説明

表示装置及び表示方法

【課題】映像に応じた好適な駆動方法で映像表示できる表示装置および表示方法の提供を目的とする。
【解決手段】上記の課題を解決するために、本実施形態に係る表示装置は、フレーム毎に映像データが入力される入力部と、書き込まれた映像信号に応じた映像を表示する表示パネルと、前記入力部に第1の階調レベルの画素を含む第1フレームの映像データが入力された場合、前記表示パネルに、前記第1フレームの映像データに基づいた映像信号と、一定レベルの映像信号とを一定期間毎に交互に書き込む第1の処理を行い、前記入力部に前記第1階調レベルよりも高い第2階調レベルの画素を含む第2フレームが入力された場合、前記表示パネルに前記第2フレームの映像データに基づいた映像信号を書き込む、前記第1の処理とは異なる第2の処理を行う表示制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホールド型の表示装置である液晶表示装置は、入力した映像信号に基づいて液晶パネルの表示素子を書き換え、当該液晶パネルにバックライトを照射することにより映像を表示する。このような液晶表示装置においては、液晶のホールドに伴い残像が発生する場合があるため、1フレーム毎に黒フレームを挿入する液晶駆動方法等を用いて当該残像を抑制する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−196108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、表示装置に映像を表示する場合には、映像に応じた好適な駆動方法で映像表示できることが好ましい。
そこで本発明の実施形態は、映像に応じた好適な駆動方法で映像表示できる表示装置および表示方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本実施形態に係る表示装置は、フレーム毎に映像データが入力される入力部と、書き込まれた映像信号に応じた映像を表示する表示パネルと、前記入力部に第1の階調レベルの画素を含む第1フレームの映像データが入力された場合、前記表示パネルに、前記第1フレームの映像データに基づいた映像信号と、一定レベルの映像信号とを一定期間毎に交互に書き込む第1の処理を行い、前記入力部に前記第1階調レベルよりも高い第2階調レベルの画素を含む第2フレームが入力された場合、前記表示パネルに前記第2フレームの映像データに基づいた映像信号を書き込む、前記第1の処理とは異なる第2の処理を行う表示制御部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】実施形態に係る表示装置のシステム構成例を示す図。
【図2】実施形態に係る表示装置が映像を表示する際の駆動方式例を示す図。
【図3】実施形態に係る表示装置に入力される映像信号の階調レベルと表示する映像の輝度との関係例を示す図。
【図4】実施形態に係る表示装置による駆動方式の切替例を示す図。
【図5】実施形態に係る表示装置による映像表示に係る処理フロー例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
図1は本実施形態に係る表示装置のシステム構成例を示す図である。本実施形態において表示装置は例えばテレビ装置100として実現されており、当該テレビ装置100は、図2で後述するように、例えば第1及び第2の2つの駆動方式を切り替えて映像を表示する機能を有する。テレビ装置100は、チューナ101、メディアリーダ102、HDD103、操作受付部104、映像入力部105、デコーダ106、階調検出部107、駆動制御部108、ガンマ調整部109、表示部110、バックライト制御部111、バックライト112等を備える。
【0008】
チューナ101は、例えばBS/CS(Broadcasting Satellite/Communication Satellite)デジタル放送受信用のアンテナ(不図示)が受信した衛星デジタルテレビジョン放送信号や地上波放送受信用のアンテナ(不図示)が受信した地上波デジタルテレビジョン放送信号を受信する。チューナ101は、受信した放送信号に含まれるデジタルの映像データを復調し、当該映像データを映像入力部105に出力する。
【0009】
メディアリーダ102には、例えば光学ディスクやUSBメモリ等の可搬性記憶媒体が接続される。そしてメディアリーダ102は、記憶媒体に記憶された映像データを読み出して、読み出した映像データを映像入力部105に出力する。
