説明

表示装置

【課題】少ない光源で効率良くかつ均一に表示部を発光させることができる表示装置を提供すること。
【解決手段】表示部4とLED10との間には、レンズ部品20が設けられる。そのレンズ部品20は、凸レンズ21、内層22、凹レンズ23及び表層24が一体化されて構成される。凸レンズ21はLED10側に設けられ、凹レンズ23は表示部4側に設けられる。LED10からの光は、先ず凸レンズ21に入射されて、その凸レンズ21によって集光される。その集光された光は、内層22を進行し、次に凹レンズ23に入射されて、その凹レンズ23によって拡散される。その拡散された光が、表層24を介して表示部4に照射される。よって、凸レンズ21によって光が周囲に漏れるのを抑制することができ、凹レンズ23によって広範囲に光を照射させることができるので、効率よく均一に表示部4を発光させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源とその光源から発せられた光が照射されることで発光表示を行う表示部とを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機などの機械製品では、LEDや電球などの光源を点灯あるいは点滅させることで、機械の状態を利用者に知らせる機能を有するものがある。この種の機能としての表示装置は、機械の状態を表示するための表示部を備え、光源からの光がその表示部に照射されることで、表示部が発光表示、つまり機械の状態の表示がなされる。
【0003】
ところで、表示装置においては、表示部が発光されたときの視認性を向上させることが重要である。この点、従来では、表示部の発光を均一にして視認性を向上させるために、表示部の表面にシボを入れたり、表示部に設けられた樹脂カバーを半透明にしたりして、表示部に照射された光を拡散させる方法は知られていた。
【0004】
また、視認性の向上に関連する先行技術文献として、例えば特許文献1、2がある。この特許文献1では、発光素子(光源)とその発光素子からの光が透過される表示窓(表示部)を備えたインジケータ装置(表示装置)が開示されている。また、そのインジケータ装置は、発光素子からの光を表示窓に導くためのレンズを備える。そして、特許文献1は、インジゲータ装置に必要な輝度を達成する目的で、発光素子とレンズの受光部と出光部の中心位置を同軸上にあわせる技術を提案するものである。
【0005】
また、特許文献2では、導光板の一辺にLEDランプ(光源)が設けられ、そのLEDランプからの光を導光板内に透過させ対峙する辺(表示部)から放射することで、ライン状に光を得るライン状照明灯具(表示装置)が開示されている。そして、特許文献2は、品質の向上と生産性の向上とコストダウンとを共に可能とする目的で、導光板を分割して成型し、光を導光板内部で反射させることで、光を効率よく表示部に導光させる技術を提案するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3567558号
【特許文献2】特許第4182039号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の表示装置では、表示部に設けられた透明、あるいは半透明のカバーに、光源から照射された光を透過させるだけであった。そのため、光源の照射面積に比べて発光面積の広い表示部や細長い形状の表示部では、周辺部が暗かったり、均一に光らせようとすると複数の光源が必要だったりする問題があった。
【0008】
この点、特許文献1に開示の技術では、輝度を向上させるためにレンズを用いて光を集光しているが、その集光によって、表示部への照射角が狭くなるので、表示部の中央付近のみが明るくなり、発光面積の広い表示部や細長い形状の表示部を均一に発光させるという問題は解消できていない。
【0009】
また、特許文献2に開示の技術では、光源からの光を効率よく表示部に導光させるものであるが、表示部を均一に発光させるためには複数の光源が必要という問題は解消できていない。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、少ない光源で効率良くかつ均一に表示部を発光させることができる表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、光源と、その光源から発せられた光が照射されることで発光表示を行う表示部と、を備える表示装置において、
前記光源と前記表示部との間に設けられ、前記光源からの光が入射されてその光を集光する集光レンズと、
前記光源と前記表示部との間の、前記集光レンズよりも前記表示部側に設けられ、前記集光レンズから出射された光が入射されてその光を拡散する拡散レンズと、を備え、
前記拡散レンズから出射された光が前記表示部に照射されることを特徴とする。
【0012】
