袋保持具、秤装置、及びセルフチェックアウト装置
【課題】 開いた袋を台座に接触させて袋詰めされた商品が台座に載置される構成を採用しながらも、装置を大掛かりにすることなく、折り畳まれた袋が開かれた袋の下敷きなることを確実に防止する。
【解決手段】 袋401を保持する保持アーム307をアーム支持部305で支持して台座(秤皿303)の上方に位置付ける。保持アーム307は、袋401に設けられた一対の把手403を串刺し状態で保持する構造とし、袋401を折り畳まれた状態で保持する第1の保持部311を根本側に、第1の保持部311による保持位置よりも低い位置で袋401を開いた状態で保持する第2の保持部312を先端側にそれぞれ有する。第2の保持部312は、袋401に詰められた品物が台座(秤皿303)に載置される高さで袋401を保持し、第1の保持部311は、袋401の下端が第2の保持部312に保持された袋401の位置に達しない高さで袋401を保持する。
【解決手段】 袋401を保持する保持アーム307をアーム支持部305で支持して台座(秤皿303)の上方に位置付ける。保持アーム307は、袋401に設けられた一対の把手403を串刺し状態で保持する構造とし、袋401を折り畳まれた状態で保持する第1の保持部311を根本側に、第1の保持部311による保持位置よりも低い位置で袋401を開いた状態で保持する第2の保持部312を先端側にそれぞれ有する。第2の保持部312は、袋401に詰められた品物が台座(秤皿303)に載置される高さで袋401を保持し、第1の保持部311は、袋401の下端が第2の保持部312に保持された袋401の位置に達しない高さで袋401を保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスーパーマーケット等で顧客に提供するビニール袋等の袋を開いた状態で保持する袋保持具、このような袋保持具を有する秤装置、及び当該秤装置を有するセルフチェックアウト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスーパーマーケット等で顧客に提供するビニール袋等の袋を開いた状態で保持する袋保持具としては、特許文献1、2に記載されているものがある。これらの袋保持具は、いずれも、袋の中央部に穴を開けてこの穴の部分をフックに引掛けて袋を保持する。この場合、袋は折り畳まれた状態となり、複数枚が積層状態で保持される。そして、フックの近傍に左右一対の保持アームを配置し、これらの保持アームに袋の把持部を引っ掛け、袋を開いた状態に保持できるようにしている。特許文献1、2には、開いた袋に商品コード読み取り後の商品を次々と収納するような取り扱いが示されている。
【0003】
特許文献1に記載された袋保持具と特許文献2に記載された袋保持具との相違は、開いた袋の底面が空中に浮いた状態となっているか(特許文献1)、それとも台座に接触して袋詰めされた商品が台座に載置されるようになっているか(特許文献2)、ということである。特許文献2に記載されているように、開いた袋の底面が台座に接触し、袋詰めされた商品が台座に載置されるようになっている方が、安定性に優れる。
【0004】
【特許文献1】特開平08−205972号公報
【特許文献2】特開2000−123249公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(第1の課題)
特許文献1、2に記載された袋保持具では、フックで折り畳まれた状態のまま保持する袋の配置位置と保持アームで開かれた状態にして保持する袋の配置位置とが隣接している。これにより、折り畳まれて保持されている袋の把持部を速やかに保持アームに引っ掛ける作業が容易になる。この場合に重要なことは、フックに保持された折り畳まれた状態の袋の底部が保持アームに保持された開かれた袋の底部の下敷きにならないようにすることである。折り畳まれた状態の袋の底部が開かれた袋の底部の下敷きになると、開かれた袋に商品を詰め込んでいく過程で開かれた袋が滑り出し、作業性が損なわれるからである。
【0006】
特許文献1に記載された袋保持具では、袋の底部が台座に接触しないような高さで折り畳まれた袋をフックで保持しているため、折り畳まれた袋が開かれた袋の下敷きなることがない。しかしながら、このような構成を採用する場合、開いた袋に商品を詰め込む際の安定性に欠けるという問題がある。
【0007】
特許文献2に記載された袋保持具では、折り畳まれた袋の保持位置では台座を設けず、台座は開かれた袋の保持位置にのみ設けるようにしているため、折り畳まれた袋が開かれた袋の下敷きなることがない。しかしながら、このような構成を採用する場合、袋保持具が全体的に大掛かりな構成となってしまうという問題がある。
【0008】
(第2の課題)
流通システムの分野では、近年、我が国でもセルフチェックアウト装置の導入が検討され、実験的ではあるが、実際に導入されている事例も散見されるようになってきている。このようなセルフチェックアウト装置では、袋保持具をセキュリティ用の秤装置に用いることがある。つまり、セルフチェックアウト装置では、顧客が購入しようとする商品の重量を予め認識しておき、決済後に袋保持具に保持された開かれた袋に詰められた商品の重量が予め認識されている重量と一致するかどうかを判定する。一致すれば適正なセルフチェックが行われたことになり、不一致であれば不正が行われたことになる。
【0009】
秤装置は、周知のように、秤皿の真中に計量対象物を載置した場合、最も正確な計量結果を出力する。セキュリティ用の秤装置への袋保持具の適用を考慮した場合、前述した台座は秤皿ということになるので、開いた状態で保持される袋は秤皿の真中に位置付けられることが望ましい。ところが、前述したように、フックに保持された折り畳まれた状態の袋の底部が保持アームに保持された開かれた袋の底部の下敷きになると、開かれた袋に商品を詰め込んでいく過程で開かれた袋が滑り出し、秤皿の中央部からずれてしまうという問題がある。
【0010】
特許文献2に記載された袋保持具の構成は、このような問題に対して解決策を提供する。しかしながら、前述したように、特許文献2に記載された袋保持具の構成を採用する場合、袋保持具が全体的に大掛かりな構成となってしまう。これは、セルフチェックアウト装置の小型化を図る場合に大きな障害となる。
【0011】
本発明の目的は、開いた袋を台座に接触させて袋詰めされた商品が台座に載置される構成を採用しながらも、装置を大掛かりにすることなく、折り畳まれた袋が開かれた袋の下敷きなることを確実に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の袋保持具は、台座と、開口部とこの開口部から突出する一対の把手とを有してこれらの把手が両側に位置付けられるように折り畳まれた袋を保持するために、一対の前記把手を串刺し状態で保持する一対の保持アームと、前記台座の上方に前記保持アームを位置付けるアーム支持部と、を備え、前記保持アームは、前記袋を折り畳まれた状態で保持する第1の保持部を根本側に有し、当該第1の保持部に連続して前記袋を前記第1の保持部による保持位置よりも低い位置で開いた状態で保持する第2の保持部を先端側に有し、前記第2の保持部は、前記袋に詰められた品物が前記台座に載置される高さで前記袋を保持し、前記第1の保持部は、前記袋の下端が前記第2の保持部に保持された前記袋の位置に達しない高さで前記袋を保持するようにした。
【0013】
本発明の秤装置は、荷重受け部にかかる荷重の大きさに応じた値を電気信号として出力する計量部と、前記荷重受け部に連結され、品物が載置されて載置された品物の荷重を前記荷重受け部に伝達する秤皿と、前記秤皿を前記台座とする前述した本発明の袋保持具と、を備え、前記第2の保持部は、前記袋に詰められた品物が前記秤皿の中央に位置付けられる位置で前記袋を保持するようにした。
【0014】
本発明のセルフチェックアウト装置は、購入される商品が秤皿に載置されて当該商品の重量を計量する最初の秤装置を備え、商品に付された商品コードを読み取る商品情報読取部と、読み取られた商品コードに従い決済金額の算出を含む商品販売データ処理を実行する手段と、算出された前記決済金額の決済処理を可能にする手段と、を備える決済端末を備え、前述した本発明の秤装置を備え、前記最初の秤装置で計量された重量と前記決済処理後における前記秤装置で計量された重量との一致不一致を判定するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、開いた袋を台座に接触させて袋詰めされた商品が台座に載置される構成を採用したとしても、装置を大掛かりにすることなく、折り畳まれた袋が開かれた袋の下敷きなることを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の一形態を図1ないし図12に基づいて説明する。
【0017】
図1は、セルフチェックアウト装置を示す斜視図である。セルフチェックアウト装置は、最初の秤装置101と、決済端末201と、秤装置301とから構成されている。
【0018】
最初の秤装置101は、決済端末201のハウジング202の左脇に突出して設けられており、上面に秤皿102を有する。この秤皿102の上面に位置する載置台102aには、スーパーマーケット等で用いられる図示しないカゴを位置決めするための突部103がL字形状に突出形成されている。最初の秤装置101は、秤皿102の上面に位置する載置台102aに載置された品物の重量を計量するロードセル秤であり、計量結果を決済端末201に出力する。このような最初の秤装置101は、構造的にはロードセル秤であるため、その詳細な説明は省略する。
【0019】
もっとも、最初の秤装置101について特徴的であるのは、秤皿102の形状である。秤皿102の上面に位置する載置台102aの前端縁は、載置台102aにカゴが載置された状態で、載置台102aにおけるカゴの前方位置に載置される品物を滑り落とすことができるように湾曲形状に形成されている。
【0020】