【0010】
HDD103は、映像データを記憶する記憶媒体であり、例えばチューナ101が受信した映像データを記憶する。そしてHDD103は、記憶した映像データを映像入力部105に出力する。
【0011】
操作受付部104は、ユーザからの操作入力を受け付ける。操作受付部104は、例えばテレビ装置100の駆動方式の切り替え(選択)を指示する操作入力や、チューナ101、メディアリーダ102及びHDD103のうち、何れのモジュールからの映像を映像入力部105に入力させるかを指示する操作入力等を受け付ける。そして操作受付部104は、駆動方式の切替操作が入力されると、当該操作入力の信号を駆動制御部108に出力する。ここで駆動方式の切替操作の例としては、前述の第1及び第2の駆動方式の何れかを指定する操作や、あるいは映画モード、スポーツモードあざやかモード等の表示モードを指定する操作等が挙げられる。なお操作受付部104は、例えばリモートコントローラ(不図示)からの操作信号を受信する構成であっても、あるいはテレビ装置100に設けられた操作パネルのような構成であってもよい。
【0012】
映像入力部105には、チューナ101、メディアリーダ102及びHDD103のうちの何れのモジュールから映像データが入力される。そして映像入力部105に入力された映像データはデコーダ106に入力され、デコーダ106は、入力された映像データをデコードする。デコーダ106は、デコードした映像データを階調検出部107及びガンマ調整部109に出力する。
【0013】
階調検出部107は、デコーダ106から入力された映像データの階調レベル(グレーレベル、明るさレベル、輝度レベル)を検出する。ここで階調検出部107は、入力される映像データから、1フレーム毎に当該フレーム内の各画素の階調レベルを検出する。そして階調検出部107は、1フレーム内に所定の閾値以上の階調レベルの画素が所定数以上含まれていると、駆動制御部108に通知して、第1駆動方式で映像を表示させる。また階調検出部107は、1フレーム内に所定の閾値以上の階調レベルの画素が所定数以上含まれていない場合、駆動制御部108に通知して第2駆動方式で映像を表示させる。なお階調検出部107は、必ずしもデコードされた映像データから階調レベルを検出しなくともよく、例えば符号化映像データに輝度情報等が含まれる場合は、当該輝度情報等から映像の階調レベルを検出してもよい。
【0014】
駆動制御部108は、テレビ装置100の駆動方式を切り替える制御を行う。ここで駆動制御部108は、階調検出部107からの通知及び操作受付部104からの操作信号に応じて、第1駆動方式及び第2駆動方式のうち一方を選択する。そして駆動制御部108は、選択した駆動方式での駆動をガンマ調整部109及びバックライト制御部111に指示する。なお駆動制御部108は、第1及び第2の駆動方式の何れかを指定する操作信号が入力された場合は、当該操作信号に従って第1及び第2の駆動方式の何れかを選択する。一方、映画モード、スポーツモード、あざやかモード等の表示モードを指定する操作信号が入力された場合は、テレビ装置100において表示モードに予め対応付けられている駆動方式を選択する。なおテレビ装置100では、例えば映画モードやスポーツモードに対して第1駆動方式が、あざやかモードに対して第2駆動方式が対応付けられている。
【0015】
ガンマ調整部109は、デコーダ106から入力された映像データの画素毎の階調レベルを、駆動制御部108から指示された駆動方式に応じた階調レベルに調整する。なお階調レベルの調整については図3を参照して後述する。そしてガンマ調整部109は、階調レベルを調整した映像データを、表示部110が表示可能な形式の映像信号に変換し、当該変換により得られた映像信号を表示部110に出力して、表示部110の液晶パネルに当該映像信号を書き込む。またガンマ調整部109は、例えば第1駆動方式に応じた映像信号を表示部110に出力している場合、黒レベルの映像信号を表示部110に出力するタイミングについての同期信号をバックライト制御部111に出力する。
【0016】
表示部110は、液晶パネル等のディスプレイ装置であり、入力された映像信号を、液晶素子に書き込むことにより映像を表示する。