これによれば、光源からの光が、集光レンズに入射されて集光されるので、光が周囲に漏れるのを抑制することができる。また、集光レンズからの光が、拡散レンズに入射されて拡散され、その拡散された光が表示部に照射されるので、広範囲に光を照射させることができる。よって、効率よく均一に表示部を発光させることができる。
【0013】
また、本発明の表示装置において、前記集光レンズと前記拡散レンズの間に設けられ、前記集光レンズ及び前記拡散レンズよりも屈折率が低い材質で形成された内層を備え、
前記集光レンズ、前記拡散レンズ及び前記内層が一体化されたことを特徴とする。
【0014】
これによれば、集光レンズ、拡散レンズが内層を介して一体化されているので、それら集光レンズ、拡散レンズの取り扱いを容易にすることができる。また、集光レンズと拡散レンズの間に内層を設けることで、集光レンズからの光を効率良く拡散レンズに導くことができる。その結果、より一層、効率良く表示部を発光させることができる。また、その内層は、集光レンズ、拡散レンズよりも屈折率が低い材質で形成されているので、集光レンズと内層との境界や拡散レンズと内層との境界で光が不必要に屈折してしまうのを防止できる。
【0015】
また、本発明の表示装置において、前記表示部は、細長形状とされ、
前記集光レンズは、前記表示部の細長形状における短辺方向に光を集光し、前記表示部の細長形状における長辺方向には光を集光しない形状とされたことを特徴とする。
【0016】
これによれば、集光レンズが、表示部の細長形状における短辺方向に光を集光する形状とされているので、その短辺方向に光が漏れるのを防止でき、効率良く表示部に光を照射させることができる。また、集光レンズが、表示部の細長形状における長辺方向には光を集光しない形状とされているので、表示部の長辺方向に対して、広範囲に光を照射させることができる。すなわち、細長形状の表示部でも効率良く均一に発光させることができる。
【0017】
また、本発明の表示装置において、前記表示部は、細長形状とされ、
前記拡散レンズは、前記表示部の細長形状における長辺方向に光を拡散し、前記表示部の細長形状における短辺方向には光を拡散しない形状とされたことを特徴とする。
【0018】
これによれば、拡散レンズが、表示部の細長形状における長辺方向に光を拡散する形状とされているので、表示部の長辺方向に対して、広範囲に光を照射させることができる。また、拡散レンズが、表示部の細長形状における短辺方向には光を拡散しない形状とされているので、その短辺方向に光が漏れるのを防止でき、効率良く表示部に光を照射させることができる。すなわち、細長形状の表示部でも効率良く均一に発光させることができる。
【0019】
また、これら集光レンズ、拡散レンズを組み合わせても良い。すなわち、本発明の表示装置において、前記表示部は、細長形状とされ、
前記集光レンズは、前記表示部の細長形状における短辺方向に光を集光し、前記表示部の細長形状における長辺方向には光を集光しない形状とされ、
前記拡散レンズは、前記表示部の細長形状における長辺方向に光を拡散し、前記表示部の細長形状における短辺方向には光を拡散しない形状とされたことを特徴とする。
【0020】
これにより、細長形状の表示部に対して、より一層、効率良く均一に発光表示を行わせることができる。
【0021】
また、本発明の表示装置において、前記拡散レンズは、前記光源の直下に前記集光レンズを介して位置する前記拡散レンズの中央部が、周辺部よりも光を拡散させる形状とされたことを特徴とする。
【0022】
これによれば、光源の直下に集光レンズを介して位置する拡散レンズの中央部に光源からの光が多く入射されると考えられるところ、その中央部が周辺部よりも光を拡散させる形状とされているので、表示部の中央付近に光の照射が偏ってしまうのを防止できる。よって、より均一に表示部を発光させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】複写機1の斜視図である。
【図2】表示部4周辺の断面図である。
【図3】LEDからの光の進行を説明する図である。
【図4】レンズの形状を説明する図である。
【図5】表示部を明るく発光させることができることを説明する図である。
【図6】表示部を均一に発光させることができることを説明する図である。
【図7】細長形状の表示部4の平面図である。
【図8】変形例1に係る表示部4周辺の断面図である。
【図9】変形例2に係る表示部4周辺の断面図である。
【図10】変形例3に係る表示部4周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の表示装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の表示装置が適用された、文書等を複写する複写機1の斜視図を示している。この複写機1は、各種操作をしたり複写機1の各種状態を表示したりする操作表示部2を有している。その操作表示部2は、タッチパネル式の操作部3を有しており、ユーザは、その操作部3をタッチ操作することで、複写する紙の大きさを選択したり複写部数を選択したりすることができる。
