説明

被験物質の評価方法

【課題】香料および/または香油による刺激を抑制する物質を簡便な操作で評価することができる被験物質の評価方法を提供すること。
【解決手段】香料および/または香油と被験物質とをTRPA1発現細胞に接触させ、前記香料および/または香油によりTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定し、前記生理学的事象に基づき、前記被験物質が香料および/または香油による刺激を抑制する物質であるかどうかを評価する被験物質の評価方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験物質の評価方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、香料および/または香油を含有する外用剤の開発に有用な被験物質の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料などの外用剤には、その原料のにおいをマスキングしたり、嗅覚を介して使用者に心地よい感覚を与えたりするために、香料や香油が配合されている。
【0003】
しかしながら、使用者によっては、香料や香油が配合された外用剤が皮膚に接触したとき、不快な刺激を感じることがある。近年、使用者の安全意識の高まりから、不快な刺激を与えないか、または不快な刺激が少ない外用剤が好まれる傾向にある。
【0004】
ところで、一過性受容体電位チャネル(以下、「TRPチャネル」という)は、痛みを惹起する因子を受容する受容体として機能することが知られている。例えば、TRPチャネルの1つであるTRPA1を介した細胞内カルシウムイオン濃度の変化が、パラベン類やアルカリ剤が配合された皮膚外用剤を用いたときに引き起こされる不快な刺激と関連していることが、本発明者らによって見出されている。また、前記パラベン類やアルカリ剤による刺激と前記TRPA1を介した細胞内カルシウムイオン濃度との関連性を利用して、パラベン類やアルカリ剤による刺激を抑制する物質を評価することが提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0005】
しかしながら、本発明者らは、現時点では、香料や香油が配合された外用剤が皮膚に接触したときに生じる不快な刺激とTRPA1との関連性や、前記関連性を利用して、前記香料や香油による刺激を抑制する物質を簡便な操作で評価する方法を具体的に記載した文献を発見していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−79528号公報
【特許文献2】特開2009−82053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、香料および/または香油による刺激を抑制する物質を簡便な操作で評価することができる被験物質の評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、
(1) 香料および/または香油と被験物質とをTRPA1発現細胞に接触させ、前記香料および/または香油によりTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定し、前記生理学的事象に基づき、前記被験物質が香料および/または香油による刺激を抑制する物質であるかどうかを評価する被験物質の評価方法、
(2) 前記生理学的事象が、前記香料および/または香油の存在下における前記被験物質との接触前後の細胞内カルシウムイオン濃度の変化である前記(1)に記載の評価方法、
(3) 前記香料が、カルボン、メントン、シトロネラール、シトラール、リナロール、テルピネオールおよびオイゲノールからなる群より選ばれた少なくとも1種である前記(1)または(2)に記載の評価方法、ならびに
(4) 前記香油が、スペアミント油、タイム油、チョウジ油、ラベンダー油、セージ油およびローマカミツレ油からなる群より選ばれた少なくとも1種である前記(1)または(2)に記載の評価方法
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の被験物質の評価方法は、香料および/または香油による刺激を抑制する物質を簡便な操作で評価することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】試験例2において、試料とΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bの値との関係を調べた結果を示すグラフである。
【図2】試験例3において、試料とΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bの値との関係を調べた結果を示すグラフである。
【図3】実施例1において、試料と抑制率との関係を調べた結果を示すグラフである。
【図4】実施例2において、試料と抑制率との関係を調べた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の被験物質の評価方法は、香料および/または香油と被験物質とをTRPA1発現細胞に接触させ、前記香料および/または香油によりTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定し、前記生理学的事象に基づき、前記被験物質が香料および/または香油による刺激を抑制する物質であるかどうかを評価することを特徴とする。
