袋カップ
【課題】内容物の摂取時、大きな飲み口を有し内容物の摂取性を向上した、袋カップを提供するとともに、使用後にもかさばることなく携帯性に優れ、かつ廃棄処理を容易とする携帯性袋カップを提供する。さらには、袋カップの製造上の難点を克服することにより、簡単な方法で良質な袋カップを提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の発明は、パウチ状の袋本体の開口部分に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リングを接合した袋カップであって、前記袋本体は前記口部リングの外周長よりも大なる開口長を有し、前記袋本体の開口部分へと前記口部リングを接合した際に生じる、余ったシール部位からなる耳部を形成し、さらに、前記耳部を折り込み固定することにより、前記口部リングと前記袋本体との密着性を向上するとともに、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上したことを特徴とする、袋カップである。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の発明は、パウチ状の袋本体の開口部分に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リングを接合した袋カップであって、前記袋本体は前記口部リングの外周長よりも大なる開口長を有し、前記袋本体の開口部分へと前記口部リングを接合した際に生じる、余ったシール部位からなる耳部を形成し、さらに、前記耳部を折り込み固定することにより、前記口部リングと前記袋本体との密着性を向上するとともに、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上したことを特徴とする、袋カップである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、粘体、粉体、固体、或いは、これらを混合した固体入り液体等の内容物を封入して、内容物に対して十分な密封性能を保持するとともに、使用後はコンパクトに収容可能な、袋カップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図16(a)に示すように、携帯に便利なプラスチック成型品からなる、飲料用のプラスチックカップ30が知られており、例えば、運動会や遠足などの行事やスポーツ観戦等の幅広い場面でお茶やコーヒー等、各種飲料の摂取に用いられている。
【0003】
しかしながら、このような成型品のプラスチックカップ30は、未使用時においてはかさばり、また、廃棄する際には減量化が難しいという問題があった。
【0004】
他方、図16(b)に示すように、主に、ジュース類、果汁類、ゼリー状飲料、栄養ドリンク剤等の飲料品や、調味料、その他種々の飲食品を充填包装した袋状のパウチD上方に、スパウトTを取り付けたスパウト付きパウチ40が知られている(例えば特許文献1)。
【0005】
このようなスパウト付きパウチ40は、携帯性に優れるものの、飲み口の小さなスパウトTを口にくわえて吸い出すようにして内容物を摂取するため、コーヒーやお茶などが内容物であった場合、内容物の摂取に違和感を感じてしまうという問題がある。さらには、口径の小さなスパウトTでは、スパウトTの口径より大きな固形物を含む内容物を用いることが不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、内容物の摂取時、大きな飲み口から内容物を飲み干すことが可能な構成として、内容物の摂取性を向上した飲料用の袋カップを提供するとともに、携帯性に優れ、使用後にもかさばることなく廃棄処理を容易とする減量性に優れた、高品質な飲料用の袋カップを、より簡単な方法で提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、これらの課題を解決するため、本発明の請求項1記載の発明は、パウチ状の袋本体の開口部分に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リングを接合した袋カップであって、前記袋本体は前記口部リングの外周長よりも大なる開口長を有し、前記袋本体の開口部分へと前記口部リングを接合した際に生じる、余ったシール部位からなる耳部を形成し、さらに、前記耳部を折り込み固定することにより、前記口部リングと前記袋本体との密着性を向上するとともに、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上したことを特徴とする、袋カップである。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記口部リング外径より僅かに大きな内径を有する補助リングを、前記口部リングの胴部へと嵌合することにより、前記耳部を折り込んだ状態で固定することを特徴とする、袋カップである。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、前記耳部のシール幅が、前記口部リング外周長の1/4以下であることを特徴とする、袋カップである。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、前記袋本体の底部が、自立可能なスタンドパウチ形状であることを特徴とする、袋カップである。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、前記口部リングに、前記袋カップを密封するための初期開封シールを形成したことを特徴とする、袋カップである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1記載の発明は、パウチ状の袋本体の開口部分に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リングを接合した袋カップであって、前記袋本体は前記口部リングの外周長よりも大なる開口長を有し、前記袋本体の開口部分へと前記口部リングを接合した際に生じる、余ったシール部位からなる耳部を形成し、さらに、前記耳部を折り込み固定することにより、前記口部リングと前記袋本体との密着性を向上するとともに、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上したことを特徴とするから、口部リングと袋本体との接合部分にシワやピンホールが生じることなく、口部リングと袋本体との密着性を向上した高品質な袋カップを提供することが可能である。さらには、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上することが可能である。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、前記口部リング外径より僅かに大きな内径を有する補助リングを、前記口部リングの胴部へと嵌合することにより、前記耳部を折り込んだ状態で固定することを特徴とするから、簡単な方法で前記耳部を固定することが可能である。また、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上することが可能である。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、前記耳部のシール幅が、前記口部リング外周長の1/4以下であることを特徴とするから、前記袋本体と前記口部リングとを安定して密着させることが可能である。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、前記袋本体の底部が、自立可能なスタンドパウチ形状であることを特徴とするから、通常のカップ同様に、前記袋カップを自立させることが可能である。
