説明

表面保護フィルム

【課題】被着体表面への傷付きを防止でき、優れた柔軟性を有することで貼り合せ性や密着性が良好であり、かつ、被着体表面の汚染性も抑制できる、新規な表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】本発明の表面保護フィルムは、クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の1重量%以上20重量%未満であるポリオレフィン系樹脂を含む基材層の片面に粘着剤層を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面保護フィルムに関する。より詳細には、金属鏡面板、ガラス板、ITOフィルムなどの光学フィルム等の表面を保護するための表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な被着体の表面を保護するために、基材層と粘着剤層との積層体を含む表面保護フィルムが広く用いられている。
【0003】
一般的に、金属鏡面板、ガラス板、ITOフィルムなどの光学フィルム等は、表面に傷が生じないことが求められるとともに、表面保護フィルムを貼付した場合に表面が汚染しないことが求められる。一方で、被着体へ表面保護フィルムを貼付する際には、良好な貼り合せ性が必要であるため、表面保護フィルムには適度な柔軟性が要求される。
【0004】
表面保護フィルムに柔軟性を付与するために、クロス分別法による0℃以上20℃以下での樹脂溶出量が全樹脂量の20〜50重量%であるポリオレフィン系樹脂からなる基材を用いた表面保護粘着シートが報告されている(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、特許文献1で報告されている表面保護粘着シートは、ネッキングの防止、絞り加工性の向上、被着体表面への傷付き防止を目的としており、表面保護フィルムを貼付した場合の被着体表面の汚染性の抑制については目的としていない。このため、特許文献1で報告されている表面保護粘着シートを用いた場合、被着体表面が汚染されてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3401087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、被着体表面への傷付きを防止でき、優れた柔軟性を有することで貼り合せ性や密着性が良好であり、かつ、被着体表面の汚染性も抑制できる、新規な表面保護フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表面保護フィルムは、クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の1重量%以上20重量%未満であるポリオレフィン系樹脂を含む基材層の片面に粘着剤層を有する。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記ポリオレフィン系樹脂が、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の5重量%以上40重量%未満であり、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の30重量%以上90重量%未満である。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量が、100000〜450000の範囲にある。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記基材層の引張弾性率が150〜840N/mmである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被着体表面への傷付きを防止でき、優れた柔軟性を有することで貼り合せ性や密着性が良好であり、かつ、被着体表面の汚染性も抑制できる、新規な表面保護フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好ましい実施形態による表面保護フィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
≪≪A.表面保護フィルム≫≫
本発明の表面保護フィルムは、基材層の片面に粘着剤層を有する。すなわち、本発明の表面保護フィルムは、基材層/粘着剤層の積層構造を含む積層体である。
【0015】
基材層は、1層のみであっても良いし、2層以上の積層体であっても良い。粘着剤層は、1層のみであっても良いし、2層以上の積層体であっても良い。
【0016】
本発明の表面保護フィルムは、基材層/粘着剤層の積層構造を含む積層体であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を含んでいても良い。
【0017】
図1は、本発明の好ましい実施形態による表面保護フィルムの概略断面図である。表面保護フィルム10は、基材層12と、粘着剤層14とを備える。図1に示す表面保護フィルムは、保存の際は、好ましくは、基材層12が外側になるようにしてロール状に巻かれる。
【0018】
本発明の表面保護フィルムの厚みは、用途に応じて、任意の適切な厚みに設定し得る。好ましくは10μm〜500μm、より好ましくは10μm〜300μm、さらに好ましくは10μm〜200μmである。
【0019】
≪A−1.基材層≫
基材層の厚みは、用途に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。基材層の厚みは、好ましくは10μm〜300μmであり、より好ましくは15μm〜200μmであり、さらに好ましくは20〜150μm、特に好ましくは25〜100μmである。
【0020】
基材層は、1層のみであっても良いし、2層以上の積層体であっても良い。基材層が2層以上の積層体である場合には、好ましくは2〜5層であり、より好ましくは2〜3層である。基材層が1層のみである場合には、表面保護フィルムの製造が容易となり得る。基材層が2層以上の積層体である場合には、各層で機能を分けることができる。なお、基材層が複数層からなる場合、それらの各層の界面は明確でない場合もあり得るので、基材層が形成された後に、該基材層を構成する各層を明確に分離することができない場合もある。
【0021】
基材層は、ポリオレフィン系樹脂を含む。基材層中のポリオレフィン系樹脂の含有割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは70〜100重量%であり、さらに好ましくは90〜100重量%であり、特に好ましくは95〜100重量%であり、最も好ましくは実質的に100重量%である。
