表面処理ロボット
【課題】狭い寸法の場所を清掃することを容易にする形状要素を持つ、床等の表面を処理するための表面処理ロボットを提供することを目的とする。
【解決手段】表面処理ロボットであって、筺体と、ロボットを清掃表面上で動かす左右の駆動車輪を含む駆動システムと、収集部及び該収集部を通して清掃表面から廃液を吸引する吸引部を含む真空部と、真空部によって除去された廃液を収集する収集容器と、洗浄液を収容するように構成された供給容器と洗浄表面に洗浄液を施すように構成された塗布器と、を含み、ロボットの全体積の少なくとも約25パーセントは、洗浄液が塗布器から施され、及び、廃液が真空部によって収集されるにつれて、供給容器内の洗浄液から収集容器内の廃液に移る一方で、供給容器及び収集容器は、右及び左の車輪によって定められる横軸に沿った、実質的に一定の重心を維持するように構成されることを特徴とする。
【解決手段】表面処理ロボットであって、筺体と、ロボットを清掃表面上で動かす左右の駆動車輪を含む駆動システムと、収集部及び該収集部を通して清掃表面から廃液を吸引する吸引部を含む真空部と、真空部によって除去された廃液を収集する収集容器と、洗浄液を収容するように構成された供給容器と洗浄表面に洗浄液を施すように構成された塗布器と、を含み、ロボットの全体積の少なくとも約25パーセントは、洗浄液が塗布器から施され、及び、廃液が真空部によって収集されるにつれて、供給容器内の洗浄液から収集容器内の廃液に移る一方で、供給容器及び収集容器は、右及び左の車輪によって定められる横軸に沿った、実質的に一定の重心を維持するように構成されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律的に清掃作業を行うように構成されたロボットといった、表面清掃ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
本米国特許出願は、35U.S.C.セクション119(e)に基づく、2007年5月17日に出願された米国仮出願60/938,699及び2007年5月9日に出願された米国仮出願60/917,065に対する優先権を主張する。これらの先行する出願の開示は、本出願の開示の一部分とみなされ、参照することによりそれら全体が本明細書に含まれるものとする。
【0003】
米国の特許出願公開2008/00652565、2007/0244610、及び2007/0016328、2006/0200281、及び2003/0192144、並びに、米国特許6,748,297及び6,883,201の内容は、参照することによりそれら全体が本明細書に含まれるものとする。
【0004】
家庭における表面の湿式洗浄は、ぬれたモップ又はスポンジを使って、長い間、手作業で行なわれてきている。モップ又はスポンジは、そのモップ又はスポンジがある量の洗浄液を吸収できるように、洗浄液で満たされた容器にちょっと浸される。その後、モップ又はスポンジは、表面に洗浄液を塗るために、表面上で動かされる。洗浄液は、表面上の汚染物質と相互作用し、汚染物質を洗浄液の中に溶解するか、或いは、乳状にすることができる。そのために、洗浄液は、洗浄液と洗浄液中に浮遊状態で保持された汚染物質を含んだ廃液に変わる。その後、スポンジ又はモップは、表面から廃液を吸収するために利用される。真水は、家庭における表面に塗られる洗浄液として使用するのにいくらか効果的ではあるが、ほとんどの洗浄は、真水及び、汚染物質と相互作用して、汚染物質を水の中で乳状にする石鹸または洗剤の混合物である洗浄液を用いて行われる。さらに、洗浄処理の効果を向上させるため、溶媒、香料、消毒剤、研磨剤粒子、及びその他の化学物質と混合された水及び洗剤を用いて、家庭における表面を掃除することが知られている。
【0005】
スポンジ又はモップはまた、床の表面、及び、特に、家庭における表面から汚染物質を除去するのが特に困難な場所をこすり洗いする洗浄要素として利用することができる。こすり洗いを実行することは、汚染物質と混ぜるために洗浄液を攪拌すること、及び、床の表面から汚染物質を開放するための摩擦力を加えることになる。攪拌は、洗浄液の溶解及び乳化作用を強化し、摩擦力は、表面と汚染物質の間の結合を破ることを促進する。
【0006】
床の表面の領域を洗浄した後、モップ又はスポンジから廃液をすすがなければならない。このことは、特に、モップ又はスポンジを洗浄液で満たされた容器に戻して浸すことで行なわれる。このすすぎの手順は、洗浄液を廃液で汚染し、モップ又はスポンジがすすがれる毎に、洗浄液はさらに汚染される。結果として、より多くの床の表面が洗浄されるにつれて、洗浄液の効果は劣化する。
【0007】
いくつかの手動の床洗浄装置は、洗浄液供給用の容器が支持された取っ手と、その取っ手の片方の先端の洗浄用のスポンジを持つ。これらの装置は、取っ手に支持された、液体を床に噴霧するための洗浄液を分配するノズルを含む。これらはまた、洗浄用のスポンジから廃液の容器へ廃液を絞り出すための機械装置を含む。
【0008】
床を洗浄するための手動の方法は、大きな労働力を要し、また、時間のかかるものであり得る。従って、病院、大きな小売店、カフェテリア等の大きな建造物の多くにおいて、毎日又は毎夜、床に対して湿式の清掃がなされる。湿式の床清掃を行うことのできる、産業用床清掃ロボットが開発されている。広大な産業用の場所において要求される湿式の清掃方法を実行するため、これらのロボットは、一般的に大きく、高価で、複雑なものとなっている。これらのロボットは、湿式の清掃装置が清掃進路に沿って自律的に移動するための原動力を与える、駆動装置を持つ。しかしながら、これらの産業用のサイズの湿式清掃用装置は、数百ポンドと、重くされるので、これらの装置は通常、運転者に伴われる。例えば、運転者は装置を停止することができ、従って、センサの不具合又は予期せぬ制御変数があった場合に発生し得る、重大な損傷を避けることができる。その他の例として、運転者は、囲まれた領域又は障害物の間を物理的に脱出する、又は、誘導するために、湿式清掃装置の移動を補助することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここに開示されるのは、多くの家庭において見出すことのできるような、狭い寸法の場所を清掃することを容易にする形状要素を持つ、床や調理台といった表面を処理するための自律型ロボットである。一つの例において、ロボットは、清掃処理を通して、実質的に一定に維持される重量配分を含む場合があり、重量は、洗浄要素、スクイージ、及び駆動車輪の間で配分されている。重量配分は、駆動車輪において加えられる十分な推進力を許容する一方で、湿潤要素及びスクイージに対して十分な圧力を与えることができる。長所として、ロボットは、表面の湿式洗浄のために構成された重量配分を持つ一方で、狭い寸法の場所を進むために必要とされる小さな体積を持つことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの態様において、表面処理ロボットは、前方及び後方の端を持つ筺体と、前記筺体に保持された駆動システムを含む。前記駆動システムは、前記ロボットを清掃表面上で動かすように構成されていて、かつ、差動駆動される右及び左の車輪を含む。前記ロボットは、前記筺体により保持された真空部を含む。前記真空部は、清掃表面と接触する収集部及び前記収集部と液体をやりとりできるようにされた吸引部を含む。前記吸引部は、前記収集部を通して、前記清掃表面から廃液を収集するように構成されている。前記ロボットは、前記筺体に保持され、かつ、前記真空部によって除去された廃液を収集する真空部と液体をやりとりできるようにされている収集容器を含む。前記ロボットは、前記筺体によって保持され、かつ、洗浄液を収容するために構成された供給容器を含む。塗布器は、前記筺体により保持され、かつ、前記供給容器と液体をやりとりできるようにされている。前記塗布器は、洗浄液を実質的に前記筺体の前記前方の端の近くで、前記洗浄表面に施すために構成されている。前記ロボットは、前記筺体によって保持され、かつ、前記ロボットが前方に駆動される時、前記清掃表面の少なくとも一部に沿って前記洗浄液を散布するために前記清掃表面と接触する、湿潤要素を含む。前記湿潤要素は、前記右及び左駆動車輪によって定められる横軸の実質的前方に配置され、かつ、前記湿潤要素は、前記清掃表面上で前記ロボットの重量の少なくとも約10パーセントをスライド可能に支持している。
【0011】
本開示のこの態様の実施は、以下の1つ以上の特徴を含む場合がある。いくつかの実施において、前記真空部の前記収集部は、前記右及び左駆動車輪で定められる前記横軸の実質的に後方に配置され、かつ、前記真空部は、前記清掃表面上において、前記ロボットの少なくとも約20パーセントの重量をスライド可能に支持している。いくつかの実施において、前記ロボットが前方に最大速度で走行している時に、前記真空部の前記収集部の前方部分は、前記清掃表面上のある位置を、前記塗布器の前方部分が前記清掃表面上の前記位置を通過してから約0.25秒から約0.6秒後に通過するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施において、前記ロボットは、前記駆動システムと通信し、前記ロボットを誘導するように構成されたナビゲーションシステムを含む。前記真空部は、前記清掃表面上に施された前記洗浄液の一部を収集するように構成され、かつ、前記ナビゲーションシステムは、前記表面上に残っている前記洗浄液を収集するために戻るようにロボットを誘導するように構成されている。いくつかの実施において、前記ナビゲーションシステムは、前記ロボットが前記表面上に残っている前記洗浄液を戻って収集するように、疑似ランダム経路に沿って誘導するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施において、前記真空部の前記収集部は、スクイージ及び真空室を含む。前記スクイージは、前記筺体に取り付けられ、かつ、前記清掃表面に近接して配置された長手方向の隆起部とともに形成され、かつ、前記隆起部の前方エッジにおいて、溶液収集体積を提供するために、洗浄幅全域に延びている。前記真空室は、前記スクイージによって部分的に形成され、かつ、前記真空室は、前記長手方向の隆起部に近接して配置され、前記洗浄幅全域に延びている。前記真空室は、実質的に前記長手方向の隆起部の上において、前記スクイージによって定められる複数の吸入口によって、前記溶液収集体積と液体をやりとりできるようにされている。
【0014】
いくつかの実施において、前記駆動システムは、前記ロボットを3L未満の体積内において動かすように構成されている。いくつかの実施において、供給容器は、約600mL以上の洗浄液を入れることができるように構成されている。
【0015】
いくつかの実施において、前記駆動システムは、最大前進速度約200mm/sから約400mm/sの間において、前記ロボットを推進する約100グラム重から約700グラム重の間の力を、各車輪に対して与えるように構成されている。いくつかの実施において、前記ロボットの重心は、前記右及び左の差動駆動される車輪によって定められる横軸に実質的に沿っている。
【0016】
いくつかの実施において、前記ロボットは、前記筺体によって保持され、かつ、前記筺体の横から延びた延長要素を含む。前記延長要素は、前記筺体に向かってごみを導くように構成されている。いくつかの実施において、前記延長要素は、障害物と接触した時に、前記延長要素が曲がることを可能とし、かつ、前記障害物から解放された時に、実質的にもとの位置に戻ることを可能とするように構成された弾力性のあるもどり止めを含む。いくつかの実施において、前記延長要素は、前記真空部と液体をやりとりできるようにされ、かつ、ごみを前記真空部に向けて吸引するように構成されている。
【0017】
別の態様において、表面処理ロボットは、前方及び後方の端を持つ筺体、及び、前記筺体によって保持され、かつ、前記ロボットを清掃表面上で動かすように構成された駆動システムを含む。前記駆動システムは、右及び左の差動駆動される車輪を含む。前記ロボットは、前記筺体によって保持され、かつ、収集部及び吸引部を含む、真空部を含む。前記収集部は、前記清掃表面と接触し、かつ、前記吸引部は前記収集部と液体をやりとりできるようにされている。前記吸引部は、前記収集部を通して前記清掃面上から廃液を吸引するように構成されている。前記ロボットは、前記筺体に保持され、かつ、前記真空部によって除去された廃液を収集するために前記真空部と液体をやりとりできるようにされた収集容器を含む。前記ロボットは、前記筺体に保持され、かつ、洗浄液を収容するように構成された供給容器を含む。塗布器は、前記筺体に保持され、かつ、前記供給容器と液体をやりとりできるようにされている。前記塗布器は、前記筺体の実質的に前記前方の端の近くで前記洗浄表面上に洗浄液を施すように構成されている。前記供給容器及び前記収集容器は、前記ロボットの全体積の少なくとも約25パーセントは、洗浄液が前記塗布器から施され、及び、廃液が前記真空部によって収集されるにつれて、前記供給容器内の洗浄液から前記収集容器内の廃液に移る一方で、前記右及び左の差動駆動される車輪によって定められる横軸に沿った、実質的に一定の重心を維持するように構成されている。
【0018】
いくつかの実施において、前記供給容器の少なくとも一部は、実質的に前記収集容器内に配置された内袋を含む。前記内袋は、前記ロボットの全体積の少なくとも約25パーセントの洗浄液の体積を収納するために拡張でき、かつ、前記内袋は、前記収集容器が前記ロボットの全体積の少なくとも約25パーセントの廃液の体積を収納することを可能とするために畳むことができる。
【0019】
いくつかの実施において、前記湿潤要素は、実質的に弓形の形状を持ち、かつ、前記清掃表面と接触するように、前記湿潤要素から延びた複数の毛を含む。前記複数の毛は、前記ロボットが駆動されるにつれて、前記湿潤要素が障害物と接触する時に生成される力を分散させるために、実質的にお互いに独立して変形するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施において、前記真空部の前記収集部は、前記湿潤要素の横方向の寸法と実質的に同じ横方向の寸法を持ち、かつ、前記右及び左の差動駆動される車輪は、前記湿潤要素の前記横方向の寸法以下の横方向の寸法を定める。
【0021】
いくつかの実施において、前記真空部の前記吸入部は、ファン、及び、前記ファンと液体をやりとりできるようにされ、かつ、前記真空室と液体をやりとりできるようにされている吸入導管を含む。前記ファンは、前記収集部から前記真空室に廃液を引き込むために、前記吸入導管を通して前記真空室内の負の空気圧を作り出すために前記真空室から空気を引き込むように構成されている。前記吸入導管の少なくとも一部は、前記ファンへの廃液の実質的な流れを妨げるために、前記真空室への前記廃液の流れの方向に対して約90°に配置されている。
【0022】
いくつかの実施において、前記供給容器は第一のポートを定め、かつ、前記収集容器は第二のポートを定める。前記第一のポートは、廃液が前記収集容器から出される間に、前記供給容器に洗浄液が加えられた時に、前記ロボットが実質的に同じ向きに維持されるように、実質的に前記第二のポートの反対側に配置される。いくつかの実施において、前記ロボットは、前記筺体によって保持され、かつ、前記筺体の前記前方の端に実質的に沿って配置されたバンパーを含む。前記バンパーは、前記供給容器の前記第一のポートの利用を提供する開口部を定める。
【0023】
別の態様において、自律カバレッジロボットは、前方及び後方の端、周囲、及び上部を持つ本体を含む。前記ロボットは、前記本体に保持され、かつ、前記ロボットを清掃表面上で動かすように構成された、駆動システムを含み、前記駆動システムは、右及び左の差動駆動される車輪を含む。前記ロボットは、実質的に前記上部の下、かつ、前記右及び左の差動駆動される車輪によって定められる前記横軸の実質的前方にて、前記本体によって保持される光学的受信機を含む。前記ロボットは、前記光学的受信機と光学的に通信する、シグナルチャネラを含む。前記シグナルチャネラは、前記本体の前記上部の周りに沿って配置されていて、かつ、実質的に前記本体の前記周囲全体の周りに延びている。前記シグナルチャネラは、前記本体の前記周囲の実質的にどの方向の遠隔送信機からの光学的信号でも受信するように構成されている。前記シグナルチャネラは、前記光学的信号を前記受信機に向けて導くために内部反射し、かつ、前記駆動システムは、前記受信機によって受信された前記光学的信号に応じて、方向設定を変更するように構成されている。
【0024】
いくつかの実施において、前記ロボットは、前記本体により保持され、前記ロボットによって前記表面から除去された廃液を収集するための収集容器を含む。前記シグナルチャネラは、前記収集容器の少なくとも上面の一部を形成する。
【0025】
いくつかの実施において、前記シグナルチャネラの少なくとも一部は、前記シグナルチャネラ内における全内部反射を可能とするために、約1.4以上の屈折率を持つ材質で形成されている。いくつかの実施において、前記シグナルチャネラは、第一の表面に沿って配置された第一の鏡、及び、前記第一の表面の反対側の第二の表面に沿って配置された第二の鏡とを含む。前記第一の鏡及び前記第二の鏡は、前記シグナルチャネラ内の光を、内部反射するように構成されている。
【0026】
別の態様において、自律型ロボットは、筺体、及び、前記筺体と結合したバイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムを含む。前記バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムは、一番上の位置及び一番下の位置を持つ。前記ロボットは、前記筺体に保持され、かつ、前記清掃表面から廃液を吸引するように構成された真空部を含む。収集容器は、前記筺体に保持され、かつ、前記真空部により吸引された廃液を収集するために前記真空部と液体をやりとりできるようにされている。前記ロボットは、前記真空部及び前記収集容器との間の液体のやりとりの少なくとも一部を妨げるために、開いた位置から閉じた位置に移動可能なシールを含む。前記シールは、前記サスペンションシステムと結合し、かつ、前記バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムが前記一番上から前記一番下の位置に動く時、前記開いた位置から前記閉じた位置に動くように構成されている。
【0027】
いくつかの実施において、前記真空部は、ファンを含み、かつ、前記シールは、前記ファンと前記収集容器との間の前記液体のやりとりの少なくとも一部を妨げるように構成されている。
【0028】
別の態様において、ロボットの静止状態検出システムは、表面上を動くように構成されている本体、及び、前記ロボットに保持される静止状態センサを含む。前記静止状態センサは、向きを付けられたビームを放射するように構成された光学的エミッタ、及び、前記向きを付けられたビームを検出するように作動するフォトン検出器とを含む。前記静止状態センサは、前記光学的エミッタと前記フォトン検出器との間の光学的通信を実質的に妨げるために、前記向きを付けられたビームと前記フォトン検出器との間に位置する物体を含む。前記物体は、前記光学的エミッタと前記フォトン検出器との間の光学的通信を実質的に可能とするように、前記本体の運動シーケンスに応じて移動可能とされている。前記ロボットの静止状態検出システムは、前記静止状態センサと電気的に通信し、かつ、少なくともある程度、前記光学的エミッタと前記フォトン検出器との間の光学的通信のレベルに基づき静止状態を判定するように構成されたコントローラを含む。
【0029】
いくつかの実施において、前記コントローラは、前記本体の前記運動シーケンスを引き起こすように、前記ロボットを動かすように構成されている。いくつかの実施において、前記ロボットの静止状態検出システムは、前記ロボットに保持された二つの駆動される車輪を含み、かつ、前記コントローラは、前記本体の前記運動シーケンスを引き起こすために、前記二つの車輪を差動駆動するように構成されている。いくつかの実施において、前記ロボットの静止状態検出システムは、前記本体に保持され、かつ、前記表面と接触する湿潤要素を含む。前記湿潤要素は、前記本体の前記運動シーケンスの間に洗浄液を前記表面に塗るように構成されている。
【0030】
別の態様において、自律型ロボットの静止状態を検出する方法は、前記ロボットに保持された光学的エミッタから、向きを付けられたビームを放射することを含む。前記方法は、前記ロボットの運動シーケンスを与えるために、前記ロボットの駆動システムを制御することを含む。前記ロボットに保持される物体が前記ロボットの前記運動シーケンスに応じて動く時に、前記方法は、前記向きを付けられたビームを前記ロボットに保持される光学的エミッタにおいて検出することを含む。前記ロボットの静止状態は、前記光学的エミッタと前記フォトン検出器との間の光学的通信のレベルに少なくともある程度基づき、判定される。
【0031】
いくつかの実施において、前記ロボットの前記駆動システムを制御することは、前記ロボットの前記運動シーケンスを与えるために、前記ロボットに保持される二つの車輪を差動駆動することを含む。いくつかの実施において、前記ロボットは、表面と接触する洗浄要素を保持し、かつ、前記ロボットの前記運動シーケンスは前記ロボットの清掃ルーチンの一部となっている。いくつかの実施において、前記ロボットは、中心垂直軸を定め、かつ、前記ロボットの運動シーケンスを与えるために、前記ロボットの駆動システムを制御することは、前記中心垂直軸の周囲に前記ロボットを回転させるための、駆動指令のシーケンスを含む。
【0032】
別の態様において、自律型ロボットの静止状態検出方法は、ロボットを表面の上で動かすこと、及び、前記ロボットに保持された光学的エミッタから、向きを付けられたビームを前記光学的エミッタから放射することを含む。前記ロボットに保持された光学的検出器において、前記方法は、前記表面からの前記向きを付けられたビームの反射を検出することを含む。前記方法は、前記フォトン検出器によって検出された前記反射の強度の変動に、少なくともある程度基づいて、前記ロボットの静止状態を判定することを含む。
【0033】
いくつかの実施において、前記ロボットを前記表面の上で動かすことは、前記表面上で、前記ロボットに保持された受動的洗浄要素を動かすために二つの車輪を差動駆動することを含む。いくつかの実施において、前記向きを付けられたビームを前記表面に向けて放射することは、前記受動的洗浄要素の前方の前記表面に向けて、前記向きを付けられたビームを放射することを含む。いくつかの実施において、前記方法は、前記ロボットの前記判定された静止状態を、前記ロボットに保持された第二センサによって判定された第二の静止状態と比較することを含む。いくつかの実施において、表面の上で前記ロボットを動かすことは、前記ロボットを、約200m/sと約400m/sの間の前進速度で、前記表面上を移動させることを含む。いくつかの実施において、前記方法は、前記フォトン検出器によって検出された前記信号の前記強度に基づいて、前記ロボットの前方の崖の存在を判定することを含む。
【0034】
別の態様において、ロボットの壁検出システムは、表面上を動くように構成された本体、及び、壁の存在を検出するために、前記本体に保持されたセンサを含む。前記センサは、実質的に前記本体の前方の方向の壁に向けて、定められた放射領域を持つ、向きを付けられたビームを放射するエミッタを含む。前記センサは、実質的に本体の前方の方向の前記壁に向けて延びる、定められた視野を持つ検出器を含む。前記定められた視野は、前記定められた放射領域とほぼ平行で、かつ、前記センサの実質的に前方の有限領域において前記定められた放射と交差する。前記検出器と通信する回路は、前記本体と前記壁との間の距離を制御する。
【0035】
いくつかの実施において、前記本体は、前記検出器を、前方に、約200mm/sから約400mm/sで動かすように構成されている。いくつかの実施において、前記コントローラは、前記本体を前記壁から実質的に一定の距離において動かすために、前記検出器の一定のアナログ値を維持するように構成されている。いくつかの実施において、前記壁からの距離と前記検出器によって検出された前記信号の強度との間の実質的に線形の関係を与えるために、前記定められた放射領域は、前記定められた視野に対して配置されている。いくつかの実施において、前記定められた放射領域と前記定められた視野との間の挟角は約10°から約30°とされている。
【0036】
その他の態様、特徴、及び長所は、記述及び図面、及び請求項から明瞭になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、自律清掃ロボットのサブシステム間の相互関係を示すブロック図である。
【図2】図2は、自律清掃ロボットの透視図である。
【図3】図3は、図1の自律清掃ロボットの底面図である。
【図4】図4は、図1の自律清掃ロボットの側面図である。
【図5】図5は、図1の自律清掃ロボットの正面図である。
【図6】図6は、図1の自律清掃ロボットの背面図である。
【図7】図7は、図1の自律清掃ロボットの分解斜視図である(ユーザインターフェースが取り外されたものが示されている)。
【図8】図8は、図1の自律清掃ロボットの液体塗布器モジュールの略図である。
【図9】図9は、図1の自律清掃ロボットの湿潤要素の透視図である。
【図10】図10は、自律清掃ロボットの湿潤要素の上面図である。
【図11】図11は、能動的なブラシ要素の透視図である。
【図12】図12は、自律清掃ロボットの上面図である。
【図13】図13は、自律清掃ロボットの真空モジュールの略図である。
【図14】図14は、自律清掃ロボットの真空モジュールの一部分の透視図である。
【図15A】図15A〜Bは、自律清掃ロボットの能動密封システムの略図である。
【図15B】図15A〜Bは、自律清掃ロボットの能動密封システムの略図である。
【図16】図16は、自律清掃ロボットのファンの分解斜視図である。
【図17】図17は、図1の自律清掃ロボットのスクイージの透視図である。
【図18】図18は、図1の自律清掃ロボットのスクイージの側面図である。
【図19】図19は、図1の自律清掃ロボットのスクイージの底面図である。
【図20】図20は、図1の自律清掃ロボットの車輪の分解斜視図である。
【図21】図21は、自律清掃ロボットのワイヤシールの透視図である。
【図22】図22は、自律清掃ロボットのシグナルチャネラ及び全方向受信装置の分解斜視図である。
【図23A】図23Aは、図1の自律清掃ロボットのバンパーに搭載された壁追従センサの部分的上面断面図である。
【図23B】図23Bは、自律清掃ロボットの壁追従センサの略図である。
【図24】図24は、壁追従装置を含む自律清掃ロボットのロジックと関連づけられるステップを表現するフローチャートである。
【図25】図25は自律清掃ロボットの衝突センサの斜視図である。
【図26】図26は、図25の衝突センサの26−26線に沿って取得された断面図である。
【図27】図27は、壁の角にぴったりはまって進む小型清掃ロボットの平面図である。
【図28】図28は、自律清掃ロボットの車輪と位置合わせされたバンパーの略図である。
【図29】図29は、自律清掃ロボットのクリフセンサの略図である。
【図30】図30は、崖検出器を含む自律清掃ロボットのロジックと関連づけられるステップを表現するフローチャートである。
【図31】図31は、筐体に静止状態センサの搭載された図1の自律清掃ロボットの、筐体の側面図である。
【図32】図32は、図1の自律清掃ロボットの静止状態センサの分解斜視図である。
【図33】図33は、自律清掃ロボットの揺動センサの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
自律型ロボットは、床を清掃するように設計されることがある。例えば自律型ロボットは、カーペット又は硬い床を電気掃除機で掃除することができ、また、液体によって支援された洗浄、及び/又は、拭きとり、及び/又は、静電気による拭き取りを通して、タイル、ビニール、又は、その他のそのような表面を洗うことができる。Zieglerおよびその他によるAUTONOMOUS SURFACE CLEANING ROBOT FOR WET AND DRY CLEANINGと題された米国出願番号11/359,961の開示は、参照することにより、その全体が本明細書に含まれるものとされているが、自律清掃ロボットを開示している。
【0039】
自律型ロボットは、床の上に移動可能に支持され、表面をあちこち動きながら、表面を清掃するために利用される。ロボットは、洗浄液を表面に塗布し、洗浄液を表面に広げ(例えば、塗りつけて、こする)、廃液(例えば、実質的に、洗浄液と、その中に混ぜ合わされたごみ)を床から収集することによって、表面を湿式洗浄することができる。同程度の大きさのドライクリーニングロボットと比較すると、自律型湿式洗浄ロボットは、表面からより多くのごみを除去することができる。
【0040】
図1は、自律清掃ロボットのサブシステムの相互関係を示す略ブロック図である。コントローラ1000は、電源モジュール1200から電力を供給され、センサモジュール1100及びインターフェースモジュール1700からの入力を受信する。コントローラ1000は、清掃表面(以下、「表面」と呼ばれる)を横切って自律清掃ロボットを動かすために、輸送駆動部1600を制御する一方で、液体貯蔵モジュール1500、液体塗布器モジュール1400、及び真空モジュール1300(例えば、湿式真空モジュール)を制御するために、センサモジュール1100からの入力と、コントローラ1000にプログラムされている情報(例えば、行動)とを結合する。
【0041】
コントローラ1000(例えば、ロボットのコントローラ)は、表面を横切ってロボットを推進するために用いられる、駆動車輪の動きを指示することによって表面を横切るロボットの自律的な動きを制御する。コントローラ1000は、センサ(例えば、ロボット、ナビゲーションの無線標識に保持されるセンサ)からの様々な異なる信号に応じて、ロボットの動きの方向を変えることができる。追加的、又は、代替的に、コントローラは、ロボットによる清掃の被覆率を向上させるために、実質的に不規則的に表面を横切るロボットに指示することができる。
【0042】
清掃作業の前に、外部の洗浄液源を通して、洗浄液を液体貯蔵モジュール1500に加えることができる。その後、ロボットは清掃される表面に設定され、インターフェースモジュール1700(例えば、ロボットにより保持されるユーザインターフェース)を通して清掃が開始される。コントローラ1000は、ロボットを表面全域の所望のパターン内で動かすために、輸送駆動部1600を制御する。コントローラ1000が表面全域のロボットの動きを制御する時に、コントローラはまた、洗浄液を表面に供給するために液体塗布器モジュール1400を制御し、表面から廃液を収集するために真空モジュール1300を制御する。
【0043】
清掃作業の完了後(例えば、ロボットから全ての洗浄液が施された後、ロボットがルーチンを完了した後、時間周期経過後)、廃液はロボットから除去される。ロボットは軽量で、小型の形状要素を持ち、そのことは、例えば、ロボットを他の清掃する領域に移動させることが可能で、次に利用するまで保管場所に収納することが可能であるといった、ロボットの取り扱いを、それぞれ容易にする。ロボットは、ロボットの使用中またはロボットの取扱中に、洗浄液、及び/又は、廃液がロボットからこぼれることを最小化するために、実質的に密閉することが可能である(例えば、受動的、能動的に密閉できる)。
【0044】
図2−6を参照すると、ロボット10は、底板200、バンパー300、ユーザインターフェース400、及びホイールモジュール500、501を保持した筐体100を含む。ホイールモジュール500、501は、筐体100で定められる横軸に沿って、実質的に向かい合されている。底板200は、筐体100の実質的に底の部分で保持され、そして、表面の上で、筐体100の前方部分を少なくとも部分的に支持する。清掃のルーチンの間に、ホイールモジュール500、501は床の全域において、ロボット10を推進し、底板200は、スライド可能に表面と接触し、洗浄液を放出し、表面上に洗浄液を散布し、廃液を表面からロボット10により定められる容器の中に収集することによって、湿式真空掃除機をかける。ユーザインターフェース400は、実質的に筐体100の上部に保持され、1つ又はそれ以上の使用者の指令を受け取るように構成され、かつ/又は、ロボット10のステータスを表示するように構成されている。ユーザインターフェース400は、1つ又はそれ以上のユーザインターフェース400への指令が、ロボット10により実行される清掃のルーチンを起動することができるように、ロボット10により保持されるコントローラ(以下に詳述される)と通信している。バンパー300は、筐体100の前方部分に保持され、かつ、ロボット10の経路における1つ又はそれ以上の事象を検出するように構成されている(例えば、ホイールモジュール500、501が清掃ルーチンの間に、床全域にわたってロボット10を推進する時)。以下に詳述される通り、ロボット10は、バンパー300によって検出された事象(例えば、障害物、崖、壁)に対して、その事象に応じてロボット10を動かすために(例えば、その事象から離れる)、ホイールモジュール500、501を制御することによって、応答することができる。本明細書において、いくつかのセンサはバンパーに配置されると記述されているが、これらのセンサは、追加的に、又は、代替的に、ロボット10の様々な異なる位置のどこにでも配置することができる。
【0045】
ロボット10は、洗浄液と廃液を蓄え、従って、実質的に、電気システムの全体は、液体に対して密閉され、かつ/又は、ロボット10の洗浄液及び/又はごみから分離される。ロボット10の電気部品を洗浄液及び/又は廃液から分離するために用いることができるシーリングの例には、覆い、プラスチック又は樹脂の構成部分、ポッティング、焼きばめ、ガスケット等が含まれる。回路基板、プリント回路基板、検出器、又はセンサとして、ここに記載されるすべての要素は、様々な異なる方法を用いて、密封することができる。
【0046】
ロボット10は、筐体により定められる3つのお互いに直交する軸である中心垂直軸20、前後軸22、及び横軸24に対する様々な異なる移動の組み合わせを通して、表面全域で移動することができる。前後軸22に沿った前方移動方向は、Fと示され(以下において、時々「前方」と参照される)、前後軸22に沿った後部への移動方向は、Aと示される(以下において、時々「後方」と参照される)。横軸は、ホイールモジュール500、501の中心点で定められる軸に実質的に沿って、ロボットのRと示される右側面と、Lと示される左側面の間に及ぶ。この後の図において、R及びL方向は、上面図と一致したままとされるが、印刷されたページにおいて反転されることがある。
【0047】
使用中、ユーザはバンパー300に沿って配置された補給ドア304を開き、ロボット10内の容器に洗浄液を加える。洗浄液をロボット10に加えた後、補給ドア304が実質的にバンパー300と共に、又は、いくつかの実施においては、バンパー300から及ぶポートと共に、防水の封を形成するように、ユーザは補給ドアを閉じる。ユーザは、清掃する表面にロボット10を配置し、ユーザインターフェース400に1つ又はそれ以上のコマンドを入力することによって、清掃を開始する。
【0048】
ロボット10に保持されたコントローラは、ホイールモジュール500、501の動きを指示する。コントローラがロボット10を様々などの方向にも動かせるように、コントローラは各ホイールモジュール500、501の回転速度と方向を独立に制御することができる。例えば、コントローラは、ロボット10を前、後、右、及び左方向に動かすことができる。例えば、ロボット10が実質的に前後軸22に沿って移動する時、ロボット10が、中心垂直軸20の周囲を前後に回転するように、ロボット10は右に曲がることと左に曲がることを交互に繰り返すことができる(以下、揺動動作と呼ばれる)。以下に詳述される通り、ロボット10のそのような揺動動作は、ロボット10が清掃作業中にたわしとして動作することを可能にする。以下に詳細に記述されるように、コントローラは、ロボット10の揺動動作を、ロボット10の静止状態を検出するために利用することができる。追加的に、又は、代替的に、コントローラは、例えば、ロボットが角から抜け出して、又は、障害物から離れて移動できるように、実質的にその場で回転するようにロボット10を動かすことができる。いくつかの実施において、コントローラは、清掃される表面全域の、実質的に不規則(例えば、疑似ランダム)な経路の上にロボット10を移動させる。以下に詳述される通り、コントローラは、ロボット10の周囲に配置された、様々に異なるどのセンサ(例えば、衝突センサ、近接センサ、壁、静止状態、及び崖)に対しても反応する。コントローラは、センサからの信号に応じて、障害物及び散乱物を避ける間、ロボット10が湿式真空掃除機をかけるように、ホイールモジュール500、501の方向を変えることができる。ロボット10が使用中に動けなくなったり、引っかかった場合、コントローラは、ロボット10が通常の表面の清掃を再開できるように、一連の脱出行動を通して、ホイールモジュール500、501を指示するように構成されている。
【0049】
ロボット10は、清掃作業中、一般的に、前方に進む。ロボット10は、清掃作業中、一般的に、後方には進まないが、障害物を避けるため、又は、角から抜け出して移動するために、後方に進むことができる。後方への移動中、清掃作業を継続することができ、また、一時的に止めることもできる。
【0050】
湿式真空掃除機をかける間、洗浄液は、筐体に直接取り付けられた塗布器(例えば、バンパーの取り付け部として使用するため、かつ/または、ワイヤを隠すため)を通して、表面に施されることが可能である。追加的、または、代替的に、洗浄液は、底板に取り付けられた塗布器を通して、表面に施されることが可能である。例えば、実質的にロボット10の前方部分に沿って、底板200に保持された水槽202を通して施されることが可能である。水槽202は、水槽202の全長に沿って、洗浄液の噴霧パターンを作りだすように構成された、噴射開口部210を定める。以下に詳述される通り、水槽202の上流のポンプは、噴射開口部210を通して洗浄液が表面に放出されるように、洗浄液を送る。いくつかの実施において、噴射開口部210は、表面上に洗浄液の実質的に均一な噴霧パターンを作りだすように、水槽202の全長に沿って、実質的に等間隔に設けられる。いくつかの実施において、噴射開口部210は、洗浄液が噴射開口部210から滴るように構成される。
【0051】
湿潤要素204は、実質的に水槽202の後方において、底板200に保持される。湿潤要素204の端部は、横方向に実質的にロボット10の全幅(例えば、直径)にわたって及ぶ。使用中、湿潤要素204は、清掃表面の上で、ロボット10の前方部分を支持するために、スライド可能に床と接触する。ロボット10が実質的に前方に動くにつれて、湿潤要素204と表面とのスライドする接触は、表面上に洗浄液を広げる。いくつかの実施において、実質的に湿潤要素204の後方において、表面上の洗浄液を更に広げ、かつ/又は、攪拌するために、第二湿潤要素206が底板200の上で保持される。
【0052】
ロボットが前方に移動を続けるにつれて、ホイールモジュール500、501は、表面に広げられた洗浄液を通過する。ロボット10の重量配分(例えば、引きずること)、ホイールモジュール500、501の材質の選択、バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムの組み合わせは、実質的に滑ることなく、ホイールモジュール500、501が洗浄液を通過できるように、洗浄液を通してのホイールモジュール500、501の牽引力を向上させる。
【0053】
スクイージ(squeegee)208は、底板200に保持され、使用中、移動可能に表面と接触するために、底板200から伸びる。スクイージ208は、実質的にホイールモジュール500、501の後方に位置する。スクイージをより前方に含むロボットと比べて、スクイージ208をそのように後方に位置付けることは、洗浄液の表面上での存在時間を増加させ、従って、清掃作業の有効性を増大させる。追加的に、又は、代替的に、スクイージ208をそのように後方に位置付けることは、ロボット10を前方に推進する、ホイールモジュール500、501によって生成された推進力に応じての、ロボット10の後方への傾きを減少させることができる。
【0054】
以下に詳述される通り、スクイージ208との間の移動可能な接触は、ロボット10が前方に推進する時に、清掃表面から廃液(例えば、洗浄液とごみの混合物)を浮かせるように作用する。スクイージ208は、スクイージ208によって定められる吸引開口部212の実質的に近くに廃液をためるように構成されている。ロボット10に保持される真空部は、清掃表面からロボット10内に廃液を吸引し、湿式真空掃除機をかけられた表面を後にする。
【0055】
ロボット10から全ての洗浄液が施された後、コントローラはロボット10の動きを停止し、ユーザインターフェース400を通してユーザに警告(例えば、視覚の警告、又は、音声の警告)を与える。その後、ロボット10から収集された廃液を取り除くために、廃液収集容器によって定められる、廃液の出入り口が見えるように、除却ドア104を開ける。補給ドア304と除却ドア104は、実質的に筐体の反対側に配置されるため、補給ドア304と除却ドア104は、洗浄液がロボット10に加えられる間に、廃液がロボット10から排出されるように、同時に開けることが可能である。
【0056】
利用者が使用の合間にロボット10を移動したいと思う場合、利用者は、筐体100から取っ手401を離して(例えば、回して)、取っ手401を使用してロボット10を持ち上げることができる。実質的にバケツのようにロボット10を運ぶために取っ手401を使えるようにするため、取っ手401はロボット10の重心を含む横軸(例えば、中心の横軸)の周りを回転する。ロボット10は、輸送中にロボット10が実質的に防水されたままとなるように、受動的密閉システム、及び/又は、能動的密閉システムを含む。能動的及び/又は受動的密閉システムは、ロボット10が1つの領域から別の領域に移動される時に、ロボット10からの廃液、及び/又は、洗浄液の漏れを減らすことができる。従って、ロボット10は、ロボットから液体が滴ることに起因する危険な滑りやすい状態を引き起こす危険性はほとんどなしで、移動され、格納されることができる。追加的に又は代替的に、ロボット10は、利用者又は既に清掃済の表面に液体が滴る危険性はほとんどなしで、移動され、格納されることができる。
【0057】
ロボット10を移動した後、ロボット10の使用中に取っ手401が物体とからまる可能性を減らすため、利用者は、取っ手401を実質的にロボットの上部に重なる位置に置くことができる。いくつかの実施において、取っ手401は、取っ手401をロボットの上部に重なる位置の方へ偏らせる磁化された部分を含む。いくつかの実施において、取っ手401は、取っ手401をロボット10の上部に実質的に重なる位置の方へ偏らせるバネを含む。
【0058】
使用の合間に、利用者は、ロボット10に搭載されて保持される電源を充電しなおすことができる。電源を充電するために、ユーザは、筐体100の後部の充電ポートドア106を開けることができる。充電ポートドア106を開けたまま、利用者はウォールチャージャーを、充電ポートドア106の後にある充電ポートに接続することができる。ウォールチャージャーは、標準的な家庭の電気コンセントに差し込むように構成されている。充電の過程において、ユーザインターフェース400上の、1つまたはそれ以上の表示装置(例えば、視覚による表示装置、可聴の表示装置)は、利用者に対して電源の充電の状態を警告することができる。電源が充電しなおされた時点で(例えば、ユーザインターフェース400によって表示されるように)、利用者はロボット10をウォールチャージャーから分離し、充電ポートドア106を閉じることができる。充電ポートドア106は、充電ポートドア106が閉じている時に、充電ポートに実質的に液体がない状態が維持されるように、筐体100と共に、実質的に防水の封を形成する。いくつかの実施において、電源はロボット10から取り外され、ロボット10から切り離して充電される。いくつかの実施において、電源は取り外され、新しい電源と交換される。いくつかの実施において、ロボット10はロボット10と誘導送信機との間の誘導結合によって充電しなおされる。そのような誘導結合は、ロボット10の電子部品への物理的な接触の必要を減らすことによって、ロボット10の安全性を向上させることができる。
【0059】
(形状要素)
筐体100、底板200、バンパー300、ユーザインターフェース400、及びホイールモジュール500、501は、上側の面と、実質的に上側の面と平行で反対側にある下側の面を持つ、実質的に円筒形の形状をロボット10が持つように、組み合わされる。そのような実質的に円筒形の形状は、ロボット10が表面を横切る時に、ロボット10がからまったり(例えば、ひっかかる)、及び/又は、障害物の上で中断する可能性を低くすることができる。
【0060】
いくつかの実施において、ロボット10の実質的に円筒形の形状は、ハイカーが持ち運ぶ典型的な水筒の操作と同様な方法で、利用者がロボット10を持ち上げて操作することを可能にする形状要素を持つ。例えば、利用者は、ロボット10を浴室又は台所の蛇口の下に置くことで、ロボット10を洗浄液で満たすことができる。ロボット10の位置を、ロボットを洗浄液で満たすために利用されるのと同じにした状態で、浴室又は台所の流しに移すことでロボットをからにすることができる。ロボット10は前方表面302と後方表面102を含み、それぞれの表面は実質的に平らで、端においてロボット10の平衡を保つように構成されている。例えば、利用者は、前方表面302が利用者に向かって上側に向く状態で、ロボット10が調理台の上で平衡を保つように、後方表面102を実質的に平らな表面(例えば、調理台の上、台所の流しの底、浴槽の底)に置くことができる。そのような位置は、利用者がロボットを支えることなく、ロボット10を洗浄液で満たすことを可能にする。追加的に、又は、代替的に、利用者がロボット10の部品(例えば、電池の仕切り、充電ポート)により簡単に接触できるようにするため、利用者は前方表面302を実質的に平らな表面に置くことができる。
【0061】
ロボット10は、狭い範囲の領域の中で清掃作業を実行する。いくつかの実施において、ロボット10は、表面に湿式真空掃除機をかける間に、散乱物又は障害物を避けるための、小型の形状要素を持つ。例えば、ロボット10は、家庭の戸口、巾木の下、及び多くの典型的な椅子、テーブル、移動可能な調理台、及びスツールの下と、トイレ、シンクスタンド、その他の磁器の備品の後ろ及び脇を進むように寸法を合わせることができる。いくつかの実施において、ロボット10の全高は、標準的な北米の浴室洗面台の巾木のパネルの高さよりも低くなっている。例えば、ロボット10の全高は、18センチメートル未満となり得る(例えば、約15センチメートル、約12センチメートル、約9センチメートル)。いくつかの実施において、ロボット10の全径は、設置されたトイレの台座と浴室の壁との間の標準的な距離にほぼ等しい。直径の大きなロボットと比較すると、ロボット10のそのような直径は、例えば、実質的にトイレと壁の間といった、トイレの台座の周囲の洗浄を改善することができる。例えば、ロボット10の全径は26センチメートル未満となり得る(例えば、約20センチメートル、約15センチメートル、約10センチメートル)。いくつかの実施において、ホイールモジュール500、501は、そのような狭い範囲の空間の中で、ロボット10を動かすために構成されている(例えば、約3リットルの体積の中)。
【0062】
ロボット10は、上述の寸法の範囲の、実質的に円筒形の形状を持つと記述されているが、狭い表面又は到達しづらい表面の湿式の清掃を容易にするため、ロボット10は、その他の断面直径と高さの、寸法及び断面形状(例えば、正方形、長方形及び三角形、及び、例えば立方体、棒状、及びピラミッド形といった容積測定の形状)を持つことができる。
【0063】
所定の大きさの覆いの中において、大量の洗浄液は、例えば、ロボット10のその他の機能(例えば、液体のポンピング、電気掃除機での掃除)のために必要とされる体積を減らすことで、蓄えることが可能となる。いくつかの実施において、ロボット10は、少なくともロボット10の20パーセント(例えば、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント)の量の洗浄液を保持する。
【0064】
