説明

表示装置

【課題】表示特性の良好な新しいタイプのカラー表示装置を提供する。特に、エレクトロクロミックの発色または消色を利用したカラー表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置に、第1電極(7)と第2電極(21)との間に、可逆的に発色または消色し得るエレクトロクロミック層(13)と、カラーフィルタ層(11)と、を設ける。このように、エレクトロクロミック層とカラーフィルタ層を用いることによりカラー表示を行うことができる。エレクトロクロミック層とカラーフィルタ層を積層することで、位置あわせが容易となり、開口率が向上する。よって、表示特性を向上させことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白黒表示の反射型表示素子にカラーフィルタを設けカラー表示ディスプレイとする技術が検討されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、明るさおよびコントラストの優れたカラーフィルタおよびそれを有する反射型カラーディスプレイについての技術が開示されている。また、下記特許文献2には、マイクロカプセル層上にカラーフィルタを設けた散乱反射型カラー表示体が開示されている。
【特許文献1】特開2003−107234号公報
【特許文献2】特開2003−108035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のカラーディスプレイ構造では、カラーフィルタが形成されたガラス基板と、画素電極等が形成されたガラス基板とをそれぞれ形成し、これらの基板を位置あわせする必要がある。この際、位置あわせ精度が要求されるためコストアップの要因となる。また、位置あわせマージンを確保するため、画素の開口率が減少する。
【0005】
また、対向電極側のガラス基板(対向基板)と、画素電極等が形成されたガラス基板とを封止した後、対向基板上にカラーフィルタを形成する構成では、上記位置あわせ精度の要求に加えて、カラーフィルタと表示部との間に対向基板の厚さに対応する間隔が生じ、視野角が制限される要因となる。
【0006】
そこで、本発明は、表示特性の良好な新しいタイプのカラー表示装置を提供することを目的とする。特に、エレクトロクロミックの発色または消色を利用したカラー表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に位置する反射層と、前記反射層と前記第2基板との間に位置するカラーフィルタ層と、前記カラーフィルタ層と前記第2基板との間に位置するエレクトロクロミック材料層と、前記エレクトロクロミック材料層と前記第2基板との間に位置する電解質層と、前記電解質層と前記第2基板との間に位置する対向電極と、前記反射層と前記電解質層との間に位置し、前記カラーフィルタ層と、前記エレクトロクロミック材料層とにそれぞれ接する隔壁と、を含むことを特徴とする。
【0008】
これによれば、カラーフィルタ層とエレクトロクロミック材料層とが同一の隔壁に接するよう重なるため、カラーフィルタ層を通過し着色した光がエレクトロクロミック材料層を確実に通過することができ、表示特性が向上する。
【0009】
上記表示装置において、前記反射層と前記カラーフィルタ層との間に位置する画素電極を含む、ことが好ましい。
【0010】
上記表示装置において、前記反射層が画素電極である、ことが好ましい。
【0011】
上記表示装置において、前記カラーフィルタ層が導電性を有する、ことが好ましい。
【0012】
上記表示装置において、前記反射膜と前記カラーフィルタ層との間に位置する画素電極を含む、ことが好ましい。
【0013】
上記表示装置において、前記第1基板と前記反射層との間に位置するトランジスタを含み、前記トランジスタが前記隔壁と重なる、ことが好ましい。
【0014】
上記表示装置において、前記隔壁が前記カラーフィルタ層と、前記エレクトロクロミック材料層とを囲む、ことが好ましい。
【0015】
