説明

表示装置

【課題】パターニングマスクの着膜量を最低限に抑えることによって製造コストを抑えた上で、低電圧駆動の赤色有機EL素子と発光効率の良い青色有機EL素子とを備えた表示装置を提供する。
【解決手段】各有機EL素子は、陰極21と発光層16の間に共通に配置されて、且つ、赤色発光層16Rに接している第1電子輸送層19を有し、青色有機EL素子は、第1電子輸送層19と青色発光層16Bとの間に配置されて、青色発光層16Bに接している第2電子輸送層18を有し、第2電子輸送層18を形成する材料バンドギャップが第1電子輸送層19を形成する材料のバンドギャップよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤、緑、青の3色の有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、陽極と陰極からなる一対の電極間に、少なくとも発光層を含む有機化合物層を配置した積層構造を有し、該有機化合物層には、耐久特性と発光効率の向上を目的として、さらに正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等が挿入される。
【0003】
また、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等の有機EL素子を構成する層は、一般に、基板上に真空蒸着によって有機材料を成膜することによって形成される。そこで、赤、緑、青の3色の有機EL素子を用いたフルカラー表示の有機EL表示装置では、赤、緑、青それぞれの発光層は、各色の画素形状に合わせたパターニング用の金属マスクを用いて真空蒸着されている。近年、有機EL表示装置の高精細化に伴い各色画素サイズは微小化し、その画素形状に合わせたパターニング用の金属マスクも高精細用になっているため、表示装置の製造コストに占める金属マスクの製造及び維持管理費用は、非常に大きなものになっている。
【0004】
特許文献1では、赤、青、緑のそれぞれの発光層を形成した後に連続して、そのまま該発光層のパターニングマスクを用いて発光層と接した電子輸送層を形成する技術が記載されている。即ち、赤、青、緑のうち少なくとも一つの発光層を形成した後、そのパターニングマスクを用いて電子輸送層を形成することで、発光層と電子輸送層を同一の真空チャンバーで形成し、よって発光層への不純物の混入を防ぎ、耐久特性を挙げることができるものである。しかしながら、この時、発光層のパターニングマスクを用いて電子輸送層を形成することは、発光層のパターニングマスクの着膜量を増大させるため洗浄頻度が多くなり製造コストの上昇につながる。そのため、発光層に接してパターニングマスクを用いて薄く電子輸送層を形成し、その上にパターニングマスクを用いず赤、緑、青を共通で残りの電子輸送層の膜厚分を形成する構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7535167号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、発光層のパターニングマスクはコストが高く、少しでも着膜量を少なくすることが求められる。
【0007】
一方、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等を有機化合物層に挿入する場合、赤、緑、青それぞれの発光層に合わせて各色ごとに正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層といった層を塗り分ける方が発光効率の向上につながりやすい。特に、バンドギャップの狭い赤の発光層と、バンドギャップの広い青の発光層は、最適な電子輸送層が異なる。例えば、赤色の発光層に最適なバンドギャップの電子輸送層を青色に用いると、十分に電子が注入できず、ホールが発光層から漏れる現象が起きるため、発光効率が悪くなってしまう。また、例えば青色の発光層に最適なバンドギャップの電子輸送層を赤色に用いると、電子注入性は良く、ホールの漏れも防ぐ事ができるが、赤色に最適な電子輸送層を用いる場合に比べて電子輸送層への電子注入障壁が大きくなり、電圧が上がってしまう問題がある。
【0008】
本発明の課題は、上記問題を解決し、パターニングマスクの着膜量を最低限に抑えることによって製造コストを抑えた上で、低電圧駆動の赤色有機EL素子と発光効率の良い青色有機EL素子とを備えた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、赤色を発する有機EL素子と、緑色を発する有機EL素子と、青色を発する有機EL素子と、を有し、各有機EL素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間にある発光層と、を有する表示装置であって、