決済端末201のハウジング202は、床面に設置されて最初の秤装置101が固定されるベースハウジング202aと、このベースハウジング202aの上面に載置される小振りな上部ハウジング202bとによって構成されている。ベースハウジング202aの前面は、下方に向かうほどベースハウジング202aの投影面積を狭めるように傾斜している。これにより、ベースハウジング202aは、下方に向かうほど奥側にオフセットした形状となっている。
【0021】
上部ハウジング202bには、左側に商品情報読取部としてのバーコードスキャナ203が配置され、右側にプリンタカバー204及び監視カメラ205が配置され、これらのバーコードスキャナ203とプリンタカバー204及び監視カメラ205の間にはカード読取部206とテンキー207とが配置されている。バーコードスキャナ203は、商品に付された商品コードを読み取る商品情報読取部として機能する縦型スキャナである。プリンタカバー204には、レシート発行口208が設けられている。プリンタカバー204の奥側には図示しないレシートプリンタが上部ハウジング202bに内蔵され、このレシートプリンタによって印字される図示しないレシートは、レシート発行口208から発行されるように構成されている。プリンタカバー204は、上部ハウジング202bに対して開閉自在に取り付けられ、フラップ209の引っ張り操作で開放される。監視カメラ205は、プリンタカバー204の上方に配置されている。カード読取部206は、図示しない非接触ICカードと無線通信を確立し、非接触ICカードに対して情報を読み書きする。非接触ICカードは、現金と等価な価値を有する電子マネーを記憶保存することが可能であり、決済に際して利用される。図1中、丸印の中に「CARD」と記されている部分の奥側に図示しないアンテナが内蔵され、このアンテナを介して非接触ICカードとの間の無線通信が確立される。テンキー207は、非接触ICカードでの決済に際して、暗証番号の入力のために用いられる。
【0022】
上部ハウジング202bには、液晶表示パネルを有する表示器210が取り付けられている。この表示器210は、その表示面にタッチパネル211を有し、右側方にカード読取溝212を有する。カード読取溝212の内部には、図示しないカードリーダが内蔵されている。カードリーダは、クレジットカード等の磁気カードに記録された情報、例えばカード番号や暗証番号を読み取る。
【0023】
ベースハウジング202aには、図示しない硬貨と紙幣との入出金装置が内蔵されている。入出金装置の一部として、ベースハウジング202aの中央上面には硬貨投入口213が配置され、その左側には硬貨払出口214が配置されている。また、ベースハウジングの前面右上方位置には、紙幣投入口215と紙幣払出口216とが配置されている。
【0024】
さらに、ベースハウジング202aの背面からは、セルフチェックアウト装置の現在の状態を表示する表示ポール217が立設されている。この表示ポール217は、先端部に青色と赤色とに選択的に発光する発光部218を有する。
【0025】
決済端末201は、内部に図示しない制御部を有する。制御部は、例えば動作シーケンスが書き込まれた半導体チップ構成のものであっても、RAM等に動作プログラムを記憶させて動作するマイクロコンピュータ構成のものであっても良い。いずれにしても、制御部では、読み取られた商品コードに従い決済金額の算出を含む商品販売データ処理を実行する処理プロセスと、算出された決済金額の決済処理を可能にする処理プロセスとを実行する。商品販売データ処理では、基本的には、バーコードスキャナ203で商品に付されたバーコードが読み取られた場合に、そのバーコードによって特定される商品コードとこの商品コードに対応する単価とをPLUファイルから検索し、タッチパネル211での締め操作に応じて必要な消費税計算等を含む売上合計金額計算を実行して決済金額を算出し、決済金額を仮登録するか、あるいは売上ファイルに登録する。決済処理では、商品販売データ処理で算出した決済金額について、現金、クレジットカード等の磁気カード、電子マネーを記憶保存する非接触ICカードを利用した決済を可能にする。現金の扱いは、ベースハウジング202aに設けられた入出金装置で実行され、磁気カードの扱いは、カード読取溝212の内部に設けられたカードリーダによって実行され、非接触ICカードの扱いは、カード読取部206を介して実行される。
【0026】
図2は、秤装置301を示す斜視図である。秤装置301は、秤ハウジング302の上部に秤皿303が設けられ、この秤皿303に袋保持具304が取り付けられて構成されている。秤皿303は、その上面に載置台303aを有する。袋保持具304は載置台303aに取り付けられている。したがって、袋保持具304からすると、秤皿303は台座を構成する。つまり、載置台303aの後方中央部にはポール形状のアーム支持部305が立設され、このアーム支持部305の上端には品物を載置するための一時置き台306が固定されている。一時置き台306は、上面が平坦面となっており、決済端末201のバーコードスキャナ203でバーコードを読み取った後の商品を一時的に置く用途で用いられる台である。このような一時置き台306の下面に、一対の保持アーム307とフック308とが取り付けられている。保持アーム307は、例えばスーパーマーケット等で顧客に提供するビニール袋等の袋401、つまり、開口部402とこの開口部402から突出する一対の把手403とを有してこれらの把手403が両側に位置付けられるように折り畳まれた袋401を保持するために、一対の把手403を串刺し状態で保持する(袋401については、図6、図7、図9ないし図12参照)。このような保持状態を実現するために、把手403にはスリット404が形成されている(図7参照)。また、袋401には、一対の把手403の間に位置させてミシン目405で脱落可能な一対の耳部406が形成されており、これらの耳部406には引掛け穴407が形成されている(図7参照)。フック308は、引掛け穴407を挿通し、これによって袋401を保持アーム307と共に保持する。
【0027】
図3は、袋保持具304の保持アーム307及びフック308を示す側面図である。一時置き台306の下面両端位置には、アーム取付具309が固定されている。固定は、例えばネジ止め、接着止め等、各種の固定手法によってなされている。そして、それらのアーム取付具309のそれぞれには、保持アーム307が埋設されている。また、一時置き台306の下面中央位置には、フック取付具310が固定されている。固定は、例えばネジ止め、接着止め等、各種の固定手法によってなされている。そして、フック取付具310には、フック308が埋設されている。
【0028】
図4は、袋保持具304の保持アーム307の取り付け構造を示す側面図である。図4には、アーム取付具309の側面形状と、アーム取付具309に対する保持アーム307の埋設構造とを示す。
【0029】
図5は、袋保持具304のフック308の取り付け構造を示す側面図である。図5には、フック取付具310の側面形状と、フック取付具310に対するフック308の埋設構造とを示す。
【0030】
図6は、保持アーム307に袋401が保持されている状態を示す側面図である。袋401は、折り畳まれた状態においては、その耳部406に設けられた引掛け穴407がフック308に引っ掛けられ、保持されている(図7参照)。保持アーム307は、このようにフック308に保持されている折り畳まれた状態の袋401を保持する第1の保持部311を根本側に有する。これらのフック308及び第1の保持部311は、折り畳まれた袋401を複数枚積層状態で保持し得るだけの保持容量を有している。保持アーム307は、また、第1の保持部311に連続して袋401を第1の保持部311による保持位置よりも低い位置で開いた状態で保持する第2の保持部312を先端側に有する。そして、第1の保持部311と第2の保持部312とは、第1の保持部311から第2の保持部312に直線的に傾斜する傾斜部313で連結されている。
【0031】
ここで、第2の保持部312について詳細に説明する。第2の保持部312は、袋401に詰められた品物が秤皿303の上面に位置する載置台303aに載置される高さで袋401を保持する。しかも、第2の保持部312は、載置台303aの中央部に位置付けられる位置で袋401を載置する。図6中、載置台303aの中央部をCとして示す。
【0032】
また、第2の保持部312は、その中央部の高さが高くなる形状、より詳細にアーチ形状に形成されている。したがって、第2の保持部312の両端部の二点は高さが低く、これらの高さが低い二点を繋ぐ中央部はアーチ形状に盛り上がっている。そして、第2の保持部312の端部、つまり保持アーム307の最先端となる部分は、高さが低い部分から斜め上方に向けて上昇している。この上昇部分は、保持した袋401の把手403を脱落させないようにするための返し部314となっている。
【0033】
第2の保持部312の別の実施の形態として、第2の保持部312は、アーチ形状に盛り上がった部分を複数個備えていても良い。この場合、アーチ形状の両側の高さが低い二点が複数組生ずることになる。例えば、アーチ形状に盛り上がった部分が三つある場合、その両側の高さが低い二点は三組生ずる。そこで、この例で言うと、第2の保持部312は、三枚の袋401を開いた状態で保持することができる。
【0034】
次いで、第1の保持部311について詳細に説明する。第1の保持部311は、フック308と共に、保持する袋401の下端が第2の保持部312に保持されて載置台303aに載置されている袋401の位置、つまり載置台303aに袋401が接触している位置に達しない高さで袋401を保持する。図6中、この高さを高さHとして示す。さらに、第1の保持部311及びフック308によって保持される袋401の下端が第2の保持部312に保持された袋401の位置に達するかどうかは、第1の保持部311及びフック308から袋401が垂直に位置付けられる位置と、第2の保持部312に保持された袋401の位置との間の距離に依存する。図6中、この距離を距離Iとして示す。傾斜部313は、当該距離Iを確保する役割を担う。
【0035】
