説明

表示装置

【課題】観察側から入射した光の反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる保護板を備えた表示装置を提供する。
【解決手段】一対の基板2,3間に液晶層11が封入され、前記一対の基板2,3の互いに対向する内面に電極4,5が設けられた液晶素子1と、予め定めた方向に吸収軸をもち、液晶素子1の観察側に配置された偏光板15と、この偏光板15の吸収軸に対して45°の角度で交差する方向に遅相軸をもち、液晶素子1と前記偏光板15との間に配置されたλ/4板17と、前記偏光板15よりも観察側に配置された保護板25とを備え、前記偏光板15とλ/4板17は、互いに積層して保護板25の液晶素子1と対向する面に密着させて配置され、液晶素子とλ/4板17とは、互いに間隙を設けて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、観察側に保護板を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、デジタルカメラ、電子辞書等の電子機器の表示部を構成する表示装置として、液晶表示素子等の表示素子の観察側に、透明な保護板を配置したものがある。
【0003】
この表示装置は、観察側から入射した光(表示装置の使用環境の光)が、前記保護板の観察側の面及び前記表示素子と対向する面で反射され、また前記保護板を透過した光が前記表示素子の観察側の面で反射されるため、これらの反射光によって表示のコントラストが低下する。
【0004】
そのため、従来は、前記保護板の表示素子と対向する面に、反射防止コートが施されたフィルムを設けることにより、前記保護板の表示素子と対向する面での光の反射を少なくしている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−38402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、観察側から入射した光は、前記保護板の観察側の面及び前記表示素子と対向する面と、前記表示素子の観察側の面で反射されるため、上記従来の表示装置では、その表面反射を充分に少なくすることができない。
【0006】
この発明は、表面反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる保護板を備えた表示装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1に記載の表示装置は、
対向配置された観察側及びその反対側の一対の基板間に、液晶分子を予め定めた配向状態に配向させた液晶層が封入され、前記一対の基板の互いに対向する内面の少なくとも一方に、電圧の印加により前記液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御するための複数の画素を形成する電極が設けられた液晶素子と、
予め定めた方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側に配置された偏光板と、
前記偏光板の吸収軸に対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸をもち、前記液晶素子と前記偏光板との間に配置された1/4波長位相差板と、
前記偏光板よりも観察側に配置された保護板と、
を備え、
前記偏光板と前記1/4波長位相差板は、互いに積層して前記保護板の前記液晶素子と対向する面に密着させて配置され、
前記液晶素子と前記1/4波長位相差板とは、互いに間隙を設けて配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の表示装置において、前記液晶素子の観察側に配置された観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に直交または平行な方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側とは反対側に配置された後側偏光板と、前記液晶素子と前記観察側偏光板との間に配置された第1の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記液晶素子と前記後側偏光板との間に配置された第2の1/4波長位相差板とをさらに備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の表示装置において、前記液晶素子は、前記一対の基板の内面それぞれに、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極が設けられ、前記液晶層の液晶分子が、分子長軸を予め定めた方向に揃えて前記基板面と実質的に平行にホモジニアス配向し、前記電極間への電圧の印加により、前記基板面に対して立ち上がり配向する非ツイストのホモジニアス配向型素子であり、前記観察側偏光板と前記後側偏光板はそれぞれ、その吸収軸を、前記液晶分子のホモジニアス配向方向に対して実質的に45°の角度で交差する方向に向けて配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記請求項2に記載の表示装置において、前記液晶素子は、前記一対の基板の内面それぞれに、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極が設けられ、前記液晶層の液晶分子が、分子長軸を前記基板面に対して実質的に垂直な方向に向けて配向し、前記電極間への電圧の印加により、分子長軸を予め定めた方向に揃えて倒伏配向する垂直配向型素子であり、前記観察側偏光板と前記後側偏光板はそれぞれ、その吸収軸を、前記液晶分子の倒伏方向に対して実質的に45°の角度で交差する方向に向けて配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記請求項2〜4のいずれかに記載の表示装置において、前記液晶素子は、観察側とは反対側の基板の内面に、複数の画素毎に前記画素内の予め定められた領域に対応する反射膜が設けられ、前記複数の画素毎に、前記反射膜が設けられた領域により、観察側から入射した光を前記反射膜により反射して前記観察側へ出射する反射部が形成され、前記複数の画素の前記反射部以外の領域により、前記観察側とは反対側から入射した光を透過させて前記観察側へ出射する透過部が形成され、さらに、前記反射部の液晶層厚が、前記透過部の液晶層厚の実質的に1/2に設定された反射/透過型素子であることを特徴とする。
【0012】
この発明の請求項6に記載の表示装置は、
対向配置された観察側及びその反対側の一対の基板間に、液晶分子を予め定めた配向状態に配向させた液晶層が封入され、前記一対の基板の互いに対向する内面の少なくとも一方に、電圧の印加により前記液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御するための複数の画素を形成する電極が設けられた液晶素子と、
予め定めた方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側に配置された観察側偏光板と、
前記観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に直交または平行な方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側とは反対側に配置された後側偏光板と、
前記観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸をもち、前記液晶素子と前記観察側偏光板との間に配置された第1の1/4波長位相差板と、
前記第1の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記観察側偏光板と前記第1の1/4波長位相差板との間に配置された第2の1/4波長位相差板と、
前記観察側偏光板よりも観察側に配置された保護板と、
を備え、
前記第1の1/4波長位相差板は、前記液晶素子の観察側基板の外面に密着させて配置され、
前記観察側偏光板と前記第2の1/4波長位相差板は、互いに積層して前記保護板の前記液晶素子と対向する面に密着させて配置され、
前記第1の1/4波長位相差板と前記第2の1/4波長位相差板とは、互いに隙間を設けて配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記請求項5に記載の表示装置において、前記液晶素子は、前記一対の基板の内面それぞれに、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極が設けられ、前記液晶層の液晶分子が、分子長軸を前記基板面と実質的に平行な方向に向けて前記一対の基板間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向し、前記複数の画素の前記電極間への電圧の印加により、前記基板面に対して立ち上がり配向するツイステッドネマティック型素子であり、前記観察側偏光板と前記後側偏光板はそれぞれ、その吸収軸を、これらの偏光板が隣接する前記基板の近傍における前記液晶分子の配向方向に対して実質的に平行または直交する方向に向けて配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記請求項6に記載の表示装置において、前記液晶素子は、前記一対の基板のいずれか一方の内面に、複数の画素を形成するための第1の電極と、それよりも液晶層側に前記第1の電極と絶縁して形成された複数の細長電極部を有する第2の電極とが設けられ、前記液晶層の液晶分子が、分子長軸を前記細長電極部の長手方向に揃えて前記基板面と実質的に平行に配列した配向状態に配向し、前記複数の画素の前記第1と第2の電極間への電圧の印加により、これらの電極間に生じる横方向の電界によって前記基板面に沿った方向に分子長軸の向きを変えて配向する横電界制御型素子であり、前記観察側偏光板と前記後側偏光板はそれぞれ、その吸収軸を、前記液晶分子の無電界時の配向方向に対して実質的に45°の角度で交差する方向に向けて配置されていることを特徴とする。
【0015】
この発明の請求項9に記載の表示装置は、
対向配置された観察側及びその反対側の一対の基板間に、液晶分子を予め定めた配向状態に配向させた液晶層が封入され、前記一対の基板の互いに対向する内面の少なくとも一方に、電圧の印加により前記液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御するための複数の画素を形成する電極が設けられた液晶素子と、
予め定めた方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側に配置された第1の観察側偏光板と、
前記第1の観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に平行な方向に吸収軸をもち、前記第1の観察側偏光板よりも観察側に配置された第2の観察側偏光板と、
前記第1の観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に直交または平行な方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側とは反対側に配置された後側偏光板と、
前記第1の観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸をもち、前記液晶素子と前記第1の観察側偏光板との間に配置された第1の1/4波長位相差板と、
前記第1の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記第1の観察側偏光板よりも観察側に配置された第2の1/4波長位相差板と、
前記第2の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記第2の観察側偏光板と前記第2の1/4波長位相差板との間に配置された第3の1/4波長位相差板と、
前記第1の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記液晶素子と前記後側偏光板との間に配置された第4の1/4波長位相差板と、
