説明

装置近接性に基づいて、コンピューティング装置におけるダイアログの表示を管理する方法、装置、及びプログラム

【課題】 単一のリマインダのみをユーザに提供するための改良された方法、装置、及びコンピュータ命令を提供する。
【解決手段】 ユーザ・コンピューティング装置を含むコンピューティング装置の組にダイアログを提示するためのユーザ・コンピューティング装置における方法である。ダイアログを提示する要求に応答して、ユーザ・コンピューティング装置の選択された近接性の範囲にあるコンピューティング装置の組の中のコンピューティング装置を識別し、近接コンピューティング装置の組を形成する。ダイアログは、ポリシーに基づいて、ユーザ・コンピューティング装置及び近接コンピューティング装置の組のうちの1つのみに提示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、改良されたデータ処理システムに関し、具体的には、データの提示を管理するための方法及び装置に関する。さらにより具体的には、本発明は、装置の組におけるダイアログの提示を管理するための方法、装置、及びコンピュータ命令を提供する。
【背景技術】
【0002】
コンピューティング装置は、多くの異なる形態をとる。コンピューティング装置は、例えば、ワークステーション、ラップトップ、携帯情報端末(PDA)、及びデジタル電話又は携帯電話とすることができる。ワークステーション及びパーソナル・コンピュータなどのより大型の装置は、大容量の記憶装置及び計算能力を提供する。PDA又は携帯電話などのより小型のコンピューティング装置は、それほど大きな処理能力又は記憶装置を持たない。しかしながら、これらの種の装置は、ユーザに可搬性及び利便性をもたらす。
【0003】
ユーザは、住所及びアポイントメントのデータベースを保持することが多い。PDA及び携帯電話などの携帯型コンピューティング装置を用いると、ユーザは、住所及びアポイントなどの情報をこれらの装置に入れて持ち運び、この種の情報に容易にアクセスすることが可能になる。ユーザが、これらの携帯型コンピューティング装置を持ち運ぶ間に変更を行ったときには、その変更を、パーソナル・コンピュータなどのより可搬性の低いコンピューティング装置に配置されたデータベースに同期させることができる。このように、ユーザは、幾つかのコンピューティング装置上に最新の情報データベースを持つことができる。
【0004】
頻繁に使用される1つのプログラムは、カレンダー・プログラムである。ユーザは、後で見直すために格納されるイベントを作成することができる。さらに、イベントと共に、このイベントのためのリマインダ・オプションを作成することができる。このリマインダ・オプションは、カレンダー・プログラムに、イベント前の所定の時刻にポップアップ・ダイアログを提示させて、来るべきイベントについてユーザに思い出させることができる。しかしながら、多数のコンピューティング装置が利用可能であると仮定すると、これらの装置間における情報の同期は、ユーザに対してイベントを確認するポップアップ・ダイアログをすべての装置が提示する結果をもたらし、場合によっては「スヌーズ」リマインダを設定することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確認通知を必要とする多数のリマインダを持つことによって、ユーザは、異なるコンピューティング装置上で同じリマインダを繰り返し確認しなければならないため、ユーザにとって使い勝手が問題となる。したがって、単一のリマインダのみをユーザに提供するための改良された方法、装置、及びコンピュータ命令を有することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、第1の態様において、ダイアログを提示するためのユーザ・コンピューティング装置における方法であって、ダイアログを表示する要求を受信するステップと、該要求を受信したときに、該ユーザ・コンピューティング装置の近接性の範囲にあるコンピューティング装置を識別して、近接コンピューティング装置の組を形成するステップと、該近接コンピューティング装置の組の中に優先コンピューティング装置が存在しない場合には、該ダイアログを該ユーザ・コンピューティング装置に提示するステップと、を含む方法を提供する。
【0007】
好ましくは、第1の態様の方法においては、近接コンピューティング装置の組の中でデータが同期可能である。
【0008】
好ましくは、第1の態様の方法は、近接コンピューティング装置の組におけるどの装置が優先コンピューティング装置であるかを判断するステップをさらに含む。
【0009】
さらに好ましくは、第1の態様の方法においては、優先コンピューティング装置がポリシーに基づいて判断される。
【0010】
好ましくは、第1の態様の方法においては、ユーザ入力を用いて優先コンピューティング装置を識別する。
【0011】
好ましくは、第1の態様の方法においては、ダイアログについてのイベントの先行確認通知が発生した場合には、そのダイアログの提示が回避される。
【0012】
