説明

表面塗料溶液

本開示は、表面塗料基剤及び該表面塗料基剤中に与えられたベーマイト粒子を有する表面塗料溶液を記載する。ベーマイト粒子は、主として、少なくとも3:1のアスペクト比を有する異方形状粒子を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベーマイトを含有する表面塗料溶液及びそれらを作る方法に関する。
【0002】
背景
表面塗料溶液は、ペイント、表面保護剤及び接着剤溶液を含めて様々な用途において有用である。かかる塗料は吹付け、浸漬塗布及び刷毛塗り又はロール塗りを含めて様々な施用技法によって施用され得、そして一般に予定技法を最適にするように処方される。不適正な処方は、不所望なテクスチャー、施用跡、及び施用中の表面塗料溶液のタレ又は滴りに通じ得る。かかる問題は、ラテックス表面塗料溶液のような水系塗料処方物において特に重要である。
【0003】
ラテックス塗料処方物の例は、米国特許第5,550,180号明細書に与えられている。このラテックス処方物すなわち組成物は、レオロジー調整剤として、約60オングストロームより小さい結晶サイズ(020面)及びおおよそ200m2/gより大きい表面積(ガンマ相にカ焼された場合)を有するベーマイトアルミナを含む。該ベーマイトは、低剪断において比較的高い粘度及び高剪断において比較的低い粘度を有するように、該組成物のレオロジー的性質を調整するべき量にて存在する。
【0004】
表面塗料溶液の処方についての進歩にもかかわらず、望ましいタレ抵抗、流動及びレベリング特性並びに粘度回復時間を有するコスト効率的な表面塗料溶液に対するニーズが、当該技術において存続している。かように、改善表面塗料溶液が望ましい。
【0005】
要約
本発明の一つの具体的態様は、表面塗料基剤及び該表面塗料基剤中に与えられたベーマイト粒子を有する表面塗料溶液に向けられる。ベーマイト粒子は、主として、少なくとも3:1のアスペクト比を有する異方形状粒子を含む。
【0006】
本発明の別の具体的態様は、ベーマイト粒子を含む表面塗料溶液であって、該ベーマイトが、主として、少なくとも3:1のアスペクト比及び少なくとも50ナノメートルの最長次元を有する異方形状粒子を含む表面塗料溶液に向けられる。
【0007】
表面塗料調製物を作る方法もまた提供される。該方法は、ベーマイト粒子を活性化して活性溶液を作り、該活性溶液を用いてグラインド溶液を作り、そして該グラインド溶液を用いて塗料調製物を作ることを含む。ベーマイト粒子は、主として異方形状粒子を含む。前記の方法により作られた表面塗料調製物もまた記載される。
【0008】
詳細な説明
本発明の一つの具体的態様によれば、塗料基剤及び該塗料基剤中に与えられたベーマイト粒子を含む塗料溶液が提供される。ベーマイト粒子は、一般に、少なくとも3:1のアスペクト比を有する異方形状粒子で主として構成され、そして針状粒子及び小板状粒子並びにそれらの組合わせを包含する。塗料溶液は、特定の用途にとって望ましいタレ抵抗又は流動及びレベリング特性のような性質を有し得る。
【0009】
塗料溶液及び塗料基剤は、ペイント、エナメル、表面塗料及び接着剤のような水系又は油系溶液であり得る。水系溶液は、アクリルエマルジョン、スチレン変性アクリルエマルジョン及びポリビニルアセテートエマルジョンのようなラテックスペイントを包含する。油系溶液は、油変性ポリエステル及び溶媒系アルキドのようなアルキド樹脂を包含し得る。加えて、塗料溶液及び塗料基剤は、水希釈性アルキド溶液であり得る。塗料溶液は屋内及び屋外用途のために有用であり得、そして建築用又は軽質工業用保全塗料を包含し得る。
【0010】
用語「ベーマイト」は、一般に、典型的にはAl23・H2Oでありそして15%程度の水分を有する鉱物ベーマイト及び15%より高い(たとえば20〜38重量%のような)水分を有する擬ベーマイトを含めてアルミナ水和物を指すように本明細書において用いられる。厳密に言えば擬ベーマイトは一般にアルミナのモル当たり1モルより多い水を有するけれども、しばしば文献は擬ベーマイトを述べるために用語アルミナ一水和物を用いる。従って、用語アルミナ一水和物は、擬ベーマイトを包含するように本明細書において用いられる。アルミナ一水和物粒子はコロイド形態で用いられ得、しかして本明細書においてコロイドアルミナ一水和物(CAM)粒子と称される。ベーマイト粒子は、主として、針様又は小板様粒子のような異方形状粒子を含み、しかしてそれらは一般に塗料基剤中に分散される。
【0011】
