説明

袋封止用クリップ

【課題】一対のフィルムの各々の縁が溶着されることによって形成された包装袋に対し、該一対のフィルムが複数の辺にて互いに離れることによって形成される開口部を封止することの可能な袋封止用クリップを提供する。
【解決手段】包装袋の開口部を挟んで包装袋PGを封止する袋封止用クリップ1であって、平面視にてU字形状に形成されて互いに対向する一対の挟持部3,4と、一対の挟持部3,4の各々の両屈曲部3AE,3BE,4AE,4BEを互いに連結するヒンジ部2A,2Bと、このヒンジ部2A,2Bの閉じた状態を一対の挟持部3,4にて解除可能にロックするロック部2Kとを備え、一対の挟持部3,4の各々は、一つの中間辺部とこの中間辺部の両端から一つの方向に延びる一対の側辺部とから構成され、一対の挟持部3,4の各々の両屈曲部3AE,3BE,4AE,4BEでは、一対の側辺部の間隔がヒンジ部まで大きくなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のフィルムの各々の縁が溶着されることによって形成された包装袋を封止する袋封止用クリップであって、特に、一対のフィルムが複数の辺にて互いに離れることによって形成される開口部を締めつけて該開口部を封止する袋封止用クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載のように、食品等を収容する袋の開口部を封止するための袋封止用クリップが知られている。図7は、こうした袋封止用クリップの側面構造の一例を示す側面図である。
【0003】
図7に示されるように、袋封止用クリップ50では、互いに向い合う一対の挟持杆51,52の一端部同士がヒンジ部によって揺動可能に連結される一方、これら挟持杆51,52の他端部同士が係止可能に構成されている。そして、このような一対の挟持杆51,52の間に袋が挟み込まれた状態で一対の挟持杆51,52が係止されると、一対の挟持杆51,52において互いに向い合う対向面51S,52Sが袋を介して密着するようになる。これによって、一対の挟持杆51,52によって袋の開口が封止されるとともに、袋封止用クリップ50の位置を袋に対して固定することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−072778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ハムやベーコン等の食品を真空包装する包装袋では、互いに向い合う一対のラミネートフィルムの四辺が互いに溶着されている。そして、このような包装袋から食品が取り出される場合には、まず、包装袋の四隅のうちの一隅とこの一隅で交わる二辺とにおいて、一方のラミネートフィルムが他方のラミネートフィルムから剥がされる。次いで、剥がされた二辺のいずれか一方と繋がる他の一辺においても、さらに一方のラミネートフィルムが他方のラミネートフィルムから剥される。すなわち、包装袋を構成する四辺のうちの三辺においてラミネートフィルムが剥がされ、これによって、食品の取り出しが容易なものとなる。
【0006】
一方、上述のような一対のラミネートフィルムとは、通常、加熱によって互いに溶着されている。そのため、上述のようにして一旦ラミネートフィルムが剥がされると、これらのラミネートフィルムに熱が加わらない限り、包装袋が再び密封されることはない。それゆえに、密閉されていた食品をすべて使い切れなかった場合には、該食品の乾燥を防止するために、上述した袋封止用クリップによって、包装袋を密閉する必要がある。
【0007】
この点、特許文献1に記載の袋封止用クリップ50によれば、上述した一対の挟持杆51,52の各々が直線状に形成されるため、確かに、袋の一辺であれば、該袋封止用クリップ50によって封止することは可能である。しかしながら、一つの隅とこの隅で交わる二辺とにおいてラミネートフィルムが剥がされるとなれば、その二辺を封止するためのクリップが一つの隅で互いに干渉することとなる。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、一対のフィルムの各々の縁が溶
着されることによって形成された包装袋に対し、該一対のフィルムが複数の辺にて互いに離れることによって形成される開口部を封止することの可能な袋封止用クリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明における封止クリップは、包装袋の開口部を挟むことによって該包装袋を封止する袋封止用クリップであって、平面視にてU字形状に形成されて互いに対向する一対の挟持部と、前記一対の挟持部の各々の両端部を互いに連結するヒンジ部と、前記ヒンジ部の閉じた状態を前記一対の挟持部にて解除可能にロックするロック部とを備え、前記一対の挟持部の各々は、一つの中間辺部と該中間辺部の両端から一つの方向に延びる一対の側辺部とから構成され、前記一対の挟持部の各々における前記両端部では、前記一対の側辺部の間隔が前記ヒンジ部まで大きくなることを要旨とする。