上記表示装置において、前記エレクトロクロミック材料層が酸化還元反応により暗色を発現させるものである、ことが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る表示装置は、第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に位置する反射層と、前記反射層と前記第2基板との間に位置する複数のカラーフィルタ層と、前記複数のカラーフィルタ層と前記第2基板との間に位置する複数のエレクトロクロミック材料層と、前記複数のエレクトロクロミック材料層と前記第2基板との間に位置する電解質層と、前記電解質層と前記第2基板との間に位置する対向電極と、前記反射層と前記電解質層との間に位置し、前記複数のカラーフィルタ層と、前記複数のエレクトロクロミック材料層とにそれぞれ接する隔壁と、を含み、前記複数のエレクトロクロミック材料層の各々が酸化還元反応により暗色を発現させるものであり、前記複数のカラーフィルタ層が複数の色を含むものである、ことを特徴とするものでもよい。
【0017】
また、本発明に係る表示装置は、第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に位置する複数の反射層と、前記複数の反射層と前記第2基板との間に位置する複数のカラーフィルタ層と、前記複数のカラーフィルタ層と前記第2基板との間に位置する複数のエレクトロクロミック材料層と、前記複数のエレクトロクロミック材料層と前記第2基板との間に位置する電解質層と、前記電解質層と前記第2基板との間に位置する対向電極と、前記複数の反射層と前記電解質層との間に位置し、前記複数のカラーフィルタ層と、前記複数のエレクトロクロミック材料層とにそれぞれ接する隔壁と、を含み、前記複数のエレクトロクロミック材料層の各々が酸化還元反応により暗色を発現させるものであり、前記複数のカラーフィルタ層が複数の色を含むものである、ことを特徴とするものでもよい。
【0018】
また、上記表示装置において、前記隔壁が遮光性材料を含む、ことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一の機能を有するものには同一もしくは関連の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
【0020】
<実施の形態1>
(表示装置の構成)
図1は、本実施の形態の表示装置の構成を示す断面図である。図2は、図1の部分拡大図、図3は、部分平面図である。また、図4は、アクティブマトリクス型の表示部を模式的に示す回路図である。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態に係る表示装置1は、基板S1と透明基板S2とで画素を構成する各部位が挟持された構成を有する。
【0022】
基板(アクティブマトリクス基板、第1基板)S1は、例えば、ガラス基板などの絶縁性基板である。この基板S1上には、薄膜トランジスタ(TFT:thin film transistor)層5が配置されている。この薄膜トランジスタ層5は、TFT部T1と、TFTを覆う層間絶縁膜T2よりなる(図1)。図2に詳細に示すように、TFT部T1は、TFT、TFTと電気的に接続される接続部Cおよび配線Mよりなる。また、TFTは、半導体膜S、半導体膜S上のゲート絶縁膜GI、さらにその上部のゲート電極Gを含む。半導体膜Sはソース、ドレイン領域SDを含む。なお、半導体膜Sと配線Mとの間には層間絶縁膜ILが位置する。また、図2においては、基板S1とTFT部(半導体膜S)T1との間に、下地絶縁膜(透明絶縁膜)2が配置されている。この下地絶縁膜2は省略してもよい。
【0023】
ここで、本実施の形態においては、層間絶縁膜T2を反射層としている。この反射層は、白色反射層であり、例えば、高反射率の絶縁膜よりなる。かかる絶縁膜としては、例えば酸化チタン(TiO2)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Poly-tetra-fluoro-ethylene)などのフッ素樹脂、硫酸バリウム又は酸化マグネシウムなどを用いることができる。
【0024】
層間絶縁膜T2上には、画素電極7が配置される。この画素電極7は、画素ごとに独立して設けられる(図3参照)。各画素は、絶縁膜よりなる隔壁9で分離されている。言い換えれば、一画素領域は、隔壁9で囲まれている。また、この画素電極7としては、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)を用いることができる。ITOは、導電性を持ちながら高い透明度を有している材料である。
【0025】
そして、さらに、画素電極7上には、赤色フィルタ11R、緑色フィルタ11Gおよび青色フィルタ11Bよりなるカラーフィルタ層11が配置される。各フィルタ(11R、11G、11B)は、導電性を有し、隔壁9で分離されている(図1、図3参照)。
【0026】