【0022】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100000〜450000の範囲にあり、より好ましくは150000〜400000の範囲にあり、さらに好ましくは200000〜400000の範囲にある。本発明におけるポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量が100000未満の場合、得られる表面保護フィルムの延性や強度が不十分になるおそれがある。本発明におけるポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量が450000を超える場合、成形性が悪くなるおそれがある。
【0023】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂は、クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の1重量%以上20重量%未満であり、好ましくは5重量%以上18重量%未満であり、より好ましくは10重量%以上18重量%未満である。本発明におけるポリオレフィン系樹脂のクロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の1重量%未満の場合、得られる表面保護フィルムが十分な柔軟性を発現できないおそれがある。本発明におけるポリオレフィン系樹脂のクロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の20重量%以上の場合、得られる表面保護フィルムを被着体に貼付した場合に被着体表面が汚染されてしまうおそれがある。この汚染の原因としては、例えば、本発明におけるポリオレフィン系樹脂のクロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の20重量%以上の場合、汚染物質となり得る低分子量体が過剰に含有してしまう可能性が挙げられる。
【0024】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂は、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の、好ましくは5重量%以上40重量%未満であり、より好ましくは10重量%以上30重量%未満であり、さらに好ましくは10重量%以上25重量%未満である。本発明におけるポリオレフィン系樹脂のクロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の5重量%未満の場合、得られる表面保護フィルムが十分な柔軟性を発現できないおそれがある。本発明におけるポリオレフィン系樹脂のクロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の40重量%以上の場合、得られる表面保護フィルムの強度が不十分になるおそれがある。
【0025】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂は、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の、好ましくは30重量%以上90重量%未満であり、より好ましくは35重量%以上85重量%未満である。本発明におけるポリオレフィン系樹脂のクロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の30重量%未満の場合、得られる表面保護フィルムを被着体に貼付した場合に被着体表面が汚染されてしまうおそれがある。本発明におけるポリオレフィン系樹脂のクロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の90重量%以上の場合、得られる表面保護フィルムが十分な柔軟性を発現できないおそれがある。
【0026】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂としては、クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の1重量%以上20重量%未満であるようなポリオレフィン系樹脂であれば、任意の適切なポリオレフィン系樹脂の中から採用し得る。このようなポリオレフィン系樹脂として、より好ましくは、さらに、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の5重量%以上40重量%未満であるようなポリオレフィン系樹脂の中から採用し得る。また、このようなポリオレフィン系樹脂として、さらに好ましくは、さらに、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の30重量%以上90重量%未満であるようなポリオレフィン系樹脂の中から採用し得る。
【0027】
このようなポリオレフィン系樹脂としては、例えば、α−オレフィンのホモポリマー、二種類以上のα−オレフィンの共重合体、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、一種または二種以上のα−オレフィンと他のビニルモノマーの共重合体、これらのポリマーの変性物、ポリマーアロイ、EPR系ゴムやプロピレン系ゴムなどのポリオレフィン系ゴム等が挙げられる。共重合体の形態としては、例えば、ブロック形態やランダム形態が挙げられる。
【0028】
α−オレフィンとしては、炭素原子数2〜12のα−オレフィンが好ましい。このようなα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。
【0029】
α−オレフィンのホモポリマーとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ホモポリプロピレン(PP)、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などが挙げられる。
【0030】
ポリエチレン(PE)としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)などが挙げられる。
【0031】
ホモポリプロピレンの構造は、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックのいずれであってもよい。
【0032】