一つの例示的具体的態様は、少なくとも50ナノメートル好ましくは50から2000そして一層好ましくは100から1000ナノメートルの最長次元を有する異方針状結晶を含むベーマイト粒子を利用する。長手に垂直な次元は、典型的には、各々50ナノメートルより小さい。最長次元対最長次元に垂直なその次に最長の次元の比率と定義されるアスペクト比は、一般に少なくとも3:1そして好ましくは少なくとも6:1である。加えて、針状粒子は、2番目に長い次元対3番目に長い次元の比率と定義される第2アスペクト比により特徴づけられ得る。第2アスペクト比は、一般に3:1より大きくなく、典型的には2:1より大きくなく、そしてしばしば約1:1である。第2アスペクト比は、一般に、最長次元に垂直な平面における粒子の断面の形状寸法を表現する。
【0012】
針状粒子は、比較的低い種晶添加レベル及び酸性pHと組み合わせられた長期熱水条件により、一つの軸に沿ってベーマイトの優先的成長をもたらすことによって作られ得る。更により長い及びより高いアスペクト比の針状ベーマイト粒子を生成させるために、より長い熱水処理が用いられ得る。針状粒子は、BET技法により測定して少なくとも75m2/gそして好ましくは少なくとも100m2/g(たとえば250m2/gまで、300m2/gまで又はそれどころか350m2/gまでのような)の表面積を有する。かかる針状粒子は、共通して所有している米国特許出願公開第2003/0197300号明細書(参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載された方法によって形成され得る。
【0013】
或る具体的態様は上記に記載された針状ベーマイト粒子を利用するけれども、他のものは小板状ベーマイト粒子を用いる。小板状粒子は、一般に少なくとも50ナノメートル好ましくは50から2000ナノメートルそして一層好ましくは100から1000ナノメートルの面寸法を有する結晶である。面に垂直な端寸法は、一般に、50ナノメートルより小さい。最長次元対最長次元に垂直なその次に最長の次元の比率と定義されるアスペクト比は、少なくとも3:1そして好ましくは少なくとも6:1である。更に、粒子の対向主面は一般に平面でありそして一般に互いに平行であり、しかして粒子の小板モルホロジーを更に定める。加えて、小板状粒子は、約3:1より大きい第2アスペクト比を有すると特徴づけられ得る。小板状粒子は、一般に、BET技法により測定して少なくとも10m2/gそして好ましくは70から90m2/gの表面積を有する。
【0014】
小板状粒子は、ベーマイト種晶が充填された三水酸化アルミニウム原料の熱水処理により生成され得る。実施例として、オートクレーブに7.42lbのアルコアヒドラール(Alcoa Hydral)710三水酸化アルミニウム、0.82lbのサソール・キャタパル(SASOL Catapal)B擬ベーマイト、66.5lbの脱イオン水、0.037lbの水酸化カリウム及び0.18lbの22wt%硝酸を装填した。ベーマイトが5lbの水及び0.18lbの該酸中に予備分散された後に、三水酸化アルミニウム、残りの水及び水酸化カリウムが添加された。530rpmにて撹拌しながら、オートクレーブを45分の期間をかけて185℃に加熱しそしてその温度に2時間維持した。約163psiの自然発生圧が達せられ、そして維持された。その後、ベーマイト分散液をオートクレーブから取り出し、そして液体分を65℃の温度にて除去した。生じた塊を100メッシュより小さく粉砕した。
【0015】
分散を増大させるべきベーマイト粒子の特殊な表面処理なしに、ベーマイト粒子は個々に且つ一様に、極性溶媒及び/又はポリマーを含有する塗料溶液内に分散され得る。しかしながら、表面処理はレオロジーの調整のような独特の性質を該溶液に付与し得、そして従って或る用途にとっては望ましい。たとえば、表面処理ベーマイト粒子を含有する水系溶液は高い低剪断粘度及び比較的低い高剪断粘度を示し得、しかしてかかる異なる剪断条件における高い及び低い粘度レベルについての広がりは、未処理ベーマイト粒子を含有する溶液より大きい。ベーマイト粒子の表面処理は、硫酸マグネシウム及び硫酸カルシウムのようなアルカリ及びアルカリ土類の硫酸塩並びに水酸化アンモニウムのようなアンモニウム化合物の添加を包含し得る。一つの例示的具体的態様において、高剪断粘度は、たとえば低剪断粘度の30%より大きくないような、低剪断粘度の50%より大きくない。低剪断粘度は、たとえば、10rpmにおいて測定され得、そして高剪断粘度は100rpmにおいて測定され得る。
【0016】