【0025】
また、操作表示部2は、本発明に係る「表示装置」に相当し、複写機1の各種状態を表示する表示部4を有している。表示部4は、複写機1が特定の状態であるときに発光される部分である。換言すると、表示部4は、発光されることで、複写機1が特定の状態であることを表示する部分である。複写機1の状態としては、例えば、電源がONされている状態、現在複写中である状態、紙詰まりが発生している状態などがある。操作表示部2は、複数の表示部4を有しており、各表示部4は、複写機1の各状態が割り当てられている。つまり、例えば、複写機1に紙詰まりが発生している場合には、複数の表示部4のうち、紙詰まりの発生に対応する表示部4が発光される。また、各表示部4の横には、対応する複写機1の状態に関連する記号(例えば、電源ONに関連する記号としてはバッテリの記号)が記されており、ユーザは、発光された表示部4及びその横に記された記号を視認することで、複写機1の状態を把握することができる。
【0026】
また、操作表示部2は、複写機1の外装の一部を構成する板状の外装板12が有しており、操作部3及び表示部4は、その外装板12の面内に設けられている。
【0027】
ここで、図2は、図1の複数の表示部4のうち、任意の表示部4を横切るように操作表示部2を切ったときの断面図を示している。図2に示すように、外装板12に貫通孔が形成され、その貫通孔が表示部4とされる。外装板12の裏側にはプリント基板11が設けられる。そのプリント基板11には、表示部4に対応する位置(表示部4の下)に光源としてのLED10が設けられる。そのLED10は、プリント基板11に形成された駆動回路からの点灯信号に基づいて発光するものでる。LED10は、表示部4の下に設けられているため、LED10からの光は表示部4に向けて進行する。したがって、表示部4は、LED10からの光が照射(透過)されることで発光表示することになる。
【0028】
また、表示部4とLED10との間には、レンズ部品20が設けられる。そのレンズ部品20は、それぞれ異なる機能を有する複数の部分から構成され、具体的には、凸レンズ21、内層22、凹レンズ23及び表層24から構成される。
【0029】
凸レンズ21は、本発明の「集光レンズ」に相当するものであり、入射光を集光するレンズである。本実施形態では、凸レンズ21は、両端面211、212が凸面とされた、いわゆる両凸レンズである。その凸レンズ21は、LED10からの光が直接入射されるように、LED10の直ぐ上に設けられる。凸レンズ21は、ガラスや透明な樹脂(プラスチック)等、レンズの材質として一般的に用いられる光透過性を有する材質で形成される。
【0030】
凹レンズ23は、本発明の「拡散レンズ」に相当するものであり、入射光を拡散するレンズである。本実施形態では、凹レンズ23は、両端面231、232が凹面とされた、いわゆる両凹レンズである。その凹レンズ23は、凸レンズ21から出射された光が入射されるように、凸レンズ21よりも表示部4側に設けられる。凹レンズ23も、ガラスや透明な樹脂(プラスチック)等の光透過性を有する材質で形成される。
【0031】
内層22は、凸レンズ21と凹レンズ23の間に設けられ、凸レンズ21、凹レンズ23をその内層22を介して一体化するためのものである。より具体的には、内層22は、一方の端面221が凸レンズ21の凸面212の曲率と同じ曲率の凹面とされる。そして、その内層22の凹面221と凸レンズ21の出射側の凸面212とが接続され、内層22と凸レンズ21とが一体化されている。また、内層22は、他方の端面222が凹レンズ23の凹面231の曲率と同じ曲率の凸面とされる。そして、その内層22の凸面222と凹レンズ23の入射側の凹面231とが接続され、内層22と凹レンズ23とが一体化されている。このように、凸レンズ21、凹レンズ23及び内層22が一体化されている。凸レンズ21と凹レンズ23は別部品にすることができるが、別部品にすると製品組立が煩雑になる。内層22を設けることで、凸レンズ21と凹レンズ23が一体部品にできるので扱いを容易にすることができる。
【0032】
また、内層22も、ガラスや透明な樹脂(プラスチック)等の光透過性を有する材質で形成される。ただし、上記したように内層22は、主に凸レンズ21と凹レンズ23を一体化させるためのものであるので、内層22があることによって光の進行方向が変化するのは好ましくない。そのため、内層22の屈折率θ2が、凸レンズ21の屈折率θ1よりも低く(θ1>θ2)、かつ、凹レンズ23の屈折率θ3よりも低い(θ3>θ2)材質で内層22は形成される。これによって、凸レンズ21と内層22との境界及び内層22と凹レンズ23との境界で不必要に光が屈折してしまうのを防止できる。
【0033】