二種類以上のα−オレフィンの共重合体としては、例えば、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体、エチレン/炭素原子数5〜12のα−オレフィン共重合体、プロピレン/炭素原子数5〜12のα−オレフィン共重合体などが挙げられる。
【0033】
一種または二種以上のα−オレフィンと他のビニルモノマーの共重合体としては、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン/メタクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体などが挙げられる。
【0034】
基材層において、ポリオレフィン系樹脂は、1種のみを含んでいても良いし、2種以上を含んでいても良い。2種以上を含む形態としては、ブレンドや共重合などが挙げられる。
【0035】
ポリオレフィン系樹脂は市販品を用いてもよい。
【0036】
基材層の引張弾性率は、好ましくは150〜840N/mmであり、より好ましくは200〜800N/mmである。基材層の引張弾性率が150N/mm未満の場合、基材層のハンドリングが困難となり、貼り合わせ性が低下したり、剥離作業が困難になったりするおそれがある。基材層の引張弾性率が840N/mmを超える場合、基材層の柔軟性が不十分になるおそれがある。
【0037】
基材層には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の樹脂を含有し得る。
【0038】
基材層には、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含有し得る。基材層に含有され得る添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、耐熱安定化剤、充填剤、滑剤、着色剤(染料など)、酸化防止剤、目ヤニ防止剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、ポリエチレンイミン等が挙げられる。基材層に含有される添加剤の種類、数および量は、目的に応じて適切に設定され得る。
【0039】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。上記紫外線吸収剤の含有量は、積層フィルムの成形時にブリードアウトしない限りにおいて、任意の適切な含有量を採用し得る。代表的には、基材層中のポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜5重量部である。
【0040】
上記耐熱安定化剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物およびシアノアクリレート系化合物等が挙げられる。上記耐熱安定化剤の含有量は、積層フィルムの成形時にブリードアウトしない限りにおいて、任意の適切な含有量を採用し得る。代表的には、基材層中のポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜5重量部である。
【0041】
上記充填剤としては、例えば、タルク、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、マイカ、硫酸バリウム、ウィスカー、水酸化マグネシウム等の無機充填剤が挙げられる。充填剤の平均粒径は、好ましくは、0.1μm〜10μmである。充填剤の含有量は、基材層中のポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは1重量部〜200重量部である。
【0042】
基材層が複数層からなる場合、該基材層中には、任意の適切なその他の層が含まれていても良い。このようなその他の層としては、例えば、表面層(剥離層ともいう)が挙げられる。表面層は、基材層中の、粘着剤層が設けられる面とは反対側の表面側に含まれ得る。
【0043】
基材層中に表面層が含まれる場合、該表面層は、例えば、本発明の表面保護フィルムをロール形態で保管する場合などでは、粘着剤層と積層することになる。したがって、表面層は粘着剤層との剥離性が良好なことが求められ、好ましくは表面層が剥離剤を含む。表面層が剥離剤を含めば、例えば、本発明の表面保護フィルムをロール形態で保管するなどの、表面保護フィルム同士が重なっている状態における、表面層と粘着剤層との貼り付きを防止することができる。また、表面層をセパレーター層で覆う必要もない。
【0044】
表面層を塗布によって形成する場合、剥離剤としては、例えば、長鎖アルキル系剥離剤、フッ素含有長鎖アルキル系剥離剤、シリコーン系剥離剤などを採用し得る。シリコーン系剥離剤としては、付加反応型熱硬化タイプ、縮合反応型熱硬化タイプ、紫外線や電子線などによる放射線硬化型タイプなどが挙げられる。
【0045】
表面層を共押出によって形成する場合、表面層の厚みは、好ましくは2μm〜10μmであり、さらに好ましくは2μm〜8μmであり、特に好ましくは2μm〜5μmである。表面層の厚みが2μmより薄い場合、表面層としての機能が十分に発現できないおそれがある。表面層の厚みが10μmより厚い場合、表面層の機械的物性が表面保護フィルム全体の機械的物性に影響し、表面保護フィルムのハンドリングが悪くなるおそれがある。
【0046】
表面層の主たる形成材料としては、任意の適切な熱可塑性樹脂を採用し得る。表面層の主たる形成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、TPO、α−オレフィンの変性物、α−オレフィンと酢酸ビニルやメタクリレート等の各種ビニル化合物との共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を主成分とするような熱可塑性樹脂を採用し得る。これらの材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0047】
剥離剤としては、好ましくは長鎖アルキル系剥離剤が採用され得る。
【0048】
長鎖アルキル系剥離剤は、長鎖アルキル系高分子を含む。長鎖アルキル系高分子は、任意の適切な加熱溶媒中で、反応性基を有する高分子と、当該反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とを反応させて得ることができる。当該反応時には、必要に応じて触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば、スズ化合物や三級アミン等が挙げられる。
【0049】
