説明

表示装置およびプログラム

【課題】ユーザ設定および順応に対応した光源の輝度調整を行うことが可能な表示装置等を提供すること。
【解決手段】表示装置の一種であるプロジェクタ100が、表示用の光源170を制御するための複数種の光源制御データ126と、表示輝度の設定を示す輝度設定データ122と、表示モードの設定を示す表示モードデータ124とを記憶する記憶部と、輝度設定データ122と、表示モードデータ124に基づき、複数種の光源制御データ126から適用する光源制御データ126を決定する決定部150と、決定部150によって決定された光源制御データ126に基づき、光源170の輝度を徐々に低下させる制御を行う制御部160を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の輝度を調整する機能を有する表示装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、テレビやプロジェクタ等の表示装置は、光源の輝度を固定して画像を表示しており、光源の寿命が短くなりがちである。また、センサを用いて周囲光の輝度を測定して画像の明るさを調整する省電力機能を有する表示装置も存在するが、人間の目の順応は考慮されていない。このような順応に対応する表示装置として、特開2004−264668号公報では、映像の輝度を測定する輝度測定手段と、輝度測定手段の測定結果に応じてランプの輝度を制御するとともに、映像の輝度を視覚の暗順応の時定数で演算し、この演算結果が所定値以下になったときにランプの輝度を低下させ、映像の輝度が所定値以上になったときにランプの輝度を上昇させる輝度制御手段を備えたプロジェクタが記載されている。
【特許文献1】特開2004−264668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、周囲の明るさに応じて画像の明るさを調整する手法や順応のみを考慮してランプの輝度を調整する手法では、ユーザ設定に応じた輝度調整を行うことはできない。
【0004】
本発明の目的は、ユーザ設定および順応に対応した光源の輝度調整を行うことが可能な表示装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る表示装置は、表示用の光源を制御するための複数種の光源制御データと、表示輝度の設定を示す輝度設定データと、表示モードの設定を示す表示モードデータとを記憶する記憶部と、前記輝度設定データと、前記表示モードデータとに基づき、前記複数種の光源制御データから適用する光源制御データを決定する決定部と、当該決定部によって決定された光源制御データに基づき、前記光源の輝度を徐々に低下させる制御を行う制御部と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るプログラムは、表示用の光源を制御するためのプログラムであって、コンピュータを、前記光源を制御するための複数種の光源制御データと、表示輝度の設定を示す輝度設定データと、表示モードの設定を示す表示モードデータとを記憶する記憶部と、前記輝度設定データと、前記表示モードデータとに基づき、前記複数種の光源制御データから適用する光源制御データを決定する決定部と、当該決定部によって決定された光源制御データに基づき、前記光源の輝度を徐々に低下させる制御を行う制御部として機能させることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、表示装置等は、輝度設定データと表示モードデータに基づいて光源制御データを決定し、当該光源制御データを用いて光源の輝度を徐々に低下させる制御を行うことにより、ユーザ設定および順応に対応した光源の輝度調整を行うことができる。
【0008】
また、前記表示装置は、前記表示輝度の設定および前記表示モードの設定の少なくとも一方の変更指示があるかどうかを判定する判定部を含み、前記決定部は、前記変更指示があった場合、前記変更指示に応じて前記光源制御データを決定してもよい。
【0009】
また、前記プログラムは、前記コンピュータを、前記表示輝度の設定および前記表示モードの設定の少なくとも一方の変更指示があるかどうかを判定する判定部として機能させ、前記決定部は、前記変更指示があった場合、前記変更指示に応じて前記光源制御データを決定してもよい。
【0010】
これによれば、表示装置等は、設定の変更指示があった場合であっても、変更後のユーザ設定および順応に対応した光源の輝度調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をプロジェクタに適用した実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、本実施例におけるプロジェクタ100の機能ブロック図である。表示装置の一種であるプロジェクタ100は、画像信号等を入力する入力部110と、種々のデータを記憶する記憶部120と、ユーザの操作に応じて操作情報を生成する操作部130と、種々の判定と記憶部120内のデータの更新を行う判定部140と、決定部150と、表示用の光源170と、光源170等を制御する制御部160と、タイマ部162と、画像処理部180と、投写部190を含んで構成されている。
