説明

装置試験システム

【課題】複数の試験の実行に必要とされる時間を算出する。
【解決手段】本発明に係る装置試験システムは、制御装置と、試験対象となる1つ以上の被試験装置が出力する信号を測定する1つ以上の測定装置とを含む装置試験システムであって、前記制御装置は、設定に従って、1つ以上の試験を前記被試験装置に対して行う試験制御手段と、前記複数の試験それぞれの実行に費やされた第1の試験実行時間を計測する時間計測手段と、前記計測された第1の試験実行時間を、前記試験ごとに記録する実行時間記録手段と、前記記録された第1の試験実行時間に基づいて、複数の試験に費やされる第2の試験実行時間を算出する時間算出手段と、前記算出した第2の試験実行時間を表示する表示手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験の対象となる被試験装置を試験する装置試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、試験結果である測定データを計測器から受け取って、故障部位を特定する試験装置を開示する。
【特許文献1】特開平9−304129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述のような背景からなされたものであり、複数の試験の実行に必要とされる時間を算出することができるように改良された装置試験システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明に係る装置試験システム(1)は、制御装置(12)と、試験対象となる1つ以上の被試験装置(20)が出力する信号を測定する1つ以上の測定装置(16)とを含み、前記制御装置は、設定に従って、1つ以上の試験を前記被試験装置に対して行う試験制御手段(224)と、前記複数の試験それぞれの実行に費やされた第1の試験実行時間を計測する時間計測手段(230)と、前記計測された第1の試験実行時間を、前記試験ごとに記録する実行時間記録手段(234)と、前記記録された第1の試験実行時間に基づいて、複数の試験に費やされる第2の試験実行時間を算出する時間算出手段(238)と、前記算出した第2の試験実行時間を表示する表示手段(236)とを有する。
なお、ここで付された符号は、本願発明の理解を助けることを意図するものであり、本願発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る装置試験システムによれば、複数の試験の実行に必要とされる時間を算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
[本発明の背景]
本発明の理解を助けるために、まず、本発明がなされるに至った背景を説明する。
装置試験システムは、試験の対象となる被試験装置に対して、機能・性能などに関する試験(以下、「全体試験」と記述する)を行う。
全体試験は、複数の試験を含み、これら複数の試験は、「試験項目」と呼ばれる数字や記号、またはそれらの組み合わせからなる識別子と対応付けることにより、それぞれ一意に識別される。
全体試験は、試験実行時間変動要因(例えば、作業者によるケーブル接続変更作業など)を有さない試験(以下、この試験を「自動試験」と記述する)のみを含むときと、試験実行時間変動要因を有する試験(以下、この試験を「半自動試験」と記述する)を含むときがある。
自動試験のみを含む全体試験において、全体試験の実行に必要とされる時間(以下、「全体試験実行時間」と記述する)は、全体試験に含まれる複数の試験項目に対応付けられる複数の試験の実行時間を合計することにより算出することができると考えられる。
【0007】
しかしながら、各試験項目に対応付けられる試験の実行時間は、実際に測定することにより得られた時間ではないため、全体試験実行時間は、実際の全体試験実行時間とは大きく異なることが予想される。
また、半自動試験の実行時間は、時間変動要因により変動するので、半自動試験を含む全体試験実行時間を正確に算出することは困難であると予想される。
以下に説明する試験システム1は、自動試験のみを含む全体試験および半自動試験を含む全体試験の実行時間を算出するように構成されている。
なお、以下、「試験項目に対応付けられる試験」を単に「試験項目」と記述する。
つまり、例えば、「試験項目に対応付けられる試験を実行する」は、「試験項目を実行する」と記述し、「試験項目に対応付けられる試験の実行時間」は、「試験項目の実行時間」と記述する。
【0008】
[試験システム1]
以下、本発明の実施形態として、試験システム1を説明する。