上記反応性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、無水マレイン酸基等が挙げられる。当該反応性基を有する高分子としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンアミン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも好ましくはエチレン−ビニルアルコール共重合体である。なお、エチレン−ビニルアルコール共重合体とはエチレン−酢酸ビニル共重合体の部分けん化物も含む概念である。ポリビニルアルコールとはポリ酢酸ビニルの部分けん化物も含む概念である。
【0050】
上記アルキル基の炭素数は、好ましくは8個〜30個、さらに好ましくは12個〜22個である。上記アルキル基の炭素数が、このような範囲であれば、優れた剥離性を有する表面層(C)を得ることができる。このようなアルキル基の具体例としては、ラウリル基、ステアリル基、ベヘニル基等が挙げられる。このようなアルキル基を有する化合物(すなわち、上記反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物)としては、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、ステアリルイソシアネート等のイソシアネート;酸クロライド、アミン、アルコール等が挙げられる。中でも好ましくは、イソシアネートである。
【0051】
長鎖アルキル系高分子の重量平均分子量は、好ましくは10000〜1000000であり、さらに好ましくは20000〜1000000である。長鎖アルキル系高分子の重量平均分子量がこのような範囲であれば、優れた剥離性を有する表面層を得ることができる。
【0052】
表面層中における長鎖アルキル系剥離剤の含有割合は、好ましくは1重量%〜50重量%であり、さらに好ましくは2重量%〜30重量%であり、特に好ましくは5重量%〜20重量%である。含有割合が1重量%より少ない場合、長鎖アルキル系剥離剤を添加した効果が得られないおそれがある。含有割合が50重量%より多い場合、ブリード物が発生するおそれがある。
【0053】
表面層は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含有し得る。
【0054】
≪A−2.粘着剤層(B)≫
粘着剤層に含まれる粘着剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な粘着剤を採用し得る。粘着剤層を構成する粘着剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0055】
上記粘着剤層の厚みは、好ましくは1μm〜300μmであり、さらに好ましくは2μm〜100μmであり、特に好ましくは3μm〜50μmである。
【0056】
上記粘着剤層を構成する粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。
【0057】
上記粘着剤として、熱可塑性粘着剤を用いることもできる。熱可塑性粘着剤を構成する材料としては、例えば、粘着剤材料として、任意の適切な、スチレン系ブロック共重合体、アクリル系熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0058】
上記スチレン系ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体(SEB)等のスチレン系AB型ジブロック共重合体;スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、SBSの水素添加物(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS))、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、SISの水素添加物(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS))、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(SIBS)等のスチレン系ABA型トリブロック共重合体;スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン(SBSB)等のスチレン系ABAB型テトラブロック共重合体;スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレン(SBSBS)等のスチレン系ABABA型ペンタブロック共重合体;これら以上のAB繰り返し単位を有するスチレン系マルチブロック共重合体、;スチレン−ブタジエンラバー(SBR)等のスチレン系ランダム共重合体のエチレン性二重結合を水素添加した水素添加物;等が挙げられる。市販品としては、例えば、クレイトンポリマー社製の「G1657」(スチレン系エラストマー)などが挙げられる。上記共重合体は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0059】
上記スチレン系ブロック共重合体中におけるスチレンブロック構造の含有割合は、好ましくは5重量%〜40重量%であり、さらに好ましくは7重量%〜30重量%であり、特に好ましくは9重量%〜20重量%である。スチレンブロック構造の含有割合が5重量%より少ない場合、粘着剤層の凝集力不足による糊残りが発生しやすくなる。スチレンブロック構造の含有割合が40重量%より多い場合、粘着剤層が硬くなり、粗面に対して良好な接着性を得ることができないおそれがある。
【0060】
上記スチレン系ブロック共重合体がエチレン−ブチレンブロック構造を有する場合、エチレン−ブチレンブロック構造中におけるブチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは70重量%〜90重量%である。ブチレン由来の構成単位の含有割合がこのような範囲であれば、濡れ性および接着性に優れ、粗面に対しても良好に接着し得る粘着剤層を得ることができる。
【0061】
上記アクリル系熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル−ポリアクリル酸ブチル−ポリメタクリル酸メチル共重合体(PMMA−PBA−PMMA共重合体);ポリアクリル酸ブチルに官能基としてカルボン酸を有するタイプのPMMA−官能基含有PBA−PMMA共重合体;等が挙げられる。アクリル系熱可塑性樹脂は市販品を用いてもよい。市販品のアクリル系熱可塑性樹脂の具体例としては、株式会社カネカ製の商品名「NABSTAR」、クラレ株式会社製の商品名「LAポリマー」等が挙げられる。