したがって、本発明は、第2の態様において、ユーザ・コンピューティング装置を含むコンピューティング装置の組にダイアログを提示するための、ユーザ・コンピューティング装置における方法であって、ダイアログを表示する要求に応答して、ユーザ・コンピューティング装置の選択された近接性の範囲にあるコンピューティング装置の組の中のコンピューティング装置を識別して、近接コンピューティング装置の組を形成するステップと、ポリシーに基づいて該ダイアログを該ユーザ・コンピューティング装置に選択的に提示するステップとを含み、該ポリシーは、該ユーザ・コンピューティング装置及び該ダイアログを提示する該近接コンピューティング装置の組のみにもたらされる、方法を提供する。
【0013】
好ましくは、第2の態様の方法においては、ポリシーは、ユーザ・コンピューティング装置及びコンピューティング装置の組についての優先順位を含む。
【0014】
さらに好ましくは、第2の態様の方法においては、提示するステップは、ユーザ・コンピューティング装置が近接コンピューティング装置の組に対して最も高い優先順位を有するかどうかを判断するステップと、該近接コンピューティング装置の組に対して最も高い優先順位を有する該ユーザ・コンピューティング装置に応答して、ダイアログを該ユーザ・コンピューティング装置に表示するステップと、を含む。
【0015】
好ましくは、第2の態様の方法は、ダイアログが以前にコンピューティング装置の組の1つに提示されたかどうかを判断するステップと、該ダイアログの先行提示に応答して、提示するステップの開始を回避するステップと、をさらに含む。
【0016】
好ましくは、第2の態様の方法においては、コンピューティング装置の組は、ラップトップ・コンピュータ、携帯情報端末、及びデジタル電話のうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
好ましくは、第2の態様の方法においては、選択された近接性は、コンピューティング装置とコンピューティング装置の組との間に無線通信が存在するときに発生する。
【0018】
好ましくは、第2の態様の方法においては、ダイアログは、会合についてのリマインダのためのものである。
【0019】
したがって、本発明はさらに、上記方法に従って装置及びコンピュータ・プログラムを提供する。
【0020】
このように、本発明は、ダイアログを提示するためのユーザ・コンピューティング装置における方法を提供する。ダイアログを表示する要求に応答して、ユーザ・コンピューティング装置の選択された近接性の範囲にあるコンピューティング装置の組の中のコンピューティング装置に関して識別が行われ、近接コンピューティング装置の組が形成される。この識別は、異なる時間に行うことができる。例えば、識別は、通信リンクが確立されたとき、又はデータの同期の際に、行うことができる。ダイアログは、ポリシーに基づいて、ユーザ・コンピューティング装置及び近接コンピューティング装置の組のうちの1つのみに提示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ここで、本発明の好ましい実施形態が、添付図面を参照して単なる例示の目的で詳細に説明される。
【0022】
ここで図を、特に図1〜図3を参照すると、本発明の好ましい実施形態にしたがって、単一のリマインダをユーザに提供するのに用いられるコンピューティング装置を示す図が描かれている。図1においては、ラップトップ・コンピュータ100、携帯情報端末102、及びデジタル電話104は、すべてが相互に通信しているが、パーソナル・コンピュータ106とは通信していない。ラップトップ・コンピュータ100、PDA102、及びデジタル電話104は、通信リンク108、110、及び112を介して相互に通信している。
【0023】
これらの例においては、これらの通信リンクは、Bluetoothを用いて確立された無線リンクである。これらの無線リンクは、種々のプロトコルに準拠するものとすることができる。この例においては、これらのリンクは、電子機器製造者の団体によって開発された規格であり、コンピュータ及び携帯電話からキーボード及びヘッドフォンに至るまでのいかなる電子機器についても、電線、ケーブル、又は、ユーザからの何らかの直接的な行動なしに、自身の接続を確立することを可能にするものである。Bluetoothについての規格及び仕様は、Bluetooth Special Interest Groupによって設定される。特定の実装形態に応じて、赤外線又はWi−Fiとしても知られるIEEE 802.11bなどの他の種類の無線接続を利用することができる。
【0024】
上述のように、これらのコンピューティング装置の各々は、カレンダー・プログラムと、該カレンダー・プログラムのためのカレンダー・データとを含む。このカレンダー・データは、イベントと、該イベントの1つ又はそれ以上について設定されたリマインダ・オプションとを含む。例えば、1つのイベントは、午前9時の会合とすることができる。このイベントについてのリマインダ・オプションは、会合の30分前にポップアップ・ダイアログを生成することができる。このイベントは、パーソナル・コンピュータ106などの1つのコンピューティング装置に最初に設定すなわち日時を決められることになる。この例においては、このイベントは、これらの通信リンクの確立前にPDA102と同期される。
