説明

装着部材および蓋体付き容器

【課題】容器を陳列装置に縦置きに陳列する際に容器の標記をランダムな方向に向けて容器を置いても、標記を所定の方向に向けて陳列することが可能な装着部材および蓋体付き容器を提供する。
【解決手段】装着部材40は、キャップ形状の成形品であり、容器20に装着されるものである。この装着部材40は、円形状の本体部41と、本体部41の縁部から一方向に延びるフランジ状の外周部42とを備えている。また、装着部材40は、本体部41の中央部にて、外周部42が延びる方向とは反対の方向に盛り上がるように形成された盛り上がり部43を備えている。盛り上がり部43は、中央部を含んで径方向に延びる長手形状部で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の陳列を行う陳列システム等に適用される装着部材および蓋体付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばコンビニエンスストアなどにおいては、飲料缶やペットボトルなど飲料が充填された容器が、例えば陳列ケースに収容された陳列装置に縦置きに載せられて販売される。そしてこのような陳列装置は、例えば、容器自身の自重により陳列ケースの前方に容器が移動するように傾斜した状態で配置される。そして、手前側(最前列)の1つの容器を抜き取ると、後続の容器が自重で手前側に移動する。
ここで陳列装置の容器が載せられる箇所には、容器の滑りの良さから例えばプラスチックの平板が設けられる。また、近年では回転可能なローラを多数配置した陳列装置が出回っている(例えば、特許文献1参照)。また、容器の補充は陳列装置の後方側から行うのが一般的であるが、手前側からの容器の投入を可能とするとともに、奥側に移動した容器が、再度手前側に移動し陳列される陳列装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。即ち、前方側から投入された容器がUターンして戻ってくる陳列装置が提案されている。さらに、容器に関するものとして、缶底に形成された環状凸部の内周壁に、内側凹部と縦リブとが円周方向に交互に形成された缶が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
ところで、容器の外面には、商品名や商標名など他の商品と識別するための標記が設けられるが、この標記が購入者の取り出し方向に向いていないと、商品の識別がしにくくなるとともに、商品の陳列時の見栄えが悪くなる。このため、陳列される容器は、例えば前方側など、標記が所定の方向に向いていることが好ましい。
【0004】
公報記載の従来技術として、容器が載せられる傾斜棚板の上面に、棚板傾斜方向に向けて棒状のガイド凸条を設け、容器の底部に、標記の直下と標記が付された面とは反対側の面の直下とを結ぶ凹状嵌合部を設け、このガイド凸条と凹状嵌合部とを用いて容器を陳列する陳列方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この陳列方法では、標記が前方側を向く姿勢で凹状嵌合部をガイド凸条に嵌合させ、複数の容器を前後に並べる。この結果、標記が前方を向いた状態で容器の陳列が行われる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−155701号公報
【特許文献2】米国特許第6502408号
【特許文献3】特開2000−211624号公報
【特許文献4】特開2006−288676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献4では、凹状嵌合部をガイド凸条に嵌合させ容器の陳列を行うことで、標記を確実に前方に向けることが可能となる。しかしながら、かかる発明では、容器の投入者は、容器を陳列装置に設置する度に凹状嵌合部をガイド凸条に嵌合させる必要があり、容器の陳列作業が繁雑となる。また、標記が容器の一箇所にのみ形成されている場合には、標記が後方側に向いた状態で陳列される陳列ミスの発生も懸念される。また、このコンビニエンスストアなどの多量の飲料を販売する店舗等では、向きを揃えて投入する作業が非常に大掛かりとなる。
【0007】
本発明は、容器を陳列装置に縦置きに陳列する際に容器の標記をランダムな方向に向けて容器を置いても、標記を所定の方向に向けて陳列することが可能な装着部材および蓋体付き容器を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明に適用されるシステムは、第1の位置から第2の位置への移動工程において容器を適宜回転せしめ、前記容器が第2の位置に移動した後に、容器の標記を特定の方向に向けさせるようにした陳列システムである。また、本発明が適用される装着部材は、標記が付された容器に装着される装着部材であって、前記標記が定められた方向以外の方向を向いた状態で移動する前記容器の当該標記が当該定められた方向に向けられる際に用いられる凸部又は凹部を備えるものである。