【0062】
上記粘着剤層は、必要に応じて、他の成分を含有し得る。他の成分としては、例えば、オレフィン系樹脂;シリコーン系樹脂;液状アクリル系共重合体;ポリエチレンイミン;脂肪酸アミド;リン酸エステル;一般的な添加剤;等が挙げられる。上記粘着剤層に含有される他の成分の種類、数および量は、目的に応じて適切に設定され得る。上記添加剤としては、例えば、粘着付与剤;軟化剤;老化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤;紫外線吸収剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカや酸化亜鉛、酸化チタン等の充填剤または顔料;等が挙げられる。
【0063】
粘着付与剤の配合は接着力の向上に有効である。粘着付与剤の配合量は凝集力の低下による糊残り問題の発生を回避するため、被着体に応じて任意の適切な配合量に適宜決定される。通常、粘着剤を形成する樹脂材料100重量部に対し、好ましくは0〜40重量部、より好ましくは0〜30重量部、さらに好ましくは0〜10重量部である。
【0064】
粘着付与剤としては、例えば、炭化水素系粘着付与樹脂、テルぺン系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂などが挙げられる。粘着付与剤は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0065】
炭化水素系粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂(例えば、キシレン樹脂等)、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(例えば、スチレン−オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂などが挙げられる。
【0066】
テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体等のテルペン系樹脂;テルペン系樹脂を変性(例えば、フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性等)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペン−フェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂等);などが挙げられる。
【0067】
ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン等の未変性ロジン(生ロジン);未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(例えば、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等);その他の各種ロジン誘導体:などが挙げられる。
【0068】
フェノール系粘着付与樹脂としては、例えば、レゾール型またはノボラック型のアルキルフェノールなどが挙げられる。
【0069】
粘着付与剤としては、剥離性や耐候性などの点から、例えば、荒川化学工業社製の「アルコンP−125」などの、水添系の粘着付与剤が好ましい。なお、粘着付与剤は、オレフィン樹脂や熱可塑性エラストマーとのブレンド物として市販されているものを使用することもできる。
【0070】
軟化剤の配合は接着力の向上に有効である。軟化剤としては、例えば、低分子量のジエン系ポリマー、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエンやそれらの誘導体が挙げられる。該誘導体としては、例えば、片末端または両末端にOH基やCOOH基を有するものを例示できる。具体的には、水添ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンモノオール、水添ポリイソプレンジオール、水添ポリイソプレンモノオールなどが挙げられる。被着体に対する接着性の向上をより抑制するためには、水添ポリブタジエンや水添ポリイソプレン等のジエン系ポリマーの水添物やオレフィン系軟化剤等が好ましい。具体的には、クラレ社製の「クラプレンLIR−200」等が挙げられる。これら軟化剤は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0071】
軟化剤の分子量は、任意の適切な量に適宜設定できる。軟化剤の分子量が小さくなりすぎると粘着層からの被着体への物質移行や重剥離化等の原因となるおそれがあり、一方、軟化剤の分子量が大きくなりすぎると接着力の向上効果に乏しくなる傾向があることから、軟化剤の数平均分子量は、好ましくは5000〜100000、より好ましくは10000〜50000である。
【0072】
軟化剤を使用する場合、その添加量は、任意の適切な量を採用し得る。軟化剤の添加量が多くなりすぎると、高温や屋外暴露時での糊残りが増加する傾向にあることから、粘着剤を形成する樹脂材料100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。粘着剤を形成する樹脂材料100重量部に対して軟化剤の添加量が40重量部を超えると、高温環境下、屋外暴露下での糊残りが顕著となる。
【0073】
上記粘着剤層は、必要に応じて、片面または両面が表面処理されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理等が挙げられる。
【0074】
粘着剤層は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含有し得る。粘着剤層に含有され得る添加剤としては、例えば、充填剤、着色剤(染料など)、酸化防止剤、金属のキレート化合物、架橋剤(例えば、多官能イソシアネート、多官能アミン、多官能アルコール等)などが挙げられる。粘着剤層に含有される添加剤の種類、数および量は、目的に応じて適切に設定され得る。添加剤の量は、粘着剤層全体に対して、好ましくは5重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下である。
【0075】
