説明

表示装置および撮像装置

【課題】装置全体の低消費電力化を図りつつ、視認性を向上させた表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】被写体の光学像を電気信号に変換して出力する撮像素子と、撮像素子からの出力信号を表示部に表示するための表示用画像に変換して出力する撮像信号処理回路と、表示用画像に対して顔画像が存在するかどうかを検出する顔画像検出手段と、表示用画像を表示する表示部と、顔画像検出手段における検出結果に基づいて、表示用画像を表示部に表示するときの明るさを制御する明るさ制御回路とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体の低消費電力化を図りつつ、視認性を向上させた表示装置およびこれを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置の小型化により、これらを駆動させるためのバッテリーも小容積化が必要となっている。そのために、撮像装置全体の様々な低消費電力化施策が取り組まれている。
【0003】
その中でも、液晶パネル等を含む表示装置に要する電力は無視出来るレベルでなく、特許文献1等で提案されているように、電子機器に具備されている加速度センサーから得られる傾き情報や視線方向検知装置から得られる使用者の撮影状態を検出して、表示装置の低消費電力化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−120323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の表示装置では、加速度センサーや視線方向検知装置などのようなスペースを要する構成デバイスが必要となり、より小型化を目指す撮像装置には適さない。
【0006】
このような課題に鑑みて本発明は、装置全体の低消費電力化を図りつつ、視認性を向上させた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の表示装置は、外部から入力画像を入力する入力手段と、入力画像に対して顔画像が存在するかどうかを検出する顔画像検出手段と、入力画像を表示する表示部と、顔画像検出手段における検出結果に基づいて、入力画像を表示部に表示するときの明るさを制御する明るさ制御回路とを備えた表示装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置全体の低消費電力化を図りつつ、視認性を向上させた表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る撮像装置の構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1に係る撮像装置の構成を示すブロック図
【図3】実施の形態1に係る撮像装置の撮像信号処理回路を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
1.撮像装置の構成
図1および図2は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。図1および図2は同じ構成を記しているが、各ブロック間の信号の流れについて、図1では撮影状態、図2では再生状態での信号の流れを、夫々実線で示している。なお、点線で図示した信号の流れは、夫々の状態で使用しない経路である。
【0011】
図1および図2の構成について説明する。撮像素子1は、被写体の情報を電気信号に変換して出力する。撮像素子1は、具体的にはCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等である。撮像信号処理回路2は、撮像素子1からの出力信号を表示/記録可能な形式の信号に変換する処理を行う。エンコード処理回路3は、撮像信号処理回路2にて記録可能な形式に変換した信号を、更に記録媒体4に記録するためのフォーマットに基づいて変換(符号化)処理を行う。記録媒体4は、エンコード処理回路3の出力信号を記録する媒体である。記録媒体4は、具体的にはフラッシュメモリを備えたメモリカードやハードディスク、光ディスク等である。記録媒体4は着脱可能であってもよい。なお、撮像装置は外部との有線または無線による外部機器との通信手段を備え、記録媒体4に対する記録再生の代わりに外部機器に対する送受信を行うようにしてもよい。デコード処理回路5は、記録媒体4に記録された画像を再生するために、前記フォーマットを変換(復号化)する。セレクタ6は、エンコード処理回路3とデコード処理回路5の出力信号のうち、モニター7に表示する信号を選択する。セレクタ6は、撮像装置が撮影状態の時は撮像信号処理回路2の出力信号を、再生状態の時はデコード処理回路5の出力信号を選択する。モニター7は液晶パネル等を備え、セレクタ6の出力信号を、液晶パネル等へ表示する。顔画像検出手段8は、セレクタ6の出力信号の中に顔画像が含まれているか否かを判断してその結果を出力する。明るさ制御回路9は、顔画像検出手段8の出力を利用して、モニター7に表示される画像の明るさをコントロールする。明るさ制御装置9は、顔画像検出手段8にて、撮影画像、もしくは、再生画像に顔画像が検出された場合は、画像の視認性を上げるためにモニター7の明るさを非検出時よりも上げる。また、顔画像が検出されない場合は、消費電力を低減するために検出時よりもモニター7の明るさを下げる。
【0012】
2.撮像装置の動作
以下、撮像装置の動作について説明する。本実施の形態の撮像装置においては、使用者がその動作状態を撮影状態および再生状態のいずれかから選択可能である。使用者は、撮像装置に設けられたダイヤルやボタン、タッチパネル等の操作部(図示せず)を操作することによりこれらを選択する。以下、各動作状態における撮像装置の動作について順に説明する。