【0025】
ラップトップ・コンピュータ100、PDA102、及びデジタル電話104が相互に通信しているときは、これらの装置は、カレンダー・データを同期させることができる。具体的には、カレンダー・データがPDA102及びデジタル電話104の間で同期されるときは、会合についてのイベントをこれらのコンピューティング装置のカレンダー・データに伝えることができる。結果として、リマインダが提示されるときには、通常は、このリマインダは、これらの3つの装置のすべてに提示される。結果として、ユーザは、すべての装置においてイベントを確認するか、又はスヌーズ・オプション(snooze option)を設定することが必要であろう。
【0026】
本発明の好ましい実施形態は、コンピューティング装置の1つのみにリマインダを提示する機構を提供するための方法、装置、及びコンピュータ命令を提供する。これらの例においては、ダイアログは、ユーザが近接(proximate)し、該ダイアログを確認する場合にのみ、コンピューティング装置に提示される。本機構は、ユーザが近接性に基づいて応答コンピューティング装置の序列を作成することを可能にし、最も優先順位の高い装置にのみリマインダが提示されるようにする。
【0027】
1つの例においては、ラップトップ・コンピュータ100、PDA102、又はデジタル電話104のいずれかがパーソナル・コンピュータ106の近接性の範囲にある場合には、ユーザは、ダイアログが該パーソナル・コンピュータ106に提示されるように装置の優先順位を選択することができる。二番目に低い優先順位は、PDA102又はデジタル電話104のいずれかがラップトップ・コンピュータ100の近接性の範囲にある場合であり、ダイアログがラップトップ・コンピュータ100に提示される。この例において設定される別の優先順位は、デジタル電話104がPDA102に近接している場合に、ダイアログがPDA102に提示される場合である。ラップトップ・コンピュータ100又はPDA102のいずれもデジタル電話104の近接性の範囲にない場合には、ダイアログは、PDA102及びデジタル電話104に提示される。この例においては、2つのダイアログが2つの装置に提示される。これらは、確認を待って保留中のダイアログである。ダイアログのいずれか1つが確認され、かつ、装置が相互に近接性の範囲にある場合には、ダイアログは同期される。他のダイアログが確認されたため、確認されないダイアログは自動的に破棄される。
【0028】
PDA102とデジタル電話104との間に通信リンクが確立されると、これらの装置は、ラップトップ・コンピュータ100の近接性の範囲にあるものと見なされる。近接性は、これらの装置間の距離若しくは範囲又は装置間の通信リンクの確立に基づいて、又は、データの同期の間などの、装置が相互に通信を行うときに、確立される。装置が相互に通信できなかった場合には、それらは相互の近接性の範囲にあるとは見なされない。
【0029】
図1においては、ラップトップ・コンピュータ100にダイアログが提示され、一方、PDA102、デジタル電話104、及びパーソナル・コンピュータ106にはダイアログが提示されない。パーソナル・コンピュータ106は、優先順位スキームにおいて設定された他の装置のいずれとも通信していないため、ダイアログを提示しない。この例においては、ダイアログは、ラップトップ・コンピュータ100に提示されるが、他の装置では表示されない。
【0030】
図2においては、コンピューティング装置のいずれも相互に通信していない。デジタル電話104及びPDA102は、ユーザによって、ラップトップ・コンピュータ100及びパーソナル・コンピュータ106の通信範囲外に持ち出されている。PDA102は電源が切られている。この状況では、ダイアログは、デジタル電話104に提示される。PDA102の電源が入っており、デジタル電話104と通信している場合には、ダイアログはPDA102に提示されることになる。
【0031】
次に、図3においては、PDA102、デジタル電話104、及びパーソナル・コンピュータ106は、通信リンク114、116、及び118を介して相互に通信している。会合イベントが確認された場合には、データがコンピューティング装置間で同期されるときにPDA102及びデジタル電話104の一方又は両方によってこのスヌーズ・オプションの設定が通信されたため、パーソナル・コンピュータ106はダイアログを提示しない。コンピューティング装置がその時点で相互に接続されていない、すなわち通信していない場合には、ダイアログはコンピューティング装置のすべてに提示される。コンピューティング装置が、通信しているか又は同期を行っているなど相互に近接性の範囲にあるときは、すべてのコンピューティング装置についてのダイアログは、そのダイアログが非接続状態のコンピューティング装置のいずれかにおいて確認された場合に破棄される。いかなる確認通知も確認されなかった場合には、ダイアログは、これらの例における優先順位スキームに基づいて、装置のうちの1つに提示される。
【0032】
