説明

表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置、この搬送装置のクランプ

【課題】 薄板状被処理物の両側縁部を保持して水平搬送するクランプの自動開閉を確実かつ円滑に行なえるようにする。
【解決手段】 クランプ9の自動開閉を、エンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段に取付けられて回転駆動されるクランプ9の上部に付設したクランプ開閉ガイド係合部材35の係合部36がクランプ開閉ガイド20の高位ガイド上面部20aに沿って転動される係合状態において閉状態から上下方向に離間された開状態に制御されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドレスに回転駆動されるクランプ群で薄い板状被処理物の両側縁を保持して一方向に水平搬送させ、この水平搬送過程で被処理物に表面処理を施す装置の搬送装置、及びこの搬送装置に用いるクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
板状被処理物を水平状態で一方向に搬送させ、この搬送過程で板状被処理物の表面に電解処理を施す処理装置としては、特許文献1の板状物体の電解処理装置が公知である。この電解処理装置は、板状物体が水平状態で電解室に供給され、一定滞留時間該電解室を連続的に通過し、電解処理後に電解室から再び搬出される、板状物体上に金属を電着する装置であり、板状物体を電解室を通して運搬するための搬送装置が、搬送域中で板状物体の側縁を挟持して搬送方向に移動する、エンドレスに回転して駆動される個々のクランプの列として構成され、電解室内にある板状物体の搬送路の始端と終端には、クランプによる板状物体の挟持および開放を惹起する装置が設けられたものである。
【0003】
この特許文献1では、クランプの開閉制御を、クランプとして、ばね圧下に締付ける2つの屈曲部材17、18が使用され、かつクランプの非搬送域にわたって延びる傾斜レール32の傾斜面33に一方又は双方の屈曲部材が係合することにより板状物体を開放する、構成にしてある。そして、第2図の実施形態では、前記クランプは、屈曲部材17、18ごとに、双方の屈曲部材のリンク継手20の上方に存在しかつ屈曲部材の上部アーム34,39の間で突張る圧縮ばね19が設けられていて、屈曲部材17の上部の折曲端34が傾斜面33に係合すると、連結点20を中心にして屈曲部材17の下端部21が開く方向に旋回し、屈曲部材17,18の下端部21、22が相互に離れる、開放状態となるようにしてある。しかし、この文献のクランプ開閉制御は、連結点20を中心にして屈曲部材17の下端部21が開く方向に旋回し、屈曲部材17,18の下端部21、22が相互に離れる、開放状態となるようにしてあるため、開放状態において、屈曲部材17,18の下端部21、22の上下方向の離間幅を広くとれない。このことは、クランプで掴んでいた板状物体を開放する動作を困難にしていると共に、特にクランプで板状物体を掴む動作を困難にしている。すなわち、上下方向の離間幅が狭い開状態のクランプに水平状態の板状物体を的確に供給することが困難である。しかも、この文献のクランプ開閉制御は、傾斜レール32の傾斜面33に屈曲部材の折曲端34を面接触させて係合させる構成であるため、傾斜面を移動通過する屈曲部材への抵抗が大きく、クランプの円滑な開閉動作を困難にしている。
【0004】
また、特許文献1の電解処理装置では明らかにされていないが、この種の表面処理装置では、電解処理槽から搬出された板状被処理物は、同方向に直列的に配置した複数の後処理槽(水洗処理槽、防錆処理槽、水切り乾燥処理槽など)内を水平搬送され、この搬送過程で電解処理された板状被処理物に水洗処理、防錆処理、水切り乾燥処理などの後処理が施される。この水平搬送手段としては、特許文献1のようなクランプ搬送(板状被処理物の両側端部をクランプして水平搬送するクランプ搬送手段)で電解処理槽を通過させた板状被処理物を、例えば、ローラコンベア搬送で水洗処理槽や防錆処理槽を通過させ、再びクランプ搬送で水切り乾燥処理槽を通過させることが行われている。しかし、板状被処理物をクランプ搬送、ローラコンベア搬送、クランプ搬送のように異なる搬送手段でリレー搬送する場合、クランプ搬送とローラ搬送との搬送リレーで、板状被処理物を正確に且つスムーズに受け渡しするのが技術的に困難である。特に、ローラ搬送からクランプ搬送への搬送リレーでは、板状被処理物を正確に且つスムーズに受け渡しするのが技術的に困難である。しかも、ローラコンベア搬送では、板状被処理物の板面への擦り傷や圧痕が発生し、板状被処理物がローラへ巻き込まれる弊害もある。
【0005】
また、特許文献1では、エンドレスに回転して駆動される個々のクランプを、このクランプの戻り経路で金属除去槽内を通過させ、クランプに付着した金属の除去を行っている。しかし、エンドレスに回転して駆動されるクランプの搬送経路と戻り経路の間には、電解処理槽と金属除去槽の槽間の仕切り板が介在し、この仕切り板の頂部は回転駆動されるクランプの下端部より高いため、エンドレスに回転駆動されるクランプを電解処理槽と金属除去槽の間を通過させるのが技術的に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平6−31476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題(第1の課題)は、エンドレスに回転駆動されるクランプ群で板状被処理物の両側縁を保持して被処理物を水平搬送しながら表面処理する装置において、被処理物の搬送通路の始端部と終端部でクランプによる板状被処理物の保持及び開放を確実かつ円滑に行なえる、チャック自動開閉制御機構を含む搬送装置を提供することである。
【0008】
また、本発明が解決しようとする課題(第2の課題)は、薄い板状被処理物の両側端部をクランプして水平搬送するクランプ搬送手段で、複数の処理槽の間に各処理槽内を通過する板状被処理物の水平な搬送面より高い仕切り板が介在する搬送通路を確実に且つスムーズに通過させる薄板状被処理物の搬送装置を提供することである。
【0009】
また、本発明が解決しようとする課題(第3の課題)は、エンドレスに回転駆動されるクランプを、このクランプの戻り経路でクランプに付着した金属などの付着成分を剥離する剥離処理槽を含むクランプ洗浄処理槽を通過させ、クランプに付着した金属などの付着成分の剥離し洗浄を行う場合でも、電解処理槽と剥離処理槽を含むクランプ洗浄処理槽の槽間の仕切り板が介在する駆動経路をクランプがスムーズに通過できる、搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題(第1の課題)を解決するため、本発明(請求項1の発明)は、平行な両側縁をもつ薄板状被処理物が水平供給手段によって板面を上下にした水平搬送面高さレベルによる水平状態で表面処理槽に供給され、該表面処理槽を該水平搬送面高さレベルによる水平状態で連続的に搬送させて通過し、表面処理後に被処理物が水平搬出手段によって表面処理槽から搬出される、被処理物に表面処理を施す装置において、被処理物を表面処理槽の通過区間に亘って水平搬送面高さレベルによる水平状態で搬送するための搬送装置が、表面処理槽における薄板状被処理物の搬送通路を間にした両側にそれぞれ設けた水平搬送手段によって構成され、各水平搬送手段はエンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段に等間隔をおいて多数のクランプを取付けてそれぞれ構成され、前記クランプは水平搬送面高さレベルによる水平状態の被処理物の側縁部を上下方向において保持及び開放する下クランプ部と上クランプ部を備え、各水平搬送手段のクランプ群は、同期した速度で回転駆動され、搬送通路側の各直線駆動経路部を互いに平行で且つ前記搬送通路を間にして離間させた横幅間隔を有しており、搬送通路側の各直線駆動経路部にあるクランプ群で被処理物の両側縁部を同期的に保持して、表面処理槽の通過区間に亘って薄板状被処理物を水平搬送面高さレベルによる水平状態で搬送方向に移動するように構成し、前記水平搬送手段は、被処理物の搬送通路の始端部を通過するクランプを開状態から被処理物の側縁部を保持可能な閉状態に制御し、被処理物の搬送通路の終端部を通過するクランプを閉状態から被処理物の側縁部を開放可能な開状態に制御する、クランプ自動開閉制御機構をそれぞれ備え、このクランプ自動開閉制御機構が、前記クランプ群の回転駆動経路に沿う、始端部側の旋回駆動経路部から回転駆動方向における搬送通路の始端部の直前位置に至る位置及び搬送通路の終端部から回転駆動方向における旋回駆動経路部へ至る位置にそれぞれ配設した、高位ガイド上面部を有するクランプ開閉ガイドを備え、前記クランプは、エンドレスに回転駆動される前記水平搬送駆動手段に取付けられた固定クランプ杆の下端部に前記下クランプ部を形成し、この固定クランプ杆に上下動自在に保持される可動クランプ杆の下端部に前記上クランプ部を形成し、可動クランプ杆を圧縮バネのバネ圧によって下動させ、可動クランプ杆の上クランプ部と固定クランプ杆の下クランプ部を常態において上下方向に閉じた閉状態に制御してあり、且つ、前記クランプの上部にはクランプ開閉ガイド係合部材を付設してあり、このクランプ開閉ガイド係合部材は、前記クランプ開閉ガイドの高位ガイド上面部に沿って転動可能な係合部をもち、このクランプが前記クランプ開閉ガイドの位置を通過する際に、この係合部が高位ガイド上面部に沿って転動される係合状態において、前記可動クランプ杆が前記圧縮バネのバネ圧に抗して上動され、前記可動クランプ杆の上クランプ部と前記固定クランプ杆の下クランプ部が上下方向に離間された開状態に制御されるように構成した、ことを特徴とする表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置を提供する。
【0011】
また、本発明(請求項2の発明)は、前記クランプ開閉ガイドが、クランプの回転駆動方向における、中間部を前記高位ガイド上面部とし、この高位ガイド上面部の両側を該高位ガイド上面部から徐々に低位となる傾斜ガイド上面部とした、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置を提供する。
【0012】
