説明

被膜形成用組成物

【課題】摺動耐久性に優れ、また、基体と良好に密着しており基体が変形する場合の当該変形への追従性にも優れる潤滑性の被膜を、任意の材質の基体の表面に形成し得る組成物及び方法を提供すること、並びに、そのような優れた特性を備える基体を提供すること
【解決手段】(A)活性エネルギー線硬化性樹脂、及び、(B)オイル含有微粒子
を含む被膜形成用組成物を含む被膜形成用組成物を用いて基体を表面処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被膜形成用組成物及び被膜形成方法、並びに、被膜が表面に形成された表面被覆基体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線等の活性エネルギー線によって硬化可能な樹脂を各種の基体表面に塗布し、活性エネルギー線を照射することによって、当該基体表面に潤滑性被膜を形成することが知られている。
【0003】
例えば、特表2005−513209号公報には、紫外線硬化性樹脂を含む潤滑性被膜形成用組成物が記載されており、当該組成物には摩擦低減剤としてのポリテトラフルオロエチレン微粉末が更に配合されている。しかし、このような組成物により形成された潤滑性被膜は物体との接触時に境界潤滑状態を作るため、摩擦係数が上昇して潤滑性被膜が剥離する傾向があり、摺動耐久性に劣る。そこで、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の配合量を増加させると、今度は、紫外線硬化性が悪化し、また、潤滑性被膜と基体との密着性が悪化する傾向がある。
【0004】
特開2004−176054号公報及び特開2011−26606号公報には、紫外線硬化性樹脂と共にシリコーンオイル等の潤滑性付与剤を含む潤滑性被膜形成用組成物が記載されているが、例えば、熱分解により当該組成物に含まれる低分子シロキサンが電気接点にシリカとして析出した場合には接点不良を引き起こす等の問題がある。
【0005】
一方、特開2002−69473号公報及び特開2003−73609号公報には、オイル又はグリースを内包し、カプセル壁がウレア樹脂、メラミン樹脂等からなるマイクロカプセルを熱硬化型樹脂に配合した熱硬化型の潤滑性被膜形成用組成物が記載されている。しかし、このような熱硬化型潤滑性被膜形成用組成物を用いて得られる被膜は摺動耐久性が十分ではない。また、基体との密着性に乏しく、基体が変形する場合には当該変形への追従が困難である。しかも、被膜形成に加熱が必須であるため、熱可塑性樹脂、ゴム等の耐熱性の低い材質からなる基体には被膜を形成できないという問題がある。
【0006】
また、特表2005−513257号公報には、ポリエーテルエーテルケトン等のプラスチックからなるポリマーマトリックス中に潤滑剤が封入されたマイクロカプセルを分散した封止要素が記載されている。そして、特開2007−131676号公報には、揮発有機溶剤、結合剤及び潤滑剤を内含したマイクロカプセルを含む潤滑被膜用組成物が記載されている。しかし、これらの文献には、紫外線等の活性エネルギー線によって硬化する樹脂の使用については記載も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2005−513209号公報
【特許文献2】特開2004−176054号公報
【特許文献3】特開2011−26606号公報
【特許文献4】特開2002−69473号公報
【特許文献5】特開2003−73609号公報
【特許文献6】特表2005−513257号公報
【特許文献7】特開2007−131676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みて為されたものであり、摺動耐久性に優れ、また、基体と良好に密着しており基体が変形する場合の当該変形への追従性にも優れる潤滑性の被膜を、任意の材質の基体の表面に形成し得る組成物及び方法を提供することをその目的とする。また、本発明は、そのような優れた特性を備える基体を提供することをもその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂、及び、(B)オイル含有微粒子を含む被膜形成用組成物によって達成される。
【0010】
前記活性エネルギー線は紫外線であることが好ましい。
【0011】
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂はラジカル重合性であることが好ましい。
【0012】
本発明の被膜形成用組成物は(C)活性エネルギー線重合開始剤を更に含むことが好ましい。この場合、(C)活性エネルギー線重合開始剤は、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100重量(質量)部に対して0.1〜10重量(質量)部の範囲で被膜形成用組成物に配合することが好ましい。
【0013】
(B)オイル含有微粒子は少なくとも1種のオイルを内包するカプセル壁からなるマイクロカプセルであることが好ましい。
【0014】
前記オイルとしてはフッ化オイルが好ましい。
【0015】
前記カプセル壁は少なくとも1種の熱硬化性樹脂から構成されることができる。
【0016】
(B)オイル含有微粒子の粒径は1〜30μmの範囲であってよい。
【0017】
前記オイルは(B)オイル含有微粒子の全重量(質量)の20〜90重量(質量)%を占めることができる。
【0018】
(B)オイル含有微粒子は、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100重量(質量)部に対して1〜100重量(質量)部の範囲で被膜形成用組成物に配合することができる。
【0019】
本発明の被膜形成用組成物は少なくとも1種の(D)無機微粒子及び/又は有機微粒子を更に含んでもよい。
【0020】
本発明の被膜形成用組成物は少なくとも1種の(E)溶媒を更に含んでもよい。
【0021】
本発明は、上記被膜形成用組成物を基体表面に適用後に活性エネルギー線を基体表面に照射する被膜形成方法、並びに、当該被膜形成方法により被膜が表面に形成された基体にも関する。
【0022】
また、本発明は、上記被膜形成用組成物を基体表面に適用後に活性エネルギー線を基体表面に照射する工程を含む表面被覆基体の製造方法にも関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の被膜形成用組成物及び被膜形成方法は、良好な摺動特性を長時間維持可能な、摺動耐久性に優れた潤滑性の被膜を基体上に形成することができる。
【0024】
また、本発明の被膜形成用組成物及び被膜形成方法は、基体と良好に密着しており基体が変形する場合の当該変形への追従性に優れる被膜を基体上に形成することができる。
【0025】
そして、本発明の被膜形成用組成物及び被膜形成方法は、加熱不要なので、任意の材質の基体の表面に被膜を形成することができる。
【0026】
したがって、本発明により得られる被膜は、摺動耐久性に優れ、また、基体と良好に密着しており基体が変形する場合の当該変形への追従性にも優れており、しかも、任意の基体上に形成することができる。
【0027】
本発明の基体は、潤滑性で、且つ、摺動耐久性に優れた表面を備えているので、任意の他の物体と長時間接触することが可能であり、他の物体と接触しつつ相対的に動く摺動部品として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の被膜形成用組成物は、少なくとも、
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂、及び
(B)オイル含有微粒子
を含む。本発明において「活性エネルギー線」とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、放射線等の電磁波及び粒子線を意味しており、180〜500nm、好ましくは200〜450nm、の波長を有する紫外線が好ましい。
【0029】
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー線の照射によって重合して硬化可能な樹脂であれば特に限定されるものではないが、短時間での硬化が可能であり、また、硬化時の発熱が少なく基体に与える影響を抑制できる点でラジカル重合性であることが好ましい。(A)活性エネルギー線硬化性樹脂として、例えば、アクリレート基又はメタクリレート基を有するアクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂又はその変性物等、及び、これらの混合物を使用することができる。