このように、コンピューティング装置の近接性に基づいてダイアログを他のコンピューティング装置に優先させるようにする機構が提供される。ダイアログを優先させることを可能にする、又は開始する装置の名前は、発見プロセスが発生したときに発見することができる。他の装置及びそれらの優先順位を識別するデータは、このプロセスによって装置の各々に保存することができる。
【0033】
これらの例においては、優先装置の序列を設定することができる。例えば、パーソナル・コンピュータ106を序列の最上位とし、デジタル電話104を序列の最下位として、序列を以下のように、すなわち、パーソナル・コンピュータ106、ラップトップ・コンピュータ100、PDA102、及びデジタル電話104とすることができる。この序列により、ラップトップ・コンピュータ100がデジタル電話104の近接性の範囲にある場合には、デジタル電話104はダイアログを提示しない。同様に、PDA102が近接性の範囲にある場合には、デジタル電話104はダイアログを提示しない。その代わり、ダイアログはPDA102に提示される。PDA102がラップトップ・コンピュータ100の近接性の範囲にある場合には、PDA102の代わりにラップトップ・コンピュータ100にダイアログが提示される。PDA102がパーソナル・コンピュータ106の近接性の範囲にあるときは、パーソナル・コンピュータ106にダイアログが提示される。パーソナル・コンピュータ106は、ラップトップ・コンピュータ100に対する優先装置と見なされる。
【0034】
これらの優先順位及び序列は、異なる装置に実装又は格納されるポリシーを用いて設定することができる。具体的な実装形態に応じて、どの装置が他の装置に優先するかということに関する多くの異なる序列又は規則を設定することができる。さらに、図示されたもの以外の他の数及び/又は種類のコンピューティング装置に、ダイアログ処理機構を実装することができる。例えば、優先機構は、デジタル電話104及びラップトップ・コンピュータ100の間のみに実装することができる。
【0035】
ここで図4を参照すると、本発明の好ましい実施形態を実装することができるコンピューティング装置のブロック図が示される。コンピューティング装置200は、図1のラップトップ・コンピュータ100又はパーソナル・コンピュータ106などのコンピュータの一例であり、この中に、本発明の好ましい実施形態のプロセスを実行するコード又は命令を配置することができる。データ処理システム200は、Peripheral component interconnect(PCI)ローカル・バス・アーキテクチャを使用する。図示された例はPCIバスを使用しているが、Accelerated Graphics Port(AGP)及びIndustry Standard Architecture(ISA)などの他のバス・アーキテクチャを用いることもできる。プロセッサ202及びメイン・メモリ204は、PCIブリッジ208を介してPCIローカル・バス206に接続される。PCIブリッジ208は、プロセッサ202の統合メモリ制御装置及びキャッシュ・メモリを含むこともできる。直接コンポーネント相互接続によって、又はアドイン・ボードを介して、PCIローカル・バス206への付加的接続を行うことができる。図示された例においては、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)アダプタ210、small computer system interface(SCSI)ホスト・バス・アダプタ212、及び拡張バス・インターフェース214が、直接コンポーネント相互接続によってPCIローカル・バス206に接続される。これに対して、オーディオ・アダプタ216、グラフィックス・アダプタ218、及びオーディオ/ビデオ・アダプタ219は、拡張スロットに挿入されたアドイン・ボードによって、PCIローカル・バス206に接続される。拡張バス・インターフェース214は、キーボード及びマウス・アダプタ220、モデム222、並びに追加メモリ224に対する接続を提供する。SCSIホスト・バス・アダプタ212は、ハード・ディスク・ドライブ226、テープ・ドライブ228、及びCD−ROMドライブ230に対する接続を提供する。典型的なPCIローカル・バス実装は、3つ若しくは4つのPCI拡張スロット、又はアドイン・コネクタをサポートすることになる。
【0036】
オペレーティング・システムが、プロセッサ202上で作動し、図4のコンピューティング装置200内部の様々なコンポーネントを調整し、制御するために用いられる。オペレーティング・システムは、Microsoft社から入手可能なWindows(R)XPなどの市販のオペレーティング・システムとすることができる。オペレーティング・システム及びアプリケーション又はプログラムについての命令は、ハード・ディスク・ドライブ226などの記憶装置上に配置され、メイン・メモリ204に読み込んで、プロセッサ202によって実行させることができる。
【0037】