【0012】
本発明の被験物質の評価方法には、香料および/または香油によりTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定する点に1つの大きな特徴がある。本発明の被験物質の評価方法によれば、前記生理学的事象を測定するので、ヒト、実験動物などを用いる場合と比べて、簡便な操作で、被験物質が香料および/または香油による刺激を抑制する物質であるかどうかを評価することができる。さらに、前記生理学的事象は、同一条件下に同時に何回も並行して測定することができるので、本発明の被験物質の評価方法によれば、迅速かつ高い処理効率で多種類の被験物質を評価することができる。
【0013】
前記香料としては、例えば、カルボン、メントン、シトロネラール、シトラール、リナロール、テルピネオール、オイゲノール、ゲラニルニトリル、レモニール、シス−3−ヘキセノール、マグノール、フルクトン、フルイテート、ポイレネート、ボルネオール、メチルサリチレート、アネトール、エストラゴール、サイモール、メチルオイゲノール、フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、シトロネロール、ネロール、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ヘディオン、ハイドロキシシトロネラール、リリアール、p-クレゾール、サンタロール、チンチロール、クマリン、ヘリオトロピン、バニリン、マルトール、インドール、スカトールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記香料のなかでは、アロマテラピーなどに利用され、汎用性が高く、ヒトの皮膚に対する負荷が低いことから、カルボン、メントン、シトロネラール、シトラール、リナロール、テルピネオールおよびオイゲノールからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0014】
前記香油としては、例えば、スペアミント油、タイム油、チョウジ油、ラベンダー油、セージ油、ローマカミツレ油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ジャスミン油、ジンジャー油、オレンジ油、バジル油、ヒノキ油、ベルガモット油、メリッサ油、ゆず油、ライム油、レモン油、ローズマリー油などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記香油のなかでは、アロマテラピーなどに利用され、汎用性が高く、ヒトの皮膚に対する負荷が低いことから、スペアミント油、タイム油、チョウジ油、ラベンダー油、セージ油およびローマカミツレ油からなる群より選ばれた少なくとも1種である。
【0015】
前記被験物質としては、特に限定されないが、例えば、無機化合物、有機化合物、植物抽出物、微生物培養物、微生物抽出物などが挙げられる。前記被験物質は、そのまま用いてもよく、必要に応じて、溶媒に溶解させて用いてもよい。前記溶媒は、前記生理学的事象の測定に影響を与えない溶媒であることが好ましい。前記溶媒としては、例えば、生理的食塩水、水などが挙げられる。
【0016】
前記TRPA1発現細胞は、TRPA1の生理学的機能を発現する細胞である。前記TRPA1の生理学的機能としては、例えば、マスタード、シナモアルデヒド、アリルイソチオシアネート、カルバクロール、アリシンなどによる化学刺激、冷覚刺激(例えば、17℃前後での刺激)、痛み刺激、機械刺激などの刺激による細胞外から細胞内へのナトリウムイオン、カルシウムイオンなどの陽イオンの透過などが挙げられる。
【0017】
前記TRPA1発現細胞としては、内因性TRPA1を発現している野生型の細胞、TRPA1をコードする核酸が発現可能に宿主細胞に導入された細胞などが挙げられる。前記内因性TRPA1を発現している野生型の細胞としては、特に限定されないが、例えば、感覚神経の細胞、内耳の細胞などが挙げられる。前記TRPA1発現細胞のなかでは、かかるTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を簡便な操作で測定する観点から、TRPA1をコードする核酸が発現可能に宿主細胞に導入された細胞(以下、「外因性TRPA1発現細胞」ともいう)が好ましい。前記外因性TRPA1発現細胞は、染色体外要素として前記核酸が存在している細胞であってもよく、前記核酸が染色体に組み込まれている細胞であってもよい。
【0018】
前記外因性TRPA1発現細胞は、例えば、TRPA1をコードする核酸を保持する組換えベクターにより宿主細胞を形質転換することによって得られる。
【0019】
前記TRPA1をコードする核酸は、ヒトTRPA1をコードする核酸であってもよく、他の動物のTRPA1をコードする核酸であってもよい。
【0020】
