説明

装飾看板及び装飾看板におけるトランス

【課題】 装飾看板に籠もる熱又はトランスから発生する熱の排気を効率よく行うことが可能であると共に、装飾看板を薄型に構成することが出来る装飾看板及びその装飾看板におけるトランスを提供することを目的とする。
【解決手段】 トランス3の全体の内略半分の部分が文字看板1より外部に突出して設けられているので、トランス3のトランス背面部32が外気にさらされ、トランス3自体から発する熱を放熱しやすい状態としており、文字看板1内に熱が溜まり難くなる。
また、壁面5と文字看板1との間に流れる風Wによっても放熱効率が更に良くなる。
更に、文字看板1の全体の厚みT2を薄く製作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置を内蔵した装飾看板及びその装飾看板におけるネオン管やEEFL管などの照明装置に安定した電源を供給するトランスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から文字看板は、建物内外部壁面に取り付けられたり、独立看板、広告塔などとして、文字を模して立体的に形成された装飾看板が製作されてきた。そして、その装飾看板の内部には暗い所や夜であっても看板が表示できるように、照明装置が内蔵されているものがある。これら装飾看板には、ネオン管が内蔵されており、そのネオン管に電源を安定して供給するトランスも同時に内蔵されて装飾看板が構成されている(特許文献1に記載)。
【0003】
また、図7に従来のネオン管2及びトランス103を取り付けた状態を側面から見た側面図を示す。
従来の装飾看板100は、先端がボルト状となった支柱6を、壁面5に対して略垂直状に設け、壁面5には、図示しないナット状の受け側が埋設されている。
そして、この支柱6を壁面5に嵌合固定することによって装飾看板100が壁面に対して平行に固定されている。また、装飾看板100の内部には上述のごとく、照明装置としてのネオン管2が取り付けられ、ネオン管2に電源を安定して供給するトランス103は、装飾看板100の背面内部にビスで固定されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3455847号公報(図2、図5及び図16)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の装飾看板及びその装飾看板に使用されるトランスでは、以下のような問題があった。
従来の装飾看板100には、空気や水を排気するための排気孔7が下部に設けられており、そこからトランス103で発生する熱を排気するよう設計されている。しかし、装飾看板100内で発生する熱は上方に溜まり、これら下部に設けられた排気孔7では、思うように排気することが出来なかった。そのため、その溜まった熱によりトランス103が故障するという原因にもなっていた。
【0006】
また、壁と装飾看板100との固定強度の強化や材料コストの低減又は美観を考慮したいという様々な要望に応えるためには、装飾看板100の厚みT1を薄型化することが強く要望されていた。
【0007】
そのため、トランス103を含めて装飾看板100の厚みT1を薄くすることが様々に考えられてきたが、照明装置により表示するという機能を維持しつつ薄型化する必要があり、装飾看板100の表示面4を均一に光らせるためには、ネオン管2から表示面4までの距離を一定距離sを取ることが必須条件となり、ネオン管2やトランス103の薄型化により装飾看板100の厚みT1を薄くすることが考えられるが、ネオン管2やトランス103の薄型化にも限界があるため、トランス103を含めて装飾看板100の厚みT1を薄くするには非常に困難な状況にあった。
【0008】
そこで、本発明は、装飾看板に籠もる熱又はトランスから発生する熱の排気を効率よく行うことが可能であると共に、装飾看板を薄型に構成することが出来る装飾看板及びその装飾看板におけるトランスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1記載の装飾看板(1)は、壁面(5)に装飾看板(1)を取り付ける支柱(6)と、前記装飾看板(1)の表示面(4)に対して一定の距離を保持して取り付けられる照明装置(2)と、当該照明装置(2)に安定した電源を供給するトランス(3)と、を備えた装飾看板(1)において、前記装飾看板(1)の一面には、前記トランス(3)を挿入するための切り欠き孔(11)と、当該切り欠き孔(11)の周辺には前記トランス(3)を取り付ける固定手段と、が設けられ、前記トランス(3)を前記装飾看板(1)に固定させる際、前記トランス(3)の一部を、前記切り欠き孔(11)から前記装飾看板(1)の