当業者であれば、図4のハードウェアは実装形態に応じて変えられることが分かるであろう。図4に示されるハードウェアに加えて、又はこれらに代えて、フラッシュ読み取り専用メモリ(ROM)、等価な技術の不揮発メモリ、又は光ディスク・ドライブなどといった他の内蔵ハードウェア又は周辺装置を用いることができる。また、本発明の好ましい実施形態のプロセスは、マルチプロセッサ・データ処理システムに適用することもできる。
【0038】
例えば、コンピューティング装置200は、必要に応じてネットワーク・コンピュータとして構成される場合には、SCSIホスト・バス・アダプタ212、ハード・ディスク・ドライブ226、テープ・ドライブ228、及びCD−ROM230を含まなくてもよい。その場合には、クライアント・コンピュータと呼ぶことが適切なコンピュータは、LANアダプタ210、モデム222などといった何らかの種類のネットワーク通信インターフェースを含む。別の例として、データ処理システム200は、何らかの種類のネットワーク通信インターフェースを含むかどうかにかかわらず、何らかの種類のネットワーク通信インターフェースに拠らずにブート可能となるように構成される独立型システムとすることができる。
【0039】
図4に示される例及び上述の例は、アーキテクチャ上の制限を示すことを意味するものではない。コンピューティング装置200は、キオスク又はウェブ機器とすることもできる。
【0040】
本発明の好ましい実施形態のプロセスは、例えばメイン・メモリ204、メモリ224などのメモリ内、又は、1つ又はそれ以上の周辺装置226〜230内に配置することができるコンピュータ実装命令を用いて、プロセッサ202によって実行される。
【0041】
ここで図5を参照すると、本発明の好ましい実施形態にしたがって、PDAの形態を取るコンピューティング装置のブロック図が示される。PDA300は、図1におけるPDA102などのPDAの一例であり、この中に、本発明の好ましい実施形態のプロセスを実行するコード又は命令を配置することができる。PDA300は、プロセッサ304及びメイン・メモリ306が接続されるバス302を含む。ディスプレイ・アダプタ308、キーパッド・アダプタ310、記憶装置312、及びオーディオ・アダプタ314もまた、バス302に接続される。クレードル・リンク316は、PDA300内のデータを別のデータ処理システムと同期させるのに用いられるクレードルにPDA300を接続する機構を提供する。さらに、ディスプレイ・アダプタ308はまた、タッチスクリーン・ディスプレイが使用されるときに、スタイラスからのユーザ入力を受信する機構を含む。
【0042】
オペレーティング・システムが、プロセッサ304上で作動し、図5におけるPDA300内部の様々なコンポーネントを調整し、制御するために用いられる。オペレーティング・システムは、例えばMicrosoft社から入手可能なWindows(R)CEなどの市販のオペレーティング・システムとすることができる。オペレーティング・システム及びアプリケーション又はプログラムについての命令は、記憶装置312などの記憶装置上に配置され、メイン・メモリ306に読み込んで、プロセッサ304によって実行させることができる。
【0043】
当業者であれば、図5のハードウェアは実装形態に応じて変えられることが分かるであろう。図5に示されるハードウェアに加えて、又はこれらに代えて、フラッシュROM(又は等価な技術の不揮発メモリ)又は光ディスク・ドライブなどといった他の内蔵ハードウェア又は周辺装置を用いることができる。
【0044】
次に図6を参照すると、本発明の好ましい実施形態にしたがって、コンピューティング装置におけるダイアログの提示を管理するのに用いられるコンポーネントを示す図が描かれている。この例においては、コンピューティング装置400及びコンピューティング装置402は、通信リンク404を介して相互に通信するように示されている。
【0045】
コンピューティング装置400は、データベース408のデータにアクセスするアプリケーション406を含む。ここで説明される機構は、ダイアログを生成するいかなるアプリケーションにも適用することができるが、この例においては、アプリケーション406はカレンダー・アプリケーションであり、データベース408はイベントのデータベースである。ダイアログ・マネージャ410は、本発明の好ましい実施形態の優先スキームを含む、ダイアログを管理するコンポーネントである。ダイアログ・マネージャ410は、アプリケーション406などのアプリケーションからの要求に応答して、ダイアログを選択的に表示する。ポリシー412は、アプリケーション406からの要求に応答してダイアログ・マネージャ410がダイアログを表示するかどうかを判断するのに用いられるデータを含む。コンピューティング装置402は、アプリケーション414、データベース416、ダイアログ・マネージャ418、及びポリシー420を含む。
【0046】
この例においては、コンピューティング装置400はデジタル電話であり、一方、コンピューティング装置402はラップトップ・コンピュータである。コンピューティング装置402は、コンピューティング装置400より高い優先順位を持つ装置である。コンピューティング装置402は、優先装置である見なされる。これらの優先順位は、ポリシー412及びポリシー420に格納される。
