説明

表示装置

【課題】本発明の目的は、表示特性の良好な新しいタイプのカラー表示装置、および当該表示装置に用いられるカラーフィルタを提供することにある。
【解決手段】本実施形態に係る表示装置1は、画素P毎に配置された、可逆的に発色または消色し得る複数種類のエレクトロクロミック色素2C、2M、2Yを備えるカラーフィルタ2と、カラーフィルタ2の各エレクトロクロミック色素2C、2M、2Yへ照射する光の量を制御する光量制御素子3とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧を印加すると可逆的に電界酸化または電界還元反応が起こって可逆的に色変化する現象をエレクトロクロミズムという。このような現象を起こすエレクトロクロミック化合物の発色/消色現象を利用したエレクトロクロミック表示装置が研究されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−106669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、エレクトロクロミック表示装置では、表現できる明るさの階調範囲が狭いという欠点があった。また、「真っ黒」を表現することができないという欠点もある。
【0004】
本発明の目的は、表示特性の良好な新しいタイプのカラー表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る表示装置は、画素毎に配置された、可逆的に発色または消色し得る複数種類のエレクトロクロミック色素を備えるカラーフィルタと、前記カラーフィルタの各前記エレクトロクロミック色素へ照射する光の量を制御する光量制御素子と、を有する。
【0006】
これによれば、エレクトロクロミック色素を備えるカラーフィルタに照射する光量を制御する光量制御素子を設けることにより、複数種類のエレクトロクロミック色素の混色により所望の色を表示しつつ、光量制御素子により当該色の明るさを制御することができる。
【0007】
例えば、前記カラーフィルタは、1つの画素に対応して平面的に並べられた複数種類の前記エレクトロクロミック色素を備える。これにより、カラー表示装置を実現することができる。また、例えば1画素内のエレクトロクロミック色素を全て消色させて無色とすることにより、光量制御素子側から照射される光を吸収せずに、白表示を行なうことができるため従来のRGBサブピクセルを持つカラーフィルタよりも明るい白を表示できる。
【0008】
より好ましくは、前記カラーフィルタは、1つの画素に対応して重ねて配置された複数種類の前記エレクトロクロミック色素を備える。例えば、シアン、マゼンタ、イエローに発色し得る3種類の前記エレクトロクロミック色素が重ねて配置されていることが好ましい。これにより、1画素をRGBといったサブピクセルに分けずに、1つの画素内に、シアン、マゼンタ、イエロー等に発色し得るエレクトロクロミック色素を積層させることができる。そして、所望の色を表示するのに必要なエレクトロクロミック色素以外の他のエレクトロクロミック色素を無色透明にすることにより、当該他のエレクトロクロミック色素による光の吸収もない。このため、光量制御素子から照射される光の利用効率を向上させることができる。
【0009】
例えば、前記カラーフィルタは、前記エレクトロクロミック色素を挟んで互いに対向する2つの透明電極をさらに有する。2つの電極間に印加する電圧により、エレクトロクロミック色素の発色または消色を制御できる。
【0010】
または、前記カラーフィルタは、重ねて配置された前記エレクトロクロミック色素の積層体を挟んで互いに対向する2つの透明電極をさらに有する。2つの電極間に印加する電圧を制御するのみで、積層体中の各エレクトロクロミック色素の発色または消色を制御することで、構造を簡素化することができる。
【0011】
または、前記カラーフィルタは、重ねて配置された状態にある各前記エレクトロクロミック色素をそれぞれ別々に挟む複数の透明電極をさらに有する。これにより、各エレクトロクロミック色素を別々に制御することができる。
【0012】
本発明に係る表示装置は、第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に位置する電気泳動層と、前記第2基板と前記電気泳動層との間に位置するエレクトロクロミック層と、を含む、ものであってもよい。これにより、エレクトロクロミック層の表示する色相と、電気泳動層の表示する色相とを利用することができる。なお、エレクトロクロミック層とは、エレクトロクロミック材料を含む層であり、単層でも、複層でも構わない。
【0013】
上記表示装置において、前記第1基板と前記電気泳動層との間に第1電極が形成され、前記電気泳動層と前記エレクトロクロミック層との間に第2電極が形成され、前記エレクトロクロミック層と前記第2基板との間に第3電極が形成されている、ことが好ましい。これによれば、電気泳動層と、エレクトロクロミック層とを、独立して制御することができる。
