説明

表示装置および撮像装置

【課題】表示パネルの表示面における輝度ムラを低減することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示パネル200と、液晶表示パネル200を保持するフレーム部材204と、フレーム部材204の背面側に互いに予め定められた間隔を隔てて設けられ、フレーム部材204を介して液晶表示パネル200の表示面側に光を照射する複数の光源とを備える表示装置を設ける。フレーム部材204は、複数の光源間に凸形状の光反射部を有する。この光反射部は、光反射部近傍に配置された第一の光源が発する光を、光反射部を挟んで第一の光源と隣り合う位置に配置された第二の光源の直上領域に直達させず、かつ、第一および第二の光源が発する光を光反射部の直上領域方向に反射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、特に撮像装置の背面液晶に用いられるバックライト装置とそれを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるバックライト装置として、直下型のバックライト装置と、エッジライト型のバックライト装置とが提案されている。直下型のバックライト装置は、バックライトの光源が液晶表示パネルの直下に複数個配置されているバックライト装置である。エッジライト型のバックライト装置は、バックライトの線状光源が液晶表示パネルのエッジ部分に配置され、導光板の端面に光を入射し、液晶表示パネルの後面側に出射される光の照射によって表示を行なうバックライト装置である。
【0003】
一般的に、直下型よりもエッジライト型の方が、バックライト部分の薄型化に適している。しかし、エッジライト型は、導光板の端面に光源を配置するので、幅方向のサイズが大きくなり、導光板を製造するコストが高くなる。
【0004】
一方、発光面の高輝度化を行う場合には、直下型が用いられている。直下型の方がエッジライト型よりも光源から放射される光束の利用効率が高く、光照射面の高輝度化を容易に行うことができる。しかし、直下型は、線状光源の直上の輝度が高くなり、発光面の輝度均一性に課題が生じる場合がある。
【0005】
なお、特許文献1は、以下のようなバックライト装置を開示する。このバックライト装置においては、光源である蛍光管の長手方向と直交する方向の反射板の断面形状を、蛍光管の取り付けピッチの2分の1のピッチからなるジグザグ形状とする。また、このバックライト装置においては、ジグザグ形状の頂点の山部を、隣合う蛍光管の中間位置の真下と蛍光管の真下の位置とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−17412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図5は、直下型のバックライト装置の構成例を示す図である。このバックライト装置は、液晶表示パネル400を保持するフレーム部材1204と、フレーム部材1204の背面側に設けられた複数の光源1301a乃至1301cを備える。符号1203は、基板、符号1201は、フレーム部材1204の内面に設けられた反射面を示す。符号1202bは、液晶表示パネル400の裏面に設けられた拡散シートを示す。図5中の矢印は、光源が発する光を示す。符号1501a,1501b,1501c,1502a,1502bは、光源からの光が照射される液晶表示パネル200の領域(光照射領域)の例を示す。
【0008】
図6は、直下型のバックライト装置が有する光源の指向性を説明するグラフを示す図である。図6に示すグラフの縦軸は相対照度、横軸は放射角度である。図6に示すグラフが示すように、直下型のバックライト装置においては、各光源(図5中の光源1301a乃至1301c)が照射する光量は、垂直方向の光量が最大である。すなわち、光源が指向性を有する。
【0009】
図7は、直下型のバックライト装置において生じる輝度ムラを説明する図である。図7(A)は、図5のバックライト装置の正面図である。図7(B)は、図7(A)に示す液晶表示パネル400の表示面401におけるA−A線上の輝度分布を示す。
【0010】
図6を参照して説明したように、直下型のバックライト装置においては、各光源が照射する光量は、垂直方向の光量が最大である。従って、拡散シート1202bなどの光学部材に入射される光量が、各光源の直上領域(1501a,b,c)で多くなる。更に、光源の直上領域には、当該光源と隣り合う光源が発する光が直達する。従って、各光源の直上領域における輝度が高くなる(図7(A)、(B)を参照)。
【0011】
一方、光学部材の各光源間に位置する領域(図7(A)の領域1502a,b)においては、2つの光源から一定の角度がある光が入射している。従って、図7(B)に示すように、各光源間に位置する領域においては、光源の指向性により、光源の直上領域よりも輝度が低くなる。これにより、直下型バックライト装置を備える表示装置においては、液晶表示パネルの表示面に輝度ムラが生じるという問題点があった。
