装飾体及びその製造方法
【課題】仕様の変更を容易化し、筐体と装飾体の間に隙間の発生するのを防いで見栄えの悪化するおそれを低減し、しかも、例え長期使用しても外観や色調が変化してしまうおそれの少ない安価な装飾体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 装飾体10を、シリコーンゴム加工物11と、シリコーンゴム加工物11に組み合わされる無彩色層と、無彩色層に接着されるキャリア層13と、キャリア層13に粘着される固定用の両面テープ14と、両面テープ14に剥離可能に粘着される任意の離型層とから構成する。そして、この装飾体10を携帯電話等の筐体の螺子穴に必要数密嵌することにより、螺子を被覆してデザイン性や体裁を整えたり、高級感や上級感を醸し出すメタリック調の光沢を発現する。
【解決手段】 装飾体10を、シリコーンゴム加工物11と、シリコーンゴム加工物11に組み合わされる無彩色層と、無彩色層に接着されるキャリア層13と、キャリア層13に粘着される固定用の両面テープ14と、両面テープ14に剥離可能に粘着される任意の離型層とから構成する。そして、この装飾体10を携帯電話等の筐体の螺子穴に必要数密嵌することにより、螺子を被覆してデザイン性や体裁を整えたり、高級感や上級感を醸し出すメタリック調の光沢を発現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ等に設けられる装飾体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図15や図16に示す折り畳み可能な携帯電話1、図17に示す折り畳み可能なゲーム機2、図18のデジタルカメラ3は、樹脂に代表される各種の材料を使用して筐体4が構成されたり、プリント基板等の様々な部材が内蔵されているが、筐体4同様、重要な部材の一つとして装飾体10があげられる。
【0003】
この種の装飾体10は、例えば樹脂やウレタン系エラストマーを使用して所定の形に形成されるとともに、折り畳み可能な携帯電話1、ゲーム機2、デジタルカメラ3の外観と違和感を生じないよう着色され、携帯電話1の筐体4の螺子穴5、ゲーム機2の筐体4、デジタルカメラ3の筐体4の螺子穴5に装着されることにより、組立用の螺子を被覆してデザイン性や体裁を整えたり、クッションとして折り畳み時の衝突音の発生を防止する(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2006‐73599号公報
【特許文献2】特開2002‐349532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来における装飾体10は、以上のように樹脂やウレタン系エラストマーを使用して形成されるので、以下に示す問題がある。
先ず、装飾体10が樹脂製の場合には、携帯電話1等の機種変更の度に専用の金型を新たに製作しなければならないので、コストの増大を招くという問題がある。また、表面にエンボス加工の要求されることがあるが、その際、離型性に影響を及ぼすので、デザイン通りに自由に施すことが困難であり、コスト高を招く他、仕様変更も容易ではないという問題がある。
【0005】
また、装飾体10が可撓性や弾性を有するウレタン系エラストマー製の場合には、筐体4の螺子穴5に隙間なく密嵌して見栄えを向上させることができるが、装飾体10が可撓性や弾性を有しない樹脂製の場合には、ある程度のクリアランスを確保できるよう設計する必要がある。したがって、筐体4の螺子穴5に装飾体10を嵌入すると、螺子穴5と装飾体10との間に隙間の生じることがあり、デザイン性や見栄えの悪化するおそれがある。
【0006】
さらに、装飾体10がウレタン系エラストマー製の場合には、耐久性に優れるものの、耐薬品性や耐光性に欠けるので、コーヒーや油、アルコール等の存在する場所における携帯電話1等の使用、携帯電話1等の長期に亘る使用により、外観や色調が変化して美観を損ねてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、仕様の変更を容易化し、筐体と装飾体の間に隙間の発生するのを防いで見栄えの悪化するおそれを低減し、しかも、例え長期使用しても外観や色調が変化してしまうおそれの少ない安価な装飾体及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、シリコーンゴム加工物と、このシリコーンゴム加工物に組み合わされる全光線透過率が5%未満の無彩色層とを備え、電子機器の筐体に設けられるものであって、
シリコーンゴム加工物は、シリコーンゴムに、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料が0.01〜2重量部添加して加工されたことを特徴としている。
【0009】
なお、無彩色層に接着されるキャリア層を備えることができる。
また、無彩色層とキャリア層のいずれかに粘着される両面粘着層を備えると良い。
【0010】
本発明においては上記課題を解決するため、請求項1、2、又は3記載の装飾体の製造方法であって、
シリコーンゴム、加硫剤、及び着色剤に、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料を0.01〜2重量部添加して配合物を調製し、この配合物を加硫成形して無彩色層を接着し、その後、これらの成形品と無彩色層とを所定の形に加工することを特徴としている。
【0011】