表層24は、凹レンズ23の出射側の凹面232から表示部4に渡って設けられ、レンズ部品20を外装板12の形状に合わせるためのものである。より具体的には、表層24は、凹面232と表示部4の貫通孔との間の隙間を埋めるように設けられる。これによって、凹レンズ23をそのまま製品外装に用いるのを避けることができる。また、外装板12の表面121と表層24の表面241とを同一平面とすることができるので、デザインを損なわないようにすることができる。
【0034】
また、表層24は、光透過性を有する材質で形成されるが、デザイン上、乳白色や灰色などの半透過の樹脂で形成されたとしてもよい。半透過の樹脂で表層24を形成すると、表示部4を淡い光で発光させることができる。この場合であっても、凸レンズ21、内層22、凹レンズ23を透明の樹脂で形成すれば、外観を損なわず、レンズ部品20全体を半透過の樹脂で形成した場合よりも、LED10からの光の透過率を向上でき、発光効率を向上できる。
【0035】
また、表層24は、上記したように主にデザイン上の観点から設けられるものであるので、表層24があることによって光の進行方向が変化するのは好ましくない。そのため、表層24の屈折率θ4が、凹レンズ23の屈折率θ3よりも低い材質(θ3>θ4)で表層24は形成される。これによって、凹レンズ23と表層24との境界で不必要に光が屈折してしまうのを防止できる。
【0036】
このように、レンズ部品20は、それぞれ異なる材質の凸レンズ21、内層22、凹レンズ23及び表層24が一体化されて構成される。このレンズ部品20は、例えば二色成形の技法を用いて形成される。ただし、レンズ部品20は、4つの部品21〜24から構成されるので、4段階に分けて形成される。すなわち、例えば先ず1次キャビティに凸レンズ21の材料を流し込んで凸レンズ21を形成する。その後、凸レンズ21を金型内に残したままで、2次キャビティに内層22の材料を流し込んで、凸レンズ21と一体的に内層22を形成する。その後、凸レンズ21、内層22を金型内に残したままで、3次キャビティに凹レンズ23の材料を流し込んで、凸レンズ21、内層22と一体的に凹レンズ23を形成する。その後、凸レンズ21、内層22、凹レンズ23を金型内に残したままで、4次キャビティに表層24の材料を流し込んで、凸レンズ21、内層22、凹レンズ23と一体的に表層24を形成する。これによって、凸レンズ21、内層22、凹レンズ23及び表層24が一体化したレンズ部品20を形成することができる。なお、これら凸レンズ21、内層22、凹レンズ23、表層24を形成する順番は、上記の順番に限られるものではない。
【0037】
このように、LED10と表示部4の間には、凸レンズ21及び凹レンズ23を含むレンズ部品20が設けられているので、そのレンズ部品20の作用によって、LED10からの光を効率よくかつ均一に表示部4に照射させることができる。ここで、図3は、LED10からの光が、レンズ部品20内部をどのように進行して、どのように表示部4に照射されるかを説明する図である。なお、図3では、一般的に、LEDからの光が、凸レンズ、凹レンズがあることでどのように進行し、どのように表示部に照射されるかを説明するために、LED、凸レンズ、凹レンズ及び表示面(表示部)には、図2のそれと異なる符号を付している。また、図2の内層22、表層24は、光を集光又は拡散させる目的で設けられたものではないので、図3では、内層、表層は示していない。
【0038】
図3に示すように、LED101(図2のLED10に相当)と表示面104(図2の表示部4に相当)との間には、凸レンズ102(図2の凸レンズ21に相当)が設けられ、その凸レンズ102よりも表示面104側に凹レンズ103(図2の凹レンズ23に相当)が設けられる。つまり、図2の位置関係と同じである。LED101からの光L1は、凸レンズ102に入射されて、凸レンズ102によって集光(屈折)されるので、その光L1の広がりを抑制することができる。ここで、LED101と凸レンズ102の距離が凸レンズ102の焦点距離f1とすると、凸レンズ102を透過した光L2は、幅y1の平行な光線となる。なお、この場合、LED101は、凸レンズ102の焦点F1に配置されることになる。このとき、LED101からの光L1が指向角2θの広がりを有しているとすると、光L2の幅y1は、以下の式1で示される。
【0039】
【数1】

【0040】
凸レンズ102から出射された幅y1の平行な光L2は、凹レンズ103に入射されて、凹レンズ103によって拡散される。そして、凹レンズ103を透過して拡散された光L3が表示面104に照射されることになる。これによって、表示面104の広範囲に光を照射することができる。ここで、光L3の表示面104における照射幅をy0、凹レンズ103の焦点距離(焦点F2と凹レンズ103との距離)をf2、凹レンズ103と表示面104の距離をx2とすると、以下の式2が成立する。さらに、式2を変形すると、照射幅y0は以下の式3で示される。
【0041】
【数2】

【0042】
【数3】