溶液中において、コロイドアルミナ一水和物(CAM)粒子の形態におけるようなベーマイト粒子は、塗料溶液の重量により約0.1%と20%の間を構成し得る。たとえば、ベーマイト粒子は、塗料溶液の重量により約0.5%と10%の間又は別の例において塗料溶液の重量により約0.5%と2%の間を構成し得る。該溶液は7より大きいpHのような塩基性pHを有し得、たとえばpHは少なくとも約7.5、8.0、又はそれ以上であり得る。
【0017】
塗料溶液はまた、クレー(たとえば、ナノクレーのアクチゲル(Actigel)−208)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、変性HEC及び他の水系レオロジー調整剤のような水系増粘剤を含み得る。しかしながら、特定の具体的態様によれば、塗料溶液は、QR−708のような会合性増粘剤を含まない。会合性増粘剤は、ポリマーとの錯体を形成することによるように溶液中のポリマーと共に会合する成分である。
【0018】
異方形状ベーマイト粒子の上記の充填量でもって、塗料溶液は、タレ抵抗、流動及びレベリング特性並びに回復時間のような望ましい特性を有し得る。ラネタ(Laneta)タレ抵抗は、試験方法ASTM D4400を用いて測定して7と12milの間にあり得る。例示的具体的態様において、ラネタ(Laneta)タレ抵抗は、8と10milの間にあると測定された。流動及びレベリング特性は、試験方法ASTM D2801を用いて測定して一般に6milより大きい。例示的具体的態様において、流動及びレベリング特性は、たとえば約6と7milの間のような約6と10milの間にあった。回復時間は、塗料溶液の粘度により特徴づけられ得る。一つの具体的態様によれば、塗料溶液は、約15秒未満で低剪断粘度(10rpm)の80%を回復する。
【0019】
乾燥時間を試験方法ASTM D1640を用いて測定した。塗料溶液は、一般に、30分より少ない指触乾燥時間を有する。例示的具体的態様において、指触乾燥時間は、たとえば8と10分の間のような8と15分の間にあると測定された。
【0020】
溶液形成に向けると、塗料溶液は、コロイドアルミナ一水和物(CAM)粒子のようなベーマイト粒子の溶液を活性化して活性溶液を作ることによって作られ得る。溶液を活性化することにより、一般に、下記の実施例1に記載されたレオロジー傾向を示す溶液のような剪断減粘性溶液がもたらされることになる。溶液の活性化及びそれに伴うレオロジーの調整についての一つのあり得るメカニズムは、ベーマイト粒子上にある表面ニトレートとの塩の形成によってのようなベーマイト粒子の表面性質の調整である。一つの具体的態様において、アミンを添加することにより、粒子は活性化される。たとえば、水酸化アンモニウムが溶液に添加されて、pHが増加されそしてベーマイト粒子が性化され得る。これは、サンプル中に存在する残留硝酸との可溶性第4級アンモニウム塩の形成をもたらすことになると信じられる。その代わりに、ベーマイト溶液を活性化するために、硫酸マグネシウム及び硫酸カルシウムのようなアルカリ及びアルカリ土類金属の塩が用いられ得る。別の例において、ベーマイト粒子を活性化するために、ナノクレーのような増粘性クレーが添加され得る。更なる具体的態様において、ベーマイト粒子を活性化するために、コロイドシリカが添加される。活性化は、ベーマイト粒子の表面電荷と反対の表面電荷を有する基質粒子を添加することにより行われ得る(たとえば、コロイドシリカは負に荷電されており、それにより正荷電ベーマイト粒子と相互作用する)。水酸化アンモニウムの特定例は処方物の安定性を改善することによりラテックスエマルジョン系溶液に有益であり得、そして従って或るラテックス塗料溶液に関して望ましい。
【0021】
活性化の効能は、活性化が行われる特定の態様により影響され得る。一つの具体的態様によれば、ベーマイトは、活性剤の導入前に溶媒基剤に添加される。たとえば、ベーマイトが最初に水に添加され、そして次いで水酸化アンモニウムが導入される。この技法は、異なる工程順序(すなわち、最初に水溶液への水酸化アンモニウムの添加及び次いでベーマイトの導入)よりも溶液の高い粘度及び良好な安定性をもたらすことになった。
【0022】
活性化CAM溶液は、グラインド溶液を作るために用いられ得る。用語グラインド溶液は、一般に、高濃度の顔料及び他の活性成分を有する中間溶液を意味する。グラインド溶液は、一般に、強靭でありそしてグラインド溶液の処方中に用いられる高い剪断速度に耐え得る諸成分でもって製造され、そして典型的には脱泡剤、顔料、顔料用分散剤及び湿潤剤を含む。充填剤のような配合物パートナーもまた、グラインド溶液に又はグラインド溶液の製造前に添加され得る。配合物パートナーは、ガラス繊維、アルミニウム三水和物、サブミクロンアルファアルミナ粒子、シリカ及びカーボンを包含し得る。グラインド溶液は、一般に、表面塗料調製物(グラインド溶液、追加的溶媒、及びラテックス又はアクリル粒子のようなポリマー粒子の懸濁液を併せ持つ)を作るために希釈される。典型的には、剪断感受性成分(たとえば、高剪断条件に耐えない脆い成分)は、表面塗料調製物の製造中に添加される。一つの例示的ペイントエマルジョンは、Rohm & Haasによるメインコート(Maincote)HG−56光沢白色エナメル標準品である。
