説明

表示装置及びその表示装置を用いた表示モジュール

【課題】 非有効表示領域の外光反射を効果的に抑制可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 有効表示領域1aと非有効表示領域1bからなる基板2と、少なくとも有効表示領域を覆う封止部材3とで構成された表示装置において、非有効表示領域で且つ封止部材上に着色部材100を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及び表示モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なデジタル機器に薄型ディスプレイが搭載されており、特にモバイル機器など屋外に持ち出される機器においてはディスプレイが外光下でも見やすいことが求められている。薄型ディスプレイの特徴として、表示領域の外周に配線、シール領域など外光を反射しやすい部位が形成されており屋外での見栄えを損なう問題があった。
【0003】
このような外光反射の影響を低減するために、有効表示領域外の配線などに外光が入射しない様にする構造が特許文献1に示されている。
【0004】
特に、特許文献1には、有効表示領域外の配線などによる反射を着色層で抑制する構成が示されている。
【特許文献1】特開2005−317271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示された構成では、図2に示すように、外光による有効表示領域外の配線などの反射を抑制できるが、その外側のシール領域(封止ガラスを接着している領域)や封止ガラス自体の有効領域外の表面反射を抑制することはできない。本発明の目的は、有効表示領域外の外光反射の影響を更に抑制可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、表示素子が形成された有効表示領域と表示素子が形成されていない非有効表示領域からなる表示基板と、少なくとも有効表示領域を覆う封止部材とで構成された表示装置において、
有効表示領域外で且つ封止部材上に形成された着色部材を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の表示モジュールは、上記表示装置と、上記表示装置の封止部材上の少なくとも一部に配置されたカバーとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、有効表示領域外における配線からの外光反射の抑制のみならず、封止部材の表面及びシール領域からの外光反射も抑制できる。その結果、屋外での見栄えを損なうことのない表示装置及び表示モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0010】
(第一実施形態)
図1は、本発明の表示装置の第一実施形態を示す側面図である。1aは、少なくとも一つの表示素子が形成された有効表示領域である。なお、表示素子としては液晶、有機EL等を用いることができる。1bは非有効表示領域であり、この非有効表示領域には、表示素子は形成されておらず、基板の回路の一部、配線領域や封止部材と駆動基板をシールするシール領域などが配置されている。
【0011】
2はガラスなどからなる基板であり、その表面には駆動回路、周辺回路、それらを接続する配線、それらを平坦化する平坦化膜などが作り込まれている。先に述べた表示素子は、この基板2上に形成されている。3は、基板2に接着された封止部材であり、ガラス板(単板ガラス)、有効表示領域部を凹に形成したガラス、樹脂膜(有機膜)、無機膜、樹脂と無機膜の多層膜、樹脂板などから選択可能である。また、100は着色部材である。ここで着色部材100は印刷、塗布、シート貼り合わせなど様々な方法で形成することが可能である。また、着色部材100の材質は、黒色あるいは観察光に対して不透過なものであればよい。
【0012】
以下、本実施形態の着色部材100の形成方法について詳細を説明する。
【0013】
表示素子が形成された有効表示領域1aと表示素子が形成されていない非有効表示領域1bとの境界は、表示装置の正面から見て目視、またはアライメントマークなどにより特定できるようになっている。そして、着色部材100は、この境界を目印に、封止部材3上の非有効表示領域1bに対応した領域にのみ形成されている。
【0014】
この際、着色部材100の厚みは、観察光に対して不透過になる厚みにすることが好ましい。
【0015】
この着色部材100の形成方法としては、スクリーン印刷が好適である。この方法によれば、複数の表示装置を大型の基板から切断して作成する形態において、切断前に複数の表示装置に一括に着色部材を形成することが可能である。
【0016】