導電性のカラーフィルタ層(CF層)11としては、例えば無機金属顔料を分散させたITOを用いることができる。ITOに、無機金属顔料を含有させることで着色させることができる。
【0027】
例えば、カドミウムレッドを混入させることで赤色フィルタを、紺青を混入させることで青色フィルタを、酸化クロムグリーンを混入させることで緑色フィルタを構成することができる。
【0028】
また、導電性のカラーフィルタ層11として、導電性高分子に着色材料を分散させたものを用いてもよい。例えば、導電性高分子材料としてポリフェニレンやポリフェニレンビニレンなどを用い、赤色着色材料としてイルガジンレッド、青色着色材料としてメタルフリーフタロシアニン、緑色着色材料として銅フタロシアニンを混入させることで各フィルタを構成することができる。
【0029】
このカラーフィルタ層11上には、エレクトロクロミック材料層13が配置されている。エレクトロクロミック材料層13は、隔壁9で分離されている。エレクトロクロミック材料(エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック素子)とは、電圧の印加により可逆的に着色または消色する材料である。この着色または消色現象(エレクトロクロミズム)は、電圧の印加により材料の酸化反応または還元反応が起こることに起因する。
【0030】
黒色と透明(無色、消色)間を可逆的に変化し得るエレクトロクロミック材料(EC材料)としては、酸化タングステンWO3、酸化イリジウムILOx、酸化ニッケルNiOxなどがある。これらの材料は、単体でも色が濃く変化するため、本実施の形態の表示装置に用いて好適である。もちろん、これらの材料を混合して用いてもよい。
【0031】
ここで、黒色とは、完全な黒色(可視光の100%の吸収、透過光が0%)を意味するものではなく、暗色(黒っぽい色)であればよく、例えば、濃い青、暗い青、濃い茶色など、可視光の大部分を吸収する場合も含むものとする。
【0032】
エレクトロクロミック材料として、上記の他、グラフト導電性高分子膜を用いてもよい。このグラフト導電性高分子膜は、導電性高分子である主鎖に、共役系分子ペンダントを金属(イオン)を介して結合した材料である。ペンダントとなる共役系分子側も、重合されて高分子鎖となる側も、電極間に介在され且つ電極間を通電させた場合に電気活性が生ずる共役系高分子材料であれば良く、このような共役系高分子材料の一例としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアズレン、ポリインドール、またはポリカルバゾールから選ばれた1または複数の材料を主たる材料とする。また、π共役系導電性高分子として挙げられる化合物例としては、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリイソチアナフテン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(p−フェニレンオキシド)、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリペリナフタレン、ニッケルフタロシアニンなどでもよい。この導電性高分子である主鎖と、共役系分子ペンダントを金属(イオン)を介して結合したグラフト導電性高分子は、エレクトロクロミック素子として有用な、無色−黒色間をスイッチングする。また、上記金属(イオン)としては、銀、ナトリウム、カリウム、亜鉛、イットリウム、カドミウム、カルシウム、クロム、コバルト、サマリウム、ストロンチウム、錫、セシウム、鉄、銅、ニッケル、マンガン、マグネシウム、バリウム及びルビジウムなどが用いられる。用いられる金属(イオン)は、1種でも多種でもよい。
【0033】
また、有機系のエレクトロクロミック材料を用いてもよい。有機系化合物においては、置換基を変えることによって光の吸収波長を変化させることができる。よって、置換基の異なる複数の有機系化合物を混合して用いることで、吸収光量を調整することができる。よって、例えば、可視光の全領域において光を吸収させるよう、混合化合物を調整することにより黒色を表示させることができる。
【0034】
エレクトロクロミック材料層13上には、電解質層15が配置されている。この電解質層15は、隔壁9上を含む複数の画素上に延在している。また、この電解質層15は、液状のものを用いてもよいし、また、ゲル状の高分子材料などを用いて固体電解質層としてもよい。
【0035】
基板(対向基板、第2基板)S2の裏面には、対向電極21が配置されている。上記電解質15上には、対向電極21が位置している。基板S2は、例えば、ガラス基板であり、透光性を有する絶縁性基板である。