図1(A)は、本発明に係る試験システム1(試験システム)の構成を示す図である。
図1(A)に示すように、試験システム1は、制御装置12と、被試験装置用制御装置14と、n個の測定装置16−1〜16−n(n≧1;ただし、全てのnが常に同数を示すとは限らない。)と、n個の被試験装置20−1〜20−n(被試験装置)とが、LANなどのネットワーク10に接続され、n個の測定装置16−1〜16−nと、n個の被試験装置20−1〜20−nとが、切替装置18を介して接続されて構成される。
なお、以下、測定装置16−1〜16−nなど、複数ある構成部分のいずれかを示すときは、単に、測定装置16と記載することがある。
以下、各図において、実質的に同じ構成部分・処理には、同じ符号が付される。
【0009】
試験システム1においては、制御装置12および被試験装置用制御装置14の制御に従って、被試験装置20の試験が開始され、被試験装置20から出力される試験信号を、切替装置18を介して接続された測定装置16が測定し、試験結果を制御装置12に対して出力する。
また、試験システム1においては、制御装置12は、図2に示す制御装置プログラム22を実行し、被試験装置20に対する全体試験を開始する、および、全体試験実行時間を算出する。
【0010】
[ハードウェア構成]
図1(B)は、図1(A)に示した制御装置12および被試験装置用制御装置14のハードウェア構成を例示する図である。
図1(B)に示すように、制御装置12及び被試験装置用制御装置14はそれぞれ、メモリ122およびCPU124などを含む情報処理装置120、キーボードおよび表示装置などを含む外部入出力装置126、データ通信を行うための通信装置128、および、ハードディスクなどの記録媒体132に対してデータの記録を行う記録装置130などから構成される。
つまり、制御装置12および被試験装置用制御装置14は、情報処理およびデータ通信が可能なコンピュータとしての構成部分を有している。
【0011】
[制御装置プログラム22]
図2は、試験システム1の制御装置12(図1(A)、(B))上で実行される制御装置プログラム22を示す図である。
図2に示すように、制御装置プログラム22は、ユーザインタフェース(UI)部220、通信処理部222、試験制御部224、試験手順作成部226、試験結果データベース(DB)228、時間計測部230、判定部232、実行時間DB234、表示部236、時間算出部238から構成される。
制御プログラム22は、例えば、メモリ122(図1(B))に記憶されて制御装置12に供給され、必要に応じて、制御装置12にインストールされたOS(図示せず)上で、制御装置12のハードウェア資源を、具体的に利用して実行される。
【0012】
UI部220は、以下の処理(1−1)〜(1−5)を行う。
(1−1)外部入出力装置126(図1(B))を介して入力された全体試験開始命令と試験属性情報を受け付けて、試験制御部224に対して出力する(試験属性情報は、全体試験に含まれる複数の試験項目と各試験項目の種類(自動または半自動)、全体試験を行う作業者情報、被試験装置の固有識別番号を含む)。
(1−2)半自動試験において、外部入出力装置126を介して入力された時間変動要因を受け付けて、試験制御部224に対して出力する。
なお、以下、説明の具体化、明確化のために、「時間変動要因」を「作業者によるケーブル接続変更作業」である場合を具体例とする。
つまり、「時間変動要因を受け付ける」は、「作業者によるケーブル接続変更作業完了通知を受け付ける」ことを意味する。
また、この具体例は、本願発明の技術的範囲の限定を意図するものではない。
【0013】
(1−3)外部入出力装置126を介して入力された、試験属性情報を受け付けて、試験手順作成部226に対して出力する。
(1−4)外部入出力装置126を介して入力された、試験実行画面表示命令と試験属性情報を受け付けて、表示部236に対して出力する。
(1−5)後述する表示部236が出力する情報を受け付け、外部入出力装置126に表示させる。
【0014】
通信処理部222は、以下の処理(2−1)、(2−2)を行う。
(2−1)後述する試験制御部224からの通知を受信し、通信装置128を介して、被試験装置用制御装置14、切替装置18を制御する。
(2−2)通信装置128を介して受信した測定装置16の試験結果を試験制御部224に通知する。
【0015】
試験制御部224は、以下の処理(3−1)〜(3−7)を行う。
(3−1)UI部220から入力された全体試験開始命令と、後述する試験手順作成部226から入力された試験手順を受け取り、通信処理部222を介して、試験手順に従って、切替装置18を制御して、測定装置16と被試験装置20を接続させる。
