説明

表面処理機能炭および炭の表面処理方法

【課題】本発明は、観賞用置物の炭でありながら、室内等の空気浄化、消臭効果等、従来の炭の特性を大幅に向上させ、且つ活用しながら、さらに炭に無い環境改質機能を強力に付加した技術を提供するものである。
【解決手段】微粉炭(2)を含有させた、樹脂塗料(1)を原炭(3)の表面に塗布したもの。また、微粉炭(2)と、マイナスイオン発生粉体組成物(4)を含有させた樹脂塗料(1)を、原炭(3)の表面に塗布したもの。また、微粉末希土類(5)と微粉炭(2)を含有させた、樹脂塗料(1)を原炭(3)の表面に塗布したもの。あるいは、ゼオライト等の微粉末多孔質体(6)と、マイナスイオン発生粉体組成物(4)を含有させた、樹脂塗料(1)を原炭(3)の表面に塗布したもの。さらには、ゼオライト等の微粉末多孔質体(6)と、微粉末希土類(5)を含有させた、樹脂塗料(1)を原炭(3)の表面に塗布したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観賞用置物の炭でありながら、室内等の空気浄化、消臭効果等、従来の炭の特性を大幅に向上させ、且つ活用しながら、さらに炭に無い環境改質機能を強力に付加した技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
古来、木炭や竹炭等の原炭(3)は窯釜を使う伝統的な工法により作られてきたが近年ではガスや液体燃料を使って、熱風炉で行うバッチ炉方式等がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、原炭(3)は崩れやすく、原型を保つにも搬送、移動にもその取扱いには気をつける必要があり、また手や衣服に接触すると、炭の粉が黒く付着して汚れる問題があり、その作業性が悪かった。とくに原炭(3)のままでは、インテリア品としては不向きであった。
本発明は、原炭(3)のまま利用するので、このような点を改善する為にも、なされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの課題を解決する手段として、まず請求項1の記載による発明は、備長炭や竹炭等を砕いた、微粉炭(2)を樹脂塗料(1)と混合する。そしてこの樹脂塗料(1)をバインダーとして、原炭(3)の表面に塗布する。そして塗布された原炭(3)を適当なる時間放置した後、焼付乾燥を行い形成したものである。
ここで使用する原炭(3)は、その表面に付着するゴミ、塵、埃や炭粉を取るためと、炭の多孔ホールの内部にわざわざ浸透させるために、水またはエタノールで洗浄されている。
【0005】
そして、請求項2の記載による発明は、微粉炭(2)とマイナスイオン発生粉体組成物(4)を樹脂塗料(1)と混合し、これを原炭(3)の表面に塗布した物である。この使用されるマイナスイオン発生粉体組成物(4)は、トルマリン粉末(比重A、平均粒子径a)と電融安定化酸化ジルコニウムを除くジルコニウム化合物粉末(比重B、平均粒子径b)との混合物であって、トルマリン粉末100重量部に対して電融安定化酸化ジルコニウムを除くジルコニウム化合物粉末が、100Bb/3Aa〜1000Bb/Aa重量部配合されてなるものと、トルマリン粉末(比重A、平均粒子径a)と電融安定化酸化ジルコニウム粉末(比重C、平均粒子径c)との混合物であって、トルマリン粉末100重量部に対して電融安定化酸化ジルコニウム粉末が25Cc/Aa〜1000Cc/Aa重量部配合されてなるものである。つまりマイナスイオンを極めて多量に発生させることができる。
【0006】
また、請求項3の記載による発明は、微粉末希土類鉱石(微粉末放射線鉱石)と微粉炭を樹脂塗料(1)と混合して、原炭(3)の表面に塗布したものである。微粉末希土類鉱石(微粉末放射線鉱石)の放射線量は許可量370ベクレル/g以下で使用する。なお370ベクレル/g以下とは化学技術庁告示第15号で定められている。
【0007】
請求項4の記載による発明は、活性炭およびゼオライト等の微粉末多孔質体(6)とマイナスイオン発生粉体組成物(4)を樹脂塗料(1)と混合して、原炭(3)の表面に塗布したものである。
【0008】
さらに請求項5の記載による発明は、活性炭およびゼオライト等の微粉末多孔質体(6)と微粉末希土類鉱石(微粉末放射線鉱石)を樹脂塗料(1)と混合し、原炭(3)の表面に塗布したものである。
【0009】
本発明のバインダーとしての樹脂塗料(1)は、アクリルエマルジョン樹脂塗料、メラミン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、塩ビ系樹脂塗料、ニトロセルロースラッカー、フタル酸樹脂塗料、アミノアルキッド樹脂塗料、ビニル樹脂塗料ポリウレタン樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹脂塗料、ケイ素樹脂塗料、フェノール樹脂塗料等の使用が挙げられる。また着色顔料を添加してカラー化も開発した。
【発明の効果】
【0010】
木の原型そのままの木炭、つまり原炭(3)で室内での置物とするが、樹脂塗料(1)の被膜により、外部からの摩擦力、衝撃力に対して強くなり、外観損傷や表面の炭粉末の脱落も無くなり、アート作業に於いても手や衣服が汚れずに取り扱いができる。またこの被膜は、使用環境中での炭自体の化学的影響(湿度や水の付着等)を緩和することができ、炭の性能寿命が半永久的に伸びる。