【0014】
上記表示装置において、前記第2電極と前記第3電極との間に電界が印加されるとき、前記エレクトロクロミック層の色相が表示され、前記第2電極と前記第3電極との間に電界が印加されないとき、前記電気泳動層の色相が表示される、ことが好ましい。これにより、エレクトロクロミック層を透明にすることで、電気泳動層の色相を表示することができる。
【0015】
上記表示装置において、前記電気泳動層が白色の帯電粒子を含み、前記第2電極と前記第3電極との間に電界が印加されるとき、前記白色の帯電粒子が前記電気泳動層において前記第2基板側に位置するよう制御される、ことが好ましい。これにより、白色の帯電粒子からの反射光を、エレクトロクロミック層の色相の表示に用いることができる。なお、白色の帯電粒子としては、酸化チタンなどを用いることができる。
【0016】
上記表示装置において、前記電気泳動層が黒色の帯電粒子を含む、ことが好ましい。これにより、減法混色では表現することのできない黒色を表示することができる。なお、黒色の帯電粒子としては、カーボンブラックなどを用いることができる。
【0017】
上記表示装置において、前記エレクトロクロミック層が複数の色相を表示するものであり、前記電気泳動層が前記複数の色相以外の色相を表示するものである、ことが好ましい。これによれば、同一の表示領域において、表示することのできる色相を増やすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る反射型の表示装置の断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る表示装置1は、カラーフィルタ2と、光量制御素子3が積層して構成されている。
【0019】
カラーフィルタ2は、画素P毎に配置された、可逆的に発色または消色し得る複数種類のエレクトロクロミック(EC)色素の層(エレクトロクロミック層)を備える。本実施形態では、1つの画素P内に、シアンを発色するエレクトロクロミック色素(シアンEC色素)2Cと、マゼンタを発色するエレクトロクロミック色素(マゼンタEC色素)2Mと、イエローを発色するエレクトロクロミック色素(イエローEC色素)2Yが重ねて配置されている。
【0020】
エレクトロクロミック材料とは、電圧の印加により可逆的に着色または消色する材料である。この着色または消色現象は、電圧の印加により材料の酸化反応または還元反応が起こることに起因する。図1において、着色状態のEC色素2C、2M、2Yにはハッチングを施してあり、消色状態(無色)のEC色素2C、2M、2Yにはハッシングを施していない。
【0021】
EC色素を3層に重ねた場合には、減法混色で着色する必要がある。このため、本実施形態では、減法混色の三原色であるC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)が好適に用いられる。なお、より完全な黒を表示するために、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)のEC色素の4層構造であってもよい。
【0022】
C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)を発色する材料に限定はないが、例えば非特許文献(Proceedings of the 12th International Display Workshops in conjunction with Asia Display 2005 p.895 (2005))に記載されている材料を用いることができる。例えば、シアンEC色素2Cとしてヘプチルビオロゲン(HV)1,4−ジアセチルベンゼン(DAB)が用いられ、マゼンタEC色素2Mとしてテレフタル酸ジメチルが用いられ、イエローEC色素2Yとして4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジエチル(PCE)が用いられる。
【0023】
光量制御素子3は、画素P、すなわち各EC色素2C、2M、2Yの積層体へ照射する光の量を制御する。本実施形態では、光量制御素子3は、外光を反射させて、カラーフィルタ2へ照射する光量を制御する例を示す。
【0024】
光量制御素子3は、ガラス等からなる基板(第1基板)31上に形成された表示電極32と、表示電極32に対向配置された対向電極33と、表示電極32と対向電極33の間に介在する表示媒体とを有する。表示電極32および対向電極33は、ITO等の透明電極を用いることができる。対向電極33は、複数の画素で共有された共通電極を用いることができる。
【0025】
本実施形態では、表示媒体として、表示電極32と対向電極33との間に位置する電気泳動層を例示している。ここでは、電気泳動層がマイクロカプセル34を含んでいる。マイクロカプセル34は、バインダ35により固定されている。マイクロカプセル34は、黒色粒子36と、白色粒子37と、透明分散媒38を内部に含んでいる。黒色粒子36は、例えば負に帯電しており、白色粒子37は例えば正に帯電している。