【0047】
データベース408は、データベース416と同期される。結果として、データベースに格納されたイベントがリマインダ・ダイアログについてのオプションを含む場合には、アプリケーション406及びアプリケーション414はいずれも、ダイアログ・マネージャ410及びダイアログ・マネージャ418に対して、ダイアログを同時に提示するように要求を行うであろう。ダイアログ・マネージャ410及びダイアログ・マネージャ418はいずれも、別のコンピューティング装置が近接性の範囲にあるかどうかを調べるために検索を行うことになる。この例においては、コンピューティング装置400とコンピューティング装置402との間に通信リンクが確立されたときに、近接性が存在する。近接性は、装置の同期によって判断することもできる。さらに、近接性は、デジタル電話の位置を示す情報をラップトップに提供する電話会社などの別のパーティによって提供されることもある。さらに、近接性は、全地球測位衛星(GPS)システムから取得される位置情報に基づくものとすることもできる。このような場合には、座標範囲が識別され、メッセージが適切なコンピューティング装置に送信されることになる。さらに、近接性は、時刻などの他のイベントによって判断することもできる。例えば、月曜日から金曜日までラップトップ・コンピュータ及びPDAが相互に近接性の範囲にあり、ダイアログはラップトップのみに提示されるべきであることを定めた規則を含むように、ポリシーを作成することができる。この場合には、ユーザが近接性情報を入力する。この種の近接性は、ユーザが近接性の条件を入力するため、「静的近接性」とも呼ばれる。これらの例においては、近接性は、信号強度が選択された量より大きいかどうかを判断することによって確立することも可能である。他の装置からのCPU「ノイズ」でさえ、近接性を判断するために用いることができる。
【0048】
コンピューティング装置400及びコンピューティング装置402が互いを発見すると、ダイアログ・マネージャ410がポリシー412を調べ、一方、ダイアログ・マネージャ418がポリシー420を調べて、アプリケーションからの要求に応じてダイアログが提示されるべきかどうかを判断する。この例においては、ダイアログ・マネージャ410は、コンピューティング装置402がオーバーライド装置であるものと識別し、ダイアログを提示しない。ダイアログ・マネージャ418は、より高い優先順位を持つ装置を検出しない。結果として、装置402によってダイアログ422がユーザに提示される。どのコンピューティング装置がダイアログを提示することになるかを判断するのに用いるためのポリシー412に、優先順位又は規則を確立することができる。優先順位を設ければ、装置の使用状況を利用して優先順位を設定することができる。例えば、1つのコンピューティング装置についていえば、ユーザがラップトップなどのコンピューティング装置を操作していることを該コンピューティング装置が検出した場合には、そのコンピューティング装置は、ラップトップにユーザが存在すること、及びダイアログが該ラップトップのみに提示されるべきであることを、他のコンピューティング装置に通知することができる。
【0049】
ユーザがイベントを確認した場合には、ダイアログ422は閉じられる。ダイアログは、相互に近接性の範囲にないすべてのコンピューティング装置に表示することができる。この場合には、ユーザがコンピューティング装置上のいずれかのダイアログを確認すると、コンピューティング装置のすべてが相互に近接性の範囲にあるときは、そのイベントについての他のダイアログのすべては、ユーザによる1つのコンピューティング装置上のダイアログの確認によって自動的に破棄される。
【0050】
したがって、このように、互いに対するコンピューティング装置の近接性とコンピューティング装置について選択された優先順位とに基づいて、単一のダイアログのみがユーザに提示されるように、ダイアログが多数のコンピューティング装置間で管理される。
【0051】
次に図7を参照すると、本発明の好ましい実施形態にしたがって、ダイアログを表示する要求を処理するプロセスのフローチャートが示される。図7に示されるプロセスは、図6におけるダイアログ・マネージャ410などのプロセスに実装することができる。
【0052】
プロセスは、ダイアログを表示する要求を受信することによって開始する(ステップ500)。要求は、図6におけるアプリケーション406などのアプリケーションから受信される。この例においては、アプリケーションは、リマインダについて提示されることになるダイアログを要求するカレンダー・プログラムである。次いで、プロセスは、コンピューティング装置への通信リンクを識別する(ステップ502)。このステップを用いて、他のどのコンピューティング装置が近接性の範囲にあるかが判断される。その後、ポリシーが検索される(ステップ504)。ポリシーは、ダイアログが提示されるべきかどうかを判断するのに用いられる規則及び/又は優先順位を含む。
【0053】