【0009】
ここで、前記凸部又は前記凹部は、前記容器が移動するための移動機構と係合することにより当該容器の前記標記が前記定められた方向に向けられることを特徴とすることができる。また、前記凸部として、径方向に延びる長手形状部を外面に備えることを特徴とすることができる。また、前記容器の底部に装着される装着部材であって、前記容器を保持する環状の保持部をさらに備え、前記凸部又は前記凹部は、前記保持部の内側または外側に形成されていることを特徴とすることができる。また、前記容器に装着されると当該容器の外面との間に空間を形成することを特徴とすることができる。
【0010】
他の観点から捉えると、本発明が適用される装着部材は、標記が付された容器に装着される装着部材であって、回転した前記容器が、前記標記が所定方向に向いた状態で停止される際に用いられる凸部又は凹部を備えるものである。
【0011】
ここで、前記凸部又は前記凹部は、前記容器を回転させる回転機構と当該容器の回転を停止させる回転停止機構とを備える機構と係合することにより当該容器の前記標記が前記所定方向に向けられることを特徴とすることができる。また、前記容器の底部に装着される装着部材であって、前記容器を保持する環状の保持部をさらに備え、前記凸部又は前記凹部は、前記保持部の内側または外側に形成されていることを特徴とすることができる。
【0012】
更に本発明を別の観点から捉えると、本発明が適用される蓋体付き容器は、標記が付された容器と、回転した前記容器が、前記標記が所定方向に向いた状態で停止される際に用いられる凸部又は凹部を有する蓋体と、を有し、前記容器の標記と前記蓋体の凸部又は凹部とが予め定められた位置関係にあるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容器を陳列装置に縦置きに陳列する際に容器の標記をランダムな方向に向けて容器を置いても、標記を所定の方向に向けて陳列することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態にて用いられる移動機構の一例としての陳列装置30の概略構成を示した図である。同図(A)は陳列装置30を説明する斜視図であり、同図(B)は陳列装置30が設けられる陳列ケース10を説明する斜視図である。
同図(A)に示すように本実施形態における陳列装置30は、缶体として形成され飲料が内部に充填された容器20が載せられる載置部31と、容器20の移動経路を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32とを備えている。
また、陳列装置30は、透明に形成されるとともに載置部31の一側辺に沿って配置され、容器20の移動を停止させる規制板34を備えている。また、陳列装置30は、載置部31に対向すると共に載置部31と所定距離だけ上側に離間して配設された規制部材35を備えている。この規制部材35は、後述する蓋体の一例としての装着部材40と係合して、装着部材40が装着されている容器20の向きを規制するためのものである。
【0015】
陳列装置30は、同図(B)に示すように、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどに設置される陳列ケース10の内部に収納される。この陳列ケース10は、直方体状に形成されたケース本体部10Aと、このケース本体部10Aに対して開閉可能に設けられたドア10Bとにより主要部が構成されている。なお、本明細書では、ドア10B側を前方側(前方)と称し、ドア10Bとは反対側を後方側(後方)と称する場合がある。また、陳列ケース10の幅方向(容器20が移動する方向に直交する方向)を横方向、幅方向と称する場合がある。
ここで陳列装置30は、陳列ケース10の内部に設けられた棚(不図示)に載せられる。この際、陳列装置30は、規制板34が設けられた側がドア10B側に位置するように設置される。また、規制板34が設けられた側が、規制板34が設けられた側とは反対側よりも下方に位置するように配置される。すなわち、陳列装置30は、陳列ケース10の後方側から容器20が取り出される前方側(取り出し部側)に向かって下り傾斜した状態で配置される。
【0016】
