説明

被処理液の処理方法及び処理装置

【課題】 製氷工程の全ての時間にわたって常に高い一定の効率を維持して製氷することができる、つまり、常に高い効率で被処理液の処理がおこなえる該被処理液の処理方法と装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 内部に冷媒を通した製氷体にその近傍に設けた散水装置2から被処理液を散水させて該製氷体1の周囲で製氷させることによって、該被処理液から水分を分離して被処理液を処理する処理方法において、製氷体1を、製氷工程中に回転させるとともに、該回転する製氷体1に向けて被処理液を散水させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排液等の被処理液の処理方法及び該被処理液の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、排液(廃液)等の被処理液の処理方法や処理装置が多数のメーカから提供されている。例えば、処理槽内に微生物を投入して、有機物を分解する該微生物の能力を利用して、排液を浄化処理する方法や装置、あるいは排液が比較的少量である場合には、該排液を加熱して水分を蒸発させて該水分と廃棄物とを分離して処理する方法や装置が存在する。
【0003】
しかしながら、微生物による分解が困難な被処理液が存在し、あるいは前記加熱処理する場合には、該処理によって環境に対して悪影響を及ぼすガスが大気中へかなり排出される恐れのある点で好ましくない。
【0004】
また、近年、液体が製氷されるときに該液体内の真水成分(本明細書および請求の範囲において単に「水分」ともいう)のみが分離生成される性質を利用して、コイル状の製氷体の表面に散布器から被処理液を散布して該製氷体の表面で被処理液の水分を徐々に凍結させて製氷し、該被処理液から水分を分離することによって被処理液を処理する技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特許公開2001−47034号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記特許公開公報に記載されている被処理液の処理装置の場合には、コイル状の製氷体の表面へ散布器から被処理液を散布して該製氷体の表面で製氷するよう構成されているため、製氷工程の時間の経過にしたがって、製氷状態(氷の厚さ状態)が製氷体の各部位で偏ることになる。このため、製氷体の各部位での製氷能力が時間の経過とともに著しく異なってくることになる。この結果、処理装置全体としての製氷効率が低下してしまうという技術的な不都合がある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みておこなわれたもので、製氷工程の全ての時間にわたって常に高い一定の効率を維持して製氷することができる、つまり、常に高い効率で被処理液の処理がおこなえる該被処理液の処理方法と処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1の発明にかかる被処理液の処理方法は、内部に冷媒を通した製氷体に、その近傍に設けた散水装置から被処理液を散水させて該製氷体の周囲で製氷させることによって、該被処理液から水分を分離して被処理液を処理する処理方法において、
前記製氷体を製氷工程中に回転させるとともに、該回転する製氷体に向けて前記被処理液を散水することを特徴とする。
【0008】
また、本第2の発明にかかる被処理液の処理方法は、内部に冷媒を通した製氷体の周囲に被処理液中の水分を製氷させることによって、該被処理液から水分を分離して被処理液を処理する処理方法において、
前記製氷体の少なくとも下部を被処理液を入れた槽(回収容器)内に浸漬した状態で回転させて、該製氷体の表面に氷を生成且つ成長させて、該槽内の被処理液から水分を分離するよう構成されたことを特徴とする。
【0009】