【0012】
本発明は、表示パネルの表示面における輝度ムラを低減することが可能な表示装置およびそれを備える撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態の表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルを保持する保持手段と、前記保持手段の背面側に互いに予め定められた間隔を隔てて設けられ、前記保持手段を介して前記表示パネルの表示面側に光を照射する複数の光源とを備える。前記保持手段は、前記複数の光源間に凸形状の光反射部を有する。前記凸形状の光反射部は、該光反射部近傍に配置された第一の光源が発する光を、該光反射部を挟んで前記第一の光源と隣り合う位置に配置された第二の光源の直上領域に直達させず、また、該第二の光源が発する光を該第一の光源の直上領域に直達させず、かつ、前記第一および第二の光源が発する光を前記光反射部の直上領域方向に反射する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の表示装置およびそれを備える撮像装置によれば、液晶表示パネルの表示面における輝度ムラを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態のバックライト装置の分解斜視図の例である。
【図2】本実施形態のバックライト装置の詳細な構成例を示す図である。
【図3】本実施形態のバックライト装置における、光源からの光の照射を説明する図である。
【図4】本実施形態のバックライト装置が奏する効果を説明する図である。
【図5】直下型のバックライト装置の構成例を示す図である。
【図6】直下型のバックライト装置が有する光源の指向性を説明するグラフを示す図である。
【図7】直下型のバックライト装置において生じる輝度ムラを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施形態のバックライト装置の分解斜視図の例である。本実施形態の表示装置は、例えばデジタルカメラのような撮像装置に用いられるような、図1に示すバックライト装置を備える液晶表示装置である。本実施形態の撮像装置は、この液晶表示装置を備える。バックライト装置100は、直下型バックライト装置である。
【0017】
バックライト装置100は、液晶表示パネル200、フレーム部材204、拡散シート201、光学フィルム202a、202b、基板203を備える。液晶表示パネル200は、液晶表示素子によって構成される表示板である。フレーム部材204は、液晶表示パネル200を保持する保持手段として機能する。拡散シート201は、光学フィルム202b、202aを透過する光を拡散することによって、液晶表示パネル200の表示面における輝度ムラを低減させる。
【0018】
ここで、光学フィルム202a、202bは、例えば、反射型偏光板である。すなわち、光学フィルム202bは、第一の光学フィルタとして機能し、光学フィルム202aは、第二の光学フィルタとして機能する。光学フィルム202aの透過軸と光学フィルム202bの透過軸とが、ほぼ垂直に交差している。液晶表示パネル200をバックライト装置の観察者側から見た場合の該液晶表示パネル200の長辺右方向を0度としたときに、光学フィルム202aの透過軸方向αは、ほぼ45度、光学フィルム202bの透過軸方向βは、ほぼ135度をなす。(透過軸方向αがほぼ135度、透過軸方向βがほぼ45度であってもよい。)こうすることで、光源の光が反射及び拡散を繰り返し、複数の光学フィルムを垂直に抜ける光の透過量を減らすことができ、液晶表示パネル200の表示面における輝度ムラを低減することができる。
【0019】
基板203は、複数の光源301a乃至301cを実装する。フレーム部材204は、複数の光源301a乃至301cから予め決められた距離を隔てて液晶表示パネル200を保持する。すなわち、光源は、フレーム部材204の背面側に設けられている。また、光源は、互いに予め決められた間隔を隔てて、液晶表示パネル200の長手方向に沿って配置されている。光源が、液晶表示パネル200の短手方向に沿って配置されていてもよい。また、光源が、液晶表示パネル200の長手方向および短手方向に沿って配置されていてもよい。各々の光源は、フレーム部材204を介して液晶表示パネル200の表示面側に光を照射する。光源は、例えば、発光ダイオード、レーザ等である。光源が照射する光は、図6を参照して説明したような指向性を有する。すなわち、光源は、発光面垂直方向の照度が最も高く、垂直方向からの角度が増加するに伴い照度が低くなるという傾向を有する。
【0020】
図2は、本実施形態のバックライト装置の詳細な構成例を示す図である。図2(A)は、バックライト装置100の正面図である。図2(B)は、図2(A)のB−B線断面図である。図2(C)は、図2(A)のA−A線断面図である。
【0021】