ここで、本実施形態における陳列ケース10は、後方側にもドアが設けられ(不図示)、後方側も開放可能となっている。そしてこの後方側より陳列装置30に容器20が投入される。すなわち、陳列ケース10の後方側および陳列装置30の後方側に容器20の投入部が設けられた構成となっている。そして、投入された容器20は載置部31上をドア10B側に向かって移動する。すなわち、容器20を購入する購入者側に向かって移動する。
【0017】
〔第1の実施の形態〕
図2は、第1の実施の形態に係る装着部材40を説明する図である。同図(A)は、装着部材40の平面図であり、同図(B)は、(A)の線IIb−IIbによる装着部材40の縦断面図であり、同図(C)は一変形例に係る装着部材40の平面図であり、同図(D)は装着部材40を容器20の上部に装着した状態の、容器20と装着部材40との関係を示す図である。なお、装着部材40は、容器20に装着されたときに容器20に対して円周方向へ移動しないように容器20に係合する。同図では、容器20としていわゆる2ピース缶を例示しているが、3ピース缶についても同様に適用することが可能である。
同図(A)および(B)に示す装着部材40は、キャップ形状の成形品であり、同図(D)に示すように、容器20に装着されるものである。この装着部材40は、円形状の本体部41と、本体部41の縁部から一方向に延びるフランジ状の外周部42とを備えている。また、装着部材40は、本体部41の中央部にて、外周部42が延びる方向とは反対の方向(装着部材40の外方向)に盛り上がるように形成された凸部または凹部の一例としての盛り上がり部43を備えている。また、装着部材40は、本体部41の縁部から外周部42と同じ方向に延び、外周部42よりも外径が小さく形成された環状の立壁部44を備えている。
【0018】
さらに説明すると、装着部材40は、本体部41、盛り上がり部43および立壁部44により画成される空間45を備え、また、本体部41、外周部42および立壁部44により画成される空間46を備えている。装着部材40が容器20に装着されると、この空間45は密閉されることから、例えば、おまけとしての商品を入れるための場所として利用することが考えられる。また、空間46は、空間45よりも狭く、かつ、容器20の購入者にとっては見えにくい位置にあることから、例えば、容器20を管理するための各種の情報を記憶するICチップ等を入れておくための場所として利用することが考えられる。
【0019】
ここで、本実施の形態での盛り上がり部43は、中央部を含んで径方向(長手方向)に延びる長手形状部で構成されている。具体的に説明すると、同図(A)に示す例では、盛り上がり部43は、平面視で略だ円形状であり、また、同図(C)に示す例では、平面視で略ひし形形状である。同図(D)に示すように、容器20は、側部22に2つの識別標記23を有している。より具体的に説明すると、識別標記23は、盛り上がり部43の長手方向に対応する側部22の位置に設けられている。
また、盛り上がり部43は、長手方向に関して中央よりも一側(同図の右側)に偏って配置されている。
【0020】
図3は、規制部材35を説明する平面図である。同図(A)は、規制部材35の平面図であり、同図(B)は、容器20に装着された装着部材40が規制部材35に接触した際の作用について説明する平面図である。
同図(A)に示すように、規制部材35は、本体部351と、本体部351の片面から連続的に突出する突出部352,353とを備えている。突出部352,353は、容器20の移動方向に進むに従って離間距離が狭くなるように配置されている。この突出部352,353は、装着部材40の盛り上がり部43と係合し、移動方向に進む容器20の移動方向に対する向きを規制する。すなわち、容器20は、突出部352,353の離間距離が短い移動方向下流側では、盛り上がり部43の長手方向が容器20の移動方向に向くように規制される。そして、上述したように、装着部材40の盛り上がり部43と容器20の識別標記23との位置関係が規定されていることから、容器20の取り出し部(図1参照)では、容器20は、2つの識別標記23のいずれかが移動方向前方に向く。
さらに説明すると、同図(B)に示すように、装着部材40の盛り上がり部43が横になった状態で規制部材35に侵入してきたときには、盛り上がり部43と突出部353との係合によって矢印の方向に回転し、円滑に移動方向に進む。
【0021】
〔第2の実施の形態〕
図4は、第2の実施の形態に係る装着部材40を説明する図である。同図(A)は、装着部材40を容器20の下部(底部)に装着した状態の、容器20と装着部材40との関係を示す図であり、同図(B)は、載置部36を説明する平面図である。