ここで、特許請求の範囲におけるここで、特許請求の範囲におけるシリコーンゴム加工物は、必要に応じ、平面円形、楕円形、矩形、多角形、C字形、I字形、L字形、U字形、各種記号等の所定の形状に形成することができる。電子機器には、少なくとも携帯電話に代表される携帯情報端末、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ等が含まれる。さらに、キャリア層は、単数複数を特に問うものではない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、仕様の変更を容易化し、筐体と装飾体の間に隙間の発生するのを防いで見栄えの悪化するおそれを低減することができるという効果がある。また、例え長期間使用しても、外観や色調が変化してしまうおそれの少ない安価な装飾体を提供することができるという効果がある。また、シリコーンゴム加工物と無彩色層の組み合わせにより、無機系顔料の規則的多重反射効果を利用することができ、単純な色彩の他、経時的変化の少ないメタリック調の光沢意匠を再現して優れた意匠性やデザイン性等を得ることができる。
【0013】
また、無彩色層に接着されるキャリア層を備えれば、このキャリア層の材質や厚さ、枚数等を変更することにより、装飾体に必要な剛性を付与することができる。
さらに、無彩色層とキャリア層のいずれかに粘着される両面粘着層を備えれば、電子機器の筐体に装飾体を簡単に取り付けることができ、しかも、装飾体の脱落を簡易な構成で防ぐことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における装飾体10は、図1ないし図7等に示すように、肌触りの良いシリコーンゴム加工物11と、このシリコーンゴム加工物11に組み合わされる薄い無彩色層12と、この無彩色層12に接着される薄いキャリア層13と、このキャリア層13に粘着される固定用の薄い両面テープ14と、この両面テープ14に剥離可能に粘着される任意の離型層15とを備え、小型の電子機器である携帯電話1等の筐体4に外側から設けられ、筐体4の組立用の螺子穴5に必要数が密嵌されることにより、螺子を被覆してデザイン性や体裁を整えたり、高級感や上級感を醸し出すメタリック調の光沢を発現する。
【0015】
シリコーンゴム加工物11は、図1ないし図3、図6等に示すように、例えば可撓性や弾性を有するシリコーンゴムに、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料が0.01〜2重量部添加されることにより、隅部が面取りされた平面略三角形や平面略四角形等に形成され、20Hs〜85Hs、好ましくは80Hs±5Hsの硬度を有している。
【0016】
シリコーンゴム加工物11は、ユーザーや第三者に樹脂加工品として視認、把握させたい場合には、表面が適宜光沢処理される。このシリコーンゴム加工物11の硬度が20Hs〜85Hsの範囲なのは、20Hs未満の場合には、製品が殆ど存在しないので入手が困難となり、逆に85Hsを超える場合には、打ち抜き等の製造に支障を来たし、しかも、裂け易くなるからである。
【0017】
シリコーンゴムは、例えば耐熱性、耐寒性、耐薬品性、耐光性、耐候性、圧縮永久歪特性、エンボス特性等に優れるシリコーン系のエラストマーがあげられ、無色、有彩色(赤、青、オレンジ等)、無彩色(黒色等)に着色された状態で使用される。また、基体フレークとしては、天然材料である粉砕されたマイカ、人工的な材料であるアルミナ、シリカ、ガラス等を用いたものがあげられ、基材フレークを被覆するものとしては、酸化チタンや酸化鉄、スズやアンチモン、珪素等の金属酸化物、これらの組み合わせ等があげられ、厚さを適宜変更することができる。
【0018】
無機系顔料は、例えば金属光沢の形成に資するパール顔料やエフェクト顔料等からなり、0.01〜2重量部、好ましくは0.04〜0.2重量部添加される。0.01〜2重量部添加されるのは、添加量が0.01重量部未満の場合には、十分なメタリック調の意匠を得ることができないからである。逆に、2重量部を超える場合には、シリコーンゴムの透視性が失われて隠蔽され、メタリック調の光沢を得るために必要な規則的多重反射効果を低減させてしまうからである。
【0019】
無彩色層12は、例えば光線透過率の低い黒色の薄いPETフィルム、ポリカーボネート、アクリル系樹脂シート、無彩色に着色されたシリコーンゴムシート等からなり、全光線透過率が5%未満とされる。この黒色層である無彩色層12の全光線透過率が5%未満なのは、全光線透過率が5%を超える場合には、メタリック調の光沢を得るために必要な規則的多重反射効果の低下を招くからである。
【0020】
キャリア層13としては、図2等に示すように、例えばクリアーの薄いPETフィルムがあげられ、装飾体10の剛性を確保するよう機能する。また、両面テープ14としては、図3等に示すように、例えば白色半透明の薄いアクリル系テープがあげられ、筐体4の螺子穴5に螺挿された螺子の頭部に粘着するよう機能する。また、離型層15としては、図4や図5等に示すように、例えばクリアーの薄いPETフィルムがあげられ、製造時の台紙として活用される。
【0021】
上記において、装飾体10を製造する場合には、先ず、シリコーンゴム、加硫剤、及び着色剤に、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料を0.01〜2重量部添加してシリコーンゴム加工物11となる一応のシート16を形成し、この配合物であるシート16を所定の大きさに裁断し、このシート16を熱プレスして加硫する。この際の着色剤の添加量は、金属光沢の形成に資する観点から0.001〜4重量部が良い。
【0022】
こうしてシート16を熱プレスして加硫したら、二次加硫して完全なシート16を成形し、このシート16上に、無彩色層12を接着剤により接着してこの無彩色層12上にはキャリア層13と両面テープ14とを順次積層接着し、その後、これらシート16、無彩色層12、キャリア層13、及び両面テープ14の積層体17をパンチ等により所定の形状・大きさに加工すれば、複数の装飾体10を製造することができる。複数の装飾体10を製造したら、この複数の装飾体10を離型層15上に所定のパターンで並べることにより、搬送したり、出荷することができる。
