説明

表示装置

【課題】 操作パネル上には複数の表示部が並べて配置されるとともに、電気機器の操作を行うためのスイッチ類や、種々の文字情報を表示するためのLCDなどが併せて配置される場合もある。また、これらを操作パネル上に配置するにあたっては操作・表示内容確認の利便性やデザインの観点からその配置を考える必要がある。このため、LEDの位置と操作パネル上のLED表示部との位置を完全には合わせられない場合が生じてしまう。
【解決手段】 LEDの光をLED表示部まで適切に導光するLEDガイド部材を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)等の光源を使用して電気機器の動作状態等を表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気機器の動作状態等、例えば当該電気機器への通電の有無や当該電気機器における動作エラーの有無に応じてLED等の光源を点灯/非点灯させ、点灯時にのみ視認可能となる光、すなわち当該光源の灯光を外部から視認させることにより当該電気機器の動作状態を容易に把握できるようにする装置、すなわち電気機器の動作状態を外部に表示する表示装置が広く知られている。この表示装置は電気機器と一体に形成される場合もあれば、電気機器と別体に構成される場合などもあり、状況に応じて様々な形態で用いられる。
【0003】
図4は光源の灯光を外部に表示するよう構成された、従来の表示装置における横断面図である。ここで、1は電気機器、2は電気機器1の筐体である。3は電気機器1の操作を行うためのスイッチ類(図示せず)が設けられた操作パネルであり、筐体2の一面を覆うようにして筐体2に固定される。ここで、一般的に筐体2および操作パネル3はプラスチック等の樹脂素材、又は金属板を加工して形成される不透明体である。4は筐体2に収納され、電気機器1の動作を制御する制御部等(図示せず)が搭載された回路基板である。回路基板4上にはLED51、52が備えられており、LED51、52から発せられた光は操作パネル3に形成された孔であるLED表示部31、32(導光穴)を通して外部から視認できる。回路基板4はスペーサ61、62によって筐体2に固定される。
【0004】
このような電気機器において外部からLEDの表示を視認する場合、LED51、52の灯光は大半が操作パネル3によって遮られてしまう。そのため、外部から確認できるLEDの光量が少なくなってしまい、外部からの視認がし辛いという問題があった。また、導光孔31、32を十分に大きくすることでこの問題は解消されるが、その場合はLEDだけではなく、回路基板4自体も導光孔を通して外部から見えるようになってしまうため、外観上好ましくないという問題があった。
【0005】
前述した課題を解決する方法として、特許文献1では透明体を柱状形状に形成したLEDガイド部材をLED表示部に相当する位置に設ける方法が開示されている。このようなLEDガイド部材によれば、LEDの灯光を収束して外部へと導くことができるため、外部からLEDの表示を視認するうえで十分な光量を得ることができる。
【特許文献1】特開2002−257603
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の手法によれば、操作パネル3上にはLEDガイド部材の一端面がLEDに相対するように形成されるとともに、他端面が操作パネル3上のLED表示部に位置合わせして形成されなければならない。
【0007】
しかしながら、一般的に操作パネル上には複数の表示部が並べて配置されるとともに、電気機器の操作を行うためのスイッチ類や、種々の文字情報を表示するためのLCDなどが併せて配置される場合もある。また、これらを操作パネル上に配置するにあたっては操作・表示内容確認の利便性やデザインの観点からその配置を考える必要がある。このため、特許文献1の手法においては図5に示すように、LEDガイド部材71のうち、LED51に相対してLED51の光を受光する入光面711とLED51との位置を完全には合わせられない場合が生じてしまう。この場合、入光面711はLED51の灯光を十分に受光できないため、外部から視認できるLED51の光量も少なくなってしまう。また、LEDガイド部材71の取り付けを変更して図6のように構成し、LED51の灯光をLEDガイド部材71内にて反射させ、導光孔31へと導く方法も考えられるが、このようなLEDガイド部材71は構造が複雑になってしまうため、コスト高を招くという問題がある。
【0008】