外部に露出させた状態で前記トランス(3)を取り付けたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の装飾看板におけるトランス(3)は、照明装置(2)に安定した電源を供給するトランス(3)であって、当該トランス(3)は、装飾看板(1)の一面となる装着面(13)に当該トランス(3)を固定するためのトランス固定片(31)を設け、当該トランス固定片(31)は、前記トランス(1)の形状を構成する面のうち少なくとも一側面に設けられると共に、前記トランス(3)の厚み(t)の範囲内の位置に起立して設けられ、かつ、前記トランス(3)を前記装着面(13)に固定する際に、前記トランス(3)の一部が前記装着面(13)から突出する位置になるように設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の装飾看板は、前記装飾看板の一面には、前記トランスを挿入するための切り欠き孔と、当該切り欠き孔の周辺には前記トランスを取り付ける固定手段と、が設けられ、前記トランスを前記装飾看板に固定させる際、前記トランスの一部を、前記切り欠き孔から前記装飾看板の外部に露出させた状態で前記トランスを取り付けたので、装飾看板全体を薄く製作することができると共に、外部の空気にさらされるため、トランスの放熱効果が高くなり、また、装飾看板内に熱が籠もり難くなるので、トランスの故障が起こり難くなる。
【0012】
請求項2に記載のトランスは、装飾看板の一面となる装着面に当該トランスを固定するためのトランス固定片を設け、当該トランス固定片は、前記トランスの形状を構成する面のうち少なくとも一側面に設けられると共に、前記トランスの厚みの範囲内の位置に起立して設けられ、かつ、前記トランスを前記装着面に固定する際に、前記トランスの一部が前記装着面から突出する位置になるように設けたので、装飾看板全体を薄く製作することができると共に、外部の空気にさらされるため、トランスの放熱効果が高くなり、また、装飾看板内部に熱が籠もり難くなるので、トランスの故障が起こり難くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1乃至図5に基づいて、本実施形態を以下に説明する。
図1は、本実施形態の文字看板1を示す斜視図である。図2は、本実施形態の文字看板1を背面から見た背面図である。図3(a)は、本実施形態のトランス3の平面から見た平面図である。図3(b)は、本実施形態のトランス3の正面から見た正面図である。図3(c)は、本実施形態のトランス3の側面から見た側面図である。図4は、本実施形態のトランス3の放熱孔36を示す拡大正面図である。図5は、本実施形態の文字看板1にネオン管2及びトランス3を取り付けた状態を側面から見た側面図である。
【0014】
図1、図2及び図5に基づいて、本実施形態の装飾看板としての文字看板1について説明する。文字看板1は、アルファベットのAを表す文字を立体的に設け、その文字看板1の内部には照明装置としてのネオン管2や後述するトランス3が内蔵されている。そして、文字看板1の背面には店舗などの建物の壁面5に固定するための支柱6が文字看板1の背面から起立して設けられている。文字看板1の前面には、ネオン管2の光が全面に均一に照射される表示面4が樹脂又はガラス等で形成されている
【0015】
文字看板1の背面内部の取付面13には、トランス3が嵌合できるように、トランス3の最外面37よりも若干大きな面積の切り欠き孔11が設けられており、その切り欠き孔11の周辺には、トランス3が固定できるような看板ビス孔12が複数設けられている。また、文字看板1の底面には、トランス3やネオン管2から発生する熱や隙間から進入した雨水を排気するための排気孔7が設けられている。
【0016】
ネオン管2は、文字看板1の形状のアルファベットにAに沿って複数本で形成されており、トランス3とは配線8によって電気的に接続されている。そして、ネオン管2は、表示面4に光が均一に照射することができるように、一定の距離sを離して文字看板1の内部に支持固定されている。
【0017】
図3乃至図5に基づいて本実施形態のトランス3について説明する。
図3に示すように、トランス3は、文字看板1の取付面13に、ビスにより固定するための取付金具31が設けられ、トランス固定片としての取付金具31は、トランス3の厚み方向tの範囲内にトランス3の3面から起立した状態で設けられている。また、取付金具31には、文字看板1の取付孔11に合致した位置に複数のトランスビス孔33が設けられている。
【0018】
取付金具31には、垂直方向に沿って折り曲げられた折り曲げ片34が設けられ、その折り曲げ片34は、雨の侵入を防ぐように取付方向と反対の方向に延設され、矩形状の箱状に設けられたトランス3の側面に溶接にて取り付けられている。