(物理学と移動性)
ロボット10は、1回の清掃作業において、約150スクエアフィートの清掃表面を清掃するように構成されている。タンクの大小に応じて、これは100スクエアフィートから400スクエアフィートの範囲で変動することがある。清掃作業の持続時間は約45分間である。小さな電池、大きな電池、又は2つ以上の電池を搭載する実施において、清掃時間は、下は20分から上は2時間までの範囲を変動する。従って、ロボット10は、電源の充電のしなおし、洗浄液のたくわえに対する補充、及びロボットによって収集された廃棄物を空にすることが必要とされない、45分間以上の無人自律型清掃ができるよう構成されている(物理的に、及びプログラムされている通り)。
【0065】
1回の通過中に表面に供給される洗浄液の実質的に全てを回収するようにロボット10が構成されている実施において、ロボット10の平均前方移動速度は、洗浄品質、及び/又は、特定の実施で必要とされる表面被覆領域の関数となり得る。例えば、ゆっくりとした前進移動速度は、洗浄液と表面上のごみとの間の浸透時間を長くする(例えば、より長い接触時間)ことを可能とするので、スクイージ208による吸引によって、ごみはより簡単に表面から取り除かれる。追加的に、又は、代替的に、より速い前進移動速度は、洗浄液の補給及び/又は電源の充電のしなおしを必要とする前に、ロボット10がより広い表面領域を洗浄することを可能とする。従って、消費者によって受け入れられる洗浄品質及び表面被覆率は、洗浄液がスクイージ208を通してロボット10に収集される前に、洗浄液と表面との間の約0.3秒から約0.7秒の接触を許容するようにロボット10を構成することによって達成される。例えば、ロボット10の半径が17センチメートルで、かつ、前進速度毎秒約25センチメートルで移動する時、洗浄液と表面との間の接触時間は約0.25秒から約0.6秒となり、この接触時間の変動は、ロボット10の前方エッジに対する洗浄液分布の配置と、ロボットの後方エッジに対する真空部の配置に左右される。
【0066】
いくつかの実施において、ロボット10は、ロボット10が表面に洗浄液を残し、その後に、複数回の通過を通して表面から洗浄液を回収するために戻るように構成されたナビゲーションシステムを含む。上述の単一通過構成と比較して、このような構成は、ロボット10がより速い速度で移動する間に、洗浄液が表面上により長く残されることを可能にする。ナビゲーションシステムは、ロボット10が、洗浄液が表面上に残されているが、まだ回収されていない場所に戻ることを可能にする。ナビゲーションシステムは、洗浄液が残されている表面上の部分にロボットが戻ることが起こり得るように、表面全域においてロボットを疑似ランダムパターン上で動かすことができる。
【0067】
上述の通り、ホイールモジュール500、501間の横軸の距離(例えば、ロボット10のホイールベース)は、実質的に横の洗浄幅に等しい(例えば、湿潤要素204の横幅)。従って、清掃作業中、ホイールモジュール500、501は、洗浄液で覆われた表面の部分をしっかりととらえるように構成されている。十分な牽引力があれば、ホイールモジュール500、501は、洗浄液の中でロボット10を推進することができる。しかしながら、牽引力が不十分な場合、ホイールモジュール500、501は洗浄液上で滑ることがあり、また、ロボット10はその場で動けなくなることがあり得る。
【0068】
より重たいロボットは、車輪が洗浄液を通過する時、スリップを避けるために車輪に十分な圧力をかけることができる。しかしながら、より軽いロボットと比較して、より重たいロボットは取り扱いがより困難となる(例えば、流し台での補充に関して、収納庫に運ぶことに関して)。従って、ロボット10は、ホイールモジュール500、501が、表面上に散布された洗浄液の中でロボット10を推進するのに十分な牽引力を供給すると同時に、3kg未満の重さ(洗浄液を完全に詰め込んで)となるように構成されている。
【0069】
いくつかの実施において、清掃作業中にロボット10の重量の大部分がホイールモジュール500、501上となるように、ロボット10の重心は、実質的に横軸23に沿っている。ロボット10のそのような重量配分は、湿潤要素204及びスクイージ208が移動可能に表面と接触することによって生成される抵抗力にホイールモジュール500が打ち勝つことを可能にすると同時に、滑りを克服するために十分な下方の力をホイールモジュール500、501の上に働かせることができる。いくつかの実施において、ロボットの重量は、表面に対して十分な洗浄の圧力を加える(例えば、湿潤要素204及びスクイージ208に対して十分な圧力)と同時に、そのような抵抗力に克服するために配分されている。例えば、ホイールモジュール500、501は、表面上で、ロボット10の重量の約50%から約70%を支えることができる。湿潤要素204は、ロボットの前方部分に沿って、表面上でロボットの重量の少なくとも約10%を支えることができる。スクイージ208は、ロボットの後方部分に沿って、表面上でロボットの重量の少なくとも約20%を支えることができる。以下に詳述される通り、清掃サイクルが開始から終了に進行するにつれて、ロボットの全体積の少なくとも約25パーセントは、供給容器の洗浄液から収集容器の廃液に変わると同時に、供給容器と収集容器はロボットの重心を実質的に横軸24の上に維持するように構成されている。
【0070】
いくつかの実施において、ロボットは約1kgから、満杯で約5kgまでとなっている。家庭での利用に対して、ロボットは満杯で7kgまでの重量とすることができる。ロボットの物理的な寸法の典型的な範囲は、全質量1〜10kg、直径10〜50cm内において洗浄幅は5cm〜40cm、車輪の直径は、1.5cm〜20cm、駆動車輪接触線は駆動車輪全て(2つ、3つ、4つの駆動車輪)に対して、2cm〜10cm、駆動車輪接地面は全ての車輪に対して2cm2またはそれ以上となっている。
【0071】
ロボット10は、空で約1.5kg未満、かつ、満杯で約3kg未満とすることができ、約0.5kgから約1kg(又は400〜1200ml)の汚れていない、又は、汚れた液体(ロボットが液体を塗布し、また、それを収集する場合)を運ぶことができる。廃液タンクは、収集過程の効率に応じた大きさとすることができる。例えば、通過する度に所定量の液体を残すように設計または配置された比較的効率の悪いスクイージに対して(例えば、洗浄液が残って、染み又は乾燥した食品の斑点に徐々に作用するように)、廃液タンクは、洗浄液のタンクと同じ大きさか、又は小さく設計することができる。残された液体のある割合は決して収集されることはなく、別の一部分は収集する前に蒸発する。効率の良いスクイージの利用される実施においては(例えば、シリコーン)、廃液タンクの大きさを、きれいな液体のタンクの大きさよりも大きくすることが必要となるかもしれない。タンクの容積のある割合、例えば5%以上は、泡の収容または調整のために充てられることがあり、これにより廃液タンクの容量が増加することがある。
【0072】
効果的に表面にブラシをかけ、拭き取り、こするために、湿潤要素204及びスクイージ208は抵抗力を作り出し、また、10kg以下のロボットの場合、ロボット10の重量の40%未満の平均の抵抗力を作り出すべきである。アクティブサスペンション/定荷重システムがない場合に良好な移動性を確保するため、抵抗力(ブレード、スクイージ、引きずる部品のいずれかに関連する抵抗力の合計)はロボットの重量の25%を超えるべきではなく、さもなければ、上昇させる障害物はどのようなものでも、タイヤから重量を取り去り、原動力に影響を与える。界面活性剤をベースとした(表面張力の低い)洗浄液の付いた滑らかな表面上で得られる牽引力の最大値は、一般的にロボットの重量の約40%しかなく、最善の状態ではことによると50%位の最大値となるが、牽引力/推進力は、抵抗力/有害抗力を上回らなければならない。しかしながら、自律的にうまく進行し、小さな危険要素及び障害物に打ち勝つために十分な推進力を持ち、車輪とは異なる洗浄又はブラッシング部材が出くわすかもしれない境界を上がり、そして、動かなくなったり、その他のパニック状況から脱出するために、ロボット10は、主に駆動車輪によって与えられる、平均の抵抗力/有害抗力の約150%以上の推進力/牽引力を持つことができる。回転ブラシを含む実施において、回転の方向次第で、回転ブラシは抵抗力又は推進力を作り出す。
【0073】
いくつかの実施において、ロボット10は、満載で約1.4kgの重量を持ち、湿潤要素204による、約100グラム重未満の抵抗力(静止摩擦係数約0.38の表面上で)、及び、スクイージ208による、約320グラム重未満の抵抗力(静止摩擦係数約0.77の表面上で)がかかるが、ロボット10を最大前進速度約200mm/sから約400mm/sで推進する、ホイールモジュール500、501によって与えられる1100グラム重の推進力を持つ。いくつかの実施において、ホイールモジュール500、501の牽引力を改善するために、車輪により多くの重量を置くことによって、ロボット10に重量が追加される(例えば、金属の取っ手、U字型金属のようなピボットマウント、必要以上に大きなモーター、及び/又は、この装置の1つの実施形態におけるバラスト)。重量の追加の有無にかかわらず、いくつかの実施において、ロボットは回転するブラシを含むことができ、前方に回転するブラシ(それは、一般的に後退中には停止される)から有効な割合の推進力を引き出すことができるが、このことは、大きな産業用掃除機においては必要とされる機能ではない。
【0074】
10kg以下(20kg以下でも)の家庭用清掃ロボットの、質量に対するクリーニングヘッドの幅は、産業用自己推進掃除機とは異なっている。このことは、特に湿式の洗浄の場合に当てはまる。いくつかの実施において、ロボット10は、ロボットの質量1kgあたり、少なくとも約1cmの(湿式)洗浄幅を持ち、(例えば、ロボットの1kgの質量あたり、約4、5、又は6cmの洗浄幅)、ロボットの各質量キログラムあたり、最大約20cmの洗浄幅を持つ(より高い割合は、一般に、より低い質量に当てはまる)。例えば、洗浄液満載時、ロボット10は約1.5kgの重さで、ロボット10がロボットの質量1kgあたり約11cmの湿式洗浄の幅を持つことができるように、湿式洗浄の幅約16.5cmを持つことができる。
【0075】
ロボットの各質量キログラムあたりの洗浄幅がより大きくなると、十分な拭き取り又は洗浄の力を加えることが困難となり得る。1kgのロボットの質量あたりの洗浄幅をより下げることは、効率の悪い洗浄幅、又は、民生用には不適切な非常に重いロボット、すなわち、普通の(又は弱い)人には容易に運ぶことのできないロボット、をもたらし得る。自己推進型の産業用掃除機は、一般的に、機械の各質量キログラムあたり1/3cm、又は、それ未満の洗浄幅を持つ。
【0076】
これらの寸法又は特性の比率は、5kg未満、及び、いくつかの場合は10kg未満のロボットが一般的な家庭での利用に効果的かどうかを定める。そのような比率は、上において明確に記述されているが、そのような比率(例えば、ロボットの各質量キログラムあたりの車輪の接触するcmの二乗の領域、抵抗力kg重あたりの車輪の接触線のcm、等)は、本明細書において取り上げられた異なるロボットの構成のセットに限られているとしても、本明細書において本質的に開示されたと明示的に考えられる。
【0077】
いくつかの実施において、ロボット10は、3mmの厚さのフォームタイヤと2mmの深さのサイプを持ったタイヤを含む。この構成は、各タイヤあたり3から4kgしか支えない場合に、最高に機能する。タイヤのサイプ、気泡構造、吸収性の理想的な組み合わせは、ロボットの重量によって影響を受ける。いくつかの実施において、ゴム又はビニールのタイヤは、滑りを少なくする表面の特徴を用いて構成される。
【0078】
ロボット10は、少なくとも1つの湿潤要素204と1つのスクイージ208を含む。例えば、湿式真空部分は、回収のための、残された水の被膜の厚みを形成するために、そのすぐ後にスクイージが置かれる場合がある。スクイージ208は、2mm以上の高さの障害物を洗浄するための十分な柔軟性及び移動範囲を持つことができるが、ロボットの地上高を清掃できるのが理想的である(例えば、約4.5mmの最小の高さ、又は、ロボットの地上高)。
【0079】
スクイージによって示される、重力と反対の方向の、すなわち、上向きの、反動的な力は、得られる牽引力から引かれ、ロボットの重量の約20%未満とされるべきである(例えば、ロボットの重量の約10%未満)。同じ反動的な力を持つ、エッジの圧力の一定量は、スクイージが液体を拭き取り、また、収集するために必要である。液体の収集、反動的な力、摩耗、及び障害物への柔軟な応答の効果的な組み合わせを得るために、スクイージの物理的パラメータは制御され、つり合わされる。いくつかの実施において、スクイージ208は、300mm未満のスクイージに対して、半径3/10mmの作業エッジを含む。いくつかの実施において、スクイージ208は約1/10から5/10mmの作業エッジを持つ場合がある。摩耗、スクイージの性能及び抵抗力は、実質的に長方形の横断面(オプションで、台形の)、及び/又は、1mm(オプションで、約1/2mmから1.5mm)の厚さ、90°の角(オプションで、約60°から120°)、その作業長さの上1/2mm以内で床と平行で(オプションで3/4mm以内)、及び、単位長さ毎に1/500mm以内で床に垂直で(オプションで最大1/100)、上に示した通り、約3/10mm以下の作業エッジによって改善することができる。上記パラメータからのずれは、補正をするためにより大きなエッジ圧力(重力に反する力)を必要とする場合があり、従って、利用できる牽引力を減少させる。
【0080】
湿潤要素204及びスクイージ208は、広い範囲の表面の変形物に覆われる床と接触するように構成されている(例えば、湿式の清掃の状況において、タイル、平面、木材、しっくい、分厚いグラウトの床)。いくつかの実施において、湿潤要素204、及び/又はスクイージ208は、広い範囲の表面の変形物との接触を改善するため、フローティングマウント(例えば、バネ、エラストマー、又は誘導装置等)を用いて取り付けられる。いくつかの実施において、湿潤要素204とスクイージ208は、湿潤要素204、及び/又は、スクイージ208の表面に対する、設計された量の衝突又は接触に対する十分な柔軟性を備えて、筐体100に取り付けられる。上述の通り、ブラシ/洗浄装置によって示される、重力と反対の(上への)反動的な力は、得られる牽引力から取り去られ、また、ロボットの重量の10%を超えるべきではない。
【0081】
いくつかの実施において、ロボットは、例えば、1つ以上のブラシがロボットの中心線の前後どちらかの側、またはその両側、に備わった、2つの二重反転ブラシといった、1つ以上のブラシを含む。ロボットは、また、差動回転ブラシで、その2つのブラシはそれぞれ、回転の直径としてのロボットの幅の実質的に約半分であり、前後軸22のどちらかの側面に取り付けられ、それぞれ直径の半分に沿って伸びているものを含むことができる。各ブラシは、別々の駆動装置及びモータと接続されることが可能で、反対方向または同じ方向、どちらの方向に対しても異なる速度で回転可能であり、それは、ロボットに対する回転の、及び、並進の力を与えることになる。
【0082】
ロボット10の重心は、洗浄タンク及び廃液タンクが継続的に同じ重心の位置を維持するように釣り合されている場合を除いて、液体の回収時に移動する傾向がある。同じ重心の位置を維持する(タンクの区画設計によって)ことは、受動的なサスペンションシステムが、得られる最大の牽引力を伝えることを可能にする。ロボット10は、タンク構造で、空になる時に、その区画の重心の位置を実質的に維持する形状を持つ、第一の区画と、それが満たされる時に、その区画の重心の位置を実質的に維持する形状を持つ第二の区画とを含み、組み合わせたタンクの重心は、実質的に車輪の直径内及び車輪の上に維持されるものを含んでいる。いくつかの実施において、ロボット10は、実質的に垂直方向に積み重ねられたタンクで、ロボット10の同じ重心の位置を維持するように構成されたものを含む。
【0083】
いくつかの実施において、完全な液体の回収、又は、アクティブサスペンションのない場合の優れた移動性は、表面全域から回収される液体の最少割合(例えば、液体の70%が保存される)をモデル化するか、又は仮定し、そして、この仮定/モデルに従って、区画の形状及び重心を設計することによって達成される。選択的に、又は加えて、バネの力を最大空荷時条件(空のタンク)と等しくすることは、優れた牽引力及び移動性に寄与することがあり得る。いくつかの実施において、サスペンションの移動は、少なくとも、バンパー(及びその他のエッジの仕切り)がロボットの下を移動することを許容する最大の障害物と等しくされる。
【0084】
ロボットの車輪の直径を最大化することは、任意の障害物又はくぼみに対する、エネルギー及び牽引力の必要条件を下げることがあり得る。いくつかの実施において、設計された障害物登坂能力の最大値は、車輪の10%以下とされる。4.5mmの障害物又はくぼみは、45mmの直径の車輪によって乗り越えられるか、又は、対処される。いくつかの実施において、ロボットは複数の理由のために低くされる。ロボットが地上から3mmのバンパーによって、大部分のカーペットに登ることを防止されるように(バンパーの地上高2−5mm、3mmが好適)、バンパーは、カーペット、境界、及び硬質床の間を区別するために低く設定されている。例えば、真空部といった、表面で作業するロボットの残りの部分はまた、より低い地上高によって、より有効にされる、床の前方に及ぶ部材(エアガイド、スクイージ、ブラシ)を持つ。1つの実施形態における地上高は3−6mmの間なので、車輪は単に30mm−60mmとする必要がある。その他のホイールの大きさもまた、利用することができる。
【0085】
図7を参照すると、筐体100は、筐体100の内側部分に実質的に沿った、液体容器600を保持している。以下に詳述される通り、液体容器600のいくつかの部分は、洗浄液が液体容器600からポンプでくみ上げられることを可能にし、かつ、廃液が液体容器600に吸引されることを可能にするために、筐体100に保持された液体供給システム及び空気処理システムと液体が通じるようにされている。洗浄液の追加と廃液の除去とを可能にするため、液体容器600は、補給ドア304及び除却ドア104(図7には示されない)を通して利用することができる。
【0086】
ホイールモジュール500、501は、それぞれ、駆動モータ502、503及び車輪504、505を含む。駆動モータ502、503は、液体容器600のどちらかの側面上で、駆動モータ502、503が実質的に、それぞれ車輪504、505の上に置かれるように、筐体100に着脱可能に結合されている。いくつかの実施において、筐体100に保持される液体容器600のサイズを増やすために、駆動モータ502、503は、それぞれ車輪504、505に対して水平に置かれる。いくつかの実施において、ホイールモジュール500、501は、筐体100に着脱可能に結合され、例えば、ホイールモジュール500、501の修理、交換、洗浄を容易にするために、道具なしで取り外すことができる。
【0087】
シグナルチャネラ402は、筐体100の上部に結合され、部品が実質的にロボット10の上部に沿って取り付けられるように、液体容器600を実質的に覆う。シグナルチャネラのエッジ404は、シグナルチャネラ404が光信号(例えば、赤外線の信号)を実質的にどの方向からも受信できるように、ロボット10の実質的に外周全体から見ることができる。以下に詳述される通り、シグナルチャネラ402は、光源から光を受信し(例えば、ナビゲーションの無線標識)、内部において、シグナルチャネラ402内に置かれる受信機に向けて、光を反射する。例えば、シグナルチャネラ402は、シグナルチャネラ内において実質的に全内部反射を可能とするために、少なくとも部分的に、屈折率約1.4以上の材質(例えば、熱可逆性のポリカーボネート樹脂)で形成される場合がある。追加的に、又は、代替的に、シグナルチャネラ402は、シグナルチャネラ402の上面に沿って置かれた第一の鏡と、シグナルチャネラ402の底面に沿って置かれ、第一の鏡と対向する、第二の鏡を含む場合がある。この構成において、第一と第二の鏡は、シグナルチャネラ402内において、内部的に光を反射することができる。
【0088】
シグナルチャネラ402は、ユーザインターフェース400の少なくとも一部分を保持できる、くぼみ部分406を含む。ユーザインターフェースのプリント回路基板(PCB)は、くぼみ部分406の中に配置することができ、実質的に防水のユーザインターフェース400を形成するために薄膜で覆われる場合がある。以下に詳述する通り、シグナルチャネラ402の底部は、液体容器600の上部を形成する場合がある。
【0089】
バンパー300は、筐体100の前方部分に実質的に沿って配置された蝶番110に結合される。バンパー300と筐体100との間を蝶番で動くようにすることによって、バンパー300が障害物に接触した時に、バンパーが筺体100に対して短い距離だけ移動することが可能になる。バンパー300は、障害物に接触すると同時にバンパー300が筺体100に対して動く時に、バンパー300と補給部分602が互いに固定しあうことができるように、液体容器600の補給部分602と柔軟に結合されている。
【0090】
バンパー300は、バンパーの上部付近に実質的に透明な部分306を含む。透明な部分306は、実質的にバンパー300の周囲全体に沿って広がっている場合がある。以下に詳述される通り、透明な部分306は、実質的にバンパー300の前方に置かれた送信機からの信号を全方向受信機が受信できるように、実質的にシグナルチャネラ402の中心部分付近に置かれる全方向受信機で受信できる信号に対して、実質的に透明にすることができる。
【0091】
底板200は、実質的に筐体100の底部に接して保持される。底板200は、底板200が筺体100の補完的なヒンジ機能に対してパタンと閉まることを可能にする、底板200の前方部分から伸びるピボットヒンジを含んでいる。いくつかの実施において、利用者は、道具を使うことなく、底板200を筐体100から広くあけることができる。底板200は、ロボット10の前方部分付近の水槽202を保持し、実質的に水槽202の後方に湿潤要素204を保持している。底板200は、実質的に湿潤要素204の後方に、車輪504、505の車輪格納庫の部分を形成するために、ホイールモジュール500、501の周囲に及ぶ。車輪504、505の後方において、底板200は、スクイージ208と表面との間の接触エッジ付近に廃液を溜めるために、スライド可能に表面と接触するように構成されたスクイージ208を含む真空部を保持する。以下に詳述される通り、スクイージ208は、スクイージ208と表面との間の接触エッジの実質的近くに、複数の開口部を定める。真空部1300が吸引力を作りだすと、廃液は表面から持ち上げられ、スクイージ208によって定められる複数の開口部を通してロボットに入る。
【0092】
いくつかの実施において、利用者は、底板200を洗浄するために、筐体100から底板200を広くあけることができる。いくつかの実施において、利用者は、底板200から水槽202、湿潤要素204、及び/又は、スクイージ208を、これらの部品の修理又は交換のために、取り外すことができる。
【0093】
(液体の貯蔵)
図8を参照すると、いくつかの実施において、液体容器600は、液体供給容器S及び廃液収集容器Wの両方として機能することができる。液体容器600は、液体が、液体供給容器Sから表面に移動して、その後、収集され廃液収集容器Wに戻るように構成されている。いくつかの実施において、供給容器Sと廃液収集容器Wは、洗浄液が塗布器から施され、そして、廃液が真空部によって収集されるにつれて、ロボット10の全体積の25パーセントが、供給容器Sの洗浄液から収集容器Wの廃液に変わる間に、横軸24に沿った、実質的に一定の重心を維持するように構成されている。
【0094】
いくつかの実施において、供給容器Sの全体又は一部は、廃液収集容器W内で廃液収集容器Wに囲まれた柔軟な内袋で、その内袋は、洗浄液が内袋から出るにつれて縮み、廃液収集容器Wを満たす廃液が、内袋から出た洗浄液にとって代わるようなものとされる。そのようなシステムは、ロボット10の重心を実質的に定位置(例えば横軸24の上)に維持できる自己調整システムであり得る。例えば、洗浄ルーチンの開始時点で、内袋は、内袋が実質的に廃液収集容器Wを満たすように膨張した状態で、満杯となり得る。洗浄液がロボット10から施されるにつれて、廃液収集容器Wに入ってくる廃液が、柔軟な内袋から出された洗浄液に取って代わることによって、内袋の体積は減少する。洗浄ルーチンが終わりに近づくにつれて、柔軟な内袋は、廃液収集容器Wの中で実質的につぶれ、廃液収集容器は実質的に廃液で満杯となる。
【0095】
いくつかの実施において、柔軟な内袋の体積の最大値(例えば、洗浄液の貯蔵体積の最大値)は、廃液収集容器Wの体積に実質的に等しい。いくつかの実施において、廃液収集容器Wの体積は、柔軟な内袋の体積の最大値よりも大きい(例えば、約10パーセントから約20パーセント大きい)。そのような、より大きな廃液収集容器Wは、収集された廃液の体積が、施された洗浄液の体積よりも大きいような周囲の状況(例えば、ロボット10が相当なこぼれた量の上を動く時)において、ロボット10が作動することを可能にする。
【0096】
供給容器Sは、廃液収集容器Wによって実質的に囲まれた柔軟な内袋として説明されたが、その他の構成も可能である。例えば、供給容器Sと廃液収集容器Wは、お互いの上に積み重ねられた、又は、部分的に積み重ねられた区画で、それらの区画を満たした場合の重心が、お互いに10cm以内となるようなものとすることができる。追加的に又は代替的に、供給容器Sと廃液収集容器Wは、同心とすることができ(片方が側面に向かう方向において他方の内側となるような同心)または、交互配置されたものとすることができる(例えば、側面に向かう方向において、交互配置されたL形状又は指形)。
【0097】
(液体塗布器)
図8を参照すると、液体塗布器モジュール1400は、いくつかの実施においては、ロボット10の実質的に全幅(例えば、直径)に及ぶ、湿潤要素204の幅全域にわたって、大量の洗浄液を床に塗布する。液体塗布器モジュールは、床に直接液体を噴霧でき、液体を含んだブラシまたはローラーに噴霧することができ、又は液体を滴らせるか又は毛細管現象によって床、ブラシ、ローラ、又はパッドに塗ることができる。液体塗布器モジュール1400は、筐体100によって保持された液体容器600内の供給容器Sから洗浄液の供給を受けることができる。ポンプ240は(例えば、蠕動ポンプ)、底板200の前方部分に沿って延びる水槽202(例えば、図2参照)によって定められる1つ以上の噴射口を通して、液体塗布器モジュールを経由して、洗浄液を送りこむ。各噴射口210は、洗浄液を洗浄表面に噴霧するように方向づけられている。例えば、少なくとも噴射口210の一部分は、ロボット10の前方への移動方向に実質的に向かった方向に、洗浄液を洗浄表面に噴射するように方向づけることができる。追加的に又は代替的に、少なくとも噴射口210の一部分は、ロボット10の後方への移動方向に実質的に向かった方向に、洗浄液を洗浄表面に噴霧するように方向づけることができる。
【0098】
液体塗布器モジュール1400は、以下に詳述される、液体容器600内の区画である、供給容器Sを含む。しかしながら、いくつかの実施においては、供給容器Sは、筐体100に保持される別の容器とされる。供給容器Sは、液体導管70と液体の通じる、出射孔604を定める。使用中、液体導管606は、ポンプ部分240(例えば蠕動ポンプ部分)に洗浄液を供給する。ポンプ部分240によって作り出された圧力は、水槽202及び噴射口210を通して表面に向かって液体を押し進める。
【0099】
液体塗布モジュール1400は、1スクエアフィートあたり約0.1mLから1スクエアフィートあたり約6.0mLの容積流量で(例えば、1スクエアフィートあたり約3mLで)洗浄液を塗布する。しかしながら、アプリケーションに応じて、液体塗布器モジュール1400は、床に所望の体積の洗浄液を塗布することができる。追加的に又は代替的に、液体塗布器モジュール1400は、水、消毒剤、化学薬品、被覆剤等の、その他の液体を床に塗布するために利用することができる。
【0100】
液体塗布器モジュール1400はクローズドシステム(例えば、ポンプ240が蠕動ポンプである時)であって、液体塗布器モジュール1400が、ロボット10の他の部分(例えば、封)を傷めない液体を含む、多種多様の洗浄液を供給するために使用できるものであっても良い。
【0101】
利用者は、供給容器Sに一定量の真水と、対応する一定量の洗剤を供給して満たすことができる。水と洗剤は、バンパー300の補給ドア304を通して利用できる、補給ポート602を通して供給容器Sに注ぐことができる。補給ポート602は、供給容器Sへのより容易な洗浄液の注入を可能とする、じょうごを含むことができる。いくつかの実施において、異物が供給容器Sに入ること及び液体塗布器モジュール1400に潜在的に損傷を与えることを妨げるために、補給ポート602と供給容器Sの間にフィルタが配置される。供給容器Sは、約500mLから約2000mLの容積容量を持つ。
【0102】
図2及び9を参照すると、ロボット10の表面全域にわたる動きによって、湿潤要素204が表面全域にわたって洗浄液を広げるように、湿潤要素204はスライド可能に表面に接触しても良い。湿潤要素204は、水槽202に実質的に平行に配置され、例えば、水槽202の端の近くで適切に塗布できるように、水槽202の両端を越して延びている。湿潤要素204の端215、216は、実質的に各車輪504、505の前に及ぶ。洗浄液を車輪504、505の前に直接塗布することによって、湿潤要素204は車輪504、505と表面の間の静止摩擦を向上させることができる。
【0103】
湿潤要素204は、曲がりやすい柔軟なブレードで、床に対してスライド可能に接触するように構成された第一のエッジと、筐体100と結合するために構成された第二のエッジを含む。湿潤要素204は、ロボット10の前方の周囲に実質的に平行に延びる、実質的に弓形の形状を持つ。ロボット10の作業中に湿潤要素204がスライド可能に床に接触する時、実質的な弓形はロボット10の床の全域にわたる移動を容易にすることができる。例えば、実質的に真っ直ぐな湿潤要素と比較して、湿潤要素204の実質的に弓形の形状は、ロボット10がしっくいの線を越えるのに必要な力を調節することができるように、徐々にしっくいの線(例えば、床のタイル)に接触することを可能にする。追加的に又は代替的に、湿潤要素204の実質的に弓形の形状は、筐体100の内部における構成要素のより効率的な詰め込みを可能にする。例えば、湿潤要素204の少なくとも一部分は筐体に及ぶため、湿潤要素204の実質的に弓形の形状は、1つ以上の構成要素(例えば、プリント回路基板(PCB))が湿潤要素によって定められる境界内に位置することを可能にする。
【0104】
湿潤要素204は、実質的に湿潤要素204に沿って中心を持つ線形領域218を含む。線形領域218は、底板200をピボット・ヒンジ等に取り付けるための回動可能な前縁として機能することのできる、底板の補完的な線形領域に沿っている。いくつかの実施において、湿潤要素204は、底板200に取り付けることができ、独立して取り外すことができる(例えば、湿潤要素204に搭載されたピボット・ヒンジを使うことによって)。
【0105】
図10を参照すると、いくつかの実施において、底板200は、実質的に底板200の前方部分に沿って延びる洗浄ブラシ220を含む。洗浄ブラシ220は、洗浄ブラシ220から洗浄表面に向かって延びる複数の毛の塊222を含む。毛の塊222は、洗浄ブラシ220に沿って配置されている(例えば、実質的に等間隔に配置されている)。毛の塊222は、複数の柔らかい柔軟な毛で、それら各毛の第一の端は、丸められた金属の管又はその他の適切な保持要素といった、入れ物に固定される。いくつかの実施において、毛の塊222は、洗浄ブラシ220に圧入された独立した詰め物となっている。各毛の第二の端は、毛が洗浄表面と接触する時に自由に曲がることができるようにされている。洗浄ブラシ220と表面との間の複数の接点は、ロボット10が表面における摂動の上(例えば、しっくいの線)を滑らかに横切ることを可能にする。
【0106】
毛の塊222の毛の長さ及び直径と同様に、こすりつけられる毛が清掃表面に対してなす、接触の呼び寸法は、毛の剛性を調整するために変化させられ、その結果、こすりつけの作用に影響を及ぼす。いくつかの実施において、洗浄ブラシ220は、約0.05〜0.2mm(0.002−0.008インチ)の範囲の平均の毛の直径内のナイロンの毛を含む。各毛の呼び長さは、入れ物と洗浄表面の間で約16mm(0.62インチ)とされ、毛は接触寸法が約0.75mm(0.03インチ)となるように構成されている。
【0107】
毛について記述したが、その他の実施についても追加的または代替的に可能である。例えば、洗浄ブラシ220は、織物又は、例えばスポンジタワシまたはシート材料で床に接触するように構成された、不織の材質を含むことがある。
【0108】
洗浄液は、洗浄ブラシ220に対して、様々な異なる方法のいずれかで導入することができる。例えば、洗浄液は洗浄ブラシの直前の床に噴霧するか、又は、滴らせることができる。追加的に又は代替的に、洗浄液は、毛の塊222を通して、毛の塊222が実質的に洗浄液を表面に向けて運ぶように、導入することができる。
【0109】
追加的に又は代替的に、底板200は洗浄液を表面上に広めるように構成されたその他の要素を保持することができる。例えば、底板200は、床と接触するスポンジ又は回転部材を保持することができる。
【0110】
いくつかの実施において、底板200は、洗浄表面に対して可動で、また、ロボットの筐体に対して可動な、1つ以上の能動的洗浄要素を保持する。能動的洗浄要素の動作は、洗浄要素と洗浄表面との間でなされる作業を増加させることができる。各洗浄要素は、また、筐体100に取り付けられた駆動モジュールによって、筐体100に対して動くために駆動されることができる。能動的洗浄要素は、また、洗浄表面と接触して保持されるスポンジタワシ又はシート材料、又は、表面と接触して保持され、振動する支持要素によって振動されるスポンジやその他の多孔質の柔軟性のある固体の気泡ゴムといった、柔軟な個体要素を含むことがある。追加的に又は代替的に、能動的洗浄要素は、複数の洗浄ブラシ、及び/または、可動に支持された伝統的な洗浄ブラシ、スポンジ、又は洗浄用に使用されるスポンジタワシを含む場合がある。いくつかの実施において、洗浄作用を生成するために超音波送信機が利用される。能動的な洗浄要素と筐体の間の相対的な動きは、線形、及び/または回転運動を含むことがあり、能動的洗浄要素は、利用者によって取り換え可能又は洗浄可能に構成されることができる。
【0111】
図11を参照すると、いくつかの実施において、能動的洗浄要素は、洗浄液が洗浄表面に塗布された後で、積極的にその表面を洗浄するための、噴射口210の後方に洗浄幅全域にわたって配列された回動可能なブラシ部分604を含む。回動可能なブラシ部分604は、長手方向の軸629を定める円筒形のブラシの毛のホルダー要素618を含む。ブラシの毛のホルダー要素618は、そこから放射状に延びる洗浄毛616を支持する。回動可能なブラシ部分604は、実質的に洗浄幅に平行に延びる回転軸の周りでの回転のために筐体100に支持される。洗浄毛616は、回転中に洗浄表面と抵触するのに十分なだけの長さを持ち、洗浄毛616は洗浄表面との接触によって曲げられる。追加のブラシの毛は受取口620に取り入れることができる。隣接するブラシの毛の塊との間の間隔は(例えば、ブラシの毛の塊622、624)、洗浄の強さを増加するために縮少することができる。
【0112】
洗浄毛616は、集団で、又は、各塊は単一の取り付け装置又は入れ物に保持された複数の毛を含んでいる、複数の塊として、ブラシ部分に取り付けることができる。塊の場所は、ブラシの毛のホルダー要素618の長手方向に沿って1つ以上のパターン626、628で配列することができる。1つ以上のパターンは、回動可能なブラシ要素604の回転の間、洗浄幅全域にわたって少なくとも1つのブラシの毛の塊を洗浄表面に接触させる。ブラシ要素604の回転は、右側側面から見ると、時計回りとなっていて、洗浄毛616と洗浄表面との間の相対的な動きは、遊離した汚染物質及び廃液を、後方に移動させる傾向がある。追加的に又は代替的に、ブラシ要素604の時計回りの回転によって生成される摩擦力は、ロボットを前方に駆動することが可能であり、従って、ロボットの輸送駆動システムの前方駆動力に追加される。円筒形ホルダー618から延びる各洗浄毛616の呼び寸法は、洗浄毛と洗浄表面との抵触を引き起こし、表面と接触するときに洗浄毛を曲げることができる。抵触寸法は、洗浄表面と接触するのに必要な長さを超えるブラシの毛の長さである。洗浄毛616の呼び直径とともに、これらの各寸法は、ブラシの毛の硬さ、及び、従って結果としての洗浄作用に影響を及ぼすために変えることができる。例えば、洗浄ブラシ要素604は、多くの家庭での洗浄への適用のための適切な洗浄能力を提供するため、曲げ寸法は約16〜40mm(0.62〜1.6インチ)、ブラシの毛の直径は約0.15mm(0.006インチ)、及び抵触寸法約0.75mm(0.03インチ)のナイロンのブラシの毛を含む場合がある。
【0113】
図12を参照すると、いくつかの実施において、自律清掃ロボット11は、実質的にロボット11の前方部分に沿って、ロボット11によって保持される延長要素230を含む。延長要素230は、実質的に円形のロボット11の断面を越えて、延びている。使用中、延長要素230は表面と接触し、ごみがロボット11に保持される他の構成部品(例えば、湿式真空掃除機部分)によって収集されるように、ごみをロボットに押し戻すように配置されている。延長要素230は、それとは別の方法では円形の断面を持つ自律清掃ロボットが実質的に接近できない領域(例えば角)に達することができる。延長要素230が、バネによって、ロボット11に対するもともとの配置に戻って止まるように、延長要素230は、バネ(示されない)により、ロボット11に支持されることがある。いくつかの実施において、延長要素230は、曲がりやすい柔軟なブレードを含む。
【0114】
延長要素は実質的にロボットの前方部分に沿って、ロボットに保持されるとして記述されたが、その他の実施も可能である。例えば、延長要素は、実質的にロボットの後方部分に沿って、ロボットに保持されることがある。このような構成において、延長要素が表面上のごみに出くわした時に、ごみが筺体の方に吸引されるように、延長要素は真空モジュールと液体をやりとり可能にされている(例えば、スクイージによって)。ロボットの実質的に後方部分に沿って取り付けられている延長要素は、障害物との接触に応じて曲がることを可能とし、また、障害物から離れた時にもとの位置に戻るように、バネによって取り付けることが可能である。
【0115】
(空気の移動)
図13を参照すると、真空モジュール1300は、廃液収集容器Wと液体をやりとりできるファン112と、床と接触するスクイージ208を含む。使用中、ファン112は、廃液収集容器Wとスクイージ208を含む、液体をやりとりする経路に沿って、圧力の低い領域を作り出すことができる。以下に更に詳述する通り、ファン112は、スクイージ208全域にわたって、圧力差を作り出し、表面から及びスクイージ208を通しての廃液の吸引を引き起こす。ファン112によって作り出された吸引力は、さらに、1つ以上の廃液吸入導管232(例えば、スクイージ208のどちらかの端に配置された導管)を通して、廃液を廃液収集容器Wの上部に向けて吸引することができる。
【0116】
廃液収集容器Wの上部は、廃液吸入導管232の出射孔234とファン吸入導管114の吸気口115との間に、高圧608を定める。ファン112の動作中、高圧608を通しての空気と廃液の流れは、一般的に出射孔234から吸気口115に向けて動く。いくつかの実施において、高圧608は、廃液収集容器Wの上部において膨張した時に、廃液の移動速度が減少するような、1つ以上の廃液吸入導管232の連結流量範囲よりも広い流量範囲を持つ。このような、より遅い速度において、移動する廃液の重たい部分(例えば、水とごみ)は、重力下において、廃液収集容器Wの中に落ちる傾向があり、一方で、移動している廃液の軽い部分(例えば空気)は、1つ以上のファン吸入導管114に向けて移動を続ける。空気の流れは、ファン吸入導管114を通り抜けて、ファン112を通り抜けて続き、そして、ファン出射孔116を通してロボット10から抜け出る。
【0117】
真空モジュール1300は、ロボット10が使用されていない時に廃液が廃液収集容器Wから抜け出ることを実質的に防止する、受動的流出防止システム、及び/又は、能動的流出防止システムを含む場合がある。廃液がロボットから流出する可能性を減らすことによって、そのような流出防止システムは、取扱中に利用者が廃液に触れることを防止することができる。追加的に又は代替的に、そのような流出防止システムは、廃液がファンに接触する可能性、及び、時間とともにファンの性能が落ちる可能性を低くすることができる。
【0118】
受動的流出防止システムは、一般的に、真空モジュール1300の流れの経路を、通常の取扱状況においては流出がありえないような方向に向かわせる。受動的流出防止システムにおいて、取扱中に廃液収集容器Wからの廃液がファン112に達する可能性を減らすために、ファン112は廃液収集容器Wから少し離れて置かれる。例えば、受動的流出防止システムにおいて、ファン吸入導管114の少なくとも一部は、廃液の高圧608への流れの向きに対して約90°となるように配置される。従って、受動的流出防止システムは、真空モジュール1300に沿った、曲がった(例えば、曲がりくねった)流路を含む場合がある。これらの流路の断面の拡張及び縮小によって生じる流動損失を最小化するため、受動的流出防止システムは実質的に均一の断面積の流路を含む場合がある。能動的流出防止システムは、一般的に、真空モジュール1300の流路の少なくとも一部を塞ぐ、1つ以上の移動する経路を持つ。受動的流出防止システムと比較して、能動的流出防止システムは、より短く、より真っ直ぐな、真空モジュール1300に沿った(例えば、高圧608に沿った)流路を含む場合がある。追加的に、又は、代替的に、受動的流出防止システム及び能動的流出防止システムは、通常の取扱中に流出する可能性を減らすため、真空モジュール1300全体にわたって充填材を含む場合がある。流出防止システムにおいて使用可能な充填材の例としては、エポキシ樹脂、超音波溶接、詰め物、ガスケット、及び高分子膜が含まれる。
【0119】
図14を参照すると、シグナルチャネラ402は、シグナルチャネラ402の底部が、受動的流出防止システムにおける高圧608の一部を定めるように、液体容器600の上部に沿って保持される場合がある。シグナルチャネラと高圧が分離される構成と比較して、この構成は、ロボット10の内部部品に必要とされる体積の総量を減らすことができ、従って、液体容器600に利用できる体積を増加させることができる。いくつかの実施において、シグナルチャネラ402は、廃液吸入導管232の少なくとも一部分、及び、ファン吸入導管114の少なくとも一部分を保持する。ファン112は、高圧608を通り抜ける流れの方向に対して実質的に90°の方向となるように、液体容器600の下で、筐体100の上に保持される場合がある。そのような方向は、廃液が高圧608を越えて、ファン吸入導管114に入り、ファン112に達する可能性を低くすることができる。
【0120】
受動的流出防止システムのいくつかの実施において、1つ以上の廃液吸入導管232、及び、ファン吸入導管114は、1つ以上の廃液吸入導管232の各出射孔234が、実質的にファン吸入開口部115に対して直交するように、お互いに対して方向を合わせられる場合がある。そのような直交する方向は、廃液が高圧608を横切って、ファン吸入導管114の末端にあるファン112に達する可能性を低くすることができる。
【0121】
図15A〜Bを参照すると、能動的流出防止システム610は、前方シール682及び1つ以上の後方シール684の間に延びる、連動機構680を含む場合がある。前方シール682は、実質的にファン吸入導管118の上の防水シールを形成するように構成されている。1つ以上の後方シール684は、実質的に1つ以上の廃液吸入導管244の上の防水シールを形成するように構成されている。連結器686は、連結器がホイールモジュール500の縦の動きの少なくとも一部分を伝えることができるように、ホイールモジュール500と連動機構680の間に延びている。
【0122】
ホイールモジュール500は、車輪500を表面685に置くことが少なくとも車輪500の一部分を、実質的に鉛直方向において上に移動させるような、バイアスド‐トゥ‐トップサスペンションシステムの一部となっている。ホイールモジュール500が実質的に鉛直方向において上に移動する時、連動機構680を開いた位置にまで押すために、連結器686はホイールモジュール500とともに移動する。開いた位置において、連動機構680は、前方シール682及び1つ以上の後方シール684を、それぞれ、ファン吸入導管118及び1つ以上の廃液吸入導管244から離す。連動機構680の開いた位置において、1つ以上の廃液吸入導管244から高圧608に向かって廃液をくみ上げることを可能とし、この場合に、廃液を廃液収集容器W(図15A−Bには示されない)に落下させ、空気をファン吸入導管118に向かって流すことを可能とするように、ファン吸入導管118と1つ以上の廃液吸入導管244は、液体をやりとりするようにされている。
【0123】
ロボット10が表面から持ち上げられた時、ホイールモジュール500は、実質的に鉛直方向において下に動く。ホイールモジュール500が実質的に鉛直方向において下に動くにつれて、連結器686は、連動機構680を閉じた位置に引っ張るために、ホイールモジュール500とともに動く。閉じた位置において、連動機構680は、前方シール682及び1つ以上の後方シール684を、それぞれ、ファン吸入導管118及び1つ以上の廃液吸入導管244をカバーする位置で押さえる。連動機構680の閉じた位置において、ファン吸入導管118及び1つ以上の廃液吸入導管244は、液体をやりとりしないので、従って、廃液がファン吸入導管118に入って、ファン112に達する可能性は低い。
【0124】
連結器686は、ホイールモジュール500と連動機構680の間に延びると記述された。いくつかの実施において、類似した連結器がホイールモジュール501と連動機構680の間に、連動機構680を動かすために延び、従って、シール682、684を開いた位置と閉じた位置の間で動かす。
【0125】
流出防止システム610は、連結器686を含むと記述されたが、いくつかの実施においては、連結器686を省くことができる。例えば、ホイールモジュール500の動きは、連動機構680を開いた位置と閉じた位置の間で動かすように構成されている作動装置と電気的にやりとりするスイッチ(例えば、接触スイッチ)によって検出することができる。追加的に又は代替的に、ホイールモジュール500の動きは、水圧スイッチによって検出することができる(例えば、廃液収集容器Wの中の廃液を作動液として利用する)。
【0126】
図16を参照すると、ファン112は、固定した筐体706を持つ回転ファンモータ704及びそこから延びる回転軸708を持つ。固定したモータの筐体706は、ファンスクロール710の中心部分709に配置される。ファンシール711は、実質的にファンスクロール710の中心部分709に配置されたファンモータ704を実質的に覆うために、ファンスクロール710にかみ合うように構成されている。ファンシール711及びファンスクロール710は全体として、ファンモータ704を湿気及びごみから保護することのできる、保護用の筐体を形成する。ファンモータ704の回転軸708は、回転翼と接続するために、ファンシール711から外側に突き出ている。使用中、ファンモータ704は、回転翼712を回すために回転軸708を回転させ、従って、空気を動かす。
【0127】
ファン回転翼712は、その中心回転軸の周りに配置され、回転翼718が回転する時に、空気をその回転軸に沿って軸方向に内側に引き込み、空気を放射状に外側に放出するように構成された複数のブレード要素を含む。回転翼712の回転は、その流入側において負の空気圧区域(例えば、真空)を作り出し、また、その流出側において正の空気圧区域を作り出す。ファンモータ704は、電気掃除機又は湿式真空掃除機用の従来のファンよりも高い空気の流動率を生成する、実質的に一定の回転速度、例えば、14、000RPM、で回転翼712を回転するように構成されている。ファンの構成によって、約1,000RPMの低い割合から、約25,000RPMの高い割合までが考慮されている。