操作パネル3においてデザイン等の観点から決定したLEDガイド部材71の位置に合わせるようにして回路基板4上におけるLED51の位置を決定するという方法も考えられるが、通常は回路基板4にもLED51以外の電子部品が多数搭載されるため、LED51の位置を自由に決定することが難しいことが多く、現実的ではない。また、LEDガイド部材の代わりに光ファイバーを用いて導光するということも考えられるが、大幅な部品点数、ひいてはコストの増加を招いてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、表示パネルのデザイン等の観点から最良な位置にLEDが配置できない場合であっても、比較的容易に形成可能な導光部材によってLEDの灯光を外部に導くことが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明における第1発明(請求項1に係る発明)は、光源と、光源の灯光を導光する透光材料からなるガイド部材と、非透明体からなる表面パネルとを備えた表示装置であって、ガイド部材の一端面(出光面)は、光源の中心軸と異なる中心軸をもって表面パネルに形成されてなる導光孔と対向させて配置するとともに、ガイド部材の他端面(入光面)は光源に対向させて配置して形成され、導光孔に対向させて配置するガイド部材の一端面の断面積は光源に対向させて配置するガイド部材の他端面の断面積よりも小さく形成されていることを特徴とするものである。この発明によれば、光源からの灯光を、入光面において受光したうえで表面パネルにおける導光孔まで導光することが可能となるため、光源と表面パネルとの間に距離があった場合であっても十分な光量を表面パネル上から視認することが可能となる。また、光源の中心軸と異なる中心軸をもって導光孔が形成された場合、すなわち導光孔と光源の位置がずれている場合であっても前述した通り導光孔まで灯光を導光することが可能であるため、十分な視認性を得ることが可能となる。
【0011】
第2発明(請求項2に係る発明)は、第1発明の表示装置において、ガイド部材が錐台状に形成されていることを特徴とするものである。この発明によれば、ガイド部材の形状が錐台であるため、ガイド部材の設計、成型が容易であるという利点が得られる。また、錐台状に構成することによって入光面と出光面は互いに平行な平面となるので、ガイド部材の有する屈折率によらず、入射光と出射光は互いに平行となる。すなわち、灯光は入射面および出光面を通過する際に屈折して導光されるので、ガイド部材への入射時と出射時との単位面積あたりの光量の減少を、ガイド部材内での減衰相当に抑えることが可能となる。結果としてより視認性の高い表示装置を提供できる。
【0012】
第3発明(請求項3に係る発明)は、第1発明又は第2発明の表示装置において、ガイド部材の側面を非透光としたことを特徴とするものである。この発明によれば、入光面にて受光した光は内部でガイド部材の側面から外部に逃げることなく、ガイド部材内にて全反射を繰り返して出光面へと収束して導光されるので、より大きな光量を表面パネル外から視認することが可能となる。
【0013】
第4発明(請求項4に係る発明)は、第1発明乃至第3発明の表示装置において、導光孔に対向させて配置するガイド部材の一端面における断面の中心を通る、光源に対向させて配置するガイド部材の他端面における断面に対する垂線のうち、中心を始点とし、当該垂線と断面との交点を終点とする線分がガイド部材に含有されることを特徴とするものである。光源と導光孔との位置が大きくずれている場合においては、例えガイド部材を用いても十分な光量を導くことができず、視認性が低下する場合が考えられるが、本発明のように構成することでそのような問題が生じない表示装置を提供することが可能となる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を示す断面図である。なお、前述した背景技術と同じ構成については同番号を付して説明を省略する。図1において、7は透明又は半透明の素材、例えば透明なプラスチックにより形成され、筐体2と操作パネル3との間に設けられた保護パネル、71、72は保護パネル7と同材料にて一体に形成されたLEDガイド部材、8は回路基板4上に配置され、同じく回路基板4上に配置された制御部(図示せず)からの指令により、所定の文字情報を表示するLCD、33は操作パネル3上に形成されたLCD表示部である。
【0015】