【0010】
上述したように、互いに対向する一対のフィルムが各々の縁で溶着された包装袋では、通常、以下のような手順によって包装袋の開封が進められる。すなわち、包装袋における一つの隅とこの一隅で交わる二辺とにおいて、一方のフィルムが他方のフィルムから剥がされる。次いで、剥がされた二辺のいずれか一方と繋がる他の一辺においても、さらに一方のフィルムが他方のフィルムから剥される。
【0011】
この発明によれば、U字形状に形成された一対の挟持部における各辺部が、該辺部に対応する包装袋の部分を連続して挟持することとなる。それゆえに、包装袋における開口の形状が、一つの中間辺部と一対の側辺部とによって囲まれるような形状であっても、これら一対の挟持部によって包装袋を封止することが可能である。
【0012】
ところで、上述した挟持部が包装袋を確実に封止するうえでは、各辺部の多くの部位で包装袋が挟持されるように、該各辺部の多くの部位が包装袋の表面上にあることが好ましい。一方、上述した挟持部の両端部、すなわち一対のヒンジ部では、包装袋を挟持することができないため、こうしたヒンジ部は、包装袋の表面上からはみ出ることが好ましい。この点、上述した袋封止用クリップによれば、一対の挟持部の各々における両端部では、一対の側辺部の間隔がヒンジ部まで大きくなる。それゆえに、一対の側辺部の間隔がヒンジ部の付近で大きくなる分、一対のヒンジ部が包装袋の表面上からはみ出ることが容易になるとともに、こうしたヒンジ部から離れた側辺部の部位が包装袋の表面上に配置されやすくもなる。
【0013】
このように、上記袋封止用クリップによれば、縁の溶着された一対のフィルムが複数の辺にて互いに離れて開口部が形成される場合であっても、こうした開口部を封止することが可能となる。
【0014】
この発明における封止クリップでは、前記一対の挟持部の各々は、他の前記挟持部と互いに対向面を有し、互いに対向する前記対向面の少なくとも一方には、該対向面から突出する挟持突部が形成されていることが望ましい。
【0015】
この発明によれば、一対のヒンジ部構造が閉じられた際には、挟持突部によって包装袋の表面が押圧されることになる。このような挟持突部による押圧によれば、挟持部の全体による押圧と比べて、包装袋にて押圧される面積が小さくなる。それゆえに、ロック部のロックによって一対の挟持部の間に作用する押圧力が同じであるという前提では、包装袋の開口部における封止性を高めることが可能である。
【0016】
この発明における封止クリップは、前記一対の側辺部に形成された前記挟持突部にて、前記ヒンジ部に近くなるにつれて突出量が小さくなることが望ましい。
上述のように、一対の挟持部は、一対のヒンジ部によって互いに連結されている。そのため、挟持突部の突出量がヒンジ部の付近で大きくなる場合には、ヒンジ部を閉じることが困難となる。この点、この発明によれば、一対の側辺部に形成された挟持突部の突出量がヒンジ部に近くなるにつれて小さくなるため、この突出量が小さくなる分、開口部の封止性を確保しつつ、ヒンジ部構造を閉じることを容易にすることが可能となる。
【0017】
この発明における封止クリップでは、前記挟持突部の断面形状は、円弧状であるようにすることが望ましい。
挟持突部が包装袋を押圧する押圧力を高めるためには、挟持突部と包装袋の表面とが接触する面積を小さくする必要がある。このようにして接触面積を小さくする挟持突部の形状のなかには、例えば、断面形状が楔状を有するもの、あるいは断面形状が台形状を有するものが挙げられる。
【0018】
この点、この発明によれば、挟持突部の断面形状は、特に、円弧状となるように形成されている。そのため、開口部が封止される際には、包装袋が挟持突部のどの部分と接触するかに因らず、挟持突部の断面において、包装袋が点支持されるようになる。それゆえに、前記開口部を封止する圧力を最大限にまで高めることができる。
【0019】
この発明における封止クリップでは、前記ロック部は、前記一対の挟持部における前記中間辺部に形成されて該一対の中間辺部を互いにロックすることが望ましい。
この発明によれば、ロック部が一対の中間辺部をロックするため、一対の挟持部をロックするためにロック部に必要とされる力が、所謂梃子の原理によって軽減されることになる。それゆえに、ロック部が側辺部をロックする場合に比べて、ロック部に求められる堅牢性を抑えることができる。