バックライト制御部111は、駆動制御部108からの指示に応じた方式でバックライト112を駆動させる。即ち、バックライト制御部111は、例えばバックライト112の照明を常時点灯させる制御と、所定時間毎に照明のON/OFFを切り替える制御との何れかの方式でバックライト112を駆動させる。なおバックライト制御部111は、当該ON/OFFの切替指示を、ガンマ調整部109からの同期信号に対応したタイミングで出力する。
【0017】
バックライト112は、表示部110を照明するモジュールであり、駆動制御部108からの指示に応じた方式で駆動する。
なお、テレビ装置100は、2D映像だけでなく、例えばフレームシーケンシャル方式(シャッターメガネ方式)の3D映像を表示する機能を有していてもよいが、以下では2D映像を表示する場合を中心に説明する。
【0018】
図2は、テレビ装置100が映像を表示する際の駆動方式例を示す図である。
図2(A)は、テレビ装置100による第1駆動方式の動作例を示す図である。第1駆動方式において、ガンマ調整部109は所定期間毎に黒レベルの映像信号を表示部110に出力し、バックライト112は黒レベルの映像信号が表示部110に表示されるタイミングに対応させて照明をOFFする。そしてバックライト112は、映像データの映像信号が表示部110に表示されるタイミングに対応させて照明をONする。なお、黒レベルとは例えば階調レベルが0であることを意味するが、ここでガンマ調整部109は必ずしも黒レベルの映像信号を出力しなくともよく、階調レベルが0に近い一定レベルの映像信号を出力してもよい。
【0019】
つまり、ガンマ調整部109は、例えば60fpsの映像データが入力された場合、当該映像データの1フレームに対応する1/60sの期間のうち、前半(又は後半)の1/120sの期間には入力映像データの階調レベルに応じた階調レベルの映像信号を表示部110に出力し、後半(又は前半)の1/120sには黒レベルの映像信号を表示部110に出力する。ここでバックライト112は、映像データの1フレームに対応する1/60sの期間のうち、前半(又は後半)の1/120sの期間には表示部110を照明し、後半(又は前半)の1/120sには表示部110に対する照明を制限する。
【0020】
より具体的に説明すると、例えばT1−T2、T2−T3、T3−T4、T4−T5が夫々1/120sに相当し、ガンマ補正部109に60fpsで映像データのフレームが入力された場合、ガンマ調整部109は、1/120sの期間に対応するT1−T2の期間には入力フレームの映像信号を出力し、次の1/120sの期間(T2−T3)には黒レベルの映像信号を出力する。そしてガンマ調整部109は、次の1/120sの期間(T3−T4)の期間には次に入力されたフレームの映像信号を出力して、次の1/120sの期間(T4−T5)の期間には再度黒レベルの映像信号を出力する。
【0021】
そしてバックライト112は、T1−T2及びT3−T4の期間に表示部110を照明し、T2−T3及びT4−T5の期間に表示部110への照明を制限する。
図2(B)は、テレビ装置100による第2駆動方式の動作例を示す図である。第2駆動方式において、ガンマ調整部109は入力された映像データに基づいた階調レベルの映像信号を表示部110に出力し、バックライト112は表示部110への照明を継続する。
【0022】
つまり、例えばT1−T2、T2−T3、T3−T4、T4−T5が夫々1/120sに相当し、ガンマ補正部109に60fpsで映像データのフレームが入力された場合、ガンマ調整部109は、1/60sの期間(T1−T3)には入力フレームの映像信号を出力し、次の1/60sの期間(T3−T5)の期間には次に入力されたフレームの映像信号を出力する。そしてバックライト112は、T1−T5の期間中表示部110を照明する。
【0023】
なお図2(A)の第1駆動方式においては、1のフレームの表示期間に対応するT1−T3の期間のうち、後半半分のT2−T3を、黒レベル(一定レベル)の映像信号の出力期間として説明したが、当該黒レベルの映像信号の出力期間はこれよりも長くても短くても良い。また図2(B)の第2駆動方式においては、黒レベル信号を出力せずバックライト112が照明し続ける場合を説明したが、第2駆動方式でも、1フレームの表示期間に相当する期間の一部期間で黒レベル信号を出力し、当該黒レベル信号の出力に合わせてバックライト112の照明を制限してもよい。しかしながらこの場合にも、第1駆動方式の黒レベル信号出力期間は、第2駆動方式での黒レベル出力期間よりも長いものとする。
【0024】