また他の形成方法としてはディスペンサーによる塗布などがある。この方法によれば、大型の表示素子に着色部材を形成する場合には、着色材料のロスも少なく安価に生産することが可能である。また、他の形成方法として、シート貼り合わせ方法がある。
【0017】
また着色部材を形成後に着色部材を固定する方法としては、着色部材の材料によって熱硬化、2液混合硬化、乾燥、UV硬化、UV硬化と熱硬化の併用型などの方法が選択できる。なお、熱を加えて固定する場合には別途必要なアニール処理やエージング処理などの工程と兼ねることができ、表示装置の製造工程数を削減することもできる。
【0018】
これにより非有効表示領域1bが着色部材100で遮光された表示装置を得ることができる。
【0019】
(第二実施形態)
図3a、図3bは、本発明の表示モジュールの第ニ実施形態を示す側面図である。第一実施形態と同様の構成については同番号を付し、詳しい説明は省略する。
【0020】
4は有効表示領域上に設置されている封止部材3の表面を保護するための保護カバーである。保護カバーはアクリル樹脂(PMMA (polymethyl methacrylate))、ポリカーボネート(PC (Polycarbonate))、ガラスなどの透明部材からなる。
【0021】
以下に第二実施形態の表示モジュールの組み立て手順を説明する。
【0022】
基板2は、切断前の大版の状態でも切断されている状態であっても良い。基板2は有効表示領域1aと非有効表示領域1bを有し、その境界は表示装置の正面から見て目視、またはアライメントマークなどにより特定できるようになっている。
【0023】
図3aの構成の組み立てについて説明する。なお、図3aの構成では保護カバー表面の面積は、封止部材3表面の面積より小さい。
【0024】
先ず、保護カバー表面の外縁を有効表示領域1aの外縁に対して、上下左右のずれが均等になるように設置する。次に保護カバーとパネルを相対移動しないように固定する。その後、着色部材100(本実施形態においては着色された接着性樹脂を用いる。)で、保護カバーの外縁を埋め、両者を接着する。
【0025】
次に、図3bの構成の組み立て方法について説明する。なお、図3bの構成では、保護カバーは基板2の有効表示領域に対応して凸となる部分を有する。先ず、保護カバーの凸部分の外縁を有効表示領域1aの外縁に対して、上下左右のずれが均等になるように設置する。次に保護カバーとパネルを相対移動しないように固定する。その後、着色部材100(本実施形態においては着色された接着性樹脂を用いる。)で、少なくとも保護カバーと封止部材3との間を埋め、両者を接着する。この際、保護カバー4と基板2との間も着色部材100により埋めても良い。
【0026】
これにより非有効表示領域1bが着色部材100で遮光された表示モジュールを得ることができる。
【0027】
本実施形態の構成によれば、非有効表示領域の配線による反射、封止部材のシール領域の反射、封止部材表面の反射を抑制する効果がある。また、別途、保護カバーを接着する工程を削減し生産性を高める効果がある。これによって従来はネジ止めやメカニカル組み立てによって設置していた工程を削減することができる。
【0028】
(第三実施形態)
図4は、本発明の表示モジュールの第三実施形態を示す側面図である。
【0029】
先の第二実施形態と同様の構成については同番号を付し、詳しい説明は省略する。先の第二実施形態との違いは、着色部材100が、保護カバー4と、基板2または封止部材3との間に充填されるだけでなく、基板2、封止部材3、保護カバー4の端面まで覆うように形成されている点である。
【0030】
本実施形態の構成によれば、非有効表示領域の配線による反射、封止部材のシール領域の反射、封止部材表面の反射を抑制する効果がある。更に、保護カバーや基板、封止部材の端面を通じて表示モジュール外に漏れる光を遮光する効果がある。
【0031】
このような構成は、例えば、カメラなどのように内部に光が漏れこむことを嫌う機器では有効である。
【0032】
(第四実施形態)
図5は、本発明の表示モジュールの第四実施形態を示す側面図である。先の実施形態と同様の構成については同番号を付し、詳しい説明は省略する。
【0033】
5は、非有効表示領域に設置されているカバー(筐体)である。筐体5は、金属、プラスチックなどからできており、表示モジュールを組み込む製品の外装をかねている場合もある。筐体5は有効表示領域1aより少し大きめな開口を有しており、有効表示領域は正面から見たときにその開口内に配置されることとなる。
【0034】
以下に第四実施形態の表示モジュールの組み立て手順を説明する。
【0035】
基板2は、切断前の大版の状態でも切断されている状態であっても良い。基板2は有効表示領域1aと非有効表示領域1bを有し、その境界は表示装置の正面から見て目視、またはアライメントマークなどにより特定できるようになっている。
【0036】