前記TRPA1をコードする核酸は、ヒトに適用する被験物質を的確に評価する観点から、ヒトTRPA1をコードする核酸であることが好ましい。前記TRPA1をコードする核酸としては、例えば、配列番号:1に示される塩基配列からなる核酸などが挙げられる。この配列番号:1に示される塩基配列は、アクセッション番号:NM_007332としてGenBankに登録されているヒトTRPA1をコードする核酸の塩基配列である。前記TRPA1をコードする核酸は、前記核酸によりコードされるポリペプチドが前記生理学的機能を発現するのであれば、TRPA1の構造遺伝子の塩基配列の内部または末端に、1個または数個のヌクレオチド残基の置換、欠失または挿入を有する変異型核酸であってもよい。
【0021】
TRPA1をコードする核酸の変異型核酸としては、例えば、
(a)配列番号:1に示される塩基配列に対して、BLASTアルゴリズムにより、Cost to open gap 11、Cost to extend gap 1、expect value 10、wordsize 11の条件でアライメントして算出される配列相同性の値が、TRPA1の生理学的機能を十分に発揮させる観点から、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である塩基配列からなり、かつコードされるポリペプチドが少なくとも前記生理学的機能を発現するポリペプチドである核酸、
(b)配列番号:2において、1個または数個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を有するアミノ酸配列をコードし、コードされるポリペプチドが少なくとも前記生理学的機能を発現するポリペプチドである核酸、
(c)ストリンジェントな条件下で、配列番号:1に示される塩基配列からなる核酸に対する相補鎖核酸とハイブリダイズし、コードされるポリペプチドが、前記生理学的機能を発現するポリペプチドである核酸
などが挙げられる。
【0022】
なお、本明細書において、前記ストリンジェントな条件としては、例えば、配列番号:1に示される塩基配列からなる核酸に対する相補鎖核酸と前記相補鎖核酸に対応するハイブリダイゼーション対象の核酸とを、ハイブリダイゼーション用溶液〔組成:6×SSC(組成:0.9M塩化ナトリウム、0.09Mクエン酸ナトリウム、pH7.0に調整)、0.5質量%ドデシル硫酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、100μg/mL変性サケ精子DNA、50体積%ホルムアミド〕中で、室温以上の温度、よりストリンジェントな条件として42℃以上の温度、さらにストリンジェントな条件として60℃以上の温度で10時間インキュベーションし、つぎに、例えば、2×SSC、よりストリンジェントな条件として0.1×SSCのイオン強度条件下で、かつ室温以上の温度、よりストリンジェントな条件として42℃以上の温度、さらにストリンジェントな条件として60℃以上の温度で洗浄を行なう条件などが挙げられる。
【0023】
前記TRPA1をコードする核酸は、例えば、配列番号:1に示される塩基配列に基づいて作成されたプローブを用いるハイブリダイゼーション法、配列番号:1に示される塩基配列に基づいて設計され、合成された2種類のオリゴヌクレオチドプライマーからなるプライマー対を用いる核酸増幅法などによって得られる。
【0024】
前記宿主細胞としては、前記TRPA1をコードする核酸が効率よく発現され、かつ培養が容易なものであればよく、特に限定されないが、例えば、動物細胞、細菌細胞、植物細胞、昆虫細胞などが挙げられる。これらのなかでは、ヒトにおけるTRPA1の生理学的機能を十分に再現する観点から、動物細胞であることが好ましい。動物細胞としては、例えば、ヒト細胞、サル細胞、マウス細胞などが挙げられる。ヒト細胞としては、特に限定されないが、例えば、HEK293細胞、Hela細胞などが挙げられる。サル細胞としては、特に限定されないが、例えば、COS−7細胞などが挙げられる。マウス細胞としては、特に限定されないが、例えば、CHO細胞、NIH3T3細胞などが挙げられる。前記宿主細胞のなかでは、取扱いが容易である観点から、HEK293細胞、CHO細胞、COS−7細胞およびNIH3T3細胞が好ましい。これらのなかでは、TRPチャネルがほとんど発現しておらず、外因性のTRPA1の活性化を容易にかつ選択的に測定することができる観点から、HEK293細胞が好ましい。
【0025】
前記組換えベクターは、TRPA1をコードする核酸と慣用のベクターとを連結させることによって得られるベクターである。前記ベクターは、その調製が容易であり、効率よく宿主細胞に導入することができ、かつ宿主細胞内でTRPA1を効率よく発現させることができるベクターであればよい。前記ベクターは、形質転換後に、組換えベクターを保持する細胞を容易に選択する観点から、選択マーカー遺伝子を有するベクターであることが好ましい。ベクターとしては、例えば、プラスミドベクター、ウイルスベクターなどが挙げられる。これらのベクターは、用いられる宿主細胞に応じて適宜選択することができる。なお、前記外因性TRPA1発現細胞を作製するための組換えベクターに用いられるベクターは、発現プロモーターを有していてもよい。
【0026】