【0013】
また、記憶部120は、表示輝度の設定を示す輝度設定データ122、表示モードの設定を示す表示モードデータ124、光源170を制御するための複数種の光源制御データ126等を記憶している。判定部140は、操作部130からの操作情報に基づき、設定の変更指示があったと判定した場合、当該変更指示に応じて輝度設定データ122または表示モードデータ124を更新する。
【0014】
また、決定部150は、輝度設定データ122と、表示モードデータ124を参照して輝度設定および表示モード設定に応じて適用する光源制御データ126を決定する。制御部160は、決定された光源制御データ126に基づき、光源170の輝度を徐々に低下させるように光源170を制御する。
【0015】
なお、プロジェクタ100は、判定部140等の機能を情報記憶媒体200からプログラム210を読み取って実装してもよい。このような情報記憶媒体200としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、ROM、RAM、HDD等を適用でき、プログラム210の読み取り方式は接触方式であっても、非接触方式であってもよい。
【0016】
また、判定部140等の機能は、以下のハードウェアを用いてプロジェクタ100に実装されてもよい。図2は、本実施例におけるプロジェクタ100のハードウェアブロック図である。
【0017】
例えば、入力部110としては画像信号入力端子920等、記憶部120としてはRAM950等、操作部130としてはボタン910等、判定部140、決定部150としてはプログラムを記憶したROM960、CPU970等、制御部160としてはROM960、CPU970、光源電源制御回路(例えば、バラスト)980等、タイマ部162としてはCPU970等、光源170としてはランプ990等、画像処理部180としては画像処理回路930等、投写部190としては液晶パネル940、投写レンズ等が用いられてもよい。なお、これらの各部はシステムバス900を介して相互に通信可能に形成されてもよい。
【0018】
次に、プロジェクタ100における光源制御手順についてより詳細に説明する。図3は、本実施例における光源制御手順を示すフローチャートである。
【0019】
プロジェクタ100の起動時または映像ソースの切替時(ソース切替時)、決定部150は、輝度設定データ122と表示モードデータ124に基づき、適用する光源制御データ126を決定する(ステップS1)。
【0020】
なお、輝度設定データ122で示される輝度設定としては、例えば、高輝度、通常輝度、低輝度等が該当する。また、表示モードデータ124で示される表示モードとしては、例えば、プレゼンテーションモード、シアターモード、静止画モード等が該当する。なお、輝度設定や表示モードの設定は、ユーザによって行われてもよいし、ネットワークを介してプロジェクタ100以外のサーバ等からの制御命令に応じて行われてもよい。
【0021】
ここでは、初期設定で、輝度設定データ122が高輝度の設定であり、表示モードデータ124がプレゼンテーションモードの設定であるものとする。
【0022】
制御部160は、決定部150によって決定された光源制御データ126に基づき、現在の輝度レベル(初回は初期の輝度レベル)になるように光源170の駆動を制御する(ステップS2)。また、制御部160は、タイマ部162のタイマ値に基づき、制御開始時からの経過時間をカウントする(ステップS3)。
【0023】
判定部140は、操作部130からの操作情報に基づき、ユーザによる設定の変更指示があるかどうかを判定する(ステップS4)。変更指示があった場合、判定部140は、当該変更指示に応じて輝度設定データ122または表示モードデータ124を更新する(ステップS5)。
【0024】
例えば、ユーザが輝度設定を低輝度に変更する指示を行った場合、判定部140は、輝度設定が低輝度であることを示すように輝度設定データ122を更新する。また、例えば、ユーザが表示モードをシアターモードに変更する指示を行った場合、判定部140は、設定がシアターモードであることを示すように表示モードデータ124を更新する。なお、輝度設定と表示モードの両方を変更する指示があった場合、判定部140は、輝度設定データ122および表示モードデータ124を更新する。
【0025】
また、輝度設定データ122または表示モードデータ124が更新された場合、決定部150は、輝度設定データ122と表示モードデータ124に基づき、適用する光源制御データ126を再決定する(ステップS1)。制御部160は、決定部150によって再決定された光源制御データ126に基づき、初期の輝度レベルになるように光源170の駆動を制御する(ステップS2)。また、制御部160は、制御開始時をリセットし、タイマ部162のタイマ値に基づき、リセット後の制御開始時からの経過時間をカウントする(ステップS3)。
