなど。以下、EPROMと表記する。)10d、ならびに不図示の周辺回路を含むプログラム制御方式の制御要素である。この中央制御部10は、あらかじめROM10bやEPROM10dに格納されている制御プログラムをRAM10cにロードしてCPU10aで実行することにより、各種の処理を逐次に実行して、この携帯電話機1の全体動作を統括制御する。なお本実施形態では、前記EPROM10dに後述する期間Nや回数Mの値が記憶される構成となっており、このEPROM10dが、期間Nや回数Mを記憶する記憶部として機能している。なお、これら期間Nと回数Mは、キー12a,12b,12cやタッチパネル3の操作により、利用者によって設定可能であり、設定された期間Nと回数Mは、前記記憶部(この場合、EPROM10d)に記憶される。また、期間Nと回数Mは、瞬き検出部14により前記記憶部から読み出し可能となっている。また中央制御部10は、瞬き検出部14の判定結果に基づいて表示部4(表示手段)による三次元表示(特定表示)の制御を実行する表示制御手段を構成する。
【0021】
タイマー部15は、3D画像を表示部4に表示している状態で、且つ、瞬き検出部14によって目の瞬きを検出可能である場合に起動し、期間Nが経過するまでカウントダウンを実施する要素である。
瞬き検出部14は、3D画像を表示部4に表示した際に起動し、インカメラ7を作動させ、インカメラ7より取得した画像に人の顔があるか否かを検出し、人の顔があることを検出した場合、更に目の瞬き(まばたき)を認識できるか否かを検出し、目の瞬きが検出できる場合、目の瞬きの回数Aのカウントを実施する要素である。これら瞬き検出部14とタイマー部15は、中央制御部10とは別の回路によって構成してもよいが、中央制御部10の処理機能としてソフト的に実現することもできる。
【0022】
また、瞬き検出部14は、規定期間N内の目の瞬きの回数Aが規定回数Mを超えるか否かを判断し、この判断結果を検出結果として中央制御部10に出力する。なお、この判断結果(検出結果)を瞬き検出部14から中央制御部10に出力する代わりに、この判断結果に応じた制御指令を瞬き検出部14から中央制御部10に出力するようにしてもよい。例えば、回数Aが規定回数Mを超えたと判断した場合、表示している3D画像を停止する指令を中央制御部10に出力する動作を実施するようにしてもよい。ここで、前記期間Nや回数Mの値は、瞬き検出部14が起動した場合、瞬き検出部14によって前記記憶部より読み込まれ、瞬き検出部14に設定される動作が行われる構成となっている。なお、タイマー部15と瞬き検出部14は、撮像手段(インカメラ7)が撮像した画像から前記目の瞬きに関する瞬き情報(この場合、規定期間N内の目の瞬きの回数A)を求め、この瞬き情報に基づいて前記目の状態を判定する判定手段を構成する。
【0023】
次に、インカメラ7は、図1に示すように、筐体2における表示部4と同じ面(すなわち主面)に設けられ、例えば携帯電話機1を持って表示部4の表示を見ている利用者自身の顔を含む静止画又は動画を撮像可能である。このインカメラ7は、利用者の目を含む画像を撮像可能な撮像手段を構成する。
【0024】
次に、アウトカメラ13(図1では見えない)は、筐体2の裏面(主面と反対側の面)に設けられ、他者や風景などの静止画又は動画を撮像するためのカメラである。利用者は、キー12a,12b,12cやタッチパネル3を操作することによって、インカメラ7やこのアウトカメラ13による静止画や動画の撮影等のアプリケーションを作動させることが可能となっている。また図示省略しているが、筐体2における例えば右側の側面には、利用者が操作してこれらカメラによる撮影のシャッター操作等を容易に実行するためのシャッターボタンが設けられていてもよい。
【0025】
そして、撮影された静止画や動画のデータ、及び動画等と同期して記録された音声データは、例えばEPROM10d、或いは前述した装着部に装着されたカード型メモリに記録され、表示部4やスピーカ5等によって再生可能である。また、表示部4には、この携帯電話機1とは異なる他の機器で撮影された静止画や動画(例えば、EPROM10dや前記カード型メモリに記録されたもの)も再生可能である。再生の際には、表示部4において三次元表示が可能となっている。三次元表示は、再生するデータが三次元表示用である場合に限られず、前述した特許文献3の技術のように、二次元表示用データを三次元表示用データに変換して三次元表示する態様でもよい。なお、EPROM10dや、前述した装着部に装着されたカード型メモリには、インターネットからダウンロード又はPC(パーソナルコンピュータ)などの他の機器から取り込んだ音楽データなども記録保存可能である。また、このEPROM10d等に記録された各種データは、PCなどの外部機器にとりだすことも可能となっている。