【0023】
上記構成によれば、装飾体10が樹脂製ではないので、携帯電話1等の機種変更の度に専用の高価な金型を新たに製作する必要がない。したがって、コストの増大を招くことがなく、仕様変更も容易である。また、装飾体10が可撓性や弾性を有するシリコーン系エラストマー製なので、エンボス加工が容易になる他、筐体4の螺子穴5と装飾体10との間に隙間の生じることがなく、デザイン性や見栄えの悪化するおそれがない。
【0024】
また、装飾体10がウレタン系エラストマーではなく、耐薬品性、耐光性、耐候性、圧縮永久歪特性等に優れるシリコーン系エラストマー製なので、コーヒーや油、アルコール等の存在する場所における携帯電話1等の使用、携帯電話1等の長期に亘る使用により、外観や色調が変化して美観を損ねてしまうおそれもない。
【0025】
また、本実施形態によれば、経時的変化の少ないメタリック調の光沢表現を再現して優れた意匠性やデザイン性を得ることができる。この点について詳説すると、メタリック調に印刷されたフィルムとウレタン系エラストマーとを積層等する場合には、経時的変化が大きいので、長期に亘りメタリック調の光沢表現を再現することが困難化するおそれがある。
【0026】
これに対し、本実施形態によれば、シリコーンゴム加工物11と無彩色層12との組み合わせにより、無機系顔料の特性である規則的多重反射を利用することができるので、加飾用の単純な色彩のみならず、経時的変化の少ないメタリック調の光沢表現を容易に再現してきわめて優れた意匠性、魅力的なデザイン性、ファッション性、重厚感等を得ることができる。
【0027】
さらに、樹脂製の装飾体10ではなく、弾性のシリコーンゴム加工物11を使用するので、携帯電話1等の落下時に筐体4に作用する衝撃をある程度減衰、吸収、緩和することができる。これにより、携帯電話1等の損傷防止が期待できる。
【0028】
次に、図8ないし図14は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、成形したシート16上に、無彩色層12を接着してこの無彩色層12上にはキャリア層13と両面テープ14とを順次積層接着(図8参照)し、これらシート16、無彩色層12、キャリア層13、及び両面テープ14の積層体17を複数枚に分割(図9参照)して各積層体17に装飾体10形成用の抜き加工(図9参照)を施し、各積層体17からシート16等の余分な部分をバリ取り(図10参照)して複数枚の積層片18に分割(図11参照)するとともに、各積層片18に形成された複数の装飾体10を治具19上に転写(図12参照)し、その後、複数の装飾体10を治具19上から離型層15に複数の位置決めピン20を介し転写(図13参照)して貼り替えるようにしている(図14参照)。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0029】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、装飾体10が略平坦でR形状がない場合に容易、かつ大量に製造することができるのは明らかである。また、装飾体10の製造方法の多様化が期待できる。
【0030】
なお、本発明に係る装飾体10は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば上記実施形態では無彩色層12の裏面にキャリア層13、両面テープ14、離型層15を必要枚数粘着したが、これらキャリア層13、両面テープ14、離型層15は、必要に応じ、省略しても良い。
【0031】
また、キャリア層13にコロナ処理やフレーム処理等の表面処理技術を施して両面テープ14との粘着度を向上させても良い。また、特に支障を来たさなければ、キャリア層13ではなく、無彩色層12に両面テープ14を直接粘着しても良い。さらに、装飾体10を螺子隠しではなく、クッションとして利用し、筐体4の折り畳み時における衝突音の発生を防止することもできる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明に係る装飾体及びその製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
実施例1
先ず、硬度50Hsのシリコーンゴム100重量部に、加硫剤2重量部、着色剤0.005重量部添加するとともに、これらに、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料を0.04重量部添加して一応のシートを圧延形成し、このシートを所定の大きさに裁断し、このシートを175℃、10分の条件で熱プレスして加硫した。
【0033】
シリコーンゴムとしては、KE‐551U(信越化学工業製 商品名)を使用し、加硫剤としては、C‐8(信越化学工業製 商品名)を使用した。また、着色剤としては、KE−ColorMB(信越化学工業製 商品名)を使用し、無機系顔料としては、天然マイカを基体フレークに用いて二酸化チタンの金属酸化物をコートした顔料を用いた。
【0034】
シートを熱プレスして加硫したら、200℃、60分の条件で二次加硫して完全なシートを成形し、このシート上に、無彩色層をシリコーン系の接着剤により接着してこの無彩色層上には両面テープを積層接着し、その後、これらシート、無彩色層、及び両面テープからなる積層体をφ3.5mmのパンチにより打ち抜き加工して装飾体を製造した。
無彩色層としては、0.1tの黒色のPETフィルム(東レ製 商品名ルミラーX30)を用い、両面テープとしては、NITTO No.512(日東電工製 商品名)を利用した。
【0035】
実施例2
硬度50Hsではなく、硬度80HsのシリコーンゴムKE‐581U(信越化学工業製 商品名)100重量部を使用し、その他は実施例1と同様とした。