【実施例】
【0023】
次の例は、溶液に10重量%種晶粒子を添加することにより形成されたベーマイト粒子(本明細書においてCAM9010と称される)を利用する。
【0024】
実施例1
8.04のpHを有する270グラムの水道水を、容器に装填した。30グラムのCAM9010を添加し、そして15分間掻き混ぜた。この溶液のpHは4.41に下がった。水酸化アンモニウムをこの混合物に、増粘が認められるまで添加した。水酸化アンモニウムは、それが水系エマルジョン塗料に通常用いられるので、この例において選ばれた揮発性アミンであった。増粘すなわちゲル形成は、28%水酸化アンモニウムの0.56グラムの添加後にもたらされた。水酸化アンモニウムの量は、総重量を基準として0.187%又はベーマイト重量を基準として1.87%のレベルと同等とみなされた。生じた「活性化」10%CAM9010プレゲルは、7.29のpHを有していた。この配合物の低剪断から高剪断の粘度、及び15秒後の相対回復率は、次のとおりであった。
スピンドル/rpm cp
#6/10 23,000
#6/100 3,950
#6/10 15秒後の回復 19,500
【0025】
水酸化アンモニウムはベーマイト粒子表面上の残留硝酸と反応して、溶液の増加されたpH及び粘度をもたらす、ということが信じられる。図1は、製造後の2から72時間におけるレオロジープロフィールを図示する。溶液レオロジーは、72時間の期間について安定である。
【0026】
実施例2
研究のために選択されたポリマー系は、軽質から中質の工業用保全用途向けのプライマー及び耐候性トップコートの製造のために設計されたアクリルエマルジョンであるRohm & Haasのメインコート(Maincote)HG−56であった。比較のための標準及び試験処方物のための基線として役立つように選ばれたメインコート(Maincote)HG−56処方物は、吹付け施用用のG−46−1光沢白色エナメルであるR & Hの出発点処方物であった。製造業者は、この処方物の増粘のために、100ガロンの塗料当たり2lbのレベルにてアクリゾル(Acrysol)QR−708の使用を推奨する。
【0027】
100%CAM9010、CAM9010とナノクレーとの配合物又は100%アクリゾル(Acrysol)QR−708の増粘剤組成物を用いて、溶液を試験した。CAMとナノクレーの配合物は、ナノクレーを活性化するために、CAMの固有酸性度の一部及び顔料用分散剤を利用する。アンモニウム塩であるタモル(Tamol)850が試験され、そしてナノクレーの部分活性化をもたらした。ナトリウム塩であるタモル(Tamol)731もまた試験され、そして有意により良好に働いた。ナノクレーは、ナトリウム、カルシウム又はカリウムのような金属源が存在する場合に活性化する。
【0028】
CAM9010は、選択された処方物において、水酸化アンモニウムの添加により容易に活性化された。1ポンドの水酸化アンモニウムが安定化のために処方物に用いられ、そして評価されたCAM9010の最高充填レベルでさえ活性化するのに十分以上であった。
【0029】
最終塗料調製物は、20ポンドの全増粘剤を用いて開始された。20ポンドに対する百分率として下記に指摘された量のベーマイトを、123.2ポンドの脱イオン水に添加した。この溶液に、1ポンドの28%水酸化アンモニウム溶液を添加した。引き続いて、増粘剤配合物の残部を形成するために、ナノクレー増粘剤を添加した。加えて、1.5ポンドのドルー(Drew)L−405脱泡剤、11.1ポンドのタモル(Tamol)731顔料用分散剤、1.5ポンドのトリトン(Triton)CF−10顔料用湿潤剤及び195ポンドのTi−ピュア(Ti-Pure)R−706ルチル二酸化チタンを添加した。これによりグラインド溶液が形成され、そして523ポンドのメインコート(Maincote)HG−56、4ポンドの28%水酸化アンモニウム溶液、40ポンドのベンジルアルコール、15ポンドのジブチルフタレート、2.5ポンドのフォーマスター(Foamaster)11及び9ポンドの15%水中水酸化ナトリウムを含む塗料調製物に、該グラインド溶液を添加した。これらの処方物は、下記においてTEW−463により指摘される。第2の処方物は、アクリゾル(Acrysol)QR−708増粘剤の使用について示唆されたプラクチスに従った(TEW−464により指摘される)。