次に、識別された装置がポリシーと比較される(ステップ506)。この比較に基づいて、ダイアログが表示されるべきかどうかに関して判断が行われる(ステップ508)。ダイアログが表示されることになる場合には、そのダイアログの表示が開始され(ステップ510)、その後プロセスは終了する。そうではない場合には、プロセスは、コンピューティング装置にダイアログを表示することなく終了する。
【0054】
次に図8を参照すると、本発明の好ましい実施形態にしたがって、リマインダの確認通知を管理するプロセスのフローチャートが示される。図8に示されるプロセスは、図6におけるダイアログ・マネージャ410などのプロセスに実装することができる。本プロセスは、アプリケーション、オペレーティング・システム、又はファームウェアなどの他の場所に配置することもできる。
【0055】
プロセスは、リマインダを表示することによって開始する(ステップ600)。ユーザがリマインダを確認したかどうかに関して判断が行われる(ステップ602)。ユーザがリマインダを確認した場合には、このリマインダの標識が格納され(ステップ604)、その後プロセスは終了する。再びステップ602を参照すると、ユーザがリマインダを確認しなかった場合には、プロセスは終了する。
【0056】
図8に示されるプロセスを用いて、異なるコンピューティング装置にわたるリマインダの確認通知が処理される。1つのコンピューティング装置上におけるリマインダの確認通知は、格納され、リマインダがそれ以上は不要であることを示すために他のコンピューティング装置に送られる。
【0057】
次に図9を参照すると、本発明の好ましい実施形態にしたがって、リマインダ・イベントを管理するプロセスのフローチャートが示される。図9に示されるプロセスは、図6におけるダイアログ・マネージャ410などのプロセスに実装することができる。プロセスは、コンピューティング装置を検出することによって開始する(ステップ700)。次いで、他のコンピューティング装置上のダイアログ・マネージャと通信が確立される(ステップ702)。その後、リマインダの確認通知が、他のコンピューティング装置から取得される(ステップ704)。次いで、システム中に存在するすべてのリマインダが識別される(ステップ706)。識別されたリマインダから、1つのリマインダが選択される(ステップ708)。
【0058】
次いで、そのリマインダが確認されたかどうかに関して判断が行われる(ステップ710)。リマインダが確認されなかった場合には、次に該リマインダが表示される(ステップ712)。次いで、処理のための追加のリマインダが存在するかどうかに関して判断が行われる(ステップ714)。追加のリマインダが存在する場合には、プロセスはステップ708に戻り、別のリマインダを選択する。そうでない場合には、プロセスは終了する。
【0059】
結果として、確認されなかったダイアログを持つ非接続コンピューティング装置が存在するが、これらのコンピューティング装置が、ダイアログが確認されたコンピューティング装置の近接性の範囲に入るときに、処理を待っている確認通知を自動的に破棄することができる。このようにして、単一のダイアログ確認通知がもたらされる。このように、単一のコンピューティング装置のみにダイアログを提示できるようにするための方法、装置、及びコンピュータ命令が提供される。本機構は、選択されたコンピューティング装置の近接性の範囲にある他のコンピューティング装置上にダイアログを表示させることを優先する。このようにして、ユーザは、多数の装置上で同一のダイアログを確認する必要なく、単一のダイアログを目にすることができる。図示された例は、カレンダー・プログラムのためのリマインダに関するダイアログの管理を示す。この機構は、コンピューティング装置間で同期されるデータに関するダイアログを表示する他のいずれかのアプリケーションに適用することができる。さらに、本機構は、ダイアログ・マネージャ・プロセスに実装されるものとして示された。このプロセスは、様々な方法で実装することができる。例えば、このプロセスは、オペレーティング・システムの一部として、独立したプログラムとして、又はカレンダー・プロクラムなどのアプリケーションの一部として、実装することができるであろう。
【0060】
完全に機能するデータ処理システムに即して本発明の好ましい実施形態を説明したが、当業者であれば、本プロセスの命令をコンピュータ読み取り可能媒体の形態及び様々な形態で配布することが可能であり、本機構は、実際に配布を行うのに用いられる特定の種類の信号支持媒体にかかわらず等しく適用されることが分かるであろうということに留意することが重要である。コンピュータ読み取り可能媒体の例には、フロッピー(R)ディスク、ハード・ディスク・ドライブ、RAM、CD−ROM、DVD−ROMなどの書き込み可能タイプの媒体と、例えば無線通信及び光通信などの通信形態を用いる、デジタル及びアナログ通信リンク、有線又は無線通信リンクといった伝送タイプの媒体とが含まれる。コンピュータ読み取り可能媒体は、特定のデータ処理システムにおいて実際に用いるためにデコードされるコード化フォーマットの形式を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の好ましい実施形態にしたがって単一のリマインダをユーザに提供するのに用いられるコンピューティング装置を示す図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態にしたがって単一のリマインダをユーザに提供するのに用いられるコンピューティング装置を示す図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態にしたがって単一のリマインダをユーザに提供するのに用いられるコンピューティング装置を示す図である。