【0026】
また、携帯電話機1には、音声データを送受信して通話する音声通話機能のほか、TV(テレビ)電話機能が備えられていてもよい。更に、携帯電話機1には、電子メール機能、インターネット接続機能、TV放送表示機能、スケジュール管理機能、電卓機能、アラーム(目覚まし)機能、音楽データ再生機能、などが備えられていてもよいことは、いうまでもない。そして、このうちのTV放送表示などにおいても、場合により三次元表示が実行される態様でもよい。
【0027】
次に、本実施形態の動作について説明する。
なお、以下の動作説明は、瞬き検出部14とタイマー部15が、中央制御部10の処理機能としてソフト的に実現されているものとして説明する。
図3は、利用者の目の状態に基づく3D表示の制御プログラムのフローチャートを示す図である。この制御プログラムは、中央制御部10のCPU10aで定期的に実行される制御プログラムの一部である。図示のプログラムを開始すると、まず、表示部4における3D画像の表示(三次元表示)が実行されたか否かを監視する(ステップS1)。このステップS1の判断において、表示部4に3D画像を表示したと判断された場合は、瞬き検出部14としての機能を作動させ(ステップS2)、さらに、瞬き検出部14によりインカメラ7を作動させて、瞬き検出のための静止画の撮影又は動画の撮影を開始する(ステップS3)。なお、ステップS1の判断において、三次元表示が実行されていないと判断された場合は、ステップS1を繰り返し実行して監視を継続する。
【0028】
次いで、インカメラ7の作動より取得した画像に人の顔を検出できるか否かを監視する(ステップS4)。このステップS4の判断において、人の顔が検出できたと判断された場合は、瞬き検出部14により、更に目の瞬きを検出できるか否かを監視する(ステップS5)。なお、ステップS4の判断において、人の顔が検出できないと判断された場合は、ステップS4を繰り返し実行して監視を継続する。また、ステップS5の判断において、目の瞬きを検出できないと判断された場合は、ステップS5を繰り返し実行して監視を継続する。
【0029】
次に、ステップS5の判断において、目の瞬きが検出できると判断された場合は、瞬き検出部14の機能として、瞬きの回数Aのカウント(計数)を開始し、タイマー部15としての機能を働かせて期間Nからのカウントダウンを開始させる(ステップS6)。なお、瞬きの検出方法やカウント方法は、特に限定されず、公知の技術による。次いで、瞬き検出部14の機能として、瞬きの回数Aは回数Mを超えたか否かを監視する(ステップS7)。そして、このステップS7の判断において、回数Aが回数Mを超えたと判断された場合は、瞬き検出部14の機能として、期間N内か否かを判断する(ステップS8)。ここで、「期間N内」とは、タイマー部15の機能によるカウントダウンの数値がゼロ相当の値に到達していないこと、すなわち、ステップS6によって瞬きの回数Aの計数が開始された時点からの経過時間が期間Nに到達していないこと、を意味する。
【0030】
次に、ステップS8の判断において、期間N以内(前記経過時間が期間Nに未到達)と判断された場合は、瞬き検出部14の機能として、規定期間Nにおける回数Aが規定回数Mを超えたという判定結果(利用者の不具合の恐れがあることを示す検出結果)が出され、この判定結果が検出手段である瞬き検出部14から表示制御手段としての中央制御部10に出力されたことになる。したがって、ステップS8の判断において、期間N以内と判断された場合は、上記判定結果を受けて、例えば表示部4での3D画像表示の停止を実行し、ステップS1に戻る(ステップS11)。
【0031】