(3−2)UI部220から入力された全体試験開始命令と、後述する試験手順作成部226から入力された試験手順を受け取り、通信処理部222を介して、試験手順に従って、被試験装置用制御装置14を制御して、被試験装置20に試験信号を出力させる。
【0016】
(3−3)半自動試験において、半自動試験の実行手順に従って、通信処理部222を介して、被試験装置用制御装置14に被試験装置20への試験実行のための制御を行わせる。
例えば、作業者によるケーブル接続変更作業のために、試験を一時停止させる必要がある半自動試験において、通信処理部222を介して、被試験装置用制御装置14を制御して、被試験装置20に試験信号の出力を一時停止させる。
UI部220から入力された作業者によるケーブル接続変更作業完了通知を受け取り、通信処理部222を介して、被試験装置用制御装置14を制御して、被試験装置20に試験信号の出力を再開させる。
(3−4)UI部220から入力された全体試験開始命令と試験属性情報を受け取り、時間計測部230に対して、試験属性情報と、試験ごとに開始時刻を通知する。
【0017】
(3−5)通信処理部222を介して、測定装置16(図1(A))の試験結果を受信し、受信した試験結果を試験結果DB228に記憶する。
(3−6)通信処理部222を介して、測定装置16の試験結果を受信し、受信した試験結果を判定部232に対して出力し、試験結果の良否を判定させ、判定結果を試験結果DB228に記憶させる。
試験結果の良否とは、試験結果が、後述する試験手順作成部226が作成して、試験結果DB228に記憶させた要求基準の範囲内であるか否かを意味する。
(3−7)通信処理部222を介して、測定装置16の試験結果を受信し、時間計測部230に対して、試験終了時刻を通知する。
【0018】
試験手順作成部226は、以下の処理(4−1)〜(4−4)を行う。
(4−1)UI部220から試験属性情報を受け取り、受け取った試験属性情報に基づいて、全体試験に含まれる各試験手順と各試験結果の要求基準を作成する。
(4−2)試験制御部224に対して、作成した試験手順を出力する。
(4−3)作成した試験結果の要求基準を試験結果DB228に記憶する。
(4−4)後述する表示部230に対して、作成した試験手順と試験結果の要求基準を出力し、試験実行画面に表示させる。
【0019】
試験結果DB228は、以下の処理(5−1)〜(5−3)を行う。
(5−1)試験手順作成部226から入力された試験結果の要求基準を受け取り、記憶する。
(5−2)試験制御部224から入力された試験結果を受け取り、記憶する。
(5−3)判定部232から入力された試験結果の良否判定結果を受け取り、記憶する。
【0020】
時間計測部230は、以下の処理(6−1)〜(6−4)を行う。
(6−1)試験制御部224から通知された試験開始時刻と試験終了時刻とを用いて、試験項目ごとに、実行時間を計測する。
つまり、時間計測部230は、試験制御部224から通知された試験開始時刻と、試験終了時刻を記憶し、それぞれの時刻の差分を試験実行時間として計測する。
(6−2)上記具体例によれば、半自動試験において、試験制御部224から通知された試験開始時刻から、試験終了時刻までの間に行われる作業者によるケーブル接続変更作業に費やされた時間を含めて、試験実行時間を計測する。
【0021】
(6−3)判定部232に対して、実行時間を計測した試験結果の良否を問い合わせる。
問い合わせた結果、当該問い合わせた試験結果が良好であるときは、計測された試験実行時間についても、記憶されるデータとして有効であるとみなし、試験制御部224から入力された試験属性情報に基づいて、計測された実行時間を、試験項目ごとに実行時間DB234に記憶する。
(6−4)半自動試験が含まれる試験において、ケーブル接続変更作業を行った作業者ごとに、計測された実行時間を実行時間DB234に記憶する。
【0022】
判定部232は、以下の処理(7−1)、(7−2)を行う。
(7−2)試験制御部224から試験結果を受け取り、試験結果DB228が記憶する要求基準を読み出し、読み出した要求基準に基づいて、試験結果の良否を判定し、判定結果を試験結果DB228に記憶する。
(7−3)時間計測部230から試験結果の良否の問い合わせを受けて、試験結果DB228から、当該指定された試験結果の良否を読み出し、時間計測部230に対して出力する。
【0023】
図3(A)は、実行時間DB234が記憶する情報を試験項目ごとに管理するテーブルを例示する図である。
実行時間DB234は、以下の処理(8−1)、(8−2)を行う。
(8−1)時間計測部230によって計測された試験実行時間を受け取り、試験項目ごとに記憶する。