また、本第3の発明にかかる被処理液の処理装置は、内部に形成された通路(冷媒供給通路ともいう)に冷媒を通してその表面に製氷可能な製氷体と、前記製氷体の通路に冷媒を供給する冷凍機と、前記製氷体の少なくとも下方を覆う回収容器と、前記製氷体に被処理液を散水する散水装置とを有して、該製氷体表面で被処理液中の水分を凍結させることによって該水分を分離して、被処理液を処理する処理装置において、
前記製氷体を、製氷に際して回転する製氷体によって構成するとともに、
該回転する製氷体に向けて前記被処理液を散水するよう前記散水装置が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本第4の発明にかかる被処理液の処理装置は、内部に冷媒を通す通路を備えその表面に製氷可能な製氷体と、前記製氷体の通路に温度を低下させた冷媒を供給する冷凍機と、前記製氷体の少なくとも下部を浸漬可能にするべく内部に被処理水を溜める槽と、該製氷体を回転自在に支承する支承装置と、前記製氷体を回転動作させる回転駆動装置とを有して、
前記製氷体の少なくとも下部が前記槽内に浸漬した状態で該製氷体を回転させて、前記被処理水中の水分により該製氷体の表面に氷を生成且つ成長させて、該被処理液から水分を分離するよう構成したことを特徴とする。
【0011】
前述のように構成された本第1〜第4の発明にかかる被処理液の処理方法及び処理装置によれば、製氷工程において回転している製氷体の周囲で製氷することになるため、該製氷体の周囲には概ね均等な厚さで氷が成長してゆく。この結果、全製氷工程を通じて、製氷体内部の通路に供給されている冷媒の熱エキネルギーが常に製氷体の周面に略均等に伝達され、したがって、製氷体の氷の表面の各部位の温度分布が略均等な状態に維持され、この結果、高い一定の効率で製氷することが可能となる。
さらに、前記第2及び第4の発明にかかる被処理液の処理方法によれば、前記基本的な作用効果に加えて、製氷体周囲の空気中に逃げようとする熱エキルギーを被処理液内に吸収(回収)することができ、かかる温度の低下した被処理液が次に製氷体の浸漬している部分に付着した場合には、該製氷体の周囲でより効率的に製氷することが可能となる。
【0012】
また、前記被処理液の処理方法において、前記製氷体の表面に生成した氷に、該製氷体から流下した被処理液を再びかけ流して、該製氷体の表面に氷の層を時間とともに成長させる製氷工程と、その工程の後に、該製氷体の周面に形成された氷を解氷液化する解氷工程とを有して、該解氷工程によって得た水分を被処理液と別けるように構成すると、被処理液中の水分が除去されて処理すべき被処理液の量が減少する。したがって、かかる量的に減少した被処理水を最終的に他の方法で処理(例えば、焼却処理等)することも可能となる。一方、前記分離された水分を中水(水洗便所の水)等と使用することも可能となる。
【0013】
また、前記被処理液の処理装置において、前記回転板状体が側面視において(回転板の回転軸方向から見て)円形に構成されていると、該製氷体の周囲により均等に製氷することが可能となる構成を実現できる。
【0014】
また、前記被処理液の処理装置において、前記製氷体の周囲に形成された氷を解氷する解氷装置が設けられるとともに、前記回収容器の流出口に開閉弁又は切換弁が設けられ、
前記開閉弁あるいは切換弁を操作することによって、前記散水装置から散水され前記回収容器内に回収された被処理液と、前記製氷体の周囲に形成された氷が前記解氷装置によって解凍され前記回収容器内に回収された水とが、該回収容器下流で分離できるよう構成されていると、被処理液から水を分離することが可能な装置を実現できる。
【発明の効果】
【0015】
前述のように構成された被処理液の処理方法及び処理装置によると、製氷工程の全ての時間にわたって、常に高い一定の効率を維持して製氷することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施例]
以下、本発明を1の実施形態に基づいて図面を参照しながらより具体的に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態を示す被処理液の処理装置の全体の構成を概念的に示す図、図2は図1に示す製氷体と該製氷体に散水する状態を示す部分拡大斜視図である。