なおここで、「3D画像表示の停止」とは、3D表示(三次元表示)による静止画や動画の観賞ができない状態にすることを意味し、静止画や動画の表示自体をその時点で停止する態様でもよいし、2D表示(二次元表示)に切り替えて静止画や動画の表示自体は継続する態様でもよい。また、ステップS11では、3D画像表示の停止を実行する代わりに、例えば表示部4に3D画像表示の観賞を中止するように促す注意情報を表示する構成としてもよいし、或いはスピーカ5や裏面側のスピーカから3D画像表示の観賞を止めるように促す注意情報(警告音や音声)を出力する構成としてもよい。また、ステップS11では、3D画像表示の停止を実行するとともに、例えば表示部4に疲労防止のために3D画像表示を停止した旨を知らせる報知情報を表示する構成としてもよいし、或いはスピーカ5等から3D画像表示を停止した旨を知らせる報知情報(報知音や音声)を出力する構成としてもよい。なお、「ステップS1に戻る」とは、ステップS1から処理を再度同様に実行することを意味する(他のステップも同様)。
【0032】
一方、ステップS7の判断において、カウントした回数Aが規定回数Mを超えてないと判断された場合は、瞬き検出部14の機能として、期間N内か否か判断する(ステップS9)。このステップS9の判断において、期間N内と判断された場合は、ステップS7の処理に戻る。また、ステップS8及びステップS9の判断において、期間N内を超えたと判断された場合は、瞬き回数Aの計数値と期間Nのカウントダウンの値をリセットし、ステップS6の処理に戻る(ステップS10)。ここで、「リセット」とは、瞬き回数Aの計数値を初期値(ゼロ相当の値)に設定し、期間Nのカウントダウンの値を初期値(N相当の値)に設定することを意味する。なお図3では、ステップS10を実行した後にステップS6に戻る構成となっているが、ステップS10を実行した後にステップS4又はステップS5に戻る構成でもよい。また、ステップS6で開始された瞬き回数のカウントや期間Nからのカウントダウンの動作は、例えば上記ステップS10や前記ステップS11において終了すればよい。
【0033】
以上のとおり、本実施形態では、表示部4による三次元表示を観賞する利用者の目の状態(規定の期間Nにおける瞬き回数A)を検出し、この検出結果(瞬き回数Aが規定の回数Mを超えたか否か)に基づいて特定表示(3D表示)の制御を実行する(例えば、回数Aが回数Mを超えたら三次元表示を停止する)。すなわち、利用者の視覚における疲労度(或いは映像酔いなどが起きる可能性の度合い)を、瞬きの頻度(規定の期間Nにおける瞬き回数A)に基づいて判定し、それが回数Mで決まる所定の度合いを超えた場合、過度な疲労や映像酔い等の不具合が発生する恐れがあるとして、視覚器官の負荷が大きい特定表示(3D表示)を停止し、例えば比較的負荷の小さな表示(2D表示)に切り替える。一般に、表示を観賞する利用者の視覚器官が疲労等すると、利用者の目の瞬きの頻度(一定時間あたりの回数)が増加する。このため、本実施形態によれば、期間Nや回数Mを適度に設定することにより、視覚器官の負荷が大きい特定表示を観賞することによる利用者の過度な疲労や映像酔い等の不具合の発生を容易かつ的確に防止できる。
【0034】
次に、本発明の背景や本実施形態の作用効果について詳細に説明する。
携帯電話機1のような表示部を備える表示装置は、表示部に3D画像を表示できるタイプが普及し始めているが、3D画像を連続して視聴すると、利用者(ユーザ)の映像酔い、過度な疲労、光感受性反応などを引き起こす問題がある。この問題に関して、取扱説明書などで、長時間連続で視聴することに関する注意文などを掲載し、注意を促しているが、ユーザによっては取扱説明書を読まずに使用する場合もあり、ユーザに十分な注意を提供できない問題もあった。なお、視覚器官の負荷が大きい表示としては、三次元表示以外にも、閃光(せんこう)や光の激しい点滅を含む映像がある、このような映像は光感受性発作の要因となることが知られており、視聴者の状態によっては3D表示の観賞と同様に注意や制限等が必要となる。
【0035】
ところで、既述したように、特許文献1の技術は、表示装置の近い位置にいる視聴者に対して3D表示の視聴を無効にするだけであるので、所定距離以上離れた位置で視聴者が長時間3D表示を視聴して過度に疲れてしまうことを防止できない。また、所定距離よりも僅かに表示装置に近い位置にいるだけでも、実際には視聴者の状態が問題無いにもかかわらず、3Dの視聴ができないという弊害もある。
【0036】