【0036】
このように、対向電極21と画素電極7との間のエレクトロクロミック材料層13および電解質層15に対し、電位を印加し、酸化・還元反応を起こすことにより、発色/消色させることができる。例えば、所定の電位を印加することで黒色に発色させ、また、逆電位を印加することで消色することができる。消色する場合は、白色反射層(層間絶縁膜T2)によって白色となる。よって、白黒表示が実現できる。
【0037】
かかる表示を赤、緑および青色フィルタ(11R、11G、11B)を介して出力することで、カラー表示を行うことができる。
【0038】
このように、本実施の形態によれば、カラーフィルタ層11とエレクトロクロミック材料層13とを積層したので、エレクトロクロミック材料層13の発色/消色を利用してカラー表示を行うことができる。
【0039】
また、これらの層を積層することにより基板S1と基板S2の位置あわせが容易となり、位置あわせマージンを設ける必要がない。よって、基板S1と基板S2の位置あわせ精度が緩和され、短工程での組み立てが可能となる。また、画素の開口率を向上させることができる。さらに、表示部(発色/消色部)とカラーフィルタ層11とを近接させることができるため、視野角が広がる。このように、表示特性を向上させることができる。
【0040】
なお、図1および図2には、明示していないが、図3および図4に示すように、いわゆる、アクティブマトリクス型の表示装置においては、例えば、ソース線SLと交わる方向にゲート線GLが延在している。
【0041】
即ち、画素領域Aには、ソース線(配線)SLとゲート線GLとで区画された単位画素領域が、アレイ状に配置されている。この単位画素領域には、TFTと画素電極7とが配置されている。TFTの一端(ソース領域)はソース線SLに他端(ドレイン領域)は画素電極7に接続されている。また、TFTのゲート電極はゲート線GLに接続されている。ゲート線GLの他、電源電位線や接地電位線なども延在しており、例えば、図2に示す層間絶縁膜IL中もしくは図示しない他の層に、多数の配線層が形成されてもよい。なお、図4に示すように、ゲート線GLは、ゲートドライバGd、ソース線SLは、ソースドライバSdによって駆動される。
(表示装置の製造方法)
次いで、本実施の形態の表示装置の製造方法について図1および図2を参照しながら説明する。なお、上記の構造説明と重複する説明は省略する。
【0042】
まず、図1および図2に示すように、基板S1としてガラス基板を準備し、基板S1上に、下地絶縁膜2として例えば酸化シリコン膜をCVD(chemical vapor deposition、化学気相成長)法により形成し、この下地酸化膜2上にTFTを形成する。なお、下地酸化膜2を省略してもよい。
【0043】
次いで、下地保護膜2の上部に半導体膜Sとして例えばアモルファスシリコン膜をCVD法により形成する。次いで、この膜にレーザー照射することにより結晶化させ多結晶シリコン膜とする。
【0044】
次いで、半導体膜Sをパターニングし、島状の半導体膜Sを複数形成する。例えば、半導体膜S上にフォトレジスト膜を形成し、露光・現像することにより島状にフォトレジスト膜を残存させる。次いで、残存するフォトレジスト膜をマスクにドライエッチングすることにより島状の半導体膜Sを形成する。この後、残存するフォトレジスト膜をアッシングにより除去する。このフォトレジストの形成、露光・現像、エッチングおよびレジスト除去までの一連の工程を「パターニング」という。
【0045】
次いで、半導体膜S上にゲート絶縁膜GIとして例えば酸化シリコン膜をCVD法で形成する。なお、熱酸化によりゲート絶縁膜GIを形成してもよい。次いで、ゲート絶縁膜GI上にゲート電極Gとして、例えばアルミニウム(Al)膜をスパッタリング法で形成し、パターニングする。なお、Al等の金属膜の他、シリコン等の半導体膜を用いてゲート電極Gを形成してもよい。
【0046】
次いで、ゲート電極Gをマスクに不純物イオンとして、例えば、ボロン(B)もしくはリン(P)をイオン打ち込みすることによりゲート電極の両側の半導体膜S中にソース、ドレイン領域SDを形成する。リンをイオン打ち込みした場合、n型のソース、ドレイン領域SDが形成される。なお、ボロンをイオン打ち込みした場合、p型のソース、ドレイン領域SDが形成される。ソース、ドレイン領域SDのうち、一方がソース領域、他方がドレイン領域となる。なお、図2においては、画素電極7と接続される領域が、ドレイン領域となり、他方がソース領域となる。以上の工程によりTFTが形成される。