【0016】
また、請求項5記載の発明は、前記口部リングに、前記袋カップを密封するための初期開封シールを形成したことを特徴とするから、購入前の袋カップを密封した状態で保存、提供することが可能であるとともに、例えば、商品の説明や注意事項等を好適に表示することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る袋カップAの一例としては、図1(a)に示すように、樹脂成型品からなる筒状の口部リング1と、該口部リング1の胴部12に接合された、パウチ状の袋本体2とからなり、特に、袋本体2は、自立可能なスタンド型パウチを用いることにより、図1(b)に示すように、袋カップAを自立させることが可能である。
【0018】
特に、前記袋本体2は、前記口部リング1の外周長よりも大なる開口長を有しており、後述する、袋本体2の開口部分に口部リング1を接合することにより生じる、余ったシール部位からなる耳部7を形成した後、さらに該耳部7を折り込み固定することにより、前記口部リング1と前記袋本体2との密着性を向上することが可能である。
【0019】
そして、本発明の袋カップAは、前記口部リング1の大なる開口部分C(飲み口C)から、直に内容物を飲み干すことが可能であるとともに、袋カップAの使用後に、袋本体2を小さく折り込むことにより、廃棄する際に高い減量性を奏することが可能である。
【0020】
以下に、本発明の袋カップAの構成ついて説明する。
まず、本発明の袋カップAの、前記口部リング1について説明する。
前記口部リング1の一例としては、例えば、図2に示すように、樹脂性の円筒部材からなる胴部12と、該胴部12の上端に外方へと突出したフランジ部14とからなり、前記胴部12へと、後述する、袋本体2を接合する簡単な方法により、本発明の袋カップAを形成することが可能である。
【0021】
次に、本発明の袋カップAの、前記袋本体2について説明する。
前記袋本体2としては、種々のパウチ形状からなる軟包装体を用いればよく、例えば、図3(a)に示すように、包装体2の底部を山形状に折り合わせることにより、袋本体2の底部25が舟型を形成して自立自在な、図3(b)に示すような、スタンドパウチであってもよい。
【0022】
特に、袋本体2の縦シールDは、袋本体2の平面形状2Hにおいて、開口部分Cから底部25にかけてストレートな側部を形成しているため、袋本体2の膨らみに伴い、袋本体2が円筒形状を形成することが可能であり、袋カップAの安定した自立が可能となる。
【0023】
また、袋本体2の平面形状2Hは、これに限らず、後述する、袋本体2の側部の形状が、開口21から底部25にかけて狭まる形状とすることにより、袋本体2の膨らみに伴い、開口21から底部25にかけて細くなるスリムな形状としてもよく、袋本体2の形状は特に限定されるものではない。
【0024】
次に、本発明の袋カップAの製造方法の一例としては、前記口部リング1の胴部12に前記袋本体2の開口部分21を熱溶着等で接合することにより袋カップAを形成することが可能であり、例えば、図4に示すように、口部リング1の外周長よりさらに大きな開口長を有する袋本体2を接合した場合、幅Bを有する耳部7(W+D)を形成するとともに、安定かつ強固に袋本体2を口部リング1へと固定することが可能である。ここで、耳部7とは、口部リング1と袋本体2とを接合した際に生じる余ったシール部位Wと、前記袋本体の縦シールDと、を指す(W+D)。
【0025】
また、袋本体2の前記開口長とは、図3に示すように、袋本体2の開口部分21の開口縁の長さであって、一般に、図3(a)に示すように、平面形状の袋本体2Hの、開口部分21の幅である開口寸法aの2倍の長さである。
【0026】
このとき、袋本体2の開口長と口部リング1の外周長とをそれぞれ略同寸法として、袋カップAを形成した場合、口部リング1と袋本体2とのシール部位に、シワやピンホールが生じやすく、袋本体2と口部リング1とを確実に接合することが困難である。特に、耳部7においては、図5に示すように、縦シールDと口部リング1との間に隙間Fが生じてしまう恐れがある。
【0027】
このため、本発明の袋カップAでは、口部リング1の外周長よりさらに大きな開口長を有する袋本体2を接合することにより、幅Bを有する耳部7(W+D)を形成して、安定かつ強固に袋本体2を口部リング1へと固定することが可能である。
【0028】
そして、図6に示すように、前記耳部7を、さらに折り込み固定することにより、前記口部リング1と前記袋本体2とを、さらに強固かつ確実に接合することが可能であるとともに、耳部7を折り込むことにより、突出した耳部7で口元を傷つけてしまう恐れがなく、使用性のみならず安全性をも向上する効果がある。
【0029】
特に、口部リング1に袋本体2を接合し、さらに耳部7を折り込むことにより、口部リング1と袋本体2とを強固に接合するのみならず、何れの方向からも胴部12を把持することが可能であり、飲み口を選ぶことなく、使用性に優れた袋カップAを形成することが可能である。さらには、口部リング1と袋本体2との接合面Pにシワ、ピンホール等が発生することなく、信頼性および意匠性の高い高品質な袋カップAを形成することが可能である。
【0030】
また、図7(a)に示すように、前記口部リング1の外周長より、さらに大きな開口長を有する袋本体2を接合して、図7(b)に示すように、大きな幅Bを有する耳部7を形成してもよく、このように、大きな幅Bを有する耳部7(W+D)を折り込み、固定することにより、前記口部リング1と前記袋本体2との密着性をさらに向上するとともに、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上することが可能である。
【0031】
さらには、口部リング1と袋本体2との接合は、上記例に限らず、袋本体2を口部リング1に対して、片側に偏芯して接合してもよく、例えば、図8(a)に示すように、片側の耳部7のみ大きく形成してもよい。また、この状態から、図8(b)に示すように、前記耳部7を折り込み固定してもよい。
【0032】