【0020】
この発明における封止クリップでは、前記ロック部は、前記一対の挟持部の一方に設けられた係止部と、前記一対の挟持部の他方に設けられた被係止部とから構成されることが望ましい。
【0021】
この発明によれば、ロック部と挟持部とが一体化されている。そのため、ロック部を別途管理する手間を省略することができる。ひいては、ロック部の紛失を抑制することができる。そして、ロック部を挟持部と共に一体成形することができるため、製造コストを抑えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る袋封止用クリップの斜視構造を示す斜視図であって、ロック部が開放された状態の袋封止用クリップを正面側から見た構造を示す図。
【図2】袋封止用クリップの斜視構造を示す斜視図であって、ロック部が開放された状態の袋封止用クリップの構造を背面側から見た構造を示す図。
【図3】図1のB−B断面を示す拡大断面図であって、封止面に突設された突状の構造を示す模式図。
【図4】袋封止用クリップにおけるロック部の断面構造を示す断面図であって、ロック部によって袋封止用クリップがロックされた状態を示す図。
【図5】袋封止用クリップが包装袋の開口部を封止する過程を示す図。
【図6】袋封止用クリップが包装袋の開口部を封止した状態を示す図。
【図7】従来の袋封止用クリップが開いている状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のおける袋封止用クリップの一実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
[全体構造]
図1に示されるように、袋封止用クリップ1には、U字形状に折り曲げられたかたちを呈する板状の上側挟持部3と、同じくU字形状に折り曲げられたかたちを呈する板状の下側挟持部4とが、互いに向い合うように連結されている。
【0024】
上側挟持部3にてU字形状の底辺部には、左右方向に延びる上側中間辺部3Mが形成されている。この上側中間辺部3Mの外側面には、ロック部2Kを構成する楕円板状の係止部3Kが連結されている。また、この上側中間辺部3Mの左右両端部には、U字形状の側辺部となる第1上側側辺部3Aと、同じくU字形状の側辺部となる第2上側側辺部3Bとが、紙面の手前側から奥側に向けて延びるように連結されている。
【0025】
このような上側挟持部3を構成する各側面のうち、下側挟持部4と対向する側面である封止面3Sには、挟持突部を構成する上側突条3PLが、下側挟持部4に向けて突設されている。この上側突条3PLは、第1上側側辺部3A、上側中間辺部3M、及び第2上側側辺部3Bの略全体にわたる封止面3Sの内縁に沿ったU字形状に形成されている。
【0026】
一方、下側挟持部4にてU字形状の底辺部には、これもまた左右方向に延びる下側中間辺部4Mが形成されている。この下側中間辺部4Mの外側面には、ロック部2Kを構成する被係止部としての被係止部4Kが突設されている。また、この下側中間辺部4Mの左右両端部には、U字形状の側辺部となる第1下側側辺部4Aと、同じくU字形状の側辺部となる第2下側側辺部4Bとが、紙面の手前側から奥側に向けて延びるように連結されている。
【0027】
このような下側挟持部4を構成する各側面のうち、上述した封止面3Sと対向する側面である封止面4Sには、これもまた挟持突部を構成する下側突条4PLが、上側挟持部3に向けて突設されている。この下側突条4PLは、第1下側側辺部4A、下側中間辺部4M、及び第2下側側辺部4Bの全体にわたるこれもまた封止面4Sの内縁に沿ったU字形状に形成されている。
【0028】
これら上側挟持部3及び下側挟持部4は、平面方向から見て互いに同じ大きさを有した相似形であり、また、上側突条3PL及び下側突条4PLも、互いに同じ大きさを有した相似形である。このような構成からなる上側挟持部3の両端部と下側挟持部4の両端部とは、互いにヒンジ部2A,2Bによって連結されている。
【0029】
左右一対のヒンジ部2A,2Bは、これらが閉じた状態にて、上側挟持部3と下側挟持部4とを全体にわたって互いに対向させる。さらに、左右一対のヒンジ部2A,2Bは、これらが閉じられた状態にて、上側突条3PLと下側突条4PLとをこれもまた全体にわたって互いに対向させる。そして、上述した左右一対のヒンジ部2A,2Bが閉じられた状態にて、被係止部4Kが係止部3Kによって係止されると、左右一対のヒンジ部2A,2Bの閉じられた状態が解除可能にロックされる。
【0030】
[屈曲部3AE,3BE,4AE,4BE]