【0047】
次いで、ゲート電極(TFT)G上に層間絶縁膜ILとして例えば酸化シリコン膜をCVD法で形成し、ソース、ドレイン領域SD上の層間絶縁膜ILをエッチングすることによりコンタクトホールを形成する。次いで、コンタクトホール内を含む層間絶縁膜IL上に導電性膜として例えばAl膜をスパッタリング法により堆積し、パターニングすることにより、ソース、ドレイン領域SDと電気的に接続された接続部Cおよび配線Mを形成する。
【0048】
次いで、配線M上に反射層(反射層、反射膜)を兼ねる層間絶縁膜T2として、高反射率の絶縁膜を形成する。例えば、当該絶縁材料溶液をインクジェット法もしくはスピンコート法で塗布し、熱処理により固化し層間絶縁膜T2とする。なお、CVD法などを用いて層間絶縁膜T2を形成してもよい。次いで、配線M上の層間絶縁膜T2を選択的に除去することによりコンタクトホールを形成する。次いで、コンタクトホール内を含む層間絶縁膜T2上に導電性膜として例えばITO膜をスパッタリング法により堆積し、パターニングすることにより、配線Mに接続された接続部Cおよび画素電極(透明電極)7を形成する。この画素電極7は、図3に示すように、一画素領域毎にパターニングされる。これによれば、TFTの半導体膜を反射層で遮光することができる。例えば半導体膜をシリコンで形成した場合、TFTのチャネル領域に光が入射しリーク電流が発生することがあるが、これを抑制することもできる。また、図2に示すように、反射層がTFTと後述する隔壁との間を含めて全体に形成されていれば、遮光効果がさらに高まる。
【0049】
次いで、画素電極7上に絶縁膜を形成し、パターニングすることにより画素電極7間上に隔壁9を形成する。この隔壁9は、一画素領域を囲むように、一画素領域間を格子状に形成される。また、隔壁9は、遮光性材料を含むことが好ましい。これによれば、層間絶縁膜T2で反射され、カラーフィルタ層11を通過して着色した光が、後述するエレクトロクロミック材料層13を通過せず、隔壁9内部を通過して視認されることを防止できる。つまり、エレクトロクロミック材料層13が暗色を示している場合、隔壁9を通過して色が表示されることを防止できる。なお、隔壁9を層間絶縁膜T2上に形成し、画素電極(ITO膜)7をインクジェット法で形成してもよい。 次いで、隔壁9で囲まれた領域内に、赤色、緑色もしくは青色フィルタ(11R、11G、11B)を形成する。各フィルタは、例えば、無機金属顔料を分散させたITO材料溶液を、インクジェット法で隔壁9内に吐出し、乾燥および焼成を行うことにより形成する。なお、前述の導電性高分子に着色材料を分散させた溶液を吐出し、ベークすることにより各フィルタを形成してもよい。なお、スパッタリング法やCVD法を用いてカラーフィルタ層11を形成してもよいが、インクジェット法を用いることで、容易に平坦性良くカラーフィルタ層11を形成することができる。
【0050】
次いで、カラーフィルタ層11上にエレクトロクロミック材料層13を形成する。エレクトロクロミック材料層13を隔壁9内にインクジェット法を用いて吐出し、熱処理を施すことにより固化する。この場合も、スパッタリング法やCVD法を用いてエレクトロクロミック材料層13を形成してもよいが、インクジェット法を用いることで、容易に平坦性良くエレクトロクロミック材料層13を形成することができる。また、容易に、カラーフィルタ層11とエレクトロクロミック材料層13を積層させることができる。
【0051】
次いで、対向電極21が形成された基板S2を準備する。基板S2としては、例えばガラス基板を用い、基板S2上に対向電極21として、例えば、ITO膜をスパッタリング法により形成する。
【0052】
この基板S2を基板S1と対向させ、エレクトロクロミック材料層13と対向電極21との間に例えば液状の電解質層15を封入することで、表示装置が略完成する。なお、固体状の電解質層15を用いる場合には、第1もしくは第2基板S1、S2の最上層に電解質層15を形成し、これらの基板を接合してもよい。
【0053】
このように、カラーフィルタ層11およびエレクトロクロミック材料層13をインクジェット法で形成することにより、これらの層の平坦性を向上させることができる。特に、エレクトロクロミック材料層13と対向電極21との距離を均質とすることができ、電界強度の均一性が担保され、表示特性が向上する。また、基板S1上に隔壁9を形成し、インクジェット法を用いてカラーフィルタ層11およびエレクトロクロミック材料層13を形成することにより、基板S1と基板S2の位置あわせ精度が緩和され、短工程での組み立てが可能となる。また、画素の開口率を向上させることができる。さらに、表示部(発色/消色部)とカラーフィルタ層11とを近接させることができるため、視野角が広がるなど、表示特性を向上させることができる。