しかしながら、前記樹脂成形部材からなる口部リング1の外周長よりも前記袋本体2の開口長が大きいほど、袋カップAの一体成型が容易となるが、前記袋本体2の開口長が大き過ぎては、前記耳部7全体の幅Bが増すため、袋本体2と口部リング1との密着性を向上させる上では問題になり、耳部7の幅Bが、口部リング1の外周長よりも1/4以上に達することは、製造上好ましくない。また、袋本体の開口長が口部リング外周長の1/4を超えてしまうと、口部リング1全体を袋本体2が巻き込んでしまい、袋本体2の安定した自立が困難となってしまう恐れがある。よって、前記耳部7のシール幅Bは、口部リングの外周長の1/4以下(四半円以下の幅)であることが望ましく、より望ましくは、口部リングの外周長の1/8以下である。
【0033】
以上のように、本発明の袋カップAは、袋本体2の開口部分21に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リング1を接合する簡単な構成により、携帯性のみならず使用性に優れた袋カップAを提供することが可能である。特に、前記口部リング1と前記袋本体2とを接合した後、余ったシール部位である耳部7を折り込んで固定することにより、信頼性の高い高品質な袋カップAを提供することが可能である。
【0034】
前記耳部7は、両側を同じ側に折り込んだ場合と相対する側に折り込んだ場合の、何れの場合においても、同様に使用性に優れた袋カップAを形成することが可能である。すなわち、前記耳部7を折り込む方向は、左右が同じ側(例えば、耳部7を左右として置いた場合に、右側の耳部7を手前側に折り込むならば、左側の耳部7も手前側に)でも、左右が相反する側(例えば、右側の耳部7を手前側に折り込むならば、左側の耳部7は奥側に)の、どちら側であってもよく、前記耳部7を折り込む方向は、特に限定されるものではない。
【0035】
また、本発明の袋カップAは、図9(a)に示すように、前記口部リング1の外径より僅かに大きな内径を有する補助リング3を挿入して、口部リング1のフランジ14下方位置へと嵌合することにより、図9(b)に示すように、口部リング1と補助リング3との間に位置する前記耳部7を折り込んでもよく、この場合、前記耳部を固定した後、前記補助リング3を嵌合してもよく、他方、前記口部リング1と前記袋本体2とを接合した後、直に補助リング3を嵌合して耳部7を折り込み固定してもよい。
【0036】
何れにせよ、耳部7を開いた状態で残すことによるピンホールが生じる恐れや、耳部7で指先や口元を傷つけてしまう恐れがあるため、耳部7を閉じる(固定する)ことが好ましく、耳部を熱溶着により固定する方法や、補助リング3の嵌合による方法の何れを用いて耳部7を折り込んでもよく、また、これに限らず、例えば前記耳部7を折り込んだ後、図示しないテープ等を用いて耳部7を固定してもよい。
【0037】
このように、本発明の袋カップAは、従来のスパウトTのように、吸飲して内容物を摂取することなく、口部リング1の開口部分Cが大きな飲み口Cを形成するから、図10に示すように、袋カップAを良好に把持しつつ、飲み口Cへと口を当接させて、直に内容物を飲み干すことが可能である。また、使用後の袋カップAを小さく折り込むことにより、廃棄する際に袋カップAを小さく折り込むことが可能であり、高い減量性を奏することが可能である。
【0038】
また、本発明の袋カップAは、図11に示すように、前記口部リング1の前記フランジ部14上に、袋カップAを密閉するための初期開封シールMを形成してもよく、購入前の袋カップAを密封した状態で提供することが可能であり、携帯性のみならず保存性に優れた袋カップAを提供することが可能である。
【0039】
以上のように、本発明の袋カップAは、袋状の袋本体2の開口部分21に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リング1を接合する簡単な構成により、携帯性のみならず使用性に優れた飲料用の袋カップAを提供することが可能である。
【0040】
また、袋本体2と口部リング1とを接合するとともに、余ったシール部位である耳部7を折り込んで固定する、ことにより、さらなる使用性の向上および信頼性の高い袋カップAを提供することが可能である。
【0041】
さらには、前記口部リング1の前記フランジ部14に、袋カップAを密閉するための初期開封シールMを形成してもよく、購入前の袋カップAを密封した状態で提供することが可能であるとともに、例えば商品の説明や注意事項等を好適に表示することも可能である。
【0042】
前記袋カップAの一例として、袋本体の側部が下方にかけてストレート形状を有する袋本体2を示したが、これに限らず、図12(a)(b)に示すように、袋本体2の側部が、下方にかけて徐々に狭まる形状2Sを有する袋本体2であってもよく、何れの場合も、内容物の充填後、袋本体2が下方にかけて細まった形状2Yをなすため、スリムなボディを有する意匠性の高い袋カップAを形成することが可能である。
【0043】
前記口部リング1の材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリカーボネート(PC)、そして、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステルなどが、汎用樹脂として好ましく使用でき、さらには、LLDPE、LDPE、HDPEなどのポリオレフィン系樹脂や、エンジニアリングプラスチックに分類される樹脂を使用してもよい。これらの樹脂は単独で用いてもよいが、複数をブレンドして用いることも可能である。さらに、バリア層を含む多層構造として用いることも可能である。また、樹脂のブレンド以外に、アルミ層やバリア性樹脂を用いた多層構造としてバリア性能を作り出してもよく、上記方法に限られるものではない。
【0044】
また、前記袋本体2としては、スタンドパウチに限定されず、例えば、二方シール形式、三方シール形式、四方シール形式、ピローパウチ形式、ガセットパウチ形式、スタンディングパウチ形式、或いは、図13(a)に示すような、変形タイプの袋本体2を用いて、図13(b)に示すような、袋カップAを形成してもよい。
【0045】
さらには、図14(a)に示すように、底部にかけて幅広い形状からなる袋本体2を用いて、図14(b)に示すような、袋カップAを形成してもよく、他方、図15(a)に示すように、開口部にかけて幅広い形状からなる袋本体2を用いて、図15(b)に示すような、袋カップAを形成してもよい。何れにせよ、本発明の袋カップAの袋本体2の形状は、上記例に限定されるものではなく、適宜設計可能である。そして、これらの包装袋は、それぞれの形態に対応する既存の製袋機、または製袋・充填シール機を利用して容易に製造することが可能である。
【0046】
また、前記袋本体2を製造する方法としては、通常の包装材料を製造するときに使用するラミネートする方法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ共押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、その他等で行うことができる。