次に、各側辺部3A,3B,4A,4Bが有する各屈曲部の構造について、図2を参照して詳細に説明する。
【0031】
図2に示されるように、第1上側側辺部3Aにてヒンジ部2Aと連結される端部には、屈曲部3AEが折り曲げ形成されている。屈曲部3AEは、上側中間辺部3Mとの距離が大きくなるほど、第2上側側辺部3Bとの間隔が大きくなるように、第1上側側辺部3Aの端部にて折り曲げられている。また、第2上側側辺部3Bにてヒンジ部2Bと連結される端部にも、同じく、屈曲部3BEが折り曲げ形成されている。屈曲部3BEは、これも
また上側中間辺部3Mとの距離が大きくなるほど、第1上側側辺部3Aとの間隔が大きくなるように、第2上側側辺部3Bの端部にて折り曲げられている。
【0032】
一方、第1下側側辺部4Aにてヒンジ部2Aと連結される端部には、屈曲部4AEが折り曲げ形成されている。屈曲部4AEは、下側中間辺部4Mとの距離が大きくなるほど、第2下側側辺部4Bとの間隔が大きくなるように、第1下側側辺部4Aの端部にて折り曲げられている。また、第2下側側辺部4Bにてヒンジ部2Bと連結される端部にも、屈曲部4BEが折り曲げ形成されている。屈曲部4BEは、これもまた下側中間辺部4Mとの距離が大きくなるほど、第1下側側辺部4Aとの間隔が大きくなるように、第2下側側辺部4Bの端部にて折り曲げられている。
【0033】
上述した構成によれば、第1上側側辺部3Aと第2上側側辺部3Bとの間隔は、上側中間辺部3Mから屈曲部3AE,3BEまで略一定の封止幅2WSである一方、屈曲部3AE,3BEでは、ヒンジ部2A,2Bまで次第に大きくなる。なお、上側挟持部3と相似形となる下側挟持部4においても、同じく、第1下側側辺部4Aと第2下側側辺部4Bとの間隔は、下側中間辺部4Mから屈曲部4AE,4BEまで略一定の封止幅2WSである一方、屈曲部4AE,4BEでは、ヒンジ部2A,2Bまで次第に大きくなる。そして、一対のヒンジ部2A,2Bにおける左右方向の間隔は、上述した封止幅2WSよりも大きい挿入口幅2WJとなっている。
【0034】
[突条3PL,4PL]
次に、各側辺部3A,3B,4A,4Bに形成された各突条の構造について、図2及び図3を参照して詳細に説明する。なお、上述のように、上側突条3PLと下側突条4PLとは、互いに同じ大きさの相似形である。そのため、以下では、下側突条4PLの構造について詳細に説明し、上側突条3PLについてはその説明を割愛する。
【0035】
図2に示されるように、下側挟持部4の封止面4Sには、下側突条4PLが突設されている。この下側突条4PLは、半円球状の断面が該下側突条4PLの延設方向に連続する半円柱状に形成されている。このような構成によれば、封止の対象となる包装袋の開口部が下側突条4PLと上側突条3PLとによって挟持される際に、下側突条4PLと上側突条3PLとのどの部分によって包装袋が挟持されるかに因らず、該包装袋が点支持されるようになる。それゆえに、包装袋を封止する圧力を最大限にまで高めることができる。
【0036】
図3に示されるように、下側突条4PLは、封止面4Sのうち、下側挟持部4の屈曲部4AEには形成されておらず、該屈曲部4AEを除いた領域に突設されている。
下側突条4PLの延設方向と平行な方向において、下側突条4PLの基端4SPとヒンジ部2Aとは、互いに間隔L1だけ離間している。また、この基端4SPにて、下側突条4PLは、封止面4Sから突出量P1だけ突出している。これに対して、下側突条4PLの延設方向と平行な方向において、ヒンジ部2Aから間隔L2だけ離間した任意点4APにて、下側突条4PLは、封止面4Sから突出量P2だけ突出している。そして、これら間隔L1,L2、及び突出量P1,P2との間において下記式(1)が満たされるように、下側突条4PLが形成されている。
【0037】
L1:P1=L2:P2 …式(1)
すなわち、下側突条4PLは、第1下側側辺部4Aにおいて、ヒンジ部2Aから離間する距離が大きくなるほど、突出量が大きくなるように形成されている。ちなみに、図4には示されていないが、下側中間辺部4Mでは、該下側中間辺部4Mとヒンジ部2Aとが互いに平行であるため、下側突条4PLの突出量が一定となるように、下側突条4PLが突設されている。なお、下側挟持部4のうちで下側中間辺部4Mがヒンジ部2Aから最も離間しているため、該下側中間辺部4Mにおける突出量が下側挟持部4の中で最も大きくな
る。
【0038】
[ロック部2K]
次に、ロック部2Kの構造について、図4を参照して詳細に説明する。