また、本発明(請求項3の発明)は、前記クランプ開閉ガイド係合部材が、略L字型の反転レバーの屈曲部を支点部として前記固定クランプ杆側に支点軸によって反転自在に軸着され、この反転レバーの下方アーム部の先端を前記可動クランプ杆の上部に回動自在に連結し、前記反転レバーの上方アーム部の先端に前記クランプ開閉ガイドのガイド上面部に沿って転動自在な回転ローラを取付けて構成し、この回転ローラが前記高位ガイド上面部に沿って転動する係合状態において、前記上方アーム部が前記支点軸を軸心として上方向に反転され、前記下方アーム部に連結された前記可動クランプ杆を上動させ、前記可動クランプ杆の上クランプ部と前記固定クランプ杆の下クランプ部を上下方向に離間させた開状態に制御されるように構成した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置を提供する。本発明(請求項3の発明)によれば、前記クランプ開閉ガイドのガイド上面部に沿って転動自在な回転ローラと反転レバーの梃子作用で円滑に可動クランプ杆を上下動させることができ、クランプの開閉を円滑にできる。
【0013】
また、本発明(請求項4の発明)は、前記各水平搬送手段に、搬送通路側の前記直線駆動経路部を移動するクランプ群を水平方向にガイドする固定ガイドレールをそれぞれ備えた、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置を提供する。
【0014】
また、本発明(請求項5の発明)は、前記固定ガイドレールを、前記クランプを介して搬送される被処理物に陰極の電流を給電する給電レールとして機能させた、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置を提供する。
【0015】
また、本発明(請求項6の発明)は、エンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段に取付けられて回転駆動され、この回転駆動経路における直線駆動経路部で薄板状被処理物の一側縁又は両側縁を保持して該被処理物を水平状態で一方向に搬送する搬送装置のクランプであり、このクランプは、板面を上下にした薄板状被処理物の側縁部を上下方向において保持及び開放する下クランプ部と上クランプ部を備え、エンドレスに回転駆動される前記水平搬送駆動手段に取付けられる固定クランプ杆の下端部に前記下クランプ部を形成し、この固定クランプ杆に上下動自在に保持される可動クランプ杆の下端部に前記上クランプ部を形成し、可動クランプ杆を圧縮バネのバネ圧によって下動させ、可動クランプ杆の上クランプ部と固定クランプ杆の下クランプ部を常態において上下方向に閉じた閉状態に制御してあり、且つ、前記クランプの上部にはクランプ開閉ガイド係合部材を付設してあり、このクランプ開閉ガイド係合部材が、略L字型の反転レバーの屈曲部を支点部として前記固定クランプ杆側に支点軸によって反転自在に軸着し、この反転レバーの下方アーム部の先端を前記可動クランプ杆の上部に回動自在に連結し、前記反転レバーの上方アーム部の先端に回転ローラを取付けて構成し、この回転ローラが前記クランプの前記回転駆動経路における旋回駆動経路部に設けられるクランプ開閉ガイドの高位ガイド上面部に沿って転動する係合状態において、前記上方アーム部が前記支点軸を軸心として上方向に反転し、前記下方アーム部に連結された前記可動クランプ杆を上動させるようにし、前記可動クランプ杆の上クランプ部と前記固定クランプ杆の下クランプ部を上下方向に離間させた開状態に制御されるように構成した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置のクランプを提供する。
【0016】
また、前記した課題(第2の課題)を解決するため、本発明(請求項7の発明)は、薄板状被処理物の搬送通路を間にした両側にエンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段をそれぞれ設け、各水平搬送駆動手段に間隔を置いて多数のクランプを取付け、前記搬送通路を間にして互いに平行な内側の搬送駆動経路の直線駆動経路部にあるクランプ群でフレキシブルな薄板状被処理物の両側部を上下方向から保持して該被処理物の板面を上下にした略水平状態で一方向に搬送させ、この搬送過程で複数の処理槽を通過させ各処理槽で被処理物に表面処理を施す装置であり、前記クランプは、前記水平搬送駆動手段に連結され且つこの水平搬送駆動手段の駆動経路の直線駆動経路部の下方位置に水平方向に配置した固定ガイドレールに沿って滑り接触しながら移動されるように外嵌されるクランプ取付け体と、このクランプ取付け体に設けた固定ガイド部に上下方向にスライド移動自在に保持されるクランプ本体を含み、このクランプ本体の上部に下限制御ストッパーを設け、クランプ本体の自重による下動によって前記下限制御ストッパーが前記クランプ取付け体の上面に係止される下限位置をクランプ本体の下降位置としてあり、このクランプ本体の下端部に薄板状被処理物の側縁部を上下方向から保持し得るクランプ部を位置させ、このクランプ部は前記クランプ取付け体より下方に位置させ、このクランプ本体に該クランプ本体が上下作動されるための上下作動ガイド用係合部を設けてあり、前記クランプ本体に設けた前記上下作動ガイド用係合部と係合させて該クランプ本体の上下動位置を処理槽間の仕切り板を飛び越え可能な上昇位置と処理槽内を水平に通過する下降位置とに案内する上下作動ガイド手段を少なくとも処理槽間の仕切り板の飛び越え位置のクランプの駆動経路に沿って配置した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置を提供する。
【0017】
また、前記した課題(第3の課題)を解決するため、本発明(請求項8の発明)は、薄板状被処理物の搬送通路を間にした両側にエンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段をそれぞれ設け、各水平搬送駆動手段に間隔を置いて多数のクランプを取付け、前記搬送通路を間にして互いに平行な内側の搬送駆動経路の直線駆動経路部にあるクランプ群でフレキシブルな薄板状被処理物の両側部を上下方向から保持して該被処理物の板面を上下にした略水平状態で一方向に搬送させ、この搬送過程で表面処理槽を通過させて被処理物に表面処理を施す装置であり、且つ、前記表面処理槽の両側に前記クランプに付着した金属などの付着成分を剥離する剥離処理槽を含むクランプ洗浄処理槽を並列的に配置し、外側の戻り駆動経路の直線駆動経路部にあるクランプ群が前記クランプ洗浄処理槽内を通過するようにした装置であり、前記クランプは、前記水平搬送駆動手段に連結され且つこの水平搬送駆動手段の搬送駆動経路と戻り駆動経路のそれぞれの直線駆動経路部の下方位置に水平方向に配置した固定ガイドレールに沿って滑り接触しながら移動されるように外嵌されるクランプ取付け体と、このクランプ取付け体に設けた固定ガイド部に上下方向にスライド移動自在に保持されるクランプ本体を含み、このクランプ本体の上部に下限制御ストッパーを設け、クランプ本体の自重による下動によって前記下限制御ストッパーが前記クランプ取付け体の上面に係止される下限位置をクランプ本体の下降位置としてあり、このクランプ本体の下端部に板状被処理物の側縁部を上下方向から保持し得るクランプ部を位置させ、このクランプ部は前記クランプ取付け体より下方に位置させ、このクランプ本体に該クランプ本体が上下作動されるための上下作動ガイド用係合部を設けてあり、前記クランプ本体に設けた前記上下作動ガイド用係合部と係合させて該クランプ本体の上下動位置を、前記表面処理槽と前記クランプ洗浄処理槽の間の仕切り板を飛び越え可能な上昇位置と、前記表面処理槽内及び前記クランプ洗浄処理槽内を水平に通過する下降位置とに案内する上下作動ガイド手段を少なくとも処理槽間の仕切り板の飛び越え位置の戻り駆動経路の直線駆動経路部に沿って配置した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置を提供する。
【0018】
また、本発明(請求項9の発明)は、前記戻り駆動経路の旋回駆動経路部にあるクランプ群が前記表面処理槽内を通過するようにし、前記戻り駆動経路の直線駆動経路部にあるクランプ群が前記クランプ洗浄処理槽内を通過するように構成し、戻り駆動経路の直線駆動経路部に処理槽間の飛び越え位置を配し、上下作動ガイド手段を戻り駆動経路の直線駆動経路部に沿って配置した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置を提供する。この発明によれば、上下作動ガイド手段を戻り駆動経路の直線駆動経路部に沿って配置してあるため、上下作動ガイド手段に沿って移動されるクランプの処理槽間の飛び越え移動がスムーズに行える。
【0019】
また、本発明(請求項10の発明)は、前記上下作動ガイド手段が、前記上下作動ガイド用係合部を支承して係合するガイドレールで、処理槽間の仕切り板の飛び越え位置の前記直線駆動経路部の方向に沿って配置されたガイドレールであり、このガイドレールが、処理槽間の仕切り板の上方位置に配置した水平な受け面をもつ上部ガイドレール部と、この上部ガイドレール部を間にして配した上り傾斜ガイドレール部と下り傾斜ガイドレール部とし、この各傾斜ガイドレール部は、この各傾斜ガイドレール部の下端部が下降位置にある前記クランプ本体の前記上下作動ガイド用係合部と係合可能な高さ位置とした、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置を提供する。
【0020】
また、本発明(請求項11の発明)は、前記上下作動ガイド手段が、前記直線駆動経路部の方向に沿って連続して配置した上下高さ変動レールであり、この上下高さ変動レールは、処理槽間の仕切り板の上方を飛び越え可能な上方位置に配置した水平な上部ガイドレール部と、処理槽内に配置した水平な下部ガイドレール部と、前記上部ガイドレール部と下部ガイドレール部とを連続的につなぐ傾斜ガイドレール部とした、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置を提供する。
【0021】
また、本発明(請求項12の発明)は、前記上下作動ガイド用係合部が、駆動経路の方向に回転する上下作動ガイド用転動ローラである表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置を提供する。
【0022】