つまりガンマ調整部109は、第1駆動方式において、1フレームの表示期間に対応する期間のうち一部期間に、映像データに基づいた映像信号を表示部110に出力(書き込み)し、第2駆動方式において、1フレームの表示期間に対応する期間のうちの、第1駆動方式における一部期間よりも長い期間に、映像データに基づいた映像信号を表示部110に出力(書き込み)する。
【0025】
また図2(A)の第1駆動方式においては、黒レベル信号の出力期間と同期させてバックライト112をOFFするとして説明しているが、第1駆動方式においては、例えば黒レベル信号を一定期間毎に出力してバックライト112をONし続けてもよいし、あるいは一定期間毎の黒レベル信号出力を行わず、バックライト112のON/OFFを一定期間毎に行ってもよい。即ち、第1駆動方式では、表示部110への一定レベル(黒レベル)の信号での書き込み、及び又はバックライト112の照明の制限を、一定期間毎に行うものとする。なお当該書き込みや照明の制限は、例えば1のフレームの表示期間のうち一部期間において行われる。
【0026】
そして第2駆動方式では、表示部110への一定レベル(黒レベル)の信号での書き込み、及び又はバックライト112の照明の制限を、一定期間毎に行ってもよい。そして当該書き込みや照明の制限は、例えば1のフレームの表示期間のうち一部期間において行われるが、当該一部期間は、第1駆動方式において書き込みや照明制限される一部期間よりも短い。
【0027】
次に図3を参照して、ガンマ調整部109が表示部110に出力する映像信号の信号レベル、及び外部から観察される表示部110の輝度値について説明する。
図3(A)は、第1駆動方式に対応する駆動方式で映像を表示する場合の信号処理の一例を示す図である。なお、「元の映像データの階調レベル」はガンマ調整部109に入力される映像データにおける階調レベルを、「表示部に出力する映像信号の信号レベル」はガンマ調整部109が表示部110に出力して表示部110に書き込まれる信号レベルを、「外部から観察される表示部の輝度値」は表示部110に表示された映像に対して外部から監察(測定)される輝度値の時間平均を示す。
【0028】
ここで、ガンマ調整部109に0−1000の階調レベルの映像データが入力されると、ガンマ調整部109は例えばC1に対応するカーブに沿ったレベルの映像信号を表示部110に出力する。ここでC1のカーブは、例えば1/3次関数となっているが、これは、表示部110が、入力された映像信号のレベルに比例する輝度の映像を表示する場合に用いるカーブであり、実際の表示パネルでは入力信号レベルと表示輝度とが比例関係にない特性を持つ場合もあり、その場合には当該表示パネルの特性に合わせたレベルの映像信号を表示パネル(表示部)に出力する。
【0029】
そして表示部110は、入力された映像信号の映像を表示するが、ここで表示する映像の輝度は、例えばC2のカーブに沿ったものとなる。つまり、階調レベルが1000の映像データがガンマ調整部109に入力され、当該映像データの映像を表示部110が表示すると、外部からは40%の輝度値の映像が観察される。なお40%とは、後述する第2駆動方式で1000レベルの映像データの映像を表示した場合に観察される映像輝度値を100%とした場合の値である。そして、階調レベルが0の映像データがガンマ調整部109に入力され、当該映像データの映像を表示部110が表示すると、外部からは2%の輝度値の映像が観察される。
【0030】
図3(B)は、第2駆動方式に対応する駆動方式で映像を表示する場合の信号処理の一例を示す図である。ここで、ガンマ調整部109に0−1000の階調レベルの映像データが入力されると、ガンマ調整部109は第1駆動方式と同様に例えばC1に対応するカーブに沿ったレベルの映像信号を表示部110に出力する。そして表示部110は、入力された映像信号の映像を表示するが、ここで表示する映像の輝度は、例えばC3のカーブに沿ったものとなる。つまり、階調レベルが1000の映像データがガンマ調整部109に入力され、当該映像データの映像を表示部110が表示すると、外部からは100%の輝度値の映像が観察される。一方、階調レベルが0の映像データがガンマ調整部109に入力され、当該映像データの映像を表示部110が表示すると、外部からは10%の輝度値の映像が観察される。
【0031】