実施例3
実施例1と同様に配合してシートを成形したが、実施例1の無機系顔料を、天然マイカに二酸化チタンをコートした顔料から、フレーク状ホウケイ酸ガラスに二酸化チタンをコートした顔料に変更した。その他は実施例1と同様とした。
【0036】
実施例4
実施例1と同様に配合してシートを成形したが、実施例1の無機系顔料を、天然マイカに二酸化チタンをコートした顔料から、合成基材のシリカフレークに二酸化チタンをコートした顔料に変更した。その他は実施例1と同様とした。
【0037】
比較例1
実施例1と同様にシートを成形し、このシート上に、無彩色層の代わりに0.1mmの厚さを有する白色のPETフィルム(東レ製 商品名E−20)を接着してこのPETフィルム上には両面テープを接着し、これらの積層体をφ3.5mmのパンチにより打ち抜き加工して装飾体を製造した。
【0038】
比較例2
実施例1と同様にシートを成形し、このシート上に無彩色層を接着することなく、両面テープを直接接着した後、これらの積層体をφ3.5mmのパンチにより打ち抜き加工して装飾体を製造した。
【0039】
実施例と比較例の装飾体をそれぞれ製造したら、これらに関するメタリック調の意匠度、耐薬品性、耐光性、落下衝撃吸収性、製品コスト、寸法吸収性を精査して表1にまとめた。
【0040】
【表1】
【0041】
表1から明らかなように、実施例の装飾体によれば、優れたメタリック調の意匠度、耐薬品性、耐光性、落下衝撃吸収性、製品コスト、寸法吸収性を得ることができた。これに対し、比較例の装飾体によれば、優れた耐薬品性、耐光性、落下衝撃吸収性、製品コスト、寸法吸収性を得ることができたものの、メタリック調の意匠度が低く、高級感や上級感を醸し出すことができず、魅力的なデザイン性、ファッション性、重厚感等を得ることができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る装飾体の実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図2】本発明に係る装飾体の実施形態を模式的に示す側面説明図である。
【図3】本発明に係る装飾体の実施形態を模式的に示す裏面説明図である。
【図4】本発明に係る装飾体の実施形態における装飾体と離型層との関係を模式的に示す平面説明図である。
【図5】図4の側面説明図である。
【図6】本発明に係る装飾体の実施形態における変形例を模式的に示す平面説明図である。
【図7】図6の側面説明図である。
【図8】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態におけるシートに、無彩色層を接着してこの無彩色層上にはキャリア層と両面テープとを順次接着する状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図9】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態におけるシート、無彩色層、キャリア層、及び両面テープの積層体を複数枚に分割して各積層体に抜き加工を施す状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図10】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態における積層体から余分な部分をバリ取りする状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図11】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態における積層体を複数枚の積層片に分割する状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図12】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態における積層片の複数の装飾体を治具上に転写する状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図13】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態における複数の装飾体を治具から離型層に転写する状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図14】図13の複数の装飾体を離型層に貼り替えた状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図15】携帯電話を模式的に示す斜視図である。
【図16】図15の背面斜視図である。
【図17】ゲーム機を模式的に示す斜視図である。
【図18】デジタルカメラを模式的に示す背面斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 携帯電話
2 ゲーム機
3 デジタルカメラ
4 筐体
5 螺子穴
10 装飾体
11 シリコーンゴム加工物
12 無彩色層
13 キャリア層
14 両面テープ(両面粘着層)
15 離型層
16 シート
17 積層体
18 積層片
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ等に設けられる装飾体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図15や図16に示す折り畳み可能な携帯電話1、図17に示す折り畳み可能なゲーム機2、図18のデジタルカメラ3は、樹脂に代表される各種の材料を使用して筐体4が構成されたり、プリント基板等の様々な部材が内蔵されているが、筐体4同様、重要な部材の一つとして装飾体10があげられる。
【0003】