また、前記した第2及び第3の課題を解決するため、本発明(請求項13の発明)は、薄板状被処理物の搬送通路を間にした両側に設けられたエンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段に取付けられて回転駆動され、前記搬送通路を間にして互いに平行な内側の搬送駆動経路の直線駆動経路部にあるクランプ群でフレキシブルな薄板状被処理物の両側部を上下方向から保持して該被処理物の板面を上下にした略水平状態で一方向に搬送する搬送装置のクランプであり、前記クランプは、前記水平搬送駆動手段に連結され且つこの水平搬送駆動手段の直線駆動経路部の下方位置に水平方向に配置した固定ガイドレールに沿って滑り接触しながら移動されるように外嵌されるクランプ取付け体と、このクランプ取付け体に設けた固定ガイド部に上下方向にスライド移動自在に保持されるクランプ本体を含み、このクランプ本体の下端部にフレキシブルな薄板状板状被処理物の側縁部を上下方向から保持し得るクランプ部を位置させ、このクランプ部は前記クランプ取付け体より下方に位置し、前記クランプ本体は、前記固定ガイド部に上下方向にスライド移動自在に保持される上下方向に長い保持クランプ杆と、この保持クランプ杆に上下動自在に保持される上下方向に長い可動クランプ杆を含み、この可動クランプ杆の下端部に上クランプ部を形成し、前記保持クランプ杆の下端部に前記上クランプ部を受ける下クランプ部を形成し、可動クランプ杆は圧縮バネのバネ圧によって下動され、前記可動クランプ杆の上クランプ部と前記保持クランプ杆の下クランプ部を常態において上下方向に閉じた閉状態に制御してあり、前記クランプ本体の上部には、前記可動クランプ杆を前記圧縮バネのバネ圧に抗して上移動させ上下クランプ部を上下方向に開くクランプ開閉ガイド係合部材を付設してあり、前記保持クランプ杆の上部に下限制御ストッパーを設け、クランプ本体の自重による下動によって前記下限制御ストッパーが前記クランプ取付け体の上面に係止される下限位置をクランプ本体の下降位置としてあり、この保持クランプ杆に上下作動ガイド用係合部を設け、この上下作動ガイド用係合部を上下動させることによってクランプ本体が上下作動されるように構成した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置のクランプを提供する。
【0023】
また、本発明(請求項14の発明)は、前記上下作動ガイド用係合部が、駆動経路の方向に回転する上下作動ガイド用転動ローラである搬送装置のクランプを提供する。
【0024】
また、本発明(請求項15の発明)は、前記クランプ開閉ガイド係合部材が、略L字型の反転レバーの屈曲部を支点部として前記保持クランプ杆側に支点軸によって反転自在に軸着され、この反転レバーの下方アーム部の先端を前記可動クランプ杆の上部に回動自在に連結し、前記反転レバーの上方アーム部の先端にクランプ開閉ガイドのガイド上面部に沿って転動自在な回転ローラを取付けて構成し、この回転ローラが前記クランプ開閉ガイドの高位ガイド上面部に沿って転動する係合状態において、前記上方アーム部が前記支点軸を軸心として上方向に反転され、前記下方アーム部に連結された前記可動クランプ杆を上動させ、前記可動クランプ杆の上クランプ部と前記保持クランプ杆の下クランプ部を上下方向に離間させた開状態に制御されるように構成した、搬送装置のクランプを提供する。
【0025】
また、本発明(請求項16の発明)は、前記クランプ取付け体の外側の垂直ガイド面に前記保持クランプ杆のスライド接触面に向けてそり接触する弾性を付与したリン青銅などの金属製板バネを設けた搬送装置のクランプを提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明(請求項1の発明)によれば、エンドレスに回転駆動されるクランプで薄板状被処理物の両側縁を保持して被処理物を水平状態で搬送しながら表面処理する装置において、被処理物の搬送通路の始端部と終端部でクランプによる薄板状被処理物の保持及び開放を確実かつ円滑に行なうことができる。本発明は、特に、表面処理される板状被処理物が薄物板やフレキシブル板の場合に有用である。よって請求項1の発明によれば、前記した第1の課題を解決できる。
【0027】
また、本発明(請求項7の発明)によれば、薄板状被処理物の両側端部をクランプして水平搬送するクランプ搬送手段で、複数の処理槽の間に各処理槽内を通過する板状被処理物の水平な搬送面より高い仕切り板が介在する搬送通路を確実に且つスムーズに通過させることができる。よって、クランプ搬送とローラ搬送によるリレー搬送をする必要がないため、薄板状被処理物を正確且つスムーズに水平搬送できると共に、ローラ搬送に起因する弊害(被処理物の板面への擦り傷や圧痕の発生や、ローラへの被処理物の巻き込み)を解消できる。よって請求項7の発明によれば、前記した第2の課題を解決できる。
【0028】
また、本発明(請求項8,9の発明)によれば、クランプの戻り経路でクランプに付着した金属などの付着成分を剥離する剥離処理槽を含むクランプ洗浄処理槽を通過させ、クランプに付着した金属などの付着成分の剥離し洗浄を行う場合においても、電解処理槽と剥離処理槽を含むクランプ洗浄処理槽の槽間に介在する仕切り板をクランプがスムーズに通過できるため、クランプの戻り経路でクランプの剥離・洗浄を効果的に行うことができる。よって、クランプのクランプ接点を常に給電効率の良い良好な状態に維持できる。よって請求項8,9の発明によれば、前記した第3の課題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態を示した平面図である。
【図2】図1の実施形態の搬入部を示した正面図である。
【図3】図1の実施形態の側面図である。
【図4】本発明のクランプ自動開閉制御機構の概略を示した正面図である。
【図5】本発明のクランプ自動開閉制御機構の概略を示した側面図である。
【図6】図1の実施形態の搬入部の概略を拡大して示した平面図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示した平面図である。
【図8】図7の搬送装置の要部を拡大して示した正面図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示した平面図である。
【図10】図9の搬送装置の要部を拡大して示した平面図である。
【図11】図9の搬送装置の要部を拡大して示した正面図である。
【図12】本発明のクランプ上下作動機構の概略を示した側面図で、(a)は下降位置、(b)は上昇位置を示している。
【図13】本発明のクランプ上下作動機構の概略を示した正面図で、(a)は下降位置、(b)は上昇位置を示している。
【図14】図12及び図13のクランプの要部を拡大して示した、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図15】上下作動ガイド手段の他の実施形態を示した概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
先ず、図1〜図6に基づき本発明の実施形態を説明する。図1及び図2(図2では搬入部のみ示してある。)は、図の左側の供給位置から薄板状被処理物Pが板面を上下にした水平搬送面高さレベルHによる水平状態で水平供給手段2(回転駆動ローラ)によって表面処理槽1に供給され、該表面処理槽1を該水平搬送面高さレベルHによる水平状態で連続的に矢印Aの方向に搬送させて通過し、表面処理後に被処理物が該水平搬送面高さレベルによる水平状態で水平搬出手段3(回転駆動ローラ)によって表面処理槽1から右方向へ搬出される、被処理物に表面処理を施す装置の概略を示している。なお、図1及び図2(図2では搬入部のみ示してある。)に示すように、水平状態の板状被処理物Pを搬入・搬出する搬入口1a・搬出口1bには、対応する処理槽内側にシールローラ4(4a,4b)を配設し、槽内処理液の流出を防いでいる。このシールローラ4(4a,4b)の下段のシールローラ4aは、水平供給手段2及び水平搬出手段3の回転駆動ローラと同様な回転駆動ローラとしても機能させている。薄板状被処理物Pとしては平行な両側縁をもつことが条件であるが、図示した矩形(プリント配線基板など)の物の他、平行な両側縁をもつ長尺帯状の物であっても良い。この表面処理槽では薄板状被処理物にメッキ処理や薬品処理の表面処理が施される。本発明は、電気メッキ処理などの電解処理、無電解処理など、板状被処理物の表面処理装置の搬送装置として広く適用できる。
【0031】
板状被処理物Pを表面処理槽1の通過区間5(図1に矢印5で示した区間)に亘って水平搬送面高さレベルHによる水平状態で搬送するための搬送装置が、表面処理槽1における被処理物Pの搬送通路6を間にした両側に設けた水平搬送手段7,7によって構成されている。各水平搬送手段7,7は、エンドレスに回転駆動される互いに平行な内側の直線駆動部8aと外側の直線駆動部8bをもつ水平搬送駆動手段8に、等間隔を置いて多数のクランプ9・・・を取付けて、構成されている。このクランプ9は水平搬送面高さレベルHによる水平状態の被処理物の側縁部を上下方向において保持及び開放する下クランプ部25aと上クランプ部26aを備えたものであり、その詳細については後述する。被処理物の搬送通路6に沿う内側の直線駆動部8aは直線搬送駆動部(8a)として構成される。各水平搬送駆動手段8における前記直線搬送駆動部8a(内側の直線駆動部8a)の搬送方向の長さは前記通過区間5より少し長く構成してある。エンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段8は、ローラ10,10に巻架されてエンドレスに回転駆動される歯付駆動ベルト(タイミングベルト)11であり、各水平搬送手段7,7に設けた搬送用モータ(図示せず。)によって一方のローラ10(図1に示す右側のローラ10)を回転駆動させている。前記ローラ10には歯付駆動ベルト11に合う歯が設けられている。
【0032】
各水平搬送駆動手段8,8(歯付駆動ベルト11,11)は、同速度で同期回転駆動され、各水平搬送駆動手段における前記直線搬送駆動部8a(内側の直線駆動部)にあるクランプ群9・・・の各クランプ部における各直線駆動経路部12a,12aは、互いに平行で且つ互いのクランプ群9・・・は搬送通路6を間にした対称位置において回転駆動されるように成っている。各直線駆動経路部12a,12aにあるクランプ群9・・・は、前記搬送通路6を間にして離間させた横幅間隔を有しており、この横幅間隔を表面処理槽1における被処理物Pの搬送通路6の横幅間隔として構成している。各水平搬送手段7,7における搬送通路6側の各直線駆動経路部12a,12aにあるクランプ群9・・・で被処理物Pの両側縁部を同時に保持して、表面処理槽1の通過区間5に亘って被処理物を水平搬送面高さレベルHによる水平状態で搬送方向に移動するように構成してある。水平搬送手段7,7による被処理物の搬送速度は、1分当たり0.5m〜2mとしてあり、被処理物Pの表面処理条件によって可変としてある。この水平搬送手段7,7による被処理物の搬送速度と、前記水平供給手段2による供給速度及び前記水平搬出手段3による搬出速度は、同速に設定してある。
【0033】
エンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段8(歯付駆動ベルト11)に等しい間隔を置いて取付けたクランプ群9・・・は、矩形の板状被処理物Pの場合は、少なくとも側縁の複数箇所を保持できる間隔に取付けてある。なお、図1では、クランプ群9・・・を一点鎖線で示した回転駆動経路12における一部の範囲のみで表示したが、水平搬送駆動手段8(歯付駆動ベルト11)の全範囲に亘り等間隔に取付けてある。