以上の説明からも明らかなように、本実施の形態では、第1の保持部311は、載置台303aに下端が接触する高さに位置付けた袋401を、当該袋401の下端が第2の保持部312に保持された袋401の位置に達しないように保持する。第1の保持部311は、載置台303aに下端が接触する高さに袋401を位置付けることで、第1の保持部311それ自体の高さを高くしすぎないという技術的意義を有する。第1の保持部311の高さが高すぎると、第1の保持部311に袋401を保持させる作業のための作業性、あるいは第1の保持部311から第2の保持部312に袋を移動させる作業のための作業性が悪くなるのに対して、載置台303aに下端が接触する高さに袋401を位置付けるような高さに第1の保持部311の高さを設定することで、当該作業の作業性を良好に維持することが可能となる。
【0036】
第1の保持部311の別の実施の一例として、第1の保持部311は、載置台303aに下端を接触させない高さに袋401を位置付けることで、当該袋401の下端が第2の保持部312に保持された袋401の位置に達しないようにしても良い。
【0037】
図7は、保持アーム307に袋401が保持されている状態を示す斜視図である。図7では、フック308と保持アーム307の第1の保持部311に折り畳まれた状態の袋401の束が保持されている状態を示している。また、図7を参照することで、第2の保持部312の高さが低くなった二点で袋401が保持され、これによって袋401の開口部402が開いている状態が分かる。
【0038】
図8は、秤装置301の電気的なハードウェア構成を示す模式図である。秤装置301は、計量部としてのロードセルユニット351を有する。ロードセルユニット351は、構造及び形状を図示しないロードセルの一端側をベース352に固定し、他端側に荷重受け部353を有する。荷重受け部353には秤フレーム354が固定されている。秤フレーム354は、図8では図示しないが、平面から見てX字形状をしており、四隅に秤皿303を載置する。ロードセルユニット351の出力信号は、アンプ355で増幅され、アナログデジタル変換器(AD/C)356でデジタル信号に変換され、演算部357で解析される。演算部357では、ロードセルユニット351の出力信号に基づく重量解析がなされる。演算部357は、例えば動作シーケンスが書き込まれた半導体チップ構成のものであっても、RAM等に動作プログラムを記憶させて動作するマイクロコンピュータ構成のものであっても良い。演算部357は、解析結果である重量データを送信部358に送信し、送信部358を介して決済端末201に出力する。
【0039】
このような構成において、セルフチェックアウト装置は、セルフチェックアウトを可能にする。セルフチェックアウトの流れを説明する。顧客は、購入しようとする商品をカゴに入れてセルフチェックアウト装置に持ち寄り、商品をカゴごと最初の秤装置101における秤皿102の上面に位置する載置台102aに載せる。これにより、顧客が購入しようとする商品の重量は、最初の秤装置101でカゴごと計量される。
【0040】
続いて、顧客は、バーコードスキャナ203の前に商品をかざし、商品に付されたバーコードを読み取らせる。これにより、決済端末201は、商品販売データ処理を実行する。商品販売データ処理は、前述したように、バーコードスキャナ203によって読み取ったバーコードによって特定される商品コードとこの商品コードに対応する単価とをPLUファイルから検索し、タッチパネル211での締め操作に応じて必要な消費税計算等を含む売上合計金額計算を実行して決済金額を算出し、決済金額を仮登録するか、あるいは売上ファイルに登録する。このような商品販売データ処理を支援するために、決済端末201の制御部は、表示器210に操作方法を表示し、顧客の便宜を図る。また、顧客に締め操作をさせるためのボタンを表示し、タッチパネル211による締め操作を可能とする。
【0041】
このような商品販売データ処理に際して、顧客は、袋保持具304に保持されている袋401を予め開いておく。つまり、保持アーム307の第1の保持部311に閉じられて積層状態で保持されている複数枚の袋401から最上位の袋401を引っ張り出す。この際、袋401の耳部406は、ミシン目405の部分で取り除き、フック308に残しておくことができる。そして、引っ張り出した袋401は、第2の保持部312に保持させる。この際、第2の保持部312に形成されているアーチ形状の両側の高さが低い二点に袋401の把手403を位置付けることで、袋401は自ずと開口部402を開く。この状態で、顧客は、バーコードスキャナ203によって商品コードの読み取りを完了した商品を次々と袋401に詰める。前述したように、別の実施の形態として、第2の保持部312がアーチ形状に盛り上がった部分を複数個備えて複数枚の袋401を開いた状態で保持することができるのでれば、顧客は、バーコードスキャナ203によって商品コードの読み取りを完了した商品を次々と複数個の袋401に詰める。
【0042】
このような袋詰め作業に際して、例えば卵や豆腐等のように、型崩れし易く袋401の下に詰めることが得策でない商品については、一時置き台306に載置する。これにより、袋401に詰められた商品及び一時置き台306に載置された商品は、秤装置301の秤皿303に荷重をかけることになり、その荷重がロードセルユニット351によって計量されることになる。ロードセルユニット351による計量結果は、前述したように、送信部358を介して決済端末201に出力する。
【0043】
続いて、顧客がタッチパネル211によって締め操作をすると、決済端末201の制御部は、決済処理を実行する。決済処理は、前述したように、商品販売データ処理で算出した決済金額について、現金、クレジットカード等の磁気カード、電子マネーを記憶保存する非接触ICカードを利用した決済を可能にする。
【0044】
ここで、セルフチェックアウト装置は、最初の秤装置101で計量された重量と秤装置301で計量された重量との整合性を判定する。整合性の判定は、一例として、最初の秤装置101での計量値が減少した後に所定時間が経過するまでの時間の流れの中で、最初の秤装置101での計量値の減少分とその後に生ずる秤装置301での計量値の増加分とが一致するかどうかの判定をもって実行される。つまり、顧客が購入しようとする商品の重量は、最初の秤装置101でカゴごと計量されているのであるから、商品に付されバーコードをバーコードスキャナ203で読み取らせる作業を行なうに際し、当該商品をカゴから取り出すことによって最初の秤装置101での計量値が減少する。そして、バーコードスキャナ203でのバーコードの読み取り作業の後は、当該商品は秤装置301の袋保持具304に開かれた状態で保持されている袋401に詰められるか、一時置き台306に載置される。このような最初の秤装置101に載置されたカゴから商品が取り出されて袋401に詰められるか一時置き台306に載置されるまでに要する作業時間は、一般的には数秒程度である。そこで、セルフチェックアウト装置は、一例として、当該作業時間として予想される時間に+αの時間を加えた時間を所定時間として設定し、最初の秤装置101での計量値が減少した後に所定時間が経過するまでの時間の流れの中で、最初の秤装置101での計量値の減少分とその後に生ずる秤装置301での計量値の増加分とが一致する場合には整合性あり、一致しない場合には整合性なしと判定する。整合性がない場合は、何らかの操作ミスか又は不正が行われたことになる。そこで、この場合、セルフチェックアウト装置の制御部は、表示ポール217の先端部に設けられている発光部218の発光色を青色から赤色に変更し、何らかの操作ミスか又は不正が行われたことを報知する。
【0045】
最初の秤装置101で計量された重量と秤装置301で計量された重量との整合性を判定する別の処理の一例を説明する。セルフチェックアウト装置は、顧客がタッチパネル211によって締め操作をした場合、最初の秤装置101による計量結果と秤装置301による計量結果とを比較する。つまり、決済端末201の制御部は、最初の秤装置101による計量結果である計量値からカゴの重さを風袋引きした値と、秤装置301による計量結果である計量値との一致不一致を判定する。二つの値が一致すれば、カゴに入っていた全ての商品が正しく決済処理されたことになる。これに対して、二つの値が一致しない場合には、カゴに入っていた商品が正しく決済処理されず、何らかの操作ミスか又は不正が行われたことになる。そこで、この場合、セルフチェックアウト装置の制御部は、表示ポール217の先端部に設けられている発光部218の発光色を青色から赤色に変更し、何らかの操作ミスか又は不正が行われたことを報知する。
【0046】
次いで、本実施の形態の袋保持具304は、袋401の保持状態について特有な点を有する。以下、本実施の形態の袋保持具304が有する特有な点について説明する。
【0047】
まず、保持アーム307の第2の保持部312は、袋401に詰められた品物が秤皿303の上面の載置台303aに載置される高さで袋401を保持し、しかも、載置台303aの中央部に位置付けられる位置で袋401を載置する。これにより、アーム支持部305及び一時置き台306の重量を無視して考えると、秤皿303の中央部に荷重がかかる。ロードセル秤では、周知のように、秤皿303の端に荷重がかかると不必要なモーメントが生じ、計量値に誤差をもたらす原因となる。これに対して、本実施の形態のように、秤皿303の中央部に荷重がかかれば、ロードセルユニット351の計量誤差が極力少なくなる。
【0048】
次いで、第1の保持部311及びフック308による閉じられた袋401の束の保持高さHの技術的意義について説明する。この保持高さHは、前述したように、第1の保持部311がフック308と共に保持する袋401の下端が第2の保持部312に保持されて開かれた袋401の位置に達しない高さである。これにより、閉じられた袋401の束が開かれた袋401の下敷きになることがない。よって、開かれた袋401に次々と品物を詰め込んでいく過程で、開かれた袋401が滑り出してその位置が秤皿303の中央部からずれてしまうことが確実に防止される。その結果、開かれた袋401が滑り出すことによって品物を入れにくくなるという問題も、開かれた袋401が秤皿303の中央部からずれてしまうことによるロードセルユニット351での計量誤差の増大という問題も、いずれも解消することができる。
