説明

表示装置付酸素発生器

【課題】酸素発生器に、体内に酸素を供給したときに酸素飽和度の上昇レベルを示す血中酸素飽和度メータを取り付けることにより、健常者が酸素発生器にて、酸素を供給しても、酸素供給前と比較して、体内に酸素が確実に供給されたかを確認できる様にすることである。
【解決手段】酸素発生器は、人間に吸入させる気体酸素発生器と、発生した酸素気体を人体に吸入せしめる手段と、人体の血液循環部分を透過させた光透過度から血液の酸素飽和度を検知するセンサと、該センサからの信号を受け、該信号から血液の酸素飽和度を計算する血中酸素飽和度計算手段と、上記計算手段から得られた酸素飽和度の初期値と、酸素供給後に上昇した酸素飽和度を区分して表示する表示手段と、を持ち、この表示手段は、数値の表示ではなく、測定された酸素飽和度をバーの表示量で表示するバーコードメータである。なお、この表示はバーコード表示に限ることはなく、文字表示でも良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置付酸素発生器に関し、特に酸素発生器に酸素飽和度を測定する機器を内蔵し、特に人間が安静時に、酸素を供給したときに、その酸素飽和度の上昇レベルを表示する血中酸素飽和度を示す表示装置付酸素発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世に出回っている血中酸素飽和度測定器は、表示される測定値の分解能が1%単位であり、健常者が酸素を供給しても、ほとんど測定値に変化が観られない。
また、現在、健康機器では、酸素発生器がブームとなっており、多くの型式のものが世に出回っている。大半の酸素発生器は、体内に酸素を供給したとき、酸素が供給されたかを確認する手段がない。
【特許文献1】特開2002−301154号
【特許文献2】特開2000−061254号
【特許文献3】特開2000−060981号
【特許文献4】特開平10−201591号
【特許文献5】特開2002−282243号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述のような不都合を解消しようとするもであり、その目的は、酸素発生器に、体内に酸素を供給したときに酸素飽和度の上昇レベルを示す血中酸素飽和度メータを取り付けることにより、健常者が酸素発生器にて、酸素を供給しても、酸素供給前と比較して、体内に酸素が確実に供給されたかを確認できる様にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の如き本発明の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発明は、
発生させた気体酸素を人体に供給する酸素発生器において、
気体酸素発生器と、
発生した酸素気体を人体に吸入せしめる手段と、
人体の血液循環部分を透過させた光透過度から血液の酸素飽和度を検知するセンサと、
該センサからの信号を受け、該信号から血液の酸素飽和度を計算する血中酸素飽和度計算手段と、
上記計算手段から得られた酸素飽和度の初期値と、酸素供給後に上昇した酸素飽和度を区分して表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする表示装置付酸素発生器を提供する。
本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、
前記表示手段は、測定された酸素飽和度をバーの表示量で表示するバーコードメータであることを特徴とする表示装置付酸素発生器を提供する。
本願の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、
前記表示手段の、区分された初期値と酸素供給後に上昇した酸素飽和度を表示する部分の表示色を異なるように構成したことを特徴とする表示装置付酸素発生器を提供する。
本願の請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、
前記表示手段の、区分された初期値と酸素供給後に上昇した酸素飽和度を表示する部分を、円の面積で表示することを特徴とする表示装置付酸素発生器を提供する。
本願の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、
前記表示手段の、区分された初期値と酸素供給後に上昇した酸素飽和度を表示する部分を、異なる文字で表示することを特徴とする表示装置付酸素発生器を提供する。
【発明の効果】
【0005】
通常の血中酸素飽和度では、健常者が30%濃度酸素または、90%以上の濃縮酸素を供給しても、表示測定値の分解能が1%のため、変化を確認することが困難である。 また、酸素発生器には、測定機能がないため、酸素発生器にて酸素供給しても、体内に酸素が供給されたかを確認する手段がない。