【0128】
スクロール710は、同じ筐体の大きさを維持しながら、スクロールの体積を損失することなく、30パーセント大きい回転翼を許容するために、それ自身の中に折りたたむことができる。インデューサーは、ファンブレードの一部で、流入のためにのみ設けられている。水が回転翼に入る可能性を低くするため、「堀」(すなわち、水路または内壁)を回転翼の前に置くことができる。空気処理のために利用される回転翼は、システムを通してかなりの速度で空気を動かし、そのことは、水を汚れたタンクから引き出し、回転翼を通して床に戻す原因となりえる。堀は、このことの発生を防止または制限する。
【0129】
ファンの空気流動率は、自由空間において毎分約60〜100立方フィートで、ロボットの中においては毎分約60立方フィートに及ぶ。いくつかの実施において、真空モジュール1300は、湿式真空サブシステムと乾式真空サブシステムの両方を含み、ファンの空気流動率は湿式及び乾式真空サブシステムの間で分割される(例えば、手動で調整される)。追加的に又は代替的に、多段のファン設計は、同様な空気流動率を作り出すことができるが、静圧及び速度はより高くなり、そのことは、流れを維持することに役立つ。また、より高い速度は、装置が乾燥した粒子を取り込み、液体(例えば、洗浄液と混ざったごみ)を持ち上げ引っ張ることを可能にする。
【0130】
図3及び13を参照すると、ファン112からの排気は、ポンプ排出導管242を通って移動し、実質的に湿潤要素の後方で、かつ、実質的に横軸24の前方の排気ポート116を通して、底板200から抜け出る。ファン排気ポート116のそのような配置は、例えば、排気される空気の流れが床に残された洗浄液を、スクイージ208による収集の前に、攪拌することを可能にする。いくつかの実施において、ファン排気ポート116からの排気は、表面の上におけるロボットの牽引力を向上させるため、実質的にホイールモジュール500、501に向かって移動させられる。
【0131】
再度、図3を参照すると、スクイージ208は、ロボット10が動く間、表面とスライド可能に接触するように構成されている。スクイージ208を実質的に車輪504、505の後方に置くことによって、ロボット10の動きを安定化することができる。例えば、ロボット10の急発進の間、スクイージ208は、ロボットが実質的に横軸24の周りを回転することを防止することができる。そのような安定化をもたらすことによって、スクイージ208は、ロボット10の前方部分に保持される湿潤要素204が、実質的に表面から持ち上げられることを防止することができる。例えば、ロボットの全重量が3.6kg以下の場合、スクイージ208のそのような位置は、安定化をもたらすために特に役にたつことがある。そのような軽量のロボットに対して、ロボットの重心は、牽引のためにかなりの重量が車輪504、505の上に置かれるように、実質的にロボットの横軸24の上に置かれ、一方で、スクイージ208は前方への移動に対する安定化をもたらし、かつ、湿潤要素204は後方への移動に対する安定化をもたらす。
【0132】
図3、17−19を参照すると、スクイージ208は、実質的に底板200の全幅に及ぶ、基部250を含む。実質的に水平な下側部分252は、基部250から表面に向かって下側に延びている。エッジガイド253、254は、基部250の各両端の近くに配置され、また、基部250から下方に延びている。ロボットが表面の周囲を動く時にスクイージ208を定位置でしっかりと支えるために、複数の締結要素256が基部250から上方に延び、対応する底板200の開口部内に合うように構成されている(例えば、締まりばめ)。
【0133】
水平な下側部分252は、吸入部分260から実質的に下方に延びるへら部分258を含む。へら部分258は、水平な下側部分252の実質的な後方エッジを定める。使用中、へら部分258は、スクイージ208と表面との間のスライド可能な接触エッジを形成する。へら部分258は、表面とスライド可能に接触する間に曲がるように、実質的に薄く、実質的に柔軟な材料で形成されている。いくつかの実施において、へら部分258は表面からの廃液の収集の向上のために、前方に少し曲げられる。いくつかの実施において、へら部分258は、ロボット10を前方に推進するのに必要な摩擦力を減らすために、少し後方に曲げられる。
【0134】
吸入部分260は、例えば、ロボットが清掃作業を行う時に、横軸24の方向における実質的に均一の吸引を可能にするため、横軸24の方向に等間隔に配置された複数の吸引ポート262を定める。吸引ポート262はそれぞれ、スクイージ208を通して延びる(例えば、水平な下側部分252の下の部分から基部250の上の部分まで)。吸引ポート262は、吸引ポート262の下側部分がへら部分258の前方エッジの実質的に近くとなるように、基部を通して延びる。ファン112によって負の空気圧が生成されると、廃液はへら部分258の前方エッジから吸引ポート262を通して、廃液収集容器Wに向かって吸引される(例えば、上述の通り)。
【0135】
エッジガイド253、254は、スクイージ208のそれぞれの端に配置され、清掃作業中に表面と接触するように、基部250から下方に延びる。エッジガイド253、254は、ロボット10の前後軸22に向けて廃液を押す。スクイージ208の中心部分に向けて廃液を導くことによって、エッジガイド253、254は、ロボット10の横端における廃液の収集効率を向上させることができる。例えば、エッジガイド253、254のないロボットと比較して、エッジガイド253、254は、ロボット10が後に残す縞を減らすことができる。
【0136】
エッジガイド253、254は、エッジガイド253、254から基部250を通して上方に延びる、留め具263、264をそれぞれ含む。エッジガイド留め具263、264は、基部から締結要素256よりもさらに延びて、また、いくつかの実施において、清掃作業中にスクイージ250がロボット10から引き離される可能性を低くするために、底板200の中で固定される。いくつかの実施において、留め具263、264は、底板200の中に押し込まれ、締まりばめによって定位置で支えられる。いくつかの実施において、留め具263、264は、筐体100にねじくぎで取り付けられる。追加的に又は代替的に、エッジガイドの留め具263は、筐体100に対して固定される場合がある。
【0137】
締結要素256は、基部250から上方に、基部250の前方及び後方部分に沿って延びる。各締結要素256は、実質的に横軸24に沿って長くなっていて、軸部分265及び頭部266を含む。スクイージ208は、締結要素256を対応する底板200の開口部に押し込むことによって、底板200に固定される。締結要素256が底板200の開口部に押し込まれる時、頭部266は開口部を通過するために変形する。開口部を通過した後、各頭部266は実質的にそのもとの形状に膨らみ、頭部266は開口部を逆の方向に通過することに対して抵抗する。従って、締結要素256は、実質的にスクイージ208を底板に対して固定する。
【0138】
スクイージ208は底板200に対して固定されているとして記述されてきたが、その他の実施も可能である。いくつかの実施において、スクイージは底板200に対して枢動可能とされる。例えば、スクイージは、スクイージの下側エッジが清掃表面の段差又は切れ目に出くわした時に、中心垂直軸20の周りを回転することができる。スクイージの下側エッジが段差又は切れ目から解放された時、スクイージはその通常の作業位置に戻ることができる。
【0139】
いくつかの実施において、スクイージは、分割されたスクイージとされている。例えば、スクイージは、2つの分割された部分として、前方部分と後方部分を含み、修理及び交換のために、底板から別々に取り外すことができる。
【0140】
いくつかの実施において、スクイージは、左側部分と右側部分に分割される。ロボットがその場で回転するか、又は曲がる時、スクイージは、片方が後方に曲がって、片方が前方に曲がる構成を担うことができる。分割されないスクイージに対して、曲がりが後方から前方に切り替わる位置は、事実上ロボットの下の固体の柱として作用し、その中心を高く置く傾向があり、移動性の妨げとなる。スクイージの中央に分割を設けることによって、この傾向を緩和、又は、消去することができ、移動性を向上させる。
【0141】
(輸送駆動システム)
再度、図2−7を参照すると、表面上での輸送のため、ロボット10は輸送システム1600によって支えられる。輸送システム1600は、筐体の右側面及び左側面にそれぞれ配置された、独立したホイールモジュール500、501の対を含む。湿潤要素204及びスクイージ208は、スライド可能に表面と接触し、輸送システム1600の一部を形成する。いくつかの実施において、輸送システム1600は、ホイールモジュール500、501の実質的に前方、及び/又は、実質的に後方に置かれた脚輪を含む場合がある。ホイールモジュール500、501は、実質的にロボット10の横軸24に沿って配列されている。ホイールモジュール500、501は、表面に沿って任意の方向にロボット10を進めるために、コントローラ1000によって独立して駆動及び制御される。ホイールモジュール500、501はそれぞれモータを含み、それぞれギア部に結合されている。各ギア部からの出力は、各車輪504、505を駆動する。
【0142】
コントローラ1000は、各モータへの電圧及び電流を測定し、各モータに対して、測定された電流の微分を算出する。コントローラ1000は、測定された電圧、測定された電流、及び算出された測定電流の微分を使って、モータのスピードを判定する。例えば、コントローラ1000は、測定された電圧、測定された電流、及び算出された微分からモータスピードを判定するために、数学的モデル(例えば、直流モータ方程式)を使うことができる。いくつかの実施において、同じ数学的モデルが各駆動モータに対して利用される場合がある。数学的モデルは、特定のモータに対して較正された1つ以上の定数(例えば、数学的定数)を含む場合がある。その1つ以上の定数は、様々な異なる方法のいずれかを用いて較正することができる。例えば、モータは、同じ定数を持つように工場で合わせられる場合がある。その他の例として、定数は工場で較正され、ロボット10内に記憶される(例えば、コントローラ1000に対して)場合がある。さらに、別の例として、定数は、同じ型の多くのモータに対して較正され、モータの定数の変動が許容範囲にある場合には、定数の代表値(例えば、平均値)が各モータに対して用いられる場合がある。その他の例として、コントローラ1000は、時間とともにモータの定数を学習する(例えば、ニューラルネットワークを利用する)プログラムを含む場合がある。
【0143】
ホイールモジュール500、501は、筐体100に対して着脱可能に取り付けられていて、それぞれバネによって表面と接触するように強制されている。ホイールモジュール500、501は、次の1つ以上を利用して実質的に水との接触に関して密閉されている:エポキシ樹脂、超音波溶接、ポッティング溶接、溶接インターフェース、栓、及び膜組織。
【0144】
バネは、サスペンションの行程の距離全体に沿って、実質的に均一の力を車輪に対して加えるように較正されている。ホイールモジュール500、501は、サスペンションシステムとして作用するために、それぞれ独立して縦の方向に動くことができる。例えば、ホイールモジュール500、501は、ロボット10が表面上の障害物の上を進むことを可能とし、しかしながら、ロボット10が洗浄領域の分離を示す(例えば、台所の床とリビングルームの床の分離を示す)より大きな境界を越えることは妨げるように、約4mmのサスペンション行程から約8mmのサスペンション行程を許容することができる(例えば、約5mmのサスペンション行程)。ロボット10が表面から持ち上げられる時、ホイールモジュール500、501のそれぞれのサスペンションシステムは、ホイールモジュール500、501をそれぞれのサスペンションシステムの行程における最も低い位置まで下げる。この構成は、時々、バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムと呼ばれる。いくつかの実施において、ホイールモジュール500、501は、ホイールモジュール501、502のホイール504、505が下に移動し、かつ、コントローラ1000に信号を送った時に感知するホイールドロップセンサを含む場合がある。追加的に又は代替的に、コントローラ1000は、ロボット10が表面のより安定した位置に移動することを可能にできる行動を起動することができる。
【0145】
ロボット10のバイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムは、上向き及び下向きの力を考慮して設計された車高を持つ、弾力性及び/又は減衰を含んだ回転車輪部を含む。いくつかの実施において、サスペンションシステムは、1〜5%(例えば、約2%)以内のロボット10の最少の下向きの力を伝える(すなわち、ロボットの質量又は重量から、ブラシ/スクイージ等の弾力性のある又は柔軟な収縮性部材からの上向きの力を差し引く)。つまり、サスペンションは、タイヤの接触面上で得られる力を最大に維持する一方で、上向きの力を生成することのできる、ほとんどの障害物又は摂動でも、サスペンションの持ち上げ、又は、障害物上でのロボットの浮き上がりをもたらすように、加えられた力のたった2%だけで「止め具」に対して支えられている(バネの止め具は、その他の98%、オプションで99%〜95%を支える)。このバネの力(及びその結果の、ロボット牽引力)は、変化するロボットの荷重(洗浄及び廃液タンクのレベルに関連する)に対応してその力を変化させる能動的なシステムを持つことによって、最大化することができる。いくつかの実施において、アクティブサスペンションの動作は、適切な減衰及びバネ抵抗力を持つ、電動の作動装置又はソレノイド、流体動力等によって与えられる。回転車輪部が記述されたが、その他の実施も可能である。例えば、バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムは、バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムを作り出すための円錐バネを含んだ鉛直方向に動くホイールモジュールを含む場合がある。
【0146】
車輪504、505は、ロボット10を湿ったせっけんのような表面の全域で、ロボット10を推進するように構成されている。図20を参照すると、車輪504は、ホイールモジュール500と結合するように構成されたリム512を含んでいる。駆動ホイールモジュールは、輸送のために車輪を駆動するための、駆動モータ及び駆動系のトランスミッションを含む。駆動ホイールモジュールはまた、表面に対する車輪のスリップを検出するためのセンサを含む場合がある。
【0147】
リム512は、車輪の形状を維持するため、及び、剛性をもたらすために、硬い成形プラスチックといった、堅い材質で形成される。リム512は、環状タイヤ516をその上に支えるための大きさの外径を提供する。環状タイヤ516は、表面と接触するため、及び、せっけんのような表面上で牽引力を維持するための、滑らない、抵抗の高い駆動表面を提供するために構成されている。
【0148】
1つの実施において、環状タイヤ516は、内径約37mmを持ち、かつ、リム512の外径514の上に適切に適合する大きさとされている。環状タイヤ516は外径514に対して、環状タイヤ516の内径とリム512の外径514との間のすべりを防止するために接着、テープ貼り、又はその他の締まりばめがなされる場合がある。タイヤの半径方向の厚さは約3mmとすることができる。タイヤの材質は、約0.1mmプラスマイナス0.02mmの大きさの気泡で発泡され、密度が、1立方フィート当たり14〜16ポンド、又は1立方フィートあたり約15ポンドの、チウラムジスルフィドブラックで安定化されたクロロプレンホモポリマーとされている。タイヤは、発泡後、ショア00で、約69から75の硬度を持つ。タイヤの材率は、DURAFOAM DK515HDの商標名で、Monmouth Rubber and Plasitics Corporationによって販売されている。
【0149】
特定の応用に対しては、例えば、ネオプレン及びクロロプレン、及びその他のクローズドセルスポンジゴム材質を含む、その他のタイヤの材質についても考えられている。ポリ塩化ビニル(PVC)(例えば、射出形成、押し出し)及びアクリロニトリル・ブタジエン(ABS)(その他の抽出物、炭水化物、カーボンブラック、及び灰の有無にかかわらず)もまた利用することができる。追加的に、細かく刻んだ泡構造のタイヤは、タイヤが清掃されている湿った表面を走行する時に、スクイージのような機能を提供することができる。また、商標名RUBATEX R411、R421,R428、R451及びR461と示されたタイヤの材質(Rubatex International,LLCによって製造及び販売される)、ENSOLITE(Armacell LLCによって製造及び販売される)、及びAmerican Converters/VAX,Inc.によって製造及び販売される製品で作られたタイヤは、上で特定されるDURAFOAM DK515HDの機能的代用品である。
【0150】
いくつかの実施において、タイヤの材質は、例えば、二トリルゴム(アクリロ二トリル)、スチレンブタジエンゴム(SBR),エチレン・プロピレン・ゴム(EPDM)、シリコーンゴム、フッ化炭素ゴム、ラテックスゴム、シリコーンゴム、ブチル・ゴム、スチレン・ゴム、ポリブタジエン・ゴム、水酸化ニトリルゴム(HNBR)、ネオプレン(ポリクロロプレン)、及び、それに関する混合物といった、天然ゴム、及び/又は、合成ゴムを含む場合がある。
【0151】
いくつかの実施において、タイヤの材質は、例えば、ポリアクリル酸(即ち、ポリアクリロ二トリル及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリクロロカーボン(すなわち、PVC)、ポリフロロカーボン(すなわち、ポリテトラフロロエチレン)、ポリオレフィン(すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレン)、ポリエステル(すなわち、ポリエチレン・テレフタレート及びポリブチレン・テレフタレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリサルフォン、及びそれらの混合物、及び/又は共重合体といった1つ以上のエラストマーを含む場合がある。エラストマーは、ホモポリマー、共重合体、ポリマーブレンド、相互貫入ネットワーク、化学的変性ポリマー、移植ポリマー、表面被覆ポリマー、及び/又は表面処理ポリマーを含む場合がある。
【0152】
いくつかの実施において、タイヤの材質は、例えば、カーボンブラック及びシリカといった補強材、被補強充填剤、硫黄、架橋材、結合剤、粘土、ケイ酸塩、カルシウムカーボネイト、ワックス、オイル、抗酸化物質(即ち、パラフェニレンジアミン・オゾン劣化防止材(PPDA)、オクチレーテッドジフェニルアミン、及び重合体の1、2‐ジヒドロ‐2、2、4‐トリメチルキノリン)、及びその他の添加剤といった1つ以上の充填剤を含む場合がある。
【0153】
いくつかの実施において、タイヤの材質は、例えば所望の静止摩擦、剛性、引張応力、硬度、引張強度、衝撃強度、密度、引裂強度、破裂エネルギー、亀裂抵抗、弾力、動的特性、屈曲特性、耐摩耗性、摩耗抵抗、色の保持、及び/又は耐薬品性(すなわち、洗浄液及び洗浄表面に存在する物質に対する抵抗、例えば、希酸、希アルカリ、オイル及びグリース、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン炭化水素、及び/又はアルコール)といった有利な特性を持つように形成される場合がある。
【0154】
クローズドセルフォームタイヤのセルの大きさは、静止摩擦、汚染物質への耐性、耐久性、その他の要因に関する機能に影響を与えることがある。ロボットの重量及び洗浄表面の条件に応じて、約20μmから約400μmの範囲のセルの大きさは、許容範囲内の性能を提供することができる。詳細な範囲としては、平均のセルサイズ60μmで、約20μmから約120μmまでを含み、様々な表面及び汚染状況にわたって容認できる静止摩擦に対しては、より詳細に約20μmから約40μmまでとなる。
【0155】
より広いタイヤは追加的な牽引力を与える場合があるが、いくつかの実施においてタイヤの幅は、約13mmとなっている。4mm‐5mmの厚さ又はそれ以上の厚さのタイヤを増加した牽引力に対して利用することも可能であるが、前述の通りタイヤは約3mmの厚さとすることができる。約1.5mmの薄いタイヤ及び約4.5mmの厚いタイヤは、ロボットの重量、作業速度、移動パターン、及び表面の特性に応じて役に立つ場合がある。厚いタイヤは圧縮歪の影響を受けやすい。洗浄ロボットがより重い場合には、それにもかかわらず、より大きなタイヤが好ましい。外側が円形または角張ったエッジのタイヤもまた、使用することができる。
【0156】
静止摩擦を増大させるため、タイヤの外形には溝形模様が付けられる場合がある。サイピングは、(a)液体が入りこむための隙間を備えることにより、接触表面から液体を除去する移動距離を縮小すること、(b)より多くのタイヤの部分が床に適合できるようにすることによって、トレッドによる可動性を増大すること、及び、(c)液体の除去を支援する拭き取り機構を提供することによって、一般に静止摩擦を増大させる。少なくとも1つの例において、「サイプされる」という用語は、タイヤの外径に薄い溝1110のパターンを与えるために、タイヤの材質を薄く切ることを言う。1つの実施態様において、各溝は、約1.5mmの深さ及び約20から300ミクロンの幅を持つ。サイピングは、例えば4mmの厚さのタイヤに対して3.5mmの深さのサイピングといったように、タイヤの基部のわずか1.2mm以下だけを残す場合がある。溝のパターンは、隣接する溝の間が約2から200mmの間隔あけられた、実質的に等間隔に配置された溝を規定することがある。1つの例において、「等間隔」とは、繰り返しのパターンによって一定間隔離して置かれることを意味し、必ずしも各サイプされた切れ込みが隣から等距離になるということではない。溝の切れ込み軸は、タイヤの長手方向の軸に対してGの角度をなす。いくつかの実施態様において、角度Gは、約10‐50°の範囲に及ぶ。
【0157】
別の実施態様において、サイピングのパターンは、回転軸から交互に45°の角度(プラスマイナス10°)で切れ込まれた、3.5mm間隔のダイヤモンド形の斜交平行線模様となっている。実質的に円周方向のサイピング、水路を通して液体を取り去るサイピング、及びその他のサイピングパターンもまた、考慮されている。特定の応用によって、サイピングの深さと角度は変更される。更に、サイピングの深さ又は幅を増加することによって静止摩擦を増大させることができるが、この利点についてはタイヤの発泡体の構造的な保全に対する影響を考慮すべきである。いくつかの実施態様において、例えば、3mm‐4mmの厚さのタイヤで7mm間隔で菱形に交差するサイピングの施されたものは、良好なタイヤ静止摩擦を提供することが見つけ出されている。より大きなタイヤは、より細かく、より深いサイピング、及び/又は広いサイピングを受け入れることができる。追加的に、特別に幅の広いタイヤ又はある種類の材料で作られたタイヤは、効果的な静止摩擦に関して、いかなるサイピングも必要としない場合がある。湿った又は乾燥した表面上、又は異なる種類の表面上において、ある種類のサイピングパターンはより役に立つかもしれないが、様々な応用にわたって一貫性のある静止摩擦を与えるサイピングが、一般目的のロボット掃除機に対しては最も好適であるかもしれない。
【0158】
タイヤはサイプされた外径を含むとして記述されたが、その他の実施も可能である。例えば、タイヤは強度の斜めのV目パターンのある天然ゴムタイヤとすることができる。
【0159】
様々なタイヤの材質、大きさ、構成、サイピング等は、使用中にロボットの静止摩擦に影響を与える。いくつかの実施において、ロボットの車輪は洗浄液の噴霧を直接に通して回転するが、このことは、清掃中に出くわす汚染物質が影響するのと同様に、静止摩擦に対して影響を及ぼす。車輪の静止摩擦が失われることは、ロボットをその予想進路から逸脱させる場合がある、車輪の滑りといった形の動作の非効率を引き起こすことがある。この逸脱は、清掃時間を増加させ、また、電池の駆動時間を減らす場合がある。従って、ロボットの車輪は、対応するモータの最小のサイズとともに、全ての表面において、良好ないし極めて優れた静止摩擦を与えるように構成されるべきである。
【0160】
清掃中に出くわす典型的な汚染物質には、ロボットによって放出された、又はその他の化学物質が含まれる。液体状態であるか(例えば、パイン油、ハンドソープ、塩化アンモニウム等)、又は、乾燥状態にあるかにかかわらず(例えば、粉せっけん、タルク粉、等)、これらの化学物質はタイヤの材質に化学変化を引き起こす場合がある。追加的に、ロボットのタイヤは、湿気のある又は湿った食品型の汚染物質(例えば、ソーダ、ミルク、はちみつ、卵等)、乾燥した汚染物質(例えば、パン粉、米、小麦粉、砂糖等)、及び油(例えば、コーンオイル、バター、マヨネーズ等)に出くわす場合がある。これらの汚染物質は、かす、液体のたまり、油膜、又は乾燥した斑点として遭遇される。上述のタイヤの材質は、これら様々な化学物質及び油によって引き起こされる化学反応に対して抵抗することに関して有効であることが証明されている。追加的に、上述のセルサイズ及びサイピングは、湿った及び乾燥した汚染物質の両方、化学物質又はその他と出くわした時に、静止摩擦を維持する上で役に立つことが証明されている。しかしながら、ある程度の濃度の乾燥した汚染物質は、サイピングの間に挟まるかもしれない。以下に記述されるこの装置で利用される化学洗浄剤は、また、いくらかの汚染物質を乳化することに役に立ち、このことは、ほかの化学物質によって引き起こされる潜在的な損傷を、これらの化学物質を薄めることによって減らす場合がある。
【0161】
使用中に出くわすかもしれない汚染物質に加えて、装置の様々な洗浄装備品(例えば、ブラシ、スクイージ等)は、装置の静止摩擦に対して影響を及ぼす。これらの装置によって作り出される抗力は、この装置の接触の特性(即ち、円形、尖っている、滑らか、起伏のある等)及び、汚染物質によって引き起こされる滑りの可能性は、清掃される表面に応じて変化する。ロボット及び清掃表面の接触する領域を制限することは、付随する摩擦を減らし、このことは牽引力及び動作を向上させる。重量が約5‐15ポンドのロボットにおいて、抗力1.5ポンドに対して、3から5ポンドの推進力が有効であることが証明されている。ロボット洗浄機の重量によって、これらの数字は変化するが、許容可能な性能は約50%未満の抗力で発生し、約30%未満の抗力で向上されることが指摘される。
【0162】
タイヤの材質(及び対応するセルサイズ、密度、硬度等)、サイピング、ロボットの重量、遭遇された汚染物質、ロボットの自律性の程度、床の材質、その他は、全てロボットのタイヤの全静止摩擦係数に対して影響を与える。いくつかのロボット洗浄機に対して、最小可動性しきい値に対する静止摩擦係数(COT)は、0.9kg重の抗力(スクイージの試験において測定される)を、タイヤに対して加えられる通り、2.7kg重の垂直効力で割ることによって定められている。従って、最小可動性しきい値は、約0.33である。しきい値の目標値である0.50は、細かく刻んだ、黒いフォームタイヤの性能を測定することによって定められた。上述の多くの材質の静止摩擦係数は、0.25から0.47のCOT範囲に含まれ、従って、可動性しきい値と目標しきい値との間の許容範囲の間にある。追加的に、洗浄ロボットのさらされる様々な作業条件を考えると、湿った表面と乾燥した表面との間で静止摩擦係数の変動をほとんど示さないタイヤが好ましい。
【0163】
ロボット洗浄装置は、また、タイヤを部分的に又は完全に囲む覆い又はブーティを利用することによって効果を得ることができる。タイヤに関して、静止摩擦を増加させるために、綿、リンネル、紙、絹、多孔質の皮革、セーム革等の吸湿剤を利用することができる。代替的に、これらの覆いは、単純にそれらをカップ形状の車輪要素1102の外径1104に搭載することによって、ゴム引きの車輪全体に取って代ることができる。ゴムタイヤの覆いとして使うか、又はゴムタイヤの完全な代用品として使うかにかかわらず、材質は利用者が交換することができ、又は、基地局または充電ステーションにおいて自動的に取り外して交換される場合がある。追加的に、特定のタイヤを特定の床表面に対して使用するという取扱説明書と共に、ロボットを異なる材質のタイヤのセットと一緒に、消費者に対して提供することができる。
【0164】
ロボット掃除機で利用される洗浄液は、ロボット又は表面そのものに対して損傷を与えずに、汚染物質を容易に乳化し、表面から乾燥したごみを容易に剥離することができるべきである。上述のロボットのタイヤ及び特定の化学物質に関する悪影響を考えて、洗浄液の攻撃性は、短期的及び長期的なタイヤ及びその他のロボットの部品に対する悪影響とのつりあいを保つようにするべきである。これらの問題点を考慮して、実際上は、特定の洗浄に関する要求条件を満たすものであれば、どのような洗浄液でも、洗浄ロボットと共に利用することができる。一般に、例えば、界面活性剤及びキレート剤の両方を含んだ溶液を利用することができる。追加的に、クエン酸のようなpHバランス調整剤を加えることができる。例えばユーカリ、ラベンダー、及び/又はライムといった芳香剤を追加することによって、装置は効果的に洗浄しているという消費者側の認識に寄与することで、そのような洗浄剤の市場性を向上させることができる。青、緑、又はその他の目立つ色は、また、安全性又はその他の理由で洗浄剤を区別するのに役に立つことがある。また、溶液は薄められる場合があるが、それでも、ロボット洗浄機とともに利用する場合には、効果的に洗浄することができる。作業中、ロボット洗浄機が床の特定の領域を複数回通過する可能性は高く、従って、洗浄剤を薄めずに使う必要は低くなる。また、上述の通り、薄めた洗浄剤は、タイヤ及びその他の部品の摩耗の問題を軽減する。ロボットの部品への損傷を引き起こすことがなく、洗浄において有効であることが証明されているそのような洗浄剤の1つは、アルキルポリグルコシド(例えば、1〜3%の濃度)及びテトラカリウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(EDTAテトラカリウム)(例えば、0.5〜1.5%の濃度)を含む。使用中に、この洗浄液は、例えば、約3〜6%の洗浄剤と約94〜97%の水を含む洗浄液を作り出すために、水で薄められる。従って、この場合、実際に床に塗布される洗浄液は、わずか0.03%から0.18%の界面活性剤と0.01から0.1%のキレート剤にすぎないことがある。当然、他の洗浄剤とそれについての濃度を、開示されたロボット掃除機において利用することができる。
【0165】
例えば、米国特許番号6,774,098に開示される界面活性剤及びキレート剤の群は、その開示は参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれているが、また、開示されるタイヤの材質及び構成を持ったロボットに適用することに対して好適である。しかしながら、‘098特許に開示される洗浄剤の攻撃性と機械の部品に対して引き起こされる摩耗とのつりあいを保つため、洗浄剤は、(1)溶媒を含まない、又は、アルコール溶剤のキレート剤の割合より低い割合の溶媒を含む、又は開示された溶媒の1/2から1/100の濃度を持つ、及び/又は、(2)ロボットにおいて利用される決定論的な単一の通過、決定論的な繰り返しの通過、又は無作為の複数回の通過に対して、開示されている濃度のそれぞれ、20%+/−15%(単一の通過)、10%+/−8%(繰り返しの通過)、及び5%から0.1%(無作為の複数回の通過)、更に薄められる、及び/又は、(3)選択された界面活性剤及びキレート剤と混合可能である消泡剤の、市販のカーペット専用洗剤と同じか、それよりも低い割合、例えば、シリコーン・エマルション5%未満、と更に組み合わせられる、及び/又は、(4)生菌培養物の脱臭剤と交換される、又は、融和性のあるように混合される、ことが好ましい。
【0166】
いくつかの実施態様において、ロボット掃除機で利用される洗浄液は、好適には上記(1)、(2)、(3)、及び/又は(4)を条件として、米国特許番号6,774,098に記載される「硬表面洗浄剤」の1つ以上の実施態様を含む(またはそのものとなっている)。米国特許番号6,774,098における「硬表面洗浄剤」のいくつかの実施態様は、以下の段落において記載される。
【0167】
1つの実施態様において、硬表面洗浄剤は、(a)一般式の範囲内のアミノ・オキシドによって構成される界面活性剤系(I):又は一般式の範囲内の第四級アミン塩、(II):又は前述のアミノ・オキシド及び第四級アミン塩の組み合わせ、及び、(b)約0.1から1.0の重量パーセントの範囲の水溶性を持つ非常にわずかな水溶性の極性有機化合物で、非常にわずかな水溶性の極性有機化合物と界面活性剤系との重量比は、約0.1:1から約1:1の範囲にあるものによって構成され、ここで、R1とR2は、同じ又は異なるもので、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル及びヒドロキシプロピルのグループから選択され、R3は、それぞれ、約10から20の炭素原子を持つ、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖ヘテロアルキル、分岐鎖ヘテロアルキル及びアルキル・エーテルで構成されるグループから選択され、R4は1から約5の炭素原子を持つアルキルグループで構成されるグループから選択され、そして、Xはハロゲン原子である。
【0168】
別の実施形態において、硬表面洗浄剤は、(a)(i)非イオン界面活性剤及び第四アンモニウム界面活性剤の組み合わせ、又は、(ii)両面界面活性剤のどちらか一方で、存在する界面活性剤の総量は約0.01‐10%であり、ここで、非イオン界面活性剤は、アルコキシル化アルキルフェノールエーテル、アルコキシル化アルコール、又は、半極性非イオン界面活性剤で構成されるグループから選択され、ここで、半極性非イオン界面活性剤はそれ自身、単一長鎖アルキル、ジ短鎖トリアルキルアミンオキシド、アルキルアミドジアルキルアミンオキシド、ホスフィン・オキシド及びスルホキシドで構成されるグループから選択され、(b)少なくとも25℃で、0.001mmHgの蒸気圧を持つ、少なくとも1つの水溶性又は分散性の有機溶媒を50%程度、(c)キレート剤としての0.01‐25%のテトラアンモニウムエチレンジアミン‐テトラアセテート(テトラアンモニウムEDTA)、及び(d)水をで構成される。
【0169】
更に別の実施形態において、硬表面洗浄剤は、(a)陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、及びそれらの混合物で、オプションで、第4級アンモニウム界面活性剤によって構成されるグループから選択された界面活性剤で、存在する界面活性剤の総量は重量で約0.01‐10%であり、(b)25℃で少なくとも0.001mmHgの蒸気圧を持つ水溶性又は分散性の有機溶媒の少なくとも1つで、その少なくとも1つの有機溶媒は、アルカノール、ジオール、グリコール・エーテル、及びそれらの混合物で構成されるグループから選択され、洗浄剤の重量の約1%から50%が存在し、(c)キレート剤としてのテトラカリウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(カリウムEDTA)、カリウムEDTAは、洗浄剤の重量の約0.01‐25%存在し、及び、(d)水で構成される。
【0170】
さらに別の実施態様において、硬表面洗浄剤は、(a)オプションで、第4級アンモニウム界面活性剤を含む非イオン界面活性剤で、存在する界面活性剤総重量は約0.01‐10%で、ここで、非イオン界面活性剤は、アルコキシル化アルキルフェノール・エーテル、アルコキシル化アルコール、又は半極性非イオン界面活性剤でによって構成されるグループから選択され、半極性非イオン界面活性剤はそれ自身、単一長鎖アルキル、ジ短鎖トリアルキル・アミンオキシド、アルキルアミドジアルキル・アミンオキシド、ホスフィン・オキシド及びスルホキシドで構成されるグループから選択され、(b)25℃で少なくとも0.001mmHgの水蒸気圧を持つ、水溶性又は分散性の有機溶媒の少なくとも1つを50%程度、c)キレート剤としての、0.01‐25%のテトラアンモニウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(テトラアンモニウムEDTA)、及び、(d)水、で構成される。
【0171】
いくつかの実施態様において、硬表面洗浄剤は、約100cps未満の粘度を持ち、(a)溶解された約85%の水と、(b)無機陰イオンの1キログラムにつき少なくとも約0.45の等価物と、ここで、陰イオンは、カルシウムイオンと結合すると、25℃の水に多くて0.2g/100gの溶解性を持つ塩を形成し、陰イオンは炭酸塩、フッ化物、メタケイ酸塩イオン、又はそのような陰イオンの混合物であり、(c)合成物の重量に基づく、少なくとも0.3%の重量の、RR1R2N→Oの形のアミンオキシドを含む洗浄力のある界面活性剤と、ここで、RはC6‐C12のアルキルで、R1とR2は、独立して、C1‐4アルキル又はC1‐4ヒドロキシアルキルであり、かつ、(d)合成物の重量に基づく、少なくとも約0.5重量パーセントの漂白剤と、で構成され、ここで、洗浄合成物は、アルカリ性で、基本的にキレート剤、リン含有塩、及び研磨剤が含まれていない。
【0172】
いくつかの実施態様において、ロボット掃除機で利用される洗浄液は、全て参照することによって本明細書に組み込まれている、米国特許番号5,573,710、5,814,591、5,972,876、6,004,916、6,200,941、及び6,214,784、において記述されている硬表面洗浄剤の1つ以上の実施形態を含んでいる(または、そのものとなっている)。
【0173】
米国特許番号5,573,710は、硬い表面、又は、カーペット及び内装といった硬い繊維質の基板から油や染みを除去するために利用することができる、水性の複数表面洗浄用合成物を開示している。合成物は、(a)一般式の範囲内のアミノオキシドで構成される界面活性剤系、(I):又は一般式の範囲内の第4級アミン塩、(II):又は前述のアミノオキシド及び第4級アミン塩の混合物、及び、(b)非常にわずかな水溶性の極性有機化合物、を含む。この非常にわずかな水溶性の極性有機化合物は、約0.1から1.0重量パーセントの範囲の水溶性を持つ場合があり、かつ、この非常にわずかな水溶性の極性有機化合物の界面活性剤系に対する重量比は、約0.1:1から約1:1の範囲に及ぶ場合がある。R1及びR2は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル、及び、ヒドロキシプロピルで構成されるグループから選択することができる。R1とR2は、同一であっても、又は、異なっていてもよい。R3は、それぞれ10から20の炭素原子を含む、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、直鎖ヘテロアルキル、分岐鎖ヘテロアルキル及びアルキルエーテルで構成されるグループから選択することができる。R4は、1から約5の炭素原子を含むアルキルグループで構成されるグループから選択することができる。Xはハロゲン原子である。
【0174】
いくつかの場合において、合成物は更に、縞を減らすために有効な量の水溶性の有機化合物を含む。水溶性の有機化合物は、水溶性のグリコールエーテル及び水溶性のアルキルアルコールから選択することができる。水溶性の有機化合物は、少なくとも14.5重量パーセントの水溶性を持つことができる。界面活性剤系に対する水溶性の有機化合物の重量比は、約0.033:1から約0.2:1の範囲に及ぶ場合がある。
【0175】
米国特許番号5,814,591は、土壌除去を向上させた、水溶性の硬表面洗浄剤について記述している。洗浄剤は、(a)(i)非イオンの界面活性剤、両性の界面活性剤、又はそれらの結合、又は(ii)第4級アンモニウム界面活性剤、のいずれかで、洗浄に有効な量だけ存在する界面活性剤と、(b)25℃で少なくとも0.001mmHgの水蒸気圧を持つ水溶性有機溶媒、又は、分散性の有機溶媒の少なくとも1つで、少なくとも1つの有機溶媒は、可溶化効果、又は、分散効果を持つ量だけ存在し、(c)キレート剤としてのアンモニウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(アンモニウムEDTA)、アンモニウムEDTAは、洗浄剤における土壌除去を強化するのに有効な量だけ存在し、及び(d)水と、を含む。界面活性剤は全体で、約0.01‐10%の量だけ存在する。非イオンの界面活性剤は、アルコキシル化アルキルフェノールエーテル、アルコキシル化アルコール、又は半極性非イオン界面活性剤で構成されるグループから選択することが可能であり、ここで、半極性非イオン界面活性剤は、それ自身、単一長鎖アルキル、ジ短鎖トリアルキルアミンオキシド、アルキルアミドジアルキルアミンオキシド、ホスフィン・オキシド及びスルホキシドで構成されるグループから選択される。その少なくとも1つの水溶性の有機溶媒又は分散性の有機溶媒は、洗浄剤の重量で、50%程度の量だけ存在する場合がある。アンモニウムEDTAは、テトラアンモニウムEDTAである場合があり、洗浄剤の全重量で、約0.01‐25%の量だけ存在する場合がある。
【0176】
米国特許番号5,972,876は、水溶性の硬表面洗浄剤で、(a)陰イオン性の界面活性剤、非イオン性の界面活性剤、及びそれらの混合物と、オプションで、第4級アンモニウム界面活性剤によって構成されるグループから選択された界面活性剤で、界面活性剤の存在する総量は、洗浄に有効な量で、(b)25℃で少なくとも0.001mmHgの水蒸気圧を持つ、少なくとも1つの水溶性の有機溶媒又は分散性の有機溶媒で、有機溶媒は、可溶化効果又は分散効果を持つだけの量存在し、(c)キレート剤としてのテトラカリウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(EDTAカリウム)、EDTAカリウムは洗浄剤において土壌除去を強化するのに有効な量存在し、及び、(d)水と、で構成されるものを開示している。界面活性剤の総量は、重量で、約0.001−10%存在する場合がある。その少なくとも1つの有機溶媒は、アルカノール、ジオール、グリコールエーテル、及びそれらの混合物で構成されるグループから選択することができ、洗浄剤の重量で、約1%から50%存在する。EDTAカリウムは、洗浄剤の重量で、約0.01‐25%存在する場合がある。
【0177】
米国特許番号6,004,916は、水溶性の、硬表面洗浄剤で、(a)非イオン性の界面活性剤又は両性の界面活性剤かどちらか一方で、オプションで、第4級アンモニウム界面活性剤を含み、界面活性剤は、洗浄に有効な量だけ存在し、(b)25℃で少なくとも0.001mmHgの水蒸気圧を持つ、少なくとも1つの水溶性の有機溶媒又は分散性の有機溶媒で、その少なくとも1つの有機溶媒は、可溶化効果又は分散効果を持つだけの量存在し、(c)キレート剤としてのアンモニウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(アンモニウムEDTA)で、アンモニウムEDTAは、洗浄剤における土壌除去を強化するのに効果的な量存在し、及び、(d)水と、を含むものを開示している。界面活性剤は非イオン性の界面活性剤で、オプションで第4級アンモニウム界面活性剤を含む場合がある。非イオンの界面活性剤は、アルコキシル化アルキルフェノールエーテル、アルコキシル化アルコール、又は半極性非イオン界面活性剤で構成されるグループから選択することが可能であり、ここで、半極性非イオン界面活性剤は、それ自身、単一長鎖アルキル、ジ短鎖トリアルキルアミンオキシド、アルキルアミドジアルキルアミンオキシド、ホスフィン・オキシド及びスルホキシドで構成されるグループから選択される。界面活性剤の総量は、約0.001%‐10%存在する場合がある。その少なくとも1つの水溶性の有機溶媒又は分散性の有機溶媒は、洗浄剤の重量で、50%程度、存在する場合がある。アンモニウムEDTAは、テトラアンモニウムEDTAである場合があり、それは、全洗浄剤の質量で0.01‐25%存在する。
【0178】
米国特許番号6,200,941は、低濃度の硬表面洗浄用合成物を開示している。洗浄用合成物は、(a)少なくとも約85%水で、溶解されたもの、(b)無機陰イオンの1キログラムにつき少なくとも約0.45の等価物と、ここで、陰イオンは、カルシウムイオンと結合すると、25℃の水に多くて0.2g/100gの溶解性を持つ塩を形成し、(c)合成物の重量に基づき、重量で少なくとも約0.3%の洗浄力のある界面活性剤と、を含む。合成物は、約100cps未満の粘度を持つことが好ましい。陰イオンは、炭酸塩、フッ化物、メタケイ酸塩イオン、又はそのような陰イオンの混合物である場合がある。洗浄力のある界面活性剤は、RR1R2N→Oの形のアミンオキシドを含む場合があり、ここで、RはC6‐C12のアルキルで、R1とR2は、独立して、C1‐4アルキル又はC1‐4ヒドロキシアルキルとなっている。合成物は、合成物の重量に基づく、少なくとも約0.5重量パーセントの漂白剤を更に含むことがある。1つの場合において、洗浄用合成物はアルカリ性で、基本的にキレート剤、リン含有塩、及び研磨剤が含まれていない。
【0179】
米国特許番号6,214,784は、米国特許番号5,972,876に開示されているのと同様な合成物を記述している。合成物は、緩衝剤として、炭酸カリウムを含む場合がある。
【0180】
(コントローラモジュール)
コントロールモジュール1000は、双方向通信のために、複数のその他のロボットサブシステムそれぞれと、相互接続されている。ロボットサブシステムとの相互接続は、周知の通り、相互接続された電線、及び、又は、例えば、集積されたプリント回路基板等の導体素子を通して与えられる。いくつかの実施において、コントロールモジュール1000と、1つ以上のロボットサブシステムとの間の双方向通信は、ワイヤレス通信路を通して行われる。コントロールモジュール1000は、例えば、プログラムの手順、アルゴリズム、及び、又は、必要とされる場合には、数学的及び論理演算を実行するマイクロプロセッサといった、プログラム可能な、又は、前もってプログラムされた、デジタルデータ処理装置を少なくとも含む。コントロールモジュール1000は、また、プログラム手順及びその他のデジタルデータを記憶するための、データ処理装置と通信するデジタルデータメモリを含む。コントロールモジュール1000は、また、必要とされる場合にタイミング信号を生成するための、1つ以上のクロック要素を含んでいる。
【0181】
一般的に、ロボット10は、例えば、タイル、木材、ビニール、リノリウム、滑らかな石又はコンクリートで覆われた床や、必要以上に粗くなく、また、すぐに液体を吸収することのない、加工された床被覆層といった、カーペットが敷かれていない屋内の硬い床の表面を洗浄するように構成されている。しかしながら、その他の実施についても、粗い表面、液体を吸収する表面、及びその他の表面を洗浄し、加工処理し、化学薬品などで処理し、さもなければ、行き来するために、適合させることができる。追加的に、又は、代替的に、ロボット10は、居住用の家及び小さな商業施設において特有の、小さな、囲まれた、家具付きの部屋の床の上を自律的に移動するように構成することができる。ロボット10は、所定の清掃経路上で作業することは要求されていないが、囲いの形状又は障害物の分布にかかわりなく作業するように設計された、様々な輸送アルゴリズムによる制御の下で、実質的に清掃表面領域全てにわたって移動することができる。例えば、ロボット10は、3つの基本的な動作モード、すなわち、(1)スポット・カバレッジモード、(2)壁/障害物追従モード、及び、(3)反射モードといった分類が可能である移動パターンといった、様々なモードを実行するための、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、又はそれらの組み合わせの中に実装された、前もってプログラムされた手順に従って、清掃経路上を移動することができる。加えて、ロボット10は、その中に組み込まれたセンサから受信した信号に基づいて、行動を起動するように、前もってプログラムされていて、ここで、そのような行動としては、上述の移動パターンの1つの実行、ロボット10の緊急停止の実行、又は、警報を発することの実行を含むが、これらに限定されるものではない。ロボットのこれらの動作モードは、具体的に、Jonesその他による、Method and Systems for Multi‐Mode Coverage for an Autonomous Robotと表題のつけられた米国特許番号6,809,490に記述されており、その開示全体は、その全体を参照することにより本明細書に含まれるものとする。しかしながら、本開示には、また、別の動作モードが記載されている。