【0011】
また視覚的癒しの置物としてだけでなく、従来の炭では得られない、室内空間での多量マイナスイオンの発生による作用効果が大きく、また防カビ効果としての調湿作用効果や、炭が持っている超微細多孔質体の為、そのトンネル作用による浮遊悪成分(ホルムアルデヒドガスやその他化学物質ガス等)の吸着分解効果があり、またアンモニアその他悪臭等を強力に消臭する消臭作用効果があり、さらに炭の持つ導電性を前記の有効な各添加物を含有した樹脂塗膜により、原炭(3)全体に途切れさせることなく、導通させて導電性を特に高めるので、電磁波吸収効果も大きく、このために室内空間環境が大幅に改善される数々の効果が得られた。
【0012】
とくに本発明は、従来の木炭に新しい技術を付加したもので、炭の持っている効果を大幅に高めると共に、炭に無い能力も大きな効果として持ち合わせており、また原炭(3)の直径が150φ〜1000φの大型のものになるので、効果は甚大である。
【0013】
さらに本発明の炭の表面処理方法としての塗装方法により、その被膜(塗膜の事)にピンホールを故意に発生させる技術で、炭の多孔質と連通しているので炭表面は被膜で密閉されることなく、効率の良い炭のトンネル作用を引出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は実施する上で、最良の形態としてはベースとなる加工技術より形成されている。まず、使用する原炭(3)は内部まで完全に炭になっていなければならないが最大1000φにもなる原炭(3)は、通常の炭焼き条件では作ることはできない。つまり、通常では大きな原木は内部まで高温で焼こうとすると、外形が崩れてしまうので、図4に示すごとく例えば、炭径300φの場合は1カ所に60φ(20%径)の貫通孔、もしくは未貫通孔のもの、あるいは炭径300φで3カ所に21φ(7%径)の貫通孔、もしくは未貫通孔を設けて600℃〜700℃の中温で、時間をかけて焼くと芯まで良く焼けて形状も崩れずに、品質の良い原炭(3)ができることを検証した。つまり貫通孔および未貫通孔である、ガス抜孔(7)を設けることにある。
【0015】
次に、この原炭(3)の表面処理方法が、最も重要な技術であり最良の形態である。図3のごとく、炭の表面処理プロセスとして、使用する原炭(3)の表面を、水またはエタノールで奇麗に洗浄する。この洗浄方法には、水洗水フルディップ法(8)やスプレー水洗法(9)等がある。これにより炭表面に付着したゴミ、塵、埃、炭粉等が奇麗に洗い流され塗装前準備が完了する。
【0016】
ここで重要なのが水洗浄により、炭の超微細の多くの孔内部まで水分を浸透させることである。この浸透した水分を故意に残した状態で乾燥を止めることが、本発明の特徴である。この水分を残す理由としては、塗装段階に於いて、炭内部の残留水分が乾燥工程で蒸発する際に、水蒸気が被膜つまり塗膜(15)を破り、塗膜表面に無数のピンホール(16)を形成させる為である。この無数に発生したピンホール(16)が、炭本体(17)の多孔質機能を有効且つ効率的に活用できるからである。
【0017】
次に自然水切り(10)を行い、表面の指触乾燥検査(11)で表面が乾燥したことを確認して、塗布塗裝(12)を行う。そして次に被塗裝物表面の塗料がよく馴染むように5分〜15分程度自然放置して、塗料中の揮発成分を気化させて塗膜(15)を安定させる、つまりセッティング(13)する。
【0018】
セッティング後に被塗装物を乾燥炉内に投入して、塗膜の焼付け硬化を行う。つまり焼付乾燥(14)を行う。前述したように本焼付け工程では、炭内部に浸透した水分が、過熱により沸点まで上昇して一気に雰囲気中に放出される。この際、塗膜自身も熱硬化反応が進行し、徐々に塗膜が形成されるが、同時に被塗裝物内部(原炭)からの水蒸気圧力の影響で至る所に、無数の塗膜ピンホール(孔明き現象)が発生することが確認された。これは分子レベルで水蒸気が塗膜を突き破り微細な孔を発生する。
【0019】
このピンホール(16)と炭内部の孔(18)が連通して、本発明の最大の特徴であるトンネル効果が得られる。この炭の持つ超微細多孔ホールは、臭気や化学物質の吸着分解等の効果に極めて優れた性能を発揮することは、広く人々に認められている。
【0020】
図1および図2に示す通り、炭内部の孔(18)と塗膜のピンホール(16)を主とする、本発明のトンネル効果について説明している。請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、の記載に於いて、原炭(3)の多孔質を最大限に生かす為、樹脂塗料(1)には、炭本体(17)と同じ成分である微粉炭(2)を添加するので、またはゼオライト等の微粉末多孔質体(6)を添加するので、原炭(3)の多孔部と微粉炭(2)の多孔部、または前記微粉末多孔質体の多孔部と、樹脂塗料(1)の無数の超微細なピンホール(16)が連通し、ジョイントしてトンネル効果を効率的に形成する。これにより木炭つまり、原炭(3)の持つ多孔質をコーティングで完全封止させることなく、多孔のトンネル内部奥まで、内外気(19)の交換流通が行われ、この時に空気中のゴミ、塵、埃 化学物質ガスや臭気等を、吸着し、またはイオン交換作用で分解してしまう効果、つまりトンネル効果のメカニズムが形成される。
以下、請求項1の記載による発明の、樹脂塗料(1)と添加物の配合比率と効果検証結果を表1に示した。
【0021】
【表1】