前記第2の観察側偏光板よりも観察側に配置された保護板と、
を備え、
前記第1の1/4波長位相差板と前記第1の観察側偏光板と前記第2の1/4波長位相差板は、互いに積層して前記液晶素子の観察側基板の外面に密着させて配置され、
前記第2の観察側偏光板と前記第3の1/4波長位相差板は、互いに積層して前記保護板の前記液晶素子と対向する面に密着させて配置され、
前記第2の1/4波長位相差板と前記第3の1/4波長位相差板とは、互いに間隙を設けて配置されていることを特徴とする。
【0016】
この発明の請求項10に記載の表示装置は、
対向配置された観察側及びその反対側の一対の基板間に、液晶分子を予め定めた配向状態に配向させた液晶層が封入され、前記一対の基板の互いに対向する内面の少なくとも一方に、電圧の印加により前記液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御するための複数の画素を形成する電極が設けられ、前記一対の基板を挟んで観察側とその反対側の一対の偏光板が配置されてなる液晶表示素子と、
前記液晶表示素子の観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸をもち、前記液晶表示素子よりも観察側に配置された第1の1/4波長位相差板と、
前記第1の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記第1の1/4波長位相差板よりもさらに観察側に配置された第2の1/4波長位相差板と、
前記液晶表示素子の観察側偏光板の吸収軸と実質的に平行な方向に吸収軸をもち、前記第2の1/4波長位相差板よりも観察側にさらに配置された第2の観察側偏光板と、
前記第2の観察側偏光板よりも観察側に配置された保護板と、
を備え、
前記液晶表示素子の観察側偏光板と前記第1の1/4波長位相差板は、互いに積層して前記液晶表示素子の観察側基板の外面に密着させて配置され、
前記第2の観察側偏光板と前記第2の1/4波長位相差板は、互いに積層して前記保護板の前記液晶表示素子と対向する面に密着させて配置され、
前記第1の1/4波長位相差板と前記第2の1/4波長位相差板とは、互いに間隙を設けて配置されていることを特徴とする。
【0017】
この発明の請求項11に記載の表示装置は、
発光型表示素子と、
前記表示素子の観察側に配置された保護板と、
予め定めた方向に吸収軸をもち、前記表示素子と前記保護板との間に配置された偏光板と、
前記偏光板の吸収軸に対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸をもち、前記表示素子と前記偏光板との間に配置された1/4波長位相差板と、
を備え、
前記偏光板と前記1/4波長位相差板は、互いに積層して前記保護板の前記表示素子と対向する面に密着させて配置され、
前記表示素子と前記1/4波長位相差板とは、互いに間隙を設けて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明の表示装置によれば、表面反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1の実施形態)
図1〜図4はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は表示装置の側面図、図2は前記表示装置の一部分の断面図である。
【0020】
この表示装置は、図1及び図2のように、液晶素子1と、前記液晶素子1の観察側に配置された観察側偏光板15と、前記液晶素子1の観察側とは反対側に配置された後側偏光板16と、前記液晶素子1と前記観察側偏光板15との間に配置された第1の1/4波長位相差板17と、前記液晶素子1と前記後側偏光板16との間に配置された第2の1/4波長位相差板18と、前記後側偏光板16の後側(観察側とは反対側)に配置され、前記液晶素子1に向けて照明光を照射する面光源19と、前記観察側偏光板15よりも観察側に配置された強化ガラス等からなる透明な保護板25とを備えている。
【0021】
前記液晶素子1は、予め定めた間隙を設けて対向配置された観察側及びその反対側の一対の透明基板2,3間に、液晶分子12を予め定めた配向状態に配向させた液晶層11が封入され、前記一対の基板2,3の互いに対向する内面の少なくとも一方に、電圧の印加により前記液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御するための複数の画素Dを形成する透明電極4,5が設けられた構成のものであり、前記一対の基板2,3は、枠状のシール材10を介して接合され、前記液晶層11は、前記一対の基板2,3間の前記シール材10で囲まれた間隙に封入されている。
【0022】
この実施例において、前記液晶素子1は、一対の基板2,3の内面それぞれに、互いに対向する領域により複数の画素Dを形成する電極4,5が設けられ、前記一対の基板2,3間に誘電異方性が正のネマティック液晶からなる液晶層11が封入され、その液晶分子12が、分子長軸を予め定めた方向に揃えて前記基板2,3面と実質的に平行にホモジニアス配向し、前記電極4,5間への電圧の印加により、前記基板2,3面に対して立ち上がり配向する非ツイストのホモジニアス配向型素子である。
【0023】
なお、この液晶素子1は、TFT(薄膜トランジスタ)をアクティブ素子としたアクティブマトリックス液晶素子であり、観察側基板2の内面に設けられた電極4は、一枚膜状の対向電極、観察側とは反対側の基板(以下、後側基板という)3の内面に設けられた電極5は、行方向及び列方向に配列させて形成された複数の画素電極である。
【0024】
そして、図2では省略しているが、前記後側基板3の内面には、前記複数の画素電極5にそれぞれ接続された複数のTFTと、各行のTFTにゲート信号を供給する複数の走査線と、各列のTFTにデータ信号を供給する複数の信号線が設けられている。また、前記観察側基板2の内面には、前記複数の画素Dにそれぞれ対応させて、赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bが設けられている。
【0025】
さらに、この液晶素子1は、前記後側基板3の内面に、前記複数の画素D毎に前記画素D内の予め定められた領域、例えば前記画素Dの半分の領域に対応する反射膜8が設けられ、前記複数の画素D毎に、前記反射膜8が設けられた領域により、観察側から入射した光を前記反射膜8により反射して前記観察側へ出射する反射部D1が形成され、前記複数の画素Dの前記反射部D1以外の領域により、前記観察側とは反対側から入射した光、つまり面光源19から照射された光を透過させて前記観察側へ出射する透過部D2が形成された反射/透過型素子であり、前記画素電極5は、前記反射部D1に対応する部分を前記反射膜8の上に重ねて形成されている。
【0026】
また、前記観察側基板2の内面には、カラーフィルタ6R,6G,6Bの上に、前記複数の画素Dの反射部D1にそれぞれ対応させて液晶層厚調整膜9が設けられており、前記反射部D1の液晶層厚は、前記液晶層厚調整膜9により、前記透過部D2の液晶層厚の実質的に1/2に設定されている。なお、前記対向電極4は、前記カラーフィルタ6R,6G,6B及び液晶層厚調整膜9の上に形成されている。
【0027】
さらに、図2では省略しているが、前記一対の基板2,3の内面はそれぞれ、前記電極4,5を覆って水平配向膜(図示せず)を形成し、これらの配向膜面を互いに平行で且つ反対方向にラビングすることにより配向処理されており、前記液晶層11の液晶分子12は、分子長軸を前記一対の基板2,3の配向処理方向に揃え、前記基板2,3面に対して1°〜5°程度の角度でプレチルトした状態でホモジニアス配向している。
【0028】
そして、前記反射部D1の液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δndは、前記液晶層11を一方の方向に透過する光に対して1/4波長の位相差(往復で1/2波長の位相差)を与える値に設定され、前記透過部D2のΔndは、前記液晶層11を一方の方向に透過する光に対して1/2波長の位相差を与える値に設定されている。
【0029】
また、前記カラーフィルタ6R,6G,6Bはそれぞれ、前記複数の画素Dの反射部D1からそれぞれ、前記カラーフィルタ6R,6G,6Bの色の波長帯域の光を吸収された着色光と、前記カラーフィルタ6R,6G,6Bによる吸収を受けない高輝度の非着色光とを出射させて反射表示を明るくするために、前記反射部D1に対応する部分のうちの一部分に開口7を設けた形状に形成されている。
【0030】
また、前記観察側偏光板15と後側偏光板16はそれぞれ、互いに直交する方向に光の振動面を有する2つの直線偏光のうちの一方の直線偏光を透過させ、他方の直線偏光を吸収する吸収偏光板であり、観察側偏光板15は、前記液晶素子1の液晶分子12の配向状態に対応して予め定めた方向に吸収軸15a(図3参照)をもち、後側偏光板16は、前記観察側偏光板15の吸収軸15aに対して実質的に直交または平行な方向に吸収軸16a(図3参照)をもっている。
【0031】
さらに、前記第1と第2の1/4波長位相差板17,18は、透過光の常光と異常光との間に1/4波長の位相差を与える位相差板(以下、λ/4板という)であり、第1のλ/4板17は、前記観察側偏光板15の吸収軸15aに対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸17a(図3参照)をもち、第2のλ/4板18は、前記第1のλ/4板17の遅相軸17aに対して実質的に直交する方向に遅相軸18a(図3参照)をもっている。
【0032】
図3は、前記液晶素子1の液晶分子12の配向状態と、前記観察側及び後側偏光板15,16の吸収軸15a,16aの向きと、前記第1及び第2のλ/4板17,18の遅相軸17a,18aの向きを示している。
【0033】
図3のように、前記液晶素子1の液晶層11の液晶分子12は、予め定めた方向、例えば表示装置の画面の上下方向に分子長軸を揃えてホモジニアス配向しており、前記観察側偏光板15は、その吸収軸15aを、前記液晶分子12のホモジニアス配向方向に対して一方の方向に実質的に45°の角度で交差する方向に向けて配置され、前記後側偏光板16は、その吸収軸15aを、前記液晶分子12のホモジニアス配向方向に対して他方の方向に実質的に45°の角度で交差する方向、つまり前記観察側偏光板15の吸収軸15aに対して実質的に直交する方向に向けて配置されている。
【0034】
また、前記第1のλ/4板17は、その遅相軸17aを、前記観察側偏光板15の吸収軸15aに対して実質的に45°の角度で交差する2つの方向のうちの一方、例えば前記液晶分子12のホモジニアス配向方向に対して実質的に直交する方向に向けて配置され、前記第2のλ/4板18は、その遅相軸18aを、前記第1のλ/4板17の遅相軸17aに対して実質的に直交する方向に向けて配置されている。
【0035】
そして、前記観察側偏光板15と前記第1のλ/4板17は、互いに積層して貼り合わされ、前記保護板25の前記液晶素子1と対向する面に密着させて配置されており、前記液晶素子1と前記第1のλ/4板17とは、互いに間隙を設けて配置されている。
【0036】
なお、前記第2のλ/4板18は、前記液晶素子1の後側基板3の外面に密着させるか、或いは前記後側基板3の外面に近接させて配置されており、前記後側偏光板16は、前記第2のλ/4板18と積層するか、或いは前記第2のλ/4板18に近接させて配置されている。
【0037】
一方、前記面光源19は、透明な板状部材からなり、その端面に光が入射する入射端面21が形成され、2つの板面の一方に前記入射端面21から入射した光の出射面22が形成され、他方の板面に前記入射端面21から入射した光を前記出射面22へ向けて反射する反射面23が形成され、前記出射面22を前記液晶素子1に向けて配置された導光板20と、前記導光板20の入射端面21に対向させて配置されたLED(発光ダイオード)等からなる複数の発光素子24とにより構成されており、前記複数の発光素子24からの出射光を前記導光板20により導いてこの導光板20の出射面22の全体から前記液晶素子1に向けて照明光を照射する。
【0038】