図4に示されるように、上側中間辺部3Mの外縁には、楕円板状の係止部3Kと上側挟持部3とがヒンジ構造を有する連結部3KJを介して互いに連結されている。係止部3Kには、連結部3KJを回転中心として回転する係止部本体30が設けられている。係止部本体30の内側面30AFにおける略中央部からは、内側に向けて延びるロック片31が突設されている。ロック片31の先端部には、該ロック片31の上面31AFから上側に係止突部3KPが突設されている。また、係止部本体30の略中央部には、その内側面30AFと外側面30BFとを貫通する貫通窓32が設けられている。
【0039】
一方、下側中間辺部4Mの外縁には、被係止部4Kが形成され、また、この被係止部4Kにて封止面4Sとは反対側の面には、被係止突起4KPが突設されている。他方、下側中間辺部4Mの内縁には、該下側中間辺部4Mから内側へ突出するように、解除片4PPが設けられている。
【0040】
そして、一対のヒンジ部2A,2Bが開いた状態からこれら一対のヒンジ部2A,2Bが閉じられて、その後、連結部3KJが回転中心となるように、係止部本体30が回転する。この際、係止突部3KPが被係止突起4KPと当接するまで係止部本体30が回転すると、片持ち梁状のロック片31が弾性変形して、係止突部3KPの先端が被係止突起4KPの先端を乗り越える。これによって、係止突部3KPの回転が被係止突起4KPに係止されるとともに、一対のヒンジ部2A,2Bの閉じられた状態がロックされる。ちなみに、係止突部3KPと被係止突起4KPとの係合状態は、貫通窓32を通して視認することが可能である。また、上述のようにロックされた状態から被係止突起4KPと解除片4PPとの間を回転中心として被係止突起4KPが回転すると、被係止突起4KPが押し下げられることに伴って被係止突起4KPがロック片31から離間するようになる。これによって、係止突部3KPの回転が許容されるとともに、一対のヒンジ部2A,2Bの閉じられた状態が解除可能になる。
【0041】
[封止動作]
次に、上述した袋封止用クリップ1の作用を該袋封止用クリップ1による包装袋PGの封止動作に従って説明する。まず、封止の対象となる包装袋PGについて説明する。
【0042】
図5に示されるように、包装袋PGとは、矩形状の外縁を有する上側フィルムFFと、同じく矩形状の外縁を有する下側フィルムFBとが、これらの間に内容物Cが収容されるように、各々の縁で溶着されることによって形成された袋体である。このような包装袋PGから内容物Cが取り出される場合には、まず、包装袋PGの四隅のうちの一隅PAEとこの一隅PAEで交わる二つの辺(第1辺PAと中間辺PM)とにおいて、上側フィルムFFが下側フィルムFBから剥がされる。次いで、剥がされた中間辺PMとつながる他の一辺(第2辺PB)においても、さらに上側フィルムFFが下側フィルムFBから剥される。そして、包装袋PGを構成する四辺のうち、第1辺PA、中間辺PM、第2辺PBにおいて上側フィルムFFが剥がされ、これによって、内容物の取り出しが容易なものとなる。
【0043】
このように開封された包装袋PGが袋封止用クリップ1によって封止されるとき、まず、包装袋PGの開口部を構成する三辺のうち、中央の一辺である中間辺PMが、袋封止用クリップ1に向けて配置される。また、包装袋PGの開口部を構成する三辺のうち、第1辺PAは、第1上側側辺部3A及び第1下側側辺部4Aに沿って配置され、且つ、包装袋PGの開口部を構成する三辺のうち、第2辺PBは、第2上側側辺部3B及び第2下側側
辺部4Bに沿って配置される。そして、このようにして配置された包装袋PGは、上側フィルムFFと下側フィルムFBとが指などによって仮止めされつつ、矢印ARの方向に向けて、上側挟持部3と下側挟持部4との間に挿入される。
【0044】
この際、第1上側側辺部3Aと第2上側側辺部3Bとの間隔は、上側中間辺部3Mから屈曲部3AE,3BEまで略一定の封止幅2WSである一方、屈曲部3AE,3BEでは、ヒンジ部2A,2Bまで次第に大きくなる。そして、一対のヒンジ部2A,2Bにおける左右方向の間隔は、この封止幅2WSよりも大きい挿入口幅2WJとなっている。そのため、封止幅2WSよりも大きい袋幅Wを有する中間辺PMが、一対のヒンジ部2A,2Bの間に挿入される際に、ヒンジ部2A,2Bが包装袋PGの表面上から外れやすくなるとともに、一対のヒンジ部2A,2Bとの接触によって包装袋PGが強制的に折り曲げられることを抑えることが可能となる。
【0045】
そして、包装袋PGの中間辺PMが下側突条4PLよりも図5の紙面奥側へ挿入されると、一対のヒンジ部2A,2Bが閉じられて、その後、図6に示されるように、上述したロック部2Kによって、一対のヒンジ部2A,2Bの閉じられた状態がロックされる。
【0046】