図3(A)に示すように、複数の種類の被試験装置と複数の試験とを対応付けて、実行時間情報が記憶される。
実行時間情報は、これまでに行われた試験回数、全試験回数のうちの何回目の試験であるか、各試験項目において計測された実行時間、各試験項目の平均実行時間、試験の種類(自動または半自動)を含む。
【0024】
図3(B)は、半自動試験が含まれる全体試験において、実行時間DB234がケーブル接続変更作業を行った作業者ごとに記憶する情報を管理するテーブルを例示する図である。
(8−2)半自動試験が含まれる全体試験において、時間計測部230によって計測された試験実行時間と、ケーブル接続変更作業を行った作業者名を受け取り、計測された試験実行時間を作業者ごとに記憶する。
図3(B)に示すように、図3(A)に示すテーブルで管理される情報が、ケーブル接続変更作業を行った作業者ごとに記憶される。
例えば、図3(B)に示す「テーブル1−1」〜「テーブル2−3」は、図3(A)に示す"被試験装置1"の項目に記憶されるすべての試験項目の実行時間情報を管理する情報テーブルにそれぞれ対応する。
なお、図3(A)では、同一種類の被試験装置ごとに各試験項目の実行時間情報を記憶しているが、図3(B)に示すように、同一種類の被試験装置について、固有識別番号ごとに各試験項目の実行時間情報を記憶してもよい。
【0025】
図4は、表示部236が、UI部220を介して、入出力装置126(図1(B))に表示させる試験実行画面を例示する図である。
表示部236は、以下の処理(9−1)〜(9−5)を行う。
(9−1)UI部220から入力された試験実行画面表示命令と試験属性情報を受け取り、試験属性情報に基づいて、図4に示すように、作業者名、被試験装置名などを含む試験実行画面を作成し、UI部220を介して、外部入出力装置126(図1(B))に表示させる。
(9−2)試験手順作成部226から入力された試験手順と試験結果の要求基準を受け取り、試験項目の一覧として試験実行画面に表示する。
【0026】
(9−3)試験項目一覧に含まれる試験の結果とその良否判定を試験結果DB228から随時読み出し、試験実行画面を更新して、表示する。
(9−4)UI部220から入力された試験実行画面表示命令と試験属性情報を受け取り、時間算出部238に対して、当該指定された全体試験実行時間を算出するよう通知する。
(9−5)後述する時間算出部238から入力された全体試験実行時間および次の半自動試験開始時間、またはこれらのうちのいずれかを受け取り、UI部220を介して、受け取った時間を外部入出力装置126に表示させる。
【0027】
図4に示すように、試験実行画面は、作業者名指定部300、被試験装置表示部302、試験項目一覧表示部304、試験操作ボタン群306、実行時間表示部308から構成される。
作業者名指定部300には、試験を行う作業者名が指定される。
被試験装置表示部302は、被試験装置名と固有識別番号などの一覧を表示し、さらに実際に試験を行う被試験装置は「電源投入中」と表示する。
例えば、図4に示すように、被試験装置の1つである無線機1は電源投入中であり、その固有識別番号は"2007−01−0001"である。
【0028】
試験項目一覧表示部304は、図4に示すように、被試験装置に対して行われる試験項目の一覧と各試験項目に対する試験結果などを表示する。
また、試験項目一覧表示部304は、全体試験が開始すると、図4に示すように、実行中の試験項目を斜線により塗りつぶして表示し、実行が終了した試験項目については、試験結果を「今回試験値」欄に、試験結果の良否を「判定」欄にそれぞれ表示する。
試験操作ボタン群306は、図4に示すように、例えば、「試験開始」、「試験中止」、「一時停止」ボタンから構成される。
なお、図4に示した操作ボタン群は例示であり、他の操作ボタンが含まれてもよい。
例えば、試験操作ボタン群306の「試験開始」ボタンを押下することにより、試験項目一覧表示部304に表示された試験が順に開始される。
【0029】
実行時間表示部308は、全体試験が開始すると、全体試験実行時間から、現在までに費やした時間の差分を「試験残時間」として表示する。
さらに、実行時間表示部308は、半自動試験を含む全体試験において、次の半自動試験開始時間を表示する。
なお、図4では、全体試験実行時間を利用して、試験残時間を表示しているが、試験終了予定時間などの全体試験実行時間を利用した別の表現で表示してもよい。
【0030】
時間算出部238は、以下の処理(10−1)、(10−2)を行う。
(10−1)表示部236から全体試験実行時間を算出する通知を受け取り、