前記組換えベクターを用いた形質転換は、用いられる宿主細胞の種類に応じて、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、トランスフェクション法、パーティクルガン法などの形質転換方法によって行なうことができる。これらの形質転換方法は、例えば、モレキュラー クローニング:ア ラボラトリー マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)〔ザンブルーク(Sambrook)ら、コールド スプリング ハーバー プレス(Cold Spring Harbor Press)、1989年発行〕などの記載に準じて行なうことができる。形質転換後の細胞からの外因性TRPA1発現細胞の選択は、例えば、用いられた組換えベクターが選択マーカー遺伝子を有する場合、選択マーカー遺伝子に応じた選択培地で培養することなどによって行なうことができる。
【0027】
得られた細胞が、TRPA1を発現している細胞であることの確認は、例えば、細胞を1〜10mMパラオキシ安息香酸メチルエステルと接触させ、後述の細胞内カルシウムイオン濃度の測定方法により、接触後の細胞の細胞内カルシウムイオン濃度を測定することによって行なうことができる。細胞がTRPA1を発現している場合、接触後の細胞の細胞内カルシウムイオン濃度は、パラオキシ安息香酸メチルエステルと接触させていない細胞の細胞内カルシウムイオン濃度よりも高くなる。
【0028】
香料および/または香油および被験物質と、TRPA1発現細胞との接触は、例えば、各細胞の培養に適した培地中で、香料および/または香油および被験物質と、TRPA1発現細胞とをインキュベーションすることなどによって行なわれる。
【0029】
前記培地としては、TRPA1発現細胞が生育するのに適した成分〔例えば、グルコース、アミノ酸、ペプトン、ビタミン、細胞増殖促進因子(例えば、細胞成長因子、ホルモン、結合タンパク質、細胞接着因子、脂質など)、血清(例えば、ウシ胎仔血清など)、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど〕を含む培地であればよい。前記培地は、一般に用いられる基本培地に前記成分を補って用いてもよく、市販されている培地をそのまま用いてもよい。基本培地としては、特に限定されないが、MEM培地、DMEM培地、RPMI 1640培地などが挙げられる。かかる培地は、細胞の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、用いられる細胞がHEK293細胞から得られた細胞である場合、培地として、10質量%ウシ胎仔血清含有DMEM培地などが用いられる。
【0030】
被験物質に接触させるTRPA1発現細胞の量は、試験データの信頼性の観点から、被験物質100μLあたり、1×101細胞以上が好ましく、1×102細胞以上がより好ましく、細胞の間隔を確保し、細胞が密になりすぎないようにする観点から、3×10細胞以下が好ましく、2×10細胞以下がより好ましい。
【0031】
前記TRPA1発現細胞に接触させる香料および/または香油の量は、香料および/または香油の種類によって異なるため、一概に決定することができないことから、香料および/または香油の種類に応じて適宜設定することができる。
【0032】
前記TRPA1発現細胞に接触させる被験物質の量は、被験物質の種類によって異なるため、一概に決定することができないことから、被験物質の種類に応じて適宜設定することができる。
【0033】
なお、TRPA1発現細胞は、前記生理学的事象を測定するのに適した状態に細胞を維持するために、必要に応じて、TRPA1発現細胞を、当該TRPA1発現細胞に適した条件下で、予めインキュベーションしておいてもよい。
【0034】
前記インキュベーションは、用いられる細胞の種類に応じた方法によって行なうことができる。かかる方法としては、例えば、単層静置培養法、浮遊培養法、回転培養法、三次元担体培養法などが挙げられる。また、インキュベーション温度、インキュベーション時間、二酸化炭素濃度などの条件は、用いられる細胞に応じて適宜設定される。例えば、TRPA1発現細胞として、HEK293細胞から得られた細胞を用いる場合、かかる細胞は、前記生理学的事象を測定するのに適した状態に細胞を維持する観点から、通常、5体積%二酸化炭素を含む雰囲気中で、好ましくは36〜38℃、より好ましくは36.5〜37.5℃でインキュベーションすればよい。
【0035】
前記生理学的事象としては、香料および/または香油の存在下における被験物質の接触前後の一定電位下での電流の変化、香料および/または香油の存在下における被験物質の接触前後の細胞内カルシウムイオン濃度の変化、これらの組み合わせなどが挙げられる。本発明においては、簡便な操作で、かつ高感度で測定することができる観点から、前記生理学的事象は、香料および/または香油の存在下における被験物質の接触前後の細胞内カルシウムイオン濃度の変化であることが好ましい。
【0036】
前記一定の電位での電流の測定方法としては、例えば、パッチクランプ法などが挙げられる。
【0037】
細胞内カルシウムイオン濃度は、例えば、カルシウムキレート化剤に基づく蛍光試薬(以下、「蛍光カルシウム指示薬」ともいう)をTRPA1発現細胞に導入し、細胞内のカルシウムイオンに前記蛍光カルシウム指示薬を結合させ、カルシウムイオンと結合した蛍光カルシウム指示薬の蛍光強度を調べる方法などを用いて算出することができる。この場合、香料および/または香油の存在下における被験物質との接触前後の細胞内カルシウムイオン濃度の変化は、香料および/または香油と接触させたときの細胞内カルシウムイオン濃度に対する香料および/または香油と被験物質と接触させたときの細胞内カルシウムイオン濃度の変化〔すなわち、香料および/または香油による細胞内カルシウムイオン濃度の増加に対する被験物質による抑制率〕を求めることによって調べることができる。