【0043】
この式3で示すように、照射幅y0は、凸レンズ102から出射された光L2の幅y1に依存するので、その光L2の幅y1を調節することで、照射幅y0を調節することができる。その光L2の幅y1は、上記式1で示すように、凸レンズ102の焦点距離f1やLED101からの光L1の指向角2θに依存する。よって、凸レンズ102の形状を適宜決定したり、使用するLED101を適宜決定したりすることで、焦点距離f1や指向角2θを調節することができるので、光L2の幅y1を調節することができ、ひいては照射幅y0を調節することができる。
【0044】
また、式3で示すように、照射幅y0は、凹レンズ103の焦点距離f2に依存するので、その焦点距離f2を調節することにより、つまり凹レンズ103の形状を適宜決定することにより、照射幅y0を調節することができる。
【0045】
また、式3で示されるように、照射幅y0は、凹レンズ103と表示面104の距離x2に依存するので、その距離x2を調節することにより、つまり凹レンズ103の配置位置を調節することにより、照射幅y0を調節することができる。
【0046】
このように、式3を考慮して、指向角2θ、凸レンズ102の焦点距離f1、凹レンズ103の焦点距離f2、凹レンズ103と表示面104の距離x2を決定することにより、表示面104に応じた照射幅y0の光L3を表示面104に照射させることができる。例えば、照射幅y0を表示面104の幅と同じにすることで、表示面104を均一に発光させることができる。
【0047】
ここで、図4は、式3を考慮して決定された焦点距離f1の凸レンズ102や、焦点距離f2の凹レンズ103を形成するために、レンズの形状によってどのように焦点距離が異なってくるかを説明する図である。なお、図4では、一般的なレンズという意味で、図2、図3とは異なる符号を付している。
【0048】
図4に示すように、レンズ105に入射光Lが入射されるとする。また、そのレンズ105の入射側の曲面106の曲率半径をR1、出射側の曲面107の曲率半径をR2、レンズ105の厚さをd、レンズ105の屈折率をnとすると、レンズ105の焦点距離fは、以下の式4の近似式(レンズの公式)で示される。なお、式4において、曲面106、107が入射光Lの入射方向に対して凸型となる場合には、曲率半径R1、Rは正の値となり、凹型となる場合には、曲率半径R1、Rは負の値となる。なお、図4の場合では、曲面106の曲率半径R1は正の値となり、曲面107の曲率半径R2は負の値となる。
【0049】
【数4】

【0050】
よって、この式4を考慮して、レンズ105の形状(曲面の曲率半径、厚さ等)を決定することで、所望の焦点距離fとすることができる。
【0051】
図2の各部品についても、以上説明した観点で、配置位置、形状を決定、つまり凸レンズ21の各凸面211、212の曲率半径、厚さ、凹レンズ23の各凹面231、232の曲率半径、厚さ、各レンズ21、23の配置位置を決定することで、LED10からの光を効率良く均一に表示部4に照射することができる。
【0052】
なお、図3では、LED101が凸レンズ102の焦点F1に配置されているとして説明したが、LED101は必ずしも凸レンズ102の焦点F1に配置されている必要は無く、各レンズ102、103の大きさやLED101から表示面104の距離、表示面104の幅などに応じて最適な配光になるように、LED101を配置すればよい。LED101が凸レンズ102の焦点距離f1より遠い位置にある場合は、凸レンズ102を透過した光はより内側に集光され、凹レンズ103での拡散は平行光線より小さくなる。逆にLED101が焦点距離F1より近い位置にある場合は、光がやや広がる形となり、凹レンズ103での拡散は平行光線より大きくなる。
【0053】
次に、図2の構成を採用することで表示部4を明るく発光させることができることについて、さらに説明する。ここで、図5は、そのことを説明する図であり、具体的には、図5(a)は、本発明に係る構成(図3の構成)における表示面104に照射される光の量(明るさ)を模式的に説明する図であり、図5(b)は、従来の構成における表示面104に照射される光の量(明るさ)を模式的に説明する図である。なお、図5において、図3で示す部品と同じ機能を有するものには同じ符号を付している。また、図5では、LED101から発せられる光を線で表し、光の量(明るさ)をその線の数で表している。
【0054】
図5(a)に示すように、本発明に係る構成においては、上述したように、LED101からの光L1は、凸レンズ102で集光されるので、その光L1が発散してしまうのを抑制できる。そして、凸レンズ102で集光された光L2は、凹レンズ103で拡散されて、その拡散された光L3が表示面104に照射される。その表示面104に照射される光L3の線の数は33本とされる。これに対し、図5(b)に示すように、従来の構成においては、LED101からの光L4は、指向角2θ(図3参照)で発散し、表示面104に到達する光L4の数としては15本とされる。このように、本発明の構成を採用することで(特に凸レンズ102を設けることで)、同じ表示面104に対して、従来よりも光の明るさが明るくなるのがわかる。