【0013】
なお、セレクタ6は、入力手段の一例である。モニター7は、表示部の一例である。
【0014】
2−1.撮影時の動作
まず、使用者が撮影状態を選択した場合の動作について、図1を参照して説明を行う。
【0015】
撮影状態の時、ターゲットとなる被写体に対して撮像装置の光軸を向けることにより、撮像素子1に被写体の光学像が結像される。撮像素子1は、この光学像を電気信号に変換して出力する。撮像素子1からの出力信号のままでは、記録媒体4への記録やモニター7への表示が出来ないために、撮像信号処理回路2、及びエンコード処理回路3(記録媒体4に記録する経路のみ)にて信号処理を施す。エンコード処理回路3としては、例えば、JPEGや、Motion−JPEG、MPEG2、H.264等のフォーマットに変換するための画像圧縮回路が適用可能である。
【0016】
使用者は、記録すべき被写体を選択するために、モニター7に表示される画像(以下、該画像をモニター画像と称する)を確認しながら撮影を行うが、このモニター画像は、撮像信号処理回路2が生成する。
【0017】
図3は、撮像信号処理回路2の構成の一例を示すブロック図である。RAWデータ信号処理回路21は、撮像素子1から出力されるRAW形式の信号に対して、黒レベルの補正や、ホワイトバランス制御など、一般的に知られている信号処理をRAW形式の状態で行う。その後、YCデータ形式変換回路22は、RAWデータ信号処理回路21が出力するRAW形式のデータを、輝度信号(以下Y信号と称す)と、色信号(以下C信号と称す)とに分離する処理を行う。YCデータ信号処理回路23は、YCデータ形式変換回路22が出力するY信号およびC信号の夫々に対し、ガンマ処理等、こちらも一般的に知られている信号処理を行う。YCデータ信号処理回路23の出力は、モニター画像用に変換処理を行う表示用YCデータ信号処理回路24およびエンコード処理回路3に入力するための形式に変換処理を行う記録用YCデータ信号処理回路25に入力される。
【0018】
表示用YCデータ信号処理回路24は、モニター7での表示に適した画像を表示するための処理を行うと同時に、モニター7の画像サイズに合わせたリサイズ処理を行う。この構成を取ることで、モニター7に表示するモニター画像として、記録媒体4に記録される画像と同時刻の画像、もしくは、ほぼ同時刻の画像を発生する事が可能となる。
【0019】
次に、モニター画像は、セレクタ6に入力される。セレクタ6は、撮像装置が撮影状態および再生状態のいずれかにより出力する信号を選択する。ここでは撮像装置が撮影状態であるので、撮像信号処理回路2から出力されるモニター画像が選択される。
【0020】
セレクタ6で選択され出力されるモニター画像は、モニター7に入力されると共に、顔画像検出手段8にも入力される。顔画像検出手段8は、公知の方法にて、モニター画像の中に人間の顔が含まれているか否かを検出する回路である。この検出回路の1例としては、モニター画像から特徴点を抽出し、それぞれの特徴点にてパターンマッチングを行い、人間の顔であるかの判断を行う技術(例えば特開平5−225344号公報)等がある。
【0021】
そして、顔画像検出手段8で、モニター画像に顔が存在するかどうかを判定した結果を明るさ制御回路9に入力する。ここで、顔検出の結果としては、顔が検出されたか否かの情報だけでなく、検出された顔の数、顔の位置、大きさ、向き等の情報を含んでいてもよい。また、顔画像検出手段8が顔の個人認証も可能である場合には、その個人認証結果に関する情報を含んでいてもよい。
【0022】
明るさ制御回路9は、顔画像検出手段8からの情報を元に、モニター7に表示される画像の明るさを制御する。例えばモニター7が液晶パネルを備えている場合、その液晶パネルのバックライトの明るさを制御することにより、表示される画像の明るさを制御する。
【0023】
なお明るさ制御回路9は、画像サイズに対してターゲットとなる顔画像の大きさの割り合いが所定のしきい値よりも小さいときは、モニター7の明るさを通常の顔検出時よりも下げる(ただし顔の非検出時よりは明るい)ようにしてもよい。このようにすることで、被写体の顔が小さい構図となっていることについて、使用者の注意を喚起させることができる。また逆に画像サイズに対してターゲットとなる顔画像の大きさの割り合いが所定のしきい値よりも小さいときに、モニター7の明るさを通常の顔検出時よりも上げるようにしてもよい。このようにすることで、被写体の顔が小さいときに、顔の表情を、より詳細に確認することが容易となる。また、このような状況に応じて動作を変更するようにしてもよい。すなわち、顔画像検出手段8にて検出したい顔の領域の大きさの設定が出来る機能を有し、使用者が、構図などの撮影条件に応じて、検出したい顔の大きさを予め設定し、モニター7の明るさ制御を行うという手段も考えられる。
【0024】
2−2.再生時の動作
次に、使用者が撮影した画像を再生するために再生状態を選択した時の動作について、図2を参照して説明を行う。
【0025】
各ブロックでの処理、及び動作について、撮影状態の場合と同様である部分については説明は省略する。撮影状態の場合と異なる主な点は、以下の点である。すなわち、顔画像検出手段8に入力する画像として、撮像信号処理回路2から出力されるモニター画像の代わりに、記録媒体4から読み出された信号をデコード処理回路5で処理した再生画像を使用する。この制御は、撮像装置が再生状態であるときに、セレクタ6が、デコード処理回路5から出力される再生画像を選択することで可能となる。
【0026】