【0038】
前記蛍光カルシウム指示薬としては、例えば、カルシウムイオンと結合した当該蛍光カルシウム指示薬の量によってその蛍光特性が変化する試薬であればよく、特に限定されないが、例えば、FURA 2、FURA 2−AM、Fluo−3などが挙げられる。
【0039】
なお、蛍光カルシウム指示薬が2種類の励起波長を有する場合、より精度を高める観点から、各励起波長における蛍光強度から蛍光強度比を算出することが好ましい。例えば、蛍光カルシウム指示薬であるFURA 2−AMの励起波長は、340nmおよび380nmである。この場合、前記抑制率は、式(I):
【0040】
【数1】

【0041】
〔式中、Δ蛍光強度比Aは、式(II):
【0042】
【数2】

【0043】
を示し、Δ蛍光強度比Bは、式(III):
【0044】
【数3】

【0045】
を示す〕
に基づいて求めることができる。なお、本明細書において、「蛍光強度340nm」はTRPA1発現細胞に導入され、かつ細胞内のカルシウムイオンに結合したFURA 2−AMに基づく励起波長340nmにおける蛍光の強度を示し、「蛍光強度380nm」はTRPA1発現細胞に導入されたFURA 2−AMに基づく励起波長380nmにおける蛍光の強度を示す。
【0046】
以上説明したように、本発明の被験物質の評価方法によれば、前記香料および/または香油によりTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象により、被験物質が香料および/または香油による刺激を抑制する物質であるかどうかを評価することができる。したがって、本発明の被験物質の評価方法は、香料および/または香油を含有する外用剤の開発などに利用することができる。
【実施例】
【0047】
つぎに、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0048】
(製造例1)
ヒトTRPA1をコードするcDNA〔配列番号:1(GenBankアクセッション番号:NM_007332)に示される塩基配列の63位〜3888位のポリヌクレオチド〕を、哺乳動物細胞用ベクター〔インビトロジェン社製、商品名:pcDNA3.1(+)〕のクローニングサイトに挿入し、ヒトTRPA1発現ベクターを得た。得られたヒトTRPA1発現ベクター1μgと、遺伝子導入用試薬〔インビトロジェン社製、商品名:PLUS Reagent(プラスリージェント)、カタログ番号:11514−015〕6μlとを混合し、混合物Iを得た。また、遺伝子導入用カチオン性脂質〔インビトロジェン社製、商品名:リポフェクタミン(登録商標)、カタログ番号:18324−012〕4μlと、血清使用量低減培地〔インビトロジェン社製、商品名:OPTI−MEM(登録商標)I Reduced−Serum Medium(カタログ番号:11058021)200μlとを混合し、混合物IIを得た。
【0049】
また、5体積%二酸化炭素の雰囲気中、37℃に維持された直径35mmのシャーレ上の10質量%FBS含有DMEM培地中において、5×10細胞のHEK293細胞を70%のコンフルエンシーになるまで培養した。
【0050】
得られた細胞培養物に、前記混合物Iと混合物IIとを添加することにより、HEK293細胞に前記ヒトTRPA1発現ベクターを導入し、TRPA1発現細胞を得た。
【0051】
(試験例1)
製造例1で得られたTRPA1発現細胞を、細胞内カルシウムイオン測定用試薬であるFURA 2−AM(インビトロジェン社製)を最終濃度5μMで含む10質量%ウシ胎仔血清含有DMEM培地中、室温で60分間インキュベーションすることにより、前記TRPA1発現細胞にFURA 2−AMを導入し、FURA 2−AM導入細胞を得た。
【0052】
得られたFURA 2−AM導入細胞を循環定温チャンバー付蛍光測定装置〔浜松ホトニクス(株)製、商品名:ARGUS−50〕の各チャンバーに入れた。その後、チャンバー中のFURA 2−AM導入細胞を、溶媒A〔組成:140mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化マグネシウム、2mM塩化カルシウム、10mMグルコースおよび10mMヘペス塩酸緩衝液(pH7.4)〕で洗浄した。
【0053】
つぎに、洗浄後のFURA 2−AM導入細胞が入ったチャンバーに1mMメントールを含有する溶媒Aを入れ、FURA 2−AM導入細胞と1mMメントールを含有する溶媒Aとを混合した。
【0054】
その後、チャンバーにおいて、蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmを測定した。
【0055】
測定された蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmから、蛍光強度比メントールを算出した。前記蛍光強度比メントールは、式(IV):