【0030】
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー線を照射することで重合反応を開始する化合物を少なくとも1種含む樹脂組成物であることが好ましい。活性エネルギー線を照射することで重合反応を開始する化合物は、活性エネルギー線により重合しうる重合性官能基を1分子中に2個以上有する多官能性化合物であることが好ましい。前記重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基等の炭素−炭素二重結合を有する基が挙げられるが、アクリロイル基又はメタクリロイル基であることが好ましく、重合性の点で、アクリロイル基がより好ましい。なお、多官能性化合物は1分子中に2種以上の重合性官能基を合計で2個以上有してもよい。多官能性化合物1分子中における重合性官能基数の範囲は特に限定されないが、通常は2〜50個が適当であり、特に2〜30個が好ましい。
【0031】
好ましい態様では、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂は、アクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれる1種以上の重合性官能基を2個以上有する多官能性化合物(以下、「多官能性化合物(a−1)」ということがある)を少なくとも含む。なお、以下の説明において、アクリロイル基及びメタクリロイル基を総称して(メタ)アクリロイル基という。
【0032】
多官能性化合物(a−1)は、前記重合性官能基に加えて種々の官能基又は結合を有してもよく、例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、エポキシ基、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、チオエーテル結合、アミド結合、イミド結合等を有していてもよい。特に、ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物、及び、ウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物が多官能性化合物(a−1)として好ましい。以下、これら2つの多官能性化合物について説明する。
【0033】
ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(以下、「アクリルウレタン」という)としては、例えば、
(1)(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有する化合物(a1)、並びに、2個以上のイソシアネート基を有する化合物(以下、「ポリイソシアネート」という)の反応生成物、
(2)化合物(a1)、2個以上の水酸基を有する化合物(a2)、及び、ポリイソシアネートの反応生成物、
(3)(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有する化合物(a3)、並びに、化合物(a2)の反応生成物
等が挙げられる。
【0034】
これらの反応生成物においては、イソシアネート基が存在しないことが好ましいが、水酸基は存在してもよい。したがって、これらの反応生成物の製造においては、全反応原料の水酸基の合計モル数はイソシアネート基の合計モル数と等しいかそれより多いことが好ましい。
【0035】
(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有する化合物(a1)は、(メタ)アクリロイル基及び水酸基をそれぞれ1個ずつ有する化合物であってもよく、(メタ)アクリロイル基2個以上及び水酸基1個を有する化合物、(メタ)アクリロイル基1個及び水酸基2個以上を有する化合物、(メタ)アクリロイル基及び水酸基をそれぞれ2個以上有する化合物であってもよい。
【0036】
具体例として、上記順に、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとネオペンチルグリコールカーボネートの反応生成物等が挙げられる。これらは2以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのモノエステル又は1個以上の水酸基を残したポリエステルである。
【0037】
更に、化合物(a1)は、エポキシ基を1個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸との開環反応生成物であってもよい。エポキシ基と(メタ)アクリル酸との反応によりエポキシ基が開環してエステル結合が生じるとともに水酸基が生じ、(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有する化合物となる。また、エポキシ基を1個以上有する化合物のエポキシ基を開環させて水酸基含有化合物とし、それを(メタ)アクリル酸エステルに変換することもできる。
【0038】
エポキシ基を1個以上有する化合物としては、いわゆるエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドが好ましい。ポリエポキシドとしては、例えば、多価フェノール類−ポリグリシジルエーテル(例えば、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル)等のグリシジル基を2個以上有する化合物、脂環族エポキシ化合物が好ましい。更に、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートと水酸基・カルボキシル基を有する化合物との反応生成物を化合物(a1)として使用することもできる。エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0039】
化合物(a1)の上記以外の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ブテン−1,4−ジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(ないしペンタ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物等が挙げられる。
【0040】
ポリイソシアネートとしては、通常の単量体状のポリイソシアネートはもちろん、ポリイソシアネートの多量体や変性体又はイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー等のプレポリマー状の化合物であってもよい。
【0041】
多量体としては3量体(イソシアヌレート変性体)、2量体、カルボジイミド変性体等があり、変性体としてはトリメチロールプロパン等の多価アルコールで変性して得られるウレタン変性体、ビュレット変性体、アロハネート変性体、ウレア変性体等がある。プレポリマー状のものの例としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等のポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー等がある。これらポリイソシアネートは2種以上併用して使用できる。
【0042】
具体的な単量体状のポリイソシアネートとしては、例えば、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)[MDI]、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート[XDI]、水添XDI、水添MDI、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等([ ]内は略称)が挙げられる。
【0043】
ポリイソシアネートとしては特に無黄変性ポリイソシアネート(芳香核に直接結合したイソシアネート基を有しないポリイソシアネート)が好ましい。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートがある。上記のようにこれらポリイソシアネートの多量体や変性体等も好ましい。
【0044】
2個以上の水酸基を有する化合物(a2)としては、多価アルコール、多価アルコールに比較して高分子量のポリオール等がある。多価アルコールとしては、2〜8個の水酸基を有する多価アルコールが好ましく、特に2〜6個の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。多価アルコールは脂肪族の多価アルコールはもちろん、脂環族多価アルコールや芳香核を有する多価アルコールであってもよい。