これに対して本実施形態の表示装置(携帯電話機1)では、視覚器官の負荷が大きい特定表示(この場合、三次元表示)が可能な表示手段(表示部4)による表示を観賞する利用者の目の状態(規定の期間Nにおける瞬き回数A)を検出し、この検出結果(瞬き回数Aが規定の回数Mを超えたか否か)に基づいて前記特定表示の制御を制御手段が自動的に実行する。例えば、検出結果が、過度な疲労等の不具合が生じる恐れがあることを示している場合(瞬き回数Aが規定の回数Mを超えた場合)には、過度な疲労等を防止するための対応処理(三次元表示を停止する、三次元表示を二次元表示に切り替える、注意情報を出力するなどの処理)を実行する。このため、前記特定表示を観賞することによる利用者の過度な疲労、映像酔い、光感受性反応などを容易かつ的確に防止できる。
【0037】
すなわち本実施形態は、利用者と表示部との距離や視聴時間によって一律に特定表示の観賞時間を制限するのではなく、また利用者による停止操作等を必要とすることなく、利用者の目の状態が過度な疲労等が予想される状態になったときに、表示制御手段(中央制御部10)が特定表示に関して表示を停止する処理或いは注意情報を表示や音声で利用者に対して出力する処理などを実行する。このため、利用者が表示部に対して所定距離以上離れていたとしても、また利用者自身が自分で注意して3D表示を停止する等の操作を怠ったとしても、3D表示等の特定表示による利用者の過度な疲労等の不具合を的確に防止できる。
【0038】
また近年、撮像技術や画像処理技術の進歩によって、人の目の瞼(まぶた)の動作は比較的容易に人の目を含む画像から解析可能である。このため、利用者の目の瞬き(即ち、瞼が閉じて開く動作)の情報から、利用者の目の状態を判定する本実施形態であると、比較的容易に利用者の目の状態が判定でき、ひいては特定表示の観賞による利用者の過度な疲労等を容易に防止できる。
【0039】
特に本実施形態の場合には、利用者の目の状態を検出するインカメラ7や瞬き検出部14(検出手段)が、三次元表示(特定表示)の実行中にのみ作動して前記目の状態を検出する(前述のステップS1〜S3を参照)。このため、三次元表示でない表示(例えば2次元表示)を行っている状態でも目の状態を検出する態様に比べて、無駄な動作や処理が無く、三次元表示(特定表示)による前述した不具合を効率的に防止できる。
【0040】
また本実施形態では、前述したように規定の期間Nにおける瞬き回数Aが規定の回数Mを超えたか否かという簡単な処理で利用者の目の状態を判定しているので、処理が比較的簡単で、その点でも処理が容易である。また本実施形態では、前記期間Nや回数Mの設定値を、利用者が初期設定したり設定変更したりすることが可能であるため、利用者の体質等に応じた処理が可能となる。例えば、三次元表示の観賞で不具合が生じ易い体質を持つ人、或いは光感受性反応を起こし易い子供などが利用する際には、前記回数Mの設定値を小さくして、より安全側で使用するといったことも可能である。
【0041】
なお本実施形態のように、利用者の目の状態によって三次元表示を停止する態様であると、次のような効果もある。すなわち、この場合、結果的に利用者が長時間連続的に三次元表示を観賞することができなくなり、3D画像の連続視聴時間を制限できる。これにより、比較的消費電力の大きな3D画像表示の時間を短縮できるから、携帯電話機1の消費電力を低減できる、携帯電話機1の使用時間を有効に延ばすことができる、携帯電話機1の電池を充電する頻度や時間を削減できる、利用者の自宅などの電気代も節約できるといった各種効果も得られる。
【0042】
(他の実施形態)
次に本発明の他の実施形態について説明する。
まず、前述の第1実施形態では、ある任意の期間Nを設定し、前記期間N内に瞬き回数Aがある任意の回数Mを超えた場合、例えば3D画像の表示を停止する構成を取ったが、ある任意の期間Nに関係なく、瞬き回数Aが任意の回数Mを超えた場合、3D画像の表示を停止等する構成でもよい。
【0043】
また、第1実施形態では期間Nと回数Mを1パターンだけ設定可能な構成を取ったが、期間Nと回数Mのパターン設定に限りはないものとし、ユーザにより、パターンを選択できる構成でもよい。また、既述したように、3D画像の表示を停止するのではなく、3D表示を行っている表示部に連続視聴し過ぎである旨の注意コメント(注意情報)を表示させる態様でもよい。
【0044】
また、利用者の目の瞬きの頻度の計算は、所定期間での回数に限らず、頻度の重みづけ平均等を用いてもよい。