【0056】
【数4】

【0057】
に基づいて算出した。
【0058】
また、前記1mMメントールを含有する溶媒Aの代わりに溶媒Aを用いたことを除き、前記1mMメントールを含有する溶媒Aを用いた場合と同様にして蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmを測定した。
【0059】
測定された蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmから、蛍光強度比溶媒Aを算出した。前記蛍光強度比溶媒Aは、式(V):
【0060】
【数5】

【0061】
に基づいて算出した。
【0062】
その結果、蛍光強度比メントールは、1.80であった。また、蛍光強度比溶媒Aは、0.87であった。これらの結果から、1mMメントールを含有する溶媒Aを用いた場合、溶媒Aを用いた場合と比べて、TRPA1発現細胞の細胞内カルシウムイオン濃度が増加していることがわかる。
【0063】
TRPA1の活性化は、パラベン類やアルコールによる不快な刺激と関連していると考えられている。したがって、以上の結果から、TRPA1がメントールによっても活性化されるので、メントールにより皮膚に与えられる感覚のうちの不快な刺激は、TRPA1の活性化によって引き起こされていることが示唆される。
【0064】
(試験例2)
試験例1において、1mMメントールを含有する溶媒Aの代わりに被験物質を含有する被験試料を用いたことを除き、試験例1と同様に操作を行ない、蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmを測定した。なお、被験物質として香料であるカルボン、メントン、シトロネラール、シトラール、リナロール、テルピネオールまたはオイゲノールを用いた。被験試料は、1mMカルボンを含有する溶媒A、1mMメントンを含有する溶媒A、1mMシトロネラールを含有する溶媒A、1mMシトラールを含有する溶媒A、1mMリナロールを含有する溶媒A、1mMテルピネオールを含有する溶媒Aまたは1mMオイゲノールを含有する溶媒Aである。
【0065】
測定された蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmから、Δ蛍光強度比aを算出した。前記Δ蛍光強度比aは、式(VI):
【0066】
【数6】

【0067】
に基づいて算出した。なお、前記対照は、溶媒Aである。
【0068】
また、前記被験試料の代わりにTRPA1のアゴニストを用いたことを除き、前記被験試料を用いた場合と同様にして蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmを測定した。なお、前記アゴニストとして1mMメントールを含有する溶媒Aを用いた。
【0069】
測定された蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmから、Δ蛍光強度比bを算出した。前記Δ蛍光強度比bは、式(VII):
【0070】
【数7】

【0071】
に基づいて算出した。
【0072】
算出されたΔ蛍光強度比aとΔ蛍光強度比bとから、TRPA1発現細胞におけるΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bを算出した。
【0073】
試験例2において、試料とΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bの値との関係を示すグラフを図1に示す。
【0074】
図1において、試料番号1は1mMカルボンを含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比b、試料番号2は1mMメントンを含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比b、試料番号3は1mMシトロネラールを含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比b、試料番号4は1mMシトラールを含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比b、試料番号5は1mMリナロールを含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比b、試料番号6は1mMテルピネオールを含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bおよび試料番号7は1mMオイゲノールを含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bを示す。
【0075】