この表示装置は、外部環境の光である外光を利用する反射表示と、前記面光源19からの照明光を利用する透過表示とを行うものであり、前記面光源19の複数の発光素子24は、前記透過表示を行うときに点灯される。
【0039】
まず、反射表示について説明すると、このときは、観察側から入射した光(外光)aが、図2のように、保護板25と観察側偏光板15と第1のλ/4板17とを透過して液晶素子1に入射し、その光のうちの前記複数の画素Dの反射部D1に入射した光が、液晶層11を透過して反射膜8により反射され、前記液晶層11を再び透過し、さらに前記第1のλ/4板17を透過して前記観察側偏光板15に入射し、その光のうちの前記観察側偏光板15の吸収軸15aに対して直交する直線偏光成分が、前記観察側偏光板15を透過し、前記保護板25を透過して観察側に出射する。
【0040】
なお、前記液晶素子1に入射した光のうちの前記複数の画素Dの透過部D2に入射した光は、液晶層11を透過して前記液晶素子1の後側に出射し、さらに第2のλ/4板18と後側偏光板16とを透過して面光源19側に出射する。
【0041】
この反射表示において、観察側から入射し、保護板25を透過した光は、観察側偏光板15によりその吸収軸15aと平行な直線偏光成分が吸収され、前記観察側偏光板15の吸収軸15aと直交する直線偏光になって第1のλ/4板17に入射し、この第1のλ/4板17により1/4波長の位相差を与えられ、円偏光になって液晶素子1に入射する。
【0042】
そして、前記液晶素子1の電極4,5間に電圧が印加されない無電界時、つまり液晶分子12がホモジニアス配向したときは、前記液晶素子1の複数の画素Dの反射部D1に入射した円偏光は、前記液晶層11を後側に向かって透過する間に1/4波長の位相差が与えられ、さらに、前記液晶層11を観察側に向かって透過する間に1/4波長の位相差が与えられ、3λ/4の位相差を持った円偏光になって前記第1のλ/4板17に入射し、この第1のλ/4板17の位相差によりさらにλ/4の位相差が与えられて、前記観察側偏光板15の吸収軸15aと直交する直線偏光になって前記観察側偏光板15に入射する。
【0043】
そのため、前記無電界時は、前記液晶層11を往復して透過し、さらに前記第1のλ/4板17を透過した光が、前記観察側偏光板15を透過し、さらに保護板25を透過して観察側に出射し、無電界画素の表示が明表示になる。
【0044】
また、前記液晶素子1の電極4,5間に液晶分子12を基板2,3面に対して実質的に垂直に立ち上がり配向させる電圧を印加すると、前記液晶層11の位相差が実質的に0になり、前記液晶素子1の複数の画素Dの反射部D1に入射した円偏光が、前記液晶層11を偏光状態を変えること無く往復して透過して前記第1のλ/4板17に入射し、この第1のλ/4板17の位相差により前記観察側偏光板15の吸収軸15aと平行な直線偏光になって前記観察側偏光板15に入射する。
【0045】
そのため、この電圧印加時は、前記液晶層11を往復して透過し、さらに前記第1のλ/4板17を透過した光が、前記観察側偏光板15により吸収され、電圧印加画素の表示が暗表示になる。
【0046】
次に、透過表示について説明すると、このときは、面光源19から照射された光bが、図2のように、後側偏光板16と第2のλ/4板18とを透過して液晶素子1に入射し、その光のうちの前記複数の画素Dの透過部D2に入射した光が、液晶層11を透過し、さらに第1のλ/4板17を透過して前記観察側偏光板15に入射し、前記観察側偏光板15の吸収軸15aに対して直交する直線偏光が、前記観察側偏光板15を透過し、保護板25を透過して観察側に出射する。
【0047】
なお、前記液晶素子1に入射した光のうちの前記複数の画素Dの反射部D1に入射した光は、反射膜8により反射され、前記第2のλ/4板18と後側偏光板16とを透過して面光源19側に出射し、その面光源19で反射されて再び前記後側偏光板16へ向けて出射する。
【0048】
この透過表示において、面光源19から照射された光は、後側偏光板16によりその吸収軸16aと平行な直線偏光成分を吸収され、前記後側偏光板16の吸収軸16aと直交する直線偏光になって第2のλ/4板18に入射し、この第2のλ/4板18により1/4波長の位相差が与えられ、円偏光になって前記液晶素子1に入射する。
【0049】
そして、前記液晶素子1の電極4,5間に電圧が印加されない無電界時(液晶分子12がホモジニアス配向したとき)は、前記液晶素子1の複数の画素Dの透過部D2に入射した円偏光が、前記液晶層11を観察側に向かって透過する間に1/2波長の位相差が与えられる。
【0050】
そのため、前記無電界時は、前記液晶層11を透過して3λ/4の位相さを持った円偏光に、第1のλ/4板17の位相差によりさらにλ/4の位相差が与えられて、観察側偏光板15の吸収軸15aと平行な直線偏光になり、その光が、前記観察側偏光板15を透過し、さらに保護板25を透過して観察側に出射し、無電界画素の表示が明表示になる。
【0051】
また、前記液晶素子1の電極4,5間に液晶分子12を基板2,3面に対して実質的に垂直に立ち上がり配向させる電圧を印加すると、前記液晶層11の位相差が実質的に0になり、前記液晶素子1の複数の画素Dの透過部D2に入射した円偏光が、前記液晶層11を偏光状態を変えること無く透過して前記第1のλ/4板17に入射し、この第1のλ/4板17の位相差により観察側偏光板15の吸収軸15aと平行な直線偏光になって前記観察側偏光板15に入射する。
【0052】
そのため、この電圧印加時は、前記液晶層11を透過し、さらに前記第1のλ/4板17を透過した光が、前記観察側偏光板15により吸収され、電圧印加画素の表示が暗表示になる。
【0053】
なお、この実施例では、前記観察側偏光板15と後側偏光板16とを、それぞれの吸収軸15a,16aを実質的に直交させて配置しているが、前記観察側偏光板15と後側偏光板16は、それぞれの吸収軸15a,16aを実質的に平行にして配置してもよく、その場合は、反射表示のときも透過表示のときも、無電界画素の表示が暗表示になり、電圧印加画素の表示が明表示になる。
【0054】
この表示装置は、携帯電話機、デジタルカメラ、電子辞書等の電子機器に実装されるものであり、前記液晶素子1と第2のλ/4板18及び後側偏光板16と面光源19は、表示窓が設けられた機器本体内に、前記液晶素子1の観察側の面(観察側基板2の外面)を前記表示窓に対向させて配置され、前記保護板25は、その液晶素子1と対向する面に前記観察側偏光板15と第1のλ/4板17とを積層して密着させた状態で、前記機器本体の表示窓に装着される。
【0055】
そして、この表示装置は、前記観察側偏光板15と前記第1のλ/4板17を、互いに積層して前記保護板25の前記液晶素子1と対向する面に密着させて配置し、さらに前記液晶素子1と前記第1のλ/4板17とを互いに間隙を設けて配置しているため、前記反射表示のときも、前記透過表示のときも、表面反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる。
【0056】
すなわち、図4は前記表示装置における観察側から入射した光の反射光の光線図であり、観察側から入射した光は、主に、屈折率の差が大きい界面、即ち、その一部の光が図に破矢線で示したように保護板25の表面と、前記保護板25の液晶素子1と対向する面に観察側偏光板15を介して密着させて積層された前記第1のλ/4板17の、液晶素子1と対向する内面(第1のλ/4板17と、この第1のλ/4板17と液晶素子1との間の空気層との界面)、及び前記液晶素子1の観察側基板2の外面で図に破矢線で示したように反射される。
【0057】
なお、観察側から入射した光の前記保護板25と観察側偏光板15との界面、及び前記観察側偏光板15と第1のλ/4板17との界面では、互いの互いに隣接する光学媒体の屈折率の差が小さい値であるため、これらの界面での反射光強度は低い。そのため、ここでは、前記保護板25と観察側偏光板15との界面及び前記観察側偏光板15と第1のλ/4板17との界面での光の反射は無視している。
【0058】
前記第1のλ/4板17の液晶素子1と対向する内面で反射された光と、前記液晶素子1の観察側基板2の外面で反射された光はいずれも、前記観察側から入射し、前記観察側偏光板15を透過してその吸収軸15aと直交する直線偏光に、前記第1のλ/4板17を透過してλ/4の位相差が与えられ、これらの反射光(円偏光)が再び前記第1のλ/4板17を再び透過することによってさらにλ/4の位相差が与えられ、前記観察側偏光板15に入射する前記反射光はλ/2の位相を持った前記観察側偏光板15の吸収軸15aと平行な直線偏光になり、前記観察側偏光板15により吸収される。
【0059】
そのため、観察側から入射し、液晶素子1に入射する経路において、前記第1のλ/4板17の液晶素子1と対向する内面、及び前記液晶素子1の観察側基板2の外面で反射された反射光は、前記観察側偏光板15で吸収されて観察側に出射しない。したがって、表面反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる。
【0060】
(第2の実施形態)
図5及び図6はこの発明の第2の実施例を示しており、図5は表示装置の一部分の断面図である。なお、この実施例において、上記第1の実施例に対応するものには図に同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0061】
この実施例の表示装置は、液晶素子として、一対の基板2,3間に誘電異方性が負のネマティック液晶からなる液晶層13が封入され、この液晶層13の液晶分子14が、分子長軸を基板2,3面に対して実質的に垂直な方向に向けて配向し、前記電極4,5間への電圧の印加により、分子長軸を予め定めた方向に揃えて倒伏配向する垂直配向型の液晶素子1aを備えたものであり、前記液晶層13以外は第1の実施例の表示装置と同じ構成となっている。
【0062】
この実施例において、前記液晶素子1aの一対の基板2,3の内面はそれぞれ、前記電極4,5を覆って垂直配向膜(図示せず)を形成し、これらの配向膜面を、前記電極4,5間への電圧の印加による液晶分子14の倒伏方向を規定する方向(互いに平行で且つ反対方向)にラビングすることにより配向処理されている。
【0063】
なお、この液晶素子1aは、複数の画素D毎に反射部D1と透過部D2とが形成された反射/透過型素子であり、前記反射部D1の液晶層厚は、前記透過部D2の液晶層厚の実質的に1/2に設定され、また、前記反射部D1と透過部D2のΔndは、前記液晶分子14が倒伏配向したときに、前記液晶層13を一方の方向に透過する光に対して、反射部D1において1/4波長の位相差(往復で1/2波長の位相差)を与え、透過部D2において1/2波長の位相差を与える値に設定されている。
【0064】
図6は、この実施例における液晶素子1aの液晶分子14の配向状態と、観察側及び後側偏光板15,16の吸収軸15a,16aの向きと、第1及び第2のλ/4板17,18の遅相軸17a,18aの向きを示している。
【0065】
図6のように、前記液晶素子1aの液晶層13の液晶分子14は、分子長軸を基板2,3面に対して実質的に垂直な方向に向けて配向しており、前記電極4,5間への電圧の印加により、図に二点鎖線で示したように、分子長軸を予め定めた方向、つまり前記一対の基板2,3の配向処理方向(図では表示装置の画面の上下方向)に揃えて倒伏配向する。
【0066】
そして、前記観察側偏光板15は、その吸収軸15aを、前記液晶分子14の倒伏方向(画面の上下方向)に対して一方の方向に実質的に45°の角度で交差する方向に向けて配置され、前記後側偏光板16は、その吸収軸16aを、前記液晶分子14の倒伏方向に対していずれか他方の方向に実質的に45°の角度で交差する方向、つまり前記観察側偏光板15の吸収軸15aに対して実質的に直交する方向に向けて配置されている。
【0067】
また、前記第1のλ/4板17は、その遅相軸17aを、前記観察側偏光板15の吸収軸15aに対して実質的に45°の角度で交差する2つの方向のうちの一方、例えば前記液晶分子14の倒伏方向に対して実質的に直交する方向に向けて配置され、前記第2のλ/4板18は、その遅相軸18aを、前記第1のλ/4板17の遅相軸17aに対して実質的に直交する方向に向けて配置されている。