ここで、図3(A)のC2と図3(B)のC3とを比較すると、第1駆動方式では低輝度の映像を表示することができ、第2駆動方式では高輝度の映像を表示することができることが分かる。そこで本実施形態に係るテレビ装置100は、図3(C)及び(D)に示すように、第1駆動方式と第2駆動方式とを映像データの階調レベルに応じて切り替えることにより、低輝度及び高輝度の映像を好適に表示できる。なお図3(C)は、駆動方式を切り替えて利用する場合において第1駆動方式で映像を表示する場合の信号処理の一例を示す図である。また図3(D)は、駆動方式を切り替えて利用する場合において第2駆動方式で映像を表示する場合の信号処理の一例を示す図である。
【0032】
第1駆動方式では図3(A)に示すように40%の輝度値までの映像しか表示できないとする。そして、外部に対して40%以上の輝度値での表示が望まれる映像データが含まれるフレームについては、第2駆動方式を用い、曲線C1に沿って0レベルから1000レベルまでの映像信号を表示部110に出力することにより、映像の輝度は曲線C31に沿ったものになり、外部に対して10―100%の輝度値の映像を表示できる。
【0033】
一方、外部に対して40%以下の輝度値での表示が望まれるフレームの映像データについては、第1駆動方式を用い、曲線C1に沿って0−1000レベルの映像信号を表示部110に出力することにより、映像の輝度は曲線C21に沿ったものになり、2−40%の輝度値の低輝度の映像を表示できる。なおここで曲線C1は曲線C1に基づいた曲線であり、元の映像データの階調レベルV1に対して表示部に出力する映像信号のレベル1000が対応付けられている。つまり、ガンマ調整部109は、階調レベルV1の映像データが入力されると、表示部110に対してレベル1000の映像信号を出力し、外部からは輝度値40%の映像が観察される。
【0034】
さらに、第1駆動方式では0−40%の輝度値での表示が望まれる映像データに対して0−1000レベルの階調値が割り当てるため、0−40%の輝度値での表示が望まれる映像データに0−V1レベルの階調値が割り当てる第2駆動方式と比べて、約(1000/V1)倍の階調レベルを割り当てることができ、暗部の輝度値をより細かく表示できる。
【0035】
また、図3では、第1駆動方式と第2駆動方式との切替を、第1駆動方式で表示可能な最大の輝度の40%を基準にする場合を説明したが、切替の基準は、第1駆動方式で表示可能な最大の輝度値よりも小さな輝度値でも良い。つまり、例えば外部に対して30%の輝度値での表示が望まれる階調値を切替基準とすると、30%以上の輝度値での表示が望まれる映像に対しては、第2駆動方式を用いる。また、30%以下の輝度値での表示が望まれる映像に対しては、第1駆動方式を用いる。
【0036】
次に図4を参照して、テレビ装置100による駆動方式切替の判定に係る処理例を説明する。図4は、ガンマ調整部109に入力される映像データの1フレーム内における各画素の階調レベルを示す図である。
【0037】
図4(A)は領域A1の階調レベルが800で領域A2の階調レベルが1000の場合を、図4(B)は領域A3の階調レベルが500で領域A4の階調レベルが1000の場合を、図4(C)は領域A5の階調レベルが200で領域A6の階調レベルが1000の場合を、図4(D)は領域A7の階調レベルが200で領域A8の階調レベルが600の場合を示している。
【0038】
階調検出部107は、例えば1フレーム中に、所定閾値以上の階調レベルの画素があるか否等を判別し、駆動制御部108は当該判別結果に基づいて駆動方式を選択する。ここで、例えば階調値700を閾値とすると、図4(A)、(B)、(C)に示すフレームには階調値が700以上の画素が含まれるため、駆動制御部108は、これらフレームを第2駆動方式で表示するよう決定し、ガンマ調整部109及びバックライト制御部111に指示する。ガンマ調整部109は、図3(D)の曲線C1で示したレベルの映像信号を表示部110に出力し、表示部110は入力された映像信号を各画素に対応する液晶素子に書き込み映像を表示する。バックライト制御部111は、図2において説明した第2駆動方式でバックライト112を駆動させる。なおガンマ調整部109は、1フレームの表示期間中に、図3(D)の曲線C1で示したレベルの映像信号と黒レベルの信号とを出力してもよい。
【0039】