【0030】
処方番号 増粘剤組成
TEW−463−2 25%:75%のCAM9010対ナノクレー(重量による)
TEW−463−3 50%:50%のCAM9010対ナノクレー(重量による)
TEW−463−4 75%:25%のCAM9010対ナノクレー(重量による)
TEW−463−5 100%のCAM9010(重量による)
TEW−464 アクリゾル(Acrysol)QR−708標準品
【0031】
QR−708標準品を除く各処方物において、塗料中の公知の潜在性活性剤は、CAM9010及びベーマイトの酸性度に対する水酸化アンモニウム、タモル(Tamol)731顔料用分散剤、並びにナノクレーに対する亜硝酸ナトリウムフラッシュ錆止め剤を含む。
【0032】
試験のために、pHの低減なしに処方塗料粘度にて、各塗料をバードバー(Bird Bar)の引下ろしによって、2.5〜3.0milの乾燥膜厚に施用した。当該技術において理解されるように、バードバー(Bird Bar)は、サンプル試験塗膜をもたらすために一般的に知られた装置である。試験のたいていの様相のために選択された基材は、裸冷間圧延鋼であった。タレ抵抗、流動及びレベリング、等の試験のために、検印済みレネタ(Leneta)チャートを用いた。すべての塗被パネルを次いで72°F及び45%相対湿度の室温条件にて、14日間乾燥/硬化させた。
【0033】
次いで、増粘剤の効率及び塗料性能に対する増粘剤の影響についての評価を、次の試験方法を利用して評価した。
粘度(K.U.) ASTM D562
粘度(cp) ASTM D2196
粘度(ICI) ASTM D4287
流動及びレベリング ASTM D2801
レネタ(Leneta)タレ抵抗 ASTM D4400
膜厚(DFT) ASTM D1186
乾燥速度 ASTM D1640
硬度発現 ASTM D3363
鏡面光沢 ASTM D523
付着性(クロスハッチ) ASTM D3359(方法B)
【0034】
下記に示された表1は、処方物についての粘度、pH、タレ抵抗、並びに流動及びレベリング特性を表す。処方物の各々は、増加する剪断速度に対して粘度の低減を示した。しかしながら、ベーマイト処方物は、QR−708処方物(ベーマイト不含)よりも有意に高い低剪断粘度を示した。加えて、ベーマイト処方物の各々は、低剪断から高剪断測定の粘度について、QR−708処方物よりも大きい割合の低下を示した。実際に、図2においてレオロジープロフィールにより示されているように、100%CAM9010溶液は、低剪断粘度の30%より小さい高剪断粘度を示し、しかして粘度について顕著な広がりを表す。
【0035】
タレ抵抗試験からのデータは、図3に図示されている。ベーマイト処方物の各々は、7milより大きいタレ抵抗を示した。サンプルTEW−463−2からTEW−463−5は、8と12milの間のタレ抵抗を示した。ベーマイト処方物はまた、6milを超えるそしていくつかの例において6と10milの間又は6と7milの間の流動及びレベリングを有するので、所望の流動及びレベリング特性を示す。
【0036】
ベーマイト処方物についての指触乾燥時間は、CAMの増加する百分率と共に減少した。指触乾燥時間は、表2に示されているように30分から9分に減少した。CAM処方物の表面乾燥時間もまた、QR−708処方物より良好であった。
【0037】
上記に開示された主題の事柄は説明的でありそして制限的でないと考えられるべきであり、そして添付の請求項は本発明の範囲内に入るような改良、向上及び他の具体的態様のすべてをカバーするよう意図されている。かくして、法律により許される最大限度まで、本発明の範囲は添付の請求項及びそれらの均等物の許容され得る最も広い解釈により決定されるべきであり、そして前記の詳細な説明により制限又は限定されてはならない。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、塗料溶液の例示的具体的態様についてのレオロジー安定性を図示する。
【図2】図2は、例示的塗料溶液についての剪断依存性粘度挙動を図示する。
【図3】図3は、例示的塗料溶液についてのラネタ(Laneta)タレ抵抗を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面塗料溶液であって、
表面塗料基剤、及び
該表面塗料基剤中に与えられたベーマイト粒子
を含み、しかも該ベーマイト粒子は、主として、少なくとも3:1のアスペクト比を有する異方形状粒子を含む表面塗料溶液。