同図(A)に示すように、本実施の形態では、装着部材40を容器20の下部に取り付けている。なお、本実施の形態の装着部材40は、上述した第1の実施の形態の場合と同じ構造であるので、その説明を省略することがある。また、本実施の形態の載置部36は、第1の実施の形態の載置部31に相当するものである。
同図(B)に示すように、載置部36は、本体部361と、本体部361の片面から連続的に突出して装着部材40の盛り上がり部43と係合することで装着部材40を案内する案内部362,363とを備えている。この案内部362,363は、第1の実施の形態に係る規制部材35の突出部352,353に相当するものである。すなわち、案内部362,363は、容器20の移動方向に進むに従って離間距離が狭くなるように配置されている。
また、載置部36は、容器20の移動方向に沿った回転が可能に設けられたロール状部材364,365を複数有している。これらのロール状部材364,365は、容器20の移動方向(前後方向)に沿って並べられている。ロール状部材364,365は、装着部材40の本体部41と接触することによって、装着部材40が装着された容器20を保持する。
なお、本実施の形態では、円筒状の容器20を例示しているが、容器20の上部が縮径された所謂ボトル缶として構成することもできる。
【0022】
〔第3の実施の形態〕
次に第3の実施の形態について説明する。まず、本実施の形態に係る装着部材40を説明する。
図5は、本実施の形態に係る装着部材40を説明する図である。同図(A)は、装着部材40を容器20の底部21に装着した状態の、容器20と装着部材40との関係を示す図であり、同図(B)は、その底面図である。なお、本実施の形態に係る装着部材40は、第1の実施の形態に係る装着部材40と基本的な構成が共通するため、共通する事項についての説明を省略することがある。
同図(A)および(B)に示すように、装着部材40が備えている保持部の一例としての盛り上がり部43は、環状のリブ形状に構成されている。そして、装着部材40は、盛り上がり部43の内周側に形成された樹脂製の突出部47を備えている。ここで例えば樹脂による突出部47の形成は、例えば、エポキシ系樹脂等に代表される熱可塑性の樹脂を溶融するとともに吐出する装置(例えば熱射ガン)を用い、容器20に溶着することで行うことができる。この突出部47は、装着部材40と一体成形しても良い。なお、容器20は販売時に加温等される場合がある。このため、突出部47に用いられる樹脂は、加温販売時の温度では溶融しないものを選定することが好ましい。
また、同図(A)に示すように、装着部材40の突出部47が容器20の識別標記23とは反対側の位置になるように、装着部材40は容器20に装着される。すなわち、装着部材40の突出部47と容器20の識別標記23との円周方向における相対的な位置が規定されている。
【0023】
次に、本実施の形態に用いる陳列装置30(図1参照)について詳細に説明する。
図6は、陳列装置30の載置部31を説明する図である。同図(A)は、載置部31の平面図であり、同図(B)は、載置部31の側面図である。
同図(A)に示すように、載置部31は、ガイド32(本図では不図示)により形成される移動経路上に、第1ローラ部311と、容器20の底部(端部)21に接触し容器20に摺動抵抗(摩擦抵抗)を付与する抵抗付与部312とを備えている。また、載置部31は、第1ローラ部311と抵抗付与部312との間に配置され容器20の回転(詳細は後述)を停止させる回転停止機構313とを備えている。このように、載置部31は、容器20を回転させる回転機構と容器20の回転を停止させる回転停止機構313とを備える機構で構成される。
ここで第1ローラ部311、抵抗付与部312、および回転停止機構313は、横方向に並列配置されている。また、載置部31は、第1ローラ部311、抵抗付与部312、回転停止機構313よりも前方に、容器20を更に前方に移動させる第2ローラ部314を備えている。
【0024】
第1ローラ部311は、容器20の移動方向に沿った回転が可能に設けられたロール状部材311aを複数有している。なお、これらのロール状部材311aは、容器20の移動方向(前後方向)に沿って並べられている。
抵抗付与部312は、例えばゴム部材により構成することができる。なおゴム部材には、例えばEPDM(エチレン−プロピレンゴム)を用いることができる。