そして図4(D)に示すフレームには、階調値700以上の画素が含まれないため、駆動制御部108は、これらフレームを第1駆動方式で表示するよう決定し、ガンマ調整部109及びバックライト制御部111に指示する。ガンマ調整部109は、図3(C)で示した曲線C1に沿ったレベルの映像信号を図2に示した第1駆動方式で表示部110に出力し、表示部110は入力された映像信号を各画素に対応する液晶素子に書き込むことにより映像を表示する。バックライト制御部111は、図2において説明した第1駆動方式でバックライト112を駆動させる。
【0040】
なお階調検出部107は、フレーム中の各画素の階調レベルを検出する際に、所定閾値以上の階調レベルの画素が、所定サイズ以上の範囲にわたって存在しているか否かを検出してもよい。そして、フレーム中に所定閾値以上の階調レベルの画素が存在する場合であっても、当該所定閾値以上の階調レベルの領域が所定範囲よりも狭い場合には、駆動制御部108は第1駆動方式を選択してもよい。
【0041】
また、ガンマ調整部109は、駆動方式を切り替える場合に、前フレームの階調レベルに基づいて、テレビ装置100に出力する映像信号のレベルを補正しても良い。この理由を、図4(C)のフレームの次に図4(D)のフレームの映像を表示する場合を想定して説明する。領域A5と領域A7は、表示部110に表示される場合に同じ領域に表示される。ここで、図4(C)のフレームを第2駆動方式で表示した場合、図3から考えるとおよそ10%程度の輝度値の領域A5の映像が外部から観察される。一方、図4(D)のフレームを第1駆動方式で表示した場合、図3から考えると、およそ2%程度の輝度値の領域A7の映像が外部から観察される。つまり、フレーム毎に駆動方式を切り替えて表示すると、入力された映像データの階調レベルが同じであっても、外部から観察される映像の輝度値が異なる場合がある。
【0042】
このため、ガンマ調整部109は、第2駆動方式から第1駆動方式に切り替えた場合、外部に表示される映像の輝度値が高くなるような補正をかけても良い。同様にガンマ調整部109は、第1駆動方式から第2駆動方式に切り替えた場合、外部に表示される映像の輝度値が低くなるような補正をかけても良い。
【0043】
次に図5を参照して、テレビ装置100による映像表示に係る処理フロー例を説明する。
まず、階調検出部107及びガンマ調整部109に、デコードされた映像データが1フレーム分入力される(S501)。そして階調検出部107は、入力データにおける各画素の階調レベルを検出する(S502)。ここで階調検出部107が、1フレーム中から所定の閾値以上の階調レベルの画素を検出しない場合(S503のNo)、駆動制御部108は駆動方式として第1駆動方式を選択し、表示部110は第1駆動方式で映像を表示する(S507)。
【0044】
一方、階調検出部107が、1フレーム中から所定の閾値以上の階調レベルの画素を検出し(S503のYes)、当該閾値以上の画素の範囲(サイズ)が所定範囲以上であった場合(S505のYes)、駆動制御部108は駆動方式として第2駆動方式を選択し、表示部110は第2駆動方式で映像を表示する(S506)。
【0045】
また、S505において閾値以上の画素の範囲(サイズ)が所定範囲以上でなかった場合であっても(S505のNo)、当該閾値以上の画素の数が所定数以上であると(S507のYes)、駆動制御部108は駆動方式として第2駆動方式を選択してテレビ装置100はS506の処理を実行する。
【0046】
そして、テレビ装置100がS504又はS506の処理を実行して第1又は第2駆動方式にて映像を表示すると、テレビ装置100は再度S501の処理を実行し、階調検出部107及びガンマ調整部109には映像が入力される。そしてテレビ装置100は前述の処理を繰り返し、映像データが入力されなくなると、当該処理フローは完了する。
【0047】
なお、図5の処理フロー例においては、階調検出部107の検出結果に応じて駆動方式を切り替えていたが、テレビ装置100は前述したとおり操作受付部104に対する操作入力に応じて駆動方式を切り替えてもよい。また、階調検出部107は、例えばデコードされた映像データのヘッダ等に映像の階調レベルに関するデータが含まれている場合、当該データを抽出して映像の階調レベルを検出してもよい。あるいは、映像データのデータヘッダに駆動方式に関するデータが含まれていてもよく、この場合に階調検出部107は当該データを抽出して駆動検出部108に出力し、駆動検出部108は当該データに基づいて駆動方式を選択しても良い。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