【0047】
前記袋本体2のフィルムとしては、表面層/シーラント層、又は、表面層/中間層/シーラント層のように積層した積層フィルムを用いることができ、前記表面層および前記中間層はそれぞれ単独のフィルムなどの層でもよいが、二種以上の多層で構成してもよい。また、上記各層の間には必要に応じて接着層を設けてもよい。
【0048】
前記表面層は、印刷適性、ラミネート適性に優れ、引張り強度、衝撃強度、耐擦傷性等の総合的な機械的強度に優れると共に、耐溶剤性、耐薬品性のほか、シールの際の加熱に対する耐熱性などが必要であり、このような性能、条件を満たすフィルムとしては、2軸延伸ポリエステルフィルム、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルムなどのほか、これらに防湿性やガスバリヤー性を付与するためにポリビニデンクロライド(PVDC)などをコーティングしたフィルムなどが挙げられ、これらを単独または二種以上を積層して使用することができる。
【0049】
また、前記中間層は、積層フィルムの機械的強度の向上、或いは、水蒸気や各種のガスバリヤー性などを向上させるために設けるものであり、目的に応じて例えばナイロン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)などのフィルムやアルミニウム箔、或いは、アルミニウムや酸化珪素、アルミナなどの薄膜(厚さ400〜600Å)を真空蒸着などにより表面に被覆した樹脂フィルムなどが用いられる。
【0050】
また、前記シーラント層は、充填される内容物と直接接触することから耐内容物性も必要となり、このようなシーラント層には、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合樹脂(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)、アイオノマーなどのポリオレフィン系樹脂が使用でき、これらの中から内容物の種類に応じて適性のあるものを選択して使用することができる。
【0051】
そして、好適に用いられる前記積層フィルムの一例としては、下記のような構成からなる積層フィルムが挙げられる。
(1) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(2)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(3)PETフィルム/接着剤/EVOHフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(4)PETフィルム/接着剤/一軸延伸PPフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(5)PETフィルム/接着剤/(シリカまたはアルミナ蒸着層)ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
【0052】
上記構成において、PETフィルムは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ONフィルムは2軸延伸ナイロンフィルム、PPフィルムはポリプロピレンフィルム、CPPフィルムは無延伸ポリプロピレンフィルム、EVOHフィルムはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、(シリカまたはアルミナ蒸着層)ONフィルムはシリカまたはアルミナを蒸着した2軸延伸ナイロンフィルムを指すものである。そして、前記PETフィルムやONフィルムは、基材フィルムとして作用し、機械的強度のほか耐熱性、印刷適性などを付与する。また、中間層のアルミニウム箔、EVOHフィルム、(シリカまたはアルミナ蒸着層)ONフィルムは、パウチにガスバリヤー性を付与することが可能である。また、最内層のCPPフィルムは、シール用のシーラント層として作用すると共に、耐熱性、低臭性に優れる。
【0053】
なお、上述した各フィルム材と同様な作用効果を有するものであれば、前記の積層フィルム構成に限定されるものではなく、適宜変更して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の袋カップの一例を示す図である。 (a)未充填の状態を示す袋カップである。 (b)内容物充填時の袋カップを示す図である。
【図2】口部リングの一例を示す図である。 (a)上方より見下ろした場合を示す口部リングである。 (b)下方より見上げた場合を示す口部リングである。
【図3】袋本体の一例を示す図である。 (a)平面状の袋本体を示す図である。 (b)袋本体を膨らました場合を示す図である。
【図4】口部リングと袋本体とを接合した状態を示す図である。
【図5】袋カップを示す説明図である。
【図6】本発明の袋カップを示す図である。
【図7】(a)袋本体を示す図である。(b)耳部を固定した状態を示す図である。
【図8】袋カップの別の例を示す説明図である。 (a)口部リングと袋カップとを接合した状態を示す図である。 (b)耳部を固定した状態を示す図である。
【図9】(a)(b)袋カップの別の例を示す説明図である。
【図10】本発明の袋カップの使用時を示す説明図である。
【図11】袋カップのさらに別の例を示す図である。
【図12】(a)(b)袋カップのさらに別の例を示す図である。
【図13】(a)(b)袋カップのさらに別の例を示す図である。
【図14】(a)(b)袋カップのさらに別の例を示す図である。
【図15】(a)(b)袋カップのさらに別の例を示す図である。
【図16】従来容器の一例を示す図である。 (a)従来のプラスチックカップを示す図である。 (b)従来のスパウト付きパウチを示す図である。
【符号の説明】
【0055】
A 袋カップ
1 口部リング
2 袋本体(パウチ)
3 補助リング
7 耳部
12 胴部
14 フランジ部(フランジ)
21 袋本体の開口部分
25 袋本体の底部分
a 袋本体の開口寸法
B 耳部の幅
D 袋本体の縦シール(縦シール)
W シール固定後の余った部位
F 隙間
M 初期開封シール
P 接合面
C 袋カップの開口部分(飲み口)
2H 平面状の袋本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、粘体、粉体、固体、或いは、これらを混合した固体入り液体等の内容物を封入して、内容物に対して十分な密封性能を保持するとともに、使用後はコンパクトに収容可能な、袋カップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図16(a)に示すように、携帯に便利なプラスチック成型品からなる、飲料用のプラスチックカップ30が知られており、例えば、運動会や遠足などの行事やスポーツ観戦等の幅広い場面でお茶やコーヒー等、各種飲料の摂取に用いられている。
【0003】