第2ローラ部314は、容器20の移動方向に沿って回転可能に設けられたロール状部材314aを複数有している。ここでこのロール状部材314aは、容器20の移動方向に沿って並べられている。また、ロール状部材314aは、幅方向に2列並んで配置されている。さらに、各々のロール状部材314aは、第1ローラ部311におけるロール状部材311aよりも幅広に形成されている。
【0025】
回転停止機構313は、同図(B)に示すように、無端状に形成され循環移動が可能なベルト部材313aを備えている。また、回転停止機構313は、回転可能に設けられ、ベルト部材313aを内側から張架する第1張架ロール313bおよび第2張架ロール313cを備えている。また、ベルト部材313aの表面に固定され且つベルト部材313aの移動方向に沿って並べて設けられ、ベルト部材313aの移動に伴い循環移動する複数の移動部材313dを備えている。さらに、ベルト部材313aの移動方向において所定の間隔をおいて設けられ、且つ移動部材313dの表面から突出した複数の突起313eを備えている。ここで突起313eは、載置される容器20の最下端部と移動部材313d(載置部31)との接触位置よりも容器20側に突出するように設けられている。
【0026】
次に、装着部材40が装着された容器20が陳列装置30の載置部31に置かれた際の、陳列装置30および容器20の動作について説明する。
ここで図7は、陳列装置30および、装着部材40が装着された容器20の動作を示した図である。
同図の実線4Aに示すように陳列装置30の後方側に、装着部材40が下部に装着された容器20が置かれると、盛り上がり部43(図5参照)が突起313eと接触する。これにより装着部材40を介して容器20から回転停止機構313に荷重が作用し、回転停止機構313における移動部材313dが前方に向かって移動する。このとき、容器20の図中右方側は第1ローラ部311により円滑に前方に向かって移動しようとするものの、図中左方側は抵抗付与部312から抵抗が付与されるため前方への移動が規制される。
【0027】
この結果、破線4Bに示すように、容器20は、前方へ移動しつつも時計回り(周方向)の回転を行う。すなわち、容器20が前方に移動しようとする移動力に抗する抵抗力が容器20の部位に応じて異なるようになり、容器20は回転する。詳細には、容器20の重心を境にして左右の抵抗力が異なるようになり、装着部材40と共に容器20は回転する。
【0028】
その後、装着部材40の突出部47が回転停止機構313の突起313eと係合する。これにより、装着部材40および容器20の回転が停止(規制)される(破線4C参照)。その後、装着部材40および容器20が第2ローラ部314の所定位置まで達すると、装着部材40の突出部47と回転停止機構313の突起313eとが非接触状態となる。これにより、容器20は、装着部材40と共に第2ローラ部314によって更に前方まで移動する(破線4D参照)。
【0029】
本実施形態では、実線4Aに示すように、例えば識別標記23が後方側を向いた状態で容器20が装着部材40を介して載置部31に置かれたとしても、前方に達する段階において、識別標記23が前方に向くようになる。このため、識別標記23が前方に向いていない状態で容器20の載置(投入)を行ったとしても、陳列ケース10(図1(B)参照)の前方側に容器20が達した際に識別標記23を前方に向いた状態となる。すなわち、容器20を陳列装置30に投入する投入者が特別な操作をしないでも、識別標記23が前方を向くこととなる。
なお、本実施の形態では、装着部材40に突出部47を設けた構成例について説明したが、他の構成例も考えられる。例えば、突出部47の代わりに、盛り上がり部43の内周面に、凹部(不図示)を設ける構成例である。
【0030】
〔第4の実施の形態〕
次に第4の実施の形態について説明する。まず、本実施の形態に係る装着部材40を説明する。
図8は、本実施の形態に係る装着部材40を説明する図である。同図(A)は、装着部材40を容器20の下部に装着した状態の、容器20と装着部材40との関係を示す図であり、同図(B)は、その底面図である。なお、同図は、第3の実施の形態を図示する図5に対応する図面である。また、本実施の形態に係る装着部材40は、第3の実施の形態に係る装着部材40と基本的な構成が共通するため、共通する事項についての説明を省略することがある。
同図に示すように、装着部材40は、環状のリブ形状に構成されている盛り上がり部43を備え、そして、盛り上がり部43の外周面(外側の側面)に第1凹部48aおよび第2凹部48bが形成されている。ここで、第1凹部48aおよび第2凹部48bは互いに対向する関係で配置されている。付言すれば、第1凹部48aおよび第2凹部48bは、容器20の円周方向において、位相が180°ずれた状態で配置されている。なお、本書においては、容器20に形成されるこのような凹部を単に、凹部48と称する場合がある。