また、請求項2の記載による発明の、樹脂塗料(1)と添加物の配合比率と効果検証結果を表2に示した。
【0022】
【表2】

【0023】
表2の検証のごとく、本発明は従来の炭ではとうてい得られない、マイナスイオンが室内空間周囲に供給されていることを実証している。
次に、請求項3の記載による発明の、樹脂塗料(1)と添加物の配合比率と効果検証結果を表3に示した。
【0024】
【表3】

【0025】
表3の検証のごとく、本発明では従来の炭ではとうてい得られない、高密度マイナスイオンの発生と、消臭効果、調湿効果が室内に供給されていることを実証している。
次に、請求項4の記載による発明の、樹脂塗料(1)と添加物の配合比率と効果検証結果を表4に示した。
【0026】
【表4】

【0027】
表4の検証のごとく、本発明では従来の炭ではとうてい得られない、マイナスイオンの発生と、消臭効果、調湿効果が室内に供給されていることを実証している。
最後に、請求項5の記載による発明の、樹脂塗料(1)と添加物の配合比率と効果検証結果を表5に示した。
【0028】
【表5】

【0029】
表5の検証のごとく、本発明では従来の炭ではとうてい得られない、高密度マイナスイオンの発生と、消臭効果、調湿効果が室内に供給されていることを実証しているが、希土類(放射線量は許可量の370/Bg以下とする)が添加される事によりマイナスイオンの発生率は顕著に増加する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 本発明の断面図である。
【図2】 本発明の輪切断面図である。
【図3】 本発明の表面処理プロセス図である。
【図4】 本発明の大型原炭の炭焼説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 樹脂塗料
2 微粉炭
3 原炭
4 マイナスイオン発生粉体組成物
5 微粉末希土類
6 ゼオライト等の微粉末多孔質体
7 ガス抜孔
8 水洗水フルディップ法
9 スプレー水洗法
10 自然水切り
11 指触乾燥検査
12 塗布塗装
13 セッティング
14 焼付乾燥
15 塗膜
16 ピンホール
17 炭本体
18 炭内部の孔
19 内外気
20 炭焼釜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉炭(2)を含有させた、樹脂塗料(1)を原炭(3)の表面に塗布したものであって、原炭(3)は予め、水およびエタノールで洗浄してから適度に乾燥させたものを使用し、これに塗装を施し、適当なる時間の間、放置してから、焼付乾燥を行ってなる、表面処理機能炭および炭の表面処理方法。
【請求項2】
微粉炭(2)と、マイナスイオン発生粉体組成物(4)を含有させた樹脂塗料(1)を、原炭(3)の表面に塗布した、請求項1に記載の表面処理機能炭および炭の表面処理方法。
【請求項3】
微粉末希土類(5)と微粉炭(2)を含有させた、樹脂塗料(1)を原炭(3)の表面に塗布した、請求項1に記載の表面処理機能炭および炭の表面処理方法。
【請求項4】
ゼオライト等の微粉末多孔質体(6)と、マイナスイオン発生粉体組成物(4)を含有させた、樹脂塗料(1)を原炭(3)の表面に塗布した、請求項1に記載の表面処理機能炭および炭の表面処理方法。
【請求項5】
ゼオライト等の微粉末多孔質体(6)と、微粉末希土類(5)を含有させた、樹脂塗料(1)を原炭(3)の表面に塗布した、請求項1に記載の表面処理機能炭および炭の表面処理方法。
【請求項6】
着色顔料を入れてカラー化した、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5に記載の表面処理機能炭および炭の表面処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−151783(P2006−151783A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374846(P2004−374846)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(598028051)株式会社 日本ハネック (16)
【出願人】(500497722)株式会社豊中産業 (3)
【Fターム(参考)】