【0045】
芳香核を有する多価アルコールとしては、例えば、多価フェノール類のアルキレンオキシド付加物、多価フェノール類−ポリグリシジルエーテル等の芳香核を有するポリエポキシドの開環物等がある。高分子量のポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等がある。また、ポリオールとして水酸基含有ビニルポリマーをも使用できる。これら多価アルコール、ポリオールは2種以上併用することもできる。
【0046】
多価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4ートリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの開環物、ビニルシクロヘキセンジオキシドの開環物等が挙げられる。
【0047】
前記ポリオールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール。ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンジオール等の脂肪族ポリオール;ポリε−カプロラクトンポリオール;アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、アゼライン酸、グルタル酸等の多塩基酸と上記多価アルコールとの反応で得られるポリエステルポリオール;1,6−ヘキサンジオール等のジオールと炭酸エステルやホスゲンの反応で得られるポリカーボネートジオール等が挙げられる。
【0048】
水酸基含有ビニルポリマーとしては、例えば、アリルアルコール、ビニルアルコール、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体とオレフィン等の水酸基不含単量体との共重合体等が挙げられる。
【0049】
(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有する化合物(a3)としては、例えば、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート等が挙げられる。
【0050】
好ましいアクリルウレタンとしては、例えば、ペンタエリスリトール又はポリペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸との水酸基を1以上残したポリエステル(以下、「水酸基含有ペンタエリスリトール系(メタ)アクリレート」という)を使用して得られるアクリルウレタン(以下、「ペンタエリスリトール系アクリルウレタン」という)が挙げられる。水酸基含有ペンタエリスリトール系(メタ)アクリレート及びポリイソシアネートの反応生成物;水酸基含有ペンタエリスリトール系(メタ)アクリレート及びそれに対して相対的に少量の他の2以上の水酸基を有する化合物(a2)等との混合物をポリイソシアネートと反応させて得られる反応生成物等が特に好ましい。
【0051】
ポリペンタエリスリトールは重合度の異なるポリペンタエリスリトールの混合物であってもよく、ペンタエリスリトールを含んでいてもよい。水酸基含有ペンタエリスリトール系(メタ)アクリレートも同様にこのようなポリペンタエリスリトールに由来する2種以上の化合物の混合物、1分子中の水酸基や(メタ)アクリロイルオキシ基の異なる2種以上の化合物の混合物、等の2種以上の化合物の混合物であってもよい。ペンタエリスリトール系アクリルウレタンもまた同様である。
【0052】
更に、好ましいアクリルウレタンとしては、例えば、ポリエステルポリオールを使用して得られるポリエステル系ポリウレタンも挙げられる。(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有する化合物(a1)、ポリエステルポリオール、及び、ポリイソシアネートの反応生成物;(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有する化合物(a1)、ポリエステルポリオール、及び、ポリエステルポリオールに対して相対的に少量の他の2以上の水酸基を有する化合物(a2)等との混合物をポリイソシアネートと反応させて得られる反応生成物等が特に好ましい。
【0053】
また、ポリカーボネートジオールを使用して得られるポリカーボネート系ポリウレタンも好ましい。(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有する化合物(a1)、ポリカーボネートジオ−ル、及び、ポリイソシアネートの反応生成物;(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有する化合物(a1)、ポリカーボネートジオ−ル、及び、ポリカーボネートジオールに対して相対的に少量の他の2以上の水酸基を有する化合物(a2)等との混合物をポリイソシアネートと反応させて得られる反応生成物等が特に好ましい。
【0054】
ウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、化合物(a2)と同様の2個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのポリエステルが好ましい。2個以上の水酸基を有する化合物としては前記多価アルコールやポリオールが好ましい。更に、2個以上のエポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物である(メタ)アクリル酸エステル化合物も好ましい。
【0055】
2個以上のエポキシ基を有する化合物としてはエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドを使用することができる。例えば、グリシジルエーテル型ポリエポキシド、脂環型ポリエポキシド等のエポキシ樹脂として市販されているものを使用できる。
【0056】
ポリエポキシドとしては、具体的には、例えば、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ノボラックポリグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド等が挙げられる。
【0057】
ウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
【0058】
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、炭素数14〜15の長鎖脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールとトリメチロールプロパンとの縮合物からなるジオールのジ(メタ)アクリレート等の脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリレート。
【0059】
ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールA、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールS、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールF、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジメタクリレート等の芳香核又はトリアジン環を有する多価アルコールや多価フェノールの(メタ)アクリレート。
【0060】
トリメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート等の水酸基含有化合物−アルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、水酸基含有化合物−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンポリオールの(メタ)アクリレート([ ]内はポリオキシアルキレンポリオールの分子量を表す)。
【0061】
ビス(アクリロイルオキシネオペンチルグリコール)アジペート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート等の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸エステルやリン酸エステル。