この際、各側辺部3A,3B,4A,4Bに形成された各突条3PL,4PLの突出量は、ヒンジ部2A,2Bに近くなるにつれて小さくなる。また、こうした各突条3PL,4PLは、封止面3S,4Sのうち、屈曲部3AE,3BE,4AE,4BEを除く領域に形成されている。そのため、ヒンジ部2A,2Bが閉じられるときには、上側突条3PLと下側突条4PLとがヒンジ部2A,2Bの近傍において互いに干渉することがない。それゆえに、これら各突条3PL,4PLの全体が、同じ程度の押圧力によって互いに押圧されることとなる。
【0047】
また、一対のヒンジ部2A,2Bとは、そもそも封止の対象となる領域の外側に配置される部分である。そして、こうした一対のヒンジ部2A,2Bの近傍である屈曲部3AE,3BE,4AE,4BEも、包装袋PGを封止することに直接的に機能させ難い部分である。それゆえに、屈曲部3AE,3BE,4AE,4BEには、各突条3PL,4PLが形成されていないものの、包装袋PGの開口部をその全体にわたって封止することが可能であって、そして、ヒンジ部2A,2Bを閉じることを容易にすることが可能でもある。
【0048】
また、この際、ロック部2Kは、一対のヒンジ部2A,2Bから最も離れた位置において、一対の挟持部3,4を互いにロックしている。このような構成によれば、ロック部2Kによる係止力が、一対の挟持部3,4の間に効果的に作用するようになる。言い換えれば、一対の挟持部3,4をロックするためにロック部2Kに必要とされる力が、所謂梃子の原理によって軽減されることになる。それゆえに、第1上側側辺部3A及び第1下側側辺部4Aにロック部2Kが設けられる場合に比べて、ロック部2Kに求められる堅牢性を抑えることができる。
【0049】
なお、上述のように、係止部3Kは上側挟持部3に設けられ、被係止部4Kは下側挟持部4に設けられている。すなわち、一対の挟持部3,4をロックするロック部2Kは、該一対の挟持部3,4と一体となるように設けられている。このような構成とすれば、ロック部2Kを別途管理する手間を省略することができるという効果が得られる。ひいては、ロック部2Kの紛失を抑制することができるという効果が得られる。そして、ロック部2Kを一対の挟持部3,4と共に一体成形することができるため、製造コストを抑えることができるという効果も得られる。
【0050】
以上、本実施形態によれば、以下列記するような効果が得られるようになる。
(1)U字形状に形成された上側挟持部3の各側辺部3A,3B及び上側中間辺部3Mと、U字形状に形成された下側挟持部4の各側辺部4A,4B及び下側中間辺部4Mとが、これらに対応する包装袋PGの開口部を連続して挟持することとなる。それゆえに、包装袋PGにおける開口部の形状が、連続する三辺によって囲まれるような形状であっても、これら一対の挟持部3,4によって上記開口部を封止することが可能である。
【0051】
(2)上側挟持部3における両屈曲部3AE,3BEの間隔と、下側挟持部4における両屈曲部4AE,4BEの間隔とが、ヒンジ部2A,2Bに向けて次第に大きくなる。それゆえに、一対のヒンジ部2A,2Bが包装袋PGの表面からはみ出ることが容易なものともなる。また、各側辺部3A,3B,4A,4Bのうち、ヒンジ部から離れた部位が包装袋PGの表面上に配置されやすくもなる。
【0052】
(3)一対のヒンジ部が閉じられた際には、挟持突部である各突条3PL,4PLによって包装袋PGの上側フィルムFF及び下側フィルムFBが押圧されることになる。このような各突条3PL,4PLによる押圧によれば、封止面3S,4Sによる押圧と比べて、包装袋PGにて押圧される面積が小さくなる。それゆえに、ロック部2Kのロックによって一対の挟持部3,4の間に作用する押圧力が同じであるという前提では、包装袋PGの開口部における封止性を高めることが可能である。
【0053】
(4)上述した袋封止用クリップ1によれば、上側突条3PL及び下側突条4PLの突出量がヒンジ部2A,2Bに近くなるに連れて小さくなる。それゆえに、上記突出量が小さくなる分、包装袋PGの封止性を確保しつつ、ヒンジ部2A,2Bを閉じることを容易にすることが可能である。
【0054】
(5)上側突条3PL及び下側突条4PLの断面形状は、円弧状となるように形成されている。そのため、包装袋PGが封止される際には、包装袋PGが上側突条3PL及び下側突条4PLのどの部分と接触するかに因らず、上側突条3PL及び下側突条4PLの断面において、包装袋PGが点支持されるようになる。それゆえに、前記開口部を封止する圧力を高めることが可能である。
【0055】
(6)ロック部2Kが一対の中間辺部3M,4Mをロックするため、一対の挟持部3,4をロックするためにロック部2Kに必要とされる力が、所謂梃子の原理によって軽減されることになる。それゆえに、ロック部2Kが各側辺部3A,3B,4A、4Bをロックする場合に比べて、ロック部2Kに求められる堅牢性を抑えることが可能である。