しかしながら、このような成型品のプラスチックカップ30は、未使用時においてはかさばり、また、廃棄する際には減量化が難しいという問題があった。
【0004】
他方、図16(b)に示すように、主に、ジュース類、果汁類、ゼリー状飲料、栄養ドリンク剤等の飲料品や、調味料、その他種々の飲食品を充填包装した袋状のパウチD上方に、スパウトTを取り付けたスパウト付きパウチ40が知られている(例えば特許文献1)。
【0005】
このようなスパウト付きパウチ40は、携帯性に優れるものの、飲み口の小さなスパウトTを口にくわえて吸い出すようにして内容物を摂取するため、コーヒーやお茶などが内容物であった場合、内容物の摂取に違和感を感じてしまうという問題がある。さらには、口径の小さなスパウトTでは、スパウトTの口径より大きな固形物を含む内容物を用いることが不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、内容物の摂取時、大きな飲み口から内容物を飲み干すことが可能な構成として、内容物の摂取性を向上した飲料用の袋カップを提供するとともに、携帯性に優れ、使用後にもかさばることなく廃棄処理を容易とする減量性に優れた、高品質な飲料用の袋カップを、より簡単な方法で提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、これらの課題を解決するため、本発明の請求項1記載の発明は、パウチ状の袋本体の開口部分に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リングを接合した袋カップであって、前記袋本体は前記口部リングの外周長よりも大なる開口長を有し、前記袋本体の開口部分へと前記口部リングを接合した際に生じる、余ったシール部位からなる耳部を形成し、さらに、前記耳部を折り込み固定することにより、前記口部リングと前記袋本体との密着性を向上するとともに、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上したことを特徴とする、袋カップである。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記口部リング外径より僅かに大きな内径を有する補助リングを、前記口部リングの胴部へと嵌合することにより、前記耳部を折り込んだ状態で固定することを特徴とする、袋カップである。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、前記耳部のシール幅が、前記口部リング外周長の1/4以下であることを特徴とする、袋カップである。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、前記袋本体の底部が、自立可能なスタンドパウチ形状であることを特徴とする、袋カップである。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、前記口部リングに、前記袋カップを密封するための初期開封シールを形成したことを特徴とする、袋カップである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1記載の発明は、パウチ状の袋本体の開口部分に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リングを接合した袋カップであって、前記袋本体は前記口部リングの外周長よりも大なる開口長を有し、前記袋本体の開口部分へと前記口部リングを接合した際に生じる、余ったシール部位からなる耳部を形成し、さらに、前記耳部を折り込み固定することにより、前記口部リングと前記袋本体との密着性を向上するとともに、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上したことを特徴とするから、口部リングと袋本体との接合部分にシワやピンホールが生じることなく、口部リングと袋本体との密着性を向上した高品質な袋カップを提供することが可能である。さらには、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上することが可能である。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、前記口部リング外径より僅かに大きな内径を有する補助リングを、前記口部リングの胴部へと嵌合することにより、前記耳部を折り込んだ状態で固定することを特徴とするから、簡単な方法で前記耳部を固定することが可能である。また、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上することが可能である。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、前記耳部のシール幅が、前記口部リング外周長の1/4以下であることを特徴とするから、前記袋本体と前記口部リングとを安定して密着させることが可能である。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、前記袋本体の底部が、自立可能なスタンドパウチ形状であることを特徴とするから、通常のカップ同様に、前記袋カップを自立させることが可能である。
【0016】
また、請求項5記載の発明は、前記口部リングに、前記袋カップを密封するための初期開封シールを形成したことを特徴とするから、購入前の袋カップを密封した状態で保存、提供することが可能であるとともに、例えば、商品の説明や注意事項等を好適に表示することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る袋カップAの一例としては、図1(a)に示すように、樹脂成型品からなる筒状の口部リング1と、該口部リング1の胴部12に接合された、パウチ状の袋本体2とからなり、特に、袋本体2は、自立可能なスタンド型パウチを用いることにより、図1(b)に示すように、袋カップAを自立させることが可能である。
【0018】
特に、前記袋本体2は、前記口部リング1の外周長よりも大なる開口長を有しており、後述する、袋本体2の開口部分に口部リング1を接合することにより生じる、余ったシール部位からなる耳部7を形成した後、さらに該耳部7を折り込み固定することにより、前記口部リング1と前記袋本体2との密着性を向上することが可能である。
【0019】
そして、本発明の袋カップAは、前記口部リング1の大なる開口部分C(飲み口C)から、直に内容物を飲み干すことが可能であるとともに、袋カップAの使用後に、袋本体2を小さく折り込むことにより、廃棄する際に高い減量性を奏することが可能である。
【0020】
以下に、本発明の袋カップAの構成ついて説明する。
まず、本発明の袋カップAの、前記口部リング1について説明する。
前記口部リング1の一例としては、例えば、図2に示すように、樹脂性の円筒部材からなる胴部12と、該胴部12の上端に外方へと突出したフランジ部14とからなり、前記胴部12へと、後述する、袋本体2を接合する簡単な方法により、本発明の袋カップAを形成することが可能である。