【0068】
さらに、前記観察側偏光板15と前記第1のλ/4板17は、互いに積層して前記保護板25の液晶素子1aと対向する面に密着させて配置されており、前記液晶素子1と前記第1のλ/4板17とは、互いに間隙を設けて配置されている。
【0069】
この実施例の表示装置は、前記液晶素子1aの液晶層13の液晶分子14が、分子長軸を基板2,3面に対して実質的に垂直な方向に向けて配向し、前記電極4,5間への電圧の印加により、分子長軸を予め定めた方向に揃えて倒伏配向するため、外光を利用する反射表示のときも、面光源19からの照明光を利用する透過表示のときも、無電界画素の表示が明表示になり、電圧印加画素の表示が明表示になる。
【0070】
なお、この実施例において、前記観察側偏光板15と後側偏光板16は、それぞれの吸収軸15a,16aを実質的に平行にして配置してもよく、その場合は、反射表示のときも透過表示のときも、無電界画素の表示が明表示になり、電圧印加画素の表示が暗表示になる。
【0071】
そして、この表示装置は、前記観察側偏光板15と前記第1のλ/4板17を、互いに積層して前記保護板25の前記液晶素子1と対向する面に密着させて配置し、さらに前記液晶素子1と前記第1のλ/4板17とを互いに間隙を設けて配置しているため、上記第1の実施例の表示装置と同様に、観察側から入射した光の反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる。
【0072】
(第1及び第2の実施形態の応用例)
なお、上記第1及び第2の実施例の表示装置は、反射表示と透過表示とを行う反射/透過型のものであるが、これらの実施例は、反射/透過型表示装置に限らず、外光を利用する反射表示だけを行う反射型表示装置にも、また面光源19からの照明光を利用する透過表示だけを行う透過型表示装置にも適用することができる。
【0073】
すなわち、反射型表示装置の場合は、液晶素子1,1aの観察側に、前記偏光板15とλ/4板17とを第1及び第2の実施例と同様に配置し、前記液晶素子1,1aを、前記反射膜8を複数の画素Dの全域に対向させて形成し、さらに液晶層11,13のΔndを、複数の画素Dの全域において、上記第1及び第2の実施例における反射部D1のΔndと同じ値に設定した構成とすればよい。なお、この反射型表示装置の場合は、上記第1及び第2の実施例における後側偏光板16及び第2のλ/4板18と面光源19は不要である。
【0074】
また、透過型表示装置の場合は、前記観察側及び反対側の偏光板15,16と第1及び第2のλ/4板17,18を第1及び第2の実施例と同様に配置し、前記液晶素子1,1aを、前記反射膜8及び液晶層厚調整膜9を備えず、さらに液晶層11,13のΔndを、複数の画素Dの全域において、上記第1及び第2の実施例における透過部D2のΔndと同じ値に設定した構成とすればよい。
【0075】
さらに、上記第1及び第2の実施例における観察側及び反対側の偏光板15,16と第1及び第2のλ/4板17,18の配置は、上記ホモジニアス配向型または垂直配向型の液晶素子1,1aを備えた表示装置に限らず、他の方式の液晶素子を備えた表示装置にも適用することができる。
【0076】
(第3の実施形態)
図7及び図8はこの発明の第3の実施例を示しており、図7は表示装置の一部分の断面図である。なお、この実施例において、面光源19と保護板25は、上記第1の実施例のものと同じである。
【0077】
この実施例の表示装置は、図7のように、液晶素子30と、前記液晶素子30の液晶層37の液晶分子38の配向状態に対応して予め定めた方向に吸収軸41a(図8参照)をもち、前記液晶素子30の観察側に配置された観察側偏光板41と、前記観察側偏光板41の吸収軸41aに対して実質的に直交または平行な方向に吸収軸42a(図8参照)をもち、前記液晶素子30の観察側とは反対側に配置された後側偏光板42と、前記観察側偏光板41の吸収軸41aに対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸43a(図8参照)をもち、前記液晶素子30と前記観察側偏光板41との間に配置された第1のλ/4板(1/4波長位相差板)43と、前記第1のλ/4板43の遅相軸43aに対して実質的に直交する方向に遅相軸44a(図8参照)をもち、前記観察側偏光板41と前記第1のλ/4板43との間に配置された第2のλ/4板44と、前記液晶素子30の後側に配置された面光源19と、前記観察側偏光板41よりも観察側に配置された保護板25とを備えている。
【0078】
前記液晶素子30は、予め定めた間隙を設けて対向配置された観察側及びその反対側の一対の透明基板31,32間に、液晶分子38を予め定めた配向状態に配向させた液晶層37が封入され、前記一対の基板31,32の互いに対向する内面の少なくとも一方に、電圧の印加により前記液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御するための複数の画素を形成する透明電極33,34が設けられた構成のものであり、前記一対の基板31,32は、枠状のシール材(図示せず)を介して接合され、前記液晶層37は、前記一対の基板31,32間の前記シール材で囲まれた間隙に封入されている。
【0079】
この実施例において、前記液晶素子30は、一対の基板31,32の内面それぞれに、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極33,34が設けられ、前記一対の基板31,32間に誘電異方性が正のネマティック液晶からなる液晶層37が封入され、その液晶分子38が、分子長軸を前記基板31,32面と実質的に平行な方向に向けて前記一対の基板31,32間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向し、前記電極33,34間への電圧の印加により、前記基板31,32面に対して立ち上がり配向するTN(ツイステッドネマティック)型素子である。
【0080】
なお、この液晶素子30は、TFTをアクティブ素子としたアクティブマトリックス液晶素子であり、観察側基板31の内面に設けられた電極33は、一枚膜状の対向電極、後側基板(観察側とは反対側の基板)32の内面に設けられた電極34は、行方向及び列方向に配列させて形成された複数の画素電極である。
【0081】
そして、図7では省略しているが、前記後側基板32の内面には、前記複数の画素電極34にそれぞれ接続された複数のTFTと、各行のTFTにゲート信号を供給する複数の走査線と、各列のTFTにデータ信号を供給する複数の信号線が設けられている。また、前記観察側基板31の内面には、前記複数の画素にそれぞれ対応させて、赤、緑、青の3色のカラーフィルタ36R,36G,36Bが設けられており、前記対向電極33は、前記カラーフィルタ36R,36G,36Bの上に形成されている。
【0082】
なお、この液晶素子30は、前記複数の画素それぞれの全域において、観察側とは反対側から入射した光(面光源19から照射された光)を透過させて前記観察側へ出射する透過型素子である。
【0083】
また、図7では省略しているが、前記一対の基板31,32の内面はそれぞれ、前記電極33,34を覆って水平配向膜(図示せず)を形成し、これらの配向膜面を実質的に互いに直交する方向にラビングすることにより配向処理されており、前記液晶層37の液晶分子38は、前記一対の基板31,32それぞれの近傍において、分子長軸をそれぞれの基板31,32の配向処理方向に向けて前記基板31,32面に対して1°〜5°程度の角度でプレチルトし、前記一対の基板31,32間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向している。
【0084】
図8は、この実施例における液晶素子30の液晶分子38の配向状態と、前記観察側及び後側偏光板41,42の吸収軸41a,42aの向きと、前記第1及び第2のλ/4板43,44の遅相軸43a,44aの向きを示している。
【0085】
図8のように、前記液晶素子30の液晶層37の液晶分子38は、例えば一対の基板31,32それぞれの近傍において表示装置の画面の上下方向に対して互いに逆方向に45°ずつの角度で交差する方向に分子長軸を向けてツイスト配向しており、観察側偏光板41は、その吸収軸41aを、前記液晶素子30の前記観察側偏光板41が隣接する観察側基板31の近傍における液晶分子38の配向方向に対して実質的に平行または直交する方向に向けて配置され、後側偏光板42は、その吸収軸42aを、前記液晶素子30の前記後側偏光板42が隣接する後側基板32の近傍における液晶分子38の配向方向に対して実質的に平行または直交する方向に向けて配置されている。なお、この実施例では、観察側偏光板41の吸収軸41aを前記観察側基板31の近傍における液晶分子38の配向方向と実質的に平行にし、後側偏光板42の吸収軸42aを、前記観察側偏光板41の吸収軸41aと実質的に直交させている。
【0086】
また、前記第1と第2のλ/4板43,44のうちの液晶素子30側の第1のλ/4板43は、その遅相軸43aを、前記観察側偏光板41の吸収軸41aに対して実質的に45°の角度で交差する2つの方向のうちの一方、例えば前記液晶素子30の観察側基板31の近傍における液晶分子38の配向方向と実質的に平行な方向に向けて配置され、保護板25側の第2のλ/4板44は、その遅相軸44aを、前記第1のλ/4板43の遅相軸43aに対して実質的に直交する方向に向けて配置されている。即ち、前記第1と第2のλ/4板43,44は、それぞれの遅相軸43a,44aを互いに直交させて配置されている。
【0087】
そして、前記第1のλ/4板43は、前記液晶素子30の前記観察側偏光板41の外面に密着させて配置され、前記観察側偏光板41と前記第2のλ/4板44は、互いに積層して前記保護板25の前記液晶素子30と対向する面に密着させて配置されており、さらに、前記第1のλ/4板43と前記第2のλ/4板44とは、互いに隙間を設けて配置されている。なお、前記後側偏光板42は、前記液晶素子30の後側基板32の外面に密着させるか、或いは前記後側基板32の外面に近接させて配置されている。
【0088】
この表示装置は、面光源19から照明光を照射させて透過表示を行うものであり、前記面光源19から照射された光は、後側偏光板42によりその吸収軸42aと平行な直線偏光成分が吸収され、前記後側偏光板42の吸収軸42aと直交する直線偏光になって前記液晶素子30に入射する。
【0089】
そして、前記液晶素子30の電極33,34間に電圧が印加されない無電界時(液晶分子12がツイスト配向したとき)は、前記液晶素子30の複数の画素に入射した前記直線偏光が、前記液晶層37を観察側に向かって透過する間に実質的に90°旋光され、前記後側偏光板42の吸収軸42aと平行な直線偏光になって前記液晶素子30の観察側に出射する。
【0090】
前記液晶層37により実質的に90°旋光されて前記液晶素子30から出射した直線偏光(後側偏光板42の吸収軸42aと平行な直線偏光)は、遅相軸43a,44aが互いに直交する第1のλ/4板43と第2のλ/4板44を透過するため、偏光状態を変えることなく、観察側偏光板41の吸収軸41aと直交する直線偏光のまま前記観察側偏光板41に入射する。
【0091】
そのため、前記無電界時は、前記液晶素子30から出射して前記第1のλ/4板43及び第2のλ/4板44を透過した光が、前記観察側偏光板41を透過し、さらに保護板25を透過して観察側に出射し、無電界画素の表示が明表示になる。
【0092】
また、前記液晶素子30の電極33,34間に液晶分子38を基板31,32面に対して実質的に垂直に立ち上がり配向させる電圧を印加すると、前記後側偏光板42を透過して前記液晶素子30に入射した直線偏光が、前記液晶層37を偏光状態を変えること無く透過して前記液晶素子30の観察側に出射する。
【0093】
前記液晶層37を偏光状態を変えること無く透過して前記液晶素子30の観察側に出射した直線偏光(後側偏光板42の吸収軸42aと直交する直線偏光)は、遅相軸43a,44aが互いに直交する前記第1のλ/4板43と第2のλ/4板44を透過するため、偏光状態を変えることなく、観察側偏光板41の吸収軸41aと平行な直線偏光のまま前記観察側偏光板41に入射する。