この種の装飾体10は、例えば樹脂やウレタン系エラストマーを使用して所定の形に形成されるとともに、折り畳み可能な携帯電話1、ゲーム機2、デジタルカメラ3の外観と違和感を生じないよう着色され、携帯電話1の筐体4の螺子穴5、ゲーム機2の筐体4、デジタルカメラ3の筐体4の螺子穴5に装着されることにより、組立用の螺子を被覆してデザイン性や体裁を整えたり、クッションとして折り畳み時の衝突音の発生を防止する(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2006‐73599号公報
【特許文献2】特開2002‐349532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来における装飾体10は、以上のように樹脂やウレタン系エラストマーを使用して形成されるので、以下に示す問題がある。
先ず、装飾体10が樹脂製の場合には、携帯電話1等の機種変更の度に専用の金型を新たに製作しなければならないので、コストの増大を招くという問題がある。また、表面にエンボス加工の要求されることがあるが、その際、離型性に影響を及ぼすので、デザイン通りに自由に施すことが困難であり、コスト高を招く他、仕様変更も容易ではないという問題がある。
【0005】
また、装飾体10が可撓性や弾性を有するウレタン系エラストマー製の場合には、筐体4の螺子穴5に隙間なく密嵌して見栄えを向上させることができるが、装飾体10が可撓性や弾性を有しない樹脂製の場合には、ある程度のクリアランスを確保できるよう設計する必要がある。したがって、筐体4の螺子穴5に装飾体10を嵌入すると、螺子穴5と装飾体10との間に隙間の生じることがあり、デザイン性や見栄えの悪化するおそれがある。
【0006】
さらに、装飾体10がウレタン系エラストマー製の場合には、耐久性に優れるものの、耐薬品性や耐光性に欠けるので、コーヒーや油、アルコール等の存在する場所における携帯電話1等の使用、携帯電話1等の長期に亘る使用により、外観や色調が変化して美観を損ねてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、仕様の変更を容易化し、筐体と装飾体の間に隙間の発生するのを防いで見栄えの悪化するおそれを低減し、しかも、例え長期使用しても外観や色調が変化してしまうおそれの少ない安価な装飾体及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、シリコーンゴム加工物と、このシリコーンゴム加工物に組み合わされる全光線透過率が5%未満の無彩色層とを備え、電子機器の筐体に設けられるものであって、
シリコーンゴム加工物は、シリコーンゴムに、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料が0.01〜2重量部添加して加工されたことを特徴としている。
【0009】
なお、無彩色層に接着されるキャリア層を備えることができる。
また、無彩色層とキャリア層のいずれかに粘着される両面粘着層を備えると良い。
【0010】
本発明においては上記課題を解決するため、請求項1、2、又は3記載の装飾体の製造方法であって、
シリコーンゴム、加硫剤、及び着色剤に、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料を0.01〜2重量部添加して配合物を調製し、この配合物を加硫成形して無彩色層を接着し、その後、これらの成形品と無彩色層とを所定の形に加工することを特徴としている。
【0011】
ここで、特許請求の範囲におけるここで、特許請求の範囲におけるシリコーンゴム加工物は、必要に応じ、平面円形、楕円形、矩形、多角形、C字形、I字形、L字形、U字形、各種記号等の所定の形状に形成することができる。電子機器には、少なくとも携帯電話に代表される携帯情報端末、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ等が含まれる。さらに、キャリア層は、単数複数を特に問うものではない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、仕様の変更を容易化し、筐体と装飾体の間に隙間の発生するのを防いで見栄えの悪化するおそれを低減することができるという効果がある。また、例え長期間使用しても、外観や色調が変化してしまうおそれの少ない安価な装飾体を提供することができるという効果がある。また、シリコーンゴム加工物と無彩色層の組み合わせにより、無機系顔料の規則的多重反射効果を利用することができ、単純な色彩の他、経時的変化の少ないメタリック調の光沢意匠を再現して優れた意匠性やデザイン性等を得ることができる。
【0013】
また、無彩色層に接着されるキャリア層を備えれば、このキャリア層の材質や厚さ、枚数等を変更することにより、装飾体に必要な剛性を付与することができる。
さらに、無彩色層とキャリア層のいずれかに粘着される両面粘着層を備えれば、電子機器の筐体に装飾体を簡単に取り付けることができ、しかも、装飾体の脱落を簡易な構成で防ぐことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における装飾体10は、図1ないし図7等に示すように、肌触りの良いシリコーンゴム加工物11と、このシリコーンゴム加工物11に組み合わされる薄い無彩色層12と、この無彩色層12に接着される薄いキャリア層13と、このキャリア層13に粘着される固定用の薄い両面テープ14と、この両面テープ14に剥離可能に粘着される任意の離型層15とを備え、小型の電子機器である携帯電話1等の筐体4に外側から設けられ、筐体4の組立用の螺子穴5に必要数が密嵌されることにより、螺子を被覆してデザイン性や体裁を整えたり、高級感や上級感を醸し出すメタリック調の光沢を発現する。
【0015】