【0018】
図1において、Aは被処理水の処理装置であり、1は前記処理装置Aの一部を構成する製氷体、2は前記製氷体1に被処理水を散水する散水装置、3は散水した被処理液を回収する回収容器、4は被処理液を貯水する被処理液貯水タンク、5は被処理液から製氷して分離した水分(水)を貯水する分離水貯水タンクである。そして、前記被処理水の処理装置Aは、前記製氷体1と、散水装置2と、回収容器3と、被処理液貯水タンク4と、分離水貯水タンク5とを有している。
【0019】
前記製氷体1は、この実施形態では、図2に図示するように、側面視からの形態(回転軸方向から見た形態)が円板状の形態を有し、且つ、正面視(図1に図示する状態)において、図1,図3に図示するように、中心から外縁にかけて等しい厚さの板状の形態を有する。しかし、かかる製氷体1の形態としては、図示しないが、前記正面視において、板厚が中心で厚く外縁側で薄くなった形態に構成してもよく、あるいは別の形態に構成してもよい。
また、前記製氷体1は、図2に図示するように、円板状の形態の中心部位に枢支軸1Aが設けられおり、図1に図示するように、この枢支軸1Aを中心に、プーリとベルト等を介して、モータMによって回転できるように構成されている。そして、図3に図示するように、前記製氷体1の内部には、冷媒を通すための冷媒供給通路1aが形成されており、この冷媒供給通路1aの供給口は、前記枢支軸1Aの内部に形成されている冷媒供給通路1bと連通し、またこの冷媒供給通路1aの排出口は、前記枢支軸1Aの内部に形成されている冷媒還流通路1cと連通している。また、この実施形態では、便宜上、製氷体1が2枚並設された実施形態のものを図示しているが、必要とする処理能力に応じて必要な枚数、例えば、3枚、あるいはもっと多くの枚数の製氷体1が並設されてもよい。また、必要に応じて、該製氷体1の外径寸法を大きくしてもよい。
【0020】
また、図1に図示するように、前記枢支軸1Aの冷媒供給通路1aの基端は、供給管7を介して、冷凍機8の供給口8aに接続されている。また、前記冷媒還流通路1cの先端は、還流管9を介して、冷凍機8の還流口8bに接続されている。このように構成されることによって、前記製氷体1には、前記供給管7と前記冷媒供給通路1aとを介して、冷凍機8から温度の低い冷媒が供給され、また、前記冷媒還流通路1cと前記還流管9を介して、冷凍機8へ温度が高くなった冷媒が還流することによって、前記製氷体1を常に低温の状態に形成することが可能になっている。
【0021】
そして、図1に図示するように、前記製氷体1の上方位置には、前記散水装置2が、そのノズル2aの先端が該製氷体1の上面から側面にかけての部位を散水可能なように斜め下を向くような状態で、配置されている。そして、この散水装置2の基端は、給水パイプ6を介して、前記被処理液貯水タンク4に接続され、該散水装置2のノズル2aから被処理液を散水することができるように構成されている。そして、この給水パイプ6の途中には、前記散水装置2に被処理液を供給する供給ポンプP1とこの給水パイプ6の流量を検出する流量センサーFl/01が配設されている。
【0022】
また、図1に図示するように、前記製氷体1の下方には、製氷体1の下部を下方から包み込むように上面が開口した前記回収容器3が配置されており、前記製氷体1に向けて散水され該製氷体1から滴下(流下)した被処理液をこの回収容器3内に回収することができるように構成されている。
【0023】
そして、図1に図示するように、前記回収容器3の底部には、排水管10の基端が接続されており、この排水管10には、この排水管10の管路を開閉可能な開閉弁11が配設されているとともに、該排水管10の先端は前記被処理液貯水タンク4に接続されている。また、この被処理液貯水タンク4には、被処理液の原液、つまり、発生部位側からの被処理液が供給される原液供給管14の先端が接続されている。また、この原液供給管14の途中には、この管路を開閉可能な開閉弁21が配設されている。
ところで、この被処理液貯水タンク4には、この被処理液貯水タンク4内の水位を検出するレベルスイッチLS1が配置されている。