図1を参照して説明した拡散シート201、光学フィルム202a、202b、液晶表示パネル200は、フレーム部材204の凹部に保持される。また、基板203は、フレーム部材204の開口に光源301a乃至光源301cが収まるように取り付けられる。
【0022】
フレーム部材204は、反射面210を有する。反射面210は、光源からフレーム部材204内に入射した光を、高い反射率で液晶表示パネル200側に反射する。反射面210は、光源と光学フィルム202bとの間に設けられている。具体的には、フレーム部材204の内壁が、反射面210を形成する。当該反射面210を形成するフレーム部材204の内壁形状は、光源301a乃至301cの外周から液晶表示パネル200の表示範囲をつなぐ斜面形状である。
【0023】
図2(B)に示すように、フレーム部材204は、複数の光源間に設けられた凸形状の光反射部302a,302bを有する。光反射部302aは、光源301aと光源301bとの間に設けられている。具体的には、光反射部302aは、光源301aが配置された位置と光源301bが配置された位置との中間の位置に設けられている。これにより、光源301bは、光反射部302aを挟んで光源301aと隣り合う位置に配置される。
【0024】
同様に、光反射部302bは、光源301bと光源301cとの間に設けられている。具体的には、光反射部302bは、光源301bが配置された位置と光源301cが配置された位置との中間の位置に設けられている。これにより、光源301cは、光反射部302bを挟んで光源301bと隣り合う位置に配置される。
【0025】
光反射部302aは、光源301aおよび光源301bが発する光を光反射部302aの直上領域方向に反射する、曲面形状の反射面を有する。しかしながら、光反射部302aの高さは、光源301aが発する光を光源301bの直上領域に直達させず、光源301bが発する光を光源301aの直上領域に直達させない高さである。よって、光源301bが発する光は、光反射部302aの曲面形状の反射面によって光反射部302aの直上領域方向には反射させられるが、光源301aの直上領域に直達しない。同様に、光源301aが発する光は、光反射部302aの曲面形状の反射面によって光反射部302aの直上領域方向には反射させられるが、光源301bの直上領域に直達しない。
【0026】
本実施形態において、光源の直上領域は、液晶表示パネル200の裏面近傍の、光源の直上に位置する領域である。具体的には、光源の直上領域は、液晶表示パネル200の裏面側に設けられた光学フィルム202bの裏面の領域(光入射領域)のうち、光源の直上に位置する領域である。また、本実施形態において、光反射部の直上領域は、液晶表示パネル200の裏面近傍の、光反射部の直上に位置する領域である。具体的には、光反射部の直上領域は、液晶表示パネル200の裏面側に設けられた光学フィルム202bの裏面の領域(光入射領域)のうち、光反射部の直上に位置する領域である。
【0027】
同様に、光反射部302bは、光源301bおよび光源301cが発する光を光反射部302bの直上領域方向に反射する、曲面形状の反射面を有する。しかしながら、光反射部302bの高さは、光源301bが発する光を光源301cの直上領域に直達させず、光源301cが発する光を光源301bの直上領域に直達させない高さである。よって、光源301cが発する光は、光反射部302bの曲面形状の反射面によって光反射部302bの直上領域方向には反射させられるが、光源301bの直上領域に直達しない。同様に、光源301bが発する光は、光反射部302bの曲面形状の反射面によって光反射部302bの直上領域方向には反射させられるが、光源301cの直上領域に直達しない。
【0028】
すなわち、光反射部は、該光反射部近傍に配置された第一の光源が発する光を、該光反射部を挟んで前記第一の光源と隣り合う位置に配置された第二の光源の直上領域に直達させず、かつ、第一および第二の光源が発する光を光反射部の直上領域方向に反射する。なお、同様に、光反射部は、該光反射部近傍に配置された第二の光源が発する光を、第一の光源の直上領域に直達させない。
【0029】
図2(B)を参照すると、光反射部302aを液晶表示パネル200の長手方向に沿って切った時の光反射部302aの断面は、頂点Pを有する。頂点Pは、光反射部302aが有する曲面形状の反射面に対応する曲線のうち、第一の反射面に対応する曲線と第二の反射面に対応する曲線との交点である。第一の反射面は、第一の光源(例えば光源301a)からの光を光反射部302aの直上領域方向に反射する反射面である。第二の反射面は、第一の光源と光反射部を挟んで隣り合う光源(例えば光源301b)からの光を光反射部302aの直上領域方向に反射する反射面である。頂点Pは、液晶表示パネル200の長手方向の位置について、第一の光源と第二の光源との中間の位置にある。
【0030】
図3は、本実施形態のバックライト装置における、光源からの光の照射を説明する図である。図3中の矢印は、光源が発する光を示す。また、図4は、本実施形態のバックライト装置が奏する効果を説明する図である。図4(A)は、バックライト装置100の正面図である。図4(B)は、図4(A)に示す液晶表示パネルの表示面701におけるA線上の輝度分布を示す。図4(A)中の領域502aは、光反射部302aの直上領域である。また、領域502bは、光反射部302bの直上領域である。