シリコーンゴム加工物11は、図1ないし図3、図6等に示すように、例えば可撓性や弾性を有するシリコーンゴムに、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料が0.01〜2重量部添加されることにより、隅部が面取りされた平面略三角形や平面略四角形等に形成され、20Hs〜85Hs、好ましくは80Hs±5Hsの硬度を有している。
【0016】
シリコーンゴム加工物11は、ユーザーや第三者に樹脂加工品として視認、把握させたい場合には、表面が適宜光沢処理される。このシリコーンゴム加工物11の硬度が20Hs〜85Hsの範囲なのは、20Hs未満の場合には、製品が殆ど存在しないので入手が困難となり、逆に85Hsを超える場合には、打ち抜き等の製造に支障を来たし、しかも、裂け易くなるからである。
【0017】
シリコーンゴムは、例えば耐熱性、耐寒性、耐薬品性、耐光性、耐候性、圧縮永久歪特性、エンボス特性等に優れるシリコーン系のエラストマーがあげられ、無色、有彩色(赤、青、オレンジ等)、無彩色(黒色等)に着色された状態で使用される。また、基体フレークとしては、天然材料である粉砕されたマイカ、人工的な材料であるアルミナ、シリカ、ガラス等を用いたものがあげられ、基材フレークを被覆するものとしては、酸化チタンや酸化鉄、スズやアンチモン、珪素等の金属酸化物、これらの組み合わせ等があげられ、厚さを適宜変更することができる。
【0018】
無機系顔料は、例えば金属光沢の形成に資するパール顔料やエフェクト顔料等からなり、0.01〜2重量部、好ましくは0.04〜0.2重量部添加される。0.01〜2重量部添加されるのは、添加量が0.01重量部未満の場合には、十分なメタリック調の意匠を得ることができないからである。逆に、2重量部を超える場合には、シリコーンゴムの透視性が失われて隠蔽され、メタリック調の光沢を得るために必要な規則的多重反射効果を低減させてしまうからである。
【0019】
無彩色層12は、例えば光線透過率の低い黒色の薄いPETフィルム、ポリカーボネート、アクリル系樹脂シート、無彩色に着色されたシリコーンゴムシート等からなり、全光線透過率が5%未満とされる。この黒色層である無彩色層12の全光線透過率が5%未満なのは、全光線透過率が5%を超える場合には、メタリック調の光沢を得るために必要な規則的多重反射効果の低下を招くからである。
【0020】
キャリア層13としては、図2等に示すように、例えばクリアーの薄いPETフィルムがあげられ、装飾体10の剛性を確保するよう機能する。また、両面テープ14としては、図3等に示すように、例えば白色半透明の薄いアクリル系テープがあげられ、筐体4の螺子穴5に螺挿された螺子の頭部に粘着するよう機能する。また、離型層15としては、図4や図5等に示すように、例えばクリアーの薄いPETフィルムがあげられ、製造時の台紙として活用される。
【0021】
上記において、装飾体10を製造する場合には、先ず、シリコーンゴム、加硫剤、及び着色剤に、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料を0.01〜2重量部添加してシリコーンゴム加工物11となる一応のシート16を形成し、この配合物であるシート16を所定の大きさに裁断し、このシート16を熱プレスして加硫する。この際の着色剤の添加量は、金属光沢の形成に資する観点から0.001〜4重量部が良い。
【0022】
こうしてシート16を熱プレスして加硫したら、二次加硫して完全なシート16を成形し、このシート16上に、無彩色層12を接着剤により接着してこの無彩色層12上にはキャリア層13と両面テープ14とを順次積層接着し、その後、これらシート16、無彩色層12、キャリア層13、及び両面テープ14の積層体17をパンチ等により所定の形状・大きさに加工すれば、複数の装飾体10を製造することができる。複数の装飾体10を製造したら、この複数の装飾体10を離型層15上に所定のパターンで並べることにより、搬送したり、出荷することができる。
【0023】
上記構成によれば、装飾体10が樹脂製ではないので、携帯電話1等の機種変更の度に専用の高価な金型を新たに製作する必要がない。したがって、コストの増大を招くことがなく、仕様変更も容易である。また、装飾体10が可撓性や弾性を有するシリコーン系エラストマー製なので、エンボス加工が容易になる他、筐体4の螺子穴5と装飾体10との間に隙間の生じることがなく、デザイン性や見栄えの悪化するおそれがない。
【0024】
また、装飾体10がウレタン系エラストマーではなく、耐薬品性、耐光性、耐候性、圧縮永久歪特性等に優れるシリコーン系エラストマー製なので、コーヒーや油、アルコール等の存在する場所における携帯電話1等の使用、携帯電話1等の長期に亘る使用により、外観や色調が変化して美観を損ねてしまうおそれもない。
【0025】
また、本実施形態によれば、経時的変化の少ないメタリック調の光沢表現を再現して優れた意匠性やデザイン性を得ることができる。この点について詳説すると、メタリック調に印刷されたフィルムとウレタン系エラストマーとを積層等する場合には、経時的変化が大きいので、長期に亘りメタリック調の光沢表現を再現することが困難化するおそれがある。
【0026】
これに対し、本実施形態によれば、シリコーンゴム加工物11と無彩色層12との組み合わせにより、無機系顔料の特性である規則的多重反射を利用することができるので、加飾用の単純な色彩のみならず、経時的変化の少ないメタリック調の光沢表現を容易に再現してきわめて優れた意匠性、魅力的なデザイン性、ファッション性、重厚感等を得ることができる。
【0027】
さらに、樹脂製の装飾体10ではなく、弾性のシリコーンゴム加工物11を使用するので、携帯電話1等の落下時に筐体4に作用する衝撃をある程度減衰、吸収、緩和することができる。これにより、携帯電話1等の損傷防止が期待できる。
【0028】