図1に示された結果から、1mMカルボンを含有する溶媒A(試料番号1)、1mMメントンを含有する溶媒A(試料番号2)、1mMシトロネラールを含有する溶媒A(試料番号3)、1mMシトラールを含有する溶媒A(試料番号4)、1mMリナロールを含有する溶媒A(試料番号5)、1mMテルピネオールを含有する溶媒A(試料番号6)および1mMオイゲノールを含有する溶媒A(試料番号7)それぞれを用いた場合、Δ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bが0.1〜1.3であり、0を超えていることがわかる。これらの結果から、カルボン、メントン、シトロネラール、シトラール、リナロール、テルピネオール、オイゲノールなどの香料は、メントールと同様に、TRPA1を活性化することがわかる。したがって、香料によりTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定することにより、香油による刺激を抑制する物質を評価することができることが示唆される。
【0076】
(試験例3)
試験例2において、被験物質として香油であるスペアミント油、タイム油、クローブ油、ラベンダー油、セージ油またはローマカミツレ油を用いたことを除き、試験例2と同様に操作を行ない、TRPA1発現細胞におけるΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bを算出した。なお、被験試料は、0.01体積%スペアミント油を含有する溶媒A(試料番号1)、0.01体積%タイム油を含有する溶媒A(試料番号2)、0.01体積%クローブ油を含有する溶媒A(試料番号3)、0.01体積%ラベンダー油を含有する溶媒A(試料番号4)、0.01体積%セージ油を含有する溶媒A(試料番号5)または0.01体積%ローマカミツレ油を含有する溶媒A(試料番号6)である。
【0077】
試験例3において、試料とΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bの値との関係を示すグラフを図2に示す。
【0078】
図2において、試料番号1は0.01体積%スペアミント油を含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比b、試料番号2は0.01体積%タイム油を含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比b、試料番号3は0.01体積%クローブ油を含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比b、試料番号4は0.01体積%ラベンダー油を含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比b、試料番号5は0.01体積%セージ油を含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bおよび試料番号6は0.01体積%ローマカミツレ油を含有する溶媒Aを用いた場合のΔ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bを示す。
【0079】
図2に示された結果から、0.01体積%スペアミント油を含有する溶媒A(試料番号1)、0.01体積%タイム油を含有する溶媒A(試料番号2)、0.01体積%クローブ油を含有する溶媒A(試料番号3)、0.01体積%ラベンダー油を含有する溶媒A(試料番号4)、0.01体積%セージ油を含有する溶媒A(試料番号5)および0.01体積%ローマカミツレ油を含有する溶媒A(試料番号6)それぞれを用いた場合、Δ蛍光強度比a/Δ蛍光強度比bが0.6〜1.6であることがわかる。これらの結果から、スペアミント油、タイム油、クローブ油、ラベンダー油、セージ油、ローマカミツレ油などの香油は、メントールと同様に、TRPA1を活性化することがわかる。したがって、香油によりTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定することにより、香油による刺激を抑制する物質を評価することができることが示唆される。
【0080】
(実施例1)
試験例1において、被験試料の代わりに1mMシトラールを含有する溶媒Aと被験物質との混合物を用いたことを除き、試験例2と同様に操作を行ない、蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmを測定した。被験物質としてルテニウムレッド〔シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製、カンファー〔シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製〕、グリセロールまたは1,3−ブチレングリコールを用いた。各混合物中における被験物質の濃度は、それぞれ、ルテニウムレッドが10μM、カンファーが5mM、グリセロールが1mM、1,3−ブチレングリコールが1mMである。前記ルテニウムレッドは、TRPチャネルに対する既知のアンタゴニストである。また、カンファーは、TRPA1に対してブロッカーとして作用する。なお、1mMシトラールを含有する溶媒Aと被験物質との混合物の代わりに対照である溶媒Aを用いたことを除き、前記と同様に操作を行ない、蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmを測定した。測定された蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmから、式(I)にしたがってΔ蛍光強度比を算出した。
【0081】