【0031】
図3に示すように、光源301bが発する光の一部は、光反射部302aの曲面形状の反射面に反射して、光反射部302aの直上領域方向に向かう。また、光源301aが発する光の一部は、光反射部302aの曲面形状の反射面に反射して、光反射部302aの直上領域(図4中の領域502a)方向に向かう。これにより、光反射部302aの直上領域(領域502a)における輝度が高くなる。
【0032】
また、光源301cが発する光の一部は、光反射部302bの曲面形状の反射面に反射して、光反射部302bの直上領域方向に向かう。また、光源301bが発する光の一部は、光反射部302bの曲面形状の反射面に反射して、光反射部302bの直上領域(領域502b)方向に向かう。これにより、光反射部302bの直上領域(領域502b)における輝度が高くなる。
【0033】
また、本実施形態では、光反射部302aの高さは、光源301aが発する光を光源301bの直上領域に直達させず、光源301bが発する光を光源301aの直上領域に直達させない高さに調整されている。従って、光源301aが発する光は、光源301bの直上領域に直達しない。また、光源301bが発する光は、光源301aの直上領域に直達しない。同様に、光反射部302bの高さは、光源301cが発する光を光源301bの直上領域に直達させず、光源301bが発する光を光源301cの直上領域に直達させない高さに調整されている。従って、光源301cが発する光は、光源301bの直上領域に直達しない。また、光源301bが発する光は、光源301cの直上領域に直達しない。これにより、本実施形態のバックライト装置は、光源が発する光が光反射部を挟んで当該光源と隣り合う光源の直上領域に直達する構成を有するバックライト装置(図7に示すバックライト装置)に比べて、光源の直上領域における輝度を低くすることができる。
【0034】
また、バックライト装置100が備える光反射部は、当該光反射部を挟んで配置される2つの光源が発する光を当該光反射部の直上領域の方向に反射するので、図4(A)中の領域502a、502bにおける輝度が高くなる。従って、各光源の直上領域における輝度と、光反射部の直上領域の輝度との差を無くしたり、少なくすることができる。具体的には、複数の光源の直上の領域の輝度値と光反射部の直上の領域の輝度値との差が予め定められた値以下である。これにより、バックライト装置100によれば、液晶表示パネル200の表示面における輝度を均一化する(輝度ムラを低減する)ことができる。
【符号の説明】
【0035】
200 液晶表示パネル
204 フレーム部材
301a,301b,301c 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルを保持する保持手段と、
前記保持手段の背面側に互いに予め定められた間隔を隔てて設けられ、前記保持手段を介して前記表示パネルの表示面側に光を照射する複数の光源とを備え、
前記保持手段は、前記複数の光源間に凸形状の光反射部を有し、
前記凸形状の光反射部は、該光反射部近傍に配置された第一の光源が発する光を、該光反射部を挟んで前記第一の光源と隣り合う位置に配置された第二の光源の直上領域に直達させず、また、該第二の光源が発する光を該第一の光源の直上領域に直達させず、かつ、前記第一および第二の光源が発する光を前記光反射部の直上領域方向に反射する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光反射部は、前記第一の光源が配置された位置と前記第二の光源が配置された位置との中間の位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の光源は、前記表示パネルの長手方向に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルの背面側に設けられた第一、第二の光学フィルタを更に備え、
前記第一の光学フィルタの透過軸と前記第二の光学フィルタの透過軸とが交差することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の光源の直上領域の輝度値と前記光反射部の直上領域の輝度値との差が予め定められた値以下である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置を備える撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−80053(P2013−80053A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219321(P2011−219321)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】