前記各有機EL素子は、陰極と発光層の間に共通に配置されて、かつ、前記赤色を発する有機EL素子の発光層に接している第1電子輸送層を有し、
前記青色を発する有機EL素子は、前記第1電子輸送層と前記青色を発する有機EL素子の発光層との間に配置されて、前記青色を発する有機EL素子の発光層に接している第2電子輸送層を有し、
前記第2電子輸送層を形成する材料のバンドギャップが前記第1電子輸送層を形成する材料のバンドギャップよりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、青色有機EL素子の発光層、赤色有機EL素子の発光層にそれぞれ適した電子輸送層が接していることから、赤色有機EL素子の駆動電圧を上げることなく、青色有機EL素子において高い発光効率を得ることができる。また、本発明においては、電子輸送層の形成工程において、第2電子輸送層の形成時にのみパターニングマスクを用いることから、全色で電子輸送層をパターン化するよりも、パターニングマスクの着膜量及び洗浄頻度を減らすことができ、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の表示装置の一実施形態の構成を示す1画素分の断面模式図である。
【図2】本発明の表示装置の一実施形態の青色有機EL素子の代表的なエネルギーバンド図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、赤色を発する有機EL素子と、緑色を発する有機EL素子と、青色を発する有機EL素子と、を有する有機EL表示装置であり、各色の有機EL素子には、陽極及び陰極からなる一対の電極間に、発光層が配置されている。そして、各有機EL素子は、陰極と発光層の間に共通に配置された第1電子輸送層を有している。この第1電子輸送層は、赤色の有機EL素子の発光層(以下、赤色発光層と記す。また緑色、青色の有機EL素子の発光層も同様に記す)に接する構成である。また、青色の有機EL素子は、第1電子輸送層と青色発光層との間に第2電子輸送層をさらに有している。そして、この第2電子輸送層は青色発光層に接する構成である。尚、以下の記載において、赤、緑、青の各有機EL素子についてはそれぞれ、赤色素子、緑色素子、青色素子と記す。
【0013】
以下、図1を用いて説明する。図1は本発明の表示装置の一実施形態の1画素分を示す断面模式図であり、本例は、トップエミッション型で反射電極が陽極の有機EL素子を用いて構成した例である。尚、本発明においては、トップエミッション型に限らず、ボトムエミッション型や、また、反射電極が陰極の場合も含まれる。
【0014】
図1において、11は基板、12は陽極、13は金属層、14は透明導電層、15は正孔輸送層、16は発光層、17は電子輸送層、20は電子注入層、21は陰極である。発光層16は赤色、緑色、青色の発光色に対応して赤色発光層16R、緑色発光層16G、青色発光層16Bを有している。電子輸送層17は、第1電子輸送層19と第2電子輸送層18で形成され、第2電子輸送層18はパターニングマスクを用いて青色発光層16Bと同じ形状に形成され、第1電子輸送層19はパターニングマスクを用いずに形成される。
【0015】
本発明においては、上記の如く第2電子輸送層18はパターニングマスクを用いて形成し、第1電子輸送層19はパターニングマスクを用いずに形成することにより、全色で電子輸送層をパターン化するよりも、パターニングマスクの使用を減らすことができる。
【0016】
本例の陽極12は、基板11の上に形成され、金属層13と透明導電層14の積層構成となっているが、反射性及び導電性の高い金属のみで形成しても良い。
【0017】
正孔輸送層15に用いられる材料としてはアリールアミン類など、従来から知られた材料を用いることができ、異なる材料を積層して形成しても良く、光取り出し効率を高めるために赤、緑、青ごとに膜厚を変えて、光学干渉を合わせても良い。
【0018】
発光層16には有機EL表示装置の発光層として既知の材料を用いることができる。本発明では、赤色発光層16R、緑色発光層16G、青色発光層16Bが個別に形成され、各発光層16の形成はパターニングマスクを用い、蒸着法で行われる。
【0019】
本発明において、青色発光層16Bは、その主たる発光位置が第2電子輸送層側にあることが好ましく、その場合、青色素子でホールが発光層16Bから漏れることを防ぐことにより、更に青色素子の発光効率を良くすることができる。