【0062】
ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、ジシクロペンタジエンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとプロピレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとジエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと1,6−ヘキサンジオールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとグリセロールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとトリメチロールプロパンの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとフタル酸の反応生成物等のポリエポキシドの(メタ)アクリル酸付加物(ただし、ポリエポキシドのエポキシ基1個あたり1分子の(メタ)アクリル酸が付加したもの)、及びグリシジル(メタ)アクリレートと多価アルコール若しくは多価カルボン酸との反応生成物(ただし、多価アルコール等の1分子あたりグリシジル(メタ)アクリレートが2分子以上反応したもの)。
【0063】
アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のアリルエーテル化物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のメチルエーテル化物、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の上記のような(メタ)アクリレート類でかつ未反応の水酸基を有する化合物のアルキルエーテル化物、アルケニルエーテル化物、カルボン酸エステル化物。
【0064】
特に好ましいウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物はイソシアヌレート系ポリオールのポリ(メタ)アクリレート(以下、「イソシアヌレート系(メタ)アクリレート」という)である。イソシアヌレート系ポリオールとはトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート等の2以上の水酸基を有するイソシアヌル酸エステルである。イソシアヌレート系ポリオールにおいてイソシアヌレート環の3個の窒素原子にそれぞれ結合した3個の有機基は同一であっても異なっていてもよい。3個の有機基の少なくとも2個はそれぞれ少なくとも1個の水酸基を有することが好ましく、3個の有機基がそれぞれ1個ずつ水酸基を有することがより好ましい。
【0065】
イソシアヌレート系ポリオールとしてはトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート以外に、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート−アルキレンオキシド付加物やトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート−ラクトン付加物が好ましい。これら付加物におけるアルキレンオキシドやラクトンの付加量はトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート1分子あたり1〜12分子、特に1〜6分子が好ましい。トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートにおけるヒドロキシアルキル基としては炭素数2〜6、特に2〜4のヒドロキシアルキル基が好ましい。具体的には、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基等があり、好ましくは2−ヒドロキシエチル基と2−ヒドロキシプロピル基である。なお、これらイソシアヌレート系ポリオールは2種以上併用できる。
【0066】
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブテンオキシド、2,3−ブテンオキシド等が好ましく、エチレンオキシドとプロピレンオキシドがより好ましい。ラクトンとしては、ε−カプロラクトンの他、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン等が好ましく、ε−カプロラクトンが特に好ましい。
【0067】
イソシアヌレート系(メタ)アクリレートにおける1分子あたりの(メタ)アクリロイルオキシ基の数は2〜3が適当であり、これらの混合物であってもよい。好ましくは3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアヌレート系(メタ)アクリレートである。イソシアヌレート系(メタ)アクリレートとしては、前記した化合物を含め、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのε−カプロラクトン1〜3分子付加物からなるトリオールのトリ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのエチレンオキシド1〜3分子付加物からなるトリオールのトリ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0068】
多官能性化合物(a−1)として特に好ましい化合物は、前記ペンタエリスリトール系アクリルウレタンと上記イソシアヌレート系(メタ)アクリレートである。これらを併用することも好ましい。これらの全多官能性化合物(a−1)に占める割合は20重量(質量)%以上が好ましく、40重量(質量)%以上がより好ましい。
【0069】
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂は、単官能性化合物(以下、「単官能性化合物(a−2)」ということがある)等の他の重合性化合物を更に含んでもよい。
【0070】
単官能性化合物(a−2)としては、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能性重合性化合物が好ましい。単官能性化合物(a−2)としては、例えば、一般式CH2=C(R1)COOCz2z+1(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、zは1〜13の整数であり、Cz2z+1は直鎖構造でも分岐構造でもよい)で表されるアルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−スルホン酸ナトリウムエトキシ(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート等が挙げられる。
【0071】
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂に含まれる重合性化合物の総重量(質量)中、多官能性化合物(a−1)は20〜100重量(質量)%であることができ、50〜100重量(質量)%であることが好ましく、70〜100重量(質量)%であることがより好ましい。(A)活性エネルギー線硬化性樹脂に含まれる重合性単量体のうち、多官能性化合物(a−1)の割合がこの範囲だと、本発明の被膜形成用組成物の硬化物からなる被膜の耐磨耗性が特に優れる。
【0072】
(B)オイル含有微粒子は、オイルを含む微小な粒子である限り限定されるものではないが、一般的には、レーザー回折散乱式粒度分布測定によるメジアン径が0.1〜50μmであることが好ましく、粒子径は1〜30μmがより好ましく、1〜20μmが更により好ましい。(B)オイル含有微粒子の粒子径は本発明の被膜形成用組成物を基体に塗布したときの膜厚に応じて適宜選択することができる。
【0073】
(B)オイル含有微粒子は、少なくとも1種のオイルを内包するカプセル壁からなるマイクロカプセルであることが好ましい。マイクロカプセルはカプセル壁で囲まれた中空部にオイルが内包されたものであり、本発明の被膜形成用組成物中にオイルを含んだ泡のような状態で存在し、破泡してオイルが基体表面を覆うことで当該表面の潤滑性を高めることができる。マイクロカプセルの形状には特に制限はなく、球状であっても、円盤状であってもよい。また、カプセル壁の構造も特に制限はなく、カプセル壁の一部に孔、溝等が存在してもよく、また、オイルがカプセル壁によって完全に密閉されていなくともよい。