【0021】
次に、本発明の袋カップAの、前記袋本体2について説明する。
前記袋本体2としては、種々のパウチ形状からなる軟包装体を用いればよく、例えば、図3(a)に示すように、包装体2の底部を山形状に折り合わせることにより、袋本体2の底部25が舟型を形成して自立自在な、図3(b)に示すような、スタンドパウチであってもよい。
【0022】
特に、袋本体2の縦シールDは、袋本体2の平面形状2Hにおいて、開口部分Cから底部25にかけてストレートな側部を形成しているため、袋本体2の膨らみに伴い、袋本体2が円筒形状を形成することが可能であり、袋カップAの安定した自立が可能となる。
【0023】
また、袋本体2の平面形状2Hは、これに限らず、後述する、袋本体2の側部の形状が、開口21から底部25にかけて狭まる形状とすることにより、袋本体2の膨らみに伴い、開口21から底部25にかけて細くなるスリムな形状としてもよく、袋本体2の形状は特に限定されるものではない。
【0024】
次に、本発明の袋カップAの製造方法の一例としては、前記口部リング1の胴部12に前記袋本体2の開口部分21を熱溶着等で接合することにより袋カップAを形成することが可能であり、例えば、図4に示すように、口部リング1の外周長よりさらに大きな開口長を有する袋本体2を接合した場合、幅Bを有する耳部7(W+D)を形成するとともに、安定かつ強固に袋本体2を口部リング1へと固定することが可能である。ここで、耳部7とは、口部リング1と袋本体2とを接合した際に生じる余ったシール部位Wと、前記袋本体の縦シールDと、を指す(W+D)。
【0025】
また、袋本体2の前記開口長とは、図3に示すように、袋本体2の開口部分21の開口縁の長さであって、一般に、図3(a)に示すように、平面形状の袋本体2Hの、開口部分21の幅である開口寸法aの2倍の長さである。
【0026】
このとき、袋本体2の開口長と口部リング1の外周長とをそれぞれ略同寸法として、袋カップAを形成した場合、口部リング1と袋本体2とのシール部位に、シワやピンホールが生じやすく、袋本体2と口部リング1とを確実に接合することが困難である。特に、耳部7においては、図5に示すように、縦シールDと口部リング1との間に隙間Fが生じてしまう恐れがある。
【0027】
このため、本発明の袋カップAでは、口部リング1の外周長よりさらに大きな開口長を有する袋本体2を接合することにより、幅Bを有する耳部7(W+D)を形成して、安定かつ強固に袋本体2を口部リング1へと固定することが可能である。
【0028】
そして、図6に示すように、前記耳部7を、さらに折り込み固定することにより、前記口部リング1と前記袋本体2とを、さらに強固かつ確実に接合することが可能であるとともに、耳部7を折り込むことにより、突出した耳部7で口元を傷つけてしまう恐れがなく、使用性のみならず安全性をも向上する効果がある。
【0029】
特に、口部リング1に袋本体2を接合し、さらに耳部7を折り込むことにより、口部リング1と袋本体2とを強固に接合するのみならず、何れの方向からも胴部12を把持することが可能であり、飲み口を選ぶことなく、使用性に優れた袋カップAを形成することが可能である。さらには、口部リング1と袋本体2との接合面Pにシワ、ピンホール等が発生することなく、信頼性および意匠性の高い高品質な袋カップAを形成することが可能である。
【0030】
また、図7(a)に示すように、前記口部リング1の外周長より、さらに大きな開口長を有する袋本体2を接合して、図7(b)に示すように、大きな幅Bを有する耳部7を形成してもよく、このように、大きな幅Bを有する耳部7(W+D)を折り込み、固定することにより、前記口部リング1と前記袋本体2との密着性をさらに向上するとともに、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上することが可能である。
【0031】
さらには、口部リング1と袋本体2との接合は、上記例に限らず、袋本体2を口部リング1に対して、片側に偏芯して接合してもよく、例えば、図8(a)に示すように、片側の耳部7のみ大きく形成してもよい。また、この状態から、図8(b)に示すように、前記耳部7を折り込み固定してもよい。
【0032】
しかしながら、前記樹脂成形部材からなる口部リング1の外周長よりも前記袋本体2の開口長が大きいほど、袋カップAの一体成型が容易となるが、前記袋本体2の開口長が大き過ぎては、前記耳部7全体の幅Bが増すため、袋本体2と口部リング1との密着性を向上させる上では問題になり、耳部7の幅Bが、口部リング1の外周長よりも1/4以上に達することは、製造上好ましくない。また、袋本体の開口長が口部リング外周長の1/4を超えてしまうと、口部リング1全体を袋本体2が巻き込んでしまい、袋本体2の安定した自立が困難となってしまう恐れがある。よって、前記耳部7のシール幅Bは、口部リングの外周長の1/4以下(四半円以下の幅)であることが望ましく、より望ましくは、口部リングの外周長の1/8以下である。
【0033】
以上のように、本発明の袋カップAは、袋本体2の開口部分21に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リング1を接合する簡単な構成により、携帯性のみならず使用性に優れた袋カップAを提供することが可能である。特に、前記口部リング1と前記袋本体2とを接合した後、余ったシール部位である耳部7を折り込んで固定することにより、信頼性の高い高品質な袋カップAを提供することが可能である。
【0034】
前記耳部7は、両側を同じ側に折り込んだ場合と相対する側に折り込んだ場合の、何れの場合においても、同様に使用性に優れた袋カップAを形成することが可能である。すなわち、前記耳部7を折り込む方向は、左右が同じ側(例えば、耳部7を左右として置いた場合に、右側の耳部7を手前側に折り込むならば、左側の耳部7も手前側に)でも、左右が相反する側(例えば、右側の耳部7を手前側に折り込むならば、左側の耳部7は奥側に)の、どちら側であってもよく、前記耳部7を折り込む方向は、特に限定されるものではない。
【0035】
また、本発明の袋カップAは、図9(a)に示すように、前記口部リング1の外径より僅かに大きな内径を有する補助リング3を挿入して、口部リング1のフランジ14下方位置へと嵌合することにより、図9(b)に示すように、口部リング1と補助リング3との間に位置する前記耳部7を折り込んでもよく、この場合、前記耳部を固定した後、前記補助リング3を嵌合してもよく、他方、前記口部リング1と前記袋本体2とを接合した後、直に補助リング3を嵌合して耳部7を折り込み固定してもよい。
【0036】
何れにせよ、耳部7を開いた状態で残すことによるピンホールが生じる恐れや、耳部7で指先や口元を傷つけてしまう恐れがあるため、耳部7を閉じる(固定する)ことが好ましく、耳部を熱溶着により固定する方法や、補助リング3の嵌合による方法の何れを用いて耳部7を折り込んでもよく、また、これに限らず、例えば前記耳部7を折り込んだ後、図示しないテープ等を用いて耳部7を固定してもよい。