【0182】
ロボット10は、また、ユーザインターフェース400を含んでいる。ユーザインターフェース400は、ユーザ入力に応じて電気信号を生成し、かつ、信号をコントローラ1000に伝える、1つ以上のユーザインターフェースを提供する。利用者は、電源のオン/オフ、開始、停止又は清掃モードの変更といった、行動を起動するためのユーザコマンドを入力することができ、清掃の継続時間を設定することができ、開始時間や継続時間、及び、又は、多くのユーザ起動のコマンドといった清掃パラメータをプログラムすることができる。ユーザインターフェース400は、ロボット10に保持されるユーザインターフェースとして記述されたが、その他の実施も、追加的に、又は、代替的に、可能である。例えば、ユーザインターフェースは、ロボット10に指令を送信するように構成されたリモートコントロール装置(例えば、携帯端末)を含む場合がある。追加的に、又は、代替的に、ユーザインターフェースは、ロボット10に指令を送信するように構成された、プログラム可能なコンピュータ、又は、その他のプログラム可能な装置を含む場合がある。いくつかの実施において、ロボットは音声認識モジュールを含む場合があり、かつ、利用者によって与えられた音声指令に応じることができる場合がある。本発明とともに利用者のために考慮された、ユーザ入力コマンド、機能、及び部品については、具体的に、Dubrovakyその他による、2005年6月24日に出願された、Remote Control Scheduler and Method for Autonomous Robotic Deviceと表題の付けられた、米国特許出願番号11/166,891において記述され、その開示全体は、その全体を参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0183】
(センサモジュール)
ロボット10は、センサモジュール1100を含む。センサモジュール1100は、外部条件を感知するため、及び、内部条件を感知するための、筐体に取り付けられ、ロボットサブシステムと統合された、複数のセンサを含む。様々な条件を感知することに応じて、センサモジュール1100は、電気信号を生成することができ、かつ、その電気信号をコントローラ1100に送ることができる。個々のセンサは、壁及びその他の障害物の検出、表面における崖(時々、クリフと呼ばれる)の検出、表面上のごみの検出、低い電池残量の検出、洗浄液容器が空であることの検出、満載された廃液容器の検出、駆動車輪速度、走行距離、又は、滑りの測定又は検出、崖の検出、回転ブラシの停止、又は、真空システムの故障、又は、ポンプの機能不全といった、洗浄システムの問題の検出、効率の悪い洗浄、洗浄表面のタイプ、システムの状態、温度、及び多くのその他の条件の検出を含む様々な異なる機能のいずれかを実行することができるが、これに限定されるものではない。特に、センサモジュール1100のいくつかの態様及びその操作について、特に、それが外部の要素及び条件と関連する場合に、Jonesによる、Robot Obstacle Detection Systemと表題の付けられた、米国特許番号6,594,844及びCaseyその他による、2005年6月24日に出願された、Obstacle Following Sensor Scheme for a Mobile Robotと表題の付けられた、米国特許出願番号11/166,986に具体的に記述され、それらの開示全体は、それら全体を参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0184】
ロボット10は、湿式洗浄部品にごく近接して、制御部品及びセンサ部品を含んでいる。上述の通り、ロボット10は、家庭における清掃に対する適用において一般的に遭遇する、様々に異なる限定された空間内に適合するような大きさとすることができる。従って、ロボット10の体積の大部分は、液体貯蔵庫1500、液体塗布器1400、及び、真空サブシステム1300によって占められ、それぞれ、ロボット全体を通しての、水、溶媒、及び/又は、廃液の輸送を含む場合がある。湿式の洗浄剤を利用しない、また、廃液を作り出さない、多くの乾燥式の掃除機ロボットと区別されるように、ロボット10のセンサ及びコントロール要素の一部は、密閉され、及び/又は、水、又は、より損傷させる洗浄液、又は、溶媒にさらされることを最小化するように置かれる。多くの産業用掃除機と区別されるように、ロボット10のセンサ及びコントロール要素の一部は、洗浄要素、洗浄液、及び/又は、廃液にごく接近して、詰められる。
【0185】
コントローラ1000は、筐体100に保持され、筐体に沿った様々に異なる位置のいずれかに取り付けられたプリント回路基板を使って実装することができる。例えば、プリント回路基板は、シグナルチャネラ402の上部の、くぼみ部分406で保持される場合がある。
【0186】
主要制御プリント回路基板全体は、少なくともJIS防水保護等級3級(軽い散水)の耐水/液体性を持つ、耐水又は防水のどちらか一方の筐体の中で、液体に対して密閉されるが、5級(強い散水)、7級(一時的な浸水)、及び同等の防水保護のANSI/IEC60529‐2004標準もまた、好適である。いくつかの実施において、主要制御プリント回路基板は、(1)ねじで固定され、ガスケットを施した、主な筐体の外側の覆いによって、(2)主な筐体に対して固定された、溶接した、かしめた、密閉した、又は接着した覆いによって、(3)耐水の、水密の、防水の、又は、密閉されている部分又はモジュールの中で、あらかじめ組み立てられることによって、又は、(4)ポッティングに適した容器、又は、樹脂等の中であらかじめポッティングされた容器の中に置くことによって、JIS3‐7級の筐体の中で密閉される。
【0187】
多くのセンサ要素は、場合によっては部分的なマイクロプロセッサ及び/又はA/Dコンバータ等を含む、局所的な小さな回路基板を持ち、これらの部品は大抵、液体及び腐食に対して影響を受けやすくなっている。いくつかの実施において、ロボット10の本体の間中に分散されているセンサ回路基板は、JIS3級‐7級の筐体の中において同じように密閉される。いくつかの実施において、少なくともその主な回路基板と、その主な基板から数センチメートルの1つの遠隔回路基板(例えば、ユーザインターフェース回路基板)を含む、多重回路基板は、単一の適合する筺体又は覆いによって密閉される場合がある。例えば、回路基板の全て、又は、一部は、局所的なセンサの場所に及ぶ延長部分を持った、単一のプラスチックの構成部分、又は、樹脂の構成部分の中に配置することができる。追加的に、又は、代替的に、区分された覆いを、全ての回路基板の外側に固定することができる。露出した電気的接続部及びセンサ、モータ及び通信回線の端子は、覆い、構成部分、ポッティング、焼きばめ、ガスケット等によって、同様に密閉することができる。このように、実質的に電気システムの全体は、液体から密閉され、及び/又は、洗浄液、及び/又は、廃液から隔離される。ここに、回路基板、プリント回路基板、検出器、センサ等として明示する、すべての電気的又は電子的要素は、そのような密閉の候補である。
【0188】
図21を参照すると、ロボット10の電気的な部品(例えば、プリント回路基板、ファン112)は、ワイヤシール120を使うことによって、実質的に湿気、及び/又は、水から隔離することができる。ワイヤシール120は、電気部品のリード線がワイヤシール120の片側から他方に、その1つ以上の開口部122を通して、通されるような、ワイヤシール120を通して延びる1つ以上の開口部122を定める。リード線がその1つ以上の開口部122を通して延びている状態で、リード線を定位置に保持するために、シーリング材(例えば、ポッティングの材料)を、その1つ以上の開口部122に導入することができる。使用中に、電気的部品はロボット10の実質的に乾燥した部分に取り付けられ、一方で、リード線はワイヤシール120を通して、ロボット10の湿った部分に延びるように、ワイヤシールをロボット10に置くことができる。ワイヤシール120によって与えられる密閉は、湿気、及び/又は、廃液による損傷から電気的部品を保護する場合がある。
【0189】
(全方向受信機)
図22を参照すると、ロボット10は、シグナルチャネラ401の底部に沿って配列された、全方向受信機410を含む。説明のために、図22は廃液吸入導管234及びファン吸入導管114の取り付けられていない、シグナルチャネラ402を示している。全方向センサ410及びその操作の複数の態様について、特にそれがロボットのナビゲーションと方向に関連する場合については、Ozickその他による、AUTONOMOUS COVERAGE ROBOT NAVIGATION SYSTEMと表題の付けられた、米国特許出願番号11/633869に記述され、その開示全体は、その全体を参照することにより、本明細書に含まれるものとする。
【0190】
全方向受信機410は、ロボット10の中心垂直軸20から実質的にずらして(例えば、実質的に前方に)、シグナルチャネラ402に置かれる。全方向受信機410のずらした位置は、コントロールモジュール1000が1つの方向においてより良く反応することを可能にする。いくつかの実施において、そのような感度は、ロボット10が運動中に方向性を見定めることを可能にする。例えば、全方向受信機410が信号を受信した場合、コントロールモジュール1000は、全方向受信機によって受信される信号が弱くなる、及び/又は、消失するまで、ロボット10にその場で回転するように指示することができる。いくつかの実施において、コントロールモジュール1000は、ロボット10が弱まった信号が検出される方向、及び/又は、信号が検出されない方向(例えば、信号源から離れる)に走行するように指示し、そして、もしロボット10が360°回転して、それでもなおビームにはまり込んでいる場合には、ロボット10は180°回転して、解放されるための最後の手段として、前進する。
【0191】
図22に示される通り、全方向受信機410は、シグナルチャネラ402の底部403に実質的に沿って、筐体100に向かって面するように置くことができる。全方向受信機がシグナルチャネラの上の表面から延びる構成(例えば、ロボットの最も高い位置を形成する)と比較して、全方向受信機410をシグナルチャネラ403の底部に沿って置くことは、ロボット10の高さの輪郭全体を低くすることを可能にする。追加的に、又は、代替的に、この構成は、ロボット10が狭い場所を通って、及び/又は、頭上の障害物と衝突する時の損傷から、全方向受信機410を保護することができる。
【0192】
いくつかの実施において、全方向受信機410は、赤外線(IR)の送信を受信するように構成することができる。そのような実施において、ガイド(例えば、光ファイバー)は円錐形の反射器から反射される放射をガイドし、そして、それらを放射受信機に導くことができる。
【0193】
全方向受信機410は、筐体412によって定められる、実質的に空洞414の中に置かれる。カバー416は、空洞414の上に延び、全方向受信機410を囲むための、筐体412とともに実質的に防水の密閉を形成する。いくつかの実施において、カバー416は、例えば、全方向受信機410の交換、及び/又は、修理を可能とするために、筐体に対して解放可能に取り付けられている。筐体412とカバー414との間の実質的な防水の密閉は、様々な異なる密閉のいずれかを含む場合がある。密閉の例には、エポキシ、超音波溶接、ポッティングウェル、溶接した接合部分、栓、ガスケット、高分子膜が含まれる。
【0194】
使用中、能動的な外部装置(例えば、ナビゲーションの無線標識)はシグナルチャネラ402に向かって、信号を送信することができる。シグナルチャネラ402は、信号がシグナルチャネラ402の内部で(例えば、シグナルチャネラを形成する材質の中で)実質的に減衰することなく移動するような、入射信号の全内部反射のために構成されている。いくつかの実施において、シグナルチャネラ402は、実質的に均一の磨いた熱可逆性のポリカーボネート樹脂の層となっている。シグナルチャネラ402を通して移動する信号は、シグナルチャネラ402を通して内部で反射される。全方向受信機410は、シグナルチャネラを通して反射された信号を検出するように配置されている。全方向受信機416は、コントロールモジュール1000と通信(例えば、電気的な通信)している。シグナルチャネラ402を通して移動する信号を検出すると、全方向受信機416は、信号をコントロールモジュール1000に送る。
【0195】
いくつかの実施において、コントロールモジュール1000は、全方向受信機416からの信号に対して、ロボット10を信号源から離すように誘導するために、ホイールモジュール500、501を制御する。例えば、最初の脱出手順として、コントロールモジュール1000は、ロボット10を後方に移動させるために、ホイールモジュール500、501に指示することができる。そのような、後方への移動は、ロボット10が方向性(例えば、ビームから回転して抜け出る)を判定することができるように、ロボット10を更にビームから離れた位置に置くことができる。それに続く脱出手順において、コントローラ1000は、ロボット10を信号から離れる方向に向かわせることができる。
【0196】
いくつかの実施において、ロボット10は、仮想壁パターンを検出するように構成され、ロボットが仮想壁パターンを通過しないように、仮想壁パターンを部屋の壁として処理するようにプログラムされる。
【0197】
いくつかの実施において、ロボット10は、パケット無線ネットワークによって送信されるコマンドを通して、ナビゲーションビームの状態を制御するための無線機を含む。
【0198】
コントロールモジュール1000は、ロボット10が洗浄モードにある間に、ロボット10を第1の領域の周辺に移動させるように構成することができる。洗浄モードにおいて、ロボット10は、出入り口マークの放射(例えば、無線標識からの)の検出に応じて方向を変えることができる。加えて、コントロールモジュール1000は、移動モードの間に、ロボット10を出入り口を通して第二の境界のある領域の中に移動させるように構成することができる。
【0199】
いくつかの実施において、コントロールモジュール1000は、洗浄モードにおいて、ロボット10を第1の境界のある領域内で、あらかじめセットした時間間隔の間移動させるように構成される。あらかじめセットした時間間隔が経過すると、コントロールモジュール1000は、ロボット10を、移動モードにおいて、移動させることができる。移動モードにおいて、コントローラ1000は、湿式洗浄処理を実質的に停止させながらロボットを動かすように、ホイールモジュール500、501を指示することができる。いくつかの実施において、全方向受信機410が出入り口マークの放射にあらかじめセットした回数出くわした時に、移動モードが起動されることがある。
【0200】
(壁追従部)
埃や汚れは、部屋の角に蓄積する傾向がある。清掃の徹底及びナビゲーションを改善するため、ロボット10は壁伝いに走ることができる。追加的に、又は、代替的に、ロボット10は、ナビゲーション戦略の一環として壁伝いに走ることができる(例えば、全体を覆うことを促進する戦略)。そのような戦略を用いることで、ロボットが狭い場所に閉じ込められる傾向を少なくすることができる。そのような閉じ込めは、他の側面として、ロボットがその他の、おそらくより大きな領域を放置することを引き起こす可能性がある。
【0201】
壁追従部を用いることで、ロボットと壁との間の距離は、実質的に壁の反射性に依存しなくなる。そのような一貫した位置決めは、暗色及び淡色の壁の近くで、一様に、実質的に同じ有効性で、ロボット10が清掃することを可能にする。壁追従部は、赤外線エミッタ及び検出器を含む、二重視準システムを含む。そのような視準システムにおいて、視界の円錐が交差する、限定された、選択可能な体積が存在するように、赤外線エミッタ及び検出器の視野は制限される場合がある。幾何学的に、センサは乱反射及び正反射の両方を検出できるように配置することができる。この配置は、ロボット10の壁伝いの距離を、実質的に壁の反射性とは独立に、正確に制御することを可能にする。ロボット10が、ロボットと壁との間で維持する距離は、壁の反射性には依存しない。
【0202】
図4及び図23A‐Bを参照すると、ロボット10は、実質的にバンパー300の右側面に沿って置かれた、壁追従部センサ310を含む。壁追従部センサ310は、フォトン検出器314の実質的に前方の光学的エミッタ312を含む。いくつかの実施において、壁追従部センサ310及び光学的エミッタ312の位置は、壁追従部センサ310が実質的に光学的エミッタ312の前方となるように、逆にすることができる。
【0203】
エミッタ312及び検出器314は、それぞれ、バンパー300によって定められる、又は、バンパー300に取り付け可能な筐体によって定められる場合のある、コリメータチューブ316、318の中に配置される。コリメータチューブ316、318は、エミッタ312の放射領域が、検出器314の視野と、壁追従部センサの前方の離れた場所(例えば、約1cmから約10cm)において交差するように、お互いに接近して、平行に近い向きに配置される。エミッタと検出器とが直接壁に向けられる、より遅く動くロボットにおいて用いられる壁追従部センサと比較して、エミッタ312及び検出器314の平行に近い向きは、エミッタ312と検出器314との間の所定の隔たりに対して、より離れた、また、より深い交差区域をもたらす。いくつかの実施において、エミッタ312の放射領域と検出器314の視野との間に形成される角度は、約10°から30°となっている(例えば、20°)。この範囲内の角度は、壁に対する角度と信号強度との間の単調な関係をもたらす。いくつかの実施において、エミッタ及び検出器それぞれの視準器は、お互いの方へ曲げられている。いくつかの実施において、それぞれの視準器の角度は、ロボットの前進速度が変化するにつれて、変えることができる。
【0204】
光学的エミッタ312及びフォトン検出器314の平行に近い向きは、ロボット10が壁から近距離内で壁伝いに走ることを可能にする。エミッタの視準器と検出器の視準器が実質的にお互いの方へ曲げられている方向付けと比較して、光学的エミッタ312とフォトン検出器314の平行に近い方向付けは、壁からの距離と信号強度との間のより線形な関係をもたらすことができる。
【0205】
図23Bは、壁追従部センサ310の作用の概略図を示している。エミッタ312は、壁319に向かって信号320を放射することができる。壁319は、反射された信号312’が壁から様々な異なる方向に散乱されるように、信号を反射する。反射された信号320’の少なくとも一部は、検出器314の視野に向かって反射されて戻る。反射された信号320’の検出器の視野内での検出は、コントローラ1000への信号を生成する。いくつかの実施において、コントローラ1000は、ロボット10と壁319との間の距離を制御するために信号を用いる。
【0206】
図24を参照すると、コントロールモジュール1000は、壁追従部センサ310によって検出された、実質的に平行な、壁からの固定距離において、ロボットの動きを制御するための信号に応じて、ホイールモジュール500、501を制御するロジックを含む場合がある。壁追従部センサ310は、反射が検出されるまで352、エミッタからの信号を変調350し、検出器からの信号を検出する場合がある。その後、壁はロボットに隣接し、コントロールモジュール1000は、ロボットを壁から離し354、次に、反射(壁)が再度検出されるまで358、ロボットを逆戻りさせる356。連続的にロボットの曲率半径を減らすことによって360、壁に沿っているロボットの経路をより滑らかにすることができる。追加的に、又は、代替的に、コントローラ1000は、ロボットが壁伝いに走行する時に、ロボットの壁からの距離を実質的に一定に維持することを結果として生ずることのできる、検出された信号の、実質的に一定のアナログ値を維持するように、ロボット10を誘導することができる。
【0207】
光学的エミッタから放射された信号を検出することに加えて、又は、そのことに代えて、フォトン検出器314をその他の信号の受信機として用いることができる。例えば、フォトン検出器314は、シリアルデータ伝送を受信する赤外線ポートとして用いることができる。フォトン検出器314を通しての、そのようなデータの伝送は、密閉することが困難で、利用されない場合には水漏れの経路として作用する場合のあるケーブルポートに対する必要性を低下させることができる。いくつかの実施において、コントロールモジュール1000は、フォトン検出器314を、壁伝い走行モードとデータ伝送モードとの間で交換することができる。例えば、ロボット10が動いていないことをコントロールモジュール1000が検出した時(例えば、ホイールモジュール500、501から受信した電圧及び電流信号を通して)、コントロールモジュール1000は、データ伝送符号に関して、フォトン検出器314を監視することができる。データ伝送符号を検出した時、コントロールモジュール1000は、フォトン検出器314を、上述の通り、フォトン検出器を通してデータを伝送可能な、データ伝送モードに切り替えることができる。追加的に、又は、代替的に、データ伝送符号を検出した時に、コントロールモジュール1000は、内部の無線シリアルポート(例えば、BLUETOOTH無線シリアルポート)から、外部の、壁伝い走行シリアルポートに、特定のコマンド又はスイッチボタンを要求すること無しで、切り替えることができる。コントロールモジュール1000は、データ伝送が完了するまで、ロボットが動くことを止めることができる。例えば、コントロールモジュール1000は、壁伝い走行センサ310がシリアルポートとして動作可能にされている間(例えば、ロボットの電源がオンにされているが、清掃はしていない時)、ホイールモジュール500、501を動かすことを拒絶することができる。いくつかの実施において、ロボットが動いていることをコントロールモジュール1000が検出した時、コントロールモジュール1000は、ロボット10が動いている間に、コントローラ1000がソフトウェアの更新を受信しないように、データ伝送符号を無視する。
【0208】
壁追従部について記述された。
【0209】
(衝突センサ)
衝突センサは、ロボットが障害物に物理的に遭遇したかどうか検出するために用いることができる。衝突センサは、ロボットが障害物に遭遇したことを判定するために、電気容量又はロボット内の物理的な変位を利用することができる。
【0210】
図7を参照すると、筐体100は、実質的に筐体100の前方部分に沿った右衝突センサ330及び左衝突センサ332を保持する。衝突センサ330、332は、前後軸22の両側に実質的に均一に置かれ、中心垂直軸20に沿って、実質的に同じ高さに置かれる。上述の通り、バンパー300は、バンパー300が障害物に出くわした場合に、前後軸22に沿って後方に移動できるように、蝶番110によって、筐体100に取り付けられる。衝突がない場合、バンパー300は、各衝突センサ330、332の実質的に前方の間近に蝶番式接着によって筐体100に保持されている。バンパー300が後方に動いた場合(例えば、障害物と出くわすことを通して)、バンパー300は、コントロールモジュール1000によって検出可能な衝突信号を作り出すために、衝突センサ330、332の片方又は両方を押すことができる。
【0211】
検出された衝突信号に応じて、コントロールモジュール1000は、衝突から離れるように誘導することができる。例えば、コントロールモジュール1000は、ロボットを後方に動かすことができる。いくつかの実施において、バンパー300は、その衝突の方向性の判定のために、衝突センサ330、332を用いることができるように、衝突に応じて横に動く場合がある。例えば、バンパー300が右側面において障害物と遭遇した場合、バンパー300は、右衝突センサ330と接触するように、左の方に横に動くことができる。コントロールモジュール1000が、右衝突センサ330からの信号を検出したが、左衝突センサ332からの信号を検出しなかった場合、コントロールモジュール1000は、感知された衝突条件から離れる、左の方に向けてロボットを移動させる、脱出行動を起動することができる。類似した例において、コントロールモジュール1000は、ロボット10の左側面において検出された衝突から離れるように、ロボットを誘導することができる。
【0212】
いくつかの実施において、コントロールモジュール1000は、衝突センサ330、332の片方又は両方が起動された時に、清掃ルーチンを中断することができ(例えば、洗浄表面への液体の塗布を停止する)、また、追加的に、又は、代替的に、脱出ルーチンの完了時点で、清掃ルーチンを再開することができる。いくつかの実施において、衝突センサは、検出された衝撃がしきい値を上回る場合に(例えば、衝撃は、ロボットが表面から落ちたことを示している)、コントロールモジュールが清掃ルーチンを停止できるように、バンパーの遭遇した力学的な衝撃の量を検出することができる。
【0213】
例解及び説明のために、以下において右衝突センサ330が詳述される。左衝突センサ332は、右衝突センサ330と類似した特徴を含み、かつ、他に特に示されなければ、右衝突センサ330と同一である。
【0214】
図25及び26を参照すると、衝突センサ330は、センサ本体340、センサ本体340の表面上に支持されたコーン342、及び、実質的にコーン342を支持する表面と反対の、センサ本体340の表面上に保持された、バンパースイッチプリント回路基板346を含む。センサ本体340は、バンパースイッチプリント回路基板346を実質的に定位置に保持するための、バンパースイッチプリント回路基板346のエッジ領域に延びるように構成された、重複領域347を含む。重複領域347は、バンパースイッチプリント回路基板346を定位置に保持するための少量の接着剤を含む場合がある。バンパースイッチプリント回路基板346は、電気回路を保持し、かつ、コントローラモジュール1000との電気的通信のために構成されている。
【0215】
コーン342は、幅の広い端341及び幅の狭い端343を含み、截頭円錐状の空洞をそれらの間に定める。幅の広い端341は、センサ本体340から離れるように支持されている。使用中、障害物に遭遇すると、バンパー300は幅の広い端341に接触する。導電性の球形348がコーン342の幅の狭い端343に沿って配置される。導電性の球形348は炭素の場合があり、追加的に、又は、代替的に、パックの形に形成される場合がある。
【0216】
センサ本体340は、センサ本体340から延びるドーム型の空洞を形成する、弾力性のある領域344を含む。弾力性のある領域344は、コーン342の幅の狭い端を支持し、コーン342の幅の広い端は、弾力性のある領域344から離れるように延びている。導電性の球形348の少なくとも一部は、バンパースイッチプリント回路基板から少し離れて(例えば、少なくとも約2mm)、弾力性のある領域344によって形成されるドーム型の空洞の中に延びている。
【0217】
弾力のある領域344は、導電性の球形348がバンパースイッチプリント回路基板346に接触し、バンパースイッチプリント回路基板346の上に保持された回路を完成させる機械的なスイッチとして作用するように(例えば、コントローラモジュール1000への信号を作り出す)、コーン342の幅の広い端341に及ぼされた圧力に応じて、センサ本体340に向かって曲がるように構成されている。いくつかの実施において、コーン342、及び/又は、弾力性のある領域344は、バンパー300との接触によって作り出される力学的な衝撃のいくらかを吸収し、従って、導電性の球形348からバンパースイッチプリント回路基板346に伝わる力を減らすことができる。コーン342のそのような変形は、障害物と出くわした力学的衝撃が、バンパースイッチプリント回路基板346に損傷(例えば、破損)を与える可能性を低くすることができる。
【0218】
コーン342の幅の広い端から圧力が取り除かれると、弾力性のある領域344は、コーン342を、バンパースイッチプリント回路基板346から離れた、実質的にその初期位置に戻す。導電性の球形348がバンパースイッチプリント回路基板346から離れて配置される状態においては、バンパースイッチプリント回路基板346に保持された回路は不完全であり、コントロールモジュール1000には信号は送られない。
【0219】
いくつかの実施において、基部340及びコーン342は、シリコーンから一体的に形成される。いくつかの実施において、シリコーンは、コーン342の幅の狭い端348の上の実質的に定位置において、導電性の球形348を保持するために、導電性の球形348の上に流し込まれる。
【0220】
(クリフセンサ)
クリフセンサは、ロボットの一部(例えば、前方部分)が境界(例えば、崖)に遭遇したかどうかを検出するために用いることができる。クリフセンサは、オプションの、崖の存在を検出するためのエミッタと検出器の対を用いることができる。崖検出器からの信号の応じて、ロボットは、様々な異なる崖回避行動のいずれかを起動することができる。
【0221】
図27を参照すると、バンパー300は、それぞれバンパー300の下部に沿って配置された、左クリフセンサ360、中央クリフセンサ362、及び右クリフセンサ364を含む。クリフセンサ360、362、364は、お互いに実質的に均一に間隔をあけられ、かつ、各センサ360、362、364は表面に向けて、下方に向けられている。クリフセンサ362は、実質的に補給ドア304の下方の、バンパー300の中央付近に配置されている。
【0222】
図28を参照すると、左及び右クリフセンサ360、364は、それぞれバンパー300の右及び左端付近に配置され、かつ、それぞれ、車輪504及び505の実質的に前方に置かれ、かつ、実質的に1列に並べられている。そのような右及び左クリフセンサ360、364の配置は、ロボット10に対して、崖事象を検出し、検出された崖事象に対してうまく応じる(例えば、1つ以上の車輪が崖を越える前に停止させるために、前方への推進力に打ち勝つこと)ための十分な時間を許容する一方で、高速の前進速度(例えば、約200mm/sから400mm/s)でロボット10が移動することを可能にする。例えば、クリフセンサ360における崖事象を検出した時に、車輪504は、表面との接触を維持することが可能で、かつ、脱出手順において、牽引力及び後方への推進力を提供することができる。ロボットの重さが、洗浄液を満載して2kg未満で、かつ、最大前進速度約200mm/sから約400mm/s(例えば、約300mm/s)で移動するような実施において、クリフセンサ360、364は、実質的に、それぞれの車輪504、505の後方約50mmから約100mmの間に置かれる。
【0223】
図29を参照すると、クリフセンサ360、362、364は、それぞれ実質的にお互いの方に向けられている、エミッタコリメータチューブ368及び検出器コリメータチューブ370を定める、筺体366をそれぞれ含んでいる。光学的エミッタ372は、実質的に、エミッタコリメータチューブ368内に配置され、そして、フォトン検出器374は、実質的に、検出器コリメータチューブ370内に配置される。光学的エミッタ372は、表面378に向かう信号376を作り出す。表面378から反射した信号376’は、検出器コリメータチューブ370に向かって戻り、そして、フォトン検出器374によって検出される。
【0224】
図30を参照すると、各クリフセンサ360、362、364は、数キロヘルツの周波数でエミッタを変調し、その周波数に合わせられた検出器からの信号はどれでも検出する380。検出器から信号が出力されない時、382、予期されている表面は存在せず、そして、張り出しは検出されない。それに応じて、ロボットに崖を回避させるための、回避アルゴリズムが起動される384。反射された信号が検出された時、処理が継続される380。
【0225】
いくつかの実施において、クリフセンサ360、362、364は、ロボット10の静止状態を検出するために用いることができる。ロボットの湿潤要素204は、受動的な要素なので、従って、クリフセンサ360、362、364の信号処理に対しては、実質的に干渉しない。従って、例えば、ロボット10が表面に沿って移動する時に、コントローラ1000は、揺動動作において、ロボット10を前後に動かすことができる。ロボット10の他の部品からの干渉は実質的になしで、各クリフセンサ360、362、364は反射された信号376’の中の小さな変動を検出することができ、その変動は、ロボットが表面を横切って動く時の表面の変化に対応している(例えば、直線動作中、旋回運動中、揺動動作中)。反射された信号376’の変動がないことは、ロボット10が動けない状態にあることの表示である。
【0226】
(静止状態センサ)
静止状態センサは、ロボットが実際に動いているか、いないかを検出するために用いることができる。例えば、静止状態センサは、障害物の上でロボットが傾けられたり、又は、立ち往生する時のように、ロボットが障害物に対して引っかかっているかどうか、又は、駆動車輪が床からはなれているかどうかを検出するために用いることができる。湿式洗浄の適用において、静止状態センサは、表面に塗布された洗浄液の上で車輪が滑っているかどうかを検出することができる。そのような状況において、移動ロボットが駆動車輪に力を加えると、ロボットは動かないが、駆動車輪は空転することがある。
【0227】
図3、31を参照すると、静止状態センサ540は、右ホイールモジュール500の内側にて、筺体100に保持されている。静止状態センサ540は、横軸500に実質的に整列させられていて、そして、表面と荷重を担わずに接触している。図31は、ホイールモジュール500が取り外された状態での、筺体100に保持される静止状態センサを示している。静止状態センサ540は、ロボットが動くにつれて、横軸23の周りを回転する。
【0228】
図32を参照すると、静止状態センサ540は、中央の穴543を定め、そして、中央の穴543からずれた、磁石収納部548を定める静止状態ホイール542を含む。ハブ544は、実質的に中央の穴543に整列させられ、静止状態ホイール542を回転可能に車輪の筺体に固定するように構成されていて、そして、ロボットの移動中、静止状態ホイール542が、表面又は床との摩擦接触に応じて、自由に回転することを可能にする。磁石546は、磁石収納部548の中に配置(例えば、圧入)される。
【0229】
使用中、静止状態センサ540は回転し、磁石546はロボットのリードスイッチを起動する。リードスイッチの起動は、例えば、コントローラ1000によって検出可能な信号を作り出す。この構成において、静止状態センサ540は、静止状態ホイール1回転あたり、1信号パルスを作り出す。静止状態センサ540によって作り出された信号は、静止状態の検出、及び/又は、走行距離計測法のために用いることができる。いくつかの実施において、各駆動車輪は、静止状態センサを含む。そのような構成において、コントローラ1000は、各センサからの出力の相違に基づいて、ロボットの動きを判定することができる。例えば、コントローラ1000は、ロボットが曲がっているかどうか、及び、どの方向にロボットが曲がっているかについて判定することができる。
【0230】
静止状態センサはリードスイッチを起動する磁石を含んでいるとして記述されたが、その他の実施も可能である。いくつかの実施において、静止状態センサは、光学的エミッタ及びフォト検出器の対が、実質的に静止状態センサを横切って置かれる、ブレークビーム配列を含む場合がある。センサが回転する時、エミッタ/検出器の対は、回転する静止状態ホイールによるビームの途切れを検出することができる。
【0231】
いくつかの実施において、静止状態ホイールは、交互に並ぶ、明部と暗部を含む場合がある。二色のホイールが回転する時に、明部から暗部への遷移(及びその逆)を検出するため、光学センサが静止状態ホイール付近に置かれる場合がある。二色のホイールの明部と暗部の検出の間の対比を測定することによって、光学センサは、二色のホイールが、例えば、動作、速度、又は静止状態の検出に役立てるには汚れすぎている、又は、不明瞭になっていることを示す、コントローラへの信号を出力することができる。それに応じて、コントローラは、別の静止状態検出システムに移行する。
【0232】
いくつかの実施において、静止状態センサは、ロボットを推進するために1つ以上の駆動車輪を回転させる駆動モータによって受け取られる電流(以下「駆動電流」)を測定する、駆動モータ電流センサを含む。駆動モータ電流センサ及び駆動モータは、どちらも駆動ホイールモジュールによって保持される場合がある。駆動電流がしきい値よりも高い場合、静止状態センサは、ロボットが静止状態にあると判定する。駆動電流がしきい値よりも低い場合、静止状態センサは、車輪に加えられる負荷が低すぎると判定する(例えば、車輪が滑っている)。
【0233】
図33を参照すると、いくつかの実施において、静止状態は、揺動センサ550を用いて検出することができる。揺動センサ550は、お互いに向き合っていて、かつ、筺体552の中に実質的にV字形の空洞555を定める二つの面556、554を持つ、筺体552を含む。筺体552は、V字形の空洞の両側に配置された、光学的エミッタ558及びフォト検出器560を含む。光学的エミッタ558は、信号をフォト検出器560に送信し、フォト検出器560は信号を感知するように構成されている。コントローラ1000が揺動動作においてロボット10を動かす時、揺動動作に応じて、球(示されない)はV字形の空洞を上下に動く。V字形の空洞内の球の動きは、光学エミッタ558とフォト検出器560との間を通過する信号の中断として検出される。そのような中断は、ロボット10が、揺動動作に応じて動いていることの証拠である。光学エミッタ558とフォト検出器560との間を通過する信号が揺動動作中に途切れない場合、コントローラ1000は、その途切れない信号を静止状態として解釈する。
【0234】
コントローラ1000は、第一静止状態検出システムから第二静止状態検出システムへの移行のために、アルゴリズムを用いることができる。移行は、単一である場合(完全に及び直ちに切り替わる)があり、又は、程度及び/又は時間について段階的(例えば、第一静止状態検出システム、及び/又は、第二静止状態検出システムに、信頼係数を適用することにより)である場合もある。コントローラ1000は、第一及び第二の静止状態検出システムに従う積分方程式に従って、評価された入力を積分することにより、両方の静止状態検出システムからの入力を同時に評価することができる。
【0235】
(電源モジュール/インターフェースモジュール)
電源モジュール1200は、全ての主要なロボットサブシステムに対して電力を供給することができる。電源モジュール1200は、例えば、ニッケル水素電池等といった充電式電池のような、筺体100に取り外し可能に取り付けられた自己完結した電源を含む。加えて、電源は、様々な異なる再充電要素、及び/又は、再充電方法のいずれかによって再充電されるように構成されている。いくつかの実施において、電池が放電されたか、又は、使用できなくなった時に、電池は利用者によって交換できるようになっている。コントローラ1000は、また、電力の配分を制御するため、消費電力を測定するため、及び、必要に応じて電力節約モードを起動するために、電源モジュール1200と連動できるようになっている。
【0236】
ロボット10は、1つ以上のインターフェースモジュール1700を含む場合がある。各インターフェースモジュール1700は、筺体100に取り付けられ、そして、1つ以上の外部デバイスとの相互接続のための相互接続要素又はポートを備える場合がある。相互接続要素は、ロボット10の外部表面上で利用可能なポートとなっている。コントローラ1000は、また、ロボット10の外部デバイスとの相互作用を制御するために、インターフェースモジュール1700と連動することができる。とくに、従来型の交流又は直流の電源出力のような、外部の電力供給装置又は電源を通して充電式電池を充電するために、1つのインターフェースモジュール要素を提供することができる。再充電式電池を充電するためのインターフェースモジュールは、ロボット10の充電ポートに水がある場合に再充電式電池の充電を防止するための、短絡閉回路を含むことがある。いくつかの実施において、再充電式電池は、電池の充電経路に水がある場合に回路を切断するヒューズを含む。
【0237】
別のインターフェースモジュール要素を無線ネットワーク上の片方向又は双方向の通信のための構成することができ、そして、さらなるインターフェースモジュール要素を、例えば、洗浄液の容器を満たすための、液体の交換及びそれとともに微粒子を放つための1つ以上の機械的なデバイスと連動するように構成することができる。
【0238】
ロボット10と連動する能動的外部デバイスは、据置型ドッキングステーション、携帯用制御デバイス、ローカル又は遠隔コンピュータ、モデム、ロボット10とコード、及び/又は、日付をやりとりする携帯用メモリ、ロボット10とネットワークに接続されたいずれかのデバイスとをつなぎ合わせるネットワークインターフェースを含む場合があり、また、これに限定されない。加えて、インターフェースモジュール1700は、収納のためロボット100を壁に固定するため、又は、ロボットをキャリングケース等に固定するための、留め金又は外れ止め機構といった受動要素を含む場合がある。
【0239】
いくつかの実施において、能動的デバイスは、仮想的壁パターン内に信号を送信することによって、ロボット10を部屋といった清掃場所に限定することができる。ロボット10は、仮想的壁パターン(例えば、上述の通り、全方向受信機を使って)を検出するように構成することができ、また、仮想的壁パターンを通過しないように、仮想的壁パターンを部屋の壁として処理するようにプログラムされる。そのような構成は、Jonesその他による、Method and System for Robot Localization and Confinementと表題の付けられた、米国特許番号6,690,134に記述されていて、その開示全体は、全体として本明細書に組み込まれる。
【0240】
いくつかの実施において、能動的外部デバイスは、ロボット10と連動する基地局を含む。基地局は、例えば交流電源の壁コンセントといった家庭の電源と接続される固定部、及び/又は、給水管、排水管及びネットワークインターフェースといったその他の家庭の設備を含む場合がある。ロボット10及び基地局は、自律型ドッキングのために構成することができ、基地局は、さらに、ロボットの電源モジュール1200を充電し、その他の方法でロボットを使えるようにするように構成することができる。自律型ドッキング及びロボットの電源モジュールの再充電のために構成された基地局及び自立型ロボットについては、Cohenその他による、2004年1月21日に出願された、Autonomous Robot Auto−Docking and Energy Management Systems and Methodsと表題の付けられた、米国特許出願番号10/762,219に記述されていて、その全開示は、参照することにより、その全体として本明細書に含まれるものとする。
【0241】
本明細書において記述されたロボットの詳細及び特徴と結合できる、その他のロボットの詳細及び特徴については、これとともに同時に出願された、COMPACT AUTONOMOUS COVERAGE ROBOTと表題が付けられ、出願番号_______,の割り当てられた米国特許出願において見出すことができ、当該出願の全内容は、参照することにより、本明細書に含まれるものとする。
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律的に清掃作業を行うように構成されたロボットといった、表面清掃ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
本米国特許出願は、35U.S.C.セクション119(e)に基づく、2007年5月17日に出願された米国仮出願60/938,699及び2007年5月9日に出願された米国仮出願60/917,065に対する優先権を主張する。これらの先行する出願の開示は、本出願の開示の一部分とみなされ、参照することによりそれら全体が本明細書に含まれるものとする。
【0003】
米国の特許出願公開2008/00652565、2007/0244610、及び2007/0016328、2006/0200281、及び2003/0192144、並びに、米国特許6,748,297及び6,883,201の内容は、参照することによりそれら全体が本明細書に含まれるものとする。
【0004】
家庭における表面の湿式洗浄は、ぬれたモップ又はスポンジを使って、長い間、手作業で行なわれてきている。モップ又はスポンジは、そのモップ又はスポンジがある量の洗浄液を吸収できるように、洗浄液で満たされた容器にちょっと浸される。その後、モップ又はスポンジは、表面に洗浄液を塗るために、表面上で動かされる。洗浄液は、表面上の汚染物質と相互作用し、汚染物質を洗浄液の中に溶解するか、或いは、乳状にすることができる。そのために、洗浄液は、洗浄液と洗浄液中に浮遊状態で保持された汚染物質を含んだ廃液に変わる。その後、スポンジ又はモップは、表面から廃液を吸収するために利用される。真水は、家庭における表面に塗られる洗浄液として使用するのにいくらか効果的ではあるが、ほとんどの洗浄は、真水及び、汚染物質と相互作用して、汚染物質を水の中で乳状にする石鹸または洗剤の混合物である洗浄液を用いて行われる。さらに、洗浄処理の効果を向上させるため、溶媒、香料、消毒剤、研磨剤粒子、及びその他の化学物質と混合された水及び洗剤を用いて、家庭における表面を掃除することが知られている。
【0005】
スポンジ又はモップはまた、床の表面、及び、特に、家庭における表面から汚染物質を除去するのが特に困難な場所をこすり洗いする洗浄要素として利用することができる。こすり洗いを実行することは、汚染物質と混ぜるために洗浄液を攪拌すること、及び、床の表面から汚染物質を開放するための摩擦力を加えることになる。攪拌は、洗浄液の溶解及び乳化作用を強化し、摩擦力は、表面と汚染物質の間の結合を破ることを促進する。
【0006】
床の表面の領域を洗浄した後、モップ又はスポンジから廃液をすすがなければならない。このことは、特に、モップ又はスポンジを洗浄液で満たされた容器に戻して浸すことで行なわれる。このすすぎの手順は、洗浄液を廃液で汚染し、モップ又はスポンジがすすがれる毎に、洗浄液はさらに汚染される。結果として、より多くの床の表面が洗浄されるにつれて、洗浄液の効果は劣化する。
【0007】
いくつかの手動の床洗浄装置は、洗浄液供給用の容器が支持された取っ手と、その取っ手の片方の先端の洗浄用のスポンジを持つ。これらの装置は、取っ手に支持された、液体を床に噴霧するための洗浄液を分配するノズルを含む。これらはまた、洗浄用のスポンジから廃液の容器へ廃液を絞り出すための機械装置を含む。
【0008】