【請求項2】
表面塗料基剤が水系溶液である、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項3】
水系溶液が更にエマルジョンにおけるポリマーを含み、そして表面塗料溶液がラテックスペイントである、請求項2に記載の表面塗料溶液。
【請求項4】
ラテックスペイントがアクリル樹脂を含む、請求項3に記載の表面塗料溶液。
【請求項5】
表面塗料溶液が、少なくとも約6milの流動及びレベリングを有する、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項6】
表面塗料溶液が、約7milより大きいタレ抵抗を有する、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項7】
表面塗料溶液が、約7と12milの間のタレ抵抗を有する、請求項6に記載の表面塗料溶液。
【請求項8】
表面塗料溶液が、本質的に会合性増粘剤不含である、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項9】
ベーマイト粒子が、表面塗料溶液の重量により約0.1%と20%の間を構成する、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項10】
ベーマイト粒子が、表面塗料溶液の重量により約0.5%と10%の間を構成する、請求項9に記載の表面塗料溶液。
【請求項11】
ベーマイト粒子が、表面塗料溶液の重量により約0.5%と2%の間を構成する、請求項10に記載の表面塗料溶液。
【請求項12】
表面塗料溶液が、約30分より少ない指触乾燥時間を有する、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項13】
ベーマイト粒子が、少なくとも約50ナノメートルの最長次元を有する、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項14】
ベーマイト粒子が、100と1000ナノメートルの間の最長次元を有する、請求項13に記載の表面塗料溶液。
【請求項15】
アスペクト比が、約6:1より小さくない、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項16】
ベーマイト粒子が、約3:1より大きくない第2アスペクト比を有する、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項17】
ベーマイト粒子が、BET技法により測定して少なくとも10m2/gの表面積を有する、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項18】
ベーマイト粒子が、BET技法により測定して少なくとも75m2/gの表面積を有する、請求項17に記載の表面塗料溶液。
【請求項19】
ベーマイト粒子が、BET技法により測定して約100と約350m2/gの間の表面積を有する、請求項18に記載の表面塗料溶液。
【請求項20】
表面塗料溶液が、約15秒未満で低剪断粘度の80%を回復する、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項21】
溶液のpHが、7.0より大きい、請求項1に記載の表面塗料溶液。
【請求項22】
ベーマイト粒子を含む表面塗料溶液であって、該ベーマイトが、主として、少なくとも約3:1のアスペクト比及び少なくとも50ナノメートルの最長次元を有する異方形状粒子を含む表面塗料溶液。
【請求項23】
表面塗料溶液が、約6milより大きい流動及びレベリングを有する、請求項22に記載の表面塗料溶液。
【請求項24】
表面塗料溶液が、少なくとも7milのタレ抵抗を有する、請求項22に記載の表面塗料溶液。
【請求項25】
表面塗料溶液が、本質的に会合性増粘剤不含である、請求項22に記載の表面塗料溶液。
【請求項26】
ベーマイト粒子が、表面塗料溶液の重量により約0.5%と2%の間を構成する、請求項22に記載の表面塗料溶液。
【請求項27】
表面塗料溶液が、約30分より少ない指触乾燥時間を有する、請求項22に記載の表面塗料溶液。
【請求項28】
ベーマイト粒子が、100と1000ナノメートルの間の最長次元を有する、請求項22に記載の表面塗料溶液。
【請求項29】
ベーマイト粒子が、少なくとも6:1のアスペクト比を有する、請求項22に記載の表面塗料溶液。
【請求項30】
ベーマイト粒子が、約3:1より大きくない第2アスペクト比を有する、請求項22に記載の表面塗料溶液。
【請求項31】