【0056】
(7)ロック部2Kと一対の挟持部3,4とが一体化されている。そのため、ロック部2Kを別途管理する手間を省略することが可能である。ひいては、ロック部2Kの紛失を抑制することが可能である。そして、ロック部2Kを一対の挟持部3,4と共に一体成形することが可能であるため、製造コストを抑えることも可能である。
【0057】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・ロック部2Kは、一対の挟持部3,4と別体として形成されていてもよい。要は、ロック部2Kによって、ヒンジ部が閉じられるのであればよい。このような構成であっても、上記(1)〜(6)に準じた効果を得ることができる。
【0058】
・各中間辺部3M,4Mにロック部2Kが形成され、該ロック部2Kによって各中間辺部3M,4Mが互いにロックされる。これを変更して、各側辺部3A,4Aにロック部2Kが形成され、又は各側辺部3B,4Bにロック部2Kが形成され、該ロック部2Kによって、各側辺部3A,4A、又は各側辺部3B,4Bがロックされる構成であってもよい。要は、ヒンジ部の閉じられた状態がロック部2Kによってロックされる構成であればよ
く、ロック部2Kの位置やロック部2Kの数量とは、袋封止用クリップ1の形状や包装袋PGの形状や厚さなどに応じて適宜変更することが可能である。
【0059】
・ロック部2Kは、係止突部3KP及び被係止突起4KPが互いに係止することによってロックされる。これに限らず、ロック部2Kとは、ヒンジ部の閉じられた状態がロックされる構造であれば足りる。例えば、ロック部2Kは、係止部3Kと被係止部4Kとの結合がこれらの係止力を調整することができる多段階ロック構造となる構成であってもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(7)に準じた効果を得ることができる。
【0060】
・各突条3PL,4PLは、断面円弧形状となるようにしたがこれに限られない。断面楔形状であっても、断面台形形状であってもよい。このような構造であっても、断面円弧形状の場合に比べて包装袋PGの開口部を封止する圧力が下がるものの、上記(1)〜(4),(6),(7)に準じた効果を得つつ、各突条3PL,4PLによって開口部が直接封止されているため、十分な封止力を得ることができる。
【0061】
・封止面3Sの内縁に沿って上側突条3PLが突設され、封止面4Sの内縁に沿って下側突条4PLが突設されるとしたが、これに限られない。上側突条3PL及び下側突条4PLの少なくとも一方が突設されていればよい。また、上側突条3PLはそのまま突設し、下側突条4PLに代えて凹条を凹設してもよく、その逆の構成としてもよい。また、封止面3Sの外縁に沿って上側突条3PLが突設され、封止面4Sの外縁に沿って下側突条4PLが突設されるとしてもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(7)に準じた効果を得ることができる。
【0062】
・各突条3PL,4PLは、封止面3S,4Sにおいて、それぞれ鋸歯状や、波型状に設けるようにしてもよい。このような構成とすれば、上側突条3PLと上側フィルムFFとの接触長さ、及び下側突条4PLと下側フィルムFBとの接触長さを稼ぐことができるため、上記(1)〜(7)に準じた効果を得つつ、開口部の封止効果を高めることができる。
【0063】
・ヒンジ部2A,2Bに近づくにつれて、各突条3PL,4PLの突出量が小さくなるようにしたが、これに限られない。ヒンジ部2A,2Bにおいても、封止面3S,4Sが離間するように間隔を保ちつつ一対の挟持部3,4を連結させるとともに、各突条3PL,4PLの突出量がどの部分においても一定となるように形成してもよい。このとき、上記間隔は、各突条3PL,4PLの突出量の二倍の大きさとなるようにすることが望ましい。このような構成とすれば、ヒンジ部2A,2Bからの距離に比例して、各突条3PL,4PLの突出量が漸増するように形成することなく、上記(1),(2),(3),(5)〜(7)に準じた効果を得ることができる。
【0064】
・屈曲部3AE,3BE,4AE,4BEは、ヒンジ部2A,2Bに向けて、屈曲部3AE,3BEの間隔、及び屈曲部4AE,4BEの間隔が次第に大きくなるように折り曲げられている。これを変更して、屈曲部3AE,3BE,4AE,4BEの近傍が、平面視にて階段状、あるいは弓状に形成されていてもよい。要は、一対の挟持部3,4の各々における各屈曲部3AE,3BE,4AE,4BEでは、一対の側辺部3A,3Bの間隔、及び一対の側辺部4A,4Bの間隔がヒンジ部2A,2Bまで大きくなる構成であればよい。