床を洗浄するための手動の方法は、大きな労働力を要し、また、時間のかかるものであり得る。従って、病院、大きな小売店、カフェテリア等の大きな建造物の多くにおいて、毎日又は毎夜、床に対して湿式の清掃がなされる。湿式の床清掃を行うことのできる、産業用床清掃ロボットが開発されている。広大な産業用の場所において要求される湿式の清掃方法を実行するため、これらのロボットは、一般的に大きく、高価で、複雑なものとなっている。これらのロボットは、湿式の清掃装置が清掃進路に沿って自律的に移動するための原動力を与える、駆動装置を持つ。しかしながら、これらの産業用のサイズの湿式清掃用装置は、数百ポンドと、重くされるので、これらの装置は通常、運転者に伴われる。例えば、運転者は装置を停止することができ、従って、センサの不具合又は予期せぬ制御変数があった場合に発生し得る、重大な損傷を避けることができる。その他の例として、運転者は、囲まれた領域又は障害物の間を物理的に脱出する、又は、誘導するために、湿式清掃装置の移動を補助することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここに開示されるのは、多くの家庭において見出すことのできるような、狭い寸法の場所を清掃することを容易にする形状要素を持つ、床や調理台といった表面を処理するための自律型ロボットである。一つの例において、ロボットは、清掃処理を通して、実質的に一定に維持される重量配分を含む場合があり、重量は、洗浄要素、スクイージ、及び駆動車輪の間で配分されている。重量配分は、駆動車輪において加えられる十分な推進力を許容する一方で、湿潤要素及びスクイージに対して十分な圧力を与えることができる。長所として、ロボットは、表面の湿式洗浄のために構成された重量配分を持つ一方で、狭い寸法の場所を進むために必要とされる小さな体積を持つことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの態様において、表面処理ロボットは、前方及び後方の端を持つ筺体と、前記筺体に保持された駆動システムを含む。前記駆動システムは、前記ロボットを清掃表面上で動かすように構成されていて、かつ、差動駆動される右及び左の車輪を含む。前記ロボットは、前記筺体により保持された真空部を含む。前記真空部は、清掃表面と接触する収集部及び前記収集部と液体をやりとりできるようにされた吸引部を含む。前記吸引部は、前記収集部を通して、前記清掃表面から廃液を収集するように構成されている。前記ロボットは、前記筺体に保持され、かつ、前記真空部によって除去された廃液を収集する真空部と液体をやりとりできるようにされている収集容器を含む。前記ロボットは、前記筺体によって保持され、かつ、洗浄液を収容するために構成された供給容器を含む。塗布器は、前記筺体により保持され、かつ、前記供給容器と液体をやりとりできるようにされている。前記塗布器は、洗浄液を実質的に前記筺体の前記前方の端の近くで、前記洗浄表面に施すために構成されている。前記ロボットは、前記筺体によって保持され、かつ、前記ロボットが前方に駆動される時、前記清掃表面の少なくとも一部に沿って前記洗浄液を散布するために前記清掃表面と接触する、湿潤要素を含む。前記湿潤要素は、前記右及び左駆動車輪によって定められる横軸の実質的前方に配置され、かつ、前記湿潤要素は、前記清掃表面上で前記ロボットの重量の少なくとも約10パーセントをスライド可能に支持している。
【0011】
本開示のこの態様の実施は、以下の1つ以上の特徴を含む場合がある。いくつかの実施において、前記真空部の前記収集部は、前記右及び左駆動車輪で定められる前記横軸の実質的に後方に配置され、かつ、前記真空部は、前記清掃表面上において、前記ロボットの少なくとも約20パーセントの重量をスライド可能に支持している。いくつかの実施において、前記ロボットが前方に最大速度で走行している時に、前記真空部の前記収集部の前方部分は、前記清掃表面上のある位置を、前記塗布器の前方部分が前記清掃表面上の前記位置を通過してから約0.25秒から約0.6秒後に通過するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施において、前記ロボットは、前記駆動システムと通信し、前記ロボットを誘導するように構成されたナビゲーションシステムを含む。前記真空部は、前記清掃表面上に施された前記洗浄液の一部を収集するように構成され、かつ、前記ナビゲーションシステムは、前記表面上に残っている前記洗浄液を収集するために戻るようにロボットを誘導するように構成されている。いくつかの実施において、前記ナビゲーションシステムは、前記ロボットが前記表面上に残っている前記洗浄液を戻って収集するように、疑似ランダム経路に沿って誘導するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施において、前記真空部の前記収集部は、スクイージ及び真空室を含む。前記スクイージは、前記筺体に取り付けられ、かつ、前記清掃表面に近接して配置された長手方向の隆起部とともに形成され、かつ、前記隆起部の前方エッジにおいて、溶液収集体積を提供するために、洗浄幅全域に延びている。前記真空室は、前記スクイージによって部分的に形成され、かつ、前記真空室は、前記長手方向の隆起部に近接して配置され、前記洗浄幅全域に延びている。前記真空室は、実質的に前記長手方向の隆起部の上において、前記スクイージによって定められる複数の吸入口によって、前記溶液収集体積と液体をやりとりできるようにされている。
【0014】
いくつかの実施において、前記駆動システムは、前記ロボットを3L未満の体積内において動かすように構成されている。いくつかの実施において、供給容器は、約600mL以上の洗浄液を入れることができるように構成されている。
【0015】
いくつかの実施において、前記駆動システムは、最大前進速度約200mm/sから約400mm/sの間において、前記ロボットを推進する約100グラム重から約700グラム重の間の力を、各車輪に対して与えるように構成されている。いくつかの実施において、前記ロボットの重心は、前記右及び左の差動駆動される車輪によって定められる横軸に実質的に沿っている。
【0016】
いくつかの実施において、前記ロボットは、前記筺体によって保持され、かつ、前記筺体の横から延びた延長要素を含む。前記延長要素は、前記筺体に向かってごみを導くように構成されている。いくつかの実施において、前記延長要素は、障害物と接触した時に、前記延長要素が曲がることを可能とし、かつ、前記障害物から解放された時に、実質的にもとの位置に戻ることを可能とするように構成された弾力性のあるもどり止めを含む。いくつかの実施において、前記延長要素は、前記真空部と液体をやりとりできるようにされ、かつ、ごみを前記真空部に向けて吸引するように構成されている。
【0017】
別の態様において、表面処理ロボットは、前方及び後方の端を持つ筺体、及び、前記筺体によって保持され、かつ、前記ロボットを清掃表面上で動かすように構成された駆動システムを含む。前記駆動システムは、右及び左の差動駆動される車輪を含む。前記ロボットは、前記筺体によって保持され、かつ、収集部及び吸引部を含む、真空部を含む。前記収集部は、前記清掃表面と接触し、かつ、前記吸引部は前記収集部と液体をやりとりできるようにされている。前記吸引部は、前記収集部を通して前記清掃面上から廃液を吸引するように構成されている。前記ロボットは、前記筺体に保持され、かつ、前記真空部によって除去された廃液を収集するために前記真空部と液体をやりとりできるようにされた収集容器を含む。前記ロボットは、前記筺体に保持され、かつ、洗浄液を収容するように構成された供給容器を含む。塗布器は、前記筺体に保持され、かつ、前記供給容器と液体をやりとりできるようにされている。前記塗布器は、前記筺体の実質的に前記前方の端の近くで前記洗浄表面上に洗浄液を施すように構成されている。前記供給容器及び前記収集容器は、前記ロボットの全体積の少なくとも約25パーセントは、洗浄液が前記塗布器から施され、及び、廃液が前記真空部によって収集されるにつれて、前記供給容器内の洗浄液から前記収集容器内の廃液に移る一方で、前記右及び左の差動駆動される車輪によって定められる横軸に沿った、実質的に一定の重心を維持するように構成されている。
【0018】
いくつかの実施において、前記供給容器の少なくとも一部は、実質的に前記収集容器内に配置された内袋を含む。前記内袋は、前記ロボットの全体積の少なくとも約25パーセントの洗浄液の体積を収納するために拡張でき、かつ、前記内袋は、前記収集容器が前記ロボットの全体積の少なくとも約25パーセントの廃液の体積を収納することを可能とするために畳むことができる。
【0019】
いくつかの実施において、前記湿潤要素は、実質的に弓形の形状を持ち、かつ、前記清掃表面と接触するように、前記湿潤要素から延びた複数の毛を含む。前記複数の毛は、前記ロボットが駆動されるにつれて、前記湿潤要素が障害物と接触する時に生成される力を分散させるために、実質的にお互いに独立して変形するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施において、前記真空部の前記収集部は、前記湿潤要素の横方向の寸法と実質的に同じ横方向の寸法を持ち、かつ、前記右及び左の差動駆動される車輪は、前記湿潤要素の前記横方向の寸法以下の横方向の寸法を定める。
【0021】
いくつかの実施において、前記真空部の前記吸入部は、ファン、及び、前記ファンと液体をやりとりできるようにされ、かつ、前記真空室と液体をやりとりできるようにされている吸入導管を含む。前記ファンは、前記収集部から前記真空室に廃液を引き込むために、前記吸入導管を通して前記真空室内の負の空気圧を作り出すために前記真空室から空気を引き込むように構成されている。前記吸入導管の少なくとも一部は、前記ファンへの廃液の実質的な流れを妨げるために、前記真空室への前記廃液の流れの方向に対して約90°に配置されている。
【0022】
いくつかの実施において、前記供給容器は第一のポートを定め、かつ、前記収集容器は第二のポートを定める。前記第一のポートは、廃液が前記収集容器から出される間に、前記供給容器に洗浄液が加えられた時に、前記ロボットが実質的に同じ向きに維持されるように、実質的に前記第二のポートの反対側に配置される。いくつかの実施において、前記ロボットは、前記筺体によって保持され、かつ、前記筺体の前記前方の端に実質的に沿って配置されたバンパーを含む。前記バンパーは、前記供給容器の前記第一のポートの利用を提供する開口部を定める。
【0023】
別の態様において、自律カバレッジロボットは、前方及び後方の端、周囲、及び上部を持つ本体を含む。前記ロボットは、前記本体に保持され、かつ、前記ロボットを清掃表面上で動かすように構成された、駆動システムを含み、前記駆動システムは、右及び左の差動駆動される車輪を含む。前記ロボットは、実質的に前記上部の下、かつ、前記右及び左の差動駆動される車輪によって定められる前記横軸の実質的前方にて、前記本体によって保持される光学的受信機を含む。前記ロボットは、前記光学的受信機と光学的に通信する、シグナルチャネラを含む。前記シグナルチャネラは、前記本体の前記上部の周りに沿って配置されていて、かつ、実質的に前記本体の前記周囲全体の周りに延びている。前記シグナルチャネラは、前記本体の前記周囲の実質的にどの方向の遠隔送信機からの光学的信号でも受信するように構成されている。前記シグナルチャネラは、前記光学的信号を前記受信機に向けて導くために内部反射し、かつ、前記駆動システムは、前記受信機によって受信された前記光学的信号に応じて、方向設定を変更するように構成されている。
【0024】
いくつかの実施において、前記ロボットは、前記本体により保持され、前記ロボットによって前記表面から除去された廃液を収集するための収集容器を含む。前記シグナルチャネラは、前記収集容器の少なくとも上面の一部を形成する。
【0025】
いくつかの実施において、前記シグナルチャネラの少なくとも一部は、前記シグナルチャネラ内における全内部反射を可能とするために、約1.4以上の屈折率を持つ材質で形成されている。いくつかの実施において、前記シグナルチャネラは、第一の表面に沿って配置された第一の鏡、及び、前記第一の表面の反対側の第二の表面に沿って配置された第二の鏡とを含む。前記第一の鏡及び前記第二の鏡は、前記シグナルチャネラ内の光を、内部反射するように構成されている。
【0026】
別の態様において、自律型ロボットは、筺体、及び、前記筺体と結合したバイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムを含む。前記バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムは、一番上の位置及び一番下の位置を持つ。前記ロボットは、前記筺体に保持され、かつ、前記清掃表面から廃液を吸引するように構成された真空部を含む。収集容器は、前記筺体に保持され、かつ、前記真空部により吸引された廃液を収集するために前記真空部と液体をやりとりできるようにされている。前記ロボットは、前記真空部及び前記収集容器との間の液体のやりとりの少なくとも一部を妨げるために、開いた位置から閉じた位置に移動可能なシールを含む。前記シールは、前記サスペンションシステムと結合し、かつ、前記バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムが前記一番上から前記一番下の位置に動く時、前記開いた位置から前記閉じた位置に動くように構成されている。
【0027】
いくつかの実施において、前記真空部は、ファンを含み、かつ、前記シールは、前記ファンと前記収集容器との間の前記液体のやりとりの少なくとも一部を妨げるように構成されている。
【0028】
別の態様において、ロボットの静止状態検出システムは、表面上を動くように構成されている本体、及び、前記ロボットに保持される静止状態センサを含む。前記静止状態センサは、向きを付けられたビームを放射するように構成された光学的エミッタ、及び、前記向きを付けられたビームを検出するように作動するフォトン検出器とを含む。前記静止状態センサは、前記光学的エミッタと前記フォトン検出器との間の光学的通信を実質的に妨げるために、前記向きを付けられたビームと前記フォトン検出器との間に位置する物体を含む。前記物体は、前記光学的エミッタと前記フォトン検出器との間の光学的通信を実質的に可能とするように、前記本体の運動シーケンスに応じて移動可能とされている。前記ロボットの静止状態検出システムは、前記静止状態センサと電気的に通信し、かつ、少なくともある程度、前記光学的エミッタと前記フォトン検出器との間の光学的通信のレベルに基づき静止状態を判定するように構成されたコントローラを含む。
【0029】
いくつかの実施において、前記コントローラは、前記本体の前記運動シーケンスを引き起こすように、前記ロボットを動かすように構成されている。いくつかの実施において、前記ロボットの静止状態検出システムは、前記ロボットに保持された二つの駆動される車輪を含み、かつ、前記コントローラは、前記本体の前記運動シーケンスを引き起こすために、前記二つの車輪を差動駆動するように構成されている。いくつかの実施において、前記ロボットの静止状態検出システムは、前記本体に保持され、かつ、前記表面と接触する湿潤要素を含む。前記湿潤要素は、前記本体の前記運動シーケンスの間に洗浄液を前記表面に塗るように構成されている。
【0030】
別の態様において、自律型ロボットの静止状態を検出する方法は、前記ロボットに保持された光学的エミッタから、向きを付けられたビームを放射することを含む。前記方法は、前記ロボットの運動シーケンスを与えるために、前記ロボットの駆動システムを制御することを含む。前記ロボットに保持される物体が前記ロボットの前記運動シーケンスに応じて動く時に、前記方法は、前記向きを付けられたビームを前記ロボットに保持される光学的エミッタにおいて検出することを含む。前記ロボットの静止状態は、前記光学的エミッタと前記フォトン検出器との間の光学的通信のレベルに少なくともある程度基づき、判定される。
【0031】
いくつかの実施において、前記ロボットの前記駆動システムを制御することは、前記ロボットの前記運動シーケンスを与えるために、前記ロボットに保持される二つの車輪を差動駆動することを含む。いくつかの実施において、前記ロボットは、表面と接触する洗浄要素を保持し、かつ、前記ロボットの前記運動シーケンスは前記ロボットの清掃ルーチンの一部となっている。いくつかの実施において、前記ロボットは、中心垂直軸を定め、かつ、前記ロボットの運動シーケンスを与えるために、前記ロボットの駆動システムを制御することは、前記中心垂直軸の周囲に前記ロボットを回転させるための、駆動指令のシーケンスを含む。
【0032】
別の態様において、自律型ロボットの静止状態検出方法は、ロボットを表面の上で動かすこと、及び、前記ロボットに保持された光学的エミッタから、向きを付けられたビームを前記光学的エミッタから放射することを含む。前記ロボットに保持された光学的検出器において、前記方法は、前記表面からの前記向きを付けられたビームの反射を検出することを含む。前記方法は、前記フォトン検出器によって検出された前記反射の強度の変動に、少なくともある程度基づいて、前記ロボットの静止状態を判定することを含む。
【0033】
いくつかの実施において、前記ロボットを前記表面の上で動かすことは、前記表面上で、前記ロボットに保持された受動的洗浄要素を動かすために二つの車輪を差動駆動することを含む。いくつかの実施において、前記向きを付けられたビームを前記表面に向けて放射することは、前記受動的洗浄要素の前方の前記表面に向けて、前記向きを付けられたビームを放射することを含む。いくつかの実施において、前記方法は、前記ロボットの前記判定された静止状態を、前記ロボットに保持された第二センサによって判定された第二の静止状態と比較することを含む。いくつかの実施において、表面の上で前記ロボットを動かすことは、前記ロボットを、約200m/sと約400m/sの間の前進速度で、前記表面上を移動させることを含む。いくつかの実施において、前記方法は、前記フォトン検出器によって検出された前記信号の前記強度に基づいて、前記ロボットの前方の崖の存在を判定することを含む。
【0034】
別の態様において、ロボットの壁検出システムは、表面上を動くように構成された本体、及び、壁の存在を検出するために、前記本体に保持されたセンサを含む。前記センサは、実質的に前記本体の前方の方向の壁に向けて、定められた放射領域を持つ、向きを付けられたビームを放射するエミッタを含む。前記センサは、実質的に本体の前方の方向の前記壁に向けて延びる、定められた視野を持つ検出器を含む。前記定められた視野は、前記定められた放射領域とほぼ平行で、かつ、前記センサの実質的に前方の有限領域において前記定められた放射と交差する。前記検出器と通信する回路は、前記本体と前記壁との間の距離を制御する。
【0035】
いくつかの実施において、前記本体は、前記検出器を、前方に、約200mm/sから約400mm/sで動かすように構成されている。いくつかの実施において、前記コントローラは、前記本体を前記壁から実質的に一定の距離において動かすために、前記検出器の一定のアナログ値を維持するように構成されている。いくつかの実施において、前記壁からの距離と前記検出器によって検出された前記信号の強度との間の実質的に線形の関係を与えるために、前記定められた放射領域は、前記定められた視野に対して配置されている。いくつかの実施において、前記定められた放射領域と前記定められた視野との間の挟角は約10°から約30°とされている。
【0036】
その他の態様、特徴、及び長所は、記述及び図面、及び請求項から明瞭になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、自律清掃ロボットのサブシステム間の相互関係を示すブロック図である。
【図2】図2は、自律清掃ロボットの透視図である。
【図3】図3は、図1の自律清掃ロボットの底面図である。
【図4】図4は、図1の自律清掃ロボットの側面図である。
【図5】図5は、図1の自律清掃ロボットの正面図である。
【図6】図6は、図1の自律清掃ロボットの背面図である。
【図7】図7は、図1の自律清掃ロボットの分解斜視図である(ユーザインターフェースが取り外されたものが示されている)。
【図8】図8は、図1の自律清掃ロボットの液体塗布器モジュールの略図である。
【図9】図9は、図1の自律清掃ロボットの湿潤要素の透視図である。
【図10】図10は、自律清掃ロボットの湿潤要素の上面図である。
【図11】図11は、能動的なブラシ要素の透視図である。
【図12】図12は、自律清掃ロボットの上面図である。
【図13】図13は、自律清掃ロボットの真空モジュールの略図である。
【図14】図14は、自律清掃ロボットの真空モジュールの一部分の透視図である。
【図15A】図15A〜Bは、自律清掃ロボットの能動密封システムの略図である。
【図15B】図15A〜Bは、自律清掃ロボットの能動密封システムの略図である。
【図16】図16は、自律清掃ロボットのファンの分解斜視図である。
【図17】図17は、図1の自律清掃ロボットのスクイージの透視図である。
【図18】図18は、図1の自律清掃ロボットのスクイージの側面図である。
【図19】図19は、図1の自律清掃ロボットのスクイージの底面図である。
【図20】図20は、図1の自律清掃ロボットの車輪の分解斜視図である。
【図21】図21は、自律清掃ロボットのワイヤシールの透視図である。
【図22】図22は、自律清掃ロボットのシグナルチャネラ及び全方向受信装置の分解斜視図である。
【図23A】図23Aは、図1の自律清掃ロボットのバンパーに搭載された壁追従センサの部分的上面断面図である。
【図23B】図23Bは、自律清掃ロボットの壁追従センサの略図である。
【図24】図24は、壁追従装置を含む自律清掃ロボットのロジックと関連づけられるステップを表現するフローチャートである。
【図25】図25は自律清掃ロボットの衝突センサの斜視図である。
【図26】図26は、図25の衝突センサの26−26線に沿って取得された断面図である。
【図27】図27は、壁の角にぴったりはまって進む小型清掃ロボットの平面図である。
【図28】図28は、自律清掃ロボットの車輪と位置合わせされたバンパーの略図である。
【図29】図29は、自律清掃ロボットのクリフセンサの略図である。
【図30】図30は、崖検出器を含む自律清掃ロボットのロジックと関連づけられるステップを表現するフローチャートである。
【図31】図31は、筐体に静止状態センサの搭載された図1の自律清掃ロボットの、筐体の側面図である。
【図32】図32は、図1の自律清掃ロボットの静止状態センサの分解斜視図である。
【図33】図33は、自律清掃ロボットの揺動センサの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
自律型ロボットは、床を清掃するように設計されることがある。例えば自律型ロボットは、カーペット又は硬い床を電気掃除機で掃除することができ、また、液体によって支援された洗浄、及び/又は、拭きとり、及び/又は、静電気による拭き取りを通して、タイル、ビニール、又は、その他のそのような表面を洗うことができる。Zieglerおよびその他によるAUTONOMOUS SURFACE CLEANING ROBOT FOR WET AND DRY CLEANINGと題された米国出願番号11/359,961の開示は、参照することにより、その全体が本明細書に含まれるものとされているが、自律清掃ロボットを開示している。
【0039】
自律型ロボットは、床の上に移動可能に支持され、表面をあちこち動きながら、表面を清掃するために利用される。ロボットは、洗浄液を表面に塗布し、洗浄液を表面に広げ(例えば、塗りつけて、こする)、廃液(例えば、実質的に、洗浄液と、その中に混ぜ合わされたごみ)を床から収集することによって、表面を湿式洗浄することができる。同程度の大きさのドライクリーニングロボットと比較すると、自律型湿式洗浄ロボットは、表面からより多くのごみを除去することができる。
【0040】
図1は、自律清掃ロボットのサブシステムの相互関係を示す略ブロック図である。コントローラ1000は、電源モジュール1200から電力を供給され、センサモジュール1100及びインターフェースモジュール1700からの入力を受信する。コントローラ1000は、清掃表面(以下、「表面」と呼ばれる)を横切って自律清掃ロボットを動かすために、輸送駆動部1600を制御する一方で、液体貯蔵モジュール1500、液体塗布器モジュール1400、及び真空モジュール1300(例えば、湿式真空モジュール)を制御するために、センサモジュール1100からの入力と、コントローラ1000にプログラムされている情報(例えば、行動)とを結合する。
【0041】
コントローラ1000(例えば、ロボットのコントローラ)は、表面を横切ってロボットを推進するために用いられる、駆動車輪の動きを指示することによって表面を横切るロボットの自律的な動きを制御する。コントローラ1000は、センサ(例えば、ロボット、ナビゲーションの無線標識に保持されるセンサ)からの様々な異なる信号に応じて、ロボットの動きの方向を変えることができる。追加的、又は、代替的に、コントローラは、ロボットによる清掃の被覆率を向上させるために、実質的に不規則的に表面を横切るロボットに指示することができる。
【0042】
清掃作業の前に、外部の洗浄液源を通して、洗浄液を液体貯蔵モジュール1500に加えることができる。その後、ロボットは清掃される表面に設定され、インターフェースモジュール1700(例えば、ロボットにより保持されるユーザインターフェース)を通して清掃が開始される。コントローラ1000は、ロボットを表面全域の所望のパターン内で動かすために、輸送駆動部1600を制御する。コントローラ1000が表面全域のロボットの動きを制御する時に、コントローラはまた、洗浄液を表面に供給するために液体塗布器モジュール1400を制御し、表面から廃液を収集するために真空モジュール1300を制御する。
【0043】
清掃作業の完了後(例えば、ロボットから全ての洗浄液が施された後、ロボットがルーチンを完了した後、時間周期経過後)、廃液はロボットから除去される。ロボットは軽量で、小型の形状要素を持ち、そのことは、例えば、ロボットを他の清掃する領域に移動させることが可能で、次に利用するまで保管場所に収納することが可能であるといった、ロボットの取り扱いを、それぞれ容易にする。ロボットは、ロボットの使用中またはロボットの取扱中に、洗浄液、及び/又は、廃液がロボットからこぼれることを最小化するために、実質的に密閉することが可能である(例えば、受動的、能動的に密閉できる)。
【0044】
図2−6を参照すると、ロボット10は、底板200、バンパー300、ユーザインターフェース400、及びホイールモジュール500、501を保持した筐体100を含む。ホイールモジュール500、501は、筐体100で定められる横軸に沿って、実質的に向かい合されている。底板200は、筐体100の実質的に底の部分で保持され、そして、表面の上で、筐体100の前方部分を少なくとも部分的に支持する。清掃のルーチンの間に、ホイールモジュール500、501は床の全域において、ロボット10を推進し、底板200は、スライド可能に表面と接触し、洗浄液を放出し、表面上に洗浄液を散布し、廃液を表面からロボット10により定められる容器の中に収集することによって、湿式真空掃除機をかける。ユーザインターフェース400は、実質的に筐体100の上部に保持され、1つ又はそれ以上の使用者の指令を受け取るように構成され、かつ/又は、ロボット10のステータスを表示するように構成されている。ユーザインターフェース400は、1つ又はそれ以上のユーザインターフェース400への指令が、ロボット10により実行される清掃のルーチンを起動することができるように、ロボット10により保持されるコントローラ(以下に詳述される)と通信している。バンパー300は、筐体100の前方部分に保持され、かつ、ロボット10の経路における1つ又はそれ以上の事象を検出するように構成されている(例えば、ホイールモジュール500、501が清掃ルーチンの間に、床全域にわたってロボット10を推進する時)。以下に詳述される通り、ロボット10は、バンパー300によって検出された事象(例えば、障害物、崖、壁)に対して、その事象に応じてロボット10を動かすために(例えば、その事象から離れる)、ホイールモジュール500、501を制御することによって、応答することができる。本明細書において、いくつかのセンサはバンパーに配置されると記述されているが、これらのセンサは、追加的に、又は、代替的に、ロボット10の様々な異なる位置のどこにでも配置することができる。
【0045】
ロボット10は、洗浄液と廃液を蓄え、従って、実質的に、電気システムの全体は、液体に対して密閉され、かつ/又は、ロボット10の洗浄液及び/又はごみから分離される。ロボット10の電気部品を洗浄液及び/又は廃液から分離するために用いることができるシーリングの例には、覆い、プラスチック又は樹脂の構成部分、ポッティング、焼きばめ、ガスケット等が含まれる。回路基板、プリント回路基板、検出器、又はセンサとして、ここに記載されるすべての要素は、様々な異なる方法を用いて、密封することができる。
【0046】
ロボット10は、筐体により定められる3つのお互いに直交する軸である中心垂直軸20、前後軸22、及び横軸24に対する様々な異なる移動の組み合わせを通して、表面全域で移動することができる。前後軸22に沿った前方移動方向は、Fと示され(以下において、時々「前方」と参照される)、前後軸22に沿った後部への移動方向は、Aと示される(以下において、時々「後方」と参照される)。横軸は、ホイールモジュール500、501の中心点で定められる軸に実質的に沿って、ロボットのRと示される右側面と、Lと示される左側面の間に及ぶ。この後の図において、R及びL方向は、上面図と一致したままとされるが、印刷されたページにおいて反転されることがある。
【0047】
使用中、ユーザはバンパー300に沿って配置された補給ドア304を開き、ロボット10内の容器に洗浄液を加える。洗浄液をロボット10に加えた後、補給ドア304が実質的にバンパー300と共に、又は、いくつかの実施においては、バンパー300から及ぶポートと共に、防水の封を形成するように、ユーザは補給ドアを閉じる。ユーザは、清掃する表面にロボット10を配置し、ユーザインターフェース400に1つ又はそれ以上のコマンドを入力することによって、清掃を開始する。
【0048】
ロボット10に保持されたコントローラは、ホイールモジュール500、501の動きを指示する。コントローラがロボット10を様々などの方向にも動かせるように、コントローラは各ホイールモジュール500、501の回転速度と方向を独立に制御することができる。例えば、コントローラは、ロボット10を前、後、右、及び左方向に動かすことができる。例えば、ロボット10が実質的に前後軸22に沿って移動する時、ロボット10が、中心垂直軸20の周囲を前後に回転するように、ロボット10は右に曲がることと左に曲がることを交互に繰り返すことができる(以下、揺動動作と呼ばれる)。以下に詳述される通り、ロボット10のそのような揺動動作は、ロボット10が清掃作業中にたわしとして動作することを可能にする。以下に詳細に記述されるように、コントローラは、ロボット10の揺動動作を、ロボット10の静止状態を検出するために利用することができる。追加的に、又は、代替的に、コントローラは、例えば、ロボットが角から抜け出して、又は、障害物から離れて移動できるように、実質的にその場で回転するようにロボット10を動かすことができる。いくつかの実施において、コントローラは、清掃される表面全域の、実質的に不規則(例えば、疑似ランダム)な経路の上にロボット10を移動させる。以下に詳述される通り、コントローラは、ロボット10の周囲に配置された、様々に異なるどのセンサ(例えば、衝突センサ、近接センサ、壁、静止状態、及び崖)に対しても反応する。コントローラは、センサからの信号に応じて、障害物及び散乱物を避ける間、ロボット10が湿式真空掃除機をかけるように、ホイールモジュール500、501の方向を変えることができる。ロボット10が使用中に動けなくなったり、引っかかった場合、コントローラは、ロボット10が通常の表面の清掃を再開できるように、一連の脱出行動を通して、ホイールモジュール500、501を指示するように構成されている。
【0049】
ロボット10は、清掃作業中、一般的に、前方に進む。ロボット10は、清掃作業中、一般的に、後方には進まないが、障害物を避けるため、又は、角から抜け出して移動するために、後方に進むことができる。後方への移動中、清掃作業を継続することができ、また、一時的に止めることもできる。
【0050】
湿式真空掃除機をかける間、洗浄液は、筐体に直接取り付けられた塗布器(例えば、バンパーの取り付け部として使用するため、かつ/または、ワイヤを隠すため)を通して、表面に施されることが可能である。追加的、または、代替的に、洗浄液は、底板に取り付けられた塗布器を通して、表面に施されることが可能である。例えば、実質的にロボット10の前方部分に沿って、底板200に保持された水槽202を通して施されることが可能である。水槽202は、水槽202の全長に沿って、洗浄液の噴霧パターンを作りだすように構成された、噴射開口部210を定める。以下に詳述される通り、水槽202の上流のポンプは、噴射開口部210を通して洗浄液が表面に放出されるように、洗浄液を送る。いくつかの実施において、噴射開口部210は、表面上に洗浄液の実質的に均一な噴霧パターンを作りだすように、水槽202の全長に沿って、実質的に等間隔に設けられる。いくつかの実施において、噴射開口部210は、洗浄液が噴射開口部210から滴るように構成される。
【0051】
湿潤要素204は、実質的に水槽202の後方において、底板200に保持される。湿潤要素204の端部は、横方向に実質的にロボット10の全幅(例えば、直径)にわたって及ぶ。使用中、湿潤要素204は、清掃表面の上で、ロボット10の前方部分を支持するために、スライド可能に床と接触する。ロボット10が実質的に前方に動くにつれて、湿潤要素204と表面とのスライドする接触は、表面上に洗浄液を広げる。いくつかの実施において、実質的に湿潤要素204の後方において、表面上の洗浄液を更に広げ、かつ/又は、攪拌するために、第二湿潤要素206が底板200の上で保持される。
【0052】
ロボットが前方に移動を続けるにつれて、ホイールモジュール500、501は、表面に広げられた洗浄液を通過する。ロボット10の重量配分(例えば、引きずること)、ホイールモジュール500、501の材質の選択、バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムの組み合わせは、実質的に滑ることなく、ホイールモジュール500、501が洗浄液を通過できるように、洗浄液を通してのホイールモジュール500、501の牽引力を向上させる。
【0053】
スクイージ(squeegee)208は、底板200に保持され、使用中、移動可能に表面と接触するために、底板200から伸びる。スクイージ208は、実質的にホイールモジュール500、501の後方に位置する。スクイージをより前方に含むロボットと比べて、スクイージ208をそのように後方に位置付けることは、洗浄液の表面上での存在時間を増加させ、従って、清掃作業の有効性を増大させる。追加的に、又は、代替的に、スクイージ208をそのように後方に位置付けることは、ロボット10を前方に推進する、ホイールモジュール500、501によって生成された推進力に応じての、ロボット10の後方への傾きを減少させることができる。
【0054】
以下に詳述される通り、スクイージ208との間の移動可能な接触は、ロボット10が前方に推進する時に、清掃表面から廃液(例えば、洗浄液とごみの混合物)を浮かせるように作用する。スクイージ208は、スクイージ208によって定められる吸引開口部212の実質的に近くに廃液をためるように構成されている。ロボット10に保持される真空部は、清掃表面からロボット10内に廃液を吸引し、湿式真空掃除機をかけられた表面を後にする。
【0055】
ロボット10から全ての洗浄液が施された後、コントローラはロボット10の動きを停止し、ユーザインターフェース400を通してユーザに警告(例えば、視覚の警告、又は、音声の警告)を与える。その後、ロボット10から収集された廃液を取り除くために、廃液収集容器によって定められる、廃液の出入り口が見えるように、除却ドア104を開ける。補給ドア304と除却ドア104は、実質的に筐体の反対側に配置されるため、補給ドア304と除却ドア104は、洗浄液がロボット10に加えられる間に、廃液がロボット10から排出されるように、同時に開けることが可能である。
【0056】
利用者が使用の合間にロボット10を移動したいと思う場合、利用者は、筐体100から取っ手401を離して(例えば、回して)、取っ手401を使用してロボット10を持ち上げることができる。実質的にバケツのようにロボット10を運ぶために取っ手401を使えるようにするため、取っ手401はロボット10の重心を含む横軸(例えば、中心の横軸)の周りを回転する。ロボット10は、輸送中にロボット10が実質的に防水されたままとなるように、受動的密閉システム、及び/又は、能動的密閉システムを含む。能動的及び/又は受動的密閉システムは、ロボット10が1つの領域から別の領域に移動される時に、ロボット10からの廃液、及び/又は、洗浄液の漏れを減らすことができる。従って、ロボット10は、ロボットから液体が滴ることに起因する危険な滑りやすい状態を引き起こす危険性はほとんどなしで、移動され、格納されることができる。追加的に又は代替的に、ロボット10は、利用者又は既に清掃済の表面に液体が滴る危険性はほとんどなしで、移動され、格納されることができる。
【0057】
ロボット10を移動した後、ロボット10の使用中に取っ手401が物体とからまる可能性を減らすため、利用者は、取っ手401を実質的にロボットの上部に重なる位置に置くことができる。いくつかの実施において、取っ手401は、取っ手401をロボットの上部に重なる位置の方へ偏らせる磁化された部分を含む。いくつかの実施において、取っ手401は、取っ手401をロボット10の上部に実質的に重なる位置の方へ偏らせるバネを含む。
【0058】
使用の合間に、利用者は、ロボット10に搭載されて保持される電源を充電しなおすことができる。電源を充電するために、ユーザは、筐体100の後部の充電ポートドア106を開けることができる。充電ポートドア106を開けたまま、利用者はウォールチャージャーを、充電ポートドア106の後にある充電ポートに接続することができる。ウォールチャージャーは、標準的な家庭の電気コンセントに差し込むように構成されている。充電の過程において、ユーザインターフェース400上の、1つまたはそれ以上の表示装置(例えば、視覚による表示装置、可聴の表示装置)は、利用者に対して電源の充電の状態を警告することができる。電源が充電しなおされた時点で(例えば、ユーザインターフェース400によって表示されるように)、利用者はロボット10をウォールチャージャーから分離し、充電ポートドア106を閉じることができる。充電ポートドア106は、充電ポートドア106が閉じている時に、充電ポートに実質的に液体がない状態が維持されるように、筐体100と共に、実質的に防水の封を形成する。いくつかの実施において、電源はロボット10から取り外され、ロボット10から切り離して充電される。いくつかの実施において、電源は取り外され、新しい電源と交換される。いくつかの実施において、ロボット10はロボット10と誘導送信機との間の誘導結合によって充電しなおされる。そのような誘導結合は、ロボット10の電子部品への物理的な接触の必要を減らすことによって、ロボット10の安全性を向上させることができる。
【0059】
(形状要素)
筐体100、底板200、バンパー300、ユーザインターフェース400、及びホイールモジュール500、501は、上側の面と、実質的に上側の面と平行で反対側にある下側の面を持つ、実質的に円筒形の形状をロボット10が持つように、組み合わされる。そのような実質的に円筒形の形状は、ロボット10が表面を横切る時に、ロボット10がからまったり(例えば、ひっかかる)、及び/又は、障害物の上で中断する可能性を低くすることができる。
【0060】
いくつかの実施において、ロボット10の実質的に円筒形の形状は、ハイカーが持ち運ぶ典型的な水筒の操作と同様な方法で、利用者がロボット10を持ち上げて操作することを可能にする形状要素を持つ。例えば、利用者は、ロボット10を浴室又は台所の蛇口の下に置くことで、ロボット10を洗浄液で満たすことができる。ロボット10の位置を、ロボットを洗浄液で満たすために利用されるのと同じにした状態で、浴室又は台所の流しに移すことでロボットをからにすることができる。ロボット10は前方表面302と後方表面102を含み、それぞれの表面は実質的に平らで、端においてロボット10の平衡を保つように構成されている。例えば、利用者は、前方表面302が利用者に向かって上側に向く状態で、ロボット10が調理台の上で平衡を保つように、後方表面102を実質的に平らな表面(例えば、調理台の上、台所の流しの底、浴槽の底)に置くことができる。そのような位置は、利用者がロボットを支えることなく、ロボット10を洗浄液で満たすことを可能にする。追加的に、又は、代替的に、利用者がロボット10の部品(例えば、電池の仕切り、充電ポート)により簡単に接触できるようにするため、利用者は前方表面302を実質的に平らな表面に置くことができる。
【0061】
ロボット10は、狭い範囲の領域の中で清掃作業を実行する。いくつかの実施において、ロボット10は、表面に湿式真空掃除機をかける間に、散乱物又は障害物を避けるための、小型の形状要素を持つ。例えば、ロボット10は、家庭の戸口、巾木の下、及び多くの典型的な椅子、テーブル、移動可能な調理台、及びスツールの下と、トイレ、シンクスタンド、その他の磁器の備品の後ろ及び脇を進むように寸法を合わせることができる。いくつかの実施において、ロボット10の全高は、標準的な北米の浴室洗面台の巾木のパネルの高さよりも低くなっている。例えば、ロボット10の全高は、18センチメートル未満となり得る(例えば、約15センチメートル、約12センチメートル、約9センチメートル)。いくつかの実施において、ロボット10の全径は、設置されたトイレの台座と浴室の壁との間の標準的な距離にほぼ等しい。直径の大きなロボットと比較すると、ロボット10のそのような直径は、例えば、実質的にトイレと壁の間といった、トイレの台座の周囲の洗浄を改善することができる。例えば、ロボット10の全径は26センチメートル未満となり得る(例えば、約20センチメートル、約15センチメートル、約10センチメートル)。いくつかの実施において、ホイールモジュール500、501は、そのような狭い範囲の空間の中で、ロボット10を動かすために構成されている(例えば、約3リットルの体積の中)。
【0062】
ロボット10は、上述の寸法の範囲の、実質的に円筒形の形状を持つと記述されているが、狭い表面又は到達しづらい表面の湿式の清掃を容易にするため、ロボット10は、その他の断面直径と高さの、寸法及び断面形状(例えば、正方形、長方形及び三角形、及び、例えば立方体、棒状、及びピラミッド形といった容積測定の形状)を持つことができる。
【0063】
所定の大きさの覆いの中において、大量の洗浄液は、例えば、ロボット10のその他の機能(例えば、液体のポンピング、電気掃除機での掃除)のために必要とされる体積を減らすことで、蓄えることが可能となる。いくつかの実施において、ロボット10は、少なくともロボット10の20パーセント(例えば、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント)の量の洗浄液を保持する。
【0064】
(物理学と移動性)
ロボット10は、1回の清掃作業において、約150スクエアフィートの清掃表面を清掃するように構成されている。タンクの大小に応じて、これは100スクエアフィートから400スクエアフィートの範囲で変動することがある。清掃作業の持続時間は約45分間である。小さな電池、大きな電池、又は2つ以上の電池を搭載する実施において、清掃時間は、下は20分から上は2時間までの範囲を変動する。従って、ロボット10は、電源の充電のしなおし、洗浄液のたくわえに対する補充、及びロボットによって収集された廃棄物を空にすることが必要とされない、45分間以上の無人自律型清掃ができるよう構成されている(物理的に、及びプログラムされている通り)。
【0065】
1回の通過中に表面に供給される洗浄液の実質的に全てを回収するようにロボット10が構成されている実施において、ロボット10の平均前方移動速度は、洗浄品質、及び/又は、特定の実施で必要とされる表面被覆領域の関数となり得る。例えば、ゆっくりとした前進移動速度は、洗浄液と表面上のごみとの間の浸透時間を長くする(例えば、より長い接触時間)ことを可能とするので、スクイージ208による吸引によって、ごみはより簡単に表面から取り除かれる。追加的に、又は、代替的に、より速い前進移動速度は、洗浄液の補給及び/又は電源の充電のしなおしを必要とする前に、ロボット10がより広い表面領域を洗浄することを可能とする。従って、消費者によって受け入れられる洗浄品質及び表面被覆率は、洗浄液がスクイージ208を通してロボット10に収集される前に、洗浄液と表面との間の約0.3秒から約0.7秒の接触を許容するようにロボット10を構成することによって達成される。例えば、ロボット10の半径が17センチメートルで、かつ、前進速度毎秒約25センチメートルで移動する時、洗浄液と表面との間の接触時間は約0.25秒から約0.6秒となり、この接触時間の変動は、ロボット10の前方エッジに対する洗浄液分布の配置と、ロボットの後方エッジに対する真空部の配置に左右される。
【0066】
いくつかの実施において、ロボット10は、ロボット10が表面に洗浄液を残し、その後に、複数回の通過を通して表面から洗浄液を回収するために戻るように構成されたナビゲーションシステムを含む。上述の単一通過構成と比較して、このような構成は、ロボット10がより速い速度で移動する間に、洗浄液が表面上により長く残されることを可能にする。ナビゲーションシステムは、ロボット10が、洗浄液が表面上に残されているが、まだ回収されていない場所に戻ることを可能にする。ナビゲーションシステムは、洗浄液が残されている表面上の部分にロボットが戻ることが起こり得るように、表面全域においてロボットを疑似ランダムパターン上で動かすことができる。
【0067】
上述の通り、ホイールモジュール500、501間の横軸の距離(例えば、ロボット10のホイールベース)は、実質的に横の洗浄幅に等しい(例えば、湿潤要素204の横幅)。従って、清掃作業中、ホイールモジュール500、501は、洗浄液で覆われた表面の部分をしっかりととらえるように構成されている。十分な牽引力があれば、ホイールモジュール500、501は、洗浄液の中でロボット10を推進することができる。しかしながら、牽引力が不十分な場合、ホイールモジュール500、501は洗浄液上で滑ることがあり、また、ロボット10はその場で動けなくなることがあり得る。
【0068】
より重たいロボットは、車輪が洗浄液を通過する時、スリップを避けるために車輪に十分な圧力をかけることができる。しかしながら、より軽いロボットと比較して、より重たいロボットは取り扱いがより困難となる(例えば、流し台での補充に関して、収納庫に運ぶことに関して)。従って、ロボット10は、ホイールモジュール500、501が、表面上に散布された洗浄液の中でロボット10を推進するのに十分な牽引力を供給すると同時に、3kg未満の重さ(洗浄液を完全に詰め込んで)となるように構成されている。
【0069】
いくつかの実施において、清掃作業中にロボット10の重量の大部分がホイールモジュール500、501上となるように、ロボット10の重心は、実質的に横軸23に沿っている。ロボット10のそのような重量配分は、湿潤要素204及びスクイージ208が移動可能に表面と接触することによって生成される抵抗力にホイールモジュール500が打ち勝つことを可能にすると同時に、滑りを克服するために十分な下方の力をホイールモジュール500、501の上に働かせることができる。いくつかの実施において、ロボットの重量は、表面に対して十分な洗浄の圧力を加える(例えば、湿潤要素204及びスクイージ208に対して十分な圧力)と同時に、そのような抵抗力に克服するために配分されている。例えば、ホイールモジュール500、501は、表面上で、ロボット10の重量の約50%から約70%を支えることができる。湿潤要素204は、ロボットの前方部分に沿って、表面上でロボットの重量の少なくとも約10%を支えることができる。スクイージ208は、ロボットの後方部分に沿って、表面上でロボットの重量の少なくとも約20%を支えることができる。以下に詳述される通り、清掃サイクルが開始から終了に進行するにつれて、ロボットの全体積の少なくとも約25パーセントは、供給容器の洗浄液から収集容器の廃液に変わると同時に、供給容器と収集容器はロボットの重心を実質的に横軸24の上に維持するように構成されている。
【0070】
いくつかの実施において、ロボットは約1kgから、満杯で約5kgまでとなっている。家庭での利用に対して、ロボットは満杯で7kgまでの重量とすることができる。ロボットの物理的な寸法の典型的な範囲は、全質量1〜10kg、直径10〜50cm内において洗浄幅は5cm〜40cm、車輪の直径は、1.5cm〜20cm、駆動車輪接触線は駆動車輪全て(2つ、3つ、4つの駆動車輪)に対して、2cm〜10cm、駆動車輪接地面は全ての車輪に対して2cm2またはそれ以上となっている。
【0071】