【0094】
そのため、この電圧印加時は、前記液晶素子30から出射して前記第1のλ/4板43及び第2のλ/4板44を透過した光が、前記観察側偏光板41により吸収され、電圧印加画素の表示が暗表示になる。
【0095】
なお、この実施例では、前記観察側偏光板41と後側偏光板42とを、それぞれの吸収軸41a,42aを実質的に直交させて配置しているが、前記観察側偏光板41と後側偏光板42は、それぞれの吸収軸41a,42aを実質的に平行にして配置してもよく、その場合は、無電界画素の表示が暗表示になり、電圧印加画素の表示が明表示になる。
【0096】
そして、この表示装置は、前記第1のλ/4板43を前記液晶素子30の観察側基板31の外面に密着させて配置し、前記観察側偏光板41と前記第2のλ/4板44を、互いに積層して前記保護板25の前記液晶素子30と対向する面に密着させて配置し、さらに前記第1のλ/4板43と前記第2のλ/4板44とを互いに間隙を設けて配置しているため、観察側から入射した光の反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる。
【0097】
すなわち、この表示装置に観察側から入射した光は、保護板25と前記保護板25の液晶素子30と対向する面に密着させて積層された観察側偏光板41と、この観察側偏光板41に密着させて積層された第2のλ/4板44と、液晶素子30の観察側基板31の外面に密着させて配置された第1のλ/4板43とを透過して液晶素子30に入射する過程で、その一部の光が、屈折率の差が大きい界面、即ち、前記保護板25の表面、前記第2のλ/4板44の第1のλ/4板43と対向する面、及び前記第1のλ/4板43の第2のλ/4板44と対向する面で反射される。
【0098】
なお、観察側から入射した光の、前記保護板25と観察側偏光板41との界面と、前記観察側偏光板41と第2のλ/4板44との界面と、及び前記第1のλ/4板43と液晶素子30の観察側基板31と界面では、互いに隣接する光学媒体の屈折率の差が小さい値であるため、これらの界面での光の反射は無視してよい。
【0099】
上記屈折率の差が大きい界面による反射光のうち、前記第2のλ/4板44の第1のλ/4板43と対向する内面で反射された光と、前記第1のλ/4板43の第2のλ/4板44と対向する面で反射された光はいずれも、前記観察側から入射し、前記観察側偏光板41を透過してその吸収軸41aと直交する直線偏光に、前記第2のλ/4板44によりλ/4の位相差が与えられた円偏光であり、これらの反射光(円偏光)が再び前記第2のλ/4板44を透過することによって、さらにλ/4の位相差が与えられ、λ/2の位相を持った前記観察側偏光板41の吸収軸41aと平行な直線偏光になって、前記観察側偏光板41により吸収される。
【0100】
そのため、観察側から入射し、液晶素子30に入射する経路において、前記第2のλ/4板44の第1のλ/4板43と対向する内面、及び前記第1のλ/4板43の第2のλ/4板44と対向する面で反射された反射光は、観察側偏光板41で吸収されて観察側に出射しない。したがって、表面反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる。
【0101】
(第4の実施形態)
図9及び図10はこの発明の第4の実施例を示しており、図9は表示装置の一部分の断面図である。なお、この実施例において、上記第3の実施例に対応するものには図に同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0102】
この実施例の表示装置は、液晶素子として、一対の基板2,3間に誘電異方性が正のネマティック液晶からなる液晶層39が封入され、前記一対の基板2,3のいずれか一方、例えば後側基板32の内面に、複数の画素を形成するための第1の電極33aと、それよりも液晶層39側に前記第1の電極33aと絶縁膜35により絶縁して形成された複数の細長電極部34bを有する第2の電極34aとが設けられ、前記液晶層39の液晶分子40が、分子長軸を前記第2の電極34aの複数の細長電極部34bの長手方向に揃えて前記基板31,32面と実質的に平行に配列した配向状態に配向し、前記第1と第2の電極33a,34a間への電圧の印加により、これらの電極33a,34a間に生じる横方向の電界によって前記基板31,32面に沿った方向に分子長軸の向きを変えて配向する横電界制御型素子30aを備えたものである。
【0103】
前記数の画素を形成するための第1と第2の電極33a,34aのうちの後側基板32側の第1の電極33aは、例えば前記画素の形状に形成された透明導電膜からなっており、液晶層39側の第2の電極34aは、複数の細長電極部34bを有する櫛歯形状に形成された透明導電膜からなっている。
【0104】
前記第1の電極33aと第2の電極34aのうちの一方の電極、例えば後側基板32側の複数の第1の電極33aは、各行毎に共通接続され、他方の電極、つまり液晶層39側の複数の第2の電極34aは、これらの第2の電極34aにそれぞれ対応させて後側基板32の内面に配置された図示しないTFTに接続されている。また、前記観察側基板2の内面には、前記複数の画素にそれぞれ対応させて、赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bが設けられている。
【0105】
そして、前記一対の基板31,32の内面はそれぞれ、前記カラーフィルタ6R,6G,6B及び前記複数の第2の電極34aを覆って水平配向膜(図示せず)を形成し、これらの配向膜面を、前記第2の電極34aの複数の細長電極部34bの長手方向と実質的に平行(細長電極部34bの長手方向に対して0°〜10°程度の角度範囲)で、且つ互いに反対方向にラビングすることにより配向処理されており、前記液晶層39の液晶分子40は、分子長軸を前記一対の基板31,32の配向処理方向、つまり前記第2の電極34aの細長電極部34bの長手方向と実質的に平行な方向に揃えて、前記基板31,32面に対して1〜5°程度の角度でプレチルトした状態で配向している。
【0106】
また、液晶層39のΔndは、前記液晶分子40の無電界時の配向方向に対して45°の角度で交差する方向に光の振動面を有する直線偏光に対して1/2波長の位相差を与える値に設定されている。
【0107】
なお、この液晶素子30aは、透過型素子であり、数の画素を形成するための複数の第1及び第2の電極33a,34aと液晶層39以外は、上記第3の実施例の液晶素子30と同じ構成となっている。
【0108】
図10は、この実施例における液晶素子30aの液晶分子40の配向状態と、観察側及び後側偏光板41,42の吸収軸41a,42aの向きと、第1及び第2のλ/4板43,44の遅相軸43a,44aの向きを示している。
【0109】
図10のように、前記液晶素子30aの液晶層39の液晶分子40は、分子長軸を前記一対の基板31,32の配向処理方向、つまり前記第2の電極34aの細長電極部34bの長手方向と実質的に平行な方向に揃え、前記基板31,32面に対して1〜5°程度の角度でプレチルトした状態で配向しており、前記第1と第2の電極33a,34a間への電圧の印加により、これらの電極33a,34a間に生じる横方向の電界によって、図に二点鎖線で示したように、前記基板31,32面に沿った方向に分子長軸の向きを変えて配向する。
【0110】
なお、前記第1と第2の電極33a,34a間に印加する電圧の最大値は、前記液晶分子40を、無電界時の配向方向に対して実質的に45°の方向に配向させる値に設定される。
【0111】
そして、前記観察側偏光板41は、その吸収軸41aを、前記液晶分子40の無電界時の配向方向に対して一方の方向に実質的に45°の角度で交差する方向に向けて配置され、前記後側偏光板42は、その吸収軸42aを、前記観察側偏光板41の吸収軸41aにと実質的に平行な方向に向けて配置されている。
【0112】
また、前記第1と第2のλ/4板43,44のうちの液晶素子30a側の第1のλ/4板43は、その遅相軸43aを、前記観察側偏光板41の吸収軸41aに対して実質的に45°の角度で交差する2つの方向のうちの一方、例えば前記液晶素子30の無電界時の液晶分子40の配向方向と実質的に平行な方向に向けて配置され、保護板25側の第2のλ/4板44は、その遅相軸44aを、前記第1のλ/4板43の遅相軸43aに対して実質的に直交する方向に向けて配置されている。即ち、前記第1と第2のλ/4板43,44は、それぞれの遅相軸43a,44aを互いに直交させて配置されている。
【0113】
そして、前記第1のλ/4板43は、前記液晶素子30の前記観察側偏光板41の外面に密着させて配置され、前記観察側偏光板41と前記第2のλ/4板44は、互いに積層して前記保護板25の前記液晶素子30と対向する面に密着させて配置されており、さらに、前記第1のλ/4板43と前記第2のλ/4板44とは、互いに隙間を設けて配置されている。なお、前記後側偏光板42は、前記液晶素子30の後側基板32の外面に密着させるか、或いは前記後側基板32の外面に近接させて配置されている。
【0114】
この表示装置は、面光源19から照明光を照射させて透過表示を行うものであり、前記面光源19から照射された光は、後側偏光板42によりその吸収軸42aと平行な直線偏光成分を吸収され、前記後側偏光板42の吸収軸42aと直交する直線偏光になって前記液晶素子30に入射する。
【0115】
そして、前記液晶素子30の第1と第2の電極33a,34a間に電圧が印加されない無電界時(液晶分子40が後側偏光板42の吸収軸42aに対して実質的に45°角度で交差する方向に配向したとき)は、前記液晶素子30の複数の画素に入射した前記直線偏光が、前記液晶層37を観察側に向かって透過する間に1/2波長の位相差が与えられ、前記後側偏光板42の吸収軸42aと直交する直線偏光になって前記液晶素子30aの観察側へ出射する。
【0116】
前記液晶素子30aから出射した前記直線光は、遅相軸が互いに直交する第1のλ/4板43と第2のλ/4板44を透過するため、偏光状態を変えることなく観察側偏光板41の吸収軸42aと平行な直線偏光のまま観察側偏光板41に入射する。
【0117】
そのため、前記無電界時は、前記液晶素子30から出射して前記第1のλ/4板43及び第2のλ/4板44を透過した光は、前記観察側偏光板41により吸収され、無電界画素の表示が暗表示になる。
【0118】
また、前記液晶素子30aの第1と第2の電極33a,34a間に液晶分子40を無電界時の配向方向に対して実質的に45°の角度方向、つまり、前記後側偏光板42の吸収軸42aと実質的に平行または直交する方向(図10では平行な方向)に配向させる電圧を印加すると、前記後側偏光板42を透過して前記液晶素子30に入射した直線偏光が、前記液晶層39を偏光状態を変えること無く透過して前記液晶素子30aの観察側に出射する。
【0119】
前記液晶層39を偏光状態を変えること無く透過して前記液晶素子30aの観察側に出射した直線偏光(後側偏光板42の吸収軸42aと直交する直線偏光)は、遅相軸が互いに直交する前記第1のλ/4板43と第2のλ/4板44を透過するため、偏光状態を変えることなく、観察側偏光板41の吸収軸41aと直交する直線偏光のまま前記観察側偏光板41に入射する。
【0120】
そのため、この電圧印加時は、前記液晶素子30aから出射して前記第1のλ/4板43及び第2のλ/4板44を透過した光は、前記観察側偏光板41を透過し、さらに保護板25を透過して観察側に出射して、電圧印加画素の表示が明表示になる。
【0121】
なお、この実施例では、前記観察側偏光板41と後側偏光板42とを、それぞれの吸収軸41a,42aを実質的に平行にして配置しているが、前記観察側偏光板41と後側偏光板42は、それぞれの吸収軸41a,42aを実質的に直交させて配置してもよく、その場合は、無電界画素の表示が明表示になり、電圧印加画素の表示が暗表示になる。
【0122】
そして、この表示装置は、前記第1のλ/4板43を前記液晶素子30の観察側基板31の外面に密着させて配置し、前記観察側偏光板41と前記第2のλ/4板44を、互いに積層して前記保護板25の前記液晶素子30aと対向する面に密着させて配置し、さらに前記第1のλ/4板43と前記第2のλ/4板44とを互いに間隙を設けて配置しているため、上記第3の実施例と同様に、表面反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる。