【0026】
また、判定部140は、操作部130からの操作情報に基づき、ユーザによるソース切替指示があったかどうかを判定する(ステップS6)。ソース切替指示があった場合、プロジェクタ100は、再びステップS1からの処理を開始する。
【0027】
一方、ソース切替指示がなかった場合、制御部160は、制御開始時から所定の設定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS7)。
【0028】
ここで、光源制御データ126に基づく光源輝度の変化について説明する。図4は、本実施例における高輝度、プレゼンテーションモードの光源制御データ126に基づく光源輝度の変化を示す図である。
【0029】
例えば、高輝度、プレゼンテーションモードの場合、制御開始時t0における光源輝度はL0であり、制御部160は、制御開始時は光源輝度がL0になるように光源170の駆動を制御する。また、制御開始時からの経過時間(設定時間)がt1になった場合、光源輝度が1段階低下し、制御開始時からの経過時間がt2になった場合、光源輝度がさらに1段階低下する。このようにして制御開始時からの経過時間がt6以上になった場合、光源輝度は最低輝度Lmになる。
【0030】
図5は、本実施例における高輝度、シアターモードの光源制御データ126に基づく光源輝度の変化を示す図である。また、図6は、本実施例における低輝度、静止画モードの光源制御データ126に基づく光源輝度の変化を示す図である。
【0031】
例えば、高輝度、シアターモードの場合、制御開始時の光源輝度はL’0であり、制御開始時からの経過時間がt’3以上になった場合、光源輝度は最低輝度L’mになる。なお、高輝度、シアターモードの場合、高輝度、プレゼンテーションモードの場合と比較して光源輝度は緩やかに低下し、初期の光源輝度と最低輝度との差も小さい。
【0032】
また、例えば、低輝度、静止画モードの場合、制御開始時の光源輝度はL”0であり、制御開始時からの経過時間がt”4以上になった場合、光源輝度は最低輝度L”mになる。なお、低輝度の場合、高輝度の場合と比較して初期の光源輝度および最低輝度は低くなっている。
【0033】
このように表示輝度の設定と表示モードの設定の組合せによって光源制御データ126は異なっている。また、光源制御データ126は、初期の設定輝度によって表示輝度の設定と表示モードの設定の組合せに応じた輝度で画像が表示されるように形成され、最低輝度によって輝度が低下し過ぎないように形成されている。
【0034】
具体的には、光源制御データ126は、例えば、t1、t2等の経過時間を示すデータ、L0等の初期の設定輝度を示すデータ、Lm等の最低輝度を示すデータ、t1等の経過時間ごとの設定輝度を示すデータ等を含む。
【0035】
また、光源制御データ126は、表示輝度の設定と表示モードの設定の組合せごとのユーザの輝度への慣れ(順応)を元に決定されたデータである。具体的には、光源制御データ126は、一般的な順応に関する演算によって生成されてもよいし、実験によって生成されてもよい。例えば、設定輝度の変化量(例えば、L1−L0等)はユーザが知覚しにくい程度の変化量であってもよく、設定時間の間隔(例えば、t2−t1等)はユーザが現在の輝度に慣れるまでの時間に基づいて決定されてもよい。
【0036】
制御開始時から所定の設定時間が経過した場合(例えば、制御開始時からの経過時間がt1以上の場合)、制御部160は、光源170を制御する輝度レベルを、光源制御データ126を参照して経過時間に応じた輝度レベルに変更する(ステップS8)。
【0037】
また、制御部160は、光源制御データ126を参照して変更後の輝度レベルが最低輝度(例えば、Lm等)であるかどうかを判定する(ステップS9)。最低輝度の場合は輝度レベルを変更する必要はないため、プロジェクタ100は、光源制御を終了し、通常の投写を続行する。
【0038】
一方、変更後の輝度レベルが最低輝度ではない場合、プロジェクタ100は、ステップS2以降の処理を続行する。
【0039】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクタ100は、輝度設定データ122と表示モードデータ124に基づいて輝度設定と表示モード設定に応じた光源制御データ126を決定する。また、光源制御データ126は、順応に応じて生成されたデータである。したがって、プロジェクタ100は、光源制御データ126を用いて光源170の輝度を徐々に低下させる制御を行うことにより、ユーザに輝度が変化していることを気付かせることなく、ユーザ設定および順応に対応した光源170の輝度調整を行うことができる。
【0040】
また、本実施例によれば、光源制御データ126には輝度設定と表示モードの組合せごとに最低輝度が設定されているため、プロジェクタ100は、輝度を低下させ過ぎることなく、ユーザ設定および順応に対応した光源170の輝度調整を行うことができる。