【0055】
なお、図5(b)に示す従来の構成であっても、表示面104が円形もしくは正方形のような形であれば、LED101の距離を調節することで表示面104の明るさを変えられるが、表示面104が長方形や細長形状の場合には、LED101の距離だけでは表示面104を均一に発光させることはできない。この点、図5(a)に示す本発明に係る構成では、表示面104の形状に合わせたレンズ形状として光を集光、拡散すれば、表示面104以外へ漏れる光を抑え、効率良くかつ均一に表示面104を発光させることができる。例えば、長方形の表示面104の場合、凸レンズ102、凹レンズ103の断面形状を、表示面104の短辺方向と長辺方向とで異ならせることで、短辺方向と長辺方向とで光の集光、拡散度合いを変えることができる。よって、長方形の表示面104に対しても、効率良くかつ均一に発光させることができる。
【0056】
次に、図2の構成を採用することで、表示部4が広い場合であってもその表示部4を均一に発光させることができることについて、さらに説明する。ここで、図6は、そのことを説明する図であり、具体的には、図6(a)は、本発明に係る構成(図3の構成)における表示面104に照射される光の照射幅を模式的に説明する図であり、図6(b)は、従来の構成における表示面104に照射される光の照射幅を模式的に説明する図である。なお、図6において、図3で示す部品と同じ機能を有するものには同じ符号を付している。また、図6では、LED101から発せられる光を線で表している。
【0057】
図6(a)に示すように、本発明に係る構成においては、LED101からの光L1が凸レンズ102で集光され、その集光された光L2が、凹レンズ103で拡散される。よって、その拡散された光L3を表示面104の広範囲に照射させることができる。なお、図6(a)では、表示面104の全域に光L3が照射されている。
【0058】
これに対し、図6(b)に示す従来の構成においては、表示面104の全域に光を照射させようとすると、複数のLEDが必要となる。すなわち、図6(b)では、3つのLED101a〜101cが並べて配置される。それらLED101a〜101cは、互いに同じLEDとされ、かつ、図6(a)のLED101とも同じとされる。各LED101a〜101c単独では表示面104の全域に光を照射することができず、表示面104の一部に光を照射することになる。具体的には、図6(b)における一番上のLED101aからの光L41は、表示面104上部を照射する。また、真ん中のLED101bからの光L42は、表示面104中央部を照射する。また、一番下のLED101cからの光L43は、表示面104下部を照射する。このように、3つのLED101a〜101cからの光L41〜L43によって、表示面104の全域を発光させることができる。
【0059】
このように、本発明の構成を採用することで(特に凹レンズ103を設けることで)、凹レンズ103による拡散を大きくすれば少ないLED個数でも均一に表示面104を発光させることができるのがわかる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態では、複写機1の表示部4とLED10との間に、凸レンズ21及び凹レンズ23を含むレンズ部品20を設けたので、LED10からの光を、効率良くかつ均一に表示部4に照射させることできる。よって、表示部4を明るく、均一に発光させることができる。
【0061】
(変形例1)
次に、本発明に係る表示装置の変形例1について説明する。一般的なLEDは、光が円形状に広がるように作られているため、例えば表示部が細長い場合は、正面(短辺側)から見た場合と、側面(長辺側)から見た場合では異なる集光、拡散をしなければ効率良く表示部を発光させることができない。この変形例1では、表示部が細長形状の場合であっても、効率良く表示部を発光させることができるようにしたものである。
【0062】
図7は、変形例1に係る表示部4の平面図である。図7に示すように、表示部4は、短辺41、長辺42の長方形(細長形状)とされている。ここで、図8は、図1の複数の表示部4のうち、任意の表示部4を横切るように操作表示部2を切ったときの断面図を示している。より具体的には、図8(a)は、図7の短辺41と平行な線で表示部4を切ったときの断面図であり、図8(b)は、図7の長辺42と平行な線で表示部4を切ったときの断面図である。なお、図8において、図2の部品と同一名称の部品には同一符号を付している。
【0063】