【0049】
図9は、図6中の高さHが低い場合に生ずる問題を示す側面図である。図9では、本実施の形態の袋保持具304と対比するために、第1の保持部311及びフック308による閉じられた袋401の束の保持高さが、高さHよりも低い高さH−αである例を示している。袋401の束の保持高さが高さH−αである場合には、閉じられた袋401の束が開かれた袋401の下敷きになり、開かれた袋401に次々と品物を詰め込んでいく過程で、開かれた袋401が滑り出してその位置が秤皿303の中央部からずれてしまっている。
【0050】
次いで、第1の保持部311と第2の保持部312とを連絡する傾斜部313の技術的意義について説明する。傾斜部313は、前述したように、第1の保持部311及びフック308から袋401が垂直に位置付けられる位置と、第2の保持部312に保持された袋401の位置との間の距離Iを確保する役割を担う。つまり、第1の保持部311及びフック308によって保持される袋401の下端が第2の保持部312に保持された袋401の位置に達するかどうかについては、当該距離Iが影響する。距離Iが確保されていれば、第1の保持部311及びフック308によって保持される袋401の下端が秤皿303の載置台303aに接触して折れ曲がり、第2の保持部312に開いた状態で保持されている袋401の方向にある程度延出したとしても、閉じられている袋401の束が開かれている袋401にまで達することを抑制することができる。
【0051】
図10は、図6中の間隔Iが無い場合に生ずる問題を示す側面図である。図10は、本実施の形態の袋保持具304と対比するために、距離Iが確保されていない状態を例示している。距離Iが確保されていない場合、第1の保持部311及びフック308によって保持される袋401の下端が秤皿303の載置台303aに接触して折れ曲がり、第2の保持部312に開いた状態で保持されている袋401の方向に延出すると、閉じられている袋401の束が開かれている袋401にまで達してしまう。
【0052】
図11(a)は、図6中の間隔Iが無い場合に生ずる別の問題を示す側面図である。保持アーム307では、第1の保持部311による袋401の保持高さと第2の保持部312による袋401の保持高さとが相違するのであるから、もしも距離Iが全く確保されていないとすると、第1の保持部311と第2の保持部312とは垂直部材によって連結されることになる。図11は、このような構造を例示している。図11から明らかなように、もしも、第1の保持部311と第2の保持部312とが垂直部材によって連結されるとなると、保持アーム307に袋401の束を保持されるに際して、袋401の束を図11に例示するように大きく屈曲させなければならない。
【0053】
図11(b)は、図6中の間隔Iが確保されている場合の利点を示す側面図である。これに対して、本実施の形態のように、第1の保持部311と第2の保持部312とが傾斜部313で連結され、距離Iが確保されている場合には、図12に例示するように、大きく屈曲させることなく袋401の束を保持アーム307に保持させることができる。
【0054】
図12は、保持アーム307のアーチ形状の利点を示す側面図である。前述したように、セルフチェックアウト装置の使用に際しては、保持アーム307の第2の保持部312にまで袋401を移動させ、第2の保持部312の高さが低い両端部の二点の位置に袋401の把手403を位置させる。この際、袋401の把手403は、第2の保持部312の高さが低い両端部の二点の位置に正確に位置付けられることにより、秤皿303の載置台303aの中央部に開口部402が開かれた袋401が位置付けられる。これに対して、図12(a)に例示するように、第2の保持部312の高さが低い両端部の二点の位置から外れた位置に袋401の把手403が位置付けられた場合を想定する。この場合、図12(b)に点線矢印で示すように、袋401に品物を詰め込んでいく過程で、袋401の下側がどんどん拡がっていき、これに応じて袋401の上方も図12(b)に実線矢印で示すように拡がる。これにより、袋401の把手403は第2の保持部312の中央部に形成されたアーチ形状部分を滑り、自ずと、第2の保持部312の高さが低い両端部の二点の位置に位置付けられることになる。第2の保持部312のアーチ形状は、第2の保持部312の高さが低い両端部の二点の位置に向けて袋401の把手403を滑らせるのに役立つ。
【0055】
図13は、保持アーム307の別の実施の一形態を示す側面図である。図13に例示する保持アーム307は、その中央部の高さが高くなる形状に形成されている点については、図1ないし図12に例示する実施の形態と同様である。これに対して、図13に例示する保持アーム307は、アーチ形状ではなく、その中央部が平坦な形状となっており、また、その平坦部分から高さが低い両端部の二点の位置まで直線状に下がった形状となっている。このような保持アーム307も、図12(a)及び(b)に例示した袋401の把手403を滑らせる作用を奏する。
【0056】
図14は、保持アーム307の更に別の実施の一形態を示す側面図である。図14に例示する保持アーム307は、その中央部の高さが高くなる形状に形成されている点については、図1ないし図12に例示する実施の形態及び図13に例示する実施の形態と同様である。これに対して、図14に例示する保持アーム307は、アーチ形状ではなく、その中央部が平坦な形状となっており、また、高さが低い両端部の二点の位置が二条の溝312aによって形成されている。このような保持アーム307では溝312aに袋401の把手403を嵌め込むことで、把手403を位置決めする。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の一形態として、セルフチェックアウト装置を示す斜視図である。
【図2】秤装置を示す斜視図である。
【図3】秤装置の保持アーム及びフックを示す側面図である。
【図4】袋保持具の保持アームの取り付け構造を示す側面図である。
【図5】袋保持具のフックの取り付け構造を示す側面図である。
【図6】保持アームに袋が保持されている状態を示す側面図である。
【図7】保持アームに袋が保持されている状態を示す斜視図である。
【図8】袋保持具の電気的なハードウェア構成を示す模式図である。
【図9】図6中の高さHが低い場合に生ずる問題を示す側面図である。
【図10】図6中の間隔Iが無い場合に生ずる問題を示す側面図である。
【図11】(a)は図6中の間隔Iが無い場合に生ずる別の問題を示す側面図、(b)は図6中の間隔Iが確保されている場合の利点を示す側面図である。
【図12】保持アームのアーチ形状の利点を示す側面図である。
【図13】保持アームの別の実施の一形態を示す側面図である。
【図14】保持アームの更に別の実施の一形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0058】
101:最初の秤装置,102:秤皿,201:決済端末,203:商品情報読取部(バーコードスキャナ),303:台座、秤皿,304:袋保持具,305:アーム支持部,306:一時置き台,307:保持アーム,311:第1の保持部,312:第2の保持部,313:傾斜部,351:計量部(ロードセルユニット),354:荷重受け部
402:開口部,403:把手,401:袋
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスーパーマーケット等で顧客に提供するビニール袋等の袋を開いた状態で保持する袋保持具、このような袋保持具を有する秤装置、及び当該秤装置を有するセルフチェックアウト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスーパーマーケット等で顧客に提供するビニール袋等の袋を開いた状態で保持する袋保持具としては、特許文献1、2に記載されているものがある。これらの袋保持具は、いずれも、袋の中央部に穴を開けてこの穴の部分をフックに引掛けて袋を保持する。この場合、袋は折り畳まれた状態となり、複数枚が積層状態で保持される。そして、フックの近傍に左右一対の保持アームを配置し、これらの保持アームに袋の把持部を引っ掛け、袋を開いた状態に保持できるようにしている。特許文献1、2には、開いた袋に商品コード読み取り後の商品を次々と収納するような取り扱いが示されている。
【0003】
特許文献1に記載された袋保持具と特許文献2に記載された袋保持具との相違は、開いた袋の底面が空中に浮いた状態となっているか(特許文献1)、それとも台座に接触して袋詰めされた商品が台座に載置されるようになっているか(特許文献2)、ということである。特許文献2に記載されているように、開いた袋の底面が台座に接触し、袋詰めされた商品が台座に載置されるようになっている方が、安定性に優れる。
【0004】
【特許文献1】特開平08−205972号公報
【特許文献2】特開2000−123249公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(第1の課題)
特許文献1、2に記載された袋保持具では、フックで折り畳まれた状態のまま保持する袋の配置位置と保持アームで開かれた状態にして保持する袋の配置位置とが隣接している。これにより、折り畳まれて保持されている袋の把持部を速やかに保持アームに引っ掛ける作業が容易になる。この場合に重要なことは、フックに保持された折り畳まれた状態の袋の底部が保持アームに保持された開かれた袋の底部の下敷きにならないようにすることである。折り畳まれた状態の袋の底部が開かれた袋の底部の下敷きになると、開かれた袋に商品を詰め込んでいく過程で開かれた袋が滑り出し、作業性が損なわれるからである。
【0006】
特許文献1に記載された袋保持具では、袋の底部が台座に接触しないような高さで折り畳まれた袋をフックで保持しているため、折り畳まれた袋が開かれた袋の下敷きなることがない。しかしながら、このような構成を採用する場合、開いた袋に商品を詰め込む際の安定性に欠けるという問題がある。