本発明はその構成要件が示すとおり、血中酸素飽和度計算値を酸素発生器に付設したメータで表示することにより、健常者でも、酸素供給時の体内の血中酸素飽和度の上昇レベルが確認でき、また、酸素発生器に血中酸素飽和度メータを取り付け、一体化することにより、酸素供給と同時に体内の血中酸素飽和度の上昇レベルが確認できる。さらにメータの構造を、バーメータ構造とし、測定初期値と、酸素供給後に報償した血中酸素飽和度を区分表示できるので、体内の血中酸素飽和度の上昇レベルが明確に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、酸素発生器に、血中酸素飽和度の分解能を増し、血中酸素飽和度の変化をバーメータで確認できる血中酸素飽和度バーメータ計を内蔵し、健常者が指先等に、光方式のセンサーを装着し、発光素子により、指先を透過させ、指先を透過した透過光を受光素子が電気信号に変換し、その電気信号により、酸素供給前の酸素飽和度の測定値から、酸素供給後の、酸素飽和度上昇値をバーメータ等の表示器で確認できる。
【実施例】
【0007】
次に本発明の一実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明を酸素発生器に付設した実施例を示す平面図である。図1において、酸素発生器1には血中酸素飽和度バーメータ2が取り付けられている。また、酸素発生器1には光方式のセンサークリップ3がコード4で接続されている。人間5は、酸素発生器1から酸素をチューブ6、酸素マウス7を介して供給する。酸素供給時、人間5の指先8を光方式のセンサークリップ3で挟持し、測定を開始すると、センサークリップ3内部の発光素子が発光し、指先8の血液を透過し、その透過光を受光素子が電気信号に変換し、その電気信号レベルは、コード4を介して血中酸素飽和度バーメータ2で表示される。
酸素が人間5の体内に供給されると、指先8の血液の酸素飽和度が上昇し、指先8の血液を透過している透過光の透過率が変化する。受光素子は、その変動した透過光を電気信号に変換し、その電気信号がコード4を介して、酸素飽和度の上昇レベルとして血中酸素飽和度バーメータ2に表示される。
【0008】
図2は、酸素発生器1の構造図である。
酸素発生器1には、酸素生成部9と血中酸素飽和度バーメータ2がそれぞれ独立して存在している。酸素発生器1はコネクタ10から電源(AC100V)を供給し、リード線11を介して、電源12に供給される。電源12は供給された電圧を、酸素生成部9と血中酸素飽和度バーメータ2が可動する電圧に変換し、リード線13を介して酸素生成部9へ、リード線14を介して血中酸素飽和度バーメータ2へ、それぞれ供給される。酸素生成部9は、スイッチ15を押下すると、気体で、30%濃度の酸素、または90%以上の濃縮酸素を生成し、中継チューブ16、吹出口17、チューブ6を介して酸素マウス7に生成された酸素を噴出する。
また、血中酸素飽和度バーメータ2は、血中酸素飽和度メイン基板19にて制御されていて、センサークリップ3とは、コード4、コネクタ20、ケーブル21とで接続されていて、コネクタ20にて、センサークリップ3を酸素発生器1から取り外すことができる。また、血中酸素飽和度メイン基板19は、バーメータ9とも、ケーブル22で接続されている。
血中酸素飽和度メイン基板19は、スイッチ18を押下すると、測定を開始し、血中酸素飽和度の測定レベルをバーメータ9に表示する。
【0009】
次に、血中酸素飽和度バーメータ2の詳細について説明する。
図3は、血中酸素飽和度バーメータ2とセンサークリップ3のブロック図である。
血中酸素飽和度バーメータ2の動作を制御するのは、血中酸素飽和度メイン基板19であり、その内部は、定電流回路25、電流電圧変換回路26、A/Dコンバータ27、CPU28及び、トランジスタアレイ29に分けられる。
指先8は、センサークリップ3の先端にて挟持されている。センサークリップ3内部には、2波長の発光素子23と受光素子24が設けられている。2波長発光素子23は定電流回路25にて、ケーブル21、コネクタ20、コード4を介して制御されて発光し、その光は指先8の血液を透過し、受光素子24に到達する。透過光が到達した受光素子24は、透過光を電流に変換し、コード4、コネクタ20、ケーブル21を介して、電流電圧変換回路26に出力する。
受光素子24から電流信号を入力された電流電圧変換回路26は、電流信号をアナログの電圧信号に変換し、A/Dコンバータ27にて、アナログ信号からデジタル信号に変換され、CPU28に出力される。
透過光のデジタル信号を入力されたCPU28は、血中酸素飽和度が変化するのに比例して、バーメータが上下するようにデータ処理し、処理されたデータはトランジスタアレイ29を介して、バーメータ9に出力され、血中酸素飽和度の変化に比例して、バーメータ9の表示が上下する。
【0010】
図4は、電流電圧変換回路26の出力であるアナログ電圧信号を示す。
センサークリップ3には、赤色LED(R LED)と赤外LED(IR LED)の2波長の発光素子23が存在していて、血中酸素飽和度は以下の式1で成り立つ。