上記充填剤としては、例えば、タルク、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、マイカ、硫酸バリウム、ウィスカー、水酸化マグネシウム等の無機充填剤が挙げられる。充填剤の平均粒径は、好ましくは、0.1μm〜10μmである。
【0076】
粘着剤層には、必要に応じて、実用に供されるまでの間、セパレーターなどを仮着して保護しておいても良い。
【0077】
≪≪B.表面保護フィルムの製造方法≫≫
本発明の表面保護フィルムは、任意の適切な方法によって製造し得る。例えば、基材層の形成材料と粘着剤層の形成材料と必要に応じて他の層の形成材料とを共押出しする方法、基材層を形成した後に粘着剤層の形成材料の溶液を塗布して乾燥させる方法、カレンダー成形法によって各層を貼り合わせる方法、などが挙げられる。
【0078】
共押出し法は、各層の形成材料についてそれぞれ押出し機および共押出し用ダイを用いて、インフレーション法、Tダイ法などに準じて行うことができる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。また、部は重量部を意味する。
【0080】
(1)クロス分別法
ポリオレフィン系樹脂を完全に溶解する温度のo−ジクロロベンゼンに溶解し、ポリマーを冷却し、不活性担体の充填されたTREFカラムに薄いポリマー層を生成させた。TREFで分けられた第一区分をオンラインでGPCに注入し、その区分の分子量を測定した。その間、TREF部においては、次の設定温度に昇温して溶出を行った。第一区分の分子量分布の測定が終った後、第二区分をオンラインでGPCへ注入した。以下、同様の操作を温度を段階的に上げながら繰り返し、組成分布の各区分の分子量に関する詳細な情報を得た。
測定機種:CFC T−150A型(三菱油化製)
カラム:Shodex AT−806MS×3本
流速:1.0mL/分
試料濃度:0.3wt/vol%(0.1%BHT入り)
溶出温度:0℃から135℃
【0081】
(2)引張弾性率と柔軟性の評価
テンシロン型引張試験機を使用し、チャック間10mm、引張速度300mm/分の条件で測定した荷重−伸び曲線の接線による計算値から、基材の引張弾性率を求めた。引張方向は基材の流れ方向(MD方向)に対して平行とした。
引張弾性率が高い表面保護フィルムは柔軟性に劣るため、これを柔軟性の評価指針とし、引張弾性率が700N/mm未満の場合を◎、引張弾性率が700N/mm以上800N/mm未満の場合を○、引張弾性率が800N/mm以上の場合を×とした。
【0082】
(3)汚染性の評価
得られた表面保護フィルムを、SUS430BA仕上げ板に、2kgローラー2往復圧着により貼り付けた後、50℃で2週間放置後、23℃で2時間放置し、剥離時の被着体への汚染性を目視にて確認した。
汚染のないものを◎、わずかな汚染はあるものの程度が軽微なものを○、汚染の程度が甚大なものを×とした。
剥離条件:23℃×50%RH
剥離速度300mm/分
180度ピール
【0083】
〔実施例1〕
クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の17.2重量%、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の7.0重量%、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の70.5重量%であるポリオレフィン系樹脂を用い、Tダイ法により厚み40μmの基材フィルムを作製した。この基材フィルムの片面にゴム系粘着剤(クレイトンポリマー社製の「G1657」100部と荒川化学工業社製の「アルコンP−125」30部をトルエンに溶解したもの)を乾燥後の粘着剤層の厚みが5μmになるように塗布し、80℃で5分間乾燥し、表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムは、粘着剤層を上記基材フィルムに貼り合わせた状態にて50℃で1週間保存した。
このようにして得られた表面保護フィルム(1)についての評価結果を表1に示した。
【0084】
〔実施例2〕
クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の16.9重量%、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の10.2重量%、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の68.1重量%であるポリオレフィン系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護フィルム(2)を得た。基材フィルムの厚みは40μm、粘着剤層の厚みは5μmであった。
得られた表面保護フィルム(2)についての評価結果を表1に示した。
【0085】
〔実施例3〕
クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の16.4重量%、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の13.5重量%、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の65.9重量%であるポリオレフィン系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護フィルム(3)を得た。基材フィルムの厚みは40μm、粘着剤層の厚みは5μmであった。
得られた表面保護フィルム(3)についての評価結果を表1に示した。
【0086】
〔実施例4〕
クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の16.0重量%、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の16.8重量%、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の63.5重量%であるポリオレフィン系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護フィルム(4)を得た。基材フィルムの厚みは40μm、粘着剤層の厚みは5μmであった。
得られた表面保護フィルム(4)についての評価結果を表1に示した。
【0087】
〔実施例5〕
クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の15.5重量%、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の10.3重量%、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の69.5重量%であるポリオレフィン系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護フィルム(5)を得た。基材フィルムの厚みは40μm、粘着剤層の厚みは5μmであった。
得られた表面保護フィルム(5)についての評価結果を表1に示した。
【0088】
〔実施例6〕
クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の13.2重量%、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の39.4重量%、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の47.4重量%であるポリオレフィン系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護フィルム(6)を得た。基材フィルムの厚みは40μm、粘着剤層の厚みは5μmであった。
得られた表面保護フィルム(6)についての評価結果を表1に示した。
【0089】
〔実施例7〕
クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の8.9重量%、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の7.4重量%、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の83.7重量%であるポリオレフィン系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護フィルム(7)を得た。基材フィルムの厚みは40μm、粘着剤層の厚みは5μmであった。
得られた表面保護フィルム(7)についての評価結果を表1に示した。
【0090】
〔実施例8〕
クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の12.3重量%、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の23.3重量%、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の60.7重量%であるポリオレフィン系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護フィルム(8)を得た。基材フィルムの厚みは40μm、粘着剤層の厚みは5μmであった。
得られた表面保護フィルム(8)についての評価結果を表1に示した。
【0091】
〔比較例1〕
クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の50.0重量%、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の24.6重量%、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の25.4重量%であるポリオレフィン系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護フィルム(C1)を得た。基材フィルムの厚みは40μm、粘着剤層の厚みは5μmであった。
得られた表面保護フィルム(C1)についての評価結果を表1に示した。
【0092】
〔比較例2〕
クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の0.1重量%、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の39.6重量%、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の60.3重量%であるポリオレフィン系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面保護フィルム(C2)を得た。基材フィルムの厚みは40μm、粘着剤層の厚みは5μmであった。
得られた表面保護フィルム(C2)についての評価結果を表1に示した。
【0093】
【表1】

【0094】
表1に示すように、本発明の表面保護フィルムは、優れた柔軟性を有し、かつ、被着体表面の汚染性を十分に抑制できることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の表面保護フィルムは、属鏡面板、ガラス板、ITOフィルムなどの光学フィルム等の表面を保護するための表面保護フィルムとして有用である。
【符号の説明】
【0096】
10 粘着シート
12 基材層
14 粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロス分別法による0℃以上20℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の1重量%以上20重量%未満であるポリオレフィン系樹脂を含む基材層の片面に粘着剤層を有する、表面保護フィルム。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系樹脂が、クロス分別法による20℃以上75℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の5重量%以上40重量%未満であり、クロス分別法による75℃以上125℃未満での樹脂溶出量が全樹脂量の30重量%以上90重量%未満である、請求項1に記載の表面保護フィルム。
【請求項3】
前記ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量が、100000〜450000の範囲にある、請求項1または2に記載の表面保護フィルム。
【請求項4】
前記基材層の引張弾性率が150〜840N/mmである、請求項1から3までのいずれかに記載の表面保護フィルム。




【図1】
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【公開番号】特開2012−62339(P2012−62339A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205106(P2010−205106)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】