【0007】
特許文献2に記載された袋保持具では、折り畳まれた袋の保持位置では台座を設けず、台座は開かれた袋の保持位置にのみ設けるようにしているため、折り畳まれた袋が開かれた袋の下敷きなることがない。しかしながら、このような構成を採用する場合、袋保持具が全体的に大掛かりな構成となってしまうという問題がある。
【0008】
(第2の課題)
流通システムの分野では、近年、我が国でもセルフチェックアウト装置の導入が検討され、実験的ではあるが、実際に導入されている事例も散見されるようになってきている。このようなセルフチェックアウト装置では、袋保持具をセキュリティ用の秤装置に用いることがある。つまり、セルフチェックアウト装置では、顧客が購入しようとする商品の重量を予め認識しておき、決済後に袋保持具に保持された開かれた袋に詰められた商品の重量が予め認識されている重量と一致するかどうかを判定する。一致すれば適正なセルフチェックが行われたことになり、不一致であれば不正が行われたことになる。
【0009】
秤装置は、周知のように、秤皿の真中に計量対象物を載置した場合、最も正確な計量結果を出力する。セキュリティ用の秤装置への袋保持具の適用を考慮した場合、前述した台座は秤皿ということになるので、開いた状態で保持される袋は秤皿の真中に位置付けられることが望ましい。ところが、前述したように、フックに保持された折り畳まれた状態の袋の底部が保持アームに保持された開かれた袋の底部の下敷きになると、開かれた袋に商品を詰め込んでいく過程で開かれた袋が滑り出し、秤皿の中央部からずれてしまうという問題がある。
【0010】
特許文献2に記載された袋保持具の構成は、このような問題に対して解決策を提供する。しかしながら、前述したように、特許文献2に記載された袋保持具の構成を採用する場合、袋保持具が全体的に大掛かりな構成となってしまう。これは、セルフチェックアウト装置の小型化を図る場合に大きな障害となる。
【0011】
本発明の目的は、開いた袋を台座に接触させて袋詰めされた商品が台座に載置される構成を採用しながらも、装置を大掛かりにすることなく、折り畳まれた袋が開かれた袋の下敷きなることを確実に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の袋保持具は、台座と、開口部とこの開口部から突出する一対の把手とを有してこれらの把手が両側に位置付けられるように折り畳まれた袋を保持するために、一対の前記把手を串刺し状態で保持する一対の保持アームと、前記台座の上方に前記保持アームを位置付けるアーム支持部と、を備え、前記保持アームは、前記袋を折り畳まれた状態で保持する第1の保持部を根本側に有し、当該第1の保持部に連続して前記袋を前記第1の保持部による保持位置よりも低い位置で開いた状態で保持する第2の保持部を先端側に有し、前記第2の保持部は、前記袋に詰められた品物が前記台座に載置される高さで前記袋を保持し、前記第1の保持部は、前記袋の下端が前記第2の保持部に保持された前記袋の位置に達しない高さで前記袋を保持するようにした。
【0013】
本発明の秤装置は、荷重受け部にかかる荷重の大きさに応じた値を電気信号として出力する計量部と、前記荷重受け部に連結され、品物が載置されて載置された品物の荷重を前記荷重受け部に伝達する秤皿と、前記秤皿を前記台座とする前述した本発明の袋保持具と、を備え、前記第2の保持部は、前記袋に詰められた品物が前記秤皿の中央に位置付けられる位置で前記袋を保持するようにした。
【0014】
本発明のセルフチェックアウト装置は、購入される商品が秤皿に載置されて当該商品の重量を計量する最初の秤装置を備え、商品に付された商品コードを読み取る商品情報読取部と、読み取られた商品コードに従い決済金額の算出を含む商品販売データ処理を実行する手段と、算出された前記決済金額の決済処理を可能にする手段と、を備える決済端末を備え、前述した本発明の秤装置を備え、前記最初の秤装置で計量された重量と前記決済処理後における前記秤装置で計量された重量との一致不一致を判定するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、開いた袋を台座に接触させて袋詰めされた商品が台座に載置される構成を採用したとしても、装置を大掛かりにすることなく、折り畳まれた袋が開かれた袋の下敷きなることを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の一形態を図1ないし図12に基づいて説明する。
【0017】
図1は、セルフチェックアウト装置を示す斜視図である。セルフチェックアウト装置は、最初の秤装置101と、決済端末201と、秤装置301とから構成されている。
【0018】
最初の秤装置101は、決済端末201のハウジング202の左脇に突出して設けられており、上面に秤皿102を有する。この秤皿102の上面に位置する載置台102aには、スーパーマーケット等で用いられる図示しないカゴを位置決めするための突部103がL字形状に突出形成されている。最初の秤装置101は、秤皿102の上面に位置する載置台102aに載置された品物の重量を計量するロードセル秤であり、計量結果を決済端末201に出力する。このような最初の秤装置101は、構造的にはロードセル秤であるため、その詳細な説明は省略する。
【0019】
もっとも、最初の秤装置101について特徴的であるのは、秤皿102の形状である。秤皿102の上面に位置する載置台102aの前端縁は、載置台102aにカゴが載置された状態で、載置台102aにおけるカゴの前方位置に載置される品物を滑り落とすことができるように湾曲形状に形成されている。
【0020】
決済端末201のハウジング202は、床面に設置されて最初の秤装置101が固定されるベースハウジング202aと、このベースハウジング202aの上面に載置される小振りな上部ハウジング202bとによって構成されている。ベースハウジング202aの前面は、下方に向かうほどベースハウジング202aの投影面積を狭めるように傾斜している。これにより、ベースハウジング202aは、下方に向かうほど奥側にオフセットした形状となっている。
【0021】
上部ハウジング202bには、左側に商品情報読取部としてのバーコードスキャナ203が配置され、右側にプリンタカバー204及び監視カメラ205が配置され、これらのバーコードスキャナ203とプリンタカバー204及び監視カメラ205の間にはカード読取部206とテンキー207とが配置されている。バーコードスキャナ203は、商品に付された商品コードを読み取る商品情報読取部として機能する縦型スキャナである。プリンタカバー204には、レシート発行口208が設けられている。プリンタカバー204の奥側には図示しないレシートプリンタが上部ハウジング202bに内蔵され、このレシートプリンタによって印字される図示しないレシートは、レシート発行口208から発行されるように構成されている。プリンタカバー204は、上部ハウジング202bに対して開閉自在に取り付けられ、フラップ209の引っ張り操作で開放される。監視カメラ205は、プリンタカバー204の上方に配置されている。カード読取部206は、図示しない非接触ICカードと無線通信を確立し、非接触ICカードに対して情報を読み書きする。非接触ICカードは、現金と等価な価値を有する電子マネーを記憶保存することが可能であり、決済に際して利用される。図1中、丸印の中に「CARD」と記されている部分の奥側に図示しないアンテナが内蔵され、このアンテナを介して非接触ICカードとの間の無線通信が確立される。テンキー207は、非接触ICカードでの決済に際して、暗証番号の入力のために用いられる。
【0022】
上部ハウジング202bには、液晶表示パネルを有する表示器210が取り付けられている。この表示器210は、その表示面にタッチパネル211を有し、右側方にカード読取溝212を有する。カード読取溝212の内部には、図示しないカードリーダが内蔵されている。カードリーダは、クレジットカード等の磁気カードに記録された情報、例えばカード番号や暗証番号を読み取る。
【0023】
ベースハウジング202aには、図示しない硬貨と紙幣との入出金装置が内蔵されている。入出金装置の一部として、ベースハウジング202aの中央上面には硬貨投入口213が配置され、その左側には硬貨払出口214が配置されている。また、ベースハウジングの前面右上方位置には、紙幣投入口215と紙幣払出口216とが配置されている。
【0024】
さらに、ベースハウジング202aの背面からは、セルフチェックアウト装置の現在の状態を表示する表示ポール217が立設されている。この表示ポール217は、先端部に青色と赤色とに選択的に発光する発光部218を有する。
【0025】
決済端末201は、内部に図示しない制御部を有する。制御部は、例えば動作シーケンスが書き込まれた半導体チップ構成のものであっても、RAM等に動作プログラムを記憶させて動作するマイクロコンピュータ構成のものであっても良い。いずれにしても、制御部では、読み取られた商品コードに従い決済金額の算出を含む商品販売データ処理を実行する処理プロセスと、算出された決済金額の決済処理を可能にする処理プロセスとを実行する。商品販売データ処理では、基本的には、バーコードスキャナ203で商品に付されたバーコードが読み取られた場合に、そのバーコードによって特定される商品コードとこの商品コードに対応する単価とをPLUファイルから検索し、タッチパネル211での締め操作に応じて必要な消費税計算等を含む売上合計金額計算を実行して決済金額を算出し、決済金額を仮登録するか、あるいは売上ファイルに登録する。決済処理では、商品販売データ処理で算出した決済金額について、現金、クレジットカード等の磁気カード、電子マネーを記憶保存する非接触ICカードを利用した決済を可能にする。現金の扱いは、ベースハウジング202aに設けられた入出金装置で実行され、磁気カードの扱いは、カード読取溝212の内部に設けられたカードリーダによって実行され、非接触ICカードの扱いは、カード読取部206を介して実行される。
【0026】