【0020】
そして青色発光層16Bの上には、パターニングマスクを用い、蒸着法で第1電子輸送層18が形成される。また、本発明では緑色発光層16Gの上にも第2電子輸送層18を形成しても良い。
【0021】
そして第1電子輸送層19が赤色発光層16Rにも接して、パターニングマスクを用いずに赤、緑、青色の各色共通で形成される。この時、第2電子輸送層18を形成する材料のバンドギャップが第1電子輸送層19を形成する材料のバンドギャップよりも大きいことを特徴とする。材料のバンドギャップとは、その材料のHOMO(最高被占軌道)準位のエネルギーとLUMO(最低空軌道)準位のエネルギーの差のことである。尚、第1電子輸送層19は、第2電子輸送層18に接して形成されていてもよい。
【0022】
また、本発明において、第1電子輸送層19と第2電子輸送層18のHOMO準位のエネルギーとLUMO準位のエネルギーの関係は、下記式(A)の関係を満たしていることが好ましい。
【0023】
LUMO2<LUMO1<HOMO1<HOMO2 (A)
【0024】
式(A)において、LUMO1、LUMO2はそれぞれ、第1電子輸送層19、第2電子輸送層18のLUMO準位のエネルギーの絶対値、HOMO1、HOMO2はそれぞれ、第1電子輸送層19、第2電子輸送層18のHOMO準位のエネルギーの絶対値を示す。
【0025】
図2に、本発明の表示装置の一実施形態の青色素子の代表的なエネルギーバンド図を示す。図2に示されるように、この構成により青色発光層16Bに接してバンドギャップの大きい第2電子輸送層18を形成することにより、十分に電子が注入でき、ホールが発光層16Bから漏れることも防げるため、青色素子の発光効率を良くすることができる。
【0026】
また、第1電子輸送層19のLUMO準位には電子が注入しやすいため、赤色発光層16Rに接してバンドギャップの狭い第1電子輸送層19を形成することにより、赤色素子の電圧を低くする事ができる。本発明では、第1電子輸送層19は異なる材料を積層して形成しても良く、この場合第2電子輸送層18と接して用いられる材料も式(A)の関係を満たす。
【0027】
また本発明では、青色発光層16Bのホスト材料と第2電子輸送層18のHOMO準位のエネルギーが下記式(B)の関係を満たすことが好ましい。
【0028】
HOMObh<HOMO2 (B)
【0029】
式(B)において、HOMObh、HOMO1はそれぞれ、青色発光層16Bのホスト材料、第2電子輸送層18のHOMO準位のエネルギーの絶対値を示す。
【0030】
この場合、図2に示すように第2電子輸送層18のHOMO準位が青色発光層16Bのホスト材料のHOMO準位よりも深いため、ホールブロック層として働き、ホールが発光層16Bから漏れることをより防ぎ、青色素子の発光効率を更に良くすることができる。
【0031】
また、青色発光層16Bは少なくともホスト材料と発光ドーパント材料を含み、青色発光層のホスト材料と発光ドーパント材料のHOMO準位のエネルギーとLUMO準位のエネルギーが下記式(C)の関係を満たすことがより好ましい。
【0032】
LUMObh<LUMObd<HOMObh<HOMObd (C)
【0033】
式(C)において、LUMObh、LUMObdはそれぞれ、青色発光層16Bのホスト材料、発光ドーパント材料のLUMO準位のエネルギーの絶対値を示す。また、HOMObh、HOMObdは青色発光層16Bのホスト材料、発光ドーパント材料のHOMO準位のエネルギーの絶対値を示す。
【0034】
この場合、図2に示されるように、青色発光層16Bは電子をトラップしやすくなるため、青色発光層16Bの主たる発光位置がより電子輸送層17側(第2電子輸送層18側)になり、ホールが発光層16Bから漏れることを抑制できる。よって、更に青色素子の発光効率を良くすることができる。さらに、式(B)を満たすことによりホールが青色発光層16Bから漏れることを抑制できる。
【0035】
本発明において、第1電子輸送層19と第2電子輸送層18には従来から知られた電子輸送性材料を用いることができる。例としては、アルミニウムキノリノール錯体、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フェナントレン化合物、クリセン化合物、ピレン化合物、フルオランテン化合物、フェナントロリン化合物、アザ化合物などが挙げられる。
【0036】
第1電子輸送層19の上には電子注入層20を形成してもよく、その上には光透過性を有する陰極21が形成される。
【0037】
上記に述べた構成により、本発明は、パターニングマスクの着膜量及び洗浄頻度を最低限に抑え、赤色素子の電圧を上げずに青色素子の発光効率が高い有機EL表示装置を提供することができる。