【0123】
(第3及び第4の実施形態の応用例)
なお、上記第3及び第4の実施例における観察側及び反対側の偏光板41,42と第1及び第2のλ/4板43,44の配置は、上記TN型または横電界制御型の液晶素子30,30aを備えた表示装置に限らず、他の方式の液晶素子を備えた表示装置にも適用することができる。
【0124】
(第5の実施形態)
図11及び図12はこの発明の第5の実施例を示しており、図11は表示装置の一部分の断面図である。なお、この実施例において、面光源19と保護板25は、上記第1の実施例のものと同じである。
【0125】
この実施例の表示装置は、図11のように、液晶素子1と、前記液晶素子1の液晶層11の液晶分子12の配向状態に対応して予め定めた方向に吸収軸51a(図12参照)をもち、前記液晶素子1の観察側に配置された第1の観察側偏光板51と、前記第1の観察側偏光板51の吸収軸51aに対して実質的に平行な方向に吸収軸52a(図12参照)をもち、前記第1の観察側偏光板51よりも観察側に配置された第2の観察側偏光板52と、前記第1の観察側偏光板52の吸収軸52aに対して実質的に直交または平行な方向に吸収軸53a(図12参照)をもち、前記液晶素子1の観察側とは反対側に配置された後側偏光板53と、前記第1の観察側偏光板51の吸収軸51aに対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸54a(図12参照)をもち、前記液晶素子1と前記第1の観察側偏光板51との間に配置された第1のλ/4板(1/4波長位相差板)54と、前記第1のλ/4板54の遅相軸54aに対して実質的に直交する方向に遅相軸55a(図12参照)をもち、前記第1の観察側偏光板51よりも観察側に配置された第2のλ/4板55と、前記第2のλ/4板55の遅相軸55aに対して実質的に直交する方向に遅相軸56a(図12参照)をもち、前記第2の観察側偏光板52と前記第2のλ/4板55との間に配置された第3のλ/4板56と、前記第1のλ/4板54の遅相軸54aに対して実質的に直交する方向に遅相軸57a(図12参照)をもち、前記液晶素子1と前記後側偏光板53との間に配置された第4のλ/4板57と、前記後側偏光板53の後側に配置された面光源19と、前記第2の観察側偏光板52よりも観察側に配置された保護板25とを備えている。
【0126】
この実施例において、前記液晶素子1は、上記第1の実施例における非ツイストのホモジニアス配向型素子であり、第1の実施例と同様に、複数の画素D毎に、観察側から入射した光を前記反射膜8により反射して前記観察側へ出射する反射部D1と、面光源19から照射された光を透過させて前記観察側へ出射する透過部D2とが形成されている。
【0127】
図12は、前記液晶素子1の液晶分子12の配向状態と、前記第1と第2の観察側偏光板51,52及び後側偏光板53の吸収軸51a,52a,53aの向きと、前記第1、第2、第3及び第4のλ/4板54,55,56,57の遅相軸54a,55a,56a,57aの向きを示している。
【0128】
図11のように、前記液晶素子1の液晶層11の液晶分子12は、予め定めた方向、例えば表示装置の画面の上下方向に分子長軸を揃えてホモジニアス配向しており、前記観察側偏光板51は、その吸収軸51aを、前記液晶分子12のホモジニアス配向方向に対して一方の方向に実質的に45°の角度で交差する方向に向けて配置され、前記後側偏光板53は、その吸収軸53aを、前記液晶分子12のホモジニアス配向方向に対して他方の方向に実質的に45°の角度で交差する方向、つまり前記観察側偏光板51の吸収軸51aに対して実質的に直交する方向に向けて配置されている。
【0129】
また、前記第1のλ/4板54は、その遅相軸54aを、前記観察側偏光板51の吸収軸51aに対して実質的に45°の角度で交差する2つの方向のうちの一方、例えば前記液晶分子12のホモジニアス配向方向に対して実質的に直交する方向に向けて配置され、前記第2のλ/4板55は、その遅相軸55aを、前記第1のλ/4板54の遅相軸54aに対して実質的に直交する方向に向けて配置され、前記第3のλ/4板56は、その遅相軸56aを、前記第2のλ/4板55の遅相軸55aに対して実質的に直交する方向に向けて配置され、前記第4のλ/4板57は、その遅相軸57aを、前記第1のλ/4板54の遅相軸54aに対して実質的に直交する方向に向けて配置されている。
【0130】
そして、前記第1のλ/4板54と前記第1の観察側偏光板51と前記第2のλ/4板55は、互いに積層して前記液晶素子1の観察側基板2の外面に密着させて配置され、前記第2の観察側偏光板52と前記第3のλ/4板56は、互いに積層して前記保護板25の前記液晶素子1と対向する面に密着させて配置されており、さらに、前記第2のλ/4板55と前記第3のλ/4板56とは、互いに間隙を設けて配置されている。
【0131】
なお、前記第4のλ/4板57は、前記液晶素子1の後側基板3の外面に密着させるか、或いは前記後側基板3の外面に近接させて配置されており、前記後側偏光板53は、前記第2のλ/4板57と積層するか、或いは前記第2のλ/4板57に近接させて配置されている。
【0132】
この実施例の表示装置は、前記液晶素子1と、前記第1のλ/4板54及び第1の観察側偏光板51と、前記第4のλ/4板57及び後側偏光板53とによって表示系を構成したものであり、この表示系により、上記第1の実施例の表示装置と同様な反射表示と透過表示とを行う。
【0133】
前記表示系の観察側偏光板51から観察側に出射した前記直線偏光は、互いに遅相軸が直交する前記第2のλ/4板55と前記第3のλ/4板56を透過するため、偏光状態を変えること無く第2の観察側偏光板52の吸収軸52aと直交する直線偏光のまま前記第2の観察側偏光板52に入射し、この第2の観察側偏光板52を透過して観察側に出射する。
【0134】
そして、この表示装置は、前記第1のλ/4板54と前記第1の観察側偏光板51と前記第2のλ/4板55を、互いに積層して前記液晶素子1の観察側基板2の外面に密着させて配置し、前記第2の観察側偏光板52と前記第3のλ/4板56を、互いに積層して前記保護板25の前記液晶素子1と対向する面に密着させて配置し、さらに、前記第2のλ/4板55と前記第3のλ/4板56とを互いに間隙を設けて配置しているため、観察側から入射した光の反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる。
【0135】
すなわち、この表示装置においては、観察側から入射した光は、保護板25と、前記保護板25及びその液晶素子1と対向する面に密着させて積層された第2の観察側偏光板52と第3のλ/4板56を透過し、さらに、前記液晶素子1の観察側基板2の外面に密着させて積層された第2の/4板56と第1の観察側偏光板51と第1のλ/4板54とを透過して前記液晶素子1に入射する過程で、その一部の光が、屈折率の差が大きい界面、即ち、前記保護板25の表面、前記第3のλ/4板56の第2のλ/4板55と対向する内面及び前記第2のλ/4板55の前記第3のλ/4板56と対向する面で反射される。
【0136】
これらの屈折率の差が大きい界面による反射光のうち、前記第3のλ/4板56の第2のλ/4板55と対向する内面で反射された光と、前記第2のλ/4板55の前記第3のλ/4板56と対向する面で反射された光は、いずれも、観察側から入射し、前記第2の観察側偏光板52を透過してその吸収軸52aと直交する直線偏光に前記第3のλ/4板56によりλ/4の位相差が与えられた円偏光の反射光であり、これらの反射光(円偏光)が、再び前記第3のλ/4板56を透過することによって、さらにλ/4の位相差が与えられ、λ/2の位相を持った前記第2の観察側偏光板52の吸収軸52aと平行な直線偏光になって、前記第2の観察側偏光板52により吸収される。
【0137】
そのため、観察側から入射し、液晶素子1に入射する経路において、前記第3のλ/4板56の第2のλ/4板55と対向する内面、及び前記第2のλ/4板55の前記第3のλ/4板56と対向する面で反射された反射光は、前記第2の観察側偏光板52で吸収されて観察側に出射しない。したがって、表面反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる。
【0138】
なお、この実施例の表示装置は、反射表示と透過表示とを行う反射/透過型のものであるが、これらの実施例は、反射/透過型表示装置に限らず、外光を利用する反射表示だけを行う反射型表示装置にも、また面光源19からの照明光を利用する透過表示だけを行う透過型表示装置にも適用することができ、反射型表示装置の場合は、上記実施例における後側偏光板53及び第4のλ/4板57と面光源19は不要である。
【0139】
また、上記表示装置は、非ツイストのホモジニアス配向型液晶素子1を備えたものであるが、この実施例における第1及び第2の観察側偏光板51,52及び反対側偏光板53と、第1〜第3のλ/4板54,55,56及び第4のλ/4板57の配置は、他の方式の液晶素子、例えば、垂直配向型、TN型、液晶分子を一対の基板間において180°〜270°のねじれ角でツイスト配向させたSTN型、横電界制御型、液晶分子をベンド配向させるベンド配向型のいずれか、あるいは強誘電性または反強誘電性液晶素子等を備えた表示装置にも適用することができる。
【0140】
(第6の実施形態)
図13及び図14はこの発明の第6の実施例を示しており、図13は表示装置の一部分の断面図である。なお、この実施例において、面光源19と保護板25は、上記第1の実施例のものと同じである。
【0141】
この実施例の表示装置は、図13のように、対向配置された観察側及びその反対側の一対の基板31,32間に、液晶分子38を予め定めた配向状態に配向させた液晶層37が封入され、前記一対の基板31,32の互いに対向する内面の少なくとも一方(この実施例では両方)に、電圧の印加により前記液晶分子38の配向状態を変化させて光の透過を制御するための複数の画素を形成する電極33,34が設けられ、前記一対の基板31.32を挟んで観察側とその反対側の一対の偏光板61,62が配置されてなる液晶表示素子60と、前記液晶表示素子60の観察側偏光板61の吸収軸61a(図14参照)に対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸63a(図14参照)をもち、前記液晶表示素子60よりも観察側に配置された第1のλ/4板(1/4波長位相差板)63と、前記第1のλ/4板63の遅相軸63aに対して実質的に直交する方向に遅相軸64a(図14参照)をもち、前記λ/4板63よりもさらに観察側に配置された第2のλ/4板64と、前記液晶表示素子60の観察側偏光板61の吸収軸61aと実質的に平行な方向に吸収軸65a(図14参照)をもち、前記第2のλ/4板64よりも観察側にさらに配置された第2の観察側偏光板65と、前記液晶表示素子60の後側に配置された面光源19と、前記第2の観察側偏光板65よりも観察側に配置された保護板25とを備えている。
【0142】
この実施例において、前記液晶表示素子60は、液晶層37の液晶分子38を、一対の基板31,32間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向させたTN型素子であり、前記一対の基板31,32と、これらの基板31,32の内面に設けられた電極33,34と液晶層37は、上記第3の実施例の液晶素子30と同じ構成となっている。
【0143】
図14は、前記液晶表示素子60を構成する液晶素子30の液晶分子38の配向状態及び一対の偏光板61,62の吸収軸61a,62aの向きと、前記第1と第2のλ/4板63,64の遅相軸63a,64aの向きと、前記第2の観察側偏光板65の吸収軸65aの向きを示している。
【0144】