【0054】
<実施の形態2>
(表示装置の構成)
実施の形態1においては、画素電極7上にカラーフィルタ層11を配置したが、カラーフィルタ層11上に画素電極7を配置してもよい。図5は、本実施の形態の表示装置の構成を示す断面図である。図6は、図5の部分拡大図である。なお、実施の形態1と同じ機能を有する箇所には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
図5および図6に示すように、本実施の形態においては、基板S1上に、TFT部T1および層間絶縁膜T2よりなる薄膜トランジスタ層5が配置されている。TFTの一端は画素電極7と接続されている。
【0056】
層間絶縁膜T2には、一画素領域を囲む絶縁膜よりなる隔壁9が配置され、隔壁9の内部には、下層からカラーフィルタ層11、画素電極7およびエレクトロクロミック材料層13の順に積層されている。ここで、TFTの一端は、カラーフィルタ層11中の接続部を介して画素電極7と接続されている。
【0057】
エレクトロクロミック材料層13の上層には、実施の形態1と同様に、電解質層15、対向電極21および基板S2が配置されている。
(表示装置の製造方法)
次いで、本実施の形態の表示装置の製造方法について図5および図6を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同じ工程については、その説明を省略する。
【0058】
実施の形態1と同様に基板S1上に、下地酸化膜2およびTFTを形成する。次いで、TFT上に層間絶縁膜IL、接続部Cおよび配線Mを形成する。次いで、配線M上に層間絶縁膜T2として、高反射率の絶縁膜を形成する。
【0059】
次いで、層間絶縁膜T2上に、絶縁膜を形成し、パターニングすることにより隔壁9を形成する。この隔壁9は、一画素領域を囲むように、一画素領域間を格子状に形成される。
【0060】
次いで、実施の形態1と同様に、隔壁9で囲まれた領域内に、赤色、青色もしくは緑色フィルタ(11R、11B、11G)よりなるカラーフィルタ層11を形成する。次いで、配線M上の層間絶縁膜T2およびカラーフィルタ層11を選択的に除去することによりコンタクトホールを形成する。次いで、コンタクトホール内を含むカラーフィルタ層11上であり、隔壁9内部にITO材料溶液を、インクジェット法で吐出し、乾燥および焼成を行うことにより画素電極7を形成する。
【0061】
次いで、実施の形態1と同様に、隔壁9で囲まれた領域内に、エレクトロクロミック材料層13を形成する。次いで、基板S2の対向電極21側を下側にして、基板S1と対向させ、エレクトロクロミック材料層13と対向電極21との間に例えば液状の電解質層15を封入する。
【0062】
このように本実施の形態の装置構造および製造方法においても、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、本実施の形態においては、画素電極7とエレクトロクロミック材料層13間にカラーフィルタ層11が位置しないため、絶縁性のカラーフィルタ層11を用いることができる。もちろん、導電性のカラーフィルタ層11を用いてもよい。
【0063】
<実施の形態3>
本発明は、上記実施の形態1および2の表示装置の構成(製造方法)に限られず、種々の変形が可能である。本実施の形態においては、上記変形例を説明する。
【0064】
図7は、本実施の形態の表示装置の構成層の積層状態をまとめたものである。各欄(No.8−A、8−B、8−C、9−A、9−B、9−C、10−A、10−B、10−C)に、表示装置の構成層の積層状態を示す。なお、参考のためNo.1欄およびNo.5欄に、それぞれ実施の形態1(図1)および2実施の形態(図5)に対応する構成層の積層の様子を併せて示す。図7では全ての欄においてEC材料層の上の電解質層15、対向電極21および基板S2は省略されている。また、図8〜図10に図7の各欄と対応する表示装置の断面図を示す。
【0065】
図7の「8−A」欄および図8(A)に示すように、図1の画素電極7を省略し、導電性のカラーフィルタ層11を画素電極として用いてもよい。
【0066】