【0034】
各水平搬送手段7,7には、内側(搬送通路6側)の直線駆動経路部12a,12aを移動するクランプ群9・・・をガイドする断面矩形状の固定ガイドレール15と、外側の直線駆動経路部12b,12bを移動するクランプ群9・・・をガイドする断面矩形状の固定ガイドレール16をそれぞれ固定状態に備えている。内側の固定ガイドレール15の搬送方向における長さは表面処理槽1の前記通過区間5より少し長く構成してある。この内側の固定ガイドレール15,15によって、前記通過区間5の直線駆動経路12aを移動するクランプ9で保持された被処理物を水平搬送面高さレベルHに保持できるようにしている。そして、本発明を、電気メッキ処理装置などの電解処理装置として用いる場合、内側(搬送通路6側)の直線駆動経路部12a,12aを移動するクランプ群9・・・をガイドする固定ガイドレール15,15を、前記クランプ9を介して搬送される被処理物に陰極の電流を給電する給電レールとして機能させている。
【0035】
前記各水平搬送手段7,7は、被処理物Pの搬送通路6(表面処理槽の通過区間5)の始端部5aを通過するクランプ9・・・を開状態から被処理物の側縁部を保持可能な閉状態に制御し、被処理物Pの搬送通路6(表面処理槽の通過区間5)の終端部5bを通過するクランプ9・・・を閉状態から被処理物の側縁部を開放可能な開状態に制御する、クランプ自動開閉制御機構をそれぞれ備えている。
【0036】
このクランプ自動開閉制御機構は、高位ガイド上面部20aを有するクランプ開閉ガイド20を備えている。このクランプ開閉ガイド20の高位ガイド上面部20aは、図1及び図6(図6では搬入部のみ示してある。)に示したように、前記クランプ群9・・・の回転駆動経路12に沿う、始端部側の旋回駆動経路部12cから回転駆動方向における搬送通路6の始端部5aの直前位置に至る位置、及び搬送通路6の終端部5bから回転駆動方向における終端部側の旋回駆動経路部12cへ至る位置にそれぞれ固定的に配設されている。図4に示したように、クランプ開閉ガイド20は、クランプ9の回転駆動方向における、中間部を高位ガイド上面部20aとし、この高位ガイド上面部20aの両側を該高位ガイド上面部から徐々に低位となる傾斜ガイド上面部20bとしてある。このクランプ開閉ガイド20の下面を水平ガイド下面部20cとしてある。なお、図6において、符号Cで示した一点鎖線は、前記クランプ9の係合部36(回転ローラ40)の回転駆動経路を示している。
【0037】
前記クランプ9は、エンドレスに回転駆動される前記水平搬送駆動手段8(歯付駆動ベルト11)に取付け部材23等を介してボルト締結手段で固定状態に取付けられた略L字形状の固定クランプ杆25の下端部の略水平の屈曲部に前記下クランプ部(下接点)25aを形成し、この固定クランプ杆25に上下動自在に保持されるロッド形状の可動クランプ杆26の下端部に前記上クランプ部(上接点)26aを形成し、可動クランプ杆26を圧縮バネ(圧縮コイルばね)27のバネ圧によって下動するようにしてあり、可動クランプ杆26の上クランプ部(上接点)26aと固定クランプ杆25の下クランプ部(下接点)25aを常態において上下方向に閉じた閉状態(この閉状態で水平状態の薄板状被処理物の側縁を上下方向において掴持できる保持状態にしている。)に制御してある。更に具体的に述べれば、図4,図5に示したように、この固定クランプ杆25の外側面に上下の保持部材25b,25cを固定的に設け、この上下の保持部材25b,25cでロッド形状の可動クランプ杆26を上下動自在に保持し、この上下の保持部材25b,25cの間に可動クランプ杆26に固定したバネ係止体26bを配設し、上の保持部材25bとバネ係止体26bとの間に圧縮コイルばね27を可動クランプ杆26のロッド部周りに遊嵌合して介在させ、常態においては、図5(イ)の閉状態のように、圧縮コイルばね27のばね圧によってバネ係止体26bを下の保持部材25cと接する下動位置まで押し下げている。図3,図5に示すように、歯付駆動ベルト11の外側面(内側面と同様にこの外側面にも上下方向に延びる係合歯を形成してある。)に取付け部材23を介して略L字形状の固定クランプ杆25の背面側を固定状態に取り付け、前記下クランプ部25aが外側に位置されるように取付けてある。
【0038】
前記固定クランプ杆25の内側面には、前記固定ガイドレール15,16にクランプ9を移動自在に滑り係合するための固定ガイドレール用の係合部材30を固定状態に取付けある。この係合部材30は、断面矩形状の前記固定ガイドレール15,16を上下部からスライド自在に保持するもので、前記固定ガイドレール15のレール上面に面接触してスライドされる上部の係合部材30aは移動方向に長く形成(図4参照)されている。前述したように、前記通過区間5の直線駆動経路12aを移動するクランプ9は、内側の固定ガイドレール15によってガイドされ、該クランプで保持された被処理物Pを水平搬送面高さレベルHに保持できるようにしている。前記クランプ9は金属製であり、導電性を有するクランプ9を介して内側の前記固定ガイドレール15から供給される電流(陰極の電流)を被処理物Pに給電できるようにしてある。
【0039】
このクランプ9の上部にはクランプ開閉ガイド係合部材35を付設してある。このクランプ開閉ガイド係合部材35は、図4、図5に示したように、略L字型の反転レバー37の屈曲部を支点部として固定クランプ杆25側に支点軸38によって反転自在に軸着し、この反転レバー37の下方アーム部37bの先端を可動クランプ杆26の上部にピン軸39を介して回動自在に連結し、反転レバー37の上方アーム部37aの先端に前記クランプ開閉ガイド20のガイド上面部(20a,20b)に沿って転動自在な係合部36(回転ローラ40)を取付けて構成し、この回転ローラ40が前記クランプ開閉ガイド20の高位ガイド上面部20aに沿って転動する係合状態において、図4の一点鎖線で示したように、上方アーム部37aが前記支点軸38を軸心として上方向に反転し、下方アーム部37bの先端に連結された可動クランプ杆26を圧縮コイルばね37のバネ圧に抗して上動させ、可動クランプ杆26の上クランプ部26aと固定クランプ杆25の下クランプ部25aを上下方向に離間させた開状態(この開状態で、保持する水平状態の板状被処理物の側縁の供給を受ける状態にし、また保持していた板状被処理物の側縁を開放する状態にしている。)に制御するように構成してある。図4の矢印はクランプ9の好ましい移動方向を示している。図4に示したように、前記反転レバー37は、支点部(支点軸38)をクランプ移動方向における後位置に配設し、上方アーム部37aの先端の回転ローラ40をクランプ移動方向における前位置に配設してある。そして、図4から分かるように、クランプの閉状態における回転ローラ40の高さ位置は、前記クランプ開閉ガイド20の傾斜ガイド上面部20bに乗り上げ可能な位置に設定してある。
【0040】
クランプ9が前記クランプ開閉ガイド20の位置を通過する際に、クランプ9のクランプ開閉ガイド係合部材35の回転ローラ40がクランプ開閉ガイド20の上面部(高位ガイド上面部20a)に係合され、同時にクランプ9の前記固定クランプ杆25の水平上面部25cがクランプ開閉ガイド20の水平ガイド下面部20cに滑り係合されることによって、前記可動クランプ杆26を圧縮コイルばね37のバネ圧に抗して上動させ、可動クランプ杆26の上クランプ部26aと固定クランプ杆25の下クランプ部25aを上下方向に離間させた開状態に制御するように構成されている。これによって、被処理物Pの搬送通路6の始端部5aを通過するクランプ9・・・を開状態から被処理物の側縁部を保持可能な閉状態に制御し、被処理物Pの搬送通路6の終端部5bを通過するクランプ9・・・を閉状態から被処理物の側縁部を開放可能な開状態に制御できるようにしている。
【0041】
略L字型の反転レバー37の角度D、クランプ閉状態における上方アーム部37aの水平搬送面に対する角度、反転レバー37の各長さ、すなわち支点部(支点軸38)と下方アーム部37bの連結部(ピン軸39)間の長さ、支点部(支点軸38)と上方アーム部37aの回転ローラ40間の長さは、図4に示したように、可動クランプ杆26を被処理物の水平搬送面に直交する垂直方向に上下動できるように設定してある。
【0042】
この実施例のクランプ開閉ガイド係合部材35によれば、前記クランプ開閉ガイド20のガイド上面部(20a,20b)に沿って転動自在な回転ローラ40と反転レバー37の梃子作用で確実且つ円滑に可動クランプ杆26を上下動させることができ、クランプ9の開閉を確実且つ円滑に行なうことができる。
【0043】
図1〜図3に示したように、前記水平供給手段2によって水平搬送面高さレベルHで表面処理槽1に供給される板状被処理物Pを該水平搬送面高さレベルHにて少なくとも搬送通路6の始端部5a位置まで案内する上下水平ガイド部42a,42bを有する被処理物水平供給ガイド部材42を設けてある。この被処理物水平供給ガイド部材42は被処理物の側縁部に近い部分をガイドするようにしてある。なお、この被処理物水平供給ガイド部材42は、図1に示したように、被処理物が搬送通路6を搬送される移動方向の全長さに亘って連続したものであっても良い。この被処理物水平供給ガイド部材42を配設したことによって、水平供給手段2から供給される被処理物は水平搬送面高さレベルHを保持した状態で搬送通路6の始端部5aの保持位置へと供給されることになる。この被処理物水平供給ガイド部材42は、被処理物がフリー状態では水平搬送面高さレベルを保持し難い薄物板やフレキシブル板の場合に有用である。
【0044】
次に、クランプ上下作動機構を備えた本発明の実施形態について、図7〜図15に基づき説明する。図7〜図8は表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置の実施形態を、図9〜図11は同搬送装置の他の実施形態を、図12〜図14は図7〜図11の搬送装置に用いるクランプの実施形態を示している。
【0045】
図7〜図8の実施形態は、薄板状被処理物Pの搬送通路101を間にした両側にエンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段102,102をそれぞれ設け、各水平搬送駆動手段102,102に間隔を置いて多数のクランプ103を取付け、前記搬送通路101を間にして互いに平行な内側の搬送駆動経路(内側の直線駆動経路部)104a,104aにあるクランプ群103でフレキシブルな薄板状被処理物Pの両側部を上下方向から保持して該被処理物の板面を上下にした略水平状態で一方向に連続して搬送させ、この搬送過程で直列に配置した複数の処理槽(例えば、電解処理槽105の後に配置した複数の後処理槽107)を通過させ各処理槽で被処理物に表面処理を施す装置を示している。