実行時間DB234に記憶される実行時間情報(図3(A))に基づいて、当該全体試験実行時間を算出し、表示部236に出力する。
具体的には、例えば、時間算出部238は、実行時間DB234に記憶される実行時間情報から、当該全体試験に含まれる複数の試験項目の各平均実行時間を読み出し、読み出した各平均試験時間を足し合わせて当該全体試験実行時間を算出する。
【0031】
(10−2)半自動試験が含まれる全体試験において、表示部236から試験時間を算出する通知を受け取り、実行時間DB234に記憶される当該試験を行う作業者の実行時間情報(図3(B))に基づいて、次の半自動試験開始までの時間を算出し、表示部236に出力する。
具体的には、例えば、時間算出部238は、実行時間DB234に記憶される当該試験を行う作業者の実行時間情報から、実行される試験項目一覧のうち、試験の種類が半自動となっている試験項目までの各平均実行時間を読み出して、読み出した各平均実行時間を足し合わせて、当該半自動試験開始までの時間を算出する。
【0032】
[自動試験のみを含む全体試験における試験システム1の全体動作例]
以下、自動試験のみを含む全体試験における試験システム1(図1(A))の全体動作例を説明する。
制御装置12は、作業者からの試験実行画面表示命令と必要な情報を受け取り、
試験実行画面を表示する(図4)(ただし、この時点では、全体試験実行時間は画面に表示されない)。
制御装置12は、図4に示した画面に表示される試験項目一覧の順序で、各試験手順に従って、切替装置18を制御して、測定装置16と被試験装置20とを接続させる。
【0033】
次に、作業者が、図4に示した画面に表示される「試験開始」ボタンを押下すると、被試験装置用制御装置14は、制御装置12を介して全体試験開始通知を受け取り、全体試験に含まれる複数の試験ごとに被試験装置20を制御して、試験信号を出力させる。
被試験装置20は、被試験装置用制御装置14からの制御により、切替装置18を介して接続された測定装置16に対して試験信号を出力する。
測定装置16は、切替装置18を介して接続された被試験装置20から入力された試験信号を受信し、制御装置12に対して出力する。
また、制御装置12は、全体試験が開始すると、全体試験に含まれる複数の試験の実行時間をそれぞれ計測し、計測された時間を試験項目ごとに記憶する。
【0034】
さらに、制御装置12は、全体試験が開始すると、過去に実行された全体試験により記憶された各試験項目の実行時間に基づいて、実行中の全体試験実行時間を算出し、その全体試験実行時間から現在までに費やした時間の差分を、図4に示した「試験残時間」として表示する。
以上説明したように、自動試験のみを含む全体試験を行う試験システム1においては、全体試験に含まれる複数の試験の実行時間がそれぞれ計測され、試験項目ごとに記憶される。
また、全体試験実行中は、過去に実行された全体試験により計測、記憶された試験実行時間に基づいて、全体試験実行時間が算出され、表示される。
つまり、試験システム1においては、実行中に表示される全体試験実行時間が、実際の全体試験実行時間と大きく異なることがないので、全体試験実行時間を正確に見積もって試験を行うことができる。
【0035】
[半自動試験を含む全体試験における試験システム1の全体動作例]
以下、半自動試験を含む全体試験における試験システム1(図1(A))の全体動作例を説明する。
全体試験が開始されるまでの動作は、自動試験のみを含む全体試験における試験システム1で説明した動作と同様である。
制御装置12は、試験の種類が半自動である試験項目の順番になると、被試験装置用制御装置14に対して、試験の一時停止通知を出力する。
被試験装置用制御装置14は、制御装置12から入力された試験の一時停止通知を受け取ると、被試験装置20を制御し、試験信号の出力を一時停止させる。
【0036】
例えば、図4に示した試験項目一覧において、試験項目A−1−1〜A−2−2までが自動試験であり、試験項目A−3−1が半自動試験であるとき、試験項目A−1−1〜A−2−2までの試験システム1の動作は、自動試験のみの全体試験における試験システム1の動作と同様である。
制御装置12は、試験項目A−2−2が完了すると、試験項目A−3−1の開始前に、被試験装置用制御装置14を制御して、試験実行を一時停止させ、試験項目A−3−1の試験において必要な、作業者によるケーブル接続変更作業完了入力を待つ。
制御装置12は、作業者がケーブル接続変更作業を完了させ、図4に示した画面に表示される「試験開始」ボタンを押下すると、被試験装置用制御装置14に対して、試験再開を通知する。