また、図7の「8−B」欄および図8(B)に示すように、図1の反射層を兼ねる層間絶縁膜T2の代わりに、画素電極7を反射層として用いてもよい。画素電極7として、Alや銀(Ag)等の高反射率の金属層を用いることにより、画素電極と反射層を兼ねることができる。この場合、TFTの上部の層間絶縁膜T2に高反射率の膜を用いる必要はない。
【0067】
また、図7の「8−C」欄および図8(C)に示すように、反射層を薄膜トランジスタ層5と基板S1との間に設けてもよい。この場合も、TFTの上部の層間絶縁膜T2に高反射率の膜を用いる必要はない。また、絶縁性の反射層3を用いる場合には、図2の下地絶縁膜2と兼ねても良い。即ち、下地絶縁膜2を省略し、当該位置に絶縁性の反射層3を形成すればよい。また、導電性の反射層3、例えば、上記高反射率の金属層を用いる場合には、図2の下地絶縁膜2と基板S1との間に反射層3を設ければよい。
【0068】
また、図7「9−A」欄および図9(A)に示すように、反射層3を、図8(C)と同様に薄膜トランジスタ層5と基板S1との間に設けてもよい。
【0069】
また、図7「9−B」欄および図9(B)に示すように、図8(C)の導電性のカラーフィルタ層11を画素電極と兼ねてもよい。
【0070】
また、図7「9−C」欄および図9(C)に示すように、基板S1の代わりに反射基板S11を用いてもよい。この場合、TFTの上部の層間絶縁膜T2に高反射率の膜を用いる必要はない。
【0071】
また、図7「10−A」欄および図10(A)に示すように、基板S1の代わりに反射基板S11を用いてもよい。この場合も、TFTの上部の層間絶縁膜T2に高反射率の膜を用いる必要はない。
【0072】
また、図7「10−B」欄および図10(B)に示すように、図10(A)の導電性のカラーフィルタ層11を画素電極と兼ねてもよい。
【0073】
また、図7「10−C」欄および図10(C)に示すように、図5のカラーフィルタ層11を薄膜トランジスタ層5の下層に設けてもよい。この場合、絶縁性のカラーフィルタ層11を用いれば、図6の下地絶縁膜2を省略することができる。もちろん、下地絶縁膜2を設けてもよい。また、基板S1の代わりに反射基板S11を用いることで、図5の反射層3を省略することができる。また、図10(C)に示すように、エレクトロクロミック材料層13を複数の画素領域上に渡って形成してもよい。
【0074】
なお、図7〜図10に示す表示装置の各部位は、実施の形態1および2の製造方法において説明した各部位の形成方法を適宜採用すればよい。例えば、上記反射層3は、前述の導電性又は絶縁性の材料をインクジェット法などを用いて形成することができる。
【0075】
このように、本実施の形態の表示装置の構成およびその製造方法においても実施の形態1又は2で説明した効果を奏する。
【0076】
なお、上記実施の形態1〜3を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施の形態の記載に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態1〜3においては、反射型の表示装置を例に説明したが、反射層を省略し、基板S1を透明材料とすることにより、透過型の表示装置としてもよい。
【0077】
また、本発明の表示装置は、電子機器の表示部や電子ペーパーなどとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施の形態1の表示装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1の部分平面図である。
【図4】アクティブマトリクス型の表示部を模式的に示す回路図である。
【図5】実施の形態2の表示装置の構成を示す断面図である。
【図6】図5の部分拡大図である。
【図7】実施の形態3の表示装置の構成層の積層状態をまとめた図である。
【図8】図7の「8−A」〜「8−C」欄に対応する表示装置の断面図を示す図である。
【図9】図7の「9−A」〜「9−C」欄に対応する表示装置の断面図を示す図である。
【図10】図7の「10−A」〜「10−C」欄に対応する表示装置の断面図を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
2…下地絶縁膜、3…反射層、5…薄膜トランジスタ層、7…画素電極、9…隔壁、11…カラーフィルタ層、11R…赤色フィルタ、11G…緑色フィルタ、11B…青色フィルタ、13…エレクトロクロミック材料層、15…電解質層、21…対向電極、A…画素領域、C…接続部、G…ゲート電極、GI…ゲート絶縁膜、Gd…ゲートドライバ、GL…ゲート線、M…配線、S…半導体層、S1…基板、S2…基板、S11…反射基板、SD…ソース、ドレイン領域、Sd…ソースドライバ、SL…ソース線、T1…TFT部、T2…層間絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置する反射層と、