【0026】
ただし、表示媒体として電気泳動層以外にも、ツイストボールや、液晶を用いてもよい。液晶の種類に限定はなく、高分子分散型液晶、高分子ネットワーク型液晶、単層コレステリック液晶等を用いることができる。
【0027】
図2は、カラーフィルタの一例を示す断面図である。
図2に示すように、カラーフィルタ2は、例えば3枚のカラーフィルタ基板、すなわち、イエロー用のカラーフィルタ基板2−1と、マゼンタ用のカラーフィルタ基板2−2と、シアン用のカラーフィルタ基板2−3を積層して形成されている。
【0028】
各カラーフィルタ基板2−1〜2−3は、ガラス等からなる透明基板21と、透明基板21に形成された薄膜トランジスタ22および層間膜23と、薄膜トランジスタ22および層間膜23上に形成された表示電極24と、表示電極24上に形成されたEC色素2Y、2Mまたは2Cと、EC色素上に電解質25を介在させて配置された対向電極26とを有する。表示電極24および対向電極26は、ITO等の透明電極からなる。対向電極26は、全ての画素に共通となっており、表示電極24は、画素P毎に分離されている。最上層のカラーフィルタ基板2−3では、対向電極26の上層にガラス等からなる対向基板(第2基板)27が設けられている。
【0029】
本実施形態では、各EC色素2C、2M、2Yが別々に表示電極24および対向電極26に挟まれているため、各EC色素2C、2M、2Yの発色または消色の制御が容易となる。
【0030】
次に、上記の本実施形態に係る表示装置の動作について説明する。
【0031】
図1に示すように、対向電極33を0V、表示電極32にプラスの電圧を印加すると、マイクロカプセル34内の負に帯電した黒色粒子36は表示電極32側に集まり、正に帯電した白色粒子37は対向電極33側に集まる。その結果、図中矢印方向から取り込まれる外光が白色粒子37により反射されて、白色表示となる。
【0032】
一方、対向電極33を0V、表示電極32にマイナスの電圧を印加すると、マイクロカプセル34内の負に帯電した黒色粒子36は対向電極33側に集まり、正に帯電した白色粒子37は表示電極32側に集まる。その結果、図中矢印方向から取り込まれる外光が黒色粒子36により吸収されて、黒色表示となる。
【0033】
以上のようにして、光量制御素子3によりカラーフィルタ2側へ反射される外光の光量、すなわちカラーフィルタ2へ照射される光量が制御される。例えば、表示電極32、対向電極33に印加するパルス電圧の幅等を変えることにより、黒色粒子36および白色粒子37の分散度合いを変えることができ、明るさの階調表示が可能となる。
【0034】
EC色素2C、2M、2Yを挟む電極24、26間に印加する電圧を制御することにより、各EC色素2C、2M、2Yの発色または消色を制御できる。例えば、発色閾値を越える電圧を印加することにより、EC色素は発色する。この発色閾値はEC色素毎に異なる。また、消色閾値を超える電圧(発色に要する電圧の逆電圧)をEC色素に印加することにより、発色状態にあるEC色素を消色状態にすることができる。以上のようにして、画素P内にある各EC色素2C、2M、2Yの発色または消色が制御される。光量制御素子3により反射された白色光は、カラーフィルタ2を通過して、各EC色素2C、2M、2Yの減法混色により所望の色に着色される。
【0035】
図1の左側の画素Pから説明すると、シアンEC色素2Cのみが発色している場合には、シアンの色が表示される。マゼンタEC色素2Mのみが発色している場合には、マゼンタの色が表示される。イエローEC色素2Yのみが発色している場合には、黄色が表示される。
【0036】
また、シアンEC色素2CおよびマゼンタEC色素2Mが発色している状態では、これらの色素の混色により青が表示される。マゼンタEC色素2MおよびイエローEC色素2Yが発色している状態では、これらの色素の混色により赤が表示される。シアンEC色素2CおよびイエローEC色素2Yが発色している状態では、これらの色素の混合により緑が表示される。
【0037】
さらに、全てのEC色素2C、2M、2Yが発色している状態では、これらの色素の混色により黒が表示される。ただし、実際には、EC色素2C、2M、2Yの混色により表示装置に要求される完全な黒は得られない。これは、例えばシアン色は可視光域のうち、赤のみを吸収した色になるが、実際は赤付近にピークをもつガウス関数的な吸収スペクトルをもつ。他の色も同様である。減法混色では重ねて配置されたそれぞれの透過スペクトル((1−吸収)×100%)の積によって光が減じられていくので、全ての可視光域の波長において重ねて配置されたどれかの層で100%吸収されなければ(透過が0%にならなければ)透過光が0にならず、真っ黒にならない。吸収スペクトルがステップ状の関数であれば全波長域で透過が0は実現可能であるが、ガウス関数なので現実的には真っ黒にならないのである。
【0038】