【0031】
さらに容器20は、外面の一部である側部22の特定箇所に、商品名、商標名など他の商品と識別するための第1識別標記23a、第2識別標記23bを有している。なお、本明細書においては、以下単に「識別標記23」と称する場合がある。ここで、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、同一の形態でもいいし異なる形態とすることもできる。なお、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、容器20の周方向において、位相が180°ずれた状態で配置されている。
【0032】
なお、凹部48と識別標記23との関係を説明すると、容器20の周方向において、第1識別標記23aと第1凹部48aは、位相が90°ずれた状態で配置されている。また、第2識別標記23bと第2凹部48bも、位相が90°ずれた状態で配置されている。付言すれば、第1識別標記23aと第1凹部48aは、予め定められた所定の位置関係を有して形成され、第2識別標記23bと第2凹部48bも、予め定められた所定の位置関係を有して形成されている。さらに説明すれば、第1識別標記23aと第1凹部48aは互いに異なる位置に配置され、第2識別標記23bと第2凹部48bも互いに異なる位置に配置されている。
【0033】
さらに説明すると、第1識別標記23aと第2識別標記23bとは、位相が180°ずれた状態で配置されている。また、第1凹部48aと第2凹部48bとは、位相が180°ずれた状態で配置されている。また、本実施の形態では、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bのように識別標記23が複数設けられるとともに、これらの識別標記23の各々に対応して凹部(第1凹部48a、第2凹部48b)が設けられている。
【0034】
次に、本実施の形態に用いる陳列装置30(図1参照)について詳細に説明する。
図9は、陳列装置30の載置部31を説明する図である。同図(A)は、載置部31の平面図であり、同図(B)は、回転停止機構313の側面図であり、同図(C)は、陳列装置30を前方側から眺めた場合の状態を示す図である。
同図において、載置部31の後方側(上部側)は、幅方向における一端部側(一側辺側)が他端部側(他側辺側)よりも下方に位置するように傾斜した状態で配置されている。詳細に説明すると、載置部31の後方側は、ガイド32側の側辺が、ガイド32側とは反対側の側辺よりも下方に位置するように傾斜した状態で配置されている。その一方、載置部31の前方側(詳細には、ガイド32よりも前方側)は、幅方向における傾斜が付与されていない。なお、同図(A)中、符号11A,11Bに示す三角形、矩形は、載置部31の後方側および前方側における傾斜の状態を示している。
また、同図(A)に示すように、回転停止機構313を、容器20の移動経路の直下ではなく、移動経路の側方に配置している。
【0035】
同図に示す回転停止機構313は、突起313eが上方に突出せず、突起313eが回転停止機構313の幅方向に突出する構成となっている。言い換えると、突起313eが、容器20の移動方向と直交する方向(交差する方向)に突出する構成となっている。付言すれば、容器20の移動経路の側方から移動経路上に突出する構成となっている。
また、回転停止機構313は、容器20の移動経路上に突出するとともに容器20の間に入り込み、各容器20が互いに接触することを防止する棒状部材313jを複数備えている。なお、本陳列装置30に用いられる容器20の識別標記23および突出部47は、図10の符号17Aに示すように、容器20の円周方向において、位相が90°ずれた状態で配置されている。
【0036】
図10を用いて回転停止機構313および容器20の動作について説明する。
陳列装置30の後方側に置かれた容器20(符号17A参照)は、ガイド32により案内されつつ前方に向かって移動する。なおこの際、容器20は、ガイド32から回転力を受け、反時計回りに回転しながら前方へ移動する(符号17B参照)。そして、容器20が回転しながら更に前方に移動すると、第1凹部48aと突起313eとが係合する状態となり、容器20の回転が停止される(符号17C参照)。なお、この際、容器20は、第1識別標記23aが前方に向いた状態となる。そして、容器20は、回転停止機構313を通過すると、更に前方に向かって移動し、第1識別標記23aが前方を向いた状態で所定位置に停止される(符号17D参照)。
【0037】