被試験装置用制御装置14は、制御装置12から入力された試験の再開通知を受け取り、被試験装置20を制御し、試験信号の出力を再開させる。
【0037】
被試験装置20、測定装置16の動作は、自動試験のみを含む全体試験における試験システム1で説明した動作と同様である。
制御装置12は、各試験項目の実行時間を、半自動試験における作業者によるケーブル接続変更作業に応じて計測し、計測された時間を作業者ごとに記憶する。
さらに、制御装置12は、全体試験が開始すると、過去に実行された全体試験により記憶された作業者ごとに計測された時間に基づいて、次の半自動試験開始時間を算出し、図4に示した画面に、次の半自動試験開始時間を、上述した試験残時間とともに表示する。
【0038】
以上説明したように、半自動試験を含む全体試験を行う試験システム1においては、全体試験に含まれる複数の試験に費やされた時間が、作業者ごとにそれぞれ計測され、記憶される。
また、全体試験実行中は、過去に実行された全体試験により計測、記憶された試験実行時間に基づいて、ケーブル接続変更作業を行う作業者に応じて、試験実行時間および次の半自動試験開始時間が算出され、表示される。
つまり、試験システム1においては、ケーブル接続変更作業を行う作業者によって変動する半自動試験の実行時間が算出されるので、半自動試験を含む全体試験実行時間を正確に見積もって試験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1(A)は、本発明に係る試験システムの構成を例示する図であり、図1(B)は、制御装置および被試験装置用制御装置のハードウェア構成を例示する図である。
【図2】図2は、図1(A)、(B)の制御装置上で実行される制御装置プログラムの構成を例示する図である。
【図3】図3(A)は、図2の実行時間DBが記憶する情報を、試験項目ごとに管理するテーブルを例示する図であり、図3(B)は、図2の実行時間DBが記憶する情報を、操作した作業者ごとに管理するテーブルを例示する図である。
【図4】図4は、試験実行中の画面を例示する図である。
【符号の説明】
【0040】
1・・・試験システム
10・・・ネットワーク
12・・・制御装置
120・・・情報処理装置
122・・・メモリ
124・・・CPU
126・・・外部入出力装置
128・・・通信装置
130・・・記録装置
132・・・記録媒体
14・・・被試験装置用制御装置
16・・・測定装置
18・・・切替装置
20・・・被試験装置
22・・・制御装置プログラム
220・・・UI部
222・・・通信処理部
224・・・試験制御部
226・・・試験手順作成部
228・・・試験結果DB
230・・・時間計測部
232・・・判定部
234・・・実行時間DB
236・・・表示部
238・・・時間算出部
300・・・作業者名指定部
302・・・被試験装置表示部
304・・・試験項目一覧表示部
306・・・試験操作ボタン群
308・・・実行時間表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と、
試験対象となる1つ以上の被試験装置が出力する信号を測定する1つ以上の測定装置と
を含む装置試験システムであって、
前記制御装置は、
設定に従って、1つ以上の試験を前記被試験装置に対して行う試験制御手段と、
前記複数の試験それぞれの実行に費やされた第1の試験実行時間を計測する時間計測手段と、
前記計測された第1の試験実行時間を、前記試験ごとに記録する実行時間記録手段と、
前記記録された第1の試験実行時間に基づいて、複数の試験に費やされる第2の試験実行時間を算出する時間算出手段と、
前記算出した第2の試験実行時間を表示する表示手段と
を有する
装置試験システム。
【請求項2】
前記試験は、試験実行の際に、試験実行時間を変化させる要因を有する試験を含み、
前記時間計測手段は、前記試験ごとに、前記要因に応じて費やされた第1の試験実行時間を計測し、
前記実行時間記録手段は、前記計測された要因に応じて費やされた前記第1の試験実行時間を、前記要因ごとに記録し、
前記時間算出手段は、前記要因ごとに記録された第1の試験実行時間に基づいて、前記要因に応じて複数の試験に費やされる第2の試験実行時間を算出する
請求項1に記載の装置試験システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−48683(P2010−48683A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213514(P2008−213514)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】