次に、図8ないし図14は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、成形したシート16上に、無彩色層12を接着してこの無彩色層12上にはキャリア層13と両面テープ14とを順次積層接着(図8参照)し、これらシート16、無彩色層12、キャリア層13、及び両面テープ14の積層体17を複数枚に分割(図9参照)して各積層体17に装飾体10形成用の抜き加工(図9参照)を施し、各積層体17からシート16等の余分な部分をバリ取り(図10参照)して複数枚の積層片18に分割(図11参照)するとともに、各積層片18に形成された複数の装飾体10を治具19上に転写(図12参照)し、その後、複数の装飾体10を治具19上から離型層15に複数の位置決めピン20を介し転写(図13参照)して貼り替えるようにしている(図14参照)。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0029】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、装飾体10が略平坦でR形状がない場合に容易、かつ大量に製造することができるのは明らかである。また、装飾体10の製造方法の多様化が期待できる。
【0030】
なお、本発明に係る装飾体10は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば上記実施形態では無彩色層12の裏面にキャリア層13、両面テープ14、離型層15を必要枚数粘着したが、これらキャリア層13、両面テープ14、離型層15は、必要に応じ、省略しても良い。
【0031】
また、キャリア層13にコロナ処理やフレーム処理等の表面処理技術を施して両面テープ14との粘着度を向上させても良い。また、特に支障を来たさなければ、キャリア層13ではなく、無彩色層12に両面テープ14を直接粘着しても良い。さらに、装飾体10を螺子隠しではなく、クッションとして利用し、筐体4の折り畳み時における衝突音の発生を防止することもできる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明に係る装飾体及びその製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
実施例1
先ず、硬度50Hsのシリコーンゴム100重量部に、加硫剤2重量部、着色剤0.005重量部添加するとともに、これらに、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料を0.04重量部添加して一応のシートを圧延形成し、このシートを所定の大きさに裁断し、このシートを175℃、10分の条件で熱プレスして加硫した。
【0033】
シリコーンゴムとしては、KE‐551U(信越化学工業製 商品名)を使用し、加硫剤としては、C‐8(信越化学工業製 商品名)を使用した。また、着色剤としては、KE−ColorMB(信越化学工業製 商品名)を使用し、無機系顔料としては、天然マイカを基体フレークに用いて二酸化チタンの金属酸化物をコートした顔料を用いた。
【0034】
シートを熱プレスして加硫したら、200℃、60分の条件で二次加硫して完全なシートを成形し、このシート上に、無彩色層をシリコーン系の接着剤により接着してこの無彩色層上には両面テープを積層接着し、その後、これらシート、無彩色層、及び両面テープからなる積層体をφ3.5mmのパンチにより打ち抜き加工して装飾体を製造した。
無彩色層としては、0.1tの黒色のPETフィルム(東レ製 商品名ルミラーX30)を用い、両面テープとしては、NITTO No.512(日東電工製 商品名)を利用した。
【0035】
実施例2
硬度50Hsではなく、硬度80HsのシリコーンゴムKE‐581U(信越化学工業製 商品名)100重量部を使用し、その他は実施例1と同様とした。
実施例3
実施例1と同様に配合してシートを成形したが、実施例1の無機系顔料を、天然マイカに二酸化チタンをコートした顔料から、フレーク状ホウケイ酸ガラスに二酸化チタンをコートした顔料に変更した。その他は実施例1と同様とした。
【0036】
実施例4
実施例1と同様に配合してシートを成形したが、実施例1の無機系顔料を、天然マイカに二酸化チタンをコートした顔料から、合成基材のシリカフレークに二酸化チタンをコートした顔料に変更した。その他は実施例1と同様とした。
【0037】
比較例1
実施例1と同様にシートを成形し、このシート上に、無彩色層の代わりに0.1mmの厚さを有する白色のPETフィルム(東レ製 商品名E−20)を接着してこのPETフィルム上には両面テープを接着し、これらの積層体をφ3.5mmのパンチにより打ち抜き加工して装飾体を製造した。
【0038】
比較例2
実施例1と同様にシートを成形し、このシート上に無彩色層を接着することなく、両面テープを直接接着した後、これらの積層体をφ3.5mmのパンチにより打ち抜き加工して装飾体を製造した。
【0039】
実施例と比較例の装飾体をそれぞれ製造したら、これらに関するメタリック調の意匠度、耐薬品性、耐光性、落下衝撃吸収性、製品コスト、寸法吸収性を精査して表1にまとめた。
【0040】
【表1】
【0041】
表1から明らかなように、実施例の装飾体によれば、優れたメタリック調の意匠度、耐薬品性、耐光性、落下衝撃吸収性、製品コスト、寸法吸収性を得ることができた。これに対し、比較例の装飾体によれば、優れた耐薬品性、耐光性、落下衝撃吸収性、製品コスト、寸法吸収性を得ることができたものの、メタリック調の意匠度が低く、高級感や上級感を醸し出すことができず、魅力的なデザイン性、ファッション性、重厚感等を得ることができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る装飾体の実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図2】本発明に係る装飾体の実施形態を模式的に示す側面説明図である。