【0074】
マイクロカプセルのカプセル壁の材質は限定されないが、少なくとも1種の熱硬化性樹脂からなることが好ましい。2種類以上の熱硬化性樹脂を併用してもよい。単一の熱硬化性樹脂の場合はカプセル壁に溝又は孔が形成される傾向が高まり、オイルをカプセル内に密閉して内包することが困難となる場合がある。2種類以上の熱硬化性樹脂の場合は溝又は孔が形成されにくいので、オイルをカプセル内に密閉して内包することが容易となり、液密性に優れたマイクロカプセルを構成することができる。マイクロカプセルが液密性に優れていると、本発明の被膜形成用組成物中でマイクロカプセルからオイルが漏洩することを回避することができる一方でマイクロカプセルを基体表面での相手材との摩擦により破泡させてオイルを放出させることが可能となるため、良好な摩擦特性を長時間維持することが可能である。
【0075】
熱硬化性樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素・ホルマリン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の窒素含有樹脂が好ましい。尿素樹脂は耐熱性があり、硬度も高い。メラミン樹脂は耐衝撃性に優れており、耐熱性もあり、耐炎性にも優れている。また、ベンゾグアナミン樹脂はメラミン樹脂の耐クラック性を改善したものである。これらの樹脂の混合物によれば優れた特性のカプセル壁を容易に形成することができる。この場合、混合樹脂における配合比(重量(質量)比)は、特にウレア樹脂:メラミン樹脂を3:7〜7:3とすることがより好ましい。配合比をこの範囲内とすることにより、この範囲外のものに比べ、より密閉性に優れたカプセル膜を形成することができる。
【0076】
マイクロカプセルに内包されるオイルとしては、潤滑性を有する限り、任意の種類のオイルを使用することができるが、その動粘度は10〜1,000mm/sの範囲であることが好ましい。
【0077】
オイルは、シリコーン系油剤、並びに、非シリコーン系の有機系油剤から選択される少なくとも1種であることが好ましく、これらの油剤の種類、粘度は用途等に応じて適宜選択することができる。
【0078】
シリコーン系油剤は一般には疎水性であり、その分子構造は、直鎖状、環状、分岐状のいずれであってもよい。又は、シリコーン系油剤の官能基はメチル基又はヒドロキシル基であることが一般的であるが、これらの一部又は全部を有機変性基に置き換えた有機変性シリコーンであってもよい。これらの有機変性シリコーンは、主鎖としてポリシロキサン結合の他に、アルキレン鎖、アミノアルキレン鎖又はポリエーテル鎖を有するものであってもよく、いわゆるブロック共重合体を含む。また、前記有機変性基は、ポリシロキサン鎖の側鎖又は末端の一方又は両方に有するものであってよい。具体的には、アミノ変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、アミドアルキル変性シリコーン、ポリアミド変性シリコーン、アミノグリコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、炭素原子数8〜30の高級アルキル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン樹脂を挙げることができる。
【0079】
有機系油剤は、高級アルコール、炭化水素油、エステル油、高級脂肪酸、フッ化オイルが代表的であり、本発明においては特に限定されるものではないが、フッ化オイルが好ましい。フッ化オイルは、良好な摺動特性を得られるだけでなく、他のオイルと比較してプラスチック製の基体への影響、特にソルベントクラックの発生が少ない。
【0080】
高級アルコールは、例えば、炭素原子数10〜30の高級アルコールである。前記高級アルコールは、飽和又は不飽和の一価脂肪族アルコールであって、その炭化水素基の部分は直鎖状、分岐状のいずれであっても構わないが、直鎖状であることがより好ましい。炭素原子数10〜30の高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール等が挙げられる。なお、本発明においては、単独で融点40〜80℃の高級アルコールを用いるか、或いは、融点が40〜70℃になるように複数の高級アルコールの組み合わせることが好ましい。かかる高級アルコール類は、界面活性剤とともに、αゲルと呼ばれる会合体を形成し、製剤の粘度を増粘させ、エマルジョンを安定化する働きを有するため、毛髪化粧料の基剤として、特に有用である。
【0081】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ワセリン、n−パラフィン、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリブテン、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリピロピレンワックス、スクワラン、スクワレン、プリスタン、ポリイソプレン等が例示される。
【0082】
エステル油としては、例えば、オクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオイレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、N − ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイルサルコシンイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ネオデカン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10 、デカ( エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸) グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、アボカド油脂肪酸エチル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、等が例示される。ラノリン及びラノリン誘導体もオイル状である限りエステル油として使用できる。
【0083】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0084】
フッ化オイルは、フッ素原子を含む油である限り特に限定されるものではないが、例えば、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。化学的安定性の点でパーフルオロポリエーテルが好ましい。パーフルオロポリエーテルとしては、例えば、構造式:A−(CO)(CFO)(CO)―B(式中、末端基Aは、−F、−CF、−C、−C、−CF(CF)OCF、−OF、−OCF、−OC、−OC、又は、−OCF(CF)OCFであり;末端基Bは、−CF、−C、−C、又は、−CF(CF)OCFであり;x、y及びzは0又は正の整数であり、x+y+z>1であって、25℃における粘度が50〜500,000csであるような数である)を有するものが挙げられる。前記パーフルオロポリエーテルの具体例としては、例えば、CFO−(CFCF(CF)O)(CFO)−CF (式中、x及びyは前記のとおりである)、CFO−(CFO)(CO)−CF(式中、y及びzは前記のとおりである)、CFO−(CFCF(CF)O)−CF(式中、xは前記のとおりである)、及び、F−(CFCFCFO)x−C(式中、xは前記のとおりである)等が挙げられる。
【0085】
(B)オイル含有微粒子に含まれるオイルは、本発明の被膜形成用組成物からなる被膜の潤滑性、取扱い作業性の点から、(B)オイル含有微粒子の全重量(質量)を基準にして20〜90重量(質量)%を占めることが好ましく、40〜90重量(質量)%を占めることがより好ましく、60〜90重量(質量)%を占めることが更により好ましい。一方、本発明の被膜形成用組成物の固形分の全重量(質量)を基準とした場合は、オイルの含有量は、固形分の1〜50重量(質量)%であることが好ましく、1〜45重量(質量)%がより好ましく、1〜40重量(質量)%が更により好ましい。
【0086】