【0046】
図7の実施例では、図の左側から順に電解処理槽105、水洗処理槽107a、防錆処理槽107b、水切り乾燥処理槽107cを一方向に配置してある。図の左側から搬入されるフレキシブルな薄板状被処理物Pは、先ず電解処理槽105で電解処理され、水洗処理槽107a、防錆処理槽107b、水切り乾燥処理槽107cを通過して後処理され、図の右側から搬出される。これらの処理槽は処理槽内の液面Wより高い仕切り板108で隔てられている。
【0047】
フレキシブルな薄板状の被処理物Pとしては平行な両側縁をもつことが条件であるが、図示した矩形(プリント配線基板など)の物の他、平行な両側縁をもつ長尺帯状の物であっても良い。この表面処理槽では板状被処理物にメッキ処理や薬品処理の表面処理が施される。本発明は、電気メッキ処理などの電解処理、無電解処理など、フレキシブルな薄板状の被処理物の表面処理装置の搬送装置として広く適用できる。
【0048】
エンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段102は、ローラ109,109に巻架されてエンドレスに回転駆動される歯付駆動ベルト110であり、搬送駆動用モータ(図示せず。)によって一方のローラ109を回転駆動させている。前記ローラ109には歯付駆動ベルト110に合う歯が設けられている。
【0049】
エンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段102(歯付駆動ベルト110)に等しい間隔を置いて取付けたクランプ群103・・・は、矩形の薄板状被処理物Pの場合は、少なくとも側縁部の複数箇所を掴持できる間隔に取付けてある。なお、図7では、クランプ群103・・・をエンドレスの回転駆動経路における一部の範囲のみで表示したが、水平搬送駆動手段102(歯付駆動ベルト110)の全範囲に亘り等間隔に取付けてある。各水平搬送駆動手段102,102は、同速度で同期回転駆動されるように成っている。
【0050】
前記水平搬送駆動手段102(歯付駆動ベルト110)の搬送駆動経路(内側の直線駆動経路部)104a,104aの下方位置には該搬送駆動経路(内側の直線駆動経路部)104a,104aに沿って水平方向に延びる断面矩形状の固定ガイドレール(内側の固定ガイドレール)112を配置してある。また、前記水平搬送駆動手段102(歯付駆動ベルト110)の戻り駆動経路(外側の直線駆動経路部)104b,104bの下方位置にも該戻り駆動経路(外側の直線駆動経路部)に沿って水平方向に延びる断面矩形状の固定ガイドレール(外側の固定ガイドレール)113を配置してある。
【0051】
搬送駆動経路(内側の直線駆動経路部)104a,104aを移動するクランプ群103のクランプ取付け体120(後述する)は内側の固定ガイドレール112に沿って滑り接触しながら水平に移動される。また、戻り駆動経路(外側の直線駆動経路部)104b,104bを移動するクランプ群103のクランプ取付け体120(後述する)は外側の固定ガイドレール113に沿って滑り接触しながら水平に移動される。
【0052】
そして、本発明を、電気メッキ処理装置などの電解処理装置として用いる場合、内側の固定ガイドレール112を、クランプ取付け体120(後述する)に取付けられるクランプ本体122(後述する)を介して搬送される被処理物に陰極の電流を給電する給電レールとして機能させている。
【0053】
前記クランプ103は、前記水平搬送駆動手段102(歯付駆動ベルト110)に連結され且つこの水平搬送駆動手段102(歯付駆動ベルト110)の駆動経路の直線駆動経路部104a,104bの下方位置に水平方向に配置した断面矩形状の固定ガイドレール112,113に沿って滑り接触しながら移動されるように外嵌されるクランプ取付け体120と、このクランプ取付け体120に設けた固定ガイド部に上下方向にスライド移動自在に保持されるクランプ本体122を含み、このクランプ本体122の上部に下限制御ストッパー123を設け、クランプ本体122の自重による下動によって前記下限制御ストッパー123が前記クランプ取付け体120の上面に係止される下限位置をクランプ本体122の下降位置としてある。
【0054】
このクランプ本体122の下端部に板状被処理物Pの側縁部を上下方向から保持し得るクランプ部124を位置させ、このクランプ部124は前記クランプ取付け体120より下方に位置させ、このクランプ本体122に該クランプ本体が上下作動ガイド手段140(後述する。)に案内されて上下作動されるための上下作動ガイド用係合部125を設けてある。図示の実施例では、この上下作動ガイド用係合部125を前記駆動経路の方向に回転する上下作動ガイド用転動ローラとしてある。なお、このクランプについては後で更に説明する。
【0055】
前記したように、前記クランプ取付け体120に上下移動自在に保持されたクランプ本体122は、自然な状態ではその自重によって処理槽間の仕切り板108を飛び越えられない下限位置にあり、この下限位置で各処理槽内を移動するようにしてある。
【0056】
前記クランプ本体122に設けた前記上下作動ガイド用係合部125と係合させて該クランプ本体の上下動位置を処理槽間の仕切り板108を飛び越え可能な上昇位置と処理槽内を水平に通過する下降位置(下限位置)とに案内する上下作動ガイド手段140を少なくとも処理槽間の仕切り板108の飛び越え位置のクランプの駆動経路に沿って配置してある。
【0057】
前記上下作動ガイド手段140は、前記上下作動ガイド用係合部(上下作動ガイド用転動ローラ)125を上下面で支承して係合するガイドレールで、処理槽間の仕切り板108の飛び越え位置のクランプの前記駆動経路の方向に沿って配置されたガイドレールであり、このガイドレールが、処理槽間の仕切り板の上方位置に配置した水平な受け面をもつ上部受けレール部141と、この上部受けレール部141を間にして連続する略ハ字状に配した上り傾斜レール部142と下り傾斜レール部143とし、この各傾斜レール部は、この各傾斜レール部の下端部が下降位置(下限位置)にあるクランプ本体122の前記上下作動ガイド用係合部(上下作動ガイド用転動ローラ)125と係合可能な高さ位置としてある。
【0058】
図8の実施例では、前記上下作動ガイド用係合部125を上下作動ガイド用転動ローラとし、上下作動ガイド手段140が転動ローを上下面で支承して係合するガイドレールしてある。しかし、上下作動ガイド用係合部125と上下作動ガイド手段140のガイドレールの構成は図示の実施例に限定されない。前記上下作動ガイド用係合部125がガイドレールを上下方向から支承する対の転動ローラとしても良い。また、前記上下作動ガイド用係合部125が下面を前記駆動経路の方向に沿うアール面とした係合突起とし、この係合突起を下側から支承して係合するガイドレールとしても良い。
【0059】
図9〜図11の実施形態は、薄板状被処理物Pの搬送通路101を間にした両側にエンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段102,102をそれぞれ設け、各水平搬送駆動手段102,102に間隔を置いて多数のクランプ103を取付け、前記搬送通路101を間にして互いに平行な内側の搬送駆動経路(内側の直線駆動経路部)104a,104aにあるクランプ群103で薄板状被処理物Pの両側部を上下方向から保持して該被処理物の板面を上下にした略水平状態で一方向に連続して搬送させ、この搬送過程で表面処理槽(電解処理槽)105を通過させて被処理物に表面処理を施す装置であり、且つ、前記表面処理槽(電解処理槽)105の両側にクランプに付着した金属などの付着成分を剥離する剥離処理槽106aを含むクランプ洗浄処理槽106を並列的に配置し、外側の戻り駆動経路の直線駆動経路部104b,104bにあるクランプ群103が前記クランプ洗浄処理槽106内を通過するようにした装置を示している。
【0060】
図9,10の実施例では、前記表面処理槽(電解処理槽)105と前記クランプ洗浄処理槽106の配置を、前記戻り駆動経路の旋回駆動経路部104cにあるクランプ群103が前記表面処理槽(電解処理槽)105内を通過するようにし、前記戻り駆動経路の直線駆動経路部104bにあるクランプ103群が前記クランプ洗浄処理槽106内を通過するように構成し、戻り駆動経路の直線駆動経路部104bを前記表面処理槽(電解処理槽)105と前記クランプ洗浄処理槽106との間の飛び越え位置としてある。
【0061】
図9の実施例では、外側の戻り駆動経路の直線駆動経路部104bにあるクランプ103群が、前記クランプ洗浄処理槽106を構成する、剥離処理槽106a、水洗処理槽106b(剥離処理槽106aで金属などの付着成分が剥離処理されたクランプ103を水洗処理する)、水切り乾燥処理槽106c(水洗処理されたクランプ103を水切り乾燥する)を順に通過されるようにしてある。この戻り駆動経路で洗浄されたクランプ群は搬送駆動経路(内側の直線駆動経路部)104aへ移動される。前記表面処理槽(電解処理槽)105と前記クランプ洗浄処理槽106は仕切り板108で隔てられている。また、クランプ洗浄処理槽106を構成する剥離処理槽106a、水洗処理槽106b、水切り乾燥処理槽106cの各処理槽も仕切り板で隔てられている。
【0062】
搬送駆動経路(内側の直線駆動経路部)104aを移動するクランプ103群のクランプ取付け体120(後述する)は内側の固定ガイドレール112に沿って滑り接触しながら水平に移動される。また、戻り駆動経路の直線駆動経路部104bを移動するクランプ103群のクランプ取付け体120(後述する)は外側の固定ガイドレール113に沿って滑り接触しながら水平に移動される。
【0063】
そして、本発明を、電気メッキ処理装置などの電解処理装置として用いる場合、内側の固定ガイドレール112を、クランプ取付け体120(後述する)に取付けられるクランプ本体122(後述する)を介して搬送される被処理物Pに陰極の電流を給電する給電レールとして機能させている。また、外側の固定ガイドレール113に陽極の電流を流し、クランプ取付け体120(後述する)に取付けられるクランプ本体122(後述する)のクランプ部124に付着した金属などの付着成分の剥離を促進できるようにしてある。
【0064】