前記反射層と前記第2基板との間に位置するカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層と前記第2基板との間に位置するエレクトロクロミック材料層と、
前記エレクトロクロミック材料層と前記第2基板との間に位置する電解質層と、
前記電解質層と前記第2基板との間に位置する対向電極と、
前記反射層と前記電解質層との間に位置し、前記カラーフィルタ層と、前記エレクトロクロミック材料層とにそれぞれ接する隔壁と、を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記反射層と前記カラーフィルタ層との間に位置する画素電極を含む、ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置において、
前記反射層が画素電極である、ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示装置において、
前記カラーフィルタ層が導電性を有する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置において、
前記反射膜と前記カラーフィルタ層との間に位置する画素電極を含む、ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置において、
前記第1基板と前記反射層との間に位置するトランジスタを含み、前記トランジスタが前記隔壁と重なる、ことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の表示装置において、
前記隔壁が前記カラーフィルタ層と、前記エレクトロクロミック材料層とを囲む、ことを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の表示装置において、
前記エレクトロクロミック材料層が酸化還元反応により暗色を発現させるものである、ことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置する反射層と、
前記反射層と前記第2基板との間に位置する複数のカラーフィルタ層と、
前記複数のカラーフィルタ層と前記第2基板との間に位置する複数のエレクトロクロミック材料層と、
前記複数のエレクトロクロミック材料層と前記第2基板との間に位置する電解質層と、
前記電解質層と前記第2基板との間に位置する対向電極と、
前記反射層と前記電解質層との間に位置し、前記複数のカラーフィルタ層と、前記複数のエレクトロクロミック材料層とにそれぞれ接する隔壁と、を含み、
前記複数のエレクトロクロミック材料層の各々が酸化還元反応により暗色を発現させるものであり、前記複数のカラーフィルタ層が複数の色を含むものである、ことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置する複数の反射層と、
前記複数の反射層と前記第2基板との間に位置する複数のカラーフィルタ層と、
前記複数のカラーフィルタ層と前記第2基板との間に位置する複数のエレクトロクロミック材料層と、
前記複数のエレクトロクロミック材料層と前記第2基板との間に位置する電解質層と、
前記電解質層と前記第2基板との間に位置する対向電極と、
前記複数の反射層と前記電解質層との間に位置し、前記複数のカラーフィルタ層と、前記複数のエレクトロクロミック材料層とにそれぞれ接する隔壁と、を含み、
前記複数のエレクトロクロミック材料層の各々が酸化還元反応により暗色を発現させるものであり、前記複数のカラーフィルタ層が複数の色を含むものである、ことを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の表示装置において、
前記隔壁が遮光性材料を含む、ことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−261981(P2008−261981A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103701(P2007−103701)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】