【図3】本発明に係る装飾体の実施形態を模式的に示す裏面説明図である。
【図4】本発明に係る装飾体の実施形態における装飾体と離型層との関係を模式的に示す平面説明図である。
【図5】図4の側面説明図である。
【図6】本発明に係る装飾体の実施形態における変形例を模式的に示す平面説明図である。
【図7】図6の側面説明図である。
【図8】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態におけるシートに、無彩色層を接着してこの無彩色層上にはキャリア層と両面テープとを順次接着する状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図9】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態におけるシート、無彩色層、キャリア層、及び両面テープの積層体を複数枚に分割して各積層体に抜き加工を施す状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図10】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態における積層体から余分な部分をバリ取りする状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図11】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態における積層体を複数枚の積層片に分割する状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図12】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態における積層片の複数の装飾体を治具上に転写する状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図13】本発明に係る装飾体及びその製造方法の他の実施形態における複数の装飾体を治具から離型層に転写する状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図14】図13の複数の装飾体を離型層に貼り替えた状態を模式的に示す斜視説明図である。
【図15】携帯電話を模式的に示す斜視図である。
【図16】図15の背面斜視図である。
【図17】ゲーム機を模式的に示す斜視図である。
【図18】デジタルカメラを模式的に示す背面斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 携帯電話
2 ゲーム機
3 デジタルカメラ
4 筐体
5 螺子穴
10 装飾体
11 シリコーンゴム加工物
12 無彩色層
13 キャリア層
14 両面テープ(両面粘着層)
15 離型層
16 シート
17 積層体
18 積層片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴム加工物と、このシリコーンゴム加工物に組み合わされる全光線透過率が5%未満の無彩色層とを備え、電子機器の筐体に設けられる装飾体であって、
シリコーンゴム加工物は、シリコーンゴムに、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料が0.01〜2重量部添加して加工されたことを特徴とする装飾体。
【請求項2】
無彩色層に接着されるキャリア層を含んでなる請求項1記載の装飾体。
【請求項3】
無彩色層とキャリア層のいずれかに粘着される両面粘着層を含んでなる請求項2記載の装飾体。
【請求項4】
請求項1、2、又は3記載の装飾体の製造方法であって、シリコーンゴム、加硫剤、及び着色剤に、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料を0.01〜2重量部添加して配合物を調製し、この配合物を加硫成形して無彩色層を接着し、その後、これらの成形品と無彩色層とを所定の形に加工することを特徴とする装飾体の製造方法。
【請求項1】
シリコーンゴム加工物と、このシリコーンゴム加工物に組み合わされる全光線透過率が5%未満の無彩色層とを備え、電子機器の筐体に設けられる装飾体であって、
シリコーンゴム加工物は、シリコーンゴムに、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料が0.01〜2重量部添加して加工されたことを特徴とする装飾体。
【請求項2】
無彩色層に接着されるキャリア層を含んでなる請求項1記載の装飾体。
【請求項3】
無彩色層とキャリア層のいずれかに粘着される両面粘着層を含んでなる請求項2記載の装飾体。
【請求項4】
請求項1、2、又は3記載の装飾体の製造方法であって、シリコーンゴム、加硫剤、及び着色剤に、基体フレークに金属酸化物を被覆した無機系顔料を0.01〜2重量部添加して配合物を調製し、この配合物を加硫成形して無彩色層を接着し、その後、これらの成形品と無彩色層とを所定の形に加工することを特徴とする装飾体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−286391(P2008−286391A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107013(P2008−107013)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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