【0065】
・各突条3PL,4PLは、一対の挟持部3,4と別の材質、例えばゴム等の弾性部材によって形成されるとしてもよい。このような構成とすれば、各突条3PL,4PLの形状を弾性変形させることができるため、ヒンジ部2A,2Bに近づくにつれて各突条3PL,4PLの突出量が小さくなるようにすることなく、上記(1)〜(3),(5)〜(
7)に準じた効果を得ることができる。
【0066】
・上側挟持部3の側辺部3A,3B、並びに、下側挟持部4の側辺部4A,4Bは、一体構造であるとしたがこれに限られない。左側の側辺部3A,4A、並びに右側の側辺部3B,4Bを伸縮自在となるように、例えばピストン−シリンダ構造等、複数の部材が互いにスライド移動することができるような構造にしてもよい。また、このようなスライド構造を上側中間辺部3M及び下側中間辺部4Mに設けて、挿入口幅2WJ及び袋幅Wを伸縮自在な構成とするようにしてもよい。このような構成とすれば、上記(1)〜(7)に準じた効果を得つつ、多様な大きさの開口部を封止することができるようになる。
【0067】
・屈曲部3AE,3BE,4AE,4BEにおいて、上側挟持部3が下側挟持部4によって軸支されていてもよいし、下側挟持部4が上側挟持部3によって軸支されていてもよい。要は、一対の挟持部3,4は、ヒンジ部2A,2Bにおいて、ヒンジ部をなすように連結されていれば足りる。
【符号の説明】
【0068】
C…内容物、W…袋幅、FF…上側フィルム、FB…下側フィルム、L1,L2…間隔、P1,P2…突出量、PA…第1辺、PB…第2辺、PG…包装袋、PM…中間辺、PAE…隅、1,50…袋封止用クリップ、2A,2B…ヒンジ部、2K…ロック部、2WJ…挿入口幅、2WS…封止幅、3…上側挟持部、3A…第1上側側辺部、3B…第2上側側辺部、3M…上側中間辺部、3S…封止面、3AE,3BE,4AE,4BE…屈曲部、3K…係止部、3KJ…連結部、3KP…係止突部、3PL…上側突条、4…下側挟持部、4A…第1下側側辺部、4B…第2下側側辺部、4K…被係止部、4M…下側中間辺部、4S…封止面、4AP…任意点、4KP…被係止突起、4PL…下側突条、4PP…解除片、4SP…基端、30…係止部本体、30AF…内側面、30BF…外側面、31…ロック辺、32…貫通窓、51,52…挟持杆、51S,52S…対向面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の開口部を挟むことによって該包装袋を封止する袋封止用クリップであって、
平面視にてU字形状に形成されて互いに対向する一対の挟持部と、
前記一対の挟持部の各々の両端部を互いに連結するヒンジ部と、
前記ヒンジ部の閉じた状態を前記一対の挟持部にて解除可能にロックするロック部と
を備え、
前記一対の挟持部の各々は、一つの中間辺部と該中間辺部の両端から一つの方向に延びる一対の側辺部とから構成され、
前記一対の挟持部の各々における前記両端部では、前記一対の側辺部の間隔が前記ヒンジ部まで大きくなる
ことを特徴とする袋封止用クリップ。
【請求項2】
前記一対の挟持部の各々は、他の前記挟持部と互いに対向する対向面を有し、
互いに対向する前記対向面の少なくとも一方には、該対向面から突出する挟持突部が形成されている
請求項1に記載の袋封止用クリップ。
【請求項3】
前記一対の側辺部に形成された前記挟持突部では、前記ヒンジ部に近くなるにつれて突出量が小さくなる
請求項2に記載の袋封止用クリップ。
【請求項4】
前記挟持突部の断面形状は、円弧状である
請求項2または3に記載の袋封止用クリップ。
【請求項5】
前記ロック部は、前記一対の挟持部における前記中間辺部に形成されて該一対の中間辺部を互いにロックする
請求項1〜4のいずれか一項に記載の袋封止用クリップ。
【請求項6】
前記ロック部は、
前記一対の挟持部の一方に設けられた係止部と、
前記一対の挟持部の他方に設けられた被係止部とから構成される
請求項1〜5のいずれか一項に記載の袋封止用クリップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−148786(P2012−148786A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7062(P2011−7062)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(591024719)クリタック株式会社 (14)
【Fターム(参考)】