先ず、筐体5の開口の内縁を、基板2の有効表示領域1aの外縁に対して、上下左右のずれが均等になるように設置する。次に筐体5と基板2とをメカ的に固定するなどした後、着色部材100(本実施形態では着色された接着性樹脂を用いる。)で、少なくとも筐体5と封止部材3との間を充填し、両者を接着する。この際、筐体5と基板2との間も着色部材100により埋めても良い。
【0037】
本実施形態の構成によれば、非有効表示領域の配線による反射、封止部材のシール領域の反射、封止部材表面の反射を抑制する効果がある。また、表示装置に筐体を固定する工程を削減し生産性を高める効果がある。これによって従来はネジ止めやメカニカル組み立てによって設置していた工程を削減することができる。
【0038】
(第五実施形態)
図6は、本発明の表示モジュールの第五実施形態を示す側面図である。先の実施形態と同様の構成については同番号を付し、詳しい説明は省略する。6は、基板2に実装されたフレキシブル基板である。
【0039】
以下に第五実施形態の表示モジュールの組み立て手順を説明する。
【0040】
基板2は、切断前の大版の状態でも切断されている状態であっても良い。基板2は有効表示領域1aと非有効表示領域1bを有し、その境界は表示装置の正面から見て目視、またはアライメントマークなどにより特定できるようになっている。
【0041】
先ず、保護カバー4の外縁を基板2の有効表示領域1aの外縁に対して、上下左右のずれが均等になるように設置する。次に保護カバー4と基板2とをメカ的に固定するなどした後、着色部材100(本実施形態では着色された接着性樹脂を用いる。)で非有効表示領域、及びフレキシブル基板の実装部分を覆い、保護カバー4と基板2とを接着する。
【0042】
これにより基板2の非有効表示領域が着色部材100樹脂で遮光され、かつ実装部品が保護された表示モジュールを得ることができる。
【0043】
なお、実装部品としてはフレキシブル基板のほかにICチップやその他の半導体素子などであっても良い。
【0044】
本実施形態の構成によれば、非有効表示領域の配線による反射、封止部材のシール領域の反射、封止部材表面の反射を抑制する効果がある。また、表示モジュールに実装された部品を保護する効果がある。これによって従来、部品を実装後、シリコーン樹脂やUV樹脂などで保護していた工程を削減し生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の表示装置の第一実施形態を示す側面図である。
【図2】従来の構成を示す図である。
【図3】本発明の表示モジュールの第二実施形態を示す側面図である。
【図4】本発明の表示モジュールの第三実施形態を示す側面図である。
【図5】本発明の表示モジュールの第四実施形態を示す側面図である。
【図6】本発明の表示モジュールの第五実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0046】
1a 有効表示領域
1b 非有効表示領域
2 基板
3 封止基板
4 保護カバー
5 カバー(筐体)
6 フレキシブル基板
100 着色部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示素子が形成された有効表示領域と表示素子が形成されていない非有効表示領域からなる基板と、少なくとも有効表示領域を覆う封止部材とで構成された表示装置において、
非有効表示領域で且つ封止部材の上に形成された着色部材を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記着色部材は、印刷、塗布、シート貼り合わせのいずれかの方法で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記着色部材は、黒、または観察光に対して不透過であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の表示装置と、前記表示装置の封止部材の上の少なくとも一部に配置されたカバーとを有することを特徴とする表示モジュール。
【請求項5】
前記カバーは前記封止部材の表面を保護する保護カバーであり、前記着色部材は前記保護カバーの端面を覆うように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の表示モジュール。
【請求項6】
前記カバーは前記封止部材の表面を保護する保護カバーであり、前記着色部材は、少なくとも前記保護カバーと前記封止部材との間に充填されていることを特徴とする請求項4に記載の表示モジュール。
【請求項7】
前記カバーは前記表示装置に取り付けられた筐体の一部であり、前記着色部材は、少なくとも前記筐体と前記封止部材との間に充填されていることを特徴とする請求項4に記載の表示モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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