図9〜図11の搬送装置のクランプ103は、図7〜図8の搬送装置のクランプ103と同じ構成である。すなわち、図9〜図11の搬送装置のクランプ103も、前記水平搬送駆動手段102(歯付駆動ベルト110)に連結され且つこの水平搬送駆動手段102(歯付駆動ベルト110)の搬送駆動経路と戻り駆動経路のそれぞれの直線駆動経路部104a,104bの下方位置に水平方向に配置した断面矩形状の固定ガイドレール112,113に沿って滑り接触しながら移動されるように外嵌されるクランプ取付け体120と、このクランプ取付け体120に設けた固定ガイド部121に上下方向にスライド移動自在に保持されるクランプ本体122を含み、このクランプ本体122の上部に下限制御ストッパー123を設け、クランプ本体122の自重による下動によって前記下限制御ストッパー123が前記クランプ取付け体120の上面に係止される下限位置をクランプ本体122の下降位置としてある。そして、図9〜図11の搬送装置のクランプ103も、このクランプ本体122に該クランプ本体が上下作動ガイド手段140(後述する。)に案内されて上下作動されるための上下作動ガイド用係合部125を設けてあり、図示の実施例では、この上下作動ガイド用係合部125を前記駆動経路の方向に回転する上下作動ガイド用転動ローラとしてある。
【0065】
図9〜図11の搬送装置のクランプ103も、前記したように、前記クランプ取付け体120に上下移動自在に保持されたクランプ本体122は、自然な状態ではその自重によって処理槽間の仕切り板108を飛び越えられない下限位置にあり、この下限位置で各処理槽内を移動するようにしてある。
【0066】
前記クランプ本体122に設けた前記上下作動ガイド用係合部125と係合させて該クランプ本体122の上下動位置を、前記表面処理槽(電解処理槽)105と前記クランプ洗浄処理槽106の間の仕切り板108を飛び越え可能な上昇位置と、表面処理槽(電解処理槽)105内及びクランプ洗浄処理槽106内を水平に通過する下降位置(下限位置)とに案内する上下作動ガイド手段140を処理槽間の仕切り板108の飛び越え位置の戻り駆動経路の直線駆動経路部104bに沿って配置してある。さらに、前記上下作動ガイド手段140は、クランプ洗浄処理槽106を構成する剥離処理槽106a、水洗処理槽106b、水切り乾燥処理槽106cの各処理槽間の仕切り板108の飛び越え位置の戻り駆動経路の直線駆動経路部104bに沿って配置してある。
【0067】
前記したごとく、図9,10の実施例では、前記表面処理槽(電解処理槽)105と前記クランプ洗浄処理槽106の配置を、前記戻り駆動経路の旋回駆動経路部104cにあるクランプ103群が前記表面処理槽(電解処理槽)105内を通過するようにし、前記戻り駆動経路の直線駆動経路部104bにあるクランプ103群が前記クランプ洗浄処理槽106内を通過するように構成し、戻り駆動経路の直線駆動経路部104bを前記表面処理槽(電解処理槽)105と前記クランプ洗浄処理槽106との間の飛び越え位置としてある。このため、上下作動ガイド手段140を戻り駆動経路の直線駆動経路部104bに沿って配置でき、上下作動ガイド手段140に沿って移動されるクランプ103の処理槽間の飛び越え移動がスムーズに行える。
【0068】
図9〜図11の搬送装置の前記上下作動ガイド手段140は、図7〜図8の搬送装置の前記上下作動ガイド手段140と同じ構成である。すなわち、図9〜図11の搬送装置の前記上下作動ガイド手段140も、前記上下作動ガイド用係合部(上下作動ガイド用転動ローラ)125を上下面で支承して係合するガイドレールで、処理槽間の仕切り板108の飛び越え位置のクランプの前記駆動経路の方向に沿って配置されたガイドレールであり、このガイドレールが、処理槽間の仕切り板108の上方位置に配置した水平な受け面をもつ上部受けレール部141と、この上部受けレール部141を間にして連続する略ハ字状に配した上り傾斜レール部142と下り傾斜レール部143とし、この各傾斜レール部142,143は、この各傾斜レール部の下端部が下降位置(下限位置)にあるクランプ本体122の前記上下作動ガイド用係合部(上下作動ガイド用転動ローラ)125と係合可能な高さ位置としてある。
【0069】
図10、図11の実施例では、前記上下作動ガイド用係合部125を上下作動ガイド用転動ローラとし、上下作動ガイド手段140が転動ローを上下面で支承して係合するガイドレールしてある。しかし、上下作動ガイド用係合部125と上下作動ガイド手段140のガイドレールの構成は図示の実施例に限定されない。前記上下作動ガイド用係合部125がガイドレールを上下方向から支承する対の転動ローラとしても良い。また、前記上下作動ガイド用係合部125が下面を前記駆動経路の方向に沿うアール面とした係合突起とし、この係合突起を下側から支承して係合するガイドレールとしても良い。
【0070】
図12〜図14に基づき、本発明の搬送装置に用いるクランプ103の実施形態を説明する。このクランプ103は、既に述べたように、前記水平搬送駆動手段102(歯付駆動ベルト110)に取付け部材127を介したボルト締結手段で固定状態に連結され且つこの水平搬送駆動手段102(歯付駆動ベルト110)の駆動経路(直線駆動経路部)の下方位置に水平方向に配置した断面矩形状の固定ガイドレール112,113に沿って滑り接触しながら移動されるように外嵌されるステンレス鋼などの金属製のクランプ取付け体120と、このクランプ取付け体120に設けたステンレス鋼などの金属製の固定ガイド部121に上下方向にスライド移動自在に保持されるステンレス鋼などの金属製のクランプ本体122を含んでいる。
【0071】
前記クランプ本体122は、前記固定ガイド部121に上下方向にスライド移動自在に保持される上下方向に長い板状の保持クランプ杆130と、この保持クランプ杆130に上下動自在に保持される上下方向に長いロッド状の可動クランプ杆131を含んでいる。前記保持クランプ杆130は、その板面が前記クランプ取付け体120の外側(搬送通路側の外側)の垂直ガイド面120bにスライド接触されるように上下動自在に保持されている。この保持クランプ杆130の上部に係止段部から成る金属製(銅など)の下限制御ストッパー123を設けあり、クランプ本体122の自重による下動によって前記下限制御ストッパー123が前記クランプ取付け体120の上面120aに係止される下限位置をクランプ本体122の下降位置として設定してある。前記可動クランプ杆131は、前記保持クランプ杆130に設けた上部保持ガイド132と下部保持ガイド133の貫通穴の中を上下方向にスライド自在に貫通され、保持されている。前記上部保持ガイド132の貫通穴は上下方向に長く形成してある。前記上部保持ガイド132は下限位置において前記前記固定ガイド部121の高さ位置と略同位置としてある。前記保持クランプ杆130の下端部はL字状に屈曲され、この屈曲部の上面に下クランプ部(下接点)124aを形成してある。前記可動クランプ杆131の下端部に上クランプ部(上接点)124bを形成してある。保持クランプ杆130の下クランプ部(下接点)124aで可動クランプ杆131の上クランプ部(上接点)124bを受けるようにしてある。
【0072】
保持クランプ杆130に設けた上部保持ガイド132の下部と可動クランプ杆131に設けたバネ係止体134の間に圧縮バネ(圧縮コイルばね)135が可動クランプ杆131のロッド部周りに遊嵌合して介装され、この圧縮バネ135のバネ圧によって可動クランプ杆131は下動され、可動クランプ杆131の上クランプ部(上接点)124bと保持クランプ杆130の下クランプ部(下接点)124aを常態において上下方向に閉じた状態に制御してある。前記クランプ本体122の上部には、可動クランプ杆131を前記圧縮バネ135のバネ圧に抗して上移動させ上下クランプ部(上接点と下接点)を上下方向に開くクランプ開閉ガイド係合部材150を付設してある。
【0073】
前記保持クランプ杆130の上部保持ガイド132に上下作動ガイド用係合部125を設け、この上下作動ガイド用係合部125を前記上下作動ガイド手段150に係合させて上下動させることによって、クランプ本体122が上下作動(下限位置から上昇位置へ、上昇位置から下限位置へと上下作動)されるように構成してある。図示の実施例では、この上下作動ガイド用係合部125を前記駆動経路の方向に回転する上下作動ガイド用転動ローラとしてある。なお、上下作動ガイド用係合部125は、図示した転動ローラに限定するものではなく、既に述べたように、ガイドレールを上下方向から支承する対の転動ローラとしても良く、下面を前記駆動経路の方向に沿うアール面とした係合突起としても良い。
【0074】
図14に示したように、前記クランプ取付け体120の外側(搬送通路側の外側)の垂直ガイド面120bに、前記保持クランプ杆130のスライド接触面に向けてそり接触する弾性を付与したリン青銅製の金属製の板バネ137を装着するのが好ましい。このリン青銅製の板バネ137は、図14(a)のように、前記保持クランプ杆130のスライド接触面に向けて断面略「く」字形状に屈曲させてある。この板バネ137を装着させることにより、クランプ取付け体120から保持クランプ杆130への給電効率を大幅にアップさせることができる。
【0075】
図12(a)に一点鎖線で示したクランプ開閉ガイド151が、図7、図9の搬送装置に配設してある。図7、図9の搬送装置には、前記クランプ群103・・・の回転駆動経路に沿う、始端部側の旋回駆動経路部104cから回転駆動方向における搬送通路101の始端部の直前位置に至る位置及び搬送通路101の終端部から回転駆動方向における終端部側の旋回駆動経路部104cへ至る位置にそれぞれクランプ開閉ガイド151(図7、図9に一点鎖線で示した。)を配設してある。このクランプ開閉ガイド151は、クランプ103の回転駆動方向における、中間部を高位ガイド上面部とし、この高位ガイド上面部の両側を該高位ガイド上面部から徐々に低位となる傾斜ガイド上面部としてある。このクランプ開閉ガイド151の下面を水平ガイド下面部としてある。このクランプ開閉ガイド151は、図1〜6の実施形態で示したクランプ開閉ガイド20と同じものである。
【0076】
前記クランプ本体122の上部に付設された前記クランプ開閉ガイド係合部材150は、略L字型の反転レバー152の屈曲部を支点部として保持クランプ杆130側に支点軸153によって反転自在に軸着し、この反転レバー152の下方アーム部152bの先端を可動クランプ杆131の上部にピン軸154を介して回動自在に連結し、反転レバー152の上方アーム部152aの先端に回転ローラ155を取付けて構成し、この回転ローラ155が前記回転駆動経路に沿って設けられる前記クランプ開閉ガイド151の高位ガイド上面部に沿って転動する係合状態において、上方アーム部152aが前記支点軸153を軸心として上方向に反転し、下方アーム部152bに連結された可動クランプ杆131を上動させるようにし、可動クランプ杆131の上クランプ部124bと保持クランプ杆130の下クランプ部124aを上下方向に離間させた開状態に制御されるように構成してある。このクランプ開閉ガイド係合部材150は、図1〜6の実施形態で示したクランプ開閉ガイド係合部材35と実質的に同じものである。
【0077】