図2は、秤装置301を示す斜視図である。秤装置301は、秤ハウジング302の上部に秤皿303が設けられ、この秤皿303に袋保持具304が取り付けられて構成されている。秤皿303は、その上面に載置台303aを有する。袋保持具304は載置台303aに取り付けられている。したがって、袋保持具304からすると、秤皿303は台座を構成する。つまり、載置台303aの後方中央部にはポール形状のアーム支持部305が立設され、このアーム支持部305の上端には品物を載置するための一時置き台306が固定されている。一時置き台306は、上面が平坦面となっており、決済端末201のバーコードスキャナ203でバーコードを読み取った後の商品を一時的に置く用途で用いられる台である。このような一時置き台306の下面に、一対の保持アーム307とフック308とが取り付けられている。保持アーム307は、例えばスーパーマーケット等で顧客に提供するビニール袋等の袋401、つまり、開口部402とこの開口部402から突出する一対の把手403とを有してこれらの把手403が両側に位置付けられるように折り畳まれた袋401を保持するために、一対の把手403を串刺し状態で保持する(袋401については、図6、図7、図9ないし図12参照)。このような保持状態を実現するために、把手403にはスリット404が形成されている(図7参照)。また、袋401には、一対の把手403の間に位置させてミシン目405で脱落可能な一対の耳部406が形成されており、これらの耳部406には引掛け穴407が形成されている(図7参照)。フック308は、引掛け穴407を挿通し、これによって袋401を保持アーム307と共に保持する。
【0027】
図3は、袋保持具304の保持アーム307及びフック308を示す側面図である。一時置き台306の下面両端位置には、アーム取付具309が固定されている。固定は、例えばネジ止め、接着止め等、各種の固定手法によってなされている。そして、それらのアーム取付具309のそれぞれには、保持アーム307が埋設されている。また、一時置き台306の下面中央位置には、フック取付具310が固定されている。固定は、例えばネジ止め、接着止め等、各種の固定手法によってなされている。そして、フック取付具310には、フック308が埋設されている。
【0028】
図4は、袋保持具304の保持アーム307の取り付け構造を示す側面図である。図4には、アーム取付具309の側面形状と、アーム取付具309に対する保持アーム307の埋設構造とを示す。
【0029】
図5は、袋保持具304のフック308の取り付け構造を示す側面図である。図5には、フック取付具310の側面形状と、フック取付具310に対するフック308の埋設構造とを示す。
【0030】
図6は、保持アーム307に袋401が保持されている状態を示す側面図である。袋401は、折り畳まれた状態においては、その耳部406に設けられた引掛け穴407がフック308に引っ掛けられ、保持されている(図7参照)。保持アーム307は、このようにフック308に保持されている折り畳まれた状態の袋401を保持する第1の保持部311を根本側に有する。これらのフック308及び第1の保持部311は、折り畳まれた袋401を複数枚積層状態で保持し得るだけの保持容量を有している。保持アーム307は、また、第1の保持部311に連続して袋401を第1の保持部311による保持位置よりも低い位置で開いた状態で保持する第2の保持部312を先端側に有する。そして、第1の保持部311と第2の保持部312とは、第1の保持部311から第2の保持部312に直線的に傾斜する傾斜部313で連結されている。
【0031】
ここで、第2の保持部312について詳細に説明する。第2の保持部312は、袋401に詰められた品物が秤皿303の上面に位置する載置台303aに載置される高さで袋401を保持する。しかも、第2の保持部312は、載置台303aの中央部に位置付けられる位置で袋401を載置する。図6中、載置台303aの中央部をCとして示す。
【0032】
また、第2の保持部312は、その中央部の高さが高くなる形状、より詳細にアーチ形状に形成されている。したがって、第2の保持部312の両端部の二点は高さが低く、これらの高さが低い二点を繋ぐ中央部はアーチ形状に盛り上がっている。そして、第2の保持部312の端部、つまり保持アーム307の最先端となる部分は、高さが低い部分から斜め上方に向けて上昇している。この上昇部分は、保持した袋401の把手403を脱落させないようにするための返し部314となっている。
【0033】
第2の保持部312の別の実施の形態として、第2の保持部312は、アーチ形状に盛り上がった部分を複数個備えていても良い。この場合、アーチ形状の両側の高さが低い二点が複数組生ずることになる。例えば、アーチ形状に盛り上がった部分が三つある場合、その両側の高さが低い二点は三組生ずる。そこで、この例で言うと、第2の保持部312は、三枚の袋401を開いた状態で保持することができる。
【0034】
次いで、第1の保持部311について詳細に説明する。第1の保持部311は、フック308と共に、保持する袋401の下端が第2の保持部312に保持されて載置台303aに載置されている袋401の位置、つまり載置台303aに袋401が接触している位置に達しない高さで袋401を保持する。図6中、この高さを高さHとして示す。さらに、第1の保持部311及びフック308によって保持される袋401の下端が第2の保持部312に保持された袋401の位置に達するかどうかは、第1の保持部311及びフック308から袋401が垂直に位置付けられる位置と、第2の保持部312に保持された袋401の位置との間の距離に依存する。図6中、この距離を距離Iとして示す。傾斜部313は、当該距離Iを確保する役割を担う。
【0035】
以上の説明からも明らかなように、本実施の形態では、第1の保持部311は、載置台303aに下端が接触する高さに位置付けた袋401を、当該袋401の下端が第2の保持部312に保持された袋401の位置に達しないように保持する。第1の保持部311は、載置台303aに下端が接触する高さに袋401を位置付けることで、第1の保持部311それ自体の高さを高くしすぎないという技術的意義を有する。第1の保持部311の高さが高すぎると、第1の保持部311に袋401を保持させる作業のための作業性、あるいは第1の保持部311から第2の保持部312に袋を移動させる作業のための作業性が悪くなるのに対して、載置台303aに下端が接触する高さに袋401を位置付けるような高さに第1の保持部311の高さを設定することで、当該作業の作業性を良好に維持することが可能となる。
【0036】
第1の保持部311の別の実施の一例として、第1の保持部311は、載置台303aに下端を接触させない高さに袋401を位置付けることで、当該袋401の下端が第2の保持部312に保持された袋401の位置に達しないようにしても良い。
【0037】
図7は、保持アーム307に袋401が保持されている状態を示す斜視図である。図7では、フック308と保持アーム307の第1の保持部311に折り畳まれた状態の袋401の束が保持されている状態を示している。また、図7を参照することで、第2の保持部312の高さが低くなった二点で袋401が保持され、これによって袋401の開口部402が開いている状態が分かる。
【0038】
図8は、秤装置301の電気的なハードウェア構成を示す模式図である。秤装置301は、計量部としてのロードセルユニット351を有する。ロードセルユニット351は、構造及び形状を図示しないロードセルの一端側をベース352に固定し、他端側に荷重受け部353を有する。荷重受け部353には秤フレーム354が固定されている。秤フレーム354は、図8では図示しないが、平面から見てX字形状をしており、四隅に秤皿303を載置する。ロードセルユニット351の出力信号は、アンプ355で増幅され、アナログデジタル変換器(AD/C)356でデジタル信号に変換され、演算部357で解析される。演算部357では、ロードセルユニット351の出力信号に基づく重量解析がなされる。演算部357は、例えば動作シーケンスが書き込まれた半導体チップ構成のものであっても、RAM等に動作プログラムを記憶させて動作するマイクロコンピュータ構成のものであっても良い。演算部357は、解析結果である重量データを送信部358に送信し、送信部358を介して決済端末201に出力する。
【0039】
このような構成において、セルフチェックアウト装置は、セルフチェックアウトを可能にする。セルフチェックアウトの流れを説明する。顧客は、購入しようとする商品をカゴに入れてセルフチェックアウト装置に持ち寄り、商品をカゴごと最初の秤装置101における秤皿102の上面に位置する載置台102aに載せる。これにより、顧客が購入しようとする商品の重量は、最初の秤装置101でカゴごと計量される。
【0040】
続いて、顧客は、バーコードスキャナ203の前に商品をかざし、商品に付されたバーコードを読み取らせる。これにより、決済端末201は、商品販売データ処理を実行する。商品販売データ処理は、前述したように、バーコードスキャナ203によって読み取ったバーコードによって特定される商品コードとこの商品コードに対応する単価とをPLUファイルから検索し、タッチパネル211での締め操作に応じて必要な消費税計算等を含む売上合計金額計算を実行して決済金額を算出し、決済金額を仮登録するか、あるいは売上ファイルに登録する。このような商品販売データ処理を支援するために、決済端末201の制御部は、表示器210に操作方法を表示し、顧客の便宜を図る。また、顧客に締め操作をさせるためのボタンを表示し、タッチパネル211による締め操作を可能とする。
【0041】
このような商品販売データ処理に際して、顧客は、袋保持具304に保持されている袋401を予め開いておく。つまり、保持アーム307の第1の保持部311に閉じられて積層状態で保持されている複数枚の袋401から最上位の袋401を引っ張り出す。この際、袋401の耳部406は、ミシン目405の部分で取り除き、フック308に残しておくことができる。そして、引っ張り出した袋401は、第2の保持部312に保持させる。この際、第2の保持部312に形成されているアーチ形状の両側の高さが低い二点に袋401の把手403を位置付けることで、袋401は自ずと開口部402を開く。この状態で、顧客は、バーコードスキャナ203によって商品コードの読み取りを完了した商品を次々と袋401に詰める。前述したように、別の実施の形態として、第2の保持部312がアーチ形状に盛り上がった部分を複数個備えて複数枚の袋401を開いた状態で保持することができるのでれば、顧客は、バーコードスキャナ203によって商品コードの読み取りを完了した商品を次々と複数個の袋401に詰める。