血中酸素飽和度計算式1=(IR DC/R DC) X (R AC/IR AC)
*DC:透過電圧
*AC:脈拍振幅電圧

通常の血中酸素飽和度測定器の表示方法は、下のテーブル[計算値−テーブル値(表示)変換例]のように、上記計算式1による計算値を、0%〜100%の血中酸素飽和度テーブル値に変換し、分解能1%の数値で表示を行う。
【0011】
【表1】


本発明において、血中酸素飽和度バーメータ2は、上記計算式1によって得られた計算値を、そのままバーメータ表示に利用する。
【0012】
図5は、バーメータ表示部33とその構造を示す。
バーメータ表示部33には、バーメータ基板30上に52ヶの表示用発光素子31が縦1列に並んでいて、52ヶの仕切りがあるカバー32にて各表示用発光素子31が仕切られている。カバー32の1ヶの仕切られた部屋を1ドットとし、1ドットに対して1ヶの表示用発光素子が存在している。
バーメータ表示部9の下位4ドットと上位48ドットを分け、下位4ドットのうち下位3ドットを酸素供給前の初期値の表示用とし、上位48ドットを酸素供給後の上昇レベルの表示用とする。下位4ドット目は、初期値表示下位3ドットと酸素供給後の上昇レベル表示上位48ドットと区別し易い様、常時消灯させる。また上位1ドット目は、上限であり、血中酸素飽和度テーブル値100%に相当する。
酸素供給による血中酸素飽和度上昇レベルの点灯ドット数は、以下の式で算出される。

血中酸素飽和度初期測定値の血中酸素飽和度計算値=初期値A
血中酸素飽和度100%の血中酸素飽和度計算値 =上限値B
血中酸素飽和度上昇測定値の血中酸素飽和度計算値=上昇値C
バーメータ上昇レベル範囲の1ドットの血中酸素飽和度計算値D
=(上限値B−初期値A)/48
酸素飽和度上昇時のバーメータ上昇レベル範囲の点灯ドット数
=(上昇値C−初期値A)/D