図14のように、前記液晶素子30の液晶層37の液晶分子38は、一対の基板31,32間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向しており、観察側偏光板61は、その吸収軸61aを、前記液晶素子30の前記観察側偏光板41が隣接する観察側基板31の近傍における液晶分子38の配向方向に対して実質的に平行または直交する方向に向けて配置され、後側偏光板62は、その吸収軸62aを、前記液晶素子30の前記後側偏光板62が隣接する後側基板32の近傍における液晶分子38の配向方向に対して実質的に平行または直交する方向に向けて配置されている。なお、この実施例では、観察側偏光板61の吸収軸61aを、前記観察側基板31の近傍における液晶分子38の配向方向と実質的に平行にし、後側偏光板62の吸収軸62aを、前記観察側偏光板61の吸収軸61aと実質的に直交させている。
【0145】
また、前記第1と第2のλ/4板63,64のうちの前記液晶表示素子60側の第1のλ/4板63は、その遅相軸63aを、前記液晶表示素子60の観察側偏光板61の吸収軸61aに対して実質的に45°の角度で交差する2つの方向のうちの一方、例えば前記液晶素子30の観察側基板31の近傍における液晶分子38の配向方向と実質的に平行な方向に向けて配置され、第2のλ/4板64は、その遅相軸64aを、前記第1のλ/4板63の遅相軸63aに対して実質的に直交する方向に向けて配置されており、さらに、前記第2の観察側偏光板65は、その吸収軸65aを、前記液晶表示素子60の観察側偏光板61の吸収軸61aと実質的に平行にして配置されている。
【0146】
そして、前記液晶表示素子60の観察側偏光板61と前記第1のλ/4板63は、互いに積層して前記液晶表示素子60の観察側基板31の外面に密着させて配置され、前記第2の観察側偏光板65と前記第2のλ/4板64は、互いに積層して前記保護板25の前記液晶表示素子60と対向する面に密着させて配置されており、さらに、前記第1のλ/4板63と前記第2のλ/4板64とは、互いに隙間を設けて配置されている。なお、前記液晶表示素子60の後側偏光板62は、前記液晶表示素子60の後側基板32の外面に密着させるか、或いは前記後側基板32の外面に近接させて配置されている。
【0147】
この実施例の表示装置は、前記液晶表示素子60から観察側に出射した光(表示画像に対応した光)を、前記第1のλ/4板53及び第2のλ/4板64と第2の観察側偏光板65を透過させて観察側に出射する。
【0148】
前記液晶表示素子60から観察側に出射する光は、この液晶表示素子60の観察側偏光板61の吸収軸61aと直交する直線偏光であり、この直線偏光は、互いに遅相軸が直交する前記第1のλ/4板63と前記第2のλ/4板64を透過し、偏光状態を変えること無く第2の観察側偏光板65の吸収軸65aと直交する直線偏光のまま前記第2の観察側偏光板65に入射し、この第2の観察側偏光板65を透過して観察側に出射する。
【0149】
そして、この表示装置は、前記液晶表示素子60の観察側偏光板61と前記第1のλ/4板63を、互いに積層して前記液晶素子30の観察側基板31の外面に密着させて配置し、前記第2の観察側偏光板65と前記第2のλ/4板64を、互いに積層して前記保護板25の前記液晶表示素子60と対向する面に密着させて配置し、さらに、前記第1のλ/4板63と前記第2のλ/4板64とを互いに隙間を設けて配置されているため、観察側から入射し、前記第2のλ/4板64の第1のλ/4板63と対向する内面で反射された光と、前記第1のλ/4板63の前記第2のλ/4板64と対向する面で反射された光とを、前記第2の観察側偏光板65に、その吸収軸65aと平行な直線偏光にして入射させ、これらの光を前記第2の観察側偏光板65により吸収させることができる。
【0150】
そのため、観察側から入射し、前記液晶表示素子60に入射する経路において、前記第2のλ/4板64の第1のλ/4板63と対向する内面、及び前記第1のλ/4板63の前記第2のλ/4板64と対向する面で反射された反射光は、前記第2の観察側偏光板65で吸収されて観察側に出射しない。したがって、表面反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる。
【0151】
なお、この実施例の表示装置は、前記液晶表示素子60を構成する液晶素子として、TN型の液晶素子30を備えたものであるが、前記液晶表示は、TN型に限らず、STN型、非ツイストのホモジニアス配向型、垂直配向型、TN型、横電界制御型、ベンド配向型のいずれか、あるいは強誘電性または反強誘電性液晶素子等でもよい。
【0152】
(第7の実施形態)
図15及び図16はこの発明の第7の実施例を示しており、図13は表示装置の一部分の断面図である。
【0153】
この実施例の表示装置は、図15のように、発光型表示素子70と、前記表示素子70の観察側に配置された強化ガラス等からなる透明な保護板76と、予め定めた方向に吸収軸77a(図16参照)をもち、前記表示素子70と前記保護板76との間に配置された偏光板77と、前記偏光板77の吸収軸77aに対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸78a(図16参照)をもち、前記表示素子70と前記偏光板77との間に配置されたλ/4板(1/4波長位相差板)78とを備えている。
【0154】
前記発光型表示素子70は、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示素子であり、対向配置された透明な観察側基板71及び観察側とは反対側の後側基板72と、前記観察側基板71の後側基板72と対向する内面に行方向及び列方向に配列させて形成された複数の透明な画素電極73と、前記後側基板72の観察側基板71と対向する内面に形成された対向電極74と、前記複数の画素電極73と対向電極74とが互いに対向する領域からなる複数の画素毎に、前記電極73,74間に介在させて形成された赤、緑、青の3色の有機EL発光体層75R,75G,75Bとからなっている。
【0155】
なお、この有機EL表示素子70は、TFTをアクティブ素子としたアクティブマトリックス表示素子であり、図15では省略しているが、前記観察側基板71の内面には、前記複数の画素電極73にそれぞれ接続された複数のTFTと、各行のTFTにゲート信号を供給する複数の走査線と、各列のTFTにデータ信号を供給する複数の信号線が設けられている。
【0156】
図16は、この実施例の表示装置における前記偏光板77の吸収軸77aの向きと前記λ/4板78の遅相軸78aの向きを示しており、前記偏光板77は、その吸収軸77aを、例えば表示装置の画面の上下方向に対して一方の方向に実質的に45°の角度で交差する方向に向けて配置され、前記λ/4板78は、その遅相軸78aを、前記偏光板77の吸収軸77aに対して実質的に45°の角度で交差する方向、例えば画面の上下方向に対して実質的に直交する方向に向けて配置されている。
【0157】
そして、前記偏光板77とλ/4板78は、互いに積層して前記保護板76の表示素子70と対向する面に密着させて配置されており、さらに、前記表示素子70とλ/4板78とは、互いに間隙を設けて配置されている。
【0158】
この表示装置は、前記有機EL表示素子70から観察側に出射した光(表示画像に対応した光)を、前記λ/4板78及び偏光板77を透過させて観察側に出射するものであり、前記表示素子70から観察側に出射した光(非偏光の光)は、前記λ/4板78を透過して前記偏光板77に入射し、その光のうちの前記偏光板77の吸収軸77aに対して直交する直線偏光成分が、前記偏光板77を透過して観察側に出射する。
【0159】
そして、この表示装置は、前記偏光板77とλ/4板78を、互いに積層して前記保護板76の表示素子70と対向する面に密着させて配置し、さらに、前記表示素子70とλ/4板78とを互いに間隙を設けて配置しているため、観察側から入射し、前記λ/4板78の表示素子70と対向する面で反射された光と、前記表示素子70の観察側基板71の外面で反射された光とを、前記偏光板77に、その吸収軸65aと平行な直線偏光にして入射させ、これらの光を前記偏光板77により吸収することができる。
【0160】
そのため、観察側から入射し、前記表示素子70に入射する経路において、前記λ/4板78の表示素子70と対向する面、及び前記表示素子70の観察側基板71の外面で反射された反射光は、観察側基板71で吸収されて観察側に出射しない。したがって、表面反射を充分に少なくし、高コントラストの表示を行うことができる。
【0161】
なお、この実施例の表示装置は、発光型表示素子として、有機EL表示素子70を備えたものであるが、前記発光型表示は、例えばプラズマ表示素子等の他の発光型表示素子でもよい。
【0162】
(他の実施形態)
なお、上述した各実施例の表示装置において、前記保護板25,76は、表面に外光の反射防止処理が施されたアンチグレア保護板が好ましく、このアンチグレア保護板を用いることにより、観察側から入射した光の反射をさらに少なくし、より高コントラストの表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】この発明の第1の実施例を示す表示装置の側面図。
【図2】第1の実施例の表示装置の一部分の断面図の。
【図3】第1の実施例の表示装置における液晶素子の液晶分子配向状態と、観察側及び後側偏光板の吸収軸の向きと、第1及び第2のλ/4板の遅相軸の向きを示す図。
【図4】第1の実施例の表示装置における観察側から入射した光の反射光の光線図。
【図5】この発明の第2の実施例を示す表示装置の一部分の断面図。
【図6】第2の実施例の表示装置における液晶素子の液晶分子配向状態と、観察側及び後側偏光板の吸収軸の向きと、第1及び第2のλ/4板の遅相軸の向きを示す図。
【図7】この発明の第3の実施例を示す表示装置の一部分の断面図。
【図8】第3の実施例の表示装置における液晶素子の液晶分子配向状態と、観察側及び後側偏光板の吸収軸の向きと、前記第1及び第2のλ/4板の遅相軸の向きを示す図。
【図9】この発明の第4の実施例を示す表示装置の一部分の断面図。
【図10】第4の実施例の表示装置における液晶素子の液晶分子配向状態と、観察側及び後側偏光板の吸収軸の向きと、第1及び第2のλ/4板の遅相軸の向きを示す図。
【図11】この発明の第5の実施例を示す表示装置の一部分の断面図。
【図12】第5の実施例の表示装置における液晶素子1の液晶分子配向状態と、第1と第2の観察側偏光板及び後側偏光板の吸収軸の向きと、第1、第2、第3及び第4のλ/4板の遅相軸の向きを示す図。
【図13】この発明の第6の実施例を示す表示装置の一部分の断面図。
【図14】この発明の第6の実施例を示す表示装置の一部分の断面図。
【図15】この発明の第7の実施例を示す表示装置の一部分の断面図。
【図16】第7の実施例の表示装置における偏光板の吸収軸の向きとλ/4板の遅相軸の向きを示す図。
【符号の説明】
【0164】
1,1a,30,30a…液晶素子、2,3,31,32…基板、4,5,33,34,33a,34a…電極、34b…細長電極部、6R,6G,6B,36R,36G,36B…カラーフィルタ、8…反射膜、9…液晶層厚調整膜、D…画素、D1…反射部、D2…透過部、11,13,37,39…液晶層、12,14,38,40…液晶分子,15,16,41,42,51,52,53…偏光板、15a,16a,41a,42a,51a,52a,53a…吸収軸、17,18,43,54,55,56…λ/4板(1/4波長位相差板)、17a,18a,43a,54a,55a,56a…遅相軸、19…面光源、25…保護板、60…液晶表示素子、61,62…偏光板、63,64…λ/4板(1/4波長位相差板)、65…第2の観察側偏光板、70…発光型表示素子(有機EL表示素子)、76…保護板、77…偏光板、77a…吸収軸、18…λ/4板(1/4波長位相差板)、78a…遅相軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された観察側及びその反対側の一対の基板間に、液晶分子を予め定めた配向状態に配向させた液晶層が封入され、前記一対の基板の互いに対向する内面の少なくとも一方に、電圧の印加により前記液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御するための複数の画素を形成する電極が設けられた液晶素子と、
予め定めた方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側に配置された偏光板と、