【0024】
また、図1に図示するように、前記回収容器3の底部の別の部位には、排水管12の基端が接続されており、この排水管12には、この排水管12を開閉可能にする開閉弁13が配設されているとともに、該排水管12の先端は前記分離水貯水タンク5に接続されている。そして、この分離水貯水タンク5の底部には、排出管15の基端が接続されるとともに、この排出管15の途中には送水ポンプP2と開閉可能な開閉弁16が設けられている。
ところで、図1に図示するように、この分離水貯水タンク5内には、該分離水貯水タンク5の水を加温するヒータH1が配設されているとともに、この分離水貯水タンク5内の温度を検出する温度センサーTIS/01と該分離水貯水タンク5内の水位を検出するレベルスイッチLS2とが配置されている。
【0025】
さらに、図1に図示するように、前記排出管15の前記送水ポンプP2と開閉弁16の間の位置からは、分岐管17が分岐しており、該分岐管17先端は解氷ノズル18に接続されている。そして、この分岐管17の途中には、開閉可能な開閉弁19とこの分岐管17内の水の流量を検出する流量センサーFl/02が配設されている。
【0026】
ところで、前記解氷ノズル18は、前記製氷体1の上方位置、この実施例では、前記散水装置2のさらに上方の位置に、前記製氷体1に向けて、前記分離水貯水タンク5内の水を散水することができるよう構成されている。
【0027】
そして、この被処理水の処理装置Aには、図5に図示するように、制御装置22が配置されており、かかる制御装置22は、前記流量センサーFl/01,Fl/02、レベルスイッチLS1,LS2、及び温度センサーTIS/01と信号線によって接続されて、これらのセンサーやスイッチの状態に関する信号を検出するよう構成されているとともに、前記開閉弁11,13,16,19,21、ポンプP1,P2、及びモータM等と制御線によって接続され、前記検出した信号等に基づいてあるいは予め設定された条件に基づいて、これらの弁やポンプ等の動作を制御することができるように構成されている。
【0028】
以下、本実施形態にかかる被処理水の処理装置Aの作用効果とともに本発明の実施形態にかかる被処理水の処理方法の実施形態について説明し、合わせて前記制御装置の制御内容について説明する。
【0029】
まず、本処理装置Aの図示しない主電源をONにすると、前記制御装置22では初期化がおこなわれるとともに、該制御装置22は、前記開閉弁21 を「開」に操作する。この動作により、原水は、前記原液供給管14を経て前記被処理液貯水タンク4に供給され、該制御装置22 は、前記レベルスイッチLS1の値を読みとる。そして、該レベルスイッチLS1の値が三段階の下から2 番目の位置である場合には、前記開閉弁21を「閉」に操作するとともに、前記冷凍機8が運転状態になる。次に、制御装置22は、前記供給ポンプP1、モータMをONにし、かつ開閉弁11を「開」に操作する。また、該制御装置22は、前記レベルスイッチLS2の値を読みとり、例えば三段階の下から1番目の位置である場合には、前記ヒータH1をONにして、前記分離水貯水タンク5内の水を所定の温度になるように加温する。かかる加温温度としては、解氷に必要な0°Cより高い温度であればよく、実際的には、40°C程度であってよい。あるいは、前記40°Cに代えて、10°Cであっても、あるいは70°Cであってもよい。なお、温度的には、前記ヒータH1は、分離水貯水タンク5内の水の温度が高い場合、例えば、10°C以上の場合には、ONにしないような構成であってもよい。また、タイミング的にも、後述する解氷工程開始前(例えば解氷工程開始前5分程度)に前記ヒータH1をONにするような構成であってもよい。
【0030】