【図4】本発明を実装することができるコンピューティング装置のブロック図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態に係るPDAの形態を取るコンピューティング装置のブロック図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態にしたがってコンピューティング装置におけるダイアログの提示を管理するのに用いられるコンポーネントを示す図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態にしたがってダイアログを表示する要求を処理するプロセスのフローチャートである。
【図8】本発明の好ましい実施形態にしたがってリマインダの確認通知を管理するプロセスのフローチャートである。
【図9】本発明の好ましい実施形態にしたがってリマインダ・イベントを管理するプロセスのフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアログを提示するためのユーザ・コンピューティング装置における方法であって、ダイアログを表示する要求を受信するステップと、前記要求を受信したときに、前記ユーザ・コンピューティング装置の近接性の範囲にあるコンピューティング装置を識別して、近接コンピューティング装置の組を形成するステップと、前記近接コンピューティング装置の組の中に優先コンピューティング装置が存在しない場合には、前記ダイアログを前記ユーザ・コンピューティング装置に提示するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記近接コンピューティング装置の組の中でデータが同期可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記近接コンピューティング装置の組におけるどの装置が前記優先コンピューティング装置であるかを判断するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記優先コンピューティング装置がポリシーに基づいて判断される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ユーザ入力を用いて前記優先コンピューティング装置を識別する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ダイアログについてのイベントの先行確認通知が発生した場合には、前記ダイアログの提示が回避される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ダイアログを提示するためのユーザ・コンピューティング装置であって、ダイアログを表示する要求を受信するための受信手段と、前記要求を受信したときに、前記ユーザ・コンピューティング装置の近接性の範囲にあるコンピューティング装置の組の中のコンピューティング装置を識別して、近接コンピューティング装置の組を形成するための識別手段と、前記近接コンピューティング装置の組の中に優先コンピューティング装置が存在しない場合には、前記ダイアログを前記ユーザ・コンピューティング装置に提示するための提示手段と、を含むユーザ・コンピューティング装置。
【請求項8】
コンピューティング装置の組においてダイアログを提示するための、コンピュータ読み取り可能媒体内のコンピュータ・プログラムであって、ダイアログを提示する要求に応答して、ユーザ・コンピューティング装置の選択された近接性の範囲にある前記コンピューティング装置の組の中のコンピューティング装置を識別し、近接コンピューティング装置の組を形成するための第1の命令と、ポリシーに基づいて前記ダイアログを前記ユーザ・コンピューティング装置に選択的に提示するための第2の命令と、を含み、前記ポリシーは、前記ユーザ・コンピューティング装置及び前記ダイアログを提示する前記近接コンピューティング装置の組のみにもたらされる、コンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−527040(P2007−527040A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516108(P2006−516108)
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050770
【国際公開番号】WO2004/112343
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】