折り曲げ片34の下方は、図示しないアース線の一方は、トランス3の底面にビスによって共締めされている。そして、そのアース線の他方は、鉄製の文字看板1にアース接続されている。
【0019】
また、図4に示すように、取付金具31には、上部中央に、作業孔38が、またトランス3の上部角にも、トランス3と折り曲げ片34との隙間に放熱孔36が設けられている。
【0020】
図5に示すように、トランス3は、ネオン管2の後方に位置し、文字看板1の取付面13に設けられた切り欠き孔11に嵌合する状態で取付けられている。そして、トランス3は、前記した看板ビス孔12とトランス3に設けられているトランスビス孔33とを合致させビスで文字看板1に固定されている。
【0021】
トランス3には、トランス3の厚みtの略半分の部分となるトランス背面部32が文字看板1より外部に突出した状態で設けられ、そのトランス背面部32には、壁面5に面した最外面37が設けられている。
【0022】
トランス3の内部には、ネオン管2に安定した電源を供給するための基板が、防水のため充填材によりモールドされて納められている。そして、このトランス3は、雨、風にさらされても大丈夫なように外形は錆止め塗料が塗られるなどの設計が施されている。
また、その基板からはネオン管2と接続するための配線8がコモン線を含め5本と、電源を入力するための電源ハーネス9が2本延設されている。このトランス3は、1台でネオン管2を最大4本取り付けることが可能である。
【0023】
(本実施形態の作用及び効果)
以下、本実施形態の作用及び効果を図3乃至図5に基づいて説明する。
(1)トランス3の全体の内略半分の部分が文字看板1より外部に突出して設けられているので、トランス3のトランス背面部32が外気にさらされ、トランス3自体から発する熱を放熱しやすい状態としており、文字看板1内に熱が溜まり難くなる。
また、壁面5と文字看板1との間に流れる風Wによっても放熱効率が更に良くなる。
【0024】
(2)トランス3の放熱孔36により文字看板1内の熱を逃がすことも可能であるので、放熱効果が更に高くなる。更に、文字看板1の上方又はトランス3の上方に、この放熱孔36を設けることによって上方に溜まった熱の排気を行うことも可能である。
放熱孔36と文字看板1の排気孔7とで熱を吸排気する空気の流れを形成することも可能であり、放熱効果が更に高くなる。
【0025】
(3)トランス3の一部となるトランス背面部32を文字看板1の取付面13から突出して設置することが可能となるので、文字看板1全体の厚みT2が、従来の厚みT1に比べ薄くすることができるので、文字看板1の軽量化による壁面5と文字看板1との固定強度の強化や材料コストの削減又は美観を考慮した設計を行う際の自由度を広げることができる。
【0026】
(4)トランス3の最外面37と壁面5との間隔は、放熱が出来る程度の隙間を設けて取付けることで、文字看板1の厚みT2を最大限薄くすることが可能であり、上記(3)の効果がより顕著となる。
【0027】
(5)トランス3が切り欠き孔11に嵌合することにより、外部からの機密性が保たれ、雨が降り込むようなことがない。その結果、照明器具としてのネオン管2への雨の進入を防いで、ネオン管2のショートや漏電の恐れもない。
【0028】
(6)取付金具31は、文字看板1の切り欠き11とトランス3との隙間を隠す役割も備えており、雨の侵入を防いでいる。更に、取付金具31の折り曲げ片34は文字看板1内に向かって折り曲げられており、照明器具としてのネオン管2への雨の進入を防いで、ネオン管2のショートや漏電の恐れもない。
【0029】
(7)トランス3をネオン管2の後方の近接した位置に配置することにより、配線8の接続が容易であり、電圧降下を起こすこともない。
【0030】
(8)図4に示すように取付金具31は、上部中央に作業孔38が設けられているので、製造工程の際に、引っ掛けて塗装又は搬送がし易くなるという効果も奏する。また、この作業孔38を放熱用の孔として使用しても良い。
【0031】
(他の実施形態への変更例)
以上説明した実施形態を他の実施形態へ変更した例を以下に示す。
・以上の本実施形態では、照明装置としてネオン管2で説明したが、EEFL管、蛍光灯LED、白熱ランプ、冷陰極管であっても良い。
【0032】
・以上の本実施形態では、トランス3の取付金具31は、トランス3の周縁の三面に起立させて設けて説明したが、図6のトランス3の変更例を正面から見た正面図に示すように、文字看板1の取付面13に対し垂直する3面の内、側面の2面に取付金具31を設けるものであっても良く、これとは別に1面のみに設けるものであっても良い。