そして、前記状態において、この処理装置Aでは、前記製氷体1が所定の回転数で回転するとともに、前記散水装置2のノズル2aから被処理液が該製氷体1に散水される。この状態において、前記製氷体1内部には、前記冷凍機8から低温の冷媒が供給されていることから、該製氷体1は、製氷に必要な0°Cより低い温度であればよく、実際的には、、例えば、−5°Cであってよい。そして、望ましてくは、かかる前記必要な温度(−5°C)から氷の成長状態に応じて徐々により低温に移行する。そして、最低温度としては、製氷体1の外径寸法等によって、あるいは冷凍機8の能力によっても変わるが、概ね−20°C度〜−30°C程度が考えられる。また、前記製氷体1が回転する所定の回転数は、適当な回転数であればよく、例えば、前記製氷体1の直径が25cmである場合には、5rpm〜15rpm程度が好ましい。つまり、この製氷体1の回転数の数値は、専ら、製氷体1の外周縁の周速度で定められるべきものであり、かかる周速度は散水された被処理液が製氷体1の表面に円滑に且つ満遍なくゆきわたるような状態、あるいはこれに近い状態が、得られるような速度が好ましい。
【0031】
前記のとおり回転する前記低温の製氷体1の表面に被処理液が散水されて、該製氷体1の表面で製氷される。このように、連続して製氷体1には前記被処理液貯水タンク4からの被処理液が散水され且つ前記所定の低温度の冷媒が冷凍機8から供給されるため、該製氷体1の表面で、時間の経過ととともに氷は生成され且つ成長してゆく。しかも、製氷体1が回転していることに起因して、製氷体1の表面では、その外表面の全ての部位に略均一の厚みの氷の層が成長してゆくことになる。この製氷工程において、前記制御装置22は、前記流量センサーFl/01からの検出信号に基づいて、単位時間当たり所定の量の被処理液が散水装置2に供給されているかどうかチェックし、量が多い場合には前記供給ポンプP1の回転数を低下させ、逆に量が少ない場合には供給ポンプP1の回転数を増加させるように制御して、常に所定の量の被処理水が散水装置2側に供給されるように制御をおこなう。
前記製氷工程では、比較的ゆっくりとした速度で製氷体1の表面で製氷されて、製氷に際しその表面に集まる性質を有する不純物が、順次供給されてくるその後の被処理液により洗い流されながら、該被処理液中の水分のみが製氷されるような状態が、形成され維持されるように実施されるようにすることが望ましい。また、前述のように、製氷体1の温度を製氷工程の進捗に合わせて徐々により低温にすることによって、表面での製氷能力を低下させることなく該製氷工程を実施することができる。
【0032】
そして、製氷体1の表面で氷が所定の厚みに成長すると、その状態を予め定められた時間によって検出して、あるいはオペレータが視認することによって検出して、あるいは前記枢支軸1A等に重量センサーを付設しておいて、これらの重量値から検出してもよく、あるいは、前記モータMの負荷状態により検出するように構成してもよい。そして、かかる検出により、所定の厚みに成長したと判断されると、前記供給ポンプP1および前記冷凍機8の運転を停止する。
【0033】
そして、制御装置22は、次に、前記開閉弁16を「閉」のままで、前記開閉弁19を「開」にする。さらに、前記送水ポンプP2を作動させべく制御をする。この状態で、前記排出管15と分岐管17を経て、前記解氷ノズル18に前記分離水貯水タンク5の水が供給され、該解氷ノズル18から前記製氷体1および前記散水装置2のノズル2aに水が散水される所謂洗浄工程を実行する。つまり、
かかる状態において制御装置22は、前記流量センサーFl/02からの検出値に基づいて、解氷ノズル18への水の流量が所定の値(洗浄作用を奏するのに必要な量の値)になるよう前記送水ポンプP2の回転数を制御する。
そして、このような状態を所定時間、例えば、1〜2分程度続けることによって、前記ノズル2a、製氷体1、及び回収容器3の底部等に付着した被処理液が洗浄され、該洗浄に寄与した水は、前記排水管10から前記開閉弁11を通って、前記被処理液貯水タンク4に排出される。
【0034】
前記洗浄工程が終了すると、制御装置22は、前記開閉弁11を「閉」にするとともに、前記開閉弁13を「開」にする。次に、前記制御装置22は、前記送水ポンプP2を再び作動させて、前記排出管15と分岐管17を経て、前記解氷ノズル18に前記分離水貯水タンク5の加温された水が供給され、該解氷ノズル18から前記製氷体1へ向けて加温された水が散水されて所謂解氷工程を実行する。つまり、
前記解氷ノズル18からの散水により、製氷体1表面に付着した氷は解氷され、該解氷された水は、前記排水管12から開閉弁13を通って、前記分離水貯水タンク5内に回収されることになる。このような解氷工程は、前記製氷体1表面に形成された氷が全て解氷されるまで続けられることになる。かかる解氷の完了は、オペレータが視認することによって、制御装置22の操作ボタンを操作しておこなってもよいし、あるいは前記枢支軸1A等に重量センサーを付設しておいて、これらの重量センサーから重量値を検出して完了を検出するように構成してもよい。あるいは、前記モータMを回転させて、モータMの負荷状態により完了を検出するように構成してもよい。なお、前記解氷工程において、前記モータMを作動させて製氷体1を回転させた状態にしておくことも、円滑に解氷させ得る点で好ましい構成となる。
【0035】
そして、前記解氷工程が全て終了すると、制御装置22は、前記レベルスイッチLS2からの検知信号に基づいて、前記分離水貯水タンク5の水位が所定値より高い場合には、前記開閉弁16を「開」にして、該分離水貯水タンク5内の水を所定の量になるよう余剰分を外部に放流(排出)し、該放流が完了すると、制御装置22は前記送水ポンプP2を停止させるとともに、前記開閉弁16,19および前記開閉弁13を「閉」にして、1作業サイクルを終了する。
【0036】
このように1作業サイクルが終了すると、前記制御装置22の制御に基づき、前記製氷工程に戻って、前述した一連の工程を再び繰り返すことになる。
【0037】
なお、前記分離水貯水タンク5から水を外部に放流しようとする際に、該分離水貯水タンク5内の水位が所定値より低い場合には、該分離水貯水タンク5の水を該放流することなく、前記開閉弁19および前記開閉弁13を「閉」にして、1サイクルが終了することになる。
【0038】
また、前記処理装置Aにおける前記開閉弁11,13に代えて切換弁を1個設けて、下流側で2つの排水管のうちのいずれかの排水管へ通水するように且ついずれにも通水しないように構成してもよく、かかる場合には、必要に応じてこの切換弁を前記制御装置によって切替えていずれかの排水管に通水するようにすればよい。
【0039】
前述した如く、本実施形態にかかる被処理液の処理装置および処理方法によれば、製氷工程の全ての時間にわたって常に高い一定の効率を維持して製氷することが可能となる。また、かかる処理方法によれば、製氷により排水等の被処理水を処理するため、被処理液の有する臭いの発生を低減させることができる。
【0040】
また、本発明の別の実施形態としては、図4に図示するように、図2,図3と同じく内部に冷媒を通した製氷体1を枢支部材(図示せず)で回転自在に枢支するとともに該製氷体1の少なくとも該製氷体1の下部を、被処理液を入れた槽(回収容器)103内に浸漬させた状態で、該製氷体1を電動モータ等の回転駆動装置(図示せず)で回転させて、該製氷体1の表面に氷を生成且つ成長させて、該槽103内の被処理液から水分を分離するよう構成してもよい。このように構成すると、前記実施形態に比べて、製氷体1が被処理液内に浸漬していることに起因して、製氷体1から空気中に逃げようとする熱エキルギーを槽103内の被処理液内に有効に吸収(回収)することができ、その結果、温度の低くなった被処理液が製氷体に付着して、より効率的に製氷することが可能となる。また、散水装置が不要になることから構成自体をシンプルにすることができる。なお、図4において、1Aは枢支軸、1bは冷媒供給通路、110は排水管、104は被処理液貯水タンク、105は分離水貯水タンク、111は前記被処理液貯水タンク104への被処理水を供給しあるいは遮断するための開閉弁、113は前記分離水貯水タンク105への被処理水を供給しあるいは遮断するための開閉弁である。
【0041】
前記実施形態は本発明の単なる例示であって、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、適宜構成および条件等を変更して、実施することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明にかかる被処理液の処理方法および処理装置は、種々の排液等の処理分野等において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態である被処理液の処理方法を実行することができる被処理液の処理装置の全体の構成を概念的に示す図である。
【図2】図1に示す製氷体と該製氷体に被処理液等を散水する状態を示す部分拡大斜視図である。
【図3】図2に示す製氷体の内部を通る冷媒供給通路を破線で概念的に表した部分拡大図である。
【図4】図1〜図3とは別の実施形態にかかる製氷体の下部を回収容器内の被処理液内に浸漬させた実施形態を示す図である。
【図5】制御装置と該制御装置によって制御される対象物と該制御装置に検出信号等を送るセンサー等の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
A…被処理水の処理装置
1…製氷体
2…散水装置
3…回収容器(槽)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒を通した製氷体に、その近傍に設けた散水装置から被処理液を散水させて該製氷体の周囲で製氷させることによって、該被処理液から水分を分離して被処理液を処理する処理方法において、
前記製氷体を製氷工程中に回転させるとともに、該回転する製氷体に向けて前記被処理液を散水することを特徴とする被処理液の処理方法。
【請求項2】
前記製氷体の表面に生成した氷に、該製氷体から流下した被処理液を再びかけ流して、該製氷体の表面に氷の層を時間とともに成長させる製氷工程と、その工程の後に、該製氷体の周面に形成された氷を解氷液化する解氷工程とを有して、該解氷工程によって得た水分を被処理液と別けることを特徴とする請求項1記載の被処理液の処理方法。
【請求項3】
内部に冷媒を通した製氷体の周囲に被処理液中の水分を製氷させることによって、該被処理液から水分を分離して被処理液を処理する処理方法において、
前記製氷体の少なくとも下部を被処理液を入れた槽内に浸漬した状態で回転させて、該製氷体の表面に氷を生成且つ成長させて、該槽内の被処理液から水分を分離するよう構成されたことを特徴とする被処理液の処理方法。
【請求項4】
内部に形成された通路に冷媒を通してその表面に製氷可能な製氷体と、前記製氷体の通路に冷媒を供給する冷凍機と、前記製氷体の少なくとも下方を覆う回収容器と、前記製氷体に被処理液を散水する散水装置とを有して、該製氷体表面で被処理液中の水分を凍結させることによって該水分を分離して、被処理液を処理する処理装置において、
前記製氷体を、製氷に際して回転する製氷体によって構成するとともに、
該回転する製氷体に向けて前記被処理液を散水するよう前記散水装置が設けられていることを特徴とする処理装置。
【請求項5】
前記製氷体の周囲に形成された氷を解氷する解氷装置が設けられるとともに、前記回収容器の流出口に開閉弁又は切換弁が設けられ、
前記開閉弁あるいは切換弁を操作することによって、前記散水装置から散水され前記回収容器内に回収された被処理液と、前記製氷体の周囲に形成された氷が前記解氷装置によって解凍され前記回収容器内に回収された水とが、該回収容器下流で分離できるよう構成されていることを特徴とする請求項4記載の処理装置。
【請求項6】
内部に冷媒を通す通路を備えその表面に製氷可能な製氷体と、前記製氷体の通路に温度を低下させた冷媒を供給する冷凍機と、前記製氷体の少なくとも下部を浸漬可能にするべく内部に被処理水を溜める槽と、該製氷体を回転自在に支承する支承装置と、前記製氷体を回転動作させる回転駆動装置とを有して、
前記製氷体の少なくとも下部が前記槽内に浸漬した状態で該製氷体を回転させて、前記被処理水中の水分により該製氷体の表面に氷を生成且つ成長させて、該被処理液から水分を分離するよう構成したことを特徴とする被処理液の処理装置。
【請求項7】
前記製氷体が側面視において円形に構成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1の項に記載の処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate