説明

被吸着部材付きリセプタクルコネクタ

【課題】自動実装に際して、リセプタクルコネクタが基板上の正規の位置に対してずれた位置に実装されることを防止でき、吸着部材による吸着を確実に行うことができ、しかも、被吸着部材の取り外し作業を容易に行うことのできる被吸着部材付きリセプタクルコネクタを提供する。
【解決手段】ハウジングとコンタクト6とを含むリセプタクルコネクタ1に、被吸着部材39を設ける。被吸着部材39は、上面に被吸着面を有する本体部から下方に延設された外壁部41(ハウジング側係合部)と、ハウジングの第1側壁11A及び第2側壁12Aに摩擦係合する一対の押圧部とを含む。第1側壁11Aは、その外側面を窪ませて形成したロック空間20Aに、相手方コネクタのロック爪に係合する係合爪部21を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被吸着部材付きリセプタクルコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動実装に対応した表面実装型のコネクタは、たとえば、エンボスキャリアテープに収容された状態で市場に供給される。エンボスキャリアテープは、表面実装型コネクタを一個ずつ収容するバスタブ状のケース部を連成した帯状のキャリアテープ本体と、ケース部を覆うようにキャリアテープ本体に剥離可能に貼り合わされた帯状の保護シートとからなる。
【0003】
表面実装型コネクタを配線基板上に自動実装するための自動実装機は、表面実装型コネクタを吸着保持する吸着部材(たとえばエアノズル)を備えている。この自動実装機は、保護シートを剥離しながらエンボスキャリアテープを順送りする一方で、吸着部材によって、ケース部内の表面実装型コネクタを取り出して配線基板上の所定位置に配置するように動作する。
【0004】
表面実装型コネクタを吸着部材によって確実に吸着保持するためには、表面実装型コネクタの上面に、十分な大きさの平坦な被吸着面が設けられている必要がある。
この被吸着面を、コネクタのハウジングに嵌め込まれた吸着用補助具に設けることが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
上記吸着用補助具は、被吸着面が形成された平板部と、平板部から下方に延びる一対の脚部とを含んでいる。一対の脚部は、ハウジングの底壁から上方に突出形成された嵌合部を、その肉厚方向に挟み込んでいる。
【0005】
吸着部材の吸着によって吸着用補助具が持ち上げられると、コネクタのハウジングも持ち上がるので、コネクタを移動させて自動実装を行うことができる。コネクタが配線基板表面に実装された後、吸着用補助具を持ち上げると、一対の脚部が嵌合部から引き上げられ、吸着用補助具がコネクタから取り外される。
また、特許文献1では、上記被吸着面を、コネクタのハウジングと一体成形され、かつ、ハウジングから切り取り可能とされた平面部材に設けることも提案されている。
【0006】
この場合、吸着部材が平面部材を吸着することで、コネクタのハウジングを持ち上げつつ移動できるので、自動実装を行うことができる。コネクタが配線基板表面に実装された後、平面部材をハウジングから切断することで、平面部材がコネクタから取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−31188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1における吸着用補助具を用いた構成の場合、一対の脚部は、嵌合部に対して摩擦接触しているだけであり、ハウジング長手方向に関する位置規制は、専ら脚部と嵌合部との間の摩擦力に依らなければならない。このため、吸着部材によって吸着用補助具およびコネクタを持ち上げた状態で、吸着部材を一定以上の加速度で動かしたり、吸着部材が振動したりすると、一対の脚部が嵌合部に対してハウジング長手方向に滑り、両者が位置ずれを起こす。このような位置ずれが生じると、吸着用補助具を配線基板に対して正規の位置に配置しても、コネクタは、配線基板の正規の位置からずれた位置に配置されてしまう。つまり、自動実装機によって配線基板上の所定位置に吸着部材が導かれても、この吸着部材に対するコネクタの相対位置がずれているため、コネクタを正規の位置に配置することができない。そのため、配線基板に対するコネクタの表面実装が不良になるおそれがある。
【0009】
さらに、吸着部材で吸着用補助具を吸着する以前の時点で、一対の脚部が嵌合部に対して正規位置から長手方向にずれるおそれがある。このようなずれがあると、吸着部材による吸着が行われる吸着位置に吸着用補助具がなく、吸着部材による吸着を行えないおそれがある。
また、ハウジングに吸着用の平面部材を一体成形した構成の場合には、コネクタを配線基板に実装した後に平面部材を切断する作業が必要であり、手間がかかる。
【0010】
そこで、この発明の目的は、自動実装に際して、コネクタが配線基板上の正規の位置に対してずれた位置に実装されることを防止できるとともに、吸着部材による吸着を確実に行うことができ、しかも、被吸着部材の取り外し作業を容易に行うことのできる、被吸着部材付きリセプタクルコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、絶縁性のハウジング(5)、および、上記ハウジングに保持され、所定のピッチ(P)で左右方向(X)に並ぶ複数の導電性のコンタクト(6)を含むリセプタクルコネクタ(1;1A;1B)と、上記ハウジングに対して着脱可能な被吸着部材(39;39C;39D;39E)とを備え、上記ハウジングは、上記複数のコンタクトを前後方向(Y)に挟む第1および第2側壁(11,12;11A,12A;11B,12B)と、上記第1側壁に形成されて上記左右方向と交差する方向(Z)に延びる凸部(16)または凹部(22;17)からなるハウジング側係合部とを含み、上記被吸着部材は、吸着部材(90)により吸着される被吸着面(44)が上面に形成された本体部(40;40D)と、この本体部から下方に延設されて上記第1および第2側壁を上記前後方向に沿って押圧し、上記第1および第2側壁に摩擦係合する一対の押圧部(42,43;42C,43;41D,43D)と、上記被吸着部材の所定部(40,41;40D,41D)に形成された凹部(46)または凸部(51;60)からなり上記ハウジング側係合部に嵌合する被吸着部材側係合部とを含み、上記第1側壁は、上記リセプタクルコネクタに結合される相手方コネクタ(3)に対する連結状態をロックするために、上記相手方コネクタのロック爪(32b)に係合する係合爪部(21)を含み、上記係合爪部は、上記第1側壁の外側面(18)の上端側を窪ませて形成されたロック空間(20;20A)に配置されており、上記ハウジング側係合部は、上記ロック空間の底部に形成された底部係合部(22)を含み、上記被吸着部材は、上記第1側壁の外側面に沿って延びる外壁部(41;41D)を含み、上記被吸着部材側係合部は、上記外壁部の下端部に形成された外壁下端係合部(51)を含む被吸着部材付きリセプタクルコネクタ(35;35A)である。
【0012】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素などを表す。以下、この項において同じ。
この明細書において、「左右方向」、「前後方向」および「上下方向」は、リセプタクルコネクタが配線基板に実装されたときの姿勢(実装状態の姿勢)を基準とした方向を表すものとする。具体的には、「左右方向」とは、複数のコンタクトの整列方向であり、リセプタクルコネクタの実装状態において配線基板の主面に平行な方向である。また、「前後方向」とは、コンタクト整列方向に直交する方向であり、リセプタクルコネクタの実装状態において配線基板の主面に平行な方向である。そして、「上下方向」とは、左右方向および前後方向に垂直な方向であり、リセプタクルコネクタの実装状態においては、配線基板の主面の法線方向に一致する。
【0013】
請求項2記載の発明は、上記一対の押圧部(42,43;42C,43)は、上記第1および第2側壁の内側面(52,53)をそれぞれ押圧するように設けられている、請求項1記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタである。
請求項3記載の発明は、上記外壁部(41D)は、上記一対の押圧部(41D,43D)のうちの一方を兼ねるものであり、当該一対の押圧部が上記第1および第2側壁の外側面(18,54)をそれぞれ押圧するものである、請求項1記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタである。
【0014】
請求項4記載の発明は、上記第1側壁は、左右方向に対向して互いの間に上記ロック空間を区画する一対の対向面を含み、上記一対の押圧部のうちの一方を兼ねる上記外壁部は、上記一対の対向面にそれぞれ近接して対向する一対の対向面を有している、請求項1記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタである。
請求項5記載の発明は、上記底部係合部は、左右方向に離隔して一対設けられ、上記係合爪部は、単一で設けられて、左右方向に関して上記一対の底部係合部の間に配置されている、請求項3または4に記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタである。
【0015】
請求項6記載の発明は、上記外壁部は、上記ロック空間内に配置されており、上記係合爪部との接触を避けるための逃げ凹部(50)を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタである。
請求項7記載の発明は、上記被吸着部材は、上記左右方向における上記リセプタクルコネクタの重心位置(G)の近傍に配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、吸着部材によって被吸着部材を吸着することにより、被吸着部材に加え、被吸着部材と摩擦係合しているハウジングを持ち上げて移動することができる。また、ハウジング側係合部と被吸着部材側係合部との嵌合により、左右方向におけるハウジングと被吸着部材との相対移動が規制されている。これにより、被吸着部材がハウジングに対して左右方向に不用意に動いて位置ずれすることを防止できる。その結果、吸着部材を操作して被吸着部材を配線基板に対する正規位置に配置することで、リセプタクルコネクタを配線基板に対する正規位置に確実に配置できる。
【0017】
また、ハウジング側係合部と被吸着部材側係合部との嵌合により、被吸着部材を、左右方向に関して、ハウジングに対して正規位置に位置決めした状態でハウジングに取り付けることができる。その結果、吸着部材で被吸着部材を吸着する際に、被吸着部材を、吸着部材に対して正規の位置に確実に配置しておくことができ、吸着部材による被吸着部材の吸着を確実に行うことができる。
【0018】
さらに、被吸着部材を、ハウジングに対して所定以上の力で持ち上げることにより、一対の押圧部を、第1および第2側壁との摩擦係合力に抗して上側に移動させることができ、これにより、被吸着部材をハウジングから取り外すことができる。したがって、リセプタクルコネクタを配線基板に実装して固定した後、被吸着部材を持ち上げるという簡易な動作で、被吸着部材を容易に取り外すことができる。
【0019】
この構成によれば、係合爪部をロック空間から突出しないように配置でき、かつ、ハウジング側係合部および被吸着部材側係合部をロック空間から突出しないように配置できる。したがって、ハウジングを大型にすることなく、被吸着部材の左右相対移動を規制できる。すなわち、相手方コネクタとのロック係合のためのロック空間を利用して、被吸着部材とハウジングとの左右方向相対移動を規制する構造を設けることができるので、ハウジングの大型化を回避でき、かつ、被吸着部材が装着された状態での全体構造の大型化も回避できる。
【0020】
上記リセプタクルコネクタは、たとえば、配線基板上に表面実装されるものである。このような表面実装型のリセプタクルコネクタは、たとえば、エンボスキャリアテープに収容された状態で市場に供給される。エンボスキャリアテープは、リセプタクルコネクタを1個ずつ収容する複数のケース部を連設した帯状のキャリアテープ本体と、前記複数のケース部の開口部を覆うようにキャリアテープ本体に剥離可能に貼り合わされた帯状の保護シートとを有するものであってもよい。このようなエンボスキャリアテープに収容された状態のリセプタクルコネクタは、自動実装機に装填され、この自動実装機によって配線基板上に自動実装することができる。
【0021】
自動実装機は、たとえば、上記被吸着部材を吸着保持するための吸着部材と、この吸着部材を配線基板の主面に沿う方向および配線基板の主面の法線方向に対して移動するための移動機構と、この移動機構の動作を制御するための制御手段とを含む。制御手段によって移動機構の動作が制御されることによって、吸着部材は、所定の吸着位置でエンボスキャリアテープのケース部に収容されたリセプタクルコネクタを上記被吸着部材を介して間接的に吸着保持し、その後、配線基板の所定の実装位置まで移動して、被吸着部材付きリセプタクルコネクタの吸着保持を解除する。これにより、エンボスキャリアテープのケース部内のリセプタクルコネクタが、配線基板の正規位置に配置される。
【0022】
請求項2の発明によれば、一対の押圧部が第1および第2側壁の内側面を外側面側に押圧することとなり、一対の押圧部と第1および第2側壁との間で十分な摩擦係合力を発生することができる。
請求項3の発明によれば、一対の押圧部が第1および第2側壁の外側面を内側面側に押圧することとなり、一対の押圧部と第1および第2側壁との間で十分な摩擦係合力を発生することができる。また、外壁部が一方の押圧部を兼ねることにより、これら外壁部および一方の押圧部を別々に形成する必要がない。
【0023】
請求項6の発明によれば、外壁部をロック空間内に配置することで、外壁部がロック空間から突出しないようにでき、被吸着部材付きリセプタクルコネクタをより小型にできる。また、外壁部に逃げ凹部を設けていることにより、外壁部に係合爪部の少なくとも一部を収容できるので、ロック空間を小型にでき、被吸着部材付きリセプタクルコネクタをより小型にできる。換言すれば、ロック空間を大きくすることなく、相手方コネクタとのロック構造および被吸着部材の左右方向相対移動規制構造を設けることができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、吸着部材で被吸着部材付きリセプタクルコネクタを吸着して持ち上げているときに、リセプタクルコネクタが斜めに傾くことを防止でき、このリセプタクルコネクタを、安定した姿勢で移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の一実施形態に係る被吸着部材付きリセプタクルコネクタに適用されるリセプタクルコネクタ、このリセプタクルコネクタに結合される配線基板および電線付きコネクタの構成を示す図解的な斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】リセプタクルコネクタと電線付きコネクタとが結合された状態を示す断面図である。
【図4】リセプタクルコネクタと、リセプタクルコネクタのハウジングに対して着脱可能な被吸着部材とを示す斜視図である。
【図5】(a)は、被吸着部材の平面図であり、(b)は、被吸着部材の正面図であり、(c)は、被吸着部材の右側面図であり、(d)は、図5(a)のd−d線に沿う断面図および吸着部材の側面図である。
【図6】(a)は、被吸着部材がリセプタクルコネクタに装着された状態を示す要部の正面図であり、(b)は、図6(a)のb−b線に沿う断面図であり、(c)は、図6(b)のc−c線に沿う断面図であり、(d)は、図6(a)のd−d線に沿う断面図である。
【図7】被吸着部材付きリセプタクルコネクタの自動実装機による実装を説明するための断面図である。
【図8】他の被吸着部材の要部の断面図である。
【図9】(a)は、被吸着部材および他のリセプタクルコネクタの斜視図であり、(b)は、これらの被吸着部材およびリセプタクルコネクタを互いに組み付けた状態の斜視図であり、(c)は、図9(b)のc−c線に沿う断面図である。
【図10】被吸着部材およびさらに他のリセプタクルコネクタを互いに組み付けた状態の斜視図である。
【図11】(a)は、他の被吸着部材の断面図であり、(b)は、この被吸着部材およびリセプタクルコネクタを互いに組み付けた状態の断面図である。
【図12】(a)は、他の被吸着部材およびリセプタクルコネクタの斜視図であり、(b)は、これらの被吸着部材およびリセプタクルコネクタを互いに組み付けた状態の断面図である。
【図13】(a)は、他の被吸着部材の断面図であり、(b)は、この被吸着部材およびリセプタクルコネクタを互いに組み付けた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る被吸着部材付きリセプタクルコネクタに適用されるリセプタクルコネクタ、このリセプタクルコネクタに結合される配線基板および電線付きコネクタの構成を示す図解的な斜視図である。
リセプタクルコネクタ1は、配線基板2上に実装されるものであり、相手方コネクタとしての電線付きコネクタ3が結合されるようになっている。電線付きコネクタ3には、電線4が結合されている。
【0027】
配線基板2は、たとえば、液晶表示装置に備えられるものであり、液晶表示パネルなどの表示パネル(図示せず)上での画像表示のための電気・電子部品が実装されている。
なお、以下では、配線基板2が水平方向に沿って配置され、リセプタクルコネクタ1が配線基板2の上方側に配置された状態を基準として説明する。
リセプタクルコネクタ1は、合成樹脂製の一体成形品である絶縁性のハウジング5と、金属板をプレス成形して形成され、このハウジング5に圧入されて保持された複数の導電性のコンタクト6とを備えている。
【0028】
図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。図1および図2を参照して、ハウジング5は、上方に開放された略箱形状をなす部材であり、その左右方向X(配線基板2の主面に平行な一方向)に相対的に長く、その前後方向Y(配線基板2の主面に平行な他の方向)に相対的に短くされている。なお、左右方向Xは、前後方向Yとは直交しており、上下方向Z(配線基板2の主面の法線方向)は、これら左右方向Xおよび前後方向Yの双方に直交している。
【0029】
ハウジング5は、配線基板2上に配置された平板状の底壁7と、底壁7の外周縁部に立設されてこの底壁7と直交する環状の周壁8とを備えている。
底壁7および周壁8によって、電線付きコネクタ3の後述する本体部31を受け入れるための、左右方向Xに長い略直方体状の受け入れ空間9が区画されている。
周壁8は、ハウジング5の前壁としての第1側壁11と、ハウジング5の後壁としての第2側壁12と、ハウジング5の右壁としての第3側壁13と、ハウジング5の左壁としての第4側壁14とを備えている。第1および第2側壁11,12は、前後方向Yと略直交しており、第3および第4側壁13,14は左右方向Xと略直交している。
【0030】
第1側壁11は、低背部15を含んでいる。低背部15は、左右方向Xにおける第1側壁11の中間部に形成されており、第1側壁11の左端部および右端部と比べて底壁7からの高さが低い。
低背部15の上端部には、凸部からなるハウジング側係合部としての側壁上端係合部16が形成されている。側壁上端係合部16は、左右方向Xにおける、低背部15の上端部の中央部に配置されている。側壁上端係合部16は、左右方向Xに交差する方向としての上下方向Zのうちの上方向に延びている。この側壁上端係合部16の左右両端側には、窪み17が形成されている。
【0031】
第1側壁11の外側面18には、凹陥部19が形成されている。凹陥部19は、左右方向Xにおける低背部15の外側壁18の中間部のうち、上端側の大部分を後側に窪ましてなる。この凹陥部19によって、リセプタクルコネクタ1と電線付きコネクタ3とのロック状態を達成するためのロック空間20が区画されている。ロック空間20は、略直方体形状をなしている。
【0032】
凹陥部19の後側部19aは、前後方向Yと直交しており、上下方向Zに沿って延びている。後側部19aによって、ロック空間20の後側が区画されている。この後側部19aの右端部および左端部には、それぞれ、電線付きコネクタ3の後述するロック爪32bに係合するための係合爪部21が突設されている。これらの係合爪部21は、ロック空間20内に配置されて、電線付きコネクタ3の挿抜方向である上下方向Zにおける後側部19aの中間部に位置している。
【0033】
各係合爪部21のうち、電線付きコネクタ3の挿入方向上流側には、ロック爪32bを案内する案内傾斜面21aが形成されており、上記挿入方向下流側には、ロック爪32bと係合して電線付きコネクタ3の不用意な脱抜を防止する抜け止め面21cが形成されており、案内傾斜面21aと抜け止め面21cとの間は、上下方向Zに沿う平坦面21bとなっている。
【0034】
案内傾斜面21aは、挿入方向の下流側に進むに従い後側部19aから離れるように傾斜している。抜け止め面21cは、後側部19aの前面から前方に略垂直に立ち上がっており、平坦面21bと後側部19aとの間に高低差のある段差部を形成している。
凹陥部19の底部19bは、配線基板2と略平行に延びており、ロック空間20の底部を区画している。この底部19bには、凹部からなるハウジング側係合部としての底部係合部22が形成されている。底部係合部22は、ロック空間20の底部に配置されており、左右方向Xにおいて、底部19bの略中央部(平面視において一対の係合爪部21の間に対応する領域)に配置されており、たとえば互いに間隔を隔てて一対配置されている。これらの底部係合部22は、底部19bから、左右方向Xに交差する方向としての上下方向Zのうちの下方向に延びている。
【0035】
第2側壁12は、低背部23を含んでいる。低背部23は、左右方向Xにおける第2側壁12の中間部に形成されており、第2側壁12の左端部および右端部と比べて低背である。第2側壁12の低背部23と、第1側壁11の低背部15とは、底壁7からの高さが略等しい。
コンタクト6は、配線基板2と電線4とを電気接続するためのものであり、前後方向Yに間隔を隔てて、2列に並んでいる。また、コンタクト6は、左右方向Xに所定の等ピッチPで複数並んでいる。リセプタクルコネクタ1の極数(コンタクト6の本数)は、たとえば、2列×13=26極とされている。この極数は、配線基板2に実装される電子部品の数などに応じて、適宜決定される。第1および第2側壁11,12は、コンタクト6を前後方向Yに挟んで配置されている。
【0036】
各コンタクト6は、左右方向Xに沿ってみた側面視においてL字形状をなしており、上下方向Zに延びて底壁7とは垂直な垂直部24と、垂直部24の基端部から底壁7と略平行(前後方向Yに略平行)に延びる平行部25とを含んでいる。
垂直部24は、電線付きコネクタ3の後述する端子金具29と結合するためのものであり、針状の先鋭な部分である。この垂直部24の先端は、第1側壁11の低背部15の上端部よりも下側に位置している。垂直部24の基端部は、底壁7の対応する箇所に貫通形成された保持孔26に圧入固定されており、これにより、コンタクト6がハウジング5に保持されている。
【0037】
平行部25は、前後方向Yにおけるハウジング5の中央から遠ざかるように前後方向Yに沿って延びている。平行部25の基端部は、垂直部24の基端部に接続されている。平行部25の先端部は、基端部と比べて下方に延び、さらに配線基板2の表面に沿うように屈曲させられた基板接続部27とされている。この基板接続部27が、配線基板2上のランド部に半田接合されることになる。基板接続部27は、ハウジング5の第1および第2側壁11,12の対応する外側面18,54から前後方向Yに突出している。
【0038】
電線付きコネクタ3は、樹脂製の直方体形状のハウジング28と、このハウジング28に装着された複数本の端子金具29とを有している。端子金具29は、予め電線4が圧着され、その状態でハウジング28に圧入されることによって、ハウジング28に装着される。
ハウジング28は、端子金具29を収容するための端子金具収容孔30が形成された本体部31を後側に有し、リセプタクルコネクタ1の係合爪部21と係合するため板状のロック係合部32を前側に有している。
【0039】
ロック係合部32は、左右方向Xにおける本体部31の中間部に配置されており、上下方向Zの中間部に設けられた支点部32aを介して本体部31に結合されている。このロック係合部32の下端側に位置する先端部は、本体部31側に突出したロック爪32bを有し、上端側に位置する後端部は、ロック状態の解除のための操作部32cを有している。
【0040】
支点部32aは、ロック爪32bが前後動する方向へのロック係合部32の弾性的な揺動を許容する状態で、このロック係合部32を本体部31に結合している。
ロック爪32bは、リセプタクルコネクタ1の係合爪部21に対応して、左右方向Xに離隔して一対設けられており、本体部31側に突出している。
電線付きコネクタ3をリセプタクルコネクタ1に挿入するとき、電線付きコネクタ3の本体部31をリセプタクルコネクタ1の受け入れ空間9に合わせる。すると、ロック係合部32がロック空間20の上方に位置する。
【0041】
この状態で、電線付きコネクタ3の本体部31をリセプタクルコネクタ1の受け入れ空間9に挿入すると、各端子金具29は、リセプタクルコネクタ1の対応するコンタクト6の垂直部24に接触し、配線基板2と電線4との間には、端子金具29およびコンタクト6を介する電路が形成される。
一方、ロック係合部32のロック爪32bは、係合爪部21の案内傾斜面21aによって平坦面21bへと案内されることにより、係合爪部21を乗り越える。これにより、ロック爪32bの規制面32dが係合爪部21の抜け止め面21cと係合して、図3に示すロック状態に至る。これにより、電線付きコネクタ3とリセプタクルコネクタ1との結合状態がロックされる。このとき、ロック係合部32の先端部側は、ロック空間20内に配置されるから、ロック係合部32と係合爪部21との係合が不用意に解除されることを防止できる。
【0042】
電線付きコネクタ3をリセプタクルコネクタ1から取り外すときには、操作者は、ロック係合部32の操作部32cを本体部31側に押す。これにより、ロック係合部32が支点部32aを中心に回動し、ロック爪32bは、ハウジング5から離れる方向である前方へと持ち上げられ、係合爪部21との係合状態が解除される。
この状態で、操作者が、電線付きコネクタ3を脱抜方向(上方向)へ引き出すと、電線付きコネクタ3の本体部31が受け入れ空間9から離れ、電線付きコネクタ3とリセプタクルコネクタ1とを引き離すことができる。
【0043】
図4は、リセプタクルコネクタ1と、リセプタクルコネクタ1のハウジング5に対して着脱可能な被吸着部材39とを示す斜視図である。図5(a)は、被吸着部材39の平面図であり、図5(b)は、被吸着部材39の正面図であり、図5(c)は、被吸着部材39の右側面図であり、図5(d)は、図5(b)のd−d線に沿う断面図および吸着部材90の側面図である。
【0044】
図4および図5(a)〜図5(d)を参照して、被吸着部材39は、吸引ノズルなどの吸着部材90を用いてリセプタクルコネクタ1を配線基板2に実装する際に用いられる樹脂製の一体成形品であり、リセプタクルコネクタ1の上方に配置される。なお、被吸着部材39は、リセプタクルコネクタ1に装着されているときの状態を基準として説明する。 この被吸着部材39は、本体部40と、本体部40から下方に延設されて前後方向Yに並ぶ3つの壁部としての第1壁部41、第2壁部42および第3壁部43とを備えている。
【0045】
図6(a)は、被吸着部材39がリセプタクルコネクタ1に装着された状態を示す要部の正面図であり、図6(b)は、図6(a)のb−b線に沿う断面図であり、図6(c)は、図6(b)のc−c線に沿う断面図であり、図6(d)は、図6(a)のd−d線に沿う断面図である。
図5(a)〜図5(d)および図6(a)〜図6(d)を参照して、被吸着部材39は、左右方向Xにおいて、リセプタクルコネクタ1の重心位置Gの近傍に配置されている。より具体的には、被吸着部材39の左右方向Xの中心が、左右方向Xにおけるリセプタクルコネクタ1の重心位置Gと重なるように配置されている。
【0046】
本体部40は、上下方向Zと直交する方向(配線基板2の主面と平行)に延びる平板状をなしており、前後方向Yに並ぶ前端部40a、中間部40bおよび後端部40cを含んでいる。平面視において、中間部40bは、左右方向Xに長い矩形状に形成され、前端部40aおよび後端部40cは、それぞれ、中間部40bと比べて左右方向Xおよび前後方向Yの双方に関して短い矩形状をなしている。
【0047】
本体部40の上面は、上下方向Zと直交して上方を向く平坦面とされており、吸着部材90に吸着される被吸着面44とされている。被吸着面44は、配線基板2と略平行である。被吸着部材39の所定部としての本体部40のうち、中間部40bは、凹部からなる被吸着部材側係合部としての本体下端係合部46を含んでいる。本体下端係合部46は、中間部40bの下端部に形成されており、リセプタクルコネクタ1の第1側壁11の側壁上端係合部16に嵌合する。この本体下端係合部46は、中間部40bの下端部に設けられた一対の垂下部47,48によって形成されている。
【0048】
一対の垂下部47,48は、左右方向Xにおいて、側壁上端係合部16の左右の幅よりもわずかに広い間隔を隔てて並んでおり、下方に延びている。これら一対の垂下部47,48の先端部間に、本体下端係合部46が形成されている。この本体下端係合部46は、左右方向Xと交差する方向としての上下方向Zに沿って延びており、本体部40の下方に開放されている。本体下端係合部46は、前後方向Yにおいて、第1および第2壁部41,42間に配置されている。本体下端係合部46の下端は、第1および第2壁部41,42の下端と比べて、上方に位置している。
【0049】
第1壁部41は、被吸着部材39の外壁部として設けられているとともに、後述する一対の押圧部の一方としての第2壁部42と第1側壁11を挟んで対向する壁部として設けられている。第1壁部41は、一対の垂下部47,48に対して前側に配置されており、ロック空間20内に配置されている。この第1壁部41は、本体部40の前端部40aから下方に延びる矩形板状をなしており、第2および第3壁部42,43と比べて厚肉に形成されている。第1壁部41は、実質的に弾性変形しないような厚みにされている。
【0050】
第1壁部41の肉厚は、前後方向Yにおけるロック空間20の長さよりも短くされており、第1壁部41が第1側壁11よりも前方に突出しないようにされている。
上下方向Zと直交する方向で切断した断面(図6(d)に示す断面)において、第1壁部41は、U字形状をなしている。第1壁部41の内側面56は、第1側壁11の外側面18の後側部19aに沿わされており、この内側面56に、逃げ凹部50が形成されている。逃げ凹部50は、後述するように、左右方向Xにおける第1壁部41の位置と係合爪部21の位置とが重なる場合に、この係合爪部21との接触を避けるためのものである。この逃げ凹部50は、上下方向Zにおける第1壁部41の全域に亘って形成されており、本体下端係合部46と連続している。
【0051】
被吸着部材39の所定部としての第1壁部41には、その下端部に、凸部からなる被吸着部材側係合部としての外壁下端係合部51が設けられている。外壁下端係合部51は、たとえば、底部係合部22に対応して、左右方向Xに間隔を隔てて一対設けられている。各外壁下端係合部51は、左右方向Xと交差する方向としての上下方向Zのうち、下方向に向けて突出しており、リセプタクルコネクタ1の対応する底部係合部22にそれぞれ嵌合するようになっている。
【0052】
第2壁部42は、第1壁部41と第3壁部43とに挟まれるように受け入れ空間9内に配置された板状の弾性片部であり、先端部が前後方向Yに沿って押圧されることにより、基端部を支点にして弾性的に撓むことができる。第2壁部42は、一対の押圧部の一方を構成しており、第1側壁11を前後方向Yに沿って前側に押圧する。
第2壁部42の先端部には、第1側壁11に係合するための押圧凸部42aが突出形成されている。この押圧凸部42aは、第1側壁11側に膨出しており、第1側壁11の内側面52を外側面18側(前側)に押圧している。
【0053】
第3壁部43は、本体部40の後端部40cから延設されて、受け入れ空間9内に配置された板状の弾性片部であり、たとえば、左右方向Xに間隔を隔てて2箇所に設けられている。第3壁部43は、その先端部が前後方向Yに沿って押圧されることにより、基端部を支点にして弾性的に撓むことができる。第3壁部43は、一対の押圧部の他方を構成しており、第2側壁12を前後方向Yに沿って後側に押圧する。
【0054】
第3壁部43の先端部には、第2側壁12に係合するための押圧凸部43aが突出形成されている。この押圧凸部43aは、第2側壁12側に膨出しており、第2側壁12の内側面53を外側面54側(後側)に押圧している。
このように、一対の押圧部としての第2および第3壁部42,43が、第1および第2側壁11,12の対応する内側面52,53を外側へ向けて(前後方向Yに沿って)押圧している。これにより、第2および第3壁部42,43は、第1および第2側壁11,12に対して、上下方向Zに同行移動可能な状態で、所定の摩擦力で摩擦係合している。この所定の摩擦力は、適宜に設定されるが、少なくとも、後述するクリーム半田のリフロー時の熱による樹脂材料の軟化によって、被吸着部材39がリセプタクルコネクタ1のハウジング5に対して相対変位しない程度に設定される。
【0055】
被吸着部材39をリセプタクルコネクタ1に取り付ける際には、まず、図4に示すように、単体の被吸着部材39と単体のリセプタクルコネクタ1とを上下に対向させる。
このとき、被吸着部材39の本体部40の本体下端係合部を、第1側壁11の側壁上端係合部16に対向させる。また、第1壁部41をロック空間20に対向させるとともに、第1壁部41に形成された各外壁下端係合部51を、リセプタクルコネクタ1の対応する底部係合部22にそれぞれ対向させる。また、第2および第3壁部42,43の双方を受け入れ空間9に対向させる。
【0056】
この状態から、被吸着部材39を下側に移動させると、図6(a)〜図6(d)に示すように、第2および第3壁部42,43の押圧凸部42a,43aが、受け入れ空間9内に挿入される。これにより、第2および第3壁部42,43は、第1および第2側壁11,12に挟まれて弾性変形する。押圧凸部42a,43aは、第1および第2側壁11,12の内側面52,53を弾性的に外側へ押圧しつつ、これらの内側面52,53と摩擦係合する。これにより、被吸着部材39がリセプタクルコネクタ1と同行移動可能となる。
【0057】
また、第1壁部41は、その内側面56が第1側壁11の後側部19aに沿わされながら、ロック空間20内に挿入され、各外壁下端係合部51が、第1側壁11の対応する底部係合部22にそれぞれ嵌合する。このとき、第1壁部41の下端部が底部19bに受けられ、被吸着部材39がリセプタクルコネクタ1に対して上下方向Zに位置決めされる。 また、本体部40の本体下端係合部46が、第1側壁11の側壁上端係合部16に嵌合する。このとき、第1および第2壁部41,42によって、第1側壁11が挟持される。
【0058】
第1壁部41は、第1側壁11の外側面18の後側部19aに押圧される。これにより、第2壁部42を第1側壁11の内側面52側により強く押圧させ、第2壁部42と第1側壁11との摩擦係合力を高める補助壁としての機能を第1壁部41が発揮する。つまり、第1および第2壁部41,42によって第1側壁11を挟持する構造により、被吸着部材39とリセプタクルコネクタ1との摩擦係合力が高められている。
【0059】
以上の次第で、被吸着部材39の第2および第3壁部42,43が、リセプタクルコネクタ1の第1および第2側壁11,12の内側面52,53側を外側に押圧することで、被吸着部材39とリセプタクルコネクタ1とが上下方向Zに同行移動可能となる。
また、被吸着部材39の本体下端係合部46と、リセプタクルコネクタ1の側壁上端係合部16との係合、および被吸着部材39の外壁上端係合部51と、リセプタクルコネクタ1の底部係合部22との係合によって、被吸着部材39とリセプタクルコネクタ1との左右方向Xの相対移動が規制される。
【0060】
被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35は、図7に示すように、エンボスキャリアテープ100に収容された状態で市場に供給される。エンボスキャリアテープ100は、キャリアテープ本体101と、このキャリアテープ本体101に剥離可能に貼着された保護シート102とを備えている。
キャリアテープ本体101は、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35を1個ずつ収容するバスタブ状のケース部103を長手方向に沿って間隔を開けて連成した帯状体である。被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35は、配線基板2を水平に配置したときの当該被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35の実装状態の姿勢と同姿勢で、キャリアテープ本体101のケース部103に収容されている。
【0061】
すなわち、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35は、キャリアテープ100を、保護シート102が上方に位置するように水平に延在させた状態で、被吸着部材39の本体部40の上面に形成された被吸着面44がケース部103の上部開口から上方に臨むように収容されている。
被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35を配線基板2に自動実装するための自動実装機は、エンボスキャリアテープ100をリールから引き出して水平に順送りする順送り機構と、この順送り機構の動作とタイミングを合わせて保護シート102を巻き取る保護シート巻き取り機構とを備えている。
【0062】
順送り機構は、保護シート102が上側となるようにエンボスキャリアテープ100を水平に延在させる。その状態で、保護シート巻き取り機構によって保護シート102が巻き取られることにより、保護シート102がキャリアテープ本体101から剥離されていき、ケース部103の上部開口から被吸着部材の被吸着面44が上方側に露出されることになる。
【0063】
この露出された被吸着面44が、自動実装機の吸着部材90によって吸着保持される。吸着部材90は、吸着部材90を前後左右および上下に移動するための吸着部材駆動機構に結合されており、この吸着部材駆動機構は、制御ユニット(マイクロコンピュータを含むもの)によって制御される。吸着部材駆動機構は、制御ユニットによって制御されることにより、所定の吸着位置に導かれたケース部103へと吸着部材90を移動させて、当該ケース部103に収容された被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35を吸着保持させた後、吸着部材90を上方に移動させて、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35をケース部103から取り出す。吸着部材90は、被吸着部材39を介してリセプタクルコネクタ1を間接的に吸着保持する。
【0064】
その後、吸着部材駆動機構は、吸着部材90を配線基板配置部へと移動させ、この配線基板配置部に予め配置されている配線基板2上の所定位置に、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35を搬送する。その後、吸着部材90による被吸着面44の吸着が解除されることにより、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35が配線基板2上の正規位置に実装される。
【0065】
配線基板2上のランドには予めクリーム半田が配置されていて、このクリーム半田にコンタクト6の基板接続部27が接触するように、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35が実装される。この状態の配線基板2をリフロー槽に通すことにより、クリーム半田が溶融し、その後の冷却工程を経て半田が硬化することによって、コンタクト6と配線基板2との永久接合が達成される。
【0066】
コンタクト6と配線基板2との永久結合が達成された後、被吸着部材39がリセプタクルコネクタ1から取り外される。具体的には、図6(b)および図6(c)を参照して、被吸着部材39の本体部40を作業者の手作業やロボットアームなどの自動機械により把持して上方に持ち上げる。これにより、第2および第3壁部42,43の押圧凸部42a,43aは、第1および第2側壁11,12の対応する内側面52,53に対して摺動しつつ上方へ移動する。
【0067】
これにより、第1壁部41が、ロック空間20から引き上げられ、第1壁部41の各外壁下端係合部51が、第1側壁11の対応する底部係合部22から引き抜かれる。また、本体部40の本体下端係合部46が、第1側壁11の側壁上端係合部16から引き抜かれる。
被吸着部材39をさらに引き上げると、第2および第3壁部42,43が受け入れ空間9から引き抜かれ、被吸着部材39がリセプタクルコネクタ1から取り外される。
【0068】
リセプタクルコネクタ1から引き抜かれた被吸着部材39は、回収されて、再び単品のリセプタクルコネクタ1に装着され、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35として、キャリアテープ本体のケース部に収容されて再利用される。
以上のように、この実施形態によれば、吸着部材90によって被吸着部材39を吸着することにより、被吸着部材39に加え、被吸着部材39の第2および第3壁部42,43と摩擦係合しているリセプタクルコネクタ1のハウジング5を持ち上げて移動することができる。
【0069】
また、側壁上端係合部16と本体下端係合部46との嵌合、および底部係合部22と外壁下端係合部51との嵌合により、左右方向Xにおけるハウジング5と被吸着部材39との相対移動が規制されており、また、被吸着部材39のリセプタクルコネクタ1に対する姿勢変動も規制されている。
これにより、被吸着部材39がハウジング5に対して左右方向Xに不用意に動いて位置ずれすることを防止でき、また、リセプタクルコネクタ1に対して傾斜したりすることを防止できる。その結果、吸着部材90を操作して被吸着部材39を配線基板2に対する正規位置に配置することで、リセプタクルコネクタ1を配線基板2に対する正規位置に確実に配置できる。
【0070】
また、側壁上端係合部16と本体下端係合部46との嵌合、および底部係合部22と外壁下端係合部51との嵌合により、被吸着部材39を、左右方向Xに関してハウジング5に対して正規位置に位置決めした状態でハウジング5に取り付けることができる。その結果、吸着部材90で被吸着部材39を吸着する際に、被吸着部材39を、吸着部材90に対して正規の位置に確実に配置しておくことができ、吸着部材90による被吸着部材39の吸着を確実に行うことができる。
【0071】
さらに、被吸着部材39を、ハウジング5に対して所定以上の力で持ち上げることにより、第2および第3壁部42,43を、第1および第2側壁11,12との摩擦係合力に抗して上側に移動させることができ、これにより、被吸着部材39をリセプタクルコネクタ1のハウジング5から取り外すことができる。したがって、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35を配線基板2に実装して固定した後、被吸着部材39を持ち上げるという簡易な動作で、被吸着部材39をリセプタクルコネクタ1から容易に取り外すことができる。
【0072】
また、第2および第3壁部42,43が第1および第2側壁11,12を外側に極めて強く押圧することで被吸着部材39が左右方向Xに動くことを規制する構成ではないので、被吸着部材39を引き上げるときに必要な力が大きくなり過ぎることもない。
また、ハウジング5および被吸着部材39のうち、上下方向Zに互いに対向する部分としての第1側壁11と本体部40とに、側壁上端係合部16と本体下端係合部46とをそれぞれ配置でき、これら側壁上端係合部16および本体下端係合部46を小型にできる。
【0073】
また、一対の押圧部の一方としての第2壁部42と壁部としての第1壁部41とによって第1側壁11を挟持できる結果、被吸着部材39と第1側壁11との摩擦係合力をより高くできる。また、前後方向Yに間隔を隔てて並ぶ第1および第2壁部41,42間に本体下端係合部46を配置している。これにより、これら第1および第2壁部41,42間の空間を有効利用でき、被吸着部材39をより小型にできる。
【0074】
さらに、ハウジング5の係合爪部21をロック空間20に配置するとともに、ロック空間20の底部に底部係合部22を形成し、第1壁部41の下端部に外壁下端係合部51を形成している。これにより、係合爪部21を第1側壁11のロック空間20から突出しないように配置でき、かつ、底部係合部22および外壁下端係合部51をロック空間20から突出しないように配置できる。したがって、ハウジング5を大型化することなく、被吸着部材39の左右相対移動を規制できる。
【0075】
また、側壁上端係合部16および本体下端係合部46からなる凹凸係合部と、底部係合部22および外壁下端係合部51からなる凹凸係合部とを設けることで、2箇所に凹凸係合部を設けることができる。これにより、1つの凹凸係合部のみを設けた場合と比べて、各凹凸係合部に作用する負荷が小さいことから、これらの凹凸係合部を小型にできる。しかも、被吸着部材39のリセプタクルコネクタ1に対する姿勢変更を効果的に抑制できる。
【0076】
また、第2および第3壁部42,43が、第1および第2側壁11,12の対応する内側面52,53を対応する外側面18,54側に押圧することとなり、第2および第3壁部42,43と、第1および第2側壁11,12との間で十分な摩擦係合力を発生することができる。
さらに、被吸着部材39を、左右方向Xにおけるリセプタクルコネクタ1の重心位置Gの近傍に配置していることにより、吸着部材90で被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35を吸着して持ち上げているときに、この被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35が斜めに傾くことを防止でき、この被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35を、安定した姿勢で移動することができる。
【0077】
以上の次第で、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35の被吸着部材として好適な被吸着部材39を実現できる。また、配線基板2上に実装されたリセプタクルコネクタ1から取り外された被吸着部材39を、配線基板2上に実装される前の別のリセプタクルコネクタ1に装着することにより、被吸着部材39を再利用することができる。しかも、側壁上端係合部16と底部係合部22とが形成されたリセプタクルコネクタ1に対しては、左右方向Xに並んでいるコンタクト6の数に拘らず、共通の被吸着部材39を用いることができるので、被吸着部材39の汎用性を高くでき、かつ、廃棄物を少なくすることができる。
【0078】
また、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35のリセプタクルコネクタとして好適なリセプタクルコネクタ1を実現できる。さらに、ハウジング5に側壁上端係合部16と底部係合部22とを形成しておけば、左右方向Xに並ぶコンタクトの数に拘らず、共通の被吸着部材39を用いて被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35を形成できる。したがって、左右方向Xに並ぶコンタクト6の数に応じて被吸着部材39の設計を変更する必要がない。
【0079】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態でも実施することができる。たとえば、図8に示すように、被吸着部材39の一対の垂下部47,48を全体として凸部60とし、第1側壁11の窪み17をこの凸部60に嵌合する凹部として設けてもよい。この場合、凸部60は、被吸着部材39の所定部としての本体部40に形成された凸部からなる被吸着部材側係合部(本体下端係合部)を構成する。また、窪み17は、第1側壁11に形成されて左右方向Xと交差する下方向に延びる凹部からなるハウジング側係合部(側壁上端係合部)を構成する。左右方向Xにおいて、窪み17の長さは、凸部60の長さと比べて僅かに大きくされており、この窪み17への凸部60の嵌合が許容されている。
【0080】
また、リセプタクルコネクタとして、図9(a)〜図9(c)に示すリセプタクルコネクタ1Aを用いてもよい。
なお、以下では、図1〜図7を用いて説明した実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については図に同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
リセプタクルコネクタ1Aは、リセプタクルコネクタ1と比べて、主に以下の点が異なっている。すなわち、(i)コンタクト6の数が少なくされている点と、(ii)第1側壁11A、第2側壁12Aおよびロック空間20Aが、左右方向Xにおいて短くされている点と、(iii)ロック空間20Aに配置されている係合爪部21が1つとされ、左右方向Xにおいて、一対の底部係合部22間に係合爪部21が配置されている点が、主に異なっている。
【0081】
リセプタクルコネクタ1Aは、コンタクト6が左右方向Xに4つ並んだものであり、コンタクト6の数が2列×4=8とされている。
ロック空間20Aの左右方向Xの長さは、被吸着部材39の第1壁部41の左右方向Xの長さよりも僅かに長くされている。
係合爪部21は、第1側壁11Aの凹陥部19Aにおいて、左右方向Xの略中央に配置されている。
【0082】
被吸着部材39がリセプタクルコネクタ1Aに取り付けられたとき、被吸着部材39の第1壁部41の内側面56の逃げ凹部50に、係合爪部21が収容される。このとき、被吸着部材39と、係合爪部21とは当接しない。
この実施形態によれば、第1壁部41をロック空間20A内に配置することで、第1壁部41がロック空間20Aから突出しないようにでき、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35Aをより小型にできる。また、第1壁部41に逃げ凹部50を設けていることにより、第1壁部41に係合爪部21を収容できるので、ロック空間20Aを小型にでき、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ35Aをより小型にできる。換言すれば、ロック空間20Aを大きくすることなく、電線付きコネクタ3とのロック構造および被吸着部材39の左右方向相対移動規制構造を設けることができる。
【0083】
また、リセプタクルコネクタ1に用いられる被吸着部材39をそのままリセプタクルコネクタ1Aに用いることができ、被吸着部材39の汎用性をより高くでき、廃棄物の量を抑制できる。
また、図10に示すリセプタクルコネクタ1Bに被吸着部材39を適用してもよい。この場合、リセプタクルコネクタ1Bは、リセプタクルコネクタ1(図4参照)と比べて、コンタクト6の数がより多く(たとえば、2列×20=40)されており、第1側壁11Bおよび第2側壁12Bが左右方向Xにより長く形成されている。
【0084】
この場合も、リセプタクルコネクタ1に用いられる被吸着部材39をそのままリセプタクルコネクタ1Bに用いることができ、被吸着部材39の汎用性をより高くできる。
また、被吸着部材39に代えて、図11(a)および図11(b)に示す被吸着部材39Cを用いてもよい。被吸着部材39Cが被吸着部材39と異なっているのは、第1壁部41の下端部と第2壁部42Cの下端部の位置とが上下方向Zにおいて異なっている点である。
【0085】
この実施形態では、第2壁部42Cは、本体部40からの下方向への長さが相対的に短くされており、第1壁部41は、本体部40からの下方向への長さが相対的に長くされている。
被吸着部材39Cをリセプタクルコネクタ1に装着する場合において、第1および第2壁部41,42C間に第1側壁11を差し込むときには、これら第1および第2壁部41,42Cのうち、下方に長く延びる第1壁部41を第1側壁11に先に沿わせ、その後、第2壁部42Cを第1側壁11に沿わせる。
【0086】
したがって、第1壁部41を挿入案内部材として用いて、第1および第2壁部41,42C間に第1側壁11を差し込むことができ、この差し込み作業を容易に行うことができる。
また、第1壁部41に対して第2壁部42Cが短くされているので、たとえば、金型を用いて被吸着部材39Cを形成する際の金型の形状を簡素にでき、被吸着部材39Cの製造が容易である。
【0087】
さらに、第1側壁11の内側面52に沿わされた第2壁部42Cの下端部の位置が、第1側壁11の外側面18の後側部19aに沿わされた第1壁部41の下端部の位置よりも上方にあるようにされている。このように、第2壁部42Cを上下方向Zに短くすることで折れ難くでき、リセプタクルコネクタ1のハウジング5内に第2壁部42Cの折れた破片が混入することを抑制できる。
【0088】
また、吸着部材39に代えて、図12(a)および図12(b)に示す被吸着部材39Dを用いてもよい。被吸着部材39Dは、本体部40Dと、第1壁部41Dと、第2壁部42Dと、第3壁部43Dとを備えている。
この被吸着部材39Dが被吸着部材39(図4、図5参照)と異なっているのは、主に、第1壁部41Dおよび第3壁部43Dが一対の押圧部として設けられ、これら第1壁部41Dおよび第3壁部43Dが、第1および第2側壁11,12の外側面18,54を内側(受け入れ空間9側)に押圧する点にある。
【0089】
第1壁部41Dは、第1壁部41と同様の構成を有しているが、一対の押圧部の一方としての機能と、第1側壁11の外側面18のうちの後側部19aに沿って延びる外壁部としての機能とを兼ねている。
第2壁部42Dは、第2壁部42と同様の構成を有しているが、第1側壁11の内側面52を外側に押圧することにより、第1壁部41Dを第1側壁11の外側面18側により強く押圧させ、第1壁部41Dと第1側壁11との摩擦係合力を高める壁部としての機能を有している。つまり、第1および第2壁部41D,42Dによって第1側壁11を挟持する構造により、被吸着部材39Dとリセプタクルコネクタ1との摩擦整合力が高められている。
【0090】
第3壁部43Dは、第2側壁12の外側面54側に配置された1つの弾性片部であり、一対の押圧部の他方を構成しており、第2側壁12を前後方向Yに沿って押圧する。
第3壁部43Dの先端部には、第2側壁12に係合するための押圧凸部43aDが突出形成されている。この押圧凸部43aDは、第2側壁12側に向けて膨出しており、第2側壁12の外側面54を内側面側53側(前側)に押圧している。
【0091】
このように、一対の押圧部としての第1および第3壁部41D,43Dが、第1および第2側壁11,12の外側面18,54を、内側へ向けて(前後方向Yに沿って)押圧している。これにより、第1および第3壁部41D,43Dは、第1および第2側壁11,12に対して、上下方向Zに同行移動可能な状態で摩擦係合している。
被吸着部材39Dをリセプタクルコネクタ1に取り付ける際には、被吸着部材39Dをリセプタクルコネクタ1の上方からリセプタクルコネクタ1側に移動させることで、第1壁部41Dの内側面56が第1側壁11の後側部19aに面接触してこの後側部19aを内側に押圧するとともに、第3壁部43Dの押圧凸部43aDが、第2側壁12の外側面54を内側に押圧する。
【0092】
これにより、第1壁部41Dおよび第3壁部43Dは、第1および第2側壁11,12を前後方向Yの外側から押圧して挟持し、これら第1および第2側壁11,12と摩擦係合する。また、第2壁部42Dは、受け入れ空間9内に配置され、その押圧凸部42aDが第1側壁11の内側面52を外側に押圧することで、第1壁部41Dを第1側壁11により強く押圧する。
【0093】
このように、被吸着部材39Dの第1および第3壁部41D,43Dがリセプタクルコネクタ1の第1および第2側壁11,12を外側面18,54側から内側に押圧することで、被吸着部材39Dとリセプタクルコネクタ1とが上下方向Zに同行移動可能となる。 被吸着部材39Dをリセプタクルコネクタ1から取り外すときには、被吸着部材39Dの本体部40Dを作業者の手指やロボットアームなどにより把持して上方に持ち上げる。これにより、第1壁部41Dの内側面56および第3壁部43Dの押圧凸部43aDは、第1および第2側壁11,12の対応する外側面18,54に対して摺動しつつ上方へ移動する。また、第2壁部42Dの押圧凸部42aDは、第1側壁11の内側面52に対して摺動しつつ、上方へ移動される。これにより、被吸着部材39Dは、リセプタクルコネクタ1から取り外される。
【0094】
リセプタクルコネクタ1から引き抜かれた被吸着部材39Dは、回収されて、再び単品のリセプタクルコネクタ1に装着され、被吸着部材付きリセプタクルコネクタとして、キャリアテープ本体のケース部に収容されて再利用される。
以上のように、被吸着部材39Dを用いる実施形態によれば、第1および第3壁部41D,43Dが第1および第2側壁11,12の対応する外側面18,54を対応する内側面52,53側に押圧することとなり、第1および第3壁部41D,43Dと第1および第2側壁11,12との間で十分な摩擦係合力を発生することができる。また、外壁部としての第1壁部41Dが一方の押圧部としての機能を兼ねることにより、上記外壁部と、上記一方の押圧部とを別々に形成する必要がない。
【0095】
また、第2壁部42Dを、第1壁部41Dと第1側壁11との摩擦係合力を高めるための壁部として用いることにより、第1壁部41Dと第1側壁11との摩擦係合力をより高めることができる。
また、被吸着部材39Dに代えて、図13(a)および図13(b)に示す被吸着部材39Eを用いてもよい。被吸着部材39Eが被吸着部材39Dと異なっている点は、主に、(i)第1壁部41Dの下端部の位置と第2壁部42Eの下端部の位置とが上下方向Zにおいて異なっている点と、(ii)第3壁部43Dと協働して第2側壁12を挟持するための第4壁部61が設けられている点である。
【0096】
この実施形態では、第2壁部42Eは、本体部40Dからの下方向への長さが相対的に短くされており、第1壁部41Dは、本体部40Dからの下方向への長さが相対的に長くされている。
第4壁部61は、第2側壁12を挟んで第3壁部43Dと前後方向Yに対向する小片部分であり、本体部40Dから下方に延設されている。第4壁部61は、本体部40Dからの下方向への長さが相対的に短くされており、第3壁部43Dは、本体部40Dからの下方向への長さが相対的に長くされている。
【0097】
被吸着部材39Eをリセプタクルコネクタ1に装着する場合において、第1および第2壁部41D,42E間に第1側壁11を差し込むときには、これら第1および第2壁部41D,42Eのうち、下方に長く延びる第1壁部41Dを第1側壁11に先に沿わせ、その後、第2壁部42Eを第1側壁11に沿わせる。
したがって、第1壁部41Dを挿入案内部材として用いて、第1および第2壁部41D,42E間に第1側壁11を差し込むことができ、この差し込み作業を容易に行うことができる。
【0098】
同様に、第3および第4壁部43D,61間に第2側壁12が差し込まれるが、これら第3および第4壁部43D,61のうち、下方に長く延びる第3壁部43Dを第2側壁12に先に沿わせ、その後、第4壁部61を第2側壁12に沿わせる。
したがって、第3壁部43Dを挿入案内部材として用いて、第3および第4壁部43D,61間に第2側壁12を差し込むことができ、この差し込み作業を容易に行うことができる。
【0099】
また、第1壁部41に対して第2壁部42Eが短くされているので、たとえば、金型を用いて被吸着部材39Eを形成する際の金型の形状を簡素にでき、被吸着部材39Eの製造が容易である。
同様に、第3壁部43Dに対して第4壁部61が短くされているので、たとえば、金型を用いて被吸着部材39Eを形成する際の金型の形状を簡素にでき、被吸着部材39Eの製造が容易である。
【0100】
さらに、第1側壁11の内側面52に沿わされた第2壁部42Eの下端部の位置が、第1側壁11の外側面18の後側部19aに沿わされた第1壁部41Dの下端部の位置よりも上方にあるようにされている。このように、第2壁部42Eを上下方向Zに短くすることで折れ難くでき、ハウジング5内に第2壁部42Eの折れた破片が混入することを抑制できる。
【0101】
同様に、第2側壁12の内側面53に沿わされた第4壁部61の下端部の位置が、第2側壁12の外側面54に沿わされた第3壁部43Dの下端部の位置よりも上方にあるようにされている。このように、第4壁部61を上下方向Zに短くすることで折れ難くでき、ハウジング5内に第4壁部61の折れた破片が混入することを抑制できる。
なお、各上記実施形態において、側壁上端係合部16および本体下端係合部46は、上下方向Zに限らず、左右方向Xに交差する他の方向(たとえば前後方向Y)に延びていてもよい。同様に、窪み17および凸部60は、上下方向Zに限らず、左右方向Xに交差する他の方向(たとえば前後方向Y)に延びていてもよい。同様に、底部係合部22および外壁下端係合部51は、上下方向Zに限らず、左右方向Xに交差する他の方向(たとえば前後方向Y)に延びていてもよい。
【0102】
また、凹部からなる底部係合部22と凸部からなる外壁下端係合部51とを設ける構成としたが、これら凸部と凹部の配置を入れ換えることにより、凸部からなる底部係合部と凹部からなる外壁下端係合部とを設けてもよい。
また、側壁上端係合部16および本体下端係合部46を含む凹凸係合部と、底部係合部22および外壁下端係合部51を含む凹凸係合部のうちの何れか一方を省いてもよい。
【0103】
さらに、各上記実施形態では、表示装置に用いられる表示パネルとして、液晶表示パネルを例にとったが、液晶表示パネルだけでなく、プラズマディスプレイパネルやEL表示パネルなどのフラットディスプレイパネルを用いた表示装置に対しても、この発明を同様に適用することができる。
また、表示装置だけでなく、リセプタクルコネクタを実装した配線基板を筐体内に収容した構成の電子・電気機器においても、上述のような被吸着部材付きリセプタクルコネクタを適用することができる。
【0104】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0105】
1、1A、1B リセプタクルコネクタ
3 電線付きコネクタ(相手方コネクタ)
5 ハウジング
6 コンタクト
11、11A、12B 第1側壁
12、12A、12B 第2側壁
16 側壁上端係合部(凸部からなるハウジング側係合部)
17 窪み(凹部からなるハウジング側係合部、側壁上端係合部)
18 (第1側壁の)外側面
20、20A ロック空間
21 係合爪部
22 底部係合部(凹部からなるハウジング側係合部)
32b ロック爪
35、35A 被吸着部材付きリセプタクルコネクタ
39,39C,39D,39E 被吸着部材
40,40D 本体部(被吸着部材の所定部)
41 第1壁部(被吸着部材の所定部、外壁部、壁部)
41D 第1壁部(被吸着部材の所定部、一対の押圧部の一方、外壁部)
42,42C 第2壁部(一対の押圧部の一方)
42D,42E 第2壁部(壁部)
43、43D 第3壁部(一対の押圧部の他方)
44 被吸着面
46 本体下端係合部(凹部からなる被吸着部材側係合部)
50 逃げ凹部
51 外壁下端係合部(凸部からなる被吸着部材側係合部)
52 (第1側壁の)内側面
53 (第2側壁の)内側面
54 (第2側壁の)外側面
60 凸部(凸部からなる被吸着部材側係合部、本体下端係合部)
90 吸着部材
G 重心位置
P ピッチ
X 左右方向
Y 前後方向
Z 上下方向(左右方向と交差する方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のハウジング、および、上記ハウジングに保持され、所定のピッチで左右方向に並ぶ複数の導電性のコンタクトを含むリセプタクルコネクタと、
上記ハウジングに対して着脱可能な被吸着部材とを備え、
上記ハウジングは、上記複数のコンタクトを前後方向に挟む第1および第2側壁と、上記第1側壁に形成されて上記左右方向と交差する方向に延びる凸部または凹部からなるハウジング側係合部とを含み、
上記被吸着部材は、吸着部材により吸着される被吸着面が上面に形成された本体部と、この本体部から下方に延設されて上記第1および第2側壁を上記前後方向に沿って押圧し、上記第1および第2側壁に摩擦係合する一対の押圧部と、上記被吸着部材の所定部に形成された凹部または凸部からなり上記ハウジング側係合部に嵌合する被吸着部材側係合部とを含み、
上記第1側壁は、上記リセプタクルコネクタに結合される相手方コネクタに対する連結状態をロックするために、上記相手方コネクタのロック爪に係合する係合爪部を含み、
上記係合爪部は、上記第1側壁の外側面の上端側を窪ませて形成されたロック空間に配置されており、
上記ハウジング側係合部は、上記ロック空間の底部に形成された底部係合部を含み、
上記被吸着部材は、上記第1側壁の外側面に沿って延びる外壁部を含み、
上記被吸着部材側係合部は、上記外壁部の下端部に形成された外壁下端係合部を含む、被吸着部材付きリセプタクルコネクタ。
【請求項2】
上記一対の押圧部は、上記第1および第2側壁の内側面をそれぞれ押圧するように設けられている、請求項1記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタ。
【請求項3】
上記外壁部は、上記一対の押圧部のうちの一方を兼ねるものであり、当該一対の押圧部が上記第1および第2側壁の外側面をそれぞれ押圧するものである、請求項1記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタ。
【請求項4】
上記第1側壁は、左右方向に対向して互いの間に上記ロック空間を区画する一対の対向面を含み、
上記一対の押圧部のうちの一方を兼ねる上記外壁部は、上記一対の対向面にそれぞれ近接して対向する一対の対向面を有している、請求項3に記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタ。
【請求項5】
上記底部係合部は、左右方向に離隔して一対設けられ、
上記係合爪部は、単一で設けられて、左右方向に関して上記一対の底部係合部の間に配置されている、請求項3または4に記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタ。
【請求項6】
上記外壁部は、上記ロック空間内に配置されており、上記係合爪部との接触を避けるための逃げ凹部を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタ。
【請求項7】
上記被吸着部材は、上記左右方向における上記リセプタクルコネクタの重心位置(G)の近傍に配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の被吸着部材付きリセプタクルコネクタ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−8679(P2013−8679A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−163653(P2012−163653)
【出願日】平成24年7月24日(2012.7.24)
【分割の表示】特願2008−71616(P2008−71616)の分割
【原出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】