ロボット10は、空で約1.5kg未満、かつ、満杯で約3kg未満とすることができ、約0.5kgから約1kg(又は400〜1200ml)の汚れていない、又は、汚れた液体(ロボットが液体を塗布し、また、それを収集する場合)を運ぶことができる。廃液タンクは、収集過程の効率に応じた大きさとすることができる。例えば、通過する度に所定量の液体を残すように設計または配置された比較的効率の悪いスクイージに対して(例えば、洗浄液が残って、染み又は乾燥した食品の斑点に徐々に作用するように)、廃液タンクは、洗浄液のタンクと同じ大きさか、又は小さく設計することができる。残された液体のある割合は決して収集されることはなく、別の一部分は収集する前に蒸発する。効率の良いスクイージの利用される実施においては(例えば、シリコーン)、廃液タンクの大きさを、きれいな液体のタンクの大きさよりも大きくすることが必要となるかもしれない。タンクの容積のある割合、例えば5%以上は、泡の収容または調整のために充てられることがあり、これにより廃液タンクの容量が増加することがある。
【0072】
効果的に表面にブラシをかけ、拭き取り、こするために、湿潤要素204及びスクイージ208は抵抗力を作り出し、また、10kg以下のロボットの場合、ロボット10の重量の40%未満の平均の抵抗力を作り出すべきである。アクティブサスペンション/定荷重システムがない場合に良好な移動性を確保するため、抵抗力(ブレード、スクイージ、引きずる部品のいずれかに関連する抵抗力の合計)はロボットの重量の25%を超えるべきではなく、さもなければ、上昇させる障害物はどのようなものでも、タイヤから重量を取り去り、原動力に影響を与える。界面活性剤をベースとした(表面張力の低い)洗浄液の付いた滑らかな表面上で得られる牽引力の最大値は、一般的にロボットの重量の約40%しかなく、最善の状態ではことによると50%位の最大値となるが、牽引力/推進力は、抵抗力/有害抗力を上回らなければならない。しかしながら、自律的にうまく進行し、小さな危険要素及び障害物に打ち勝つために十分な推進力を持ち、車輪とは異なる洗浄又はブラッシング部材が出くわすかもしれない境界を上がり、そして、動かなくなったり、その他のパニック状況から脱出するために、ロボット10は、主に駆動車輪によって与えられる、平均の抵抗力/有害抗力の約150%以上の推進力/牽引力を持つことができる。回転ブラシを含む実施において、回転の方向次第で、回転ブラシは抵抗力又は推進力を作り出す。
【0073】
いくつかの実施において、ロボット10は、満載で約1.4kgの重量を持ち、湿潤要素204による、約100グラム重未満の抵抗力(静止摩擦係数約0.38の表面上で)、及び、スクイージ208による、約320グラム重未満の抵抗力(静止摩擦係数約0.77の表面上で)がかかるが、ロボット10を最大前進速度約200mm/sから約400mm/sで推進する、ホイールモジュール500、501によって与えられる1100グラム重の推進力を持つ。いくつかの実施において、ホイールモジュール500、501の牽引力を改善するために、車輪により多くの重量を置くことによって、ロボット10に重量が追加される(例えば、金属の取っ手、U字型金属のようなピボットマウント、必要以上に大きなモーター、及び/又は、この装置の1つの実施形態におけるバラスト)。重量の追加の有無にかかわらず、いくつかの実施において、ロボットは回転するブラシを含むことができ、前方に回転するブラシ(それは、一般的に後退中には停止される)から有効な割合の推進力を引き出すことができるが、このことは、大きな産業用掃除機においては必要とされる機能ではない。
【0074】
10kg以下(20kg以下でも)の家庭用清掃ロボットの、質量に対するクリーニングヘッドの幅は、産業用自己推進掃除機とは異なっている。このことは、特に湿式の洗浄の場合に当てはまる。いくつかの実施において、ロボット10は、ロボットの質量1kgあたり、少なくとも約1cmの(湿式)洗浄幅を持ち、(例えば、ロボットの1kgの質量あたり、約4、5、又は6cmの洗浄幅)、ロボットの各質量キログラムあたり、最大約20cmの洗浄幅を持つ(より高い割合は、一般に、より低い質量に当てはまる)。例えば、洗浄液満載時、ロボット10は約1.5kgの重さで、ロボット10がロボットの質量1kgあたり約11cmの湿式洗浄の幅を持つことができるように、湿式洗浄の幅約16.5cmを持つことができる。
【0075】
ロボットの各質量キログラムあたりの洗浄幅がより大きくなると、十分な拭き取り又は洗浄の力を加えることが困難となり得る。1kgのロボットの質量あたりの洗浄幅をより下げることは、効率の悪い洗浄幅、又は、民生用には不適切な非常に重いロボット、すなわち、普通の(又は弱い)人には容易に運ぶことのできないロボット、をもたらし得る。自己推進型の産業用掃除機は、一般的に、機械の各質量キログラムあたり1/3cm、又は、それ未満の洗浄幅を持つ。
【0076】
これらの寸法又は特性の比率は、5kg未満、及び、いくつかの場合は10kg未満のロボットが一般的な家庭での利用に効果的かどうかを定める。そのような比率は、上において明確に記述されているが、そのような比率(例えば、ロボットの各質量キログラムあたりの車輪の接触するcmの二乗の領域、抵抗力kg重あたりの車輪の接触線のcm、等)は、本明細書において取り上げられた異なるロボットの構成のセットに限られているとしても、本明細書において本質的に開示されたと明示的に考えられる。
【0077】
いくつかの実施において、ロボット10は、3mmの厚さのフォームタイヤと2mmの深さのサイプを持ったタイヤを含む。この構成は、各タイヤあたり3から4kgしか支えない場合に、最高に機能する。タイヤのサイプ、気泡構造、吸収性の理想的な組み合わせは、ロボットの重量によって影響を受ける。いくつかの実施において、ゴム又はビニールのタイヤは、滑りを少なくする表面の特徴を用いて構成される。
【0078】
ロボット10は、少なくとも1つの湿潤要素204と1つのスクイージ208を含む。例えば、湿式真空部分は、回収のための、残された水の被膜の厚みを形成するために、そのすぐ後にスクイージが置かれる場合がある。スクイージ208は、2mm以上の高さの障害物を洗浄するための十分な柔軟性及び移動範囲を持つことができるが、ロボットの地上高を清掃できるのが理想的である(例えば、約4.5mmの最小の高さ、又は、ロボットの地上高)。
【0079】
スクイージによって示される、重力と反対の方向の、すなわち、上向きの、反動的な力は、得られる牽引力から引かれ、ロボットの重量の約20%未満とされるべきである(例えば、ロボットの重量の約10%未満)。同じ反動的な力を持つ、エッジの圧力の一定量は、スクイージが液体を拭き取り、また、収集するために必要である。液体の収集、反動的な力、摩耗、及び障害物への柔軟な応答の効果的な組み合わせを得るために、スクイージの物理的パラメータは制御され、つり合わされる。いくつかの実施において、スクイージ208は、300mm未満のスクイージに対して、半径3/10mmの作業エッジを含む。いくつかの実施において、スクイージ208は約1/10から5/10mmの作業エッジを持つ場合がある。摩耗、スクイージの性能及び抵抗力は、実質的に長方形の横断面(オプションで、台形の)、及び/又は、1mm(オプションで、約1/2mmから1.5mm)の厚さ、90°の角(オプションで、約60°から120°)、その作業長さの上1/2mm以内で床と平行で(オプションで3/4mm以内)、及び、単位長さ毎に1/500mm以内で床に垂直で(オプションで最大1/100)、上に示した通り、約3/10mm以下の作業エッジによって改善することができる。上記パラメータからのずれは、補正をするためにより大きなエッジ圧力(重力に反する力)を必要とする場合があり、従って、利用できる牽引力を減少させる。
【0080】
湿潤要素204及びスクイージ208は、広い範囲の表面の変形物に覆われる床と接触するように構成されている(例えば、湿式の清掃の状況において、タイル、平面、木材、しっくい、分厚いグラウトの床)。いくつかの実施において、湿潤要素204、及び/又はスクイージ208は、広い範囲の表面の変形物との接触を改善するため、フローティングマウント(例えば、バネ、エラストマー、又は誘導装置等)を用いて取り付けられる。いくつかの実施において、湿潤要素204とスクイージ208は、湿潤要素204、及び/又は、スクイージ208の表面に対する、設計された量の衝突又は接触に対する十分な柔軟性を備えて、筐体100に取り付けられる。上述の通り、ブラシ/洗浄装置によって示される、重力と反対の(上への)反動的な力は、得られる牽引力から取り去られ、また、ロボットの重量の10%を超えるべきではない。
【0081】
いくつかの実施において、ロボットは、例えば、1つ以上のブラシがロボットの中心線の前後どちらかの側、またはその両側、に備わった、2つの二重反転ブラシといった、1つ以上のブラシを含む。ロボットは、また、差動回転ブラシで、その2つのブラシはそれぞれ、回転の直径としてのロボットの幅の実質的に約半分であり、前後軸22のどちらかの側面に取り付けられ、それぞれ直径の半分に沿って伸びているものを含むことができる。各ブラシは、別々の駆動装置及びモータと接続されることが可能で、反対方向または同じ方向、どちらの方向に対しても異なる速度で回転可能であり、それは、ロボットに対する回転の、及び、並進の力を与えることになる。
【0082】
ロボット10の重心は、洗浄タンク及び廃液タンクが継続的に同じ重心の位置を維持するように釣り合されている場合を除いて、液体の回収時に移動する傾向がある。同じ重心の位置を維持する(タンクの区画設計によって)ことは、受動的なサスペンションシステムが、得られる最大の牽引力を伝えることを可能にする。ロボット10は、タンク構造で、空になる時に、その区画の重心の位置を実質的に維持する形状を持つ、第一の区画と、それが満たされる時に、その区画の重心の位置を実質的に維持する形状を持つ第二の区画とを含み、組み合わせたタンクの重心は、実質的に車輪の直径内及び車輪の上に維持されるものを含んでいる。いくつかの実施において、ロボット10は、実質的に垂直方向に積み重ねられたタンクで、ロボット10の同じ重心の位置を維持するように構成されたものを含む。
【0083】
いくつかの実施において、完全な液体の回収、又は、アクティブサスペンションのない場合の優れた移動性は、表面全域から回収される液体の最少割合(例えば、液体の70%が保存される)をモデル化するか、又は仮定し、そして、この仮定/モデルに従って、区画の形状及び重心を設計することによって達成される。選択的に、又は加えて、バネの力を最大空荷時条件(空のタンク)と等しくすることは、優れた牽引力及び移動性に寄与することがあり得る。いくつかの実施において、サスペンションの移動は、少なくとも、バンパー(及びその他のエッジの仕切り)がロボットの下を移動することを許容する最大の障害物と等しくされる。
【0084】
ロボットの車輪の直径を最大化することは、任意の障害物又はくぼみに対する、エネルギー及び牽引力の必要条件を下げることがあり得る。いくつかの実施において、設計された障害物登坂能力の最大値は、車輪の10%以下とされる。4.5mmの障害物又はくぼみは、45mmの直径の車輪によって乗り越えられるか、又は、対処される。いくつかの実施において、ロボットは複数の理由のために低くされる。ロボットが地上から3mmのバンパーによって、大部分のカーペットに登ることを防止されるように(バンパーの地上高2−5mm、3mmが好適)、バンパーは、カーペット、境界、及び硬質床の間を区別するために低く設定されている。例えば、真空部といった、表面で作業するロボットの残りの部分はまた、より低い地上高によって、より有効にされる、床の前方に及ぶ部材(エアガイド、スクイージ、ブラシ)を持つ。1つの実施形態における地上高は3−6mmの間なので、車輪は単に30mm−60mmとする必要がある。その他のホイールの大きさもまた、利用することができる。
【0085】
図7を参照すると、筐体100は、筐体100の内側部分に実質的に沿った、液体容器600を保持している。以下に詳述される通り、液体容器600のいくつかの部分は、洗浄液が液体容器600からポンプでくみ上げられることを可能にし、かつ、廃液が液体容器600に吸引されることを可能にするために、筐体100に保持された液体供給システム及び空気処理システムと液体が通じるようにされている。洗浄液の追加と廃液の除去とを可能にするため、液体容器600は、補給ドア304及び除却ドア104(図7には示されない)を通して利用することができる。
【0086】
ホイールモジュール500、501は、それぞれ、駆動モータ502、503及び車輪504、505を含む。駆動モータ502、503は、液体容器600のどちらかの側面上で、駆動モータ502、503が実質的に、それぞれ車輪504、505の上に置かれるように、筐体100に着脱可能に結合されている。いくつかの実施において、筐体100に保持される液体容器600のサイズを増やすために、駆動モータ502、503は、それぞれ車輪504、505に対して水平に置かれる。いくつかの実施において、ホイールモジュール500、501は、筐体100に着脱可能に結合され、例えば、ホイールモジュール500、501の修理、交換、洗浄を容易にするために、道具なしで取り外すことができる。
【0087】
シグナルチャネラ402は、筐体100の上部に結合され、部品が実質的にロボット10の上部に沿って取り付けられるように、液体容器600を実質的に覆う。シグナルチャネラのエッジ404は、シグナルチャネラ404が光信号(例えば、赤外線の信号)を実質的にどの方向からも受信できるように、ロボット10の実質的に外周全体から見ることができる。以下に詳述される通り、シグナルチャネラ402は、光源から光を受信し(例えば、ナビゲーションの無線標識)、内部において、シグナルチャネラ402内に置かれる受信機に向けて、光を反射する。例えば、シグナルチャネラ402は、シグナルチャネラ内において実質的に全内部反射を可能とするために、少なくとも部分的に、屈折率約1.4以上の材質(例えば、熱可逆性のポリカーボネート樹脂)で形成される場合がある。追加的に、又は、代替的に、シグナルチャネラ402は、シグナルチャネラ402の上面に沿って置かれた第一の鏡と、シグナルチャネラ402の底面に沿って置かれ、第一の鏡と対向する、第二の鏡を含む場合がある。この構成において、第一と第二の鏡は、シグナルチャネラ402内において、内部的に光を反射することができる。
【0088】
シグナルチャネラ402は、ユーザインターフェース400の少なくとも一部分を保持できる、くぼみ部分406を含む。ユーザインターフェースのプリント回路基板(PCB)は、くぼみ部分406の中に配置することができ、実質的に防水のユーザインターフェース400を形成するために薄膜で覆われる場合がある。以下に詳述する通り、シグナルチャネラ402の底部は、液体容器600の上部を形成する場合がある。
【0089】
バンパー300は、筐体100の前方部分に実質的に沿って配置された蝶番110に結合される。バンパー300と筐体100との間を蝶番で動くようにすることによって、バンパー300が障害物に接触した時に、バンパーが筺体100に対して短い距離だけ移動することが可能になる。バンパー300は、障害物に接触すると同時にバンパー300が筺体100に対して動く時に、バンパー300と補給部分602が互いに固定しあうことができるように、液体容器600の補給部分602と柔軟に結合されている。
【0090】
バンパー300は、バンパーの上部付近に実質的に透明な部分306を含む。透明な部分306は、実質的にバンパー300の周囲全体に沿って広がっている場合がある。以下に詳述される通り、透明な部分306は、実質的にバンパー300の前方に置かれた送信機からの信号を全方向受信機が受信できるように、実質的にシグナルチャネラ402の中心部分付近に置かれる全方向受信機で受信できる信号に対して、実質的に透明にすることができる。
【0091】
底板200は、実質的に筐体100の底部に接して保持される。底板200は、底板200が筺体100の補完的なヒンジ機能に対してパタンと閉まることを可能にする、底板200の前方部分から伸びるピボットヒンジを含んでいる。いくつかの実施において、利用者は、道具を使うことなく、底板200を筐体100から広くあけることができる。底板200は、ロボット10の前方部分付近の水槽202を保持し、実質的に水槽202の後方に湿潤要素204を保持している。底板200は、実質的に湿潤要素204の後方に、車輪504、505の車輪格納庫の部分を形成するために、ホイールモジュール500、501の周囲に及ぶ。車輪504、505の後方において、底板200は、スクイージ208と表面との間の接触エッジ付近に廃液を溜めるために、スライド可能に表面と接触するように構成されたスクイージ208を含む真空部を保持する。以下に詳述される通り、スクイージ208は、スクイージ208と表面との間の接触エッジの実質的近くに、複数の開口部を定める。真空部1300が吸引力を作りだすと、廃液は表面から持ち上げられ、スクイージ208によって定められる複数の開口部を通してロボットに入る。
【0092】
いくつかの実施において、利用者は、底板200を洗浄するために、筐体100から底板200を広くあけることができる。いくつかの実施において、利用者は、底板200から水槽202、湿潤要素204、及び/又は、スクイージ208を、これらの部品の修理又は交換のために、取り外すことができる。
【0093】
(液体の貯蔵)
図8を参照すると、いくつかの実施において、液体容器600は、液体供給容器S及び廃液収集容器Wの両方として機能することができる。液体容器600は、液体が、液体供給容器Sから表面に移動して、その後、収集され廃液収集容器Wに戻るように構成されている。いくつかの実施において、供給容器Sと廃液収集容器Wは、洗浄液が塗布器から施され、そして、廃液が真空部によって収集されるにつれて、ロボット10の全体積の25パーセントが、供給容器Sの洗浄液から収集容器Wの廃液に変わる間に、横軸24に沿った、実質的に一定の重心を維持するように構成されている。
【0094】
いくつかの実施において、供給容器Sの全体又は一部は、廃液収集容器W内で廃液収集容器Wに囲まれた柔軟な内袋で、その内袋は、洗浄液が内袋から出るにつれて縮み、廃液収集容器Wを満たす廃液が、内袋から出た洗浄液にとって代わるようなものとされる。そのようなシステムは、ロボット10の重心を実質的に定位置(例えば横軸24の上)に維持できる自己調整システムであり得る。例えば、洗浄ルーチンの開始時点で、内袋は、内袋が実質的に廃液収集容器Wを満たすように膨張した状態で、満杯となり得る。洗浄液がロボット10から施されるにつれて、廃液収集容器Wに入ってくる廃液が、柔軟な内袋から出された洗浄液に取って代わることによって、内袋の体積は減少する。洗浄ルーチンが終わりに近づくにつれて、柔軟な内袋は、廃液収集容器Wの中で実質的につぶれ、廃液収集容器は実質的に廃液で満杯となる。
【0095】
いくつかの実施において、柔軟な内袋の体積の最大値(例えば、洗浄液の貯蔵体積の最大値)は、廃液収集容器Wの体積に実質的に等しい。いくつかの実施において、廃液収集容器Wの体積は、柔軟な内袋の体積の最大値よりも大きい(例えば、約10パーセントから約20パーセント大きい)。そのような、より大きな廃液収集容器Wは、収集された廃液の体積が、施された洗浄液の体積よりも大きいような周囲の状況(例えば、ロボット10が相当なこぼれた量の上を動く時)において、ロボット10が作動することを可能にする。
【0096】
供給容器Sは、廃液収集容器Wによって実質的に囲まれた柔軟な内袋として説明されたが、その他の構成も可能である。例えば、供給容器Sと廃液収集容器Wは、お互いの上に積み重ねられた、又は、部分的に積み重ねられた区画で、それらの区画を満たした場合の重心が、お互いに10cm以内となるようなものとすることができる。追加的に又は代替的に、供給容器Sと廃液収集容器Wは、同心とすることができ(片方が側面に向かう方向において他方の内側となるような同心)または、交互配置されたものとすることができる(例えば、側面に向かう方向において、交互配置されたL形状又は指形)。
【0097】
(液体塗布器)
図8を参照すると、液体塗布器モジュール1400は、いくつかの実施においては、ロボット10の実質的に全幅(例えば、直径)に及ぶ、湿潤要素204の幅全域にわたって、大量の洗浄液を床に塗布する。液体塗布器モジュールは、床に直接液体を噴霧でき、液体を含んだブラシまたはローラーに噴霧することができ、又は液体を滴らせるか又は毛細管現象によって床、ブラシ、ローラ、又はパッドに塗ることができる。液体塗布器モジュール1400は、筐体100によって保持された液体容器600内の供給容器Sから洗浄液の供給を受けることができる。ポンプ240は(例えば、蠕動ポンプ)、底板200の前方部分に沿って延びる水槽202(例えば、図2参照)によって定められる1つ以上の噴射口を通して、液体塗布器モジュールを経由して、洗浄液を送りこむ。各噴射口210は、洗浄液を洗浄表面に噴霧するように方向づけられている。例えば、少なくとも噴射口210の一部分は、ロボット10の前方への移動方向に実質的に向かった方向に、洗浄液を洗浄表面に噴射するように方向づけることができる。追加的に又は代替的に、少なくとも噴射口210の一部分は、ロボット10の後方への移動方向に実質的に向かった方向に、洗浄液を洗浄表面に噴霧するように方向づけることができる。
【0098】
液体塗布器モジュール1400は、以下に詳述される、液体容器600内の区画である、供給容器Sを含む。しかしながら、いくつかの実施においては、供給容器Sは、筐体100に保持される別の容器とされる。供給容器Sは、液体導管70と液体の通じる、出射孔604を定める。使用中、液体導管606は、ポンプ部分240(例えば蠕動ポンプ部分)に洗浄液を供給する。ポンプ部分240によって作り出された圧力は、水槽202及び噴射口210を通して表面に向かって液体を押し進める。
【0099】
液体塗布モジュール1400は、1スクエアフィートあたり約0.1mLから1スクエアフィートあたり約6.0mLの容積流量で(例えば、1スクエアフィートあたり約3mLで)洗浄液を塗布する。しかしながら、アプリケーションに応じて、液体塗布器モジュール1400は、床に所望の体積の洗浄液を塗布することができる。追加的に又は代替的に、液体塗布器モジュール1400は、水、消毒剤、化学薬品、被覆剤等の、その他の液体を床に塗布するために利用することができる。
【0100】
液体塗布器モジュール1400はクローズドシステム(例えば、ポンプ240が蠕動ポンプである時)であって、液体塗布器モジュール1400が、ロボット10の他の部分(例えば、封)を傷めない液体を含む、多種多様の洗浄液を供給するために使用できるものであっても良い。
【0101】
利用者は、供給容器Sに一定量の真水と、対応する一定量の洗剤を供給して満たすことができる。水と洗剤は、バンパー300の補給ドア304を通して利用できる、補給ポート602を通して供給容器Sに注ぐことができる。補給ポート602は、供給容器Sへのより容易な洗浄液の注入を可能とする、じょうごを含むことができる。いくつかの実施において、異物が供給容器Sに入ること及び液体塗布器モジュール1400に潜在的に損傷を与えることを妨げるために、補給ポート602と供給容器Sの間にフィルタが配置される。供給容器Sは、約500mLから約2000mLの容積容量を持つ。
【0102】
図2及び9を参照すると、ロボット10の表面全域にわたる動きによって、湿潤要素204が表面全域にわたって洗浄液を広げるように、湿潤要素204はスライド可能に表面に接触しても良い。湿潤要素204は、水槽202に実質的に平行に配置され、例えば、水槽202の端の近くで適切に塗布できるように、水槽202の両端を越して延びている。湿潤要素204の端215、216は、実質的に各車輪504、505の前に及ぶ。洗浄液を車輪504、505の前に直接塗布することによって、湿潤要素204は車輪504、505と表面の間の静止摩擦を向上させることができる。
【0103】
湿潤要素204は、曲がりやすい柔軟なブレードで、床に対してスライド可能に接触するように構成された第一のエッジと、筐体100と結合するために構成された第二のエッジを含む。湿潤要素204は、ロボット10の前方の周囲に実質的に平行に延びる、実質的に弓形の形状を持つ。ロボット10の作業中に湿潤要素204がスライド可能に床に接触する時、実質的な弓形はロボット10の床の全域にわたる移動を容易にすることができる。例えば、実質的に真っ直ぐな湿潤要素と比較して、湿潤要素204の実質的に弓形の形状は、ロボット10がしっくいの線を越えるのに必要な力を調節することができるように、徐々にしっくいの線(例えば、床のタイル)に接触することを可能にする。追加的に又は代替的に、湿潤要素204の実質的に弓形の形状は、筐体100の内部における構成要素のより効率的な詰め込みを可能にする。例えば、湿潤要素204の少なくとも一部分は筐体に及ぶため、湿潤要素204の実質的に弓形の形状は、1つ以上の構成要素(例えば、プリント回路基板(PCB))が湿潤要素によって定められる境界内に位置することを可能にする。
【0104】
湿潤要素204は、実質的に湿潤要素204に沿って中心を持つ線形領域218を含む。線形領域218は、底板200をピボット・ヒンジ等に取り付けるための回動可能な前縁として機能することのできる、底板の補完的な線形領域に沿っている。いくつかの実施において、湿潤要素204は、底板200に取り付けることができ、独立して取り外すことができる(例えば、湿潤要素204に搭載されたピボット・ヒンジを使うことによって)。
【0105】
図10を参照すると、いくつかの実施において、底板200は、実質的に底板200の前方部分に沿って延びる洗浄ブラシ220を含む。洗浄ブラシ220は、洗浄ブラシ220から洗浄表面に向かって延びる複数の毛の塊222を含む。毛の塊222は、洗浄ブラシ220に沿って配置されている(例えば、実質的に等間隔に配置されている)。毛の塊222は、複数の柔らかい柔軟な毛で、それら各毛の第一の端は、丸められた金属の管又はその他の適切な保持要素といった、入れ物に固定される。いくつかの実施において、毛の塊222は、洗浄ブラシ220に圧入された独立した詰め物となっている。各毛の第二の端は、毛が洗浄表面と接触する時に自由に曲がることができるようにされている。洗浄ブラシ220と表面との間の複数の接点は、ロボット10が表面における摂動の上(例えば、しっくいの線)を滑らかに横切ることを可能にする。
【0106】
毛の塊222の毛の長さ及び直径と同様に、こすりつけられる毛が清掃表面に対してなす、接触の呼び寸法は、毛の剛性を調整するために変化させられ、その結果、こすりつけの作用に影響を及ぼす。いくつかの実施において、洗浄ブラシ220は、約0.05〜0.2mm(0.002−0.008インチ)の範囲の平均の毛の直径内のナイロンの毛を含む。各毛の呼び長さは、入れ物と洗浄表面の間で約16mm(0.62インチ)とされ、毛は接触寸法が約0.75mm(0.03インチ)となるように構成されている。
【0107】
毛について記述したが、その他の実施についても追加的または代替的に可能である。例えば、洗浄ブラシ220は、織物又は、例えばスポンジタワシまたはシート材料で床に接触するように構成された、不織の材質を含むことがある。
【0108】
洗浄液は、洗浄ブラシ220に対して、様々な異なる方法のいずれかで導入することができる。例えば、洗浄液は洗浄ブラシの直前の床に噴霧するか、又は、滴らせることができる。追加的に又は代替的に、洗浄液は、毛の塊222を通して、毛の塊222が実質的に洗浄液を表面に向けて運ぶように、導入することができる。
【0109】
追加的に又は代替的に、底板200は洗浄液を表面上に広めるように構成されたその他の要素を保持することができる。例えば、底板200は、床と接触するスポンジ又は回転部材を保持することができる。
【0110】
いくつかの実施において、底板200は、洗浄表面に対して可動で、また、ロボットの筐体に対して可動な、1つ以上の能動的洗浄要素を保持する。能動的洗浄要素の動作は、洗浄要素と洗浄表面との間でなされる作業を増加させることができる。各洗浄要素は、また、筐体100に取り付けられた駆動モジュールによって、筐体100に対して動くために駆動されることができる。能動的洗浄要素は、また、洗浄表面と接触して保持されるスポンジタワシ又はシート材料、又は、表面と接触して保持され、振動する支持要素によって振動されるスポンジやその他の多孔質の柔軟性のある固体の気泡ゴムといった、柔軟な個体要素を含むことがある。追加的に又は代替的に、能動的洗浄要素は、複数の洗浄ブラシ、及び/または、可動に支持された伝統的な洗浄ブラシ、スポンジ、又は洗浄用に使用されるスポンジタワシを含む場合がある。いくつかの実施において、洗浄作用を生成するために超音波送信機が利用される。能動的な洗浄要素と筐体の間の相対的な動きは、線形、及び/または回転運動を含むことがあり、能動的洗浄要素は、利用者によって取り換え可能又は洗浄可能に構成されることができる。
【0111】
図11を参照すると、いくつかの実施において、能動的洗浄要素は、洗浄液が洗浄表面に塗布された後で、積極的にその表面を洗浄するための、噴射口210の後方に洗浄幅全域にわたって配列された回動可能なブラシ部分604を含む。回動可能なブラシ部分604は、長手方向の軸629を定める円筒形のブラシの毛のホルダー要素618を含む。ブラシの毛のホルダー要素618は、そこから放射状に延びる洗浄毛616を支持する。回動可能なブラシ部分604は、実質的に洗浄幅に平行に延びる回転軸の周りでの回転のために筐体100に支持される。洗浄毛616は、回転中に洗浄表面と抵触するのに十分なだけの長さを持ち、洗浄毛616は洗浄表面との接触によって曲げられる。追加のブラシの毛は受取口620に取り入れることができる。隣接するブラシの毛の塊との間の間隔は(例えば、ブラシの毛の塊622、624)、洗浄の強さを増加するために縮少することができる。
【0112】
洗浄毛616は、集団で、又は、各塊は単一の取り付け装置又は入れ物に保持された複数の毛を含んでいる、複数の塊として、ブラシ部分に取り付けることができる。塊の場所は、ブラシの毛のホルダー要素618の長手方向に沿って1つ以上のパターン626、628で配列することができる。1つ以上のパターンは、回動可能なブラシ要素604の回転の間、洗浄幅全域にわたって少なくとも1つのブラシの毛の塊を洗浄表面に接触させる。ブラシ要素604の回転は、右側側面から見ると、時計回りとなっていて、洗浄毛616と洗浄表面との間の相対的な動きは、遊離した汚染物質及び廃液を、後方に移動させる傾向がある。追加的に又は代替的に、ブラシ要素604の時計回りの回転によって生成される摩擦力は、ロボットを前方に駆動することが可能であり、従って、ロボットの輸送駆動システムの前方駆動力に追加される。円筒形ホルダー618から延びる各洗浄毛616の呼び寸法は、洗浄毛と洗浄表面との抵触を引き起こし、表面と接触するときに洗浄毛を曲げることができる。抵触寸法は、洗浄表面と接触するのに必要な長さを超えるブラシの毛の長さである。洗浄毛616の呼び直径とともに、これらの各寸法は、ブラシの毛の硬さ、及び、従って結果としての洗浄作用に影響を及ぼすために変えることができる。例えば、洗浄ブラシ要素604は、多くの家庭での洗浄への適用のための適切な洗浄能力を提供するため、曲げ寸法は約16〜40mm(0.62〜1.6インチ)、ブラシの毛の直径は約0.15mm(0.006インチ)、及び抵触寸法約0.75mm(0.03インチ)のナイロンのブラシの毛を含む場合がある。
【0113】
図12を参照すると、いくつかの実施において、自律清掃ロボット11は、実質的にロボット11の前方部分に沿って、ロボット11によって保持される延長要素230を含む。延長要素230は、実質的に円形のロボット11の断面を越えて、延びている。使用中、延長要素230は表面と接触し、ごみがロボット11に保持される他の構成部品(例えば、湿式真空掃除機部分)によって収集されるように、ごみをロボットに押し戻すように配置されている。延長要素230は、それとは別の方法では円形の断面を持つ自律清掃ロボットが実質的に接近できない領域(例えば角)に達することができる。延長要素230が、バネによって、ロボット11に対するもともとの配置に戻って止まるように、延長要素230は、バネ(示されない)により、ロボット11に支持されることがある。いくつかの実施において、延長要素230は、曲がりやすい柔軟なブレードを含む。
【0114】
延長要素は実質的にロボットの前方部分に沿って、ロボットに保持されるとして記述されたが、その他の実施も可能である。例えば、延長要素は、実質的にロボットの後方部分に沿って、ロボットに保持されることがある。このような構成において、延長要素が表面上のごみに出くわした時に、ごみが筺体の方に吸引されるように、延長要素は真空モジュールと液体をやりとり可能にされている(例えば、スクイージによって)。ロボットの実質的に後方部分に沿って取り付けられている延長要素は、障害物との接触に応じて曲がることを可能とし、また、障害物から離れた時にもとの位置に戻るように、バネによって取り付けることが可能である。
【0115】
(空気の移動)
図13を参照すると、真空モジュール1300は、廃液収集容器Wと液体をやりとりできるファン112と、床と接触するスクイージ208を含む。使用中、ファン112は、廃液収集容器Wとスクイージ208を含む、液体をやりとりする経路に沿って、圧力の低い領域を作り出すことができる。以下に更に詳述する通り、ファン112は、スクイージ208全域にわたって、圧力差を作り出し、表面から及びスクイージ208を通しての廃液の吸引を引き起こす。ファン112によって作り出された吸引力は、さらに、1つ以上の廃液吸入導管232(例えば、スクイージ208のどちらかの端に配置された導管)を通して、廃液を廃液収集容器Wの上部に向けて吸引することができる。
【0116】
廃液収集容器Wの上部は、廃液吸入導管232の出射孔234とファン吸入導管114の吸気口115との間に、高圧608を定める。ファン112の動作中、高圧608を通しての空気と廃液の流れは、一般的に出射孔234から吸気口115に向けて動く。いくつかの実施において、高圧608は、廃液収集容器Wの上部において膨張した時に、廃液の移動速度が減少するような、1つ以上の廃液吸入導管232の連結流量範囲よりも広い流量範囲を持つ。このような、より遅い速度において、移動する廃液の重たい部分(例えば、水とごみ)は、重力下において、廃液収集容器Wの中に落ちる傾向があり、一方で、移動している廃液の軽い部分(例えば空気)は、1つ以上のファン吸入導管114に向けて移動を続ける。空気の流れは、ファン吸入導管114を通り抜けて、ファン112を通り抜けて続き、そして、ファン出射孔116を通してロボット10から抜け出る。
【0117】
真空モジュール1300は、ロボット10が使用されていない時に廃液が廃液収集容器Wから抜け出ることを実質的に防止する、受動的流出防止システム、及び/又は、能動的流出防止システムを含む場合がある。廃液がロボットから流出する可能性を減らすことによって、そのような流出防止システムは、取扱中に利用者が廃液に触れることを防止することができる。追加的に又は代替的に、そのような流出防止システムは、廃液がファンに接触する可能性、及び、時間とともにファンの性能が落ちる可能性を低くすることができる。
【0118】
受動的流出防止システムは、一般的に、真空モジュール1300の流れの経路を、通常の取扱状況においては流出がありえないような方向に向かわせる。受動的流出防止システムにおいて、取扱中に廃液収集容器Wからの廃液がファン112に達する可能性を減らすために、ファン112は廃液収集容器Wから少し離れて置かれる。例えば、受動的流出防止システムにおいて、ファン吸入導管114の少なくとも一部は、廃液の高圧608への流れの向きに対して約90°となるように配置される。従って、受動的流出防止システムは、真空モジュール1300に沿った、曲がった(例えば、曲がりくねった)流路を含む場合がある。これらの流路の断面の拡張及び縮小によって生じる流動損失を最小化するため、受動的流出防止システムは実質的に均一の断面積の流路を含む場合がある。能動的流出防止システムは、一般的に、真空モジュール1300の流路の少なくとも一部を塞ぐ、1つ以上の移動する経路を持つ。受動的流出防止システムと比較して、能動的流出防止システムは、より短く、より真っ直ぐな、真空モジュール1300に沿った(例えば、高圧608に沿った)流路を含む場合がある。追加的に、又は、代替的に、受動的流出防止システム及び能動的流出防止システムは、通常の取扱中に流出する可能性を減らすため、真空モジュール1300全体にわたって充填材を含む場合がある。流出防止システムにおいて使用可能な充填材の例としては、エポキシ樹脂、超音波溶接、詰め物、ガスケット、及び高分子膜が含まれる。
【0119】
図14を参照すると、シグナルチャネラ402は、シグナルチャネラ402の底部が、受動的流出防止システムにおける高圧608の一部を定めるように、液体容器600の上部に沿って保持される場合がある。シグナルチャネラと高圧が分離される構成と比較して、この構成は、ロボット10の内部部品に必要とされる体積の総量を減らすことができ、従って、液体容器600に利用できる体積を増加させることができる。いくつかの実施において、シグナルチャネラ402は、廃液吸入導管232の少なくとも一部分、及び、ファン吸入導管114の少なくとも一部分を保持する。ファン112は、高圧608を通り抜ける流れの方向に対して実質的に90°の方向となるように、液体容器600の下で、筐体100の上に保持される場合がある。そのような方向は、廃液が高圧608を越えて、ファン吸入導管114に入り、ファン112に達する可能性を低くすることができる。
【0120】
受動的流出防止システムのいくつかの実施において、1つ以上の廃液吸入導管232、及び、ファン吸入導管114は、1つ以上の廃液吸入導管232の各出射孔234が、実質的にファン吸入開口部115に対して直交するように、お互いに対して方向を合わせられる場合がある。そのような直交する方向は、廃液が高圧608を横切って、ファン吸入導管114の末端にあるファン112に達する可能性を低くすることができる。
【0121】
図15A〜Bを参照すると、能動的流出防止システム610は、前方シール682及び1つ以上の後方シール684の間に延びる、連動機構680を含む場合がある。前方シール682は、実質的にファン吸入導管118の上の防水シールを形成するように構成されている。1つ以上の後方シール684は、実質的に1つ以上の廃液吸入導管244の上の防水シールを形成するように構成されている。連結器686は、連結器がホイールモジュール500の縦の動きの少なくとも一部分を伝えることができるように、ホイールモジュール500と連動機構680の間に延びている。
【0122】
ホイールモジュール500は、車輪500を表面685に置くことが少なくとも車輪500の一部分を、実質的に鉛直方向において上に移動させるような、バイアスド‐トゥ‐トップサスペンションシステムの一部となっている。ホイールモジュール500が実質的に鉛直方向において上に移動する時、連動機構680を開いた位置にまで押すために、連結器686はホイールモジュール500とともに移動する。開いた位置において、連動機構680は、前方シール682及び1つ以上の後方シール684を、それぞれ、ファン吸入導管118及び1つ以上の廃液吸入導管244から離す。連動機構680の開いた位置において、1つ以上の廃液吸入導管244から高圧608に向かって廃液をくみ上げることを可能とし、この場合に、廃液を廃液収集容器W(図15A−Bには示されない)に落下させ、空気をファン吸入導管118に向かって流すことを可能とするように、ファン吸入導管118と1つ以上の廃液吸入導管244は、液体をやりとりするようにされている。
【0123】
ロボット10が表面から持ち上げられた時、ホイールモジュール500は、実質的に鉛直方向において下に動く。ホイールモジュール500が実質的に鉛直方向において下に動くにつれて、連結器686は、連動機構680を閉じた位置に引っ張るために、ホイールモジュール500とともに動く。閉じた位置において、連動機構680は、前方シール682及び1つ以上の後方シール684を、それぞれ、ファン吸入導管118及び1つ以上の廃液吸入導管244をカバーする位置で押さえる。連動機構680の閉じた位置において、ファン吸入導管118及び1つ以上の廃液吸入導管244は、液体をやりとりしないので、従って、廃液がファン吸入導管118に入って、ファン112に達する可能性は低い。
【0124】
連結器686は、ホイールモジュール500と連動機構680の間に延びると記述された。いくつかの実施において、類似した連結器がホイールモジュール501と連動機構680の間に、連動機構680を動かすために延び、従って、シール682、684を開いた位置と閉じた位置の間で動かす。
【0125】
流出防止システム610は、連結器686を含むと記述されたが、いくつかの実施においては、連結器686を省くことができる。例えば、ホイールモジュール500の動きは、連動機構680を開いた位置と閉じた位置の間で動かすように構成されている作動装置と電気的にやりとりするスイッチ(例えば、接触スイッチ)によって検出することができる。追加的に又は代替的に、ホイールモジュール500の動きは、水圧スイッチによって検出することができる(例えば、廃液収集容器Wの中の廃液を作動液として利用する)。
【0126】
図16を参照すると、ファン112は、固定した筐体706を持つ回転ファンモータ704及びそこから延びる回転軸708を持つ。固定したモータの筐体706は、ファンスクロール710の中心部分709に配置される。ファンシール711は、実質的にファンスクロール710の中心部分709に配置されたファンモータ704を実質的に覆うために、ファンスクロール710にかみ合うように構成されている。ファンシール711及びファンスクロール710は全体として、ファンモータ704を湿気及びごみから保護することのできる、保護用の筐体を形成する。ファンモータ704の回転軸708は、回転翼と接続するために、ファンシール711から外側に突き出ている。使用中、ファンモータ704は、回転翼712を回すために回転軸708を回転させ、従って、空気を動かす。
【0127】
ファン回転翼712は、その中心回転軸の周りに配置され、回転翼718が回転する時に、空気をその回転軸に沿って軸方向に内側に引き込み、空気を放射状に外側に放出するように構成された複数のブレード要素を含む。回転翼712の回転は、その流入側において負の空気圧区域(例えば、真空)を作り出し、また、その流出側において正の空気圧区域を作り出す。ファンモータ704は、電気掃除機又は湿式真空掃除機用の従来のファンよりも高い空気の流動率を生成する、実質的に一定の回転速度、例えば、14、000RPM、で回転翼712を回転するように構成されている。ファンの構成によって、約1,000RPMの低い割合から、約25,000RPMの高い割合までが考慮されている。
【0128】
スクロール710は、同じ筐体の大きさを維持しながら、スクロールの体積を損失することなく、30パーセント大きい回転翼を許容するために、それ自身の中に折りたたむことができる。インデューサーは、ファンブレードの一部で、流入のためにのみ設けられている。水が回転翼に入る可能性を低くするため、「堀」(すなわち、水路または内壁)を回転翼の前に置くことができる。空気処理のために利用される回転翼は、システムを通してかなりの速度で空気を動かし、そのことは、水を汚れたタンクから引き出し、回転翼を通して床に戻す原因となりえる。堀は、このことの発生を防止または制限する。
【0129】
ファンの空気流動率は、自由空間において毎分約60〜100立方フィートで、ロボットの中においては毎分約60立方フィートに及ぶ。いくつかの実施において、真空モジュール1300は、湿式真空サブシステムと乾式真空サブシステムの両方を含み、ファンの空気流動率は湿式及び乾式真空サブシステムの間で分割される(例えば、手動で調整される)。追加的に又は代替的に、多段のファン設計は、同様な空気流動率を作り出すことができるが、静圧及び速度はより高くなり、そのことは、流れを維持することに役立つ。また、より高い速度は、装置が乾燥した粒子を取り込み、液体(例えば、洗浄液と混ざったごみ)を持ち上げ引っ張ることを可能にする。
【0130】
図3及び13を参照すると、ファン112からの排気は、ポンプ排出導管242を通って移動し、実質的に湿潤要素の後方で、かつ、実質的に横軸24の前方の排気ポート116を通して、底板200から抜け出る。ファン排気ポート116のそのような配置は、例えば、排気される空気の流れが床に残された洗浄液を、スクイージ208による収集の前に、攪拌することを可能にする。いくつかの実施において、ファン排気ポート116からの排気は、表面の上におけるロボットの牽引力を向上させるため、実質的にホイールモジュール500、501に向かって移動させられる。
【0131】
再度、図3を参照すると、スクイージ208は、ロボット10が動く間、表面とスライド可能に接触するように構成されている。スクイージ208を実質的に車輪504、505の後方に置くことによって、ロボット10の動きを安定化することができる。例えば、ロボット10の急発進の間、スクイージ208は、ロボットが実質的に横軸24の周りを回転することを防止することができる。そのような安定化をもたらすことによって、スクイージ208は、ロボット10の前方部分に保持される湿潤要素204が、実質的に表面から持ち上げられることを防止することができる。例えば、ロボットの全重量が3.6kg以下の場合、スクイージ208のそのような位置は、安定化をもたらすために特に役にたつことがある。そのような軽量のロボットに対して、ロボットの重心は、牽引のためにかなりの重量が車輪504、505の上に置かれるように、実質的にロボットの横軸24の上に置かれ、一方で、スクイージ208は前方への移動に対する安定化をもたらし、かつ、湿潤要素204は後方への移動に対する安定化をもたらす。
【0132】
図3、17−19を参照すると、スクイージ208は、実質的に底板200の全幅に及ぶ、基部250を含む。実質的に水平な下側部分252は、基部250から表面に向かって下側に延びている。エッジガイド253、254は、基部250の各両端の近くに配置され、また、基部250から下方に延びている。ロボットが表面の周囲を動く時にスクイージ208を定位置でしっかりと支えるために、複数の締結要素256が基部250から上方に延び、対応する底板200の開口部内に合うように構成されている(例えば、締まりばめ)。
【0133】
水平な下側部分252は、吸入部分260から実質的に下方に延びるへら部分258を含む。へら部分258は、水平な下側部分252の実質的な後方エッジを定める。使用中、へら部分258は、スクイージ208と表面との間のスライド可能な接触エッジを形成する。へら部分258は、表面とスライド可能に接触する間に曲がるように、実質的に薄く、実質的に柔軟な材料で形成されている。いくつかの実施において、へら部分258は表面からの廃液の収集の向上のために、前方に少し曲げられる。いくつかの実施において、へら部分258は、ロボット10を前方に推進するのに必要な摩擦力を減らすために、少し後方に曲げられる。
【0134】
吸入部分260は、例えば、ロボットが清掃作業を行う時に、横軸24の方向における実質的に均一の吸引を可能にするため、横軸24の方向に等間隔に配置された複数の吸引ポート262を定める。吸引ポート262はそれぞれ、スクイージ208を通して延びる(例えば、水平な下側部分252の下の部分から基部250の上の部分まで)。吸引ポート262は、吸引ポート262の下側部分がへら部分258の前方エッジの実質的に近くとなるように、基部を通して延びる。ファン112によって負の空気圧が生成されると、廃液はへら部分258の前方エッジから吸引ポート262を通して、廃液収集容器Wに向かって吸引される(例えば、上述の通り)。
【0135】
エッジガイド253、254は、スクイージ208のそれぞれの端に配置され、清掃作業中に表面と接触するように、基部250から下方に延びる。エッジガイド253、254は、ロボット10の前後軸22に向けて廃液を押す。スクイージ208の中心部分に向けて廃液を導くことによって、エッジガイド253、254は、ロボット10の横端における廃液の収集効率を向上させることができる。例えば、エッジガイド253、254のないロボットと比較して、エッジガイド253、254は、ロボット10が後に残す縞を減らすことができる。
【0136】
エッジガイド253、254は、エッジガイド253、254から基部250を通して上方に延びる、留め具263、264をそれぞれ含む。エッジガイド留め具263、264は、基部から締結要素256よりもさらに延びて、また、いくつかの実施において、清掃作業中にスクイージ250がロボット10から引き離される可能性を低くするために、底板200の中で固定される。いくつかの実施において、留め具263、264は、底板200の中に押し込まれ、締まりばめによって定位置で支えられる。いくつかの実施において、留め具263、264は、筐体100にねじくぎで取り付けられる。追加的に又は代替的に、エッジガイドの留め具263は、筐体100に対して固定される場合がある。
【0137】
締結要素256は、基部250から上方に、基部250の前方及び後方部分に沿って延びる。各締結要素256は、実質的に横軸24に沿って長くなっていて、軸部分265及び頭部266を含む。スクイージ208は、締結要素256を対応する底板200の開口部に押し込むことによって、底板200に固定される。締結要素256が底板200の開口部に押し込まれる時、頭部266は開口部を通過するために変形する。開口部を通過した後、各頭部266は実質的にそのもとの形状に膨らみ、頭部266は開口部を逆の方向に通過することに対して抵抗する。従って、締結要素256は、実質的にスクイージ208を底板に対して固定する。
【0138】
スクイージ208は底板200に対して固定されているとして記述されてきたが、その他の実施も可能である。いくつかの実施において、スクイージは底板200に対して枢動可能とされる。例えば、スクイージは、スクイージの下側エッジが清掃表面の段差又は切れ目に出くわした時に、中心垂直軸20の周りを回転することができる。スクイージの下側エッジが段差又は切れ目から解放された時、スクイージはその通常の作業位置に戻ることができる。
【0139】
いくつかの実施において、スクイージは、分割されたスクイージとされている。例えば、スクイージは、2つの分割された部分として、前方部分と後方部分を含み、修理及び交換のために、底板から別々に取り外すことができる。
【0140】
いくつかの実施において、スクイージは、左側部分と右側部分に分割される。ロボットがその場で回転するか、又は曲がる時、スクイージは、片方が後方に曲がって、片方が前方に曲がる構成を担うことができる。分割されないスクイージに対して、曲がりが後方から前方に切り替わる位置は、事実上ロボットの下の固体の柱として作用し、その中心を高く置く傾向があり、移動性の妨げとなる。スクイージの中央に分割を設けることによって、この傾向を緩和、又は、消去することができ、移動性を向上させる。
【0141】
(輸送駆動システム)
再度、図2−7を参照すると、表面上での輸送のため、ロボット10は輸送システム1600によって支えられる。輸送システム1600は、筐体の右側面及び左側面にそれぞれ配置された、独立したホイールモジュール500、501の対を含む。湿潤要素204及びスクイージ208は、スライド可能に表面と接触し、輸送システム1600の一部を形成する。いくつかの実施において、輸送システム1600は、ホイールモジュール500、501の実質的に前方、及び/又は、実質的に後方に置かれた脚輪を含む場合がある。ホイールモジュール500、501は、実質的にロボット10の横軸24に沿って配列されている。ホイールモジュール500、501は、表面に沿って任意の方向にロボット10を進めるために、コントローラ1000によって独立して駆動及び制御される。ホイールモジュール500、501はそれぞれモータを含み、それぞれギア部に結合されている。各ギア部からの出力は、各車輪504、505を駆動する。
【0142】
コントローラ1000は、各モータへの電圧及び電流を測定し、各モータに対して、測定された電流の微分を算出する。コントローラ1000は、測定された電圧、測定された電流、及び算出された測定電流の微分を使って、モータのスピードを判定する。例えば、コントローラ1000は、測定された電圧、測定された電流、及び算出された微分からモータスピードを判定するために、数学的モデル(例えば、直流モータ方程式)を使うことができる。いくつかの実施において、同じ数学的モデルが各駆動モータに対して利用される場合がある。数学的モデルは、特定のモータに対して較正された1つ以上の定数(例えば、数学的定数)を含む場合がある。その1つ以上の定数は、様々な異なる方法のいずれかを用いて較正することができる。例えば、モータは、同じ定数を持つように工場で合わせられる場合がある。その他の例として、定数は工場で較正され、ロボット10内に記憶される(例えば、コントローラ1000に対して)場合がある。さらに、別の例として、定数は、同じ型の多くのモータに対して較正され、モータの定数の変動が許容範囲にある場合には、定数の代表値(例えば、平均値)が各モータに対して用いられる場合がある。その他の例として、コントローラ1000は、時間とともにモータの定数を学習する(例えば、ニューラルネットワークを利用する)プログラムを含む場合がある。
【0143】
ホイールモジュール500、501は、筐体100に対して着脱可能に取り付けられていて、それぞれバネによって表面と接触するように強制されている。ホイールモジュール500、501は、次の1つ以上を利用して実質的に水との接触に関して密閉されている:エポキシ樹脂、超音波溶接、ポッティング溶接、溶接インターフェース、栓、及び膜組織。
【0144】
バネは、サスペンションの行程の距離全体に沿って、実質的に均一の力を車輪に対して加えるように較正されている。ホイールモジュール500、501は、サスペンションシステムとして作用するために、それぞれ独立して縦の方向に動くことができる。例えば、ホイールモジュール500、501は、ロボット10が表面上の障害物の上を進むことを可能とし、しかしながら、ロボット10が洗浄領域の分離を示す(例えば、台所の床とリビングルームの床の分離を示す)より大きな境界を越えることは妨げるように、約4mmのサスペンション行程から約8mmのサスペンション行程を許容することができる(例えば、約5mmのサスペンション行程)。ロボット10が表面から持ち上げられる時、ホイールモジュール500、501のそれぞれのサスペンションシステムは、ホイールモジュール500、501をそれぞれのサスペンションシステムの行程における最も低い位置まで下げる。この構成は、時々、バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムと呼ばれる。いくつかの実施において、ホイールモジュール500、501は、ホイールモジュール501、502のホイール504、505が下に移動し、かつ、コントローラ1000に信号を送った時に感知するホイールドロップセンサを含む場合がある。追加的に又は代替的に、コントローラ1000は、ロボット10が表面のより安定した位置に移動することを可能にできる行動を起動することができる。
【0145】
ロボット10のバイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムは、上向き及び下向きの力を考慮して設計された車高を持つ、弾力性及び/又は減衰を含んだ回転車輪部を含む。いくつかの実施において、サスペンションシステムは、1〜5%(例えば、約2%)以内のロボット10の最少の下向きの力を伝える(すなわち、ロボットの質量又は重量から、ブラシ/スクイージ等の弾力性のある又は柔軟な収縮性部材からの上向きの力を差し引く)。つまり、サスペンションは、タイヤの接触面上で得られる力を最大に維持する一方で、上向きの力を生成することのできる、ほとんどの障害物又は摂動でも、サスペンションの持ち上げ、又は、障害物上でのロボットの浮き上がりをもたらすように、加えられた力のたった2%だけで「止め具」に対して支えられている(バネの止め具は、その他の98%、オプションで99%〜95%を支える)。このバネの力(及びその結果の、ロボット牽引力)は、変化するロボットの荷重(洗浄及び廃液タンクのレベルに関連する)に対応してその力を変化させる能動的なシステムを持つことによって、最大化することができる。いくつかの実施において、アクティブサスペンションの動作は、適切な減衰及びバネ抵抗力を持つ、電動の作動装置又はソレノイド、流体動力等によって与えられる。回転車輪部が記述されたが、その他の実施も可能である。例えば、バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムは、バイアスド‐トゥ‐ドロップサスペンションシステムを作り出すための円錐バネを含んだ鉛直方向に動くホイールモジュールを含む場合がある。
【0146】
車輪504、505は、ロボット10を湿ったせっけんのような表面の全域で、ロボット10を推進するように構成されている。図20を参照すると、車輪504は、ホイールモジュール500と結合するように構成されたリム512を含んでいる。駆動ホイールモジュールは、輸送のために車輪を駆動するための、駆動モータ及び駆動系のトランスミッションを含む。駆動ホイールモジュールはまた、表面に対する車輪のスリップを検出するためのセンサを含む場合がある。
【0147】
リム512は、車輪の形状を維持するため、及び、剛性をもたらすために、硬い成形プラスチックといった、堅い材質で形成される。リム512は、環状タイヤ516をその上に支えるための大きさの外径を提供する。環状タイヤ516は、表面と接触するため、及び、せっけんのような表面上で牽引力を維持するための、滑らない、抵抗の高い駆動表面を提供するために構成されている。
【0148】
1つの実施において、環状タイヤ516は、内径約37mmを持ち、かつ、リム512の外径514の上に適切に適合する大きさとされている。環状タイヤ516は外径514に対して、環状タイヤ516の内径とリム512の外径514との間のすべりを防止するために接着、テープ貼り、又はその他の締まりばめがなされる場合がある。タイヤの半径方向の厚さは約3mmとすることができる。タイヤの材質は、約0.1mmプラスマイナス0.02mmの大きさの気泡で発泡され、密度が、1立方フィート当たり14〜16ポンド、又は1立方フィートあたり約15ポンドの、チウラムジスルフィドブラックで安定化されたクロロプレンホモポリマーとされている。タイヤは、発泡後、ショア00で、約69から75の硬度を持つ。タイヤの材率は、DURAFOAM DK515HDの商標名で、Monmouth Rubber and Plasitics Corporationによって販売されている。
【0149】
特定の応用に対しては、例えば、ネオプレン及びクロロプレン、及びその他のクローズドセルスポンジゴム材質を含む、その他のタイヤの材質についても考えられている。ポリ塩化ビニル(PVC)(例えば、射出形成、押し出し)及びアクリロニトリル・ブタジエン(ABS)(その他の抽出物、炭水化物、カーボンブラック、及び灰の有無にかかわらず)もまた利用することができる。追加的に、細かく刻んだ泡構造のタイヤは、タイヤが清掃されている湿った表面を走行する時に、スクイージのような機能を提供することができる。また、商標名RUBATEX R411、R421,R428、R451及びR461と示されたタイヤの材質(Rubatex International,LLCによって製造及び販売される)、ENSOLITE(Armacell LLCによって製造及び販売される)、及びAmerican Converters/VAX,Inc.によって製造及び販売される製品で作られたタイヤは、上で特定されるDURAFOAM DK515HDの機能的代用品である。
【0150】
いくつかの実施において、タイヤの材質は、例えば、二トリルゴム(アクリロ二トリル)、スチレンブタジエンゴム(SBR),エチレン・プロピレン・ゴム(EPDM)、シリコーンゴム、フッ化炭素ゴム、ラテックスゴム、シリコーンゴム、ブチル・ゴム、スチレン・ゴム、ポリブタジエン・ゴム、水酸化ニトリルゴム(HNBR)、ネオプレン(ポリクロロプレン)、及び、それに関する混合物といった、天然ゴム、及び/又は、合成ゴムを含む場合がある。
【0151】
いくつかの実施において、タイヤの材質は、例えば、ポリアクリル酸(即ち、ポリアクリロ二トリル及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリクロロカーボン(すなわち、PVC)、ポリフロロカーボン(すなわち、ポリテトラフロロエチレン)、ポリオレフィン(すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレン)、ポリエステル(すなわち、ポリエチレン・テレフタレート及びポリブチレン・テレフタレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリサルフォン、及びそれらの混合物、及び/又は共重合体といった1つ以上のエラストマーを含む場合がある。エラストマーは、ホモポリマー、共重合体、ポリマーブレンド、相互貫入ネットワーク、化学的変性ポリマー、移植ポリマー、表面被覆ポリマー、及び/又は表面処理ポリマーを含む場合がある。
【0152】
いくつかの実施において、タイヤの材質は、例えば、カーボンブラック及びシリカといった補強材、被補強充填剤、硫黄、架橋材、結合剤、粘土、ケイ酸塩、カルシウムカーボネイト、ワックス、オイル、抗酸化物質(即ち、パラフェニレンジアミン・オゾン劣化防止材(PPDA)、オクチレーテッドジフェニルアミン、及び重合体の1、2‐ジヒドロ‐2、2、4‐トリメチルキノリン)、及びその他の添加剤といった1つ以上の充填剤を含む場合がある。
【0153】
いくつかの実施において、タイヤの材質は、例えば所望の静止摩擦、剛性、引張応力、硬度、引張強度、衝撃強度、密度、引裂強度、破裂エネルギー、亀裂抵抗、弾力、動的特性、屈曲特性、耐摩耗性、摩耗抵抗、色の保持、及び/又は耐薬品性(すなわち、洗浄液及び洗浄表面に存在する物質に対する抵抗、例えば、希酸、希アルカリ、オイル及びグリース、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン炭化水素、及び/又はアルコール)といった有利な特性を持つように形成される場合がある。
【0154】
クローズドセルフォームタイヤのセルの大きさは、静止摩擦、汚染物質への耐性、耐久性、その他の要因に関する機能に影響を与えることがある。ロボットの重量及び洗浄表面の条件に応じて、約20μmから約400μmの範囲のセルの大きさは、許容範囲内の性能を提供することができる。詳細な範囲としては、平均のセルサイズ60μmで、約20μmから約120μmまでを含み、様々な表面及び汚染状況にわたって容認できる静止摩擦に対しては、より詳細に約20μmから約40μmまでとなる。
【0155】
より広いタイヤは追加的な牽引力を与える場合があるが、いくつかの実施においてタイヤの幅は、約13mmとなっている。4mm‐5mmの厚さ又はそれ以上の厚さのタイヤを増加した牽引力に対して利用することも可能であるが、前述の通りタイヤは約3mmの厚さとすることができる。約1.5mmの薄いタイヤ及び約4.5mmの厚いタイヤは、ロボットの重量、作業速度、移動パターン、及び表面の特性に応じて役に立つ場合がある。厚いタイヤは圧縮歪の影響を受けやすい。洗浄ロボットがより重い場合には、それにもかかわらず、より大きなタイヤが好ましい。外側が円形または角張ったエッジのタイヤもまた、使用することができる。
【0156】
静止摩擦を増大させるため、タイヤの外形には溝形模様が付けられる場合がある。サイピングは、(a)液体が入りこむための隙間を備えることにより、接触表面から液体を除去する移動距離を縮小すること、(b)より多くのタイヤの部分が床に適合できるようにすることによって、トレッドによる可動性を増大すること、及び、(c)液体の除去を支援する拭き取り機構を提供することによって、一般に静止摩擦を増大させる。少なくとも1つの例において、「サイプされる」という用語は、タイヤの外径に薄い溝1110のパターンを与えるために、タイヤの材質を薄く切ることを言う。1つの実施態様において、各溝は、約1.5mmの深さ及び約20から300ミクロンの幅を持つ。サイピングは、例えば4mmの厚さのタイヤに対して3.5mmの深さのサイピングといったように、タイヤの基部のわずか1.2mm以下だけを残す場合がある。溝のパターンは、隣接する溝の間が約2から200mmの間隔あけられた、実質的に等間隔に配置された溝を規定することがある。1つの例において、「等間隔」とは、繰り返しのパターンによって一定間隔離して置かれることを意味し、必ずしも各サイプされた切れ込みが隣から等距離になるということではない。溝の切れ込み軸は、タイヤの長手方向の軸に対してGの角度をなす。いくつかの実施態様において、角度Gは、約10‐50°の範囲に及ぶ。
【0157】
別の実施態様において、サイピングのパターンは、回転軸から交互に45°の角度(プラスマイナス10°)で切れ込まれた、3.5mm間隔のダイヤモンド形の斜交平行線模様となっている。実質的に円周方向のサイピング、水路を通して液体を取り去るサイピング、及びその他のサイピングパターンもまた、考慮されている。特定の応用によって、サイピングの深さと角度は変更される。更に、サイピングの深さ又は幅を増加することによって静止摩擦を増大させることができるが、この利点についてはタイヤの発泡体の構造的な保全に対する影響を考慮すべきである。いくつかの実施態様において、例えば、3mm‐4mmの厚さのタイヤで7mm間隔で菱形に交差するサイピングの施されたものは、良好なタイヤ静止摩擦を提供することが見つけ出されている。より大きなタイヤは、より細かく、より深いサイピング、及び/又は広いサイピングを受け入れることができる。追加的に、特別に幅の広いタイヤ又はある種類の材料で作られたタイヤは、効果的な静止摩擦に関して、いかなるサイピングも必要としない場合がある。湿った又は乾燥した表面上、又は異なる種類の表面上において、ある種類のサイピングパターンはより役に立つかもしれないが、様々な応用にわたって一貫性のある静止摩擦を与えるサイピングが、一般目的のロボット掃除機に対しては最も好適であるかもしれない。
【0158】
タイヤはサイプされた外径を含むとして記述されたが、その他の実施も可能である。例えば、タイヤは強度の斜めのV目パターンのある天然ゴムタイヤとすることができる。
【0159】
様々なタイヤの材質、大きさ、構成、サイピング等は、使用中にロボットの静止摩擦に影響を与える。いくつかの実施において、ロボットの車輪は洗浄液の噴霧を直接に通して回転するが、このことは、清掃中に出くわす汚染物質が影響するのと同様に、静止摩擦に対して影響を及ぼす。車輪の静止摩擦が失われることは、ロボットをその予想進路から逸脱させる場合がある、車輪の滑りといった形の動作の非効率を引き起こすことがある。この逸脱は、清掃時間を増加させ、また、電池の駆動時間を減らす場合がある。従って、ロボットの車輪は、対応するモータの最小のサイズとともに、全ての表面において、良好ないし極めて優れた静止摩擦を与えるように構成されるべきである。
【0160】
清掃中に出くわす典型的な汚染物質には、ロボットによって放出された、又はその他の化学物質が含まれる。液体状態であるか(例えば、パイン油、ハンドソープ、塩化アンモニウム等)、又は、乾燥状態にあるかにかかわらず(例えば、粉せっけん、タルク粉、等)、これらの化学物質はタイヤの材質に化学変化を引き起こす場合がある。追加的に、ロボットのタイヤは、湿気のある又は湿った食品型の汚染物質(例えば、ソーダ、ミルク、はちみつ、卵等)、乾燥した汚染物質(例えば、パン粉、米、小麦粉、砂糖等)、及び油(例えば、コーンオイル、バター、マヨネーズ等)に出くわす場合がある。これらの汚染物質は、かす、液体のたまり、油膜、又は乾燥した斑点として遭遇される。上述のタイヤの材質は、これら様々な化学物質及び油によって引き起こされる化学反応に対して抵抗することに関して有効であることが証明されている。追加的に、上述のセルサイズ及びサイピングは、湿った及び乾燥した汚染物質の両方、化学物質又はその他と出くわした時に、静止摩擦を維持する上で役に立つことが証明されている。しかしながら、ある程度の濃度の乾燥した汚染物質は、サイピングの間に挟まるかもしれない。以下に記述されるこの装置で利用される化学洗浄剤は、また、いくらかの汚染物質を乳化することに役に立ち、このことは、ほかの化学物質によって引き起こされる潜在的な損傷を、これらの化学物質を薄めることによって減らす場合がある。
【0161】
使用中に出くわすかもしれない汚染物質に加えて、装置の様々な洗浄装備品(例えば、ブラシ、スクイージ等)は、装置の静止摩擦に対して影響を及ぼす。これらの装置によって作り出される抗力は、この装置の接触の特性(即ち、円形、尖っている、滑らか、起伏のある等)及び、汚染物質によって引き起こされる滑りの可能性は、清掃される表面に応じて変化する。ロボット及び清掃表面の接触する領域を制限することは、付随する摩擦を減らし、このことは牽引力及び動作を向上させる。重量が約5‐15ポンドのロボットにおいて、抗力1.5ポンドに対して、3から5ポンドの推進力が有効であることが証明されている。ロボット洗浄機の重量によって、これらの数字は変化するが、許容可能な性能は約50%未満の抗力で発生し、約30%未満の抗力で向上されることが指摘される。
【0162】
タイヤの材質(及び対応するセルサイズ、密度、硬度等)、サイピング、ロボットの重量、遭遇された汚染物質、ロボットの自律性の程度、床の材質、その他は、全てロボットのタイヤの全静止摩擦係数に対して影響を与える。いくつかのロボット洗浄機に対して、最小可動性しきい値に対する静止摩擦係数(COT)は、0.9kg重の抗力(スクイージの試験において測定される)を、タイヤに対して加えられる通り、2.7kg重の垂直効力で割ることによって定められている。従って、最小可動性しきい値は、約0.33である。しきい値の目標値である0.50は、細かく刻んだ、黒いフォームタイヤの性能を測定することによって定められた。上述の多くの材質の静止摩擦係数は、0.25から0.47のCOT範囲に含まれ、従って、可動性しきい値と目標しきい値との間の許容範囲の間にある。追加的に、洗浄ロボットのさらされる様々な作業条件を考えると、湿った表面と乾燥した表面との間で静止摩擦係数の変動をほとんど示さないタイヤが好ましい。
【0163】
ロボット洗浄装置は、また、タイヤを部分的に又は完全に囲む覆い又はブーティを利用することによって効果を得ることができる。タイヤに関して、静止摩擦を増加させるために、綿、リンネル、紙、絹、多孔質の皮革、セーム革等の吸湿剤を利用することができる。代替的に、これらの覆いは、単純にそれらをカップ形状の車輪要素1102の外径1104に搭載することによって、ゴム引きの車輪全体に取って代ることができる。ゴムタイヤの覆いとして使うか、又はゴムタイヤの完全な代用品として使うかにかかわらず、材質は利用者が交換することができ、又は、基地局または充電ステーションにおいて自動的に取り外して交換される場合がある。追加的に、特定のタイヤを特定の床表面に対して使用するという取扱説明書と共に、ロボットを異なる材質のタイヤのセットと一緒に、消費者に対して提供することができる。
【0164】
ロボット掃除機で利用される洗浄液は、ロボット又は表面そのものに対して損傷を与えずに、汚染物質を容易に乳化し、表面から乾燥したごみを容易に剥離することができるべきである。上述のロボットのタイヤ及び特定の化学物質に関する悪影響を考えて、洗浄液の攻撃性は、短期的及び長期的なタイヤ及びその他のロボットの部品に対する悪影響とのつりあいを保つようにするべきである。これらの問題点を考慮して、実際上は、特定の洗浄に関する要求条件を満たすものであれば、どのような洗浄液でも、洗浄ロボットと共に利用することができる。一般に、例えば、界面活性剤及びキレート剤の両方を含んだ溶液を利用することができる。追加的に、クエン酸のようなpHバランス調整剤を加えることができる。例えばユーカリ、ラベンダー、及び/又はライムといった芳香剤を追加することによって、装置は効果的に洗浄しているという消費者側の認識に寄与することで、そのような洗浄剤の市場性を向上させることができる。青、緑、又はその他の目立つ色は、また、安全性又はその他の理由で洗浄剤を区別するのに役に立つことがある。また、溶液は薄められる場合があるが、それでも、ロボット洗浄機とともに利用する場合には、効果的に洗浄することができる。作業中、ロボット洗浄機が床の特定の領域を複数回通過する可能性は高く、従って、洗浄剤を薄めずに使う必要は低くなる。また、上述の通り、薄めた洗浄剤は、タイヤ及びその他の部品の摩耗の問題を軽減する。ロボットの部品への損傷を引き起こすことがなく、洗浄において有効であることが証明されているそのような洗浄剤の1つは、アルキルポリグルコシド(例えば、1〜3%の濃度)及びテトラカリウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(EDTAテトラカリウム)(例えば、0.5〜1.5%の濃度)を含む。使用中に、この洗浄液は、例えば、約3〜6%の洗浄剤と約94〜97%の水を含む洗浄液を作り出すために、水で薄められる。従って、この場合、実際に床に塗布される洗浄液は、わずか0.03%から0.18%の界面活性剤と0.01から0.1%のキレート剤にすぎないことがある。当然、他の洗浄剤とそれについての濃度を、開示されたロボット掃除機において利用することができる。
【0165】
例えば、米国特許番号6,774,098に開示される界面活性剤及びキレート剤の群は、その開示は参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれているが、また、開示されるタイヤの材質及び構成を持ったロボットに適用することに対して好適である。しかしながら、‘098特許に開示される洗浄剤の攻撃性と機械の部品に対して引き起こされる摩耗とのつりあいを保つため、洗浄剤は、(1)溶媒を含まない、又は、アルコール溶剤のキレート剤の割合より低い割合の溶媒を含む、又は開示された溶媒の1/2から1/100の濃度を持つ、及び/又は、(2)ロボットにおいて利用される決定論的な単一の通過、決定論的な繰り返しの通過、又は無作為の複数回の通過に対して、開示されている濃度のそれぞれ、20%+/−15%(単一の通過)、10%+/−8%(繰り返しの通過)、及び5%から0.1%(無作為の複数回の通過)、更に薄められる、及び/又は、(3)選択された界面活性剤及びキレート剤と混合可能である消泡剤の、市販のカーペット専用洗剤と同じか、それよりも低い割合、例えば、シリコーン・エマルション5%未満、と更に組み合わせられる、及び/又は、(4)生菌培養物の脱臭剤と交換される、又は、融和性のあるように混合される、ことが好ましい。
【0166】
いくつかの実施態様において、ロボット掃除機で利用される洗浄液は、好適には上記(1)、(2)、(3)、及び/又は(4)を条件として、米国特許番号6,774,098に記載される「硬表面洗浄剤」の1つ以上の実施態様を含む(またはそのものとなっている)。米国特許番号6,774,098における「硬表面洗浄剤」のいくつかの実施態様は、以下の段落において記載される。
【0167】
1つの実施態様において、硬表面洗浄剤は、(a)一般式の範囲内のアミノ・オキシドによって構成される界面活性剤系(I):又は一般式の範囲内の第四級アミン塩、(II):又は前述のアミノ・オキシド及び第四級アミン塩の組み合わせ、及び、(b)約0.1から1.0の重量パーセントの範囲の水溶性を持つ非常にわずかな水溶性の極性有機化合物で、非常にわずかな水溶性の極性有機化合物と界面活性剤系との重量比は、約0.1:1から約1:1の範囲にあるものによって構成され、ここで、R1とR2は、同じ又は異なるもので、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル及びヒドロキシプロピルのグループから選択され、R3は、それぞれ、約10から20の炭素原子を持つ、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖ヘテロアルキル、分岐鎖ヘテロアルキル及びアルキル・エーテルで構成されるグループから選択され、R4は1から約5の炭素原子を持つアルキルグループで構成されるグループから選択され、そして、Xはハロゲン原子である。
【0168】
別の実施形態において、硬表面洗浄剤は、(a)(i)非イオン界面活性剤及び第四アンモニウム界面活性剤の組み合わせ、又は、(ii)両面界面活性剤のどちらか一方で、存在する界面活性剤の総量は約0.01‐10%であり、ここで、非イオン界面活性剤は、アルコキシル化アルキルフェノールエーテル、アルコキシル化アルコール、又は、半極性非イオン界面活性剤で構成されるグループから選択され、ここで、半極性非イオン界面活性剤はそれ自身、単一長鎖アルキル、ジ短鎖トリアルキルアミンオキシド、アルキルアミドジアルキルアミンオキシド、ホスフィン・オキシド及びスルホキシドで構成されるグループから選択され、(b)少なくとも25℃で、0.001mmHgの蒸気圧を持つ、少なくとも1つの水溶性又は分散性の有機溶媒を50%程度、(c)キレート剤としての0.01‐25%のテトラアンモニウムエチレンジアミン‐テトラアセテート(テトラアンモニウムEDTA)、及び(d)水をで構成される。
【0169】
更に別の実施形態において、硬表面洗浄剤は、(a)陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、及びそれらの混合物で、オプションで、第4級アンモニウム界面活性剤によって構成されるグループから選択された界面活性剤で、存在する界面活性剤の総量は重量で約0.01‐10%であり、(b)25℃で少なくとも0.001mmHgの蒸気圧を持つ水溶性又は分散性の有機溶媒の少なくとも1つで、その少なくとも1つの有機溶媒は、アルカノール、ジオール、グリコール・エーテル、及びそれらの混合物で構成されるグループから選択され、洗浄剤の重量の約1%から50%が存在し、(c)キレート剤としてのテトラカリウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(カリウムEDTA)、カリウムEDTAは、洗浄剤の重量の約0.01‐25%存在し、及び、(d)水で構成される。
【0170】
さらに別の実施態様において、硬表面洗浄剤は、(a)オプションで、第4級アンモニウム界面活性剤を含む非イオン界面活性剤で、存在する界面活性剤総重量は約0.01‐10%で、ここで、非イオン界面活性剤は、アルコキシル化アルキルフェノール・エーテル、アルコキシル化アルコール、又は半極性非イオン界面活性剤でによって構成されるグループから選択され、半極性非イオン界面活性剤はそれ自身、単一長鎖アルキル、ジ短鎖トリアルキル・アミンオキシド、アルキルアミドジアルキル・アミンオキシド、ホスフィン・オキシド及びスルホキシドで構成されるグループから選択され、(b)25℃で少なくとも0.001mmHgの水蒸気圧を持つ、水溶性又は分散性の有機溶媒の少なくとも1つを50%程度、c)キレート剤としての、0.01‐25%のテトラアンモニウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(テトラアンモニウムEDTA)、及び、(d)水、で構成される。
【0171】
いくつかの実施態様において、硬表面洗浄剤は、約100cps未満の粘度を持ち、(a)溶解された約85%の水と、(b)無機陰イオンの1キログラムにつき少なくとも約0.45の等価物と、ここで、陰イオンは、カルシウムイオンと結合すると、25℃の水に多くて0.2g/100gの溶解性を持つ塩を形成し、陰イオンは炭酸塩、フッ化物、メタケイ酸塩イオン、又はそのような陰イオンの混合物であり、(c)合成物の重量に基づく、少なくとも0.3%の重量の、RR1R2N→Oの形のアミンオキシドを含む洗浄力のある界面活性剤と、ここで、RはC6‐C12のアルキルで、R1とR2は、独立して、C1‐4アルキル又はC1‐4ヒドロキシアルキルであり、かつ、(d)合成物の重量に基づく、少なくとも約0.5重量パーセントの漂白剤と、で構成され、ここで、洗浄合成物は、アルカリ性で、基本的にキレート剤、リン含有塩、及び研磨剤が含まれていない。
【0172】
いくつかの実施態様において、ロボット掃除機で利用される洗浄液は、全て参照することによって本明細書に組み込まれている、米国特許番号5,573,710、5,814,591、5,972,876、6,004,916、6,200,941、及び6,214,784、において記述されている硬表面洗浄剤の1つ以上の実施形態を含んでいる(または、そのものとなっている)。
【0173】
米国特許番号5,573,710は、硬い表面、又は、カーペット及び内装といった硬い繊維質の基板から油や染みを除去するために利用することができる、水性の複数表面洗浄用合成物を開示している。合成物は、(a)一般式の範囲内のアミノオキシドで構成される界面活性剤系、(I):又は一般式の範囲内の第4級アミン塩、(II):又は前述のアミノオキシド及び第4級アミン塩の混合物、及び、(b)非常にわずかな水溶性の極性有機化合物、を含む。この非常にわずかな水溶性の極性有機化合物は、約0.1から1.0重量パーセントの範囲の水溶性を持つ場合があり、かつ、この非常にわずかな水溶性の極性有機化合物の界面活性剤系に対する重量比は、約0.1:1から約1:1の範囲に及ぶ場合がある。R1及びR2は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル、及び、ヒドロキシプロピルで構成されるグループから選択することができる。R1とR2は、同一であっても、又は、異なっていてもよい。R3は、それぞれ10から20の炭素原子を含む、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、直鎖ヘテロアルキル、分岐鎖ヘテロアルキル及びアルキルエーテルで構成されるグループから選択することができる。R4は、1から約5の炭素原子を含むアルキルグループで構成されるグループから選択することができる。Xはハロゲン原子である。
【0174】
いくつかの場合において、合成物は更に、縞を減らすために有効な量の水溶性の有機化合物を含む。水溶性の有機化合物は、水溶性のグリコールエーテル及び水溶性のアルキルアルコールから選択することができる。水溶性の有機化合物は、少なくとも14.5重量パーセントの水溶性を持つことができる。界面活性剤系に対する水溶性の有機化合物の重量比は、約0.033:1から約0.2:1の範囲に及ぶ場合がある。
【0175】
米国特許番号5,814,591は、土壌除去を向上させた、水溶性の硬表面洗浄剤について記述している。洗浄剤は、(a)(i)非イオンの界面活性剤、両性の界面活性剤、又はそれらの結合、又は(ii)第4級アンモニウム界面活性剤、のいずれかで、洗浄に有効な量だけ存在する界面活性剤と、(b)25℃で少なくとも0.001mmHgの水蒸気圧を持つ水溶性有機溶媒、又は、分散性の有機溶媒の少なくとも1つで、少なくとも1つの有機溶媒は、可溶化効果、又は、分散効果を持つ量だけ存在し、(c)キレート剤としてのアンモニウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(アンモニウムEDTA)、アンモニウムEDTAは、洗浄剤における土壌除去を強化するのに有効な量だけ存在し、及び(d)水と、を含む。界面活性剤は全体で、約0.01‐10%の量だけ存在する。非イオンの界面活性剤は、アルコキシル化アルキルフェノールエーテル、アルコキシル化アルコール、又は半極性非イオン界面活性剤で構成されるグループから選択することが可能であり、ここで、半極性非イオン界面活性剤は、それ自身、単一長鎖アルキル、ジ短鎖トリアルキルアミンオキシド、アルキルアミドジアルキルアミンオキシド、ホスフィン・オキシド及びスルホキシドで構成されるグループから選択される。その少なくとも1つの水溶性の有機溶媒又は分散性の有機溶媒は、洗浄剤の重量で、50%程度の量だけ存在する場合がある。アンモニウムEDTAは、テトラアンモニウムEDTAである場合があり、洗浄剤の全重量で、約0.01‐25%の量だけ存在する場合がある。
【0176】
米国特許番号5,972,876は、水溶性の硬表面洗浄剤で、(a)陰イオン性の界面活性剤、非イオン性の界面活性剤、及びそれらの混合物と、オプションで、第4級アンモニウム界面活性剤によって構成されるグループから選択された界面活性剤で、界面活性剤の存在する総量は、洗浄に有効な量で、(b)25℃で少なくとも0.001mmHgの水蒸気圧を持つ、少なくとも1つの水溶性の有機溶媒又は分散性の有機溶媒で、有機溶媒は、可溶化効果又は分散効果を持つだけの量存在し、(c)キレート剤としてのテトラカリウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(EDTAカリウム)、EDTAカリウムは洗浄剤において土壌除去を強化するのに有効な量存在し、及び、(d)水と、で構成されるものを開示している。界面活性剤の総量は、重量で、約0.001−10%存在する場合がある。その少なくとも1つの有機溶媒は、アルカノール、ジオール、グリコールエーテル、及びそれらの混合物で構成されるグループから選択することができ、洗浄剤の重量で、約1%から50%存在する。EDTAカリウムは、洗浄剤の重量で、約0.01‐25%存在する場合がある。
【0177】
米国特許番号6,004,916は、水溶性の、硬表面洗浄剤で、(a)非イオン性の界面活性剤又は両性の界面活性剤かどちらか一方で、オプションで、第4級アンモニウム界面活性剤を含み、界面活性剤は、洗浄に有効な量だけ存在し、(b)25℃で少なくとも0.001mmHgの水蒸気圧を持つ、少なくとも1つの水溶性の有機溶媒又は分散性の有機溶媒で、その少なくとも1つの有機溶媒は、可溶化効果又は分散効果を持つだけの量存在し、(c)キレート剤としてのアンモニウム・エチレンジアミン‐テトラアセテート(アンモニウムEDTA)で、アンモニウムEDTAは、洗浄剤における土壌除去を強化するのに効果的な量存在し、及び、(d)水と、を含むものを開示している。界面活性剤は非イオン性の界面活性剤で、オプションで第4級アンモニウム界面活性剤を含む場合がある。非イオンの界面活性剤は、アルコキシル化アルキルフェノールエーテル、アルコキシル化アルコール、又は半極性非イオン界面活性剤で構成されるグループから選択することが可能であり、ここで、半極性非イオン界面活性剤は、それ自身、単一長鎖アルキル、ジ短鎖トリアルキルアミンオキシド、アルキルアミドジアルキルアミンオキシド、ホスフィン・オキシド及びスルホキシドで構成されるグループから選択される。界面活性剤の総量は、約0.001%‐10%存在する場合がある。その少なくとも1つの水溶性の有機溶媒又は分散性の有機溶媒は、洗浄剤の重量で、50%程度、存在する場合がある。アンモニウムEDTAは、テトラアンモニウムEDTAである場合があり、それは、全洗浄剤の質量で0.01‐25%存在する。
【0178】
米国特許番号6,200,941は、低濃度の硬表面洗浄用合成物を開示している。洗浄用合成物は、(a)少なくとも約85%水で、溶解されたもの、(b)無機陰イオンの1キログラムにつき少なくとも約0.45の等価物と、ここで、陰イオンは、カルシウムイオンと結合すると、25℃の水に多くて0.2g/100gの溶解性を持つ塩を形成し、(c)合成物の重量に基づき、重量で少なくとも約0.3%の洗浄力のある界面活性剤と、を含む。合成物は、約100cps未満の粘度を持つことが好ましい。陰イオンは、炭酸塩、フッ化物、メタケイ酸塩イオン、又はそのような陰イオンの混合物である場合がある。洗浄力のある界面活性剤は、RR1R2N→Oの形のアミンオキシドを含む場合があり、ここで、RはC6‐C12のアルキルで、R1とR2は、独立して、C1‐4アルキル又はC1‐4ヒドロキシアルキルとなっている。合成物は、合成物の重量に基づく、少なくとも約0.5重量パーセントの漂白剤を更に含むことがある。1つの場合において、洗浄用合成物はアルカリ性で、基本的にキレート剤、リン含有塩、及び研磨剤が含まれていない。
【0179】
米国特許番号6,214,784は、米国特許番号5,972,876に開示されているのと同様な合成物を記述している。合成物は、緩衝剤として、炭酸カリウムを含む場合がある。
【0180】
(コントローラモジュール)
コントロールモジュール1000は、双方向通信のために、複数のその他のロボットサブシステムそれぞれと、相互接続されている。ロボットサブシステムとの相互接続は、周知の通り、相互接続された電線、及び、又は、例えば、集積されたプリント回路基板等の導体素子を通して与えられる。いくつかの実施において、コントロールモジュール1000と、1つ以上のロボットサブシステムとの間の双方向通信は、ワイヤレス通信路を通して行われる。コントロールモジュール1000は、例えば、プログラムの手順、アルゴリズム、及び、又は、必要とされる場合には、数学的及び論理演算を実行するマイクロプロセッサといった、プログラム可能な、又は、前もってプログラムされた、デジタルデータ処理装置を少なくとも含む。コントロールモジュール1000は、また、プログラム手順及びその他のデジタルデータを記憶するための、データ処理装置と通信するデジタルデータメモリを含む。コントロールモジュール1000は、また、必要とされる場合にタイミング信号を生成するための、1つ以上のクロック要素を含んでいる。
【0181】
一般的に、ロボット10は、例えば、タイル、木材、ビニール、リノリウム、滑らかな石又はコンクリートで覆われた床や、必要以上に粗くなく、また、すぐに液体を吸収することのない、加工された床被覆層といった、カーペットが敷かれていない屋内の硬い床の表面を洗浄するように構成されている。しかしながら、その他の実施についても、粗い表面、液体を吸収する表面、及びその他の表面を洗浄し、加工処理し、化学薬品などで処理し、さもなければ、行き来するために、適合させることができる。追加的に、又は、代替的に、ロボット10は、居住用の家及び小さな商業施設において特有の、小さな、囲まれた、家具付きの部屋の床の上を自律的に移動するように構成することができる。ロボット10は、所定の清掃経路上で作業することは要求されていないが、囲いの形状又は障害物の分布にかかわりなく作業するように設計された、様々な輸送アルゴリズムによる制御の下で、実質的に清掃表面領域全てにわたって移動することができる。例えば、ロボット10は、3つの基本的な動作モード、すなわち、(1)スポット・カバレッジモード、(2)壁/障害物追従モード、及び、(3)反射モードといった分類が可能である移動パターンといった、様々なモードを実行するための、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、又はそれらの組み合わせの中に実装された、前もってプログラムされた手順に従って、清掃経路上を移動することができる。加えて、ロボット10は、その中に組み込まれたセンサから受信した信号に基づいて、行動を起動するように、前もってプログラムされていて、ここで、そのような行動としては、上述の移動パターンの1つの実行、ロボット10の緊急停止の実行、又は、警報を発することの実行を含むが、これらに限定されるものではない。ロボットのこれらの動作モードは、具体的に、Jonesその他による、Method and Systems for Multi‐Mode Coverage for an Autonomous Robotと表題のつけられた米国特許番号6,809,490に記述されており、その開示全体は、その全体を参照することにより本明細書に含まれるものとする。しかしながら、本開示には、また、別の動作モードが記載されている。
【0182】
ロボット10は、また、ユーザインターフェース400を含んでいる。ユーザインターフェース400は、ユーザ入力に応じて電気信号を生成し、かつ、信号をコントローラ1000に伝える、1つ以上のユーザインターフェースを提供する。利用者は、電源のオン/オフ、開始、停止又は清掃モードの変更といった、行動を起動するためのユーザコマンドを入力することができ、清掃の継続時間を設定することができ、開始時間や継続時間、及び、又は、多くのユーザ起動のコマンドといった清掃パラメータをプログラムすることができる。ユーザインターフェース400は、ロボット10に保持されるユーザインターフェースとして記述されたが、その他の実施も、追加的に、又は、代替的に、可能である。例えば、ユーザインターフェースは、ロボット10に指令を送信するように構成されたリモートコントロール装置(例えば、携帯端末)を含む場合がある。追加的に、又は、代替的に、ユーザインターフェースは、ロボット10に指令を送信するように構成された、プログラム可能なコンピュータ、又は、その他のプログラム可能な装置を含む場合がある。いくつかの実施において、ロボットは音声認識モジュールを含む場合があり、かつ、利用者によって与えられた音声指令に応じることができる場合がある。本発明とともに利用者のために考慮された、ユーザ入力コマンド、機能、及び部品については、具体的に、Dubrovakyその他による、2005年6月24日に出願された、Remote Control Scheduler and Method for Autonomous Robotic Deviceと表題の付けられた、米国特許出願番号11/166,891において記述され、その開示全体は、その全体を参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0183】
(センサモジュール)
ロボット10は、センサモジュール1100を含む。センサモジュール1100は、外部条件を感知するため、及び、内部条件を感知するための、筐体に取り付けられ、ロボットサブシステムと統合された、複数のセンサを含む。様々な条件を感知することに応じて、センサモジュール1100は、電気信号を生成することができ、かつ、その電気信号をコントローラ1100に送ることができる。個々のセンサは、壁及びその他の障害物の検出、表面における崖(時々、クリフと呼ばれる)の検出、表面上のごみの検出、低い電池残量の検出、洗浄液容器が空であることの検出、満載された廃液容器の検出、駆動車輪速度、走行距離、又は、滑りの測定又は検出、崖の検出、回転ブラシの停止、又は、真空システムの故障、又は、ポンプの機能不全といった、洗浄システムの問題の検出、効率の悪い洗浄、洗浄表面のタイプ、システムの状態、温度、及び多くのその他の条件の検出を含む様々な異なる機能のいずれかを実行することができるが、これに限定されるものではない。特に、センサモジュール1100のいくつかの態様及びその操作について、特に、それが外部の要素及び条件と関連する場合に、Jonesによる、Robot Obstacle Detection Systemと表題の付けられた、米国特許番号6,594,844及びCaseyその他による、2005年6月24日に出願された、Obstacle Following Sensor Scheme for a Mobile Robotと表題の付けられた、米国特許出願番号11/166,986に具体的に記述され、それらの開示全体は、それら全体を参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0184】
ロボット10は、湿式洗浄部品にごく近接して、制御部品及びセンサ部品を含んでいる。上述の通り、ロボット10は、家庭における清掃に対する適用において一般的に遭遇する、様々に異なる限定された空間内に適合するような大きさとすることができる。従って、ロボット10の体積の大部分は、液体貯蔵庫1500、液体塗布器1400、及び、真空サブシステム1300によって占められ、それぞれ、ロボット全体を通しての、水、溶媒、及び/又は、廃液の輸送を含む場合がある。湿式の洗浄剤を利用しない、また、廃液を作り出さない、多くの乾燥式の掃除機ロボットと区別されるように、ロボット10のセンサ及びコントロール要素の一部は、密閉され、及び/又は、水、又は、より損傷させる洗浄液、又は、溶媒にさらされることを最小化するように置かれる。多くの産業用掃除機と区別されるように、ロボット10のセンサ及びコントロール要素の一部は、洗浄要素、洗浄液、及び/又は、廃液にごく接近して、詰められる。
【0185】
コントローラ1000は、筐体100に保持され、筐体に沿った様々に異なる位置のいずれかに取り付けられたプリント回路基板を使って実装することができる。例えば、プリント回路基板は、シグナルチャネラ402の上部の、くぼみ部分406で保持される場合がある。
【0186】
主要制御プリント回路基板全体は、少なくともJIS防水保護等級3級(軽い散水)の耐水/液体性を持つ、耐水又は防水のどちらか一方の筐体の中で、液体に対して密閉されるが、5級(強い散水)、7級(一時的な浸水)、及び同等の防水保護のANSI/IEC60529‐2004標準もまた、好適である。いくつかの実施において、主要制御プリント回路基板は、(1)ねじで固定され、ガスケットを施した、主な筐体の外側の覆いによって、(2)主な筐体に対して固定された、溶接した、かしめた、密閉した、又は接着した覆いによって、(3)耐水の、水密の、防水の、又は、密閉されている部分又はモジュールの中で、あらかじめ組み立てられることによって、又は、(4)ポッティングに適した容器、又は、樹脂等の中であらかじめポッティングされた容器の中に置くことによって、JIS3‐7級の筐体の中で密閉される。
【0187】