顔画像検出手段8で、再生画像に顔が存在すると判断された場合は、撮影した顔画像の表情等をより詳細に確認出来るように、明るさ制御回路9で、モニター7の明るさを上げる制御を行うことは、撮影状態での動作と同様である。
【0027】
本実施の形態の撮像装置は、記録媒体4に記録された画像から、使用者が特定の顔画像を選択したい場合において、顔画像を検出した画像ではモニター7の明るさを上げ、そうでないときは、画像全体を確認出来る程度に明るさを下げるような制御を行うため、使用者は顔が含まれる画像かどうか判断することがより容易となり、検索の容易性と、再生時の低消費電力化の両立を図ることが可能となる。
【0028】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、使用者が、特に人物などの動物の顔を主体にした撮影を行う時、顔画像検出手段と、撮影する画像を確認するモニターの連動動作として、顔が検出された場合は、より顔の表情が確認し易いようにモニターの明るさを上げ、検出されない場合は、低電力化のために、モニターの明るさを下げるというダイナミック制御を行うことで、撮影の利便性と、低消費電力化の両立を図ることが可能となる。
【0029】
また、使用者が撮影した画像をモニターで確認する時等、画像を再生する場合においても、再生画像に顔が検出されるか否かで、モニターの明るさを制御することにより、再生画像確認の容易性と、低消費電力化の両立を図ることが可能となる。
【0030】
なお、本実施の形態では、表示画像内にて、顔が検出された/検出されないの、二値判定によりモニターの明るさを制御したが、顔の大きさ、検出された顔の数、背景の明るさなども、前記モニターの明るさを決定するための条件に組み入れることで、更なるモニターの見易さと低消費電力化の両立を図ることが可能となる。
【0031】
なお、液晶パネルのバックライトの明るさを、部分領域毎に制御可能である場合、顔が検出されたエリアに対応する部分のバックライトの明るさを本実施の形態と同様に上げ、他のエリアに対応する部分のバックライトの明るさを本実施の形態において顔非検出時と同様に下げるように制御してもよい。
【0032】
また、有機ELパネルなど自己発光するようなパネルを使用する場合も同様に、顔が検出されたエリアだけの明るさを上げることにより、顔の表情などの見易さと低消費電力化の両立が、より図られることになる。
【0033】
なお、本実施の形態においては顔を検出したが、使用者があらかじめ設定した被写体、例えば車等の特別な被写体の特徴を示す画像情報を、撮像装置内のメモリ等に予め記憶させておき、表示画像に前記画像情報が含まれる場合にモニターの明るさを上げ、それ以外の時は下げるという使用法も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、装置全体の低消費電力化を図りつつ、モニターの視認性を向上させることができるため、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、スマートフォン、モバイルPC等のようなバッテリー駆動でモニターを備えた電子機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 撮像素子
2 撮像信号処理回路
3 エンコード処理回路
4 記録媒体
5 デコード処理回路
6 セレクタ
7 モニター
8 顔画像検出手段
9 明るさ制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力画像を入力する入力手段と、
前記入力画像に対して顔画像が存在するかどうかを検出する顔画像検出手段と、
前記入力画像を表示する表示部と、
前記顔画像検出手段における検出結果に基づいて、前記入力画像を前記表示部に表示するときの明るさを制御する明るさ制御回路と、
を備えた表示装置。
【請求項2】
被写体の光学像を電気信号に変換して出力する撮像素子と、
前記撮像素子からの出力信号を表示部に表示するための表示用画像に変換して出力する撮像信号処理回路と、
前記表示用画像に対して顔画像が存在するかどうかを検出する顔画像検出手段と、
前記表示用画像を表示する表示部と、
前記顔画像検出手段における検出結果に基づいて、前記表示用画像を前記表示部に表示するときの明るさを制御する明るさ制御回路と、
を備えた撮像装置。
【請求項3】
被写体の光学像を電気信号に変換して出力する撮像素子と、
前記撮像素子からの出力信号を表示部に表示するための表示用画像に変換して出力し、また、前記撮像素子からの出力信号を記録するための記録用画像に変換して出力する撮像信号処理回路と、
前記記録用画像に符号化処理を行って記録画像とし、記録媒体に記録するエンコード処理回路と、
前記記録媒体に記録された前記記録画像に復号化処理を行って再生画像とするデコード処理回路と、
前記表示用画像および前記再生画像を入力とし、前記表示用画像および前記再生画像のうちいずれか一方を選択して入力画像として出力する入力手段と、
前記入力画像に対して顔画像が存在するかどうかを検出する顔画像検出手段と、
前記入力画像を表示する表示部と、
前記顔画像検出手段における検出結果に基づいて、前記入力画像を前記表示部に表示するときの明るさを制御する明るさ制御回路と、
を備えた撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−254199(P2011−254199A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125601(P2010−125601)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】