【0038】
尚、本発明で定義するバンドギャップは吸収スペクトルの吸収端から求めたものであり、HOMO及びLUMOは、エネルギーレベルの絶対値で示している。HOMOは大気中光電子分光法(AC−2)を用いて測定した。また、LUMOは、上記の方法で測定したHOMOの値から吸収スペクトルの吸収端から求めたバンドギャップを引いて算出した。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例について説明する。以下の実施例に用いた材料や素子構成は、特に好ましい例であるが、これに限定されるものではない。
【0040】
(実施例1、比較例2)
図1に示した断面構造の有機EL表示装置の青色素子を作製した。
【0041】
基板11としてガラスを用い、金属層13として銀(膜厚200nm)、透明導電層14としてIZO(膜厚20nm)を積層した陽極12が形成された電極付基板を形成し、UV/オゾン洗浄を施した。
【0042】
続いて、真空蒸着装置(アルバック社製)に取り付け、1.33×10-4Pa(1×10-6Torr)まで排気した。その後、陽極12上にパターニングマスクを用いずにN,N’−α−ジナフチルベンジジンを20nm成膜し、正孔輸送層15を形成した。
【0043】
次に発光ドーパント材料として下記構造式(1)で示されるフルオランテン化合物(2質量%)、ホスト材料として下記構造式(2)で示されるピレン化合物を用い、厚さ20nmの青色発光層16Bを形成した。
【0044】
次に、第2電子輸送層18として下記構造式(3)で示されるアザ化合物(バンドギャップ3.41eV)を10nmの膜厚で成膜した。さらに、第2電子輸送層18の上に、第1電子輸送層19として構造式(4)で示されるフェナントロリン化合物(バンドギャップ3.18eV)を10nmの膜厚で成膜した。
【0045】
次に第1電子輸送層19上に炭酸セシウム(3容量%)と構造式(4)で表されるフェナントロリン化合物の共蒸着膜を40nmの膜厚で成膜し、電子注入層20とした。続いて、電子注入層20まで成膜した基板を、スパッタ装置(アルバック社製)へ真空中を搬送し、前記電子注入層20上にインジウム錫酸化物(IZO)をスパッタ法にて30nm成膜し、陰極21を形成した。その後、基板をグローブボックスに移し、窒素雰囲気中で乾燥剤を入れたガラスキャップにより封止した。
【0046】
【化1】

【0047】
発光ドーパントとして用いた構造式(1)のフルオランテン化合物のLUMO準位のエネルギーは3.06eV、HOMO準位のエネルギーは5.85eVであった。また、ホスト材料として用いた構造式(2)のピレン化合物のLUMO準位のエネルギーは2.71eV、HOMO準位のエネルギーは5.70eVであった。
【0048】
また、第2電子輸送層18として用いた構造式(3)のアザ化合物のLUMO準位のエネルギーは2.59eV、HOMO準位のエネルギーは6.00eVであった。第1電子輸送層19として用いた構造式(4)のフェナントロリン化合物のLUMO準位のエネルギーは2.65eV、HOMO準位は5.83eVであった。
【0049】
従って、第1電子輸送層19と第2電子輸送層18のHOMO準位のエネルギーとLUMO準位のエネルギーの関係が、前記式(A)の関係を満たしていた。これにより後述の実施例2に記載する赤色発光層16Rに接してバンドギャップの狭い第1電子輸送層19を形成できるため、赤色素子の電圧を低くすることができた。
【0050】
また、第2電子輸送層18と青色発光層16Bのホスト材料は前記式(B)の関係を満たし、第2電子輸送層18はホールブロック層として働き、ホールが青色発光層16Bから漏れることをより防ぐことができた。
【0051】
さらに、青色発光層16Bは前記式(C)の関係を満たし、発光位置が電子輸送層17側であった。
【0052】
また、比較例1として、電子輸送層17を構造式(4)で示されるフェナントロリン化合物のみで形成した以外は実施例1と同様に青色素子を作製した。
【0053】
実施例1と比較例1の青色素子を比較したところ、比較例1の青色素子が電流効率3.4cd/Aに対し、実施例1の青色素子は4.0cd/Aと電流効率が高く、良好であった。
【0054】
(実施例2、比較例2)
青色発光層16Bの代わりに厚さ70nmの赤色発光層16Rを形成し、電子輸送層17(赤色素子は第1電子輸送層19のみである)を構造式(4)で示されるフェナントロリン化合物で形成した以外は実施例1と同様の方法で赤色素子を作製した。
【0055】