(B)オイル含有微粒子は、相分離法(コアセルベーション法)、液中乾燥法、融解分散冷却法、界面重合法、in situ重合法、液中硬化被覆法等の従来公知の製造方法によって製造することができる。工業的にはin situ重合法であることが好ましく、例えば、特開平2−1798号公報に記載の方法を使用することができる。具体的には、例えば、メラミン樹脂をカプセル壁の材質とする場合は、メラミンとホルムアルデヒドをアルカリ性水溶液中(pH8〜10)で加熱(50〜80℃)することによって反応させてモノメチロールメラミン〜ヘキサメチロールメラミンの混合物のプレポリマー水溶液を得て、更に、この溶液を弱酸性O/Wエマルションに加えて弱酸性額域(pH3〜6)で加熱下撹拌するとO/W界面に高分子が沈積してマイクロカプセルを得ることができる。
【0087】
本発明の被膜形成用組成物における(B)オイル含有微粒子の配合量は、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100重量(質量)部に対して1〜100重量(質量)部が好ましく、5〜80重量(質量)部がより好ましく、10〜70重量(質量)部が更により好ましい。
【0088】
本発明の被膜形成用組成物は、(C)活性エネルギー重合開始剤を含むことが好ましい。(C)活性エネルギー重合開始剤としては、例えば、アリールケトン系光重合開始剤(アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノフェノン類、ヒドロキシアルキルフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシルオキシムエステル類等)、含硫黄系光重合開始剤(スルフィド類、チオキサントン類等)、アシルホスフィンオキシド類(アシルジアリールホスフィンオキシド等)が挙げられる。(C)活性エネルギー重合開始剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、(C)活性エネルギー重合開始剤はアミン類等の光増感剤と組み合わせて使用してもよい。
【0089】
具体的な(C)活性エネルギー重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−tert−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−tert−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロパン−1−オン;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、(1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2(o−エトキシカルボニル)オキシム)、α−アシルオキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート;4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
本発明の被膜形成用組成物における(C)活性エネルギー線重合開始剤の配合量は、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100重量(質量)部に対して0.1〜10重量(質量)部の範囲が好ましく、0.2〜5重量(質量)部の範囲がより好ましい。(C)活性エネルギー線重合開始剤の量がこの範囲内にあると、硬化性が充分であり、硬化の際に全ての(C)活性エネルギー線重合開始剤(C)が分解するため好ましい。
【0091】
本発明の被膜形成用組成物は、更に、少なくとも1種の(D)無機微粒子及び/又は有機微粒子を含むことができる。本発明の被膜形成用組成物からなる被膜の摩擦係数を更に低減させるために、(D)無機微粒子又は有機微粒子は室温で固体であるものが好ましい。固体の(D)無機微粒子及び/又は有機微粒子は、固体潤滑材として機能することができる。無機微粒子又は有機微粒子はそれぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。また、無機微粒子及び有機微粒子を共に使用してもよい。
【0092】
無機微粒子としては、硫化物、黒鉛、窒化ホウ素、金属酸化物等の微粒子が挙げられる。より具体的には、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、六方晶型窒化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の微粒子が挙げられる。
【0093】
有機微粒子としては、フッ素樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド等の微粒子が挙げられる。より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリアミド等の微粒子が挙げられる。
【0094】
無機微粒子又は有機微粒子の粒径は、一般的には、レーザー回折散乱式粒度分布測定によるメジアン径が0.1〜50μmであることが好ましく、粒子径は1〜30μmがより好ましく、1〜20μmが更により好ましい。
【0095】
本発明の被膜形成用組成物における(D)無機微粒子又は有機微粒子の配合量は特に限定されるものではないが、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100重量(質量)部に対して1〜100重量(質量)部の範囲が好ましく、10〜80重量(質量)部の範囲がより好ましい。(D)無機微粒子又は有機微粒子の量がこの範囲内にあると、被膜の摩擦係数の低減効果を得ることができ、また、被膜の強度を維持することができる。
【0096】
本発明の被膜形成用組成物は、更に、少なくとも1種の(E)溶媒を含むことができる。(E)溶媒は、本発明の被膜形成用組成物の塗工性、基体との密着性を向上させることができる。溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0097】
(E)溶媒としては、水、或いは、エチルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類;ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ類等の有機溶剤が好ましく挙げられる。その他に、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、乳酸エチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等の二塩基酸エステル等のエステル類、塩素化フッ素化炭化水素類、トリクロロエタン等の塩素化炭化水素類、フッ素化炭化水素類等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類等も使用できる。被膜を形成する基体の種類に応じて適当な溶媒を選択するのが好ましいが、作業性の点では、水又は低級アルコール類が好ましい。
【0098】
本発明の被膜形成用組成物における(E)溶媒の配合量は特に限定されるものではないが、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100重量(質量)部に対して1〜500重量(質量)部の範囲が好ましく、50〜300重量(質量)部の範囲がより好ましい。
【0099】
本発明の被膜形成用組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱重合防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料(有機着色顔料、無機顔料)、着色染料、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、分散剤、導電性微粒子、帯電防止剤、防曇剤、カップリング剤等の1種以上の添加剤を含んでよい。
【0100】
紫外線吸収剤としては、合成樹脂用紫外線吸収剤として通常使用されているベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、フェニルトリアジン系紫外線吸収剤等が好ましい。具体的には、特開平11−268196号公報の段落番号0078に記載された化合物が挙げられる。本発明の被覆用組成物は、重合性の多官能性化合物(a−1)を含有することから、2−{2−ヒドロキシ−5−(2−アクリロイルオキシエチル)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル−3−(3−ベンゾトリアゾール−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)プロピオネート等分子内に光重合性の官能基を有するものが特に好ましい。