【0042】
このような袋詰め作業に際して、例えば卵や豆腐等のように、型崩れし易く袋401の下に詰めることが得策でない商品については、一時置き台306に載置する。これにより、袋401に詰められた商品及び一時置き台306に載置された商品は、秤装置301の秤皿303に荷重をかけることになり、その荷重がロードセルユニット351によって計量されることになる。ロードセルユニット351による計量結果は、前述したように、送信部358を介して決済端末201に出力する。
【0043】
続いて、顧客がタッチパネル211によって締め操作をすると、決済端末201の制御部は、決済処理を実行する。決済処理は、前述したように、商品販売データ処理で算出した決済金額について、現金、クレジットカード等の磁気カード、電子マネーを記憶保存する非接触ICカードを利用した決済を可能にする。
【0044】
ここで、セルフチェックアウト装置は、最初の秤装置101で計量された重量と秤装置301で計量された重量との整合性を判定する。整合性の判定は、一例として、最初の秤装置101での計量値が減少した後に所定時間が経過するまでの時間の流れの中で、最初の秤装置101での計量値の減少分とその後に生ずる秤装置301での計量値の増加分とが一致するかどうかの判定をもって実行される。つまり、顧客が購入しようとする商品の重量は、最初の秤装置101でカゴごと計量されているのであるから、商品に付されバーコードをバーコードスキャナ203で読み取らせる作業を行なうに際し、当該商品をカゴから取り出すことによって最初の秤装置101での計量値が減少する。そして、バーコードスキャナ203でのバーコードの読み取り作業の後は、当該商品は秤装置301の袋保持具304に開かれた状態で保持されている袋401に詰められるか、一時置き台306に載置される。このような最初の秤装置101に載置されたカゴから商品が取り出されて袋401に詰められるか一時置き台306に載置されるまでに要する作業時間は、一般的には数秒程度である。そこで、セルフチェックアウト装置は、一例として、当該作業時間として予想される時間に+αの時間を加えた時間を所定時間として設定し、最初の秤装置101での計量値が減少した後に所定時間が経過するまでの時間の流れの中で、最初の秤装置101での計量値の減少分とその後に生ずる秤装置301での計量値の増加分とが一致する場合には整合性あり、一致しない場合には整合性なしと判定する。整合性がない場合は、何らかの操作ミスか又は不正が行われたことになる。そこで、この場合、セルフチェックアウト装置の制御部は、表示ポール217の先端部に設けられている発光部218の発光色を青色から赤色に変更し、何らかの操作ミスか又は不正が行われたことを報知する。
【0045】
最初の秤装置101で計量された重量と秤装置301で計量された重量との整合性を判定する別の処理の一例を説明する。セルフチェックアウト装置は、顧客がタッチパネル211によって締め操作をした場合、最初の秤装置101による計量結果と秤装置301による計量結果とを比較する。つまり、決済端末201の制御部は、最初の秤装置101による計量結果である計量値からカゴの重さを風袋引きした値と、秤装置301による計量結果である計量値との一致不一致を判定する。二つの値が一致すれば、カゴに入っていた全ての商品が正しく決済処理されたことになる。これに対して、二つの値が一致しない場合には、カゴに入っていた商品が正しく決済処理されず、何らかの操作ミスか又は不正が行われたことになる。そこで、この場合、セルフチェックアウト装置の制御部は、表示ポール217の先端部に設けられている発光部218の発光色を青色から赤色に変更し、何らかの操作ミスか又は不正が行われたことを報知する。
【0046】
次いで、本実施の形態の袋保持具304は、袋401の保持状態について特有な点を有する。以下、本実施の形態の袋保持具304が有する特有な点について説明する。
【0047】
まず、保持アーム307の第2の保持部312は、袋401に詰められた品物が秤皿303の上面の載置台303aに載置される高さで袋401を保持し、しかも、載置台303aの中央部に位置付けられる位置で袋401を載置する。これにより、アーム支持部305及び一時置き台306の重量を無視して考えると、秤皿303の中央部に荷重がかかる。ロードセル秤では、周知のように、秤皿303の端に荷重がかかると不必要なモーメントが生じ、計量値に誤差をもたらす原因となる。これに対して、本実施の形態のように、秤皿303の中央部に荷重がかかれば、ロードセルユニット351の計量誤差が極力少なくなる。
【0048】
次いで、第1の保持部311及びフック308による閉じられた袋401の束の保持高さHの技術的意義について説明する。この保持高さHは、前述したように、第1の保持部311がフック308と共に保持する袋401の下端が第2の保持部312に保持されて開かれた袋401の位置に達しない高さである。これにより、閉じられた袋401の束が開かれた袋401の下敷きになることがない。よって、開かれた袋401に次々と品物を詰め込んでいく過程で、開かれた袋401が滑り出してその位置が秤皿303の中央部からずれてしまうことが確実に防止される。その結果、開かれた袋401が滑り出すことによって品物を入れにくくなるという問題も、開かれた袋401が秤皿303の中央部からずれてしまうことによるロードセルユニット351での計量誤差の増大という問題も、いずれも解消することができる。
【0049】
図9は、図6中の高さHが低い場合に生ずる問題を示す側面図である。図9では、本実施の形態の袋保持具304と対比するために、第1の保持部311及びフック308による閉じられた袋401の束の保持高さが、高さHよりも低い高さH−αである例を示している。袋401の束の保持高さが高さH−αである場合には、閉じられた袋401の束が開かれた袋401の下敷きになり、開かれた袋401に次々と品物を詰め込んでいく過程で、開かれた袋401が滑り出してその位置が秤皿303の中央部からずれてしまっている。
【0050】
次いで、第1の保持部311と第2の保持部312とを連絡する傾斜部313の技術的意義について説明する。傾斜部313は、前述したように、第1の保持部311及びフック308から袋401が垂直に位置付けられる位置と、第2の保持部312に保持された袋401の位置との間の距離Iを確保する役割を担う。つまり、第1の保持部311及びフック308によって保持される袋401の下端が第2の保持部312に保持された袋401の位置に達するかどうかについては、当該距離Iが影響する。距離Iが確保されていれば、第1の保持部311及びフック308によって保持される袋401の下端が秤皿303の載置台303aに接触して折れ曲がり、第2の保持部312に開いた状態で保持されている袋401の方向にある程度延出したとしても、閉じられている袋401の束が開かれている袋401にまで達することを抑制することができる。
【0051】
図10は、図6中の間隔Iが無い場合に生ずる問題を示す側面図である。図10は、本実施の形態の袋保持具304と対比するために、距離Iが確保されていない状態を例示している。距離Iが確保されていない場合、第1の保持部311及びフック308によって保持される袋401の下端が秤皿303の載置台303aに接触して折れ曲がり、第2の保持部312に開いた状態で保持されている袋401の方向に延出すると、閉じられている袋401の束が開かれている袋401にまで達してしまう。
【0052】
図11(a)は、図6中の間隔Iが無い場合に生ずる別の問題を示す側面図である。保持アーム307では、第1の保持部311による袋401の保持高さと第2の保持部312による袋401の保持高さとが相違するのであるから、もしも距離Iが全く確保されていないとすると、第1の保持部311と第2の保持部312とは垂直部材によって連結されることになる。図11は、このような構造を例示している。図11から明らかなように、もしも、第1の保持部311と第2の保持部312とが垂直部材によって連結されるとなると、保持アーム307に袋401の束を保持されるに際して、袋401の束を図11に例示するように大きく屈曲させなければならない。
【0053】
図11(b)は、図6中の間隔Iが確保されている場合の利点を示す側面図である。これに対して、本実施の形態のように、第1の保持部311と第2の保持部312とが傾斜部313で連結され、距離Iが確保されている場合には、図12に例示するように、大きく屈曲させることなく袋401の束を保持アーム307に保持させることができる。
【0054】
図12は、保持アーム307のアーチ形状の利点を示す側面図である。前述したように、セルフチェックアウト装置の使用に際しては、保持アーム307の第2の保持部312にまで袋401を移動させ、第2の保持部312の高さが低い両端部の二点の位置に袋401の把手403を位置させる。この際、袋401の把手403は、第2の保持部312の高さが低い両端部の二点の位置に正確に位置付けられることにより、秤皿303の載置台303aの中央部に開口部402が開かれた袋401が位置付けられる。これに対して、図12(a)に例示するように、第2の保持部312の高さが低い両端部の二点の位置から外れた位置に袋401の把手403が位置付けられた場合を想定する。この場合、図12(b)に点線矢印で示すように、袋401に品物を詰め込んでいく過程で、袋401の下側がどんどん拡がっていき、これに応じて袋401の上方も図12(b)に実線矢印で示すように拡がる。これにより、袋401の把手403は第2の保持部312の中央部に形成されたアーチ形状部分を滑り、自ずと、第2の保持部312の高さが低い両端部の二点の位置に位置付けられることになる。第2の保持部312のアーチ形状は、第2の保持部312の高さが低い両端部の二点の位置に向けて袋401の把手403を滑らせるのに役立つ。