クランプ103が前記クランプ開閉ガイド151の位置を通過する際に、クランプのクランプ開閉ガイド係合部材150の回転ローラ155がクランプ開閉ガイド151の上面部(高位ガイド上面部)に係合され、同時にクランプの前記保持クランプ杆130の水平上面部130aがクランプ開閉ガイド151の水平ガイド下面部に係合されることによって、前記可動クランプ杆131を圧縮バネ135のバネ圧に抗して上動させ、可動クランプ杆131の上クランプ部124bと保持クランプ杆130の下クランプ部124aを上下方向に離間させた開状態に制御するように構成されている。これによって、被処理物Pの搬送通路101の始端部を通過するクランプ103・・・を開状態から被処理物の側縁部をクランプ可能な閉状態に制御し、被処理物Pの搬送通路101の終端部を通過するクランプ103・・・を閉状態から被処理物の側縁部を開放可能な開状態に制御できるようにしている。このクランプ開閉制御は、図1〜6の実施形態で示したクランプ開閉制御と実質的に同じものである。
【0078】
図15は前記上下作動ガイド手段の他の実施形態を示したものである。この実施形態の上下作動ガイド手段140は、前記直線駆動経路部の方向に沿って連続して配置した上下高さ変動レール145であり、この上下高さ変動レールは、処理槽間の仕切り板(図示してない)の上方を飛び越え可能な上方位置に配置した水平な上部ガイドレール部145aと、処理槽内に配置した水平な下部ガイドレール部145bと、前記上部ガイドレール部145aと下部ガイドレール部145bとを連続的につなぐ傾斜ガイドレール部145cとした、ことを特徴としている。
【0079】
図15の実施例では、前記上下作動ガイド用係合部125がガイドレールを上下方向から支承する対の転動ローラとしてある。しかし、上下作動ガイド用係合部125と上下作動ガイド手段140のガイドレールの構成は図示の実施例に限定されない。図8、図11の如く、前記上下作動ガイド用係合部125を転動ローラとし、上下作動ガイド手段140が転動ローラを上下面で支承して係合するガイドレールとしても良い。また、前記上下作動ガイド用係合部125が下面を前記駆動経路の方向に沿うアール面とした係合突起とし、この係合突起を下側から支承して係合するガイドレールとしても良い。なお、図15の実施形態における、その他の構成は、図7〜図8、図9〜図11に示した実施形態と実質的に同じであるため、重複する説明は省略する。
【符号の説明】
【0080】
P 薄板状被処理物
1 表面処理槽
2 水平供給手段
3 水平搬出手段
H 水平搬送面高さレベル
5 通過区間
5a 始端部
5b 終端部
6 搬送通路
7,7 水平搬送手段
8 水平搬送駆動手段
9 クランプ
11 歯付駆動ベルト
12 クランプの回転駆動経路
12a 内側の直線駆動経路部
12b 外側の直線駆動経路部
12c 旋回駆動経路部
15 内側の固定ガイドレール
16 外側の固定ガイドレール
20 クランプ開閉ガイド
20a 高位ガイド上面部
20b 傾斜ガイド上面部
20c 水平ガイド下面部
25 固定クランプ杆
26 可動クランプ杆
25a 下クランプ部
26a 上クランプ部
27 圧縮バネ
35 クランプ開閉ガイド係合部材
36 係合部
37 反転レバー
38 支点軸
40 回転ローラ
42 被処理物水平供給ガイド部材
101 搬送通路
102,102 水平搬送駆動手段
103 クランプ
104a,104a 搬送駆動経路(内側の直線駆動経路部)
104b,104b 戻り駆動経路の直線駆動経路部(外側の直線駆動経路部)
104c 戻り駆動経路の旋回駆動経路部
105 表面処理槽(電解処理槽)
106 クランプ洗浄処理槽
106a 剥離処理槽
107 処理槽(後処理槽)
108 仕切り板
110 歯付駆動ベルト
112 固定ガイドレール(内側の固定ガイドレール)
113 固定ガイドレール(外側の固定ガイドレール)
120 クランプ取付け体
121 固定ガイド部
122 クランプ本体
123 下限制御ストッパー
124 クランプ部
125 上下作動ガイド用係合部(上下作動ガイド用転動ローラ)
130 保持クランプ杆
131 可動クランプ杆
124a 下クランプ部(下接点)
124b 上クランプ部(上接点)
132 上部保持ガイド
133 下部保持ガイド
135 圧縮バネ(圧縮コイルばね)
137 板バネ
140 上下作動ガイド手段
141 上部受けレール部
142 上り傾斜レール部
143 下り傾斜レール部
145 上下高さ変動レール
145a 上部ガイドレール部
145b 下部ガイドレール部
145c 傾斜ガイドレール部
150 クランプ開閉ガイド係合部材
151 クランプ開閉ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行な両側縁をもつ薄板状被処理物が水平供給手段によって板面を上下にした水平搬送面高さレベルによる水平状態で表面処理槽に供給され、該表面処理槽を該水平搬送面高さレベルによる水平状態で連続的に搬送させて通過し、表面処理後に被処理物が水平搬出手段によって表面処理槽から搬出される、被処理物に表面処理を施す装置において、被処理物を表面処理槽の通過区間に亘って水平搬送面高さレベルによる水平状態で搬送するための搬送装置が、表面処理槽における薄板状被処理物の搬送通路を間にした両側にそれぞれ設けた水平搬送手段によって構成され、各水平搬送手段はエンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段に等間隔をおいて多数のクランプを取付けてそれぞれ構成され、前記クランプは水平搬送面高さレベルによる水平状態の被処理物の側縁部を上下方向において保持及び開放する下クランプ部と上クランプ部を備え、各水平搬送手段のクランプ群は、同期した速度で回転駆動され、搬送通路側の各直線駆動経路部を互いに平行で且つ前記搬送通路を間にして離間させた横幅間隔を有しており、搬送通路側の各直線駆動経路部にあるクランプ群で被処理物の両側縁部を同期的に保持して、表面処理槽の通過区間に亘って薄板状被処理物を水平搬送面高さレベルによる水平状態で搬送方向に移動するように構成し、前記水平搬送手段は、被処理物の搬送通路の始端部を通過するクランプを開状態から被処理物の側縁部を保持可能な閉状態に制御し、被処理物の搬送通路の終端部を通過するクランプを閉状態から被処理物の側縁部を開放可能な開状態に制御する、クランプ自動開閉制御機構をそれぞれ備え、このクランプ自動開閉制御機構が、前記クランプ群の回転駆動経路に沿う、始端部側の旋回駆動経路部から回転駆動方向における搬送通路の始端部の直前位置に至る位置及び搬送通路の終端部から回転駆動方向における旋回駆動経路部へ至る位置にそれぞれ配設した、高位ガイド上面部を有するクランプ開閉ガイドを備え、前記クランプは、エンドレスに回転駆動される前記水平搬送駆動手段に取付けられた固定クランプ杆の下端部に前記下クランプ部を形成し、この固定クランプ杆に上下動自在に保持される可動クランプ杆の下端部に前記上クランプ部を形成し、可動クランプ杆を圧縮バネのバネ圧によって下動させ、可動クランプ杆の上クランプ部と固定クランプ杆の下クランプ部を常態において上下方向に閉じた閉状態に制御してあり、且つ、前記クランプの上部にはクランプ開閉ガイド係合部材を付設してあり、このクランプ開閉ガイド係合部材は、前記クランプ開閉ガイドの高位ガイド上面部に沿って転動可能な係合部をもち、このクランプが前記クランプ開閉ガイドの位置を通過する際に、この係合部が高位ガイド上面部に沿って転動される係合状態において、前記可動クランプ杆が前記圧縮バネのバネ圧に抗して上動され、前記可動クランプ杆の上クランプ部と前記固定クランプ杆の下クランプ部が上下方向に離間された開状態に制御されるように構成した、ことを特徴とする表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、前記クランプ開閉ガイドが、前記クランプの回転駆動方向における、中間部を前記高位ガイド上面部とし、この高位ガイド上面部の両側を該高位ガイド上面部から徐々に低位となる傾斜ガイド上面部とした、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送装置において、前記クランプ開閉ガイド係合部材が、略L字型の反転レバーの屈曲部を支点部として前記固定クランプ杆側に支点軸によって反転自在に軸着され、この反転レバーの下方アーム部の先端を前記可動クランプ杆の上部に回動自在に連結し、前記反転レバーの上方アーム部の先端に前記クランプ開閉ガイドのガイド上面部に沿って転動自在な回転ローラを取付けて構成し、この回転ローラが前記高位ガイド上面部に沿って転動する係合状態において、前記上方アーム部が前記支点軸を軸心として上方向に反転され、前記下方アーム部に連結された前記可動クランプ杆を上動させ、前記可動クランプ杆の上クランプ部と前記固定クランプ杆の下クランプ部を上下方向に離間させた開状態に制御されるように構成した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置。
【請求項4】
請求項1に記載の搬送装置において、前記各水平搬送手段に、搬送通路側の前記直線駆動経路部を移動するクランプ群を水平方向にガイドする固定ガイドレールをそれぞれ備えた、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置。
【請求項5】
前記固定ガイドレールを、前記クランプを介して搬送される被処理物に陰極の電流を給電する給電レールとして機能させた請求項4に記載の表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置。
【請求項6】
エンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段に取付けられて回転駆動され、この回転駆動経路における直線駆動経路部で薄板状被処理物の一側縁又は両側縁を保持して該被処理物を水平状態で一方向に搬送する搬送装置のクランプであり、このクランプは、板面を上下にした薄板状被処理物の側縁部を上下方向において保持及び開放する下クランプ部と上クランプ部を備え、エンドレスに回転駆動される前記水平搬送駆動手段に取付けられる固定クランプ杆の下端部に前記下クランプ部を形成し、この固定クランプ杆に上下動自在に保持される可動クランプ杆の下端部に前記上クランプ部を形成し、可動クランプ杆を圧縮バネのバネ圧によって下動させ、可動クランプ杆の上クランプ部と固定クランプ杆の下クランプ部を常態において上下方向に閉じた閉状態に制御してあり、且つ、前記クランプの上部にはクランプ開閉ガイド係合部材を付設してあり、このクランプ開閉ガイド係合部材が、略L字型の反転レバーの屈曲部を支点部として前記固定クランプ杆側に支点軸によって反転自在に軸着し、この反転レバーの下方アーム部の先端を前記可動クランプ杆の上部に回動自在に連結し、前記反転レバーの上方アーム部の先端に回転ローラを取付けて構成し、この回転ローラが前記クランプの前記回転駆動経路における旋回駆動経路部に設けられるクランプ開閉ガイドの高位ガイド上面部に沿って転動する係合状態において、前記上方アーム部が前記支点軸を軸心として上方向に反転し、前記下方アーム部に連結された前記可動クランプ杆を上動させるようにし、前記可動クランプ杆の上クランプ部と前記固定クランプ杆の下クランプ部を上下方向に離間させた開状態に制御されるように構成した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置のクランプ。