【0013】
次にバーメータ表示部33の表示例を図6に示す。
人間5が、センサークリップ3を取り付け、測定開始時の現状の血中酸素飽和度(初期値A)を測定する。そのときの血中酸素飽和度バーメータ2のバーメータ表示部33のドット点灯数は0ヶである。初期値A成立後、バーメータ表示部33の下位3ドットを点灯させる。この場合、初期値の大小に関係なく、バーメータ表示部33の表示は下位3ドットのみの点灯とする。この場合、点灯色を赤色とする。
初期値A成立後、酸素発生器1を可動させ、人間5は、酸素マウス7を介して、体内に酸素を供給する。体内に酸素が供給されると指先8の血液の酸素飽和度が上昇し、指先8を透過する透過光、電流電圧変換回路26、A/Dコンバータ27の出力信号が変化する。変化した電気信号はCPU28で処理されて、上昇した血中酸素飽和度計算値が成り立ち、バーメータ表示部33は血中酸素飽和度が上昇したレベル分のドット数を点灯させる。この場合、バーの点灯色を青色とし、初期値の点灯色と異ならせると、明確な表示が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
以上、本発明を上述の実施の形態すなわち、表示部を、初期値Aの表示領域と、酸素供給後に上昇した血中酸素飽和度表示領域に分け、その表示にバーメータ表示を用い、数値の増減をバーの点灯数で代替する表示で説明したが、前記バーメータ表示の他に例えば、バー状の発光素子部分を中心から放射方向に配置し、初期値A並びに上昇値を円形に表示させるようにしたり、また、表示全体を文字表示とし、初期値A表示部分を「初」、上昇値を例えば3段階に区分し、低レベル段階を「小」、中レベル段階を「中」、状レベル段階を「上」のような文字で表示させることも出来る。さらに、上記各異なる文字部分を異なる色、例えば、初を「赤」、小を「黄」、中を「橙」、上を「青」のような色表示を行っても良い。ともかく本発明の主旨の範囲内で種々の変形や応用が可能であり、これらの変形や応用を本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の全体構成を示す構成図である。
【図2】血液中の酸素飽和度の表示部分を説明するブロック図である。
【図3】血液中の酸素飽和度の表示部分を説明する回路図である。
【図4】測定中血液内の酸素飽和度の変化を示す測定曲線である。
【図5】バーメータ表示部の構造を示す構造図である。
【図6】バーメータ表示部の表示の一例を示す表示図である。
【符号の説明】
【0016】
1・・・酸素発生器
2・・・血中酸素飽和度バーメータ
3・・・光方式のセンサークリップ
4・・・コード
5・・・人間
6・・・チューブ
7・・・酸素マウス
8・・・指先
9・・・酸素生成部
10・・・コネクタ
11・・・リード線
12・・・電源
13・・・リード線
14・・・リード線
15・・・スイッチ
16・・・中継チューブ
17・・・吹出口
18・・・スイッチ
19・・・血中酸素飽和度メイン基板
20・・・コネクタ
21・・・ケーブル
22・・・ケーブル
23・・・発光素子
24・・・受光素子
25・・・低電流回路
26・・・電流電圧変換回路
27・・・A/Dコンバータ
28・・・CPU
29・・・トランジスタアレイ
30・・・バーメータ基板
31・・・表示用発光素子
32・・・カバー
33・・・バーメータ表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生させた気体酸素を人体に供給する酸素発生器において、
気体酸素発生器と、
発生した酸素気体を人体に吸入せしめる手段と、
人体の血液循環部分を透過させた光透過度から血液の酸素飽和度を検知するセンサと、
該センサからの信号を受け、該信号から血液の酸素飽和度を計算する血中酸素飽和度計算手段と、
上記計算手段から得られた酸素飽和度の初期値と、酸素供給後に上昇した酸素飽和度を区分して表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする表示装置付酸素発生器。
【請求項2】
前記表示手段は、測定された酸素飽和度をバーの表示量で表示するバーコードメータであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置付酸素発生器。
【請求項3】
前記表示手段の、区分された初期値と酸素供給後に上昇した酸素飽和度を表示する部分の表示色を異なるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の表示装置付酸素発生器。
【請求項4】
前記表示手段の、区分された初期値と酸素供給後に上昇した酸素飽和度を表示する部分を、円の面積で表示することを特徴とする請求項1に記載の表示装置付酸素発生器。
【請求項5】
前記表示手段の、区分された初期値と酸素供給後に上昇した酸素飽和度を表示する部分を、異なる文字で表示することを特徴とする請求項1に記載の表示装置付酸素発生器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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