【0055】
図13は、保持アーム307の別の実施の一形態を示す側面図である。図13に例示する保持アーム307は、その中央部の高さが高くなる形状に形成されている点については、図1ないし図12に例示する実施の形態と同様である。これに対して、図13に例示する保持アーム307は、アーチ形状ではなく、その中央部が平坦な形状となっており、また、その平坦部分から高さが低い両端部の二点の位置まで直線状に下がった形状となっている。このような保持アーム307も、図12(a)及び(b)に例示した袋401の把手403を滑らせる作用を奏する。
【0056】
図14は、保持アーム307の更に別の実施の一形態を示す側面図である。図14に例示する保持アーム307は、その中央部の高さが高くなる形状に形成されている点については、図1ないし図12に例示する実施の形態及び図13に例示する実施の形態と同様である。これに対して、図14に例示する保持アーム307は、アーチ形状ではなく、その中央部が平坦な形状となっており、また、高さが低い両端部の二点の位置が二条の溝312aによって形成されている。このような保持アーム307では溝312aに袋401の把手403を嵌め込むことで、把手403を位置決めする。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の一形態として、セルフチェックアウト装置を示す斜視図である。
【図2】秤装置を示す斜視図である。
【図3】秤装置の保持アーム及びフックを示す側面図である。
【図4】袋保持具の保持アームの取り付け構造を示す側面図である。
【図5】袋保持具のフックの取り付け構造を示す側面図である。
【図6】保持アームに袋が保持されている状態を示す側面図である。
【図7】保持アームに袋が保持されている状態を示す斜視図である。
【図8】袋保持具の電気的なハードウェア構成を示す模式図である。
【図9】図6中の高さHが低い場合に生ずる問題を示す側面図である。
【図10】図6中の間隔Iが無い場合に生ずる問題を示す側面図である。
【図11】(a)は図6中の間隔Iが無い場合に生ずる別の問題を示す側面図、(b)は図6中の間隔Iが確保されている場合の利点を示す側面図である。
【図12】保持アームのアーチ形状の利点を示す側面図である。
【図13】保持アームの別の実施の一形態を示す側面図である。
【図14】保持アームの更に別の実施の一形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0058】
101:最初の秤装置,102:秤皿,201:決済端末,203:商品情報読取部(バーコードスキャナ),303:台座、秤皿,304:袋保持具,305:アーム支持部,306:一時置き台,307:保持アーム,311:第1の保持部,312:第2の保持部,313:傾斜部,351:計量部(ロードセルユニット),354:荷重受け部
402:開口部,403:把手,401:袋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、
開口部とこの開口部から突出する一対の把手とを有してこれらの把手が両側に位置付けられるように折り畳まれた袋を保持するために、一対の前記把手を串刺し状態で保持する一対の保持アームと、
前記台座の上方に前記保持アームを位置付けるアーム支持部と、
を備え、
前記保持アームは、前記袋を折り畳まれた状態で保持する第1の保持部を根本側に有し、当該第1の保持部に連続して前記袋を前記第1の保持部による保持位置よりも低い位置で開いた状態で保持する第2の保持部を先端側に有し、
前記第2の保持部は、前記袋に詰められた品物が前記台座に載置される高さで前記袋を保持し、
前記第1の保持部は、前記袋の下端が前記第2の保持部に保持された前記袋の位置に達しない高さで前記袋を保持する、
袋保持具。
【請求項2】
前記第1の保持部と前記第2の保持部とは、前記保持アームの先端に向かうに従い下降する傾斜部で連結されている、請求項1記載の袋保持具。
【請求項3】
前記第2の保持部は、その中央部の高さが高くなる形状に形成されている、請求項1又は2記載の袋保持具。
【請求項4】
前記第2の保持部は、アーチ形状に形成されている、請求項3記載の袋保持具。
【請求項5】
前記第1の保持部は、前記台座に下端が接触する高さに位置付けた前記袋を、当該袋の下端が前記第2の保持部に保持された前記袋の位置に達しないように保持する、請求項1ないし4のいずれか一記載の袋保持具。
【請求項6】
前記第1の保持部は、前記台座に下端を接触させない高さに前記袋を位置付けることで、当該袋の下端が前記第2の保持部に保持された前記袋の位置に達しないようにする、請求項1ないし4のいずれか一記載の袋保持具。
【請求項7】
荷重受け部にかかる荷重の大きさに応じた値を電気信号として出力する計量部と、
前記荷重受け部に連結され、品物が載置されて載置された品物の荷重を前記荷重受け部に伝達する秤皿と、
前記秤皿を前記台座とする請求項1ないし6のいずれか一記載の袋保持具と、
を備え、
前記第2の保持部は、前記袋に詰められた品物が前記秤皿の略中央に位置付けられる位置で前記袋を保持する、
秤装置。
【請求項8】
前記アーム支持部は、前記秤皿に連結されている、請求項7記載の秤装置。
【請求項9】
前記アーム支持部は、上部に品物を載置する一時置き台を備える、請求項8記載の秤装置。
【請求項10】
購入される商品が秤皿に載置されて当該商品の重量を計量する最初の秤装置と、
商品に付された商品コードを読み取る商品情報読取部と、読み取られた商品コードに従い決済金額の算出を含む商品販売データ処理を実行する手段と、算出された前記決済金額の決済処理を可能にする手段と、を備える決済端末と、
請求項7ないし9のいずれか一記載の秤装置と、
を備え、前記最初の秤装置で計量された重量と前記秤装置で計量された重量との整合性を判定するようにした、セルフチェックアウト装置。
【請求項11】
前記整合性の判定は、前記最初の秤装置での計量値が減少した後に所定時間が経過するまでの時間の流れの中で、前記最初の秤装置での計量値の減少分とその後に生ずる前記秤装置での計量値の増加分とが一致するかどうかの判定をもって実行される、請求項10記載のセルフチェックアウト装置。
【請求項1】
台座と、
開口部とこの開口部から突出する一対の把手とを有してこれらの把手が両側に位置付けられるように折り畳まれた袋を保持するために、一対の前記把手を串刺し状態で保持する一対の保持アームと、
前記台座の上方に前記保持アームを位置付けるアーム支持部と、
を備え、
前記保持アームは、前記袋を折り畳まれた状態で保持する第1の保持部を根本側に有し、当該第1の保持部に連続して前記袋を前記第1の保持部による保持位置よりも低い位置で開いた状態で保持する第2の保持部を先端側に有し、
前記第2の保持部は、前記袋に詰められた品物が前記台座に載置される高さで前記袋を保持し、
前記第1の保持部は、前記袋の下端が前記第2の保持部に保持された前記袋の位置に達しない高さで前記袋を保持する、
袋保持具。
【請求項2】
前記第1の保持部と前記第2の保持部とは、前記保持アームの先端に向かうに従い下降する傾斜部で連結されている、請求項1記載の袋保持具。
【請求項3】
前記第2の保持部は、その中央部の高さが高くなる形状に形成されている、請求項1又は2記載の袋保持具。
【請求項4】
前記第2の保持部は、アーチ形状に形成されている、請求項3記載の袋保持具。
【請求項5】
前記第1の保持部は、前記台座に下端が接触する高さに位置付けた前記袋を、当該袋の下端が前記第2の保持部に保持された前記袋の位置に達しないように保持する、請求項1ないし4のいずれか一記載の袋保持具。
【請求項6】
前記第1の保持部は、前記台座に下端を接触させない高さに前記袋を位置付けることで、当該袋の下端が前記第2の保持部に保持された前記袋の位置に達しないようにする、請求項1ないし4のいずれか一記載の袋保持具。
【請求項7】
荷重受け部にかかる荷重の大きさに応じた値を電気信号として出力する計量部と、
前記荷重受け部に連結され、品物が載置されて載置された品物の荷重を前記荷重受け部に伝達する秤皿と、
前記秤皿を前記台座とする請求項1ないし6のいずれか一記載の袋保持具と、
を備え、
前記第2の保持部は、前記袋に詰められた品物が前記秤皿の略中央に位置付けられる位置で前記袋を保持する、
秤装置。
【請求項8】
前記アーム支持部は、前記秤皿に連結されている、請求項7記載の秤装置。
【請求項9】
前記アーム支持部は、上部に品物を載置する一時置き台を備える、請求項8記載の秤装置。
【請求項10】
購入される商品が秤皿に載置されて当該商品の重量を計量する最初の秤装置と、
商品に付された商品コードを読み取る商品情報読取部と、読み取られた商品コードに従い決済金額の算出を含む商品販売データ処理を実行する手段と、算出された前記決済金額の決済処理を可能にする手段と、を備える決済端末と、
請求項7ないし9のいずれか一記載の秤装置と、
を備え、前記最初の秤装置で計量された重量と前記秤装置で計量された重量との整合性を判定するようにした、セルフチェックアウト装置。
【請求項11】
前記整合性の判定は、前記最初の秤装置での計量値が減少した後に所定時間が経過するまでの時間の流れの中で、前記最初の秤装置での計量値の減少分とその後に生ずる前記秤装置での計量値の増加分とが一致するかどうかの判定をもって実行される、請求項10記載のセルフチェックアウト装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−232350(P2006−232350A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51296(P2005−51296)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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