多くのセンサ要素は、場合によっては部分的なマイクロプロセッサ及び/又はA/Dコンバータ等を含む、局所的な小さな回路基板を持ち、これらの部品は大抵、液体及び腐食に対して影響を受けやすくなっている。いくつかの実施において、ロボット10の本体の間中に分散されているセンサ回路基板は、JIS3級‐7級の筐体の中において同じように密閉される。いくつかの実施において、少なくともその主な回路基板と、その主な基板から数センチメートルの1つの遠隔回路基板(例えば、ユーザインターフェース回路基板)を含む、多重回路基板は、単一の適合する筺体又は覆いによって密閉される場合がある。例えば、回路基板の全て、又は、一部は、局所的なセンサの場所に及ぶ延長部分を持った、単一のプラスチックの構成部分、又は、樹脂の構成部分の中に配置することができる。追加的に、又は、代替的に、区分された覆いを、全ての回路基板の外側に固定することができる。露出した電気的接続部及びセンサ、モータ及び通信回線の端子は、覆い、構成部分、ポッティング、焼きばめ、ガスケット等によって、同様に密閉することができる。このように、実質的に電気システムの全体は、液体から密閉され、及び/又は、洗浄液、及び/又は、廃液から隔離される。ここに、回路基板、プリント回路基板、検出器、センサ等として明示する、すべての電気的又は電子的要素は、そのような密閉の候補である。
【0188】
図21を参照すると、ロボット10の電気的な部品(例えば、プリント回路基板、ファン112)は、ワイヤシール120を使うことによって、実質的に湿気、及び/又は、水から隔離することができる。ワイヤシール120は、電気部品のリード線がワイヤシール120の片側から他方に、その1つ以上の開口部122を通して、通されるような、ワイヤシール120を通して延びる1つ以上の開口部122を定める。リード線がその1つ以上の開口部122を通して延びている状態で、リード線を定位置に保持するために、シーリング材(例えば、ポッティングの材料)を、その1つ以上の開口部122に導入することができる。使用中に、電気的部品はロボット10の実質的に乾燥した部分に取り付けられ、一方で、リード線はワイヤシール120を通して、ロボット10の湿った部分に延びるように、ワイヤシールをロボット10に置くことができる。ワイヤシール120によって与えられる密閉は、湿気、及び/又は、廃液による損傷から電気的部品を保護する場合がある。
【0189】
(全方向受信機)
図22を参照すると、ロボット10は、シグナルチャネラ401の底部に沿って配列された、全方向受信機410を含む。説明のために、図22は廃液吸入導管234及びファン吸入導管114の取り付けられていない、シグナルチャネラ402を示している。全方向センサ410及びその操作の複数の態様について、特にそれがロボットのナビゲーションと方向に関連する場合については、Ozickその他による、AUTONOMOUS COVERAGE ROBOT NAVIGATION SYSTEMと表題の付けられた、米国特許出願番号11/633869に記述され、その開示全体は、その全体を参照することにより、本明細書に含まれるものとする。
【0190】
全方向受信機410は、ロボット10の中心垂直軸20から実質的にずらして(例えば、実質的に前方に)、シグナルチャネラ402に置かれる。全方向受信機410のずらした位置は、コントロールモジュール1000が1つの方向においてより良く反応することを可能にする。いくつかの実施において、そのような感度は、ロボット10が運動中に方向性を見定めることを可能にする。例えば、全方向受信機410が信号を受信した場合、コントロールモジュール1000は、全方向受信機によって受信される信号が弱くなる、及び/又は、消失するまで、ロボット10にその場で回転するように指示することができる。いくつかの実施において、コントロールモジュール1000は、ロボット10が弱まった信号が検出される方向、及び/又は、信号が検出されない方向(例えば、信号源から離れる)に走行するように指示し、そして、もしロボット10が360°回転して、それでもなおビームにはまり込んでいる場合には、ロボット10は180°回転して、解放されるための最後の手段として、前進する。
【0191】
図22に示される通り、全方向受信機410は、シグナルチャネラ402の底部403に実質的に沿って、筐体100に向かって面するように置くことができる。全方向受信機がシグナルチャネラの上の表面から延びる構成(例えば、ロボットの最も高い位置を形成する)と比較して、全方向受信機410をシグナルチャネラ403の底部に沿って置くことは、ロボット10の高さの輪郭全体を低くすることを可能にする。追加的に、又は、代替的に、この構成は、ロボット10が狭い場所を通って、及び/又は、頭上の障害物と衝突する時の損傷から、全方向受信機410を保護することができる。
【0192】
いくつかの実施において、全方向受信機410は、赤外線(IR)の送信を受信するように構成することができる。そのような実施において、ガイド(例えば、光ファイバー)は円錐形の反射器から反射される放射をガイドし、そして、それらを放射受信機に導くことができる。
【0193】
全方向受信機410は、筐体412によって定められる、実質的に空洞414の中に置かれる。カバー416は、空洞414の上に延び、全方向受信機410を囲むための、筐体412とともに実質的に防水の密閉を形成する。いくつかの実施において、カバー416は、例えば、全方向受信機410の交換、及び/又は、修理を可能とするために、筐体に対して解放可能に取り付けられている。筐体412とカバー414との間の実質的な防水の密閉は、様々な異なる密閉のいずれかを含む場合がある。密閉の例には、エポキシ、超音波溶接、ポッティングウェル、溶接した接合部分、栓、ガスケット、高分子膜が含まれる。
【0194】
使用中、能動的な外部装置(例えば、ナビゲーションの無線標識)はシグナルチャネラ402に向かって、信号を送信することができる。シグナルチャネラ402は、信号がシグナルチャネラ402の内部で(例えば、シグナルチャネラを形成する材質の中で)実質的に減衰することなく移動するような、入射信号の全内部反射のために構成されている。いくつかの実施において、シグナルチャネラ402は、実質的に均一の磨いた熱可逆性のポリカーボネート樹脂の層となっている。シグナルチャネラ402を通して移動する信号は、シグナルチャネラ402を通して内部で反射される。全方向受信機410は、シグナルチャネラを通して反射された信号を検出するように配置されている。全方向受信機416は、コントロールモジュール1000と通信(例えば、電気的な通信)している。シグナルチャネラ402を通して移動する信号を検出すると、全方向受信機416は、信号をコントロールモジュール1000に送る。
【0195】
いくつかの実施において、コントロールモジュール1000は、全方向受信機416からの信号に対して、ロボット10を信号源から離すように誘導するために、ホイールモジュール500、501を制御する。例えば、最初の脱出手順として、コントロールモジュール1000は、ロボット10を後方に移動させるために、ホイールモジュール500、501に指示することができる。そのような、後方への移動は、ロボット10が方向性(例えば、ビームから回転して抜け出る)を判定することができるように、ロボット10を更にビームから離れた位置に置くことができる。それに続く脱出手順において、コントローラ1000は、ロボット10を信号から離れる方向に向かわせることができる。
【0196】
いくつかの実施において、ロボット10は、仮想壁パターンを検出するように構成され、ロボットが仮想壁パターンを通過しないように、仮想壁パターンを部屋の壁として処理するようにプログラムされる。
【0197】
いくつかの実施において、ロボット10は、パケット無線ネットワークによって送信されるコマンドを通して、ナビゲーションビームの状態を制御するための無線機を含む。
【0198】
コントロールモジュール1000は、ロボット10が洗浄モードにある間に、ロボット10を第1の領域の周辺に移動させるように構成することができる。洗浄モードにおいて、ロボット10は、出入り口マークの放射(例えば、無線標識からの)の検出に応じて方向を変えることができる。加えて、コントロールモジュール1000は、移動モードの間に、ロボット10を出入り口を通して第二の境界のある領域の中に移動させるように構成することができる。
【0199】
いくつかの実施において、コントロールモジュール1000は、洗浄モードにおいて、ロボット10を第1の境界のある領域内で、あらかじめセットした時間間隔の間移動させるように構成される。あらかじめセットした時間間隔が経過すると、コントロールモジュール1000は、ロボット10を、移動モードにおいて、移動させることができる。移動モードにおいて、コントローラ1000は、湿式洗浄処理を実質的に停止させながらロボットを動かすように、ホイールモジュール500、501を指示することができる。いくつかの実施において、全方向受信機410が出入り口マークの放射にあらかじめセットした回数出くわした時に、移動モードが起動されることがある。
【0200】
(壁追従部)
埃や汚れは、部屋の角に蓄積する傾向がある。清掃の徹底及びナビゲーションを改善するため、ロボット10は壁伝いに走ることができる。追加的に、又は、代替的に、ロボット10は、ナビゲーション戦略の一環として壁伝いに走ることができる(例えば、全体を覆うことを促進する戦略)。そのような戦略を用いることで、ロボットが狭い場所に閉じ込められる傾向を少なくすることができる。そのような閉じ込めは、他の側面として、ロボットがその他の、おそらくより大きな領域を放置することを引き起こす可能性がある。
【0201】
壁追従部を用いることで、ロボットと壁との間の距離は、実質的に壁の反射性に依存しなくなる。そのような一貫した位置決めは、暗色及び淡色の壁の近くで、一様に、実質的に同じ有効性で、ロボット10が清掃することを可能にする。壁追従部は、赤外線エミッタ及び検出器を含む、二重視準システムを含む。そのような視準システムにおいて、視界の円錐が交差する、限定された、選択可能な体積が存在するように、赤外線エミッタ及び検出器の視野は制限される場合がある。幾何学的に、センサは乱反射及び正反射の両方を検出できるように配置することができる。この配置は、ロボット10の壁伝いの距離を、実質的に壁の反射性とは独立に、正確に制御することを可能にする。ロボット10が、ロボットと壁との間で維持する距離は、壁の反射性には依存しない。
【0202】
図4及び図23A‐Bを参照すると、ロボット10は、実質的にバンパー300の右側面に沿って置かれた、壁追従部センサ310を含む。壁追従部センサ310は、フォトン検出器314の実質的に前方の光学的エミッタ312を含む。いくつかの実施において、壁追従部センサ310及び光学的エミッタ312の位置は、壁追従部センサ310が実質的に光学的エミッタ312の前方となるように、逆にすることができる。
【0203】
エミッタ312及び検出器314は、それぞれ、バンパー300によって定められる、又は、バンパー300に取り付け可能な筐体によって定められる場合のある、コリメータチューブ316、318の中に配置される。コリメータチューブ316、318は、エミッタ312の放射領域が、検出器314の視野と、壁追従部センサの前方の離れた場所(例えば、約1cmから約10cm)において交差するように、お互いに接近して、平行に近い向きに配置される。エミッタと検出器とが直接壁に向けられる、より遅く動くロボットにおいて用いられる壁追従部センサと比較して、エミッタ312及び検出器314の平行に近い向きは、エミッタ312と検出器314との間の所定の隔たりに対して、より離れた、また、より深い交差区域をもたらす。いくつかの実施において、エミッタ312の放射領域と検出器314の視野との間に形成される角度は、約10°から30°となっている(例えば、20°)。この範囲内の角度は、壁に対する角度と信号強度との間の単調な関係をもたらす。いくつかの実施において、エミッタ及び検出器それぞれの視準器は、お互いの方へ曲げられている。いくつかの実施において、それぞれの視準器の角度は、ロボットの前進速度が変化するにつれて、変えることができる。
【0204】
光学的エミッタ312及びフォトン検出器314の平行に近い向きは、ロボット10が壁から近距離内で壁伝いに走ることを可能にする。エミッタの視準器と検出器の視準器が実質的にお互いの方へ曲げられている方向付けと比較して、光学的エミッタ312とフォトン検出器314の平行に近い方向付けは、壁からの距離と信号強度との間のより線形な関係をもたらすことができる。
【0205】
図23Bは、壁追従部センサ310の作用の概略図を示している。エミッタ312は、壁319に向かって信号320を放射することができる。壁319は、反射された信号312’が壁から様々な異なる方向に散乱されるように、信号を反射する。反射された信号320’の少なくとも一部は、検出器314の視野に向かって反射されて戻る。反射された信号320’の検出器の視野内での検出は、コントローラ1000への信号を生成する。いくつかの実施において、コントローラ1000は、ロボット10と壁319との間の距離を制御するために信号を用いる。
【0206】
図24を参照すると、コントロールモジュール1000は、壁追従部センサ310によって検出された、実質的に平行な、壁からの固定距離において、ロボットの動きを制御するための信号に応じて、ホイールモジュール500、501を制御するロジックを含む場合がある。壁追従部センサ310は、反射が検出されるまで352、エミッタからの信号を変調350し、検出器からの信号を検出する場合がある。その後、壁はロボットに隣接し、コントロールモジュール1000は、ロボットを壁から離し354、次に、反射(壁)が再度検出されるまで358、ロボットを逆戻りさせる356。連続的にロボットの曲率半径を減らすことによって360、壁に沿っているロボットの経路をより滑らかにすることができる。追加的に、又は、代替的に、コントローラ1000は、ロボットが壁伝いに走行する時に、ロボットの壁からの距離を実質的に一定に維持することを結果として生ずることのできる、検出された信号の、実質的に一定のアナログ値を維持するように、ロボット10を誘導することができる。
【0207】
光学的エミッタから放射された信号を検出することに加えて、又は、そのことに代えて、フォトン検出器314をその他の信号の受信機として用いることができる。例えば、フォトン検出器314は、シリアルデータ伝送を受信する赤外線ポートとして用いることができる。フォトン検出器314を通しての、そのようなデータの伝送は、密閉することが困難で、利用されない場合には水漏れの経路として作用する場合のあるケーブルポートに対する必要性を低下させることができる。いくつかの実施において、コントロールモジュール1000は、フォトン検出器314を、壁伝い走行モードとデータ伝送モードとの間で交換することができる。例えば、ロボット10が動いていないことをコントロールモジュール1000が検出した時(例えば、ホイールモジュール500、501から受信した電圧及び電流信号を通して)、コントロールモジュール1000は、データ伝送符号に関して、フォトン検出器314を監視することができる。データ伝送符号を検出した時、コントロールモジュール1000は、フォトン検出器314を、上述の通り、フォトン検出器を通してデータを伝送可能な、データ伝送モードに切り替えることができる。追加的に、又は、代替的に、データ伝送符号を検出した時に、コントロールモジュール1000は、内部の無線シリアルポート(例えば、BLUETOOTH無線シリアルポート)から、外部の、壁伝い走行シリアルポートに、特定のコマンド又はスイッチボタンを要求すること無しで、切り替えることができる。コントロールモジュール1000は、データ伝送が完了するまで、ロボットが動くことを止めることができる。例えば、コントロールモジュール1000は、壁伝い走行センサ310がシリアルポートとして動作可能にされている間(例えば、ロボットの電源がオンにされているが、清掃はしていない時)、ホイールモジュール500、501を動かすことを拒絶することができる。いくつかの実施において、ロボットが動いていることをコントロールモジュール1000が検出した時、コントロールモジュール1000は、ロボット10が動いている間に、コントローラ1000がソフトウェアの更新を受信しないように、データ伝送符号を無視する。
【0208】
壁追従部について記述された。
【0209】
(衝突センサ)
衝突センサは、ロボットが障害物に物理的に遭遇したかどうか検出するために用いることができる。衝突センサは、ロボットが障害物に遭遇したことを判定するために、電気容量又はロボット内の物理的な変位を利用することができる。
【0210】
図7を参照すると、筐体100は、実質的に筐体100の前方部分に沿った右衝突センサ330及び左衝突センサ332を保持する。衝突センサ330、332は、前後軸22の両側に実質的に均一に置かれ、中心垂直軸20に沿って、実質的に同じ高さに置かれる。上述の通り、バンパー300は、バンパー300が障害物に出くわした場合に、前後軸22に沿って後方に移動できるように、蝶番110によって、筐体100に取り付けられる。衝突がない場合、バンパー300は、各衝突センサ330、332の実質的に前方の間近に蝶番式接着によって筐体100に保持されている。バンパー300が後方に動いた場合(例えば、障害物と出くわすことを通して)、バンパー300は、コントロールモジュール1000によって検出可能な衝突信号を作り出すために、衝突センサ330、332の片方又は両方を押すことができる。
【0211】
検出された衝突信号に応じて、コントロールモジュール1000は、衝突から離れるように誘導することができる。例えば、コントロールモジュール1000は、ロボットを後方に動かすことができる。いくつかの実施において、バンパー300は、その衝突の方向性の判定のために、衝突センサ330、332を用いることができるように、衝突に応じて横に動く場合がある。例えば、バンパー300が右側面において障害物と遭遇した場合、バンパー300は、右衝突センサ330と接触するように、左の方に横に動くことができる。コントロールモジュール1000が、右衝突センサ330からの信号を検出したが、左衝突センサ332からの信号を検出しなかった場合、コントロールモジュール1000は、感知された衝突条件から離れる、左の方に向けてロボットを移動させる、脱出行動を起動することができる。類似した例において、コントロールモジュール1000は、ロボット10の左側面において検出された衝突から離れるように、ロボットを誘導することができる。
【0212】
いくつかの実施において、コントロールモジュール1000は、衝突センサ330、332の片方又は両方が起動された時に、清掃ルーチンを中断することができ(例えば、洗浄表面への液体の塗布を停止する)、また、追加的に、又は、代替的に、脱出ルーチンの完了時点で、清掃ルーチンを再開することができる。いくつかの実施において、衝突センサは、検出された衝撃がしきい値を上回る場合に(例えば、衝撃は、ロボットが表面から落ちたことを示している)、コントロールモジュールが清掃ルーチンを停止できるように、バンパーの遭遇した力学的な衝撃の量を検出することができる。
【0213】
例解及び説明のために、以下において右衝突センサ330が詳述される。左衝突センサ332は、右衝突センサ330と類似した特徴を含み、かつ、他に特に示されなければ、右衝突センサ330と同一である。
【0214】
図25及び26を参照すると、衝突センサ330は、センサ本体340、センサ本体340の表面上に支持されたコーン342、及び、実質的にコーン342を支持する表面と反対の、センサ本体340の表面上に保持された、バンパースイッチプリント回路基板346を含む。センサ本体340は、バンパースイッチプリント回路基板346を実質的に定位置に保持するための、バンパースイッチプリント回路基板346のエッジ領域に延びるように構成された、重複領域347を含む。重複領域347は、バンパースイッチプリント回路基板346を定位置に保持するための少量の接着剤を含む場合がある。バンパースイッチプリント回路基板346は、電気回路を保持し、かつ、コントローラモジュール1000との電気的通信のために構成されている。
【0215】
コーン342は、幅の広い端341及び幅の狭い端343を含み、截頭円錐状の空洞をそれらの間に定める。幅の広い端341は、センサ本体340から離れるように支持されている。使用中、障害物に遭遇すると、バンパー300は幅の広い端341に接触する。導電性の球形348がコーン342の幅の狭い端343に沿って配置される。導電性の球形348は炭素の場合があり、追加的に、又は、代替的に、パックの形に形成される場合がある。
【0216】
センサ本体340は、センサ本体340から延びるドーム型の空洞を形成する、弾力性のある領域344を含む。弾力性のある領域344は、コーン342の幅の狭い端を支持し、コーン342の幅の広い端は、弾力性のある領域344から離れるように延びている。導電性の球形348の少なくとも一部は、バンパースイッチプリント回路基板から少し離れて(例えば、少なくとも約2mm)、弾力性のある領域344によって形成されるドーム型の空洞の中に延びている。
【0217】
弾力のある領域344は、導電性の球形348がバンパースイッチプリント回路基板346に接触し、バンパースイッチプリント回路基板346の上に保持された回路を完成させる機械的なスイッチとして作用するように(例えば、コントローラモジュール1000への信号を作り出す)、コーン342の幅の広い端341に及ぼされた圧力に応じて、センサ本体340に向かって曲がるように構成されている。いくつかの実施において、コーン342、及び/又は、弾力性のある領域344は、バンパー300との接触によって作り出される力学的な衝撃のいくらかを吸収し、従って、導電性の球形348からバンパースイッチプリント回路基板346に伝わる力を減らすことができる。コーン342のそのような変形は、障害物と出くわした力学的衝撃が、バンパースイッチプリント回路基板346に損傷(例えば、破損)を与える可能性を低くすることができる。
【0218】
コーン342の幅の広い端から圧力が取り除かれると、弾力性のある領域344は、コーン342を、バンパースイッチプリント回路基板346から離れた、実質的にその初期位置に戻す。導電性の球形348がバンパースイッチプリント回路基板346から離れて配置される状態においては、バンパースイッチプリント回路基板346に保持された回路は不完全であり、コントロールモジュール1000には信号は送られない。
【0219】
いくつかの実施において、基部340及びコーン342は、シリコーンから一体的に形成される。いくつかの実施において、シリコーンは、コーン342の幅の狭い端348の上の実質的に定位置において、導電性の球形348を保持するために、導電性の球形348の上に流し込まれる。
【0220】
(クリフセンサ)
クリフセンサは、ロボットの一部(例えば、前方部分)が境界(例えば、崖)に遭遇したかどうかを検出するために用いることができる。クリフセンサは、オプションの、崖の存在を検出するためのエミッタと検出器の対を用いることができる。崖検出器からの信号の応じて、ロボットは、様々な異なる崖回避行動のいずれかを起動することができる。
【0221】
図27を参照すると、バンパー300は、それぞれバンパー300の下部に沿って配置された、左クリフセンサ360、中央クリフセンサ362、及び右クリフセンサ364を含む。クリフセンサ360、362、364は、お互いに実質的に均一に間隔をあけられ、かつ、各センサ360、362、364は表面に向けて、下方に向けられている。クリフセンサ362は、実質的に補給ドア304の下方の、バンパー300の中央付近に配置されている。
【0222】
図28を参照すると、左及び右クリフセンサ360、364は、それぞれバンパー300の右及び左端付近に配置され、かつ、それぞれ、車輪504及び505の実質的に前方に置かれ、かつ、実質的に1列に並べられている。そのような右及び左クリフセンサ360、364の配置は、ロボット10に対して、崖事象を検出し、検出された崖事象に対してうまく応じる(例えば、1つ以上の車輪が崖を越える前に停止させるために、前方への推進力に打ち勝つこと)ための十分な時間を許容する一方で、高速の前進速度(例えば、約200mm/sから400mm/s)でロボット10が移動することを可能にする。例えば、クリフセンサ360における崖事象を検出した時に、車輪504は、表面との接触を維持することが可能で、かつ、脱出手順において、牽引力及び後方への推進力を提供することができる。ロボットの重さが、洗浄液を満載して2kg未満で、かつ、最大前進速度約200mm/sから約400mm/s(例えば、約300mm/s)で移動するような実施において、クリフセンサ360、364は、実質的に、それぞれの車輪504、505の後方約50mmから約100mmの間に置かれる。
【0223】
図29を参照すると、クリフセンサ360、362、364は、それぞれ実質的にお互いの方に向けられている、エミッタコリメータチューブ368及び検出器コリメータチューブ370を定める、筺体366をそれぞれ含んでいる。光学的エミッタ372は、実質的に、エミッタコリメータチューブ368内に配置され、そして、フォトン検出器374は、実質的に、検出器コリメータチューブ370内に配置される。光学的エミッタ372は、表面378に向かう信号376を作り出す。表面378から反射した信号376’は、検出器コリメータチューブ370に向かって戻り、そして、フォトン検出器374によって検出される。
【0224】
図30を参照すると、各クリフセンサ360、362、364は、数キロヘルツの周波数でエミッタを変調し、その周波数に合わせられた検出器からの信号はどれでも検出する380。検出器から信号が出力されない時、382、予期されている表面は存在せず、そして、張り出しは検出されない。それに応じて、ロボットに崖を回避させるための、回避アルゴリズムが起動される384。反射された信号が検出された時、処理が継続される380。
【0225】
いくつかの実施において、クリフセンサ360、362、364は、ロボット10の静止状態を検出するために用いることができる。ロボットの湿潤要素204は、受動的な要素なので、従って、クリフセンサ360、362、364の信号処理に対しては、実質的に干渉しない。従って、例えば、ロボット10が表面に沿って移動する時に、コントローラ1000は、揺動動作において、ロボット10を前後に動かすことができる。ロボット10の他の部品からの干渉は実質的になしで、各クリフセンサ360、362、364は反射された信号376’の中の小さな変動を検出することができ、その変動は、ロボットが表面を横切って動く時の表面の変化に対応している(例えば、直線動作中、旋回運動中、揺動動作中)。反射された信号376’の変動がないことは、ロボット10が動けない状態にあることの表示である。
【0226】
(静止状態センサ)
静止状態センサは、ロボットが実際に動いているか、いないかを検出するために用いることができる。例えば、静止状態センサは、障害物の上でロボットが傾けられたり、又は、立ち往生する時のように、ロボットが障害物に対して引っかかっているかどうか、又は、駆動車輪が床からはなれているかどうかを検出するために用いることができる。湿式洗浄の適用において、静止状態センサは、表面に塗布された洗浄液の上で車輪が滑っているかどうかを検出することができる。そのような状況において、移動ロボットが駆動車輪に力を加えると、ロボットは動かないが、駆動車輪は空転することがある。
【0227】
図3、31を参照すると、静止状態センサ540は、右ホイールモジュール500の内側にて、筺体100に保持されている。静止状態センサ540は、横軸500に実質的に整列させられていて、そして、表面と荷重を担わずに接触している。図31は、ホイールモジュール500が取り外された状態での、筺体100に保持される静止状態センサを示している。静止状態センサ540は、ロボットが動くにつれて、横軸23の周りを回転する。
【0228】
図32を参照すると、静止状態センサ540は、中央の穴543を定め、そして、中央の穴543からずれた、磁石収納部548を定める静止状態ホイール542を含む。ハブ544は、実質的に中央の穴543に整列させられ、静止状態ホイール542を回転可能に車輪の筺体に固定するように構成されていて、そして、ロボットの移動中、静止状態ホイール542が、表面又は床との摩擦接触に応じて、自由に回転することを可能にする。磁石546は、磁石収納部548の中に配置(例えば、圧入)される。
【0229】
使用中、静止状態センサ540は回転し、磁石546はロボットのリードスイッチを起動する。リードスイッチの起動は、例えば、コントローラ1000によって検出可能な信号を作り出す。この構成において、静止状態センサ540は、静止状態ホイール1回転あたり、1信号パルスを作り出す。静止状態センサ540によって作り出された信号は、静止状態の検出、及び/又は、走行距離計測法のために用いることができる。いくつかの実施において、各駆動車輪は、静止状態センサを含む。そのような構成において、コントローラ1000は、各センサからの出力の相違に基づいて、ロボットの動きを判定することができる。例えば、コントローラ1000は、ロボットが曲がっているかどうか、及び、どの方向にロボットが曲がっているかについて判定することができる。
【0230】
静止状態センサはリードスイッチを起動する磁石を含んでいるとして記述されたが、その他の実施も可能である。いくつかの実施において、静止状態センサは、光学的エミッタ及びフォト検出器の対が、実質的に静止状態センサを横切って置かれる、ブレークビーム配列を含む場合がある。センサが回転する時、エミッタ/検出器の対は、回転する静止状態ホイールによるビームの途切れを検出することができる。
【0231】
いくつかの実施において、静止状態ホイールは、交互に並ぶ、明部と暗部を含む場合がある。二色のホイールが回転する時に、明部から暗部への遷移(及びその逆)を検出するため、光学センサが静止状態ホイール付近に置かれる場合がある。二色のホイールの明部と暗部の検出の間の対比を測定することによって、光学センサは、二色のホイールが、例えば、動作、速度、又は静止状態の検出に役立てるには汚れすぎている、又は、不明瞭になっていることを示す、コントローラへの信号を出力することができる。それに応じて、コントローラは、別の静止状態検出システムに移行する。
【0232】
いくつかの実施において、静止状態センサは、ロボットを推進するために1つ以上の駆動車輪を回転させる駆動モータによって受け取られる電流(以下「駆動電流」)を測定する、駆動モータ電流センサを含む。駆動モータ電流センサ及び駆動モータは、どちらも駆動ホイールモジュールによって保持される場合がある。駆動電流がしきい値よりも高い場合、静止状態センサは、ロボットが静止状態にあると判定する。駆動電流がしきい値よりも低い場合、静止状態センサは、車輪に加えられる負荷が低すぎると判定する(例えば、車輪が滑っている)。
【0233】
図33を参照すると、いくつかの実施において、静止状態は、揺動センサ550を用いて検出することができる。揺動センサ550は、お互いに向き合っていて、かつ、筺体552の中に実質的にV字形の空洞555を定める二つの面556、554を持つ、筺体552を含む。筺体552は、V字形の空洞の両側に配置された、光学的エミッタ558及びフォト検出器560を含む。光学的エミッタ558は、信号をフォト検出器560に送信し、フォト検出器560は信号を感知するように構成されている。コントローラ1000が揺動動作においてロボット10を動かす時、揺動動作に応じて、球(示されない)はV字形の空洞を上下に動く。V字形の空洞内の球の動きは、光学エミッタ558とフォト検出器560との間を通過する信号の中断として検出される。そのような中断は、ロボット10が、揺動動作に応じて動いていることの証拠である。光学エミッタ558とフォト検出器560との間を通過する信号が揺動動作中に途切れない場合、コントローラ1000は、その途切れない信号を静止状態として解釈する。
【0234】
コントローラ1000は、第一静止状態検出システムから第二静止状態検出システムへの移行のために、アルゴリズムを用いることができる。移行は、単一である場合(完全に及び直ちに切り替わる)があり、又は、程度及び/又は時間について段階的(例えば、第一静止状態検出システム、及び/又は、第二静止状態検出システムに、信頼係数を適用することにより)である場合もある。コントローラ1000は、第一及び第二の静止状態検出システムに従う積分方程式に従って、評価された入力を積分することにより、両方の静止状態検出システムからの入力を同時に評価することができる。
【0235】
(電源モジュール/インターフェースモジュール)
電源モジュール1200は、全ての主要なロボットサブシステムに対して電力を供給することができる。電源モジュール1200は、例えば、ニッケル水素電池等といった充電式電池のような、筺体100に取り外し可能に取り付けられた自己完結した電源を含む。加えて、電源は、様々な異なる再充電要素、及び/又は、再充電方法のいずれかによって再充電されるように構成されている。いくつかの実施において、電池が放電されたか、又は、使用できなくなった時に、電池は利用者によって交換できるようになっている。コントローラ1000は、また、電力の配分を制御するため、消費電力を測定するため、及び、必要に応じて電力節約モードを起動するために、電源モジュール1200と連動できるようになっている。
【0236】
ロボット10は、1つ以上のインターフェースモジュール1700を含む場合がある。各インターフェースモジュール1700は、筺体100に取り付けられ、そして、1つ以上の外部デバイスとの相互接続のための相互接続要素又はポートを備える場合がある。相互接続要素は、ロボット10の外部表面上で利用可能なポートとなっている。コントローラ1000は、また、ロボット10の外部デバイスとの相互作用を制御するために、インターフェースモジュール1700と連動することができる。とくに、従来型の交流又は直流の電源出力のような、外部の電力供給装置又は電源を通して充電式電池を充電するために、1つのインターフェースモジュール要素を提供することができる。再充電式電池を充電するためのインターフェースモジュールは、ロボット10の充電ポートに水がある場合に再充電式電池の充電を防止するための、短絡閉回路を含むことがある。いくつかの実施において、再充電式電池は、電池の充電経路に水がある場合に回路を切断するヒューズを含む。
【0237】
別のインターフェースモジュール要素を無線ネットワーク上の片方向又は双方向の通信のための構成することができ、そして、さらなるインターフェースモジュール要素を、例えば、洗浄液の容器を満たすための、液体の交換及びそれとともに微粒子を放つための1つ以上の機械的なデバイスと連動するように構成することができる。
【0238】
ロボット10と連動する能動的外部デバイスは、据置型ドッキングステーション、携帯用制御デバイス、ローカル又は遠隔コンピュータ、モデム、ロボット10とコード、及び/又は、日付をやりとりする携帯用メモリ、ロボット10とネットワークに接続されたいずれかのデバイスとをつなぎ合わせるネットワークインターフェースを含む場合があり、また、これに限定されない。加えて、インターフェースモジュール1700は、収納のためロボット100を壁に固定するため、又は、ロボットをキャリングケース等に固定するための、留め金又は外れ止め機構といった受動要素を含む場合がある。
【0239】
いくつかの実施において、能動的デバイスは、仮想的壁パターン内に信号を送信することによって、ロボット10を部屋といった清掃場所に限定することができる。ロボット10は、仮想的壁パターン(例えば、上述の通り、全方向受信機を使って)を検出するように構成することができ、また、仮想的壁パターンを通過しないように、仮想的壁パターンを部屋の壁として処理するようにプログラムされる。そのような構成は、Jonesその他による、Method and System for Robot Localization and Confinementと表題の付けられた、米国特許番号6,690,134に記述されていて、その開示全体は、全体として本明細書に組み込まれる。
【0240】
いくつかの実施において、能動的外部デバイスは、ロボット10と連動する基地局を含む。基地局は、例えば交流電源の壁コンセントといった家庭の電源と接続される固定部、及び/又は、給水管、排水管及びネットワークインターフェースといったその他の家庭の設備を含む場合がある。ロボット10及び基地局は、自律型ドッキングのために構成することができ、基地局は、さらに、ロボットの電源モジュール1200を充電し、その他の方法でロボットを使えるようにするように構成することができる。自律型ドッキング及びロボットの電源モジュールの再充電のために構成された基地局及び自立型ロボットについては、Cohenその他による、2004年1月21日に出願された、Autonomous Robot Auto−Docking and Energy Management Systems and Methodsと表題の付けられた、米国特許出願番号10/762,219に記述されていて、その全開示は、参照することにより、その全体として本明細書に含まれるものとする。
【0241】
本明細書において記述されたロボットの詳細及び特徴と結合できる、その他のロボットの詳細及び特徴については、これとともに同時に出願された、COMPACT AUTONOMOUS COVERAGE ROBOTと表題が付けられ、出願番号_______,の割り当てられた米国特許出願において見出すことができ、当該出願の全内容は、参照することにより、本明細書に含まれるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方及び後方の端を持つ筺体(100)と、
前記筺体(100)に保持され、かつ、前記ロボット(10;11)を清掃表面上で動かすように構成され、右及び左の駆動される車輪を含む駆動システム(1600)と、
前記筺体(100)に保持され、かつ、前記清掃表面と接触する収集部(208、232)及び前記収集部(208、232)と液体をやりとりできるようにされ、前記収集部(208、232)を通して前記清掃表面から廃液を吸引するように構成された吸引部(112、114)を含む真空部(1300)と、
前記筺体(100)に保持され、かつ、前記真空部(1300)によって除去された廃液を収集するために前記真空部(1300)と液体をやりとりできるようにされた収集容器(W)と、
前記筺体(100)に保持され、かつ、洗浄液を収容するように構成された供給容器(S)、及び、
前記筺体に保持され、かつ、前記供給容器(S)と液体をやりとりできるようにされ、前記筺体(100)の実質的に前記前方の端の近くで前記洗浄表面に洗浄液を施すように構成された塗布器(202)と、
を含み、
前記ロボット(10;11)の全体積の少なくとも約25パーセントは、洗浄液が前記塗布器(202)から施され、及び、廃液が前記真空部(1300)によって収集されるにつれて、前記供給容器(S)内の洗浄液から前記収集容器(W)内の廃液に移る一方で、前記供給容器(S)及び収集容器(W)は、前記右及び左の車輪によって定められる横軸に沿った、実質的に一定の重心を維持するように構成されている、
表面処理ロボット(10;11)。
【請求項2】
前記供給容器(S)の少なくとも一部は、実質的に前記収集容器(W)内に配置された内袋を含み、前記内袋は、前記ロボット(10;11)の全体積の少なくとも約25パーセントの洗浄液の体積を収納するために拡張でき、かつ、前記内袋は、前記収集容器が前記ロボット(10;11)の全体積の少なくとも約25パーセントの廃液の体積を収納できるようにするために畳むことができる、
請求項1に記載の表面処理ロボット(10;11)。
【請求項3】
前記湿潤要素(204、220)は、実質的に弓形の形状を持ち、前記湿潤要素(204、220)は、前記清掃表面と接触するように、前記湿潤要素(204;220)から延びた複数の毛(222)を含み、前記複数の毛(222)は、前記ロボットが駆動されるにつれて、前記湿潤要素(204;220)が障害物と接触する時に生成される力を分散させるために、実質的にお互いに独立して変形するように構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の表面処理ロボット。
【請求項4】
前記真空部の前記収集部(208、232)は、前記湿潤要素(204;220)の横方向の寸法と実質的に同じ横方向の寸法を持ち、前記右及び左の差動駆動される車輪(504;505)は、前記湿潤要素(204;220)の前記横方向の寸法以下の横方向の寸法を定める、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の表面処理ロボット。
【請求項5】
前記真空部(1300)の前記吸入部(112、114)は、ファン(112)及び前記ファン(112)と液体をやりとりできるようにされ、かつ、前記真空室(608)と液体をやりとりできるようにされている吸入導管(114)を含み、前記ファン(112)は、前記収集部(208、232)から前記真空室(608)に廃液を引き込むための、前記真空室(608)内の負の空気圧を作り出すために、前記吸入導管(114)を通して、前記真空室(608)から空気を引き込むように構成され、前記ファン(112)は、前記収集部(208、232)から前記真空室(608)に廃液を引き込むための、前記真空室(608)内の負の空気圧を作り出すために、前記吸入導管(114)を通して、前記真空室(608)から空気を引き込むように構成されている、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の表面処理ロボット。
【請求項6】
前記供給容器(S)は、第一のポート(602)を定め、かつ、前記収集容器(W)は第二のポート(104)を定め、前記第一のポート(602)は、廃液が前記収集区画(W)から出される間に、前記供給容器(S)に洗浄液が加えられた時に、前記ロボット(10;11)が実質的に同じ向きに維持されるように、実質的に前記第二のポートの反対側に配置される、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の表面処理ロボット(10;11)。
【請求項7】
前記筺体(100)に保持され、かつ、前記筺体(100)の前記前方の端に実質的に沿って配置されたバンパーを更に含み、前記バンパー(300)は、前記供給容器(S)の前記第一のポート(602)の利用を提供する開口部を定める、
請求項6に記載の表面処理ロボット(10;11)。
【請求項1】
前方及び後方の端を持つ筺体(100)と、
前記筺体(100)に保持され、かつ、前記ロボット(10;11)を清掃表面上で動かすように構成され、右及び左の駆動される車輪を含む駆動システム(1600)と、
前記筺体(100)に保持され、かつ、前記清掃表面と接触する収集部(208、232)及び前記収集部(208、232)と液体をやりとりできるようにされ、前記収集部(208、232)を通して前記清掃表面から廃液を吸引するように構成された吸引部(112、114)を含む真空部(1300)と、
前記筺体(100)に保持され、かつ、前記真空部(1300)によって除去された廃液を収集するために前記真空部(1300)と液体をやりとりできるようにされた収集容器(W)と、
前記筺体(100)に保持され、かつ、洗浄液を収容するように構成された供給容器(S)、及び、
前記筺体に保持され、かつ、前記供給容器(S)と液体をやりとりできるようにされ、前記筺体(100)の実質的に前記前方の端の近くで前記洗浄表面に洗浄液を施すように構成された塗布器(202)と、
を含み、
前記ロボット(10;11)の全体積の少なくとも約25パーセントは、洗浄液が前記塗布器(202)から施され、及び、廃液が前記真空部(1300)によって収集されるにつれて、前記供給容器(S)内の洗浄液から前記収集容器(W)内の廃液に移る一方で、前記供給容器(S)及び収集容器(W)は、前記右及び左の車輪によって定められる横軸に沿った、実質的に一定の重心を維持するように構成されている、
表面処理ロボット(10;11)。
【請求項2】
前記供給容器(S)の少なくとも一部は、実質的に前記収集容器(W)内に配置された内袋を含み、前記内袋は、前記ロボット(10;11)の全体積の少なくとも約25パーセントの洗浄液の体積を収納するために拡張でき、かつ、前記内袋は、前記収集容器が前記ロボット(10;11)の全体積の少なくとも約25パーセントの廃液の体積を収納できるようにするために畳むことができる、
請求項1に記載の表面処理ロボット(10;11)。
【請求項3】
前記湿潤要素(204、220)は、実質的に弓形の形状を持ち、前記湿潤要素(204、220)は、前記清掃表面と接触するように、前記湿潤要素(204;220)から延びた複数の毛(222)を含み、前記複数の毛(222)は、前記ロボットが駆動されるにつれて、前記湿潤要素(204;220)が障害物と接触する時に生成される力を分散させるために、実質的にお互いに独立して変形するように構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の表面処理ロボット。
【請求項4】
前記真空部の前記収集部(208、232)は、前記湿潤要素(204;220)の横方向の寸法と実質的に同じ横方向の寸法を持ち、前記右及び左の差動駆動される車輪(504;505)は、前記湿潤要素(204;220)の前記横方向の寸法以下の横方向の寸法を定める、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の表面処理ロボット。
【請求項5】
前記真空部(1300)の前記吸入部(112、114)は、ファン(112)及び前記ファン(112)と液体をやりとりできるようにされ、かつ、前記真空室(608)と液体をやりとりできるようにされている吸入導管(114)を含み、前記ファン(112)は、前記収集部(208、232)から前記真空室(608)に廃液を引き込むための、前記真空室(608)内の負の空気圧を作り出すために、前記吸入導管(114)を通して、前記真空室(608)から空気を引き込むように構成され、前記ファン(112)は、前記収集部(208、232)から前記真空室(608)に廃液を引き込むための、前記真空室(608)内の負の空気圧を作り出すために、前記吸入導管(114)を通して、前記真空室(608)から空気を引き込むように構成されている、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の表面処理ロボット。
【請求項6】
前記供給容器(S)は、第一のポート(602)を定め、かつ、前記収集容器(W)は第二のポート(104)を定め、前記第一のポート(602)は、廃液が前記収集区画(W)から出される間に、前記供給容器(S)に洗浄液が加えられた時に、前記ロボット(10;11)が実質的に同じ向きに維持されるように、実質的に前記第二のポートの反対側に配置される、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の表面処理ロボット(10;11)。
【請求項7】
前記筺体(100)に保持され、かつ、前記筺体(100)の前記前方の端に実質的に沿って配置されたバンパーを更に含み、前記バンパー(300)は、前記供給容器(S)の前記第一のポート(602)の利用を提供する開口部を定める、
請求項6に記載の表面処理ロボット(10;11)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2012−45403(P2012−45403A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230659(P2011−230659)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【分割の表示】特願2010−507698(P2010−507698)の分割
【原出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(502432084)アイロボット コーポレイション (40)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【分割の表示】特願2010−507698(P2010−507698)の分割
【原出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(502432084)アイロボット コーポレイション (40)
【Fターム(参考)】
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