【0037】
このように、本発明の袋カップAは、従来のスパウトTのように、吸飲して内容物を摂取することなく、口部リング1の開口部分Cが大きな飲み口Cを形成するから、図10に示すように、袋カップAを良好に把持しつつ、飲み口Cへと口を当接させて、直に内容物を飲み干すことが可能である。また、使用後の袋カップAを小さく折り込むことにより、廃棄する際に袋カップAを小さく折り込むことが可能であり、高い減量性を奏することが可能である。
【0038】
また、本発明の袋カップAは、図11に示すように、前記口部リング1の前記フランジ部14上に、袋カップAを密閉するための初期開封シールMを形成してもよく、購入前の袋カップAを密封した状態で提供することが可能であり、携帯性のみならず保存性に優れた袋カップAを提供することが可能である。
【0039】
以上のように、本発明の袋カップAは、袋状の袋本体2の開口部分21に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リング1を接合する簡単な構成により、携帯性のみならず使用性に優れた飲料用の袋カップAを提供することが可能である。
【0040】
また、袋本体2と口部リング1とを接合するとともに、余ったシール部位である耳部7を折り込んで固定する、ことにより、さらなる使用性の向上および信頼性の高い袋カップAを提供することが可能である。
【0041】
さらには、前記口部リング1の前記フランジ部14に、袋カップAを密閉するための初期開封シールMを形成してもよく、購入前の袋カップAを密封した状態で提供することが可能であるとともに、例えば商品の説明や注意事項等を好適に表示することも可能である。
【0042】
前記袋カップAの一例として、袋本体の側部が下方にかけてストレート形状を有する袋本体2を示したが、これに限らず、図12(a)(b)に示すように、袋本体2の側部が、下方にかけて徐々に狭まる形状2Sを有する袋本体2であってもよく、何れの場合も、内容物の充填後、袋本体2が下方にかけて細まった形状2Yをなすため、スリムなボディを有する意匠性の高い袋カップAを形成することが可能である。
【0043】
前記口部リング1の材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリカーボネート(PC)、そして、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステルなどが、汎用樹脂として好ましく使用でき、さらには、LLDPE、LDPE、HDPEなどのポリオレフィン系樹脂や、エンジニアリングプラスチックに分類される樹脂を使用してもよい。これらの樹脂は単独で用いてもよいが、複数をブレンドして用いることも可能である。さらに、バリア層を含む多層構造として用いることも可能である。また、樹脂のブレンド以外に、アルミ層やバリア性樹脂を用いた多層構造としてバリア性能を作り出してもよく、上記方法に限られるものではない。
【0044】
また、前記袋本体2としては、スタンドパウチに限定されず、例えば、二方シール形式、三方シール形式、四方シール形式、ピローパウチ形式、ガセットパウチ形式、スタンディングパウチ形式、或いは、図13(a)に示すような、変形タイプの袋本体2を用いて、図13(b)に示すような、袋カップAを形成してもよい。
【0045】
さらには、図14(a)に示すように、底部にかけて幅広い形状からなる袋本体2を用いて、図14(b)に示すような、袋カップAを形成してもよく、他方、図15(a)に示すように、開口部にかけて幅広い形状からなる袋本体2を用いて、図15(b)に示すような、袋カップAを形成してもよい。何れにせよ、本発明の袋カップAの袋本体2の形状は、上記例に限定されるものではなく、適宜設計可能である。そして、これらの包装袋は、それぞれの形態に対応する既存の製袋機、または製袋・充填シール機を利用して容易に製造することが可能である。
【0046】
また、前記袋本体2を製造する方法としては、通常の包装材料を製造するときに使用するラミネートする方法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ共押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、その他等で行うことができる。
【0047】
前記袋本体2のフィルムとしては、表面層/シーラント層、又は、表面層/中間層/シーラント層のように積層した積層フィルムを用いることができ、前記表面層および前記中間層はそれぞれ単独のフィルムなどの層でもよいが、二種以上の多層で構成してもよい。また、上記各層の間には必要に応じて接着層を設けてもよい。
【0048】
前記表面層は、印刷適性、ラミネート適性に優れ、引張り強度、衝撃強度、耐擦傷性等の総合的な機械的強度に優れると共に、耐溶剤性、耐薬品性のほか、シールの際の加熱に対する耐熱性などが必要であり、このような性能、条件を満たすフィルムとしては、2軸延伸ポリエステルフィルム、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルムなどのほか、これらに防湿性やガスバリヤー性を付与するためにポリビニデンクロライド(PVDC)などをコーティングしたフィルムなどが挙げられ、これらを単独または二種以上を積層して使用することができる。
【0049】
また、前記中間層は、積層フィルムの機械的強度の向上、或いは、水蒸気や各種のガスバリヤー性などを向上させるために設けるものであり、目的に応じて例えばナイロン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)などのフィルムやアルミニウム箔、或いは、アルミニウムや酸化珪素、アルミナなどの薄膜(厚さ400〜600Å)を真空蒸着などにより表面に被覆した樹脂フィルムなどが用いられる。
【0050】
また、前記シーラント層は、充填される内容物と直接接触することから耐内容物性も必要となり、このようなシーラント層には、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合樹脂(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)、アイオノマーなどのポリオレフィン系樹脂が使用でき、これらの中から内容物の種類に応じて適性のあるものを選択して使用することができる。
【0051】
そして、好適に用いられる前記積層フィルムの一例としては、下記のような構成からなる積層フィルムが挙げられる。