凸レンズ21は、図8(a)の正面方向(短辺方向)と、図8(b)の側面方向(長辺方向)とで、断面形状が異なっている。具体的には、凸レンズ21は、表示部4の形状に合わせて細長形状とされ、その端面211が、短辺方向においては凸型に湾曲(図8(a)参照)され、長辺方向においては真っ直ぐ(図8(b)参照)とされた蒲鉾形状とされる。つまり、凸レンズ21は、短辺方向には光を集光するが、長辺方向には光を集光しない形状とされる。
【0064】
また、凹レンズ23も、表示部4の形状に合わせて細長形状とされ、図8(a)の正面方向(短辺方向)と、図8(b)の側面方向(長辺方向)とで、断面形状が異なっている。具体的には、凹レンズ23は、その端面231が、短辺方向においては真っ直ぐ(図8(a)参照)とされ、長辺方向においては凹型に湾曲(図8(b)参照)されている。つまり、凹レンズ23は、短辺方向には光を拡散せず、長辺方向には光を拡散する形状とされる。なお、凸レンズ21、凹レンズ23以外の部品については、図2のそれと同じである。
【0065】
凸レンズ21、凹レンズ23を図8のような形状とすることで、LED10からの光を効率良く表示部4に照射させることができる。すなわち、LED10からの光L1は、ある指向角で広がるように進行していき、凸レンズ21に入射される。この際、その光L1は、凸レンズ21によって、短辺方向においては集光されるので、その短辺方向の光の広がり(光の漏れ)を抑制できる(図8(a)参照)。なお、図8(a)では、光L1は、凸レンズ21によって、短辺方向において平行光L2に集光されている。一方、LED10からの光L1は、凸レンズ21において長辺方向には集光されないので、凸レンズ21に入射された光L1は、そのままの広がりをもって凸レンズ21から出射される(図8(b)参照)。
【0066】
凸レンズ21から出射された光L2は、短辺方向においては平行光として、長辺方向においては広がりをもって内層22を進行していき、凹レンズ23に入射される。この際、その光L2は、凹レンズ23において短辺方向には拡散されないので、入射光L2とほぼ同じ幅の光L3が凹レンズ23から出射される(図8(a)参照)。よって、表示部4の短辺方向に対して、光が漏れるのを抑制でき、効率良く表示部4に光を照射させることができる。
【0067】
一方、凹レンズ23に入射された光L2は、凹レンズ23によって、長辺方向においては拡散されるので、その光L2よりも大きな広がりをもった光L3が凹レンズ23から出射される(図8(b)参照)。よって、表示部4の長辺方向に対して、広範囲に光を照射させることができる。以上より、細長形状の表示部4が細長形状であっても、光の損失を最小限にでき、表示部4の発光効率を向上できる。
【0068】
(変形例2)
次に、本発明に係る表示装置の変形例2について説明する。LEDからの光は、ある広がりをもって表示部に照射されるので、その表示部のうち、LED直下部分が最も明るくなると考えられる。つまり、先の図5(a)のように、光の明るさを光の線の数で考えたとき、表示部のうち、LEDの直下に位置する中央部に照射される光の線の数が、その周辺部に照射される数よりも多くなる(光の線の間隔が、中央部が最も密となっていると考えることもできる。)。この変形例2では、表示部4の中央部とその周辺部との明るさの違いを考慮して、表示部4をより均一に発光させるようにしたものである。
【0069】
図9は、変形例2に係る図2に対応する断面図を示している。なお、図9において、図2の部品と同一名称の部品には同一符号を付している。図9に示すように、凹レンズ23は、その入射側の曲面231の中央部が窪んだ形状とされる。より具体的には、凹レンズ23は、その中央部の曲面231aの曲率のほうが、曲面231a以外の周辺部の曲面231bの曲率よりも小さくされている。これによれば、上記式4よりレンズの曲率半径が小さくなると、焦点距離は短くなるので、凹レンズ23は、その中央部231aに入射された光を周辺部231bに入射された光よりも拡散させる。なお、凹レンズ23以外の部品については、図2のそれと同じである。
【0070】
凹レンズ23を図9のような形状とすることで、表示部4をより均一に発光させることができる。すなわち、凹レンズ23に入射される光L2のうち、中央部231aに入射される光L2は、より大きく拡散されるので、表示部4の中央付近に光L3の照射が偏ってしまうのを防止できる。
【0071】
(変形例3)
次に、本発明に係る表示装置の変形例3について説明する。上記実施形態では、光を拡散させるレンズとして凹レンズを採用していたが、光を拡散させる方法は凹レンズによるものでなくても良い。ここで、図10は、この変形例3に係る図2に対応する断面図を示している。なお、図10において、図2の部品と同一名称の部品には同一符号を付している。図10に示すように、凹レンズが設けられておらず、内層22と表層24とが互いの端面222、242にて直接接続されている。ただし、それら内層22の端面222、表層24の端面242は、互いに同じ凹凸形状とされる。これによって、内層22を進行した光が表層24の端面242に入射されると、その光は、その端面242の凹凸形状によって乱反射、つまり拡散される。