【0041】
また、本実施例によれば、プロジェクタ100は、通常よりも光源170の輝度を低下させることができるため、光源170の消費電力を抑制し、光源170の使用可能時間を延ばすことができる。
【0042】
また、本実施例によれば、プロジェクタ100は、設定の変更指示があった場合であっても、変更後のユーザ設定および順応に対応した光源の輝度調整を行うことができる。また、本実施例によれば、プロジェクタ100は、設定の変更指示があった場合やソース切替指示があった場合に初期の輝度レベルから光源制御を行うことにより、適切な輝度制御を行うことができる。
【0043】
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。
【0044】
また、光源制御手順は図3に示す手順には限定されず、処理順序の変更が可能である。例えば、プロジェクタ100は、ステップS3の処理後にステップS8、S9の処理を実行してからステップS4〜S7の処理を実行してもよい。
【0045】
また、表示装置は、プロジェクタ100には限定されず、例えば、テレビ等であってもよい。また、プロジェクタ100は、液晶プロジェクタには限定されず、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を用いたプロジェクタ等であってもよい。なお、DMDは米国テキサス・インスツルメンツ社の商標である。また、プロジェクタ100の機能を複数の装置(例えば、PCとプロジェクタ等)に分散して実装してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施例におけるプロジェクタの機能ブロック図である。
【図2】本実施例におけるプロジェクタのハードウェアブロック図である。
【図3】本実施例における光源制御手順を示すフローチャートである。
【図4】本実施例における高輝度、プレゼンテーションモードの光源制御データに基づく光源輝度の変化を示す図である。
【図5】本実施例における高輝度、シアターモードの光源制御データに基づく光源輝度の変化を示す図である。
【図6】本実施例における低輝度、静止画モードの光源制御データに基づく光源輝度の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
100 プロジェクタ(表示装置)、110 入力部、120 記憶部、122 輝度設定データ、124 表示モードデータ、126 光源制御データ、130 操作部、140 判定部、150 決定部、160 制御部、162 タイマ部、170 光源、180 画像処理部、190 投写部、200 情報提供装置、210 プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示用の光源を制御するための複数種の光源制御データと、表示輝度の設定を示す輝度設定データと、表示モードの設定を示す表示モードデータとを記憶する記憶部と、
前記輝度設定データと、前記表示モードデータとに基づき、前記複数種の光源制御データから適用する光源制御データを決定する決定部と、
当該決定部によって決定された光源制御データに基づき、前記光源の輝度を徐々に低下させる制御を行う制御部と、
を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記表示輝度の設定および前記表示モードの設定の少なくとも一方の変更指示があるかどうかを判定する判定部を含み、
前記決定部は、前記変更指示があった場合、前記変更指示に応じて前記光源制御データを決定し、
前記制御部は、前記決定部によって決定された光源制御データに基づき、前記光源の輝度を初期状態から徐々に低下させる制御を行うことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
表示用の光源を制御するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記光源を制御するための複数種の光源制御データと、表示輝度の設定を示す輝度設定データと、表示モードの設定を示す表示モードデータとを記憶する記憶部と、
前記輝度設定データと、前記表示モードデータとに基づき、前記複数種の光源制御データから適用する光源制御データを決定する決定部と、
当該決定部によって決定された光源制御データに基づき、前記光源の輝度を徐々に低下させる制御を行う制御部として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−204920(P2009−204920A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47535(P2008−47535)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】