【0101】
光安定剤としては、合成樹脂用光安定剤として通常使用されているヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。具体的には、特開平11−268196号公報の段落番号0080に記載された化合物が挙げられる。本発明においては、N−メチル−4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内に重合性官能基を有するものが特に好ましい。
【0102】
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリフェニルホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。熱重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。また、レベリング剤としては、シリコーン樹脂系レベリング剤、アクリル樹脂系レベリング剤等が挙げられる。
【0103】
消泡剤としては、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂系消泡剤等が挙げられる。また、増粘剤としては、ポリメチルメタクリレート系ポリマー、水添ひまし油系化合物、脂肪酸アミド系化合物等が挙げられる。
【0104】
有機着色顔料としては、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料等が挙げられる。無機顔料としては、二酸化チタン、酸化コバルト、モリブデンレッド、チタンブラック等が挙げられる。また、着色染料としては、有機溶剤可溶性アゾ系金属錯塩染料、有機溶剤可溶性フタロシアニン系染料等が挙げられる。
【0105】
赤外線吸収剤としては、ポリメチン系、フタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、ジイモニウム系、アントラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリールメタン系の化合物等が挙げられる。
【0106】
導電性微粒子としては、亜鉛、アルミニウム、ニッケル等の金属粉、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化スズ等が挙げられる。
【0107】
帯電防止剤としては、ノニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤等が挙げられる。
【0108】
カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。
【0109】
本発明の被膜形成用組成物は、例えば、(A)及び(B)成分、並びに、必要に応じて(C)及び/又は(D)及び/又は(E)成分、更に、上記添加剤等の他の任意成分を混合することによって調製することができる。
【0110】
本発明の被膜形成用組成物は、基体表面に適用された後に、活性エネルギー線の照射によって硬化して被膜を形成することができる。本発明はそのような被膜が表面に形成された基体にも関する。本発明の被膜形成用組成物が(E)溶媒を含む場合は、乾燥後に活性エネルギー線を照射して硬化させることが好ましい。
【0111】
本発明の被膜形成用組成物の基体表面への適用は任意の手段で実施することができる。適用手段としては、ディッピング法、スピンコート法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等を利用することができる。基体表面に形成される被膜の厚みは特に限定されるものではないが、1〜50μmの厚さが好ましく、5〜30μmの厚さがより好ましい。
【0112】
活性エネルギー線は1種類であってもよく2種類以上であってもよい。活性エネルギー線源としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の紫外線照射装置、電子線照射装置、X線照射装置、高周波発生装置等が使用できる。
【0113】
活性エネルギー線の照射時間は、本発明の被膜形成用組成物中の各成分の種類、被膜の厚さ、活性エネルギー線源等の条件により適宜変更することができるが、通常は、1秒〜1時間の照射で十分である。更に、硬化反応を完結させる目的で、活性エネルギー線照射後加熱処理してもよい。前記加熱は、例えば、100〜300℃の温度範囲内で行うことができ、120〜250℃の温度範囲が好ましく、130〜200℃の温度範囲がより好ましい。
【0114】
硬化後の被膜の厚さは特に限定されるものではないが、0.1〜30μmが好ましく、0.5〜20μmがより好ましい。
【0115】
硬化後の被膜は、摺動耐久性に優れ、また、基体と良好に密着しており基体が変形する場合の当該変形への追従性にも優れている。
【0116】
本発明では、上記被膜形成用組成物を基体表面に適用後に活性エネルギー線を基体表面に照射する工程を経て表面被覆基体を製造することができるが、基体を加熱する必要がないので、上記の優れた特性を有する被膜を任意の基体上に形成することができる。
【0117】
したがって、基体は無機系又は有機系の任意であってよい。無機系基体としては、例えば、ソーダライムガラス、石英ガラス、耐熱ガラス等の透明若しくは半透明ガラス、又は、インジウムスズ酸化物(ITO)等の金属酸化物からなる基体、及び、シリコン、アルミニウム、鉄等の金属からなる基体が挙げられる。有機系基体としては、例えば、プラスチック又はゴム製基体が挙げられる。プラスチック又はゴム製基体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、MS(メチルメタクリレート・ スチレン)樹脂等が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の被膜形成用組成物及び被膜形成方法は、優れた摺動性が求められる各種の基体に好適に利用することができ、例えば、クランクシャフト、スライドベアリング、ピストン、ガスケット、ギヤ、ドアパネル、インストルメントパネル、ドアロック、タイミングベルト、サンルーフ用ボディシール、グラスラン、ウェザーストリップ等の表面処理に利用することができる。
【実施例】
【0119】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、表中における各用語の意味は以下のとおりであり、また、表中の数字は重量(質量)部に基づく。
【0120】
光硬化型ウレタンアクリレートA:
被膜形成性水性ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン:ポリカーボネートジオール、ポリイソシアネートおよび水酸基と(メタ)アクリロイル基を含有する化合物の反応生成物(固形分30%、粘度20mPas)
【0121】
光硬化型ウレタンアクリレートB:
被膜形成性水性ポリエステル系ポリウレタン樹脂エマルジョン:ポリエステルポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基と(メタ)アクリロイル基を含有する化合物の反応生成物(固形分32%、粘度50mPas)
【0122】
光硬化型エポキシアクリレート:
被膜形成性溶剤系エポキシアクリレート樹脂(固形分100%、粘度8,000mPas)
【0123】
エポキシ樹脂:
液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER828:粘度120,000〜150,000mPas、エポキシ当量184〜194)
【0124】
ラジカル型光重合開始剤A:
α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤(BASFジャパン(株)社製IRGACURE907:固形分100%)
【0125】
ラジカル型光重合開始剤B:
α-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(BASFジャパン(株)社製DAROCUR1173:固形分100%)
【0126】
アミン系硬化剤:
三菱化学(株)製jERキュア ST14(アミン価415〜455、粘度1,000〜4,000mPas(50℃)、固形分100%)
【0127】
ポリテトラフルオロエチレン粉末:
レーザー回折散乱式粒度分布測定によるメジアン径が2〜4μmであるポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末