ここで、LEDガイド部材71,72は円錐台状に形成されており、LED51,52の灯光を受光する入光面711,721の面積が、それぞれ導光した光を外部に出光する出光面712,722の面積よりも大きくなる位置関係で配置される。また、出光面712,722はそれぞれLED表示部31,32と相対する位置に設けられるとともに、入光面711,721はそれぞれLED51,52と相対する位置に設けられる。このとき、入光面711,721の面積はLED51,52の、当該入光面側から見た投影面積以上となるよう形成されることが望ましい。このように構成することで、入光面711,721はLED51,52からの灯光をより多く受光できるようになる。また、逆に入光面711,721の面積に対してLED51,52の当該投影面積が十分に小さくなるよう、LED51,52を小型のLED、いわゆる粒LEDにて構成しても良いことは言うまでも無い。
【0016】
これにより、入光面711,721はLED51,52の灯光を十分に受光することができ、受光した光をLED表示部31,32へと収束して導光するので、LEDとLED表示部との位置が合わない場合であっても、外部からLEDの表示を視認するうえで十分な光量を得ることができる。
【0017】
図2はLEDガイド部材71を拡大した図である。ここで線分A−Aは出光面712の中心を通る、入光面711に対する垂線のうち、出光面712の中心を始点とし、垂線と入光面711との交点を終点とする線分である。このようにして得られた線分A−AがLEDガイド部材71に含有されるように構成するとより好適である。この条件によれば、入光面711と出光面712との位置のずれ、すなわちLED51とLED表示部31との位置のずれにおける許容範囲は小さくなってしまうという不利益があるが、LEDガイド部材71の側面713と入光面711とが成す角度が直角に近くなり、入光面711にて受光したLED51の灯光が側面713の内側にて全反射しやすくなるので比較的灯光を導光しやすい。よって、この条件を満たすようLEDガイド部材71を設計することでLED51とLED表示部31との位置がずれていたとしても外部からLEDの表示を視認するための十分な光量を得るという目的を達成しやすくなる。ここで、本発明において側面713に対し何ら処理を行わなくとも相応の効果を発揮できるが、例えば側面713のみを黒く着色する、あるいは色のついた紙状のものを巻きつける、あるいは側面713の表面粗さを粗くするなどの手段により側面713を非透光とする、すなわち側面713が光を通さないようにすることによって、側面713の内側にて全反射がより起こりやすくなる。すなわち、入光面711にて受光したLED51の灯光のほぼ全てが全反射を繰り返して出光面711へと導光されるので、外部にて視認できる光量が大きくなるという効果が得られる。
【0018】
また、本実施例では例え外力によって操作パネル3が屈曲した場合であっても、LED表示部31,32とLEDガイド部材71,72とが衝突するだけで済むので、回路基板4の損壊が起こりづらいという利点がある。更に、保護パネル7が回路基板4を覆うように十分大きく形成すれば、メンテナンス等の必要に応じて回路基板4の状態を確認すべく操作パネル3を取外す場合などにおいても回路基板4の損壊が起こりづらいという利点がある。また、保護パネル7とLEDガイド部材71,72とは同材料にて形成された透明体であるため、保護パネル7を通して外部からLCD8の表示を確認することができ、かつLCDの保護を図ることができるという利点も得られる。
【0019】
図3は本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を示す断面図である。第1の実施の形態と同じ構成については同番号を付して説明を省略する。図3において、82は回路基板4上に設けられた電子部品である。また、本実施の形態におけるLEDガイド部材の側面は出光面712,722から入光面711,721にかけて徐々に膨らむような曲線によって構成されている。このような構成によっても第1の実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0020】
更に、本実施の形態では、保護パネル7とLEDガイド部材の出光面712,722とが同一平面となるよう構成されている。このような構成によっても第1の実施の形態と同様に入光面711,721はLED51,52の灯光を十分に受光することができ、受光した光をLED表示部31,32へと収束して導光するので、LEDとLED表示部との位置が合わない場合であっても、外部からLEDの表示を視認するうえで十分な光量を得ることができる。
【0021】
また、LED51,52とLEDガイド部材71,72の先端である入光面711,721が至近距離で相対しているが、仮に外力によって操作パネル3が屈曲したとしても、併せて保護パネル7をも屈曲させるだけの力が加わらない限りLEDとLEDガイド部材とが衝突することはないので、比較的LEDの損壊が起こりにくいという利点がある。更に、このような構成によれば回路基板4と保護パネル7との間に大きな空間が得られるので、図示した電子部品8のように大きな電子部品を回路基板4上に配置しやすいという利点がある。