【0072】
また、これら端面222、端面242の凹凸の大きさや密度を、部位によって変えても良い。これによって、表示部4をより均一に発光させることができる。例えば、図10では、LED10の直下に位置する内層22(端面222)、表層24(端面242)の中央部は、その周辺部よりも、凹凸の密度が大きくされている。そのため、その中央部での光の拡散を、周辺部よりも大きくすることができ、表示部4の中央付近に光の照射が偏ってしまうのを防止できる。なお、これら端面222、242が本発明の「拡散レンズ」に相当する。
【0073】
なお、本発明の表示装置は上記実施形態の他にも、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて変形することができる。例えば、上記実施形態では、凸レンズとして両凸レンズ、凹レンズとして両凹レンズを採用した例について説明したが、平凸レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ等の各種レンズを採用してもよい。また、薄型形状にするためフレネルレンズを採用してもよい。また、集光レンズ又は拡散レンズとして、複数のレンズを並べた形状にしてもよい。こうすることで、より均一に、LEDからの光を表示部に照射させることができる。また、複写機の他、各種機械に本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 複写機
2 操作表示部(表示装置)
3 操作部
4、104 表示部
41 表示部4の細長形状における短辺
42 表示部4の細長形状における長辺
10、101 LED(光源)
11 プリント基板
12 外装板
20 レンズ部品
21、102 凸レンズ(集光レンズ)
22 内層
23、103 凹レンズ(拡散レンズ)
24 表層
211 凸レンズ21の入射側の端面
212 凸レンズ21の出射側の端面
221 内層22の入射側の端面
222 内層22の出射側の端面
231 凹レンズ23の入射側の端面
232 凹レンズ23の出射側の端面
231a 凹レンズ23の中央部の端面
231b 凹レンズ23の周辺部の端面
241 表層24の出射側の端面
242 表層24の入射側の端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、その光源から発せられた光が照射されることで発光表示を行う表示部と、を備える表示装置において、
前記光源と前記表示部との間に設けられ、前記光源からの光が入射されてその光を集光する集光レンズと、
前記光源と前記表示部との間の、前記集光レンズよりも前記表示部側に設けられ、前記集光レンズから出射された光が入射されてその光を拡散する拡散レンズと、を備え、
前記拡散レンズから出射された光が前記表示部に照射されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記集光レンズと前記拡散レンズの間に設けられ、前記集光レンズ及び前記拡散レンズよりも屈折率が低い材質で形成された内層を備え、
前記集光レンズ、前記拡散レンズ及び前記内層が一体化されたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、細長形状とされ、
前記集光レンズは、前記表示部の細長形状における短辺方向に光を集光し、前記表示部の細長形状における長辺方向には光を集光しない形状とされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、細長形状とされ、
前記拡散レンズは、前記表示部の細長形状における長辺方向に光を拡散し、前記表示部の細長形状における短辺方向には光を拡散しない形状とされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、細長形状とされ、
前記集光レンズは、前記表示部の細長形状における短辺方向に光を集光し、前記表示部の細長形状における長辺方向には光を集光しない形状とされ、
前記拡散レンズは、前記表示部の細長形状における長辺方向に光を拡散し、前記表示部の細長形状における短辺方向には光を拡散しない形状とされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記拡散レンズは、前記光源の直下に前記集光レンズを介して位置する前記拡散レンズの中央部が、周辺部よりも光を拡散させる形状とされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−2968(P2012−2968A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136840(P2010−136840)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】