ベーマイト粒子が、BET技法により測定して少なくとも10m2/gの表面積を有する、請求項22に記載の表面塗料溶液。
【請求項32】
ベーマイト粒子が、BET技法により測定して少なくとも75m2/gの表面積を有する、請求項31に記載の表面塗料溶液。
【請求項33】
ベーマイト粒子が、BET技法により測定して約100と約350m2/gの間の表面積を有する、請求項32に記載の表面塗料溶液。
【請求項34】
表面塗料溶液が、約15秒未満で低剪断粘度の80%を回復する、請求項22に記載の表面塗料溶液。
【請求項35】
表面塗料調製物を作る方法であって、
ベーマイト粒子を活性化して活性溶液を作り、しかも該ベーマイト粒子は、主として異方形状粒子を含み、
該活性溶液を用いてグラインド溶液を作り、そして
該グラインド溶液を用いて塗料調製物を作る
ことを含む方法。
【請求項36】
ベーマイト粒子を活性化することが、剪断減粘レオロジーを有する活性溶液をもたらすことになる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ベーマイト粒子を活性化することが、塩基を添加することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
塩基が水酸化アンモニウムである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ベーマイト粒子を活性化することが、活性溶液のpHを少なくとも7.0に増加させることを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
ベーマイト粒子を活性化することが、ベーマイト粒子の電荷と反対の電荷を有する粒子を添加することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
グラインド溶液を作ることが、顔料を添加することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
ベーマイト粒子を活性化することが、塩を添加することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
主として異方形状粒子が、少なくとも約3:1のアスペクト比を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
塗料調製物が、約6milより大きい流動及びレベリングを有する、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
塗料調製物が、少なくとも7milのタレ抵抗を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項46】
塗料調製物が、本質的に会合性増粘剤不含である、請求項35に記載の方法。
【請求項47】
ベーマイト粒子が、塗料調製物の重量により約0.5%と2%の間を構成する、請求項35に記載の方法。
【請求項48】
塗料調製物が、約30分より少ない指触乾燥時間を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項49】
ベーマイト粒子が、少なくとも約50ナノメートルの最長次元を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項50】
ベーマイト粒子が、BET技法により測定して少なくとも10m2/gの表面積を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項51】
塗料調製物が、約15秒未満で低剪断粘度の80%を回復する、請求項35に記載の方法。
【請求項52】
請求項35に記載の方法により作られた表面塗料調製物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−532756(P2007−532756A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508409(P2007−508409)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/012037
【国際公開番号】WO2005/100491
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(593150863)サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド (139)
【Fターム(参考)】