本実施形態では、EC色素2C、2M、2Yの混色に加えて、光量制御素子3側においても黒を表示させることにより、ほぼ完全な黒が得られる。画素内の全てのEC色素2C、2M、2Yを消色状態にし、光量制御素子3側において黒を表示させることにより、ほぼ完全な黒を得ることもできる。画素内の全てのEC色素2C、2M、2Yを消色状態にし、かつ光量制御素子3側を白に表示させることにより、白が表示される。
【0039】
上述したように、エレクトロクロミック材料をカラーフィルタ2として用い、当該カラーフィルタに照射する光量を制御する光量制御素子3を別に設けることにより、エレクトロクロミック材料の階調表示範囲が狭い欠点を解消することができる。
【0040】
エレクトロクロミック色素を用いてカラーフィルタ2を形成することにより、1画素をRGBといったサブピクセルに分けずに、1つの画素P内に、シアンEC色素2C、マゼンタEC色素2M、イエローEC色素2Yを積層させることができる。そして、所望の色を表示するのに必要なEC色素以外の他のEC色素を無色にすることにより、当該他のEC色素による光の吸収もない。このため、光源(光量制御素子3からの反射光)からの光の利用効率を従来に比べて向上させることができる。
【0041】
すなわち、従来、R、G、Bの顔料や染料からなる色素を平面的に配置して、R、G、Bの3つのサブピクセルで1つの画素を構成した場合、Rの色を表示する場合には、G、Bのサブピクセルは黒表示にするため、光の利用効率は1/3となってしまう。これに対して、本実施形態では、サブピクセルに分ける必要がないことから、光の利用効率を向上させることができる。これにより、外光の利用効率を向上させた、明るい表示の反射型表示装置を実現することができる。
【0042】
さらに、EC色素による減法混色では完全な黒の表示は困難であるが、光量制御素子3側で黒表示に制御することにより、完全な黒表示を実現することができる。また、サブピクセルに分ける必要がないことから、従来と同じ画素サイズに設定した場合には、画素内に配置される薄膜トランジスタ22等の素子のサイズを大きくすることができる。
【0043】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る表示装置におけるカラーフィルタ2の概略断面図である。第2実施形態では、EC色素2Y、2M、2Cの積層体を表示電極24および対向電極26で挟んだ例について説明する。
【0044】
カラーフィルタ2は、ガラス等からなる透明基板21と、透明基板21に形成された薄膜トランジスタ22および層間膜23と、薄膜トランジスタ22および層間膜23上に形成された表示電極24と、表示電極24上に積層形成されたEC色素2C、2M、2Yと、EC色素の積層体上に電解質25を介在させて配置された対向電極26と、対向電極26上に形成されたガラス等からなる対向基板27とを有する。表示電極24および対向電極26は、ITO等の透明電極からなる。対向電極26は、全ての画素に共通となっており、表示電極24は、画素毎に分離されている。
【0045】
第2実施形態では、以下に示すような発色閾値特性の関係を満たすEC色素2C、2M、2Yの選定および発色の制御を行なう必要がある。
【0046】
例えばシアンEC色素2Cの発色閾値電圧をVc1、消色閾値電圧をVc2とし、マゼンタEC色素2Mの発色閾値電圧をVm1、消色閾値電圧をVm2とし、イエローEC色素2Yの発色閾値電圧をVy1、消色閾値電圧をVy2とする。ここで、Vc1、Vm1、Vy1の絶対値の大きさの順序と、Vc2、Vm2、Vy2の絶対値の大きさの順序が等しければよい。例えば、発色閾値電圧がプラスで、消色閾値電圧がマイナスとする。例えば、Vc1>Vm1>Vy1の場合には、|Vc2|>|Vm2|>|Vy2|となればよい。
【0047】
この場合には、V≧Vc1となる正電圧Vを印加すると、EC色素2C、2M、2Yが全て発色する。次に、|Vc2|>|V|≧|Vm2|となる負電圧Vを印加すると、マゼンタEC色素2MおよびイエローEC色素2Yのみが消色する。従って、シアンEC色素2Cのみを選択的に発色させることができる。さらに、Vc1>V≧Vm1となる電圧Vを印加すると、マゼンタEC色素2MおよびイエローEC色素2Yのみが発色する。次に、|Vm2|>|V|≧|Vy2|となる負電圧Vを印加すると、イエローEC色素2Yのみが消色する。これにより、マゼンタEC色素2Mのみを選択的に発色させることができる。さらに、Vm1>V≧Vy1となる電圧Vを印加すると、イエローEC色素2Yが発色する。このようにして、全てのEC色素2C、2M、2Yの発色の組み合わせを実現することができる。
【0048】
第2実施形態によれば、第1実施形態に比べてEC色素の材料が限定され、かつ、発色の制御が複雑になるが、1つの透明基板21上にEC色素2C、2M、2Yを積層させていることから、カラーフィルタ2を薄くすることができるという利点がある。
【0049】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る表示装置1の構成を示す図である。第1、第2実施形態では、反射型の表示装置の例について説明したが、本実施系地では、透過型の表示装置の例について説明する。
【0050】
本実施形態では、カラーフィルタ2と、光量制御素子3と、光源となるバックライト4が積層して形成されている。カラーフィルタ2の構成については、第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。バックライト4は、光量制御素子3へ向けて白色光を照射する。
【0051】
光量制御素子3は、画素P、すなわち各EC色素2C、2M、2Yの積層体へ照射する光の量を制御する。本実施形態では、光量制御素子3は、バックライト4から照射される光の透過量を制御する。このために、本実施形態では、表示電極32および対向電極33の間に充填される表示媒体として、液晶39を用いる。液晶39としては、通常の透過型液晶表示装置に用いられるネマティック液晶等を用いることができ、その種類に限定はない。なお、図示はしないが、基板31および対向電極33の外側には、基板31および対向電極33を挟む一対の偏光板40、41が配置されている。
【0052】
バックライト4から照射された光は、偏光板40を通過することにより所望の直線偏光に変換される。表示電極32および対向電極33に印加される電圧により、液晶39の配向状態が制御される。この液晶39の配向状態により、直線偏光の偏光方位が制御されて、もう一方の偏光板41を通過する光の光量が制御される。第1実施形態と同様に、光量制御素子3を通過した光は、カラーフィルタ2により着色される。
【0053】
第3実施形態のように、透過型表示装置にも本発明は適用可能である。この場合においても、バックライト4の光の利用効率が向上することから、バックライト4の消費電力を抑制しつつ、明るい表示を得ることができる。この結果、表示装置の低消費電力化を図ることができる。
【0054】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態に係る表示装置におけるカラーフィルタ2の概略断面図である。第1、第2実施形態では、1画素内にEC色素が重なって配置されている例について説明したが、本実施形態では、1画素内に平面的にEC色素が並べて配置されている例について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成要素には、同一符号を付してあり、その説明は省略する。
【0055】
図5に示す断面図は、1つの画素Pの断面図に相当する。1つの画素Pは、3つのサブ画素(サブピクセル)SPに分かれており、各サブピクセルには1層の赤EC色素2R、緑EC色素2G、青EC色素2Bのいずれかが配置されている。赤EC色素2R、緑EC色素2G、青EC色素2Bが配置された3つのサブピクセルSPで1つの画素Pが構成される。サブピクセルSP毎に表示電極24が配置されており、赤EC色素2R、緑EC色素2G、青EC色素2Bの発色または消色が制御可能となっている。
【0056】
本実施形態では、加法混色で着色する例である。このため、本実施形態では、EC色素として、加法混色の三原色であるR(赤)、G(緑)、B(青)を呈する材料が好適に用いられる。R(赤)、G(緑)、B(青)を呈するEC材料については、限定はない。
【0057】
上記のカラーフィルタ2では、EC色素2R、2G、2Bを挟む電極24、26間に印加する電圧を制御することにより、各EC色素2R、2G、2Bの発色または消色を制御できる。例えば、発色閾値を越える電圧を印加することにより、EC色素は発色する。この発色閾値はEC色素毎に異なる。また、消色閾値を超える電圧(発色に要する電圧の逆電圧)をEC色素に印加することにより、発色状態にあるEC色素を消色状態にすることができる。以上のようにして、画素P内にある各EC色素2R、2G、2Bの発色または消色が制御される。光量制御素子3側から照射された白色光は、カラーフィルタ2を通過して、各EC色素2R、2G、2Bの加法混色により所望の色に着色される。
【0058】
本実施形態に係る表示装置のように、平面状に異なる色を呈する1層のEC色素を並べて、3つのEC色素2R、2G、2Bで1つの画素を構成してもよい。本実施形態によれば、全てのEC色素2C、2M、2Yを無色にすることにより、光の吸収を抑制しつつ、白を表示させることができる。この結果、従来の顔料や染料を用いたカラーフィルタと比べて、白と黒のコントラストを向上させることができる。
【0059】
また、例えば、赤を表示する場合には、赤EC色素2Rが配置されたサブピクセルで赤を表示し、他のEC色素2G、2Bを無色にし、当該EC色素2G、2Bが配置されたサブピクセルについては光量制御素子3により光量を制御することにより、暗い赤から淡い赤まで明るさの異なる赤表示が可能となる。