赤色発光層16には、発光ドーパント材料として赤色発光することが知られたIr錯体(18容量%)、ホスト材料として4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニルを用いた。
【0056】
本例では、第1電子輸送層19をバンドギャップが狭い構造式(4)で示されるフェナントロリン化合物で形成したため、赤色素子の電圧を低くする事ができる。
【0057】
また、比較例2として電子輸送層17を構造式(3)で示されるアザ化合物で形成した以外は実施例2と同様の方法で赤色素子を作製した。
【0058】
実施例2と比較例2の赤色素子を比較したところ、比較例2の赤色素子は20mA/cm2の電流を流した時の電圧が実施例2の赤色素子に比べて0.5V程度高かった。これは電子輸送層17として青色素子に適した電子輸送材料を用いたために電圧が高くなってしまったと考えられる。
【0059】
上記実施例1,2の手順により得られた青色及び赤色素子を用いることにより、発光層16以外でのパターニングマスクの使用回数が第2電子輸送層18の1回だけであるため、青色素子の発光効率が高く、赤色素子の駆動電圧の低い有機EL表示装置が提供される。
【符号の説明】
【0060】
12:陽極、16:発光層、16R:赤色発光層、16G:緑色発光層、16B:青色発光層、17:電子輸送層、18:第2電子輸送層、19:第1電子輸送層、21:陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色を発する有機EL素子と、緑色を発する有機EL素子と、青色を発する有機EL素子と、を有し、各有機EL素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間にある発光層と、を有する表示装置であって、
前記各有機EL素子は、陰極と発光層の間に共通に配置されて、かつ、前記赤色を発する有機EL素子の発光層に接している第1電子輸送層を有し、
前記青色を発する有機EL素子は、前記第1電子輸送層と前記青色を発する有機EL素子の発光層との間に配置されて、前記青色を発する有機EL素子の発光層に接している第2電子輸送層を有し、
前記第2電子輸送層を形成する材料のバンドギャップが前記第1電子輸送層を形成する材料のバンドギャップよりも大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1電子輸送層と前記第2電子輸送層のHOMO準位のエネルギーとLUMO準位のエネルギーが下記式(A)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
LUMO2<LUMO1<HOMO1<HOMO2 (A)
(式(A)において、LUMO1、LUMO2はそれぞれ、前記第1電子輸送層、前記第2電子輸送層のLUMO準位のエネルギーの絶対値、HOMO1、HOMO2はそれぞれ、前記第1電子輸送層、前記第2電子輸送層のHOMO準位のエネルギーの絶対値を示す。)
【請求項3】
前記青色を発する有機EL素子の発光層がホスト材料と発光ドーパント材料を含み、前記ホスト材料と前記第2電子輸送層のHOMO準位のエネルギーが下記式(B)の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
HOMObh<HOMO2 (B)
(式(B)において、HOMObh、HOMO2はそれぞれ、前記ホスト材料、前記第2電子輸送層のHOMO準位のエネルギーの絶対値を示す。)
【請求項4】
前記青色を発する有機EL素子の発光層の発光位置が前記第2電子輸送層側であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記青色を発する有機EL素子の発光層がホスト材料と発光ドーパント材料を含み、前記ホスト材料と前記発光ドーパント材料のHOMO準位のエネルギーとLUMO準位のエネルギーが下記式(C)の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
LUMObh<LUMObd<HOMObh<HOMObd (C)
(式(C)において、LUMObh、LUMObdはそれぞれ、前記ホスト材料、前記発光ドーパント材料のLUMO準位のエネルギーの絶対値、HOMObh、HOMObdはそれぞれ、前記ホスト材料、前記発光ドーパント材料のHOMO準位のエネルギーの絶対値を示す。)

【図1】
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【図2】
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