ここで容器20同士が互いに接触してしまうと、容器20の回転が他の容器20により阻害され、第1識別標記23aが前方側を向かないおそれがある。本実施の形態では、棒状部材313jが設けられているために、容器20同士の接触を避けることができる。なお、前方まで移動した突起313eおよび棒状部材313jは、載置部31に形成された切り欠き315を通じ、下方側へ移動し、その後、後方側へと移動していく。
【0038】
このように、上述した第1ないし第4の実施の形態によれば、陳列装置30の上流側にて、識別標記23の向きが揃っていなくても、容器20が陳列装置30を進行する間に、識別標記23の位置を揃えることができる。そして、陳列装置30の下流側に到達する際には、容器20の識別標記23が進行方向前方に向くようになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態にて用いられる陳列装置の概略構成を示した図である。
【図2】第1の実施の形態に係る装着部材を説明する図である。
【図3】規制部材を説明する平面図である。
【図4】第2の実施の形態に係る装着部材を説明する図である。
【図5】第3の実施の形態に係る装着部材を説明する図である。
【図6】陳列装置の載置部を説明する図である。
【図7】陳列装置および、装着部材が装着された容器の動作を示した図である。
【図8】第4の実施の形態に係る装着部材を説明する図である。
【図9】陳列装置の載置部を説明する図である。
【図10】陳列装置および、装着部材が装着された容器の動作を示した図である。
【符号の説明】
【0040】
20…容器、21…底部、23…識別標記、23a…第1識別標記、23b…第2識別標記、30…陳列装置、40…装着部材、41…本体部、42…外周部、43…盛り上がり部、44…立壁部、45,46…空間、47…突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標記が付された容器に装着される装着部材であって、
前記標記が定められた方向以外の方向を向いた状態で移動する前記容器の当該標記が当該定められた方向に向けられる際に用いられる凸部又は凹部を備える装着部材。
【請求項2】
前記凸部又は前記凹部は、前記容器が移動するための移動機構と係合することにより当該容器の前記標記が前記定められた方向に向けられることを特徴とする請求項1に記載の装着部材。
【請求項3】
前記凸部として、径方向に延びる長手形状部を外面に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の装着部材。
【請求項4】
前記容器の底部に装着される装着部材であって、
前記容器を保持する環状の保持部をさらに備え、
前記凸部又は前記凹部は、前記保持部の内側または外側に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装着部材。
【請求項5】
前記容器に装着されると当該容器の外面との間に空間を形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装着部材。
【請求項6】
標記が付された容器に装着される装着部材であって、
回転した前記容器が、前記標記が所定方向に向いた状態で停止される際に用いられる凸部又は凹部を備える装着部材。
【請求項7】
前記凸部又は前記凹部は、前記容器を回転させる回転機構と当該容器の回転を停止させる回転停止機構とを備える機構と係合することにより当該容器の前記標記が前記所定方向に向けられることを特徴とする請求項6に記載の装着部材。
【請求項8】
前記容器の底部に装着される装着部材であって、
前記容器を保持する環状の保持部をさらに備え、
前記凸部又は前記凹部は、前記保持部の内側または外側に形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の装着部材。
【請求項9】
標記が付された容器と、
回転した前記容器が、前記標記が所定方向に向いた状態で停止される際に用いられる凸部又は凹部を有する蓋体と、
を有し、
前記容器の標記と前記蓋体の凸部又は凹部とが予め定められた位置関係にある蓋体付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−167264(P2010−167264A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288495(P2009−288495)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)