【0022】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。上述した実施の形態においては回路基板4上にはLED及びLCDのみを設置するよう記載したが、回路基板4上に電気機器1の操作を行うためのスイッチ類を設ける場合であれば、保護パネル7のスイッチ類に相対する位置にスイッチ操作用の孔を設け、この孔を通してスイッチ類を操作できるよう構成すれば良い。
【0023】
また、上述した実施の形態においてはLEDガイド部材を円錐台として取り扱ったが、角錐台であっても良い。また、断面が楕円となった錐台等であっても良い。さらに、上述した実施の形態において操作パネル3にはLED表示部およびLCD表示部として孔を形成したが、操作パネル3の外側表面に対し、少なくとも当該孔部に該当する箇所を透明とした保護シートを貼り付けるようにしてもよい。このような保護シートによれば、LED表示部等の孔から表示装置内部に埃等の異物が入ることを阻止でき、また、保護シートのうちスイッチ類に該当する箇所に当該スイッチ類の名称を記載しておけば、スイッチ類を複数備えた場合においても容易に操作を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上に説明したように本発明に係る表示装置によれば、表示パネルのデザイン等の観点から最良な位置にLEDが配置できない場合であっても、比較的容易に形成可能な導光部材によってLEDの灯光を外部に導くことが可能な表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る表示装置の第1の実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係るLEDガイド部材を示す拡大図である。
【図3】本発明に係る表示装置の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図4】従来の表示装置を示す断面図である。
【図5】従来の表示装置における課題を示す断面図である。
【図6】従来の表示装置における別の課題を示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 電気機器
2 筐体
3 操作パネル
31,32 LED表示部
33 LCD表示部
4 回路基板
51,52 LED(光源)
61,62 スペーサ
7 保護パネル
71,72 LEDガイド部材
711,721 入光面
712,722 出光面
81 LCD
82 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源の灯光を導光する透光材料からなるガイド部材と、
非透明体からなる表面パネルとを備えた表示装置であって、
前記ガイド部材の一端面は、前記光源の中心軸と異なる中心軸をもって前記表面パネルに形成されてなる導光孔と対向させて配置するとともに、
前記ガイド部材の他端面は前記光源に対向させて配置して形成され、
前記導光孔に対向させて配置する前記ガイド部材の一端面の断面積は前記光源に対向させて配置するガイド部材の他端面の断面積よりも小さく形成されていることを特徴とする表示装置。

【請求項2】
前記ガイド部材は錐台状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。

【請求項3】
前記ガイド部材の側面を非透光としたことを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置。

【請求項4】
前記導光孔に対向させて配置する前記ガイド部材の一端面における断面の中心を通る、前記光源に対向させて配置するガイド部材の他端面における断面に対する垂線のうち、
前記中心を始点とし、当該垂線と前記断面との交点を終点とする線分が前記ガイド部材に含有されることを特徴とする請求項1乃至3記載の表示装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−186525(P2009−186525A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23429(P2008−23429)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】