100…テレビ装置、101…チューナ、102…メディアリーダ、103…HDD、104…操作受付部、105…映像入力部、106…デコーダ、107…階調検出部、108…駆動制御部、109…ガンマ調整部、110…表示部、111…バックライト制御部、112…バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム毎に映像データが入力される入力部と、
書き込まれた映像信号に応じた映像を表示する表示パネルと、
前記入力部に第1の階調レベルの画素を含む第1フレームの映像データが入力された場合、前記表示パネルに、前記第1フレームの映像データに基づいた映像信号と、一定レベルの映像信号とを一定期間毎に交互に書き込む第1の処理を行い、前記入力部に前記第1階調レベルよりも高い第2階調レベルの画素を含む第2フレームが入力された場合、前記表示パネルに前記第2フレームの映像データに基づいた映像信号を書き込む、前記第1の処理とは異なる第2の処理を行う表示制御部と
を備える表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記入力部に、フレーム内の画素の最大の階調レベルが所定閾値以下の前記第1フレームの映像データが入力された場合に前記第1の処理を行い、前記入力部に、フレーム内の画素の最大の階調レベルが所定閾値よりも高い前記第2フレームの映像データが入力された場合に前記第2の処理を行う、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記第1の処理において、前記第1フレームの表示期間に対応する期間のうち一部期間に前記映像データに基づいた映像信号を前記表示パネルに書き込み、前記第2の処理において、前記第2フレームの表示期間に対応する期間のうちの、前記一部期間よりも長い期間に、前記映像データに基づいた映像信号を前記表示パネルに書き込む、請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記第2フレーム内に、階調レベルが前記所定閾値よりも高い画素が所定範囲よりも広い範囲にある場合に、前記第2の処理を行う、請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記第2フレーム内に、階調レベルが前記所定閾値よりも高い画素が所定数よりも多い場合に、前記第2の処理を行う、請求項2記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1の処理において外部から観察される前記表示パネルの輝度は、前記表示制御部が前記第1の処理において前記所定閾値の階調レベルの映像データに基づいた映像信号を前記表示パネルに書き込んだ場合に最大となる、請求項2記載の表示装置。
【請求項7】
ユーザからの操作入力を受ける操作受付手段を更に備え、
前記表示制御部は、前記操作入力に応じて前記第1の処理と前記第2の処理とを切り替える、請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記第1の処理と前記第2の処理とのうち一方から他方に切り替える場合、当該切り替えの前に前記表示パネルに書き込んだフレームの階調レベルに応じて、切り替え後に前記表示パネルに書き込む映像信号のレベルを補正する、請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
表示パネルに映像を表示させる表示方法であって、
フレーム毎に映像データが入力されることと、
第1の階調レベルの画素を含む第1フレームの映像データが入力された場合、前記表示パネルに、前記第1フレームの映像データに基づいた映像信号と、一定レベルの映像信号とを一定期間毎に交互に書き込む第1の処理を行うことと、
前記第1階調レベルよりも高い第2階調レベルの画素を含む第2フレームが入力された場合、前記表示パネルに前記第2フレームの映像データに基づいた映像信号を書き込む、前記第1の処理とは異なる第2の処理を行うことと、
を備える表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−15585(P2013−15585A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146611(P2011−146611)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】