【0060】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、反射型表示装置において、観測者側から順にカラーフィルタ2、光量制御素子3が配置されている例について説明したが、観測者側から順に光量制御素子3、カラーフィルタ2が配置されていてもよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施形態に係る表示装置の概略構成図である。
【図2】カラーフィルタの断面図である。
【図3】第2実施形態に係る表示装置におけるカラーフィルタの断面図である。
【図4】第3実施形態に係る表示装置の概略断面図である。
【図5】第4実施形態に係る表示装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1…表示装置、2…カラーフィルタ、2C…シアンEC色素、2M…マゼンタEC色素、2Y…イエローEC色素、2R…赤EC色素、2G…緑EC色素、2B…青EC色素、2−1、2−2、2−3…カラーフィルタ基板、3…光量制御素子、4…バックライト、21…透明基板、22…薄膜トランジスタ、23…層間膜、24…表示電極、25…電解質、26…対向電極、27…対向基板、31…基板、32…表示電極、33…対向電極、34…マイクロカプセル、35…バインダ、36…黒色粒子、37…白色粒子、38…透明分散媒、39…液晶、40,41…偏光板、P…画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素毎に配置された、可逆的に発色または消色し得る複数種類のエレクトロクロミック色素を備えるカラーフィルタと、
前記カラーフィルタの各前記エレクトロクロミック色素へ照射する光の量を制御する光量制御素子と、
を有する表示装置。
【請求項2】
前記カラーフィルタは、1つの画素に対応して平面的に並べられた複数種類の前記エレクトロクロミック色素を備える、
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記カラーフィルタは、1つの画素に対応して重ねて配置された複数種類の前記エレクトロクロミック色素を備える、
請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
シアン、マゼンタ、イエローに発色し得る3種類の前記エレクトロクロミック色素が重ねて配置されている、
請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記カラーフィルタは、前記エレクトロクロミック色素を挟んで互いに対向する2つの透明電極をさらに有する、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記カラーフィルタは、重ねて配置された前記エレクトロクロミック色素の積層体を挟んで互いに対向する2つの透明電極をさらに有する、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項7】
前記カラーフィルタは、重ねて配置された状態にある各前記エレクトロクロミック色素をそれぞれ別々に挟む複数の透明電極をさらに有する、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項8】
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置する電気泳動層と、
前記第2基板と前記電気泳動層との間に位置するエレクトロクロミック層と、を含む、 表示装置。
【請求項9】
前記第1基板と前記電気泳動層との間に第1電極が形成され、
前記電気泳動層と前記エレクトロクロミック層との間に第2電極が形成され、
前記エレクトロクロミック層と前記第2基板との間に第3電極が形成されている、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2電極と前記第3電極との間に電界が印加されるとき、前記エレクトロクロミック層の色相が表示され、前記第2電極と前記第3電極との間に電界が印加されないとき、前記電気泳動層の色相が表示される、
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記電気泳動層が白色の帯電粒子を含み、前記第2電極と前記第3電極との間に電界が印加されるとき、前記白色の帯電粒子が前記電気泳動層において前記第2基板側に位置するよう制御される、
請求項9または10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記電気泳動層が黒色の帯電粒子を含む、
請求項8ないし11のいずれかに記載の表示装置。
【請求項13】
前記エレクトロクロミック層が複数の色相を表示するものであり、前記電気泳動層が前記複数の色相以外の色相を表示するものである、
請求項8ないし12のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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