前記偏光板の吸収軸に対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸をもち、前記液晶素子と前記偏光板との間に配置された1/4波長位相差板と、
前記偏光板よりも観察側に配置された保護板と、
を備え、
前記偏光板と前記1/4波長位相差板は、互いに積層して前記保護板の前記液晶素子と対向する面に密着させて配置され、
前記液晶素子と前記1/4波長位相差板とは、互いに間隙を設けて配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
液晶素子の観察側に配置された観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に直交または平行な方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側とは反対側に配置された後側偏光板と、前記液晶素子と前記観察側偏光板との間に配置された第1の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記液晶素子と前記後側偏光板との間に配置された第2の1/4波長位相差板とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
液晶素子は、一対の基板の内面それぞれに、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極が設けられ、液晶層の液晶分子が、分子長軸を予め定めた方向に揃えて前記基板面と実質的に平行にホモジニアス配向し、前記電極間への電圧の印加により、前記基板面に対して立ち上がり配向する非ツイストのホモジニアス配向型素子であり、観察側偏光板と後側偏光板はそれぞれ、その吸収軸を、前記液晶分子のホモジニアス配向方向に対して実質的に45°の角度で交差する方向に向けて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
液晶素子は、一対の基板の内面それぞれに、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極が設けられ、液晶層の液晶分子が、分子長軸を前記基板面に対して実質的に垂直な方向に向けて配向し、前記電極間への電圧の印加により、分子長軸を予め定めた方向に揃えて倒伏配向する垂直配向型素子であり、観察側偏光板と後側偏光板はそれぞれ、その吸収軸を、前記液晶分子の倒伏方向に対して実質的に45°の角度で交差する方向に向けて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
液晶素子は、観察側とは反対側の基板の内面に、複数の画素毎に前記画素内の予め定められた領域に対応する反射膜が設けられ、前記複数の画素毎に、前記反射膜が設けられた領域により、観察側から入射した光を前記反射膜により反射して前記観察側へ出射する反射部が形成され、前記複数の画素の前記反射部以外の領域により、前記観察側とは反対側から入射した光を透過させて前記観察側へ出射する透過部が形成され、さらに、前記反射部の液晶層厚が、前記透過部の液晶層厚の実質的に1/2に設定された反射/透過型素子であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
対向配置された観察側及びその反対側の一対の基板間に、液晶分子を予め定めた配向状態に配向させた液晶層が封入され、前記一対の基板の互いに対向する内面の少なくとも一方に、電圧の印加により前記液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御するための複数の画素を形成する電極が設けられた液晶素子と、
予め定めた方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側に配置された観察側偏光板と、
前記観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に直交または平行な方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側とは反対側に配置された後側偏光板と、
前記観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸をもち、前記液晶素子と前記観察側偏光板との間に配置された第1の1/4波長位相差板と、
前記第1の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記観察側偏光板と前記第1の1/4波長位相差板との間に配置された第2の1/4波長位相差板と、
前記観察側偏光板よりも観察側に配置された保護板と、
を備え、
前記第1の1/4波長位相差板は、前記液晶素子の観察側基板の外面に密着させて配置され、
前記観察側偏光板と前記第2の1/4波長位相差板は、互いに積層して前記保護板の前記液晶素子と対向する面に密着させて配置され、
前記第1の1/4波長位相差板と前記第2の1/4波長位相差板とは、互いに隙間を設けて配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
液晶素子は、一対の基板の内面それぞれに、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極が設けられ、液晶層の液晶分子が、分子長軸を前記基板面と実質的に平行な方向に向けて前記一対の基板間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向し、前記複数の画素の前記電極間への電圧の印加により、前記基板面に対して立ち上がり配向するツイステッドネマティック型素子であり、観察側偏光板と後側偏光板はそれぞれ、その吸収軸を、これらの偏光板が隣接する前記基板の近傍における前記液晶分子の配向方向に対して実質的に平行または直交する方向に向けて配置されていることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
液晶素子は、一対の基板のいずれか一方の内面に、複数の画素を形成するための第1の電極と、それよりも液晶層側に前記第1の電極と絶縁して形成された複数の細長電極部を有する第2の電極とが設けられ、液晶層の液晶分子が、分子長軸を前記細長電極部の長手方向に揃えて前記基板面と実質的に平行に配列した配向状態に配向し、前記複数の画素の前記第1と第2の電極間への電圧の印加により、これらの電極間に生じる横方向の電界によって前記基板面に沿った方向に分子長軸の向きを変えて配向する横電界制御型素子であり、観察側偏光板と後側偏光板はそれぞれ、その吸収軸を、前記液晶分子の無電界時の配向方向に対して実質的に45°の角度で交差する方向に向けて配置されていることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
対向配置された観察側及びその反対側の一対の基板間に、液晶分子を予め定めた配向状態に配向させた液晶層が封入され、前記一対の基板の互いに対向する内面の少なくとも一方に、電圧の印加により前記液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御するための複数の画素を形成する電極が設けられた液晶素子と、
予め定めた方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側に配置された第1の観察側偏光板と、
前記第1の観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に平行な方向に吸収軸をもち、前記第1の観察側偏光板よりも観察側に配置された第2の観察側偏光板と、
前記第1の観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に直交または平行な方向に吸収軸をもち、前記液晶素子の観察側とは反対側に配置された後側偏光板と、
前記第1の観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸をもち、前記液晶素子と前記第1の観察側偏光板との間に配置された第1の1/4波長位相差板と、
前記第1の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記第1の観察側偏光板よりも観察側に配置された第2の1/4波長位相差板と、
前記第2の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記第2の観察側偏光板と前記第2の1/4波長位相差板との間に配置された第3の1/4波長位相差板と、
前記第1の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記液晶素子と前記後側偏光板との間に配置された第4の1/4波長位相差板と、
前記第2の観察側偏光板よりも観察側に配置された保護板と、
を備え、
前記第1の1/4波長位相差板と前記第1の観察側偏光板と前記第2の1/4波長位相差板は、互いに積層して前記液晶素子の観察側基板の外面に密着させて配置され、
前記第2の観察側偏光板と前記第3の1/4波長位相差板は、互いに積層して前記保護板の前記液晶素子と対向する面に密着させて配置され、
前記第2の1/4波長位相差板と前記第3の1/4波長位相差板とは、互いに間隙を設けて配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
対向配置された観察側及びその反対側の一対の基板間に、液晶分子を予め定めた配向状態に配向させた液晶層が封入され、前記一対の基板の互いに対向する内面の少なくとも一方に、電圧の印加により前記液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御するための複数の画素を形成する電極が設けられ、前記一対の基板を挟んで観察側とその反対側の一対の偏光板が配置されてなる液晶表示素子と、
前記液晶表示素子の観察側偏光板の吸収軸に対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸をもち、前記液晶表示素子よりも観察側に配置された第1の1/4波長位相差板と、
前記第1の1/4波長位相差板の遅相軸に対して実質的に直交する方向に遅相軸をもち、前記第1の1/4波長位相差板よりもさらに観察側に配置された第2の1/4波長位相差板と、
前記液晶表示素子の観察側偏光板の吸収軸と実質的に平行な方向に吸収軸をもち、前記第2の1/4波長位相差板よりも観察側にさらに配置された第2の観察側偏光板と、
前記第2の観察側偏光板よりも観察側に配置された保護板と、
を備え、
前記液晶表示素子の観察側偏光板と前記第1の1/4波長位相差板は、互いに積層して前記液晶表示素子の観察側基板の外面に密着させて配置され、
前記第2の観察側偏光板と前記第2の1/4波長位相差板は、互いに積層して前記保護板の前記液晶表示素子と対向する面に密着させて配置され、
前記第1の1/4波長位相差板と前記第2の1/4波長位相差板とは、互いに間隙を設けて配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
発光型表示素子と、
前記表示素子の観察側に配置された保護板と、
予め定めた方向に吸収軸をもち、前記表示素子と前記保護板との間に配置された偏光板と、
前記偏光板の吸収軸に対して実質的に45°の角度で交差する方向に遅相軸をもち、前記表示素子と前記偏光板との間に配置された1/4波長位相差板と、
を備え、
前記偏光板と前記1/4波長位相差板は、互いに積層して前記保護板の前記表示素子と対向する面に密着させて配置され、
前記表示素子と前記1/4波長位相差板とは、互いに間隙を設けて配置されていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−139760(P2010−139760A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315967(P2008−315967)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】