【0033】
・以上の本実施形態では、トランス3の取付金具31は、一側面の全長に亘って取付金具31を設けたが、取付強度を保つ程度の長さ、例えば、半分や1/5程度の長さであっても良い。また、短い長さの取付金具31を片状として複数設けるものであっても良い。
【0034】
・以上の本実施形態では、トランス3の形状は矩形の箱状となっているが、多角形であっても良く、特に形状を限定するものではない。
【0035】
・以上の本実施形態では、取付金具31は、トランス3の厚みtの中間位置に起立して設けて説明したが、最外面37より更に離間する位置に設けてもよく、外気に触れる面積をより多くすることで熱放出が効率よく実現される。
【0036】
・以上の本実施形態では、放熱孔36は、雨が直接降り込んでも良いように僅かな大きさで形成したが、雨が直接降り込むことがなければ、特に限定するものではなく、放熱効果が有効となる大きさで形成しても良い。
【0037】
・以上の本実施形態では、文字看板1をアルファベットのAの文字形状のもので説明したが、特に漢字、カタカナなどの文字形状だけでなく模様や模型(車、船、人形)の様な形状であっても良い。
【0038】
・以上の本実施形態では、放熱孔36は、雨が直接降り込んでも内部に進入しないように僅かな大きさで形成したが、雨が直接降り込むことがなければ、特に大きさ又は数を限定する必要はなく、放熱効果が有効となる大きさで形成しても良い。
【0039】
・以上の本実施形態では、固定手段としてビスを使用して説明したが、特にビスに限定する必要もなく、ボルト、接着剤、テープ、溶接や嵌め合わせの方法により固定する方法であっても良い。
【0040】
(本実施形態の応用例)
以上説明した本実施形態を応用した例として、文字看板1について説明したが、箱状の広告灯であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態の文字看板1を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の文字看板1を背面から見た背面図である。
【図3】(a)本実施形態のトランス3の平面から見た平面図である。 (b)本実施形態のトランス3の正面から見た正面図である。 (c)本実施形態のトランス3の側面から見た側面図である。
【図4】本実施形態のトランス3の放熱孔36を示す拡大正面図である。
【図5】本実施形態の文字看板1にネオン管2及びトランス3を取り付けた状態を側面から見た側面図である。
【図6】本実施の形態のトランス3の変更例を正面から見た正面図である。
【図7】従来の文字看板100にネオン管2及びトランス103を取り付けた状態を側面から見た側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1,100・・・文字看板(装飾看板)、2・・・ネオン管、3,103・・・トランス、
4・・・表示面、5・・・壁面、6・・・支柱、7・・・排気孔、8・・・配線、
9・・・電源ハーネス、11・・・切り欠き孔、12・・・看板ビス孔、
13・・・取付面、31・・・取付金具、32・・・トランス背面部、
33・・・トランスビス孔、34・・・折り曲げ片、35・・・アース固定ビス、
36・・・放熱孔、37・・・最外面、38・・・作業孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に装飾看板を取り付ける支柱と、前記装飾看板の表示面に対して一定の距離を保持して取り付けられる照明装置と、当該照明装置に安定した電源を供給するトランスと、を備えた装飾看板において、
前記装飾看板の一面には、前記トランスを挿入するための切り欠き孔と、当該切り欠き孔の周辺には前記トランスを取り付ける固定手段と、が設けられ、
前記トランスを前記装飾看板に固定させる際、前記トランスの一部を、前記切り欠き孔から前記装飾看板の外部に露出させた状態で前記トランスを取り付けたことを特徴とする装飾看板。
【請求項2】
照明装置に安定した電源を供給するトランスであって、当該トランスは、装飾看板の一面となる装着面に当該トランスを固定するためのトランス固定片を設け、
当該トランス固定片は、前記トランスの形状を構成する面のうち少なくとも一側面に設けられると共に、前記トランスの厚みの範囲内の位置に起立して設けられ、かつ、前記トランスを前記装着面に固定する際に、前記トランスの一部が前記装着面から突出する位置になるように設けたことを特徴とする装飾看板におけるトランス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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