また、視覚が疲労すると、瞬きの頻度が上昇するだけではなく、頻度が減って来る場合(例えばドライアイ)もある。そこで、瞬きの頻度が規定値を下回った場合に、三次元表示を停止するなどの処置を実行する態様でもよい。
【0045】
また、利用者の目の瞬きの頻度ではなく、瞬きの速度(瞼の動く速度)に基づいて、利用者の目の状態を判定するようにしてもよい。即ち、利用者の目の状態に使用する瞬き情報は、瞬きの速度であってもよい。例えば、利用者の目の瞬きの速度が、規定の上限値を超えた場合、或いは規定の下限値を下回った場合に、三次元表示を停止するなどの処置を実行する態様でもよい。瞬きの頻度は規定の期間において目を観察して瞬きの回数を規定期間計測する必要があるが、瞬きの速度は瞬時に計測して判定可能であるため、この態様であると、処理が短時間で済み簡単になる利点がある。
【0046】
また、第1実施形態では、利用者の目の状態を検出する検出手段(インカメラ7や瞬き検出部14)を、特定表示(三次元表示)の実行中にのみ作動させているが、この態様に限られない。例えば、二次元表示も含めて画像表示の実行中には常に利用者の目の状態を検出し、利用者の不具合の恐れがある場合(例えば、瞬き頻度が規定値を超えている場合)には、三次元表示を新たに開始しないように制御する機能(二次元表示を三次元表示に切り替え不能とする機能)を設けてもよい。
【0047】
また、以上説明した実施形態では携帯電話機を例に挙げて説明したが、本発明は携帯電話機以外の装置、例えば、PDA(携帯情報端末)、パーソナルコンピュータ(例えば、ノートPC、タブレットPC、デスクトップPC)、音楽プレイヤ、ゲーム機、TV(テレビ)等、特定表示(三次元表示等)が可能な表示手段を搭載した各種の電子機器等に適用可能である。表示画面上のタッチパネルによるタッチ入力機能の無い携帯端末などでもよい。
【0048】
以下、本発明の特徴を付記する。
前記の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
図4は、付記1の構成図に相当する。
この図に示すように付記1に記載の発明は、
視覚器官の負荷が大きい特定表示が可能な表示手段101と、この表示手段による表示を観賞する利用者Uの目の状態を検出する検出手段102と、この検出手段の検出結果に基づいて前記特定表示の制御を実行する表示制御手段103と、を含むことを特徴とする表示装置。
ここで、「検出手段の検出結果に基づいて前記特定表示の制御を実行する」とは、例えば、前記検出結果が、利用者の不具合(過度な疲労や映像酔い等)が生じる恐れがあることを示している場合(例えば、瞬き回数Aが規定回数Mを超えた場合)には、この不具合を防止するための特定表示に関する処理(例えば、特定表示を実行しない、実行している特定表示を停止する、特定表示を他の表示に切り替える、特定表示に関する注意情報や報知情報を出力するなどの処理)を実行することを意味する。
この付記1によれば、利用者の目の状態の検出結果に基づいて視覚器官の負荷が大きい特定表示の制御が実行されるため、前記特定表示による利用者の過度な疲労等の不具合を防止できる。
【0049】
(付記2)
前記特定表示は、三次元表示であることを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0050】
(付記3)
前記検出手段は、前記特定表示の実行中に作動して前記目の状態を検出することを特徴とする付記1または付記2に記載の表示装置。
【0051】
(付記4)
前記検出手段は、前記目を含む画像を撮像可能な撮像手段と、この撮像手段が撮像した画像から前記目の瞬きに関する瞬き情報を求め、この瞬き情報に基づいて前記目の状態を判定する判定手段と、を有することを特徴とする付記1ないし付記3のいずれかに記載の表示装置。
【0052】
(付記5)
前記判定手段は、前記瞬き情報として規定期間Nにおける前記目の瞬きの回数Aを計数し、この回数Aと規定回数Mを比較し、前記回数Aが前記規定回数Mを超えているか否かの情報を、前記検出結果として出力することを特徴とする付記4に記載の表示装置。
【0053】
(付記6)
前記規定期間Nと前記規定回数Mを利用者が設定できることを特徴とする付記5に記載の表示装置。
【0054】
(付記7)