【0128】
酸化アルミニウム粉末:
レーザー回折散乱式粒度分布測定によるメジアン径が1μmである酸化アルミニウム粉末
【0129】
二硫化モリブデン:
レーザー回折散乱式粒度分布測定によるメジアン径が3〜6μmである二硫化モリブデン微粒子
【0130】
グラファイト:
レーザー回折散乱式粒度分布測定によるメジアン径が3〜5μmの鱗片状グラファイト
【0131】
[フッ化オイル含有マイクロカプセルの調製]
pH4.5に調製したエチレン無水マレイン酸共重合体(モンサント・ケミカルズ社製商品:EMI−31)5%水溶液200gに動粘度250mm2/sのパーフルオロポリエーテルオイル200mlを加え、ホモミキサーによって乳化分散して、エマルジョンを得た。このエマルジョンに固形分を17重量%に調整したメチロール・メラミン樹脂水溶液(住友化学工業社製商品:スミレーズ・レジン613)100gを加え、系の温度を55℃に昇温して約1時間攪拌後、pHを5.5に調整し、さらに2時間攪拌を持続した。室温まで徐冷した。次いで10%塩酸を用いて、pHを3.5に下げてからメチロール・メラミン樹脂25%の水溶液160gを加え、温度を50℃に昇温して攪拌した。その後pHを3.7に調整し温度を60℃に昇温して攪拌スピードを調整しながらさらに2時間攪拌した。約200mlの水を加え系を室温まで冷却してマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセル分散液を脱水し室温で24時間乾燥してフッ化オイル含有マイクロカプセルを得た。得られたマクロカプセルのレーザー回折散乱式粒度分布測定によるメジアン径は約10μmであった。また得られたマクロカプセルの80重量%がパーフルオロポリエーテルオイルであった。
【0132】
[実施例1〜8及び比較例1〜3]
実施例1〜8及び比較例1〜2のそれぞれについて、表1〜表3に示す樹脂(バインダー)及び溶媒を表1〜表3に示す配合比で撹拌混合後、表1〜表3に示す光重合開始剤を表1〜表3に示す配合比で添加して溶解した。その後、表1〜表3に示す配合比でフッ化オイル含有マイクロカプセル及び/又は表1〜表3に示す固体潤滑材を添加し、撹拌混合して塗料組成物を得た。
【0133】
比較例3については、表3に示す樹脂及び溶媒を表3に示す配合比で撹拌混合後、表3に示す硬化剤を表3に示す配合比で添加して溶解した。その後、表3に示す配合比でフッ化オイル含有マイクロカプセルを添加し、撹拌混合して塗料組成物を得た。
【0134】
【表1】

【0135】
【表2】

【0136】
【表3】

【0137】
[硬化被膜形成]
実施例1〜8及び比較例1〜3の塗料組成物を、それぞれ、表4〜6に示す基材のいずれかからなる試験片の表面にスプレー塗装して膜厚10〜15μmの被膜を形成した。次に、25℃で10分間放置して溶媒を揮発させた後、250WハンディタイプUV照射機((株)あすみ技研製)により1000〜1500mJ/cmの積算光量で紫外線を照射し、硬化被膜を形成した。
【0138】
比較例3の塗料組成物については、当該塗料組成物を表6に示す基材表面にスプレー塗装して膜厚10〜15μmの被膜を形成し、25℃で10分間放置して溶媒を揮発させた後、130℃で30分間加熱して、硬化被膜を形成した。
【0139】
なお、表中における各用語の意味は以下のとおりである。
【0140】
PC樹脂板:
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 ユーピロンS−3000
【0141】
ABS樹脂板:
住友ベークライト(株)製 タフエースR
【0142】
EPDMゴム板:
エチレンプロピレンジエンモノマー架橋物(神田ゴム化学(株)製)
【0143】
SPCC鋼板:
日新製鋼(株)製 SPCC−SB
【0144】
次に、硬化被膜が形成された各試験片について、下記のとおりに摩擦係数を測定し、また、耐久性及び追従性を評価した。摩擦係数測定結果、並びに、耐久性及び追従性の評価結果を表4〜6に併せて示す。なお、表5中の「−」は、摩擦係数の測定を行わなかったことを示す。
【0145】
[摩擦係数]
硬化被膜を形成した試験片に対し往復動摩擦摩耗試験機を用いて、滑り速度7mm/s、荷重1.5kG、滑り距離(ストローク)2mmの条件で、1/2インチ鋼球に対する100,000回摺動後の試験片表面の動摩擦係数(単位:μ)を記録した。試験途中で被膜が試験片表面から剥離し、摩擦係数が上昇した場合は、その時の動摩擦係数(単位:μ)を記録した。
【0146】
[耐久性]
上記摩擦係数試験終了時のサイクル数を記録した。上記摩擦係数試験途中で被膜が剥離し、摩擦係数が上昇したものについては、その時のサイクル数を記録した。
【0147】
[追従性]
硬化被膜を形成したEPDMゴム板(厚さ1mm)に対し島津オートグラフAGSシリーズ((株)島津製作所製)を用いて、引張速度50mm/分で伸度250%まで引っ張った後、25℃で3日間放置した。その後、引張状態を解除し顕微鏡で塗膜表面の剥離の有無を確認し、剥離の程度を下記の基準にて評価した。
◎:亀裂、剥離なし
○:ごくわずかに亀裂があるが剥離はない
△:亀裂があり、ごくわずかに剥離がある
×:亀裂があり剥離もある
【0148】
【表4】

【0149】
【表5】

【0150】
【表6】

【0151】
表4〜6から、実施例の被膜が良好な摺動特性と追従性を有する一方で、フッ化オイルマイクロカプセルを使用しない比較例1〜2により得られた被膜は摩擦係数が上昇し、摺動耐久性が大きく低下すること、並びに、光硬化型樹脂を使用しない比較例3により得られた被膜は摩擦係数が上昇し、摺動耐久性が低下し、更に、追従性も悪化することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂、及び、(B)オイル含有微粒子
を含む被膜形成用組成物。
【請求項2】
前記活性エネルギー線が紫外線である、請求項1記載の被膜形成用組成物。
【請求項3】
前記(A)活性エネルギー線硬化性樹脂がラジカル重合性である、請求項1又は2記載の被膜形成用組成物。
【請求項4】
更に(C)活性エネルギー線重合開始剤を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の被膜形成用組成物。
【請求項5】
前記(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の前記(C)活性エネルギー線重合開始剤を含む請求項4記載の被膜形成用組成物。
【請求項6】
前記(B)オイル含有微粒子が少なくとも1種のオイルを内包するカプセル壁からなるマイクロカプセルである、請求項1乃至5のいずれかに記載の被膜形成用組成物。
【請求項7】
前記オイルがフッ化オイルである、請求項1乃至6のいずれかに記載の被膜形成用組成物。
【請求項8】
前記カプセル壁が少なくとも1種の熱硬化性樹脂からなる、請求項6又は7記載の被膜形成用組成物。
【請求項9】
前記(B)オイル含有微粒子の粒径が1〜30μmである、請求項1乃至8のいずれかに記載の被膜形成用組成物。
【請求項10】
前記オイルが前記(B)オイル含有微粒子の全重量の20〜90重量%を占める、請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して1〜100重量部の前記(B)オイル含有微粒子を含む、請求項1乃至10のいずれかに記載の被膜形成用組成物。
【請求項12】
更に少なくとも1種の(D)無機微粒子及び/又は有機微粒子を含む、請求項1乃至11のいずれかに記載の被膜形成用組成物。
【請求項13】
更に少なくとも1種の(E)溶媒を含む、請求項1乃至12のいずれかに記載の被膜形成用組成物。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の被膜形成用組成物を基体表面に適用後に活性エネルギー線を基体表面に照射する被膜形成方法。
【請求項15】
請求項14記載の被膜形成方法により被膜が表面に形成された基体。
【請求項16】
請求項1乃至13のいずれかに記載の被膜形成用組成物を基体表面に適用後に活性エネルギー線を基体表面に照射する工程を含む、表面被覆基体の製造方法。

【公開番号】特開2013−18860(P2013−18860A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152829(P2011−152829)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】