(1) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(2)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(3)PETフィルム/接着剤/EVOHフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(4)PETフィルム/接着剤/一軸延伸PPフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(5)PETフィルム/接着剤/(シリカまたはアルミナ蒸着層)ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
【0052】
上記構成において、PETフィルムは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ONフィルムは2軸延伸ナイロンフィルム、PPフィルムはポリプロピレンフィルム、CPPフィルムは無延伸ポリプロピレンフィルム、EVOHフィルムはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、(シリカまたはアルミナ蒸着層)ONフィルムはシリカまたはアルミナを蒸着した2軸延伸ナイロンフィルムを指すものである。そして、前記PETフィルムやONフィルムは、基材フィルムとして作用し、機械的強度のほか耐熱性、印刷適性などを付与する。また、中間層のアルミニウム箔、EVOHフィルム、(シリカまたはアルミナ蒸着層)ONフィルムは、パウチにガスバリヤー性を付与することが可能である。また、最内層のCPPフィルムは、シール用のシーラント層として作用すると共に、耐熱性、低臭性に優れる。
【0053】
なお、上述した各フィルム材と同様な作用効果を有するものであれば、前記の積層フィルム構成に限定されるものではなく、適宜変更して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の袋カップの一例を示す図である。 (a)未充填の状態を示す袋カップである。 (b)内容物充填時の袋カップを示す図である。
【図2】口部リングの一例を示す図である。 (a)上方より見下ろした場合を示す口部リングである。 (b)下方より見上げた場合を示す口部リングである。
【図3】袋本体の一例を示す図である。 (a)平面状の袋本体を示す図である。 (b)袋本体を膨らました場合を示す図である。
【図4】口部リングと袋本体とを接合した状態を示す図である。
【図5】袋カップを示す説明図である。
【図6】本発明の袋カップを示す図である。
【図7】(a)袋本体を示す図である。(b)耳部を固定した状態を示す図である。
【図8】袋カップの別の例を示す説明図である。 (a)口部リングと袋カップとを接合した状態を示す図である。 (b)耳部を固定した状態を示す図である。
【図9】(a)(b)袋カップの別の例を示す説明図である。
【図10】本発明の袋カップの使用時を示す説明図である。
【図11】袋カップのさらに別の例を示す図である。
【図12】(a)(b)袋カップのさらに別の例を示す図である。
【図13】(a)(b)袋カップのさらに別の例を示す図である。
【図14】(a)(b)袋カップのさらに別の例を示す図である。
【図15】(a)(b)袋カップのさらに別の例を示す図である。
【図16】従来容器の一例を示す図である。 (a)従来のプラスチックカップを示す図である。 (b)従来のスパウト付きパウチを示す図である。
【符号の説明】
【0055】
A 袋カップ
1 口部リング
2 袋本体(パウチ)
3 補助リング
7 耳部
12 胴部
14 フランジ部(フランジ)
21 袋本体の開口部分
25 袋本体の底部分
a 袋本体の開口寸法
B 耳部の幅
D 袋本体の縦シール(縦シール)
W シール固定後の余った部位
F 隙間
M 初期開封シール
P 接合面
C 袋カップの開口部分(飲み口)
2H 平面状の袋本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチ状の袋本体の開口部分に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リングを接合した袋カップであって、前記袋本体は前記口部リングの外周長よりも大なる開口長を有し、前記袋本体の開口部分へと前記口部リングを接合した際に生じる、余ったシール部位からなる耳部を形成し、さらに、前記耳部を折り込み固定することにより、前記口部リングと前記袋本体との密着性を向上するとともに、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上したことを特徴とする、袋カップ。
【請求項2】
前記口部リング外径より僅かに大きな内径を有する補助リングを、前記口部リングの胴部へと嵌合することにより、前記耳部を折り込んだ状態で固定することを特徴とする、請求項1記載の袋カップ。
【請求項3】
前記耳部のシール幅が、前記口部リング外周長の1/4以下であることを特徴とする、請求項1乃至2記載の袋カップ。
【請求項4】
前記袋本体の底部が、自立可能なスタンドパウチ形状であることを特徴とする、請求項1乃至3記載の袋カップ。
【請求項5】
前記口部リングに、前記袋カップを密封するための初期開封シールを形成したことを特徴とする、請求項1乃至4記載の袋カップ。
【請求項1】
パウチ状の袋本体の開口部分に、筒状の樹脂成形部材からなる口部リングを接合した袋カップであって、前記袋本体は前記口部リングの外周長よりも大なる開口長を有し、前記袋本体の開口部分へと前記口部リングを接合した際に生じる、余ったシール部位からなる耳部を形成し、さらに、前記耳部を折り込み固定することにより、前記口部リングと前記袋本体との密着性を向上するとともに、袋カップの直接飲用時の口当りおよび使用性を向上したことを特徴とする、袋カップ。
【請求項2】
前記口部リング外径より僅かに大きな内径を有する補助リングを、前記口部リングの胴部へと嵌合することにより、前記耳部を折り込んだ状態で固定することを特徴とする、請求項1記載の袋カップ。
【請求項3】
前記耳部のシール幅が、前記口部リング外周長の1/4以下であることを特徴とする、請求項1乃至2記載の袋カップ。
【請求項4】
前記袋本体の底部が、自立可能なスタンドパウチ形状であることを特徴とする、請求項1乃至3記載の袋カップ。
【請求項5】
前記口部リングに、前記袋カップを密封するための初期開封シールを形成したことを特徴とする、請求項1乃至4記載の袋カップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−247408(P2008−247408A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88566(P2007−88566)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(303040183)サッポロビール株式会社 (150)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(303040183)サッポロビール株式会社 (150)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]