前記表示制御手段は、前記検出手段の検出結果が利用者の不具合の恐れがあることを示している場合には、前記特定表示を実行しない処理、実行中の前記特定表示を停止する処理、実行中の前記特定表示を他の表示へ切り替える処理、又は前記特定表示に関する情報を出力する処理、のうちの少なくとも一つを、前記特定表示の制御として実行することを特徴とする付記1ないし付記6のいずれかに記載の表示装置。
【0055】
(付記8)
視覚器官の負荷が大きい特定表示が可能な表示手段による表示を観賞する利用者の目の状態を検出し、この検出結果に基づいて前記特定表示の制御を実行することを特徴とする表示制御方法。
【0056】
(付記9)
視覚器官の負荷が大きい特定表示が可能な表示手段と、この表示手段による表示を観賞する利用者の目を含む画像を撮像可能な撮像手段と、を有する表示装置のコンピュータに、
前記撮像手段が撮像した画像に基づいて前記目の状態を判定する機能と、この判定結果に基づいて前記特定表示の制御を実行する機能と、を実現させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0057】
1 携帯電話機(表示装置)
2 筐体
4 表示部(表示手段)
7 インカメラ(撮像手段)
10 中央制御部(表示制御手段、コンピュータ)
14 瞬き検出部(判定手段)
15 タイマー部(判定手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚器官の負荷が大きい特定表示が可能な表示手段と、この表示手段による表示を観賞する利用者の目の状態を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に基づいて前記特定表示の制御を実行する表示制御手段と、を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記特定表示は、三次元表示であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記特定表示の実行中に作動して前記目の状態を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記目を含む画像を撮像可能な撮像手段と、この撮像手段が撮像した画像から前記目の瞬きに関する瞬き情報を求め、この瞬き情報に基づいて前記目の状態を判定する判定手段と、を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記瞬き情報として規定期間Nにおける前記目の瞬きの回数Aを計数し、この回数Aと規定回数Mを比較し、前記回数Aが前記規定回数Mを超えているか否かの情報を、前記検出結果として出力することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記規定期間Nと前記規定回数Mを利用者が設定できることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記検出手段の検出結果が利用者の不具合の恐れがあることを示している場合には、前記特定表示を実行しない処理、実行中の前記特定表示を停止する処理、実行中の前記特定表示を他の表示へ切り替える処理、又は前記特定表示に関する情報を出力する処理、のうちの少なくとも一つを、前記特定表示の制御として実行することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
視覚器官の負荷が大きい特定表示が可能な表示手段による表示を観賞する利用者の目の状態を検出し、この検出結果に基づいて前記特定表示の制御を実行することを特徴とする表示制御方法。
【請求項9】
視覚器官の負荷が大きい特定表示が可能な表示手段と、この表示手段による表示を観賞する利用者の目を含む画像を撮像可能な撮像手段と、を有する表示装置のコンピュータに、
前記撮像手段が撮像した画像に基づいて前記目の状態を判定する機能と、この判定結果に基づいて前記特定表示の制御を実行する機能と、を実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−227752(P2012−227752A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93891(P2011−93891)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】