【請求項7】
薄板状被処理物の搬送通路を間にした両側にエンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段をそれぞれ設け、各水平搬送駆動手段に間隔を置いて多数のクランプを取付け、前記搬送通路を間にして互いに平行な内側の搬送駆動経路の直線駆動経路部にあるクランプ群でフレキシブルな薄板状被処理物の両側部を上下方向から保持して該被処理物の板面を上下にした略水平状態で一方向に搬送させ、この搬送過程で複数の処理槽を通過させ各処理槽で被処理物に表面処理を施す装置であり、前記クランプは、前記水平搬送駆動手段に連結され且つこの水平搬送駆動手段の駆動経路の直線駆動経路部の下方位置に水平方向に配置した固定ガイドレールに沿って滑り接触しながら移動されるように外嵌されるクランプ取付け体と、このクランプ取付け体に設けた固定ガイド部に上下方向にスライド移動自在に保持されるクランプ本体を含み、このクランプ本体の上部に下限制御ストッパーを設け、クランプ本体の自重による下動によって前記下限制御ストッパーが前記クランプ取付け体の上面に係止される下限位置をクランプ本体の下降位置としてあり、このクランプ本体の下端部に薄板状被処理物の側縁部を上下方向から保持し得るクランプ部を位置させ、このクランプ部は前記クランプ取付け体より下方に位置させ、このクランプ本体に該クランプ本体が上下作動されるための上下作動ガイド用係合部を設けてあり、前記クランプ本体に設けた前記上下作動ガイド用係合部と係合させて該クランプ本体の上下動位置を処理槽間の仕切り板を飛び越え可能な上昇位置と処理槽内を水平に通過する下降位置とに案内する上下作動ガイド手段を少なくとも処理槽間の仕切り板の飛び越え位置のクランプの駆動経路に沿って配置した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置。
【請求項8】
薄板状被処理物の搬送通路を間にした両側にエンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段をそれぞれ設け、各水平搬送駆動手段に間隔を置いて多数のクランプを取付け、前記搬送通路を間にして互いに平行な内側の搬送駆動経路の直線駆動経路部にあるクランプ群でフレキシブルな薄板状被処理物の両側部を上下方向から保持して該被処理物の板面を上下にした略水平状態で一方向に搬送させ、この搬送過程で表面処理槽を通過させて被処理物に表面処理を施す装置であり、且つ、前記表面処理槽の両側に前記クランプに付着した金属などの付着成分を剥離する剥離処理槽を含むクランプ洗浄処理槽を並列的に配置し、外側の戻り駆動経路の直線駆動経路部にあるクランプ群が前記クランプ洗浄処理槽内を通過するようにした装置であり、前記クランプは、前記水平搬送駆動手段に連結され且つこの水平搬送駆動手段の搬送駆動経路と戻り駆動経路のそれぞれの直線駆動経路部の下方位置に水平方向に配置した固定ガイドレールに沿って滑り接触しながら移動されるように外嵌されるクランプ取付け体と、このクランプ取付け体に設けた固定ガイド部に上下方向にスライド移動自在に保持されるクランプ本体を含み、このクランプ本体の上部に下限制御ストッパーを設け、クランプ本体の自重による下動によって前記下限制御ストッパーが前記クランプ取付け体の上面に係止される下限位置をクランプ本体の下降位置としてあり、このクランプ本体の下端部に板状被処理物の側縁部を上下方向から保持し得るクランプ部を位置させ、このクランプ部は前記クランプ取付け体より下方に位置させ、このクランプ本体に該クランプ本体が上下作動されるための上下作動ガイド用係合部を設けてあり、前記クランプ本体に設けた前記上下作動ガイド用係合部と係合させて該クランプ本体の上下動位置を、前記表面処理槽と前記クランプ洗浄処理槽の間の仕切り板を飛び越え可能な上昇位置と、前記表面処理槽内及び前記クランプ洗浄処理槽内を水平に通過する下降位置とに案内する上下作動ガイド手段を少なくとも処理槽間の仕切り板の飛び越え位置の戻り駆動経路の直線駆動経路部に沿って配置した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の搬送装置において、前記戻り駆動経路の旋回駆動経路部にあるクランプ群が前記表面処理槽内を通過するようにし、前記戻り駆動経路の直線駆動経路部にあるクランプ群が前記クランプ洗浄処理槽内を通過するように構成し、戻り駆動経路の直線駆動経路部に処理槽間の飛び越え位置を配し、前記上下作動ガイド手段を戻り駆動経路の直線駆動経路部に沿って配置した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置。
【請求項10】
請求項7、8、9のいずれかに記載の搬送装置において、前記上下作動ガイド手段が、前記上下作動ガイド用係合部を支承して係合するガイドレールで、処理槽間の仕切り板の飛び越え位置の前記直線駆動経路部の方向に沿って配置されたガイドレールであり、このガイドレールが、処理槽間の仕切り板の上方位置に配置した水平な受け面をもつ上部ガイドレール部と、この上部ガイドレール部を間にして配した上り傾斜ガイドレール部と下り傾斜ガイドレール部とし、この各傾斜ガイドレール部は、この各傾斜ガイドレール部の下端部が下降位置にある前記クランプ本体の前記上下作動ガイド用係合部と係合可能な高さ位置とした、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置。
【請求項11】
請求項7、8、9のいずれかに記載の搬送装置において、前記上下作動ガイド手段が、前記直線駆動経路部の方向に沿って連続して配置した上下高さ変動レールであり、この上下高さ変動レールは、処理槽間の仕切り板の上方を飛び越え可能な上方位置に配置した水平な上部ガイドレール部と、処理槽内に配置した水平な下部ガイドレール部と、前記上部ガイドレール部と下部ガイドレール部とを連続的につなぐ傾斜ガイドレール部とした、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置。
【請求項12】
請求項7、8、9のいずれかに記載の搬送装置において、前記上下作動ガイド用係合部が、駆動経路の方向に回転する上下作動ガイド用転動ローラである表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置。
【請求項13】
薄板状被処理物の搬送通路を間にした両側に設けられたエンドレスに回転駆動される水平搬送駆動手段に取付けられて回転駆動され、前記搬送通路を間にして互いに平行な内側の搬送駆動経路の直線駆動経路部にあるクランプ群でフレキシブルな薄板状被処理物の両側部を上下方向から保持して該被処理物の板面を上下にした略水平状態で一方向に搬送する搬送装置のクランプであり、前記クランプは、前記水平搬送駆動手段に連結され且つこの水平搬送駆動手段の直線駆動経路部の下方位置に水平方向に配置した固定ガイドレールに沿って滑り接触しながら移動されるように外嵌されるクランプ取付け体と、このクランプ取付け体に設けた固定ガイド部に上下方向にスライド移動自在に保持されるクランプ本体を含み、このクランプ本体の下端部にフレキシブルな薄板状板状被処理物の側縁部を上下方向から保持し得るクランプ部を位置させ、このクランプ部は前記クランプ取付け体より下方に位置し、前記クランプ本体は、前記固定ガイド部に上下方向にスライド移動自在に保持される上下方向に長い保持クランプ杆と、この保持クランプ杆に上下動自在に保持される上下方向に長い可動クランプ杆を含み、この可動クランプ杆の下端部に上クランプ部を形成し、前記保持クランプ杆の下端部に前記上クランプ部を受ける下クランプ部を形成し、可動クランプ杆は圧縮バネのバネ圧によって下動され、前記可動クランプ杆の上クランプ部と前記保持クランプ杆の下クランプ部を常態において上下方向に閉じた閉状態に制御してあり、前記クランプ本体の上部には、前記可動クランプ杆を前記圧縮バネのバネ圧に抗して上移動させ上下クランプ部を上下方向に開くクランプ開閉ガイド係合部材を付設してあり、前記保持クランプ杆の上部に下限制御ストッパーを設け、クランプ本体の自重による下動によって前記下限制御ストッパーが前記クランプ取付け体の上面に係止される下限位置をクランプ本体の下降位置としてあり、この保持クランプ杆に上下作動ガイド用係合部を設け、この上下作動ガイド用係合部を上下動させることによってクランプ本体が上下作動されるように構成した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置のクランプ。
【請求項14】
請求項13に記載のクランプにおいて、前記上下作動ガイド用係合部が、駆動経路の方向に回転する上下作動ガイド用転動ローラである、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置のクランプ。
【請求項15】
請求項13に記載のクランプにおいて、前記クランプ開閉ガイド係合部材が、略L字型の反転レバーの屈曲部を支点部として前記保持クランプ杆側に支点軸によって反転自在に軸着され、この反転レバーの下方アーム部の先端を前記可動クランプ杆の上部に回動自在に連結し、前記反転レバーの上方アーム部の先端にクランプ開閉ガイドのガイド上面部に沿って転動自在な回転ローラを取付けて構成し、この回転ローラが前記クランプ開閉ガイドの高位ガイド上面部に沿って転動する係合状態において、前記上方アーム部が前記支点軸を軸心として上方向に反転され、前記下方アーム部に連結された前記可動クランプ杆を上動させ、前記可動クランプ杆の上クランプ部と前記保持クランプ杆の下クランプ部を上下方向に離間させた開状態に制御されるように構成した、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置のクランプ。
【請求項16】
請求項13に記載のクランプにおいて、前記クランプ取付け体の外側の垂直ガイド面に前記保持クランプ杆のスライド接触面に向けてそり接触する弾性を付与したリン青銅などの金属製板バネを設けた、表面処理装置における薄板状被処理物の搬送装置のクランプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate