説明

被検出物質の検出方法及びカートリッジ式検出装置

【課題】被検出物質及び使用場所等についての制約なく、簡便に使用することができ、夾雑物等による測定の妨害等を最小限に止めて正確な測定を実現することができる被検出物質の検出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】被検出物質を含む被検液及び/又はマスキング剤を通す流路と、前記被検出物質を一時的に貯留し、かつ前記マスキング剤を通過させる貯留部と、検出機構の少なくとも一部と、前記貯留部及び/又は検出機構に通じる液体流路とを備える検出用カートリッジ、及び該検出用カートリッジに接続可能であり、被検出物質を分析する処理ユニットを組み合わせて構成されるカートリッジ式検出装置を用いて、前記被検液を、マスキング剤とともに前記貯留部に通し、前記検出用カートリッジ外に排出させて、前記被検液中の被検出物質を貯留部に貯留させ、該貯留部から被検出物質を溶離させて検出機構に送ることを含む被検出物質の検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出物質の検出方法及びカートリッジ式検出装置に関し、より詳細には、カートリッジと処理ユニットとを組み合わせて、被検液中に微量に含有される被検出物質を検出する方法及びそれに使用されるカートリッジ式検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検液を分析するシステムが種々提案されており、その一例として、カード式の携帯型使い捨て分析システムがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
この分析システムは、人又は動物の体液における検査値を検出し、それに相応した出力信号を発生するセンサーを備えたカード式使い捨て検査具と、この検査具からの信号を受けて演算処理する演算処理部及び表示部を含む携帯型分析ユニットとからなる。
【0004】
カード式使い捨て検査具は、薄い仕切り板を挟んで互いに液密に重畳される2枚の基板から構成される。各基板には、体液注入孔、体液を通す通路、体液を貯留する貯蔵部等が設けられている。また、携帯型分析ユニットは、検査具の挿入口を有し、検査具が差し込まれた際に検査具に含まれる体液がセンサーまで流れ、測定が行われる。測定により発生する電気信号が演算処理部において処理され、分析結果が表示部に表示される。
【0005】
この分析システムは、軽便で、現場での検査が可能であり、検査すべき体液を注射器等の注入器で直接注入できるので、検査すべき体液が雰囲気に触れるのを避けることができるという利点がある。
【0006】
しかし、検査対象は、人又は動物の体液といった高濃度の液体であり、例えば土壌に含まれる有害重金属のように極めて微量な被検出物質の濃度測定又はクロマトグラフ分析には使用できない。
【0007】
また、飲用水や廃水、及び血液や尿のような生物学的流体などの分析に使用される微小バンド電極アレイを備えた分析装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0008】
この分析装置は、分析対象の電解質液体が電極に接触することによって発生する電流のファラデー成分を検出するものであり、例えば、平坦な基板からなる平板状のセンサーとして微小バンド電極アレイを備えてなる。このような構成により、非ファラデ−成分の発生を抑制して検出感度を高めることができ、水溶液に微小量含まれる有害金属の検出を図っている。
【0009】
しかし、土壌に含まれる有害重金属のように極めて微量な被検出物質を対象とする場合には、この装置を用いて濃度測定を行うのは、検出感度が十分でないため困難である。
【0010】
【特許文献1】特開平10−311829号公報
【特許文献2】米国特許第6110354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、被検出物質及び使用場所等についての制約を抑えて、簡便に使用することができるとともに、夾雑物等による測定の妨害等を最小限に止めて正確な測定を実現することができる被検出物質の検出方法及びカートリッジ式検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、検出用カートリッジと処理ユニットとを組み合わせたカートリッジ式検出装置を使用する際、用いる被検液によって正確な分析ができない場合があり、この現象について鋭意研究を行った結果、被検液中にいわゆる夾雑物質が存在し、この夾雑物質の種類によっては、夾雑物質が検出部位に流入して分析結果に変動を生じさせることがあること、この夾雑物質を分析の系外に排出することにより、夾雑物質の存在に左右されない精度の高い分析が実現できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0013】
すなわち、本発明の被検出物質の検出方法は、被検出物質を含む被検液及び/又はマスキング剤を通す流路と、前記被検出物質を一時的に貯留し、かつ前記マスキング剤を通過させる貯留部と、検出機構の少なくとも一部と、前記貯留部及び/又は検出機構に通じる液体流路とを備える検出用カートリッジ、及び該検出用カートリッジに接続可能であり、被検出物質を分析する処理ユニットを組み合わせて構成されるカートリッジ式検出装置を用いて、前記被検液を、マスキング剤とともに前記貯留部に通し、前記検出用カートリッジ外に排出させて、前記被検液中の被検出物質を貯留部に貯留させ、該貯留部から被検出物質を溶離させて検出機構に送ることを含むことを特徴とする。
この被検出物質の検出方法においては、検出機構は、電気化学分析機構であり、電極が配置された検出区画を備えることが好ましい。
また、マスキング剤は、ポルフィリン又はその誘導体であることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明のカートリッジ式検出装置は、被検出物質を含む被検液及び/又はマスキング剤を通す流路と、前記被検出物質を一時的に貯留し、かつ前記マスキング剤を通過させる貯留部と、検出機構の少なくとも一部と、前記貯留部及び/又は検出機構に通じる液体流路とを備える検出用カートリッジ、及び該検出用カートリッジに接続可能であり、被検出物質を分析する処理ユニットを組み合わせて構成されるカートリッジ式検出装置であって、前記被検液を、マスキング剤とともに前記貯留部に通し、前記検出用カートリッジ外に排出させる液体流路と、前記貯留部から溶離した被検出物質を含む溶離液を検出機構に送る液体流路とが切り換え可能に構成されていることを特徴とする。
このカートリッジ式検出装置においては、貯留部は、被検出物質の吸着担体を含んで構成されていることが好ましい。
また、処理ユニットは、さらに、送液ポンプと、溶液タンクとを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の被検出物質の検出方法によれば、被検出物質にかかわらず、測定者の操作を省いて簡便に使用することができるとともに、夾雑物等による測定の妨害等を最小限に止めて正確な測定を実現することができる。特に、被検液に含まれる被検出物質の濃度が極めて微量であっても、支障なく、高精度の被検出物質の検出を行うことができる。
また、この検出方法は、電気化学分析、光学分析、液体クロマトグラフ分析、免疫学的検定法(イムノアッセイ)、その他の被検出物質を含む被検液を検出するいかなる方法にも適用することができる。
さらに、検査場所に制限がなく、どんな場所においても、つまり、試料採取現場においても、容易に濃度検出等の検出を行うことができる。加えて、多量のサンプルを迅速に処理することが可能となる。
【0016】
また、本発明のカートリッジ式検出装置は、カートリッジを使用するために、携帯に便利な簡易検出を可能とする。特に、検出に必要な液体流通のための流路配管を極めてコンパクトに収めることができる構造を備えるために、より小型化及び低価格化を実現しながら、高精度の検出を簡便に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、最も広義において、検出用カートリッジと、このカートリッジに接続可能であり、被検出物質を分析する処理ユニットとを組み合わせてなるカートリッジ式検出装置を用いた被検出物質の検出方法である。また、このような被検出物質の検出方法を実現することができるカートリッジ式検出装置である。なお、本発明において、「検出」という用語は、被検出物質の有無、濃度、組成その他の性質に関連する情報を収集すること意味し、定量及び/又は定性分析等の分析が含まれる。また、被険液中に含まれる種々の夾雑物質のうち、貯留部と反応又は吸着することに起因して被検出物質の分析結果に影響をもたらす物質を「妨害物質」と記す。
【0018】
本発明のカートリッジ式検出装置を構成する検出用カートリッジは、少なくとも、被検出物質を含む被検液及び/又はマスキング剤を通す流路と、被検出物質を一時的に貯留するが、マスキング剤を通過させる貯留部と、検出機構の少なくとも一部と、貯留部及び/又は検出機構に通じる液体流路とを備える。
【0019】
また、検出用カートリッジ単独で又は検出用カートリッジと後述する処理ユニットとの組み合わせによって、被検液を、マスキング剤とともに貯留部に通し、検出用カートリッジ外に排出させる液体流路と、貯留部から溶離した被検出物質を含む溶離液を検出機構に送る液体流路とを備え、これらの液体流路は切り換え可能に構成されている。
なお、この装置は、通常、被検液及び/又はマスキング剤(溶液)等を流路に導入/排出するため及び種々の試薬/溶液を液体流路に導入/排出するために、複数のポートが形成されている。これにより、処理ユニットとは無関係に、ポートから検出用カートリッジに被検液、後述するマスキング剤、溶離液、試薬等を導入することができる。
検出用カートリッジに導入された被検液は、貯留部に到達し、通常、ここで、被検液に含まれる被検出物質が貯留部に一時的に貯留される。貯留部を通過した残りの被検液は、検出用カートリッジのポートからカートリッジ外に排出される。あるいは、検出用カートリッジ内又は処理ユニット内に形成された廃液溜に導いてもよい。
【0020】
検出用カートリッジにおける流路及び液体流路は、被検液、マスキング剤、種々の試薬、溶離液等の流れを確保し、液体を移送及び/又は貯蔵することができる限り、その形状、長さ、大きさ、数等は特に限定されず、例えば、数百μm〜数mmのオーダーの幅を有し、数百μmの深さを有する溝により形成されていることが適しており、例えば、流路の断面積は100μm2〜1mm2程度である。
【0021】
貯留部は、被検液に含まれるであろう被検出物質を貯留し、後述するマスキング剤を通過させるものであればよい。また、被検液内の被検物質を濃縮して保持する機能を有している。貯留部は、被検出物質を貯留及び/又は保持するために、通常、吸着担体を含んで構成される。吸着担体は、例えば、多孔質セラミック、多孔質ガラス等の多孔質物質、繊維(例えば、フィルタ等)、高分子膜、孔が形成された金属膜又は微粒子等の表面積の大きな材料を基材として用いることができる。
【0022】
吸着担体の態様としては、微粒子を直方体状、円筒状等に充填したもの、多孔質物質として連通孔を有する担体(モノリス)によるモノリスディスク、モノリスカラム等、繊維としてスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリレート樹脂、シリカ、アルミナ等、セルロース系材料、植物性繊維、動物性繊維等が挙げられる。また、基材の表面に、被検出物質に対して化学反応を行う又は吸着作用を有する官能基等を修飾した又は重金属受容性物質で処理したものを用いてもよい。このような官能基等としては、例えば、カチオン性又はアニオン性物質吸着担体として、スルホン基、第4級アンモニウム基、オクタデシル基、オクチル基、ブチル基、アミノ基、トリメチル基、シアノプロピル基、アミノプロピル基、ニトロフェニルエチル基、ピレニルエチル基、ジエチルアミノエチル基、スルホプロピル基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、スルホキシエチル基、オルトリン酸基、ジエチル(2−ヒドロキシプロピル)アミノエチル基、フェニル基、イミノジ酢酸基、エチレンジアミン、硫黄原子を含むキレート形成基、例えば、各種メルカプト基、ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基などの官能基や、アビジン、ビオチン、ゼラチン、ヘパリン、リジン、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、プロテインA、プロテインG、フェニルアラニン、ヒママメレクチン、デキストラン硫酸、アデノシン5'リン酸、グルタチオン、エチレンジアミン二酢酸、プロシオンレッド、アミノフェニルホウ酸、牛血清アルブミン、ポリヌクレオチド(例えばDNA)、タンパク質(例えば抗体)等の原子団等を用いることができる。
【0023】
検出機構は、特に限定されることなく、被検出物質を検出することができる方法を実現し得る機構の全てを利用することができる。方法としては、電気化学分析法、光学分析法、液体クロマトグラフィー分析、免疫学的検定法、他の原理を利用した分析、例えば特異的結合反応を利用した分析等、これらの2種以上を組み合わせたものが挙げられる。機構としては、特に限定されず、例えば、電気化学分析のための電極及び電流・電圧を印加又は読取る手段等、光学的分析法における光学セル、光源及び分光器等、液体クロマトグラフィーにおけるクロマトカラム、イムノアッセイにおける抗原又は抗体の固定相等又はその一部が、検出用カートリッジにおける検出区画を構成して、搭載される。
【0024】
検出用カートリッジにおいて、これら検出機構の一部のみが形成されている場合には、検出機構の他の部分は、後述する処理ユニット内に形成/配設される。例えば、検出機構を構成する部材として、ワンウェイに適した再生しにくい部材(例:HPLCカラム)、測定毎に煩雑な再生処理等を要する部材等は、カートリッジ側に配置することが好ましい。また、電気化学分析における電極は、測定毎に研磨を必要とするため、カートリッジ搭載に適している。一方、発色分析における光学セルは、測定毎に行う処理として比較的簡易な水洗浄でよいため、カートリッジ内に配置してもよく、処理ユニット内に配置してもよい。
【0025】
具体的には、検出機構が電気化学分析の場合は、検出用カートリッジ内の検出区画に、作用電極、対向電極及び参照電極等の電極が設置され、後述する溶離液が電解質溶液を兼ね、処理ユニット内に、電極と接続され、電流・電圧を印加又は読取る手段が設けられる。また、光学分析の場合は、検出用カートリッジ内に光学セルが設けられ、分析装置内に光源や分光器等が設けられる。
【0026】
複数のポートは、被験液又は試薬等を供給及び排出するために用いるものであり、その大きさ及び位置は特に限定されることなく、後述する検出を行うために適所に適宜形成される。例えば、ポートは、貯留部の上流、貯留部と検出機構との間、検出機構の下流等に、適宜配置することができる。ポートの選択/切り換えは、後述するバルブ機構(例えば、電磁バルブ等)により行うことができるが、この選択/切り換えを容易にするために、後述する補助部材を利用してもよい。
【0027】
処理ユニットは、検出用カートリッジからの電気信号、光学データ等を読み取り、処理し、被検出物質の濃度に関する情報を生成、測定する処理手段、演算/情報処理手段を含む電子処理手段、電源等を備えていることが適している。処理手段としては、特に限定されるものではなく、上述したような電気化学分析、発色分析法等を実現することができる手段等を含むものであればよく、演算処理手段は、例えば、マイクロコントローラから構成される制御部、A/Dコンバータ等、いずれも周知のものを利用することができる。
さらに、処理ユニットは、任意に、検出結果を表示するための表示部を設けることができる。加えて、送液ポンプ、タンク(例えば、水タンク、試薬調製用タンク、溶離液タンク、廃液タンク等)等を備えていることが好ましい。なお、試薬調整用タンクには、流路又は液体流路あるいは試薬部が試薬を収容する場合には、水を充填しておいてもよいし、液体の試薬自体を充填しておいてもよい。
なお、処理ユニットは、検出用カートリッジを取外し自在に取り付けることができるカートリッジ取付部を備えることが好ましい。
【0028】
また、処理ユニットは、タンク切換バルブ機構、配管切換バルブ機構等のバルブ機構を備えていることが好ましい。タンク切換バルブ機構は、任意のタンクを送液ポンプに接続するために機能し、配管切換バルブ機構は、送液ポンプを、検出用カートリッジに設けられた複数のポートのうち、任意の1つに切換接続するために機能するものであることが好ましいが、両機能を直接的又は間接的に行えるものであればよい。バルブ機構自体は、公知のもののいずれをも利用することができる。これにより、上述した2つの液体流路、つまり、(1)被検液をマスキング剤とともに貯留部に通し、検出用カートリッジ外に排出させる液体流路と、(2)貯留部から溶離した被検出物質を含む溶離液を検出機構に送る液体流路とを切り換えることができる。また、任意のポートに切換接続することにより、検出用カートリッジ内又はこのカートリッジと処理ユニットとの組み合わせにおいて、任意の流路を確保することができる。
【0029】
本発明では、補助部材として、検出用カートリッジ及び処理ユニットのほかに、例えば、被検液を注入するためのシリンジ、シリンジ内の溶液を検出用カートリッジ内に導くための部材、検出用カートリッジにおける液流を確保する及び後述するような検出操作を行うことを確保する等のための種々の部材を組み合わせて用いることができる。補助部材は、いずれのポートにどのように接続して用いてもよい。
【0030】
このような装置を用いて、被検出物質を検出するためには、被検液を、マスキング剤とともに貯留部に通し、検出用カートリッジ外に排出させる。これにより、被検液中の被検出物質を貯留部に貯留させることができる。つまり、上述したカートリッジ式検出装置を用いる場合に、貯留部と、そこに留まらないマスキング剤とを組み合わせて利用することにより、被検出物質のみを貯留部に一時貯留させ、妨害物質をマスキング剤とともに有効に排除することを可能にする。
【0031】
ここで、マスキング剤とは、マスキング剤自体が妨害物質と反応又は吸着することによって、妨害物質が貯留部へ貯留されることを防止するものである。つまり、マスキング剤は、被検液中に含有される被検出物質の検出を阻害又は妨害する妨害物質と反応するか又は妨害物質を吸着し、かつ被検出物質と反応しないもの、あるいはそれ自体の反応性が妨害物質>被検出物質である(以下これを、選択的反応性と記す)ものである。さらに、マスキング剤は、それ自体及び妨害物質との反応物/吸着物が、貯留部に貯留せず、貯留部を通過し得るものである。
【0032】
このように作用を有するマスキング剤としては、例えば、各種金属イオンに対する錯体を形成する錯形成剤が挙げられる。錯形成剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン-N,N,N',N'-四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(EDTA−OH)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、トリエチレンテトラミン酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(DHEG,Bicine)、イミノ二酢酸(IDA)、エチレンジアミン(EDDA)、ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA−OH)、ニトリロ三プロピオン酸(NTP)、ジアミノプロパン四酢酸(Methyl−EDTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、エチレンジアミン二プロピオン酸(EDDP)、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸(EDTPO)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTPO)、ビス(2−アミノフェニル)エチレングリコール四酢酸(BAPTA)、テトラエチレンペンタミン(TETREN)及びこれらの塩等が挙げられる。これらの錯形成剤のうち、被検出物質及び妨害物質とのキレート安定度定数(生成定数)に基づいて、被検出物質と反応しないか、選択的反応性を有するという条件に適合するものを適宜選択して用いることが適している。
【0033】
また、分析化学の分野で特定物質に対するマスキング効果を有する物質として知られている物質を、マスキング剤として用いてもよい。例えば、妨害物質としての銅に対するマスキング剤として、下記式
【0034】
【化1】

(式中、Rは、例えば、水素原子又は1価の有機基を示す。ここで、1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、ビニル基、アリール基、ピリジニル基等が挙げられ、特に、
【0035】
【化2】

等の四級アンモニウム系化合物が好ましい。)
で表わされるポルフィリン及びその誘導体、シアン化カリウム、チオシアン酸カリウム、チオグリコール酸、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、o−フェナントロリン等、妨害物質としての鉄(III)に対するマスキング剤として、シュウ酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
【0036】
さらに、発色分析に用いられる試薬のうち、発色分析の対象となる物質(妨害物質)と選択的に反応する発色試薬等を、マスキング剤として用いてもよい。例えば、銅にするマスキング剤として、ポルフィリン又はその誘導体、ジシンコニン酸、バソクプロイン等;塩化物イオンに対するマスキング剤として、チオシアン酸第二水銀等;塩素に対するマスキング剤として、N,N'−ジエチル−p−フェニレンジアミン等;ヨウ素に対するマスキング剤として、N,N'−ジエチル−p−フェニレンジアミン等;第一鉄に対するマスキング剤として1,10−フェナントロリン等;全鉄に対するマスキング剤として、2,4,6−トリス(2−ピリジル)−1,3,5−トリアジン等;セレンに対するマスキング剤としてジアミノベンジジン等が挙げられる。
【0037】
加えて、妨害物質を選択的に環状構造の内部に捕捉する性質を有する包接化合物をマスキング剤として使用してもよい。このような包接化合物は、妨害物質を捕捉対象とするものを選択して用いることができる。例えば、クラウンエーテル(18−クラウン−6−エーテル、12−クラウン−4−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、トリベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、30−クラウン−7−エーテル等)、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ポルフィリン等が挙げられる。
【0038】
妨害物質の種類によっては、妨害物質と特異的に反応する抗原又は抗体、受容体等、バイオテクノロジーの分野で公知の物質をマスキング剤として用いてもよい。
【0039】
これらのマスキング剤は、予め被検液に添加して混合溶液とし、上述した検出用カートリッジに導入してもよいし、上述したように、予めマスキング剤を貯留部内に保持させておいて、被検液を貯留部に導入すると同時に添加してもよい。また、被検液を検出用カートリッジへ導入する際に、上述した補助部材を用いる場合には、この補助部材内に予めマスキング剤を収容しておき、被検液の導入の際に、マスキング剤とともに検出用カートリッジへ導入してもよい。さらに、被検液を注入するためのポートと、貯留部との間に、別個のポートを設け、被検液の導入時に同時に別個のポートからマスキング剤を導入してもよい。また、被検液を注入するためのポートと貯留部との間の流路又は空間に予めマスキング剤を保持し、ポートから導入された被検液の流通によってマスキング剤を添加してもよい。さらに、マスキング剤を貯留部を構成する吸着担体に付着させておくか、吸着担体で挟持するなどして、予め貯留部内にマスキング剤を保持させておいてもよい。この場合は、貯留部において被検液とマスキング剤とが接触した後、被検液中の物質がマスキング剤と反応又は吸着等のするか、しないかにかかわらず、最終的にマスキング剤が貯留部内を通って、貯留部から排出され、さらに検出用カートリッジ外に排出される。マスキング剤の被検液との混合を、補助部材、検出用カートリッジ内で行う場合には、測定者の操作を追加することなく簡便にマスキング剤の添加を実現することができる。
【0040】
マスキング剤は、溶液、分散液又は懸濁液等の液状あるいは顆粒、錠剤等の固体状のいずれで用いてもよいが、被検液とともに流路に導入し、貯留部を通過させる場合には、液状であることが適している。また、マスキング剤を、予め、貯留部内に、例えば、吸着担体に付着、挟持させる場合には、固体状であることが適している。この場合、マスキング剤は、被検液を貯留部に流入すると同時に被検液と反応等し、被検液とともに貯留部を通過して排出される。マスキング剤の使用量は、被検液及び被検出物質の種類及び量、マスキング剤の種類等に応じて、適宜調整することができる。また、マスキング剤の溶液等に助剤を添加してもよいし、マスキング剤と妨害物質との反応時に、選択的反応性を高めるためのpH及び温度等の条件を調整することが好ましい。助剤及び条件の調整は、当該分野で公知である。
【0041】
また、貯留部から被検出物質を溶離して検出機構に送る。溶離液としては、当該分野の分析に用いることができる一般的な溶離液のいずれをも用いることができる。その方法は、測定対象となる被検液、それに含まれる被検出物質、用いる溶離液等に応じて、当該分野で公知のいずれの方法を利用することもできる。さらに、電解質液等、本発明の装置を操作するために使用する溶液も、当該分野の分析に用いることができる一般的なもののいずれをも用いることができる。
本発明のカートリッジ式検出装置及び検出方法の具体的な一例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0042】
図1に示すように、検出用カートリッジ1は、例えば、3枚の樹脂製のベース基板11、12、13を、下からこの順で重ね、組み合わせて構成されている。典型的な例を挙げると、各基板の大きさは、平面形状が35mm×50mmであり、一枚の基板の厚さは1mmであり、重ね合わせた状態で約4mmとなる。
【0043】
基板11、12の間には、アニオン性又はカチオン性物質を吸着する吸着担体(図示せず)、アニオン性又はカチオン性物質を検出するための作用極(図示せず)、この作用極に対応する対極(図示せず)及び参照極(図示せず)がそれぞれ配置される。基板11には、これら電極を所定位置に収めるための凹部31と、吸着担体を収容する凹部32とが形成されている。吸着担体は、被検出物質を一時的に貯留する貯留部を構成する。
【0044】
例えば、カドミウム、鉛、水銀及び六価クロム(カチオン)測定用の作用極としては、板状カーボン電極(例えば、サイズ3.5mm×8.4mm×0.5mm)を用いることができる。また、ガラス基材上にクロム層を介して金層が形成された金電極(例えば、サイズ3.5mm×8.4mm×0.5mm)を用ることにより、砒素及びセレン(アニオン)測定用の作用極を構成することができる。対極には、作用極と同様の板状カーボン電極(例えば、サイズ3.5mm×8.4mm×0.5mm)を使用し、参照極には、アルミナ基材上に銀ペースト(日本アチソン社製6022)が塗布された電極(例えば、サイズ3.5mm×8.4mm×0.5mm)を使用することができる。
【0045】
電極の大きさは全て統一されており、電極表面と基板11の表面が同一面になるように、それぞれの電極が基板11の凹部31にそれぞれ収められている。基板11と基板12の間、基板12と基板13の間は、液密に固定されている。電極の表面は、例えば、粘着テープ等によってマスクされ、粘着テープの電極に対応する箇所に所定の面積の孔を開口することにより、各電極が露出される。
図1及び図2では、説明の便宜上、カチオン又はアニオン測定用の電極は、いずれか一系統しか示していないが、双方を搭載する場合には、二系統の電極を同様にカートリッジの全面に搭載される。
【0046】
基板11には、溶液、試薬等を導入/排出するための複数のポート33、34、35、36、38等が形成されている。
基板12には、被検液、溶離液等の導入のための貫通孔211、27、貯留部を構成する貫通孔222、電極の列に重なる溝23、その溝23内に連結する貫通孔24、廃液溜に連結する貫通孔26等が形成され、これらの貫通孔等は、基板12が基板11に重ねられたとき、基板11の貫通孔や凹部等に重なる位置に形成されている。
基板13は、基板13が基板12に重ねられたとき、基板12の貫通孔211と接続し、貯留部の上部を受ける凹部42に連なる溝が形成されている。
基板13には図示していないが、参照電極活性化液としての電解質溶液を入れた電解質溶液パック等を収める電解質溶液室等となる溝等が形成されていてもよい。
【0047】
このような構成により、図2に示すように、矢印Cから溶液を導入することができ、貯留部及び検出機構を経て(つまり、吸着担体32aからポート38、ポート34、検出区画23aを経て)、検出用カートリッジ外に廃液することができる。
なお、各基板の構成によって、検出用カートリッジは、図2等に示すように、貯留部−検出機構間のポート付近等が外部流路(カートリッジ内でなく、処理ユニット側に設けられた流路)で形成されており、処理ユニット内の流路を経由して、再びカートリッジ内に戻るような構成が採用されていてもよい。
上述した検出用カートリッジは、3枚基板のカートリッジについて詳述しているが、検出用カートリッジの構成は、上述したポート、流路、貯留部及び検出機構等を備えるものであれば、1枚基板、2枚基板、4枚基板(例えば、図7参照)、5枚以上の基板で構成されるものであってもよい。
例えば、4枚基板の検出用カートリッジ70は、図7に示すように、4枚の樹脂基板が貼り合せられて構成されており、各基板82、83、84、85には、ポート71、72、73、74、75、流路76、77、78、79、貯留部を構成する吸着担体80、検出区画81に相当する溝等が形成されており、矢印X−X’間及びY−Y’間において、それぞれ被検液、溶離液等が導入されるように構成されている。
【0048】
このカートリッジ式検出装置における処理ユニットは、図3に示すように、ケーシング20内に収められた演算処理装置21と、溶液供給部22とを備える。溶液供給部22は、溶液タンク54、55、56を収めた溶液カセット50と、基板11に形成されたポートを切り換えるためのバルブ機構51と、ポンプ52とを備える。溶液カセット50は、ケーシング20に嵌め込まれる構造であり、バルブ機構51とポンプ52は、図3では図示の便宜上ケーシング20の外に示してあるが、ケーシング20内に配置される。
バルブ機構51は、例えば、5方向バルブ53aと4方向バルブ53bとを含む。5方向バルブ53aの流入側は、ポンプ52及び4方向バルブ53bを介して溶液タンク54、55、56に接続されている。5方向バルブ53aの流出側は、検出カートリッジに接続するためのカートリッジホルダ61に接続される。例えば、基板11には複数のポートが形成されており、5方向バルブ53aは、これらのポートの切り換えを行う。
【0049】
4方向バルブ53bは、溶液タンク54、55、56とポンプ52との間の接続を切り換えるためのものである。溶液タンク54、55、56にはアニオン性物質吸着担体用の溶離液、カチオン性物質吸着担体用の溶離液(電解質溶液と兼用)及び洗浄水等がそれぞれ収められており、4方向バルブ53bによって、ポンプ52に送液される溶液が切り換えられる。なお、バルブ53aとカートリッジの各ポートに接続するカートリッジホルダ61はプラスチック基材上に設けられた溝によって配管が形成されたものによって構成されていてもよい。タンク54〜56とバルブ53bとの間の接続も同様である。
【0050】
溶液タンクを収める溶液カセット50は、処理ユニット2のケーシング20に対し着脱できる構造となっており、各タンクに貯蔵する溶液が不足した際には、溶液タンクを取り外し、溶液を補充することができる。溶液タンク56と蓋57は着脱可能であり、ゴムリングにより溶液の漏れを完全にシールできる構造となっている。また蓋57の上部は、コネクタ構造により、カセット50の蓋58にワンタッチで結合できる構造となっている。
【0051】
さらに、処理ユニット2のケーシング20内に配置される演算処理装置21は、マイクロプロセッサ及び各種ドライバを搭載した電子基板66を備えており、処理ユニット2の上面67には、表示部と操作ボタンなどのユーザインタフェースが設けられている。処理ユニットの外面には、さらに検出用カートリッジ挿入ケース62が設けられる。この挿入ケース62は、開閉可能なヒンジ型の蓋として構成され、カートリッジが嵌め込まれるカートリッジホルダ61に対して開閉可能である。カートリッジホルダ61は、開閉可能な構造を有する。また、処理ユニット2は、電源コードを繋ぐ接続部64と、電源コードを繋がなくとも動作することができるバッテリー63と、外部と無線通信することができる通信機器65とを有する。
【0052】
処理ユニット内の演算処理ユニットは、例えば、図4のブロック図で示すように、マイクロコントローラから構成される制御部、A/Dコンバータや各種のブロックに示される構成コンポーネントを含む処理ユニット2により構成される。これらのコンポーネントは、いずれも周知のものを利用することができる。
なお、処理ユニット、それに搭載される演算処理ユニット等の構成は、使用する検出用カートリッジの構成に対応するように、流路、ポートが確保されるとともに、それらの作動を実現するために、その構成を適宜変更することができる。
【0053】
このような構成のカートリッジ式検出装置を用いて、被検出物質を測定する方法について、以下に詳述する。
(電気化学分析によるカドニウムの検出)
カドニウムは低濃度であっても人体への影響が懸念され、法規制の対象となっている。一方、銅は汎用の材料であり、被検液中にカドニウムより高い濃度で存在することがある。しかし、カドニウム及び銅の混合溶液を電気化学分析手法の一種であるアノーディックボルタメトリ法によって測定した場合、カドニウムに由来するピークが出現せず、あるいは出現するが、銅が共存しない場合のピークに対して小さいピークとなり、正確な定量ができないことがある。
そこで、ポルフィリン(TMPyP)をマスキング剤、アスコルビン酸及びアスコルビン酸ナトリウムを、ポルフィリンと銅との反応性を高めるための助剤として用いて、カドミウムに銅が含有された被検液を分析した。
【0054】
実施例1
10ppbのCd、10ppbのPb、700ppbのCuを含有する混合溶液10mlに対して、1.76μMの5,10,15,20-テトラキス(N-メチルピリジニウム-4-イル)-21H,23H-ポルフィリン,テトラキス(p-トルエンスルホン酸塩)、0.2mMのアスコルビン酸及び1.0mMのアスコルビン酸ナトリウムからなるマスキング剤溶液を添加した。各成分の濃度は、添加後の濃度である。
【0055】
図5に示した検出用カートリッジ1において、矢印Aで示す方向に沿って、ポート36から液体流路41aに、例えば、シリンジ等を用いて、得られた混合溶液を注入し、貯留部を構成する吸着担体32aに通した。これにより、溶液中のカチオン成分であるCd及びPbが貯留部にトラップされ、ポルフィリンと銅との反応物及び未反応のポリフィリンが、ポート38から、矢印Bに沿って、排出された。
【0056】
ここで、検出用カートリッジは、500×300×4mmの大きさであり、貯留部を構成する吸着担体として、直径60mmにカットした3M社製「エムポア(登録商標)ディスクCation-SR」を用いた。作用電極及び対向電極は三菱鉛筆社製PFCE、参照電極はAg/AgCl電極を用いた。
【0057】
次に、1.6MのNaCl、10mMのクエン酸一水和物を含有する溶離液(pH=2.5)を、図2に示した検出用カートリッジ1において、矢印Cで示す方向に沿って、ポート36から液体経路41aに、流速50μl/分で4分間に渡って送液した。これにより、貯留部にトラップされたCd及びPbが溶離液中に移動し、この溶離液は、貯留部からポート38、34を通って検出区画(電極区画)23aに到達した。この間、−1.0Vの電圧を作用電極に印加することにより、検出区画(電極区画)を通過するCd及びPbを電極表面に析出させた。その後、掃引速度0.125V/秒、周波数50Hz、ステップ電位2.5mVで0.6Vまで掃引することにより、Cd及びPbがそれら化学種に特有の電圧に達した際にイオン化して溶液に移行する。この際の電圧−電流曲線を測定した(アノーディック・スクエアウェーブボルタメトリによる分析)。なお、電圧値に基づいて定性分析を、電流値に基づいて定量分析を行うことができる。
【0058】
比較例として、マスキング剤溶液を用いない以外は、実施例と同様の方法でCd及びPbを分析した。
また、実施例1においてCd及びPbの分析が正確に行われていることを確認するため、参考例として、Cuを添加せず、Cd及びPbのみの混合溶液を被検液として用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、Cd及びPbを分析した。
【0059】
これら実施例、比較例、参考例の結果をまとめて、図6(a)〜(c)に示す。
Cuを含有しない参考例では、Cd及びPbのピークが明確に検出されていた。また、実施例では、検出区画にCuが流入しないので、Cuによって影響されず、参考例とほぼ同等のCd及びPbの定性及び定量分析が可能となることが確認できた。
一方、比較例では、Cuの影響によってCd及びPbのピークが検出できないことが確認された。
【0060】
実施例2
銅に対するマスキング剤として、ポルフィリンに代えて、テトラエチレンペンタミンを用いた以外は実施例1と同様に操作し、実施例1と同様の効果を得た。
なお、テトラエチレンペンタミンは、添加後の濃度が210ppmになるように添加した。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のカートリッジ式検出装置は、所定の流路を確保することができるものであれば、この装置自体の構成にかかわらず、貯留部とマスキング剤とを組み合わせて利用することにより妨害物質の除去を実現するいずれの態様の検出装置、検出方法においても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態の検出用カートリッジを分解して示す斜視図である。
【図2】検出用カートリッジ内の被検液の流れを示す斜視図である。
【図3】処理ユニットの構造を分解して示す斜視図である。
【図4】処理ユニット内部の電気系統のブロック図である。
【図5】本発明のカートリッジ式検出装置におけるカートリッジ内の液流を説明するための概略斜視図である。
【図6】カドミウム、鉛測定により得られた電位−電圧曲線を示すグラフである。
【図7】本発明のカートリッジ式検出装置における別の検出用カートリッジを示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1、70 検出用カートリッジ
2 処理ユニット
11、12、13ベース基板
31、42 凹部
211、222、24、25、26、33、41 貫通孔
23a 検出区画
23 溝
34、35、36、38 ポート
41a 液体流路
32a 吸着担体
34a、36a、38a ポート
20 ケーシング
21 演算処理装置
22 溶液供給部
54、55、56 溶液タンク
50溶液カセット
51 バルブ機構
52 ポンプ
53a 5方向バルブ
53b 4方向バルブ
57、58 蓋
66 電子基板
67 処理ユニットの上面
62 検出用カートリッジ挿入ケース
61 カートリッジホルダ
64 接続部
63 バッテリー
65 通信機器
71、72、73、74、75 ポート
76、77、78、79 流路
80 吸着担体
81 検出区画
82、83、84、85 基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物質を含む被検液及び/又はマスキング剤を通す流路と、前記被検出物質を一時的に貯留し、かつ前記マスキング剤を通過させる貯留部と、検出機構の少なくとも一部と、前記貯留部及び/又は検出機構に通じる液体流路とを備える検出用カートリッジ、及び該検出用カートリッジに接続可能であり、被検出物質を分析する処理ユニットを組み合わせて構成されるカートリッジ式検出装置を用いて、
前記被検液を、マスキング剤とともに前記貯留部に通し、前記検出用カートリッジ外に排出させて、前記被検液中の被検出物質を貯留部に貯留させ、
該貯留部から被検出物質を溶離させて検出機構に送ることを含むことを特徴とする被検出物質の検出方法。
【請求項2】
検出機構は、電気化学分析機構であり、電極が配置された検出区画を備える請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
マスキング剤は、ポルフィリン又はその誘導体である請求項1又は2に記載の検出方法。
【請求項4】
被検出物質を含む被検液及び/又はマスキング剤を通す流路と、前記被検出物質を一時的に貯留し、かつ前記マスキング剤を通過させる貯留部と、検出機構の少なくとも一部と、前記貯留部及び/又は検出機構に通じる液体流路とを備える検出用カートリッジ、及び該検出用カートリッジに接続可能であり、被検出物質を分析する処理ユニットを組み合わせて構成されるカートリッジ式検出装置であって、
前記被検液を、マスキング剤とともに前記貯留部に通し、前記検出用カートリッジ外に排出させる液体流路と、
前記貯留部から溶離した被検出物質を含む溶離液を検出機構に送る液体流路とが切り換え可能に構成されていることを特徴とするカートリッジ式検出装置。
【請求項5】
貯留部は、被検出物質の吸着担体を含んで構成される請求項4に記載のカートリッジ式検出装置。
【請求項6】
処理ユニットは、さらに、送液ポンプと、溶液タンクとを備える請求項4又は5に記載のカートリッジ式検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−333708(P2007−333708A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169377(P2006−169377)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】