また、前記被験試料の代わりに1mMシトラールを含有する溶媒Aを用いたことを除き、前記と同様に操作を行ない、蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmを測定した。測定された蛍光強度340nmおよび蛍光強度380nmから、式(II)にしたがってΔ蛍光強度比を算出した。
【0082】
算出されたΔ蛍光強度比およびΔ蛍光強度比を用い、シトラールによるTRPA1発現細胞内のカルシウムイオン濃度の増加に対する被験物質による抑制率を、式(III)に基づき算出した。実施例1において、試料と抑制率との関係を示すグラフを図3に示す。
【0083】
図3において、試料番号1はルテニウムレッドを用いた場合の抑制率、試料番号2はカンファーを用いた場合の抑制率、試料番号3はグリセロールを用いた場合の抑制率、試料番号4は1,3−ブチレングリコールを用いた場合の抑制率を示す。
【0084】
図3に示された結果から、ルテニウムレッドを用いた場合の抑制率(試料番号1)およびカンファーを用いた場合の抑制率(試料番号2)は、それぞれ69.8%および73.9%であることがわかる。これに対し、グリセロールを用いた場合の抑制率(試料番号3)および1,3−ブチレングリコールを用いた場合の抑制率(試料番号4)は、それぞれ5.8%および1.6%であることがわかる。これらの結果から、ルテニウムレッドおよびカンファーは、グリセロールおよび1,3−ブチレングリコールと比べて、香料であるシトラールによるTRPA1発現細胞内のカルシウムイオン濃度の増加を強く抑制することがわかる。したがって、香料によりTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定することにより、香料による刺激を抑制する物質を評価することができることが示唆される。
【0085】
(実施例2)
実施例1において、1mMシトラールを含有する溶媒Aの代わりに0.01体積%タイム油を含有する溶媒Aを用いたことを除き、実施例1と同様に操作を行ない、Δ蛍光強度比およびΔ蛍光強度比を算出した。
【0086】
算出されたΔ蛍光強度比およびΔ蛍光強度比を用い、タイム油によるTRPA1発現細胞内のカルシウムイオン濃度の増加に対する被験物質による抑制率を、式(III)に基づき算出した。実施例2において、試料と抑制率との関係を示すグラフを図4に示す。
【0087】
図4において、試料番号1はルテニウムレッドを用いた場合の抑制率、試料番号2はカンファーを用いた場合の抑制率、試料番号3はグリセロールを用いた場合の抑制率、試料番号4は1,3−ブチレングリコールを用いた場合の抑制率を示す。
【0088】
図4に示された結果から、ルテニウムレッドを用いた場合の抑制率(試料番号1)およびカンファーを用いた場合の抑制率(試料番号2)は、それぞれ92.4%および81.5%であることがわかる。これに対し、グリセロールを用いた場合の抑制率(試料番号3)および1,3−ブチレングリコールを用いた場合の抑制率(試料番号4)は、それぞれ3.1%および4.1%であることがわかる。これらの結果から、ルテニウムレッドおよびカンファーは、グリセロールおよび1,3−ブチレングリコールと比べて、香油であるタイム油によるTRPA1発現細胞内のカルシウムイオン濃度の増加を強く抑制することがわかる。したがって、香油によりTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定することにより、香油による刺激を抑制する物質を評価することができることが示唆される。
【0089】
以上の結果から、香料および/または香油によりTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定することにより、香料および/または香油による刺激を抑制する物質を評価することができることが示唆される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料および/または香油と被験物質とをTRPA1発現細胞に接触させ、前記被験物質によりTRPA1を介して引き起こされる生理学的事象を測定し、前記生理学的事象に基づき、前記被験物質が香料および/または香油による刺激を抑制する物質であるかどうかを評価する被験物質の評価方法。
【請求項2】
前記生理学的事象が、前記香料および/または香油の存在下における前記被験物質との接触前後の細胞内カルシウムイオン濃度の変化である請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
前記香料が、カルボン、メントン、シトロネラール、シトラール、リナロール、テルピネオールおよびオイゲノールからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載の評価方法。
【請求項4】
前記香油が、スペアミント油、タイム油、チョウジ油、ラベンダー油、セージ油およびローマカミツレ油からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−187043(P2012−187043A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53275(P2011−53275)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】